上述のIEC規格に準拠したソケット100では、図17(a)に示すように、2個のピン挿入孔103が、突出部102の中心位置を通る直線L1上であって、突出部102の中心位置に対して対称な位置に開口しているので、電極ピン112が正負の極性を間違えてピン挿入孔103内に挿入されないように、突出部102の外周面にキー溝105を形成するとともに、円筒部111の内周面にリブ113を突設してある。また上記IEC規格のソケット100及びプラグ110は4種類の供給電圧に対応しており、供給電圧の種類を識別するために、突出部102の外周面にはキー溝105を基準にして所定の角度位置に電圧識別用溝106が形成されるととともに、プラグ110の円筒部111の内周面にはリブ113を基準にして所定の角度位置に電圧識別用リブ114が突設されている。
このように、キー溝105とリブ113、電圧識別用溝106と電圧識別用リブ114とをそれぞれ嵌合させることで、プラグ110の逆差しや供給電圧の異なるプラグ110が誤接続されるのを防止しているが、ソケット100においてプラグ110側の円筒部111に嵌合する部分が丸孔のため、この丸穴101内に円筒部111を差し込む際に、プラグ110を回転させながら、円筒部111に設けたリブ113,114がソケット100の溝105,106に嵌る位置を探さなければならず、使い勝手が悪かった。
ところで、上述のソケット100及びプラグ110において、キー溝105やリブ113を設けることなくプラグ110の逆差しを防止するためには、図17(a)に破線で示すように2個のピン挿入孔103を直線L1に対して片側(例えば図中の下側)にずらした位置に配置すればよいが、突出部102は円柱形状のため、2個のピン挿入孔103を直線L1から片側にずれた位置に配置しようとすると、2個のピン挿入孔103の間隔が狭くなり、絶縁距離を確保するためには、ソケット100の全体が大型化してしまうという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、大型化を招くことなく、供給電圧の異なるプラグの接続やプラグの逆差しを防止でき、且つ、プラグを接続する際にプラグの位置合わせが容易な直流コンセントを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、コンセント部は、前方から見た形状が四角形状であって、プラグの電極ピンがそれぞれ挿入される複数個のピン挿入孔が開口するプラグ受け部と、当該プラグ受け部の外周縁に沿って当該プラグ受け部を囲むように形成されてプラグの周壁が挿入される挿入溝と、複数個のピン挿入孔を通してコンセント本体内にそれぞれ挿入される電極ピンを嵌合する刃受とを有し、複数個のピン挿入孔のうち直流電力供給用の刃受に対応する2個のピン挿入孔は、プラグ受け部の一辺である基準辺に沿って並んで配置され、且つ、プラグ受け部において上記基準辺と対向する辺よりも上記基準辺に近い位置に偏って配置されるとともに、供給電圧の種類に応じて、前方から見たプラグ受け部の形状、又は、前方から見た挿入溝の形状のうち少なくとも何れか一方の形状が部分的に変更されたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前方から見た挿入溝の形状は、前方から見たプラグ受け部の形状が四角形状の時に比べてプラグ受け部の面積が小さくなるような形状に変更されたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前方から見たプラグ受け部の形状は、四角形状の角を供給電圧の種類に応じて少なくとも1つ切り取った形状に形成されるとともに、挿入溝がプラグ受け部の外周縁に沿って形成されることによって、前方から見た挿入溝の形状が供給電圧の種類に応じて変更されたことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項2又は3の何れかの発明において、供給電圧の種類に応じて挿入溝の形状が変更された部位は、プラグ受け部において上記基準辺よりも上記基準辺と対向する辺に近い側であることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1の発明において、前方から見た挿入溝の形状は、前方から見たプラグ受け部の形状が四角形の時に比べてプラグ受け部の面積が大きくなるような形状に変更されたことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか1つの発明において、前方から見た挿入溝の形状は、当該挿入溝に連続する延長溝を延長形成することによって変更されたことを特徴とする。ここにおいて、挿入溝を前方から見た形状とは、挿入溝に連通する延長溝を含めた挿入溝全体の形状を言う。
