JP5699504B2 - インクジェット用光硬化性インク組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、液晶表示素子またはEL表示素子などの表示素子や、プリント配線板およびフレキシブル配線板などの電子回路基板を製造するために好適に用いられるインクジェット用光硬化性インク組成物に関する。更に詳しくは、本発明は所定の回路パターンをなす金属配線表面を保護するカバーレイフィルムなどに適したインクジェット用光硬化性インク組成物に関する。
かねてより、プリント配線板、フレキシブル配線板および半導体パッケージ基板などの電子回路基板を製造する際、所定の回路パターンをなす金属配線などの導体面を保護する保護膜として、高分子系カバーレイフィルムが使用されてきた。カバーレイフィルムには一般に、耐めっき性、耐熱性、基板との密着性および難燃性が求められる。
このカバーレイフィルムを導体面に接着する方法としては、カバーレイフィルムの一方の表面を所定の形状に加工し、この加工された表面に接着剤をつけ、そのフィルムを電子回路基板に重ねて位置合わせをした後、プレス等で熱圧着する方法が一般的である。
この方法では、カバーレイフィルムを加工する、加工表面に接着剤をつける、そして位置合わせをするなどの操作において、作業性や位置精度が問題となる。
そこで従来、これらの問題の改善を目的として、感光性カバーレイを導体面に塗布し保護層を形成する方法が提案されてきた(例えば、特開昭45−115541号公報(特許文献1)、特開昭51−40922号公報(特許文献2)、特開2004−156012号公報(特許文献3))を参照)。
また、保護層を形成した後、フォトレジストを使用したエッチング処理および現像を行うことで、所定の微細パターンをなす保護膜を形成するということも行われる。
しかし、このような感光性カバーレイフィルムを使用した保護膜の形成のためには、パターン露光によるフィルムのパターン化と、前記のようにフィルムのエッチングとフォトレジストの現像が行われ、多くの工程が必要である。さらには、そのパターン露光に必要なフォトマスクの作製に長時間と多くの費用がかかる。
これらの問題を解決するため、インクジェット方式を用いて感光性材料を基板上に直接塗布し、パターンを形成する方法が開発されている(例えば、特開2008−239926号公報(特許文献4)、特開2008−239927号公報(特許文献5)、特開2009−13269号公報(特許文献6)、特開2009−13286号公報(特許文献7)、特開2009−102498号公報(特許文献8)、特開2009−102499号公報(特許文献9)、特開2007−106892号公報(特許文献10)、特開2007−106893号公報(特許文献11)を参照)。この方法には、従来必要であったパターン露光、エッチング処理および現像が不要であることから、前記方法は、設備投資金額が少なく、また、材料のロスが少ないなどの利点を有する方法として期待が持たれている。
しかし、前記特許文献4〜9に記載のインクジェット用感光性材料は、サーマル方式(バブルジェット(登録商標)方式ともいう)でジェッティングすることを前提としているために、感光成分が水に可溶であることが必須であるので、前記感光性材料に使用する原料に制限が生じ、材料設計が困難となる。また、ジェッティング時にヒータで局部的にインク温度を上昇させるので、インクを変質させてしまう可能性が高いという懸念や、感光性材料が水性であるため、それから得られるカバーレイフィルムは、めっき水溶液に対して不安定である、すなわち耐めっき性が不十分であるという懸念がある。
また、前記特許文献10および11に記載のインクジェット用感光性材料は、ピエゾ方式でジェッティングするものであるが、ジェッティング性を確保する(感光性材料の粘度を下げる)ために、感光性材料への有機溶媒の添加が必須条件であり、該有機溶媒は、使用するインクジェット装置や電子回路基板製造機器の部材を侵す危険性がある。さらに、現在は、環境負荷の削減のため、できるだけ溶媒を添加しないで使用するインクジェット用インクが望まれている。
以上のように、現在、水・有機溶媒を必須とせず、インクジェット方式で塗布可能であり、かつ耐めっき性、耐熱性、基板との密着性および難燃性のバランスに優れたカバーレイフィルムを形成しうる光硬化性組成物は得られていない。
特開昭45−115541号公報 特開昭51−40922号公報 特開2004−156012号公報 特開2008−239926号公報 特開2008−239927号公報 特開2009−13269号公報 特開2009−13286号公報 特開2009−102498号公報 特開2009−102499号公報 特開2007−106892号公報 特開2007−106893号公報
上記の状況の下、本発明は、一般にカバーレイフィルムに求められる、耐めっき性、耐熱性、基板との密着性および難燃性を高いレベルで具備し、特に密着性に優れた硬化膜を形成することが可能で、ジェッティング性および光硬化性に優れたインクジェット用光硬化性インク組成物を提供することを目的としている。
さらに本発明は、水や有機溶媒の添加を必要とせず、材料設計が容易であり、環境負荷も少ないインクジェット用光硬化性インクを提供することをも目的としている。
本発明者等は、特定の化合物を含み、粘度が一定の範囲にあるインクジェット用光硬化性インク組成物が、上記課題を解決することができる事を見出し、この知見に基づき本発明を完成した。
さらに、本発明はこのようなインクジェット用光硬化性インク組成物のほか、該組成物から得られた硬化膜を有する電子回路基板などを提供する。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]下記一般式(1)で表される化合物(A)と、オキシラニル、オキセタニル、アルコキシシリルおよび水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物(B)とを含み、
25℃における粘度が200mPa・s以下であることを特徴とするインクジェット用光硬化性インク組成物:
Figure 0005699504
(一般式(1)中、Rは炭素数1〜100の二価の有機基である。)。
[2]前記一般式(1)において、Rが、炭素数1〜50の二価の有機基であることを特徴とする[1]に記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
[3]前記一般式(1)において、Rが、任意の連続しない−CH2−がエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合またはカルボニルで置き換えられていてもよい炭素数1〜50のアルキレン、炭素数3〜50のシクロアルキレンまたは炭素数6〜50のアリーレンであることを特徴とする[1]または[2]に記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
[4]前記一般式(1)において、Rが、炭素数1〜50のアルキレンであることを特徴とする[3]に記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
[5]前記化合物(B)が、オキシラニルおよび/またはオキセタニルを有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
[6]前記化合物(B)が、オキシラニルを有することを特徴とする[5]に記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
[7]前記化合物(B)が、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、水添ビスフェノールA型、水添ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAノボラック型、トリスフェノールメタン型、テトラフェノールエタン型、ビキシレノール型、ビフェノール型、脂環型、複素環型、ジシクロペンタジエン型、またはナフタレン型の構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を有するエポキシ化合物であることを特徴とする[6]に記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
[8]さらに、前記化合物(B)以外の、(メタ)アクリロイル、アリルおよびビニルからなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性基を有する化合物(C)を含むことを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
[9]前記化合物(C)が、(メタ)アクリロイルを有することを特徴とする[8]に記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
[10]さらに光重合開始剤(D)を含むことを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
