(第1の実施形態)
図1〜図11を参照して、本発明の直流コンセントを造営物の壁部に埋め込まれる直流コンセントとして具体化した第1実施形態について説明する。
図1を参照して、家屋Hに設けられた直流配電システム70の全体について説明する。
図1に示すように、家屋Hには、直流電力を出力する直流電力供給部71と、直流電力により駆動される負荷としての電気機器72とが設けられている。この電気機器72には、直流電力供給部71の出力端子に接続された直流供給線路Wdcを通して直流電力が供給されるようになる。ここで、電気機器72としては、例えばパーソナルコンピュータ等の情報機器72a、照明器具72b、インターホン等の玄関システム機器72c及び火災感知器等の住警器具72dが挙げられる。
また、直流電力供給部71と電気機器72との間には、直流供給線路Wdcに流れる電流を監視するとともに、異常を検知したときに直流供給線路Wdc上で直流電力供給部71から電気機器72への直流電力の供給を制限または遮断する直流ブレーカ73が設けられている。この直流ブレーカ73は、電気機器72のそれぞれに対応して設けられている。
直流電力供給部71は、基本的には、商用電源等の家屋Hの外部から供給される交流電源ACの電力変換により直流電力を生成している。具体的には、交流電源ACの交流電力は、分電盤74に設けられた主幹ブレーカ75を通して、スイッチング電源を含むAC/DCコンバータ76に入力され、直流電力に変換される。そしてAC/DCコンバータ76から出力される直流電力は、協調制御部77を通して各直流ブレーカ73に接続される。
直流電力供給部71には、交流電源ACの停電期間等の交流電源ACから電力が供給されない期間に対応する二次電池78a、及び直流電力を生成する太陽電池78bや燃料電池78cが設けられている。これら二次電池78a、太陽電池78b及び燃料電池78cは、交流電源ACから直流電力を生成するAC/DCコンバータ76を備える主電源79に対して、分散電源78となる。
協調制御部77は、主電源79からの直流電力と、分散電源78からの直流電力との電力の配分を制御している。この協調制御部77には、DC/DCコンバータ77aが設けられている。このDC/DCコンバータ77aにより、主電源からの直流電力及び分散電源78からの直流電力の直流電圧を必要な電圧に変換している。以上により、主電源79及び分散電源78の直流電力を必要に応じて分配した上で、電気機器72に直流電力が供給されるようになる。
ここで、直流コンセント(以下、「コンセント1」)は、直流ブレーカ73と電気機器72のうちの情報機器72aとの間に設けられている。このコンセント1は、直流供給線路Wdcに接続されている。そして、情報機器72aのプラグ1C(図6参照)がコンセント1に接続されることにより、直流電力供給部71の直流電力が情報機器72aに供給されるようになる。
次に、図2〜図4を参照して、直流コンセント(以下、「コンセント1」)の構成、及び取付枠2への取付構造について説明する。
図2(a)に示すように、コンセント1は、略直方体のコンセント本体部1Aと、コンセント本体部1A内に収納された刃受部材1B(図7参照)とにより構成されている。以降では、コンセント1に対するプラグ1C(図5参照)の挿入方向を「前後方向」とし、この前後方向の平面視において、コンセント本体部1Aの長手方向を「左右方向」とし、コンセント本体部1Aの短手方向を「上下方向」とする。また、前後方向において、コンセント1に対するプラグ1C側を「前方」とし、コンセント1側を「後方」とする。また、上下方向と左右方向とは互いに直交している。
コンセント本体部1Aには、樹脂材料を用いて射出成形することにより成形されるとともに前後方向の前方が開口した略箱状のボディ10と、樹脂材料を用いて射出成形することにより成形されるとともに前後方向の後方が開口した略箱状のカバー20とが設けられている。またコンセント本体部1Aには、ボディ10にカバー20を取り付けた後に取り付けられるとともに金属板をプレス加工することにより成形される一対の組立枠30が設けられている。そしてボディ10及びカバー20によって形成される内部空間に刃受部材1Bが収納されるようになる。
刃受部材1Bは、造営物の壁部の壁面の裏面側に配線された直流供給線路Wdc(図1参照)に端子部(不図示)を介して接続されている。これにより直流電力供給部71(図1参照)からの直流電力が刃受部材1Bに供給されるようになる。
カバー20の左右方向の両側には、組立枠30が取り付けられる組立枠取付部21が設けられている。これら組立枠取付部21の左右方向の間には、この組立枠取付部21よりも前後方向の前方に突出する略直方体形状のコンセント部22が設けられている。このコンセント部22は、直流電源用のプラグ1Cが着脱可能に接続されるようになる。
コンセント部22には、このコンセント部22の前面22aより前後方向の後方に凹むとともに、前後方向の前方から見た平面視において略四角形状に形成された周壁挿入溝23が設けられている。この周壁挿入溝23によって囲まれた部位には、上記前面22aと前後方向において面一となる前面24aを有する表面部24が設けられている。この表面部24は、前後方向の前方から見た平面視において上下方向に沿った2辺及び左右方向に沿った2辺によって略四角形状に形成されている。また表面部24には、3つのピン挿入孔25が設けられている。これらピン挿入孔25は、前後方向の平面視において円形の貫通孔として設けられている。
ピン挿入孔25は、表面部24の外周縁のうちの左右方向に沿った一辺であるとともにこの表面部24の上下方向の上方の辺を基準辺24bとして、この基準辺24bに沿って配列される2つの電源挿入孔25Aと、電源挿入孔25Aよりも基準辺24bに上下方向に対向する上記外周縁の辺24cに近づくように偏った位置に設けられる1つの接地挿入孔25Bとにより構成されている。即ち接地挿入孔25Bは電源挿入孔25Aよりも上下方向の下方に設けられている。
図2(b)に示すように、電源挿入孔25Aは、表面部24の辺24cよりも基準辺24bに近づくように偏った位置に設けられている。即ち電源挿入孔25Aは、表面部24の中心位置C1(即ち、表面部24の四隅からの対角線(一点鎖線)の交点)に対して上下方向の上方にそれぞれ設けられている。そして電源挿入孔25Aは、上記中心位置C1に対して左右方向に沿った両側にそれぞれ配列されている。特に、電源挿入孔25Aの上下方向における辺24c側の端部である上下方向の下端部25aは、上記中心位置C1を含む左右方向に沿った直線L1(二点鎖線)よりも基準辺24b側、即ち直線L1よりも上下方向の上方にそれぞれ配置されている。
接地挿入孔25Bは、中心位置C1に対して上下方向の下方に設けられている。また接地挿入孔25Bは、2つの電源挿入孔25Aの左右方向の中央位置に設けられている。即ち接地挿入孔25Bは、中心位置C1と左右方向に同位置に設けられている。特に、接地挿入孔25Bの上下方向における基準辺24b側の端部である上端部25bは、上記直線L1よりも辺24c側、即ち直線L1よりも上下方向の下方に配置されている。