請求項7の発明は、請求項6の発明において、延長溝は、挿入溝に対してプラグ受け部側に形成されたことを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項7の発明において、延長溝は、プラグ受け部において、上記基準辺よりも上記基準辺と対向する辺に近い側に設けられたことを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項6の発明において、延長溝は、コンセント本体の前面において挿入溝よりも外側に設けられたことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、コンセント部は、周りを挿入溝で囲まれた前面視四角形状のプラグ受け部を有しており、このプラグ受け部には、直流電力供給用の刃受に対応する2個のピン挿入孔が、プラグ受け部の一辺である基準辺に沿って配置され、しかもプラグ受け部の基準辺に近付けて配置されているので、コンセント部にプラグを取り付ける向きを容易に理解でき、またプラグの四角筒状の周壁を、四角形状のプラグ受け部の周りに設けた挿入溝に挿入することによって、コンセント部にプラグを取り付ける向きが制限されるから、プラグの位置合わせが容易であり、逆差しを防止しつつ使い勝手のよい直流コンセントを実現できる。さらに、供給電圧の種類に応じて、前方から見たプラグ受け部の形状、又は、前方から見た挿入溝の形状のうち少なくとも何れか一方の形状が部分的に変更されているので、前方から見たプラグ受け部又は挿入溝の形状の違いから供給電圧の種類やプラグを接続する向きを容易に判別できるとともに、供給電圧の異なるプラグが接続されるのを防止できる。またプラグ受け部は四角形状であるので、2個のピン挿入孔が基準辺に近付けて配置された場合でも、2個のピン挿入孔の間隔が狭まることはなく、絶縁距離を確保するために直流コンセントの大型化を招くことがない。
請求項2の発明によれば、供給電圧の種類に応じて前方から見た挿入溝の形状が部分的に変更された場合でも、プラグ受け部の前面視の形状が四角形状の時よりもプラグ受け部の面積が小さくなるので、コンセント本体の大型化を招くことがない。
請求項3の発明によれば、供給電圧の種類に応じてプラグ受け部の角を少なくとも1つ切り取った形状にプラグ受け部が形成されるとともに、このプラグ受け部の外周縁に沿って挿入溝を形成することで、挿入溝の形状が部分的に変更されているので、挿入溝やプラグ受け部の形状の違いを容易に判別できるとともに、プラグを差し込む向きを容易に判別できるという効果がある。
請求項4の発明によれば、プラグ受け部においてピン挿入孔が偏って配置された側と反対側で、挿入溝の形状が変更されているので、ピン挿入孔が偏って配置された側で挿入溝の形状を変更する場合に比べて、挿入溝とピン挿入孔との間の距離を長くとることができ、したがってプラグ受け部の強度が低下するのを抑制できるという効果がある。
請求項5の発明によれば、前方から見た挿入溝の形状は、プラグ受け部の前面視の形状が四角形状の時よりもプラグ受け部の面積が大きくなるような形状に変更されるので、プラグ受け部の面積が小さくなるような形状に変更される場合に比べて、プラグ受け部の強度が低下するのを抑制できる。
請求項6の発明によれば、挿入溝に連続する延長溝を形成することによって挿入溝を前方から見た形状が変更されており、挿入溝とは別に挿入溝と分離された形で溝を形成する場合に比べて強度を保ちやすく、形状が単純なため製造が容易になる。
請求項7の発明によれば、延長溝が挿入溝の内側に形成されるので、コンセント本体の前面を小さくでき、コンセント本体の大型化を抑制できるという効果がある。
請求項8の発明によれば、プラグ受け部においてピン挿入孔が偏って配置された側と反対側に延長溝が形成されるので、ピン挿入孔と延長溝との距離を十分に確保でき、プラグ受け部の強度が低下するのを抑制することができる。
請求項9の発明によれば、延長溝が挿入溝よりも外側に設けられているので、プラグ受け部の面積が小さくなることがなく、プラグ受け部の強度を保つことができるという効果がある。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の実施形態では壁埋込型の直流コンセントを例にして説明を行うが、本発明の技術思想を、電気機器に固定される機器取付用のコンセントや、コードの延長接続を行うために用いられて固定しないで使用されるコードコネクタボディや、固定しないで使用されるテーブルタップなどの種々の機器に対応したコンセント適用してもよいことはいうまでもない。
(実施形態1)
