JP5577582B2 - リン含有化合物およびそれを含む硬化性組成物 - Google Patents
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Description
さらに、最近の電子部品に対しては耐熱性の向上が求められており、このためには反応性の官能基を持つ難燃剤が求められている。
R2はそれぞれ独立して炭素数2〜20のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、任意の−CH2−が−O−、フェニレン、任意の水素が1〜5のアルキルで置き換えられたフェニレンまたは任意の水素がフェニルで置き換えられたフェニレンに置き換えられてもよく;
R3およびR4はそれぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル、フェニル、任意の水素が炭素数1〜5のアルキルで置き換えられたフェニル、または任意の水素がフェニルで置き換えられたフェニルであり、R3とR4が一体となって環状基を形成してもよく;
q、rおよびsはそれぞれ独立して、0または1である。)
[2] 式(5)、(6)、(7)または(8)で表されるリン含有化合物(A)。
R2はそれぞれ独立して炭素数2〜20のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、任意の−CH2−が−O−、フェニレンに、任意の水素が1〜5のアルキルで置き換えられたフェニレンまたは任意の水素がフェニルで置き換えられたフェニレンに置き換えられてもよく;
R5はそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキルまたはフェニルであり;
xはそれぞれ独立して1〜5の整数であり;
yはそれぞれ独立して1〜4の整数である。)
[3] 式(9)または(10)で表されるリン含有化合物(A)。
xとyはそれぞれ独立して1または2である。)
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載のリン含有化合物(A)、および、少なくとも1種以上の多官能(メタ)アクリレート(B)と少なくとも1種以上の単官能(メタ)アクリレート(E)とからなる群から選ばれる1以上、を含む熱硬化性組成物。
[5] 多官能(メタ)アクリレート(B)が、式(11)、(12)または(13)で表される化合物である、[4]に記載の熱硬化性組成物。
[6] 単官能(メタ)アクリレート(E)が式(15)で表される化合物である、[4]または[5]に記載の熱硬化性組成物。
[7] さらに、少なくとも1種以上のアルケニル置換ナジイミドを有する化合物(D)を含む[4]〜[6]のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
[8] アルケニル置換ナジイミドを有する化合物(D)が式(14)で表される化合物である、[7]に記載の熱硬化性組成物。
[10] 光重合開始剤(C)がビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドである、[9]に記載の熱硬化性組成物
[11] 式(16)で表される化合物と式(17)で表される化合物からなる群から選ばれる1以上;
式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物と式(13)で表される化合物とからなる群から選ばれる1以上;
ビスアリルナジイミド;および
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1以上
を含む熱硬化性組成物。
[12] さらに、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドまたは2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドを含む、[11]に記載の熱硬化性組成物。
[13] [4]〜[12]のいずれかに記載の組成物からなるインクジェット用インク。
[14] [1]〜[3]のいずれかに記載の化合物、[13]に記載のインクジェット用インクから形成された硬化膜を有する電子部品。
[15] 電子部品が電子回路基板または表示素子である、[14]に記載の電子部品。
本発明の好ましい態様に係るリン含有化合物は低粘性であるため、本発明のリン含有化合物を含むインクジェットインク組成物を調製する際、幅広い材料設計が可能となる。例えば、インクジェットインク組成物に含まれるポリマーや添加物において、比較的高粘度の化合物を用いることが可能となる。
本発明の好ましい態様に係る難燃剤を使用した熱硬化性組成物、光硬化性組成物、および、これらの組成物を含むインクジェット用インクから形成される硬化膜は難燃性、高半田耐熱性、高柔軟性、高屈曲性、耐薬品性、高絶縁性、密着性、低吸湿性および高寸法精度性に優れ、電子回路基板用の材料として良好かつ安全に使用することができる。
