JP2007002017A - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐湿性、耐熱性及び耐光性のバランスが非常に良く、無色透明性に優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物であり、特に短波長の光を発するLEDの封止材として有用なエポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記(A)成分及び(B)成分を含有してなるエポキシ樹脂組成物。 (A)成分;下記一般式(1)で示される芳香族エポキシ樹脂を直接水素化して得られるエポキシ樹脂であって、芳香環の水素化率が0.5〜50%のエポキシ樹脂
Figure 2007002017

[式中、R、R、R及びRは各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、nは0〜40の数を示す。] (B)成分;エポキシ樹脂用硬化剤
【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素原子を含有し、芳香環の一部が水素化されたエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂用硬化剤とが配合されたエポキシ樹脂組成物に関するものである。本発明のエポキシ樹脂組成物より得られる硬化物は、無色透明で、耐熱性、耐光性、及び耐湿性に優れるため、電気・電子絶縁材料、接着剤、半導体封止材、レジスト材料等に使用でき、特に、LED、CCDのような光半導体関連の用途に有用である。
エポキシ樹脂は、耐熱性、接着性、耐水性、機械的強度及び電気特性等に優れていることから、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々の分野で使用されている。常温又は加熱硬化型のエポキシ樹脂としては、ビスフェノ−ルAのジグリシジルエ−テル、ビスフェノ−ルFのジグリシジルエ−テル、フェノ−ル又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ樹脂が一般的である。
近年、種々の表示板、画像読み取り用光源、交通信号、大型ディスプレイ用ユニット等に実用化されている光半導体(LED)等の発光装置は、大部分樹脂封止によって製造されている。ここに使用されている封止用の樹脂は、上記の芳香族エポキシ樹脂と、硬化剤として脂環式酸無水物を含有するものが一般的である。
また、今日のLEDの飛躍的な進歩により、LED素子の高出力化及び短波長化が急速に現実のものとなり始めており、特に窒化物半導体を用いたLEDは、短波長でかつ高出力な発光が可能となることから実用化が進められている。しかしながら、窒化物半導体を用いたLED素子を、上述の芳香族エポキシ樹脂で封止すると、芳香環が短波長の光を吸収するため、経時的に封止した樹脂の劣化が起こり、黄変により発光輝度が顕著に低下するという問題が発生する。
そこで、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートで代表される、環状オレフィンを酸化して得られる脂環式エポキシ樹脂を用いて封止したLEDが提案されている(特許文献1、特許文献2)。しかし、これらの脂環式エポキシ樹脂の硬化物は非常に脆く、冷熱サイクルによって亀裂破壊を生じ易く、耐湿性も極端に悪いため、長時間の信頼特性が要求される用途には不向きであった。
そこで、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を主体とし、脂環式エポキシ樹脂及びリン系酸化防止剤を配合し、無水メチルヘキサヒドロフタル酸硬化剤を用い封止したLEDが提案されている(特許文献3)。しかし、このエポキシ硬化物は無色透明性に優れるが、耐熱性が悪く、黄変しやすいという欠点があるため、耐熱性が要求されるLED素子の封止用途には適さない。
更に、トリアジン誘導体エポキシ樹脂単独と酸無水物硬化剤を用いる方法も提案されている(特許文献4)。この硬化物では、耐熱性は改善されるが、非常に脆いため、前記の脂環式エポキシ樹脂を用いたものと同様に冷熱サイクルによって亀裂破壊を生じ易く、かつ耐湿性も極端に悪いため、長時間の信頼特性が要求される用途には不向きであった。
また、フッ素含有エポキシ樹脂を重付加反応させレジスト材料として用いる方法が提案されており(特許文献5)、このフッ素含有エポキシ樹脂は波長の短い強い光(レーザー)に対し、光架橋や光分解を起こし難いと記載されている。しかしながら、このフッ素含有エポキシ樹脂は着色しているため、レジスト材料に用いる場合は薄膜とするため、多少エポキシ樹脂が着色していても問題無く使用できるが、無色透明性が要求されるLED封止材には使用できないという問題がある。
特開平9−213997号公報 特開2000−196151号公報 特開2003−12896号公報 特開2003−224305号公報 特開2003−321409号公報
本発明は、無色透明で、耐熱性、耐光性、耐湿性に優れた硬化物を与えることができ、特に短波長の光を発するLEDの封止材として有用なエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、以下の各発明を包含する。
