JP5313858B2 - MnSix粉末及びその製造方法、並びに、MnSix粉末製造用CaSiy粉末及びその製造方法 - Google Patents

MnSix粉末及びその製造方法、並びに、MnSix粉末製造用CaSiy粉末及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、MnSix粉末及びその製造方法、並びに、MnSix粉末製造用CaSiy粉末及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、熱電材料などに応用することが可能なMnSix粉末及びその製造方法、並びに、このようなMnSix粉末を製造することが可能なMnSix粉末製造用CaSiy粉末及びその製造方法に関する。
遷移金属シリサイドは、Siを多量に含んでいるため、一般に、耐酸化性や耐食性に優れている。また、遷移金属シリサイドの中には、半導体特性や高温における機械的特性に優れたものも知られている。そのため、遷移金属シリサイドは、熱電材料、発熱体、耐酸化コーティング材料、高温構造材料、半導体などへの応用が期待されている。
このような遷移金属シリサイドの製造方法に関しては、従来から種々の提案がなされている。
例えば、非特許文献1には、固相副分解(Solid state metahesis)法による各種金属シリサイド粒子の製造方法が開示されている。
同文献には、(a)式に従って原料を反応させ、反応物に含まれるMgO+CaOを水(又は、弱酸性の水)で洗浄すると、VSi2粒子、NbSi2粒子又はTaSi2粒子が得られる点が記載されている。
25+2Mg2Si+CaSi2→2MSi2+4MgO+CaO ・・・(a)
(M=V、Nb、Ta)
また、非特許文献2には、Mn(CO)5SiCl3錯体を原料として、CVD法によって加熱基板上にMn19Si33ナノワイヤーを成長させる方法が開示されている。
同文献には、
(1)Mnシリサイドナノワイヤーを製造するための原料としてMn(CO)5SiCl3錯体を用いると、Mn及びSiを効率的に気相輸送することができる点、
(2)このような方法により、長さが数ミクロン〜数十ミクロンで、幅が10〜100nmのナノワイヤー又はナノリボンが得られる点、
(3)ナノワイヤー及びナノリボンに加えて、直径が10〜20nmの短い(〜1μm)ナノロッドと小さなナノ粒子も得られ、ナノワイヤー、ナノリボン及びナノロッドは、ナノ粒子から核生成すると考えられる点、
(4)解析された25個のナノワイヤーの平均Si原子組成は58±11%であり、ほぼ完全にSiのみからなるナノワイヤーもある点、及び、
(5)同一サンプルから得られた3個のナノワイヤの中では、結晶相は、いずれもMn19Si33と同定された点、
が記載されている。
また、特許文献1及び非特許文献3には、焼結BNルツボに金属Fe粉末、Si粉末及び金属ナトリウムを入れ、673〜1073Kで1.5〜24時間反応させる金属ケイ化物の製造方法が開示されている。
同文献には、
(1)Na融液中でFeとSiとを反応させると、β−FeSi2が得られる点、及び、
(2)原料中のSiの比率が増えると、ε−FeSiのピーク強度が減少し、β−FeSi2の単一相が得られる点、
が記載されている。
また、非特許文献4には、SiO及びMnCl2を原料に用いて、CVD法によりSi基板上にMn4Si7ナノワイヤーを生成させる方法が開示されている。
同文献には、
(1)このような方法により、直径が30〜100nm、長さが数十μmであるナノワイヤーが得られる点、及び、
(2)得られたナノワイヤーは、正方晶Mn4Si7構造を持つ単結晶のナノワイヤーである点、
が記載されている。
また、特許文献2、3には、MnSi1.7の原料を溶融し、その溶融液を滴下すると同時に噴霧媒体を吹き付けて急冷却することで、MnSi1.7相単相の粉末を合成する技術が開示されている。
ここで、通常の原料の溶融、冷却という合成工程では、Mn−Siの相図に従って混合物が生成するため、単相のMnSi1.7粉末が得られないが、特許文献2には、
(a)急冷却により単相化が実現できること、並びに、
(b)平均粒径9.08μm(比表面積0.31m2/g)及び平均粒径10.2μm(比表面積0.29m2/g)の微粒子が合成できること、
が記載されている。
また、特許文献4には、Mn粉末とSi粉末(Mn:Si=1:1.73〜1:1.85)とを混合粉砕し、混合粉砕物をプラズマ焼結させる熱電材料の製造方法が開示されている。
同文献には、
(1)混合粉砕後の粉末は、MnとSiの混合物である点(特許文献4の図4参照)、及び、
(2)Mn:Siの秤量比率が1:1.8である焼結体には、MnSi相の析出が認められる点、