本発明のリン含有化合物(A)は、式(1)、(2)、(3)または(4)で表される化合物である。
本発明のリン含有化合物(A)は、好ましくは、式(1)で表される化合物の一態様である式(5)で表される化合物、(2)で表される化合物の一態様である式(6)で表される化合物、(3)で表される化合物の一態様である式(7)で表される化合物、または、(4)で表される化合物の一態様である式(8)で表される化合物である。
また、リン含有化合物(A)は、さらに好ましくは、(5)で表される化合物の一態様である式(9)で表される化合物、または、(6)で表される化合物の一態様である式(10)で表される化合物である。
まず、アルコール性水酸基含有またはフェノール性水酸基含有の(メタ)アクリレートまたはビニルケトンを溶媒に溶解させ、これに小過剰量の塩基を加える。次いで、リン酸モノクロライドまたはリン酸ジクロライドを加え撹拌する。反応終了後、水を加えて撹拌し有機層と水層の分液を行う。得られた有機層を減圧下、溶媒を留去することで所望のリン含有化合物(A)を得ることができる。
本発明の熱硬化性組成物は、リン含有化合物(A)、および、少なくとも1種以上の多官能(メタ)アクリレート(B)と少なくとも1種以上の単官能(メタ)アクリレート(E)とからなる群から選ばれる1以上、を含む組成物である。
本発明の熱硬化性組成物に含まれる多官能(メタ)アクリレート(B)は、官能基を複数有する(メタ)アクリレート化合物であれば特に限定されない。
熱硬化性組成物に含まれる多官能(メタ)アクリレート(B)の具体例としては、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、ウレタン(メタ)アクリレート、式(12)、(13)で表される多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。
これらの中でも、多官能(メタ)アクリレート(B)として式(11)、(12)または(13)で表される多官能(メタ)アクリレートを使用すると、本発明の熱硬化性組成物から得られる硬化膜の難燃性が向上するので好ましい。
本発明の熱硬化性組成物に含まれる単官能(メタ)アクリレート(E)は、官能基を1つ有する(メタ)アクリレート化合物であれば特に限定されない。単官能(メタ)アクリレート(E)は、本発明の熱硬化性組成物の用途に合わせた粘度に調整するために用いられることが好ましい。
これらの中でも、単官能(メタ)アクリレート(E)として、式(15)で表される化合物である、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1以上を用いると、硬化性組成物を硬化して得られる硬化膜の基材への密着性が高いので好ましい。
単官能(メタ)アクリレート(E)は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
本発明の熱硬化性組成物に含まれるアルケニル置換ナジイミド化合物(D)は、分子内に少なくとも1つのアルケニル置換ナジイミド構造を有する化合物であれば特に限定されない。
本発明の熱硬化性組成物を硬化して得られる硬化膜に高い耐熱性を求めるには、アルケニル置換ナジイミド化合物(D)にビスアリルナジイミドを用いることが好ましい。ビスアリルナジイミドとしては、例えばBANI−MとBANI−X(式(14)で表される化合物)(「BANI−M」と「BANI−X」は丸善石油化学(株)で販売されている商品名)を用いることができる。これらのビスアリルナジイミドの中でも、BANI−M(式(14)で表される化合物)が好ましい。
アルケニル置換ナジイミド化合物(D)は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
本発明の熱硬化性組成物に含まれる光重合開始剤(C)は、紫外線あるいは可視光線の照射によりラジカルを発生することのできる化合物であれば特に限定されない。光重合開始剤(C)を含む本発明の熱硬化性組成物は、熱硬化性だけでなく光硬化性も有することになるから、光重合開始剤(C)を含む本発明の熱硬化性組成物は光硬化性組成物でもある。すなわち、本発明の硬化性組成物を加熱する、または、所定の波長の光を照射することによって、当該組成物を硬化させることができる。したがって、本明細書中において「熱硬化性組成物」とは、熱硬化性だけではなく光硬化性を有する組成物も含むものである。
これらの化合物の中でも、光重合開始剤(C)としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドを用いると、硬化性組成物を硬化して得られる硬化膜の難燃性が向上するので好ましい。
