しかし、前記意匠公報に掲載のキャップ体71は、シール性を高めて異物の侵入を防止するため、鞘管取付口72、通水管取付口73等はそれぞれ鞘管54、通水管51等に密接する大きさに形成されている。また、キャップ体71は軟質樹脂で形成されているため、各取付口は密着性を有する。このため、通水管51を管継手61に接続する作業においてキャップ体71を取付ける際に、通水管51の先端を小さい取付口に挿入しにくく、また、端部から所定長さを挿通しなければならないため、作業が面倒であった。
また、既に通水管51が管継手61に接続されている状態において後日キャップ体71を取付けたい場合には、一旦、通水管51を管継手61から取り外してから、キャップ体71の各取付口に鞘管54、通水管51等を挿入或いは挿通し、再度通水管51を管継手61に接続しなければならないため、キャップ体71の取付け作業は大変面倒で手間がかかっていた。
このようなことから、図14に示すように、筒状体を割面12で半割とした構造とし、展開した状態において側方から通水管51、鞘管54等を内部に配置した後、2つの半割体を閉じることにより取付けるキャップ体75が開発されている。この半割構造のキャップ体75は、一端側に鞘管54が取付けられる取着孔76が設けられ、他端側に通水管51が挿通する挿通孔77が設けられていて、展開状態で通水管51、鞘管54等に側方から外嵌した後、半割体を閉じるだけで鞘管54の端部に取付けることができる。このため、作業が楽であるとともに、管継手61に接続された通水管51及び鞘管54に後付けで簡単に取付けることもできる。なお、このキャップ体75は、一端側に取着孔76が形成され、他端側に挿通孔77が形成された構造となっており、また、一対の半割体を閉じて組み付けることにより筒状体に形成されるものであるから、形状安定性が求められ、硬質樹脂で形成されている。
ここで、通水管51はキャップ体75と管継手61との間において保護、保温等のために外側に遮熱管などの保護管52が外嵌して取付けられることが多い。例えば、保護管52として硬質樹脂製の波付管が取付けられる場合には、この波付管の端部はその谷部にキャップ体75の挿通孔77の周縁が嵌入することによりこの挿通孔77に取付けられる。
しかし、管継手61等においては圧入された通水管51との圧接状態が緩んだりしてこの部分に漏水が発生することがある。今、キャップ体75と管継手61との間に通水管51を保護する遮熱管などの保護管52が取付けられている場合において、管継手61に前記漏水が発生すると、それが水滴となって下方に配管されている通水管51と保護管52との隙間を通り、通水管51の外面を伝って下降し、挿通孔77を通過してキャップ体75の内部に浸入し、更には鞘管54内に流れ込んでしまうという不具合を生じていた。
なお、キャップ体75と管継手61との間に保護管52が取付けられていない場合には、キャップ体75の挿通孔77は通水管51の外径に対応した大きさに形成されれば、保護管52が取付けられている場合のように管継手61の漏水が簡単にキャップ体75内に浸入してしまうことはない。しかし、通水管51は硬質樹脂管で形成され、キャップ体75も前述のように硬質樹脂で形成されているため、軟質樹脂で形成された図13に示した前記キャップ体71とは異なって、通水管51の外径とキャップ体75の挿通孔77の内径との寸法差や僅かな変形等が起因して通水管51と挿通孔77との間は完全に密閉されているわけではなく、通常、僅かではあっても隙間を生じている。このため、管継手61に漏水が発生すると、その水は通水管51の外面を伝って下降し、キャップ体75の挿通孔77との僅かな隙間から同様にキャップ体75内に浸入し、更には鞘管54内に流入してしまうという不具合があった。また、キャップ体75が室外の熱源機等に接続された管体に取付けられた場合は、雨水が通水管51と挿通孔77との僅かな隙間からキャップ体75内に浸入し、同様に鞘管54内に流入することもあった。
そこで、本発明は、内部に通水管が挿通された鞘管の端部に取付けられて鞘管内への異物の侵入を防止するものにおいて、管継手で発生した漏水が通水管の外面を伝って鞘管内に浸入するのを確実に防止できる管体のキャップ体の提供を課題とするものである。
請求項1の管体のキャップ体は、鞘管と、前記鞘管の端部から引き出された通水管との間に跨って取付けられるものであって、半割の筒状体からなり、一端側に形成された鞘管取付部と、他端側に形成された引出開口を覆う壁面に設けられた、前記通水管を引き出すための引出口と、前記筒状体の内部であって前記鞘管取付部と前記引出口との間に管軸と直交して設けられた隔壁に設けられて周縁が前記通水管の外周全体に当接する挿通孔からなる当接部とを備えている。そして、前記引出口から前記筒状体の内部に浸入した水を外部に排出すべく、前記引出口と前記当接部との間に前記筒状体の内外に貫通する水抜孔が設けられている。
