JP2010265430A - インクジェット用インクおよびインクから得られた硬化膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式(a)で表される化合物(A)と、ヒドロキシを有する単官能のラジカル重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、カルボキシまたはリンを有するラジカル重合性モノマー(D)とを含むインクジェット用インク。
(式(a)中、mとnはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、R1はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜3のアルキルであり、R2はそれぞれ独立して分岐構造を有していてもよい炭素数1〜13のアルキレンであり、R3は単結合または分岐構造を有していてもよい炭素数1〜13のアルキレンである。)
【選択図】なし
Description
たとえば、エッチングレジスト用として形成されたインクジェット用インクの硬化膜については、金属エッチング液に対する耐性が要求され、剥離液に対する剥離性が要求される。たとえば、めっきレジスト用として形成されたインクジェット用インクの硬化膜については、めっき液に対する耐性が要求され、剥離液に対する剥離性が要求される。たとえば、カバーレイ用として形成されたインクジェット用インクの硬化膜については、めっき液に対する耐性が要求され、はんだ耐熱性が要求される。
(式(a)中、mとnはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、R1はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜3のアルキルであり、R2はそれぞれ独立して分岐構造を有していてもよい炭素数1〜13のアルキレンであり、R3は単結合または分岐構造を有していてもよい炭素数1〜13のアルキレンである。)
[2] 一般式(a)において、mとnはそれぞれ独立して1〜2の整数であり、R1はそれぞれ独立して水素またはメチルであり、R2はそれぞれ独立して分岐構造を有していてもよい炭素数2〜3のアルキレンであり、R3は単結合または炭素数2〜5のアルキレンである、[1]に記載のインクジェット用インク。
[3] ヒドロキシを有する単官能のラジカル重合性モノマー(B)が、一般式(b)で表される化合物である、[1]または[2]に記載のインクジェット用インク。
(一般式(b)中、R4は水素または炭素数1〜3のアルキルであり、R5は炭素数2〜12の有機基であり、sは1〜30の整数である。)
[4] ヒドロキシを有する単官能のラジカル重合性モノマー(B)が、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1以上である、[1]または[2]に記載のインクジェット用インク。
[5] 光重合開始剤(C)が、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(o−ベンゾイルオキシム)から選ばれた少なくとも1つの化合物である、[1]〜[4]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[6] カルボキシまたはリンを有するラジカル重合性モノマー(D)が一般式(d−1)又は(d−2)で表される化合物である、[1]〜[5]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
(一般式(d−1)中、R6は水素または炭素数1〜3のアルキルであり、R7は炭素数2〜12の有機基であり、R8は炭素数2〜12の有機基であり、pは1〜30の整数である。)
(一般式(d−2)中、R9は水素または炭素数1〜3のアルキルであり、R10は炭素数2〜12の有機基であり、qは1〜30の整数であり、rは1〜3の整数である。)
[7] インクジェット用インク中に、一般式(a)で表される化合物(A)が1〜90重量%、ラジカル重合性モノマー(B)が1〜80重量%、光重合開始剤(C)が0.2〜20重量%およびカルボキシまたはリンを有するラジカル重合性モノマー(D)が1〜60重量%含まれる、[1]〜[6]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[8] さらに、多官能のラジカル重合性モノマー(G)を含む[1]〜[7]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[9] さらに、熱反応性樹脂(E)および難燃剤(F)からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、[1]〜[8]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
また、[1]〜[8]のいずれかに記載のインクジェット用インクは、エッチングレジストまたはめっきレジストの用途、または、カバーレイの用途のインクジェット用インクであることが好ましい。
[10] インクジェット法によって[1]〜[8]のいずれかに記載のインクジェット用インクを塗布し、塗布されたインクに光を照射することによって硬化膜を形成する、硬化膜形成方法。
