JP5309726B2 - インクジェット用インク - Google Patents

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本発明はインクジェット用インクに関し、具体的には、液晶表示素子、有機EL表示素子、プリント配線基板や電子部品などを製造するために用いられるインクジェット用インクに関する。さらに本発明は、インクジェット用インクを用いた硬化膜形成方法、及び硬化膜が形成された電子回路基板に関する。
電子回路基板などの製造において、パターン化された硬化膜を形成する方法として、設備投資金額が少なく、材料の使用効率が高い等の長所を持つインクジェット法、及びこれに使用する組成物(インクジェット用インク)が提案されている(例えば、国際公開第2004/099272号パンフレット(特許文献1)等を参照)。
国際公開第2004/099272号パンフレット
近年、半導体集積度の急速な上昇や、半導体のより高密度な実装により、電子回路基板などに用いられる材料にも、より高い耐熱性や絶縁性が求められるようになってきた。しかしながら、従来のインクジェット用インクで形成される硬化膜は、このような要求を十分に満たすものではなかった。
上述する状況において、耐熱性や絶縁性の高い硬化膜を形成することのできるインクジェット用インクが求められている。
本発明者らは、上記状況に鑑みて、特定の構造を有する化合物を含有するインクジェット用インクから形成される硬化膜の耐熱性や絶縁性が高いことを見出し、本発明を完成した。本発明は以下のようなインクジェット用インク等を提供する。
[1] 下記式(1)で表される化合物(A)を含有するインクジェット用インク。
Figure 0005309726
(式(1)中、R1は炭素数6〜100の酸無水物残基であり、R2は炭素数1〜100の有機基である。)
[2] 式(1)において、R1が炭素数6〜100のテトラカルボン酸二無水物残基であり、R2が炭素数1〜70の有機基である、上記[1]に記載のインクジェット用インク。
[3] 式(1)において、R2が炭素数1〜40の有機基である、上記[1]又は[2]に記載のインクジェット用インク。
[4] 式(1)において、R2がオキセタン、オキシラン又はシクロヘキセンを有している、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[5] 式(1)において、R2が二重結合を有している、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[6] 化合物(A)が、下記式(2)、(3)、(4)又は(5)で表される化合物である、上記[4]に記載のインクジェット用インク。
Figure 0005309726
(式(2)、(3)、(4)及び(5)中、R1は炭素数6〜100のテトラカルボン酸二無水物残基であり、式(2)中、R3は水素又は炭素数1〜3のアルキルであり、R4は炭素数1〜3のアルキレンであり、式(3)、(4)及び(5)中、R5は炭素数1〜30の直鎖状又は分枝状の有機鎖であり環構造又は酸素を含んでいてもよい。)
[7] 二重結合がラジカル重合性二重結合である、上記[5]に記載のインクジェット用インク。
[8] 化合物(A)が、下記式(6)で表される化合物である、上記[7]に記載のインクジェット用インク。
Figure 0005309726
(式(6)中、R1は炭素数6〜100のテトラカルボン酸二無水物残基であり、R6は炭素数1〜30の直鎖状又は分枝状の有機鎖であり環構造又は酸素を含んでいてもよく、R7は水素又はメチルである。)
[9] さらに、化合物(A)とは異なる、オキシラン又はオキセタンを2つ以上有する化合物(B)を含有し、熱硬化性である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[10] さらに、重合性モノマー(C)及び二官能(メタ)アクリレート(D)のうち少なくとも1つと、光重合開始剤(E)とを含有し、光硬化性である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[11] 化合物(B)が、下記式(7)、(8)、(9)、(10)又は(11)で表される化合物である、上記[9]に記載のインクジェット用インク。
Figure 0005309726
(式(7)、(9)、(10)及び(11)中、nは0〜10の整数である。)
[12] 重合性モノマー(C)が、下記式(12)で表される化合物である、上記[10]に記載のインクジェット用インク。
Figure 0005309726
(式(12)中、R8は環構造を有していてもよい炭素数2〜12のアルキレンであり、R9は水素又は炭素数1〜3のアルキルであり、nは1〜30の整数である。)
[13] 二官能(メタ)アクリレート(D)が、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、及びジペンタエリスリトールジアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1つである、上記[10]に記載のインクジェット用インク。
[14] 二官能(メタ)アクリレート(D)が、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジアクリレート、及びイソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1つである、上記[10]に記載のインクジェット用インク。
[15] 重合性モノマー(C)が、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及び1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、二官能(メタ)アクリレート(D)が、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジアクリレート、及びイソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1つである、上記[10]に記載のインクジェット用インク。
[16] 光重合開始剤(E)が、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6,−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドからなる群から選ばれる少なくとも1つである、上記[10]に記載のインクジェット用インク。
[17] 3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン及び3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物を反応させて得られる化合物(A)と、