本発明の実施形態1を図1〜図7に基づいて説明する。本実施形態の直流コンセント1は壁などの造営面に埋込配設されて使用されるものであり、図2に示すように、直流コンセント1と、この直流コンセント1に着脱自在に接続されるプラグ2とで直流電源用の差込接続器が構成される。尚、以下の説明では特に断りが無いかぎり、図3(a)に示す向きにおいて上下左右の方向を規定し、図3(a)中の正面を前面として説明を行うので、図3(b)中の右端は後端となる。
直流コンセント1は、造営材に埋込配設される合成樹脂製のコンセント本体10を備える。コンセント本体10は、前側が開口した略箱状の合成樹脂製のボディ11と、後面が開口した略箱状の合成樹脂製のカバー12とを、金属製の組立枠13,13にて結合して組み立てられている。このコンセント本体10は、日本工業規格(JIS C 8303参照)に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠(JIS C 8375参照)に3個まで並べて取着可能なモジュール寸法の1個分の大きさ(この大きさを1個モジュール寸法という。)に形成されている。
カバー12の前面には、前方に突出して取付枠50の開口54内に嵌るボス部12aが一体に突設されている。ボス部12aの左右両側の肩部12bには、略コ字状に形成された組立枠13の中央片がそれぞれ載置される。組立枠13の両脚片は、カバー12およびボディ11の側面にそれぞれ形成された係止凹部12c,11aに挿入され、両脚片の先端部に設けた略V形の係止爪13c,13cを拡開させて係止凹部11aの両側段部に係止させることによって、ボディ11とカバー12とが組立枠13,13により結合される。なお、組立枠13の中央片の外側縁には、合成樹脂製の取付枠50(図4参照)に設けられた係止孔に係合可能な一対の係止爪13aが突設されるとともに、中央片の内側縁から前方に突出する突出片に、金属製の取付枠(図示せず)に取り付ける際に取付枠の係止爪が係入する係止孔13bが設けられている。
ボス部12aの前面には、プラグ2が着脱自在に接続されるコンセント部14が設けられている。このコンセント部14は、ボス部12a前面の中央部に設けられ、前方から見た形状が四角形状(例えば矩形状)であって、プラグ2の電極ピン22がそれぞれ挿入される丸孔状の2個のピン挿入孔16が開口したプラグ受け部15と、プラグ受け部15の周りを囲むように形成されてプラグ2の周壁23が挿入される挿入溝17と、ピン挿入孔16を通してコンセント本体10内に挿入される電極ピン22を嵌合する刃受18とを備えている。
プラグ受け部15に開口する2個のピン挿入孔16は、直流電力供給用の2個(正極側及び負極側)の刃受18にそれぞれ対応して設けられ、プラグ受け部15の一辺である基準辺(本実施形態では上側辺)に沿って配置され、且つ、プラグ受け部15において上側辺と対向する辺(下側辺)よりも上側辺(基準辺)に近い位置に配置されている。尚、プラグ受け部15の上側辺からピン挿入孔16までの距離は、プラグ受け部15の下側辺からピン挿入孔16までの距離の半分以下となっており、ピン挿入孔16が上側寄りに配置されていることが、容易に判別できるようになっている。
また、コンセント本体10の内部には、刃受18にそれぞれ電気的に接続された所謂速結端子構造の接続端子(図示せず)が収納されており、ボディ11の後面に開口する電線挿入孔より挿入された直流電源の給電線(図示せず)が接続端子に接続されるようになっている。尚、速結端子構造の接続端子には、例えば特開平10−144424号公報に開示されているような従来周知の速結端子を使用すればよく、図示および説明は省略する。
ここにおいて、本実施形態の直流コンセント1は4種類の供給電圧(例えばDC6V,12V,24V,48V)に対応しており、供給電圧の種類に応じて、前方から見たプラグ受け部15の形状、および、前方から見た挿入溝17の形状が部分的に変更されている。図1(a)は6V用、同図(b)は12V用、同図(c)は24V用、同図(d)は48V用の直流コンセント1の正面図である。24V用の直流コンセント1では、前方(プラグ挿入方向)から見たプラグ受け部15の形状が四角形状(矩形状)に形成されているのに対して、他の6V用,12V用,48V用の直流コンセント1では、前方から見たプラグ受け部15の形状が、四角形状の角を供給電圧の種類に応じて少なくとも1つ切り取った形状に形成されるとともに、挿入溝17がプラグ受け部15の外周縁に沿って形成されることで、前方から見た挿入溝17の形状が変更されている。例えば6V用の直流コンセント1では、プラグ受け部15の右下角(つまり挿入溝17における右下の内角部)を斜めに切り取ることによってテーパ部15aが形成されるとともに、挿入溝17の外周形状がプラグ受け部15の外周形状と相似な形状に形成されている。また12V用の直流コンセント1では、プラグ受け部15の左下角(つまり挿入溝17における左下の内角部)を斜めに切り取ることによってテーパ部15aが形成されるとともに、挿入溝17の外周形状がプラグ受け部15の外周形状に相似な形状に形成されている。また更に48V用の直流コンセント1では、プラグ受け部15の右下角及び左下角(つまり挿入溝17における右下及び左下の内角部)を斜めに切り取ることによってそれぞれテーパ部15a,15aが形成されるとともに、挿入溝17の外周形状がプラグ受け部15の外周形状に相似な形状に形成されている。