[11] インクジェット法によって[1]〜[8]のいずれかに記載のインクジェット用インクを塗布し、塗布されたインクへの光照射および加熱を同時、または、光照射の後に加熱を行うことによって硬化膜を形成する、硬化膜形成方法。
[12] [10]または[11]に記載された方法で得られた硬化膜。
[13] 所定のパターンで形成されている、[12]に記載の硬化膜。
[14] 基板上に[12]または[13]に記載された硬化膜が形成された電子回路基板。
[15] [14]に記載された電子回路基板を有する電子部品。
[16] [14]に記載された電子回路基板または[15]に記載された電子部品を有する表示素子。
さらに、本発明の好ましい態様に係るインクジェット用インクを用いることにより、電子回路基板の製造における保護膜の形成にかかる手間や時間を短縮でき、消耗品も削減できる。
本発明のインクジェット用インクは、一般式(a)で表される化合物(A)と、ヒドロキシを有する単官能のラジカル重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、カルボキシまたはリンを有するラジカル重合性モノマー(D)とを含むインクジェット用インクである。
本発明のインクジェット用インクは、無色であっても有色であってもよい。
本発明のインクジェット用インクで用いられる一般式(a)で表される化合物(A)の具体例は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等である。
インクジェット用インク中に一般式(a)で表される化合物(A)が1〜90重量%含まれると、インクジェット時、ノズルからの吐出安定性が良好になるので好ましく、1〜80重量%含まれるとより好ましく、1〜70重量%含まれるとさらに好ましい。
本発明のインクジェット用インクで用いられるヒドロキシを有する単官能のラジカル重合性モノマー(B)は、単官能のラジカル重合性化合物であって、ヒドロキシを有するものであれば特に限定されない。「ラジカル重合性」とは、光が当たることで発生したフリーラジカルにより重合を開始する性質である。
本発明のインクジェット用インクを光硬化性インクジェット用インクに用いた場合に、ノズルからの吐出安定性の観点から、1つのラジカル重合性炭素間二重結合を有する重合性モノマーが好ましく、具体的には、単官能は炭素間二重結合であることが特に好ましい。
したがって、本発明のインクジェット用インクで用いられるヒドロキシを有する単官能のラジカル重合性モノマー(B)は、これらのラジカル重合性モノマーを構成する1以上の水素が水酸基に置換されたモノマーが挙げられる。
ラジカル重合性モノマー(B)に含まれるヒドロキシは、インクジェット用インク中に含まれる他の成分との相溶性を高める効果を有する。
本発明のインクジェット用インクで用いられるヒドロキシを有する単官能のラジカル重合性モノマー(B)は、これらの中でも、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、または1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートが好ましい。
また、一般式(b)中、R4はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜3のアルキルであり、具体的には、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルが挙げられ、好ましくは水素またはメチルである。一般式(b)中、R5はそれぞれ独立して炭素数2〜12の有機基である。
「炭素数2〜20の2価の炭化水素基」の炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。炭素数2〜20の炭化水素基が非環式の場合には、直鎖状でもよいし、枝分かれでもよい。「炭素数2〜20の2価の炭化水素基」には、炭素数2〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、炭素数2〜20のアルキニレン、炭素数4〜20のアルキルジエニレン、炭素数6〜18のアリーレン、炭素数7〜20のアルキルアリーレン、炭素数7〜20のアリールアルキレン、炭素数4〜20のシクロアルキレン、炭素数4〜20のシクロアルケニレンなどが含まれる。
本明細書において、「置換基を有してもよい芳香族基」としては、水素が炭素数1〜5のアルキルまたはハロゲンで置換されてもよいベンゼン環またはナフタレン環等の芳香環由来の芳香族基を挙げることができる。
ラジカル重合性モノマー(B)は、インクジェット用インク中に1〜70重量%含まれると、光硬化性インクジェット用インクとした場合、インクジェットノズルからの吐出が安定するので好ましく、3〜60重量%含まれるとより好ましく、5〜50重量%含まれるとさらに好ましい。
本発明のインクジェット用インクで用いられる光重合開始剤(C)は、紫外線あるいは可視光線などの照射によりラジカルを発生することのできる化合物であれば特に限定されない。