が記載されている。
さらに、特許文献5には、Fe膜を形成したSi基板と、Fe粉末及びSi粉末の混合物からなる成形体とを石英管内に真空封入し、両者が接触しない状態で石英管を加熱する熱電材料の製造方法が開示されている。
同文献には、
(1)このような方法により、基板上にβ鉄シリサイドを形成できる点、及び、
(2)Fe粉末とSi粉末の混合物をSi基板と同時に真空封入すると、Si粉末のみを同時に真空封入した場合に比べて、シリサイド反応がより活性化する点、
が記載されている。
特開2009−46381号公報 特開2002−332508号公報 特許第3721557号公報 特開2000−349354号公報 特開2003−282962号公報
M.Artur et al., Polyhedron 21, pp.187-191(2002) J.M.Higgins et al., J.Am.Chem.Soc., 130, pp.16086-16094(2008) T.Yamada and H.Yamane, Chem.Mater.19, pp.6047-6051(2007) M.Ham et al., J.Phys.Chem.C 2009, 113, 8143-8146
遷移金属シリサイドの中でも、Mnシリサイド相(MnSi2-z相、1.71≦2−z≦1.75)は、相対的に高い熱電特性を示す。このようなMnシリサイド相を含む粉末(MnSix粉末)を熱電素子などのバルク体として各種の用途に応用するためには、多量の粉末を安価に製造する技術が必要となる。特に、熱電材料のバルク体としては、熱伝導度が低いことが重要である。これは、バルク体の構成粒子を微細化することで達成できると期待され、そのバルク体の合成原料として、微細なMnSix粉末が必要とされる。
しかしながら、非特許文献2、4に開示されているように、CVD法によりMnシリサイドを合成する方法は、大量合成に不向きであり、バルク体を製造するための原料を供することが困難である。また、CVD法によりナノワイヤーは生成しているが、ナノ粒子は合成例がない。
また、特許文献1及び非特許文献3に開示されているように、Na融液中で合成する方法は、取扱が困難なNa金属を用いており、実用化が難しい。また、Mn−Siの相図から考えて、この方法により単相のMnシリサイドは得られないと推察される。さらに、特許文献2においては、MnSi1.7の単相粉末の合成法が開示されているが、到達可能な粒径は10μm程度に留まり、それよりも細かい微粒子の合成が困難である。
さらに、Mn−Si化合物の中には、上述したMnSi2-z相以外にもMnSi(マンガンモノシリサイド)相が知られている。MnSi相は金属的であるため、合成されたMnシリサイド粉末中にMnSi相が混入していると、半導体特性(例えば、熱電特性)を低下させる原因となる。
しかしながら、MnSi相の少ないMnシリサイド粉末、及び、このようなMnシリサイド粉末を安価に製造することが可能な方法が提案された例は、従来にはない。
本発明が解決しようとする課題は、半導体特性の高いMnSix粉末、及び、このようなMnSix粉末を安価に製造することが可能なMnSix粉末の製造方法を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、このようなMnSix粉末を製造するための出発原料として好適なMnSix粉末製造用CaSiy粉末、及び、その製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係るMnSix粉末は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(a)前記MnSix粉末は、MnSi2-z相(但し、1.71≦2−z≦1.75)を主成分とし、(1)式で表されるMnSi相の含有量が7%以下である。
MnSi相の含有量(%)=I1×100/(I1+I2) ・・・(1)
但し、I1は、MnSi相のXRD最強線強度。
2は、MnSi2-z相のXRD最強線強度。
(b)前記MnSix粉末は、Si/Mn比(x)が1.5≦x<2.0である。
(c)前記MnSix粉末は、一次粒子のアスペクト比が5以下であり、比表面積が2.5m2/g以上である。
本発明に係るMnSix粉末製造用CaSiy粉末は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(a)前記MnSix粉末製造用CaSiy粉末は、CaSi2相を主成分とし、(2)式で表されるCaSi相の含有量が10%以下である。
CaSi相の含有量(%)=I3×100/(I3+I4) ・・・(2)
但し、I3は、CaSi相のXRD最強線強度。
4は、CaSi2相のXRD最強線強度。
