以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
先ず、本発明の実施の形態の概要を説明する。線幅を増減できる線幅補正部により以下の制御を行う。ユーザが手にする最終工程後の定着画像から補正値を決定し、主走査方向及び副走査方向の線幅を別々に補正し、画像読取部と画像形成部の全てに関わる補正値を決定する。更に、最大濃度補正制御及び階調補正制御と重複しない線幅補正制御を行う。更に、画像読取部と画像形成部の全てに関わる補正値、画像形成部に関わる補正値、画像読取部に関わる補正値を各々決定し、出力画像(コピー画像、プリント画像、外部に送信する画像データ)に応じて各々の補正値を適用する。これにより、線幅の忠実再現性を向上させる。
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成例を示す構成図である。
図1において、画像形成装置は、リーダスキャナ100(画像読取手段)、画像形成装置本体200(画像形成手段)から構成されている。画像形成装置は、複数色(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K))に各々対応した複数の画像形成部によりカラー画像を形成し、中間転写方式で記録材に転写を行うタンデム型の電子写真方式の画像形成装置として構成されている。尚、タンデム型はほぼ中間転写ベルトの1回転で1画像を形成できるため高速化に適するが、タンデム型の画像形成装置に限定されず、1ドラム型のカラー画像形成装置または白黒画像形成装置を用いてもよい。
リーダスキャナ100は、原稿照明ランプ及びミラーを有するミラーユニット21、CCDアレイ等からなる撮像素子22、原稿装填部を備えている。原稿装填部にセットされた原稿Gから画像を読み取る際は、ミラーユニット21により原稿Gを走査することで原稿Gの光学像を撮像素子22に結像する。撮像素子22により原稿Gの光学像を光電変換して得た輝度画像信号を、A/D変換部(不図示)によりデジタル画像信号に変換した後、コントローラ30(図2参照)によりガンマ(γ)補正等の画像処理を行う。
画像形成装置本体(以下プリンタと表記)200は、ブラック(K)画像形成部、シアン(C)画像形成部、マゼンタ(M)画像形成部、イエロー(Y)画像形成部、中間転写ベルト10、2次転写ローラ14、定着部16等を備えている。プリンタ200は、コントローラ30から出力される画像データに基づいて記録材P(用紙や透明フィルム)に画像を形成して出力する。尚、プリンタ200は、後述するように画像データを記憶する記憶部(不図示)を備えている。
ブラック画像形成部は、感光ドラム1K、帯電ローラ2K、露光部3K、現像部4K、1次転写ローラ5K、クリーニング部6Kを備えている。シアン画像形成部は、感光ドラム1C、帯電ローラ2C、露光部3C、現像部4C、1次転写ローラ5C、クリーニング部6Cを備えている。マゼンタ画像形成部は、感光ドラム1M、帯電ローラ2M、露光部3M、現像部4M、1次転写ローラ5M、クリーニング部6Mを備えている。イエロー画像形成部は、感光ドラム1Y、帯電ローラ2Y、露光部3Y、現像部4Y、1次転写ローラ5Y、クリーニング部6Yを備えている。
上記複数色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の画像形成部のうちイエロー画像形成部による画像形成動作を例に挙げて説明する。感光ドラム1Yが矢印A方向に回転し、帯電ローラ2Yにより感光ドラム1Yの表面を均一に帯電する。露光部3Yによりコントローラ30からの画像情報に応じたレーザ光を感光ドラム1Yの表面に照射することで、感光ドラム1Y上に静電潜像を形成する。
現像部4Yにより感光ドラム1Y上の静電潜像をイエロートナーで現像することで、感光ドラム1Y上にイエロートナー画像を形成する。1次転写ローラ5Yにより感光ドラム1Y上のイエロートナー画像を、ローラ11、12、13を介して矢印B方向に回転する中間転写ベルト10上に1次転写する。1次転写を終了した感光ドラム1Y上の1次転写残トナーをクリーニング部6Yにより除去した後、次の画像形成に備える。
同様に、ブラック画像形成部、シアン画像形成部、マゼンタ画像形成部において、それぞれ、マゼンタトナー画像、シアントナー画像、ブラックトナー画像を順次、中間転写ベルト10上のイエロートナー画像に重ねて1次転写する。
1次転写で形成された中間転写ベルト10上の4色の重ね合わせトナー画像を、2次転写ローラ14により記録材P上に一括して2次転写した後、定着部16に搬送する。定着部16により記録材P上のカラー画像を定着した後、画像形成装置に装備された排出トレイ(不図示)に排出する。2次転写を終了した中間転写ベルト10上の2次転写残トナーをクリーニング部15により除去した後、次の画像形成に備える。
図2は、画像形成装置の制御を司るコントローラ30を中心とした構成例を示すブロック図である。
図2において、コントローラ30は、制御部300、ネットワークインタフェース(I/F)301、PDL処理部303、操作部304、画像処理部305を備えている。制御部300は、各部を制御するものであり、ユーザから操作部304により原稿の読み取りを指示されると、リーダスキャナ100により原稿の読み取りを行うと共に、原稿から読み取った画像に対応する画像データを画像処理部305に出力するよう制御する。また、制御部300は、プログラムに基づき、図5(第1の実施の形態)、図11(第2の実施の形態)の各フローチャートに示す処理を実行する。
画像処理部305は、リーダスキャナ100から出力された画像データに画像処理を施す。例えば、複写(コピー)の場合は、リーダスキャナ100から出力された画像データに、コピー出力に適した画像処理を施し、画像処理後の画像データをプリンタ200に出力する。これにより、記録材にコピー画像が形成される。制御部300は、リーダスキャナ100及びプリンタ200と所定のインタフェースを介して各々接続されている。制御部300は、リーダスキャナ100及びプリンタ200の各々の動作状態を示すステータス情報を取得し、ステータス情報に基づきリーダスキャナ100及びプリンタ200の動作を制御する。
ネットワークインタフェース(I/F)301は、ローカルエリアネットワーク(LAN)等のネットワーク302に接続し、ネットワーク302に接続されたパーソナルコンピュータ(以下PC)等と通信し、様々なコマンドやデータをやり取りする。例えば、画像形成装置がPCから記述言語(例えばPDL)で記述された画像データ(PDLデータ)を含む印刷信号を受信した場合、制御部300は、PDLデータをPDL処理部303に供給する。