[11]さらに難燃剤(E)を含むことを特徴とする[1]〜[10]のいずれかに記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
[12]さらに、前記化合物(A)以外のエポキシ硬化剤、メラミン樹脂およびフェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(F)を含むことを特徴とする[1]〜[11]のいずれかに記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
[13]基板表面に回路が形成され、該基板および回路上の少なくとも一部に、[1]〜[12]のいずれかに記載のインクジェット用光硬化性インク組成物を硬化させて得られる硬化膜が形成されてなることを特徴とする電子回路基板。
本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物は、ジェッティング性および光硬化性に優れ、耐めっき性、耐熱性、基板との密着性および難燃性に同時に優れた硬化膜を形成することができる。
[1.本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物]
本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物(以下単に「本発明のインク組成物」ともいう)は、上述のように、上記一般式(1)で表される化合物(A)(以下単に「化合物(A)」ともいう)と、オキシラニル、オキセタニル、アルコキシシリルおよび水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物(B)と(以下単に「化合物(B)」ともいう)を含む。
また、本発明のインク組成物は、後述する、化合物(B)以外の、(メタ)アクリロイル、アリルおよびビニルからなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性基を有する化合物(C)、光重合開始剤(D)、難燃剤(E)および化合物(F)を含んでもよく、さらに必要に応じて着色剤、溶媒、界面活性剤、重合禁止剤などを含んでもよい。なお、本発明のインク組成物は、無色であっても有色であってもよい。
<1.1一般式(1)で表される化合物(A)>
前記化合物(A)は、下記一般式(1)で表され、それ自身が炭素−炭素二重結合部分で光重合して、化合物(A)に由来する構造単位が鎖状に結合した硬化物を形成し、また後述する化合物(B)と反応して、剛直な構造を形成し、耐熱性および耐めっき性に優れた硬化物を形成する。
Figure 0005699504
上記式において、Rは炭素数1〜100の二価の有機基である。耐熱性および耐めっき性に優れた硬化物を形成する観点からは、Rは炭素数1〜50の二価の有機基であることが好ましい。
前記炭素数1〜50の二価の有機基の例としては、任意の連続しない−CH2−がエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合またはカルボニルで置き換えられていてもよい炭素数1〜50のアルキレンや、炭素数3〜50のシクロアルキレンおよび炭素数6〜50のアリーレンが挙げられる。
前記Rの具体例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、エチレンオキシメチレンおよびフェニレンなどが挙げられ、メチレン、エチレンおよびプロピレン等のアルキレンが好ましい。
本発明のインク組成物から得られる硬化物の耐熱性、耐めっき性および基板との密着性の特性のバランスの観点から、Rは炭素数1〜50のアルキレンであることがより好ましい。
このような一般式(1)で表される化合物(A)は、本発明のインク組成物において、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインク組成物における前記化合物(A)の含有量は、該インク組成物総量の15〜50重量%であると、該インク組成物から得られる硬化膜が高い耐めっき性および耐熱性を示すので、好ましい。前記耐めっき性および耐熱性とインク組成物のジェッティング性とのバランスから、前記含有量はより好ましくは15〜45重量%であり、さらに好ましくは15〜40重量%である。
また、化合物(A)は、下記一般式で表される化合物(a1)と、シトラコン酸無水物とを反応させることによって得ることができる。
Figure 0005699504
上記式において、Rは一般式(1)におけるRと同一の定義である。化合物(a1)と、シトラコン酸無水物との反応により、イミドが形成され、化合物(A)が得られる。この反応には、イミド形成反応における反応条件として公知の条件を採用することができる。
本発明に使用される化合物(A)は、このようにして形成されるシトラコンイミド構造を有しており、マレイミド構造を有する化合物よりも、本発明のインク組成物を構成する他の成分への溶解性が優れている。マレイミド構造を有する化合物の多くは、前記他の成分に対して不溶であり、本発明のインク組成物において使用することができない。
<1.2.オキシラニル、オキセタニル、アルコキシシリルおよび水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物(B)>
本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物は、上記化合物(B)を含む。
化合物(B)は、オキシラニル、オキセタニル、アルコキシシリルおよび水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有していれば特に限定されない。
本発明のインク組成物においては、化合物(B)が有する上記の官能基が化合物(A)のカルボキシル基と反応し、硬化物を形成する。
化合物(B)が前記の官能基を2つ以上有すると、本発明のインク組成物が硬化性に優れている。また、前述のように化合物(A)は光重合によって鎖状に連結しているが、化合物(B)中の官能基が2つ以上であると、複数の鎖から出ている化合物(A)由来の遊離のカルボキシル基と前記化合物(B)中の官能基とが反応し、複数の鎖が化合物(B)によって連結(架橋)され、より強固な網目構造の、耐めっき性、耐熱性および基板との密着性に優れた硬化膜を形成すると期待されるので、好ましい。なお、化合物(B)中の前記官能基の数は、通常6個以下である。
前記硬化膜の耐めっき性、耐熱性および基板との密着性の観点からは、化合物(B)はオキシラニルおよび/またはオキセタニルを有することが好ましく、オキシラニルを有することがより好ましい。
オキシラニルを有する化合物(B)の具体例としては、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、水添ビスフェノールA型、水添ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAノボラック型、トリスフェノールメタン型、テトラフェノールエタン型、ビキシレノール型、ビフェノール型、脂環型、複素環型、ジシクロペンタジエン型、またはナフタレン型の構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を有するエポキシ化合物が挙げられる。
上記の中でも、本発明のインク組成物から得られる硬化膜の耐めっき性、耐熱性および基板との密着性の観点から、好ましくはフェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビスフェノールA型およびビスフェノールF型のエポキシ化合物、その中でもさらに好ましくはビスフェノールA型およびビスフェノールF型のエポキシ化合物である。
以上例示したエポキシ化合物の市販品としては、エピコート828、同834、同1001、同1004(商品名;三菱化学(株)製)、エピクロン840、同850、同1050、同2055、(商品名;DIC(株)製)、エポトートYD−011、同YD−013、同YD−127、同YD−128(商品名;東都化成(株)製)、D.E.R.317、同331、同661、同664((商品名;ダウケミカル日本(株)製)、アラルダイド6071、同6084、同GY250、同GY260(商品名;BASFジャパン(株)製)、スミ−エポキシESA−011、同ESA−014、同ELA−115、同ELA−128(商品名;住友化学工業(株)製)、および、A.E.R.330、同331、同661、同664(商品名;旭化成イーマテリアル(株)製)等のビスフェノールA型エポキシ化合物;
エピコート152、同154(商品名;三菱化学(株)製)、ダウエポキシDEN−431、同DEN−438、同DEN−439、同DEN−485(商品名;ダウケミカル日本(株)製)、アラルダイトEPN−1138、同EPN−1139(商品名;BASFジャパン(株)製)、エピクロンN−730、同N−738、同N−740(商品名;DIC(株)製)等のフェノールノボラック型エポキシ化合物;
