<電線保持バー>
以下、実施形態に係る電線保持バーについて説明する。図1は電線保持バー80を示す一部破断側面図であり、図2は電線保持バー80を示す平面図であり、図3は電線保持バー80を示す正面図である。
電線保持バー80は、電線Wを並列状態で保持するものであり、複数の電線保持部90と、バー本体部82とを備えている。
電線保持部90は電線Wを保持可能に構成されており、バー本体部82は電線保持部90を直線状に並べた状態に保持可能に構成されている。そして、それぞれの電線保持部90が電線Wの所定箇所を保持することで、当該電線Wが並列状態で保持されるように構成されている。この電線保持部90により保持される電線Wの箇所は、電線Wの端部であってもよいし、電線Wの長手方向中間部であってもよい。本電線保持バー80の一使用例については後述する。
より具体的には、バー本体部82は、フレーム部材84と、2つの端部フレーム部材86とを備えている。
フレーム部材84は、棒状、より具体的には、略四角棒状に形成されている。このフレーム部材84の一側面(ここでは略四角棒状の外周を構成する4つの側面のうちの一つ)には、その長手方向に沿って支持ガイド溝85が形成されている(図1及び図8参照)。支持ガイド溝85は、フレーム部材84の前記一側面および両端部側に開口する溝形状(ここでは断面略U字状の溝形状)に形成されている。また、支持ガイド溝85のうち前記一側面側の開口両側縁部には、当該支持ガイド溝85の長手方向に沿って延びる抜止め突条部85aが形成されている。これにより、支持ガイド溝85の前記一側面側の開口幅は、当該抜止め突条部85aの突出寸法分その奥側の開口幅よりも狭くなるように形成されている。この支持ガイド溝85により、後述するようにして複数の電線保持部90が直線状に並べた状態でかつその長手方向に沿って移動自在に支持される。
また、ここでは、フレーム部材84の他の3つの側面にも、上記支持ガイド溝85が形成されている。これらの3つの支持ガイド溝85は必ずしも必要ではない。もっとも、フレーム部材84の前記一側面に形成された支持ガイド溝85の反対側に設けられた支持ガイド溝85(以下では、底部の支持ガイド溝85ということがある)は、本電線保持バー80をその長手方向に沿って移動自在に支持する際のガイドとして供される。この点については、後の一使用例において説明する。
また、フレーム部材84の軸方向中央部には、挿通孔84aが形成されている。
2つの端部フレーム部材86は、それぞれフレーム部材84の端部に取付けられ、フレーム部材84の端部からの電線保持部90の脱落を規制するように構成されている。
より具体的には、端部フレーム部材86は、上記フレーム部材84の幅方向寸法と略同厚み寸法の板状部材に形成され、その一コーナー部にフレーム部材84の端部を配設可能な略L字状の凹部86aが形成されている。また、端部フレーム部材86のうちフレーム部材84の端部と対向する部分にねじ挿通孔86h1が形成されると共に、フレーム部材84の端部の一側面と対向する部分にねじ挿通孔86h2が形成されている。そして、上記凹部86a内にフレーム部材84の端部を配設するように、端部フレーム部材86をフレーム部材84の端部に配設した状態で、ねじS1をねじ挿通孔86h1に挿通してフレーム部材84の挿通孔84a端部にねじ締めすると共に、ねじS2をねじ挿通孔86h2に挿通して支持ガイド溝85内に配設したナットNに螺合締結することで、端部フレーム部材86がフレーム部材84の端部に取付固定される。また、このように端部フレーム部材86がフレーム部材84の端部に取付固定された状態で、端部フレーム部材86のうちフレーム部材84の端部の一側面と対向する部分の内向き側面86fが、支持ガイド溝85によって支持された電線保持部90と当接し、フレーム部材84の端部からの電線保持部90の脱落を規制している。つまり、支持ガイド溝85によって移動自在に支持された複数の電線保持部90は、フレーム部材84の両端に取付けられた端部フレーム部材86に挟まれるようにして支持されている。このため、2つの端部フレーム部材86の内向き側面86f間の間隔寸法は、複数の電線保持部90を配設可能な寸法に設定されている。この内向き側面86f間の間隔寸法は、上記フレーム部材84の長さ寸法を調整することで適宜設定することができる。換言すれば、フレーム部材84の長さ寸法を適宜調整することで、保持する電線保持部90の数を調整することができる。
また、上記端部フレーム部材86には、上記底部の支持ガイド溝85の端部を開口させる開口溝87gが形成されている。これにより、電線保持バー80全体としてみても、底部の支持ガイド溝85は、電線保持バー80の両端部及び底側外方向に開口する溝状として形成されていることになる。
また、一対の端部フレーム部材86の外側端部、つまり、バー本体部82の両端部には、永久磁石88が取付けられている。この永久磁石88により、複数の電線保持バー80を同一姿勢及び方向に揃えて直線状に配設した状態で、隣設するもの同士が相互に磁力により吸引される。
なお、本実施形態では、フレーム部材84の端部に端部フレーム部材86をねじ止固定することで、電線保持部90の位置規制を図る構成で説明したが、必ずしもそのような構成である必要はない。フレーム部材の端部に、凹凸を利用したロック構造、接着剤等による固定構造等で、端部フレーム部材を固定する構成であってもよい。また、フレーム部材の端部にねじを螺合し、そのねじ自体によって電線保持部の位置規制を図る構成であってもよい。また、フレーム部材の一端部に凸部を一体形成し、その凸部自体によって電線保持部の位置規制を図り、フレーム部材他端部には別の部材を取付けて電線保持部の位置決めを図る構成であってもよい。要するに、フレーム部材の端部で電線保持部の位置規制を図る構成であればよい。