上記式(7)で表される化合物、上記式(8)で表される化合物及び上記式(10)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つである化合物(B)と、
を含有する、上記[6]に記載のインクジェット用インク。
[18] 上記[1]〜[17]のいずれかに記載のインクジェット用インクから形成された硬化膜。
[19] 上記[18]に記載の硬化膜が形成された電子回路基板。
[20] 上記[19]に記載の電子回路基板を有する、電子部品。
[21] 上記[20]に記載の電子部品を有する、表示素子。
なお、本明細書中、アクリレートとメタクリレートの両者を示すために「(メタ)アクリレート」のように表記することがある。
本発明の好ましい態様に係るインクジェット用インクは、耐熱性と絶縁性が高い硬化膜を形成することができ、電子回路基板への用途として最適である。
1 本発明のインクジェット用インク
本発明のインクジェット用インクは、少なくとも上記式(1)で表される化合物(A)を含むインクジェット用インクである。本発明のインクジェット用インクは、無色であっても有色であってもよい。
本発明のインクジェット用インクは、上記式(1)で表される化合物(A)を含めば特に限定されないが、さらに、化合物(A)とは異なる、オキシラン又はオキセタンを2つ以上有する化合物(B)が混合又は溶解されたものであってもよい。また、重合性モノマー(C)、二官能(メタ)アクリレート(D)及び光重合開始剤(E)が混合又は溶解されたものであってもよい。
1.1 式(1)で表される化合物(A)
本発明のインクジェット用インクは、上記式(1)で表される化合物(A)を含有することにより、形成される硬化膜の耐熱性と絶縁性を高めることができる。インクジェット用インク中の化合物(A)の濃度は、溶媒を除く全重量に対して、10〜80重量%が好ましく、10〜60重量%がさらに好ましく、10〜40重量%が特に好ましい。化合物(A)の濃度をこれらの範囲にすると、耐熱性及び絶縁性が高く、また他の特性とのバランスが取れた硬化膜を形成することができる。
式(1)中、R1は炭素数6〜100の酸無水物残基であり、好ましくは炭素数6〜60の酸無水物残基であり、より好ましくは炭素数6〜40の酸無水物残基であり、さらに好ましくは炭素数6〜20の酸無水物残基である。また、酸無水物残基としては、テトラカルボン酸二無水物残基であることが好ましい。
酸無水物残基の具体例としては、以下の構造のものが挙げられる。
Figure 0005309726
式(1)中、R2は炭素数1〜100の有機基であり、好ましくは炭素数1〜70の有機基であり、より好ましくは炭素数1〜40の有機基である。
上記「有機基」としては、具体的には、置換基を有していてもよい炭化水素、置換基を有していてもよいアルコキシ、置換基を有していてもよいアリールオキシ、置換基を有していてもよいアミノ、置換基を有していてもよいシリル、置換基を有していてもよいアルキルチオ(−SY1、式中、Y1は置換基を有していてもよいアルキルを示す。)、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル(−SO23、式中、Y3は置換基を有していてもよいアルキルを示す。)、置換基を有していてもよいアリールチオ(−SY2、式中、Y2は置換基を有していてもよいアリールを示す。)、置換基を有していてもよいアリールスルホニル(−SO24、式中、Y4は置換基を有していてもよいアリールを示す。)が挙げられる。
上記「炭化水素」は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。炭化水素が非環式の場合には、直鎖状でもよいし、枝分かれでもよい。「炭化水素」には、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルジエニル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、及びシクロアルケニル等が含まれる。
上記「アルキル」の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、及びドデシル等を挙げることができる。
上記「アルケニル」の例としては、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、及び2−ブテニル等を挙げることができる。
上記「アルキニル」の例としては、エチニル、プロピニル、及びブチニル等を挙げることができる。
上記「アルキルジエニル」の例としては、1,3−ブタジエニル等を挙げることができる。
上記「アリール」の例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、及びフェナントリル等を挙げることができる。
上記「アルキルアリール」の例としては、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、及びメシチル等を挙げることができる。
上記「アリールアルキル」の例としては、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、及び5−フェニルペンチル等を挙げることができる。
上記「シクロアルキル」の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシル等を挙げることができる。
上記「シクロアルケニル」の例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、及びシクロヘキセニル等を挙げることができる。
上記「アルコキシ」の例としては、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、及びペンチルオキシ等がある。
上記「アリールオキシ」の例としては、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、及びビフェニルオキシ等を挙げることができる。
上記「置換基を有してもよいアミノ」の例としては、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、及びフェニルアミノ等を挙げることができる。
上記「置換基を有していてもよいシリル」の例としては、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、及びメチルメトキシフェニル等を挙げることができる。
上記「アルキルチオ(−SY1、式中、Y1は置換基を有してもよいアルキルを示す。)」及び上記「アルキルスルホニル(−SO23、式中、Y3は置換基を有してもよいアルキルを示す。)」において、Y1及びY3のアルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、及びドデシル等を挙げることができる。
