JP2011040232A - 直流コンセント - Google Patents

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Abstract

【課題】逆差しを抑制する構成が設けられるとともに、使い勝手が良く日本工業規格に規定された1個モジュール寸法に形成された直流コンセントを提供する。
【解決手段】コンセント1は、プラグに直流電力を供給するコンセント部22が設けられるコンセント本体部1Aを備えている。このコンセント部22には、プラグの周壁が挿入される略四角形状の周壁挿入溝23と、この周壁挿入溝23に囲まれるとともにプラグの丸形のプラグピンが挿入される円形状のピン挿入孔25が複数配列される略四角形状の表面部24とが設けられている。ピン挿入孔25は、表面部24の外周縁の辺24cより基準辺24b側の位置に近づくように偏って設けられている。そして、コンセント本体部1Aは、日本工業規格に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠に3個まで取着可能なモジュール寸法の1個分の大きさに形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、プラグに直流電力を供給するコンセント部が設けられるコンセント本体部を有する直流コンセントに関する。
従来、パソコンや電話機等の電気機器のプラグが着脱自在に接続され、このプラグを介して動作電力(交流電源)を電気機器に供給する交流コンセントが提供されている(例えば、特許文献1参照)。このような交流コンセントでは、交流コンセントの2つのピン挿入孔(差込口)に対して2つのプラグピンは挿入する向きに制限がない。したがって、交流コンセントにプラグを容易に差し込むことができる。
一方で、電気機器の多くは直流電源を駆動源としているため、交流コンセントから供給された交流電源はAC/DCコンバータによって一度直流電源に変換した後、電気機器に供給されていた。このAC/DCコンバータによる交流電源から直流電源への変換の際に電力損失が生じてしまっていた。このような電力損失を防ぐために、電気機器に直流電源を供給する直流コンセントが知られている(例えば、特許文献2参照)。この直流コンセントにより、直流コンセントと電気機器との間にAC/DCコンバータを設けることが省略されるようになる。このような直流コンセントでは、特許文献2に開示されるプラグピンが1つのものと、IEC規格に準拠したプラグピンが2つのものが知られている。
ところで、プラグピンが2つ設けられたプラグでは、これらプラグピンによって正負の極性が分かれており、これに対応して直流コンセントのピン挿入孔もプラグピンの正極が挿入される正極挿入孔と負極が挿入される負極挿入孔とが設けられている。ここで、このような2つのプラグピン及び2つのピン挿入孔の構成では、プラグピンの正極が負極挿入孔に挿入され、プラグピンの負極が正極挿入孔に挿入されてしまう(即ち、逆差し)場合があった。そこで直流コンセントには、上述の逆差しを抑制するための構造が設けられている。
また、直流コンセントは、交流コンセントと比較して、通電中において直流コンセントからプラグを引き抜くときに、直流コンセントとプラグとの間において発生するアークが持続しやすい傾向がある。そこで、プラグの外部からアークが見えることを抑制するため、プラグにはプラグピンを外側から覆う周壁が設けられている。このような周壁及び2つのプラグピンを有する直流コンセントとしては、例えば上記のIEC規格に準拠した直流コンセントがある。
図16を参照して、上記のIEC規格に準じた直流コンセント及びプラグの構造について説明する。
図16(a)に示すように、プラグ100には、直流コンセントのコンセント部(以下、「コンセント部110」)に電気的に接続するための2つのプラグピン101と、プラグピン101の外側からプラグピン101を覆う円筒形状の周壁102とが設けられている。周壁102の上下方向の上方の端部には、下方に向かい突出するリブ103が設けられている。プラグピン101は、周壁102の中心位置CR1と上下方向において同位置に配置されるとともに、左右方向において中心位置CR1と互いに離間して配列されている。
図16(b)に示すように、コンセント部110には、プラグ100の周壁102を挿入する周壁挿入溝111と、この周壁挿入溝111に囲まれた表面部112とが設けられている。この周壁挿入溝111は、プラグ100の挿入方向から見た平面視において円環形状に設けられている。この周壁挿入溝111の上下方向の上方の端部には、プラグ100のリブ103を挿入するためのリブ挿入溝113が設けられている。この表面部112には、プラグ100のプラグピン101をそれぞれ挿入するための2つのピン挿入孔114が設けられている。これらピン挿入孔114は、周壁挿入溝111の中心位置CR2と上下方向において同位置に配置されるとともに、左右方向において中心位置CR2と互いに離間して配列されている。
プラグ100及びコンセント部110は、プラグピン101とピン挿入孔114、周壁102と周壁挿入溝111、及びリブ103とリブ挿入溝113とをそれぞれ合わせた状態にて、コンセント部110にプラグ100を挿入することにより、互いに接続されている。
特開平5−207626号公報 特開平7−15835号公報
ところで、上述のプラグ100及びコンセント部110では、コンセント部110にプラグ100を逆差しすることなく挿入するためには、コンセント部110のリブ挿入溝113にプラグ100のリブ103を位置合わせした上で挿入しなければならない。即ち、作業者がプラグ100の周壁102内に設けられたリブ103の位置を予め目視等により確認した後に、リブ103をリブ挿入溝113の位置に合わせる作業が必要であった。そのため、プラグ100をコンセント部110に挿入する作業が煩雑であった。
また逆差しを抑制するためのコンセントの構造として、リブ103を省略する代わりに、図17(a)に示すようなピン挿入孔を表面部の中心位置よりも上下方向の上方に偏った位置に設ける構成が考えられる。具体的には、図17(a)に示すように、コンセント部200には、前後方向の前方から見た平面視において円環形状の周壁挿入溝201が設けられている。この周壁挿入溝201によって囲まれた円形の表面部202の中心位置CR3(即ち円中心)の上下方向の上方に2つのピン挿入孔203が設けられている。
しかしながら、表面部202は、中心位置CR3より上下方向の上方に向かうにつれて左右方向の幅が狭くなる。したがって、2つのピン挿入孔203を互いに結ぶ距離DR1が小さくなってしまう。その結果、ピン挿入孔203に挿入されるプラグの2つのプラグピン(不図示)を互いに結ぶ距離が小さくなってしまうため、絶縁耐力が低下してしまう問題がある。
そこで、図17(b)に示すように、周壁挿入溝201の外径DR2を大きく形成することにより、表面部202を大きく形成する構成が考えられる。これにより、2つのピン挿入孔203の距離DR5を大きくすることができるようになる(即ち、DR5>DR1)。
