JP5233245B2 - カルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレートの製法、エポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂硬化物 - Google Patents
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Description
しかし、上述の脂環式エポキシ樹脂で封止した硬化樹脂は非常に脆く、冷熱サイクルによって亀裂破壊を生じ易く、耐湿性も極端に悪いため、長時間の信頼特性が要求されるような用途には不向きであった。
(B)成分;エポキシ樹脂用硬化剤、
を必須成分として含有して成るエポキシ樹脂組成物。
本発明のカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレートの製造方法は、トリグリシジルイソシアヌレート1モル及びモノカルボン酸0.1〜0.6モルを有機溶媒中、第4級ホスホニウム塩の存在下で反応させて、カルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレートを得る方法である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記本発明の製造方法により製造されたカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレートを90質量%を越えて含有し、他のエポキシ樹脂を10質量%未満で含有するエポキシ樹脂100質量部と、エポキシ樹脂用硬化剤が0.1〜200質量部を配合することができる。
本発明で使用できるカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレート以外の他のエポキシ樹脂としては、例えば次のものが挙げられる。
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、テルペンジフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビスフェノールS、チオジフェノール、ジヒドロキシジフェニルエーテル及びジヒドロキシナフタレンから得られるビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAのノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂及びナフトールノボラック樹脂などの種々の多価フェノール類から得られる多価エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン、アミノフェノール及びキシレンジアミンなどの種々のアミン化合物から得られるアミン型エポキシ樹脂、メチルヘキサヒドロキシフタル酸、ダイマー酸などの種々のカルボン酸類から得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂などがあげられる。この他に多価脂肪族アルコールのエポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ樹脂を直接水添したエポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の二重結合を酸化させて得られる脂環式エポキシ樹脂等である。これらのエポキシ樹脂の中で、水添エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂を併用すると、耐光性が向上するためより好ましい。
本発明で使用できるエポキシ樹脂用硬化剤としては、例えば、次のものが挙げられる。
(1)アミン類;ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m−キシリレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5,5]ウンデカン等の脂肪族及び脂環族アミン類、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン類、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノ−ル、1,8−ジアザビシクロ−(5,4,0)−ウンデセン−7、1,5−アザビシクロ−(4,3,0)−ノネン−7等の3級アミン類及びその塩類。
本発明のエポキシ樹脂組成物を発光素子封止材用に用いる場合、酸化防止剤を配合し、加熱時の酸化劣化を防止して着色の少ない硬化物とすることが好ましい。使用できる酸化防止剤は、フェノール系、硫黄系、リン系の酸化防止剤を使用することができ、酸化防止剤はエポキシ樹脂組成物100質量部中に0.01〜10質量部配合される。使用できる酸化防止剤の具体例としては、以下のような酸化防止剤が挙げられる。
ビスフェノール類;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等。
ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルル−3,3’−チオジプロピオネート等。
ホスファイト類;トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等。
上記の各種酸化防止剤はそれぞれ単独で使用できるが、フェノール系/硫黄系又はフェノール系/リン系の組み合わせで使用することが特に好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物を発光素子封止材用に用いる場合、エポキシ樹脂組成物100質量部中に、紫外線吸収剤を0.01〜10質量部配合し、耐光性を更に向上させることができる。紫外線吸収剤としては、一般のプラスチック用紫外線吸収剤を使用でき、具体例としては次のものが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は耐光性に優れることにより、封止する発光素子は、ピーク波長が350〜550nmの比較的短い波長の光を発光する素子が好適である。
このような発光素子としては有機金属気相成長法(MOCVD法)、分子線結晶成長法(MBE法)ハライド系気相成長法(HVPE法)により形成されたIII族窒化物系化合物半導体が挙げられ、一般式としてAlxGayIn1-x-yN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)で表され、AlxGaN及びInNのいわゆる2元系、AlxGa1-xN、AlxIn1-xN及びGaxIn1-xN(以上において0≦x≦1)のいわゆる3元系を包含する。半導体の構造としては、MIS接合、PIN接合やpn接合などを有するホモ構造、ヘテロ構造あるいはダブルヘテロ構成のものが挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。また、半導体活性層を量子効果が生ずる薄膜に形成させた単一量子井戸構造や多重量子井戸構造とすることもできる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて次の成分を添加配合することができる。
(1)粉末状の補強剤や充填剤、たとえば酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、微粉末シリカ、溶融シリカ、結晶シリカなどのケイ素化合物、ガラスビーズ等の透明フィラー、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、その他、カオリン、マイカ、石英粉末、グラファイト、二硫化モリブデン等。
これらの配合は、本発明のエポキシ組成物の透明性を損なわない範囲で配合され、本発明のエポキシ樹脂組成物100質量部に対して、10〜100質量部が適当である。
(3)難燃剤、例えば、三酸化アンチモン、ブロム化合物及びリン化合物等。
(4)イオン吸着体。
(5)カップリング剤.