図4は電線保持部90を示す斜視図であり、図5は電線保持部90を示す断面図である。
図1〜図5に示すように、電線保持部90は、挟持片固定基部92と、一対の弾性挟持片96とを有している。そして、一対の弾性挟持片96が電線Wを挟持可能な位置及び姿勢で挟持片固定基部92により固定保持されている。
弾性挟持片96及び挟持片固定基部92についてより詳細に説明する。
より具体的に説明する。図6は弾性挟持片96を示す正面図であり、図7は弾性挟持片96を示す側面図である。
弾性挟持片96は、板状金属部材を打抜き及び屈曲加工等することで形成された部材であり、基端部97と先端部98とを有している。
基端部97は、略方形平板状に形成されており、後述する固定凹部93hに挿入可能に形成されている。また、基端部97には、その幅方向に沿って複数(ここでは2つ)のピン挿通孔96hが形成されている。各ピン挿通孔96hは、後述する固定ピン99を挿通可能な孔形状に形成されている。
また、先端部98は、上記基端部97の一端部から外方(上方)に延出されるように形成された板状部材であり、ここでは、基端部97の一端部から一方面側(一対の弾性挟持片96を突合わせた状態における外方)に突状に湾曲する基端側湾曲部98aと、当該基端側湾曲部98aの一端部から他方面側(一対の弾性挟持片96を突合わせた状態における内方)に突状に湾曲する突き合せ湾曲部98bとを有し、全体としてなだらかなS字状に湾曲する形状とされている。
なお、一対の弾性挟持片96が基端部側において連なっており一体部材として構成されていてもよい。また、一対の弾性挟持片96は、板状金属部材だけではなく、樹脂等で形成されていてもよい。
図8は挟持片固定基部92及びフレーム部材84を示す正面図であり、図9は挟持片固定基部92を示す側面図であり、図10は挟持片固定基部92を示す平面図であり、図11は挟持片固定基部92を示す底面図である。
図4、図5、図8〜図11に示すように、挟持片固定基部92は、樹脂等で形成された部材であり、上記バー本体部82に固定保持可能に構成されると共に、一対の弾性挟持片96を固定保持可能に構成されている。
より具体的には、挟持片固定基部92は、固定基部本体93と一対の側壁部94とガイド突条部95とを有している。
固定基部本体93は、略直方体形状に形成されており、その一主面から内部に向けて固定凹部93hが形成されている。固定凹部93hは、上記基端部97を2つ重ねた状態で挿通可能でかつ一定姿勢で保持可能な凹形状に形成されている。ここでは、固定凹部93hの幅寸法は、基端部97の幅寸法と略同じに形成されている。また、固定凹部93hの対向する内側面に基端部97の挿通方向に沿って延びる突条93haを形成し、対向する突条93ha間の間隔寸法を、2枚の基端部97程度の厚み寸法に形成している。これにより、固定凹部93h内に、2つ重ねた状態で挿通された基端部97が一定姿勢で保持される構成となっている。
また、上記固定凹部93hを通って固定基部本体93を貫通するようにして複数(ここでは2つ)の固定保持孔93P1,P2が形成されている。2つの固定保持孔93P1,P2は、固定凹部93h内に挿入される基端部97の2つのピン挿通孔96hに対応する位置、より具体的には、2つのピン挿通孔96hに対して基端部97の挿入方向(ここでは弾性挟持片96の突出方向と同じ)に沿った同一直線状の位置に形成されている。また、2つの固定保持孔93P1,93P2は、一対の弾性挟持片96の突出方向(ここでは、基端部97の挿入方向と同じ)に沿って位置を変えて形成されている。ここでは、2つの固定保持孔93P1,93P2は、固定保持孔93P1,93P2の直径寸法Rよりも小さい程度の寸法Hで位置を変えて形成されている(図8参照)。
そして、一対の弾性挟持片96が次のようにして固定基部本体93に固定保持されるようになっている。すなわち、一対の突き合せ湾曲部98bの湾曲形状外周部分を突合わせた状態で、一対の弾性挟持片96の基端部97を重ね合せて、固定凹部93h内に挿入配置する。この際、2つの固定保持孔93P1,93P2のうちのいずれか一つとそれに対応する2つのピン挿通孔96hの一つとを位置合わせするように、基端部97の挿入深さ(一対の弾性挟持片96の突出寸法)を調整する。この状態で、棒状のピン本体部99aの一端部に頭部99bが形成された固定ピン99を、2つの固定保持孔93P1,93P2のうちのいずれか一つとそれに対応する2つのピン挿通孔96hの一つとに挿入する。これにより、一対の弾性挟持片96を一定の突出寸法にて固定保持する。例えば、2つの固定保持孔93P1,93P2のうち上側(開口側)の固定保持孔93P1とピン挿通孔96hの一つとに固定ピン99を挿入した場合、一対の弾性挟持片96の突出寸法は比較的大きくなる(図12参照)。また、例えば、2つの固定保持孔93P1,93P2のうち下側(奥側)の固定保持孔93P2とピン挿通孔96hの一つとに固定ピン99を挿入した場合、一対の弾性挟持片96の突出寸法は比較的小さくなる(図13参照)。これにより、一対の弾性挟持片96の突出寸法を調整可能に、一対の弾性挟持片96の基端部が固定保持される構成とされている。なお、固定ピン99は、上記形状に限られず、固定保持孔93P1,93P2とピン挿通孔96hとを貫通するように挿入可能な形状であればよい。なお、突出寸法を調整するとは、本電線保持部90を組立てる際に調整するという意味であり、必ずしも組立後に調整可能である必要はない。