PDL処理部303は、PDLデータを処理して得た画像データを画像処理部305に出力する。画像処理部305は、PDL処理部303から出力された画像データにプリント出力に適した画像処理を施し、画像処理後の画像データをプリンタ200に出力する。これにより、プリンタ200はプリント画像を記録材に形成する。操作部304は、ユーザから入力された指示を制御部300に伝えると共に、画像形成装置の状態等を表示する。
また、制御部300は、ユーザから操作部304により原稿の読み取りが指示された場合、リーダスキャナ100に原稿を読み取らせる。更に、制御部300は、リーダスキャナ100により原稿から読み取った画像に対応する画像データを画像処理部305に生成させ、その画像データをファイル等の形式としてネットワーク302を介してPC等に送信する。尚、コントローラ30内部には、ファクシミリの送受信部、電話回線とのインタフェース等を備えているが、ここでは説明を省略する。
図3は、コントローラ30の画像処理部305の機能構成例を示すブロック図である。
図3において、画像処理部305は、シェーディング補正部3051、入力色処理部3052、空間フィルタ部3053、LOG処理部3054、出力色処理部3055、ガンマ(γ)補正部3056、スムージング処理部3057を備えている。
リーダスキャナ100から出力される画像データは、一般的にRGB画像データである。リーダスキャナ100において撮像素子22により原稿の光学像を光電変換して得た輝度画像信号をA/D変換部によりデジタル画像信号(RGB画像データ)に変換し、画像処理部305に出力する。画像処理部305は、リーダスキャナ100から出力されたRGB画像データに、シェーディング補正部3051により白基準の補正を施し、入力色処理部3052により入力マスキング処理を施す。これにより、撮像素子22のCCD分光特性に起因する色の濁り等が取り除かれる。
更に、空間フィルタ部3053によりRGB画像データの周波数特性を修正し、LOG処理部3054により輝度信号であるRGB画像データ(RGB信号)を反転して濃度信号に変換することにより、YMC信号を得る。更に、出力色処理部3055により公知の出力マスキング法や3次元ルックアップテーブル(LUT)補間演算を用いて、YMC信号からYMCK信号に変換し、ガンマ補正部3056に入力する。
画像処理部305は、上記の処理で得たRGB画像データ(コピー出力画像データ)、またはPDL処理部303が生成したRGB画像データ(プリント出力画像データ)を、4色に分解する場合は、出力色処理部3055によりYMCK信号に色分解する。PDL処理部303はYMCK画像データを出力する場合があるが、この場合は、YMCK画像データを、出力色処理部3055によりYMCK信号に色処理する。
次に、画像処理部305において、色分解した信号をガンマ(γ)補正部3056に入力する。ガンマ補正部3056により各色独立のルックアップテーブル(LUT)を用いて階調補正を行い、色分解信号に出力特性の補正(ガンマ補正)を施す。最後に、ガンマ補正を施した信号をスムージング処理部3057に入力する。スムージング処理部3057により信号にスムージング処理を施し、プリンタ200に出力する。これにより、プリンタ200により記録材に画像が形成される。
図4は、線幅補正部40の構成例を示すブロック図である。
図4において、線幅補正部40は、制御部400、データ記憶部401、データ比較部402、補正値算出部403、補正値補間部404、線幅補正用基準画像記憶部405、線幅補正処理部406を備えている。
制御部400は、線幅補正部40の各部を制御する。データ記憶部401には、リーダスキャナ100により読み取った線幅補正用基準画像の線幅がデータ1(第1の画像データ)として記憶される。また、データ記憶部401には、リーダスキャナ100により読み取った線幅補正用基準画像をプリンタ200により記録材に形成して得たコピー画像を更にリーダスキャナ100により読み取った画像の線幅がデータ2(第2の画像データ)として記憶される。
データ比較部402(比較手段)は、データ1とデータ2とを比較する。また、後述の第2の実施の形態で説明するように、データ比較部402は、データ1とデータ3とを比較する。補正値算出部403(算出手段)は、データ1とデータ2との差分に基づいて、原稿の画像の線幅とコピー画像の線幅が等しくなるような補正値A(第1の補正値)を算出する。また、後述の第2の実施の形態で説明するように、補正値算出部403は、データ1とデータ3との差分に基づいて補正値Bを算出し、更に、補正値Aと補正値Bとの差分である補正値Cを算出する。
補正値補間部404は、後述の図15に示す横線の線幅補正量と縦線の線幅補正量を線形補間することで補正量を決定する。線幅補正用基準画像記憶部405には、線幅補正用基準画像データが記憶されている。線幅補正処理部406(補正手段)は、原稿の画像の線幅とコピー画像の線幅とが等しくなるように、補正値Aに基づいて、原稿から読み取って得た画像データに対し線幅補正処理(ドットを間引く細らせ処理またはドットを付加する太らせ処理)を行う。また、後述の第2の実施の形態で説明するように、線幅補正処理部406は、補正値B、補正値Cに基づいて、それぞれ線幅補正処理を行う。
次に、上記構成を有する本実施の形態の画像形成装置の動作について図5〜図10を参照しながら説明する。
図5は、線幅補正制御の例を示すフローチャートである。
図5において、先ず、コントローラ30は、例えば図6に示す線幅補正用基準画像をリーダスキャナ100により読み取り、線幅補正用基準画像を線幅補正部40に出力する。更に、コントローラ30は、線幅補正部40の制御部400により線幅補正用基準画像の線幅をデータ1として線幅補正部40のデータ記憶部401に記憶する(ステップS1)。ここで、線幅補正用基準画像は次のどちらでもよい。マスターチャートとして画像形成装置に記憶してある画像、または線幅補正用基準画像記憶部405に記憶してある線幅補正用基準画像データを基にプリンタ200により記録材に画像形成して出力したプリント画像のどちらでもよい。
