JP2007239832A - 自動車の制御装置および自動車の制御方法 - Google Patents

自動車の制御装置および自動車の制御方法 Download PDF

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博史 坂本
Tatsuya Ochi
辰哉 越智
Takashi Okada
岡田  隆
Toshimichi Minowa
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H3/00Toothed gearings for conveying rotary motion with variable gear ratio or for reversing rotary motion
    • F16H3/006Toothed gearings for conveying rotary motion with variable gear ratio or for reversing rotary motion power being selectively transmitted by either one of the parallel flow paths

Abstract

【課題】運転性の悪化を防止できる自動車の制御装置および自動車の制御方法を提供することにある。また、高精度の回転同期制御が可能な自動車の制御装置および自動車の制御方法を提供することにある。
【解決手段】回転数フィードバック制御手段800は、目標回転数設定手段801により設定された目標回転数とエンジン回転数の偏差に応じて摩擦クラッチによりエンジン回転数を目標回転数に追従させるフィードバック制御を行う。偏差制限手段802は、エンジン回転数と入力軸回転数の偏差に応じて目標回転数とエンジン回転数の偏差を制限する。積分クリア手段804は、第1の摩擦クラッチから第2の摩擦クラッチへの切替により変速を行う際に、積分値をクリアする。
【選択図】図8