前記通水管は、一般に硬質樹脂製であり、可撓性を有し、鞘管の端部から引き出された後、給湯器や室外の熱源機等などの管継手に接続される。通水管は鞘管の端部と管継手との間では外側を遮熱管などの保護管で覆われて保護され、保温されることも多く、その場合、保護管の一端部はキャップ体の引出口に係止され、取付けられる。
前記キャップ体は、一般に、前記管継手に下方から通水管が接続され、鞘管の端部にここから引き出された通水管とに跨って取付けられる。したがって、管継手において通水管との間のシール性が緩んだりして漏水が発生すると、その漏水は水滴となって通水管の外面を伝って下降し、キャップ体の引出口からキャップ体内に浸入することとなる。ここで、キャップ体と管継手との間に保護管が取付けられている場合は、漏水は通水管と保護管との隙間内を流れ、キャップ体の引出口から簡単にキャップ体の内部に浸入する。
これに対して、請求項1のキャップ体は、鞘管取付部と引出口との間に当接部が設けられ、この当接部は、通水管の外周全体に当接するものであり、具体的には、通水管の外径と同一の挿通孔が形成されていて、その周縁全体が通水管の外周全体に当接する。したがって、管継手に漏水が発生すると、その水は、通水管の外面を伝ってキャップ体の引出口からキャップ体の内部に浸入することになるが、前記キャップ体内に当接部が設けられているので、ここで止水される。
また、このとき、当接部によって鞘管内への流入が遮断されると、その水は引出口と当接部との間の空間内に溜まることとなる。しかし、引出口と当接部との間には、筒状体の内外に貫通する水抜孔が設けられているので、引出口と当接部との間に溜まった水は、前記水抜孔からキャップ体の外部に排出される。したがって、引出口からキャップ体の内部に浸入してきた水は当接部と水抜孔とにより、当接部を通過して鞘管内に流入するのが阻止される。
ところで、通水管は一般に硬質樹脂製であり、外面が滑性を有する平滑面で形成されているとともに、キャップ体も一般に硬質樹脂で形成され、双方が硬質樹脂で形成されているから、当接部は周縁全体が通水管の外周全体に密接した状態で当接しているとは限らない。したがって、キャップ体の引出口から浸入し、引出口と当接部との空間に溜まった水は、当接部と通水管との間に僅かな隙間が生じていると、その隙間から鞘管内に流れ込む虞がある。しかし、当接部の前方即ち水の上流側である引出口と当接部との間に前記水抜孔が設けられているので、引出口と当接部との空間内の水は、当接部における僅かな隙間を通過して鞘管内に流入するより先に前記隙間より大きい開口の水抜孔を通って外部に排出される。したがって、いずれにしても、水抜孔が設けられていることにより、引出口から浸入してきた水は鞘管内に流れ込むのが確実に防止される。
これは、鞘管の端部と管継手との間に保護管が取付けられていない場合も同様である。なお、この態様の場合、キャップ体の引出口は通水管の外径と略同一の大きさに形成することも考えられ、その場合には、引出口である程度の止水効果を得ることもできる。しかし、通常、この引出口のみで完全に止水することはできないので、保護管取付けの場合より浸入量は少ないこともあるが、同様に、管継手の漏水は引出口からキャップ体内に浸入する。したがって、この場合においても、当接部及び水抜孔を設ける意義がある。
前記通水管は、鞘管に1本のみが挿通され、或いはペア管として2本並行して挿通される。また、3本以上の通水管が挿通されることも可能である。
前記鞘管は、硬質樹脂製の波付管や樹脂発泡体で形成された肉厚の断熱発泡管などが用いられる。
次に、請求項2の管体のキャップ体は、水抜孔が、当接部に隣接して設けられている。これは、通水管は給湯器や室外の熱源機などの管継手に下方から接続されることが多く、したがって、管継手で発生した漏水は通水管の外面を伝って下降し、下方のキャップ体の引出口から内部に侵入することになるが、その水はキャップ体内では当接部を底にして溜まることとなる。そこで、水抜孔を当接部に隣接した位置に設け、この部分に溜まった水を排出し易くしたものである。
請求項3の管体のキャップ体は、当接部に、通水管の外面に沿って圧接するリブが形成されたものである。
請求項4の管体のキャップ体は、引出口に、前記通水管を覆って保護する保護管が係合可能となっている。具体的には、保護管が波付管である場合には、引出口の周縁が波付管の谷部に嵌入し、係合するものとなっている。