図3(a)に示すように、コンセント本体部1Aは、日本工業規格(JIS C 8303参照)に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠2(JIS C 8375参照)に3個まで並べて取着可能なモジュール寸法の1個分の大きさ(以下、「1個モジュール」)に形成されている。
取付枠2は、中央に上下方向が長手となる略長方形状の開口部40を有する枠形状として構成されている。取付枠2の上下方向の上部及び下部には、それぞれスイッチボックス(不図示)に取り付けられる取付部41が設けられる。これら取付部41の左右方向の端部には、これら取付部41を上下方向に連結する一対の連結部42が設けられている。
取付部41には、スイッチボックスに固定する固定部材としてのねじを挿通する第1挿通孔43と、プレート3を固定する固定部材としてのねじを挿通する第2挿通孔44とがそれぞれ設けられている。
連結部42には、この連結部42の内縁から前後方向の後方に沿って延びる器具取付部45が設けられている。この器具取付部45には、この器具取付部45を左右方向に貫通する取付孔46が上下方向に離間して複数設けられている。
図3(b)に示すように、コンセント本体部1Aの組立枠30には、それぞれ上下方向に離間した2つの突起部31が設けられている。これら突起部31を取付枠2の取付孔46に係合することにより、コンセント本体部1Aが取付枠2に取り付けられるようになる。
図4に示すように、取付枠2の前後方向の前方には、プレート3が取り付けられている。このプレート3には、1個モジュール寸法の大きさに形成された開口穴3aが設けられている。そしてコンセント1のコンセント部22は、開口穴3aに収納されている。これにより、壁面より前後方向の前方からは、プレート3とコンセント部22とのみが見えるようになる。
ところで、このようなコンセント1の構成においては、ICE規格に準拠した構成として図27(b)に示すようなコンセント部200では、上記日本工業規に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠にコンセント部200の外径が収まらなくなってしまう。その結果、コンセント部200のための専用の取付枠が必要となってしまう。このような専用の取付枠では、上記日本工業規格に則した取付枠に取り付けることのできる配線器具が取り付けられず、この配線器具とコンセント部200とがともに共通の取付枠に取り付けることができなくなる問題がある。
その点において、本実施形態では、周壁挿入溝23が略四角形状に設けられることにより、表面部24が略四角形状に設けられるようになる。即ち、表面部24の左右方向の幅H1(図2(b)参照)は、上下方向において略同等に形成されている。したがって、2つの電源挿入孔25Aを中心位置C1よりも上下方向の上方に設けたとしても、コンセント部22が大型化することが抑制されるようになる。したがって、上記日本工業規格に準拠した大きさである取付枠2にコンセント部22の外形が収まるため、上記日本工業規格に則した取付枠に取り付けることのできる配線器具とコンセント部22とがともに共通の取付枠に取り付けることができるようになる。
また、図28(a)に示すように、コンセント部300の表面部302には、上下方向の上方に2つの電源挿入孔303が設けられ、上下方向の下方に1つの接地挿入孔304が設けられている。電源挿入孔303は、左右方向に沿って中心位置CR3の両側に配列されている。接地挿入孔304は、2つの電源挿入孔303の左右方向の中央位置に設けられるとともに上下方向が長手となる長方形にて形成されている。
本実施形態の接地挿入孔25Bの面積と同一の面積を有する接地挿入孔304を形成する場合には、接地挿入孔304の上下方向の上端部が中心位置CR3より上方まで形成するようになる。したがって、電源挿入孔303及び接地挿入孔304が左右方向において電源挿入孔303と接地挿入孔304とが重なってしまう。その結果、接地挿入孔304と各電源挿入孔303との最短距離である左右方向の距離DR6が小さくなってしまう。即ち、プラグの電源側ピンと接地側ピン(ともに不図示)とが互いに近接して配置されるようになる。
そこで、図28(b)に示すように、周壁挿入溝301の外径DR3,DR4を大きく形成することにより、表面部302を大きく形成する構成が考えられる。これにより、電源挿入孔303の全体が中心位置CR3よりも上下方向の上方に位置するようになる。これにより図28(a)のコンセント部300の構成と比較して上記距離DR6を大きくすることができる。
しかしながら、上述のように図28(b)のコンセント部300の構成では、コンセント部300が大型化するため、コンセント部300の外径が1個モジュール寸法に収まらなくなってしまう。その結果、コンセント部300のための専用の取付枠が必要となってしまい、上述と同様の問題が発生してしまう。
その点において、本実施形態では、電源挿入孔25Aが円形に設けられるため、電源挿入孔303と比較して、上下方向の幅を狭くすることができる。したがって、1個モジュール寸法に収まる表面部24において、即ちコンセント部22を大型化することなく、電源挿入孔25Aを表面部24の中心位置C1よりも上下方向の上方に位置することができるようになる。
また、接地挿入孔25Bも円形に設けられるため、接地挿入孔304と比較して、上下方向の幅を狭くすることができる。したがって、1個モジュール寸法に収まる表面部24において、即ちコンセント部22を大型化することなく、接地挿入孔25Bを表面部24の中心位置C1よりも上下方向の下方に位置することができるようになる。また、上述のような電源挿入孔25A及び接地挿入孔25Bの位置関係により、接地挿入孔304と電源挿入孔303との距離DR6(図28(a)参照)と比較して、電源挿入孔25Aと接地挿入孔25Bとの最短距離を大きくすることができるようになる。これにより、コンセント部300に対応するプラグと比較して、プラグ1Cの電源側ピン52Aと接地側ピン52B(ともに図5参照)との最短距離を大きくすることができるようになる。
次に、図5〜図8を参照して、プラグ1Cの構成、及びコンセント1との挿入構造について説明する。
図5(a)に示すように、プラグ1Cは、ケーブル部50と、このケーブル部50と接続するプラグ本体部51とにより構成されている。このプラグ本体部51の前後方向において、コンセント1の表面部24(図6参照)と前後方向に対向する対向面51aには、この対向面51aから前後方向の後方に延びる3つのプラグピン52と、これらプラグピン52を外側から覆う略四角形状の周壁53が設けられている。プラグピン52は、対向面51aの左右方向の一辺に沿って配列される2つの電源側ピン52Aと、電源側ピン52Aより上下方向の下方に設けられる1つの接地側ピン52Bとにより構成されている。電源側ピン52Aは、周壁53の前後方向の後方の端部よりも若干前後方向の前方まで延びるように設けられている。接地側ピン52Bは、周壁53の同端部よりも若干前後方向の後方まで延びるように設けられている。
