JP5311951B2 - 加熱調理器 - Google Patents
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そこでこのような問題を解決するものとして、調理庫内の被加熱物を加熱する電気加熱手段と、前記調理庫内の温度を検知する温度センサと、前記調理庫内で発生する煙等を調理庫外へ除去する除煙手段と、前記温度センサより入力する信号に基づき前記調理庫内で発火が発生していることを検知する発火検知手段と、発火報知を行う報知手段と、前記加熱手段および前記除煙手段を通電制御し、かつ前記発火検知手段より入力する信号に基づき前記調理庫内で発火が発生していることを検知すると前記加熱手段および前記除煙手段への通電を抑制し、所定時間経過した後に前記報知手段を駆動制御する制御手段を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また最近は電磁誘導加熱源と併用できる複合型加熱調理器(IHクッキングヒータと呼ばれることもある)が普及拡大しており、特に台所の厨房家具に組み込まれる組み込み式(ビルトイン式)では、電気輻射式加熱源のみ備えた調理器に比較して高級感のある製品であるため、加熱室の発火を迅速に検知できることに期待が大きい。
さらに個別に通電制御できる加熱体を複数有する複合式加熱調理器においては、他の電気加熱手段による調理制御に悪影響を与えることなく発火時の対応を適切に実施できる。
(加熱調理器)
図1および図2は本発明の実施の形態1に係る複合式加熱調理器を模式的に示すものであって、図1は一部を削除した斜視図、図2は側面視の断面図である。
なお、以下のそれぞれの図において、同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、複数の部材であって、符号に「a、b、あるいはc等」を付記するものについて、共通する内容を説明する際には、符号に付した「a、b、あるいはc等」を削除して、その一方の部材について説明する。
調理庫20は、略直方体状の空間であって、前方(図2において左側)に前方開口部21と、後方(図2において右側)に後方開口部22が形成され、天井近くに輻射式電気ヒータとしてのシーズヒータ等の上ヒータ23と、底面近くに同じくシーズヒータ等の下ヒータ24と、がそれぞれ配置されている。これらヒータ23,24は水平面内で広がりを持つように電源線が接続される両方の端子間は、予め数回屈曲させることでU字又はW字形等の平面形状に形成されている。
また、2つのヒータ23、24の火力を含む通電条件、通電時間、あるいは調理庫20の雰囲気温度を設定するための各種操作キー群は、後述する天板操作部81に設けてある。
扉40は調理庫20の前方開口部21を覆うものであって、前面(図2において左側の面)には、縦断面形状が庇状になっている取っ手50が設けられている。したがって、調理者は取っ手50に手を掛けて載置皿30を調理庫20に出し入れすることができる。また、載置皿30を最も奥に押し込んだとき、扉40は調理庫20の前方開口部21の周囲に気密的に密着するものである(正確には、後記する吸気孔45a、45bに限って通気性がある)。
さらに、扉40の裏板42には、載置皿30を支持する皿支持フレーム31が固定または傾動自在に設置されている。皿支持フレーム31はグリル加熱室の側壁に形成されたフレームガイド(図示しない)に案内されて、これに摺動するものである。
天板70の上面には、鍋載置サークル71a、71b、71c(以下まとめて「鍋載置サークル71」と称する場合がある)が描かれ、天板70の下面でそれぞれの直下に加熱体72a、72b、72c(以下まとめて「加熱体72」と称する場合がある)が設置されている。加熱体72a、72b、72cは、本体10の前面に設けられた前面操作部11に設置されている(ダイヤル式)火力設定スイッチ73a、73b、73cによって、あるいは枠体80の前方に設けられた天板操作部81に設置されている押圧式火力設定スイッチ74a、74b、74c(図1では代表符号74)によって、操作され、通電条件が設定されるものである。なお、操作や調理の状態は、天板70に設けられた後述する報知手段としての表示部75、例えば天板70の下方に設置された液晶画面により天板上に表示される。なおこの天板には前記した排気窓70Aが形成されている。また前記火力設定スイッチ73a、73b、73c、及び押圧式火力設定スイッチ74a、74b、74cは、全て電源スイッチ(図示せず)を介して電源が供給される。つまり通電制御回路200により、それらスイッチの操作信号が有効、無効になるように構成されている。また天板操作部81には火力設定スイッチ74a、74b、74c以外に、通電時間設定タイマーの操作キーや温度設定キー等各種キーが設置されている。