エピクロンN−660、同N−665、同N−670、同N−673、同N−695(商品名;DIC(株)製)、EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−104S(商品名;日本化薬(株)製)等のクレゾールノボラック型エポキシ化合物;
エピクロン830(商品名;DIC(株)製)、JER807(商品名;三菱化学(株)製)、エポトートYDF−170(商品名;東都化成(株)製)、および、YDF−175、YDF−2001、YDF−2004、アラルダイドXPY306(商品名;BASFジャパン(株)製)等のビスフェノールF型エポキシ化合物;
エポトートST−2004、同ST−2007、同ST−3000(商品名;東都化成(株)製)等の水添ビスフェノールA型エポキシ化合物;
セロキサイド2021(商品名;ダイセル化学工業(株)製)、および、アラルダイドCY175、同CY179(商品名;BASFジャパン(株)製)等の脂環型エポキシ化合物;
YL−933(商品名;三菱化学(株)製)、および、EPPN−501、EPPN−502(商品名;ダウケミカル日本(株)製)、テクモアVG3101L(三井化学(株)製)等のトリスフェノールメタン型エポキシ化合物;
YL−6056、YX−4000、YL−6121(商品名;三菱化学(株)製)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ化合物又はそれらの混合物;
EBPS−200(商品名;日本化薬(株)製)、EPX−30(商品名;(株)ADEKA製))およびEXA−1514(商品名;DIC(株)製)等のビスフェノールS型エポキシ化合物;
JER157S(商品名;三菱化学(株)製)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物;
YL−931(商品名;三菱化学(株)製)およびアラルダイド163(商品名;BASFジャパン(株)製)等のテトラフェノールエタン型エポキシ化合物;
アラルダイドPT810(商品名;BASFジャパン(株)製)およびTEPIC(商品名;日産化学工業(株)製)等の複素環型エポキシ化合物;
HP−4032、EXA−4750、EXA−4700(商品名;DIC(株)製)等のナフタレン型エポキシ化合物;
HP−7200、HP−7200H、HP−7200HH(商品名;DIC(株)製)等のジシクロペンタジエン型エポキシ化合物が挙げられる。
また、化合物(B)として、オキセタニルを有する化合物の例としては、3―エチル―3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3―エチル―3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3―エチル―3−(ヘキシロキシメチル)オキセタン、3―エチル―3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3―エチル―3−(クロロメチル)オキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼンおよびビス{[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル}エーテルなどが挙げられる。
化合物(B)として、アルコキシシリルを有する化合物の例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのアルコキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
化合物(B)として、水酸基を有する化合物の例としては、アミルアルコール、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、ヘキサンジオール、グリセリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなどが挙げられる。
以上説明した化合物(B)は、本発明のインク組成物において、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、化合物(B)の含有量が、本発明のインク組成物総量の15〜50重量%であると、該組成物から得られる硬化膜の耐めっき性、耐熱性および基板との密着性が向上するので好ましく、より好ましくは15〜45重量%であり、さらに好ましくは15〜40重量%である。
<1・3.(メタ)アクリロイル、アリルおよびビニルからなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性基を有する化合物(C)>
本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物は、上述のように、化合物(C)を含んでもよい。
化合物(C)は、上記化合物(B)以外の化合物であって、(メタ)アクリロイル、アリルおよびビニルからなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性基を有する化合物であれば、特に限定されない。
本発明のインク組成物に化合物(C)を含有させると、該インク組成物の光硬化性が高められ、またインク組成物の粘度が低下し、インク組成物のジェッティング性が向上する。そのため、化合物(C)は本発明のインク組成物における光硬化性希釈モノマーとして使用することができる。
前記化合物(C)における重合性基の数が多いと、本発明のインク組成物を光硬化させて得られる硬化膜において、架橋密度が高まり、硬化膜の耐熱性および耐めっき性が向上する。化合物(C)における重合性基の数は、通常6個以下である。
また、前記重合性基について、光重合性の観点から、前記3つの重合性基の中でも、(メタ)アクリロイルが特に好ましい。
(メタ)アクリロイルを有する化合物の具体例としては、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エチレンオキシド変性ジアクリレート、ビスフェノールA型エチレンオキシド変性ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレートおよびウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
本発明のインク組成物において、化合物(C)は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明のインク組成物における化合物(C)の含有量は、該インク組成物総量の20〜70重量%であると、該インク組成物の光硬化性およびジェッティング性が向上し、他特性とのバランスを考慮すると、より好ましくは20〜65重量%であり、さらに好ましくは20〜60重量%である。
<1.4.光重合開始剤(D)>
本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物は、光硬化性をさらに向上するために、光重合開始剤(D)を含んでもよい。光重合開始剤(D)は、紫外線あるいは可視光線の照射によりラジカルを発生することのできる化合物であれば特に限定されないが、アルキルフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系またはチタノセン系光重合化合物が好ましく、その中でも特にアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤が、光硬化性の観点から好ましい。
光重合開始剤(D)の具体例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジ(メトキシカルボニル)−4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ジ(メトキシカルボニル)−4,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジ(メトキシカルボニル)−3,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2−(4’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステル、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、およびフェニルグリオキシリックアシッドメチルエステルなどを挙げることができる。
本発明のインク組成物において、光重合開始剤(D)は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインク組成物における光重合開始剤(D)の含有量は、該インク組成物総量の0.5〜20重量%であると、該インク組成物が紫外線に対して高感度となるので好ましく、より好ましくは1〜15重量%であり、さらに好ましくは2〜10重量%である。
<1.5.難燃剤(E)>