(b)前記MnSix粉末製造用CaSiy粉末は、Si/Ca比(y)が1.5≦y≦2.0である。
本発明に係るMnSix粉末製造用CaSiy粉末の製造方法は、
Ca源とSi源とを、Si/Ca比(モル比)が1.5以上2.0以下となるように配合し、前記原料を溶解させる溶解工程と、
前記溶解工程で得られた溶湯を凝固させ、本発明に係るMnSix粉末製造用CaSiy粉末を得る凝固工程と
を備えている。
さらに、本発明に係るMnSix粉末の製造方法は、
本発明に係るMnSix粉末製造用CaSiy粉末と塩化Mnとを、Mn/Ca比(モル比)が1以上となるように混合する混合工程と、
前記混合工程で得られた混合物を加熱する加熱工程と、
前記加熱工程で得られた反応物を、前記塩化Mn及び/又は塩化Caを溶解可能な1又は2以上の溶媒で洗浄し、未反応の前記塩化Mn及び副生した前記塩化Caを除去する洗浄工程と
を備えている。
CaSiy粉末と塩化Mnとの混合物を所定の温度で加熱すると、MnSix粉末及び塩化Caを含む反応物が得られる。また、塩化Mnを過剰に配合した場合には、反応物には未反応の塩化Mnが含まれる。塩化Ca及び塩化Mnは溶媒(例えば、エタノール)に可溶であるため、反応物を適当な溶媒で洗浄すると、MnSix粉末が得られる。この時、CaSiy粉末として、CaSi相の含有量が相対的に少ないものを用いると、MnSi相の含有量が相対的に少ないMnSix粉末が得られる。この方法は、CVD法や取扱の難しいNa金属を用いる必要がなく、大量合成も可能であるので、従来の方法に比べて、半導体特性(例えば、熱電特性)の高いMnSix粉末を安価に製造することができる。
試料の合成方法を示すフロー図である。 比較例1〜6で得られた粉末のX線回折パターンである。 実施例1及び3で得られた粉末のX線回折パターンである。 実施例2及び4〜6で得られた粉末のX線回折パターンである。 実施例6で得られた粉末のSEM像である。 実施例6で得られた粉末のTEM像(図6(a))及び高分解TEM像(図6(b))である。 実施例6で得られた粉末の図6(a)の「○」部からの電子線回折パターンである。
以下に本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. MnSix粉末]
本発明に係るMnSix粉末は、以下の構成を備えている。
(a)前記MnSix粉末は、MnSi2-z相(但し、1.71≦2−z≦1.75)を主成分とし、MnSi相の含有量が7%以下である。
(b)前記MnSix粉末は、Si/Mn比(x)が1.5≦x<2.0である。
(c)前記MnSix粉末は、一次粒子のアスペクト比が5以下であり、比表面積が2.5m2/g以上である。
[1.1. MnSi2-z相]
MnSi2-z(但し、1.71≦2−z<1.75)相は、β−Sn型の構造を持つ正方晶のMn副格子と、らせん階段状の構造を持つ正方晶のSi副格子とが重なった結晶構造を持つ。Mn副格子のc軸方向の格子定数cMn及びSi副格子のc軸方向の格子定数cSiの間には、ほぼcSi≒4cMnの関係がある。しかしながら、cMnは、ほぼ一定であるのに対し、cSiは、Siの配列の違いによって僅かに変動する。一方、結晶学的な繰り返し単位を生じさせるためには、単位胞に含まれる各副格子の数は、それぞれ、整数でなければならない。そのため、MnSi2-z相には、単位胞のc軸方向の長さが異なる種々の化合物が存在する。
このようなMnSi2-z相としては、具体的には、Mn4Si7(MnSi1.75)、Mn11Si19(MnSi1.727)、Mn15Si26(MnSi1.733)、Mn27Si47(MnSi1.74)、Mn7Si12(MnSi1.714)、Mn19Si33(MnSi1.737)、Mn26Si45(MnSi1.731)などが知られている。
本発明に係るMnSix粉末は、上述したc軸方向の長周期構造が異なる種々のMnSi2-z相の内、いずれか1種を含んでいても良く、あるいは、2種以上を含んでいても良い。
本発明に係るMnSix粉末は、MnSi2-z相を主成分とする。「MnSi2-z相を主成分とする」とは、MnSix粉末全体に占めるMnSi2-z相の割合が70体積%以上であることを言う。MnSi2-z相の割合は、さらに好ましくは80体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上である。
[1.2. MnSi相の含有量]
MnSix粉末は、MnSi2-z相のみからなるのが好ましいが、不可避的不純物が含まれていても良い。但し、Mnシリサイド粉末の半導体特性に悪影響を与える不純物は少ないほど良い。特に、MnSi2-z相は半導体であるのに対し、MnSi相は金属的であるため、MnSix粉末に含まれるMnSi相が多くなるほど、MnSix粉末の半導体特性(例えば、熱電特性)が低下する。