しかしながら、表面部202を大きくすることに伴い、コンセント部200が大型化してしまう。したがって、日本工業規格(JIS C 8303参照)に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠(JIS C 8375参照)に3個まで並べて取着可能なモジュール寸法の1個分の大きさ(以下、「1個モジュール寸法」)にコンセント部200の外径が収まらなくなってしまう。その結果、コンセント部200のための専用の取付枠が必要となってしまう。このような専用の取付枠では、上記日本工業規格に則した取付枠に取り付けることのできる配線器具が取り付けられず、この配線器具とコンセント部200とがともに共通の取付枠に取り付けることができなくなる問題がある。
また、直流コンセントの構成においては、ピン挿入孔が円形の貫通孔ではなく、プラグの平刃(不図示)が挿通可能な長方形状の貫通孔の構成も考えられる。
具体的には、図18(a)に示すように、コンセント部300には、前後方向の平面視において略四角形状の周壁挿入溝301が設けられている。この周壁挿入溝301によって囲まれた表面部302の中心位置CR4(即ち、表面部302の四隅からの対角線の交点)の上下方向の上方に2つの平刃挿入孔303が設けられている。この平刃挿入孔303は、上下方向が長手となる長方形にて形成されている。
ところで、プラグピンと同一の断面積の平刃を形成する場合には、プラグピンの上下方向の長さよりも平刃の上下方向の長さの方が長く形成されるようになる。これに伴い平刃を挿入する平刃挿入孔303は上下方向に長く形成されるようになる。具体的には、平刃挿入孔303の上下方向の下端部が中心位置CR4まで形成するようになる。これにより、コンセント部300に対してプラグが逆差しされたときに、平刃の一部が平刃挿入孔303に挿入されてしまい、コンセント部200の刃受部材(不図示)と接触する場合がある。
そこで、図18(b)に示すように、周壁挿入溝301の外径DR3,DR4を図18(a)の周壁挿入溝301よりも大きく形成することにより、表面部302を大きく形成する構成が考えられる。これにより、平刃挿入孔303の全体が中心位置CR4よりも上下方向の上方に位置するようになる。これにより、逆差しを抑制することができるようになる。
しかしながら、表面部302を大きくすることに伴い、コンセント部300が大型化するため、コンセント部300の外径が1個モジュール寸法に収まらなくなってしまう。その結果、コンセント部300のための専用の取付枠が必要となってしまい、コンセント部200と同様の問題が発生してしまう。
また、直流コンセントにおいては、日本工業規格に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠に取り付けることのできるようなものが存在しなかった。そのため、直流コンセントと上記取付枠に取り付けられる他の配線器具(例えば、交流コンセント及び電話用コンセント)とが共通の取付枠に取り付けることができず、使い勝手が悪かった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、逆差しを抑制する構成が設けられるとともに、使い勝手が良く日本工業規格に規定された1個モジュール寸法に形成された直流コンセントを提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、複数本の丸形のプラグピンとこの複数本のプラグピンの周りを囲む周壁とを具備したプラグが着脱自在に接続され、このプラグに直流電力を供給するコンセント部が設けられるコンセント本体部を有する直流コンセントであって、前記コンセント部には、前記プラグの挿入方向から見た平面視において略四角形状に形成されるとともに前記周壁が挿入される周壁挿入溝と、この周壁挿入溝に囲まれるとともに前記プラグの挿入方向から見た平面視において略四角形状に形成される表面部とが設けられ、前記表面部には、前記プラグピンが挿入される円形状に形成されたピン挿入孔が前記表面部の外周縁の一辺に沿った方向に複数配列されるように設けられ、前記ピン挿入孔は、前記ピン挿入孔が配列される配列方向に沿った一辺を基準辺として、この基準辺に対して垂直な方向を規定する垂直方向において、前記基準辺に対向する辺よりも前記基準辺に近づくように偏った位置に設けられ、前記コンセント本体部は、日本工業規格に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠に3個まで取着可能なモジュール寸法の1個分の大きさに形成されることを要旨とする。
この発明によれば、周壁挿入溝が略四角形状であるため、図16に示す周壁挿入溝111が円環形状である場合と比較して、プラグの周壁が挿入する方向が限定されるようになる。したがって、作業者がプラグを挿入する向きを容易に理解することができるため、使い勝手が良くなる。そして、ピン挿入孔が、表面部におけるピン挿入孔の配列方向に沿った一辺を基準辺として、この基準辺に対する垂直方向において、この基準辺に対向する辺よりも同基準辺に近づくように偏った位置に設けられるため、周壁挿入溝やプラグの周壁に別途逆差しのための構造を形成することなく、直流コンセントにプラグの逆差しを抑制することができるようになる。したがって、直流コンセントに別途逆差しのための構造を形成した場合と比較して、直流コンセントの大型化を抑制することができるようになる。
また、コンセント本体部が、日本工業規格に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠に3個まで取着可能なモジュール寸法の1個分の大きさに形成されるため、同様に規格化された他の配線器具の取付枠にコンセント本体部を取り付けることができるようになる。したがって、コンセント本体部専用の取付枠を別途作製する必要がなくなり、取付枠の共通化を図ることができる。これにより、モジュール寸法の1個分または2個分の大きさに形成された他の配線器具とともに取付枠に取り付けることが可能となるため、直流コンセントの使い勝手が良くなる。
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の直流コンセントにおいて、前記周壁挿入溝は、前記プラグの挿入方向から見た平面視の形状が、略四角形状の四隅のうちの少なくとも一箇所が切り取られた形状に形成されることを要旨とする。
この発明によれば、周壁挿入溝の略四角形状の四隅のうちの少なくとも一箇所が切り取られた形状に形成されるため、この略四角形状の形状に応じてプラグの周壁の形状も同様の形状として設けられるようになる。これにより、供給電圧に応じてプラグの周壁の形状及び周壁挿入溝の上記略四角形状の四隅の形状が異なるため、供給電圧が互いに異なる直流コンセントとプラグとの差し間違いを抑制することができるようになる。また、作業者が周壁の形状を視認することにより、直流コンセントに対するプラグの挿入方向が分かるため、直流コンセントにプラグを容易に差し込むことができる。