本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物は、難燃剤(E)を含んでもよい。本明細書において、難燃剤(E)とは難燃性を付与できる化合物であれば特に限定されないが、低有毒性、低公害性、安全性の観点から、有機リン系難燃剤を難燃剤(E)として用いることが好ましい。また、難燃剤の中には(メタ)アクリロイルを有するものも存在するが、このような難燃剤は、本明細書においては、上記化合物(C)ではなく難燃剤(E)に該当するものとする。
前記有機リン系難燃剤の具体例としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10オキシド、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドおよび縮合9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10オキシドが挙げられる。
これらの難燃剤の中でも、特に、下記式(E−1)で表される縮合9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10オキシドであるHFA−3003(商品名;昭和電工(株)製)を用いると、本発明のインク組成物から得られる硬化膜を高温状態にさらした場合でも、難燃剤(E)のブリードアウトがないので好ましい。
Figure 0005699504
本発明のインク組成物において、難燃剤(E)は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以上説明した難燃剤(E)は公知の方法で製造することができ、また上記の昭和電工(株)製のHFA−3003のように、市販もされている。
本発明のインク組成物において、前記難燃剤(E)の含有量が、該インク組成物総量の5〜25重量%であると、該インク組成物から得られる硬化膜の耐めっき性および耐熱性とジェッティング性とのバランスが良く、かつ難燃性に優れるため好ましく、より好ましくは7〜20重量%であり、さらに好ましくは10〜20重量%であり、特に好ましくは12〜20重量%である。
<1.6.化合物(A)以外のエポキシ硬化剤、メラミン樹脂およびフェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(F)>
上述のように、本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物は、化合物(A)以外のエポキシ硬化剤、メラミン樹脂およびフェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(F)を含んでもよい。
(1.6.1.エポキシ硬化剤)
本発明のインク組成物が、化合物(B)などとしてエポキシ化合物を含んでいる場合、前記インク組成物から得られる硬化膜の耐めっきおよび耐熱性をより向上させるために、さらに化合物(A)以外のエポキシ硬化剤を前記インク組成物に含有させてもよい。
前記エポキシ硬化剤の具体例としては、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロトリメリット酸無水物、無水フタル酸、トリメリット酸無水物、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジシアンジアミド、ポリアミドアミン(ポリアミド樹脂)、ケチミン化合物、イソホロンジアミン、m−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサクロルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸およびメチル−3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸が挙げられる。
本発明のインク組成物において、前記エポキシ硬化剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインク組成物におけるエポキシ硬化剤の含有量は、該インク組成物総量の0.5〜50重量%であると、該インク組成物から得られる硬化膜の耐めっき性および耐熱性が向上するので好ましく、他特性とのバランスを考慮すると、より好ましくは0.5〜40重量%であり、さらに好ましくは0.5〜30重量%である。
(1.6.2.メラミン樹脂)
本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物には、耐めっき性および耐熱性を向上させるために、メラミン樹脂を含有させてもよい。
メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合により製造された樹脂であれば、特に限定されないが、その具体例としては、メチロールメラミン、エーテル化メチロールメラミン、ベンゾグアナミン、メチロールベンゾグアナミン、エーテル化メチロールベンゾグアナミン、及びそれらの縮合物を挙げることができる。これらの中でも、エーテル化メチロールメラミンを含有させると、本発明のインク組成物から耐めっき性が良好な硬化膜が得られるので、好ましい。
なお、メラミン樹脂の市販品の具体例としては、ニカラックMW−30、MW−30HM、MW−390、MW−100LMおよびMX−750LM(商品名;(株)三和ケミカル製)が挙げられる。
本発明のインク組成物において、メラミン樹脂は1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインク組成物におけるメラミン樹脂の含有量が、該インク組成物総量の0.5〜25重量%であると、該インク組成物から得られる硬化膜の耐めっき性および耐熱性が向上するので好ましく、他特性とのバランスを考慮すると、より好ましくは1.0〜20重量%であり、さらに好ましくは1.5〜20重量%である。
(1.6.3.フェノール樹脂)
本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物は、該インク組成物から得られる硬化膜の耐めっき性および耐熱性を向上させるために、フェノール樹脂を含んでもよい。
前記フェノール樹脂としては、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物とアルデヒド類との縮合反応により得られるノボラック樹脂、ビニルフェノールの単独重合体(水素添加物を含む)、又はビニルフェノールとこれと共重合可能な化合物とのビニルフェノール系共重合体(水素添加物を含む)などが好ましく用いられる。
前記フェノール性水酸基を有する芳香族化合物の具体例としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、o−キシレノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、p−フェニルフェノール、レゾルシノール、ホドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、テルペン骨格含有ジフェノール、没食子酸、没食子酸エステル、α−ナフトールおよびβ−ナフトールが挙げられる。
同じく、前記アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒドおよびアセトアルデヒドなどが挙げられる。
前記ビニルフェノールと共重合可能な化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸又はその誘導体、スチレン又はその誘導体、無水マレイン酸、酢酸ビニルおよびアクリロニトリルが挙げられる。
以上説明したフェノール樹脂の市販品の具体例としては、レヂトップPSM−6200(商品名;群栄化学(株)製)、ショウノールBRG−555(商品名;昭和電工(株)製)、マルカリンカーM S−2P、マルカリンカーCST70およびマルカリンカーPHM−C(商品名;丸善石油化学(株)製)が挙げられる。
本発明のインク組成物において、前記フェノール樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインク組成物におけるフェノール樹脂の含有量が、該インク組成物総量の0.5〜20重量%であると、該インク組成物から得られる硬化膜の耐めっき性および耐熱性が向上するので好ましく、他特性とのバランスを考慮すると、より好ましくは0.5〜10重量%であり、さらに好ましくは0.5〜7重量%である。
<1.7.その他の成分>
本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物は、各種特性をさらに向上させるために、着色剤、溶媒、界面活性剤および重合禁止剤などを含んでもよい。
(1.7.1.着色剤)
本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物は、例えば、基板上に該インク組成物から硬化膜を形成し、その硬化膜の状態を検査する際に、基板との識別を容易にするために、着色剤を含んでもよい。着色剤としては、染料および顔料が好ましい。