図1に示すように、天板70の左右方向の中央部で、前後方向の前側に報知手段の一例としての表示部75が設置されている。この表示部は全部の加熱体72の状況を視覚的手段で示すことから「統合表示画面」ともいうが、液晶パネルを主体に構成され、天板70を介して(透過させて)その下面から表示光を上面側に放つように天板70の下面近傍に設けられている。
すなわち、以下の3つの場面に対応して、通電されているかどうかという動作状況やその通電条件の情報が、文字やイラスト、グラフなどによって表示されるものである。具体的な構造と表示動作について省略する。
(1)左側の加熱体72a、右側の加熱体72bの状態。
(2)中央の加熱体72cの状態。
(3)調理庫20の状態。
なお各加熱体72で加熱調理を行う場合の操作手順や機能(例えば、現在ロースター、グリル、オーブンの何れの種類の調理が行われているか否か)も表示される。また中央の加熱体72cを速熱式輻射型ヒータ(ラジアントヒータともいう)に変えても良く、左側の誘導加熱加熱体72aと右側の誘導加熱加熱体72bの何れかを同様に変えても良い。
(1)左加熱体72aの対応エリア(火力と時間と温度で各1個)。
(2)中央加熱源72cの対応エリア(火力と時間で各1個)。
(3)右加熱体72bの対応エリア(火力と時間と温度で各1個)。
(4)調理庫20の対応エリア(火力と温度、時間で各1個)。
(5)各種調理における「参考情報」を随時又は使用者の操作で表示するガイドエリア(1個)。
(6)発火検知、異常運転検知時及び不適正操作使用時に使用者に報知する重要な「調理関連情報」の表示エリア(1個)。このエリアは発火検知や異常時における使用者への助言や対処方法などの情報も表示される(その表示内容は合成音声手段によって音声で使用者へ報知しても良い)。
図3〜図6は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器における扉を模式的に示すものであり、図3の(a)は部分を分離して示す斜め前方から後方に向かって見た斜視図、図3の(b)は平面視の断面図、図4は斜め後方から前方に向かって見た斜視図、図5は風路を示す斜視図、図6の(a)は側方から見た中央部の断面図、図6の(b)は側方から見た側部の断面図である。
図6において、扉40は、前面上側の金属製表板41および前面下側のプラスチック製前板45と、後面の金属製裏板42と、表板41および前板45の外周と裏板42の外周とを連結する金属製又はプラスチック製外周板43と、を有する函体である。
表板41は、外周が矩形の耐熱性ガラスから形成されており、透明窓41w(図6において複斜線が付されている)が形成されている。すなわち、透明窓41wを除く裏面全体には不透過性の耐熱塗装面が形成されており、透明窓41wの部分だけは当該耐熱性塗装を施していないので、透明性が確保されている。そして、表板41の下端部41cは、前板45の上端部に形成された垂直方向の溝に挿入されてネジ等の固定手段(図示せず)で固定されている。
そのため、表板41と、裏板42と、外周板43の上部のコ字状の範囲と、内周板44の上側と、シール材121および内側透明窓120の一部と、によって囲まれた密閉構造の上部ドアー空間49Uが形成されている。また、前板45と、裏板42と、外周板43の下部のコ字状の範囲と、内周板44の下側と、シール材121および内側透明窓120の一部と、によって囲まれた下部ドアー空間49Lが形成されている。
すなわち、扉40には、上部ドアー空間49Uおよび下部ドアー空間49Lの2つの空間が区画形成されている。
図3の(a)において、グリル扉40の前板45の前面には前方に突出する取っ手50が設けられており、前板45の側方寄りに貫通する吸気孔45a、45bが形成されている。なお、図3において、吸気孔45a、45bは6個の丸孔を示しているが、その数量や形状はこれに限定されるものではない。
図4において、グリル扉40の裏板42には側方吹出孔46および中央吹出孔47が形成されている(これについては別途詳細に説明する)。