Description

本発明は、自動車の制御装置および自動車の制御方法に係り、特に、変速機としてツインクラッチ式変速機を用いる自動車に用いるに好適な自動車の制御装置および自動車の制御方法に関する。
自動車で多く使用されている手動変速機は、小型・軽量かつ高効率であるが、同期噛合い機構による変速動作を行う際に摩擦クラッチを解放するため、変速機出力軸のトルクが中断されるという欠点がある。
それに対して、現在広く採用されている流体式トルクコンバータを用いた自動変速機は、摩擦クラッチの架け替えにより変速を行うため、変速時のトルク中断を回避可能だが、発進時に流体式トルクコンバータを必要とするため、効率が悪く、また、トルクコンバータと遊星歯車の組合せにより構成されるため、小型・軽量化が困難である。
そこで、手動変速機を自動化し、かつトルク中断の防止が可能な構成としてツインクラッチ式変速機が開発されている。ツインクラッチ式変速機は、共通の1つの変速機出力軸で作動する2つの変速機入力軸を備え、2つの入力軸は互いに同軸に配置されている。一方の入力軸には偶数段のギアのための歯車が設けられており、他方の入力軸には奇数段のギアのための歯車が設けられている。2つの入力軸はそれぞれ、摩擦クラッチが付設され、2つの摩擦クラッチの一方を締結してエンジントルクを伝達し、他方を解放して走行するものである。
この構成により、変速機出力軸のトルクを中断せずに変速を行うことができ、良好な効率を有する自動変速機を構成することができる。しかし、この変速機においてはエンジンからのトルクを流体を介さずにダイレクトに出力軸に伝達するため、摩擦クラッチの架け替えにより変速を行う際に、クラッチの伝達トルクを制御することにより高精度な回転同期を実現し、出力軸に伝達されるトルクの変動を抑制する必要がある。
高精度の回転同期を実現する方法としては、伝達すべきトルクが一方のクラッチから他方のクラッチに連続的に遷移するまで、少なくとも一方のクラッチの回転数が滑り摩擦範囲内の同期回転数の近くの値に調節するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−89456号公報
ここで、特許文献1記載の方法を実現するためには、目標とする回転数と実際の回転数の偏差に応じてクラッチの伝達トルクを制御する回転数フィードバック制御が不可欠である。
しかしながら、前述の回転数フィードバック制御においては、変速パターンやエンジンの負荷状態によっては運転性の悪化を招くという問題があった。
また、一方のクラッチから他方のクラッチに切り替える際には、フィードバック操作量を連続的に遷移させる必要があるが、過去の経緯が反映される操作量(例えば、良く知られているPID制御の積分補正値)には一方のクラッチのばらつきによる補正分が含まれるため、他方のクラッチで回転数フィードバック制御を行う際に高精度の回転同期が実現できないおそれがあった。
本発明の第1の目的は、運転性の悪化を防止できる自動車の制御装置および自動車の制御方法を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、高精度の回転同期制御が可能な自動車の制御装置および自動車の制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、エンジン回転数と入力軸回転数の偏差に応じて目標回転数とエンジン回転数の偏差を制限する偏差制限手段を備えるようにしたものである。
かかる構成により、運転性の悪化を防止できるものとなる。
また、エンジン回転数と入力軸回転数の大小関係に応じてフィードバック操作量の符号を反転する符号反転手段を備えるようにしたものである。
かかる構成により、運転性の悪化を防止できるものとなる。
さらに、第1の摩擦クラッチから第2の摩擦クラッチへの切替により変速を行う際に、積分値をクリアする積分クリア手段を備えるようにしたものである。
かかる構成により、高精度の回転同期制御が可能になる。
本発明によれば、運転性の悪化を防止できるものとなる。
また、本発明によれば、高精度の回転同期制御が可能となる。
以下、図1〜図15を用いて、本発明の一実施形態による自動車の制御装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による自動車の制御装置を適用する自動車システムの構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による自動車の制御装置を適用する自動車システムの構成を示すシステム構成図である。
エンジン1では、吸気管8に設けられた電子制御スロットル7により吸入空気量が制御され、この空気量に見合う燃料量が燃料噴射装置(図示しない)から噴射される。電子制御スロットル7は、例えば、スロットルバルブ,駆動モータ,スロットルセンサなどからなる。また、空気量および燃料量から決定される空燃比、エンジン回転数などの信号から点火時期が決定され、点火装置(図示しない)により点火される。燃料噴射装置には燃料が吸気ポートに噴射される吸気ポート方式あるいはシリンダ内に直接噴射される筒内噴射方式があるが、エンジンに要求される運転域(エンジントルク、エンジン回転数で決定される領域)を比較して燃費が低減でき、かつ排気性能が良い方式のエンジンを選択することが望ましい。
次に、第1,第2の入力軸10a,10bと、出力軸20と、2つのクラッチ2a,2bを備えるツインクラッチ式変速機の構成について説明する。
第1の入力軸10aは、中空である第2の入力軸10bと同軸上に配置されている。エンジン1のクランク軸9と2つの入力軸10a,10bの間には、第1,第2クラッチ2a,2bが介装されている。クラッチ2a,2bは湿式多板クラッチであり、クラッチ2a,2bの油圧を制御することにより、クラッチ2a,2bの押付け力を調節することが可能である。クラッチ2aの押付け力を調節することにより、エンジン1のクランク軸9から第1の入力軸10aに伝達されるトルクを調節できる。同様に、クラッチ2bの押付け力を調節することにより、エンジン1のクランク軸9から第2の入力軸10bに伝達されるトルクを調節できる。また、クラッチ2a,2bの油圧を解放することにより、エンジン1のクランク軸9から入力軸10a,10bへの動力伝達を遮断することができる。クラッチ2a,2bに用いられている湿式多板クラッチは、通常の自動変速機(AT:Automatic Transmission)を搭載した車に一般的に利用されている。油圧制御ユニット300の中の油圧アクチュエータ310a,310bは、それぞれ電磁弁等を用いてクラッチ2a,2bの油圧を制御する。また、クラッチ2a,2bには乾式単板クラッチや電磁クラッチなど、伝達されるトルクを調節可能なクラッチならばいずれも適用可能である。さらに、アクチュエータ310a,310bとしては、図示しないモータと前記モータの回転運動を直線運動に変換するメカ機構から構成される電動アクチュエータを適用してもよい。
第1の入力軸10aには、ギア11,13が固定されており、出力軸20に対して回転自在に取り付けられたギア21、ギア23とそれぞれ噛合している。ギア11およびギア21から成る歯車列は1速相当の減速比となっており、ギア13およびギア23から成る歯車列は3速相当の減速比となっている。また、ギア15,17が第1の入力軸10aに対して回転自在に取り付けられており、ギア15は出力軸20に固定されたギア25と噛合しており、ギア15およびギア25から成る歯車列は5速相当の減速比となっている。さらにギア17はアイドラーシャフト40に固定されたギア47と噛合しており、ギア47は出力軸20に固定されたギア27に噛合している。ギア17およびギア47およびギア27から歯車列はR(リバース)相当の減速比となっている。
第2の入力軸10bには、ギア12,14が固定されており、出力軸20に対して回転自在に取り付けられたギア22、ギア24とそれぞれ噛合している。ギア12およびギア22から成る歯車列は2速相当の減速比となっており、ギア14およびギア24から成る歯車列は4速相当の減速比となっている。また、ギア16が第2の入力軸10bに対して回転自在に取り付けられており、ギア16は出力軸20に固定されたギア26と噛合しており、ギア16およびギア26から成る歯車列は6速相当の減速比となっている。
出力軸20は、図示しないファイナルギア等を介して駆動輪に接続されており、クラッチ2a,2bおよび入力軸10a,10bを介して出力軸20に伝達されたエンジン1のトルクを駆動輪に伝達することが可能である。
次に、スリーブ、同期装置から成る同期噛み合いクラッチについて説明する。
同期噛み合いクラッチは、通常のマニュアル変速機を搭載した車において一般的に用いられており、この同期装置によって第1の入力軸10aまたは第2の入力軸10bと出力軸20の回転同期が可能であり、変速操作を容易に行うことができる。
まず、スリーブ51,同期装置31及び同期装置33から成る同期噛み合いクラッチについて説明する。
出力軸20には、ギア21およびギア23と出力軸20を直結するスリーブ51が設けられており、ギア21およびギア23が出力軸20の軸方向に移動しないようストッパー(図示しない)が設けられている。スリーブ51の内側には、出力軸20の複数の溝(図示しない)と噛み合う溝(図示しない)が設けられており、スリーブ51は出力軸20の軸方向には移動可能になっているが、出力軸20の回転方向への移動は制限される。よって、スリーブ51のトルクは出力軸20に伝達される。
ギア21あるいはギア23のトルクを出力軸20に伝達するためには、スリーブ51を出力軸20の軸方向へ移動させ、ギア21あるいはギア23とスリーブ51とを直結する必要がある。
また、ギア21とスリーブ51の間には同期装置31が設けられており、スリーブ51を同期装置31に押付けることにより、ギア21と同期装置31との間に摩擦力が発生する。このとき、ギア21から同期装置31を介してスリーブ51へのトルク伝達が行われ、スリーブ51の回転数にギア21の回転数が同期される。回転数の同期が終了すると、スリーブ51は同期装置31をすり抜け、ギア21に直結する。
同様に、ギア23とスリーブ51の間には同期装置33が設けられており、スリーブ51を同期装置33に押付けることにより、ギア23と同期装置33との間に摩擦力が発生する。このとき、ギア23から同期装置33を介してスリーブ51へトルク伝達が行われ、スリーブ51の回転数にギア23の回転数が同期される。回転数の同期が終了すると、スリーブ51は同期装置33をすり抜け、ギア23に直結する。
油圧アクチュエータ301は、スリーブ51のアクチュエータであり、電磁弁等を用いてスリーブ51のストローク,押付け荷重を制御している。アクチュエータ301としては、図示しないモータと前記モータの回転運動を直線運動に変換するメカ機構から構成される電動アクチュエータを適用してもよい。
次に、スリーブ52および同期装置32、同期装置34から成る同期噛み合いクラッチについて説明する。
出力軸20には、ギア22およびギア24と出力軸20を直結するスリーブ52が設けられており、ギア22およびギア24が出力軸20の軸方向に移動しないようストッパー(図示しない)が設けられている。スリーブ52の内側には、出力軸20の複数の溝(図示しない)と噛み合う溝(図示しない)が設けられており、スリーブ52は出力軸20の軸方向には移動可能になっているが、出力軸20の回転方向への移動は制限される。よってスリーブ52のトルクは出力軸20に伝達される。
ギア22あるいはギア24のトルクを出力軸20に伝達するためには、スリーブ52を出力軸20の軸方向へ移動させ、ギア22あるいはギア24とスリーブ52とを直結する必要がある。
また、ギア22とスリーブ52の間には同期装置32が設けられており、スリーブ52を同期装置32に押付けることにより、ギア22と同期装置32との間に摩擦力が発生する。このとき、ギア22から同期装置32を介してスリーブ52へのトルク伝達が行われ、スリーブ52の回転数にギア22の回転数が同期される。回転数の同期が終了すると、スリーブ52は同期装置32をすり抜け、ギア22に直結する。
同様に、ギア24とスリーブ52の間には同期装置34が設けられており、スリーブ52を同期装置34に押付けることにより、ギア24と同期装置34との間に摩擦力が発生する。このとき、ギア24から同期装置34を介してスリーブ52へトルク伝達が行われ、スリーブ52の回転数にギア24の回転数が同期される。回転数の同期が終了すると、スリーブ52は同期装置34をすり抜け、ギア24に直結する。
油圧アクチュエータ302はスリーブ52のアクチュエータであり、電磁弁等を用いてスリーブ52のストローク,押付け荷重を制御している。アクチュエータ302としては、図示しないモータと前記モータの回転運動を直線運動に変換するメカ機構から構成される電動アクチュエータを適用してもよい。
次に、スリーブ53および同期装置35、同期装置37から成る同期噛み合いクラッチについて説明する。
第1の入力軸10aには、ギア15およびギア17と第1の入力軸10aを直結するスリーブ53が設けられており、ギア15およびギア17が第1の入力軸10aの軸方向に移動しないようストッパー(図示しない)が設けられている。スリーブ53の内側には、第1の入力軸10aの複数の溝(図示しない)と噛み合う溝(図示しない)が設けられており、スリーブ53は第1の入力軸10aの軸方向には移動可能になっているが、第1の入力軸10aの回転方向への移動は制限される。よって第1の入力軸10aのトルクはスリーブ53に伝達される。
第1の入力軸10aのトルクをギア15あるいはギア17に伝達するためには、スリーブ53を第1の入力軸10aの軸方向へ移動させ、ギア15あるいはギア17とスリーブ53とを直結する必要がある。
また、ギア15とスリーブ53の間には同期装置35が設けられており、スリーブ53を同期装置35に押付けることにより、ギア15と同期装置35との間に摩擦力が発生する。このとき、スリーブ53から同期装置35を介してギア15へのトルク伝達が行われ、ギア15の回転数にスリーブ53の回転数が同期される。回転数の同期が終了すると、スリーブ53は同期装置35をすり抜け、ギア15に直結する。
同様に、ギア17とスリーブ53の間には同期装置37が設けられており、スリーブ53を同期装置37に押付けることにより、ギア17と同期装置37との間に摩擦力が発生する。このとき、スリーブ53から同期装置37を介してギア17へトルク伝達が行われ、ギア17の回転数にスリーブ53の回転数が同期される。回転数の同期が終了すると、スリーブ53は同期装置37をすり抜け、ギア17に直結する。
油圧アクチュエータ303はスリーブ53のアクチュエータであり、電磁弁等を用いてスリーブ53のストローク,押付け荷重を制御している。アクチュエータ303としては、図示しないモータと前記モータの回転運動を直線運動に変換するメカ機構から構成される電動アクチュエータを適用してもよい。
次に、スリーブ54および同期装置36から成る同期噛み合いクラッチについて説明する。
第2の入力軸10bには、ギア16と第2の入力軸10bを直結するスリーブ54が設けられており、ギア16が第2の入力軸10bの軸方向に移動しないようストッパー(図示しない)が設けられている。スリーブ54の内側には、第2の入力軸10bの複数の溝(図示しない)と噛み合う溝(図示しない)が設けられており、スリーブ54は第2の入力軸10bの軸方向には移動可能になっているが、第2の入力軸10bの回転方向への移動は制限される。よって第2の入力軸10bのトルクはスリーブ54に伝達される。
第2の入力軸10bのトルクをギア16に伝達するためには、スリーブ54を第2の入力軸10bの軸方向へ移動させ、ギア16とスリーブ54とを直結する必要がある。
また、ギア16とスリーブ54の間には同期装置36が設けられており、スリーブ54を同期装置36に押付けることにより、ギア16と同期装置36との間に摩擦力が発生する。このとき、スリーブ54から同期装置36を介してギア16へのトルク伝達が行われ、ギア16の回転数にスリーブ54の回転数が同期される。回転数の同期が終了すると、スリーブ54は同期装置36をすり抜け、ギア16に直結する。