上記「アリールチオ(−SY2、式中、Y2は置換基を有してもよいアリールを示す。)」及び上記「アリールスルホニル(−SO24、式中、Y4は置換基を有してもよいアリールを示す。)」において、Y2及びY4のアリールの例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、及びフェナントリル等を挙げることができる。
また、上記「置換基」としては、例えば、エステル、カルボキシル、アミド、アルキン、トリメチルシリル、アミノ、ホスホニル、チオ、カルボニル、ニトロ、スルホ、イミノ、ハロゲノ、及びアルコキシ等を挙げることができる。
この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上、置換可能な最大数まで導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個、より好ましくは1個〜2個、さらに好ましくは1個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
<オキセタン、オキシラン又はシクロヘキセンを有する化合物(A)>
上述した、式(1)におけるR2としての「有機基」は、「オキセタン」、「オキシラン」又は「シクロヘキセン」を有していてもよい。「シクロヘキセン」としては、以下の構造を含む。
Figure 0005309726
化合物(A)としては、例えば、上記式(2)、(3)、(4)又は(5)で表される化合物が挙げられる。
式(2)中のR3は、水素又は炭素数1〜3のアルキルであり、例えばメチル、エチル、プロピルなどがあげられる。また、R4は炭素数1〜3のアルキレンであり、例えばメチレン、エチレン、プロピレンなどがあげられる。また、式(3)、(4)及び(5)中のR5は、炭素数1〜30の直鎖状又は分枝状の有機鎖であり、この「有機鎖」としては、1価の基として説明した上記「有機基」の説明を援用して、さらに価数を1つ増やした基(2価の基)として説明することができる。この「有機鎖」は、環構造又は酸素を含んでいてもよく、環構造としては、フェニル、シクロヘキシル、ナフチル、シクロヘキセニル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルなどが挙げられる。
<二重結合を有する化合物(A)>
上述した、式(1)におけるR2としての「有機基」は、「二重結合」、特に「ラジカル重合性二重結合」を有していてもよく、そのような化合物(A)としては、例えば、上記式(6)で表される化合物が挙げられる。「ラジカル重合性二重結合」とは、光が当たることで発生したフリーラジカルにより重合を開始する二重結合である。
式(6)中のR6は、炭素数1〜30の直鎖状又は分枝状の有機鎖であり、この「有機鎖」としては、1価の基として説明した上記「有機基」の説明を援用して、さらに価数を1つ増やした基(2価の基)として説明することができる。この「有機鎖」は、環構造又は酸素を含んでいてもよく、環構造としては、フェニル、シクロヘキシル、ナフチル、シクロヘキセニル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルなどが挙げられる。また、式(6)中のR7は、水素又はメチルである。
<化合物(A)の製造方法>
式(1)で表される化合物(A)は、例えば、ヒドロキシルを有するオキセタン化合物(a1-1)、ヒドロキシルを有するオキシラン化合物(a1-2)、ヒドロキシルを有するシクロヘキセン化合物(a1-3)、又はヒドロキシル及び二重結合を有する化合物(a1-4)と、テトラカルボン酸二無水物(a2)とを反応させて製造することができる。
テトラカルボン酸二無水物を1モルに対して、前者の4つの化合物(a1-1)〜(a1-4)の合計を1.9〜2.1モル用いることが好ましく、前者の4つの化合物の合計を1.95〜2.05モル用いることがさらに好ましく、前者の4つの化合物の合計を2モル用いることが特に好ましい。なお、式(1)で表される化合物(A)の2つのR2は、それぞれ異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
また、式(1)で表される化合物(A)は、例えば、ヒドロキシル及び二重結合を有する化合物(a1-4)と、テトラカルボン酸二無水物(a2)とを反応させた後、得られた化合物の二重結合部分を酸化させてエポキシ基にすることにより、製造することができる。
テトラカルボン酸二無水物(a2)を1モルに対して、前者の化合物(a1-4)の合計を1.9〜2.1モル用いることが好ましく、前者の化合物の合計を1.95〜2.05モル用いることがさらに好ましく、前者の化合物の合計を2モル用いることが特に好ましい。
<化合物(A)を製造する原料>
ヒドロキシル基を有するオキセタン化合物(a1-1)としては、例えば、2−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−オキセタンメタノール及び3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどが挙げられる。
ヒドロキシル基を有するオキシラン化合物(a1-2)としては、例えば、グリシドールなどが挙げられる。
ヒドロキシルを有するシクロヘキセン化合物(a1-3)としては、例えば、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−オール、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−メタノール、及び3−シクロヘキサン−1−オールや3−シクロヘキセン−1−メタノールなどが挙げられる。
ヒドロキシル及び二重結合を有する化合物(a1-4)としては、例えば、ビニルアルコール、アリルアルコール、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物(a2)としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4ージカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)などが挙げられる。
<化合物(A)の製造に使用する溶媒など>
たとえば、化合物(A)を合成するために用いられる溶媒は、当該化合物(A)が合成できれば特に限定されるものではないが、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド及びN,N−ジメチルアセトアミド等を挙げることができる。これらの中でも、N−メチル−2−ピロリドンは、化合物(A)の溶解性が高いので好ましい。これらの反応溶媒は単独でも、2種以上の混合溶媒としても使用できる。また、上記反応溶媒以外に他の溶媒を混合して用いることもできる。
