JP5298411B2 - エポキシ樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なエポキシ樹脂組成物に関する。詳しくは、光半導体封止用エポキシ樹脂の原料として好適に用いられる、液状のエポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂は、優れた耐熱性、接着性、耐湿性、電気的特性、および機械的特性を有することから、光半導体(以下、「LED」と略称する。)の封止材として広く使用されている。従来、封止材としては、ビスフェノール系ジグリシジルエーテルやフェノール系ノボラック型のエポキシ樹脂が一般的に用いられてきた。しかし、近年実用化されてきている青色から近紫外域の発光波長を有する窒化物系LEDをこれら従来のエポキシ樹脂により封止した場合には、エポキシ樹脂の芳香環が短波長光を吸収することによって黄変し、LEDの発光強度が著しく低下してしまうという問題を生じる。
そのため、短波長のLEDを封止するエポキシ樹脂として、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのような、環状オレフィン化合物を酸化することによって合成される脂環式エポキシ樹脂の硬化物が提案されている。
しかし、脂環式エポキシ樹脂の硬化物としてのエポキシ樹脂は一般に脆く、ヒートサイクルによって内部応力によるクラックの発生が顕著であるため、LED封止材としての長期信頼性に欠けるものである。これに対して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を水素添加して芳香環を脂環式環とした水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂も開発されているが、その硬化物としてのエポキシ樹脂は、脆さは改善されるものの、ガラス転移温度が低下するために耐熱着色性に劣り、黄変しやすいという欠点を有する。
特許文献1には、脆さと耐熱性を改善するために、イソシアヌレート環含有多官能エポキシ樹脂を、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂に配合する方法も提案されている。
しかし、特許文献1に記載されているトリグリシジルイソシアヌレート(以下、「TEPIC」ともいう。)をはじめとするイソシアヌレート環含有多官能エポキシ樹脂は全て常温で固体であり、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂等の液状のエポキシ樹脂に対する溶解性が悪く、一旦高温で均一に溶解させても、室温付近まで冷却すると結晶化して沈殿してしまう。そのため、TEPIC等を配合したエポキシ樹脂組成物を液状で長期保存することができなかった。
例えば、特許文献1に具体的に開示されている、液状の水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂に対してTEPICを20質量%配合量した組成物を作成して室温で保管すると、直ちに沈殿が析出してしまう。したがって、このような組成物を使用するにあたっては、加熱により再溶解して均一化する工程を要するという実用上の問題がある上、使用毎にエポキシ樹脂組成物に対して熱履歴を与えることになるため劣化し易く、得られる硬化物としてのエポキシ樹脂の物性が次第に低下するという問題もあった。
一方、TEPICの低い溶解性を改善する目的で、TEPICをカルボン酸で変性する方法が知られている(特許文献2参照)。特許文献2には、カルボン酸変性TEPICの化学的安定性についての記述はあるが、上述した水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂への溶解性やその保存安定性、さらにはLED封止材としての諸特性に関する具体的な記述はない。
特開2005−306952号公報 特公昭46−37494号公報
本発明は、上記従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、結晶化や相分離等を起こさずに長期保存が可能であり、かつ、熱による黄変劣化を起こしにくい硬化物とすることができる、新規なエポキシ樹脂組成物およびその用途を提供することを目的とする。なお、本発明でいう「エポキシ樹脂」とは、分子内にエポキシ基を2個以上有する有機化合物を意味し、これら有機化合物が縮合してオリゴマー化されているものだけでなく、モノマーの形態も含む概念である。
本発明の第一の態様は、下記成分(A)および成分(B)からなり、前記成分(B)100質量部に対して、前記成分(A)が10〜900質量部混合されてなるエポキシ樹脂組成物であって、下記成分(A)における変性比(下記成分()1モル中に含まれるカルボキシル基のモル量)が0.1〜2.0モルであることを特徴とするエポキシ樹脂組成物を提供して前記課題を解決するものである。
成分(A):カルボン酸で変性された、置換されていてもよいトリグリシジルイソシア
ヌレート類。
成分(B):水素化芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、および脂肪族エポキシ
樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つのエポキシ樹脂であって、25℃で液状であ
るエポキシ樹脂。