(3)請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の直流コンセントにおいて、前記表面部は、前記プラグの挿入方向から見た平面視の形状が、略四角形状の四隅のうちの前記周壁挿入溝における前記切り取られた形状に対応した箇所が切り取られた形状に形成されることを要旨とする。
この発明によれば、表面部における切り取られる形状が周壁挿入溝における切り取られる形状に対応して設けられるため、周壁挿入溝の幅が狭く形成されることを抑制することができるようになる。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の直流コンセントにおいて、前記周壁挿入溝の略四角形状の四隅のうちの切り取られた形状は、前記基準辺よりも前記基準辺と対向する辺側に近づくように偏った位置に設けられることを要旨とする。
この発明によれば、上述の形状が周壁挿入溝の略四角形状の四隅のうちの基準辺と対向する辺よりも基準辺側に近づくように偏った位置に設けられる構造と比較して、上記の形状とピン挿入孔との距離を大きくすることができるため、表面部の強度を向上させることができるようになる。したがって、プラグの挿入及び引き抜きに伴う表面部の破損を抑制することができるようになる。
(5)請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の直流コンセントにおいて、前記表面部における前記切り取られた形状は、傾斜形状に形成され、前記周壁挿入溝における前記切り取られた形状は、前記表面部の傾斜形状に沿って傾斜した形状に形成されることを要旨とする。
この発明によれば、表面部が傾斜形状に形成され、周壁挿入溝が表面部の傾斜形状に沿って傾斜した形状に形成されるため、供給電圧が互いに異なる直流コンセントとプラグとの差し間違いを抑制する構造を簡単な構成にて達成することができるようになる。したがって、直流コンセントを容易に製造することができるようになる。
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の直流コンセントにおいて、前記周壁挿入溝には、この周壁挿入溝から延長して設けられるとともに、電力供給元である電源回路の種類の違いに応じてプラグに設けられたリブが挿入される延長溝部が設けられることを要旨とする。
この発明によれば、延長溝部を周壁挿入溝から延長して設けるため、延長溝部と周壁挿入溝とを別個として設けた場合と比較して、コンセント部の大型化や表面部の強度低下を抑制することができるようになる。
本発明によれば、逆差しを抑制する構成が設けられるとともに、使い勝手が良く日本工業規格に規定された1個モジュール寸法に形成された直流コンセントを提供することができる。
本発明の直流コンセントを具体化した一実施形態について、同直流コンセンが設けられた直流配電システムの概略構造を示す模式図。 同実施形態の直流コンセントについて、(a)同コンセントの斜視構造を示す斜視図、(b)同コンセントの平面構造を示す平面図。 同実施形態の直流コンセントについて、(a)同コンセントを取付枠に取り付ける前の状態の斜視構造を示す斜視図、(b)同コンセントを取付枠に取り付けた後の状態の斜視構造を示す斜視図。 同実施形態の直流コンセントについて、同コンセント及びプレートを取付枠に取り付けた状態の正面構造を示す平面図。 同実施形態の直流コンセントに挿入されるプラグについて、(a)プラグの斜視構造を示す斜視図、(b)プラグの平面構造を示す平面図。 同実施形態の直流コンセント及びプラグの挿入関係を示す斜視図。 同実施形態の直流コンセント及びプラグについて、(a)同コンセントにプラグが挿入される前の状態の断面構造を示す断面図、(b)同コンセントにプラグが挿入された後の状態の断面構造を示す断面図。 同実施形態の直流コンセントにプラグを逆差しする場合の平面構造を示す平面図。 同実施形態の直流コンセントについて、(a)〜(d)供給電圧に応じたコンセント部の平面構造を示す平面図。 同実施形態の直流コンセントについて、(a),(b)電力供給元の電源回路の種類に応じたコンセント部の平面構造を示す平面図。 同実施形態の直流コンセントについて、(a)〜(g)同コンセントが取付枠に取り付けられるバリエーションを示す正面図。 本発明の直流コンセントを具体化したその他の実施形態について、(a)〜(f)コンセント部の正面構造を示す正面図。 本発明の直流コンセントを具体化したその他の実施形態について、(a),(b)コンセント部の正面構造を示す正面図。 比較例としての直流コンセントについて、コンセント部の正面構造を示す正面図。 比較例としての直流コンセントについて、(a),(b)コンセント部の正面構造を示す正面図。 従来の直流コンセント及びプラグについて、(a)同プラグの正面構図を示す正面図、(b)同コンセントのコンセント部の正面構造を示す正面図。 参考例としての直流コンセントについて、(a),(b)コンセント部の正面構造を示す正面図。 参考例としての直流コンセントについて、(a),(b)コンセント部の正面構造を示す正面図。
図1〜図11を参照して、本発明の直流コンセントを家屋の壁部に埋め込まれる直流コンセントとして具体化した一実施形態について説明する。
図1を参照して、家屋Hに設けられた直流配電システム70の全体について説明する。
図1に示すように、家屋Hには、直流電力を出力する直流電力供給部71と、直流電力により駆動される負荷としての電気機器72とが設けられている。この電気機器72には、直流電力供給部71の出力端子に接続された直流供給線路Wdcを通して直流電力が供給されるようになる。ここで、電気機器72としては、例えばパーソナルコンピュータ等の情報機器72a、照明器具72b、インターホン等の玄関システム機器72c及び火災感知器等の住警器具72dが挙げられる。
また、直流電力供給部71と電気機器72との間には、直流供給線路Wdcに流れる電流を監視するとともに、異常を検知したときに直流供給線路Wdc上で直流電力供給部71から電気機器72への直流電力の供給を制限または遮断する直流ブレーカ73が設けられている。この直流ブレーカ73は、電気機器72のそれぞれに対応して設けられている。
直流電力供給部71は、基本的には、商用電源等の家屋Hの外部から供給される交流電源ACの電力変換により直流電力を生成している。具体的には、交流電源ACの交流電力は、分電盤74に設けられた主幹ブレーカ75を通して、スイッチング電源を含むAC/DCコンバータ76に入力され、直流電力に変換される。そしてAC/DCコンバータ76から出力される直流電力は、協調制御部77を通して各直流ブレーカ73に接続される。
直流電力供給部71には、交流電源ACの停電期間等の交流電源ACから電力が供給されない期間に対応する二次電池78a、及び直流電力を生成する太陽電池78bや燃料電池78cが設けられている。これら二次電池78a、太陽電池78b及び燃料電池78cは、交流電源ACから直流電力を生成するAC/DCコンバータ76を備える主電源79に対して、分散電源78となる。