高い半導体特性を得るためには、MnSix粉末は、次の(1)式で表されるMnSi相の含有量が7%以下である必要がある。MnSi相の含有量は、さらに好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下である。
MnSi相の含有量(%)=I1×100/(I1+I2) ・・・(1)
但し、I1は、MnSi相のXRD最強線強度。
2は、MnSi2-z相のXRD最強線強度。
なお、「MnSi相のXRD最強線」とは、(210)面反射(MnSi:JCPDSカードNo.00−042−1487)をいう。「MnSi2-z相のXRD最強線」とは、(2,1,15)面反射(Mn15Si26(MnSi1.73):JCPDSカードNo.00−020−0724)をいう。
[1.3. Si/Mn比]
Si/Mn比(x)は、MnSix粉末全体に含まれるSiとMnのモル比を表す。
Si/Mn比が小さすぎると、MnSix粉末中のMnSi相やその他の非平衡相の割合が増大する。従って、Si/Mn比は、1.5以上である必要がある。一方、半導体特性に優れたMnSix粉末を得るためには、Si/Mn比は、2未満である必要がある。
特に、1.70≦x≦1.80であるMnSix粉末は、比較的合成が容易である。xは、さらに好ましくは、1.70≦x≦1.75である。MnSix粉末がMnSi2-z相単相になると、xは、1.71≦x≦1.75となる。
[1.4. 一次粒子のアスペクト比]
後述する方法により得られるMnSix粉末は、孤立した単一粒子も含まれるが、その大半は、一次粒子の凝集体からなっている。「一次粒子」とは、SEM像で観察したときに一塊に見える領域をいう。
一般に、単結晶をボールミルなどにより機械的に粉砕すると、アモルファス化(不定形化)したり、粒子内部に結晶ドメイン(結晶子)が発生する。これに対し、本発明に係るMnSix粉末において、一次粒子は、後述するTEM像で観察されるように、単一の単結晶粒子と考えられる。
後述する方法を用いると、一次粒子のアスペクト比が5以下であるMnSix粉末が得られる。一次粒子の大半は、アスペクト比が2以下である。そのため、一次粒子の平均アスペクト比は、1〜4の範囲内となる。
ここで、「一次粒子(孤立した単一粒子も含む)のアスペクト比」とは、SEM像で観察したときの一次粒子の最大長さ(縦方向長さ:d1)と、最大長さ方向に対して垂直方向の長さの最大値(横方向長さ:d2)との比(=d1/d2)を言う。また、「一次粒子(孤立した単一粒子も含む)の平均アスペクト比」とは、無作為に選んだ複数個(好ましくは、10個以上)の一次粒子のアスペクト比(d1/d2)の平均値を言う。
[1.5. 一次粒子の粒径及び比表面積]
後述する方法を用いると、一次粒子の粒径が10nm〜5μmの範囲にあるMnSix粉末が得られる。一次粒子は、小さいものでは粒径が100nm以下となる。大きいものでは、粒径が1μmを超えるものもあるが、大半は、粒径が数百nm以下である。そのため、一次粒子の平均粒径は、50nm〜1μmの範囲内となる。
ここで、「一次粒子(孤立した単一粒子も含む)の粒径」とは、SEM像で観察したときの一次粒子の最大長さ(縦方向長さ:d1)を言う。また、「一次粒子(孤立した単一粒子も含む)の平均粒径」とは、無作為に選んだ複数個(好ましくは、10個以上)の一次粒子の粒径d1の平均値を言う。
さらに、後述する方法を用いると、比表面積が2.5m2/g以上、あるいは、5.0m2/g以上であるMnSix粉末が得られる。ここで、「比表面積」とは、窒素吸着等温線からBET法により算出される値をいう。
MnSix粉末の密度が5g/cm3であり、一次粒子の形状が完全球形であると仮定すると、比表面積5.0m2/gは、平均粒径240nmに相当する。
[2. MnSix粉末製造用CaSiy粉末]
本発明に係るMnSix粉末製造用CaSiy粉末は、以下の構成を備えている。
(a)前記MnSix粉末製造用CaSiy粉末は、CaSi2相を主成分とし、CaSi相の含有量が10%以下である。
(b)前記MnSix粉末製造用CaSiy粉末は、Si/Ca比(y)が1.5≦y≦2.0である。
[2.1. CaSi2相]
CaSi2相は、グラファイト様のSiシートの層間にCaが挟まった層状構造を持つ。CaSi2相は、平衡状態ではCa:Si=1:2(モル比)となるが、非平衡状態では、Si欠損が生じることがあると考えられる。しかしながら、Si欠損が大きくなりすぎると、層状構造を維持できなくなると推定される。