したがって、図3に示すような表板41の全幅に渡る取っ手50においては、取っ手50の中央範囲である約100〜150mmを除く、側縁41a、41b寄りの範囲を指している。あるいは、取っ手50が表板41の幅方向の中央範囲である約100〜150mmの範囲に設置された場合には、取っ手50を除く側縁41a、41b寄りの範囲を指している。
取っ手50は、前板45の略全幅に渡って設置されるものであって、取っ手50の端部50a、50b(手掛け部52の端部52a、52bに同じ)が、それぞれ前板45の左右両側縁に設置(ネジなどで固定接続)されている。
さらに、側方寄りで、取っ手50のフランジ部51と後面壁55とが交わる角部に、フランジ部51を上下に貫通するように、細長形状のスリット90が形成されている。
したがって、手掛け部52および後面壁55の中央部と一対の仕切壁53a、53bとによって囲まれ、上方をフランジ部51の中央部によって覆われた中央取っ手空間59c(略四角柱状)が形成されている。
また、手掛け部52および後面壁55の側方寄り部と一方の仕切壁53aとによって囲まれ、上方をフランジ部51の側方寄り部によって覆われた側方取っ手空間59a(略直角三角柱状)が形成され、同様に、手掛け部52および後面壁55の側方寄り部と他方の仕切壁53bとによって囲まれ、上方をフランジ部51の側方寄り部によって覆われた側方取っ手空間59b(略直角三角柱状)が形成されている。
そして、略直角三角柱状の側方取っ手空間59a、59bにおける後面壁55に、透孔56a、56bが形成されている。取っ手50が設置された状態で、透孔56a、56bはそれぞれ吸気孔45a、45bに一致し、透孔56aと吸気孔45aとによって、透孔56bと吸気孔45bとによって、それぞれ通気路が形成されるようになっている。すなわち、扉40の下部ドアー空間49Lに通ずる吸気通路になる。したがって、台所等の室内の空気は、側方取っ手空間59a、59bから、前記吸気通路を経由して扉40の下部ドアー空間49Lに吸引される。
そして、平面視において前方中央に行くに従って徐々に突出した「アーチ形状」であるため、手掛け部52の端部50a、50bに近い範囲は、手掛け部52と後面壁55との間隔が狭くなり、使用者が手指を掛けることが困難になっている。すなわち、使用者の手指が側方取っ手空間59a、59bに侵入しないため、調理の際、吸気孔45a、45bが塞がれるおそれがない。また、万一、調理庫20の圧力が上昇して熱気が逆流し、連通している吸気孔45aおよび透孔56a、あるいは連通している吸気孔45bおよび透孔56bから側方取っ手空間59a、59bに熱気が流出した場合であっても、下方のみが開口しているから、かかる熱気は下方に向かって流れ出し、使用者の手指に熱気が触れることがない(図6の(b)参照)。
なお、取っ手50は断面略h字状であって、下方が開口した函体であるから、大きな断面二次モーメントを具備するものであるが、仕切壁53a、53bを設けたことによって、剛性がさらに大きくなっている。また、取っ手50(含む、仕切壁53)は前板45と一体的に成形してもよい。
図4において、グリル扉40の裏板42の側縁42a、42b寄りの範囲に、貫通する側方吹出孔46a、46b(以下まとめて「側方吹出孔46」と称する場合がある)と、裏板42の中央範囲に、貫通する中央吹出孔47と、が形成されている。
図4において、裏板42の外周にそって、矩形環状にシール用パッキン48が固定されている。シール用パッキン48は扉40を後方に押し込んだ際、調理庫20の前方開口部21の前面周囲に結合された金属製前板169に気密的に当接するものであって、吸気孔45a、45b以外の個所から空気がグリル加熱室に侵入しないようにシールしており、断面が真円形や楕円形又は2重の円形などの形状になっていて扉40閉鎖時に圧縮力を受けた際に容易に変形するよう全体が柔軟性のある耐熱性ゴムで形成されている。
図7に示すように、本発明の実施の形態1における通電制御手段200は、1つ又は複数のマイクロコンピュータを内蔵して構成されている通電制御回路によって形成されている(以下、通電制御手段は、通電制御回路と称する)。
通電制御回路200は、入力部110と、出力部111と、記憶部112と、演算処理制御部113とから構成されている。通電制御回路200は、定電圧回路(図示せず)を介して直流電源が供給されて、全ての加熱体と表示部75を制御する中心的な制御手段の役目を果たすものである。