油圧アクチュエータ304はスリーブ54のアクチュエータであり、電磁弁等を用いてスリーブ54のストローク,押付け荷重を制御している。アクチュエータ304としては、図示しないモータと前記モータの回転運動を直線運動に変換するメカ機構から構成される電動アクチュエータを適用してもよい。
油圧制御ユニット300は、スリーブ51,52,53,54を制御する油圧アクチュエータ301,302,303,304、クラッチ2a,2bを制御する油圧アクチュエータ310a,310bから構成されており、これらの油圧アクチュエータはオイルポンプ6により発生した油圧によって駆動される。オイルポンプ6はエンジン1の動力の一部を利用して油圧を発生する機構を採用しており、エンジン1のクランク軸9に接続されたギア3はオイルポンプ6の回転軸5に固定されたギア4と噛合している。このような構成によりエンジン1によりオイルポンプ6を駆動することが可能となる。なお、上述のオイルポンプ6としては、モータによって駆動される電動ポンプ方式を適用してもよい。
変速機制御ユニット100は、油圧制御ユニット300に制御信号を出力し、変速機の各部を制御する。エンジン制御ユニット200は、エンジン1の各部を制御する。変速機制御ユニット100と、エンジン制御ユニット200とは、LAN400により接続され、相互に通信可能である。
以上説明したように、エンジン1のトルクが、第1のクラッチ2aと第1の入力軸10aから成る第1伝達系または第2のクラッチ2bと第2の入力軸10bから成る第2伝達系を介して出力軸20からタイヤに伝達され、前記第1の入力軸10aと出力軸20の間および前記第2の入力軸10bと前記出力軸20の間に設けられた複数の歯車列と複数の噛み合いクラッチとを有する変速機はデュアル・クラッチ・トランスミッション(Dual Clutch Transmission:以下、DCTと称する)と呼ばれており、燃費低減とドライバビリティを両立する次世代変速機として期待されている。また、この変速機は、ツインクラッチ・トランスミッションと称されることもある。
次に、図2を用いて、本実施形態による自動車の制御装置における入出力信号関係について説明する。
図2は、本発明の一実施形態による自動車の制御装置における入出力信号関係を示すブロック図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
図2は、変速機制御ユニット100と、エンジン制御ユニット200と、アクチュエータ制御ユニット300の間の入出力信号関係を示している。変速機制御ユニット100は、入力部100iと、出力部100oと、コンピュータ100cを備えたコントロールユニットとして構成される。エンジン制御ユニット200は、入力部200iと、出力部200oと、コンピュータ200cを備えたコントロールユニットとして構成される。また、アクチュエータ制御ユニット300は、スリーブ51,52,53,54のアクチュエータ301,302,303,304およびクラッチ2a,2bのアクチュエータ310a,310bから構成される。
変速機制御ユニット100からエンジン制御ユニット200に、通信手段であるLAN(Local Area Network)400を用いて目標エンジントルクTTEGが送信され、エンジン制御ユニット200は目標エンジントルクTTEGを実現するように、エンジン1の吸入空気量,燃料量,点火時期等(図示しない)を制御する。また、エンジン制御ユニット200内には、エンジントルクの検出手段(図示しない)が備えられ、エンジン制御ユニット200により検出されたエンジン回転数NE,および推定エンジントルクSTEGはLAN400を用いて変速機制御ユニット100に送信される。エンジントルクの検出手段としては、インジェクタの噴射パルス幅や吸気管内の圧力とエンジン回転数など、エンジンのパラメータに基づく推定手段や、クランク軸に設けられたトルクセンサなどを用いる。
アクチュエータ制御ユニット300は、変速機制御ユニット100から出力されるシフト1目標圧力TPSFT1,シフト2目標圧力TPSFT2,シフト3目標圧力TPSFT3,シフト4目標圧力TPSFT4を実現するように油圧アクチュエータ301,302,303,304を駆動してスリーブ51,52,53,54のストロークあるいは押付け荷重を制御する。また、アクチュエータ制御ユニット300は、変速機制御ユニット100から出力されたクラッチA目標圧力TPCA,クラッチB目標圧力TPCBを実現するように油圧アクチュエータ310a,310bを駆動してクラッチ2a,2bの油圧を制御する。一般に、アクチュエータ制御ユニット300は電磁弁またはモータの駆動回路として構成されるため、実際には変速機制御ユニット100から出力される上記目標圧力に相当する目標電流にしたがい制御される。
変速制御ユニット100には、図示しない回転センサから検出される第1の入力軸10aの回転数NIA,第2の入力軸10bの回転数NIBおよび出力軸20の回転数NOがそれぞれ入力される。また、Pレンジ,Rレンジ,Nレンジ,Dレンジ(自動変速モード),Sレンジ(手動変速モード)等のシフトレバー位置を示すレンジ位置信号PSRNGが入力され、Sレンジ(手動変速モード)において運転者の変速意図を検出するアップスイッチおよびダウンスイッチの信号UPSW、DNSWが入力される。
さらに、変速機制御ユニット100には、スリーブ51,52,53,54の位置RPSSLV1,RPSSLV2,RPSSLV3,RPSSLV4、およっびクラッチ2a,2bの実油圧RPCA,RPCBが入力される。変速機制御ユニット100は、上記のスリーブ位置から各スリーブの締結/解放,中立状態を識別し、また、上記のクラッチ実油圧から各クラッチの締結/解放状態を識別する。
また、変速機制御ユニット100は、運転者がシフトレンジをDレンジ(自動変速モード)にして走行中のときは、変速機制御ユニット100内に記憶された変速マップに応じて変速タイミングを決定する。この変速マップは、出力軸回転数NOから算出する車速VSPとアクセルペダル踏み込み量APSに基づいて設定される。また、運転者がシフトレンジをSレンジ(手動変速モード)にして走行中の場合には、アップスイッチが押されたときは運転者にシフトアップ(例えば、1速→2速)の意図があると判定し、ダウンスイッチが押されたときは運転者にシフトダウン(例えば、4速→3速)の意図があると判定する。変速機制御ユニット100は、これらの判定に応じた変速を実現するように、エンジントルク指令値TTEG,シフト1目標圧力TPSFT1,シフト2目標圧力TPSFT2,シフト3目標圧力TPSFT3,シフト4目標圧力TPSFT4,クラッチA目標圧力TPCA,クラッチB目標圧力TPCBを設定する。
次に、図3〜図5を用いて、本実施形態の自動車の制御装置による変速制御方法について説明する。
図3は、本発明の一実施形態の自動車の制御装置による変速制御方法の制御内容を示すフローチャートである。図4は、本発明の一実施形態の自動車の制御装置によるアップシフト時のタイムチャートである。図5は、本発明の一実施形態の自動車の制御装置によるダウンシフト時のタイムチャートである。
最初に、図3を用いて、本実施形態による変速制御の概要について説明する。
以下に示す変速制御の内容は、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cにプログラミングされ、あらかじめ定められた周期で繰り返し実行される。すなわち、以下のステップ301〜315の処理は、変速機制御ユニット100によって実行される。
ステップ301において、変速機制御ユニット100は、パラメータを読み込み、ステップ302において、変速開始か否かを判定する。シフトレンジが、Dレンジ(自動変速モード)や、Sレンジ(手動変速モード)のときは、変速開始と判定して、シフトレンジがDレンジ(自動変速モード)のときは変速機制御ユニット100内に記憶された変速マップに応じて変速段を設定し、シフトレンジがSレンジ(手動変速モード)のときはアップスイッチやダウンスイッチによって検出された運転者の変速意図に応じて変速段を設定する。
変速動作を開始すると、はじめにステップ303において、変速機制御ユニット100は、該当するギアに同期噛合いクラッチを締結するため、プリシフト制御を実行する。
そして、ステップ304において、プリシフト制御完了か否かを判定し、プリシフト制御完了の場合はステップ305に進み、未完了の場合は再度ステップ303に進みプリシフト制御を実行する。ステップ304の判定は1速から2速への変速の場合、スリーブ54が中立状態にあってスリーブ52がギア22に締結したか否かを判定するため、スリーブ54のストローク信号であるシフト4位置RPSSLV4が中立位置と判定できる位置にあって、スリーブ52のストローク信号であるシフト2位置RPSSLV2が2速締結位置と判定できる位置であるかを否かで判定する。
次に、ステップ305では、変速機制御ユニット100は、パワーオンダウンシフトであるか否かの判定を行う。ここで、パワーオン状態とはエンジン1のトルクが正となる状態を示している。パワーオン状態におけるダウンシフト(例えば、4速→3速)では、図5で後述するようにイナーシャフェーズを実行した後にトルクフェーズを実行する。それ以外の場合は図4で後述するようにトルクフェーズを実行した後にイナーシャフェーズを実行する。
ステップ305において、パワーオンダウンシフトであると判定された場合には、ステップ306に進み、変速機制御ユニット100は、エンジン回転数NEを変速後エンジン回転数NENXTに同期させる制御を行う(回転同期制御)。そして、ステップ307において、回転同期制御が完了したか否かの判定を行う。回転同期制御の完了条件は、エンジン回転数NEと変速後エンジン回転数NENXTの偏差が小さくなった場合(|NE−NENXT|≦ 所定値 )とする。
同期制御完了の場合は、ステップ308(クラッチ架け替え制御)に進み、変速機制御ユニット100は、クラッチ2a,2bの架け替え制御を実行する。同期制御が未完了の場合は、再度ステップ306へ進み、同期制御を継続する。そして、ステップ309において、クラッチ架け替え制御が完了か否かを判定する。架け替え制御の完了条件は、4速から3速への変速の場合、クラッチ2bの油圧が略ゼロとなっており、クラッチ2aの油圧が所定値以上であるか否かで判定する。架け替え制御完了時にはステップ314(変速終了制御)に進み、架け替え制御が未完了の場合には再度ステップ309へ進み、クラッチ架け替え制御を実行する。
次に、ステップ314において、変速機制御ユニット100は、変速終了処理を実行し、ステップ315において、変速終了か否かを判定する。ここで、変速終了制御の完了条件は、4速から3速への変速の場合、スリーブ52のストローク信号であるシフト2位置RPSSLV2が中立位置と判定できる位置にあって、クラッチ2aの油圧が所定値以上であるか否かで判定する。
なお、ステップ306の処理は、図5の時刻b〜時刻cの処理であり、ステップ308の処理は、図5の時刻c〜時刻eの処理であり、ステップ314の処理は、図5の時刻e〜時刻fの処理であり、それぞれ、図5を用いて具体的に後述する。
一方、ステップ305において、パワーオンダウンシフトで無いと判定された場合には、ステップ310(クラッチ架け替え制御)に進み、変速機制御ユニット100は、クラッチ2a,2bの架け替え制御を実行する。ステップ311では、クラッチ架け替え制御が完了か否かを判定する。架け替え制御の完了条件は、1速から2速への変速の場合、クラッチ2aの油圧が略ゼロとなっており、クラッチ2bの油圧が所定値以上であるか否かで判定する。
架け替え制御完了時にはステップ312(回転同期制御)に進み、変速機制御ユニット100は、エンジン回転数NEを変速後エンジン回転数NENXTに同期させる制御を行う(回転同期制御)。架け替え制御が未完了の場合には、再度ステップ311へ進み、クラッチ架け替え制御を継続する。
次に、ステップ313において、変速機制御ユニット100は、回転同期制御が完了したか否かの判定を行う。回転同期制御の完了条件は、入力エンジン回転数NEと変速後エンジン回転数NENXTの偏差が小さくなった場合(|NE−NENXT|≦ 所定値 )とする。同期制御完了の場合は、ステップ314(変速終了制御)に進み、同期制御が未完了の場合は、再度ステップ312へ進み、同期制御を継続する。
次に、ステップ314において、変速機制御ユニット100は、変速終了処理を実行し、ステップ315において、変速終了か否かを判定する。ここで、変速終了制御の完了条件は、1速から2速への変速の場合、スリーブ51のストローク信号であるシフト1位置RPSSLV1が中立位置と判定できる位置にあって、クラッチ2bの油圧が所定値以上であるか否かで判定する。
なお、ステップ310の処理は、図4の時刻b〜時刻dの処理であり、ステップ312の処理は、図4の時刻d〜時刻eの処理であり、ステップ314の処理は、図4の時刻e〜時刻fの処理であり、それぞれ、図5を用いて具体的に後述する。なお、ステップ303の処理は、図4若しくは図5の時刻a〜時刻bの処理である。
なお、変速の際にエンジン1のトルクを制御している場合は、変速終了制御にてエンジン1のトルクをアクセル開度相当のトルクまで復帰させるため、エンジン1の回転数、スロットル開度等に基づいてエンジン1のトルクがアクセル開度相当のトルクまで復帰しているか否かの条件が、変速終了制御の完了条件に追加される。
次に、図4を用いて、アップシフトの例として、1速から2速へ変速する場合の変速制御方法について説明する。図4の横軸は時間を示しており、縦軸はそれぞれ推定エンジントルクSTEG(図4(A)),シフト1位置RPSSLV1(図4(B)),シフト2位置RPSSLV2(図4(C)),シフト3位置RPSSLV3(図4(D)),シフト4位置RPSSLV4(図4(E)),エンジン回転数NE(図4(F))およびクラッチ2a,2bの伝達トルク(図4(G))を示している。図4(G)において、符号2aは、クラッチ2aの伝達トルクを示し、符号2bは、クラッチ2bの伝達トルクを示している。シフト1位置RPSSLV1はスリーブ51のストロークであり、1速側を正、3速側を負としている。同様に、シフト2位置RPSSLV2はスリーブ52のストロークであり、2速側を正、4速側を負としている。さらに、シフト3位置RPSSLV3はスリーブ53のストロークであり、5速側を正、R側(リバース側)を負としている。また、シフト4位置RPSSLV4はスリーブ54のストロークであり、6速側を正としている。
いま、1速で走行中に図の時刻aで2速への変速指令が出力されると、変速制御が開始される。変速制御が開始されると、変速機制御ユニット100からアクチュエータ302の駆動指令が出力され、図4(C)に示すように、スリーブ52は2速方向への移動を開始する(プリシフト制御:図3のステップ303)。
その後、図の時刻bでスリーブ52がギア22に締結すると、変速機制御ユニット100からアクチュエータ310a,310bの駆動指令が出力され、クラッチ2aからクラッチ2bへの架け替え制御が行われる(トルクフェーズ)。このクラッチ架け替え制御は、図4(G)に示すように、クラッチ2bの伝達トルクを推定エンジントルクSTEG相当まで徐々に増加させ、クラッチ2aの伝達トルクを徐々にゼロまで低下させて行われ、クラッチ2aの伝達トルクが略ゼロとなる時刻dでクラッチ架け替え制御は終了となる。時刻b〜時刻dまでが、図3のステップ310の処理である。なお、上述のクラッチ架け替え制御においては、油圧系やクラッチ摩擦係数のばらつき等を考慮し、クラッチ2a,2bの伝達トルクをそれぞれ独立に設定可能にしておくことが望ましい。
時刻dにおいて、クラッチ2aからクラッチ2bへの架け替えが完了した後は、クラッチ2bによりエンジン回転数NEを変速後エンジン回転数NENXTまで同期させる制御を行う(イナーシャフェーズ)。ここで、図4(F)の変速前エンジン回転数NEPREは以下の式(1)により演算され、変速後エンジン回転数NENXTは式(2)により演算される。