本発明のインク組成物においては、着色剤は1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインク組成物における前記着色剤の含有量が、該インク組成物総量の0.1〜5重量%であると、前記硬化膜の検査が容易であるので好ましく、他特性とのバランスを考慮すると、より好ましくは0.1〜1重量%であり、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%である。
(1.7.2.溶媒)
本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物は、溶媒(水や有機溶媒)を含まなくとも十分なジェッティング性を有しているため、材料設計が容易で、環境負荷の小さいインク組成物であるが、ジェッティング性をさらに向上させるために、溶媒を含んでもよい。
前記溶媒について、本発明のインク組成物をジェッティングする際に、インクジェットヘッドを加温する場合、インク組成物に低沸点の溶媒が含まれていると、溶媒が揮発してインク組成物の粘度が上昇し、インクジェットヘッドのノズル口が詰まってしまうことがある。そのため、沸点が100〜300℃の溶媒が好ましい。
沸点が100〜300℃である溶媒の具体例としては、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、アセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンおよびジメチルイミダゾリジノンが挙げられる。
これらの溶媒は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインク組成物における溶媒の含有量は、該インク組成物総量の0〜60重量%であると、ジェッティング性と他の特性とのバランスが良く、より好ましくは0〜50重量%であり、さらに好ましくは0〜40重量%である。
(1.7.3.界面活性剤)
本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物は、下地基板への濡れ性や、前記インク組成物から得られる硬化膜の膜面均一性を向上させるために、界面活性剤を含んでもよい。本発明においては、前記界面活性剤としては、シリコン系界面活性剤、アクリル系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤などが用いられる。
前記シリコン系界面活性剤の具体例としては、Byk−300、同306、同335、同310、同341、同344及び同370(商品名;ビックケミー・ジャパン(株)製)が挙げられ、
前記アクリル系界面活性剤の具体例としては、Byk−354、同358及び同361(商品名;ビックケミー・ジャパン(株)製)が挙げられ、
前記フッ素系界面活性剤の具体例としては、DFX−18、フタージェント250および同251(商品名;(株)ネオス製)、ならびにメガファックF−477、同479、同553、同554、RS−72−K、RS−211(商品名;DIC(株)製)が挙げられる。
本発明のインク組成物においては、前記界面活性剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインク組成物における界面活性剤の含有量が、該インク組成物総量の0.001〜1重量%であると、該インク組成物から得られる硬化膜の膜面均一性が向上するので好ましく、他特性とのバランスを考慮すると、より好ましくは0.001〜0.1重量%であり、さらに好ましくは0.001〜0.05重量%である。
(1.7.4.重合禁止剤)
本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物は、保存安定性を向上させるために重合禁止剤を含んでもよい。
前記重合禁止剤の具体例としては、4−メトキシフェノール、ヒドロキノンおよびフェノチアジンを挙げることができる。これらの中でも、フェノチアジンを含有させると、本発明のインク組成物が、長期の保存においても粘度の変化が小さいために好ましい。
本発明のインク組成物において、前記重合禁止剤は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインク組成物における重合禁止剤の含有量が、該インク組成物総量の0.01〜1重量%であると、該インク組成物が長期の保存においても粘度の変化が小さいために好ましく、他特性とのバランスを考慮すると、より好ましくは0.01〜0.5重量%である。
<1.8.インクジェット用光硬化性インク組成物の粘度>
本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物の粘度は、E型粘度計を用いて25℃で測定され、200mPa・s以下である。そのため、本発明のインク組成物は、溶媒を含まなくとも、優れたジェッティング性を有している。なお、必要に応じて前記インク組成物が溶媒を含んでもよいことは、前述のとおりである。
本発明のインク組成物の粘度は、ジェッティング性の観点から、好ましくは2〜200mPa・sであり。より好ましくは10〜180mPa・sであり、さらに好ましくは20〜150mPa・sである。
また、25℃における粘度が30mPa・sを超えるインク組成物を使用する場合は、インクジェットヘッドを加温して吐出時の粘度を下げると、より安定した吐出が可能になる。インクジェットヘッドを加熱してジェッティングを行う場合は、加熱温度(好ましくは40〜120℃)における本発明のインク組成物の粘度は、1〜30mPa・sであることが好ましく、2〜25mPa・sであることがさらに好ましく、3〜20mPa・sであることが特に好ましい。
インクジェットヘッドを加温する場合は、本発明のインク組成物として、溶媒を含まないインク組成物を用いることが好ましい。その場合、インク組成物の粘度は、希釈剤(化合物(C))の種類と含有量を適宜選択することにより調整することが好ましい。また、溶媒を含有させる場合には、沸点が100〜300℃の溶媒を使用することが好ましいことは、前述のとおりである。
一方インクジェットヘッドを加温しない場合、インク組成物の粘度は、溶媒の量がインク組成物総量の60重量%以下になるように、溶媒を加えて調整することができる。
<1.9.本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物の調製方法>
本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物は、原料となる各成分を公知の方法により混合することで調製することができる。特に、本発明のインク組成物は、前記(A)、(B)成分および必要に応じて上記の(C)〜(F)成分やその他の成分を混合し、得られた溶液をろ過して脱気することにより調製されることが好ましい。
例えばそのようにして調製された本発明のインク組成物は、ジェッティング性および光硬化性に優れ、耐めっき性、耐熱性、基板との密着性および難燃性に同時に優れた硬化膜を形成することができる。なお、前記ろ過には、例えばフッ素樹脂製のメンブレンフィルターなどが用いられる。
<1.10.本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物の保存>
本発明のインクジェット用インクは、−20〜25℃で保存すると、保存中の粘度変化(増加)が小さく、保存安定性が良好である。
[2.インクジェット方法による本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物の塗布]
本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物は、公知のインクジェット塗布方法を用いて塗布することができる。インクジェット塗布方法としては、例えば、インク組成物に力学的エネルギーを作用させてインク組成物をインクジェットヘッドから吐出(塗布)する方法(いわゆるピエゾ方式)、及びインク組成物に熱エネルギーを作用させてインク組成物を吐出する方法(いわゆるバブルジェット(登録商標)方式)がある。
インクジェット塗布方法を用いることにより、本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物を、予め定められたパターン状に塗布することができる。これによって、必要な箇所だけにインクを塗布でき、フォトリソグラフィー法に比べて、コストの削減となる。
本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物を用いて塗布を行うのに好ましい塗布ユニットは、例えば、これらのインク組成物を収容するインク収容部と、インクジェットヘッドとを備えたインクジェットユニットが挙げられる。インクジェットユニットとしては、例えば、塗布信号に対応した熱エネルギーをインク組成物に作用させ、前記エネルギーによりインク組成物の液滴を発生させながら、前記塗布信号に対応した塗布(描画)を行うインクジェットユニットが挙げられる。
前記インクジェットヘッドとしては、例えば、金属及び/又は金属酸化物を含有する発熱部接液面を有するものが挙げられる。前記金属及び/又は金属酸化物の具体例としては、例えば、Ta、Zr、Ti、Ni、Al等の金属、及びこれらの金属の酸化物等が挙げられる。
