JP5301331B2 - 冷菓ミックスの粘度抑制方法及び該方法により製造された冷菓 - Google Patents

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本発明は、冷菓製造時に問題となる、冷菓ミックスの粘度上昇を抑制する方法及び当該方法により製造された冷菓に関する。詳細には、特に冷菓ミックスの粘度上昇が問題となるチョコレートを含有する冷菓に関し、原料の混合、均質化、殺菌、エージングなどの各製造工程において問題となる経時的増粘が抑制されることにより、冷菓製造に支障を来すことなく、製造することが可能となる方法に関する。
アイスクリーム類(アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス)に代表される冷菓の製造には、原料を混合、均質化、殺菌した後、エージングという工程が必須となる。中でも、アイスクリームなどの乳脂肪分含量の高い冷菓や、固形分の高い濃厚な冷菓や、チョコレート冷菓などのカカオ油脂分、乳脂肪、植物性油脂などの複数の異なるタイプの油脂分を含む冷菓の製造時においては、冷菓ミックスを低温で長時間保持するエージング工程を始めとして、原料の混合、均質化、殺菌などの各冷菓製造工程におけるミックスの増粘が製造上大きな問題となっている。
中でも、チョコレートを含有する冷菓は、チョコレートの風味付けのためにカカオマスやチョコレートとココアパウダーとの併用が多くなっている。チョコレートアイスクリームの場合も「チョコレートを加えたものであって、その含有率がカカオ分として1.5%以上である(公正競争規約による)」基準を満たすために、カカオマスやチョコレートとココアパウダーとの併用が多くなっている。これら原料に含まれるカカオ油脂分が他の冷菓原料となる乳脂肪や植物性油脂等の油脂分と一体化し、該油脂分と水との乳化を阻害してしまい、チョコレートを使用した冷菓ミックスの流動性が失われてしまうことが問題となっている。従って、チョコレート冷菓を製造する場合には、配合上、チョコレートの添加量を少なめに調整したり、ココアパウダー主体で風味付けを行うなど、各製造工程において、ミックスが増粘するのを避ける方法が採られてきた。
しかし、ココアパウダー主体で風味付けを行った場合、「ココア感」は付与されるものの、濃厚なチョコレートの風味を付与することは難しく、チョコレートの風味を付与するためには、カカオバターなどのカカオ油脂分の含量を増やす必要があるため、カカオ油脂分を高含量含む冷菓ミックスの増粘を抑制する方法がいくつか検討されている。
例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びクエン酸モノグリセリドを含有することによりチョコレート冷菓ミックスが、通常の冷菓ミックスと同等の流動性を有すること(特許文献1)、メタリン酸塩またはポリリン酸塩を含有することによりカカオバターを多量に含む冷菓ミックスの経時的増粘を軽減すること(特許文献2)などが挙げられる。しかし、グリセリン脂肪酸エステルやクエン酸モノグリセリドでは、冷菓ミックスの増粘を抑制することは難しく、また、リン酸塩は一定の粘度抑制効果は見られるものの、塩類特有の風味があるため冷菓の風味と合わず好まれない場合があり、さらに最終の冷菓製品の表示上の問題などから敬遠される傾向がある。
一方、乳清タンパク質は各種用途で冷菓に使用されている。例えば、脂肪代替として乳脂肪分に代えて、乳清タンパク質を使用する冷菓(特許文献3、特許文献4、特許文献5)、保形性や組織安定性などを目的に乳清タンパク質を使用する冷菓(特許文献6、特許文献7)、食感改良を目的に乳清タンパク質を使用する冷菓(特許文献8,特許文献9)などが知られている。しかし、例えば、脂肪代替に使用する場合には、乳清タンパク質をゲル化させたり、凍結ゲルを調製してから冷菓ミックスに添加しているものであり、冷菓ミックスの粘度の抑制に関しては、全く検討されていない。