本発明の第の態様において記成分(A)と前記成分(B)とを混合して25℃で24時間静置したときの、光路長1cmの石英セルを用いた場合の800nmにおける光線透過率が70%以上であることが好ましい。
また、本発明の第一の態様において、成分(A)は、カルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレート類であることが好ましく、また、成分(A)におけるカルボン酸が、炭素数10以下の脂肪族または脂環式モノカルボン酸であることも好ましく、さらに、成分(A)における変性比は、置換されていてもよいトリグリシジルイソシアヌレート類1モルに対して、カルボン酸のカルボキシル基が0.1〜0.8モルであることも好ましい。
また、本発明の第一の態様において、成分(B)は、液状の水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル類を70質量%以上含むものであることが好ましく、また、その粘度が200Pa・s以下であり、かつ、エポキシ当量が400以下であることが特に好ましい。
また、本発明の第一の態様において、成分(A)と成分(B)の配合比は、成分(B)100質量部に対して成分(A)が40〜900質量部であることが好ましい。
本発明の第の態様は、本発明の第一の態様に係るエポキシ樹脂組成物に下記成分(C)および(D)を配合してなるエポキシ樹脂硬化物用組成物を硬化処理して得られる、白色LED封止材用エポキシ樹脂硬化物を提供して前記課題を解決するものである。
成分(C):酸無水物硬化剤
成分(D):硬化促進剤
本発明の第三の態様は、下記成分(A)および成分(B)からなり、前記成分(B)100質量部に対して、前記成分(A)が10〜900質量部混合されてなるエポキシ樹脂組成物であって、下記成分(A)における変性比(下記成分(A)1モル中に含まれるカルボキシル基のモル量)が、0.1〜2.0モルであることを特徴とするエポキシ樹脂組成物、からなるLED封止材を提供して前記課題を解決するものである。
成分(A):カルボン酸で変性された、置換されていてもよいトリグリシジルイソシアヌレート類。
成分(B):水素化芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、および脂肪族エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つのエポキシ樹脂であって、25℃で液状であるエポキシ樹脂。
本発明の第三の態様において、前記成分(A)と前記成分(B)とを混合して25℃で24時間静置したときの、光路長1cmの石英セルを用いた場合の800nmにおける光線透過率が70%以上であることが好ましい。
本発明によれば、新規な液状のエポキシ樹脂組成物が提供される。このエポキシ樹脂組成物は、結晶化や相分離等を起こさずに長期保存可能であるため、使用のたびに再加熱して均一化する工程が不要である。その結果、効率的にエポキシ樹脂硬化物用組成物やその硬化物を製造できるだけでなく、均一化のための加熱によるエポキシ樹脂の劣化が起こらないため、エポキシ樹脂組成物としての優れた物性を長期間維持することができる。また、このエポキシ樹脂組成物を硬化処理することによって、無色透明で熱による黄変劣化を起こしにくく、密着性、靭性に優れたエポキシ樹脂硬化物を得ることができる。この硬化物は、短波長の光に対しても優れた耐光性を有しているため、青色から近紫外域の短波長域の発光波長を有するLEDの封止材として好適に用いられる。
本発明のこのような作用および利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「エポキシ樹脂組成物」は、エポキシ樹脂の混合物を意味し、「エポキシ樹脂硬化物用組成物」は、「エポキシ樹脂組成物」に、硬化剤および硬化助剤を添加したものを意味し、「エポキシ樹脂硬化物用組成物」を硬化処理して得られる硬化物を「エポキシ樹脂硬化物」という。いずれの組成物においても、その他の任意成分を含んでいてもよいものとする。すなわち、本願において使用される「からな或いは「配合してなる」といった表現に関しては、本発明に係る各態様において規定されている構成成分以外の存在を排除するものではない。
1.エポキシ樹脂組成物
本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくとも、「カルボン酸で変性された、置換されていてもよいトリグリシジルイソシアヌレート類」である成分(A)と、「水素化芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、および脂肪族エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つのエポキシ樹脂であって、25℃で液体状態にあるエポキシ樹脂」である成分(B)とを含有するものである。以下、エポキシ樹脂組成物の各成分および製造方法について説明する。
1−a.成分(A)
成分(A)である「カルボン酸で変性された、置換されていてもよいトリグリシジルイソシアヌレート類」の原料であるトリグリシジルイソシアヌレート類は、下記一般式(1)で示される構造を有する樹脂である。
Figure 0005298411
一般式(1)において、Rは、それぞれ独立して、同じであっても異なっていてもよい一価の置換基を表す。Rは、好ましくは、水素原子または炭素数5以下の炭化水素基を含む置換基である。