本発明の熱硬化性組成物には、必要に応じて、溶媒、エポキシ、エポキシ硬化剤、界面活性剤、カップリング剤、着色剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
本発明の熱硬化性組成物は、使用する用途に合わせた粘度に調整するために溶媒を含んでもよい。本発明の熱硬化性組成物に含まれる溶媒としては沸点が100〜300℃の溶媒が好ましい。
本発明の熱硬化性組成物に含まれてもよいエポキシは、オキシランまたはオキセタンを含むものであれば特に限定されない。本発明の熱硬化性組成物にエポキシを用いると耐薬品性や耐熱性が向上するので好ましい。
本発明の熱硬化性組成物に用いられるエポキシとしては、耐薬品性の高い硬化膜が得られるために多官能であるエポキシが好ましく、具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ、グリシジルエステル型エポキシ、脂環式エポキシが挙げられる。これらのエポキシの具体例としては、エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート190Pおよびエピコート191P(商品名;油化シェルエポキシ(株)製)、エピコート1004、エピコート1256(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、アラルダイトCY177、アラルダイトCY184(商品名;日本チバガイギー(株)製)、セロキサイド2021P、EHPE−3150(商品名;ダイセル化学工業(株)製)、テクモアVG3101L(商品名;三井化学(株)製)を挙げることができる。
エポキシは1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
本発明の熱硬化性組成物は、エポキシ硬化剤を含んでもよい。
本発明の熱硬化性組成物にエポキシ硬化剤を用いると、当該組成物を硬化して得られる硬化膜の耐熱性が向上するので好ましい。
本発明の熱硬化性組成物に用いられるエポキシ硬化剤としては、たとえば、酸無水物系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、ポリフェノール系硬化剤、触媒型硬化剤があるが、着色および耐熱性の点から酸無水物系のエポキシ硬化剤が好ましい。
エポキシ硬化剤は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
本発明の熱硬化性組成物は、界面活性剤を含んでもよい。
本発明の熱硬化性組成物が界面活性剤を含むと、下地基板への濡れ性、硬化膜の膜面均一性を向上するので好ましい。
本発明の熱硬化性組成物に用いられる界面活性剤としては、たとえば、シリコン系界面活性剤、アクリル系界面活性剤、およびフッ素系界面活性剤が用いられ、具体例としては、ポリフローNo.45、ポリフローKL−245ポリフロー、No.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(商品名;共栄社化学工業(株)製)、ディスパーベイク(Disperbyk)161、ディスパーベイク162、ディスパーベイク163、ディスパーベイク164、ディスパーベイク166、ディスパーベイク170、ディスパーベイク180、ディスパーベイク181、ディスパーベイク182、BYK300、BYK306、BYK310、BYK320、BYK330、BYK344、BYK346(商品名;ビックケミー・ジャパン(株)製)、KP−341、KP−358、KP−368、KF−96−50CS、KF−50−100CS(商品名;信越化学工業(株)製)、サーフロンSC−101、サーフロンKH−40(商品名;セイミケミカル(株)製)、フタージェント222F、フタージェント251、FTX−218(商品名;ネオス(株)製)、EFTOP EF−351、EFTOP EF−352、EFTOP EF−601、EFTOP EF−801、EFTOP EF−802(商品名;三菱マテリアル(株)製)、メガファックF−171、メガファックF−177、メガファックF−475、メガファックR−08、メガファックR−30(商品名;大日本インキ化学工業(株)製)、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩を挙げることができる。
界面活性剤は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
本発明の熱硬化性組成物は、カップリング剤を含んでもよい。
本発明の熱硬化性組成物がカップリング剤を含むと、下地基板との密着性が向上するので好ましい。