請求項5の管体のキャップ体は、引出口が、該引出口から引き出された通水管の曲がりを規制し、該通水管の曲げによる押圧によって当接部に加わる負荷を軽減する。これに関して、今、通水管が2方向への分岐箇所等においてキャップ体の引出口から急激に曲げられて引き出されるとすると、キャップ体の内部の当接部の周縁に硬質樹脂製で可撓性を有する通水管の外面が強く押圧することとなり、その結果、当接部の周縁がこじられたり屈曲したりして変形することがある。すると、当接部の止水性が低下してしまう。そこで、請求項5では、例えば、引出口を通水管と略同一径とし、或いは保護管の端部が係止する大きさとし、引出口の中心軸を当接部の中心軸に対して同一または僅かにずらした位置に配置するなどして、引出口を、引き出された通水管の曲がりを規制して当接部に対する通水管の押圧による負荷を軽減し得るようにして、当接部の周縁が変形するのを防止するようにしたのである。なお、引出口に保護管が取付けられた場合、通水管と保護管との間には隙間があるが、その隙間は僅かであるため、引出口からの引出部分において通水管が保護管とともに曲げられたとき、通水管の外面は直ちに保護管の内壁に当接して通水管の押圧による負荷は引出口に加わり、それにより、通水管の曲がりが規制されて、当接部に加わる通水管の押圧による負荷は軽減される。
請求項6の管体のキャップ体は、鞘管取付部が、合成樹脂製の波付管で形成された鞘管の外面に装着可能となっている。具体的には、鞘管取付部の周縁が波付管の谷部に嵌入し、係合するなどして装着することができる。
請求項7の管体のキャップ体は、鞘管取付部が、断熱発泡体で形成された鞘管の外面に装着可能となっている。具体的には、鞘管取付部の取付孔の周縁を鞘管の外形寸法より小さく形成して圧縮性を有する鞘管の外面に挟持させるなどして装着することができる。
請求項1の発明は、鞘管取付部と引出口との間に通水管の外周全体に当接する当接部が設けられ、引出口と当接部との間に水抜孔が設けられているので、管継手で漏水が発生し、その水が通水管の外面を伝ってキャップ体の引出口内に浸入してきても、更に鞘管内に流れ込むのを確実に防止することができる。
請求項2の発明は、水抜孔が、当接部に隣接して設けられているので、通水管が管継手に下方から接続され、キャップ体が管継手の下方に取付けられている場合に、管継手で漏水が発生してキャップ体の当接部の上流側に溜まった水を全て水抜孔から排出することができる。
請求項3の発明は、当接部に、通水管の外面に沿って圧接するリブが形成されているので、当接部と通水管との密接性が増し、止水効果を高めることができる。
請求項4の発明は、引出口に保護管を係合させて取付けることができるので、管継手とキャップ体との間において通水管を保護し、保温することができる。
次に、請求項5の発明は、引出口が、通水管の曲がりを規制して通水管の曲げによる押圧によって当接部に加わる負荷を軽減するから、通水管の分岐箇所等において、通水管の曲げによる押圧の負荷は主に引出口が負担し、当接部においては通水管は直線に近い極く緩やかな湾曲状態で挿通する。その結果、当接部における通水管の曲げによる押圧の負荷が軽減され、当接部の変形を防止でき、当接部の周縁を全周に至ってほぼ均等に通水管の外周全体に当接させることができ、それにより、当接部による止水効果が増す。
請求項6の発明は、キャップ体を合成樹脂製の波付管の端部に取付けることができ、また、請求項7の発明は、キャップ体を断熱発泡体で形成された鞘管の端部に取付けることができる。
以下、本発明の実施形態の管体のキャップ体を図1乃至図8に基づいて説明する。ここで、図1は本発明の実施形態の管体のキャップ体を示す斜視図であり、図2乃至図4は半割構造のキャップ体を展開した状態を示す。この実施形態においては、熱源機である給湯器に管継手を介して接続された行き管及び戻り管となる通水管が挿通される鞘管の端部に取付けられるキャップ体を例示する。
図1及び図5(a)において、住宅の追い炊き機能付きの給湯器56の底面には行きと戻りの通水のための2個の管継手61が設けられている。これらの管継手61にはそれぞれ給湯器56からの温水を図示しない台所、浴室、トイレ、洗面等の給水栓に送るための通水管51と、浴室や床暖房等から追い炊きするために戻る通水管51とが接続されている。これら両通水管51はこれを保護するための合成樹脂製の波付管で形成された鞘管である波付鞘管53内に挿通されており、ペア管として2本を並列した状態で1本の波付鞘管53内に収められている。2本の通水管51は波付鞘管53の端部から引き出された後2方向に分岐し、給水器2の管継手61にそれぞれ接続されている。そして、波付鞘管53の端部にはここから引き出された通水管51とに跨って本発明のキャップ体1が取付けられている。更に、通水管51において管継手61とキャップ体1との間には通水管51を保護し、保温する遮熱管などの保護管52が外側を覆って取付けられている。以下、各構成部材について具体的に説明する。