本発明のインク組成物を用いて塗布を行うのに好ましい塗布装置としては、例えば、インク組成物が収容されるインク収容部を有するインクジェットヘッドの室内のインク組成物に、塗布信号に対応したエネルギーを与え、前記エネルギーによりインク組成物の液滴を発生させながら、前記塗布信号に対応した塗布(描画)を行う装置が挙げられる。
インクジェット塗布装置としては、インクジェットヘッドとインク収容部とが分離されているものに限らず、それらが分離不能に一体になったものを用いてもよい。また、インク収容部はインクジェットヘッドに対し分離可能又は分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるもののほか、装置の固定部位に設けられて、インク供給部材、例えばチューブを介してインクジェットヘッドにインク組成物を供給する形態のものでもよい。
また、インクジェット用光硬化性インク組成物の加熱温度は40〜120℃であることが好ましく、その加熱温度における前記インク組成物の粘度は、1〜30mPa・sであることが好ましい。
<2.1.硬化膜の形成>
上述した本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物を、インクジェット法により基板表面に塗布した後に、該インク組成物に紫外線や可視光線等の光を照射して塗膜を硬化させることで、硬化膜が得られる。
紫外線や可視光線等を照射する場合、照射する露光量は、前記インク組成物の組成に依存するが、ウシオ電機(株)製の受光器UVD−365PDを取り付けた積算光量計UIT−201で測定して、10〜1,000mJ/cm2程度であることが好ましく、20〜800mJ/cm2程度であることがより好ましく、40〜500mJ/cm2程度であることがさらに好ましい。また、照射する紫外線や可視光線等の波長は、250〜500nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましい。
なお、露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等を搭載し、250〜500nmの範囲で、紫外線や可視光等を照射する装置であれば特に限定されない。
また、必要に応じて、光の照射により硬化した上記硬化膜をさらに加熱・焼成してもよく、特に、100〜250℃で10〜60分間加熱することが好ましく、120〜230℃で10〜60分間加熱することがより好ましく、150〜200℃で10〜60分間加熱することがさらに好ましい。加熱・焼成をすることによって、硬化膜をより強固に硬化させることができる。具体的には、この加熱・焼成により、化合物(A)と(B)とが反応すると考えられ、これにより、上記の化合物(A)が重合してできた複数の鎖が化合物(B)で連結された、強固な網目構造が形成されると考えられる。
本発明に使用できる、本発明のインク組成物が塗布される「基板」は、本発明のインク組成物が塗布される対象となり得るものであれば特に限定されず、その形状は平板状に限られず、曲面状であってもよい。
また、基板の材質は特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系樹脂、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネートおよびポリイミドなどのプラスチックフィルム、セロハン、アセテート、金属箔、ポリイミドと金属箔との積層フィルム、目止め効果があるグラシン紙、パーチメント紙、ならびに、ポリエチレン、クレーバインダー、ポリビニルアルコール、でんぷんまたはカルボキシメチルセルロース(CMC)などで目止め処理した紙およびガラスを挙げることができる。
これらの基板を構成する物質には、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲において、さらに、顔料、染料、酸化防止剤、劣化防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤及び/又は電磁波防止剤などの添加剤を含有させてもよい。また、基板の表面の一部には、基板と異なる材質のカバーレイやソルダーレジスト膜が形成されていてもよい。
基板の厚さは特に限定されないが、通常、10μm〜2mm程度であり、使用する目的により適宜調整されるが、15〜500μmであることが好ましく、20〜200μmであることがさらに好ましい。
基板に硬化膜を形成する際には、必要により、前記硬化膜形成前に前記基板面上に撥水処理、コロナ処理、プラズマ処理、又はブラスト処理などの易接着処理を施したり、表面に易接着層やカラーフィルター用保護膜を設けたりしてもよい。
前記基板の用途は特に限定されないが、本発明のインクジェット用光硬化性インク組成物から得られる硬化膜は、耐めっき性、耐熱性、基板との密着性および難燃性に優れているため、基板表面に金属製の回路を有する電子回路基板に、ICチップ等を実装してなる電子部品等の製造に用いられることが好ましい。
前記回路を形成する金属は、特に限定されるものではないが、金、銀、銅、アルミ又はITOが好ましい。これらの金属からなる配線が形成された基板に、本発明のインク組成物をインクジェット装置により所定のパターン状に塗布し、硬化させて得られる硬化膜は、前記配線のカバーレイフィルムとして機能する。
このような、基板表面に回路が形成され、該基板および回路上の少なくとも一部に前記硬化膜が形成されてなる電子回路基板も、本発明の範囲に含まれる。また、カバーレイフィルムなどとして機能する前記硬化膜の厚みは、特に限定されないが、通常5〜50μmである。
上記のようにして製造された本発明の電子回路基板にICチップ、コンデンサ、抵抗、ヒューズ等を実装することで、例えば、液晶表示素子またはEL表示素子用の電子部品を作製することができる。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
まず実施例1〜4ならびに比較例2,3および5に使用した化合物の合成方法を説明し、次に、その化合物を用いたインクジェット用光硬化性インク組成物の調製およびそれを使用して得られた硬化膜パターン形成基板について説明する。
<一般式(1)で表される化合物(A)の合成>
[合成例]
50mLナス型フラスコ中に、β−アラニン0.15mol(13.29g)(東京化成工業(株)製)およびシトラコン酸無水物0.15mol(16.72g)(東京化成工業(株)製)を加え、150℃で3時間攪拌した。攪拌後、50mLナス型フラスコ中にトルエンを加え、反応で生じた水を除きながら1時間還流した。
水を取り除いた後に、ロータリーエバポレーターを用いて反応液からトルエンを除去することにより、下記式で表される化合物(以下「化合物A1」という)27.37gを得た。
Figure 0005699504
<下記式(2)で表される化合物の合成>
[比較合成例]
N,N−ジメチルホルムアミド320ml中に、マレイン酸無水物1.0mol(98.1g)(東京化成工業(株)製)およびp−アミノ安息香酸1.0mol(137.1g)(東京化成工業(株)製)を溶解し、窒素雰囲気下、得られた溶液を室温で5時間攪拌した。攪拌後、前記溶液を大量の水に加え、反応生成物を沈殿させた。この沈殿物をろ過、乾燥し、水にて再結晶し精製した。
次に、この精製物0.2mol(43.5g)に無水酢酸100mL、酢酸ナトリウム2.5gを加え、得られた混合液を55〜60℃で2時間攪拌した。攪拌後、前記混合液を大量の水に加えて、反応生成物を沈殿させた。得られた沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、メタノール−水(V/V=6/1)の混合溶液にて再結晶を行い目的とする化合物(下記式(2)で表される化合物、以下「化合物MI」という)37.0gを得た。
Figure 0005699504
<インクジェット用光硬化性インク組成物及び硬化膜パターン形成基板の作製>
次に、実施例1〜4及び比較例1〜6にて作製したインクジェット用光硬化性インク組成物及びそれを使用して得られた硬化膜パターン形成基板について説明する。
[実施例1]
化合物(A)として上記合成例で合成した化合物A1、化合物(B)としてビスフェノールA型エポキシ化合物であるエピコート828(商品名; 三菱化学(株) 製)、化合物(C)として、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(商品名:東京化成(株)製、以下HEMA)、光重合開始剤(D)として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドであるDAROCUR TPO(商品名;BASFジャパン(株)製)、重合禁止剤としてフェノチアジンを下記組成割合にて混合、溶解した後、得られた組成物を1μmのPTFE製のメンブレンフィルターでろ過し、インクジェット用光硬化性インク組成物1を調製した。
(A) 化合物A1 0.6000g
(B) エピコート828 0.6000g
(C) HEMA 0.8000g
(D) TPO 0.1000g
その他 フェノチアジン 0.0010g