NEPRE=出力軸回転数NO×1速ギア比 …(1)

NENXT=出力軸回転数NO×2速ギア比 …(2)

エンジン回転を低下させるために必要なイナーシャトルクBTICLは、変速前エンジン回転数NEPREと変速後エンジン回転数NENXTの差分ΔNと目標とする同期時間Δt,エンジン1の慣性質量Ieから、式(3)により演算される。

BTICL=ΔN/Δt×Ie …(3)

イナーシャフェーズにおいては、推定エンジントルクSTEGにイナーシャトルクBTICLを加算した値までクラッチ2bの伝達トルクを増加させて、図4(F)に示すように、エンジン回転数NEを変速後エンジン回転数NENXTに同期させる。ここで、エンジン1のトルクが略一定の場合には、イナーシャトルクBTICLの加算分により変速中のトルクショックが発生する。したがって、図4(A)に点線で示すように、エンジン1のトルクを低下させて、図4(G)に点線で示すように、クラッチ2bの伝達トルクがフラットになるような制御を実施することが望ましい。時刻d〜時刻eまでが、図3のステップ312の処理である。
時刻eで、エンジン回転数NEが変速後エンジン回転数NENXTに同期した後は、図4(B)に示すように、スリーブ51を中立側に移動させる制御を行う(変速終了制御:図3のステップ314)。また、クラッチ2bの締結を保持するためにクラッチ2bの油圧を所定値まで上昇させる締結制御を行う。その後、スリーブ51の移動が完了し、シフト1位置RPSSLV1が略ゼロ(中立)となる時刻fで変速制御は終了となる。
次に、図5を用いて、ダウンシフトの例として、4速から3速へ変速する場合の変速制御方法について説明する。図5の横軸は時間を示しており、縦軸はそれぞれ推定エンジントルクSTEG(図5(A)),シフト1位置RPSSLV1(図5(B)),シフト2位置RPSSLV2(図5(C)),シフト3位置RPSSLV3(図5(D)),シフト4位置RPSSLV4(図5(E)),エンジン回転数NE(図5(F))およびクラッチ2a,2bの伝達トルク(図5(G))を示している。図5(G)において、符号2aは、クラッチ2aの伝達トルクを示し、符号2bは、クラッチ2bの伝達トルクを示している。シフト1位置RPSSLV1はスリーブ51のストロークであり、1速側を正、3速側を負としている。同様に、シフト2位置RPSSLV2はスリーブ52のストロークであり、2速側を正、4速側を負としている。さらに、シフト3位置RPSSLV3はスリーブ53のストロークであり、5速側を正、R側(リバース側)を負としている。また、シフト4位置RPSSLV4はスリーブ54のストロークであり、6速側を正としている。
いま、4速で走行中に、時刻aで3速への変速指令が出力されると、変速制御が開始される。変速制御が開始されると、変速機制御ユニット100からアクチュエータ301の駆動指令が出力され、図5(B)に示すように、スリーブ51は3速方向への移動を開始する(プリシフト制御:図3のステップ303)。
その後、時刻bでスリーブ51がギア23に締結すると、クラッチ2bによりエンジン回転数NEを変速後エンジン回転数NENXTまで同期させる制御を行う(イナーシャフェーズ)。ここで、図5(F)の変速前エンジン回転数NEPREは以下の式(4)により演算され、一点鎖線で示す変速後エンジン回転数NENXTは式(5)により演算される。

NEPRE=出力軸回転数NO×4速ギア比 …(4)

NENXT=出力軸回転数NO×3速ギア比 …(5)

エンジン回転を上昇させるために必要なイナーシャトルクBTICLは、変速前エンジン回転数NEPREと変速後エンジン回転数NENXTの差分ΔNと目標とする同期時間Δt,エンジン1の慣性質量Ieから式(6)により演算される。

BTICL=ΔN/Δt×Ie …(6)

イナーシャフェーズにおいては、図5(G)に示すように、推定エンジントルクSTEGからイナーシャトルクBTICLを減算した値までクラッチ2bの伝達トルクを低下させて、エンジン回転数NEを変速後エンジン回転数NENXTに同期させる。ここで、エンジン1のトルクが略一定の場合には、イナーシャトルクBTICLの減算分により変速中のトルクショックが発生する。したがって、図5(A)に点線で示すように、エンジン1のトルクを上昇させて、図5(G)に点線で示すように、クラッチ2bの伝達トルクがフラットになるような制御を実施することが望ましい。時刻b〜時刻cまでが、図3のステップ306の処理である。
時刻cでエンジン回転数NEが変速後エンジン回転数NENXTに同期した後は、クラッチ2bからクラッチ2aへの架け替え制御が行われる(トルクフェーズ)。このクラッチ架け替え制御は、図5(G)に示すように、クラッチ2aの伝達トルクを推定エンジントルクSTEG相当まで速やかに増加させ、クラッチ2bの伝達トルクを徐々にゼロまで低下させて行われる。なお、上述のクラッチ架け替え制御においては、油圧系やクラッチ摩擦係数のばらつき等を考慮し、クラッチ2a,2bの伝達トルクをそれぞれ独立に設定可能としておくことが望ましい。その後、クラッチ2bの伝達トルクが略ゼロとなる時刻eでクラッチ架け替え制御は終了となる。時刻c〜時刻eまでが、図3のステップ308の処理である。
時刻eで、クラッチ架け替え制御が終了した後は、スリーブ52を中立側に移動させる制御を行う(変速終了制御:図3のステップ314)。また、クラッチ2aの締結を保持するためにクラッチ2aの油圧を所定値まで上昇させる締結制御を行う。その後、スリーブ52の移動が完了し、シフト2位置RPSSLV2が略ゼロ(中立)となる時刻fで変速制御は終了となる。
次に、図6及び図7を用いて、本実施形態の自動車の制御装置による発進制御方法について説明する。
図6は、本発明の一実施形態の自動車の制御装置による発進制御方法の制御内容を示すフローチャートである。図7は、本発明の一実施形態の自動車の制御装置による発進制御時のタイムチャートである。
最初に、図6を用いて、本実施形態による発進制御の概要について説明する。以下に示す発進制御の内容は、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cにプログラミングされ、あらかじめ定められた周期で繰り返し実行される。すなわち、以下のステップ601〜606の処理は、変速機制御ユニット100によって実行される。
ステップ601において、変速機制御ユニット100は、パラメータを読み込み、ステップ602において、発進制御を開始するか否かを判定する。
所定の車速領域(おもに低車速)でDレンジ(自動変速モード)またはSレンジ(手動変速モード)であり、所定のギアが締結状態であって運転者がブレーキオフである場合には、発進制御開始と判定して、ステップ603に進み、変速機制御ユニット100は、エンジン回転数NEを変速後エンジン回転数NENXTに同期させる制御を行う(回転同期制御)。そして、ステップ604において、回転同期制御が完了したか否かの判定を行う。回転同期制御の完了条件はエンジン回転数NEと変速後エンジン回転数NENXTの偏差が小さくなった場合(|NE−NENXT|≦ 所定値 )とする。
同期制御完了の場合は、ステップ605(発進終了制御)に進み、変速機制御ユニット100は、クラッチ2aの油圧を所定値まで増加させる制御を実行する。そして、ステップ606において、クラッチ2aの油圧が所定値以上か否かの判定を行い、クラッチ2aの油圧が所定値以上となると発進制御は終了となる。
ここで、図7を用いて、発進制御の具体例について説明する。ここでは、運転者がシフトレバーをNレンジからDレンジに切り替え、クリープ(アクセルOFFでの発進)から踏み込み発進を行った場合の発進制御方法について説明する。
図7の横軸は時間を示しており、縦軸はそれぞれ推定エンジントルクSTEG(図7(A)),シフト1位置RPSSLV1(図7(B),シフト2位置RPSSLV2(図7(C)),シフト3位置RPSSLV3(図7(D)),シフト4位置RPSSLV4(図7(E)),エンジン回転数NE(図7(F))およびクラッチ2a,2bの伝達トルク(図7(G))を示している。図7(G)において、符号2aは、クラッチ2aの伝達トルクを示し、符号2bは、クラッチ2bの伝達トルクを示している。シフト1位置RPSSLV1はスリーブ51のストロークであり、1速側を正、3速側を負としている。同様に、シフト2位置RPSSLV2はスリーブ52のストロークであり、2速側を正、4速側を負としている。さらに、シフト3位置RPSSLV3はスリーブ53のストロークであり、5速側を正、R側(リバース側)を負としている。また、シフト4位置RPSSLV4はスリーブ54のストロークであり、6速側を正としている。
いま、Nレンジにて停車中に、時刻aでDレンジが選択されると、変速機制御ユニット100からアクチュエータ301の駆動指令が出力され、図7(B)に示すように、スリーブ51は1速方向への移動を開始する(レンジセレクト制御)。
そして、時刻bでスリーブ51がギア21に締結されると、運転者がアクセルペダルの踏み込みを開始する時刻cまで、図7(G)に示すように、クラッチ伝達トルクを発生させ、クリープ相当の発進制御を行う。発進制御においては、運転者のフィーリングに合致するようなエンジン回転数を実現するため、所定の目標回転数を設定して回転数フィードバック制御等の手法を用いてエンジン回転数NEを目標回転数に追従させる制御を行う(回転同期制御)。ここで、図7(F)に一点鎖線で示す変速後エンジン回転数NENXTは、式(7)により演算される。なお、クリープ時にはエンジン回転数NEの変動を低減するため、クラッチ2aの伝達トルクは、図7(G)に示すように、アイドルトルク相当付近とすることが望ましい。
NENXT=出力軸回転数NO×1速ギア比 …(7)

