JP5312134B2 - 自動二輪車における蒸発燃料処理装置 - Google Patents

Description

本発明は、後輪を駆動する動力を発揮するようにして乗員用シートの下方に配置されるエンジンと、該エンジンに供給される燃料を貯留して前記エンジンの前方に配置される燃料タンクと、該燃料タンク内で蒸発した燃料ガスを吸着するキャニスタとを備える自動二輪車に関し、特に、蒸発燃料処理装置の改良に関する。

燃料タンク内で蒸発して燃料ガスを吸着するキャニスタが、乗員用シートの下方に配置されるヘルメット収納ボックスの後方、かつリヤクッションの上部から車幅方向に変位した位置にキャニスタが配置されるようにしたスクータ型の自動二輪車が、特許文献１で知られている。

特開平４−３５３２５７号公報

ところで、エンジンの停止中には燃料タンクで蒸発した燃料ガスをキャニスタにチャージし、エンジンの停止中にはキャニスタで吸着された燃料を蒸発させてエンジン側にパージするのであるが、自動二輪車のコンパクト化を図りつつ、チャージラインおよびパージラインの短縮化を図ることが望まれている。

本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、チャージラインおよびパージラインの短縮化を図り、自動二輪車のコンパクト化を可能とした自動二輪車における蒸発燃料処理装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために、本発明は、乗員用シートの下方に配置されて前後方向に延びると共に車体フレームに上下揺動可能に軸支されるパワーユニットと、そのパワーユニットの後端に軸支されて、該パワーユニット前部のエンジンから伝動装置を介して動力が伝達される後輪と、前記エンジンに供給される燃料を貯留して前記エンジンの前方に配置される燃料タンクと、該燃料タンク内で蒸発した燃料ガスを吸着するキャニスタとを備える自動二輪車において、前記乗員用シートの上面よりも低い位置で車体カバーには、乗降時に乗員の足を通す足くぐり空間を上方に形成するようにしてフロアトンネル部が設けられると共に、そのフロアトンネル部内に前記燃料タンクが配置され、前記燃料タンクが、タンク主部と、該タンク主部の上壁よりも上方に突出するようにしてタンク主部の前側上部に連なるとともに上端部に給油口が設けられる筒部とを一体に有し、前記キャニスタが、前記筒部の上端よりも低い位置で該筒部の後方かつ前記タンク主部の上方に配置され、車両前後方向で前記キャニスタよりも後側に在って該キャニスタから前記エンジン側への燃料ガスのパージを制御するパージコントロール弁が、前記筒部の上端よりも低い位置で該筒部の後方かつ前記タンク主部の上方に配置されることを第１の特徴とする。

また本発明は、第１の特徴の構成に加えて、前記燃料タンク内の燃料を前記エンジン側に供給する燃料ポンプが前記筒部よりも後方で前記タンク主部の上壁に取付けられることを第２の特徴とする。

さらにまた本発明は、第１または第２の特徴の構成に加えて、車体フレームが、操向ハンドルを操向可能に支承するヘッドパイプと、そのヘッドパイプに前端が連設される左右一対のセンターフレームとを備え、その両センターフレーム間に設けたステーに、車幅方向に延びるよう配置した前記キャニスタが支持されることを第３の特徴とする。

さらにまた本発明は、第１〜第３の何れかの特徴の構成に加えて、車体フレームが、操向ハンドルを操向可能に支承するヘッドパイプに前端が連設されて後方に延びるセンターフレームを備え、前記キャニスタが車両側面視で前記センターフレームの一部と重なることを第４の特徴とする。

さらにまた本発明は、第１〜第４の何れかの特徴の構成に加えて、車両側面視で、前記筒部と前記キャニスタと前記パージコントロール弁と前記エンジンの上部に設けた吸気装置とが、この順序で前方から後方に順次配置され、前記筒部と前記キャニスタ間は、互いに直列に延びるチャージ管及びチャージホースを介して接続され、前記キャニスタと前記パージコントロール弁間は第１パージホースを介して、また前記パージコントロール弁と前記吸気装置間は第２パージホースを介してそれぞれ接続されることを第５の特徴とする。

本発明の第１の特徴によれば、燃料タンクが、タンク主部と、該タンク主部の上壁よりも上方に突出するようにしてタンク主部の前側上部に連なるとともに上端部に給油口が設けられる筒部とを一体に有し、キャニスタが、筒部の上端よりも低い位置で該筒部の後方かつ前記タンク主部の上方に配置されるので、燃料タンクの給油口およびエンジン間にキャニスタを配置するようにして、チャージラインおよびパージラインを短縮化することができる。また特に筒部の上端よりも低い位置で該筒部の後方かつタンク主部の上方にパージコントロール弁が配置されるので、燃料タンクにおけるタンク主部の上方に生じる空きスペースを有効に利用してパージコントロール弁を配置することができる。