溶媒は、化合物(A)を製造する原料の合計100重量部に対し50重量部以上使用すると、反応がスムーズに進行するので好ましい。反応温度は80℃〜130℃で、反応時間は2〜8時間が好ましい。
また、反応原料の反応系への添加順序に特に限定されない。すなわち、化合物(a1-1)〜(a1-4)とテトラカルボン酸二無水物(a2)とを同時に反応溶媒に加える、テトラカルボン酸二無水物(a2)を反応溶媒中に溶解させた後に化合物(a1-1)〜(a1-4)を添加する、化合物(a1-1)〜(a1-4)を反応溶媒中に溶解させた後にテトラカルボン酸二無水物(a2)を添加する、等いずれの方法も用いることができる。
1.2 オキシラン又はオキセタンを2つ以上有する化合物(B)
化合物(A)とは異なる、オキシラン又はオキセタンを2つ以上有する化合物(B)としては、オキシランやオキセタンを2つ以上有すれば特に限定されないが、例えばエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂を選択すると、例えば耐薬品性の高い硬化膜が得ることができる。
このエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、オキシランを有するモノマーの重合体、及び、オキシランを有するモノマーと他のモノマーとの共重合体等が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂としては、「jER 152」、「jER 154」、「jER 807」、「jER 815」、「jER 827」、「jER 828」、「jER 871」、「jER 1004」、「jER 1007」、「jER 1256」又は「jER YX8000」(それぞれ商品名:ジャパンエポキシレジン(株)製);「EOCN−102S」、「EOCN−104S」、「EPPN−201」又は「NC−3000」(それぞれ商品名:日本化薬(株)製);「テクモアVG3101L」(商品名:三井化学(株)製)などとして市販されている。
中でも式(7)で表される化合物「jER 828」、式(8)で表される化合物「テクモアVG3101L」、式(9)で表される化合物、式(10)で表される化合物「jER 152」、又は式(11)で表される化合物「NC−3000」は、耐熱性、絶縁性が高いので好ましい。なお、式(7)、(9)、(10)及び(11)中、nは0〜10であるが、好ましくは0〜8であり、より好ましくは0〜6である。
インクジェット用インク中の化合物(B)の濃度は、溶媒を除く全重量に対して、10〜80重量%が好ましく、10〜60重量%がさらに好ましく、10〜40重量%が特に好ましい。化合物(B)の濃度をこれらの範囲にすると、耐薬品性が高く、また他の特性とのバランスが取れた硬化膜を形成することができる。化合物(B)は1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
1.3.重合性モノマー(C)
重合性モノマー(C)は、ラジカル重合性を有している化合物であれば特に限定されないが、ヒドロキシを有する重合性モノマーであると得られる硬化膜の基材への密着性が高いので好ましい。さらに、ヒドロキシを有する重合性モノマーが単官能モノマーであると、インクジェット用インクとして必要な特性であるジェッティング性が良好であるので特に好ましい。
ヒドロキシルを有する単官能モノマーとしては、上記式(12)で表される化合物であることが好ましい。式(12)で表される化合物において、R8は環状構造を有してよい炭素数2〜12のアルキレンであり、R9は水素又は炭素数1〜3のアルキルであり、nは1〜30の整数である。好ましくは、R8は環状構造を有してよい炭素数2〜10のアルキレンであり、R9は水素又はメチルであり、nは1〜10の整数である。より好ましくは、R8は環状構造を有してよい炭素数2〜8のアルキレンであり、R9は水素又はメチルであり、nは1〜5の整数である。
式(12)で表される化合物の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
重合性モノマー(C)としては、上記ヒドロキシを有する単官能重合性モノマー以外の重合性モノマーも使用することができる。そのような重合性モノマー(C)としては、ヒドロキシを有する多官能重合性モノマー、ヒドロキシを有しない単官能重合性モノマー、ヒドロキシを有しない多官能重合性モノマーを挙げることができる。
ヒドロキシを有する多官能重合性モノマーの具体例としては、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。中でもイソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレートは得られる硬化膜の耐熱性が高いので好ましい。
ヒドロキシを有しない単官能重合性モノマーの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、p−ビニルフェニル−3−エチルオキセタ−3−イルメチルエーテル、2−フェニル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、2−トリフロロメチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、4−トリフロロメチル−2−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、ビニルトルエン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチル(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、マレイン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、シクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を挙げることができる。
ヒドロキシを有しない多官能重合性モノマーの具体例としては、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、ウレタン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
重合性モノマー(C)は、1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。例えば、重合性モノマー(C)は、ヒドロキシを有する重合性モノマーとそれ以外の重合性モノマーとの混合物であってもよい。
インクジェット用インクは、重合性モノマー(C)として、ヒドロキシを有する単官能重合性モノマーと多官能(メタ)アクリレートとを共に含むと、当該インクは紫外線に対して高感度となり、かつ、インクを硬化させて得られた硬化膜が柔軟性を有するため好ましい。この場合、重合性モノマー(C)である多官能(メタ)アクリレートは、重合性モノマー(C)全体の20〜80重量%であると高感度と柔軟性のバランスがよいので好ましく、20〜70重量%であるとより好ましく、30〜60重量%であると特に好ましい。