E型粘度計(東機産業(株)製 TV−22、以下同じ)を用い、25℃における前記インク組成物1の粘度を測定した結果、粘度は111mPa・sであった。
インク組成物1をインクジェットカートリッジに注入し、これをインクジェット装置(FUJIFILM Dimatix社 製のDMP−2831)に装着し、10pl用のヘッドを用いて、吐出電圧(ピエゾ電圧)16V、ヘッド温度70℃、駆動周波数5kHz、塗布回数1回の吐出条件で、ポリイミド上に銅箔を積層した厚さ35μmの銅張積層板であるバイロフレックス(商品名;東洋紡績(株) 製)の銅表面上に所定のパターンを形成した。
インク組成物1を使用してパターン形成した基板に、波長365nmの紫外線を250mJ/cm2のUV露光量で照射した後、190℃で30分間加熱硬化させることで、厚さ13μmの硬化膜パターンを形成した基板1を得た。
[実施例2]
実施例1において、化合物(C)としてさらにジプロピレングリコールジアクリレートであるSR508(商品名;サートマージャパン(株)製)を加えて、下記組成割合とした以外は実施例1と同様の方法でインクジェット用光硬化性インク組成物2を調製した。
(A) 化合物A1 0.6000g
(B) エピコート828 0.6000g
(C) HEMA 0.8000g
(C) SR508 0.4000g
(D) TPO 0.1200g
その他 フェノチアジン 0.0012g
E型粘度計を用い、25℃における前記インク組成物2の粘度を測定した結果、粘度は85mPa・sであった。
インク組成物2を用い、実施例1と同様の方法で、厚さ12μmの硬化膜パターンを形成した基板2を得た。
[実施例3]
実施例1において、難燃剤(E)として縮合9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10オキシドであるHFA−3003(昭和電工(株)製)を加えて、下記組成割合とした以外は実施例1と同様の方法でインクジェット用光硬化性インク組成物3を調製した。
(A) 化合物A1 0.6000g
(B) エピコート828 0.6000g
(C) HEMA 0.8000g
(D) TPO 0.1200g
(E) HFA−3003 0.4000g
その他 フェノチアジン 0.0012g
E型粘度計を用い、25℃における前記インク組成物3の粘度を測定した結果、粘度は135mPa・sであった。
インク組成物3を用い、実施例1と同様の方法で、厚さ15μmの硬化膜パターンを形成した基板3を得た。
[実施例4]
実施例1において、化合物(F)としてメチロールメラミン樹脂であるニカラックMW−30(商品名;(株)三和ケミカル製)を加えて、下記組成割合とした以外は実施例1と同様の方法でインクジェット用インク4を調製した。
(A) 化合物A1 0.6000g
(B) エピコート828 0.6000g
(C) HEMA 0.8000g
(D) TPO 0.1200g
(F) ニカラックMW−30 0.4000g
その他 フェノチアジン 0.0012g
E型粘度計を用い、25℃におけるインク組成物4の粘度を測定した結果、粘度は125mPa・sであった。
インク組成物4を用い、実施例1と同様の方法で、厚さ13μmの硬化膜パターンを形成した基板4を得た。
[比較例1]
実施例1において、化合物A1を使用せず、下記組成割合とした以外は実施例1と同様の方法でインクジェット用光硬化性インク組成物5を調製した。
(B) エピコート828 0.6000g
(C) HEMA 0.8000g
(D) TPO 0.0700g
その他 フェノチアジン 0.0007g
E型粘度計を用い、25℃におけるインク組成物5の粘度を測定した結果、粘度は61mPa・sであった。
インク組成物5を用い、実施例1と同様の方法で、厚さ11μmの硬化膜パターンを形成した基板5を得た。
[比較例2]
実施例1において、エピコート828を使用せず、下記組成割合とした以外は実施例1と同様の方法でインクジェット用光硬化性インク組成物6を調製した。
(A) 化合物A1 0.6000g
(C) HEMA 0.8000g
(D) TPO 0.0700g
その他 フェノチアジン 0.0007g
E型粘度計を用い、25℃におけるインク組成物6の粘度を測定した結果、粘度は73mPa・sであった。
インク組成物6を用い、実施例1と同様の方法で、厚さ12μmの硬化膜パターンを形成した基板6を得た。
[比較例3]
実施例1において、各成分の配合割合を下記組成割合とした以外は実施例1と同様の方法でインクジェット用光硬化性インク組成物7を調製した。
(A) 化合物A1 0.6000g
(B) エピコート828 0.6000g
(C) HEMA 0.2000g
(D) TPO 0.0700g
その他 フェノチアジン 0.0007g
E型粘度計を用い、25℃におけるインク組成物7の粘度を測定した結果、粘度は255mPa・sであった。
インク組成物7を用い、実施例1と同様の方法でインクジェット印刷を試みたが、ジェッティング性が悪く、所定のパターンが形成できなかったため、後述するその後の試験は中断した。
[比較例4]
実施例1において、化合物A1の代わりとして2−メタクリロイロキシエチルフタル酸であるCB−1(商品名;新中村化学工業(株)製)を使用し、下記組成割合とした以外は実施例1と同様の方法でインクジェット用光硬化性インク組成物8を調製した。
CB−1 0.6000g
(B) エピコート828 0.6000g
(C) HEMA 0.8000g
(D) TPO 0.1200g
その他 フェノチアジン 0.0012g
E型粘度計を用い、25℃におけるインク組成物8の粘度を測定した結果、粘度は89mPa・sであった。
インク組成物8を用い、実施例1と同様の方法で、厚さ12μmの硬化膜パターンを形成した基板8を得た。
[比較例5]
実施例1において、化合物A1の代わりとして上記比較合成例で合成した化合物MIを使用したが、MIが他の成分に溶解せず、インク組成物を得ることはできなかったため、後述するその後の試験は中断した。
[比較例6]
実施例1において、化合物A1の代わりとしてN−シクロヘキシルマレイミドであるイミレックス−C(商品名;(株)日本触媒製)を使用し、下記組成割合とした以外は実施例1と同様の方法でインクジェット用光硬化性インク組成物10を調製した。
イミレックス−C 0.6000g
(B) エピコート828 0.6000g
(C) HEMA 0.8000g
(D) TPO 0.1200g
その他 フェノチアジン 0.0012g
E型粘度計を用い、25℃におけるインク組成物10の粘度を測定した結果、粘度は92mPa・sであった。
インク組成物10を用い、実施例1と同様の方法で、厚さ12μmの硬化膜パターンを形成した基板10を得た。
<インクジェット用光硬化性インク組成物及びパターン状硬化膜の評価>
前記の硬化膜パターン形成基板の作製時、および作製後に、インクジェット用光硬化性インク組成物のジェッティング性および光硬化性、ならびに硬化膜の耐めっき性、基板との密着性、難燃性および耐熱性を評価した。各試験方法は以下のとおりで、評価結果を後記の表1に示す。
(インク組成物のジェッティング性の評価)
各実施例及び比較例で得られた(比較例5を除く)基板上のパターンの乱れ、印刷のかすれを観察して、インク組成物のジェッティング性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:パターンの乱れ、印刷のかすれが全くない
△:パターンの乱れ、印刷のかすれが僅かに発生
×:パターンの乱れ、印刷のかすれが多い。
(インクの光硬化性の評価)
各実施例及び比較例で得られた基板(1〜6、8、10)をUV露光(500mJ/cm2)した後表面を指触し、硬化膜の表面状態を顕微鏡観察した。評価基準は以下のとおりである。なお、UV露光に使用した光源はハリソン東芝ライティング(株)社製のメタルハライドランプMJ−1500Lであり、露光量はウシオ電機(株)製の受光器UVD−365PDを取り付けた積算光量計UIT−201で測定した。
◎:硬化膜表面に指触跡が全く残らない
○:硬化膜表面に指触跡がほんの僅か残る
△:硬化膜表面に指触跡が完全に残る
×:全く硬化しない。
(耐めっき性の評価)
各実施例及び比較例で得られた(比較例3および5を除く)硬化膜パターン形成基板を30℃のパラジウム水溶液(商品名:KAT−450、Pd濃度12mg/L、上村工業(株)製)に1分浸漬して水洗した後に、80℃の無電解ニッケルめっき液(商品名:ニムデンNPR−4、Ni濃度4.5g/L、上村工業(株)製)中に30分浸漬させて水洗を行った後に、硬化膜の表面状態を顕微鏡観察した。
その後、続いて80℃の無電解金めっき液(商品名:ゴブライトTAM−55、Au濃度1g/L、上村工業(株)製)中に硬化膜パターン形成基板を10分浸漬させて水洗した後に、同様の観察を行った。評価基準は以下のとおりである。
◎:硬化膜にふくれや剥がれ、変色が全く見られない
○:硬化膜に若干変色が見られるものの、ふくれや剥れが全くない
△:硬化膜に多くのふくれや剥がれ、変色が見られる
×:硬化膜は完全に剥がれた。
(密着性の評価)