時刻cで運転者がアクセルペダルを踏み込むと、図7(A)に示す推定エンジントルクSTEGの増加にともない、図7(G)に示すように、クラッチ2aの伝達トルクを徐々に増加させる。なお、アクセルペダル踏み込み時にはエンジン回転数NEを上昇させるため、図7(G)に示すように、クラッチ2aの伝達トルクは推定エンジントルクSTEGよりも小さな値となるように設定することが望ましい。
その後、所定のアクセルペダル開度となる時刻dを経由した後、時刻eで、図7(F)に示すように、エンジン回転数NEが変速後エンジン回転数NENXTに同期すると、回転同期制御は終了となる。
時刻eで回転同期制御が終了した後は、クラッチ2aの締結を保持するためにクラッチ2aの油圧を所定値まで上昇させる制御を行う(発進終了制御)。その後、クラッチ2aの油圧が所定値となる時刻fで発進制御は終了となる。
次に、図8〜図15を用いて、本実施形態の自動車の制御装置による回転数フィードバック制御の内容について説明する。
図8は、本発明の一実施形態の自動車の制御装置の中の回転数フィードバック制御部のブロック図である。図9及び図10は、本発明の一実施形態の自動車の制御装置の中の回転数フィードバック制御部の制御内容を示すフローチャートである。図11〜図15は、本発明の一実施形態の自動車の制御装置の中の回転数フィードバック制御時のタイムチャートである。
最初に、図8を用いて、本発明の自動車の制御装置の中の回転数フィードバック制御部の概要について説明する。
回転数フィードバック制御手段800は、目標回転数設定手段801により演算された目標エンジン回転数TNEと、エンジン回転数NEとの偏差ENE’に応じて、クラッチ目標フィードバックトルクTTCFBを演算する。回転数フィードバック制御手段800及び目標回転数設定手段801は、変速機制御ユニット100に備えられ、その制御内容は、変速機制御ユニット100のコンピュータ100cにプログラミングされ、あらかじめ定められた周期で繰り返し実行される。
目標回転数設定手段801は、アクセルペダル開度等の運転条件や出力軸回転数NO等の車両状態を示すパラメータに応じて発進/変速モードまたは定常走行モードといった制御モード毎に目標エンジン回転数TNEを演算する。
回転数フィードバック制御手段800は、偏差制限手段802と、符号反転手段803と、積分クリア手段804とを有している。
偏差制限手段802は、目標エンジン回転数TNEとエンジン回転数NEの偏差ENE’を制限するリミッタ処理を実行して、偏差ENEを出力する。偏差制限手段802の詳細については、図9を用いて後述する。
回転数フィードバック制御手段800は、偏差ENEに比例ゲインPを乗じて比例補正値DENEPを演算し、偏差ENEの積分値ENEIに積分ゲインIを乗じて積分補正値DENEIを演算する。ただし、積分値ENEIは、積分クリア手段804により所定の条件でクリア処理が行われる。図3においては、時刻bから時刻dの間で積分値ENEIをクリアすることにより、時刻dから時刻eで示すイナーシャフェーズにおいて、クラッチ2aのばらつき分の影響を受けることなくクラッチ2bにより高精度に回転同期を行うことが可能となる。すなわち、クリア処理を行わない場合には、積分値にクラッチ2aの固有のばらつきがあるので、この積分値をクラッチ2bに引き継ぐと、回転数制御の精度が悪化する。
このとき、積分値ENEIのクリアによるトルクの急変を防止するため、図4や図5の時刻b(クラッチ2bの締結動作開始時)または時刻c’(クラッチ2aの解放動作開始時)を起点として徐々にゼロまで低下させることが望ましい。これは、積分値ENEIを0クリアすることで、駆動トルクに段付きが発生し、運転性が悪化する場合があり、このような運転性の悪化を、積分値ENEIを徐々に0までクリアすることで回避することができる。
また、図5においては時刻cから時刻dの間で積分値ENEIをクリアすることにより、時刻e以降において、クラッチ2bのばらつき分の影響を受けることなく高精度に回転同期を行うことが可能となる。このとき、積分値ENEIのクリアによるトルクの急変を防止するため、時刻c(クラッチ2aの締結動作開始時)または時刻c’(クラッチ2bの解放動作開始時)を起点として徐々にゼロまで低下させることが望ましい。ここで、図8に示す積分クリア手段804が、「0」を選択した場合には、積分値ENEIはゼロクリアされるので、積分値ENEIを徐々にゼロにするには、積分クリア手段804が、「0」に代えて、例えば、「−1」のような負の値を選択するようにすることで可能である。
さらに、回転数フィードバック制御手段800は、偏差ENEの微分値に微分ゲインDを乗じて微分補正値DENEDを演算し、比例補正値DENEP,積分補正値DENEI,微分補正値DENEDの総和に回転数−トルク変換係数Kを乗じてフィードバック補正値DENEFBを演算する。フィードバック補正値DENEFBは、符号反転手段803により所定の条件で符号の反転処理が行われ、回転数フィードバック制御手段800は反転処理後の値をクラッチ目標フィードバックトルクTTCFBとして出力する。なお、符号反転手段803の詳細については、図10を用いて後述する。
次に、図9を用いて、図8に示した偏差制限手段802の動作について説明する。図9は、本実施形態の自動車の制御装置の中の偏差制限手段の処理内容を示すフローチャートである。
ステップ901において、偏差制限手段802は、パラメータを読み込み、ステップ902において、エンジン回転数NEと変速後エンジン回転数NENXTの偏差から下記に示す関数fにより偏差下限値ENEMNを演算する。また、ステップ902において、下記に示す関数gにより偏差上限値ENEMXを演算する。関数f,gの設定方法の一例を、以下の(表1)に示す。
Figure 2007239832
関数f,関数fとも、エンジン回転数NEと変速後エンジン回転数NENXTの偏差,すなわち、エンジン回転数NEと入力軸回転数の偏差に応じて、目標回転数とエンジン回転数の偏差を制限するために用いる偏差下限値ENEMN及び偏差上限値ENEMXを求める。
次に、ステップ903において、偏差制限手段802は、パワーオンダウンシフトまたは定常走行モードであるか否かの判定を行う。ここで、定常走行モードとは、発進/変速の状態とは異なる状態であり、摩擦クラッチ2aあるいは摩擦クラッチ2bを締結状態に保持してエンジン1のトルクを出力軸20に伝達して走行するモードである。ステップ903において、パワーオンダウンシフトまたは定常走行モードであると判定された場合にはステップ905に進み、偏差ENEのリミッタ処理は行わずに処理を終了する。
ステップ903において、パワーオンダウンシフトでもなく、定常走行モードでもないと判定された場合にはステップ904に進み、発進モードか否かの判定を行う。
ステップ904において発進モードであると判定された場合にはステップ907に進み、偏差ENE’を偏差上限値ENEMXで上限制限して処理を終了する。上限制限処理では、偏差ENE’が偏差上限値ENEMXよりも大きい時には、偏差制限手段802が出力する偏差ENEを偏差上限値ENEMXに制限する(偏差ENE=偏差上限値ENEMX)。それ以外の時は、偏差制限手段802が出力する偏差ENEを偏差ENE’とする(偏差ENE=偏差ENE’)。
ステップ904において発進モードでないと判定された場合,例えば、アップシフト時や、パワーオフダウンシフト時にはステップ906に進み、偏差ENEを偏差下限値ENEMNで下限制限して処理を終了する。下限制限処理では、偏差ENE’が偏差下限値ENEMNよりも小さい時には、偏差制限手段802が出力する偏差ENEを偏差下限値ENEMNに制限する(偏差ENE=偏差下限値ENEMN)。それ以外の時は、偏差制限手段802が出力する偏差ENEを偏差ENE’とする(偏差ENE=偏差ENE’)。
次に、図10を用いて、図8に示した符号反転手段803について説明する。図10は、本実施形態の自動車の制御装置の中の符号反転手段の処理内容を示すフローチャートである。
ステップ1001において、符号反転手段803は、パラメータを読み込み、ステップ1002において、パワーオンダウンシフトであるか否かの判定を行う。
ステップ1002においてパワーオンダウンシフトであると判定された場合には、ステップ1005に進み、フィードバック補正値DENEFBに(−1)を乗じてクラッチ目標フィードバックトルクTTCFBを演算する。すなわち、符号を反転する。
ステップ1002において、パワーオンダウンシフトでないと判定された場合にはステップ1003に進み、エンジン回転数NEが変速後エンジン回転数NENXT以上であるか否かの判定を行う。ステップ1003において、エンジン回転数NEが変速後エンジン回転数NENXT以上であると判定された場合には、ステップ1005に進み、フィードバック補正値DENEFBに(−1)を乗じてクラッチ目標フィードバックトルクTTCFBを演算する。すなわち、符号を反転する。
ステップ1003において、エンジン回転数NEが変速後エンジン回転数NENXT未満であると判定された場合,すなわち、パワーオフダウンシフトで、かつ、エンジン回転数NEが変速後エンジン回転数NENXT未満であるの時には、ステップ1004に進み、フィードバック補正値DENEFBに(+1)を乗じてクラッチ目標フィードバックトルクTTCFBを演算する。すなわち、符号は反転しないものとする。
次に、図11〜図15を用いて、本実施形態の自動車の制御装置の偏差制限手段802および符号反転手段804を用いた場合の制御について、従来の場合と比較して説明する。なお、図11〜図15において、実線は本実施形態の偏差制限手段802および符号反転手段804を用いた場合の制御動作を示し、太い点線は従来の場合の制御動作を示している。
最初に、図11を用いて、定常走行モードにおける回転数フィードバック制御の状態について説明する。図11の横軸は時間を示しており、縦軸はエンジン回転数NE(図11(A)),偏差ENE(図11(B))およびクラッチ目標フィードバックトルクTTCFB(図11(C))を示している。なお、フィードバックトルクTTCFBに関しては簡単のため比例分のトルクのみを記載している。
図11は、発進/変速等の制御が終了してクラッチ2aが締結状態にあり、1速ギア(ギア11,ギア21)で走行している場合を想定している。このとき、変速後エンジン回転数NENXT(出力軸回転数NO×1速ギア比)は入力軸10aの回転数と等しくなっており、目標エンジン回転数TNEはクラッチ2aの締結状態を保持するため、変速後エンジン回転数NENXTとすることが望ましい。
ここで、運転者が急激にアクセルペダルを踏み込み、エンジン1のトルクがクラッチ2aの伝達トルクよりも大きくなった場合には、図の状態Aで示すように、図11(A)に示す目標エンジン回転数TNEよりもエンジン回転数NEが上昇して、図11(B)に示すように、偏差ENEが生じる。