このように、24V用の直流コンセント1ではプラグ受け部15の外周形状を四角形状のままとし、6V用,12V用,48V用の直流コンセント1では、前方から見たプラグ受け部15の形状が、四角形状の角を供給電圧の種類に応じて少なくとも1つ切り取った形状に形成されるとともに、このプラグ受け部15の外周縁に沿って挿入溝17が形成されているので(つまり前方から見た挿入溝17の形状が、挿入溝17の4つの内角部のうち供給電圧の種類に応じて少なくとも1つの内角部を切り取った形状に形成されるので)、プラグ受け部15及び挿入溝17を前方から見た形状の違いによって供給電圧の種類やプラグ2を接続する向きを容易に判別できるとともに、供給電圧の異なるプラグ2が接続されるのを防止できる。
また本実施形態では、供給電圧の種類に応じて挿入溝17の形状を変更する際に、プラグ受け部15の前面視の形状が四角形状の時に比べてプラグ受け部15の面積が小さくなるような形状に挿入溝17の形状が変更されるので、前方から見たプラグ受け部15の形状が四角形状の時よりも外側に張り出す形でプラグ受け部15が形成されることはなく、のコンセント本体10の大型化を招くことがない。また更に、前方から見たプラグ受け部15の形状が、供給電圧の種類に応じて四角形状の角を切り取った形状に変更される場合には、プラグ受け部15においてピン挿入孔16が偏って配置された基準辺側(上辺側)ではなく、下辺側の角が切り取られており、基準辺(上側辺)よりも上記基準辺と対向する辺(下側辺)に近い側で挿入溝17の形状を変更させているので、挿入溝17とピン挿入孔16との間の距離を長くとることができ、したがって、プラグ受け部15の強度が低下するのを抑制することができる。
ところで、図4は直流コンセント1を合成樹脂製の取付枠50に取り付ける前の状態を示しており、この取付枠50は、長手方向に対向する取付片51にボックスねじ用の長孔52と、はさみ金具が取着される取着孔(図示せず)と、プレートねじ用のねじ孔53とが少なくとも設けてある。また、取付枠50の長手方向に沿う側片55,56のうち、一方の側片55には2個で1組となった係止孔(図示せず)が3組ずつ並設され、他方の側片56には横長の板片57が垂設されている。この板片57には係止孔59が長手方向に3個並設され、各係止孔59の下縁からは突出片58が上方へ突設してある。
この直流コンセント1を取付枠50を用いて造営面に埋込配設する際には、先ず直流コンセント1の一方の組立枠13に設けた係止爪13aを、取付枠50の側片55に設けられた係止孔(図示せず)に挿入したのち、他方の組立枠13の係止爪13aを突出片58の両側の肩部58aに載せるようにして係止孔59に挿入すれば、ボス部12aの前面を開口54から露出させた状態でコンセント本体10を取付枠50に取り付けることができる。次に、造営面に開口する埋込用孔を通して電源側からの給電線を室内側に引き出した後、給電線の被覆が剥かれた芯線をボディ11後面の電線挿入孔に挿入して、端子部に給電線を電気的に接続する。そして、コンセント本体10の後部を埋込用孔に埋設するようにして取付枠50を造営面に固定することにより、直流コンセント1のコンセント本体10が取付枠50を介して造営面に固定される。また、図6(a)に示すように、取付枠50の前面には化粧プレート60が取着されており、化粧プレート60の窓孔61から直流コンセント1のコンセント部14が露出している。尚、直流コンセント1のコンセント本体10は1個モジュール寸法に形成されているので、図6(b)に示すように取付枠50に対して例えば6V用、12V用、24V用の直流コンセント1を1個ずつ並設することもできるし、図7(a)〜(c)に示すように直流コンセント1を他の配線器具と共に取付枠50に並設することもできる。ここで、図7(a)の形態では、直流コンセント1をTVコンセント3及びLAN用モジュラコンセント4と共に取付枠50に並設してある。また図7(b)の形態では、直流コンセント1をLAN用モジュラコンセント4及び電話用モジュラコンセント5と共に取付枠50に並設してあり、図7(c)の形態では24V用と48V用の直流コンセント1をパイロットランプのような配線器具6と共に並設してある。また更に、図7(d)の形態では、2連の取付枠を用いて、それぞれ1個モジュール寸法に形成された6V用、12V用、24V用の直流コンセント1を、3個モジュール寸法に形成された交流電源用のコンセント7と共に並設してある。