また、コントローラ30は、線幅補正用基準画像をリーダスキャナ100により読み取って得た画像データを画像処理部305により画像処理した後、プリンタ200により線幅補正用基準画像のコピー画像を記録材に形成し排出トレイに出力する(ステップS2)。その後、ユーザが排出トレイから記録材を取り出してリーダスキャナ100の原稿装填部にセットする。
これに伴い、コントローラ30は、原稿装填部にセットされた記録材から線幅補正用基準画像のコピー画像をリーダスキャナ100により読み取り、線幅補正部40に出力する。更に、コントローラ30は、線幅補正部40の制御部400によりコピー画像の線幅をデータ2としてデータ記憶部401に記憶する(ステップS3)。
次に、コントローラ30は、データ比較部402によりデータ1とデータ2とを比較する(ステップS4)。次に、コントローラ30は、データ1とデータ2の差分に基づき、データ2をデータ1と略等しい線幅となるような(両データの線幅が等しくなるような)補正値Aを補正値算出部403により算出する(ステップS5)。これにより、線幅補正制御を終了する(ステップS11)。この補正値A(第1の補正値)は、リーダスキャナ100とプリンタ200を含めた線幅の補正値である。以上でコピー画像出力時の線幅補正値の算出が終了する。
実際の原稿の画像を記録材に形成するコピー出力時は、原稿をリーダスキャナ100により読み取って得た画像データをコントローラ30により線幅補正部40に出力する。次に、線幅補正部40の線幅補正処理部406により以下の処理を実施する。原稿の画像の線幅とコピー画像の線幅とが等しくなるように、補正値Aに基づいて、コピー出力時の画像データに対してドットを間引く細らせ処理またはドットを付加する太らせ処理の線幅補正処理を実施する。
その後、線幅補正部40から線幅補正処理後の画像データをコントローラ30に出力し、コントローラ30の制御によりプリンタ200により画像形成を行い、コピー画像を出力する。
横線(感光ドラムの回転軸の方向に平行な主走査方向の線)と、縦線(感光ドラムの回転軸に対して直交する副走査方向の線)で補正値が異なる場合は、補正値算出部403により横線の補正値A1と縦線の補正値A2を算出する。そして、主走査方向と副走査方向で画像データの補正量を異ならせると、より好適である。上述した特許文献7には、横線が細く縦線が太いとの記述があるが、これは画像形成装置の構成によって異なっている。感光ドラムと現像スリーブが非接触のジャンピング現像方式の場合は、「掃き寄せ」と称する現象のため、画像後端エッジのトナー付着量が多くなるために、横線が太く縦線が細くなる画像形成装置もある。
横線と縦線の線幅の割合は、ある程度、画像形成装置の構成によって決定される。そのため、例えば横線または縦線の一方の補正値を上記の方法により算出した後、他方の補正値を計算式により算出する方法をとると、線幅補正制御時間の短縮を図ることができる。また、横線と縦線の中間、即ち例えば斜め45度の斜線(感光ドラムの回転軸に平行でない方向の線)の補正値を上記の方法により算出した後、横線と縦線の補正値を計算式により算出する方法でもよい。
横線と縦線の補正値の算出例は以下の通りである。例えば図6に示すように1200dpi(dot per inch)の8ドットラインで横線と縦線の各3本ずつの線幅補正用基準画像を設定した場合を例にとる。線幅は1本あたり3箇所で3本合計で9箇所を測定し、上限値と下限値を除いた7箇所の測定値を平均した平均値を用いる。これを横線と縦線の各々で算出する。この平均値を用いて算出したデータ1とデータ2との差分から、例えば、横線の補正値A1=+10μm、縦線の補正値A2=+20μmが算出される。
本実施の形態では、線幅補正用基準画像として以下のような線画像を用いる。即ち、主走査方向、或いは副走査方向、或いは主走査方向と副走査方向の両方、或いは斜め方向(感光ドラムの回転軸に平行でない方向)において、複数の濃度を持つ単色(Y・M・C・K)または複数色(R・G・B)からなる複数種類の線画像を用いる。
次に、線幅補正部40の線幅補正処理部406における線幅補正処理として、ドットを間引く細らせ処理と、ドットを付加する太らせ処理について説明する。本実施の形態では、リーダスキャナ100による原稿の画像読み込み、画像データ、画像形成、線幅補正における解像度は、1200dpiが可能であり、1200dpiの1ドットサイズ=約21μmである。
図7に縦線(副走査方向の線)の補正レベル0(補正無し)の画像データ、図8(a)〜(d)に縦線の太らせ処理の補正レベル+1〜補正レベル+4の画像データ、図9(a)〜(d)に縦線の細らせ処理の補正レベル−1〜補正レベル−4を示す。格子の1マスは1200dpiの1ドットである。
図8(a)〜(d)の太らせ処理は、ドット追加がレベル+1〜レベル+4の4段階であり、約+10μm〜+40μmの10μm単位の線幅補正が可能である。図9(a)〜(d)の細らせ処理は、ドット間引きがレベル−1〜レベル−4の4段階であり、約−10μm〜−40μmの10μm単位の線幅補正が可能である。
尚、横線(主走査方向の線)の線幅補正処理に関しては図示しないが、図7〜図9をそれぞれ90度回転させた場合と同様である。
上記の横線の補正値A1=+10μm、縦線の補正値A2=+20μmの算出例において、実際の原稿の画像を記録材に形成するコピー出力時は、以下の処理を行う。主走査方向は補正レベル+1の太らせ処理を、副走査方向は補正レベル+2の太らせ処理を、線幅補正部40の線幅補正処理部406により画像データに線幅補正処理した後、プリンタ200により画像形成を行ってコピー画像を出力する。
本実施の形態では、図8及び図9に示すように補正レベルを10μm刻みの4段階とした場合を例に挙げているが、これに限定されるものではない。例えば図10に示す補正レベル+0.5(線幅補正値:+5μm)のように5μm刻みで補正を可能とするため、ドットの間引き方法またはドットの付加方法を更に細分化して、線幅の補正値を更に細分化できる構成としてもよい。
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、線幅補正用基準画像、線幅補正用基準画像のコピー画像をそれぞれリーダスキャナ100で読み込み、線幅を比較することで補正値を算出する。更に、実際の原稿の画像を記録材に複写するコピー出力時に、補正値に基づき画像データを補正する。
これにより、リーダスキャナ100とプリンタ200の全てを含めた構造的要因等による線幅変動を補正することができるので、原稿の画像の線幅を忠実に再現したコピー画像を得ることが可能となる。従って、バーコード等の情報埋め込み画像において正確に埋め込み情報を取り出すことが可能となると共に、図面等のコピー画像においてデザインも鮮明に再現することが可能となる。