また、周囲の環境変化やクラッチ2aの機差ばらつき等が発生した場合には、クラッチ2aのフィードフォワード分のトルクに誤差が発生するため、図の状態Bで示すように、図11(A)に示す目標エンジン回転数TNEよりもエンジン回転数NEが低下して、図11(B)に示すように、偏差ENEが生じる。このように、定常走行モードにおいても発進/変速と同様に回転数偏差が生じるため、クラッチによる回転数フィードバック制御を行う必要がある。
(表2)は、定常走行モードにおける偏差制限手段802,符号反転手段803の処理内容を示している。図11に示した状態A,Bは、エンジン回転数NEと変速後エンジン回転数NENXTおよび目標エンジン回転数TNEの大小関係から判別可能である。なお、エンジン回転数NEと変速後エンジン回転数NENXTの大小関係とは、すなわち、エンジン回転数NEと入力軸回転数の大小関係でもある。
Figure 2007239832
状態Aにおいて、偏差制限手段802により偏差リミッタは無効化設定され、符号反転手段803によりフィードバック補正値DENEFBに(−1)を乗じた値がフィードバックトルクTTCFBとして演算される。このとき、元の偏差TNE−NEの符号は負となっているため、図11(C)に示すように、フィードバックトルクTTCFBは正となりクラッチは締結方向に作用し、図11(A)に実線で示す上昇したエンジン回転数NEを、一点鎖線で示すように、低下させることが可能となる。
また、状態Bにおいて、偏差制限手段802により偏差リミッタは無効化設定され、符号反転手段803によりフィードバック補正値DENEFBに(+1)を乗じた値がフィードバックトルクTTCFBとして演算される。このとき、元の偏差TNE−NEの符号は正となっているため、フィードバックトルクTTCFBは正となりクラッチは締結方向に作用し、図11(A)に実線で示す低下したエンジン回転数NEを、一点鎖線で示すように、上昇させることが可能となる。
それに対して、従来のフィードバック制御では、図中に太い点線で示すように、状態Bにおいてフィードバック補正値DENEFBに(−1)を乗じた値をフィードバックトルクTTCFBとするため、パワーオフ状態(エンジン1のトルクが負となる状態)のときにフィードバックトルクTTCFBが解放方向に作用し、図11の点線で示すように、目標エンジン回転数TNEとエンジン回転数NEの偏差が収束しない。したがって、状態Bにおいては、表2に示すような符号反転手段803の処理を行うことが望ましい。
次に、図12を用いて、発進モードにおける回転数フィードバック制御の状態について説明する。図12の横軸は時間を示しており、縦軸はエンジン回転数NE(図12(A)),偏差ENE(図12(B))およびクラッチ目標フィードバックトルクTTCFB(図12(C))を示している。なお、フィードバックトルクTTCFBに関しては簡単のため比例分のトルクのみを記載している。
図12では、時刻aで発進制御が開始され、1速ギア(ギア11,ギア21)で走行する場合を想定している。このとき、変速後エンジン回転数NENXT(出力軸回転数NO×1速ギア比)は入力軸10aの回転数と等しくなっており、目標エンジン回転数TNEは、発進開始時のエンジン回転数NEから所定時間経過後の変速後エンジン回転数NENXTまで直線的に漸近するように設定されている。
ここで、運転者が急激にアクセルペダルを踏み込み、エンジン1のトルクがクラッチ2aの伝達トルクよりも大きくなった場合には、図の状態Aで示すように、図12(A)に示す目標エンジン回転数TNEよりもエンジン回転数NEが上昇して、図12(B)に示すように、偏差ENEが生じる。
また、周囲の環境変化やクラッチ2aの機差ばらつき等が発生した場合には、クラッチ2aのフィードフォワード分のトルクに誤差が発生するため、図の状態Bで示すように、図12(A)に示す目標エンジン回転数TNEよりもエンジン回転数NEが低下して、図12(B)に示すように、偏差ENEが生じる。
さらに、ABS作動時などの急減速時にクラッチ2aを解放した場合には、入力軸10aの回転数低下の影響により、急減速直後の発進の際に、図の状態Cで示すように、図12(A)に示す変速後エンジン回転数NENXTよりもエンジン回転数NEが低下する。
(表3)は、発進モードにおける偏差制限手段802,符号反転手段803の処理内容を示している。図12に示した状態A〜Cは、エンジン回転数NEと変速後エンジン回転数NENXTおよび目標エンジン回転数TNEの大小関係から判別可能である。
Figure 2007239832
状態Aにおいて、偏差制限手段802により偏差ENEが上限制限されるが、関数gによりENEMX=NE−NENXT>ENEとなっているため上限制限は無効化設定され、符号反転手段803によりフィードバック補正値DENEFBに(−1)を乗じた値が、図12(C)に示すフィードバックトルクTTCFBとして演算される。このとき、元の偏差TNE−NEの符号は負となっているため、フィードバックトルクTTCFBは正となりクラッチは締結方向に作用し、図12(A)に示す上昇したエンジン回転数NEを、破線で示すように低下させることが可能となる。
また、状態Bにおいて、偏差制限手段802により偏差ENEが上限制限されるが、関数gによりENEMX=NE−NENXT>ENEとなっているため上限制限は無効化設定され、符号反転手段803によりフィードバック補正値DENEFBに(−1)を乗じた値が、図12(C)に示すフィードバックトルクTTCFBとして演算される。このとき、元の偏差TNE−NEの符号は正となっているため、フィードバックトルクTTCFBは負となりクラッチは解放方向に作用し、図12(A)に示す低下したエンジン回転数NEを上昇させることが可能となる。
さらに、状態Cにおいては、符号反転手段803によりフィードバック補正値DENEFBに(+1)を乗じた値が、図12(C)に示すフィードバックトルクTTCFBとして演算される。このとき、元の偏差TNE−NEの符号は正となっているため、フィードバックトルクTTCFBは正となりクラッチを締結方向に作用させることになるが、パワーオフ状態の場合にはクラッチの急締結が発生して運転性が悪化することが懸念される。また、クラッチを解放方向に作用させた場合には、図の点線で示すように目標エンジン回転数TNEとエンジン回転数NEの偏差が増加するといった問題がある。
本実施形態では、偏差制限手段802により状態A,Bでは偏差上限値ENEMXがNE−NENXTに設定され、NE<NENXTとなる状態Cでは偏差上限値ENEMXが0に設定される。したがって、偏差ENEが0となって、比例補正値DENEPおよび微分補正値DENEDがマスクされる。このとき、積分補正値DENEIは一定の値に保持されるため、状態Cにおいてクラッチの急締結と偏差の増加をバランス良く抑えることが可能となる。
次に、図13を用いて、アップシフトにおける回転数フィードバック制御の状態について説明する。図13の横軸は時間を示しており、縦軸はエンジン回転数NE(図13(A)),偏差ENE(図13(B))およびクラッチ目標フィードバックトルクTTCFB(図13(C))を示している。なお、フィードバックトルクTTCFBに関しては簡単のため比例分のトルクのみを記載している。
図13では、図4に示すように、クラッチ2aからクラッチ2bにトルクの架け替えを行った後、図13の時刻aからイナーシャフェーズが開始される場合を想定している。このとき、変速後エンジン回転数NENXT(出力軸回転数NO×2速ギア比)は入力軸10bの回転数と等しくなっており、目標エンジン回転数TNEは、イナーシャフェーズ開始時のエンジン回転数NEから所定時間経過後の変速後エンジン回転数NENXTまで直線的に漸近するように設定されている。
ここで、クラッチ2bの応答遅れにより、図13(A)に実線で示すように、エンジン回転数NEの低下が遅れた場合には、図の状態Aで示すように目標エンジン回転数TNEへの追従が遅れるため、図13(B)に示すように、偏差ENEが生じる。
また、周囲の環境変化やクラッチ2bの機差ばらつき等が発生した場合には、クラッチ2bのフィードフォワード分のトルクに誤差が発生してクラッチ2bのトルクが大きくなってしまう場合には、図の状態Bで示すように目標エンジン回転数TNEよりもエンジン回転数NEが低下して、図13(B)に示すように、偏差ENEが生じる。
さらに、クラッチ2bのフィードフォワード分のトルク誤差が過度に発生してクラッチ2bのトルクが過度に大きくなってしまう場合には、図の状態Cで示すように変速後エンジン回転数NENXTよりもエンジン回転数NEが低下する。
(表4)は、アップシフトにおける偏差制限手段802,符号反転手段803の処理内容を示している。図13に示した状態A〜Cは、エンジン回転数NEと変速後エンジン回転数NENXTおよび目標エンジン回転数TNEの大小関係から判別可能である。
Figure 2007239832
状態Aにおいて、偏差制限手段802により偏差ENEが下限制限されるが、関数fによりENEMN=NENXT−NE<ENEとなっているため下限制限は無効化設定され、符号反転手段803によりフィードバック補正値DENEFBに(−1)を乗じた値がフィードバックトルクTTCFBとして演算される。このとき、元の偏差TNE−NEの符号は負となっているため、図13(C)に示すように、フィードバックトルクTTCFBは正となりクラッチは締結方向に作用し、図13(A)に破線で示すようにエンジン回転数NEを低下させて目標エンジン回転数TNEに追従させることが可能となる。
また、状態Bにおいて、偏差制限手段802により偏差ENEが下限制限されるが、元の偏差TNE−NEが正となっているため下限制限は無効化設定され、符号反転手段803によりフィードバック補正値DENEFBに(−1)を乗じた値がフィードバックトルクTTCFBとして演算される。このとき、元の偏差TNE−NEの符号は正となっているため、フィードバックトルクTTCFBは負となりクラッチは解放方向に作用し、図13(A)に破線で示すように低下したエンジン回転数NEを上昇させることが可能となる。
さらに、状態Cにおいては、偏差制限手段802により偏差ENEが下限制限されるが、偏差TNE−NEが正となっているため下限制限は無効化設定され、符号反転手段803によりフィードバック補正値DENEFBに(+1)を乗じた値がフィードバックトルクTTCFBとして演算される。このとき、フィードバックトルクTTCFBは正となりクラッチを締結方向に作用させることになるが、パワーオフ状態の場合にはクラッチの急締結が発生して運転性が悪化することが懸念される。また、クラッチを解放方向に作用させた場合には、図の点線で示すように目標エンジン回転数TNEとエンジン回転数NEの偏差が増加するといった問題がある。
そこで、本実施形態では、アップシフトにおいて確実に変速を終了させる方針とし、図12で説明した発進モードのような上限制限は行わずにクラッチを締結方向に作用させる。