炭化水素基を含む置換基としては具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜5の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基等の炭素数1〜5のアシル基;アセトオキシ基、プロピオニルオキシ基等の炭素数1〜5のアルキルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
置換基Rとして最も好ましい置換基は水素原子であり、一般式(1)としては、Rの全てが水素原子であるトリグリシジルイソシアヌレート(TEPIC)が最も好ましい。
上記トリグリシジルイソシアヌレート類は、成分(A)とするために、カルボン酸で変性される。カルボン酸による変性とは、エポキシ基をカルボン酸と反応させることにより、エポキシ基の一部または全部を変換させ、その性質を変化せしめることである。
トリグリシジルイソシアヌレート類の変性に用いられるカルボン酸としては、青色光付近の光を吸収し変色するような官能基、例えば炭素−炭素二重結合やベンゼン環のような芳香族基を含まないものであることが好ましく、下記一般式(2)で表される脂肪族あるいは脂環式カルボン酸が好適に用いられる。
Figure 0005298411
一般式(2)において、Rは炭素数1〜20の直鎖または分岐の置換されていてもよい炭化水素基を示し、nは1〜4である。
は、好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜10の炭化水素であり、直鎖構造であっても分岐構造であってもよく、また脂環構造を形成していてもよい。このようなカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソ酪酸、ピバリン酸、2−メチル乳酸、2−エチルヘキサン酸、エトキシ酢酸などのn=1の直鎖状、分岐または置換基を有するカルボン酸;シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸などのn=1の脂環構造を有するカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、グルタル酸、グリコール酸、アジピン酸、セバシン酸、1,16−ヘキサデカン二酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などのn=2のカルボン酸等が挙げられる。
トリグリシジルイソシアヌレート類の変性には、1種類のカルボン酸、あるいは複数種類のカルボン酸を組み合わせて使用することができる。変性に用いるカルボン酸として特に好ましいのは、一般式(2)においてRの炭素数が9以下のモノカルボン酸類(n=1であるもの)であり、経済性の観点からは、酢酸、プロピオン酸および乳酸ならびにこれらの混合物がより好ましい。
これらカルボン酸と反応することによって、トリグリシジルイソシアヌレート類のエポキシ基は、隣接するカルボキシル基とヒドロキシ基とに変換される。トリグリシジルイソシアヌレート類としてTEPICを例にとると、TEPICは、例えば一般式(2)で示されるカルボン酸によって変性された場合、未反応分を除き、下記樹脂(a)〜(i)で示される、カルボン酸の付加数と付加位置の異性体の違いに由来する9種類の樹脂の混合物に変換される。
Figure 0005298411
混合物中におけるこれら樹脂の組成比は、反応系中におけるエポキシ基に対するカルボン酸のモル比等の条件によって異なる。さらに、変性反応におけるトリグリシジルイソシアヌレート類に対するカルボン酸の変性比は、用いるカルボン酸の種類によっても異なるが、通常0.1〜2.0モル、好ましくは0.1〜1.2モルであり、より好ましくは0.1〜0.8モル、さらに好ましくは0.1〜0.7モルである。特に、酢酸または酢酸と乳酸の混合物を用いる場合には、トリグリシジルイソシアヌレート類1モルに対して、反応させるカルボン酸のカルボキシル基のモル数が0.1〜0.8モルであり、好ましくは0.1〜0.7モルであり、より好ましくは0.3〜0.6モルである。ここで、変性比は、通常、変性後のトリグリシジルイソシアネート類をプロトン核磁気共鳴スペクトル法(H−NMR)および/または高速液体クロマトグラフィーにより分析して決定される。後者の分析条件は、分析カラムは内径4.6mm、100〜250mm長、粒径3〜7μmの範囲のオクタデシル基またはオクチル基が化学結合したシリカゲル充填カラムを用いる。例えば、イナートシル(登録商標)ODS−3(ジーエルサイエンス社製)やZorbax(登録商標)SB−C8(アジレント社製)などが好ましい。検出器は通常UV検出器を用い、イソシアヌレート基の吸収波長に近い220nmで分析することが好ましいが、用いるカルボン酸の種類によって分析波長を適宜調整されるべきである。溶離液は水とアセトニトリルの2成分系によることが好ましく、適切なグラジエント条件を設定して分析される。流量および打ち込み量は用いるカラムに適した値に設定される。ただし、変性反応はほぼ定量的に進行するために、変性比の簡便な表現方法として、変性前のトリグリシジルイソシアヌレート類とカルボン酸のカルボキシル基のモル数の比とすることもできる。