協調制御部77は、主電源79からの直流電力と、分散電源78からの直流電力との電力の配分を制御している。この協調制御部77には、DC/DCコンバータ77aが設けられている。このDC/DCコンバータ77aにより、主電源からの直流電力及び分散電源78からの直流電力の直流電圧を必要な電圧に変換している。以上により、主電源79及び分散電源78の直流電力を必要に応じて分配した上で、電気機器72に直流電力が供給されるようになる。
ここで、直流コンセント(以下、「コンセント1」)は、直流ブレーカ73と電気機器72のうちの情報機器72aとの間に設けられている。このコンセント1は、直流供給線路Wdcに接続されている。そして、情報機器72aのプラグ1C(図5参照)がコンセント1に接続されることにより、直流電力供給部71の直流電力が情報機器72aに供給されるようになる。
次に図2及び図3を参照して、コンセント1の構成、及び取付枠2への取付構造について説明する。
図2(a)に示すように、コンセント1は、略直方体のコンセント本体部1Aと、コンセント本体部1A内に収納された刃受部材1B(図7参照)とにより構成されている。以降では、コンセント1に対するプラグ1C(図6参照)の挿入方向を「前後方向」とし、この前後方向の平面視において、コンセント本体部1Aの長手方向を「左右方向」とし、コンセント本体部1Aの短手方向を「上下方向」とする。また、前後方向において、コンセント1に対するプラグ1C側を「前方」とし、コンセント1側を「後方」とする。また、上下方向と左右方向とは互いに直交している。
コンセント本体部1Aには、樹脂材料を用いて射出成形することにより成形されるとともに前後方向の前方が開口した略箱状のボディ10と、樹脂材料を用いて射出成形することにより成形されるとともに前後方向の後方が開口した略箱状のカバー20とが設けられている。またコンセント本体部1Aには、ボディ10にカバー20を取り付けた後に取り付けられるとともに金属板をプレス加工することにより成形される一対の組立枠30が設けられている。そしてボディ10及びカバー20によって形成される内部空間に刃受部材1Bが収納されるようになる。
刃受部材1Bは、造営物の壁部の壁面の裏面側に配線された直流供給線路Wdc(図1参照)に端子部(不図示)を介して接続されている。これにより直流電力供給部71(図1参照)からの直流電力が刃受部材1Bに供給されるようになる。
カバー20の左右方向の両側には、組立枠30が取り付けられる組立枠取付部21が設けられている。これら組立枠取付部21の左右方向の間には、この組立枠取付部21よりも前後方向の前方に突出する略直方体形状のコンセント部22が設けられている。このコンセント部22には、プラグ1Cが着脱可能に接続されるようになる。
コンセント部22には、このコンセント部22の前面22aより前後方向の後方に凹むとともに、前後方向の前方から見た平面視において略四角形状に形成された周壁挿入溝23が設けられている。この周壁挿入溝23によって囲まれた部位には、上記前面22aと前後方向において面一となる前面24aを有する表面部24が設けられている。この表面部24は前後方向の前方から見た平面視において上下方向に沿った2辺及び左右方向に沿った2辺によって略四角形状に形成されている。この表面部24には、2つのピン挿入孔25が設けられている。これらピン挿入孔25は、前後方向の平面視において円形の貫通孔として設けられている。また、ピン挿入孔25は、表面部24の左右方向に沿った一辺に沿って配列されている。
図2(b)に示すように、ピン挿入孔25は、表面部24の外周縁のうちの左右方向に沿った一辺であるとともにこの表面部24の上下方向の上方の辺を基準辺24bとして、この基準辺24bに上下方向に対向する上記外周縁の辺24cよりも基準辺24bに近づくように偏った位置に設けられている。即ち、ピン挿入孔25は、表面部24の中心位置C1(即ち、表面部24の四隅からの対角線(一点鎖線)の交点)に対して上下方向の上方にそれぞれ設けられている。そしてピン挿入孔25は、上記中心位置C1に対して左右方向の両側にそれぞれ配列されている。特に、ピン挿入孔25の上下方向における辺24c側の端部である下端部25aは、上記中心位置C1を含む左右方向に沿った直線L1(二点鎖線)よりも基準辺24b側、即ち直線L1よりも上下方向の上方にそれぞれ配置されている。
表面部24の左右方向の幅H1は、上下方向において略同等に形成されている。したがって、2つのピン挿入孔25を中心位置C1よりも上下方向の上方に設けたとしても、ピン挿入孔25を互いに結ぶ距離D1が小さくなることを抑制することができるようになる。したがって、図17(a)に示すコンセント部200のピン挿入孔203間の距離DR1が小さくなる問題、及び図17(b)に示すコンセント部200が大型化する問題の発生が抑制されるようになる。
また、ピン挿入孔25が円形に設けられるため、平刃挿入孔303と比較して、上下方向の幅を狭くすることができる。したがって、図18に示す平刃挿入孔303が上下方向に長手の長方形に形成されたコンセント部300と比較して、1個モジュール寸法に収まる表面部24において、ピン挿入孔25を表面部24の中心位置C1よりも上下方向の上方に位置することができるようになる。その結果、図18(a)に示すコンセント部300の逆差しされる問題、及び図18(b)に示すコンセント部300が大型化する問題の発生が抑制されるようになる。
図3(a)に示すように、コンセント本体部1Aは、日本工業規格(JIS C 8303参照)に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠2(JIS C 8375参照)に3個まで並べて取着可能なモジュール寸法の1個分の大きさ(以下、「1個モジュール寸法」)に形成されている。
取付枠2は、中央に上下方向が長手となる略長方形状の開口部40を有する枠形状として構成されている。取付枠2の上下方向の上部及び下部には、それぞれスイッチボックス(不図示)に取り付けられる取付部41が設けられる。これら取付部41の左右方向の端部には、これら取付部41を上下方向に連結する一対の連結部42が設けられている。
取付部41には、スイッチボックスに固定する固定部材としてのねじを挿通する第1挿通孔43と、プレート3を固定する固定部材としてのねじを挿通する第2挿通孔44とがそれぞれ設けられている。
連結部42には、この連結部42の内縁から前後方向の後方に沿って延びる器具取付部45が設けられている。この器具取付部45には、この器具取付部45を左右方向に貫通する取付孔46が上下方向に離間して複数設けられている。
図3(b)に示すように、コンセント本体部1Aの組立枠30には、それぞれ上下方向に離間した2つの突起部31が設けられている。これら突起部31を取付枠2の取付孔46に係合することにより、コンセント本体部1Aが取付枠2に取り付けられるようになる。