次に、図14を用いて、パワーオンダウンシフトにおける回転数フィードバック制御について説明する。図14の横軸は時間を示しており、縦軸はエンジン回転数NE(図14(A)),偏差ENE(図14(BA))およびクラッチ目標フィードバックトルクTTCFB(図14(C))を示している。なお、フィードバックトルクTTCFBに関しては簡単のため比例分のトルクのみを記載している。
パワーオンダウンシフトにおいては、図5に示すように、クラッチ2bによりエンジン回転数を制御するイナーシャフェーズを行った後、クラッチ2bからクラッチ2aへの架け替えを行う。
図14では時刻aからイナーシャフェーズが開始される場合を想定している。このとき、変速後エンジン回転数NENXT(出力軸回転数NO×3速ギア比)は入力軸10aの回転数と等しくなっており、目標エンジン回転数TNEは、イナーシャフェーズ開始時のエンジン回転数NEから所定時間経過後の変速後エンジン回転数NENXTまで直線的に漸近するように設定されている。
ここで、クラッチ2bの応答遅れによりエンジン回転数NEの上昇が遅れた場合には、図の状態Aで、図14(A)に実線で示すように目標エンジン回転数TNEへの追従が遅れるため、図14(B)に示すように、偏差ENEが生じる。
また、周囲の環境変化やクラッチ2bの機差ばらつき等が発生した場合には、クラッチ2bのフィードフォワード分のトルクに誤差が発生してクラッチ2bのトルクが小さくなってしまう場合には、図の状態Bで、図14(A)に実線で示すように目標エンジン回転数TNEよりもエンジン回転数NEが上昇して、図14(B)に示すように、偏差ENEが生じる。
さらに、クラッチ2bのフィードフォワード分のトルク誤差が過度に発生してクラッチ2bのトルクが過度に小さくなってしまう場合には、図の状態Cで示すように変速後エンジン回転数NENXTよりもエンジン回転数NEが上昇する。
(表5)は、パワーオンダウンシフトにおける偏差制限手段802,符号反転手段803の処理内容を示している。図14に示した状態A〜Cは、エンジン回転数NEと変速後エンジン回転数NENXTおよび目標エンジン回転数TNEの大小関係から判別可能である。
Figure 2007239832
状態Aにおいて、偏差制限手段802により偏差リミッタは無効化設定され、符号反転手段803によりフィードバック補正値DENEFBに(−1)を乗じた値がフィードバックトルクTTCFBとして演算される。このとき、元の偏差TNE−NEの符号は正となっているため、フィードバックトルクTTCFBは負となりクラッチは解放方向に作用し、エンジン回転数NEを上昇させて目標エンジン回転数TNEに追従させることが可能となる。
また、状態Bにおいて、偏差制限手段802により偏差リミッタは無効化設定され、符号反転手段803によりフィードバック補正値DENEFBに(−1)を乗じた値がフィードバックトルクTTCFBとして演算される。このとき、元の偏差TNE−NEの符号は負となっているため、フィードバックトルクTTCFBは正となりクラッチは締結方向に作用し、上昇したエンジン回転数NEを低下させることが可能となる。
さらに、状態Cにおいては、偏差制限手段802により偏差リミッタは無効化設定され、符号反転手段803によりフィードバック補正値DENEFBに(−1)を乗じた値がフィードバックトルクTTCFBとして演算される。このとき、元の偏差TNE−NEの符号は負となっているため、フィードバックトルクTTCFBは正となりクラッチは締結方向に作用し、上昇したエンジン回転数NEを低下させることが可能となる。
次に、図15を用いて、パワーオフダウンシフトにおける回転数フィードバック制御の状態について説明する。図15の横軸は時間を示しており、縦軸はエンジン回転数NE(図15(A)),偏差ENE(図15(B))およびクラッチ目標フィードバックトルクTTCFB(図15(C))を示している。なお、フィードバックトルクTTCFBに関しては簡単のため比例分のトルクのみを記載している。
パワーオフダウンシフトにおいては、クラッチ2bからクラッチ2aへの架け替えを行った後、クラッチ2aによりエンジン回転数を制御するイナーシャフェーズを行う。
図15では4速から3速へのパワーオフダウンシフトを想定しており、時刻aからイナーシャフェーズが開始される場合を示している。なお、パワーオフダウンシフトにおいてはエンジンが自力で回転を上昇させることが困難なため、クラッチ2aのフィードフォワードトルクを締結方向に作用させてエンジン回転を上昇させる。
図15においては、変速後エンジン回転数NENXT(出力軸回転数NO×3速ギア比)は入力軸10aの回転数と等しくなっており、目標エンジン回転数TNEは、イナーシャフェーズ開始時のエンジン回転数NEから所定時間経過後の変速後エンジン回転数NENXTまで直線的に漸近するように設定されている。ここで、クラッチ2aの応答遅れによりエンジン回転数NEの上昇が遅れた場合には、図の状態Aで示すように目標エンジン回転数TNEへの追従が遅れるため偏差が生じる。
また、周囲の環境変化やクラッチ2aの機差ばらつき等が発生してクラッチ2aのフィードフォワード分のトルクに誤差が生じてクラッチ2aのトルクが大きくなってしまう場合には、図の状態Bで示すように目標エンジン回転数TNEよりもエンジン回転数NEが上昇して偏差が生じる。
さらに、パワーオン/オフの状態が曖昧な場合には、エンジン回転数が僅かに上昇する可能性があるため、変速後エンジン回転数NENXTよりもエンジン回転数NEが上昇する図の状態Cについても考慮する必要がある。
(表6)は、パワーオフダウンシフトにおける偏差制限手段802,符号反転手段803の処理内容を示している。図15に示した状態A〜Cは、エンジン回転数NEと変速後エンジン回転数NENXTおよび目標エンジン回転数TNEの大小関係から判別可能である。
Figure 2007239832
状態Aにおいて、偏差制限手段802により偏差ENEが下限制限されるが、関数fによりENEMN=0となっているため下限制限は無効化設定され、符号反転手段803によりフィードバック補正値DENEFBに(+1)を乗じた値がフィードバックトルクTTCFBとして演算される。このとき、元の偏差TNE−NEの符号は正となっているため、フィードバックトルクTTCFBは正となりクラッチは締結方向に作用し、エンジン回転数NEを上昇させて目標エンジン回転数TNEに追従させることが可能となる。
また、状態Bにおいて、クラッチを解放方向に作用させた場合には、パワーオフ状態であればエンジン回転数が低下するが、パワーオン/オフが曖昧な領域ではエンジン回転数が上昇してしまい、目標エンジン回転数TNEとエンジン回転数NEの偏差が増加してしまう。逆に、クラッチを締結方向に作用させた場合には変速後エンジン回転数NENXTまでエンジン回転数NEが急上昇し、クラッチの急締結を招く可能性がある。本発明においては、NE<NENXTとなる状態Bでは、偏差制限手段802により偏差下限値ENEMNを0に設定する。したがって、状態Bでは、偏差ENEが0となって、比例補正値DENEPおよび微分補正値DENEDがマスクされる。このとき、積分補正値DENEIは一定の値に保持されるため、状態Bのパワーオン/オフが曖昧な領域において偏差の増加およびクラッチの急締結をバランス良く抑制できる。
さらに、状態Cでは、偏差制限手段802において関数fにより偏差下限値ENEMNがNENXT−NEに設定されるため、状態Bでマスクされた比例補正値DENEPおよび微分補正値DENEDが徐々に有効となる。このとき、符号反転手段803によりフィードバック補正値DENEFBに(−1)を乗じた値がフィードバックトルクTTCFBとして演算されるが、元の偏差TNE−NEの符号は−となっているため、フィードバックトルクTTCFBは正となりクラッチは締結方向に作用し、エンジン回転数NEを低下させて目標エンジン回転数TNEに追従させることが可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、エンジンの目標回転数を設定し、設定された目標回転数とエンジン回転数の偏差に応じて摩擦クラッチにより前記エンジン回転数を目標回転数に追従させるフィードバック制御を行う際に、エンジン回転数と入力軸回転数の偏差に応じて目標回転数とエンジン回転数の偏差を制限し、また、エンジン回転数と入力軸回転数の偏差に応じてフィードバック操作量の符号を反転することにより運転性の悪化を防止することができる。
また、本実施形態によれば、一方のクラッチから他方のクラッチに切り替える際に、過去の経緯が反映されるフィードバック操作量、例えば偏差の積分値をクリアする手段を設けることにより高精度の回転同期制御を実現することができる。
本発明の一実施形態による自動車の制御装置を適用する自動車システムの構成を示すシステム構成図である。 本発明の一実施形態による自動車の制御装置における入出力信号関係を示すブロック図である。 本発明の一実施形態の自動車の制御装置による変速制御方法の制御内容を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態の自動車の制御装置によるアップシフト時のタイムチャートである。 本発明の一実施形態の自動車の制御装置によるダウンシフト時のタイムチャートである。 本発明の一実施形態の自動車の制御装置による発進制御方法の制御内容を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態の自動車の制御装置による発進制御時のタイムチャートである。 本発明の一実施形態の自動車の制御装置の中の回転数フィードバック制御部のブロック図である。 本発明の一実施形態の自動車の制御装置の中の回転数フィードバック制御部の制御内容を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態の自動車の制御装置の中の回転数フィードバック制御部の制御内容を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態の自動車の制御装置の中の回転数フィードバック制御時のタイムチャートである。 本発明の一実施形態の自動車の制御装置の中の回転数フィードバック制御時のタイムチャートである。 本発明の一実施形態の自動車の制御装置の中の回転数フィードバック制御時のタイムチャートである。 本発明の一実施形態の自動車の制御装置の中の回転数フィードバック制御時のタイムチャートである。 本発明の一実施形態の自動車の制御装置の中の回転数フィードバック制御時のタイムチャートである。
符号の説明
1…エンジン
2a…第1の摩擦クラッチ
2b…第2の摩擦クラッチ
10a…第1の入力軸
10b…第2の入力軸
20…出力軸
11,21…ギア(1速)
12,22…ギア(2速)
13,23…ギア(3速)
14,24…ギア(4速)
15,25…ギア(5速)
16,26…ギア(6速)
17,27…ギア(リバース)
100…変速機制御ユニット
200…エンジン制御ユニット
800…回転数フィードバック制御手段
801…目標回転数設定手段
802…偏差制限手段
803…符号反転手段
804…積分クリア手段

