JP5297522B2 - 発光体 - Google Patents

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Description

本発明は導光板方式を用いて光が供給される発光体に関する。
従来、面発光体においては、液晶表示装置のバックライト光源装置に見られるように、ディスプレイとしての用途が主流であった。
近年、この面発光板を建材やアミューズメント等に遮光板として使用する動きが高まっている。このような場合、遮光板には、光源消灯時は透明板のように作用し、光源点灯時には、板面(表裏両面)横断放射発散光により遮光板として作用し、奥の視界を遮る作用をすることが要求される。
これまでの一般的な液晶表示装置は、透過型液晶の場合、非透明のバックライト装置が必要であり、反射型液晶の場合、実用上反射板が必要であった。従って、いずれの場合にも表示装置全体としては非透明であった。
面発光体においては、液晶表示装置のバックライト光源装置に見られるように、導光板表面に凹凸やドット印刷等で散乱機能を取り付ける構成(特許文献1)、あるいは、導光板に基材の屈折率と光拡散粒子の屈折率との屈折率差Δnが小さい光拡散粒子を内添する構成(特許文献2)が知られている。これらの構成では、光源消灯時に於いて導光板が不透明であるか、または導光板の厚み方向のヘイズ値が大きかった。このため、光源点灯時に遮光作用を行うことは可能であるが、消灯時に透明板のように作用させることが困難であった。
特開昭57−128383号公報 特許第3162398号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、導光板方式(バックライト方式)を用いて光を供給する発光体において、光源消灯時には厚み方向、若しくは太さ方向(導光方向に対し直交する方向)のヘイズ値を低くすることにより透明性を確保し、光源点灯時には板面横断放射発散光を用いることにより、高効率な光放出を可能とする発光体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る発光体の一態様は、光拡散粒子を含有する透明基材を用いた発光体であって、透明基材の厚み方向に光を散乱しながら透明基材の長さ方向に光が導光し、且つ輝度減衰係数E(m−1)を、透明基材の5(mm)厚みあたりのヘイズの値(%)で除した演算値(m−1/%)が0.55(m−1/%)以上10.0(m−1/%)以下とする。この発光体は、消灯時には、演算値を満たすような低いヘイズ値の透明基材を用いることによって透明板として働き、点灯時には、透明基材に含有する光拡散粒子によって高効率の光放出を実現する。これにより、バックライトや遮光板として働く表示装置が実現できる。
また、本発明に係る発光体の一態様において、透明基材は、基材の屈折率と光拡散粒子の屈折率との屈折率差Δnの絶対値が0.3以上3以下の光拡散粒子を少なくとも含有することが好ましく、光拡散粒子の濃度が0.0001重量%以上0.01重量%であることが好ましく、また、光拡散粒子は、屈折率差Δnの絶対値と、粒子の重量平均直径d(mm)との積が0.0001(mm)以上となる重量平均直径を有する粒子からなることが好ましい。
さらに、透明基材は、厚み方向のヘイズ値が30%以下の導光板であることが好ましい。また、透明基材は、厚み方向の粒子層数Sが0.15以内となる様に構成されることが好ましく、透明基材の板厚をt(mm)、透明基材の端面から光を供給する光源の、透明基材の厚み方向における大きさをD(mm)とするとき、板厚tは、D/2≦t≦20Dの範囲にあることが好ましい。また、発光体の形状は、板状、棒状、筒状であってもよい。
また、本発明に係る発光体の他の一態様は、光拡散粒子を含有する透明基材を用いた発光体であって、透明基材の屈折率と光拡散粒子の屈折率との屈折率差Δnの絶対値が0.3以上3以下の光拡散粒子を少なくとも含有し、光拡散粒子の濃度が0.0001重量%以上0.01重量%以下とする。この発光体は、上述した屈折率差Δnと光拡散粒子の濃度とを満たす透明基材を用いる。これにより、消灯時には、透明板として働き、点灯時には、高効率の光放出を実現する。