トリグリシジルイソシアヌレート類のカルボン酸による変性反応は、通常の有機反応で用いられる有機溶媒下で、あるいは無溶媒で行うことができる。トリグリシジルイソシアヌレート類およびカルボン酸の添加方法には特に制限はなく、例えば、トリグリシジルイソシアヌレート類にカルボン酸を全量加えてから加熱する方法;カルボン酸にトリグリシジルイソシアヌレート類を滴下する方法;トリグリシジルイソシアヌレート類のエポキシ基と当量のカルボン酸を反応させた後、トリグリシジルイソシアヌレートをさらに添加する方法;トリグリシジルイソシアヌレート類を融点以上に加熱し溶融状態とするか、適切な溶媒に溶解せしめた後、これにカルボン酸を滴下する方法などが適用できる。ただし、エポキシ基とカルボン酸との反応は通常発熱を伴うため、トリグリシジルイソシアヌレート類にカルボン酸を徐々に添加する方法が好ましい。添加方法を選択することにより、上述した異性体の混合物の存在比をある特定の化合物に偏るように制御することもできる。
反応温度は通常60〜180℃、好ましくは80〜150℃、より好ましくは100〜130℃である。反応時間は、反応温度や溶媒の有無などにもよるが、通常0.1〜24時間、好ましくは0.1〜12時間、より好ましくは0.2〜5時間である。
反応後の変性されたトリグリシジルイソシアヌレート類は、溶媒を使用した場合には溶媒を除去することにより回収できるが、回収することなくエポキシ樹脂組成物の製造に使用されてもよい。以上の操作は窒素などの不活性ガス雰囲気で実施されることが好ましい。
1−b.成分(B)
エポキシ樹脂組成物が短波長のLED封止材用途として好ましいものであるためには、上述の成分(A)と混合されるエポキシ樹脂が室温で液状を保持し、かつ、青色光付近の光を吸収し変色するような官能基を含まないものであることが必要である。このためには、25℃において液状であり、ベンゼン環のような芳香族基を含まないエポキシ樹脂であることが必須である。したがって、成分(B)となるエポキシ樹脂の種類としては、25℃で液状である、水素化芳香族エポキシ樹脂、脂環式オレフィンをエポキシ化して得られる脂環式エポキシ樹脂、および脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。
(水素化芳香族エポキシ樹脂)
本発明における水素化芳香族エポキシ樹脂とは、芳香族エポキシ樹脂の芳香環を水素化することによって得られるエポキシ樹脂であり、かつ、炭素環上にエポキシ基を有しないものをいう。本発明においては、芳香族エポキシ樹脂に含まれるベンゼン環が95%以上水素化されたものであることが好ましい。水素化に供される芳香族エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂が、高水添率のエポキシ樹脂が得られるという点で好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が最も好ましい。
水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、原料のビスフェノールA型エポキシ樹脂の分子量に由来して、一般式(3)に示すような分子量の異なる樹脂が存在する(参照:総説エポキシ樹脂第1巻基礎編I、エポキシ樹脂技術協会編、2003年)。
Figure 0005298411
通常、nが大きくなるにつれて樹脂の粘度も高くなっていき、ついには25℃で固体状態となる。ただし、原料のビスフェノールA型エポキシ樹脂の製造方法によっては、同じnでも分子量分布が異なることから、性状が液状と固形に分かれることがある。そのため、本発明において好適な水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂の25℃における粘度は、通常500Pa・s以下、好ましくは200Pa・s以下、より好ましくは100Pa・s以下である。なお、ここにおける粘度は、E型粘度計を用いて、JIS K7233、エポキシ樹脂および硬化剤の粘度試験方法(1986)に記載されている単一円筒回転粘度計法によって決定される値である。
本発明に使用される水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂の好適なエポキシ当量(一般にWPEと略称される。)は、25℃におけるハンドリング性の観点から、通常500g/eq以下、好ましくは400g/eq以下、より好ましくは360g/eq以下である。エポキシ当量は、JIS K7236、エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方(2001)に記載されている方法(過塩素酸−臭化テトラエチルアンモニウム法)により決定される。
(脂環式エポキシ樹脂)
本発明における脂環式エポキシ樹脂は、環式飽和炭化水素の炭素環上にエポキシ基を有する樹脂をいい、環式飽和炭化水素の炭素環上にエポキシ基を有する点で前述の水素化芳香族エポキシ樹脂と区別する。本発明においては、下記一般式(4)で表されるようなエポキシシクロヘキサン骨格またはエポキシシクロペンタン骨格が、相当するシクロヘキセン骨格またはシクロペンテン骨格を酸化することにより合成される樹脂が好ましい。
Figure 0005298411
一般式(4)において、nは0または1であり、Rはシクロヘキサン環あるいはシクロペンタン環上の任意の置換基を表す。これらは合成経路に特徴があり、通常、対応するシクロヘキセン誘導体またはシクロペンテン誘導体を過酸化物と反応させエポキシ化する段階を経て合成される。
本発明に用いられる脂環式エポキシ樹脂としては、低分子量のエポキシ樹脂と、オリゴマー型のエポキシ樹脂を例示することができる。