また、上記固定基部本体93の両端面(複数の電線保持部90を直線状に並べた状態で互いに接触する面)には、位置決め凸部93a及び位置決め凹部93bが形成されている。そして、複数の電線保持部90を直線状に並べた状態で、位置決め凸部93aが位置決め凹部93bに嵌り込み、複数の電線保持部90の直線状配設形態がより一定状態に維持されるようになっている。
また、一対の側壁部94は、電線当接片として用いられる部材であり、固定基部本体93のうち一対の弾性挟持片96が突出する側の面(各図で上側の面)の両側部から突出形成されている。一対の側壁部94の先端部は、上記一対の弾性挟持片96の突き合せ湾曲部98bの突き合せ部分よりも基端側に位置し、当該突き合せ部分よりも基端側から電線Wに当接し、もって電線Wの基端側への移動を規制するように構成されている。そして、電線Wは、一対の弾性挟持片96の突き合せ湾曲部98bの突き合せ部分と側壁部94の先端部との間で支持されるようになっている。より具体的には、電線保持部90の側面視において、一対の弾性挟持片96のうち突き合せ湾曲部98bの突き合せ部分よりも基端側の部分と一対の側壁部94の先端側の部分とで囲まれる略三角形状の空間が形成され(図5参照)、当該空間で電線Wの保持がなされるようになっている(図12及び図13参照)。この側壁部94は固定基部本体93とは別体に形成されていてもよい。要するに、一対の弾性挟持片96の突き合せ湾曲部98bの突き合せ部分よりも基端側で電線Wに当接して基端側への移動を規制する電線当接片としての部材が存在していればよい。
また、ガイド突条部95は、固定基部本体93のうち一対の弾性挟持片96が突出する側の面とは反対側の面(各図で下側の底面)に突出形成されている。ガイド突条部95は、固定基部本体93の前記底面の幅方向略中央部において固定ピン99の軸方向に沿って延びる突条形状に形成されている。また、ガイド突条部95の先端縁部の両側には、その外方に向けて突出すると共に当該ガイド突条部95の長手方向に沿って延びる拡幅突条部95aが形成されている。そして、本拡幅突条部95aを支持ガイド溝85内の抜止め突条部85aよりも奥側に配設するようにして、ガイド突条部95を支持ガイド溝85内に挿入することで、電線保持部90がフレーム部材84の支持ガイド溝85によってその長手方向に沿って移動自在に支持される構成とされている。
なお、電線保持部をフレーム部材に支持する構成は上記例に限られない。個々の電線保持部90がねじ止或は嵌め込み構造等によって長尺状のフレーム部材に固定される構成であってもよい。
この電線保持部90では、比較的太径の電線Wを保持する場合には、図12に示すように、2つの固定保持孔93P1,93P2のうち上側(開口側)の固定保持孔93P1とピン挿通孔96hの一つとに固定ピン99を挿入し、一対の弾性挟持片96の突出寸法が比較的大きくなるようにして一対の弾性挟持片96を固定する。これにより、一対の弾性挟持片96のうち一対の突き合せ湾曲部98bの突き合せ部分よりも基端側の部分と一対の側壁部94の先端部とで囲まれる略三角形状の空間を大きくすることができる。そして、一対の弾性挟持片96の先端側から一対の弾性挟持片96の先端部98間に電線Wを押込み、一対の突き合せ湾曲部98b間に電線Wを挿通可能な隙間が形成されるように、先端部98を弾性変形させる。そして、電線Wが一対の突き合せ湾曲部98bの突き合せ部分を通過すると、一対の弾性挟持片96は弾性復帰する。これにより、電線Wは、先端部98間を僅かに開くように弾性変形させた状態で、一対の弾性挟持片96のうち一対の突き合せ湾曲部98bの突き合せ部分よりも基端側の部分と一対の側壁部94の先端部とで囲まれる空間内に保持されることになる。
また、比較的細径の電線Wを保持する場合には、図13に示すように、2つの固定保持孔93P1,93P2のうち下側(底側)の固定保持孔93P2とピン挿通孔96hの一つとに固定ピン99を挿入し、一対の弾性挟持片96の突出寸法が比較的小さくなるようにして一対の弾性挟持片96を固定する。これにより、一対の弾性挟持片96のうち一対の突き合せ湾曲部98bの突き合せ部分よりも基端側の部分と一対の側壁部94の先端部とで囲まれる略三角形状の空間を小さくすることができる。そして、上記と同様にすることで、電線Wは、先端部98間を僅かに開くように弾性変形させた状態で、一対の弾性挟持片96のうち一対の突き合せ湾曲部98bの突き合せ部分よりも基端側の部分と一対の側壁部94の先端部とで囲まれる空間内に保持されることになる。
このように構成された電線保持バー80によると、各電線保持部90において、電線Wは、一対の弾性挟持片96の先端部98間であって一対の突き合せ湾曲部98bの突合わせ部分と側壁部94の先端部との間で保持される。そして、一対の弾性挟持片96の突出寸法を任意に調整することで、電線Wに対する挟持力を調整することができる。これにより、種々径の電線Wを適切な挟持力で挟持できるように、容易に対処できる。
特に、同一設計とされた電線保持部90を組立てる際に、固定保持孔93P1,93P2とピン挿通孔96hとを選択的に位置合わせして、固定保持孔93P1,93P2のうちの一つの固定ピン99を挿入することで、保持しようとする電線Wの径に応じて一対の弾性挟持片96の突出寸法を適宜調整することができる。従って、種々径の電線Wを適切な挟持力で挟持できるように、容易に対処することができる。