[1] 下記(A)成分及び(B)成分を含有してなることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
(A)成分;下記一般式(1)で示される芳香族エポキシ樹脂を直接水素化して得られるエポキシ樹脂であって、芳香環の水素化率が0.5〜50%のエポキシ樹脂
Figure 2007002017
[式中、R、R、R及びRは各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、nは0〜40の数を示す。]
(B)成分;エポキシ樹脂用硬化剤
[2] 前記一般式(1)において、R、R、R及びRが水素原子であり、nが0〜20の数であることを特徴とする[1]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[3] (A)成分の芳香族エポキシ樹脂の芳香環の水素化率が、1〜30%であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[4] (B)成分のエポキシ樹脂用硬化剤が、アミン類、酸無水物類、多価フェノール類、イミダゾール類、ブレンステッド酸塩類、アミンのBF錯体化合物、有機酸ヒドラジッド類、ジシアンジアミド類、及びポリカルボン酸類よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする[1]〜[3]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[5] (B)成分のエポキシ樹脂用硬化剤が、酸無水物類及び/又はカチオン重合開始剤であり、発光素子の封止材として用いる発光素子封止材用エポキシ樹脂組成物であることを特徴とする[1]〜[4]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[6] (A)成分のエポキシ樹脂10〜90質量部に対して、脂環式エポキシ樹脂10〜90質量部を合計で100質量部となるように含むことを特徴とする[1]〜[5]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[7] 発光層が350〜550nmに主発光ピークを有する発光素子を封止するための発光素子封止材用エポキシ樹脂組成物であることを特徴とする[5]又は[6]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[8] 発光素子が発光ダイオード(LED)であることを特徴とする[5]〜[7]に記載のエポキシ樹脂組成物。
本発明のエポキシ樹脂組成物より得られる硬化物は、無色透明性、耐熱性、及び耐湿性に優れ、また、耐光性にも優れるため、発光素子、特に短波長の光を放出するIII族窒化物系化合物半導体を用いたLEDを封止する発光素子封止材用エポキシ樹脂組成物として有利に使用できる。
((A)成分;エポキシ樹脂)
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる(A)成分のエポキシ樹脂は、下記一般式(1)で示される芳香族エポキシ樹脂を直接水素化して得られるエポキシ樹脂である。下記一般式(1)で示される芳香族エポキシ樹脂は、対応するビスフェノール化合物とエピハロヒドリンをアルカリ金属水酸化物等の塩基の存在下で付加・閉環反応を行う、例えば、前記特許文献5に記載されているような、公知のエポキシ樹脂の製造方法を用いることにより得ることができる。
Figure 2007002017
[式中、R、R、R及びRは各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、nは0〜40の数を示す。]
上記一般式(1)で示される芳香族エポキシ樹脂の例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンから得られるエポキシ樹脂、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパンから得られるエポキシ樹脂、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンから得られるエポキシ樹脂、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパンから得られるエポキシ樹脂、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンから得られるエポキシ樹脂、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンから得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。即ち、本発明に係る芳香族エポキシ樹脂は、好ましくは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等の1種又は2種以上よりなるビスフェノール化合物と、エピハロヒドリンの1種又は2種以上をアルカリ金属水酸化物等の塩基の存在下で付加・閉環反応を行うことにより製造される。