図5(b)に示すように、電源側ピン52Aは、周壁53の中心位置C2(即ち、周壁53の四隅からの対角線(一点鎖線)の交点)に対して上下方向の上方にそれぞれ設けられている。そして電源側ピン52Aは、上記中心位置C2に対して左右方向に沿った両側にそれぞれ配列されている。特に、電源側ピン52Aの上下方向の下端部52aは、上記中心位置C2を含む左右方向に沿った直線L2(二点鎖線)よりも上下方向の上方にそれぞれ配置されている。
接地側ピン52Bは、上記中心位置C2に対して上下方向の下方に設けられている。そして接地側ピン52Bは、2つの電源側ピン52Aの左右方向の中央位置(即ち、中心位置C2と左右方向において同位置)に設けられている。特に、接地側ピン52Bの上下方向の上端部52bは、上記直線L2よりも上下方向の下方に配置されている。
図6に示すように、コンセント1にプラグ1Cが挿入されるときには、コンセント部22の周壁挿入溝23にプラグ本体部51の周壁53が挿入される。そして、ピン挿入孔25にプラグピン52が挿入される。
ところで、図26に示すように、従来のIEC規格に準拠したコンセント部110では、周壁挿入溝111及び周壁102が前後方向の平面視において円形に形成されるため、プラグ100の周壁102が周方向の360度に亘り、周壁挿入溝111に挿入されてしまう。
その点において、本実施形態では、周壁挿入溝23及び周壁53の両方が前後方向の前方から見た平面視において略四角形状であるため、周壁53が周壁挿入溝23に対して挿入される方向は、2方向に限定されるようになる。したがって、コンセント1に対してプラグ1Cの挿入方向が限定されることにより、作業者がコンセント1にプラグ1Cを挿入する方向を容易に決定することができる。その結果、作業者がコンセント1にプラグ1Cを容易に逆差しを抑制しつつ挿入することができる。ことができるようになる。
図7(a)に示すように、刃受部材1Bは、各ピン挿入孔25にそれぞれ配置されている。この刃受部材1Bには、1対の保持部60が設けられている。
図7(b)に示すように、コンセント1にプラグ1Cが挿入された状態において、プラグ1Cの電源側ピン52Aは、コンセント1の刃受部材1Bによって挟まれた状態にて保持されるようになる。このとき保持部60は互いに離間するように弾性変形し、その復元力によって電源側ピン52Aを保持している。これにより、コンセント1とプラグ1Cとが電気的に導通するようになる。図示していないが、接地側ピン52Bも同様な構成によって、コンセント1と電気的に導通している。
図8に示すように、コンセント1に対してプラグ1Cを逆差ししようとする場合には、プラグ1Cの電源側ピン52Aが表面部24の中心位置C1よりも上下方向の下方に位置するようになり、接地側ピン52Bが中心位置C1よりも上下方向の上方に位置するようになる。したがって、表面部24の前面24aに電源側ピン52A及び接地側ピン52Bがそれぞれ当接することとなり、コンセント1に対してプラグ1Cが挿入できないようになっている。
また、この状態において、電源挿入孔25Aと電源側ピン52Aとが上下方向において互いに離間し、接地挿入孔25Bと接地側ピン52Bとが上下方向において互いに離間するようになる。したがって、プラグピン52がピン挿入孔25に挿入されることを確実に抑制するようになる。
次に、図9を参照して、供給電圧に応じたコンセント部22の形状について説明する。
直流電力供給部71(図1参照)の電力供給を受けて動作する電気機器72(図1参照)としては、供給電圧が6V、12V、24V、48Vの複数種類のものが存在している。そこで、本実施形態では、プラグ1Cの挿入方向(前後方向)から見た平面視において、コンセント部22の略四角形状の部分である周壁挿入溝23及び表面部24の四隅のうちの少なくとも1箇所を切り取った形状に形成することにより、コンセント部22が供給電圧に応じて識別可能となっている。具体的には、供給電圧が24Vの場合を基準として、6V、12V、48Vの周壁挿入溝23の四隅には傾斜部23aが設けられている。そして表面部24の四隅のうちの傾斜部23aと対応する箇所も傾斜部23aに沿って傾斜した形状に形成されている。
詳細には、図9(a)に示すように、供給電圧が6Vの場合には、周壁挿入溝23の四隅のうちの上下方向の下方且つ左右方向の右方の部位に傾斜部23aが設けられている。図9(b)に示すように、供給電圧が12Vの場合には、周壁挿入溝23の四隅のうちの上下方向の下方且つ左右方向の左方の部位に傾斜部23aが設けられている。図9(c)に示すように、供給電圧が48Vの場合には、周壁挿入溝23の四隅のうちの上下方向の下方且つ左右方向の両方の2箇所の部位に傾斜部23aがそれぞれ設けられている。なお、図9(d)に示すように、供給電圧が24Vの場合には、周壁挿入溝23の四隅には、傾斜部が形成されていない。
また、プラグ1Cの周壁53の形状も上述の周壁挿入溝23の形状に応じて傾斜部が形成されている。これにより、プラグ1Cが供給電圧に応じて識別可能となっている。以上により、プラグ1Cの周壁53の形状とコンセント部22の周壁挿入溝23の形状とが適合しない限り、プラグ1Cはコンセント1に挿入することができなくなる。これにより、供給電圧が互いに異なるコンセント1及びプラグ1Cを接続することが抑制されるようになる。
ところで、図24に示すように、供給電圧に応じたコンセント部として、IEC規格に準拠したコンセント部400では、供給電圧に応じて4つの切欠溝404〜407が設けられている。具体的には、コンセント部400には、前後方向の平面視において円環形状の周壁挿入溝401が設けられている。この周壁挿入溝401に囲まれた表面部402には、プラグのプラグピン(不図示)が挿入されるピン挿入孔403が設けられている。この表面部402の外周縁における上下方向の下方には、周壁挿入溝401と一体となるとともに周壁挿入溝401から内側に凹む態様にて上述の切欠溝404〜407が設けられている。また表面部402の外周縁における上下方向の上方には、プラグの逆差しを抑制するための切欠溝408が設けられている。
ここで、切欠溝404〜407は、それぞれ供給電圧が6V、12V、24V、48Vに対応し、切欠溝408を基準位置(0°)として右回りに120°、150°、210°、240°の位置にそれぞれ設けられるようになる。また、プラグには、切欠溝404〜407にそれぞれ対応した識別リブが設けられている。この識別リブが切欠溝404〜407にそれぞれ挿入されることにより、供給電圧に適合したプラグがコンセント部400に挿入されるようになる。