一方、この直流コンセント1に接続されるプラグ2は、図5に示すように、合成樹脂により手で把持できる程度の大きさに形成された横長の直方体状のプラグ本体21を備え、このプラグ本体21の前面(直流コンセント1との対向面)には、丸棒状の2本の電極ピン22が突設されるとともに、2本の電極ピン22の周りを囲むように四角筒状の周壁23が突設されている。ここで、プラグ本体21の前面から周壁23の先端までの長さは、プラグ本体21前面から電極ピン22の先端までの長さよりも若干大きい寸法に設定されている。また2本の電極ピン22は、周壁23の一方の壁(例えば上側壁)に沿って配置されており、且つ、電極ピン22と周壁23の上側壁との距離が、電極ピン22と周壁23の下側壁との距離よりも短くなるように配置されている。また、プラグ本体21の後面からは、負荷機器からの電線24が導出されており、差込プラグ2が直流コンセント1に接続されると、電線24を介して負荷機器に直流電力が供給されるようになっている。尚、図5に示すプラグ2は24V用であり、周壁23は、供給電圧の種類に応じて、対応する直流コンセント1の挿入溝17に挿入可能な形状に形成されている。
このプラグ2を直流コンセント1に接続するにあたっては、電極ピン22とピン挿入孔16の位置を合わせて、プラグ2を直流コンセント1側に近付けると、先ずプラグ2の周壁23が直流コンセント1の挿入溝17内に挿入された後、電極ピン22がピン挿入孔16内に挿入され、プラグ2を所定位置まで差し込むと、電極ピン22が刃受18に電気的且つ機械的に接続される。尚、電極ピン22が刃受18に接触する際には、既に周壁23の先端が挿入溝17内に挿入されているので、電極ピン22の接触時にアークが発生したとしても外部からアークが見えることはない。
またプラグ2を直流コンセント1から引き抜く際には、プラグ本体21を把持して手前側に引っ張ると、先ず電極ピン22が刃受18から外れて、ピン挿入孔16の外側に出た後、プラグ2の周壁23が挿入溝17から外に出るので、プラグ2を直流コンセント1から容易に取り外すことができる。尚、電極ピン22が刃受18から離れた瞬間には、まだ周壁23の先端が挿入溝17内に挿入されているので、電極ピン22の開離時にアークが発生したとしても外部からアークが見えることはない。
ここで、本実施形態の直流コンセント1では、プラグ2の周壁23内に挿入されるプラグ受け部15を前方から見た形状が四角形状に形成されるとともに、プラグ受け部15に開口する2個のピン挿入孔16が、プラグ受け部15の上側辺(基準辺)に沿って配置され、且つ、2個のピン挿入孔16からプラグ受け部15の上側辺までの距離が、ピン挿入孔16からプラグ受け部15の下側辺までの距離に比べて短くなるように、プラグ受け部15において上側辺寄りに配置されているので、コンセント部14にプラグ2を取り付ける向きを容易に理解できる。
またプラグ2の四角筒状の周壁23を、四角形状のプラグ受け部15の周りに設けた挿入溝17に挿入することによって、コンセント部14にプラグ2を取り付ける向きが制限されるから、プラグ2の位置合わせが容易であり、逆差しを防止しつつ使い勝手のよい直流コンセントを実現できる。
さらにコンセント部14には、ピン挿入孔16が開口するプラグ受け部15の周りに挿入溝17が形成されているだけで、上記IEC規格に準拠したSELV回路用のソケットのように逆差し防止のためのキー溝が形成されていないので、プラグ受け部15の形状を簡単にでき、強度を確保するために直流コンセント1の大型化を招くことがない。
なおプラグ受け部15を前方から見た形状が円形の場合、2個のピン挿入孔16を片側に寄せて配置しようとすると、2個のピン挿入孔16の間隔が狭くなってしまうが、本実施形態ではプラグ受け部15を前方から見た形状が四角形状(矩形状)に形成されているので、2個のピン挿入孔16が一辺(上側辺)に近付けて配置された場合でも、2個のピン挿入孔16の間隔が狭まることはなく、したがって絶縁距離を確保するために、直流コンセントの大型化を招くことがない。