低分子量の脂環式エポキシ樹脂は、一般に25℃で低粘度の液状樹脂であり、本発明で用いられる好ましい脂環式エポキシ樹脂の具体例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、リモネンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメタノール、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、などが挙げられる。この中でも、特に3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが好ましい。
オリゴマー型の脂環式エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂組成物の硬化物であるエポキシ樹脂に可撓性を付与する目的で配合され、その例としては、エポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン(ダイセル化学工業社製「エポリード(登録商標)GT−301」)、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン(ダイセル化学工業社製「エポリード(登録商標)GT−401」)、が挙げられる。
(脂肪族エポキシ樹脂)
本発明において、上述の水素化芳香族エポキシ樹脂と脂環式エポキシ樹脂に含まれない脂肪族基を主骨格に有するエポキシ樹脂を脂肪族エポキシ樹脂と総称する。これらは通常、平均分子量が2000以下の液状のものが好ましく、構造は直鎖状であっても分岐されていてもよく、また構造中に脂環構造が含まれていてもよい。中でも、本発明においては、一般式(5)で表されるグリシジルエステル類および一般式(6)で表されるグリシジルエーテル類がその製造が容易であることから好ましい。
Figure 0005298411
Figure 0005298411
一般式(5)および(6)において、好ましいnは1〜6であり、置換基R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、同一であっても異なっていてもよい一価の置換基を表す。RおよびRとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
一般式(5)で表されるグリシジルエステル類の例としては、具体的には、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、水添ナジック酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、水添ダイマー酸ジグリシジルエステルなどが挙げられる。
一般式(6)で表されるグリシジルエーテル類の例としては、具体的には、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
以上説明したこれら成分(B)となるエポキシ樹脂は、その使用目的に応じて、単独で成分(B)としてもよく、またこれらの中から適宜複数種類を混合したものを用いることもできる。成分(B)としては、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂が、成分(B)の質量全体の70質量%以上含まれているものであることが特に好ましい。
1−c.エポキシ樹脂組成物の製造
本発明のエポキシ樹脂組成物は、好ましくは不活性ガス雰囲気下、室温以上180℃以下の温度で混合撹拌するだけで容易に製造することができる。混合攪拌に際し、成分(A)や成分(B)と同時に、後述する硬化促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤も添加しておいてもよい。成分(A)と成分(B)の好ましい配合比率は、成分(A)100質量部に対して、成分(B)が10〜900質量部であり、この範囲であれば、エポキシ樹脂組成物は25℃で結晶を生じることなく均一系を保持できる。さらに40〜900質量部、より好ましくは40〜800質量部の範囲であれば、これを硬化することによってより熱による黄変が起こりにくいエポキシ樹脂が得られ、LED封止材用途により好適である。
こうして得られる本発明のエポキシ樹脂組成物は、25℃で24時間静置したときの、光路長1cmの石英セルを用いた場合の800nmにおける光線透過率が、70%以上である。製造したエポキシ樹脂組成物の均一状態を評価する方法としては、紫外可視分光光度計を用いることができる。すなわち、室温、好ましくは25℃において、該エポキシ樹脂組成物を、光路長1cmの石英セルに満たし、800nmにおける光線透過率を測定する。この値が70%以上であれば、均一状態であり、それ以下の場合は析出物が発生している不均一状態である。
エポキシ樹脂組成物は、使用時に製造された場合は通常1日以内でLED封止材として使用される。一方、該組成物を製品として販売する場合には数週間から3ヶ月程度室温保存されるのが通例であるが、この場合でも該組成物が析出沈殿物を発生するかどうかの保存安定性については、24時間静置したときの液の状態が均一であるか不均一であるかによって高い確度で判断することができる。すなわち本発明における組成のエポキシ樹脂組成物であれば、そのまま室温以下に冷却しても実質的に均一の状態を保ったままであり、液状のエポキシ樹脂組成物として品質を損なうことなく長期保存が可能である。