本発明の発光体の一態様によれば、光源消灯時には厚み方向、若しくは太さ方向のヘイズ値を低くすることにより透明性を確保し、光源点灯時には板面横断放射発散光を用いることにより、高効率な光放出を可能とすることができる。
本発明の実施形態1にかかる面発光体の一例を示す図である。 本発明の実施形態1にかかる面発光体の輝度分布測定系の一例を示す図である。 本発明の実施形態1にかかる面発光体の輝度分布測定結果の一例を示す図である。 本発明の実施形態1にかかる面発光体の輝度分布の対数プロットの一例を示す図である。 本発明の実施形態1にかかる面発光体において、輝度減衰係数Eが異なる場合における、輝度値B(x)と導光距離x(m)との関係例を示す図である。 本発明の実施形態1にかかる面発光体の層数を説明する図である。 本発明の実施形態1にかかる面発光体において、導光板の厚さ(t)と光拡散粒子の濃度との関係を説明する図である。 本発明の実施形態1にかかる面発光体において、導光板の厚さ(3t)と光拡散粒子の濃度との関係を説明する図である。 本発明の実施形態2にかかる発光体の形状の一例として長方形の場合を示す図である。 本発明の実施形態2にかかる発光体の形状の一例として翼状の場合を示す図である。 本発明の実施形態2にかかる発光体の形状の一例として火炎状の場合を示す図である。 本発明の実施形態2にかかる発光体の形状の一例として曲がっている形状の場合を示す図である。 本発明の実施形態2にかかる発光体の形状の一例としてプリズム形状を備える場合を示す図である。 本発明の実施例にかかる面発光体において、輝度減衰係数Eと5mm厚みあたりのヘイズ値との関係を示す図である。
(実施形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施形態1について、板状の面発光体を発光体の一例として説明する。本発明の実施形態1にかかる面発光体は、光拡散粒子を含有する導光板を用いる。導光板は、光源から光を供給すると、導光板の厚み方向に光を散乱しながら導光板の長さ方向に光を導光させる。導光板の長さ方向は、光源から光を供給する端面(入射端面)から、対向する端面への方向であり、供給された導光光が直進する方向と平行となる。導光板の厚み方向は、導光板の厚さを示す方向であり、長さ方向と垂直となる。また導光板の長さ方向および導光板の厚さ方向の両方に垂直な方向を導光板の幅方向とする。また、導光板は、板状である場合を用いて説明する。導光板の形状は長さ方向、幅方向にその厚みが変わる形態(断面楔状)であっても良い。
図1に面発光体の一例を示す。図1では、光源1が、面発光体2の端部に配置されている。また、光源1の周囲には光を効率よく利用するための反射カバー6が配置されている。図1では、面発光体2の左側に光源1を配置し、光を面発光体2の入射端面から入射面に対向する端面へ導光させる。
また、図1中、面発光体2の両側に示す矢印群は、光が拡散する様子を模式的に示したものである。光源1から面発光体2の入射端面に入光した光は、面発光体2の入射面に対向する端面へ導光される。その間に、該光は、光拡散粒子によって拡散され、面発光体2の正面及び背面から出射される。出射される光の量は導光距離が長くなることに応じて少なくなる。
また、本実施形態の導光板は、導光板の厚み方向のヘイズ値が30%以下となる様に構成される。
さらに、導光板は、輝度に関して、輝度減衰係数E(m−1)を5(mm)厚みあたりのヘイズの値(%)で除した演算値(m−1/%)が0.55(m−1/%)以上10.0(m−1/%)以下である、という特徴を有する。
演算値は、輝度に関する一つの特性を示すものであり、高効率の光放出を実現しながら、透明性が高い導光板を定義する指標となる。演算値は、輝度減衰係数E(m−1)を用いて算出されるため、まず、輝度減衰係数E(m−1)について説明する。
本発明における輝度減衰係数E(m−1)とは、面発光体の一端面に配置した光源から光を該端面から入光させたとき、該端面に接する発光面に対して垂直な方向に出射される光の輝度値の対数と、該端面からの距離とをプロットして輝度特性を表した場合の勾配を言う。なお、輝度減衰係数Eは、所定の領域(parts)の輝度を、任意の長さの単位(m)で測定した結果を用いるため、(m−1)もしくは(parts/m)という単位で表すものとする。以降の説明では、(m−1)を用いて説明する。