しかも乗員用シートの上面よりも低い位置で車体カバーには、上方に足くぐり空間を形成するようにしてフロアトンネル部が設けられ、そのフロアトンネル部内に燃料タンクが配置されるので、チャージラインおよびパージラインを短縮化するようにキャニスタを燃料タンクの上方に配置するにもかかわらず、燃料タンクにおける筒部の上端よりも低い位置にキャニスタがあることにより、フロアトンネル部の上縁を乗員用シートの上面よりも極力低い位置に配置することを可能として乗降性を高めることができる。

本発明の第２の特徴によれば、燃料ポンプが筒部よりも後方でタンク主部の上壁に取付けられるので、燃料タンクの容量を確保しつつ燃料ポンプを小型化することができる。

自動二輪車の左側面図である。 図１の２矢示部の縦断面図である。 図２の３矢視図である。 図３の４−４線断面図である。

以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。

本発明の実施例１について図１〜図４を参照しながら説明すると、先ず図１において、スクータ型である自動二輪車の車体フレームＦは、前輪ＷＦを軸支するフロントフォーク１０ならびに該フロントフォーク１０に連結される操向ハンドル１１を操向可能に支承するヘッドパイプ１２を前端に備えるものであり、後輪ＷＲを後端で支持するパワーユニットＰが車体フレームＦの前後方向中間部で上下揺動可能に支持され、車体フレームＦの後部には、乗員用シート１３と、該乗員用シート１３の後方に配置されるパッセンジャーシート１４とが配置される。

図２を併せて参照して、前記車体フレームＦは、前記ヘッドパイプ１２と、該ヘッドパイプ１２から後向きに垂下される単一のダウンチューブ１６と、該ダウンチューブ１６よりも上方で後下がりに延びるようにして前記ヘッドパイプ１２に前端が連設される左右一対のセンターフレーム１７…と、前記ダウンチューブ１６の下部に結合されて後方に延びる左右一対のロアフレーム１８，１８と、両ロアフレーム１８…の中間部間を結ぶとともに前記ダウンチューブ１６の下端が中央部に連設される前部クロスパイプ１９と、前記両ロアフレーム１８…の後端部間を後部クロスパイプ２０と、前記両ロアフレーム１８…の後部に前端がそれぞれ連設されて後上がりに延びる左右一対のリヤフレームパイプ２１，２１と、前記両リヤフレームパイプ２１…の前部寄り中間部を結んで前方に向かって略Ｕ字状に膨らんだ上部クロスパイプ２２とを備え、前記センターフレーム１７…の後端は前記上部クロスパイプ２２の中央部に連設される。

前記パワーユニットＰは、後輪ＷＲの前方かつ車体フレームＦにおける両リヤフレームパイプ２１…の前部間に配置されるエンジンＥと、後輪ＷＲの左側方に配置される伝動装置Ｍとから成り、伝動装置ＭはエンジンＥのクランクケース２３に連設されて後輪ＷＲの左側方に延びる伝動ケース２４内に収納され、この伝動ケース２４の後部と、左右一対のリヤフレームパイプ２１…のうち左側のリヤフレームパイプ２１との間にはリヤクッションユニット２５が設けられる。

また前記車体フレームＦと、前記パワーユニットＰの一部とは、乗員用シート１３上の乗員の足を乗せるようにして前記ロアフレーム１８…で支持される左右一対の足置き部２７…と、両足置き部２７…間で上方に隆起するとともに上方に足くぐり空間Ｓを形成して乗用用シート１３の上面よりも低い位置に配置されるフロアトンネル部２８とを有する車体カバー２９で覆われ、この車体カバー２９は車体フレームＦに取付けられる。

前記エンジンＥに供給される燃料を貯留する燃料タンク３１が前記エンジンＥの前方で前記フロアトンネル部２８内に配置されており、この燃料タンク３１は、上方に開いた下部タンク半体３２と、下方に開いた上部タンク半体３３とが結合されて成り、タンク主部３１ａと、該タンク主部３１ａの上壁３４よりも上方に突出するようにしてタンク主部３１ａの前側上部に連なる筒部３１ｂとを一体に有する。

前記筒部３１ｂの上端部には給油口３５が設けられ、該給油口３５がフィラーキャップ３６で閉じられる。また給油口３５に対応して前記車体カバー２９におけるフロアトンネル部２８には、リッド３７が開閉可能に取付けられる。

前記燃料タンク３１におけるタンク主部３１ａの上壁３４には、燃料タンク３１内の燃料を前記エンジンＥ側に供給する燃料ポンプ３８が前記筒部３１ｂの後方に位置するようにして取付けられる。また燃料タンク３１内で蒸発した燃料ガスを吸着するキャニスタ４０と、該キャニスタ４０から前記エンジンＥ側への燃料ガスのパージを制御するパージコントロール弁４１とが、前記筒部３１ｂの上端よりも低い位置で該筒部３１ｂの後方かつ前記タンク主部３１ａの上方に配置される。