本発明に係るMnSix粉末製造用CaSiy粉末は、上述した組成(Si欠損量)の異なる種々のCaSi2相の内、いずれか1種を含んでいても良く、あるいは、2種以上を含んでいても良い。
本発明に係るMnSix粉末製造用CaSiy粉末は、CaSi2相を主成分とする。「CaSi2相を主成分とする」とは、CaSiy粉末全体に占めるCaSi2相の割合が70体積%以上であることを言う。CaSi2相の割合は、さらに好ましくは80体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上である。
[2.2. CaSi相の含有量]
MnSix粉末製造用CaSiy粉末は、CaSi2相のみからなるのが好ましいが、不可避的不純物が含まれていても良い。但し、この粉末を出発原料として合成されるMnSix粉末の半導体特性に悪影響を与える不純物は、少ないほど良い。特に、MnSix粉末製造用CaSiy粉末に含まれるCaSi相が多くなるほど、合成されたMnSix粉末に含まれるMnSi相の含有量が増大し、MnSix粉末の半導体特性(例えば、熱電特性)が低下する。
高い半導体特性を備えたMnSix粉末を合成するためには、MnSix製造用CaSiy粉末は、次の(2)式で表されるCaSi相の含有量が10%以下である必要がある。CaSi相の含有量は、さらに好ましくは7%以下、さらに好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下である。
CaSi相の含有量(%)=I3×100/(I3+I4) ・・・(2)
但し、I3は、CaSi相のXRD最強線強度。
4は、CaSi2相のXRD最強線強度。
なお、「CaSi相のXRD最強線」とは、(111)面反射(CaSi:JCPDSカードNo.00−026−0324)をいう。「CaSi2相のXRD最強線」とは、(0,0,12)面又は(107)面(CaSi2:JCPDSカードNo.00−001−1276)からの反射の内、より強く実測されるXRDピークの強度をいう。
[2.3. Si/Ca比]
Si/Ca比(y)は、MnSix粉末製造用CaSiy粉末全体に含まれるSiとCaのモル比を表す。
Si/Ca比が小さすぎると、MnSix粉末製造用CaSiy粉末中のCaSi相やその他の非平衡相の割合が増大する。従って、Si/Ca比は、1.5以上である必要がある。Si/Ca比は、さらに好ましくは、1.7以上である。一方、半導体特性に優れたMnSix粉末を得るためには、Si/Ca比は、2.0以下である必要がある。
[2.4. アスペクト比、粒径及び比表面積]
MnSix粉末製造用CaSiy粉末のアスペクト比、粒径及び比表面積は、特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。一般に、MnSix粉末製造用CaSiy粉末の粒径が細かくなるほど、塩化Mnとの反応が促進される。その結果、相対的に短時間で目的とする組成、粒径、形状等を有するMnSix粉末を合成することができる。
[3. MnSix粉末製造用CaSiy粉末の製造方法]
本発明に係るMnSix粉末製造用CaSiy粉末の製造方法は、溶解工程と、凝固工程とを備えている。
[3.1. 溶解工程]
溶解工程は、Ca源とSi源とを、Si/Ca比(モル比)が1.5以上2.0以下となるように配合し、前記原料を溶解させる工程である。
Ca源には、純Ca、CaSiなどを用いることができる。同様に、Si源には、純Si、CaSiなどを用いることができる。
Ca源及びSi源は、Si/Ca比(モル比)が1.5以上2.0以下の範囲となるように配合する。一般に、Si/Ca比が少なくなるほど、CaSi相が生成しやすくなる。Si/Ca比は、好ましくは、1.7以上2.0以下である。
溶解方法は、特に限定されるものではなく、種々の溶解方法(例えば、アーク溶解法)を用いることができる。また、原料の溶解は、原料の酸化を防ぐために、不活性雰囲気下で行うのが好ましい。
溶解条件は、均一な溶湯が得られる条件であれば良い。
[3.2. 凝固工程]
凝固工程は、前記溶解工程で得られた溶湯を凝固させ、本発明に係るMnSix粉末製造用CaSiy粉末を得る工程である。溶湯を凝固させる場合において、溶湯組成及び/又は凝固条件を最適化すると、CaSi2相の含有量が多い凝固物が得られる。得られた凝固物は、そのまま、又は、必要に応じて粉砕した後、MnSix粉末製造用CaSiy粉末として用いられる。
凝固は、溶湯を徐冷することにより行っても良く、あるいは、溶湯を急冷することにより行っても良い。特に、溶湯を急冷凝固させると、Si欠損量が多いCaSi2相が生成しやすくなる。また、急冷凝固には、Si/Ca比が相対的に小さい場合であっても、CaSi相の生成を抑制する効果がある。
急冷凝固方法としては、具体的には、