同様に、この右加熱源体のインバータ回路172bと並列に、左加熱体72aのインバータ回路172aが整流回路221(図示せず)を介して、前記商用電源に接続されている。
133は前記排気風路用ダクト63の途中に設けた触媒ヒータ61Aを駆動するヒータ駆動回路、134は表示部75の液晶画面を駆動する駆動回路である。135は本体10の内部空間を一定の温度範囲に保つための冷却用送風機136のモータの駆動回路である。なお、この送風機は、本体10の前面操作部11の後方空間に設置されており、その送風路の中に前記加熱体72a、72bの誘導加熱コイル部があり、そのコイル部が空冷される構成になっている。
左側加熱体72aのインバータ回路172aは、右側加熱体72bと同等の回路構成であるので説明は省略する。
このような共振型インバータ回路の構成には、加熱コイルと共振用コンデンサの接続先をどのように切り替えるかによって、いわゆるハーフ・ブリッジ回路とフル・ブリッジ回路と呼ばれる方式に分かれるが、本発明はこのような基本的な回路方式の違いは一切関係しないので、適宜選択すれば良い。
図7において、139は温度検出回路である。この温度検出回路には、以下の各温度検出素子(以下、温度センサと称する)からの温度検出情報が入力される。
(1)左側加熱体72aの加熱コイル中央部に設けた温度センサ140L。
(2)右側加熱体72bの加熱コイル中央部に設けた温度センサ140R。
(3)中央加熱体72cの近傍で真上に設けた温度センサ141。
(4)調理庫20の庫内温度検出用温度センサ142。
(5)表示部(統合表示手段)75の近傍に設置した温度検出素子143。
(6)本体10の右側空間の電気部品室に設置された放熱フィンに密着して取り付けられた温度センサ144R(右側加熱体72b用)。
(7)本体10の右側空間の電気部品室に設置された放熱フィンに密着して取り付けられた温度センサ144L(左側加熱体72a用)。
なお、ここでいう放熱フィンとは、前記インバータ回路172a、172bを構成している前記IGBTなどの発熱性電気部品を取り付けたものであり、前記冷却用送風機136が本体10外部から吸引して供給する冷却風の風路内に位置している。
図7において、150は発火検知手段である。この発火検知手段は、以下の構成を備えている。
151は発火検知手段150の全体の動作を制御する制御部、152は発火状態かどうかを判定する判定部で、予め発火判定基準のデータが格納された半導体記憶部153からの判定基準データと、赤外線信号を受信する受信部154からの検出データとを比較して出火判定を行う。155は受信部154の動作確認のために擬似的赤外線信号(波長4.4μm)を前記受信部154に向けて発信する発信部である。
前記受信部154は、外ケース26の天井面の前方部中央に形成された開口159に臨ませてあり、その開口159に対応してその下方の内ケース25天井面には窓161が形成されている。
炎から放射される赤外線には、単なる高温物体や太陽光等から放射される赤外線とは異なる顕著な特徴があるので、そのような特徴を利用して発火検知できる。
そこで、CO2共鳴放射の波長帯のみを検出するように、光学フィル夕を赤外線受光センサより前段に設け、入射した赤外線から上記特定波長(4.4μmを中心にこの前後の2つの周波数、例えば4.0μmと4.8μmの2つを加え計3波長)付近の赤外線を赤外線センサに入射し、電気信号に変換すれば良い。この後その電気信号を3つの波長域毎に電気的バンドパスフィルタを持つ信号増幅部にて、1〜10Hzのちらつき周波数成分だけを選択すれば、火炎が発生したことを判別できる。なお室内の人工照明や自然光などに影響されずに発火を検知できる。
次に、上記の構成からなる加熱調理器の動作の概要を説明する。
図9〜14は、通電制御回路200の内部にある記憶部112に格納された基本動作プログラムに基づく動作を示すフローチャートである。その基本動作プログラムは、電源投入から調理準備開始、調理、終了、電源切りまでの基本動作を規定している。
すると、定電圧回路(図示せず)を介して所定の電源電圧が通電制御回路200に供給され(ST2)、通電制御回路200は自身に格納されている制御プログラムを起動する。
通電制御回路200は、調理器の自己診断チェックを開始し、調理前異常監視処理を行うため、表示部75用の駆動回路134と、その表示部の冷却用送風機138用の駆動回路137を駆動する(ST3)。