まず、前記通水管51は、可撓性を有する架橋ポリエチレン管、ポリブテン管等の硬質樹脂管からなり、内部を水道水、温熱水等の流体が流れる。
次に、2本の通水管51をペア管として並列した状態で内部に一体に収容する波付鞘管53は、ポリエチレン等の硬質樹脂で形成され、外面が山部と谷部の凹凸面となっていて可撓性、屈曲性を有し、管継手61との接続端部周辺を除いて通水管51の配管経路全体に至ってその外側に外挿される。この波付鞘管53は、通水管51の外側を覆って外部物体による傷付きや損傷を防止し、また、紫外線による劣化を防ぐ。
管継手61とキャップ体1との間に取付けられている保護管52は、硬質樹脂製の波付管で形成されており、可撓性、屈曲性を有するとともに、端部の外面の谷部に後述するキャップ体1の引出口7の周縁7aが嵌入し係合することによりこの引出口7に接続されるようになっている。
次に、前記キャップ体1は、図1乃至図4に示すように、半割の筒状体で形成され、外壁2の管軸と直交する横断面の形状は略小判形状をなしている。キャップ体1の管軸方向の一端部には、波付鞘管53の端部が連結される鞘管取付部3が設けられ、その内部には波付鞘管53の端部が挿通される略小判形状の鞘管取付孔4が設けられている。この鞘管取付孔4は波付鞘管53の断面形状に合致させて略小判形状に形成するとともに、波付鞘管53の外面の山部の外形寸法より小さく、波付鞘管53の谷部の外形寸法より大きく形成されて周縁4aが波付鞘管53の外面の谷部に係止し、この波付鞘管53が抜け止め状態に接続されるようになっている。
一方、キャップ体1の管軸方向の他端部には、波付鞘管53内及びキャップ体1内を挿通する通水管51が引き出される引出部5が設けられ、その引出部5は引出開口が壁面6で覆われているとともに、その壁面6には通水管51の端部が貫通する円形状の引出口7が2個独立して並設されている。引出口7はこれに取付けられる保護管52の外面の山部の外形寸法より小さく、保護管52の谷部の外形寸法より大きく形成されていて周縁7aが波付鞘管53の外面の谷部に係止してこの保護管52が抜け止め状態に接続されるようになっている。
更に、キャップ体1の内部であって前記鞘管取付部3と前記引出部5との間で引出部5寄りの位置、即ち図3(b)で示せば、引出部5から間隔Sだけ離間した位置には、通水管51の外周全体に当接する当接部8が設けられている。この当接部8は、管軸と直交して設けられた一定厚さの楕円板状の隔壁9に、通水管51が挿通する円形状の挿通孔10が2個独立して形成されている。当接部8の挿通孔10は、周縁10aが通水管51の外面全体に当接する大きさに形成されている、つまり、その当接により通水管51と挿通孔10との隙間から水が浸入するのを防止する大きさに形成されている。これらの引出部5の引出口7及び当接部8の挿通孔10は、キャップ体1を構成する後述の第1半割体21と第2半割体31とを閉じることによって円形状の孔に形成される。
また、図3(b)に示すように、引出部5の引出口7と当接部8の挿通孔10とは同一の通水管51が貫通するようになっているとともに、引出口7の中心軸7bは、挿通孔10の中心軸10bに対して通水管51の曲がり方向寄りにずらした位置に配設されている。
そして、引出口7と当接部8との間において該当接部8に隣接する位置には、キャップ体1の内外に貫通する水抜孔11が計4個設けられている。水抜孔11は小さい角孔で形成されており、引出口7と当接部8との間に管継手61からの漏水が溜まったときに、それを外部に排出できる大きさに形成され、かつ排出し易い位置に形成されている。なお、水抜孔11は大き過ぎると、外部から異物が侵入し易くなるので、前記排水性と異物侵入防止とのバランスを考慮しながら大きさを決定すべきである。また、水抜孔11の設置位置は、必ずしも当接部8に隣接する位置でなくてもよく、キャップ体1の取付方向及び管継手61からの漏水が溜まる位置等を考慮して最適位置に設定すればよい。更に、水抜孔11は、角孔に限られるものではなく、楕円孔、丸孔で形成してもよく、更に、その設置数は4個に限られない。