しかしながら、このような切欠溝404及び切欠溝407を設けた場合、切欠溝404及び切欠溝407とピン挿入孔403との位置が互いに近接して配置されるようになる。これにより、表面部402の強度が低下してしまう問題があった。その上、識別リブが周壁の内側に設けられるため、作業者がプラグの前後方向の前方において外部から識別リブの位置を視認することが困難であった。そのため、作業者はプラグを前後方向の後方から識別リブの位置を確認し、コンセント部400の切欠溝404〜407のうちの適合位置にプラグの位置を合わせた後に、コンセント部400にプラグを挿入しなければならなかった。そのため、コンセント部400にプラグを挿入する作業が複雑化してしまっていた。
その点において、本実施形態では、傾斜部23aが周壁挿入溝23の四隅のうちの上下方向の下方に設けられるため、上述のコンセント部400の構成と比較して、傾斜部23aとピン挿入孔25との距離が大きくなる。したがって、上述のコンセント部400の構成と比較して、表面部24の強度の低下を抑制することができるようになる。
その上、プラグ1Cの周壁53の形状自体が供給電圧に応じて変更しているため、プラグ1Cの前後方向の前方において外部からプラグ1Cとコンセント部22との合致する位置を目視にて確認することができる。したがって、コンセント部22にプラグ1Cを容易に挿入することができる。
次に、図10を参照して、電力供給元である電源回路(不図示)の種類の違いに応じたコンセント部22の形状について説明する。この電源回路は、直流電力供給部71とコンセント1との間に設けられ、例えば分電盤74内に設けられている。
このような電源回路は、少なくとも超低電圧回路(ELV:Extra−Low Voltage)と安全超低電圧回路(SELV:Safty Extra−Low Voltage)との2種類がある。これらELV及びSELVについては、IEC規格におけるIEC60950−1及びIEC60335−1にそれぞれ規定されている。
電気機器(図1参照)は、これらELV及びSELVに応じて内部の絶縁構造が異なっている。即ち、ELVに応じた電気機器72では、絶縁構造が二重絶縁構造や強化絶縁構造を採用することにより、この絶縁構造が厳重なものとなっている。一方、SELVに応じた電気機器72では、絶縁構造が二重絶縁構造や強化絶縁構造を採用されない場合があり、ELVに応じた電気機器72より絶縁構造が簡略化されている。
ところで、SELV用のコンセント1にELVに応じた電気機器72を接続した場合には、この電気機器72の絶縁構造が厳重であるため問題が発生することはない。一方で、ELV用のコンセント1にSELVに応じた電気機器72を接続した場合には、この電気機器72の絶縁構造が簡略化されているため、危険電圧が供給されたときに電気機器72が故障してしまう場合がある。そのため、コンセント1及びプラグ1Cには、ELV用及びSELV用と識別する必要がある。特に、ELV用のコンセント1にSELV用に応じた電気機器72を誤って接続してしまうことを抑制する必要がある。
そこで、図10(a)に示すように、SELV用のコンセント部22には、周壁挿入溝23の上下方向の下方の一辺且つ且つ左右方向の左方の部位に延長溝部23bが設けられている。この延長溝部23bは、周壁挿入溝23と一体に設けられるとともに、上記一辺から上下方向の上方に延びるように設けられている。一方、図10(b)に示すように、ELV用のコンセント部22には、上記延長溝部23bを省略した構造となっている。以上により、SELV用のコンセント部22とELV用のコンセント部22とが識別可能となっている。
またこれにより、ELV用のプラグ1Cは、SELV用のコンセント部22に挿入可能であるが、SELV用のプラグ1Cは、ELV用のコンセント部22に挿入することができなくなる。これにより、ELV用のコンセント1にSELV用に応じた電気機器72を誤って接続してしまうことを抑制することができるようになる。
また、上記電源回路の種類に応じたコンセント部として、図25(a)に示すように、延長溝部23bが周壁挿入溝23とは別に設けられる構成(第1構成)が考えられる。また、図25(b)に示すように、延長溝部23bが周壁挿入溝23より外部、即ち表面部24より外部に設けられる構成(第2構成)が考えられる。
しかしながら、第1構成では、延長溝部23bとピン挿入孔25との距離が近接してしまうことにより、表面部24の強度が低下してしまう問題がある。一方、第2構成では、上述の表面部24の強度低下の問題は解決するが、延長溝部23bが設けられる分だけコンセント部22が大型化してしまう問題がある。
その点において、本実施形態では、周壁挿入溝23の上下方向の下方において、延長溝部23bが周壁挿入溝23と一体に設けられるため、ピン挿入孔25と延長溝部23bとの距離を第1構成と比較して大きくすることができるようになる。また、延長溝部23bが周壁挿入溝23よりも上下方向の上方に延びるため、即ち表面部24に延長溝部23bが設けられるため、コンセント部22の大型化を抑制することができるようになる。以上により、本実施形態によれば、上述の第1構成の問題及び第2構成の問題の両方を解決することができるようになる。
次に、図11を参照して、コンセント1の配置のバリエーションについて説明する。
本実施形態のコンセント1では、1個モジュール寸法にて設定されるため、取付枠2に対して、同様のコンセント1や1個モジュール寸法または2個モジュール寸法の上記日本工業規格にて規定された他の配線器具がともに取り付けられるようになる。即ち、共通の取付枠2にコンセント1と上記配線器具とが取り付けられるようになる。なお、図11に示すプレート3には、それぞれ3個モジュール寸法の開口穴3aがそれぞれ設けられている。
具体的には、図11(a)に示すように、同一のコンセント1を取付枠2(図3参照)に並設することもできる。本実施形態では、コンセント1は取付枠2に3個並設されている。図11(b)に示すように、供給電圧に応じたコンセント1、及び電源供給元の電源回路の種類に応じたコンセント1を取付枠2に並設することもできる。本実施形態では、1個モジュール寸法の24Vのコンセント1及び1個モジュール寸法の48Vのコンセント1と1個モジュール寸法のSELV用のコンセント1(24V)とが並設されている。図11(c)に示すように、コンセント1は、1個モジュール寸法の同軸ケーブル用のコンセント5及び1個モジュール寸法の電話線用のモジュラコンセント6と並設することもできる。図11(d)に示すように、コンセント1は、1個モジュール寸法のLAN用のモジュラコンセント7と電話線用のモジュラコンセント6と並設することもできる。図11(e)に示すように、コンセント1を交流コンセント4と並設することもできる。本実施形態では、1つのコンセント1と2つの1個モジュール寸法の交流コンセント4とが並設されている。図11(f)に示すように、コンセント1は、1個モジュール寸法のスイッチ8と並設することもできる。本実施形態では、2つのコンセント1と1つのスイッチ8とが並設されている。図11(g)に示すように、2連用の取付枠2にコンセント1と3個モジュール寸法の交流コンセント4aとが並設することもできる。本実施形態では、2連用の取付枠2の一方側(左右方向の左方側)に3個のコンセント1が並設され、取付枠2の他方側(左右方向の右方側)に3個モジュール寸法であって2つの差込口を有する交流コンセント4aが並設されている。なお、コンセント1の配置のバリエーションは、上記の例示(図11(a)〜図11(g))に限定されることなく、これらを組み合わせて実施する場合にも適用することもできる。