図4に示すように、取付枠2の前後方向の前方には、プレート3が取り付けられている。このプレート3には、1個モジュール寸法の大きさの開口穴3aが設けられている。そしてコンセント1のコンセント部22は、開口穴3aに収納されている。これにより、壁面より前後方向の前方からは、プレート3とコンセント部22とのみが見えるようになる。
次に、図5〜図8を参照して、プラグ1Cの構成、及びコンセント1へのプラグ1Cの挿入構造について説明する。
図5(a)に示すように、プラグ1Cは、ケーブル部50と、このケーブル部50と接続するプラグ本体部51とにより構成されている。このプラグ本体部51において、コンセント1の表面部24(図6参照)と前後方向に対向する対向面51aには、この対向面51aから前後方向の後方に延びる2つのプラグピン52と、これらプラグピン52を外側から覆う略四角形状の周壁53が設けられている。
図5(b)に示すように、プラグピン52は、周壁53の中心位置C2(即ち、周壁53の四隅からの対角線(一点鎖線)の交点)に対して上下方向の上方にそれぞれ設けられている。そしてプラグピン52は、上記中心位置C2に対して左右方向の両側にそれぞれ配列されている。特に、プラグピン52の上下方向の下端部52aは、上記中心位置C2を含む左右方向に沿った直線L2(二点鎖線)よりも上下方向の上方にそれぞれ配置されている。
図6に示すように、コンセント1にプラグ1Cが挿入されるときには、コンセント部22の周壁挿入溝23にプラグ本体部51の周壁53が挿入される。そして、コンセント部22のピン挿入孔25にプラグ本体部51のプラグピン52が挿入される。
ところで、図16に示すように、従来のIEC規格に準拠したコンセント部110では、周壁挿入溝111及び周壁102が前後方向の前方から見た平面視において円環形状に形成されるため、プラグ100の周壁102が周方向の360度に亘り、どの周方向の角度でも周壁挿入溝111に挿入されてしまう。
その点において、本実施形態では、周壁挿入溝23及び周壁53の両方が前後方向の前方から見た平面視において略四角形状(略長方形状)であるため、周壁53が周壁挿入溝23に対して挿入される方向は、2方向に限定されるようになる。したがって、コンセント1に対してプラグ1Cの挿入方向が限定されることにより、作業者がコンセント1にプラグ1Cを挿入する方向を容易に決定することができる。その結果、作業者がコンセント1にプラグ1Cを容易に逆差しを抑制しつつ挿入することができるようになる。
図7(a)に示すように、刃受部材1Bは、各ピン挿入孔25にそれぞれ配置されている。この刃受部材1Bには、1対の保持部60が設けられている。
図7(b)に示すように、コンセント1にプラグ1Cが挿入された状態において、プラグ1Cのプラグピン52は、コンセント1の刃受部材1Bによって挟まれた状態にて保持されるようになる。このとき保持部60は互いに離間するように弾性変形し、その復元力によってプラグピン52を保持している。これにより、コンセント1とプラグ1Cとが電気的に導通するようになる。
図8に示すように、コンセント1に対してプラグ1Cを逆差ししようとする場合には、プラグ1Cのプラグピン52が表面部24の中心位置C1よりも上下方向の下方に位置するようになる。したがって、表面部24の前面24aにプラグピン52が当接することとなり、コンセント1に対してプラグ1Cが挿入できないようになっている。
また、この状態において、ピン挿入孔25とプラグピン52とが上下方向において互いに離間するようになるため、プラグピン52がピン挿入孔25に挿入されることを確実に抑制するようになる。
次に、図9を参照して、供給電圧に応じたコンセント部22の形状について説明する。
直流電力供給部71(図1参照)の電力供給を受けて動作する電気機器72(図1参照)としては、供給電圧が6V、12V、24V、48Vの複数種類のものが存在している。そこで、本実施形態では、プラグ1Cの挿入方向(前後方向)から見た平面視において、コンセント部22の略四角形状の部分である周壁挿入溝23及び表面部24の四隅のうちの少なくとも1箇所を切り取った形状に形成することにより、コンセント部22が供給電圧に応じて識別可能となっている。具体的には、供給電圧が24Vの場合を基準として、6V、12V、48Vの周壁挿入溝23の四隅には傾斜部23aが設けられている。そして表面部24の傾斜部23aと対応する部分も傾斜形状に形成されている。
詳細には、図9(a)に示すように、供給電圧が6Vの場合には、周壁挿入溝23の四隅のうちの上下方向の下方且つ左右方向の右方の部位に傾斜部23aが設けられている。図9(b)に示すように、供給電圧が12Vの場合には、周壁挿入溝23の四隅のうちの上下方向の下方且つ左右方向の左方の部位に傾斜部23aが設けられている。図9(c)に示すように、供給電圧が48Vの場合には、周壁挿入溝23の四隅のうちの上下方向の下方且つ左右方向の両方の2箇所の部位に傾斜部23aがそれぞれ設けられている。なお、図9(d)に示すように、供給電圧が24Vの場合には、周壁挿入溝23の四隅には、傾斜部が形成されていない。
また、プラグ1Cの周壁53の形状も上述の周壁挿入溝23の形状に応じて傾斜部が形成されている。これにより、プラグ1Cが供給電圧に応じて識別可能となっている。以上により、プラグ1Cの周壁53の形状とコンセント部22の周壁挿入溝23の形状とが適合しない限り、プラグ1Cはコンセント1に挿入することができなくなる。これにより、供給電圧が互いに異なるコンセント1及びプラグ1Cを接続することが抑制されるようになる。
ところで、図14に示すように、供給電圧に応じたコンセント部として、IEC規格に準拠したコンセント部400では、供給電圧に応じて4つの切欠溝404〜407が設けられている。具体的には、コンセント部400には、前後方向の平面視において円環形状の周壁挿入溝401が設けられている。この周壁挿入溝401に囲まれた表面部402には、プラグのプラグピン(不図示)が挿入されるピン挿入孔403が設けられている。この表面部402の外周縁における上下方向の下方には、周壁挿入溝401と一体となるとともに周壁挿入溝401から内側に凹む態様にて上述の切欠溝404〜407が設けられている。また表面部402の外周縁における上下方向の上方には、プラグの逆差しを抑制するための切欠溝408が設けられている。
ここで、切欠溝404〜407は、それぞれ供給電圧が6V、12V、24V、48Vに対応し、切欠溝408を基準位置(0°)として右回りに120°、150°、210°、240°の位置にそれぞれ設けられるようになる。また、プラグには、切欠溝404〜307にそれぞれ対応した識別リブが設けられている。この識別リブが切欠溝404〜407にそれぞれ挿入されることにより、供給電圧に適合したプラグがコンセント部400に挿入されるようになる。