温度検出回路139は、合計7個所に設けた温度検出素子140、141、142、143、144からの温度データを読み込み、その温度データを通電制御回路200に送る(ST4)。
以上のようにして通電制御回路200には、調理器本体10の主要な構成部分の温度データが集まるので、調理前に異常に高温度になっている部分があるかどうかを判定する(ST5)。例えば、温度検出素子143により検出された表示部75の液晶基板周辺の温度が、その液晶表示基板の耐熱温度(例えば70℃)を基準に、それよりも所定温度(例えば5℃低い場合、つまり65℃)を超えた場合は、異常高温と判定する。通常は起動直後で、そのように表示部75の液晶表示基板周辺が高温になっているはずはないが、例えば前回高温の天ぷら調理し、その高温の鍋がそのまま表示部75の真上位置で天板70上に置かれ、調理器の電源が切られているケースが想定される。また右側加熱体72bの加熱コイルの中央部に設けた前記温度センサ140Rの温度が例えば100℃となっている場合も、(通電開始前)には通常あり得ない事態である。
誘導加熱調理を選択した場合について説明する。図10は右側の加熱体72bで調理する動作を示している。まず調理メニューの選択動作を選ぶと、その指令信号を通電制御回路200が受信し、選択された加熱源の調理開始プログラムを起動する。
なお、誘導加熱調理を選択する操作は、前記前面操作部11の火力スイッ73bが非使用時は前面操作部11表面と面一状態になるよう内部に没しており、これを押す操作すると、内部のバネ機構の力で突出状態になるが、この瞬間にその突出動作で選択動作が行われる。つまり、火力スイッチ73bを全面操作部11表面に突出させたことが右側加熱体72bによる調理を選択したことになる(ST10)。
インバータ回路172b設けられた電流検出センサ116は、インバータ回路の共振回路に流れる電流を検出し、この検出結果を通電制御回路200の入力部110に供給する。
異常時処理2では、その使用開始していた右側の誘導加熱体72bによる調理動作は緊急で停止される。また表示部75にて「異常」の内容を表示し、通電した各部分の電源を切る動作をする。再度起動しても異常状態に変化なければ同じ動作フローになり、再度電源は強制的に遮断される。
本実施の形態1における加熱調理器は、加熱開始前の異常判定に加えて図11に示すように、誘導加熱調理時も異常監視制御を行う。
誘導加熱調理中に温度が上昇する部分は、左右の加熱体72の加熱コイルの他に、本体10の前面操作部11後方空間の電気部品室内部に設置された2つの放熱フィンと、表示部75の部分が考えられる。
そこで通電制御回路200は、温度検出回路139を介して、左右の加熱体72の加熱コイルの中央部に設けた前記温度センサ140R、140Lや、温度センサ143からの温度データを監視し、異常な温度になっていないかどうかを監視する。
是正可能な異常としては、表示部75の温度異常や加熱体72の温度異常がある。
(1)表示部72の温度異常:表示部75の検出温度が65℃を超えている場合、その表示部75を冷却する送風機駆動回路135を制御して、その送風機の回転数を増加させて冷却風量を増加させ、これを所定時間継続しても改善の効果が現れない場合は、加熱体72bの火力(電力)を(使用者が設定したものから)強制的に下げる。
(2)加熱体の温度異常:例えば右側加熱体72bの加熱コイルが異常高温になっていると判定した場合は、送風機136の駆動回路135を制御して、その送風機の回転数を増加させて冷却風量を増加させ、これを所定時間継続しても改善の効果が現れない場合は、加熱体72bの火力(電力)を(使用者が設定したものから)強制的に下げる。例えば、1段階下の火力、300W下の火力、又は10%の火力、の3者の内で、最大の火力までダウンさせる(3KW火力で使用していた場合は、送風機の送風能力増加させず、直ちに火力を2.5KWに下げる)。
これら送風機の運転継続時間は、通電停止までの温度上昇の様子や室内気温、使用された加熱体72の運転火力大小等の条件に対応して通電制御回路200が予め決められた算式や数値テーブルから決定する。
前記誘導加熱調理の期間中であるかに拘わらず、天面操作部81の操作キーを操作すると、調理庫20の上ヒータ23と下ヒータ24を同時又は個別に通電してロースト調理(例えば焼き魚)、グリル調理(例えばピザやグラタン)やオーブン調理(例えば、ケーキや焼き野菜)が行える(図12のST27参照)。