また、本実施の形態の線幅補正は、画像形成条件(レーザパワーや現像バイアス電位等の画像形成条件)を変更しないので、ベタ濃度を維持したまま、横線(主走査方向の線)と縦線(副走査方向の線)とで独立して線幅を補正することが可能となる。また、画像形成装置の構造的な要因等による横線と縦線の線幅の違いを補正することが可能となる。
以上をまとめると、原稿の画像を複写して得たコピー画像の線幅の忠実再現性を向上させることが可能となると共に、横線(主走査方向の線)と縦線(副走査方向の線)を独立して線幅補正することが可能となる。これにより、線幅の忠実再現性を向上させた画像形成装置を提供することができる。
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態に対して、下記の点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上記第1の実施の形態(図1〜図4)の対応するものと同一なので説明を省略する。
図11は、本実施の形態に係る画像形成装置の線幅補正制御の例を示すフローチャートである。
図11において、コントローラ30は、例えば図6に示す線幅補正用基準画像をリーダスキャナ100により読み取り、線幅補正用基準画像を線幅補正部40に出力する。更に、コントローラ30は、線幅補正部40の制御部400により線幅補正用基準画像の線幅をデータ1として線幅補正部40のデータ記憶部401に記憶する(ステップS1)。ここで、線幅補正用基準画像は、マスターチャートとして画像形成装置に記憶してある画像を用いる。以下、コピー画像出力時の線幅補正値である補正値Aを算出するステップS2からステップS5までの処理手順は、上記第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
次に、コントローラ30は、線幅補正部40の線幅補正用基準画像記憶部405に予め記憶されている線幅補正用基準画像データ(マスターチャート)を基に、プリンタ200により記録材に線幅補正用基準画像を形成し排出トレイに出力する(ステップS6)。その後、ユーザが排出トレイから記録材を取り出してリーダスキャナ100の原稿装填部にセットする。
これに伴い、コントローラ30は、原稿装填部にセットされた記録材から線幅補正用基準画像のプリント画像をリーダスキャナ100により読み取り、線幅補正部40に出力する。更に、コントローラ30は、線幅補正部40の制御部400によりプリント画像の線幅をデータ3(第3の画像データ)としてデータ記憶部401に記憶する(ステップS7)。
次に、コントローラ30は、データ比較部402によりデータ1とデー3とを比較する(ステップS8)。更に、コントローラ30は、データ1とデータ3の差分に基づき、データ3をデータ1と略等しい線幅となるような(両データの線幅が等しくなるような)補正値Bを補正値算出部403により算出する(ステップS9)。この補正値B(第2の補正値)は、プリンタ200のみの線幅の補正値である。
次に、コントローラ30は、補正値算出部403により補正値Aと補正値Bとの差分である補正値C(第3の補正値)を算出する(ステップS10)。これにより、線幅補正制御を終了する(ステップS11)。この補正値Cは、リーダスキャナ100のみの線幅の補正値である。以上で線幅補正値の算出を終了する。
実際の原稿の画像を記録材に形成するコピー出力時は、原稿をリーダスキャナ100により読み取って得た画像データをコントローラ30により線幅補正部40に出力する。次に、線幅補正部40の線幅補正処理部406(第1の補正手段、第2の補正手段、第3の補正手段)により以下の処理を実施する。原稿の画像の線幅とコピー画像の線幅とが等しくなるように、補正値Aに基づいて、コピー出力時の画像データに対してドットを間引く細らせ処理またはドットを付加する太らせ処理の線幅補正処理を実施する。
その後、線幅補正部40から線幅補正処理後の画像データをコントローラ30に出力し、コントローラ30の制御によりプリンタ200により画像形成を行い、コピー画像を出力する。
画像形成装置に接続されたPC等から送信された画像データを基に画像を形成するプリント出力の場合は、送信された画像データをコントローラ30により線幅補正部40に出力する。次に、線幅補正部40の線幅補正処理部406により、補正値Bに基づいて、プリント出力時の画像データに対しドットを間引く細らせ処理またはドットを付加する太らせ処理の線幅補正処理を実施する。
その後、線幅補正部40から線幅補正処理後の画像データをコントローラ30に出力し、コントローラ30の制御によりプリンタ200により画像形成を行い、プリント画像を出力する。
また、原稿をリーダスキャナ100により読み取って得た画像データをファイル(例えばPDFファイル)として、例えば画像形成装置に接続されたPCに送信する場合は、画像データをコントローラ30により線幅補正部40に出力する。次に、線幅補正部40の線幅補正処理部406により、補正値Cに基づいて、PC(外部装置)に送信対象の画像データに対しドットを間引く細らせ処理またはドットを付加する太らせ処理の線幅補正処理を実施する。
その後、線幅補正部40から線幅補正処理後の画像データをコントローラ30に出力し、コントローラ30の制御により画像データをファイルとしてPCに送信する。画像形成装置がファクシミリ機能を有する場合は、線幅補正処理後の画像データをファクシミリ送信する。
また、原稿をリーダスキャナ100により読み取って得た画像データをプリンタ200に記憶し、後日、画像データを画像形成して出力するような場合は、画像データをコントローラ30により線幅補正部40に出力する。次に、線幅補正部40の線幅補正処理部406により、補正値Cに基づいて、画像データに対しドットを間引く細らせ処理またはドットを付加する太らせ処理の線幅補正処理を実施する。
その後、線幅補正部40から線幅補正処理後の画像データをコントローラ30に出力し、コントローラ30の制御により画像データをプリンタ200の記憶部(不図示)に記憶する。
これは、例えば帳票等の定型フォーマットをプリンタ200の記憶部に記憶しておき、必要に応じて定型フォーマットを出力して内容を記入する場合等に用いられる。後日、プリンタ200の記憶部に記憶した画像データをプリント出力する場合は、画像データをコントローラ30により線幅補正部40に出力する。次に、線幅補正部40の線幅補正処理部406により、補正値Bに基づいて、画像データに対しドットを間引く細らせ処理またはドットを付加する太らせ処理の線幅補正処理を実施する。