光重合開始剤(C)の具体例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジ(メトキシカルボニル)−4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ジ(メトキシカルボニル)−4,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジ(メトキシカルボニル)−3,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(o−ベンゾイルオキシム)、2−(4’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。
光重合開始剤(C)は、インクジェット用インク中に0.2〜20重量%含まれると、インクジェット用インクとしたとき、紫外線に対して高感度となるので好ましく、1〜20重量%であるとより好ましく、2〜15重量%であるとさらに好ましい。
カルボキシまたはリンを有するラジカル重合性モノマー(D)は、ラジカル重合性化合物であって、カルボキシまたはリンを有していれば特に限定されない。
カルボキシを有するラジカル重合性モノマー(D)の好ましい例としては、カルボキシと1つのラジカル重合性炭素間二重結合を有する重合性モノマー、カルボキシと2つのラジカル重合性炭素間二重結合を有する重合性モノマー、またはカルボキシと3つ以上のラジカル重合性炭素間二重結合を有する重合性モノマーを挙げることができる。
一般式(d−1)中、pは1〜30の整数であり、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1である。また、一般式(d−1)中、R6は水素または炭素数1〜3のアルキルであり、具体的には、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルが挙げられ、好ましくは水素またはメチルである。一般式(d−1)中、R7は炭素数2〜12の2価の有機基であり、R8は炭素数2〜12の2価の有機基である。
R7は、炭素数2〜12の2価の炭化水素基が好ましい。これらの炭素数2〜12の2価の炭化水素基の中でも、R7は炭素数2〜12の直鎖アルキレン、炭素数2〜12の分岐鎖アルキレン、炭素数2〜12の環構造を有するアルキレンまたは置換基を有してもよい芳香族基が好ましい。
R8は、炭素数2〜12の2価の炭化水素基が好ましい。これらの炭素数2〜12の2価の炭化水素基の中でも、R8は炭素数2〜12の直鎖アルキレン、炭素数2〜12の分岐鎖アルキレン、炭素数2〜12の環構造を有するアルキレンまたは置換基を有してもよい芳香族基が好ましい。
リンを有するラジカル重合性モノマー(D)の好ましい例としては、リンと1つのラジカル重合性炭素間二重結合を有する重合性モノマー、リンと2つのラジカル重合性炭素間二重結合を有する重合性モノマー、またはリンと3つ以上のラジカル重合性炭素間二重結合を有する重合性モノマーを挙げることができる。
一般式(d−2)中、qは1〜30の整数であり、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1である。rは1〜3の整数であり、より好ましくは1または2、さらに好ましくは2である。また、一般式(d−2)中、R9はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜3のアルキルであり、具体的には、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルが挙げられ、好ましくは水素またはメチルである。R10は炭素数2〜12の2価の炭化水素基が好ましい。これらの炭素数2〜12の2価の炭化水素基の中でも、R10は炭素数2〜12の直鎖アルキレン、炭素数2〜12の分岐鎖アルキレン、炭素数2〜12の環構造を有するアルキレンまたは置換基を有してもよい芳香族基が好ましい。
インクジェット用インク中のカルボキシまたはリンを有するラジカル重合性モノマー(D)の好ましい含有量は、1〜80重量%である。この範囲にあれば、インクジェット用インクから得られる硬化膜のめっき液耐性が良好であるので好ましい、また、ラジカル重合性モノマー(D)の含有量が1〜70重量%であるとより好ましく、1〜60重量%であるとさらに好ましい。
熱反応性樹脂(E)の「熱反応性」とは、例えば、熱により架橋反応を起こす性質を意味するが、これに限定されるわけではない。
熱反応性樹脂(E)は、インクジェット用インク中に0.1〜30重量%含まれると、得られるインクの硬化膜の耐薬品性が高くなるために好ましく、0.5〜25重量%含まれるとより好ましく、1〜20重量%含まれるとさらに好ましい。
インクジェット用インクに難燃性を付与するために難燃剤(F)を含んでもよい。この難燃剤(F)としてはリン系化合物が環境へ与える影響が少ないので好ましい。
難燃剤(F)は、インクジェット用インク中に10〜50重量%含まれると、インクジェット用インクから得られる硬化膜が高い難燃性(UL燃焼試験法V−0規格相当)を示すので好ましい。
インクジェット用インクは、保存安定性や、光に対する感度、形成される膜の耐久性、形成される膜の膜面均一性、形成される膜の硬化密度、インクの吐出特性、インクの塗布性等を向上させるために、多官能のラジカル重合性モノマー、反応性希釈剤、溶媒、重合禁止剤、界面活性剤、着色剤、帯電防止剤等を含むことができる。これらの成分は1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