(1) ノズル内で溶融させた溶湯を、回転する銅ロール(冷却媒体)上に噴霧又は滴下する方法(銅ロール法)、
(2) ノズル内で溶融させた溶湯をノズル穴から噴霧又は滴下させ、溶湯の流れに周囲からジェット流体を吹きつけ、生成した液滴を落下させながら凝固させる方法(アトマイズ法)、
などがある。
急冷凝固方法としてアトマイズ法を用いる場合、溶湯の酸化を防ぐために、ジェット流体には、不活性ガス(例えば、Arなど)を用いるのが好ましい。
[4. MnSix粉末の製造方法]
本発明に係るMnSix粉末の製造方法は、混合工程と、加熱工程と、洗浄工程とを備えている。
[4.1. 混合工程]
混合工程は、本発明に係るMnSix粉末製造用CaSiy粉末と塩化Mnとを、Mn/Ca比(モル比)が1以上となるように混合する工程である。
CaSiyとMnCl2との反応は、理想的には、次の(3)式のように表すことができる。また、反応が理想的に進行したときは、y=xとなる。
CaSiy+αMnCl2→MnSix+(α−1)MnCl2+CaCl2 ・・・(3)
(3)式に従って反応が進む場合において、α(Mn/Ca比)が1であるときには、理想的には、すべてのMnCl2がCaSiyとの反応に消費される。αが1を超えると、未反応のMnCl2がそのまま残る。しかしながら、未反応のMnCl2及び副生したCaCl2は、いずれも溶媒(例えば、エタノール)に可溶であるため、反応物からMnCl2及びCaCl2を除去するのは比較的容易である。従って、αは、1以上であれば良い。
一方、MnCl2の必要以上の添加は、実益がないだけでなく、未反応のMnCl2を除去するための工数が増大する。従って、αは、5以下が好ましい。αは、さらに好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下である。
[4.2. 加熱工程]
加熱工程は、前記混合工程で得られた混合物を加熱する工程である。
加熱温度は、(3)式の反応が効率よく進行する温度であれば良い。一般に、加熱温度が低すぎると、実用的な時間内に(3)式の反応が完結しない。従って、加熱温度は、550℃以上が好ましい。加熱温度は、さらに好ましくは、600℃以上である。
一般に、加熱温度が高くなるほど、(3)式の反応が効率よく進行する。しかしながら、加熱温度が高すぎると、塩化Mn中にCa及びSiが溶解し、MnSi2-zとMnSiとの共晶が析出する。従って、加熱温度は、650℃以下が好ましい。
加熱時間は、加熱温度に応じて最適な時間を選択する。加熱時間は、加熱温度にもよるが、通常、1〜50時間である。
また、加熱時の雰囲気は、原料の酸化を防ぐために、不活性雰囲気が好ましい。
[4.3. 洗浄工程]
洗浄工程は、前記加熱工程で得られた反応物を、前記塩化Mn及び/又は塩化Caを溶解可能な1又は2以上の溶媒で洗浄し、未反応の前記塩化Mn及び副生した前記塩化Caを除去する工程である。
洗浄は、未反応のMnCl2及び副生したCaCl2を除去するために行う。洗浄に用いる溶媒は、MnCl2又はCaCl2のいずれか一方を溶解可能なものでも良く、あるいは、双方を溶解可能なものでも良い。
MnCl2又はCaCl2のいずれか一方を溶解可能な2種以上の溶媒を用いる場合、洗浄は、2段階に分けて行うか、あるいは、混合溶媒を用いる必要がある。一方、双方を溶解可能な溶媒を用いる場合には、洗浄は、単一の溶媒を用いて1段階で行うことができる。さらに、未反応のMnCl2が残らない条件下で反応させた場合には、洗浄は、少なくともCaCl2を溶解可能な溶媒を用いて1段階で行うことができる。
MnCl2及びCaCl2の双方を溶解可能な溶媒としては、例えば、エタノール、水などがある。
これらの溶媒は、いずれか1種を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
洗浄後、固形分を分離すると、本発明に係るMnSix粉末が得られる。得られたMnSix粉末は、そのまま、又は、必要に応じて粉砕した後、各種の用途に用いることができる。
[5. MnSix粉末及びその製造方法、並びに、MnSix粉末製造用CaSiy粉末及びその製造方法の作用]
CaSiy粉末と塩化Mnとの混合物を所定の温度で加熱すると、MnSix粉末及び塩化Caを含む反応物が得られる。また、塩化Mnを過剰に配合した場合には、反応物には未反応の塩化Mnが含まれる。塩化Ca及び塩化Mnは溶媒(例えば、エタノール)に可溶であるため、反応物を適当な溶媒で洗浄すると、MnSix粉末が得られる。この時、CaSiy粉末として、CaSi相の含有量が相対的に少ないものを用いると、MnSi相の含有量が相対的に少ないMnSix粉末が得られる。この方法は、CVD法や取扱の難しいNa金属を用いる必要がなく、大量合成も可能であるので、従来の方法に比べて、半導体特性(例えば、熱電特性)の高いMnSix粉末を安価に製造することができる。