2.エポキシ樹脂硬化物用組成物
本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化処理して硬化物とするために、通常、硬化剤および硬化促進剤が配合されてエポキシ樹脂硬化物用組成物とされる。
硬化剤としては、酸無水物系の硬化剤が用いられるが、LED封止材用のエポキシ樹脂硬化物用組成物における酸無水物硬化剤としては、分子中に炭素−炭素二重結合を持たない酸無水物硬化剤が好ましい。具体的には、例えば、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、水添無水ナジック酸、水添無水メチルナジック酸、水添無水トリアルキルヘキサヒドロフタル酸、無水2,4−ジエチルグルタル酸等が挙げられる。これらの中でも、無水ヘキサヒドロフタル酸および/または無水メチルヘキサヒドロフタル酸が、耐熱性に優れ、無色の硬化物が得られる点で特に好ましい。なお、酸無水物硬化剤の配合割合は、エポキシ樹脂組成物のエポキシ当量により異なるが、エポキシ樹脂組成物100質量部に対して、20〜200質量部の範囲内であるのが好ましい。
硬化促進剤としては、具体的には、例えば、第三級アミン類およびその塩類、イミダゾール類およびその塩類、有機ホスフィン化合物類、有機第四級ホスホニウム塩類、オクチル酸亜鉛、オクチル酸スズ等の有機酸金属塩類等が挙げられる。これらの中で、有機第四級ホスホニウム塩類、有機ホスフィン化合物類が特に好ましい。なお、硬化促進剤の配合割合は、得られるエポキシ樹脂の硬化物の耐熱性および耐湿性等の面から、酸無水物硬化剤100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲内であるのが好ましい。
エポキシ樹脂硬化物用組成物には、必要に応じて、各種添加剤が添加されてもよい。代表的な添加剤としては、例えば、硬化時の熱による酸化劣化を防止し着色の少ない硬化物とするための酸化防止剤や、硬化物の耐光性をさらに向上させるための紫外線吸収剤が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系、硫黄系、燐系等の酸化防止剤が使用でき、その配合割合は、エポキシ樹脂組成物100質量部に対して、0.01〜10質量部であるのが好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、サリチル酸系等の紫外線吸収剤が使用でき、その配合割合は、エポキシ樹脂組成物100質量部に対して、0.01〜10質量部であるのが好ましい。
その他の添加剤として、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物、微粉末シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ等の珪素化合物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、カオリン、マイカ、石英粉末、グラファイト、二硫化モリブデン、ガラスビーズ等の粉末状充填剤;二酸化チタン、モリブデン赤、紺青、群青、カドミウム黄、カドミウム赤、有機色素等の着色剤または顔料;三酸化アンチモン、ブロム化合物、燐化合物等の難燃剤、イオン吸着体、カップリング剤;脂肪族エポキシ等のエポキシ樹脂用希釈剤;ジオールまたはトリオール類、ビニルエーテル類、オキセタン化合物等の硬化性モノマ−およびオリゴマ−;フッ素樹脂、アクリル樹脂、シリコ−ン樹脂等の合成樹脂等を配合することもできる。これらの配合割合は、エポキシ樹脂組成物100質量部に対して、通常、粉末状充填剤が100質量部以下、着色剤、顔料、難燃剤、イオン吸着体、カップリング剤はそれぞれ30質量部以下、樹脂用希釈剤、硬化性モノマ−およびオリゴマ−、合成樹脂はそれぞれ50質量部以下である。
3.エポキシ樹脂硬化物
上記エポキシ樹脂硬化物用組成物は、硬化処理によって、LED用封止材等として好適なエポキシ樹脂硬化物とすることができる。エポキシ樹脂硬化物とするための硬化条件は、用いるエポキシ樹脂組成物の種類、組成、硬化剤や硬化促進剤の種類や配合割合、各種添加剤の種類や配合割合等によって異なるが、硬化剤が酸無水物である場合には、例えば、「室井宗一、石村秀一著、新高分子文庫25入門エポキシ樹脂、高分子刊行会、84〜91頁(2002年)」に記載されているような二段階硬化が好ましい。すなわち、第一段階では、80〜110℃、好ましくは85〜100℃の温度で0.5〜5時間加熱し、引き続き第二段階では、第一段階以上の温度、好ましくは110〜180℃の温度で0.5〜5時間加熱することにより硬化するのが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて得られるエポキシ樹脂硬化物は、短波長域の光に対する耐光性に優れていることから、例えば、「一ノ瀬昇、田中裕、島村清史編著、高輝度LED材料のはなし、日刊工業新聞社(2005)」等に述べられているような、ピーク波長が350〜550nmの比較的短波長域の発光波長を有するLEDの封止材として用いると、本発明のエポキシ樹脂組成物の特性を生かすことができ、特に好適である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に示す実施例の形態に限定されるものではない。
<エポキシ樹脂組成物の作成>
(実施例1および比較例1)