また、一対の弾性挟持片96の基端部97のそれぞれに幅方向に沿って複数のピン挿通孔96hが形成され、挟持片固定基部92には、複数のピン挿通孔96hのそれぞれに対応する複数の固定保持孔93P1,93P2が位置を変えて形成されているため、ピン挿通孔96h及び固定保持孔93P1,93P2の径とは関係なく、それぞれの形成位置によって調整することができる。このため、一対の弾性挟持片の突出寸法の調整幅を小さくすることができる。
また、バー本体部82の両端部に永久磁石88が取付けられているため、複数の電線保持バー80を直線状に連ねて配設した場合、隣設する電線保持バー80同士が永久磁石88の吸引力により相互に吸引され一体化された状態とすることができる。これにより、複数の電線保持バー80の取扱い利便性に優れる。この利点については、次の使用例においても説明する。
<電線保持バーの使用例>
上記電線保持バー80は、ワイヤーハーネスを製造する際に、電線端部を保持するために用いられる。すなわち、ワイヤーハーネスは、複数の電線に対して所定長の切断及び端部への端子圧着等の各種処理を施した端子付き電線を、所定の配線形態で束ねることで製造される。このように製造されたワイヤーハーネスは、自動車等に組付けられ、当該自動車等に搭載される各種電機部品(例えば、電子制御ユニットや各種センサ、各種アクチュエータ)同士を電気的に接続する配線として用いられる。
上記のようにワイヤーハーネスを製造する際、電線を所定長に切断して端部に端子を圧着するして端子付き電線を製造し、複数の端子付き電線の端部をコネクタ等に挿入接続してワイヤーハーネスの一構成部分である電線集合体(仮結とも呼ばれる)を製造し、複数の電線集合体等をさらに集合結束して組立てる方法がある。本電線保持バー80は、上記のように製造された端子付き電線を、電線集合体を製造するための製造現場に搬送及び供給するための道具として用いることができる。
電線保持バー80を用いた電線接続集合体製造支援装置及び電線接続集合体の製造方法の一例について説明する。
図14は電線接続集合体製造支援装置20を示す側面図であり、図15は電線接続集合体製造支援装置20を示す正面図であり、図16は電線接続集合体製造支援装置20の要部概略斜視図である。
この電線接続集合体製造支援装置20は、端子付き電線18をコネクタ14(図16参照)に挿入して電線接続集合体である仮結を製造するための装置であり、バー送り部材30と、コネクタ保持部60と、これらを一定の位置関係及び姿勢に支持するフレーム体21とを備えている。
フレーム体21は、棒状部材を立方体枠状に組立てることにより形成されており、上方部分に複数の送り部材支持フレーム部22が略水平方向に沿って配設されると共に、上方一端部分にコネクタ保持部支持フレーム部24が配設されている。また、フレーム体21の下方4隅には、キャスター21aが取付けられており、本キャスター21aによりフレーム体21は床面上を移動自在に構成されている。
なお、バー送り部材30及びコネクタ保持部60を支持する構成は、上記フレーム体21のような構成に限られず、バー送り部材30及びコネクタ保持部60が別々の支持部材により支持される構成であってもよく、或は、バー送り部材30及びコネクタ保持部60が工場等の建築物の天井から吊下げて支持される構成であってもよい。要するに、バー送り部材30及びコネクタ保持部60を、後述する位置関係及び姿勢で支持可能な構成であればよい。
図17はバー送り部材30を示す側面図であり、図18は図17のXVIII−XVIII線断面図であり、図19及び図20はバー送り部材30の下流側部分を示す斜視図であり、図21はバー送り部材30の上流側部分を示す斜視図であり、図22はバー送り部材30の中間部を示す側面図であり、図23は複数のバー送り部材30を示す正面図である。
バー送り部材30は、電線保持バー80を所定の送り方向Pに沿って送る部材として構成されている。
すなわち、バー送り部材30は、上記電線保持バー80を所定の送り方向Pに沿って整列した状態で当該送り方向Pに沿って移動可能に支持するバー案内部としてバー送り案内溝32を有しており、送り方向Pの上流側で電線保持バー80がバー送り案内溝32内に配設可能に構成されると共に、送り方向Pの下流側で電線保持バー80がバー送り案内溝32から取外し可能に構成されている。
より具体的には、バー送り部材30は、細長板状の底板部31aの両側縁部から当該底板部31aに対して略垂直姿勢で一対の側板部31bが立設する長尺形状に形成されており、底板部31a及び一対の側板部31bで囲まれる空間によって断面略U字状のバー送り案内溝32が形成されている(図17及び図18参照)。このバー送り案内溝32は、電線保持バー80の長手方向をバー送り案内溝32の長手方向に沿って配設した状態で、当該電線保持バー80の他側部分を挿入配置可能な大きさ及び形状に形成されており、電線保持バー80はバー送り案内溝32内をその長手方向に沿って移動可能に配設される。また、バー送り案内溝32の長さ寸法は、電線保持バー80を複数(例えば、25個)挿入配置可能な長さ寸法を有しており、バー送り案内溝32によって複数の電線保持バー80を支持可能に構成されている。これにより、バー送り部材30は、複数の電線保持バー80を送り方向Pに沿って直列状に整列させた状態で移動可能に支持する構成となっている。