これらの中で、前記一般式(1)において、R、R、R及びRが水素原子である、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンから得られるエポキシ樹脂が、水素化反応及び原料入手の容易さの点で好ましい。
また、前記一般式(1)で示される芳香族エポキシ樹脂のnの数は0〜40の範囲が好ましく、更に0〜20の範囲が特に好ましい。nが40を越えると分子量が大きくなるため粘度及び軟化温度が上昇し、取り扱い性が悪くなり好ましくない。このnの値は芳香族エポキシ樹脂の製造時におけるビスフェノール化合物に対するエピハロヒドリンのモル比で制御することができるが、nが0のものが10モル%以上含まれることが好ましい。nが0のものが10モル%より低い場合は粘度及び軟化温度が上昇し、取り扱い性が悪くなり好ましくない。nの平均値は好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜5である。
また、前記一般式(1)で示される芳香族エポキシ樹脂のエポキシ当量は224〜2000であることが好ましい。エポキシ当量が2000を超えると軟化温度が上昇し、取り扱い性が悪くなる。
(A)成分のエポキシ樹脂は、前記一般式(1)で示される芳香族エポキシ樹脂を触媒の存在下で芳香環を水素化することにより製造される。
水素化触媒としては、各種の不均一系触媒あるいは均一系触媒を使用することができ、その中でも触媒分離が容易である事から不均一系触媒が好ましく、ニッケル系触媒、白金族触媒の1種又は2種以上が好ましく使用される。ニッケル系触媒は、ラネー触媒として、又は珪藻土やアルミナなどの担体に担持されたものなどとして使用することができ、白金族触媒は主として担体に担持されたものとして使用される。
これらの水素化触媒の中で、特に白金族触媒が好ましく、なかでもロジウム系触媒及び/又はルテニウム系触媒は、含有されるエポキシ基の水素化分解を抑制して炭素−炭素二重結合を穏和な条件で水素化することができる点において好ましい。触媒の担体としては、活性炭、グラファイト等の炭素系担体、シリカ、アルミナなどの無機担体が好ましく使用される。
芳香族エポキシ樹脂を溶解して反応を円滑に進行させるために水素化反応時には水素化反応溶媒を使用しても良い。水素化反応溶媒としては、芳香族エポキシ樹脂の溶解性及び水素化反応で影響をうけにくいことからエーテル系溶媒やエステル系溶媒が好ましく使用される。エーテル系溶媒としては、テトラヒドフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン等が、エステル系溶媒としては酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどの各種溶媒を使用することができる。これらの溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
前記一般式(1)で示される芳香族エポキシ樹脂の水素化反応においては、反応条件及び反応させる水素の量を制御することで、芳香環を所望の水素化率で水素化することができる。水素化反応条件は、用いた触媒や、必要とされる原料芳香族エポキシ樹脂の水素化の程度にもよるが、圧力が常圧〜30MPa、温度が30〜150℃程度、反応時間が0.5〜20時間程度の範囲で調整するのが一般的である。
より好ましい反応方法の例としては、前記一般式(1)で示される芳香族エポキシ樹脂をエステル系溶媒及び/又はエーテル系溶媒に溶解し、白金系触媒、好ましくはロジウム及び/又はルテニウムをグラファイト及び/又は活性炭に担持した触媒を用いて水素化する方法が挙げられる。
反応終了後は、触媒を濾過により除去し、溶媒を減圧下で実質的に無くなるまで留去して(A)成分のエポキシ樹脂を得ることができる。
このようにして得られる(A)成分のエポキシ樹脂は、前記一般式(1)で示される芳香族エポキシ樹脂の芳香環の水素化率が0.5〜50%、好ましくは1〜30%となるように水素化してなるものである。この水素化率が0.5%未満であると、得られるエポキシ樹脂の色相が改善できず、50%を超えると硬化物の耐熱着色性が悪くなるため好ましくない。
なお、芳香環の水素化率は、吸光度、核磁気共鳴スペクトル等の種々の方法で測定することができる。例えば、分光光度計を用い、吸光度(波長;275nm)の変化を求めることにより測定することができる。
また、(A)成分のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、芳香族エポキシ樹脂におけると同様の理由から230〜2000であることが好ましい。
((B)成分;エポキシ樹脂用硬化剤)
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる(B)成分のエポキシ樹脂用硬化剤としては、一般のエポキシ樹脂用硬化剤が用いられ、例えば次のものが挙げられる。
(1) アミン類:ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m−キシリレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5,5]ウンデカン等の脂肪族及び脂環族アミン類、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン類、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノ−ル、1,8−ジアザビシクロ−(5,4,0)−ウンデセン−7、1,5−アザビシクロ−(4,3,0)−ノネン−7等の3級アミン類及びその塩類。