これらは本発明のエポキシ樹脂組成物100質量部に対して、0.01〜30質量部配合される。
1Lのフラスコ中に、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート297g(1モル)、酢酸18g(0.3モル)、第4級ホスホニウム塩としてヒシコーリンPX−4MP(日本化学工業社商品名;メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート)0.15g及びトルエン200gを仕込み、トルエンの還流温度(114℃)で攪拌しながら5時間反応を行った。反応終了後、トルエンを減圧下、110〜140℃の温度で留去し、微黄色で高粘性液体のカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレート310gを得た(エポキシ当量;120)。このカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレート20gをメチルエチルケトン5g中に溶解させた溶液を1cmの石英セルに入れ、400nm波長の分光光度計より求めた光線透過率は93%であった。
モノカルボン酸を酢酸から酢酸9g(0.15モル)と乳酸13.5g(0.15モル)に変える以外は実施例1と同様の操作を行って、微黄色で高粘性液体のカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレート315gを得た(エポキシ当量;122)。このカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレート20gをメチルエチルケトン5g中に溶解させた溶液の400nmに於ける光線透過率は93%であった。
樹脂20gをメチルエチルケトン5gに溶解した後、この溶液を1cmの石英セルに入れ、400nm波長の分光光度計より求めた光線透過率は92%であった。
モノカルボン酸を酢酸42g(0.7モル)に変える以外は実施例1と同様の操作を行って、黄褐色で高粘性液体のカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレート334gを得た(エポキシ当量;150)。このカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレート20gをメチルエチルケトン5gに溶解した後、この溶液を1cmの石英セルに入れ、400nm波長の分光光度計より求めた光線透過率は77%であった。
反応触媒をヒシコーリンPX−4MPから塩化テトラメチルアンモニウム0.15gに変える以外は実施例1と同様の操作を行って、褐色で高粘性液体のカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレート311gを得た(エポキシ当量;121)。このカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレート20gをメチルエチルケトン5gに溶解した後、この溶液を1cmの石英セルに入れ、400nm波長の分光光度計より求めた光線透過率は72%であった。
実施例1(製造例1)で得られたカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレート100部、硬化剤としてリカシッドMH−700(新日本理化社商品名;無水メチルヘキサヒドロフタル酸)140部を温度80℃で均一になるまで混合した後、硬化促進剤としてヒシコーリンPX−4MP(日本化学工業社商品名;メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート)0.5部を添加し、攪拌、溶解してエポキシ樹脂組成物を得た。
この組成物を減圧下で脱泡した後、型の中に流し込み、オーブン中にて100℃で3時間、次いで、150℃で3時間硬化し硬化物を得た。このエポキシ硬化物の物性値を表1に示す。
エポキシ樹脂を表1に示すように変える以外は、実施例3と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物を得た後、所定時間硬化して硬化物を得た。なお、実施例4は、酸化防止剤を添加した以外は実施例3と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製した。結果を表1に示す。
これに対して、カルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレートの製造工程で、トリグリシジルシアヌレート1モルに対して0.6モルを越える0.7モルのモノカルボン酸を使用して製造されている比較例3のカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレートをエポキシ樹脂として調製されているエポキシ樹脂組成物の硬化物や、本発明の製造方法で製造されているカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレートをエポキシ樹脂成分として90質量%を越える量で含有していない比較例4(80質量%含有)のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、いずれも硬化物の色相、耐紫外線性、耐熱劣化性、吸湿性の各特性がバランスよく備わっていない。
Claims (10)
- カルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレートの濃度が80質量%となるようにメチルエチルケトンに溶解し、光路長が1cmの石英セルを使用し、400nm波長の分光光度計で測定した時の光線透過率が80%以上であるカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレートの製造方法であって、トリグリシジルイソシアヌレート1モルに対しモノカルボン酸 0.1〜0.6モルを、有機溶媒中、第4級ホスホニウム塩の存在下で反応させることを特徴とするカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレートの製造方法。
- モノカルボン酸が炭素数11以下の脂肪族モノカルボン酸又は脂環式モノカルボン酸であることを特徴とする、請求項1に記載のカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレートの製造方法。
- モノカルボン酸が酢酸、プロピオン酸、酪酸及び乳酸から選ばれる少なくとも1種であり、トリグリシジルイソシアヌレート1モルに対しモノカルボン酸0.2〜0.5モルの割合で反応させることを特徴とする、請求項1又は2に記載のカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレートの製造方法。
- 第4級ホスホニウム塩が塩素、臭素及びヨウ素からなるハロゲン原子を含まない第4級ホスホニウム塩であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレートの製造方法。
- 有機溶媒が、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類及びエーテル類から選ばれる常圧における沸点が70〜170℃である有機溶媒であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレートの製造方法。
- (A)成分;請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたカルボン酸変性トリグリシジルイソシアヌレートを90質量%を超えて含有するエポキシ樹脂、
(B)成分;エポキシ樹脂用硬化剤、
を必須成分として含有して成るエポキシ樹脂組成物。 - 前記(B)成分のエポキシ樹脂用硬化剤が酸無水物であることを特徴とする、請求項6記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記請求項6又は7に記載のエポキシ樹脂組成物からなる発光素子封止材用エポキシ樹脂組成物。
- 前記発光素子が、350〜550nmに主発光ピークを有する発光ダイオード(LED)であることを特徴とする、請求項8記載の発光素子封止材用エポキシ樹脂組成物。
- 前記請求項6〜9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物であって、2mm厚硬化物の150℃、 100時間加熱後のYI値(Yellowness Index)が10以下であるエポキシ樹脂硬化物。
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