しかしながら、このような切欠溝404及び切欠溝407を設けた場合、切欠溝404及び切欠溝407とピン挿入孔403との位置が互いに近接して配置されるようになる。これにより、表面部402の強度が低下してしまう問題があった。その上、プラグの識別リブが周壁の内側に設けられるため、作業者がプラグの前後方向の前方において外部から識別リブの位置を視認することが困難であった。そのため、作業者はプラグを前後方向の後方から識別リブの位置を確認し、コンセント部400の切欠溝404〜407のうちの適合位置にプラグの位置を合わせた後に、コンセント部400にプラグを挿入しなければならなかった。そのため、コンセント部400にプラグを挿入する作業が複雑化してしまっていた。
その点において、本実施形態では、傾斜部23aが周壁挿入溝23の四隅のうちの上下方向の下方に設けられるため、上述のコンセント部400の構成と比較して、傾斜部23aとピン挿入孔25との距離が大きくなる。したがって、上述のコンセント部400の構成と比較して、表面部24の強度の低下を抑制することができるようになる。
その上、プラグ1Cの周壁53の形状自体が供給電圧に応じて変更しているため、作業者がプラグ1Cの前後方向の前方において外部からプラグ1Cとコンセント部22との合致する位置を目視にて確認することができる。したがって、作業者がコンセント部22にプラグ1Cを容易に挿入することができる。
次に、図10を参照して、電力供給元である電源回路(不図示)の種類の違いに応じたコンセント部22の形状について説明する。この電源回路は、直流電力供給部71とコンセント1との間に設けられ、例えば分電盤74内に設けられている。
このような電源回路は、少なくとも超低電圧回路(ELV:Extra−Low Voltage)と安全超低電圧回路(SELV:Safty Extra−Low Voltage)との2種類がある。これらELV及びSELVについては、IEC規格におけるIEC60950−1及びIEC60335−1にそれぞれ規定されている。
電気機器72(図1参照)は、これらELV及びSELVに応じて内部の絶縁構造が異なっている。即ち、ELVに応じた電気機器72では、絶縁構造が二重絶縁構造や強化絶縁構造を採用することにより、この絶縁構造が厳重なものとなっている。一方、SELVに応じた電気機器72では、絶縁構造が二重絶縁構造や強化絶縁構造を採用されない場合があり、ELVに応じた電気機器72より絶縁構造が簡略化されている。
ところで、SELV用のコンセント1にELVに応じた電気機器72を接続した場合には、この電気機器72の絶縁構造が厳重であるため問題が発生することはない。一方で、ELV用のコンセント1にSELVに応じた電気機器72を接続した場合には、この電気機器72の絶縁構造が簡略化されているため、危険電圧が供給されたときに電気機器72が故障してしまう場合がある。そのため、コンセント1及びプラグ1Cには、ELV用及びSELV用と識別する必要がある。特に、ELV用のコンセント1にSELV用に応じた電気機器72を誤って接続してしまうことを抑制する必要がある。
そこで、図10(a)に示すように、SELV用のコンセント部22には、周壁挿入溝23の上下方向の下方の一辺の中央位置に延長溝部23bが設けられている。この延長溝部23bは、周壁挿入溝23と一体に設けられるとともに、上記一辺から上下方向の上方に延びるように設けられている。一方、図10(b)に示すように、ELV用のコンセント部22には、上記延長溝部23bを省略した構造となっている。以上により、SELV用のコンセント部22とELV用のコンセント部22とが識別可能となっている。
またこれにより、ELV用のプラグ1Cは、SELV用のコンセント部22に挿入可能であるが、SELV用のプラグ1Cは、ELV用のコンセント部22に挿入することができなくなる。これにより、ELV用のコンセント1にSELV用に応じた電気機器72を誤って接続してしまうことを抑制することができるようになる。
また、上記電源回路の種類に応じたコンセント部として、図15(a)に示すように、延長溝部23bが周壁挿入溝23とは別に設けられる構成(第1構成)が考えられる。また、図15(b)に示すように、延長溝部23bが周壁挿入溝23より外部、即ち表面部24より外部に設けられる構成(第2構成)が考えられる。
しかしながら、第1構成では、延長溝部23bとピン挿入孔25との距離が近接してしまうことにより、表面部24の強度が低下してしまう問題がある。一方、第2構成では、上述の表面部24の強度低下の問題は解決するが、延長溝部23bが設けられる分だけコンセント部22が大型化してしまう問題がある。
その点において、本実施形態では、周壁挿入溝23の上下方向の下方において、延長溝部23bが周壁挿入溝23と一体に設けられるため、ピン挿入孔25と延長溝部23bとの距離を第1構成と比較して大きくすることができるようになる。また、延長溝部23bが周壁挿入溝23よりも上下方向の上方に延びるため、即ち表面部24に延長溝部23bが設けられるため、コンセント部22の大型化を抑制することができるようになる。以上により、本実施形態によれば、上述の第1構成の問題及び第2構成の問題の両方を解決することができるようになる。
次に、図11を参照して、コンセント1の配置のバリエーションについて説明する。
本実施形態のコンセント1では、1個モジュール寸法にて設定されるため、取付枠2に対して、同様のコンセント1や1個モジュール寸法または2個モジュール寸法の上記日本工業規格にて規定された他の配線器具がともに取り付けられるようになる。即ち、共通の取付枠2にコンセント1と上記配線器具とが取り付けられるようになる。なお、図11に示すプレート3には、それぞれ3個モジュール寸法の開口穴3aがそれぞれ設けられている。
具体的には、図11(a)に示すように、同一のコンセント1を取付枠2(図3参照)に並設することもできる。本実施形態では、コンセント1は取付枠2に3個並設されている。図11(b)に示すように、供給電圧に応じたコンセント1、及び電源供給元の電源回路の種類に応じたコンセント1を取付枠2に並設することもできる。本実施形態では、1個モジュール寸法の24Vのコンセント1及び1個モジュール寸法の48Vのコンセント1と1個モジュール寸法のSELV用のコンセント1(24V)とが並設されている。図11(c)に示すように、コンセント1は、1個モジュール寸法の同軸ケーブル用のコンセント5及び1個モジュール寸法の電話線用のモジュラコンセント6と並設することもできる。図11(d)に示すように、コンセント1は、1個モジュール寸法のLAN用のモジュラコンセント7と電話線用のモジュラコンセント6と並設することもできる。図11(e)に示すように、コンセント1を交流コンセント4と並設することもできる。本実施形態では、1つのコンセント1と2つの1個モジュール寸法の交流コンセント4とが並設されている。図11(f)に示すように、コンセント1は、1個モジュール寸法のスイッチ8と並設することもできる。本実施形態では、2つのコンセント1と1つのスイッチ8とが並設されている。図11(g)に示すように、2連用の取付枠2にコンセント1と3個モジュール寸法の交流コンセント4aとが並設することもできる。本実施形態では、2連用の取付枠2の一方側に3個のコンセント1が並設され、取付枠2の他方側に3個モジュール寸法であって2つの差込口を有する交流コンセント4aが並設されている。なお、コンセント1の配置のバリエーションは、上記の例示(図11(a)〜図11(g))に限定されることなく、これらを組み合わせて実施する場合にも適用することもできる。