(2) 酸無水物類:無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の芳香族酸無水物類、無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリアルキルテトラヒドロフタル酸等の環状脂肪族酸無水物類。
(3) 多価フェノ−ル類:カテコ−ル、レゾルシン、ハイドロキノン、ビスフェノ−ルF、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルS、ビフェノ−ル、フェノ−ルノボラック類、クレゾ−ルノボラック類、ビスフェノ−ルA等の2価フェノ−ルのノボラック化物類、トリスヒドロキシフェニルメタン類、アラルキルポリフェノ−ル類、ジシクロペンタジエンポリフェノ−ル類等。
(4) その他:2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;上述のようなアミンのBF錯体化合物;脂肪族スルホニウム塩、芳香族スルホニウム塩、ヨードニウム塩及びホスホニウム塩等のブレンステッド酸塩類;アジピン酸ジヒドラジッド及びフタル酸ジヒドラジッド等の有機酸ヒドラジッド類;ジシアンジアミド類;アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、トリメリット酸及びカルボキシル基含有ポリエステル等のポリカルボン酸類等。
これらのエポキシ樹脂用硬化剤は、1種を単独で使用しても良いが、2種以上を併用して使用することも可能である。
エポキシ樹脂用硬化剤の配合量は、用いるエポキシ樹脂用硬化剤の種類によっても異なるが、通常、エポキシ樹脂成分100質量部に対して0.01〜200質量部、好ましくは0.1〜150質量部の範囲内である。なお、ここで「エポキシ樹脂成分」とは、(a)成分のエポキシ樹脂のみならず、後述の他の脂環式エポキシ樹脂を用いる場合は、(a)成分のエポキシ樹脂と他の脂環式エポキシ樹脂を含めた、エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂成分をさす。以下においても同様である。
(酸無水物類・カチオン重合開始剤)
本発明のエポキシ樹脂組成物を、特に発光素子の封止材用として用いる場合、エポキシ樹脂用硬化剤としては、酸無水物類及び/又はカチオン重合開始剤を用いることが、着色の少ない硬化物を得ることができる点で好ましい。
酸無水物類としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の芳香族酸無水物類、無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドエチレンテトラヒドロフタル酸、無水トリアルキルテトラヒドロフタル酸等の環状脂肪族酸無水物が挙げられる。これらの中で、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸等の水素化された環状脂肪族酸無水物を使用するのが、特に好ましい。
また、酸無水物類を用いる場合、その硬化を促進する目的で、硬化促進剤を配合することができる。この硬化促進剤の例としては、3級アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン化合物類又はこれらの塩類、オクチル酸亜鉛、オクチル酸スズ等の金属石鹸類が挙げられる。
エポキシ樹脂用硬化剤としての酸無水物類の使用割合は、エポキシ樹脂成分100質量部に対して5〜200質量部、特に10〜100質量部の範囲内であることが好ましく、上記硬化促進剤を配合する場合、その使用割合はエポキシ樹脂成分100質量部に対して0.01〜10質量部とすることが好ましい。
また、カチオン重合開始剤としては、活性エネルギー線によりカチオン種又はルイス酸を発生する、活性エネルギー線カチオン重合開始剤、又は熱によりカチオン種又はルイス酸を発生する熱カチオン重合開始剤を用いることができる。
活性エネルギー線カチオン重合開始剤としては、米国特許第3379653号に記載されたような金属フルオロ硼素錯塩及び三弗化硼素錯化合物;米国特許第3586616号に記載されたようなビス(ペルフルオルアルキルスルホニル)メタン金属塩;米国特許第3708296号に記載されたようなアリールジアゾニウム化合物;米国特許第4058400号に記載されたようなVIa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4069055号に記載されたようなVa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4068091号に記載されたようなIIIa〜Va族元素のジカルボニルキレート;米国特許第4139655号に記載されたようなチオピリリウム塩;米国特許第4161478号に記載されたようなMF6 陰イオン(ここでMは燐、アンチモン及び砒素から選択される)の形のVIb元素;米国特許第4231951号に記載されたようなアリールスルホニウム錯塩;米国特許第4256828号に記載されたような芳香族ヨードニウム錯塩及び芳香族スルホニウム錯塩;W.R.Wattらによって「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス(Journal of Polymer Science)、ポリマー・ケミストリー(Polymer Chemistry)版」、第22巻、1789頁(1984年)に記載されたようなビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロ金属塩(例えば燐酸塩、砒酸塩、アンチモン酸塩等)の1種又は2種以上が挙げられる。その他、鉄化合物の混合配位子金属塩及びシラノール−アルミニウム錯体も使用することが可能である。