(実施例1〜6、比較例1〜6)
[1. 試料の作製]
[1.1. CaSiy粉末の合成]
図1上段に、CaSiy粉末の合成手順を示す。まず、CaSi粉末とSi粉末とを秤量し、混合した。原料の仕込み組成(Si/Ca比)は、1.73とした。この原料をアーク溶解法を用いて溶解・凝固させ、溶製材(Arc溶製材原料)を作製した。溶製材を乳鉢で粉砕(53μmメッシュ以下)し、CaSiy粉末(Arc粉末)を得た(比較例1)。
また、原料の仕込み組成Si/Ca比を1.85とした以外は、比較例1と同様にしてCaSiy粉末(Arc粉末)を得た(実施例1)。
さらに、比較例1で作製した溶製材を再溶解し、急冷凝固させ、急冷材原料を作製した。急冷凝固には、単ロール法を用いた。急冷材原料を乳鉢で粉砕(53μmメッシュ以下)し、CaSiy粉末(急冷粉末)を得た(実施例2)。
[1.2. MnSix粉末の合成]
図1下段に、MnSix粉末の合成手順を示す。まず、Ar雰囲気中で、粉砕されたCaSiy粉末とMnCl2粉末とを混合した。Mn/Ca比(α)は、2又は5とした。得られた混合粉末を棒状に圧粉成形(〜20MPa)し、圧粉体を石英ガラス管に真空封入した。この石英ガラス管を所定温度で加熱(550〜700℃、5h)した。
石英ガラス管を室温に冷却した後、加熱物をガラス管から取り出し、乳鉢で粉砕した。得られた粉末をエタノールに分散し、攪拌することで洗浄した。洗浄後、エタノール中の粉末を遠心分離(15,000rpm、10分)した。さらに、固形分を乾燥させ、MnSix粉末を得た。表1に、MnSix粉末の合成条件を示す。
[2. 試験方法]
[2.1. 粉末組成]
合成されたCaSiy粉末及びMnSix粉末の組成を、ICPにより測定した。
[2.2. X線回折]
合成されたCaSiy粉末及びMnSix粉末についてX線回折を行い、生成相を同定した。また、(1)式及び(2)式に従い、MnSi相の含有量及びCaSi相の含有量を算出した。測定されたXRDパターン(X線源:CuKα線)において、ピーク高さが最も高いピークを「XRD最強線」とし、cps単位で測定されたピーク高さをその強度とした。
[2.3. SEM及びTEM]
合成されたCaSiy粉末及びMnSix粉末について、SEM観察及びTEM観察を行った。
[2.4. 比表面積]
窒素吸着等温線よりBET法で比表面積を算出した。
[3. 結果]
[3.1. CaSiy粉末の組成(比較例1、実施例1〜2)]
表2に、合成されたCaSiy粉末のICP分析値、CaSi2相の含有量(=100−CaSi相の含有量)及びCaSi相の含有量を示す。
合成されたCaSiy粉末のICP組成は、CaSi1.65(比較例1)、CaSi1.86(実施例1)又はCaSi1.98(実施例2)であった。
X線回折(図2〜4参照)の結果、CaSiy粉末は、いずれもCaSi2相が主成分と同定された。比較例1で得られたCaSiy粉末のCaSi相の含有量は、12.74%であった。一方、実施例1及び2で得られたCaSiy粉末のCaSi相の含有量は、それぞれ、2.5%及び〜0%であった。
[3.2. MnSix粉末の組成(実施例3〜6、比較例2〜6)]
表3に、比較例1のCaSiy粉末を原料に用いて合成されたMnSix粉末(比較例2〜6)のMnSi2-z相の含有量(=100−MnSi相の含有量)及びMnSi相の含有量を示す。また、図2に、比較例1で合成されたCaSiy粉末及び比較例2〜6で合成されたMnSix粉末のX線回折パターンを示す。
X線回折の結果、MnSix粉末は、いずれもMnSi2-z相が主成分と同定された。表3及び図2より、CaSi相の含有量が10%を超えるCaSiy粉末を出発原料に用いると、合成された粉末中のMnSi相の含有量が10%を超えることがわかる。
表4に、実施例1又は実施例2のCaSiy粉末を原料に用いて合成されたMnSix粉末(実施例3〜6)のMnSi2-z相の含有量(=100−MnSi相の含有量)及びMnSi相の含有量を示す。また、図3に、実施例1で得られたCaSiy粉末及び実施例3で得られたMnSix粉末のX線回折パターンを示す。さらに、図4に、実施例2で得られたCaSiy粉末及び実施例4〜6で得られたMnSix粉末のX線回折パターンを示す。
X線回折の結果、MnSix粉末は、いずれもMnSi2-z相が主成分と同定された。表4及び図3〜4より、
(1)CaSi相の含有量が10%以下であるCaSiy粉末を出発原料に用いると、合成された粉末中のMnSi相の含有量が7%以下になる、