その後、線幅補正部40から線幅補正処理後の画像データをコントローラ30に出力し、コントローラ30の制御によりプリンタ200により画像形成を行い、プリント画像を出力する。
このように、補正値Cにより線幅補正処理を行った後の画像データをプリンタ200の記憶部に記憶する。これにより、後日、プリンタ200により画像を形成し出力する場合は、補正値Bにより線幅補正処理が必要であるが、画像データをファイルで出力する場合やファクシミリ送信する場合は、新たに線幅補正処理が不要となるので好適である。
横線(主走査方向の線)と縦線(副走査方向の線)で補正値が異なる場合は、補正値算出部403により、横線の補正値と縦線の補正値を次のように算出する。即ち、補正値A1と補正値A2、補正値B1と補正値B2、補正値C1と補正値C2と算出することにより、主走査方向と副走査方向で画像データの補正量を異ならせると、より好適である。
上述したように、横線と縦線の線幅の割合は、ある程度、画像形成装置の構成によって決定される。そのため、横線または縦線の一方の補正値を上記の方法により算出した後、他方の補正値を計算式により算出する方法をとると、線幅補正制御時間の短縮を図ることができる。また、横線と縦線の中間、即ち例えば斜め45度の斜線の補正値を上記の方法により算出した後、横線と縦線の補正値を計算式により算出する方法でもよい。
横線と縦線の補正値の算出例は以下の通りである。例えば図6に示すように1200dpiの8ドットラインで横線と縦線の各3本ずつの線幅補正用基準画像を設定した場合を例にとる。線幅は1本あたり3箇所で3本合計で9箇所を測定し、上限値と下限値を除いた7箇所の測定値を平均した平均値を用いる。これを横線と縦線の各々で算出する。この平均値を用いて算出したデータ1とデータ2との差分から、例えば、コピー出力(リーダスキャナ100による原稿読み取り及びプリンタ200による画像形成)の横線の補正値A1=+10μm、縦線の補正値A2=+20μmが算出される。
同様に、平均値のデータ1とデータ3との差分から、例えば、プリント出力の横線の補正値B1=0μm、縦線の補正値B2=+20μmが算出される。そして、補正値A1と補正値B1との差分、補正値A2と補正値B2との差分から、画像データ出力(リーダスキャナ100による原稿読み取り)の横線の補正値C1=+10μm、縦線の補正値C2=0μmが算出される。
次に、線幅補正部40の線幅補正処理部406における線幅補正処理として、ドットを間引く細らせ処理と、ドットを付加する太らせ処理について説明する。本実施の形態では、リーダスキャナ100による原稿の画像読み込み、画像データ、画像形成、線幅補正における解像度は、1200dpiが可能であり、1200dpiの1ドットサイズ=約21μmで、上記第1の実施の形態と同様である。また、図7〜図9の補正レベルに関しても上記第1の実施の形態と同様である。
上記の横線の補正値A1=+10μm、縦線の補正値A2=+20μmの算出例の場合、実際の原稿コピー出力時には、以下の処理を行いコピー画像を出力する。線幅補正部40の線幅補正処理部406により画像データに対し線幅補正処理(主走査方向は補正レベル+1の太らせ処理、副走査方向は補正レベル+2の太らせ処理)を行った後、プリンタ200により記録材に画像形成を行いコピー画像を出力する。
上記の横線の補正値B1=0μm、縦線の補正値B2=+20μmの算出例の場合、実際のプリント出力時には、以下の処理を行いプリント画像を出力する。線幅補正部40の線幅補正処理部406により画像データに対し線幅補正処理(主走査方向は補正レベル0(補正無し)、副走査方向は補正レベル+2の太らせ処理)を行った後、プリンタ200により記録材に画像形成を行いプリント画像を出力する。
上記の横線の補正値C1=+10μm、縦線の補正値C2=0μmの算出例の場合、実際の画像データ出力時(リーダスキャナ100による原稿読み取り)には、以下の処理を行う。線幅補正部40の線幅補正処理部406により画像データに対し線幅補正処理(主走査方向は補正レベル+1の太らせ処理、副走査方向は補正レベル0(補正無し))を行った後、PCやファクシミリに画像データとして送信する。または、画像データとしてプリンタ200の記憶部に記憶する。
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、線幅補正用基準画像、該線幅補正用基準画像のコピー画像、該線幅補正用基準画像のプリント画像をリーダスキャナ100で読み込み、線幅データを比較することにより、補正値を算出する。更に、実際の原稿コピー出力時、プリント出力時、画像データ出力時において、画像データを補正する。
これにより、リーダスキャナ100とプリンタ200の全てを含めた構造的要因等による線幅変動、プリンタ200のみの構造的要因等による線幅変動、リーダスキャナ100のみの構造的要因等による線幅変動を、各々適正に補正することができる。その結果、リーダスキャナ100及びプリンタ200各々の出力に応じて、線幅を忠実に再現した画像または画像データを得ることができる。
従って、バーコード等の情報埋め込み画像において正確に埋め込み情報を取り出すことが可能となると共に、図面等の画像においてデザインも鮮明に再現したコピー画像またはプリント画像を得ることが可能となる。また、画像データファイルにおいても、線幅を忠実に再現した画像データ及び画像データファイルを得ることが可能となる。
また、本実施の形態の線幅補正は、画像形成条件(レーザパワーや現像バイアス電位等の画像形成条件)を変更しないので、ベタ濃度を維持したまま、横線と縦線とで独立して線幅を調整することが可能となる。
また、例えば画像形成装置がPCから受信した画像情報をプリントするプリント出力画像においても、PC上で設定した所望の線幅を忠実に再現することが可能となる。また、例えば画像形成装置のリーダスキャナで読み取った画像をPCに画像ファイルとして送信する画像データ(電子情報)出力においても、原稿の画像の線幅を忠実に再現することが可能となる。
また、横線(主走査方向の線)と縦線(副走査方向の線)を独立して線幅補正することができるため、画像形成装置の構造的な要因等による横線と縦線の線幅の違いを補正することが可能となる。