好ましい活性エネルギー線カチオン重合開始剤には、アリールスルホニウム錯塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香族スルホニウム又はヨードニウム塩並びにII族、V族及びVI族元素の芳香族オニウム塩が包含される。これらの塩のいくつかは、「FX−512」(3M社)、「UVR−6990」及び「UVR−6974」{ユニオン・カーバイド(Union Carbide)社}、「UVE−1014」及び「UVE−1016」{ジェネラル・エレクトリック(General Electric)社}、「KI−85」{デグッサ(Degussa)社}、「SP−150」及び「SP−170」(旭電化社)並びに「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」及び「サンエイドSI−100L」(三新化学工業社)として商品として入手できる。
熱カチオン重合開始剤としては、トリフル酸(Triflic acid)塩、三弗化硼素エーテル錯化合物、三弗化硼素等のようなカチオン系又はプロトン酸触媒が挙げられ、好ましい熱カチオン重合開始剤としては、トリフル酸塩であり、例としては、3M社から「FC−520」として入手できるトリフル酸ジエチルアンモニウム、トリフル酸トリエチルアンモニウム、トリフル酸ジイソプロピルアンモニウム、トリフル酸エチルジイソプロピルアンモニウム等(これらの多くはR.R.Almによって1980年10月発行のモダン・コーティングス(Modern Coatings)に記載されている)がある。また、活性エネルギー線カチオン重合開始剤としても用いられる芳香族オニウム塩のうち、熱によりカチオン種を発生するものがあり、これらも熱カチオン重合開始剤として用いることができる。例としては、「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」及び「サンエイドSI−100L」(三新化学工業社)がある。
これらの活性エネルギー線及び熱カチオン重合開始剤の中で、オニウム塩が、取り扱い性及び潜在性と硬化性のバランスに優れるという点で好ましく、その中で、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩及びホスホニウム塩が取り扱い性及び潜在性のバランスに優れるという点で特に好ましい。
カチオン重合開始剤の使用量は、エポキシ樹脂成分100質量部に対し、好ましくは0.01〜15重量部、より好ましくは0.05〜5重量部である。
いずれのエポキシ樹脂用硬化剤を用いた場合でも、その使用量がその好適範囲を外れると、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性、耐光性及び耐湿性のバランスが悪くなるため好ましくない。
(他の脂環式エポキシ樹脂)
本発明のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂成分として、前記(A)成分のエポキシ樹脂のみを用いても良く、このエポキシ樹脂と、他の脂環式エポキシ樹脂とを混合して用いても良い。
この脂環式エポキシ樹脂としては、他の水素化エポキシ樹脂又はオレフィンをエポキシ化して得られる脂環式エポキシ樹脂を用いることができ、例えば、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビフェノール型エポキシ樹脂、水添フェノールノボラック型エポキシ樹脂、水添クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、水添ナフタレンジオール型エポキシ樹脂及び水添フェノールジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂等の水素化エポキシ樹脂や、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1,2−エポキシ−ビニルシクロヘキセン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、リモネンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメタノール、ジシクロペンタジエンジエポキシド、オリゴマー型脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社商品名;エポリードGT300、エポリードGT400、EHPE−3150)等のオレフィンをエポキシ化して得られる脂環式エポキシ樹脂などを用いることができる。これらの中で、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビフェノール型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが、得られる硬化物の物性のバランス及び取り扱い性の面で特に好ましい。