本実施形態のコンセント1によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態によれば、図26に示す周壁挿入溝111が円環形状である場合と比較して、プラグ1Cの周壁53が挿入する方向が限定されるようになる。これにより、作業者がプラグ1Cをコンセント部22に挿入する向きを容易に理解することができるため、使い勝手がよくなる。その結果、作業者がコンセント1にプラグ1Cを容易に逆差しを抑制しつつ挿入することができるようになる。
そして、電源挿入孔25Aが表面部24の外周縁のうちの上下方向の一辺の中心位置C1よりも上下方向の上方に設けられ、接地挿入孔25Bが中心位置C1よりも上下方向の下方に設けられる構成である。したがって、周壁挿入溝23や周壁53に別途逆差しのための構造を形成することなく、コンセント1にプラグ1Cの逆差しを抑制することができるようになる。したがって、コンセントに別途逆差しのための構造を形成した場合と比較して、コンセント1の大型化を抑制することができるようになる。
また、電源挿入孔25A及び接地挿入孔25Bがともに円形に設けられるため、図28に示す電源挿入孔303及び接地挿入孔304がそれぞれ長方形に設けられた場合と比較して、接地挿入孔25Bと各電源挿入孔25Aとの最短距離を大きくすることができるようになる。したがって、電源挿入孔303及び接地挿入孔304がそれぞれ長方形に設けられた場合と比較して、コンセント部22を大型化することなく、絶縁耐力を向上させることができるようになる。
その上、コンセント部22に接地挿入孔25Bが設けられるため、コンセント1は、接地側ピン52Bを有していないプラグに加え、接地側ピン52Bを有するプラグ1Cにも対応することができるようになる。
(2)本実施形態によれば、接地挿入孔25Bは電源挿入孔25Aよりも上下方向の下方に位置するように設けられる構成である。したがって、電源挿入孔と接地挿入孔とが上下方向において略同位置である構成と比較して、同一面積の表面部24において電源挿入孔25Aと接地挿入孔25Bとの最短距離を大きくすることができるようになる。したがって、コンセント1の大型化を抑制しつつ、電源挿入孔25Aと接地挿入孔25Bとの絶縁距離を大きくすることと表面部24の強度の低下を抑制することの両方を図ることができるようになる。
(3)本実施形態によれば、電源挿入孔25Aの下端部25aが中心位置C1よりも上下方向の上方に位置する構成である。したがって、コンセント1にプラグ1Cを逆差しした場合にも、電源側ピン52Aが電源挿入孔25Aに挿入されることを抑制することができるようになる。その結果、より確実に上述の逆差しを抑制することができるようになる。また、接地挿入孔25Bとの最短距離を大きくすることができるようになる。
その上、接地挿入孔25Bが左右方向において中心位置C1と略同位置であるとともに接地挿入孔25Bの上端部25bが中心位置C1よりも上下方向の下方に位置する構成である。したがって、接地挿入孔が左右方向において中心位置C1より左方側もしくは右方側に位置する構成と比較して、電源挿入孔25Aとの最短距離を大きくすることができるようになる。また接地挿入孔の上端部25bが上下方向において中心位置C1よりも上方に位置する構成と比較して、電源挿入孔25Aとの最短距離を大きくすることができるようになる。
(4)本実施形態によれば、周壁挿入溝23の四隅に傾斜部23aが設けられる構成である。したがって、周壁挿入溝23の形状に応じて周壁53の形状も傾斜部が設けられるようになる。これにより、供給電圧に応じて周壁53の形状及び周壁挿入溝23の形状が異なるため、供給電圧が互いに異なるコンセント1とプラグ1Cとの差し間違いを抑制することができるようになる。
また、作業者が周壁53の形状を視認することによりコンセント1に対するプラグ1Cの挿入方向が分かるため、作業者がコンセント1にプラグ1Cを容易に逆差しを抑制しつつ差し込むことができる。
(5)本実施形態によれば、周壁挿入溝23の上下方向の下方(表面部24の辺24c側)に傾斜部23aが設けられる構成である。したがって、周壁挿入溝23の上下方向の上方(即ち表面部24の基準辺24b側)に傾斜部が設けられる構成と比較して、傾斜部23aとピン挿入孔25との距離を大きくとることができるため、表面部24の強度を向上させることができるようになる。その結果、プラグ1Cの挿抜に伴う表面部24の破損を抑制することができるようになる。
(6)本実施形態によれば、表面部24は、周壁挿入溝23の傾斜部23aに対応した箇所にこの傾斜部23aに沿って傾斜した形状が形成される構成である。したがって、周壁挿入溝23の幅が狭く形成されることを抑制することができるようになる。
ここで、表面部における周壁挿入溝23の傾斜部23aに対応した箇所に傾斜した形状がない場合には、周壁挿入溝23の外周縁の形状のみが傾斜形状となるため、表面部の外周縁と周壁挿入溝23の外周縁との幅が周壁挿入溝23の傾斜部23a以外の部位と比較して狭くなってしまう。その点において、本実施形態では、表面部24の上記の傾斜形状は傾斜部23aに対応して設けられるため、上述の周壁挿入溝23の幅が狭くなる問題を解決することができるようになる。
(7)本実施形態によれば、周壁挿入溝23の傾斜部23aは、表面部24の傾斜形状に沿って傾斜した形状として設けられる構成である。したがって、周壁挿入溝23及び表面部24の四隅を斜めに切り取るのみといった単純な形状であるため、供給電圧が互いに異なるコンセント1とプラグ1Cとの差し間違いを抑制する構造を簡単な構成にて達成することができるようになる。したがって、コンセント1を容易に製造することができるようになる。
(8)本実施形態によれば、延長溝部23bが周壁挿入溝23から延長して設けられる構成である。したがって、延長溝部23bと周壁挿入溝23とを別個として設けた場合と比較して、コンセント部22の大型化や表面部24の強度低下を抑制することができるようになる。
(9)本実施形態によれば、延長溝部23bが周壁挿入溝23の上下方向の下方の一辺に設けられる構成である。したがって、ピン挿入孔25と周壁挿入溝23との間に延長溝部を設ける構造と比較して、表面部24の強度を向上させることができるようになる。その結果、プラグ1Cの挿抜に伴う表面部24の破損を抑制することができるようになる。