また本実施形態の差込接続器において、丸棒状の電極ピン22に代えて平刃形状の栓刃がプラグ2に設けられ、プラグ受け部15に矩形孔からなるピン挿入孔16’が形成された場合、丸棒状の電極ピン22に比べて平刃形状の栓刃では断面積を同程度にするため幅細で且つ縦長になるので、図16(a)に示すように、プラグ受け部15に形成されるピン挿入孔16’も、丸孔状のピン挿入孔16に比べて縦長になる。ここで、コンセント本体10が1個モジュール寸法に形成されている場合、ピン挿入孔16’の縦寸法(上下方向寸法)とプラグ受け部15の上下方向寸法との差が小さいため、プラグ受け部15の上下方向における中央位置からピン挿入孔16’を上側に偏らせたとしても、ピン挿入孔16’の偏倚量を大きくとることができず、ピン挿入孔16’が上下何れの側に偏倚しているのか判別しにくいという問題があった。またピン挿入孔16’は、平刃形状の栓刃の縦寸法よりも若干縦長に形成されるので、ピン挿入孔16’の開口位置の上下方向における偏倚量が小さい場合、プラグ2が左右逆向きにして差込接続されると、平刃形状の栓刃の端がピン挿入孔16’内に差し込まれてしまう可能性もあった。このような問題を回避するには、図16(b)に示すようにピン挿入孔16’が開口する位置の上下方向における偏倚量を大きくとる必要があるが、それによってコンセント本体10が大型化するという問題もあった。それに対して本実施形態ではピン挿入孔16が丸孔状に形成されているので、矩形孔状のピン挿入孔16’に比べて上下方向における偏倚量を大きくとることができ、したがってピン挿入孔16が上下何れの方向に偏倚しているかを容易に判別でき、プラグ2が左右逆向きに接続された場合でもプラグ2の電極ピン22がピン挿入孔16内に挿入されることがない。
尚、本実施形態では、プラグ受け部15の下側の角を供給電圧の種類に応じて切り取ることで、挿入溝17の形状を変更しているが、切り取られる角の位置や数は上記の形態に限定されるものではなく、ピン挿入孔16が偏って配置された基準辺側(上辺側)の角を切り取るようにしてもよいし、例えば図8(a)に示すように上側及び下側の角を両方ともに切り取ってテーパ部15aをそれぞれ形成することで、挿入溝17の形状を変更してもよい。また角を切り取った部位の形状も上記の形態に限定されるものではなく、供給電圧の識別が可能であればどのような形に切り取ってもよく、例えば図1(e)に示すようにプラグ受け部15の角を略直角に切り取って、入り隅部15bを設けてもよい。
また、図1(a)〜(e)に示した直流コンセント1では、プラグ受け部15の前面視の形状が、供給電圧の種類に応じて四角形状の角を少なくとも1つ切り取った形状に変更される場合に、プラグ受け部15の周りに形成される挿入溝17の外周形状が、挿入溝17の内周形状と相似な形状に形成されているが、図8(b)に示すように挿入溝17の外周形状は四角形状のままとして、挿入溝17の内周形状のみをプラグ受け部15の外周形状と同じ形状にしてもよく、プラグ受け部15の前面形状や挿入溝17の形状の違いがより識別しやすくなる。
ところで、本発明に係る直流コンセント1は、図15に示す直流配電システムに用いられる。なお図15は直流配電システムを戸建て住宅の家屋Hに適用した例を示しているが、直流配電システムを集合住宅やテナントビルなどの建物に適用してもよいことは言うまでもない。
家屋Hには、直流電力を出力する直流電力供給部72と、家屋H内の要所に配設され、直流電力供給部72から直流供給線路Wdcを介して直流電力が供給される直流コンセント1と、直流電力により動作する複数の直流機器(例えば冷蔵庫80a、テレビ80b、電話機80cなど)が設けられており、直流機器80a〜80cからの差込プラグ2を直流コンセント1に接続することによって、直流機器80a〜80cに直流電力が供給される。また直流電力供給部72と直流コンセント1との間には、直流供給線路Wdcに流れる電流を監視し、異常を検知したときに直流供給線路Wdc上で直流電力供給部72から直流コンセント1への給電を制限ないし遮断する直流ブレーカ73が設けられる。
直流電力供給部72は、基本的には、商用電源のように宅外から供給される交流電源ACを電力変換して直流電力を生成する。図示する構成では、交流電源ACは、分電盤70に内器として取り付けられた主幹ブレーカ71を通して、スイッチング電源を含むAC/DCコンバータ74に入力される。AC/DCコンバータ74から出力される直流電力は、協調制御部75を通して各直流ブレーカ73に接続される。
また直流電力供給部72には、交流電源ACから電力が供給されない期間(たとえば、商用電源ACの停電期間)に備えて二次電池77が設けられている。また、直流電力を生成する太陽電池76や燃料電池78を併用することも可能になっている。交流電源ACから直流電力を生成するAC/DCコンバータ74を備える主電源に対して、太陽電池76や二次電池77や燃料電池78は分散電源になる。なお、図示例において太陽電池76、二次電池77、燃料電池78は出力電圧を制御する回路部を含み、二次電池77は放電だけではなく充電を制御する回路部も含んでいる。