1.4 二官能(メタ)アクリレート(D)
二官能(メタ)アクリレート(D)は、(メタ)アクリロイルを2つ有する化合物であれば特に限定されないが、高感度である点から二官能アクリレートであることが好ましい。
二官能(メタ)アクリレート(D)の具体例としては、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、又はジペンタエリスリトールジアクリレート等を挙げることができる。特に、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート又はビスフェノールAエチレンオキシド変性ジアクリレートが好ましく、これを用いれば柔軟な硬化膜を形成することができる。これらの二官能(メタ)アクリレート(D)は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
1.5 光重合開始剤(E)
光重合開始剤(E)は、光の照射によりラジカルを発生する性質を有する限り特に限定されない。
光重合開始剤(E)の具体例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ビス(2,4,6,−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−(4’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、下記式(13)で表される化合物、又は下記式(14)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0005309726
(式(13)中、R11はそれぞれ独立して炭素数1〜13のアルキルであり、X1はそれぞれ独立して−O−、−O−O−、又はNH−である。)
Figure 0005309726
(式(14)中、R12はそれぞれ独立して水素又は炭素数1〜5のアルキルであり、R13は炭素数1〜15のアルキルである。)
ここで、式(13)で表される化合物の具体例として、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジ(メトキシカルボニル)−4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ジ(メトキシカルボニル)−4,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、又は4,4’−ジ(メトキシカルボニル)−3,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が挙げられる。また、式(14)で表される化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(o−ベンゾイルオキシム)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
これらの中でも、光重合開始剤(E)が、式(13)で表される化合物、式(14)で表される化合物、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1から選ばれる1つ以上であることが好ましい。これらの化合物(単数又は複数)を光重合開始剤(E)の全重量に対して20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、特に好ましくは40重量%以上含有すると、得られる光硬化性インクジェットインクが高感度となる。
<化合物(C)、(D)及び(E)の含有量>
インクジェット用インクには、上述した、重合性モノマー(C)及び二官能(メタ)アクリレート(D)のうち少なくとも1つと、光重合開始剤(E)とを含有させてもよい。
インクジェット用インク中に重合性モノマー(C)を含める場合の濃度は、溶媒を除く全重量に対して、5〜80重量%が好ましく、10〜70重量%がさらに好ましく、30〜70重量%が特に好ましい。重合性モノマー(C)の濃度をこれらの範囲にすると、得られる光硬化性インクジェットインクの感度と、ジェッティング性、硬化膜の耐熱性等とのバランスが良好となる。
インクジェット用インク中に二官能(メタ)アクリレート(D)を含める場合の濃度は、溶媒を除く全重量に対して、5〜80重量%が好ましく、10〜70重量%がさらに好ましく、30〜70重量%が特に好ましい。二官能(メタ)アクリレート(D)の濃度をこれらの範囲にすると、得られる光硬化性インクジェットインクが高感度となり、硬化膜の耐熱性等が高くなる。
また、重合性モノマー(C)と二官能(メタ)アクリレート(D)とを併用する場合には、重合性モノマー(C)100重量部に対して、二官能(メタ)アクリレート(D)を20〜500重量部、好ましくは30〜400重量部、より好ましくは35〜300重量部使用すると高感度である。
光重合開始剤(E)は、重合性モノマー(C)と二官能(メタ)アクリレート(D)の合計100重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは3〜40重量部、より好ましくは5〜20重量部使用すると高感度である。
1.6 その他の成分
インクジェット用インクは、インクの吐出特性、保存安定性や、得られる硬化膜の耐久性等を向上させるために、溶媒、重合禁止剤、アルカリ可溶性ポリマー、着色剤、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマーなどの添加剤を含むことができる。これらの成分は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
なお、インクジェット用インク中の水分量は特に限定されないが、10,000ppm以下が好ましく、5,000ppm以下がさらに好ましい。これらの水分量であると、インクジェット用インクの粘度変化が少なく保存安定性に優れるので好ましい。
1.6.1 溶媒
インクジェット用インクは、インクの吐出特性を向上させるために溶媒を含んでもよい。インクジェット用インクに含まれる溶媒としては沸点が100℃以上の溶媒が好ましい。溶媒は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
沸点が100℃以上である溶媒の具体例としては、水、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トルエン、キシレン、アニソール、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン等が挙げられる。