本実施形態におけるキャップ体1は、割面12において分割された左右略対象の第1半割体21と第2半割体31との2つの半割体で構成され、この第1半割体21と第2半割体31との間に管軸方向に薄肉形成してなる第1ヒンジ13が設けられ、この第1ヒンジ13を軸に第1半割体21と第2半割体31とを相対的に回動して閉じることにより、筒状体に形成されるものとなっている。このキャップ体1はポリプロピレン等の硬質樹脂で形成され、第1半割体21及び第2半割体31が展開された形態で樹脂の一体成形により形成することができる。したがって、安価に製造することができる。
前記キャップ体1の第1半割体21において、当接部8の管軸方向の幅は、図3(b)に示すように、通水管51の外面との当接を確保すべくやや大きめに形成されているとともに、当接面上にはキャップ体1の幅全体に至って通水管51の外面に沿って当接する小突条からなるリブ8aが一体に突設されている。このリブ8aは後述のリブ8bとともに、通水管51の外面との密接性を高め、通水管51の外面との当接による当接部8の止水性を高めるために設けられたものである。但し、これらのリブは必ずしも設置を要するものではない。
更に、この第1半割体21は、第1ヒンジ13を軸に閉じて筒状体を形成すべく、一側の側壁部22における管軸方向の両側に、左右一対の被係止突起24,24が一体に設けられている。この被係止突起24はL字板状に形成され、屈曲先端部は後述する第2半割体31の係止孔36と係止するようになっている。被係止突起24の管軸方向の中央寄り2箇所には、コ字状に切欠され、1辺側が割面12である側端面23に開口する第1切欠孔25が形成されており、更にこの第1切欠孔25の周縁2辺には外壁2の表面から僅かに突出する窓枠26が一体に形成されている。
一方、前記キャップ体1の第2半割体31において、当接部8の当接面上には、第1半割体21のリブ8aと同様に、図3(b)に示すように、キャップ体1の幅全体に至って通水管51の外面に沿って当接する小突条からなるリブ8bが一体に突設されている。ここで、第1半割体21と第2半割体31とを閉じて筒状体に組み付ける際に支障とならないよう、第1半割体21のリブ8aと第2半割体31のリブ8bとは、互いに管軸方向に僅かにずらした位置に形成されている。なお、リブ8a及び8bの先端当接部分は平坦面や湾曲面などに形成することができる。
更に、このキャップ体1の第2半割体31は、一側の側壁部32の管軸方向の両側において、第1半割体21の被係止突起24に対応する位置に、矩形板状の左右一対の係止片34,34が外壁2との接合部を基端として水平方向に一体に突設されている。この係止片34はその基端に薄肉形成により設けられた第2ヒンジ35を軸に回動できるようになっている。各係止片34には角孔からなる係止孔36が設けられ、更に、この係止孔36より先端側は傾斜面となっていて、この傾斜面は指で摘んで係止片34を回動操作するための摘み部37を形成している。また、各係止片34の側部には矩形板材からなり、後述する信号線引出孔14を閉塞する閉塞蓋38が管軸方向の中央側に向けて一体に延設されている。したがって、第2ヒンジ35を軸に係止片34を回動して係止孔36を第1半割体21の被係止突起24に係止すれば、その回動に連動して閉塞蓋38は信号線引出孔14を個別に閉塞するようになっている。更に、閉塞蓋38は、係止片34との間に薄肉形成により設けられた折取溝39に沿って折り取ることが可能となっており、閉塞蓋38を折り取ることによって信号線引出孔14を開口させることができるようになっている。
また、第2半割体31の割面12周辺の外壁2には、第1半割体21の2個の第1切欠孔25と対向する位置にそれぞれ、コ字状に切欠され、1辺側が割面12である側端面33に開口する第2切欠孔40が形成されており、更にこの第2切欠孔40の周縁2辺には第2半割体31の外壁2の表面から僅かに突出する窓枠41が周縁に沿って一体に形成されている。第2半割体31の2個の第2切欠孔40は、第1半割体21と第2半割体31とを相対的に回動して閉じることによって筒状体に形成したときに、対向する第1半割体21の2個の第1切欠孔25と連通し、この第1切欠孔25と一体となって、キャップ体1の割面12に、2個の矩形状の信号線引出孔14を形成する。この信号線引出孔14は、給湯器56等に電気信号を送る信号線55を外部に引き出すための孔である。信号線55は、通水管51と並行して波付鞘管53内に挿通された後、図12に示すように、信号線引出孔14から外部に引き出され、給湯器56等に接続される。更に、側端面33の管軸方向の中央部には、図3(a)の垂直下方に向けて突出する板状の嵌合突起42が突設されており、この嵌合突起42は、第1半割体21と第2半割体31とを相対的に回動して閉じる際に、第1半割体21の左右一対の窓枠26間の空間である被嵌合部27に嵌入し、第1半割体21の側端面23と第2半割体31の側端面33とが合致して当接するよう位置決めする。