ここで、直流機器80a〜80cの駆動電圧は機器に応じた複数種類の電圧から選択されるから、協調制御部75にDC/DCコンバータを設け、主電源および分散電源から得られる直流電圧を必要な電圧に変換して、それぞれ対応する直流コンセント1に供給するのが望ましく、使用される直流機器や建物の使用環境などに合わせて直流電圧の供給電圧は適宜決められればよい。ここにおいて、直流コンセント1に直流電力を供給する電源供給元の電源回路は、交流電源ACと直流コンセント1との間に設けられており、例えば分電盤70の内部に設けられている。
(実施形態2)
本発明の実施形態2を図9〜図12に基づいて説明する。実施形態1の直流コンセント1では、前方から見たプラグ受け部15の形状が、供給電圧の種類に応じて、四角形状の角を少なくとも1つ切り取った形状に形成されるとともに、プラグ受け部15の外周縁に沿って挿入溝17が形成されることで、挿入溝17の形状が供給電圧の種類に応じて変更されているのに対して、本実施形態では挿入溝17からプラグ受け部15側に延長溝19を延長形成することによって、前方から見たプラグ受け部15の形状、および、前方から見た挿入溝17(延長溝19を含む)の形状が部分的に変更されている。尚、延長溝19が形成された点を除いては実施形態1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図9(a)〜(d)は4種類の供給電圧にそれぞれ対応した直流コンセント1の正面図であり、同図(a)は6V用、同図(b)は12V用、同図(c)は24V用、同図(d)は48V用の直流コンセント1である。プラグ受け部15において、2個のピン挿入孔16は基準辺である上辺側に偏らせて配置されており、6V用の直流コンセント1では、図9(a)に示すようにプラグ受け部15の下側辺の左端付近に延長溝19が形成され、12V用の直流コンセント1では、図9(b)に示すようにプラグ受け部15の下側辺の中央よりやや左側に延長溝19が形成されている。また24V用の直流コンセント1では、図9(c)に示すようにプラグ受け部15の下側辺の中央よりやや右側に延長溝19が形成され、48V用の直流コンセント1では、図9(d)に示すようにプラグ受け部15の下側辺の右端付近に延長溝19が形成されている。
一方、この直流コンセント1に接続されるプラグ2では、図12に示すように、周壁23の内側面に延長溝19内に挿入されるリブ23aが突設されており、このリブ23aが延長溝19内に嵌ることで、供給電圧の異なるプラグ2が直流コンセント1に接続されないようになっている。
上述のように本実施形態では、プラグ受け部15の下側辺において供給電圧の種類に応じて異なる位置に、挿入溝17からプラグ受け部15側に入り込む延長溝19が延長形成されることによって、挿入溝17を前方から見た形状が部分的に変更されているので、挿入溝17とは別に挿入溝17と分離された形で溝を形成する場合に比べてプラグ受け部15の強度を保ちやすく、また形状が単純なため製造が容易にある。
また、延長溝19は挿入溝17からプラグ受け部15側に延長形成されており、前方から見たプラグ受け部15の形状が四角形状の時に比べて、プラグ受け部15の面積が小さくなるような形状に挿入溝17の形状が変更されているので、前方から見たプラグ受け部15の形状が四角形状の時よりも外側に張り出して挿入溝17が形成されることがなく、コンセント本体10の大型化を招くことがない。また更に、挿入溝17からプラグ受け部15側に延長溝19を延長形成する際には、プラグ受け部15においてピン挿入孔16を偏らせた一辺である基準辺(上側辺)よりも上記基準辺と対向する辺(下側辺)に近い側で挿入溝17の形状を変更させているので、挿入溝17(延長溝19を含む)とピン挿入孔16との間の距離を長くとることができ、したがって、プラグ受け部15の強度が低下するのを抑制することができる。
尚、本実施形態では挿入溝17からプラグ受け部15側に延長溝19を延長形成することで、供給電圧の種類に応じて挿入溝17の形状を部分的に変更しているが、延長溝19が形成される部位や延長溝19の形状および数は上記の形態に限定される趣旨のものではなく、図10(a)に示すように下側辺の中央位置に延長溝19を形成してもよいし、ピン挿入孔16が偏って配置された基準辺側(上辺側)に延長溝19を形成してもよく、供給電圧の種類が識別可能であれば、延長溝19の形状や数やその形成部位は問わない。また、図10(b)に示すようにプラグ受け部15の形状が、四角形状の角を少なくとも1つ切り取った形状に形成されるとともに、挿入溝17の下側辺からプラグ受け部15側に延長溝19を延長形成することによって、挿入溝17の形状を部分的に変更してもよい。