これらの溶媒の中でもジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等を用いると、インクの吐出が安定するので好ましい。
なお、インクジェット用インクに含まれる溶媒としては、化合物(A)の製造に使用した溶媒をそのまま利用してもよい。この場合、化合物(A)の製造に適した溶媒であるN−メチル−2−ピロリドンを利用する場合には、該溶媒が一般的なインクジェットプリントヘッド(インクが吐出する部分)材料を腐食させる可能性がある溶媒であるため、例えば、溶媒耐性が改善されたヘッド材料を併用することが好ましい。
本発明のインクジェット用インクにおいて、溶媒は固形分濃度が20重量%以下にならない程度に含まれることが好ましい。
さらに、インクジェット用インクの塗布性にインクの表面張力が大きく影響するため、インクの表面張力を好ましくは20〜45mN/m、より好ましくは27〜42mN/m、さらに好ましくは30〜40mN/mに調整する。表面張力が20〜45mN/mの範囲であればインク吐出口におけるインクメニスカスが安定になり、インクの吐出は良好となる。
表面張力を20〜45mN/mの範囲に調整するには、溶媒選定が重要である。表面張力が20〜45mN/mの範囲にある1種の溶媒を用いてもよいが、表面張力の大きな溶媒(例えば、γ−ブチロラクトン:43mN/m)及び表面張力の小さな溶媒(例えば、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル:24mN/m、あるいはエチレングリコールモノブチルエーテル:32mN/m)を混合して用いると溶媒組成で表面張力を微調整できるので好ましい。
1.6.2 重合禁止剤
インクジェット用インクにおいて、保存安定性を向上させるために重合禁止剤を含んでもよい。重合禁止剤は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
重合禁止剤の具体例としては、4−メトキシフェノール、ヒドロキノン、フェノチアジン等を挙げることができる。これらの中でも、ジェッティング時にインクジェットヘッドを加熱した場合のインクの粘度変化が小さい点から、重合禁止剤としてフェノチアジンを用いることが好ましい。
インクの保存安定性と高感度とを両立させるという点から、重合禁止剤は、重合性モノマー(C)及び二官能(メタ)アクリレートの合計100重量部に対して、0.01〜1重量部程度、添加することが好ましい。
1.6.3 アルカリ可溶性ポリマー
インクジェット用インクは、アルカリ可溶性ポリマーを含んでもよい。
アルカリ可溶性ポリマーを含むインクジェット用インクは、例えば、パターニングをインクジェットで行い、パターン以外の部分をエッチング等で処理した後に、パターンをアルカリで剥離する使用方法(エッチングレジスト)として使用することができる。
アルカリ可溶性ポリマーとしては、5重量%のNaOH水溶液100g(50℃)に0.1g以上溶解するポリマーであれば特に限定しないが、カルボキシルを有するラジカル重合性モノマーの重合体、又は、カルボキシルを有するラジカル重合性モノマーと他のラジカル重合性モノマーの共重合体が好ましい。
アルカリ可溶性ポリマーの具体例としては、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、ベンジルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、ベンジルメタクリレート/5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体の開環物等が挙げられる。これらの中でも、ベンジルメタクリレート/5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体を添加したインクジェット用インクは、当該インクから形成される硬化膜の耐酸性が高く、かつ、アルカリ液で容易に除去可能であるから、電子回路基板を製作するためのエッチングレジスト用のインクジェット用インクとして好ましい。
インクから形成される硬化膜の耐酸性が高く、かつ、アルカリ液で除去可能とする性質を付与するためには、インクジェット用インクは、インク全重量(溶媒を除く)に対して、アルカリ可溶性ポリマーを1〜80重量%程度含むことが好ましい。
1.6.4 着色剤
インクジェット用インクは、インク全重量に対して、着色剤を1〜50重量%程度含んでもよい。インクジェット用インクから形成される硬化膜の耐熱性の点から、着色剤は顔料であることが好ましい。着色剤を用いると、インクジェット用インクから形成される硬化膜の状態を検査する際に、基板との識別を容易にすることができる。
1.6.5 界面活性剤
インクジェット用インクの塗布性の向上を望むときには、かかる目的に沿った界面活性剤を添加できる。界面活性剤の具体例としては、商品名「Byk−300」、「Byk−306」、「Byk−335」、「Byk−310」、「Byk−341」、「Byk−344」、「Byk−370」(ビック・ケミー(株)製)等のシリコン系界面活性剤;商品名「Byk−354」、「ByK−358」、「Byk−361」(ビック・ケミー(株)製)等のアクリル系界面活性剤、商品名「DFX−18」、「フタージェント250」、「フタージェント251」(ネオス(株)製)等のフッ素系界面活性剤を挙げることができる。これらの界面活性剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
界面活性剤は、下地基板への濡れ性、レベリング性、又は塗布性を向上させるために使用するものであり、インクジェット用インク100重量部に対し0.01〜1重量部添加して用いられることが好ましい。
1.6.6 帯電防止剤
帯電防止剤は、特に限定されるものではなく、公知の帯電防止剤を用いることができる。具体的には、酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物などの金属酸化物や四級アンモニウム塩などが挙げられる。これらの帯電防止剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
帯電防止剤は、帯電を防止するために使用するものであり、インクジェット用インク100重量部に対し0.01〜1重量部添加して用いられることが好ましい。
1.6.7 カップリング剤
カップリング剤は、特に限定されるものではなく、公知のカップリング剤を用いることができる。添加されるカップリング剤はシランカップリング剤が好ましく、具体的には、トリアルコキシシラン化合物又はジアルコキシシラン化合物などを挙げることができる。好ましくは、例えば、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチル−γ−イミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が例示できる。これらの中でも、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらのカップリング剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