前記信号線引出孔14は、信号線55を引き出さないときは、常時、閉塞蓋38によって閉塞されるから、ここからキャップ体1の内部に異物が混入するのが防止される。信号線引出孔14は、係止片34に一体に閉塞蓋38が設けられているから、別途に閉塞蓋を設けることなく、簡易な構成で安価に閉塞される。この信号線引出孔14が設けられていることにより、穿孔具等を使用して波付鞘管53に新たに孔を設けることなく、また、穿孔具等の使用によって通水管51及び信号線55に傷を付けることなく、信号線55を配管途中から引き出すことができる。信号線引出孔14は管軸方向に2個設けられているから、いずれかを任意に選択して信号線55を引き出すことができる。なお、信号線引出孔14はキャップ体1に1個のみ形成してもよく、或いは特に必要でなければ設けなくてもよい。
次に、給湯器56の管継手61は、各種の接続構造により通水管51の端部を接続することができ、本実施形態では、図6に示すように、鍔部62の一側の第1円筒部63の雄ねじ部を螺着することにより給湯器56に接続されるようになっている。鍔部62の他側即ち通水管51の接続側には第2円筒部64が設けられており、この第2円筒部64には、外方に突出する断面略L字状の環状段部65が一体に設けられ、この環状段部65の内部側に通水管51の先端が嵌入、当接するようになっている。第2円筒部64の接続筒部66の外面には通水管51が圧入され、接続されるようになっている。そして、接続筒部66に通水管51が圧入された後に別体である締付リング67を通水管51の外側から強制的に圧入し、これにより通水管51を管継手61に強固に接続固定できるようになっている。
次に、給湯器56の管継手61に通水管51を接続し、上記のように構成されたキャップ体1を管継手61の周辺まで配管されている波付鞘管53の端部とそこから引き出された通水管51とに跨って取付ける方法を説明する。
まず、通水管51の端部を管継手61に接続するには、予め管継手61の締付リング67を通水管51の端部に外挿しておき、波付鞘管53内に並列に挿通されている行きと戻りの2本の通水管51を該波付鞘管53の端部から所定長引き出し、この部分に保護管52を外嵌する。次いで、保護管52を管軸方向に圧縮して通水管51の端部を接続代分だけ露出させ、或いは通水管51の引出長さより短い保護管52を使用することによって通水管51を接続代分だけ露出させ、工具を使用して通水管51を管継手61の接続筒部66に外嵌し圧入する。次に、図示しないが、スライダ等の挟み工具を使用して、先端のクランプで環状段部65と締付リング67とを挟み、締付リング67を環状段部65に当接するまで圧入し通水管51の端部を接続筒部66とで強く挟み込む。その後、保護管52の端部を管継手61側に押し戻す。
このようにして、管継手61に通水管51の端部を接続したら、キャップ体1を波付鞘管53の端部と通水管51とに跨って取付ける。それには、キャップ体1を図2、図3等に示す展開状態とし、最初に、図3(b)の二点鎖線で示すように、波付鞘管53の端部を第2半割体31の鞘管取付孔4の周縁4a上に載置するとともに、波付鞘管53の端部から引き出されている2本の通水管51を第2半割体31の当接部8の挿通孔10の周縁10a上及び引出部5の引出口7の周縁7a上に載置する。次いで、第1ヒンジ13を軸に第1半割体21を回動して、中央部の被嵌合部27に第2半割体31の中央部の嵌合突起42を嵌合させて位置決めしつつ、図7(a)及び図8に示すように、割面12である第1半割体21の側端面23と第2半割体31の側端面33とを相互に当接させて閉じる。両半割体を閉じたら、図7(b)に示すように、第2半割体31の左右一対の係止片34,34をそれぞれ第2ヒンジ35を軸に回動し、一対の係止孔36,36をそれぞれ第1半割体21の一対の被係止突起24,24に係止させる。
これにより、キャップ体1の鞘管取付孔4の周縁4aが波付鞘管53の外面の谷部に係止し、波付鞘管53は鞘管取付部3に抜け止め状態に連結される。また、キャップ体1の引出口7の周縁7aが保護管52の外面の谷部に係止し、保護管52は引出口7に抜け止め状態に連結される。そして、キャップ体1の当接部8の挿通孔10の周縁10aは通水管51の外面に当接する。
次に、キャップ体1の作用を説明する。
キャップ体1は、鞘管取付部3と引出口7との間に当接部8が設けられ、この当接部8の挿通孔10の周縁10aは通水管51の外周全体に当接するから、管継手61に漏水が発生し、その水が通水管51の外面を伝って通水管51と保護管52との隙間を下降し、引出口7からキャップ体1の内部に浸入しても、当接部8によって止水され、それ以上に波付鞘管53内にまで浸入するのが防止される。