また、バー送り案内溝32の底部には、ガイド溝嵌込突条部33が形成されている。ガイド溝嵌込突条部33は、底板部31aの幅方向略中央部においてバー送り案内溝32の長手方向に沿って延びる突条形状に形成されている。また、ガイド溝嵌込突条部33の先端縁部の両側には、その外方に向けて突出すると共にガイド溝嵌込突条部33の長手方向に沿って延びる拡幅突条部33aが形成されている。そして、電線保持バー80をバー送り案内溝32内に挿入する際、ガイド溝嵌込突条部33を支持ガイド溝85内に挿入すると共に、拡幅突条部33aを支持ガイド溝85内で抜止め突条部85aよりも奥側に配設することで、電線保持バー80がバー送り案内溝32の側方開口へ離脱防止された状態で、移動自在に支持される構成となっている。
なお、複数の電線保持バーを送り方向Pに沿って移動可能に支持する構成は、上記例に限られない。例えば、電線保持バーにその長手方向に沿った貫通孔を形成し、棒状部材に形成されたバー送り部材を当該貫通孔に挿入することで、電線保持バーを移動自在に支持する構成であってもよい。要するに、長尺な電線保持バーを移動可能に支持できる構成であればよい。
また、上記バー送り案内溝32は送り方向Pの下流側端部において開口しており、電線保持バー80は当該開口を通じて取外し可能に構成されている(図19及び図20参照)。ここでは、底板部31aのうち送り方向Pの下流側である端部は、その端部側に向けて外方に拡開している。
また、バー送り部材30のうち送り方向Pの下流側端部には、バー規制部材34が設けられている。バー規制部材34は、バー当接部35とバネ部36とを有しており、送り方向Pの下流側において、バー送り案内溝32内を移動する電線保持バー80の下流側への移動を規制するように構成されている。すなわち、一方の側壁部31bの外面にバネ部36(ここでは板バネ)が設けられている。バネ部36の一端部は一方の側壁部31bの外面に取付固定されており、バネ部36の他端部にはバー当接部35が設けられている。このバネ部36は、バー当接部35を後述する進出方向に付勢している。バー当接部35は、一方の側壁部31bの厚み寸法よりも大きな長さ寸法を有する柱状形状(ここでは円柱状形状)に形成されており、上記バネ部36による弾性支持状態下、一方の側壁部31bのうち送り方向Pの下流側に形成された貫通孔31bh内に進退自在に配設されている。そして、上記バネ部36の付勢力によってバー当接部35が進出した状態では、バー当接部35の先端部がバー送り案内溝32内に突出して、バー送り案内溝32内を移動する電線保持バー80の下流側端部に当接し、当該電線保持バー80の移動を規制する。また、バネ部36の付勢力に抗してバー当接部35を退避移動させた状態では、バー当接部35が貫通孔31bh内に退避し、電線保持バー80はバー送り案内溝32の下流側開口より取外し可能とされる。これにより、比較的簡易な構成で、バー送り案内溝32の下流側で電線保持バー80の抜出規制及び抜出規制解除を行うことができる。
また、上記一方の側壁部31bの下流側端部には、上記バネ部36を囲うようにして突条部31bgが形成されている。ここでは、一方の側壁部31bの下流側周縁部に、バネ部36の周囲3方を囲うようにして突条部31bgが形成されている。突条部31bgの突出寸法は、バネ部36がバー当接部35を進出状態に付勢している状態で、当該バネ部36の突出寸法より大きい。従って、端子付き電線18が本バー送り部材30の下流側部分に接触したとしても、当該端子付き電線18はバネ部36には接触し難くなっており、端子付き電線18とバネ部36との引っかかりが防止されている。
なお、上記バネ部36及びバー当接部35は、他方の側壁部31b或は底板部31aに設けられていてもよい。また、突条部31bgは、バネ部36を挟む2方向から或は4方向から囲うように形成されていてもよい。
また、上記バー送り案内溝32は送り方向Pの上流側端部においても開口しており、電線保持バー80は当該開口を通じてバー送り案内溝32内に配設可能に構成されている(図21参照)。ここでは、底板部31aのうち送り方向Pの上流側である端部は、その端部側に向けて外方に拡開している。なお、電線保持バー80の上流側部分には、上記下流側部分と同様に貫通孔31bh等が形成されている。つまり、バー送り部材30の下流側部分と上流側部分とは、上記バー当接部35及びバネ部36の有無を除いて、鏡像対称性を有している。この利点については後述する。
また、ここでは、バー送り部材30は、複数(ここでは5つ)の分割部材30a,30b,30cによって構成されている(図17参照)。バー送り部材30の両端の分割部材30a,30bはそれぞれ上記上流側開口及び下流側開口を有する部材であり、それらを除く中間部の複数の分割部材30bはそれぞれ同形状に形成された部材である。これらの分割部材30a,30b,30c同士の接合は例えば次のようにしてなされる。
すなわち、図22に示すように、分割部材30a,30b,30cの一方端部に一対の接合片30Pを形成すると共に、分割部材30a,30b,30cの他方端部に一対の接合凹部30Qを形成する。一対の接合片30Pの先端部はその手前側部分よりも幅広に形成され、一対の接合凹部30Qの奥部もこれに対応して幅広に形成されている。そして、一対の接合片30Pを一対の接合凹部30Qに嵌め込んだ状態で、分割部材30a,30b,30cの外周囲3側面を囲うようにして略U字状の外嵌め部材30Rを外嵌めする。これにより、分割部材30a,30b,30cが接合された状態に維持される。これにより、中間の分割部材30bの数を適宜調整することで、バー送り部材30の長さ寸法、つまり、移動可能に支持する電線保持バー80の数を調整することができる。