但し、本実施の形態1のように、同時に使用可能な多数の加熱手段を有する複合形加熱調理器の場合、複数の加熱手段を同時使用したときの総入力電流が家庭の配電盤の電流容量制限を超過しないようにそれぞれの加熱手段の最大設定可能火力を制御する必要があるので、すでに右側加熱体72aが3KWの火力で運転している状態では、通電制御回路200は、ヒータ23、24の火力が、(総電力容量4.8KW)−3KW)=(1.8KW)を超えないように、火力設定範囲を制限する(このような制御はデマンド制御と呼ばれている)。誘導加熱調理が行われていない場合は、ヒータ23は最大消費電力(最大火力)1200W、ヒータ24は最大消費電力800Wのものが使用されているので、合計2000Wで加熱調理できる。
このオーブン調理の場合、上ヒータ23と下ヒータ24に通電開始と同時又は所定時間遅れて、前記触媒ヒータ61Aと送風機62は運転開始される。また上ヒータ23と下ヒータ24の通電が終了してもそれらは所定時間運転継続され、その後運転が停止される。
この図9に示すように、調理庫20で加熱調理を行った場合、ほぼ同時に上ヒータ23と下ヒータ24と前記触媒ヒータ61Aの3者に通電が開始されるが、触媒ヒータ61Aは加熱庫20内の温度が所定の高温に至るまで、または所定の時間を経過するまで
は通電しないようにしても良い。
使用者がタイマーにて設定した所定時間又は調理に応じて予め設定されている時間を経過した時点(図9のT3)で上ヒータ23と下ヒータ24の通電が終了し、そのあとも前記触媒ヒータ61Aと送風機62は所定時間(例えば5分間)はそのまま運転継続され、T4の時点でそれらへの通電は停止される。
本実施の形態1における加熱調理器は、調理庫20による加熱調理中も図12に示したように異常監視制御を行う。
なお、通電制御回路200が最初に起動された際には、前述したように図9に示した動作フローチャートのST4の通り、温度検出回路139は、合計7個所に設けた温度検出素子140、141、142、143、144からの温度データを読み込み、その温度データを通電制御回路200に送って、通電制御回路200によって、調理開始前に異常に高温度になっているかどうか判定されている(ST5)。
このように調理開始前に異常判定がない場合、使用者が調理メニューを選択し、通電条件などを入力する(ST27)と、通電制御回路200は駆動回路130,131を通じてヒータ23,24に通電を開始し、使用者が選択した調理に相応しい通電条件でヒータ23,24を制御する(ST28)。
もし、温度異常と判定された場合、通電制御回路200は、所定の異常時処理3を実行する。
例えば、温度上昇が十分でない場合は、扉40を完全に閉めていない場合が想定されるので表示部75の所定の表示エリアでその旨使用者に注意喚起する文字や記号等を表示し、扉40の密閉確認を促す(表示と同時並行的に、音声で報知しても良いし、表示に代えて音声だけで報知しても良い)。この報知後に異常状態が解消されているかどうかは再度所定時間後(次の発火有無検知のステップST30を終えたあと)、再び判定され、解消していない場合は、ヒータ23、24の通電は緊急停止され、表示部75の所定の表示エリアに、異常温度で緊急停止した旨の情報を表示させる(ST26)。
本実施の形態1における加熱調理器は、調理庫20による加熱調理中に被加熱物Nが燃焼することも異常の1つと捉え、この発火監視制御を行う。
図13に示すように、まず最初に、制御部151は送信部155を起動(ST32)し、所定の周波数帯域の赤外線信号を試験用の擬似的赤外線信号として発光素子158から発信する(ST33)。
発光素子158の発光面は前記調理庫20の天井部に設置した赤外線受光センサ156の受光面に向かい合うように設置されており、また前記受光センサ156と発光素子158を結ぶ直線を横切るように前記保護ケース161の外周面が位置しているため、受光センサ156は発光素子158から放射される所定波長域(4.4μm)の赤外線信号を、その保護ケース161を介して受信することになる。
ここで保護ケース161の周面を清掃することが望ましいが、発信部155の発光素子158の発光経路上にある扉40の裏板42に形成した窓163には、保護材164が着脱自在に取り付けられているので、これを取り外して清掃したり、あるいは新しい保護材164に交換したりすることが望ましい。なお、このように保護材164の汚れがあると発火検知に影響があることを使用者に意識付けることは保護ケース161の汚れに認識を深めることにも繋がる。