各実施例及び比較例で得られた(比較例3および5を除く)硬化膜パターン形成基板について、硬化膜の銅張積層板との密着性を評価するために、碁盤目法(JIS K 5400(1990))を実施し、硬化膜の剥離が生じたか否かを調べた。当該試験は、温度25℃、湿度65%の条件下で行った。評価基準は以下のとおりである。
◎:100個中1個も剥がれなかった
○:100個中1〜20個が剥がれた
△:100個中21〜50個が剥がれた
×:100個中51〜100個が剥がれた。
(難燃性の評価)
インクジェット用光硬化性インク組成物から得られる硬化膜の難燃性の評価をするために、ポリイミドフィルム(厚さ50μm)であるカプトン200H(東レ・デュポン(株)製)上に、各実施例および比較例で得られた(比較例3および5を除く)インク組成物をアプリケーターで膜厚25μmとなるように表面に塗布し、波長365nmの紫外線を500mJ/cm2の露光量で照射して、200℃で30分間焼成し、硬化膜を作成した。
さらに、ポリイミドフィルムの裏面にも、表面と同様に硬化膜を作成し、試験シートを作成した。この作成された試験シートを幅50mm、長さ200mmの大きさに切り取り、UL−94のVTM試験に準じて試験シートを筒状に巻き、燃焼試験用サンプルを作成した。
この燃焼試験用サンプルに高さ20mmの炎を3秒間近づけ、炎を離してから5秒以内に消炎し、高さ125mmまで炎が達しない場合を「◎」とし、
◎評価には該当せず、炎を離してから10秒以内に消炎し、高さ125mmまで炎が達しない場合を「○」とし、
○評価に該当せず、炎を離してから消炎までに10秒〜1分間かかる、あるいは高さ125mmまで炎が達した場合を「△」とし、
△評価に該当せず、炎を離して1分経過しても消炎しない、あるいは1分経過しても消炎せず、かつ高さ125mmまで炎が達した場合を「×」とした。
なお、当該評価はUL−94の薄肉材料の垂直燃焼試験に準じて評価し、「◎」または「○」の場合はVTM−0に相当する。
(耐熱性の評価)
各実施例及び比較例(比較例3および5を除く)で得られた基板の硬化膜をそれぞれ10mgずつ削り取り、それについて、TG/DTA装置(TG/DTA6200 エスアイアイ・ナノテクノロジー(株) 製)にて熱重量の測定を行った。耐熱性の評価結果は、5%重量減時の温度で示した。
なお、前記硬化膜をカバーレイフィルムとして使用する場合、5%重量減時温度が300℃以上となるだけの耐熱性が求められる。
以上の評価試験の結果を表1に示す。
Figure 0005699504
表1に示す結果から明らかなように、本発明にかかるインクジェット用光硬化性インク組成物を使用して得られた基板1〜4、ならびに比較例のインクジェット用光硬化性インク組成物を使用して得られた基板5、6、8、10には、パターンの乱れ、印刷のかすれが全く見られず、ジェッティング性が良好であった。
一方、化合物(C)の添加量が少なく25℃における粘度が255mPa・sと高い比較例3のインクジェット用光硬化性インク組成物7は、吐出性が悪く、印刷パターンの乱れ、かすれが多く、均一な膜が得られなかった。そのため、ジェッティング性以外の評価は中断した。
続いて、基板1〜4、5、6、8、10における光硬化性、耐ニッケルめっき性、耐金めっき性を評価したところ、基板1〜4は良好であった。対して、基板5、6はNiめっき処理後にて硬化膜が完全に剥離し、基板8,10はAuめっき処理後にて硬化膜に膨れ、変色が多く見られた。
密着性試験も同様に基板1〜4、5、6、8、10について評価したところ、基板1〜4の硬化膜については、いずれも銅張積層板からの剥離は見られなかったが、基板5、6、8、10はいずれも全部または一部が剥離してしまった。
難燃性試験としてインクジェット用光硬化性インク組成物1〜4、5、6、8、10を用いて評価を行ったところ、インク組成物1〜4では炎を離してから10秒以内に消炎し、高さ125mmまで炎が達しなかった。特にインク組成物3では5秒以内に消炎し、難燃性は非常に良好であった。しかし、インク組成物5,6,8、10では接炎から3秒以内に高さ125mm以上まで炎が達してしまった。さらにインク組成物8,10はその後炎を離してから1分以内に消炎したが、インク組成物5、6は、1分以上経過しても消炎することはなかった。
最後に耐熱性試験として基板1〜4、5、6、8、10から得られた硬化膜の5%重量減時温度を測定したところ、基板1〜4から得られた硬化膜はいずれも300℃を超え良好な結果となった。
一方、基板5、6、8、10から得られた硬化膜では、5%重量減時温度が300℃に達することができなかった。
以上説明したように、本発明によればジェッティング性および光硬化性に優れ、耐めっき性、基板への密着性、難燃性および耐熱性に優れた硬化膜を形成することのできるインクジェット用光硬化性インク組成物が提供される。当該組成物は、水や有機溶媒を添加しなくともジェッティングすることができ、そのため材料設計が容易であり、環境負荷の小さいインク組成物として有用である。

Claims (12)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物(A)と、オキシラニルおよびオキセタニルからなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物(B)とを含み、
    25℃における粘度が200mPa・s以下であることを特徴とするインクジェット用光硬化性インク組成物:
    Figure 0005699504
    (一般式(1)中、Rは炭素数1〜100の二価の有機基である。)。
  2. 前記一般式(1)において、Rが、炭素数1〜50の二価の有機基であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
  3. 前記一般式(1)において、Rが、任意の連続しない−CH2−がエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合またはカルボニルで置き換えられていてもよい炭素数1〜50のアルキレン、炭素数3〜50のシクロアルキレンまたは炭素数6〜50のアリーレンであることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
  4. 前記一般式(1)において、Rが、炭素数1〜50のアルキレンであることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
  5. 前記化合物(B)が、オキシラニルを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
  6. 前記化合物(B)が、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、水添ビスフェノールA型、水添ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAノボラック型、トリスフェノールメタン型、テトラフェノールエタン型、ビキシレノール型、ビフェノール型、脂環型、複素環型、ジシクロペンタジエン型、またはナフタレン型の構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を有するエポキシ化合物であることを特徴とする請求項に記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
  7. さらに、前記化合物(B)以外の、(メタ)アクリロイル、アリルおよびビニルからなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性基を有する化合物(C)を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
  8. 前記化合物(C)が、(メタ)アクリロイルを有することを特徴とする請求項に記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
  9. さらに光重合開始剤(D)を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
  10. さらに難燃剤(E)を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
  11. さらに、前記化合物(A)以外のエポキシ硬化剤、メラミン樹脂およびフェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(F)を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット用光硬化性インク組成物。
  12. 基板表面に回路が形成され、該基板および回路上の少なくとも一部に、請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェット用光硬化性インク組成物を硬化させて得られる硬化膜が形成されてなることを特徴とする電子回路基板。
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