以上をまとめると、コピー画像の線幅の忠実再現性を向上させることが可能となると共に、コピー画像以外のプリント画像や画像データの線幅についても忠実再現性を向上させることが可能となる。
〔第3の実施の形態〕
本発明の第3の実施の形態は、上記第1の実施の形態に対して、下記の点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上記第1の実施の形態(図1〜図4)の対応するものと同一なので説明を省略する。
本実施の形態では、画像形成装置の濃度補正制御(最大濃度補正制御、階調補正制御)と線幅補正制御における制御の順番について説明する。
先ず、最大濃度補正制御は、感光ドラム上または中間転写ベルト上に最大濃度補正制御用のテストパッチを作成し、このテストパッチの反射濃度を検知してトナーの最大濃度を補正する制御である。本実施の形態では、図1に示すように中間転写ベルト10上に作成したテストパッチの反射濃度を光学センサ50により検知する方法を採用している。中間転写ベルト10自体の反射濃度は下地補正を行い、中間転写ベルト10に対するトナーの載り量の変化に対応した反射濃度となるように、光学センサ50を補正してある。
テストパッチは、レーザパワーや現像バイアス電位等の画像形成条件を複数種類について変化させることで、各色毎(Y、M、C、K、R、G、B)に作成される。各色毎にテストパッチが所定の濃度となるレーザパワーや現像バイアスを設定する。この時のテストパッチは、ベタ濃度である。
最大濃度補正制御は、環境や経時変化によるプリンタ200の最大濃度変動を低減するものであり、中間転写ベルト10に対する各色の最大トナー載り量を一定とすることで、各色のトナーの最大濃度を一定とするものである。即ち、中間転写ベルト10上に複数色のトナーを重ねた時の色調の変動を低減するためのものである。
次に、階調補正制御は、感光ドラム上または中間転写ベルト上に階調補正制御用のテストパッチを作成し、テストパッチの反射濃度を検知してカラーの画像形成における階調(ある色がほかの色に変化していく段階)を補正する制御である。本実施の形態では、図1に示すように中間転写ベルト10上に作成したテストパッチを光学センサ50により検知する方法を採用している。最大濃度補正制御と同様に、中間転写ベルト10自体の反射濃度は下地補正を行う。
テストパッチは、最大濃度補正制御で決定したレーザパワーや現像バイアス電位等の画像形成条件に基づいて、0〜255の256階調のベタ部から中間調を含む階調パターンが各色毎(Y、M、C、K、R、G、B)に作成される。前記255は、最大濃度制御用のテストパッチと同じベタ部である。実際には、15階調毎のテストパッチ、即ち17階調分のテストパッチの反射濃度を光学センサ50により検知し、その間の反射濃度は線形補間することで階調補正制御時間の短縮を行ってもよい。この反射濃度信号をγ補正することで、256階調の濃度がリニアとなるように各色毎に補正する。
図12は、本実施の形態に係る画像形成装置の階調補正(γ補正)テーブルの例を示す図である。
図12において、階調補正テーブルは、入力画像信号がどのようなレベルの出力画像信号で出力されるかを示すテーブルであり、横軸が入力画像信号、縦軸が出力画像信号である。L1は実際の階調カーブを細い実線で示している。L2は理想の階調カーブを1点鎖線で示している。L3は補正後のカーブを中太の実線で示している。L4は線幅重視の理想の階調カーブを破線で示している。L5は線幅重視の補正後のカーブを太い実線で示している。
実際の階調カーブL1は、上述した階調パターンのテストパッチの反射濃度信号に相当する。図12の例では、実際の階調カーブL1は、理想の階調カーブL2に比べて、低濃度部で低出力、高濃度部で高出力となっている。そこで、実際の階調カーブL1を補正し、その出力レベルを理想の階調カーブL2に近づけるように、補正後のカーブL3に置き換える。
入力画像信号に対して、補正後のカーブL3を用いた出力画像信号とすることにより、画像濃度は入力画像信号に対してリニアとなる。このように、階調補正テーブルにおいて実際の階調カーブL1を補正して補正後のカーブL3に置き換えることで、適正な出力画像信号を得ることができる。この階調補正をγ補正と称するものである。
尚、テストパッチとしては、線画像、ディザ法やスクリーン法等による中間調画像が提案されているが、本実施の形態では、図13に示すように主走査方向と副走査方向に対して45度の斜め線を採用している。斜め線を採用することにより、横線(主走査方向の線)と縦線(副走査方向の線)で線幅が異なる画像形成装置においても、その中間の線幅の濃度で階調補正を行うことで、階調補正後の横線と縦線の線幅が所望の線幅から大きく変動することを防止できる。尚、図13のテストパッチの横に表示してある数字は階調数を示す。
また、画像形成装置が出力する画像に応じて、以下のように階調補正テーブルを変更してもよい。例えば写真等のドットが多い画像の場合は、理想の階調カーブL2となるような補正後のカーブL3を使用するようにしてもよい。あるいは、線画像が多い画像の場合は、線幅重視の理想の階調カーブL4となるような線幅重視の補正後のカーブL5を使用するようにしてもよい。
このように、線幅重視の階調補正テーブルを用いることにより、階調補正後の線幅補正の補正値をより小さくすることができるので、線幅補正によるドット間引き及びドット付加による画質への影響を小さくすることができる。
次に、最大濃度補正制御、階調補正制御、線幅補正制御における制御の順番について説明する。
従来の線幅補正制御では、レーザパワーや現像バイアス電位等の画像形成条件を補正していたため、線幅補正制御を最後に実行すると、最大濃度補正制御や階調補正制御で決定した画像形成条件が変更されてしまう。そのため、特許文献7のように、最大濃度補正制御、線幅補正制御、階調補正制御の順番で制御を実行していた。
これに対し、本実施の形態では、最大濃度補正制御、階調補正制御、線幅補正制御の順番で制御を実行する。本実施の形態の線幅補正制御は、上述したように画像形成条件を変更せずに、画像データのドットの増減により線幅を補正する制御である。従って、最大濃度は変更されず、階調補正制御への影響も小さい。
本実施の形態では、上述した階調補正制御において、斜め線のテストパッチを使用することで、横線と縦線の中間の線幅となっているため、第1の実施の形態及び第2の実施の形態で説明した横線及び縦線の線幅補正は微調整するのみでよい。