なお、インクジェット用インク中の水分量は特に限定されないが、10,000ppm以下が好ましく、5,000ppm以下がさらに好ましい。これらの水分量であると、インクジェット用インクの粘度変化が少なく保存安定性に優れるので好ましい。
インクジェット用インクは光感度、および硬化膜の架橋密度を高めるために多官能のラジカル重合性モノマー(G)を含んでもよい。
多官能のラジカル重合性モノマー(G)は、インクジェットインク中に5〜70重量%含まれると、インクジェット用インクとした場合に光に対して高感度となり、また硬化膜のめっき液耐性が高くなるため好ましく、5〜65%重量%であるとより好ましく、10〜65重量%であるとさらに好ましい。
インクジェット用インクはインクの粘度調整や硬化膜の架橋度を制御するために反応性希釈剤(H)を含んでもよい。溶媒の代わりにまたは溶媒の一部を置き換えて反応性希釈剤(H)を使用すると、インクの固形分濃度が高くなるため、厚膜を形成させることが可能である。反応性希釈剤(H)は、一般式(a)で表される化合物(A)、ヒドロキシを有する単官能のラジカル重合性モノマー(B)、カルボキシまたはリンを有するラジカル重合性モノマー(D)とは異なる化合物を示す。
反応性希釈剤(H)は、インクジェット用インク中に5〜60重量%含まれると、光硬化性インクジェット用インクとした場合、E型粘度計で測定した25℃における粘度が2〜500mPa・sの範囲になるので好ましく、より好ましくは5〜50重量%である。
インクジェット用インクはインクの吐出特性を向上させるために溶媒(I)を含んでもよい。この溶媒としては沸点が100℃以上の溶媒が好ましい。室温でのインクジェット用インクの粘度が30mPa・s以上である場合には、ジェッティング温度を高くすることが好ましいが、この場合には含まれる溶媒の沸点は200℃以上であることが好ましい。
溶媒(I)は、インクジェット用インク中に0〜50重量%含まれると、光硬化性インクジェット用インクとした場合の吐出が安定するので好ましく、より好ましくは0〜20重量%である。
表面張力を20〜45mN/mの範囲に調整するには、溶媒選定が重要である。表面張力が20〜45mN/mの範囲にある1種の溶媒を用いてもよいが、表面張力の大きな溶媒(例えば、γ−ブチロラクトン:43mN/m)および表面張力の小さな溶媒(例えば、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル:24mN/m、あるいはエチレングリコールモノブチルエーテル:32mN/m)を混合して用いると溶媒組成で表面張力を微調整できるので好ましい。
インクジェット用インクは、保存安定性を向上させるために重合禁止剤を含んでもよい。重合禁止剤の具体例としては、4−メトキシフェノール、ヒドロキノン、フェノチアジン等を挙げることができる。これらの中でも、ジェッティング時にインクジェットヘッドを加熱した場合のインクの粘度変化を最小にする観点から、重合禁止剤としてフェノチアジンを用いることが好ましい。
重合禁止剤(J)は、インクジェット用インクの保存安定性と光に対する高感度性とを両立させるという観点から、インクジェット用インク中に0.01〜1重量%含まれることが好ましい。
インクジェット用インクは、インクジェット用インクから得られた膜面の均一性を向上させるために界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、シリコン系界面活性剤、アクリル系界面活性剤、およびフッ素系界面活性剤等が用いられる。具体的には、Byk−300、Byk−306、Byk−335、Byk−310、Byk−341、Byk−344、またはByk−370(それぞれ商品名:ビック・ケミー(株)製)等のシリコン系界面活性剤;Byk−354、Byk−358、またはByk−361(それぞれ商品名:ビック・ケミー(株)製)等のアクリル系界面活性剤;DFX−18、フタージェント250、またはフタージェント251(それぞれ商品名:ネオス(株)製)、メガファックF−410、メガファックF−443、メガファックF−445、メガファックF−470、メガファックF−479、メガファックF−483、メガファックF−489(それぞれ商品名:大日本インキ(株)製)等のフッ素系界面活性剤を挙げることができる。
界面活性剤(K)は、熱硬化性組成物中に0.01重量%以上であると硬化膜の膜面均一性が向上するので好ましく、他特性とのバランスを考慮すると0.01〜1重量%であることが好ましい。
インクジェット用インクは、着色剤を含んでいてもよく、この場合、例えば、得られる硬化膜の状態を検査する際に基板との識別を容易にすることができる。着色剤は、インクジェット用インク中に0.01〜10重量%程度、好ましくは0.1〜5重量%程度含んでもよい。インク原料の相溶性の観点から、着色剤は染料であることが好ましい。
帯電防止剤は、特に限定されるものではなく、公知の帯電防止剤を用いることができる。具体的には、酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物等の金属酸化物や四級アンモニウム塩等が挙げられる。帯電防止剤は、帯電を防止するために使用するものであり、インクジェット用インク100重量部に対し0.01〜1重量部添加して用いられることが好ましい。