更には、乳清タンパク質は増粘特性を付与することも知られている。例えば、部分加熱変性したホエータンパク質を配合することにより、目的とする適切な粘度と濃厚感を有し、粘度低下のないソースを提供できることが記載されており(特許文献10)、増粘安定性を付与することは知られているが、逆に、粘度上昇を抑制する効果については全く知られていない。
特開2003−52310号公報 特開2007−135405号公報 特許第2838284号公報 特公平7−110204号公報 特公平7−71448号公報 特開平9−172973号公報 特許第2745108号公報 特開2005−130751号公報 特開2008−29292号公報 特開平8−238078号公報
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、特に脂肪含量が高い冷菓や、チョコレートを含有する冷菓の製造時において、経時的に生じる増粘が抑制されることにより、冷菓製造に支障を来すことなく製造することが可能な、冷菓ミックスの調製方法及び当該方法により製造された冷菓を提供することを目的とする。
本発明者らは、冷菓用安定剤に特に注目して鋭意研究を重ねていたところ、冷菓ミックス中に乳清タンパク質を含有することにより、製造工程中における当該冷菓ミックスの経時的増粘が抑制されるため、冷菓製造に支障を来すことなく製造することが可能となることを見いだした。特に冷菓の各製造工程における冷菓ミックスの経時的増粘が問題となる、乳脂肪分の含量や固形分の含量が高いアイスクリームや、乳脂肪分や植物性脂肪分、カカオ油脂分などの複数の異なるタイプの油脂分を含むチョコレートを含有する冷菓のミックスに対して有効であることが判った。
本発明は以下の態様を有する;
項1.冷菓ミックス中に乳清タンパク質を含有することを特徴とする冷菓ミックスの粘度上昇を抑制する方法。
項2.冷菓が、カカオ油脂分を配合する冷菓である、項1に記載の冷菓ミックスの粘度上昇を抑制する方法。
項3.カカオ油脂分を配合する冷菓であって、該冷菓中に乳清タンパク質を含有することを特徴とする冷菓の製造方法。
項4.項3に記載の方法により製造された冷菓。
項5.冷菓中にカカオ油脂分を0.3質量%以上含有する項4記載の冷菓。
項6.冷菓中に乳清タンパク質を0.05〜2質量%含有する項4又は5に記載の冷菓。
本発明により、冷菓ミックスの製造工程中における経時的増粘が抑制されるため、冷菓製造に支障を来すことなく冷菓を製造することが可能となった。
実験例1において、使用するタンパク質によるチョコレート冷菓ミックスの粘度の違いを表す図である。 実験例2において、乳清タンパク質の添加量の違いによるチョコレート冷菓ミックスの粘度を示す図である。 実験例3において、乳清タンパク質の添加による、高固形・高脂肪の冷菓ミックスの粘度抑制効果を示す図である。
本発明の冷菓ミックスの粘度上昇を抑制する方法に適用される冷菓は、目的とする製品により、種々の形態をとることができる。例えば、アイスクリーム類(アイスクリーム、ラクトアイス、アイスミルク);ソフトクリーム;アイスケーキ、クラッカーサンドアイス、不凍アイスケーキ、コーン入りアイス、カップ入りアイス、シューアイス、アイスもなか;シャーベット;アイスキャンデー;フローズンヨーグルト、シェイク等があげられる。また、冷菓ミックスとは冷菓をフリージングする前の状態を示し、液体の状態である。
中でも、特に冷菓の各製造工程における冷菓ミックスの経時的増粘が問題となっている、乳脂肪分の含量や固形分の含量が高いアイスクリームや、乳脂肪分や植物性脂肪分、カカオ油脂分などの、2種以上の複数の異なるタイプの油脂分を含むチョコレートを含有する冷菓のミックスに対して有効である。具体的には、脂肪分含量が高い、アイスクリーム(乳脂肪分8%以上)、アイスミルク(乳脂肪分3%以上)などの冷菓ミックスや、また、チョコレートを含有する冷菓についても、乳脂肪に加え、植物性油脂やチョコレート由来のカカオ油脂分など、異なるタイプの油脂成分が複合的に含まれる冷菓ミックスについて有効に作用する。
チョコレートを含有する冷菓であるが、具体的にはカカオ油脂分を含有する冷菓のことを言う。カカオ油脂とは、カカオマス、ココアパウダー等のカカオ豆原料由来、もしくはカカオバター同等脂由来の油脂を言う。冷菓中にカカオ油脂が含まれると、他の冷菓原料となる乳脂肪や植物性油脂等の油脂分と一体化し、該油脂分と水との乳化を阻害してしまい、得られる冷菓ミックスが増粘し、流動性が失われることが問題となっている。なお、本願発明のチョコレートを含有する冷菓について、以降、「チョコレート冷菓」と記載する。