本実施形態のコンセント1によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態によれば、コンセント部22の周壁挿入溝23が略四角形状である構成である。したがって、図16に示す周壁挿入溝111が円環形状である場合と比較して、プラグ1Cの周壁53が挿入する方向が限定されるようになる。これにより、作業者がプラグ1Cをコンセント部22に挿入する向きを容易に理解することができるため、使い勝手がよくなる。その結果、作業者がコンセント1にプラグ1Cを容易に逆差しを抑制しつつ挿入することができるようになる。
そして、ピン挿入孔25が表面部24の外周縁のうちの上下方向の一辺の中心位置C1よりも上下方向の上方に設けられる構成である。したがって、周壁挿入溝23や周壁53に別途逆差しのための構造を形成することなく、コンセント1にプラグ1Cの逆差しを抑制することができるようになる。したがって、コンセントに別途逆差しのための構造を形成した場合と比較して、コンセント1の大型化を抑制することができるようになる。
また、コンセント本体部1Aが、日本工業規格に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠に3個まで取着可能なモジュール寸法の1個分の大きさに形成されるため、同様に規格化された他の配線器具の取付枠2にコンセント本体部1Aを取り付けることができるようになる。したがって、コンセント本体部1A専用の取付枠を別途作製する必要がなくなり、取付枠の共通化を図ることができる。これにより、1個モジュール寸法または2個モジュール寸法の大きさに形成された他の配線器具とともに取付枠2に取り付けることが可能となるため、コンセント1の使い勝手が良くなる。
(2)本実施形態によれば、ピン挿入孔25の下端部25aが中心位置C1よりも上下方向の上方に位置する構成である。したがって、コンセント1にプラグ1Cを逆差しした場合にも、プラグピン52がピン挿入孔25に挿入されることを抑制することができるようになる。その結果、より確実に上述の逆差しを抑制することができるようになる。
(3)本実施形態によれば、周壁挿入溝23の四隅に傾斜部23aが設けられる構成である。したがって、周壁挿入溝23の形状に応じて周壁53の形状も傾斜部が設けられるようになる。これにより、供給電圧に応じて周壁53の形状及び周壁挿入溝23の形状が異なるため、供給電圧が互いに異なるコンセント1とプラグ1Cとの差し間違いを抑制することができるようになる。
また、作業者が前後方向の前方から周壁53の形状を視認することによりコンセント1に対するプラグ1Cの挿入方向が分かるため、作業者がコンセント1にプラグ1Cを容易に差し込むことができる。
(4)本実施形態によれば、周壁挿入溝23の上下方向の下方(即ち表面部24の辺24c側)に傾斜部23aが設けられる構成である。したがって、周壁挿入溝23の上下方向の上方(即ち表面部24の基準辺24b側)に傾斜部が設けられる構成と比較して、傾斜部23aとピン挿入孔25との距離を大きくとることができるため、表面部24の強度を向上させることができるようになる。その結果、プラグ1Cの挿抜に伴う表面部24の破損を抑制することができるようになる。
(5)本実施形態によれば、表面部24は、周壁挿入溝23の傾斜部23aに対応した箇所にこの傾斜部23aに沿って傾斜した形状が形成される構成である。したがって、周壁挿入溝23の幅が狭く形成されることを抑制することができるようになる。
ここで、表面部における周壁挿入溝23の傾斜部23aに対応した箇所に傾斜した形状がない場合には、周壁挿入溝23の外周縁の形状のみが傾斜形状となるため、表面部の外周縁と周壁挿入溝23の外周縁との幅が周壁挿入溝23の傾斜部23a以外の部位と比較して狭くなってしまう。その点において、本実施形態では、表面部24の上記の傾斜形状は傾斜部23aに対応して設けられるため、上述の周壁挿入溝23の幅が狭くなる問題を解決することができるようになる。
(6)本実施形態によれば、周壁挿入溝23の傾斜部23aは、表面部24の傾斜形状に沿って傾斜した形状として設けられる構成である。したがって、周壁挿入溝23及び表面部24の四隅を斜めに切り取るのみといった単純な形状であるため、供給電圧が互いに異なるコンセント1とプラグ1Cとの差し間違いを抑制する構造を簡単な構成にて達成することができるようになる。したがって、コンセント1を容易に製造することができるようになる。
(7)本実施形態によれば、延長溝部23bが周壁挿入溝23から延長して設けられる構成である。したがって、延長溝部23bと周壁挿入溝23とを別個として設けた場合と比較して、コンセント部22の大型化や表面部24の強度低下を抑制することができるようになる。
(8)本実施形態によれば、延長溝部23bが周壁挿入溝23の上下方向の下方の一辺に設けられる構成である。したがって、ピン挿入孔25と周壁挿入溝23との間に延長溝部を設ける構造と比較して、表面部24の強度を向上させることができるようになる。その結果、プラグ1Cの挿抜に伴う表面部24の破損を抑制することができるようになる。
(9)本実施形態によれば、コンセント部22の前面22aと表面部24の前面24aとが前後方向において面一となる構成である。また、プラグ1Cのプラグピン52は周壁53よりも若干前後方向の前方まで延びる構成である。これらの構成によれば、コンセント部22にプラグ1Cを逆差ししたときに、周壁53が周壁挿入溝23に大きく挿入される前に表面部24にプラグピン52が当接するようになる。したがって、作業者がコンセント部22にプラグ1Cを逆差ししたことをより明確に認識することができるとともに、コンセント部22にプラグ1Cを逆差ししたときに、プラグ1Cがコンセント部22に取り付けられた状態が維持できないようになっている。これにより、プラグ1Cがコンセント部22に逆差しされた状態が維持されることを抑制することができるようになる。
(その他の実施形態)
本実施形態のコンセント1は、上記実施形態に限定されることなく、例えば以下の変更が可能である。また、以下の変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものでなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施する場合にも適用することもできる。
上記実施形態では、延長溝部23bが周壁挿入溝23の上下方向の下方の一辺の中央位置に設けられる構成であったが、延長溝部23bの位置はこれに限定されることはない。例えば、図12(a),(b)に示すように、延長溝部23bは周壁挿入溝23の上下方向の下方の一辺の左右方向の右方の端部もしくは左方の端部に設けることもできる。