(10)本実施形態によれば、コンセント部22の前面22aと表面部24の前面24aとが面一となる構成である。また、プラグ1Cの電源側ピン52Aは周壁53よりも若干前後方向の後方まで延び、接地側ピン52Bは周壁53よりも若干前後方向の前方まで延びる構成である。これらの構成によれば、コンセント部22にプラグ1Cを逆差ししたときに、周壁53が周壁挿入溝23に大きく挿入される前に表面部24にプラグピン52が当接するようになる。したがって、作業者がコンセント部22にプラグ1Cを逆差ししたことをより明確に認識することができるとともに、コンセント部22にプラグ1Cを逆差ししたときに、プラグ1Cがコンセント部22に取り付けられた状態が維持できないようになっている。これにより、プラグ1Cがコンセント部22に逆差しされた状態が維持されることを抑制することができるようになる。
(11)本実施形態によれば、コンセント本体部1Aが、日本工業規格に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠に3個まで取着可能なモジュール寸法の1個分の大きさに形成されている。したがって、同様に規格化された他の配線器具の取付枠2にコンセント本体部1Aを取り付けることができるようになる。その結果、コンセント本体部1A専用の取付枠を別途作製する必要がなくなり、取付枠の共通化を図ることができる。これにより、1個分または2個分の大きさに形成された他の配線器具とともに取付枠2に取り付けることが可能となるため、コンセント1の使い勝手が良くなる。
(第2の実施形態)
図12〜図14を参照して、本発明の直流コンセントを造営物の壁部に埋め込まれる直流コンセントとして具体化した第2の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態と比較して、コンセント本体部1Aのモジュール寸法及びコンセント部22の周壁挿入溝23及び表面部24の個数が異なる。以下、第1の実施形態との相違を中心に説明する。なお、同一部材には同一符号を用い、その説明を省略する。
図12(a)に示すように、コンセント1のコンセント本体部1Aは、日本工業規格(JIS C 8303参照)に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠2(JIS C 8375参照)に3個まで並べて取着可能なモジュール寸法の2個分の大きさ(以下、「2個モジュール寸法」)に形成されている。コンセント部22は、周壁挿入溝23及び表面部24が上下方向に2つ配列されるようにコンセント本体部1Aに設けられている。
図12(b)に示すように、コンセント本体部1Aの組立枠30には、それぞれ上下方向に離間して設けられた2つの突起部31を取付枠2の取付孔46に係合することにより、各コンセント本体部1Aが取付枠2に取り付けられるようになる。
図13に示すように、取付枠2(図11参照)の前後方向の前方には、プレート3が取り付けられている。このプレート3には、3個モジュール寸法の大きさの開口穴3aが設けられている。そしてコンセント1のコンセント部22は、開口穴3aに収納されている。このコンセント部22の上下方向の下方には、1個モジュール寸法の交流コンセント4が収納されている。
次に、図14を参照して、コンセント1の配置のバリエーションについて説明する。
本実施形態のコンセント1では、2個モジュール寸法にて設定されるため、取付枠2に対して、1個モジュール寸法の上記日本工業規格にて規定された他の配線器具がともに取り付けられるようになる。即ち、共通の取付枠2にコンセント1と上記配線器具とが取り付けられるようになる。なお、図14に示すプレート3には、それぞれ3個モジュール寸法の開口穴3aがそれぞれ設けられている。
具体的には、図14(a)に示すように、図14(a)に示すように、コンセント本体部1Aのコンセント部22に1つの周壁挿入溝23及び表面部24を設けることもできる。本実施形態では、2個モジュール寸法であって、コンセント1と1個モジュール寸法の交流コンセント4とが並設されている。この構成により、コンセント部22に2つの周壁挿入溝23及び表面部24が設けられる構成と比較して、プラグ1C(図6参照)の大型化を許容することができるようになる。即ち、プラグ1Cは周壁53を有しているため、周壁53を有していないプラグと比較して体格が大型化してしまう。しかしながら、コンセント部22に2つの周壁挿入溝23が設けられる場合には周壁挿入溝23を互いに近接して設ける必要がある。そのため、プラグ1Cに上下方向の寸法に大幅な制約が加わってしまう。その点において、図14(a)に示す構成では、コンセント部22に周壁挿入溝23が1つのみ設けられるため、プラグ1Cの上下方向の寸法の制約が緩和されるようになる。図14(b)に示すように、2個モジュール寸法のコンセント本体部1Aのコンセント部22と1個モジュール寸法のコンセント本体部1Aのコンセント部22を有するコンセント1とが並設することもできる。図14(c)に示すように、2個モジュール寸法のコンセント本体部1Aのコンセント部22と1個モジュール寸法の電話線用のモジュラコンセント6とを設けることもできる。図14(d)に示すように、2個モジュール寸法のコンセント本体部1Aのコンセント部22と1個モジュール寸法のLAN用のモジュラコンセント7とを並設することもできる。図14(e)に示すように、2個モジュール寸法のコンセント本体部1Aのコンセント部22と1個モジュール寸法の同軸ケーブル用のコンセント5とを並設することもできる。図14(f)に示すように、2個モジュール寸法のコンセント本体部1Aのコンセント部22と1個モジュール寸法のスイッチ8とを設けることもできる。図14(g)に示すように、2連用の取付枠であって、取付枠2の一方側(図中の左右方向の左側)に2個モジュール寸法のコンセント本体部1Aのコンセント部22及び1個モジュール寸法のコンセント本体部1Aのコンセント部22を並設し、取付枠2の他方側(図中の左右方向の右側)に3個モジュール寸法に2つの差込口が設けられた交流コンセント4aを並設することもできる。なお、コンセント1の配置のバリエーションは、上記の例示(図14(a)〜図14(g))に限定されることなく、これらを組み合わせて実施する場合にも適用することもできる。
本実施形態のコンセント1によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(10)に加え、以下の効果を奏することができる。
(12)本実施形態によれば、コンセント本体部1Aが、日本工業規格に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠に3個まで取着可能なモジュール寸法の2個分の大きさに形成されている。したがって、同様に規格化された他の配線器具の取付枠2にコンセント本体部1Aを取り付けることができるようになる。その結果、コンセント本体部1A専用の取付枠を別途作製する必要がなくなり、取付枠の共通化を図ることができる。これにより、1個分の大きさに形成された他の配線器具とともに取付枠2に取り付けることが可能となるため、コンセント1の使い勝手が良くなる。