もっとも、分割部材30a,30b,30cを接合状態に維持する構成は上記例に限られない。分割部材30a,30b,30cの端部同士をねじ止等で接合してもよく、周知構造を含む種々の構成で接合することができる。また、バー送り部材30は単一の部材として構成されていてもよい。
上記バー送り部材30の取付構成について説明する。
上記バー送り部材30は、吊下げ支持部材40によって吊下げ状態で支持されている。すなわち、上記バー送り部材30には、その長手方向に沿って間隔をあけた複数箇所に吊下げ支持部材40が取付けられている。ここでは、バー送り部材30を構成する各分割部材30a,30b,30cに吊下げ支持部材40が取付けられている。
吊下げ支持部材40は、支持固定部42と、垂下棒状部44とを有している。支持固定部42は、上記フレーム体21の送り部材支持フレーム部22に固定される部材である。ここでは、支持固定部42は、送り部材支持フレーム部22を挿通可能な支持固定孔42hを有しており、送り部材支持フレーム部22を支持固定孔42hに挿通した状態でねじ締め固定等することで、支持固定部42が送り部材支持フレーム部22の一定位置に取付固定される。もちろん、支持固定部の構成は、取付対象箇所の構成、形状等に応じた取付構成に適宜変更可能である。垂下棒状部44は長尺棒状部材であり、その基端部は支持固定部42に固定されており、その先端部はバー送り部材30に、より具体的には、他方の側壁部31bの外面にねじ止等によって取付固定されている。
この吊下げ支持部材40によるバー送り部材30の支持姿勢は次の通りである。
バー送り部材30は、送り方向P下流側に向けて下向き傾斜となる姿勢とされている(図14参照)。ここでは、複数の送り部材支持フレーム部22の上下位置を異ならせて吊下げ支持部材40の支持固定部42の支持位置を変えることで、上記傾斜状態での支持を実現している。これにより、吊下げ支持部材40として共通する部材を用いることができる。もっとも、吊下げ支持部材40の垂下棒状部44の長さを異ならせることで、上記傾斜状態での支持を実現してもよい。このようにバー送り部材30を傾斜させているのは、バー送り部材30によって移動可能に支持された電線保持バー80を自重によって下流側に移動させることができるようにするためである。もっとも、バー送り部材30は、必ずしも上記傾斜姿勢で取付けられている必要はなく、略水平姿勢で取付けられていてもよい。
また、バー送り部材30は、それによって移動可能に支持された電線保持バー80の電線保持部90が斜め上方を向くように、その長手方向に沿った方向からみても傾斜するような姿勢とされている(図23参照)。ここでは、上記垂下棒状部44を弧状に曲げて、バー送り部材30を支持固定部42の真下から側方にずれた位置に配設しつつ、上記傾斜姿勢で支持している。このような傾斜姿勢とする理由は、電線保持部90が斜め上方を向くようにすることで、作業者が電線保持部90に保持された端子付き電線18の端部を容易に取出せるようにするためである。また、バー送り部材30を支持固定部42の真下から側方にずれた位置に配設しているのは、電線保持部90に保持された端子付き電線18の端部が垂下棒状部44と干渉するのを防止するためである。好ましい傾斜角度は、端子付き電線18の取出し作業性、電線保持部90で保持された端子付き電線18の端部がバー送り部材30或は吊下げ支持部材40に干渉するか否か等を考慮して実験的、経験的に求めることができる。
また、本実施形態では、バー送り部材30は複数設けられている。ここでは、複数(ここでは16個)のバー送り部材30は、略並行する位置関係で配設されている(図15、図16及び図23参照)。また、複数のバー送り部材30は、それぞれで支持された電線保持バー80の電線保持バー80を、バー送り部材30の並び方向中央に向けて配設できる姿勢とされている。より具体的には、複数のバー送り部材30のうち並び方向一方側(コネクタ保持部60側から見て左半部側)のものの側方開口は、バー送り部材30の並び方向中央である右側に向いており、複数のバー送り部材30のうち並び方向他方側(コネクタ保持部60側から見て右半部側)のものの側方開口は、バー送り部材30の並び方向中央である左側に開口している。従って、作業者は、各バー送り部材30で支持された電線保持バー80から端子付き電線18を取外す際には、電線保持バー80の並び方向中間部に向けて端子付き電線18の端部を引抜くようにすればよく、端子付き電線18の取外し作業を円滑に行える。
ところで、上記したように、バー送り部材30の上流側部分と下流側部分とは、バー当接部35及びバネ部36の有無を除いて、鏡像対称性を有している。このため、上記のように、複数列のバー送り部材30を左右で対向する姿勢とした場合、左側のバー送り部材30の上流側部分を右側のバー送り部材30の下流側部分として、また、右側のバー送り部材30の上流側部分を左側のバー送り部材30の下流側部分として利用できる。このため、バー送り部材30を構成する部品用の成形金型種類を少なくすることができる。
なお、上記のように並行状に配設されたバー送り部材30の底板部31aの一側縁部には、透明樹脂シート等のシート状部材38が垂下がるように取付支持されている。このシート状部材38は、各バー送り部材30間に介在し、各列間において、電線保持バー80から垂下がる端子付き電線18同士が絡むのを防止する役割を有している。