チョコレート冷菓ミックス中のカカオ油脂分の配合量として、特に、カカオ油脂分を大量に含む場合はもちろんのこと、カカオ油脂が含まれる冷菓全般に製造中の経時的増粘の現象が見られる。例えば、カカオ油脂分の含有量が0.3質量%以上の場合に、製造中における冷菓ミックスの経時的増粘が問題となる。本発明ではこのようなカカオ油脂分が含まれる冷菓に対して、当該冷菓ミックスの増粘抑制効果が発揮されるものである。なお、カカオ油脂の配合量の上限としては、冷菓の製造できる範囲内であれば特に制限はなく、その他の配合成分にもよるが、30質量%程度を挙げることができる。
本発明では、前述の冷菓ミックスに乳清タンパク質を含有することを特徴とする。本発明で使用する乳清タンパク質は、乳清を限外濾過することにより得られるものであり、いわゆる、ホエープロテインコンセントレート(Whey Protein Concentrate:WPC)と呼ばれるものであり、このWPCを変性、調整等することなく、そのまま添加することを特徴とする。乳清タンパク質のタンパク質含量は、乾物換算で80〜90重量%程度である。
乳清よりタンパク質部分を取りだした製品として、タンパク質含量が乾物換算で90重量%以上とWPCよりも高い、乳清タンパク質単離物(ホエープロテインアイソレート:Whey Protein Isolate :WPI)もある。WPIは、ホエーを限外濾過及びイオン交換することにより、よりタンパク質含量の高いものが得られるものである。本発明ではWPIも使用することができる。
本発明で用いる乳清タンパク質は、上記特徴を有するものであれば良いが、牛乳由来の乳清を原料としたものが好ましく、簡便には商業的に入手することができ、かかるものとして、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のミルプロ[商標]LG、ミルプロ[商標]L−1、ミルプロ[商標]WG−900、ミルプロ[商標]142等を挙げることができる。
この乳清タンパク質の冷菓ミックス中の含有量としては、0.05〜2質量%、好ましくは、0.1〜1質量%、更に好ましくは、0.2〜1質量%を挙げることができる。0.05質量%より添加量が大きく下回ると、冷菓ミックスの経時的増粘の抑制効果が充分でなく、また、2質量%より添加量が大きく上回ると、冷菓の味に影響を与える可能性があるからである。
乳清タンパク質を冷菓ミックスに含有することにより、脂肪含量の高い冷菓であっても、製造工程中、当該冷菓ミックスの経時的増粘が抑制され、冷菓製造に支障を来すことなく、製造することが可能となる。なお、本発明では、冷菓ミックスの増粘抑制の基準として、製造工程中における冷菓ミックスの粘度を1000mPa・s以下、好ましくは800mPa・s以下に抑えることができるかどうかを元に判断を行っている。
更に、本発明は、チョコレート冷菓(カカオ油脂分を配合する冷菓)であって、該冷菓中に乳清タンパク質を含有することを特徴とする冷菓の製造方法に関する。前述の通り、チョコレート冷菓中に乳清タンパク質を含有することにより、原料の混合、均質化、殺菌、エージングなどの各製造工程において問題となる経時的増粘が抑制されることにより、冷菓製造に支障を来すことなく、製造することが可能となる。
本発明のチョコレート冷菓中のカカオ油脂分の配合量として、特に、カカオ油脂分を大量に含む場合はもちろんのこと、カカオ油脂が含まれる冷菓全般に製造中の経時的増粘の現象が見られる。例えば、カカオ油脂分の含有量が0.3質量%以上の場合に、製造中における冷菓ミックスの経時的増粘が問題となる。本発明ではこのようなカカオ油脂分が含まれる冷菓に対して、当該冷菓ミックスの増粘抑制効果が発揮されるものである。なお、カカオ油脂の配合量の上限としては、冷菓の製造できる範囲内であれば特に制限はなく、その他の配合成分にもよるが、30質量%程度を挙げることができる。