本発明の熱硬化性組成物に用いられるカップリング剤としては、たとえば、シラン系、アルミニウム系およびチタネート系の化合物を用いることができ、具体例としては、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、および3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン系、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系、並びにテトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系を挙げることができる。
これらの中でも、カップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用いると、得られる硬化膜の基板に対する密着性を向上させる効果が大きくなるため好ましい。
カップリング剤は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
本発明の熱硬化性組成物は、着色剤を含んでもよい。
本発明の熱硬化性組成物は着色剤を含むと、得られる硬化膜の状態を検査する際に基板との識別が容易になるため好ましい。
着色剤としては、耐熱性が良好であるため顔料が好ましい。
着色剤は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
本発明の熱硬化性組成物は、重合禁止剤を含んでもよい。
本発明の熱硬化性組成物は、重合禁止剤を含むと、保存安定性が向上するので好ましい。
本発明の熱硬化性組成物に含まれる重合禁止剤の具体例としては、4−メトキシフェノール、ヒドロキノン、フェノチアジンを挙げることができる。これらの中でも、フェノチアジンを本発明の熱硬化性組成物に含まれる重合禁止剤に用いると、当該組成物を長期間保存しても粘度の変化が小さくなるため好ましい。
重合禁止剤は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
本発明の熱硬化性組成物は熱硬化性のインクジェット用インクとして用いることができる。また、光重合開始剤を含む本発明の熱硬化性組成物は、光硬化性でもあるから、当該組成物は熱硬化性および光硬化性を有するインクジェット用インクとして用いることができる。本発明のインクジェット用インクは無色であっても、有色であってもよい。
本発明のインクジェット用インクは、公知のインクジェット方法で塗布する工程を有するインクジェット塗布方法に用いることができる。インクジェット塗布方法としては、たとえば、インクに力学的エネルギーを作用させてインクをヘッドから吐出(塗布)させる方法(いわゆるピエゾ方式)、および、インクに熱エネルギーを作用させてインクをヘッドから吐出(塗布)させる方法(いわゆるバブルジェット(登録商標)方式)がある。
インクジェット塗布方法を用いることにより、インクジェット用インクを予め定められたパターン状に塗布することができる。これによって、必要な箇所だけにインクを塗布でき、フォトリソグラフィ法に比べて、コストの削減となる。
塗布ヘッドとしては、たとえば、金属および/または金属酸化物を含有する発熱部接液面を有するものである。前記金属および/または金属酸化物の具体例は、たとえば、Ta、Zr、Ti、Ni、Al等の金属、および、これらの金属の酸化物が挙げられる。
硬化膜は、インクジェット、スクリーン印刷、スピンコート、ロールコート、バーコート、スリットコート等の方法を用いて本発明の熱硬化性組成物を基板の表面に塗布した後に、150〜250℃のオーブンまたはホットプレートで10〜60分間加熱することによって形成される。
本発明の熱硬化性組成物は加熱されることによりナジイミドおよびエポキシが反応し、硬化膜が形成される。
光硬化性を有するインクジェット用インクの場合、光の照射によってインクの広がりを効果的に抑えることができるので、高精細なパターンの描画が可能になる。照射する光として紫外線を用いた場合には、照射する紫外線の量は、ウシオ電機(株)製の受光器UVD−365PDを取り付けた積算光量計UIT−201で測定して、10〜1,000mJ/cm2程度が好ましい。さらに150〜250℃のオーブンまたはホットプレートで10〜60分間加熱、焼成すると、耐熱性、耐薬品性が向上するので好ましい。
4−ヒドロキシフェニルビニルケトン29.6g、トリエチルアミン21.2g、ジクロロメタン400mlを3つ口500mlフラスコに加え0℃にしたのち、クロロジフェニルホスフェート56.4gを滴下した。0℃で1時間撹拌後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、得られた溶液の水層からジクロロメタンで抽出を1回行い、さらに合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。これに硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、減圧下35℃で溶媒を留去して、53gの式(16)の化合物(リン含有化合物(A1))を合成した。図1にNMRスペクトルを示す。