コネクタ保持部60は、コネクタセット部64を有する部材であり、上記複数のバー送り部材30に対して送り方向Pの下流側に設けられている(図14〜図17参照)。より具体的には、コネクタ保持部60は、コネクタ保持本体部62と複数のコネクタセット部64とを有している。コネクタ保持本体部62は、略長方形板状に形成されており、その長手方向寸法はフレーム体21の幅寸法と略同じに形成されている。コネクタセット部64は、仮結を製造するためのコネクタ14を所定位置及び所定姿勢に保持可能に構成されている。ここでは、コネクタセット部64は、樹脂等により形成された部材であり、当該コネクタ14の外形状に応じた凹部を有している。このコネクタセット部64は、コネクタ保持本体部62に嵌め込み或はねじ止構造等によって一定位置に取付固定されている。また、複数のコネクタセット部64は所定の配列形態で並ぶようにして、コネクタ保持本体部62に取付固定されている。複数のコネクタセット部64の位置関係は、横一列に並ぶ態様であってもよいし、縦横に並ぶ態様であってもよい。好ましくは、製造される仮結に必要とされるコネクタ14に応じてコネクタセット部64が着脱自在に交換可能であるとよい。そして、複数のコネクタ14をそれぞれ対応するコネクタセット部64の凹部に嵌め込むことで、当該複数のコネクタ14が所定の配列関係で保持されるようになっている。
なお、上記コネクタ14は、自動車等に搭載される各種電機部品への接続に供される部材であり、端子付き電線18の端部の端子を挿入保持可能なキャビティを複数有している。
このコネクタ保持部60は、上記フレーム体21のコネクタ保持部支持フレーム部24によって、バー送り部材30の送り方向P下流側部分上方位置で、前方(送り方向下流側向き)斜め上向き姿勢に支持固定されている。これにより、各コネクタセット部64は、バー送り案内溝32の下流側部分上方位置に配設され、バー送り案内溝32の下流側部分はコネクタセット部64の前方に突出して配設されることになる。なお、上記のようにコネクタ保持部60を前方斜め上向き姿勢としているのは、作業者が端子付き電線18の端子をコネクタ14に容易に挿入できるようにするためである。
もっとも、コネクタ保持部60及びコネクタセット部64は、上記位置に限らず、バー送り案内溝32の送り方向Pの下流側対向位置等にあってもよい。つまり、コネクタ保持部60及びコネクタセット部64は、バー送り案内溝32の送り方向Pの下流側近傍位置にあり、電線保持バー80から取出した端子付き電線18の端部を少ない移動距離でコネクタ14にセット可能な位置にあればよい。また、コネクタ保持部60及びコネクタセット部64の姿勢も上記に限らず、上方又は横方向を向いていてもよい。また、コネクタ保持部60は、コネクタ14を一定位置に保持可能な構成あればよく、上記構成に限られない。
また、本電線接続集合体製造支援装置20は、上記コネクタセット部64にセットされたコネクタ14から延出する端子付き電線18を、バー送り部材30の最下流側の電線保持バー80に保持された端子付き電線18と接触しないように案内する電線案内線状部材28を有している(図16参照)。ここでは、電線案内線状部材28は紐状部材であり、コネクタ保持部60の前方(送り方向Pの下流側方向)であって各バー送り部材30の下流側端部上方位置に、コネクタ保持部60の長手方向(つまり、各バー送り部材30が並ぶ方向)に沿って延びるように、コネクタ保持部支持フレーム部24に結びつけて固定されている。そして、コネクタセット部64にセットされたコネクタ14から延出する端子付き電線18の長手方向中間部分が当該電線案内線状部材28に引っかけられることで、バー送り部材30の下流側部分で垂下がるようになり、端子付き電線18とバー送り部材30との接触さらにはコネクタ14から延出する端子付き電線18と電線保持バー80に保持された端子付き電線18との絡み防止されるようになっている。
<電線接続集合体の製造方法>
上記のように構成された電線接続集合体製造支援装置20を用いた電線接続集合体の製造方法について図24〜図27を参照して説明する。なお、説明の便宜上、図24〜図27では各構成部材を簡略化して表している。
まず、電線切断圧着機等により、電線に対して所定長の切断及び端子圧着処理を施して端子付き電線18を製造する。端子付き電線18としては、電線の種類、電線長、端子の種類等の組合わせにより、複数種のものが製造される。そして、複数種類の端子付き電線18の端部を、各種類別に、電線保持バー80に保持させる。この際、各電線保持部90において、一対の弾性挟持片96の突出寸法は、保持対象となる端子付き電線18の直径に応じたものとされている。そして、端子付き電線18を電線保持バー80で保持した状態で電線保持バー80を搬送することで、端子付き電線18を、電線接続集合体製造支援装置20が設置された製造現場に搬送する。
次に、図24に示すように、複数列のバー送り部材30のそれぞれに、送り方向Pの上流側から、端子付き電線18の種類別に電線保持バー80を複数挿入する。つまり、ある列のバー送り部材30には、同種の端子付き電線18を保持した電線保持バー80を複数挿入し、これを他の列についても同様に行う。
これにより、複数列のそれぞれにおいて、電線保持バー80複数が送り方向Pに沿って直線状に整列した状態で移動可能に支持されると共に、複数種の端子付き電線18を前記複数列毎に種類別に電線保持バー80により保持した工程が実現される。
次に、図25に示すように、コネクタセット部64の前方で、作業者は、仮結を製造するのに必要な端子付き電線18を、送り方向Pの最下流側の電線保持バー80から取外し、その端子付き電線18の端部をコネクタ14に挿入する。