もし発火と判定された場合、その判定信号を受けて通電制御回路200は発火時処理(ST38)という制御を行う。発火時処理とは例えば次のようなものである。
発火している場合、不用意に扉40を開けると一気に燃焼が拡大したり、煙が調理庫20の前方開口から溢れ出たりするようなことが想定されるので、使用者にはその旨注意を喚起する表示も行う。また扉40を開けると外気が一気に流入し、雰囲気温度が一気に下がってしまうことにもなる。そこで注意喚起の表示や報知とは、例えば、「今は扉40を開けないように」というものである。
あるいは視覚的に優先表示するため、表示文字を赤く表示したり、「発火注意」という文字を点滅させたりして強調するなどの方法が実施される。
なお、以上の実施の形態では、複数の加熱体72(図2参照)の一部として、高周波電流が流れるコイルであって、被加熱物を電磁誘導によって加熱するものを示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、また、これを必須とするものではない。たとえば、1つの加熱体72が、電熱ヒータやガスバーナ等であってもよい。このとき、加熱体の形式に応じて、天板70が撤去され、電源スイッチ73、74の形式が変動することになる。また、調理庫20のみにおいて調理し、天面に加熱手段を具備しないものであってもよい。
なお、以上の実施の形態では、発光素子158の発光面は前記調理庫20の天井部に設置した赤外線受光センサ156の受光面に向かい合うように設置させて保護ケース161の汚れ検知を行い、発光素子158に向かう被加熱物から放射される赤外線信号が、その保護ケース161の外側が汚れて受信に支障ないように事前に検知することにしていたが、例えば調理庫20の左側壁部に受光センサ156を設け、これと対向する右側壁側に発光素子158を設置し、その発光素子で受光センサ156の受光面の汚れを検知しても良い。この場合、保護ケース161を省略し、受光センサ156の受光面を清掃できるようにすることになる。
Claims (12)
- 調理庫内の被加熱物を加熱する電気加熱手段と、
前記調理庫内の発火を検知する火炎センサと、
前記調理庫内で発生する煙等を前記調理庫外へ排出させる空気流を発生する送風手段及び触媒加熱ヒータを備えた除煙手段と、
前記火炎センサより入力する信号に基づき前記調理庫内で前記電気加熱手段の通電中に火炎が発生したことを検知する発火検知手段と、
前記電気加熱手段および前記送風手段の通電を制御する通電制御手段と、
を備え、
この通電制御手段は、前記発火検知手段からの信号に基づき前記調理庫内で火炎が発生していることを検知すると、前記送風手段への通電を遮断又は抑制し、
前記発火検知手段は、発火に伴う赤外線信号を受信する赤外線センサと、このセンサの赤外線受信経路に汚れがあるかどうかを検出するため、試験用の赤外線信号を送信する送信部と、この送信部からの赤外線信号の受信状態から前記赤外線センサの受信経路の汚れがあることを判定する判定部とを具備したことを特徴とする加熱調理器。 - 前記送信部は、前記調理庫の開口部を開閉する扉の内側壁面を透過させて試験用赤外線信号を送信することを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
- 調理庫内の被加熱物を加熱する第1の電気加熱手段と、
前記調理庫外で被加熱物を加熱する第2の電気加熱手段と、
前記調理庫内の発火を検知する火炎センサと、
前記調理庫内で発生する煙等を前記調理庫外へ排出させる空気流を発生する第1の送風手段及び触媒加熱ヒータを備えた除煙手段と、
前記第2の電気加熱手段の通電中、その第2の電気加熱手段を冷却するため運転される第2の送風手段と、
前記火炎センサより入力する信号に基づき前記調理庫内で前記第1の電気加熱手段の通電中に火炎が発生したことを検知する発火検知手段と、
前記第1、第2の電気加熱手段および前記第1、第2の送風手段の通電を制御する通電制御手段と、
を備え、
この通電制御手段は、前記第1の電気加熱手段と第2の電気加熱手段の双方が同時に通電加熱されている状態において前記発火検知手段からの信号に基づき前記調理庫内で火炎が発生していることを検知すると、前記第1の送風手段への通電を遮断又は抑制し、かつ第2の送風手段への通電条件は変更しないようにし、