また、本発明のチョコレート冷菓中の乳清タンパク質の配合量としては、0.05〜2質量%、好ましくは、0.1〜1質量%、更に好ましくは、0.2〜1質量%を挙げることができる。0.05質量%より添加量が大きく下回ると、冷菓ミックスの経時的増粘の抑制効果が充分でなく、また、2質量%より添加量が大きく上回ると、冷菓の味に影響を与える可能性があるからである。
なお、本発明の効果に悪影響を及ぼさない限度において、前述以外の冷菓用安定剤や乳化剤も併用しても構わない。
冷菓用安定剤の一例としては、グルコマンナン、ガラクトマンナン(ローカストビーンガム、グァーガム、タラガム等)、タマリンドシードガム、カラギナン、トラガントガム、カラヤガム、キサンタンガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、アラビアガム、ガティガム、マクロホモプシスガム、寒天、ゼラチン、ペクチン、カードラン、ラムザンガム、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース、発酵セルロース、微小繊維状セルロース、大豆多糖類、グルテン分解物、乳化性澱粉等から選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。
乳化剤の一例として、グリセリン脂肪酸エステル(モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、クエン酸あるいは乳酸等の有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル)、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、サポニン、ポリソルベート、ステアロイル乳酸塩(ナトリウム、カルシウム)等などを挙げることができる。
本発明で使用するチョコレート冷菓の原料としては、前述の他は従来公知のものを使用することが出来る。例えば、油脂としては、植物油脂、バター等の乳脂肪分、あるいはこれらの分別油脂、硬化油脂、エステル交換油脂等の中から一種又は二種以上を併用することができる。植物油脂の例としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、菜種油、綿実油、コーン油、ひまわり油、オリーブ油、サフラワー油及びパーム核油等を挙げることができる。
タンパク質としては、通常、牛乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、全脂加糖練乳、脱脂加糖練乳、生クリーム、バターなどの、水溶性の乳由来のタンパク質や、卵白などの卵由来のタンパク質を含む成分が好適に用いられる。
甘味料としては、例えば、ショ糖、異性化糖、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖、転化糖、水あめ、粉末水あめ、還元麦芽水あめ、蜂蜜、トレハロース、パラチノース、D−キシロース等の糖類;キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール等の糖アルコール類;サッカリンナトリウム、サイクラメート及びその塩、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、ステビア抽出物に含まれるステビオサイドなどの高甘味度甘味料等を挙げることができる。
また、香料や色素は公知のアイスクリーム生地に添加されるものが選択されて用いられる。その他、カルシウム等のミネラル分やビタミン、カテキン、プロテイン類などの栄養強化に用いられるような食品素材や、ナッツ類、クッキー、チョコレートチップ、クルトン、パン、ドライフルーツ、果肉など冷菓の風味、食感にバラエティを持たせるために不溶性の固形分を適宜添加することができる。
本発明では、冷菓ミックス中に前述の乳清タンパク質を添加する以外は、通常の冷菓の製造工程にて製造することができる。例えば、アイスクリーム類の場合、原料の秤量混合→加温(30〜70℃)→溶解・混合→濾過→ホモジナイズ→殺菌(68℃、30分以上またはHTST殺菌やUHT殺菌)→冷却(5℃以下)→エージング→フレーバー添加→フリージング→充填の工程より必要な工程を適宜選択して製造することができるが、乳清タンパク質は、通常、原料の秤量混合工程中、他の原料と合わせて秤量混合することができる。