表1に示すように、1質量%の乳酸を含む酢酸を用いて、種々の割合で変性されたTEPIC(計7種類)を合成し、さらに、それらを水素化芳香族エポキシ樹脂と種々の割合(計9種類)で混合した、計63サンプルのエポキシ樹脂組成物を製造した。比較のため、変性比0のTEPICについても水素化芳香族エポキシ樹脂と種々の割合で混合したエポキシ樹脂組成物も製造した。各エポキシ樹脂組成物は、トリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業社製、TEPIC−S)を250ccガラス製バイアル瓶に入れ、120℃に昇温して融解した後、1質量%の乳酸を含む酢酸を加えて2時間撹拌し、これに水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン社製、YX8000、エポキシ当量202g/eq、25℃における粘度1.82Pa・s)を加えて120℃で10分間撹拌後、室温まで冷却することによって作成したものである。なお、変性比はH−NMR(CDCl、25℃、Bruker社製AVANCE400)によって求めた。
これら計63サンプルのエポキシ樹脂組成物と、比較としてTEPICを変性せずにそのまま水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテルに混合したエポキシ樹脂組成物(計5種類)について、作成後25℃で24時間静置した後に、光路長1cmの石英セルを用いて紫外可視分光光度計(島津製作所製、UV−1600PC)により800nmの光線透過率(%)を測定した。測定は、室温下、測定試料側にエポキシ樹脂組成物が入った該石英セルを挿入し、参照側には何も入れずに行った。結果を表1にまとめた。なお、実施例1ではTEPICを変性するためのカルボン酸として1%乳酸と酢酸の混合物を使用したが、これはいわゆる化審法に登録された物質での実験データを開示するとの立場に基づくものであり、酢酸100%品であっても同等の効果を奏するものである。
Figure 0005298411
(実施例2〜4および比較例2〜4)
変性に用いるカルボン酸として、1%乳酸/酢酸の代わりにピバリン酸、シクロヘキサンカルボン酸および2−エチルヘキサン酸を用いた以外は実施例1と同様の試験を行った。その結果を表2〜4に示す。
(実施例5)
用いるエポキシ樹脂として、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテルの代わりに脂環式エポキシ樹脂(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ダウ社製、サイラキュアUVR−6105)および脂肪族エポキシ樹脂(ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、三洋化成社製、グリシエールPP−300P)を用いた以外は実施例1と同様の試験を行った。その結果を表5に示す。
Figure 0005298411
Figure 0005298411
Figure 0005298411
Figure 0005298411
各表において、光線透過率が70%以上のものは透明の均一液であり、一方、70%未満のものは白濁もしくは結晶化が起こっているものであって、これは目視による観察結果と一致した。また、比較例であるTEPICを変性せずに用いたポキシ樹脂組成物(表1の変性割合0の列)の透過度の値は極めて小さく、析出物が存在することがわかる。すなわち保存安定性には劣ることが明らかになった。
<エポキシ樹脂の作成>
表1から表5中において、組成物A〜Zとして表示したエポキシ樹脂組成物について、硬化物を作成して熱による着色劣化の試験を行った。
(応用実施例1)
上記作成した20gのエポキシ樹脂組成物(表1中の組成物A)を約80℃で加熱した後、硬化剤として4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物(新日本理化社製「リカシッドMH−700」)27.2g、硬化促進剤としてトリブチルメチルホスホニウムジメチルホスフェート(日本化学工業社「ヒシコーリンPX−4MP」)200mgを加え、約80℃で加熱混合することによってエポキシ樹脂硬化物用組成物とした。これを、別途用意した、ガラス板にテフロン(登録商標)コートされたポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り付けたもの2枚にスペーサー2mmを挟んで固定した注形用器具に流し込み、オーブン中で100℃で3時間、引き続き140℃で3時間加熱硬化することによって、無色透明なエポキシ樹脂硬化物を得た。
(応用実施例2〜17および応用比較例)
用いるエポキシ樹脂組成物の種類および組成、硬化剤の添加量、が異なる以外は実施例1と同様の操作で、いずれも無色透明なエポキシ樹脂硬化物を得た。各エポキシ樹脂硬化物におけるエポキシ樹脂硬化物用組成物の組成を表6に示す。
Figure 0005298411
上記得られたエポキシ樹脂硬化物を150℃で熱劣化させ、その経時変化を観察した。400nmにおける光線透過率の保持率(未劣化のエポキシ樹脂硬化物の400nmにおける透過率を100%とする)のグラフを図1〜4に示す。
図1〜図4のグラフを見ると、比較例の変性されていないTEPICを含有するエポキシ樹脂硬化物に比べて、本発明のエポキシ樹脂硬化物のほとんどは保持率が大きく上回っていた。これより、本発明のエポキシ樹脂組成物から得られるエポキシ樹脂硬化物は、従来のエポキシ樹脂硬化物に比べて熱による黄変劣化を起こしにくいものであることがわかる。