図３および図４を併せて参照して、前記燃料タンク３１における筒部３１ｂの後方で前記車体フレームＦの両センターフレーム１７…間にはステー４２が設けられ、このステー４２に前記キャニスタ４０が支持される。

前記キャニスタ４０のケース４３は、車幅方向に延びるとともに両端が端壁４４，４５で閉じられるようにして円筒状に形成される。このキャニスタ４０のケース４３には、一対の係合部材４６，４６が設けられ、それらの係合部材４６…が前記ステー４２に設けられた一対の係止片４２ａ，４２ａに係合することで、キャニスタ４０が前記ステー４２上に固定的に保持される。

ところで、前記係合部材４６…は、環状部４６ａ…と、該環状部４６ａ…から外側方に突出する係合突部４６ｂ…とを一体に有して弾性材たとえばゴムにより形成されており、環状部４６ａ…は、キャニスタ４０におけるケース４３の外周に弾発的に装着され、係合突部４６ｂ…には、前記係止片４２ａ…の上部を挿通、係合するための係合孔４７…が設けられる。

ところで、前記燃料タンク３１における筒部３１ｂには、給油口３５の近傍で筒部３１ｂ内に一端を開放した金属製のチャージ管４８が、前記筒部３１ｂの後壁を貫通して後方に突出するようにして設けられ、燃料タンク３１内で蒸発した燃料ガスを導出するためのチャージホース４９の一端部が前記チャージ管４８の他端に接続される。また前記キャニスタ４０におけるケース４３の両端壁４４，４５のうち左側の端壁４４には前記チャージホース４９の他端が接続される。これにより燃料タンク３１内で蒸発した燃料ガスがキャニスタ４０で捕集されることになる。

また前記ステー４２よりも後方で車体フレームＦの上部クロスメンバ２２には、ステー５０が固着されており、該ステー５０にパージコントロール弁４１が取付けられる。このパージコントロール弁４１は、エンジンＥの冷間時やアイドル運転時には閉弁し、エンジンＥの熱間時には開弁する電磁弁である。

一方、キャニスタ４１で捕集した燃料ガスを吸い出すための第１パージホース５１の一端部が、前記キャニスタ４０における左側の端壁４４に接続されており、前記パージコントロール弁４１に第１パージホース５１の他端部が接続される。また第２パージホース５２の一端部が前記パージコントロール弁４１に接続されており、この第２パージホース５２の他端部は、前記エンジンＥの吸気装置５３における吸気管５４に接続される。而してキャニスタ４０で捕集された燃料ガスは、エンジンＥの熱間時に吸気装置５３の負圧によってキャニスタ４０から吸い出され、第１パージホース５１、パージコントロール弁４１および第２パージホース５２を経て吸気装置５３の吸気管５４からエンジンＥに供給される。

前記キャニスタ４０のケース４３における両端壁４４，４５のうち右側の端壁４５には、キャニスタ４０内を大気に開放するための大気開放チューブ（図示せず）と、キャニスタ４０内からドレンを排出するためのドレンチューブ（図示せず）とが接続される。

次にこの実施例１の作用について説明すると、燃料タンク３１が、タンク主部３１ａと、該タンク主部３１ａの上壁３４よりも上方に突出するようにしてタンク主部３１ａの前側上部に連なるとともに上端部に給油口３５が設けられる筒部３１ｂとを一体に有し、キャニスタ４０が、筒部３１ｂの上端よりも低い位置で該筒部３１ｂの後方かつ前記タンク主部３１ａの上方に配置されるので、燃料タンク３１の給油口３５およびエンジンＥ間にキャニスタ４０を配置するようにしてチャージラインおよびパージラインを短縮化することができる。

また燃料ポンプ３８が筒部３１ｂよりも後方でタンク主部３１ａの上壁３４に取付けられるので、燃料タンク３１の容量を確保しつつ燃料ポンプ３８を小型化することができる。

また筒部３１ｂの上端よりも低い位置で該筒部３１ｂの後方かつタンク主部３１ａの上方に、キャニスタ４０からエンジンＥ側への燃料ガスのパージを制御するパージコントロール４１が配置されるので、燃料タンク３１におけるタンク主部３１ａの上方に生じる空きスペースを有効に利用してパージコントロール弁４１を配置することができる。

しかもパージコントロール弁４１が電磁弁であるので、パージコントロール弁４１を燃料ポンプ３８に近づけて配置することができ、ハーネスをコンパクトに纏めることができる。