カップリング剤は、インクジェット用インク100重量部に対し0.01〜3重量部添加して用いられることが好ましい。
1.7 インクジェット用インクの調製方法
インクジェット用インクは、必要な成分を混合して得られた溶液を、ろ過することにより調整するのが好ましい。ろ過には、例えばフッ素樹脂製のメンブレンフィルターなどが用いられる。
1.8 インクジェット用インクの粘度
インクジェット用インクの粘度は特に限定されないが、常温(25℃)でジェッティングを行う場合は、その粘度が3〜300mPa・sであると、インクジェット塗布方法によるジェッティング精度が向上する点で好ましい。また、25℃におけるインクジェット用インクの粘度は、より好ましくは5〜200mPa・s、さらに好ましくは10〜150mPa・s(25℃)である。
25℃における粘度が30mPa・sを超える場合は、インクジェットヘッドを加熱して吐出時の粘度を下げると、より安定した吐出が可能になる。インクジェットヘッドを加熱してジェッティングを行う場合は、加熱温度(好ましくは40〜120℃)におけるインクジェット用インクの粘度は3〜30mPa・sが好ましく、5〜25mPa・sであればさらに好ましく、10〜20mPa・sが特に好ましい。
ここで、インクジェット用インクの粘度は、E型粘度計(東機産業(株)製 TV−22)を用いて計測されたものである。
1.9 インクジェット用インクの保存
インクジェット用インクは、−20〜20℃で保存すると粘度変化が小さく、保存安定性が良好である。
2 インクジェット方法によるインクジェット用インクの塗布
インクジェット用インクは、公知のインクジェット方法で塗布する工程を有するインクジェット塗布方法に用いることができる。インクジェット塗布方法としては、例えば、インクに力学的エネルギーを作用させてインクを塗布させる方法、及び、インクに熱エネルギーを作用させてインクを塗布させる塗布方法等がある。インクジェット塗布方法を用いることにより、インクジェット用インクを予め定められたパターン状にインクを塗布することができる。これによって、必要な箇所だけにインクを塗布でき、コストの削減となる。
インクジェット用インクを用いて塗布を行うのに好ましい塗布ユニットは、例えば、これらのインクを収容するインク収容部と、塗布ヘッドとを備えた塗布ユニットが挙げられる。塗布ユニットとしては、例えば、塗布信号に対応した熱エネルギーをインクに作用させ、前記エネルギーによりインク液滴を発生させる塗布ユニットが挙げられる。
塗布ヘッドとしては、例えば、金属及び/又は金属酸化物を含有する発熱部接液面を有するものである。前記金属及び/又は金属酸化物の具体例は、例えば、Ta、Zr、Ti、Ni、Al等の金属、及び、これらの金属の酸化物等が挙げられる。
インクジェット用インクを用いて塗布を行うのに好ましい塗布装置としては、例えば、インクが収容されるインク収容部を有する塗布ヘッドの室内のインクに、塗布信号に対応したエネルギーを与え、前記エネルギーによりインク液滴を発生させる装置が挙げられる。
インクジェット塗布装置は、塗布ヘッドとインク収容部とが分離されているものに限らず、それらが分離不能に一体になったものを用いるものでもよい。また、インク収容部は塗布ヘッドに対し分離可能又は分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるもののほか、装置の固定部位に設けられて、インク供給部材、例えばチューブを介して塗布ヘッドにインクを供給する形態のものでもよい。
3 硬化膜の形成
熱硬化性インクジェット用インクの場合、硬化膜は、インクジェット印刷等、公知の方法を用いて基板の表面にインクを塗布した後に、150〜250℃のオーブン又はホットプレートで10〜60分間加熱して得られる。加熱により、例えばエポキシ樹脂が反応し、強固な膜が形成される。
光硬化性インクジェット用インクの場合、硬化膜は、上記方法で基板の表面にインクを塗布した後、該インクに紫外線や可視光線等の光を照射して得られる。光が照射された部分のインクは、例えばアクリルモノマーの重合により三次元化架橋体となって硬化し、インクの広がりを効果的に抑えられる。したがって、本発明のインクジェット用インクを用いると、高精細なパターンの描画が可能になる。インクジェット用インクの組成に依存するが、照射する光として紫外線を用いた場合には、照射する紫外線の量は、ウシオ電機(株)製の受光器UVD−365PDを取り付けた積算光量計UIT−201で測定して、10〜1,000mJ/cm2程度が好ましい。
また、必要に応じて、基板の表面に吐出され光が照射されたインクをさらに加熱・焼成してもよく、特に、120〜250℃で10〜60分間加熱することが好ましい。
本明細書中、「基板」は、本発明のインクジェット用インクが塗布される対象となり得るものであれば特に限定されず、その形状は平板状に限られず、曲面状であってもよい。
また、使用できる基板の材質は特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックフィルム、セロハン、アセテート、金属箔、ポリイミドと金属箔の積層フィルム、目止め効果があるグラシン紙、パーチメント紙、あるいはポリエチレン、クレーバインダー、ポリビニルアルコール、でんぷん、カルボキシメチルセルロース(CMC)などで目止め処理した紙、ガラスなどを挙げることができる。なお、これらの基板を構成する物質には、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲において、さらに、顔料、染料、酸化防止剤、劣化防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤及び/又は電磁波防止剤等の添加剤を含んでもよい。
上記の基板の厚さは、特に限定されないが、通常、10μm〜2mm程度であり、使用する目的により適宜調整されるが、15〜500μmが好ましく、20〜200μmがさらに好ましい。上記の基板の硬化膜を形成する面には、必要によりコロナ処理、プラズマ処理、ブラスト処理等の易接着処理を施したり、易接着層を設けてもよい。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[合成例1](化合物(A)の合成)
3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(以下、「OXT−101」という)15.49g、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(以下、「ODPA」という)20.68g、及びジエチレングリコールメチルエチルエーテル(以下、「EDM」という)54.26gを115℃で4.5時間加熱攪拌し、25℃での回転粘度が14mPa・sである、化合物(A)を含む合成液1を得た。ここで、インクジェット用インクの粘度は、E型粘度計(東機産業(株)製 TV−22)を用いて計測されたものである。