実施例1で用いた4−ヒドロキシフェニルビニルケトンの代わりにエチレングリコールモノビニルエーテルを用いた以外は、実施例1と同じ条件で式(17)の化合物(リン含有化合物(A2))を得た。図2にNMRスペクトルを示す。
リン含有化合物(A1)、多官能アクリレート(B)としてHFA−3003(商品名。昭和高分子(株)製。以下、「HFA−3003」という。)とHFA−6127(商品名。昭和高分子(株)製。以下、「HFA−6127」という。)とアロニックスM−210(商品名。東亞合成(株)製。以下、「M−210」という。)、光重合開始剤(C)として2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド(DAROCUR TPO(商品名。チバ・ジャパン(株)製。)以下、「TPO」という。)、単官能アクリレート(E)として4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA(商品名。日本化成(株)製。)以下、「4HBA」という。)、および、重合禁止剤としてフェノチアジンを下記組成にて混合溶解して混合液を作製した。当該混合液を0.2μmのフッ素樹脂製のメンブレンフィルターでろ過し、インクジェット用インク1を調製した。
HFA−3003 60.00g
HFA−6127 15.00g
M−210 10.00g
TPO 8.00g
4HBA 125.00g
フェノチアジン 0.15g
リン含有化合物(A2)、多官能アクリレート(B)としてHFA−3003とHFA−6127とM−210、光重合開始剤(C)としてTPO、単官能アクリレート(E)として4HBA、および、重合禁止剤としてフェノチアジンを下記組成にて混合溶解して混合液を作製した。当該混合液を0.2μmのフッ素樹脂製のメンブレンフィルターでろ過し、インクジェット用インク2を調製した。
HFA−3003 60.00g
HFA−6127 15.00g
M−210 10.00g
TPO 8.00g
4HBA 125.00g
フェノチアジン 0.15g
リン含有化合物(A1)、多官能アクリレート(B)としてHFA−3003とHFA−6127とM−210、光重合開始剤(C)としてTPO、アルケニル置換ナジイミドを有する化合物(D)としてビスアリルナジイミド(商品名;丸善石油化学(株)製、以下、「BANI−M」という)、単官能アクリレート(E)として4HBA、および、重合禁止剤としてフェノチアジンを下記組成にて混合溶解して混合液を作製した。当該混合液を0.2μmのフッ素樹脂製のメンブレンフィルターでろ過し、インクジェット用インク3を調製した。
HFA−3003 60.00g
HFA−6127 15.00g
M−210 10.00g
TPO 8.00g
BANI−M 20.00g
4HBA 125.00g
フェノチアジン 0.15g
リン含有化合物(A2)、多官能アクリレート(B)としてHFA−3003とHFA−6127とM−210、光重合開始剤(C)としてTPO、アルケニル置換ナジイミドを有する化合物(D)としてBANI−M、単官能アクリレート(E)として4HBA、および、重合禁止剤としてフェノチアジンを下記組成にて混合溶解して混合液を作製した。当該混合液を0.2μmのフッ素樹脂製のメンブレンフィルターでろ過し、インクジェット用インク4を調製した。
HFA−3003 60.00g
HFA−6127 15.00g
M−210 10.00g
TPO 8.00g
BANI−M 20.00g
4HBA 125.00g
フェノチアジン 0.15g
リン含有化合物(A1)、多官能アクリレート(B)としてHFA−3003とHFA−6127とM−210、アルケニル置換ナジイミドを有する化合物(D)としてBANI−M、単官能アクリレート(E)として4HBA、および、重合禁止剤としてフェノチアジンを下記組成にて混合溶解して混合液を作製した。当該混合液を0.2μmのフッ素樹脂製のメンブレンフィルターでろ過し、インクジェット用インク5を調製した。
HFA−3003 60.00g
HFA−6127 15.00g
M−210 10.00g
BANI−M 20.00g
4HBA 125.00g
フェノチアジン 0.15g
リン含有化合物(A2)、多官能アクリレート(B)としてHFA−3003とHFA−6127とM−210、アルケニル置換ナジイミドを有する化合物(D)としてBANI−M、単官能アクリレート(E)として4HBA、および、重合禁止剤としてフェノチアジンを下記組成にて混合溶解して混合液を作製した。当該混合液を0.2μmのフッ素樹脂製のメンブレンフィルターでろ過し、インクジェット用インク6を調製した。
HFA−3003 60.00g
HFA−6127 15.00g
M−210 10.00g
BANI−M 20.00g