Claims (11)

  1. エンジンからのトルクが摩擦クラッチと入力軸と出力軸とを介してタイヤに伝達され、前記入力軸から前記出力軸へトルクの伝達が可能な複数の歯車と複数の噛み合いクラッチとを有する変速機を搭載した自動車に用いられ、
    前記エンジンの目標回転数を設定する目標回転数設定手段と、
    前記目標回転数設定手段により設定された目標回転数とエンジン回転数の偏差に応じて前記摩擦クラッチにより前記エンジン回転数を目標回転数に追従させるフィードバック制御を行う回転数フィードバック制御手段とを有する自動車の制御装置であって、
    前記エンジン回転数と入力軸回転数の偏差に応じて前記目標回転数と前記エンジン回転数の偏差を制限する偏差制限手段を備えることを特徴とする自動車の制御装置。
  2. 請求項1記載の自動車の制御装置において、
    前記偏差制限手段は、急減速状態で前記フィードバック制御を行う際に、前記エンジン回転数と前記入力軸回転数の偏差が負となる場合には、前記目標回転数と前記エンジン回転数の偏差の上限を制限することを特徴とする自動車の制御装置。
  3. 請求項1記載の自動車の制御装置において、
    前記偏差制限手段は、ダウンシフトの後で前記フィードバック制御を行う際に、前記エンジン回転数と前記入力軸回転数の偏差が負となる場合には、前記目標回転数と前記エンジン回転数の偏差の下限を制限することを特徴とする自動車の制御装置。
  4. 請求項1記載の自動車の制御装置において、さらに、
    前記エンジン回転数と入力軸回転数の大小関係に応じてフィードバック操作量の符号を反転する符号反転手段を備えることを特徴とする自動車の制御装置。
  5. 請求項1記載の自動車の制御装置において、さらに、
    前記第1の摩擦クラッチから前記第2の摩擦クラッチへの切替により変速を行う際に、前記積分値をクリアする積分クリア手段を備えることを特徴とする自動車の制御装置。
  6. エンジンからのトルクが摩擦クラッチと入力軸と出力軸とを介してタイヤに伝達され、前記入力軸から前記出力軸へトルクの伝達が可能な複数の歯車と複数の噛み合いクラッチとを有する変速機を搭載した自動車に用いられ、
    前記エンジンの目標回転数を設定し、設定された目標回転数とエンジン回転数の偏差に応じて前記摩擦クラッチにより前記エンジン回転数を目標回転数に追従させるフィードバック制御を行う自動車の制御方法であって、
    前記エンジン回転数と入力軸回転数の偏差に応じて前記目標回転数と前記エンジン回転数の偏差を制限することを特徴とする自動車の制御方法。
  7. エンジンからのトルクが摩擦クラッチと入力軸と出力軸とを介してタイヤに伝達され、前記入力軸から前記出力軸へトルクの伝達が可能な複数の歯車と複数の噛み合いクラッチとを有する変速機を搭載した自動車に用いられ、
    前記エンジンの目標回転数を設定する目標回転数設定手段と、
    前記目標回転数設定手段により設定された目標回転数とエンジン回転数の偏差に応じて前記摩擦クラッチにより前記エンジン回転数を目標回転数に追従させるフィードバック制御を行う回転数フィードバック制御手段とを有する自動車の制御装置であって、
    前記エンジン回転数と入力軸回転数の大小関係に応じてフィードバック操作量の符号を反転する符号反転手段を備えることを特徴とする自動車の制御装置。
  8. エンジンからのトルクが摩擦クラッチと入力軸と出力軸とを介してタイヤに伝達され、前記入力軸から前記出力軸へトルクの伝達が可能な複数の歯車と複数の噛み合いクラッチとを有する変速機を搭載した自動車に用いられ、
    前記エンジンの目標回転数を設定し、設定された目標回転数とエンジン回転数の偏差に応じて前記摩擦クラッチにより前記エンジン回転数を目標回転数に追従させるフィードバック制御を行う自動車の制御方法であって、
    前記エンジン回転数と入力軸回転数の大小関係に応じてフィードバック操作量の符号を反転することを特徴とする自動車の制御方法。
  9. エンジンのトルクが、第1の摩擦クラッチと第1の入力軸から成る第1伝達系または第2の摩擦クラッチと第2の入力軸から成る第2伝達系を介して出力軸からタイヤに伝達され、前記第1の入力軸と出力軸の間および前記第2の入力軸と前記出力軸の間に設けられた複数の歯車列と複数の噛み合いクラッチとを有する変速機を搭載した自動車に用いられ、
    前記エンジンの目標回転数を設定する目標回転数設定手段と、
    前記目標回転数設定手段により設定された目標回転数とエンジン回転数の偏差の積分値に応じて前記第1の摩擦クラッチまたは前記第2の摩擦クラッチにより前記エンジン回転数を目標回転数に追従させるフィードバック制御を行う回転数フィードバック制御手段とを有する自動車の制御装置であって、
    前記第1の摩擦クラッチから前記第2の摩擦クラッチへの切替により変速を行う際に、前記積分値をクリアする積分クリア手段を備えることを特徴とする自動車の制御装置。
  10. 請求項9記載の自動車の制御装置において、
    前記積分クリア手段は、前記第1の摩擦クラッチの解放動作開始時または前記第2の摩擦クラッチの締結動作開始時を起点とし、前記積分値を所定時間または所定の変化量でゼロまで低下させることを特徴とする自動車の制御装置。
  11. エンジンのトルクが、第1の摩擦クラッチと第1の入力軸から成る第1伝達系または第2の摩擦クラッチと第2の入力軸から成る第2伝達系を介して出力軸からタイヤに伝達され、前記第1の入力軸と出力軸の間および前記第2の入力軸と前記出力軸の間に設けられた複数の歯車列と複数の噛み合いクラッチとを有する変速機を搭載した自動車に用いられ、
    前記エンジンの目標回転数を設定し、設定された目標回転数とエンジン回転数の偏差の積分値に応じて前記第1の摩擦クラッチまたは前記第2の摩擦クラッチにより前記エンジン回転数を目標回転数に追従させるフィードバック制御を行う自動車の制御方法であって、
    前記第1の摩擦クラッチから前記第2の摩擦クラッチへの切替により変速を行う際に、前記積分値をクリアすることを特徴とする自動車の制御方法。
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