(2)反応温度を最適化すると、MnSi相の含有量が極めて少ないMnSix粉末が得られる、
ことがわかる。
[3.3. SEM観察]
図5に、実施例6で得られたMnSix粉末のSEM像を示す。合成されたMnSix粉末は、単一の粒子からなるものも含まれるが、大半は、図5に示すように、一次粒子の凝集体になっている。
図5より、
(1)一次粒子の粒径は、小さいもので100nm以下、大きいものでもその大半は、数百nm以下である、
(2)一次粒子のアスペクト比は、最大でも2程度である、
ことがわかる。
[3.4. TEM観察]
図6(a)に、実施例6で得られたMnSix粉末のTEM像を示す。また、図6(b)に、実施例6で得られたMnSix粉末の高分解TEM(HRTEM)像を示す。さらに、図7に、実施例6で得られたMnSix粉末の電子線回折パターン(図6(a)の「○」部からの回折)を示す。
図6及び図7より、
(1)電子線回折パターンは、Mn4Si7(MnSi1.75)の回折パターンに一致する、
(2)電子回折スポットが明瞭で、結晶性が高い、
(3)格子縞が明瞭で、結晶性が高い、
ことがわかる。
[3.5. 比表面積]
実施例3及び6で得られたMnSix粉末の比表面積は、それぞれ、6.37m2/g及び10.5m2/gであった。MnSix粉末の密度が5g/cm3であり、一次粒子の形状が完全球形であると仮定すると、平均粒径は、それぞれ、188nm及び114nmに相当する。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係るMnSix粉末及びその製造方法は、太陽熱発電器、海水温度差熱電発電器、化石燃料熱電発電器、工場排熱や自動車排熱の回生発電器等の各種の熱電発電器、光検出素子、レーザーダイオード、電界効果トランジスタ、光電子増倍管、分光光度計のセル、クロマトグラフィーのカラム等の精密温度制御装置、恒温装置、冷暖房装置、冷蔵庫、時計用電源等に用いられる熱電素子を構成する熱電材料及びその製造方法として使用することができる。
また、本発明に係るMnSix粉末製造用CaSiy粉末及びその製造方法は、本発明に係るMnSix粉末を製造するための原料及びその製造方法として使用することができる。

Claims (6)

  1. 以下の構成を備えたMnSix粉末。
    (a)前記MnSix粉末は、MnSi2-z相(但し、1.71≦2−z≦1.75)を主成分とし、(1)式で表されるMnSi相の含有量が7%以下である。
    MnSi相の含有量(%)=I1×100/(I1+I2) ・・・(1)
    但し、I1は、MnSi相のXRD最強線強度。
    2は、MnSi2-z相のXRD最強線強度。
    (b)前記MnSix粉末は、Si/Mn比(x)が1.5≦x<2.0である。
    (c)前記MnSix粉末は、一次粒子のアスペクト比が5以下であり、比表面積が2.5m2/g以上である。
  2. Mn4Si7単結晶微粒子を主成分とする請求項1に記載のMnSix粉末。
  3. 以下の構成を備えたMnSix粉末製造用CaSiy粉末。
    (a)前記MnSix粉末製造用CaSiy粉末は、CaSi2相を主成分とし、(2)式で表されるCaSi相の含有量が10%以下である。
    CaSi相の含有量(%)=I3×100/(I3+I4) ・・・(2)
    但し、I3は、CaSi相のXRD最強線強度。
    4は、CaSi2相のXRD最強線強度。
    (b)前記MnSix粉末製造用CaSiy粉末は、Si/Ca比(y)が1.5≦y≦2.0である。
  4. Ca源とSi源とを、Si/Ca比(モル比)が1.5以上2.0以下となるように配合し、前記原料を溶解させる溶解工程と、
    前記溶解工程で得られた溶湯を凝固させ、請求項3に記載のMnSix粉末製造用CaSiy粉末を得る凝固工程と
    を備えたMnSix粉末製造用CaSiy粉末の製造方法。
  5. 前記凝固工程は、前記溶湯を急冷凝固させるものである請求項4に記載のMnSix粉末製造用CaSiy粉末の製造方法。
  6. 請求項3に記載のMnSix粉末製造用CaSiy粉末と塩化Mnとを、Mn/Ca比(モル比)が1以上となるように混合する混合工程と、
    前記混合工程で得られた混合物を加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程で得られた反応物を、前記塩化Mn及び/又は塩化Caを溶解可能な1又は2以上の溶媒で洗浄し、未反応の前記塩化Mn及び副生した前記塩化Caを除去する洗浄工程と
    を備えたMnSix粉末の製造方法。
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