4HBA 125.00g
フェノチアジン 0.15g
多官能アクリレート(B)としてHFA−3003、HFA−6127、光重合開始剤(C)としてTPO、単官能アクリレート(E)として4HBA、および、重合禁止剤としてフェノチアジンを下記組成にて混合溶解して混合液を作製した。当該混合液を0.2μmのフッ素樹脂製のメンブレンフィルターでろ過し、インクジェット用インク7を調製した。
HFA−6127 15.00g
TPO 8.00g
4HBA 125.00g
フェノチアジン 0.15g
多官能アクリレート(B)としてHFA−3003とHFA−6127、アルケニル置換ナジイミドを有する化合物(D)としてBANI−M、単官能アクリレート(E)として4HBA、および、重合禁止剤としてフェノチアジンを下記組成にて混合溶解し、孔径1μmのフッ素樹脂製のメンブレンフィルターでろ過し、インクジェット用インク8を調製した。
HFA−6127 15.00g
BANI−M 20.00g
4HBA 125.00g
フェノチアジン 0.15g
Claims (14)
- 式(5)または(6)で表されるリン含有化合物(A)。
(式中、R1は水素またはメチルであり;
R2は炭素数2〜20のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、Pに結合する−CH 2 −が−O−に置き換えられ、その他の任意の−CH2−が−O−に置き換えられてもよく、任意の水素が炭素数1〜5のアルキルまたはフェニルに置き換えられてもよく;
R5はそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキルまたはフェニルであり;
xはそれぞれ独立して1〜5の整数であり;
yはそれぞれ独立して1〜4の整数である。) - 式(9)または(10)で表されるリン含有化合物(A)。
(式中、R5はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル;
xとyはそれぞれ独立して1または2である。) - 請求項1または2に記載のリン含有化合物(A)、および、少なくとも1種以上の多官能(メタ)アクリレート(B)と少なくとも1種以上の単官能(メタ)アクリレート(E)とからなる群から選ばれる1以上、を含む熱硬化性組成物。
- 多官能(メタ)アクリレート(B)が、式(11)、(12)または(13)で表される化合物である、請求項3に記載の熱硬化性組成物。
(式(11)中、nは0〜10の整数である。) - 単官能(メタ)アクリレート(E)が式(15)で表される化合物である、請求項3または4に記載の熱硬化性組成物。
(式中、R6は水素またはメチルであり、R7は環状構造を有してよい炭素数2〜12のアルキレンであり、zは1〜30の整数である。) - さらに、少なくとも1種以上のアルケニル置換ナジイミドを有する化合物(D)を含む請求項3〜5のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
- アルケニル置換ナジイミドを有する化合物(D)が式(14)で表される化合物である、請求項6に記載の熱硬化性組成物。
- さらに、少なくとも1種以上の光重合開始剤(C)を含む請求項3〜7のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
- 光重合開始剤(C)がビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドである、請求項8に記載の熱硬化性組成物
- 式(16)で表される化合物と式(17)で表される化合物からなる群から選ばれる1以上;
式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物と式(13)で表される化合物とからなる群から選ばれる1以上;
ビスアリルナジイミド;および
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1以上
を含む熱硬化性組成物。
(式(11)中、nは0〜10の整数である。) - さらに、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドまたは2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドを含む、請求項10に記載の熱硬化性組成物。
- 請求項3〜11のいずれかに記載の組成物からなるインクジェット用インク。
- 請求項1もしくは2に記載の化合物、または、請求項12に記載のインクジェット用インクから形成された硬化膜を有する電子部品。
- 電子部品が電子回路基板または表示素子である、請求項13に記載の電子部品。
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