さらに燃料タンク３１は、乗降時に乗員の足を通す足くぐり空間Ｓを上方に形成するようにして乗員用シート１３の上面よりも低い位置で車体カバー２９に設けられるフロアトンネル部２８内に配置されるのであるが、チャージラインおよびパージラインを短縮化するようにキャニスタ４０を燃料タンク３１の上方に配置するにもかかわらず、燃料タンク３１における筒部３１ｂの上端よりも低い位置にキャニスタ４０があることにより、フロアトンネル部２８の上縁を乗員用シート１３の上面よりも極力低い位置に配置することを可能として乗降性を高めることができる。

以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。

１３・・・・乗員用シート
３１・・・・燃料タンク
３１ａ・・・タンク主部
３１ｂ・・・筒部
３５・・・・給油口
３８・・・・燃料ポンプ
４０・・・・キャニスタ
４１・・・・パージコントロール弁
Ｅ・・・・・エンジン
Ｓ・・・・・足くぐり空間
ＷＲ・・・・後輪

Claims (5)

1. 乗員用シート（１３）の下方に配置されて前後方向に延びると共に車体フレーム（Ｆ）に上下揺動可能に軸支されるパワーユニット（Ｐ）と、そのパワーユニット（Ｐ）の後端に軸支されて、該パワーユニット（Ｐ）前部のエンジン（Ｅ）から伝動装置（Ｍ）を介して動力が伝達される後輪（ＷＲ）と、前記エンジン（Ｅ）に供給される燃料を貯留して前記エンジン（Ｅ）の前方に配置される燃料タンク（３１）と、該燃料タンク（３１）内で蒸発した燃料ガスを吸着するキャニスタ（４０）とを備える自動二輪車において、
   前記乗員用シート（１３）の上面よりも低い位置で車体カバー（２９）には、乗降時に乗員の足を通す足くぐり空間（Ｓ）を上方に形成するようにしてフロアトンネル部（２８）が設けられると共に、そのフロアトンネル部（２８）内に前記燃料タンク（３１）が配置され、
   前記燃料タンク（３１）が、タンク主部（３１ａ）と、該タンク主部（３１ａ）の上壁（３４）よりも上方に突出するようにしてタンク主部（３１ａ）の前側上部に連なるとともに上端部に給油口（３５）が設けられる筒部（３１ｂ）とを一体に有し、
   前記キャニスタ（４０）が、前記筒部（３１ｂ）の上端よりも低い位置で該筒部（３１ｂ）の後方かつ前記タンク主部（３１ａ）の上方に配置され、
   車両前後方向で前記キャニスタ（４０）よりも後側に在って該キャニスタ（４０）から前記エンジン（Ｅ）側への燃料ガスのパージを制御するパージコントロール弁（４１）が、前記筒部（３１ｂ）の上端よりも低い位置で該筒部（３１ｂ）の後方かつ前記タンク主部（３１ａ）の上方に配置されることを特徴とする、自動二輪車における蒸発燃料処理装置。
2. 前記燃料タンク（３１）内の燃料を前記エンジン（Ｅ）側に供給する燃料ポンプ（３８）が前記筒部（３１ｂ）の後方で前記タンク主部（３１ａ）の上壁（３４）に取付けられることを特徴とする請求項１記載の自動二輪車における蒸発燃料処理装置。
3. 車体フレーム（Ｆ）が、操向ハンドル（１１）を操向可能に支承するヘッドパイプ（１２）と、そのヘッドパイプ（１２）に前端が連設される左右一対のセンターフレーム（１７）とを備え、その両センターフレーム（１７）間に設けたステー（４２）に、車幅方向に延びるよう配置した前記キャニスタ（４０）が支持されることを特徴とする請求項１または２記載の自動二輪車における蒸発燃料処理装置。
4. 車体フレーム（Ｆ）が、操向ハンドル（１１）を操向可能に支承するヘッドパイプ（１２）に前端が連設されて後方に延びるセンターフレーム（１７）を備え、
   前記キャニスタ（４０）が車両側面視で前記センターフレーム（１７）の一部と重なることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の自動二輪車における蒸発燃料処理装置。
5. 車両側面視で、前記筒部（３１ｂ）と前記キャニスタ（４０）と前記パージコントロール弁（４１）と前記エンジン（Ｅ）の上部に設けた吸気装置（５３）とが、この順序で前方から後方に順次配置され、
   前記筒部（３１ｂ）と前記キャニスタ（４０）間は、互いに直列に延びるチャージ管（４８）及びチャージホース（４９）を介して接続され、
   前記キャニスタ（４０）と前記パージコントロール弁（４１）間は第１パージホース（５１）を介して、また前記パージコントロール弁（４１）と前記吸気装置（５３）間は第２パージホース（５２）を介してそれぞれ接続されることを特徴とする請求項１〜４の何れか１項に記載の自動二輪車における蒸発燃料処理装置。

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