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、文中、「部」は「重量部」とし、「*」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、「※」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。
実験例1:チョコレート冷菓ミックスの粘度測定
下記表1及び表2に掲げる処方のうち、水飴、全脂加糖練乳、イオン交換水を撹拌しながら砂糖、脱脂粉乳、ココアパウダー、乳化剤、安定剤、タンパク質の混合物を添加し、80℃達温時、バター、カカオバター、カカオマスを投入し、80℃10分間撹拌溶解した後、均質化(一段目9.8MPa(100kgf/cm2)、二段目4.9MPa(50kgf/cm2)し、5℃まで冷却し、エージングを行い、チョコレート冷菓ミックスを調製した。
ミックス調整日、エージング1日後、2日後、6日後におけるミックスの粘度を測定した(測定条件:BL型回転粘度計、30rpm、5℃)。結果を図1に示す。
Figure 0005301331
チョコレート冷菓ミックスの固形分、脂肪分
全固形分 39.3%
乳脂肪分 2.7%
無脂乳固形分 5.6%
カカオ油脂分 9.7%
Figure 0005301331
図1から明らかなように、乳清タンパク質以外のタンパク質(大豆タンパク質、小麦タンパク質、卵タンパク質)を使用した比較例1〜3と比べ、乳清タンパク質(WPC,WPI)を使用した実施例1〜4は、冷菓ミックスの粘度を格段に低く抑えることができた。
実験例2:チョコレート冷菓ミックスの粘度測定
実験例1と同じ処方(表1)で、乳清タンパク質の添加量を変えて、実験例1と同様の方法でチョコレート冷菓ミックスを調製した。実験例1と同様にミックス調整日、エージング1日後におけるミックスの粘度を測定した(測定条件: BL型回転粘度計、30rpm、5℃)。結果を図2に示す。
Figure 0005301331
図2から明らかなように、いずれの添加量においても、ブランクと比較して、実施例5〜10の冷菓ミックスは増粘を抑えることができた。中でも、乳清タンパク質の添加量が0.2〜1.0%の実施例7〜10は粘度が800mPa・sより低くなり、更に良好であった。
実験例3:高固形・高脂肪の冷菓の粘度測定
下記表4及び表5に掲げる処方のうち、クリームの一部とイオン交換水を撹拌しながら砂糖、脱脂粉乳、乳化剤、安定剤、乳清タンパク質の混合物を添加し、80℃10分間撹拌溶解した後、残りのクリームを添加し、75℃で均質化(一段目9.8MPa(100kgf/cm2)、二段目4.9MPa(50kgf/cm2)し、5℃まで冷却し、エージングを行い、冷菓ミックスを調製した。
ミックス調整1日後におけるミックスの粘度を測定した(測定条件: BL型回転粘度計、30rpm、5℃)。結果を図3に示す。
Figure 0005301331
冷菓ミックスの固形分、脂肪分
全固形分 48.9%
乳脂肪分 22.6%
無脂乳固形分 9.6%
Figure 0005301331
図3から明らかなように、高固形・高脂肪の冷菓においても、ブランクと比較して実施例11の冷菓ミックスは低粘度となった。
本発明により、冷菓ミックスの製造工程中における経時的増粘が抑制されることにより、冷菓製造に支障を来すことなく、製造することが可能になった。

Claims (1)

  1. カカオ油脂分0.3質量%以上及び乳脂肪分2.7質量%以上である冷菓ミックス中に、乳清タンパク質を0.05〜1質量%含有することを特徴とする冷菓ミックスのエージング工程における粘度上昇を抑制する方法(但し、HLB値が2以下の乳化剤と、HLB値が8〜11の乳化剤とを含む冷菓ミックスを除く)。
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