また、延長溝部23bの位置は、周壁挿入溝23の上下方向の下方に一辺に限定されることなく、周壁挿入溝23を構成する4辺のうちのいずれかに設けることもできる。
また、延長溝部23bは表面部24側に設けられる構成であったが、延長溝部23bの位置はこれに限定されることはない。例えば、図12(c)に示すように、延長溝部23bが周壁挿入溝23の上下方向の下方の一辺から下方に向かい延びるように設けることもできる。また、図12(d)に示すように、延長溝部23bが周壁挿入溝23の上下方向の上方の一辺から上方に向かい延びるように設けることもできる。また、図12(e)に示すように、延長溝部23bが周壁挿入溝23の左右方向の左方の一辺から左方に向かい延びるように設けることもできる。また、図12(f)に示すように、延長溝部23bが周壁挿入溝23の左右方向の右方の一辺から右方に向かい延びるように設けることもできる。
上記実施形態では、傾斜部23aが周壁挿入溝23の上下方向の下方の一辺の隅のうちのいずれか一方もしくは両方に設けられることにより、コンセント1の供給電圧を識別する構成であったが、このコンセント1の供給電圧を識別する構成はこれに限定されることはない。周壁挿入溝23の形状が変化して、適合する供給電圧のみのプラグ1Cの周壁53が挿入可能な形状であればよい。したがって、例えば、図13(a)に示すように、周壁挿入溝23の四隅のうちのいずれかを切り取り、段形状の凹部23cを設けることもできる。また、図13(b)に示すように、周壁挿入溝23の一部を切り取った上で外側に突出させる突部23dを設けることもできる。なお、プラグ1Cの周壁53は、前後方向の後方から見た平面視において周壁挿入溝23と同様の形状に形成される。
上記実施形態では、傾斜部23aが周壁挿入溝23の上下方向の下方の一辺に設けられたが、傾斜部23aは周壁挿入溝23の上下方向の上方の一辺に設けることもできる。
上記実施形態では、ピン挿入孔25の下端部25aが表面部24の中心位置C1よりも上下方向の上方に配置されていたが、同下端部25aの位置はこれに限定されることはない。コンセント1にプラグ1Cを逆差ししたときに、プラグピン52がピン挿入孔25に挿入されなければよい。したがって、下端部25aは同中心位置C1と略同位置とすることもできる。
上記実施形態では、周壁挿入溝23の左右方向が長手であり、上下方向が短手の長方形状に形成されたが、周壁挿入溝23の形状はこれに限定されることはない。周壁挿入溝23は、左右方向及び上下方向の長さが同一の正方形状として設けることもできる。
1…コンセント(直流コンセント)、1A…コンセント本体部、1B…刃受部材、1C…プラグ、2…取付枠、3…プレート、3a…開口穴、4,4a…交流コンセント、5…同軸ケーブル用のコンセント、6…電話線用のモジュラコンセント、7…LAN用のモジュラコンセント、8…スイッチ、10…ボディ、20…カバー、21…組立枠取付部、22…コンセント部、22a…前面、23…周壁挿入溝、23a…傾斜部、23b…延長溝部、23c…凹部、23d…突部、24…表面部、24a…前面、24b…基準辺、24c…辺、25…ピン挿入孔、25a…下端部、30…組立枠、40…開口穴、41…取付部、42…連結部、43…第1挿入孔、44…第2挿入孔、45…器具取付部、46…取付孔、50…ケーブル部、51…プラグ本体部、51a…対向面、52…プラグピン、52a…下端部、53…周壁、60…保持部、70…直流分配システム、71…直流電力供給部、72…電気機器、72a…情報機器、72b…照明器具、72c…玄関システム機器、72d…住警器具、73…直流ブレーカ、74…分電盤、75…主幹ブレーカ、76…AC/DCコンバータ、77…協調制御部、77a…DC/DCコンバータ、78…分散電源、78a…二次電池、78b…太陽電池、78c…燃料電池、79…主電源、AC…交流電源、H…家屋、Wdc…直流供給線路。

Claims (6)

  1. 複数本の丸形のプラグピンとこの複数本のプラグピンの周りを囲む周壁とを具備したプラグが着脱自在に接続され、このプラグに直流電力を供給するコンセント部が設けられるコンセント本体部を有する直流コンセントであって、
    前記コンセント部には、前記プラグの挿入方向から見た平面視において略四角形状に形成されるとともに前記周壁が挿入される周壁挿入溝と、この周壁挿入溝に囲まれるとともに前記プラグの挿入方向から見た平面視において略四角形状に形成される表面部とが設けられ、
    前記表面部には、前記プラグピンが挿入される円形状に形成されたピン挿入孔が前記表面部の外周縁の一辺に沿った方向に複数配列されるように設けられ、
    前記ピン挿入孔は、前記ピン挿入孔が配列される配列方向に沿った一辺を基準辺として、この基準辺に対して垂直な方向を規定する垂直方向において、前記基準辺に対向する辺よりも前記基準辺に近づくように偏った位置に設けられ、
    前記コンセント本体部は、日本工業規格に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠に3個まで取着可能なモジュール寸法の1個分の大きさに形成される
    ことを特徴とする直流コンセント。
  2. 請求項1に記載の直流コンセントにおいて、
    前記周壁挿入溝は、前記プラグの挿入方向から見た平面視の形状が、略四角形状の四隅のうちの少なくとも一箇所が切り取られた形状に形成される
    ことを特徴とする直流コンセント。
  3. 請求項2に記載の直流コンセントにおいて、
    前記表面部は、前記プラグの挿入方向から見た平面視の形状が、略四角形状の四隅のうちの前記周壁挿入溝における前記切り取られた形状に対応した箇所が切り取られた形状に形成される
    ことを特徴とする直流コンセント。
  4. 請求項2または請求項3に記載の直流コンセントにおいて、
    前記周壁挿入溝の略四角形状の四隅のうちの切り取られた形状は、前記基準辺よりも前記基準辺と対向する辺側に近づくように偏った位置に設けられる
    ことを特徴とする直流コンセント。
  5. 請求項3に記載の直流コンセントにおいて、
    前記表面部における前記切り取られた形状は、傾斜形状に形成され、
    前記周壁挿入溝における前記切り取られた形状は、前記表面部の傾斜形状に沿って傾斜した形状に形成される
    ことを特徴とする直流コンセント。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の直流コンセントにおいて、
    前記周壁挿入溝には、この周壁挿入溝から延長して設けられるとともに、電力供給元である電源回路の種類の違いに応じてプラグに設けられたリブが挿入される延長溝部が設けられる
    ことを特徴とする直流コンセント。
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