前記発火検知手段は、発火に伴う赤外線信号を受信する赤外線センサと、このセンサの赤外線受信経路に汚れがあるかどうかを検出するため、試験用の赤外線信号を送信する送信部と、この送信部からの赤外線信号の受信状態から前記赤外線センサの受信経路の汚れがあることを判定する判定部とを具備したことを特徴とする加熱調理器。 - 前記送信部は、前記調理庫の開口部を開閉する扉の内側壁面を透過させて試験用赤外線信号を送信することを特徴とする請求項3記載の加熱調理器。
- 前記第1の電気加熱手段と第2の電気加熱手段の各通電状態を報知する報知手段を設け、この報知手段は、前記発火検知手段からの信号に基づき前記調理庫内で火炎が発生していることを検知すると前記通電制御手段によって発火状態を報知することを特徴とする請求項3又は請求項4記載の加熱調理器。
- 前記報知手段は、前記第1の電気加熱手段と第2の電気加熱手段の通電状態を視認できる文字や記号等の手段で同時に表示する統合表示画面を有し、前記発火検知手段からの信号に基づき前記調理庫内で火炎が発生していることを検知すると、前記統合表示画面において前記第1の電気加熱手段及び第2の電気加熱手段の各通電状態の表示と発火状態の表示とを同時又は交互に切り替えて行うことを特徴とする請求項5記載の加熱調理器。
- 上面がトップテーブルで覆われ、内部に調理庫を備えた本体と、
前記調理庫内の被加熱物を加熱する電気加熱手段と、
前記トップテーブルの下方に設置され、前記電気加熱手段と独立して通電が制御されて当該トップテーブル上の被加熱物を加熱する誘導加熱手段と、
前記電気加熱手段と誘導加熱手段の各通電状態を一元的に報知する報知手段と、
前記調理庫内の発火を検知する火炎センサと、
前記調理庫内で発生する煙等を前記調理庫外へ排出させる空気流を発生する第1の送風手段及び触媒加熱ヒータを備えた除煙手段と、
前記誘導加熱手段の通電中、その加熱手段を含め前記本体内部を冷却するため運転される第2の送風手段と、
前記火炎センサより入力する信号に基づき前記調理庫内で前記電気加熱手段の通電中に火炎が発生したことを検知する発火検知手段と、
前記電気加熱手段と誘導加熱手段並びに前記第1、第2の送風手段の通電を制御する通電制御手段と、を備え、
この通電制御手段は、前記発火検知手段からの信号に基づき前記調理庫内で火炎が発生したことを検知すると、前記報知手段にて発火を報知し、
前記発火検知手段は、発火に伴う赤外線信号を受信する赤外線センサと、このセンサの赤外線受信経路に汚れがあるかどうかを検出するため、試験用の赤外線信号を送信する送信部と、この送信部からの赤外線信号の受信状態から前記赤外線センサの受信経路の汚れがあることを判定する判定部とを具備したことを特徴とする加熱調理器。 - 前記送信部は、前記調理庫の開口部を開閉する扉の内側壁面を透過させて試験用赤外線信号を送信することを特徴とする請求項7記載の加熱調理器。
- 前記通電制御手段は、前記電気加熱手段の通電中において、前記発火検知手段からの信号に基づき前記調理庫内で火炎が発生したことを検知すると、前記報知手段での発火報知に加え、前記第1の送風手段への通電を遮断又は抑制することを特徴とする請求項7又は請求項8記載の加熱調理器。
- 前記報知手段は、前記トップテーブルの上方から視認可能となるよう前記本体に設置され、前記電気加熱手段と誘導加熱手段の通電状態を表示する表示手段であることを特徴とする請求項7又は請求項8記載の加熱調理器。
- 前記誘導加熱手段と電気加熱手段を同時に通電中、前記制御手段が前記発火検知手段より入力する信号に基づき前記調理庫内で火炎が発生したことを検知すると、前記第1の送風手段への通電を遮断又は抑制し、誘導加熱手段の加熱条件は変更せず、また第2の送風手段の運転も継続することを特徴とする請求項7又は請求項8記載の加熱調理器。
- 前記誘導加熱手段と電気加熱手段で同時に通電加熱中、前記制御手段が前記発火検知手段からの信号に基づき前記調理庫内で火炎が発生したことを検知すると、前記第1の送風手段への通電を遮断又は抑制し、誘導加熱手段の加熱条件は変更せず、また第2の送風手段の運転も継続し、前記報知手段は発火検知を音声手段で報知又は視認可能な手段で表示することを特徴とする請求項7又は請求項8記載の加熱調理器。
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