ここで、図11は直流コンセントの施工例を示し、供給電圧が異なる3種類の直流コンセント1A〜1Cが取付枠50に並設されている。直流コンセント1Aでは、前方から見たプラグ受け部15の形状が四角形状に形成されているのに対して、直流コンセント1Bでは、プラグ受け部15の形状が、四角形状の右下及び左下の角を斜めに切り取ることによって、前方から見た挿入溝17の形状が部分的に変更されている。また直流コンセント1Cでは、プラグ受け部15の下側辺に挿入溝17からプラグ受け部15内に入り込む延長溝19を延長形成することによって、前方から見た挿入溝17の形状が部分的に変更されている。
(実施形態3)
本発明の実施形態3を図13及び図14に基づいて説明する。実施形態2の直流コンセント1では、挿入溝17からプラグ受け部15側に延長溝19を延長形成することによって、前方から見た挿入溝17(延長溝19を含む)の形状が供給電圧の種類に応じて部分的に変更されているのに対して、本実施形態では、コンセント本体10の前面(すなわちボス部12aの前面)において、挿入溝17から外側に延長溝20を延長形成することで、前方から見たプラグ受け部15の形状、および、前方から見た挿入溝17(延長溝20を含む)の形状が部分的に変更されている。尚、延長溝20が形成された点を除いては実施形態1又は2と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図13(a)〜(d)は4種類の供給電圧にそれぞれ対応した直流コンセント1の正面図であり、同図(a)は6V用、同図(b)は12V用、同図(c)は24V用、同図(d)は48V用の直流コンセント1である。プラグ受け部15において、2個のピン挿入孔16は基準辺である上辺側に偏って配置されており、6V用の直流コンセント1では、図13(a)に示すように挿入溝17の下側の外周縁における左端部から外側(図中下側)に向かって延びる延長溝20が形成されるとともに、プラグ受け部15の下側縁から延長溝20側に突出する突起部15cが突設されることで、挿入溝17の形状が部分的に変更されている。また12V用の直流コンセント1では、図13(b)に示すように挿入溝17の左側の外周縁における下側部から外側(図中左側)に向かって延びる延長溝20が形成されるとともに、プラグ受け部15の左側縁から延長溝20側に突出する突起部15cが突設されることで、挿入溝17の形状が部分的に変更されている。また更に24V用の直流コンセント1では、図13(c)に示すように挿入溝17の下側の外周縁における右端部から外側(図中下側)に向かって延びる延長溝20が形成されるとともに、プラグ受け部15の下側縁から延長溝20側に突出する突起部15cが突設されることで、挿入溝17の形状が部分的に変更されている。また48V用の直流コンセント1では、図13(d)に示すように挿入溝17の右側の外周縁における下側部から外側(図中右側)に向かって延びる延長溝20が形成されるとともに、プラグ受け部15の右側縁から延長溝20側に突出する突起部15cが突設されることで、挿入溝17の形状が部分的に変更されている。尚、図13(f)に示すように突起部15cを設けずにプラグ受け部15の前面視の形状を四角形状とし、延長溝20のみを形成することで挿入溝17の形状を変更してもよい。
一方、この直流コンセント1に接続されるプラグ2では、図14に示すように、周壁23の外側面に延長溝20内に挿入されるリブ23bが突設されるとともに、周壁23の内側面に突起部15cが嵌る係止溝23cが形成されており、リブ23bが延長溝20内に挿入されるとともに、突起部15cが係止溝23c内に挿入されることで、供給電圧の異なるプラグ2が直流コンセント1に接続されるのを防止している。
上述のように本実施形態では、コンセント本体10の前面、すなわちボス部12aの前面において挿入溝17から外側へ延長する延長溝20を形成することによって、供給電圧の違いに応じて、前方から見たプラグ受け部15及び挿入溝17の形状を部分的に変更している。そして、前方から見た挿入溝17の形状は、供給電圧の種類に応じて、前方から見たプラグ受け部15の形状が四角形状の時に比べてプラグ受け部15の面積が大きくなるような形状に変更されているので、挿入溝17の形状が変更された場合でもプラグ受け部15の面積が四角形状の時から小さくなることはなく、プラグ受け部15の強度を十分に保つことができる。
尚、プラグ受け部15及び挿入溝17の形状を変更させる部位やその形状および数は上記の各実施形態に限定される趣旨のものではなく、供給電圧の種類が識別可能であれば、変更位置や変更部分の形状及び数は問わず、供給電圧の種類に応じて、前方から見たプラグ受け部15の形状、又は、前方から見た挿入溝17の形状のうち少なくとも何れか一方を変更すればよい。