以上、現時点において、最も実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うエポキシ樹脂組成物もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
表1の代表的組成で製造したエポキシ樹脂組成物(組成物A、B、C、JおよびZ)を硬化処理したエポキシ樹脂硬化物の光線透過率の保持率の経時変化を示したグラフである。 表1の組成で製造したエポキシ樹脂組成物のうち、図1に記載した以外の組成物および比較例の組成物(組成物D、E、F、G、H、IおよびZ)を硬化処理したエポキシ樹脂硬化物の光線透過率の保持率の経時変化を示したグラフである。 表2〜4の組成で製造したエポキシ樹脂組成物(組成物K、L、M、NおよびO)を硬化処理したエポキシ樹脂硬化物の光線透過率の保持率の経時変化を示したグラフである。 表5の組成で製造したエポキシ樹脂組成物(組成物PおよびQ)を硬化処理したエポキシ樹脂硬化物の光線透過率の保持率の経時変化を示したグラフである。

Claims (11)

  1. 下記成分(A)および成分(B)からなり、前記成分(B)100質量部に対して、前記成分(A)が10〜900質量部混合されてなるエポキシ樹脂組成物であって、下記成分(A)における変性比(下記成分()1モル中に含まれるカルボキシル基のモル量)が0.1〜2.0モルであることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
    成分(A):カルボン酸で変性された、置換されていてもよいトリグリシジルイソシアヌレート類。
    成分(B):水素化芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、および脂肪族エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つのエポキシ樹脂であって、25℃で液状であるエポキシ樹脂。
  2. 記成分(A)と前記成分(B)とを混合して25℃で24時間静置したときの、光路長1cmの石英セルを用いた場合の800nmにおける光線透過率が70%以上である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記成分(A)がカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレート類である、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記成分(A)におけるカルボン酸が、炭素数10以下の脂肪族または脂環式モノカルボン酸である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 前記成分(A)における変性比が、0.1〜0.8モルである、請求項1または3に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 前記成分(B)が、液状の水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル類を70質量%以上含むものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 前記液状の水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル類の粘度が200Pa・s以下であり、かつ、エポキシ当量が400以下である、請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 前記成分(B)100質量部に対して前記成分(A)が40〜900質量部混合されてなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物に下記成分(C)および(D)を配合してなるエポキシ樹脂硬化物用組成物を硬化処理して得られる、白色LED封止材用エポキシ樹脂硬化物。
    成分(C):酸無水物硬化剤
    成分(D):硬化促進剤
  10. 下記成分(A)および成分(B)からなり、前記成分(B)100質量部に対して、前記成分(A)が10〜900質量部混合されてなるエポキシ樹脂組成物であって、下記成分(A)における変性比(下記成分(A)1モル中に含まれるカルボキシル基のモル量)が、0.1〜2.0モルであることを特徴とするエポキシ樹脂組成物、からなるLED封止材。
    成分(A):カルボン酸で変性された、置換されていてもよいトリグリシジルイソシアヌレート類。
    成分(B):水素化芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、および脂肪族エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つのエポキシ樹脂であって、25℃で液状であるエポキシ樹脂。
  11. 前記成分(A)と前記成分(B)とを混合して25℃で24時間静置したときの、光路長1cmの石英セルを用いた場合の800nmにおける光線透過率が70%以上である、請求項10に記載のLED封止材。
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