本実施の形態のように、最大濃度補正制御、階調補正制御、線幅補正制御の順番で制御を実行することにより、画像濃度(最大濃度及び中間調濃度)に与える影響を最小限に抑制することで、線幅補正を実行することが可能である。これにより、画像濃度が適正な状態で線幅を所望の値に補正することができるので、より好適である。
尚、本実施の形態では、最大濃度補正制御及び階調補正制御は、中間転写ベルト上でテストパッチの濃度を検知して補正する構成を例に挙げたが、これに限定されるものではない。線幅補正制御と同様に、最大濃度補正制御用または階調補正制御用の基準画像を、コピー出力またはプリント出力し、その出力画像をリーダスキャナ100にて読み取り、基準画像と出力画像との差異を補正制御に用いてもよい。この場合は、中間工程での画像濃度では無く、最終的にユーザが手にする画像濃度で補正することができるので、より好適である。
また、上記の最大濃度補正制御用または階調補正制御用の基準画像は次のどちらでもよい。マスターチャートとして画像形成装置に記憶してある画像でもよい。または、プリンタ200の記憶部に記憶してある基準画像データを基にプリンタ200により記録材に画像形成して出力したプリント画像でもよい。
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、最大濃度補正制御と階調補正制御により画像濃度を適正な状態となるように制御した後で、線幅補正制御を行うことで、写真等の階調画像の形成と線画像の線幅の忠実再現性を両立することが可能となる。
〔第4の実施の形態〕
本発明の第4の実施の形態は、上記第1の実施の形態に対して、下記の点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上記第1の実施の形態(図1〜図4)の対応するものと同一なので説明を省略する。
線幅補正制御において、線幅は画像形成装置の構造的な要因により横線(主走査方向の線)と縦線(副走査方向の線)とで異なるので、線幅補正量を横線と縦線とで異なるように設定すると線幅再現性が向上することは上述した。
更に、線のドット幅によっても線幅再現性が異なるので、線幅補正量を変化させるとよい。例えば、1200dpiの細線の1ドットラインや2ドットラインは比較的に細くなり、太線の10ドットラインや20ドットラインは比較的に太くなる。これは、感光ドラム上の潜像がデジタル的に形成されるのでは無く、ある傾きを持ってアナログ的に形成されるためである。
図14は、本実施の形態に係る画像形成装置の感光ドラムに形成する潜像の例を示す図であり、図14(a)は、潜像の理想形状を示す図、図14(b)は、潜像の実際形状を示す図、図14(c)は、潜像の実際形状を示す図である。
図14(a)、図14(b)、図14(c)において、VDは、感光ドラム上の帯電され、レーザが照射されない暗部電位(非画像部電位)である。VLは、感光ドラム上のレーザが照射された明部電位(画像部電位)である。Vdcは、現像バイアス電位である。VLとVdcの電位差によって、トナーTが感光ドラム上のVL部に現像される。
図14(a)は、1200dpiの2ドットラインがデジタル的に形成された潜像の理想形状を示しており、この時の線幅は、2ドット幅の線幅W1となる。
図14(b)は、1200dpiの2ドットラインがアナログ的に形成された潜像の実際の形状を示しており、この時の線幅は、2ドット幅の線幅W1よりも小さい線幅W2となる。これは、潜像が図14(b)で示すように、ある傾きを持って形成されるため、線幅は理想形状の時よりも小さくなる。
図14(c)は、1200dpiの4ドットラインがアナログ的に形成された潜像の実際の形状を示しており、この時の線幅は、線幅W1の2倍よりも小さく、線幅W2の2倍よりも大きい線幅W3となる。
従って、画像形成対象の細線は線幅補正量を大きくする必要があるが、画像形成対象の太線は線幅補正量が小さくてよい。画像形成装置によっては、1200dpiの1ドットラインが再現できずに、消失してしまう場合もある。
図15は、線のドット幅に対する線幅補正量の関係を示す図である。
図15において、横軸は画像形成を行う線のドット幅、縦軸は線幅補正時の線幅補正量(μm)である。線のドット幅が大きくなる程、即ち太線ほど線幅補正量が小さい。白丸を結んだ細い実線が横線(主走査方向の線)で、黒丸を結んだ太い実線が縦線(副走査方向の線)である。線幅補正量は、線幅、濃度、色に応じて、複数段階に設定される。白丸の補正量と黒丸の補正量の間の複数段階の線幅補正量は、線幅補正部40の補正値補間部404により線形補間することで補正量を決定するとよい。
従って、線幅補正用基準画像として、例えば図16に示すような複数種類のドット幅の線画像を用いて、第1の実施の形態や第2の実施の形態の方法で、例えば図15に示すような線幅補正量を算出し、線幅補正処理を行う。これにより、形成される線幅に応じて線幅補正量を変更することができるので、多様な線幅においても適正な線幅補正処理を実行できるため、線幅再現性を更に向上させることができる。図16は、単色画像の例であるが、同様に複数色(Y、M、C、K、R、G、B)において複数のドット幅の線画像を線幅補正用基準画像として用いると、より好適である。
ここで、実際の記録材に形成された画像の線幅は、感光ドラムに潜像を形成した後の転写工程での転写効率やトナーの飛び散り、転写後の定着工程での加圧や加熱によるトナーの押し潰し等の工程を経て、最終的に測定されるものである。上記では簡易的に説明するために、潜像工程での線幅への影響のみを説明した。
また、線のトナー載り量によっても線幅の再現性が異なるので、線幅補正量を変化させるとよい。上記の図15は、単色トナー載り量100%の時において線のドット幅を変化させたものである。これに対し、図17は、8ドットラインにおける記録材上のトナー載り量(%)に対する線幅補正量の関係を示したものである。横軸はトナー載り量(%)、縦軸は線幅補正時の補正量である。ここで、単色(Y、M、C、K)の各々の最大トナー載り量を、トナー載り量100%とする。
線のトナー載り量に関して、黒色の線は、ブラック(K)トナー載り量100%が一般的であるが、灰色(グレー)の線は、例えばブラックトナー載り量50%等がある。また、赤色の線は、例えばイエロー(Y)トナー載り量100%とマゼンタ(M)トナー載り量100%の2色の合算200%となる場合もある。
記録材上のトナー載り量が異なると、定着部16での加圧及び加熱によりトナーが押し広げられる量が異なる。よって、同じ8ドットラインでもトナー載り量が変化すると、所定の8ドットラインの線幅とするためには、線幅補正量を変化させる必要がある。