さらに、図26に示すように、これを製造対象となる仮結を構成する各種端子付き電線18に対して同様に繰返して行う。そして、複数列から供給される複数種の端子付き電線18をコネクタ14に挿入していくことで、図28に示すように、複数種の端子付き電線18の端部が複数のコネクタ14に挿入されることで、複数の端子付き電線18が組合わせて接続された電線接続集合体である仮結19が製造されることになる。
また、上記仮結19の製造途中又は仮結19の製造終了段階で、ある列の送り方向Pの最下流側の電線保持バー80の全ての端子付き電線18が取外されたとする。つまり、ある種類の端子付き電線18が最下流側の電線保持バー80から全て取外されたとする(図26の最左列参照)。この場合、図27に示すように、その空になった電線保持バー80を、バー送り案内溝32の下流側から取外す(矢符Z参照)。すると、バー送り部材30の傾斜により、当該列において次順の電線保持バー80が送り方向Pの下流側に移動し、当該バー送り部材30の最下流側に配設される。このため、作業者は、続けて端子付き電線18の取外し及びコネクタ14への接続作業を行うことができる。
なお、電線保持バー80の両端部には永久磁石88が設けられているため、バー送り部材30に支持された電線保持バー80は磁力により直線状に連なった状態で一体的となって下流側に移動するため、次順、次々順の電線保持バー80も円滑に下流側に移動する。
上記電線接続集合体製造支援装置及び電線接続集合体の製造方法によると、複数の電線保持バー80を、バー送り案内溝32内にその上流側より挿入して直線状に整列した状態で支持することができる。そして、バー送り案内溝32の下流側で、電線保持バー80にセットされ端子付き電線18を取外し、その端子付き電線18の端部をコネクタ保持部60のコネクタセット部64にセットされたコネクタ14に挿入することで電線接続集合体である仮結19を製造することができる。そして、ある列の最下流側の電線保持バー80が空になると、当該空になった電線保持バー80を下流側から取外して、次順の電線保持バー80を最下流側に配設し、続けて端子付き電線18の供給及びそのコネクタ14への挿入作業を行うことができる。このため、バー送り案内溝32により整列状に支持された複数の電線保持バー80により多数の端子付き電線18を連続的に作業者に供給することができる。
また、端子付き電線18は、電線保持バー80の電線保持部90に保持された状態で供給されることになるため、端子付き電線18相互の接触及び絡みが抑制され、端子付き電線18の傷付き、破損を有効に防止することができると共に、端子付き電線18の取出しも円滑に行える。
また、バー送り部材30は、複数の電線保持バー80を送り方向Pに沿って直列状に整列した状態で移動可能に支持するように構成されているため、送り方向Pに略直交するにおいてバー送り部材30の幅寸法を小さくすることができ、バー送り部材30を多数列設けることができる。これにより、比較的多種類の端子付き電線18を各列毎に供給することができる。
また、電線保持バー80はその長手方向に沿った方向に送られるため、端子付き電線18電線間で絡みにくく、また、絡んだとしても同じ電線保持バー80内に保持され端子付き電線18での絡みがほとんどとなるため、その絡みのほぐしも比較的容易に行うことができる。
また、バー送り部材30を吊下げた状態で支持しているため、吊下げ支持部材40への端子付き電線18の絡みが防止される。
さらに、バー送り部材30は、電線保持部90が斜め上方を向くように、電線保持バー80を移動可能に支持しているため、作業者が電線保持部90に保持された端子付き電線18を取出し易い。
また、コネクタセット部64は、バー送り案内溝32の下流側部分上方位置に配設されているため、電線保持バー80をコネクタセット部64から突出させた位置に配設することができる。このため、電線保持バー80からの端子付き電線18の取外しを容易に行えると共に、取外した端子付き電線18の端部をコネクタセット部64にセットされたコネクタ14に挿入する作業も容易に行える。
また、上記電線接続集合体の製造方法によると、それぞれの列の電線保持バー80には、同種の端子付き電線18が保持されている。このため、事前に準備する電線保持バー80には、同じ種類の端子付き電線18を保持させればよく、その準備作業を比較的容易に行うことができる。
もっとも、各列のバー送り部材30には、必ずしも同種の端子付き電線18を保持した電線保持バー80が配設される必要はなく、製造上の要請等に応じて、複数種の端子付き電線18が混在していてもよい。
<変形例>
なお、上記電線保持部90において、一対の弾性挟持片96を突出寸法調整可能に支持する構成は上記例に限られない。例えば、一対の弾性挟持片の基端部及び挟持片固定基部の一方の部材に一対の弾性挟持片の突出方向に沿って複数の孔が形成され、他方の部材に一つの孔が形成され、一方の部材に形成された複数の孔のうちの一つと他方の部材に形成された一つの孔に固定ピンを挿通することで、一対の弾性挟持片の突出寸法を調整可能にする構成であってもよい。
また、一対の弾性挟持片の基端部がそれぞれ別の凹部に挿入され、別々に固定保持される構成であってもよい。この場合に、共通する固定ピンで固定してもよいし、別々の固定ピンで固定してもよい。
また、上記電線保持バー80の使用例は単なる一例である。いかなる製造段階或は電線の取扱い場面においても、電線を保持することができる。また、一つの電線保持バー80によって複数径の電線を混在して保持してもよい。この場合、各電線保持部90では、それぞれで保持対象となる電線径に応じて、一対の弾性挟持片96の突出寸法が調整されているとよい。