本発明のインクジェット用インクは、インクを構成する各成分を混合することによって製造される。具体的には、本発明のインクジェット用インクは、一般式(a)で表される化合物(A)、ヒドロキシを有する単官能のラジカル重合性モノマー(B)、光重合開始剤(C)、カルボキシまたはリンを有するラジカル重合性モノマー(D)および、任意に含まれる成分(熱反応性樹脂(E)、難燃剤(F)、多官能のラジカル重合性モノマー(G)等)を混合して製造される。
なお、混合する順番は特に限定されない。
当該組成のインクジェット用インクでは、インクの粘度や硬化膜としたときの架橋密度、アルカリ水溶液に対する剥離性の観点から、各成分の含有量は、インクジェット用インク中に化合物(A)が1〜20重量%であり、重合性モノマー(B)が5〜50重量%であり、光重合開始剤(C)が5〜15重量%であり、カルボキシを有するラジカル重合性モノマー(D)が20〜80重量%であると好ましい。
当該組成のインクジェット用インクでは、インクの粘度や硬化膜としたときの架橋密度、めっき液に対する耐性、エッチング液に対する耐性、アルカリ水溶液に対する剥離性の観点から、各成分の含有量は、インクジェット用インク中に化合物(A)が1〜20重量%であり、重合性モノマー(B)が5〜50重量%であり、光重合開始剤(C)が5〜15重量%であり、カルボキシを有するラジカル重合性モノマー(D)が5〜30重量%であり、重合性モノマー(G)が10〜50重量%であると好ましい。
当該組成のインクジェット用インクでは、インクの粘度や硬化膜としたときの架橋密度、金属基板に対する密着性の観点から、各成分の含有量は、インクジェット用インク中に化合物(A)が30〜90重量%であり、重合性モノマー(B)が5〜30重量%であり、光重合開始剤(C)が5〜15重量%であり、リンを有するラジカル重合性モノマー(D)が1〜10重量%であると好ましい。
当該組成のインクジェット用インクでは、インクの粘度や硬化膜としたときの架橋密度、金属基板に対する密着性、めっき液に対する耐性、はんだ耐熱性の観点から、各成分の含有量は、インクジェット用インク中に化合物(A)が5〜15重量%であり、重合性モノマー(B)が5〜40重量%であり、光重合開始剤(C)が2〜15重量%であり、リンを有するラジカル重合性モノマー(D)が1〜10重量%であり、重合性モノマー(G)が30〜70重量%であると好ましい。
インクジェット用インクは、E型粘度計で測定した25℃における粘度が2〜500mPa・sであるとインクジェットのヘッドからの塗布特性(ジェッティング精度等)が良好となるので好ましい。25℃におけるインクジェット用インクの粘度は、より好ましくは3〜300mPa・s、さらに好ましくは5〜200mPa・sである。
25℃における粘度が30mPa・sを超える場合は、インクジェットヘッドを加熱して吐出時の粘度を下げると、より安定した吐出が可能になる。インクジェットヘッドを加熱してジェッティングを行う場合は、加熱温度(好ましくは40〜120℃)におけるインクジェット用インクの粘度は3〜30mPa・sが好ましく、5〜25mPa・sであればさらに好ましく、7〜20mPa・sが特に好ましい。
インクジェット用インクは、−20〜20℃で保存すると粘度変化が小さく、保存安定性が良好である。
本発明のインクジェット用インクは、公知のインクジェット塗布方法を用いて塗布することができる。インクジェット塗布方法としては、例えば、インクに力学的エネルギーを作用させてインクをヘッドから吐出(塗布)させる方法(いわゆるピエゾ方式)、および、インクに熱エネルギーを作用させてインクを塗布させる塗布方法(いわゆるバブルジェット(登録商標)方式)等がある。
インクジェット塗布方法を用いることにより、インクジェット用インクを予め定められたパターン状に塗布することができる。これによって、必要な箇所だけにインクを塗布でき、フォトリソグラフィ法に比べて、コストの削減となる。
塗布ヘッドとしては、例えば、金属および/または金属酸化物を含有する発熱部接液面を有するものである。前記金属および/または金属酸化物の具体例は、例えば、Ta、Zr、Ti、Ni、Al等の金属、および、これらの金属の酸化物等が挙げられる。
本発明の硬化膜は、公知のインクジェット塗布方法を用いて上記インクジェット用インクを基板の表面に吐出した後に、インクに紫外線や可視光線等の光を照射して得られる。光が照射された部分のインクはラジカル重合性モノマー、例えば(メタ)アクリルモノマーの重合により三次元化架橋体となって硬化し、インクの広がりを効果的に抑えられる。したがって、上記インクジェット用インクを用いると、高精細なパターンの描画が可能になる。インクジェット用インクの組成に依存するが、照射する光として紫外線を用いた場合には、照射する紫外線の量は、ウシオ電機(株)製の受光器UVD−405PDを取り付けた積算光量計UIT−201で測定して、10〜1,000mJ/cm2程度が好ましく、10〜800mJ/cm2程度がより好ましく、20〜500mJ/cm2程度がさらに好ましい。また、照射する紫外線の波長は、200〜450nmが好ましく、220〜430nmがより好ましく、250〜400nmがさらに好ましい。
また、必要に応じて、光の照射により硬化した上記硬化膜をさらに加熱・焼成してもよく、特に、120〜250℃で10〜60分間加熱することが好ましく、150〜240℃で10〜60分間加熱することがより好ましく、180〜230℃で10〜60分間加熱することがさらに好ましい。
一般式(a)で表される化合物(A)
A1:ジプロピレングリコールジアクリレート