(第3の実施形態)
図15〜図17を参照して、本発明の直流コンセントを造営物の壁部に埋め込まれる直流コンセントとして具体化した第3の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態と比較して、コンセント本体部1Aのモジュール寸法及びコンセント部22の周壁挿入溝23及び表面部24の個数が異なる。以下、第1の実施形態との相違を中心に説明する。なお、同一部材には同一符号を用い、その説明を省略する。
図15(a)に示すように、コンセント1のコンセント本体部1Aは、日本工業規格(JIS C 8303参照)に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠2(JIS C 8375参照)に3個まで並べて取着可能なモジュール寸法の3個分の大きさ(以下、「3個モジュール寸法」)に形成されている。コンセント部22は、周壁挿入溝23及び表面部24上下方向に3つ配列されるようにコンセント本体部1Aに設けられている。
図15(b)に示すように、コンセント本体部1Aの組立枠30には、それぞれ上下方向に離間して設けられた2つの突起部31を取付枠2の取付孔46に係合することにより、各コンセント本体部1Aが取付枠2に取り付けられるようになる。
図16に示すように、取付枠2(図14参照)の前後方向の前方には、プレート3が取り付けられている。このプレート3には、3個モジュール寸法の大きさの開口穴3aが設けられている。そしてコンセント1の各コンセント部22は、開口穴3aに収納されている。
次に、図17を参照して、コンセント1の配置のバリエーションについて説明する。
本実施形態のコンセント1では、3個モジュール寸法にて設定されるため、この取付枠2に他の配線器具を同時に取り付ける必要がない場合においては、取付枠2の開口を埋める化粧枠を省略することができるようになる。なお、図12に示すプレート3には、それぞれ3個モジュール寸法の開口穴3aがそれぞれ設けられている。
具体的には、図17(a)に示すように、コンセント1のコンセント部22の周壁挿入溝23及び表面部24をそれぞれ2個のみ設けることもできる。本実施形態では、周壁挿入溝23及び表面部24はコンセント部22の上下方向の上端部付近及び下端部付近にそれぞれ設けられている。図17(b)に示すように、コンセント部22の周壁挿入溝23及び表面部24をそれぞれ1個のみ設けることもできる。本実施形態では、周壁挿入溝23及び表面部24はコンセント部22の上下方向の中央位置に設けられている。
図17(a)及び図17(b)に示す構成では、コンセント部22に3つの周壁挿入溝23及び表面部24をそれぞれ設ける構成と比較して、プラグ1C(図5参照)の大型化を許容することができるようになる。即ち、プラグ1Cは周壁53を有しているため、周壁53を有していないプラグと比較して体格が大型化してしまう。しかしながら、コンセント部22に3つの周壁挿入溝23及び表面部24が設けられる場合には周壁挿入溝23を互いに近接して設ける必要がある。そのため、プラグ1Cに上下方向の寸法に大幅な制約が加わってしまう。その点において、図17(a)及び図17(b)に示す構成では、コンセント部22に周壁挿入溝23及び表面部24が1つまたは2つのみ設けられるため、プラグ1Cの上下方向の寸法の制約が緩和されるようになる。
図17(c)に示すように、2連用の取付枠2の一方側(左右方向の左方側)に1つのコンセント1を設け、他方側(左右方向の右方側)に3個モジュール寸法において2つの差込口を有する交流コンセント4を設けることもできる。図17(d)に示すように、2連用の取付枠2の一方側(左右方向の左方側)にコンセント1を設け、他方側(左右方向右方側)に1個モジュール寸法の同軸ケーブル用のコンセント5、1個モジュール寸法の電話線用のモジュラコンセント6及び1個モジュール寸法のLAN用のモジュラコンセント7を設けることもできる。なお、コンセント1の配置のバリエーションは、上記の例示(図17(a)〜図17(d))に限定されることなく、これらを組み合わせて実施する場合にも適用することもできる。また、図17(c),(d)においては、コンセント1とスイッチ(不図示)とを並設することもできる。
本実施形態のコンセント1によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(10)に加え、以下の効果を奏することができる。
(13)本実施形態によれば、コンセント本体部1Aが、大角形連用配線器具の取付枠に3個まで取着可能なモジュール寸法の3個分の大きさに形成されている。したがって、同様に規格化された他の配線器具の取付枠2にコンセント本体部1Aを取り付けることができるようになる。その結果、コンセント本体部1A専用の取付枠を別途作製する必要がなくなり、取付枠の共通化を図ることができる。したがって、コンセント1の使い勝手が良くなる。
さらに、コンセント本体部1Aが他の配線器具と同時に上述の1つの大角形用配線器具の取付枠に取り付ける必要がない場合においては、この取付枠の開口を埋める化粧枠等を省略することができるようになる。
(第4の実施形態)
図18〜図20を参照して、本発明の直流コンセントを造営物の壁部に埋め込まれる直流コンセントとして具体化した第4の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態と比較して、コンセント本体部1Aのモジュール寸法が異なる。以下、第1の実施形態との相違を中心に説明する。なお、同一部材には同一符号を用い、その説明を省略する。
図18(a)に示すように、コンセント1のコンセント本体部1Aは、日本工業規格(JIS C 8303参照)に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠2(JIS C 8375参照)に3個まで並べて取着可能なモジュール寸法の1.5個分の大きさ(以下、「1.5個モジュール寸法」)に形成されている。
図18(b)に示すように、コンセント本体部1Aの組立枠30には、それぞれ上下方向に離間して設けられた2つの突起部31を取付枠2の取付孔46に係合することにより、各コンセント本体部1Aが取付枠2に取り付けられるようになる。
図19に示すように、取付枠2の前後方向の前方には、プレート3が取り付けられている。このプレート3には、3個モジュールの大きさの開口穴3aが設けられている。そしてコンセント1の各コンセント部22は、開口穴3aに収納されている。
次に、図20を参照して、コンセント1の配置のバリエーションについて説明する。