[実施例1〜3及び比較例1、2]
各実施例及び比較例において、表1に示す配合割合で各配合成分を混合溶解した後、フッ素樹脂製のメンブレンフィルター(0.5μm)でろ過し、インクジェット用インクを調製した。
Figure 0005309726
このインクジェット用インクを用い、インクジェット印刷装置を用いて、以下の条件で基板(厚さ0.7mm)上に描画し、次いで熱硬化させて試験基板を作製した。
(インクジェット印刷装置による描画条件):
印刷装置:DMP−2811(商品名;FUJIFILM Dimatix社製)
諸設定値:ヘッド温度(30℃)、ピエゾ電圧(16V)、駆動周波数(5kHz)
塗膜厚さ:約2μm(未硬化時)
(熱硬化の条件):
ホットプレートにて80℃で5分間乾燥した後、オーブンにて230℃で30分間加熱した。
上記のようにして作製したインクジェット用インク及び硬化膜を形成した試験基板について、表2に示す各特性について試験・評価した。結果を表2に示す。
なお、表2に示す各特性の評価方法は以下の通りである。
(粘度)
JIS K−7117−2に準拠して各インクジェット用インクの粘度を測定した。なお、測定温度は25℃である。
(体積抵抗率及び絶縁耐力)
JIS−K−6911に準拠して各インクジェット用インクの硬化膜の体積抵抗率及び絶縁耐力を測定した。
(1%重量減少温度及び5%重量減少温度)
JIS−K−7120に準拠して、各インクジェット用インクの硬化膜を昇温加熱した際の1%重量減少時の温度と、5%重量減少時の温度を測定した。なお、30℃から昇温開始し、10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温加熱した。
Figure 0005309726
表2に示されるように、実施例1〜3のインクジェット用インクは、化合物(A)を含有しない比較例1、2に比べ、絶縁性及び耐熱性に優れた硬化膜を形成できた。
本発明のインクジェット用インクは、例えば、電子回路基板や高密度実装半導体パッケージに使用される絶縁膜や保護膜、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイに使用される絶縁膜や保護膜、及びこれらを用いた電子部品に使用することができる。

Claims (14)

  1. 下記式(2)又は(3)で表される化合物(A)を含有するインクジェット用インク。
    Figure 0005309726
    式(2)及び(3)中、R下記いずれかのテトラカルボン酸二無水物残基であり、式(2)中、Rは水素又は炭素数1〜3のアルキルであり、Rは炭素数1〜3のアルキレンであり、式(3)中、Rは炭素数1〜30の直鎖状又は分枝状の有機鎖であり環構造又は酸素を含んでいてもよい。)
    Figure 0005309726
  2. さらに、化合物(A)とは異なる、オキシラン又はオキセタンを2つ以上有する化合物(B)を含有し、熱硬化性である、請求項1に記載のインクジェット用インク。
  3. さらに、重合性モノマー(C)及び二官能(メタ)アクリレート(D)のうち少なくとも1つと、光重合開始剤(E)とを含有し、光硬化性である、請求項1に記載のインクジェット用インク。
  4. 化合物(B)が、下記式(7)、(8)、(9)、(10)又は(11)で表される化合物である、請求項2に記載のインクジェット用インク。
    Figure 0005309726
    (式(7)、(9)、(10)及び(11)中、nは0〜10の整数である。)
  5. 重合性モノマー(C)が、下記式(12)で表される化合物である、請求項3に記載のインクジェット用インク。
    Figure 0005309726
    (式(12)中、Rは環構造を有していてもよい炭素数2〜12のアルキレンであり、Rは水素又は炭素数1〜3のアルキルであり、nは1〜30の整数である。)
  6. 二官能(メタ)アクリレート(D)が、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、及びジペンタエリスリトールジアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項3に記載のインクジェット用インク。
  7. 二官能(メタ)アクリレート(D)が、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジアクリレート、及びイソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項3に記載のインクジェット用インク。
  8. 重合性モノマー(C)が、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及び1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、二官能(メタ)アクリレート(D)が、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジアクリレート、及びイソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項3に記載のインクジェット用インク。
  9. 光重合開始剤(E)が、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6,−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項3に記載のインクジェット用インク。
  10. 3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン及び3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物を反応させて得られる化合物(A)と、
    上記式(7)で表される化合物、上記式(8)で表される化合物及び上記式(10)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つである化合物(B)と、
    を含有する、請求項4に記載のインクジェット用インク。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のインクジェット用インクから形成された硬化膜。
  12. 請求項11に記載の硬化膜が形成された電子回路基板。
  13. 請求項12に記載の電子回路基板を有する、電子部品。
  14. 請求項13に記載の電子部品を有する、表示素子。
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