これらの他の脂環式エポキシ樹脂は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
エポキシ樹脂として、前記(A)成分のエポキシ樹脂と、他の脂環式エポキシ樹脂とを併用する場合、その配合割合は、前記(A)成分のエポキシ樹脂10質量部以上に対し、他の脂環式エポキシ樹脂90質量部以下とすることが好ましく、特に前記(A)成分のエポキシ樹脂10〜90質量部に対して他の脂環式エポキシ樹脂10〜90質量部、とりわけ前記(A)成分のエポキシ樹脂20〜80質量部に対し、他の脂環式エポキシ樹脂20〜80質量部とすることが好ましい(ただし、前記(A)成分のエポキシ樹脂と他の脂環式エポキシ樹脂との合計で100質量部とする)。他の脂環式エポキシ樹脂、特に上記好適な脂環式エポキシ樹脂を併用することにより、耐光性の向上という効果が奏されるが、他の脂環式エポキシ樹脂の割合が多過ぎると前記(A)成分のエポキシ樹脂を用いることによる耐熱性等の改善効果を十分に得ることができない。
(酸化防止剤)
本発明のエポキシ樹脂組成物、特に発光素子封止材用エポキシ樹脂組成物には酸化防止剤を配合して、加熱時の酸化劣化を防止することが、着色の少ない硬化物を得る上で好ましい。
この場合、使用できる酸化防止剤としては、フェノール系、硫黄系、リン系酸化防止剤が挙げられ、エポキシ樹脂成分100質量部に対して通常0.01〜1質量部配合される。使用できる酸化防止剤の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
[フェノール系酸化防止剤]
モノフェノール類;2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等
ビスフェノール類;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等
高分子型フェノール類;1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジンー2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノール等
[硫黄系酸化防止剤]
ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルル−3,3’−チオジプロピオネート等
[リン系酸化防止剤]
ホスファイト類;トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等
オキサホスファフェナントレンオキサイド類;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等
これらの酸化防止剤はそれぞれ単独で使用できるが、フェノール系/硫黄系、又はフェノール系/リン系のように2種以上を組み合わせて使用することが特に好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明のエポキシ樹脂組成物中には、紫外線吸収剤を配合することにより、更に耐光性を向上させることができる。配合できる紫外線吸収剤としては、一般のプラスチック用紫外線吸収剤を使用でき、例としては次のものが挙げられる。
紫外線吸収剤の配合量は、エポキシ樹脂成分100質量部に対して0.1〜10質量部とすることが好ましい。
フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸類;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジtert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジtert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジtert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{(2’−ヒドロキシ−3’、3’’、4’’、5’’、6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル}メチル]ブチルマロネート等のヒンダートアミン類。
(任意成分)
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて次のような成分を添加配合することができる。
(1) 粉末状の補強剤や充填剤;例えば酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、微粉末シリカ、溶融シリカ、結晶シリカなどのケイ素化合物、ガラスビーズ等の透明フィラー、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、その他、カオリン、マイカ、石英粉末、グラファイト、二硫化モリブデン等