本実施形態のコンセント1では、1.5個モジュール寸法にて設定されるため、取付枠2に対して、同様のコンセント1や1.5個モジュール寸法の日本工業規格にて規定された他の配線器具が並設されるようになる。即ち、共通の取付枠2にコンセント1と上記配線器具とが取り付けられるようになる。なお、図15に示すプレート3には、それぞれ3個モジュール寸法の開口穴3aがそれぞれ設けられている。
具体的には、図20(a)に示すように、1.5個モジュール寸法のコンセント本体部1Aのコンセント部22を開口穴3aに1つ収納し、1.5個モジュール寸法の交流コンセント4がコンセント1の上下方向の下方に設けることもできる。図20(b)に示すように、1.5個モジュール寸法のコンセント本体部1Aのコンセント部22を開口穴3aに1つ収納し、1.5個モジュール寸法のピアノハンドル式スイッチ8Aがコンセント1の上下方向の上方に設けることもできる。
本実施形態のコンセント1によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(10)に加え、以下の効果を奏することができる。
(14)本実施形態によれば、コンセント本体部1Aが、日本工業規格に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠に3個まで取着可能なモジュール寸法の1.5個分の大きさに形成されている。したがって、同様に規格化された他の配線器具の取付枠2にコンセント本体部1Aを取り付けることができるようになる。その結果、コンセント本体部1A専用の取付枠を別途作製する必要がなくなり、取付枠の共通化を図ることができる。これにより、1.5個分の大きさに形成された他の配線器具とともに取付枠2に取り付けることが可能となるため、コンセント1の使い勝手が良くなる。
(その他の実施形態)
本実施形態のコンセント1は、上記各実施形態に限定されることなく、例えば以下の変更が可能である。また、以下の変形例は、上記各実施形態についてのみ適用されるものでなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施する場合にも適用することもできる。
上記各実施形態では、延長溝部23bが周壁挿入溝23の4隅のうちの上下方向の下方且つ左右方向の左方の部位に設けられる構成であったが、延長溝部23bの位置はこれに限定されることはない。例えば、図21(a)に示すように、延長溝部23bは周壁挿入溝23の4隅のうちの上下方向の下方且つ左右方向の左方の部位に設けることもできる。
また、延長溝部23bの位置は、周壁挿入溝23の上下方向の下方に一辺に限定されることなく、周壁挿入溝23を構成する4辺のうちのいずれかに設けることもできる。
また、延長溝部23bは表面部24側に設けられる構成であったが、延長溝部23bの位置はこれに限定されることはない。例えば、図21(b)に示すように、延長溝部23bが周壁挿入溝23の上下方向の下方の一辺から下方に向かい延びるように設けることもできる。また、図21(c)に示すように、延長溝部23bが周壁挿入溝23の上下方向の上方の一辺から上方に向かい延びるように設けることもできる。また、図21(d)に示すように、延長溝部23bが周壁挿入溝23の左右方向の左方の一辺から左方に向かい延びるように設けることもできる。また、図21(e)に示すように、延長溝部23bが周壁挿入溝23の左右方向の右方の一辺から右方に向かい延びるように設けることもできる。
上記各実施形態では、傾斜部23aが周壁挿入溝23の上下方向の下方の一辺の隅のうちのいずれか一方もしくは両方に設けられることにより、コンセント1の供給電圧を識別する構成であったが、このコンセント1の供給電圧を識別する構成はこれに限定されることはない。周壁挿入溝23の形状が変化して、適合する供給電圧のみのプラグ1Cの周壁53が挿入可能な形状であればよい。したがって、例えば、図22(a)に示すように、周壁挿入溝23の四隅のうちのいずれかを切り取り、段形状の凹部23cを設けることもできる。また、図22(b)に示すように、周壁挿入溝23の一部を切り取った上で、外側に突出させる突部23dを設けることもできる。なお、プラグ1Cの周壁53は、前後方向の後方から見た平面視において周壁挿入溝23と同様の形状に形成される。
上記各実施形態では、傾斜部23aが周壁挿入溝23の上下方向の下方の一辺に設けられたが、傾斜部23aは周壁挿入溝23の上下方向の上方の一辺に設けることもできる。
上記各実施形態では、ピン挿入孔25の下端部25aが表面部24の中心位置C1よりも上下方向の上方に配置されていたが、同下端部25aの位置はこれに限定されることはない。コンセント1にプラグ1Cを逆差ししたときに、プラグピン52がピン挿入孔25に挿入されなければよい。したがって、下端部25aは同中心位置C1と略同位置とすることもできる。
上記各実施形態では、周壁挿入溝23の左右方向が長手であり、上下方向が短手の長方形状に形成されたが、周壁挿入溝23の形状はこれに限定されることはない。周壁挿入溝23は、左右方向及び上下方向の長さが同一の正方形状として設けることもできる。
上記各実施形態では、コンセント部22の接地挿入孔25Bが表面部24の中心位置C1と左右方向に同位置、且つ電源挿入孔25Aより上下方向の下方に位置するように設けられたが、接地挿入孔25Bの位置はこれに限定されることはない。例えば、接地挿入孔25Bは、左右方向において中心位置C1よりも左方側または右方側に位置するように設けることもできる。また例えば接地挿入孔25Bは、上下方向において電源挿入孔25Aと略同位置に設けることもできる。
上記各実施形態では、コンセント1として壁に埋め込まれる直流コンセントに適用したが、コンセント1はこれに限定されることはない。例えば、図23に示すように、テーブルタップ9に適用することもできる。このテーブルタップ9には、直方体の筐体によって構成された本体部9Aと、この本体部9Aに接続されるケーブル部9Bとが設けられている。この本体部9Aには、3つのコンセント部9Cが設けられている。これらコンセント部9Cは、本体部9Aの長手方向に沿って配列されている。これにより、第1の実施形態の効果(1)〜(10)と同様の効果を奏することができる。
また、コンセント1は上述のテーブルタップ9に限定されることなく、例えば洗面台に設けられたコンセントやシステムキッチンに設けられたコンセント等の他の構成にも適用することができる。
上記実施形態では、コンセント1のコンセント部22に接地挿入孔25Bを設けたが、コンセント1としては、図29(a)に示すような接地挿入孔25Bを有していないコンセント1、即ちコンセント部22に電源挿入孔25Aのみが設けられたコンセント1が挙げられる。図29(b)に示すように、電源挿入孔25Aは、中心位置C1を含む直線L1(二点鎖線)よりも上下方向の上方、詳細には電源挿入孔25Aの下端部25aが直線L1よりも上下方向の上方に設けられるようになる。本発明のコンセント1は、この図29のコンセント1をベースとして、直線L1より上下方向の下方に接地挿入孔25Bを設けたものとなる。