図17に示すように、トナー載り量が少ないと定着部16でのトナーの押し広げられる量が小さいので、線は細くなるため線幅補正量はプラス側となっている。他方、トナー載り量が多いと定着部16でのトナーの押し広げられる量が大きいので、線は太くなるため線幅補正量はマイナス側となっている。図17では、白丸を結んだ細い実線が横線で、黒丸を結んだ太い実線が縦線である。白丸の補正値と黒丸の補正値の間の線幅補正量は、線幅補正部40の補正値補間部404により線形補間して補正量を決定するとよい。
従って、線幅補正用基準画像として、例えば図18に示すような複数の濃度の線画像を用いて、第1の実施の形態や第2の実施の形態の方法で、例えば図17に示すような線幅補正量を算出して線幅補正処理を行う。即ち、形成される線画像の濃度に応じて、線幅補正量を変更する。これにより、多様な濃度の線画像においても適正な線幅補正処理を実行できるので、線幅再現性を更に向上させることができる。
更に、図18は単色の線画像の例であるが、同様に複数色(Y、M、C、K、R、G、B)において複数の濃度の線画像を線幅補正用基準画像として用い、各色に応じて線幅補正量を算出し、各色に応じて線幅補正処理を行ってもよい。これにより、各色トナーによる線幅変動を補正できるので、より好適である。これは、各色トナーによって、最大濃度時、即ちトナー載り量が100%の時のトナー載り量(g)が若干異なるため、トナー載り量(%)が同一でも線幅に若干変動が発生するためである。
一般的な白黒画像形成装置の最大トナー載り量は100%であり、カラー画像形成装置の最大トナー載り量は200〜280%程度である。
以上説明したように、本実施の形態によれば、線幅補正用基準画像として複数種類のドット幅の線画像を用いて線幅補正処理を行うため、1度の線幅補正作業で様々な条件の補正値を決定することが可能となる。また、複数段階の線幅補正量を設定することで、より詳細な線幅補正を行うことが可能となる。また、線幅補正用基準画像以外の様々な線幅やトナー載り量の画像に対して線形補間により線幅補正量を決定することで、様々な画像における線幅を忠実に再現することが可能となる。
〔第5の実施の形態〕
本発明の第5の実施の形態は、上記第1の実施の形態に対して、下記の点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上記第1の実施の形態(図1〜図4)の対応するものと同一なので説明を省略する。
本実施の形態では、画像形成装置が写真(image)、線画(graphic)、文字(character)等の画像域を判別する画像域分離機能を有する。そして、画像域ごとに、線幅の補正量の調節を含む線幅の補正を実施する/線幅の補正を実施しないを任意に設定可能である。これにより、画像濃度や階調性の変化が少なく高画質で、且つ線幅補正が必要な画像域に線幅補正を実行できる画像形成装置を提供する。
図19は、本実施の形態に係る画像形成装置の画像域分離の例を示す図である。
図19において、1枚の記録材の中で画像域分離を行い、例えば写真(image)、線画(図形)(graphic)、文字(character)に画像データを分離した様子を示している。
ここで、写真(graphic)は、一般的に線画像が少なくベタ部やハーフトーン等のドット部が多いので、線幅の正確な調整を必要とせず、どちらかというと階調性が重要視される。また、写真画像のドットを過度に間引くかまたはドットを過度に付加すると、画像濃度や階調性が大きく変化するという問題が発生する。従って、写真(image)は、線幅補正処理として例えば図15や図17で決定した補正値の50%の線幅補正処理を実行するか、または線幅補正処理を実行しない。これにより、写真(image)において画像劣化の無い階調性の高い画像を得ることができる。
一方、線画(graphic)や文字(character)は、一般的に直線や曲線が多く、線幅が重要視される。線画(graphic)は、特にバーコードや図面等であり、正確な線幅が重要視される。従って、線画(graphic)は、例えば図15や図17で決定した補正値をそのまま適用することで、線幅の再現性を向上させる。これにより、バーコードの読み取り精度の向上、または図面やデザインの再現性の向上を図ることができる。
文字(character)は、特に小ポイント文字において、文字が細いまたは文字が太くて潰れてしまう等、読み取り易さの点で線幅の再現性が重要視される。従って、文字(character)は、線画(graphic)と同様に、例えば図15や図17で決定した補正値をそのまま適用することで、線幅の再現性を向上させる。これにより、文字の識別性の向上を図ることができる。
また、文字(character)の場合は、線幅の再現性が要求されるのは、特に小ポイント文字である。大ポイント文字は、線幅が若干細くても太くても識別性に問題は無い。小ポインド文字において、線幅が細過ぎると文字の消失が発生し、線幅が太すぎると文字の潰れが発生するため、文字を読み取ることができなくなる。従って、文字の場合は、例えば8ポイント以下の文字のみに線幅補正処理を適用することにより、文字の識別性を向上できると共に、線幅補正処理時間を短縮することができる。また、白抜き文字に対しても、白抜き文字に線幅補正処理を適用することにより、適正な線幅の白抜き文字の画像を得ることができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、画像データを写真、線画、文字の画像域に分離し、各々の画像域毎に線幅の補正を実施する/線幅の補正を実施しないを任意に設定できるため、画質劣化を発生させることなく線幅補正を行うことが可能となる。また、線幅補正処理時間を短縮することが可能となる。
〔他の実施の形態〕
第1乃至第5の実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置として複写機を例に挙げたが、電子写真方式のプリンタやファクシミリ等にも適用することができる。
第1乃至第5の実施の形態では、使用した諸数値や図面は、実施の形態の説明を簡略化するための例であり、画像形成装置の構成及び設定等に応じて任意に定めることができる。
第1乃至第5の実施の形態では、上述したように各々の実施の形態に分けて説明したが、本発明の主旨を逸脱しない範囲で各々の実施の形態を任意に組み合わせることが可能である。