(商品名「SR508」、サートマー社製)
A2:トリプロピレングリコールジアクリレート
(商品名「SR306H」、サートマー社製)
A3:プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート
(商品名「SR9003」、サートマー社製)
ヒドロキシを有する単官能のラジカル重合性モノマー(B)
B1:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
(東京化成工業(株)製)
B2: 4−ヒドロキシブチルアクリレート
(商品名「4HBA」、日本化成(株)製)
光重合開始剤(C)
C1:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド
(商品名「DAROCUR TPO」、チバジャパン(株)製)
カルボキシまたはリンを有するラジカル重合性モノマー(D)
D1:フタル酸モノヒドロキシエチルメタクリレート
(商品名「CB−1」、新中村化学工業(株)製)
D2:2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート
(商品名「ライトエステルP−2M」、共栄社化学(株)製)
熱反応性樹脂(E)
E1:ポリビニルフェノール
(商品名「マルカリンカーM S−2P」、丸善石油化学(株)製)
E2:上記式(e−1)で表される化合物およびその縮合物の混合物
(商品名「ニカラックMW−30」、三和ケミカル(株)製)
難燃剤(F)
F1:縮合9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10オキシド
(上記式(f−1)の化合物。商品名「HFA−3003」、昭和高分子(株)製)
多官能のラジカル重合性モノマー(G)
G1:ビスフェノールFエポキシアクリレート
(商品名「ネオポール8477」、日本ユピカ(株)製)
G2:ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート
(商品名「M−208」、東亜合成(株)製)
反応性希釈剤(H)
H1:シクロへキシルメタクリレート
(商品名「ライトエステルCH」、共栄社化学(株)製)
H2:テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート
(商品名「SR203」、サートマー社製)
(1)インクの粘度・保管による粘度の変化
各インクジェット用インクの25℃での粘度をE型粘度計(東機産業(株)製 VISCOMETER TV−22)で測定した。結果を表2に示す。
また、各インクジェット用インクの一部(10g)を30mLのサンプル瓶に入れ、密栓をして、100℃で5時間保管した。そして、保管前のインクの粘度に対する保管後のインクの粘度の変化率を調べた。インクの粘度はいずれも保管後に増加しており、変化率が10%未満である場合を「○」、10%以上である場合を「×」とした。
各インクジェット用インクをインクジェットカートリッジに注入し、これをインクジェット装置(FUJIFILM Dimatix社製のDMP−2800)に装着し、10pl用のヘッドを用いて、吐出電圧(ピエゾ電圧)16V、ヘッド温度70℃、駆動周波数5kHzの条件下で吐出の様子を観察した。ジェッティング時の液柱が垂直方向に吐出され、サテライトは発生しなかった場合を「○」、液柱が隣の液柱と接触する、またはサテライトが発生した場合を「×」とした。
各インクジェット用インクをインクジェットカートリッジに注入し、これをインクジェット装置(FUJIFILM Dimatix社製のDMP−2800)に装着し、以下の基板作製条件で、基板上にインクジェットプリンタにより各インクジェット用インクを塗布(描画)し、次いでUV硬化させて硬化膜が形成された試験基板を作製した。このようにして作製された試験基板を用いて、以下の(3.1)〜(3.3)に示す、硬化膜のエッチング液に対する耐性、アルカリ性水溶液(剥離液)に対する剥離性およびめっき液に対する耐性を調べた。
基板作製条件
基 板 :銅箔をポリイミド上に積層した基板(厚さ35μm)
[(東洋紡績(株)製)バイロフレックス(商品名)]
硬化膜の膜厚:30μm
吐出条件 :上記(2)と同様の吐出条件
UV露光量 :250mJ/cm2
硬化膜のエッチング液に対する耐性を評価するために、作製した試験基板を50℃の13%FeCl3水溶液に15分浸漬させた後に水洗を行い、硬化膜の表面状態を目視にて判定した。剥離や変色が生じなかった場合を「○」、剥離や変色が生じた場合を「×」とした。
硬化膜のアルカリ性水溶液(剥離液)に対する剥離性を評価するために、作製した試験基板を50℃の8%NaOH水溶液に1分浸漬させた後に水洗を行い、硬化膜の剥離状態を目視にて判定した。完全に溶解もしくは剥離した場合を「○」、溶解もしくは剥離しなかった場合を「×」とした。
硬化膜のめっき液に対する耐性を評価するために、作製した試験基板を60℃の無電解ニッケルめっき液(商品名:ニムデンNPR−4、Ni濃度4.5g/L、上村工業(株)製)に20分浸漬させて水洗を行い、続いて60℃の金ストライクめっき液(商品名:アシドストライク、日本高純度化学(株)製)に10分浸漬させて水洗を行い、続いて100℃の無電解金めっき液(商品名:ゴブライトTAM−55、Au濃度1g/L、上村工業(株)製)に30分浸漬させて水洗することでめっき皮膜を形成した。この工程中においてめっき液の硬化膜内部への浸入や剥離が生じなかった場合を「○」、めっき液の硬化膜内部への浸入や剥離が生じた場合を「×」とした。