また、このとき、当接部8によって止水されると、引出口7と当接部8との間の空間内に水が溜まるが、引出口7と当接部8との間に水抜孔11が設けられているので、この水は、図11(a)の矢印で示すように、水抜孔11からキャップ体1の外部に排出される。したがって、引出口7からキャップ体1の内部に浸入してきた水は当接部8と水抜孔11とによって、波付鞘管53内に流入するのが防止される。
ここで、通水管51は一般に硬質樹脂製であって外面が滑性を有する平滑面で形成されているとともに、キャップ体1も硬質樹脂で形成されている、つまり硬質樹脂同士が環状の狭い部分で当接しているので、当接部8の挿通孔10は周縁10a全体が通水管の外周全体に至って緊密に当接しているわけではない。このため、当接部8と通水管51との間に僅かな隙間が生じていることがあり、その場合には、管継手61で発生した漏水はキャップ体1の引出口7から浸入した後、前記隙間から波付鞘管53内に流れ込む虞がある。しかし、当接部8の上流側には水抜孔11が設けられているので、漏水は当接部8における僅かな隙間を通過して波付鞘管53内に流入するより先に前記隙間より大きい開口の水抜孔11から外部に排出される。したがって、いずれにしても、水抜孔11が設けられていることにより、引出口から浸入した水が波付鞘管53内に流れ込むのが確実に防止される。
そして、通水管51は給湯器56の管継手61に下方から接続され、キャップ体1は引出口7を上向きにして配設されているため、管継手61で発生した漏水はキャップ体1内の当接部8の隔壁9を底面にして溜まることとなる。一方、キャップ体1の水抜孔11は、当接部8に隣接してその上流側に設けられている。その結果、引出口7と当接部8との間に溜まった水は全て水抜孔11から速やかに外部に排出される。
更に、キャップ体1の引出口7は、保護管52の凹凸の外面が係止し得る大きさに形成されているとともに、引出口7の中心軸7bは当接部8の挿通孔10の中心軸10bに対して通水管51の曲がり方向寄りにずらした位置に配設されている。ここで、今、キャップ体1の引出口7から引き出されて2方向に分岐する箇所における通水管51の曲がりが急激であると、通水管51の曲げによる押圧によって当接部8の挿通孔10の周縁10aに過大な負荷が加わってその周縁10aがこじられたり屈曲したりして変形し、当接部8による止水効果が低下または喪失することがある。しかし、本発明のキャップ体1の引出口7は、前述の大きさ及び位置に設けられ、当接部8から間隔Sだけ離間して引出側に設けられているので、通水管51の曲がりによる押圧によって加わる負荷は主に引出口7において負担する。ここで、通水管51と保護管52との間には隙間があるが、その隙間は僅かであるため、引出口7からの引出部分において通水管51が保護管52とともに曲げられたとき、通水管の外面は直ちに保護管52の内壁に当接し、前記通水管51の曲がりによる負荷が引出口7に加わる。そして、挿通孔10及び引出口7は、通水管51の曲がりに対応し、緩やかな湾曲形状の軌跡にほぼ沿った箇所に配置されているから、通水管51は当接部8においては直線に近い極く緩やかな湾曲状態で挿通孔10を挿通する。その結果、通水管51の曲げが規制され、通水管51の曲がりによる押圧によって当接部8の挿通孔10の周縁10aに加わる負荷は軽減されて、この挿通孔10の周縁10aの変形が防止され、挿通孔10周縁10aはその全周に至ってほぼ均等に通水管51の外周全体に当接するから、当接部8による止水効果が増大する。
なお、キャップ体1は、本質的には、外部から波付鞘管53内に塵埃、虫等の異物が侵入するのを防止するためのものであり、筒状体に形成され、端部に波付鞘管53及び保護管52が接続されることにより、全体が閉塞されるので、当然、前記異物が波付鞘管53内に侵入するのを防止することができる。
また、キャップ体1は、第1半割体21と第2半割体31とを閉じるだけの簡易な操作で簡単に波付鞘管53の端部と通水管51とに跨って取付けることができるとともに、簡易な構成であって、一体成形により安価に製造できる。
ところで、上記実施形態では、キャップ体1と管継手61との間で通水管51の外側に波付管からなる保護管52が取付けられ、キャップ体1の引出口7に保護管52の谷部が係止して連結されるものを示しているが、キャップ体1は、図5(b)に示すように、保護管52が取付けられていない場合においても同様に適用され、作用する。この場合、キャップ体1の引出口7は保護管52の端部が係止して取付けられていない分、その周縁7aと通水管51の外面との隙間は大きくなり、管継手61で発生した漏水は通水管51の外面を伝って簡単にキャップ体1内に浸入するが、前記保護管52が取付けられている場合と同様にして当接部8と水抜孔11とによって波付鞘管53内への流入が防止される。