上記(1)の成分は、本発明のエポキシ樹脂組成物の透明性を損なわない範囲で配合され、エポキシ樹脂成分100質量部に対して、100質量部以下、例えば10〜100質量部が適当である。
(2) 着色剤又は顔料;例えば二酸化チタン、モリブデン赤、紺青、群青、カドミウム黄、カドミウム赤及び有機色素等
(3) 難燃剤;例えば三酸化アンチモン、ブロム化合物及びリン化合物等
(4) イオン吸着体、カップリング剤、離型剤等の添加剤
上記(2)〜(4)の成分を配合する場合、エポキシ樹脂成分100質量部に対して、各々、30質量部以下、例えば0.01〜30質量部配合される。
更に、本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ硬化物の性質を改善する目的で種々の硬化性モノマ−、オリゴマ−及び合成樹脂を配合することができる。このような配合物としては、例えば、脂肪族エポキシ等のエポキシ樹脂用希釈剤、ジオール又はトリオール類、ビニルエーテル類、オキセタン化合物、フッ素樹脂、アクリル樹脂、シリコ−ン樹脂等の1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。これらの化合物及び樹脂類の配合割合は、本発明のエポキシ樹脂組成物の本来の性質を損なわない範囲の量、例えばエポキシ樹脂成分100質量部に対して、50質量部以下が好ましい。
(エポキシ樹脂硬化体)
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させる方法は特に限定するものではないが、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂用硬化剤、必要に応じて配合されるその他の成分を混合した後、光及び熱等により硬化反応を行って、エポキシ樹脂硬化体を得ることができる。本発明のエポキシ樹脂組成物より得られるエポキシ樹脂硬化体は強靭な性能を有しており、加水分解性塩素及び塩基性化合物等の不純物の含有量が少ないため、特に電気・電子部品用の材料、例えば、絶縁材料等として好適に使用できるが、とりわけ、本発明のエポキシ樹脂硬化体は、透明性、耐熱性、耐光性、耐湿性に優れることから、以下の発光素子の封止用として好適である。
(発光素子)
本発明のエポキシ樹脂組成物は、特に耐光性に優れるため、ピーク波長が350〜550nmの比較的短い波長の光を発光する発光素子の封止に有効である。
このような発光素子としては有機金属気相成長法(MOCVD法)、分子線結晶成長法(MBE法)、ハライド系気相成長法(HVPE法)により形成されたIII族窒化物系化合物半導体を用いたものが挙げられ、一般式としてAlXGaYIn1-X-YN(0≦X≦1,0≦Y≦1,0≦X+Y≦1)で表され、AlX、GaN及びInNのいわゆる2元系、AlXGa1-XN、AlXIn1-XN及びGaXIn1-XN(以上において0≦X≦1)のいわゆる3元系を包含する。半導体の構造としては、MIS接合、PIN接合やpn接合などを有するホモ構造、ヘテロ構造あるいはダブルヘテロ構造のものが挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。また、半導体活性層を量子効果が生ずる薄膜に形成させた単一量子井戸構造や多重量子井戸構造とすることもできる。
以下に、製造例、比較製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。なお、以下において、「部」は「質量部」を意味する。
また、各実施例及び比較例において、得られたエポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂硬化物の評価は次の方法により行った。
〈ゲル化時間〉
安田精機社製ゲルタイムテスターを用い、120℃で測定した。
〈ガラス転移温度Tg(℃)〉
TMA法(昇温速度5℃/分)による。
〈色相〉
硬化後初期のYI値(Yellowness Index)を測定した。
〈耐紫外線性〉
メタリングウェザーメーター(スガ試験機社製)を使用して照射強度0.4kW/m、ブラックパネル温度63℃で紫外線を72時間照射した後の硬化物のYI値(Yellowness Index)を測定した。
〈耐熱劣化性〉
150℃で72時間加熱後のエポキシ樹脂硬化物のYI値(Yellowness Index)を測定した。
〈吸湿率(%)〉
厚さ3mm、直径50mmの円盤状エポキシ樹脂硬化物の121℃、24時間放置後の吸湿率を測定した。
製造例1
1L容のオートクレーブ中に、ビスフェノール化合物として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンを用いて得られた芳香族エポキシ樹脂(エポキシ当量;239、前記一般式(1)で示されるnの数は0〜4で、平均で0.15)150g、酢酸エチル300g、触媒として5重量%ロジウム/グラファイト触媒1.5gを仕込み、110℃、8MPaの条件で水素化反応を行った。反応開始後、水素吸収が3時間ほどみられたが、水素吸収が停止したので、30分攪拌後、脱圧、ガス置換し、反応液を抜き出した。
反応液に酸化マグネシウム粉末(富田製薬製「AD100P」)及び濾過助剤を添加し、濾過を実施した。濾液から、減圧下、150℃で酢酸エチルを留去し、無色透明半固体のエポキシ樹脂を得た。