(4)カバーレイ用硬化膜の評価のための試験基板の作成と硬化膜の評価
各インクジェット用インクをインクジェットカートリッジに注入し、これをインクジェット装置(FUJIFILM Dimatix社製のDMP−2800)に装着し、以下の基板作製条件で、基板上にインクジェットプリンタにより各インクジェット用インクを塗布(描画)し、次いでUV硬化および熱硬化させて硬化膜が形成された試験基板を作製した。このようにして作製された試験基板を用いて、以下の(4.1)〜(4.3)に示す、硬化膜の銅基板に対する密着性、硬化膜のめっき液に対する耐性およびはんだ耐熱性を調べた。
基板作製条件
基 板 :銅箔をポリイミド上に積層した基板(厚さ35μm)
[(東洋紡績(株)製)バイロフレックス(商品名)]
硬化膜の膜厚:30μm
吐出条件 :上記(2)と同様の吐出条件
UV露光量 :40mJ/cm2
熱硬化条件 :190℃×30分
硬化膜の銅との密着性を評価するために、碁盤目法(JIS K 5400(1990))を用いて、剥離が生じたか否かを調べた。当該試験は、温度25℃、湿度65%の条件下で行った。剥離が生じなかった場合を「○」、剥離が生じた場合を「×」とした。
硬化膜のめっき液に対する耐性を評価するために、作製した試験基板を30℃のパラジウム水溶液(商品名:KAT−450、Pd濃度12mg/L、上村工業(株)製)に1分浸漬して水洗した後に、80℃の無電解ニッケルめっき液(商品名:ニムデンNPR−4、Ni濃度4.5g/L、上村工業(株)製)中に30分浸漬させて水洗を行い、続いて80℃の無電解金めっき液(商品名:ゴブライトTAM−55、Au濃度1g/L、上村工業(株)製)中に10分浸漬させて水洗することでめっき皮膜を形成した。この工程中においてめっき液の硬化膜内部への浸入や硬化膜の剥離が生じなかった場合を「○」、めっき液の硬化膜内部への浸入や硬化膜の剥離が生じた場合を「×」とした。
硬化膜のはんだ耐熱性を評価するために、試験基板の硬化膜表面にロジン系フラックス(商品名:NS−829、(株)日本スペリア社製)を塗布して、260℃のはんだ浴中に30秒浸漬させ、剥離や膨れが生じたか否かを調べた。剥離と膨れが全く生じなかった場合を「○」、剥離または膨れが僅かでも生じた場合を「×」とした。
実施例1はエッチングレジスト用またはめっきレジスト用として用いることに適した硬化膜を形成する本発明にかかるインクジェット用インクである。表1に記載された割合(重量部)で配合し、混合・溶解してフッ素樹脂製メンブレンフィルター(0.2μm)で濾過し、各インクジェット用インクを調製した。
なお、比較例1は、ヒドロキシを有する単官能のラジカル重合性モノマー(B)を含まない例である。
実施例2はカバーレイ用として用いることに適した硬化膜を形成する本発明にかかるインクジェット用インクである。表3に記載された割合(重量部)で配合し、混合・溶解してフッ素樹脂製メンブレンフィルター(0.2μm)で濾過し、各インクジェット用インクを調製した。
なお、比較例2は、ヒドロキシを有する単官能のラジカル重合性モノマー(B)を含まない例であり、比較例3は、(A)成分を含んでいてもカルボキシまたはリンを有するラジカル重合性モノマー(D)成分を含まない例である。
実施例3はエッチングレジスト用またはめっきレジスト用として用いることに適した硬化膜を形成する本発明にかかるインクジェット用インクである。表5に記載された割合(重量部)で配合し、混合・溶解してフッ素樹脂製メンブレンフィルター(0.2μm)で濾過し、各インクジェット用インクを調製した。
なお、比較例4は、ヒドロキシを有する単官能のラジカル重合性モノマー(B)を含まない例である。
実施例4はカバーレイ用として用いることに適した硬化膜を形成する本発明にかかるインクジェット用インクである。表7に記載された割合(重量部)で配合し、混合・溶解してフッ素樹脂製メンブレンフィルター(0.2μm)で濾過し、各インクジェット用インクを調製した。
なお、比較例5は、ヒドロキシを有する単官能のラジカル重合性モノマー(B)を含まない例であり、比較例6は、(A)成分を含んでいてもカルボキシまたはリンを有するラジカル重合性モノマー(D)成分を含まない例である。
実施例5〜10はエッチングレジスト用またはめっきレジスト用として用いることに適した硬化膜を形成する本発明にかかるインクジェット用インクである。表9に記載された割合(重量部)で配合し、混合・溶解してフッ素樹脂製メンブレンフィルター(0.2μm)で濾過し、各インクジェット用インクを調製した。
なお、比較例7〜9は、一般式(a)で表される化合物(A)成分を含まない例であり、比較例10〜12は、(A)成分を含んでいてもカルボキシまたはリンを有するラジカル重合性モノマー(D)成分を含まない例である。
得られたインクジェット用インクについて、比較例10〜12のジェッティング特性の評価においてヘッド温度を45℃にして評価を行ったこと以外は、インクの粘度および保管による粘度の変化、ジェッティング特性、硬化膜のエッチング液に対する耐性、アルカリ性水溶液(剥離液)に対する剥離性およびめっき液に対する耐性を、前述の方法により測定・評価した。これらの結果を表10に示す。