なお、キャップ体1と管継手61との間に保護管52が取付けられることがない場合には、引出口7の内径を通水管51の外径と略同一の大きさに形成することも考えられ、その場合には、引出口7である程度の止水効果を得ることもできる。しかし、この引出口7のみでは完全には止水できないので、やはり上記の場合と同様に、当接部8と水抜孔11とによって波付鞘管53内への流入を防止することとなる。なお、この態様の場合、引出口7は、主に、この引出口7から引き出される通水管51の曲がりを規制して、通水管51の曲げによる押圧によって当接部8に加わる負荷を軽減し、これにより当接部8の変形を防止して当接部8による止水効果を高めるよう機能する。
次に、上記各実施形態においては、キャップ体1は、波付鞘管53にペア管として2本の通水管51が挿通されたものに適用されているが、波付鞘管53に1本の通水管51のみが挿通されたものにも同様に適用される。図9及び図10において、キャップ体1は、引出口7及び当接部8の挿通孔10が1個のみ形成され、水抜孔11は同様に当接部8に隣接して計2箇所設けられている。また、第1半割体21及び第2半割体31の当接部8の当接面上には、それぞれキャップ体1の幅全体に至って通水管51の外面に沿って当接する小突条からなるリブ8a及びリブ8bが互いに位置をずらせて一体に突設されている。したがって、このキャップ体1は、図1等に示す上記各実施形態のキャップ体1と同様に作用し、管継手61で発生した漏水が波付鞘管53内に流れ込むのを確実に防止する。なお、キャップ体1は、波付鞘管53に3本以上の通水管51が挿通されたものにも同様に適用される。
ところで、上記各実施形態の当接部8を形成する隔壁9は、図11(a)に示すように、一定厚さの楕円板状に形成されているが、これに限られるものではなく、例えば、図11(b)に示すように、挿通孔10の周縁10aを最も高くし、そこから外壁2に向けて緩やかに傾斜して最も低い位置に形成した水抜孔11の下方の周縁に繋がる傾斜面9aに形成してもよい。この場合は、引出口7から滴下してきた水を円滑に水抜孔11に導くことができる。
また、上記各実施形態の鞘管は、鞘管取付部3に合成樹脂製の波付管で形成された波付鞘管53を取付けたものを示しているが、他に、図示しないが、鞘管取付部3に断熱発泡体で形成された鞘管を取付けることもできる。この場合、断熱発泡体で形成された鞘管は、鞘管取付部3の鞘管取付孔4の周縁4aで圧縮性を有する外面を挟持して取付けることができる。
更に、上記各実施形態の引出口7の中心軸7bは、挿通孔10の中心軸10bに対して直交方向の外側寄りにずらした位置に配設されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、挿通孔10の中心軸10bと同軸に配設されていてもよい。
そして、上記実施形態のキャップ体1は、第1半割体21と第2半割体31とを第1ヒンジ13を軸に回動し、第2半割体31の係止部38を第1半割体21の被係止部35に係止させて筒状体に形成しているが、この係止手段に限られるものではない。また、前記係止手段は、側端部の両端2箇所に設けているが、各半割体の側端部の中間の1箇所に設けてもよい。更に、キャップ体1は、例えば、2個の半割体が互いに分離したものであって、各半割体のそれぞれの両側端部に係止手段を設け、両側端部において係止させて筒状体に形成するものとしてもよい。そして、キャップ体1は断面が略小判形状の筒状体に形成しているが、これに限られず、四角筒状体などに形成してもよい。
なお、上記各実施形態においては、管継手61で発生した漏水がキャップ体1内に浸入する場合を示しているが、キャップ体1が室外に取付けられていて、雨水がキャップ体1の引出口7から内部に浸入する場合などにおいても、同様に適用することができる。
また、本発明のキャップ体1は、鞘管内の通水管51が給湯器56の管継手61に接続されたものを例示しているが、他に、例えば、床暖房などにおいて通水管51が鞘管内に挿通され、この鞘管の端部から引き出されて床暖房用床板に設けられた管継手61に接続されるものや、給水器、給湯器56等から端末の各給水栓等に至る間に設けられた分水用のヘッダーの管継手61に接続されるもの、室外に設けられた熱源機の管継手61に接続されるものなどにも同様に適用される。