得られたエポキシ樹脂をH−NMRで分析したところ、芳香環の水素化率が28%であることを確認した。また、得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は244であり、分光光度計より求めたAPHA(色相)は3であった。
製造例2
水素化触媒の量を0.75gとし、反応時間を1時間とした以外は、製造例1と同様の反応条件で水素化反応を行い、無色透明半固体のエポキシ樹脂を得た。
得られたエポキシ樹脂の芳香環の水素化率は6%であり、エポキシ当量は240、分光光度計より求めたAPHAは7であった。
比較製造例1
水素化触媒の量を7.5gとし、反応時間を5時間とした以外は、製造例1と同様の反応条件で水素化を行い、無色透明のエポキシ樹脂を得た。
得られたエポキシ樹脂の芳香環の水素化率は79%であり、エポキシ当量は264、分光光度計より求めたAPHAは2であった。
比較製造例2
ビスフェノール化合物として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンを用いて得られた芳香族エポキシ樹脂150gを酢酸エチル300g中へ溶解した後、活性炭(二村化学社製「太閤K」)6gを添加し、室温で1時間攪拌した後、濾過助剤を添加して濾過を実施した。濾液から、減圧下、150℃で酢酸エチルを留去し、エポキシ当量が239で、APHAが73の黄色透明半固形のエポキシ樹脂を得た。
実施例1
製造例1で得られたエポキシ樹脂100部、酸無水物硬化剤としてリカシッドMH−700(新日本理化社商品名;無水メチルヘキサヒドロフタル酸)70部を温度60℃で均一になるまで混合した後、硬化促進剤としてヒシコーリンPX−4MP(日本化学工業社商品名;メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート)1部を添加し、攪拌、溶解してエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物のゲル化時間を表1に示す。
このエポキシ樹脂組成物を減圧下で脱泡した後、型の中に流し込み、オーブン中にて100℃で3時間、次いで、140℃で3時間加熱して、硬化物を得た。
このエポキシ樹脂硬化物の評価結果を表1に示す。
実施例2〜5及び比較例1〜2
エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、その他の成分を表1に示す配合で用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物及び硬化物を得、評価結果を表1に示した。
Figure 2007002017
表1より、本発明によれば、無色透明で、耐光性、耐熱性、耐湿性に優れたエポキシ樹脂硬化体を得ることができることが分かる。

Claims (8)

  1. 下記(A)成分及び(B)成分を含有してなることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
    (A)成分;下記一般式(1)で示される芳香族エポキシ樹脂を直接水素化して得られるエポキシ樹脂であって、芳香環の水素化率が0.5〜50%のエポキシ樹脂
    Figure 2007002017
    [式中、R、R、R及びRは各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、nは0〜40の数を示す。]
    (B)成分;エポキシ樹脂用硬化剤
  2. 前記一般式(1)において、R、R、R及びRが水素原子であり、nが0〜20の数であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. (A)成分の芳香族エポキシ樹脂の芳香環の水素化率が、1〜30%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. (B)成分のエポキシ樹脂用硬化剤が、アミン類、酸無水物類、多価フェノール類、イミダゾール類、ブレンステッド酸塩類、アミンのBF錯体化合物、有機酸ヒドラジッド類、ジシアンジアミド類、及びポリカルボン酸類よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. (B)成分のエポキシ樹脂用硬化剤が、酸無水物類及び/又はカチオン重合開始剤であり、発光素子の封止材として用いる発光素子封止材用エポキシ樹脂組成物であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. (A)成分のエポキシ樹脂10〜90質量部に対して、脂環式エポキシ樹脂10〜90質量部を合計で100質量部となるように含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 発光層が350〜550nmに主発光ピークを有する発光素子を封止するための発光素子封止材用エポキシ樹脂組成物であることを特徴とする請求項5又は6に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 発光素子が発光ダイオード(LED)であることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
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