実施例11〜16はカバーレイ用として用いることに適した硬化膜を形成する本発明にかかるインクジェット用インクである。表11に記載された割合(重量部)で配合し、混合・溶解してフッ素樹脂製メンブレンフィルター(0.2μm)で濾過し、各インクジェット用インクを調製した。
なお、比較例13〜15は、一般式(a)で表される化合物(A)成分を含まない例であり、比較例16〜18は、(A)成分を含んでいてもカルボキシまたはリンを有するラジカル重合性モノマー(D)成分を含まない例である。
得られたインクジェット用インクの粘度および保管による粘度の変化、ジェッティング特性、硬化膜の銅基板に対する密着性、硬化膜のめっき液に対する耐性および硬化膜のはんだ耐熱性を、前述の方法により測定・評価した。結果を表12に示す。
Claims (16)
- 一般式(a)で表される化合物(A)と、ヒドロキシを有する単官能のラジカル重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、カルボキシまたはリンを有するラジカル重合性モノマー(D)とを含むインクジェット用インク。
(式(a)中、mとnはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、R1はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜3のアルキルであり、R2はそれぞれ独立して分岐構造を有していてもよい炭素数1〜13のアルキレンであり、R3は単結合または分岐構造を有していてもよい炭素数1〜13のアルキレンである。) - 一般式(a)において、mとnはそれぞれ独立して1〜2の整数であり、R1はそれぞれ独立して水素またはメチルであり、R2はそれぞれ独立して分岐構造を有していてもよい炭素数2〜3のアルキレンであり、R3は単結合または炭素数2〜5のアルキレンである、請求項1に記載のインクジェット用インク。
- ヒドロキシを有する単官能のラジカル重合性モノマー(B)が、一般式(b)で表される化合物である、請求項1または2に記載のインクジェット用インク。
(一般式(b)中、R4は水素または炭素数1〜3のアルキルであり、R5は炭素数2〜12の有機基であり、sは1〜30の整数である。) - ヒドロキシを有する単官能のラジカル重合性モノマー(B)が、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1以上である、請求項1または2に記載のインクジェット用インク。
- 光重合開始剤(C)が、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(o−ベンゾイルオキシム)から選ばれた少なくとも1つの化合物である、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- カルボキシまたはリンを有するラジカル重合性モノマー(D)が一般式(d−1)又は(d−2)で表される化合物である、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット用インク。
(一般式(d−1)中、R6は水素または炭素数1〜3のアルキルであり、R7は炭素数2〜12の有機基であり、R8は炭素数2〜12の有機基であり、pは1〜30の整数である。)
(一般式(d−2)中、R9は水素または炭素数1〜3のアルキルであり、R10は炭素数2〜12の有機基であり、qは1〜30の整数であり、rは1〜3の整数である。) - インクジェット用インク中に、一般式(a)で表される化合物(A)が1〜90重量%、ラジカル重合性モノマー(B)が1〜80重量%、光重合開始剤(C)が0.2〜20重量%およびカルボキシまたはリンを有するラジカル重合性モノマー(D)が1〜60重量%含まれる、請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- さらに、多官能のラジカル重合性モノマー(G)を含む請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- さらに、熱反応性樹脂(E)および難燃剤(F)からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- インクジェット法によって請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット用インクを塗布し、塗布されたインクに光を照射することによって硬化膜を形成する、硬化膜形成方法。
- インクジェット法によって請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット用インクを塗布し、塗布されたインクへの光照射および加熱を同時、または、光照射の後に加熱を行うことによって硬化膜を形成する、硬化膜形成方法。
- 請求項10または11に記載された方法で得られた硬化膜。
- 所定のパターンで形成されている、請求項12に記載の硬化膜。
- 基板上に請求項12または13に記載された硬化膜が形成された電子回路基板。
- 請求項14に記載された電子回路基板を有する電子部品。
- 請求項14に記載された電子回路基板または請求項15に記載された電子部品を有する表示素子。
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