輝度の測定結果は理論上、次に示す式(1)に従う。ここでは、測定した輝度値をU(x)、理論上の輝度値をB(x)で表す。
B(x)=B(0)×exp(−E×x)・・・(1)
ここでx(x≧0)は、入射端面からの距離(導光距離)を示す。
また、輝度減衰係数E(m−1)は以下のことに注意して導出するものとする。
1.導光板の背面には例えば黒色の布など、光を吸収する素材を配置する。これは解析を容易にするため、背面側に出射される光を吸収させるものである。ここでは、輝度を測定する側を正面、対向する側を背面としている。
2.入射面に対向する端面付近では端面から光の反射の影響により輝度特性が式(1)に従わない場合がある。そこで、この影響を除くために、入射面に対向する端面に吸収処理を施して測定する。吸収処理方法としては、例えば入射面に対向する端面へ黒インクを塗布する等が挙げられる。入射面に対向する端面にミラーを配置している場合は、ミラーを取り除いた後に吸収処理を行う。
3.入射端面付近では輝度特性が式(1)従わない場合があるため、輝度減衰係数E(m−1)を導出する際にはその部分は除外する。例えば入射面に対向する端面から、入射端面方向へL/2またはL/3における輝度特性に基づいて輝度減衰係数Eおよび演算値を導出するものとする。ここでLは光源光入射端面から対向する端面までの距離(m)である。入射端面付近で輝度特性が式(1)従わない場合がある理由は明確でない。これに関して、光拡散粒子添加量が少なく、また屈折率差Δnが大きい構成ほど発生する傾向にあることなどが関係すると考えられる。従って、理由の一つとしては、入射端面付近における導光板内の光の拡散角分布が、入射端面方向へL/2またはL/3における導光板内の光の拡散角分布とは異なると推定される事によるものや、光源の反射カバーでの反射などの影響によるものと推定される。
4.輝度減衰係数E(m−1)は、後述する図4に示す輝度特性図を用いて、入射面に対向する端面からL/2(面発光体の中央)またはL/3までの範囲で直線近似によって導出する。
図2に面発光体の輝度分布測定系の一例を示す。図2では、光源1、面発光体2、輝度計3を備える。また、面発光体2の背面側には、背面側に出射される光を吸収させる吸収シート4が配置される。面発光体2の入射面に対向する端面には吸収処理5が施されている。さらに、光源1の周囲には光を効率よく利用するための反射カバー6が配置されている。図2では、面発光体2の左側に光源1を配置し、光を面発光体の入射端面から入射面に対向する端面へ導光させる。入射端面の位置を0mとし、入射面に対向する端面までの任意の距離を導光距離とする。図2では、最大導光距離を0.2mとする。輝度計3は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラを用いる。図2中、面発光体2(導光板)の板厚をtで示している。
図3に、測定された輝度値U(x)(cd/m)と入射端面からの距離x(m)との例をプロットした図を示す。図4に、輝度値U(x)(cd/m)の対数ln(U(x))と入射端面からの距離x(m)とをプロットした輝度特性図を示す。
ここで理論上の輝度値B(0)(cd/m)は、上述した、輝度値と輝度減衰係数の定義及び輝度減衰係数を算出して輝度特性を導出する輝度特性導出法に基づいて、計算する仮想の輝度値である。具体的には、入射面に対向する端面からL/2(面発光体の中央)までの範囲で直線近似によって求めた近似線をx=0(m)まで延長した時に縦軸と交差した値をln(B(0))とした時に計算される仮想の輝度値である。
次に輝度減衰係数E(m−1)と輝度との関係について説明する。輝度減衰係数E(m−1)はその値が大きいほど、導光方向の単位長さあたり、より多くの光を取出せることを表す。
図5に、輝度減衰係数E(m−1)が異なる場合における、理論上の輝度値B(x)と導光距離x(m)との関係例を示す。
図5の関係例は、拡散材を基材に添加した面発光体についてその輝度を測定したもので、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、ポリスチレンの中から1種選ばれた粒子直径0.5〜3μmの拡散材を厚み5mmの面発光体に対し0.02〜0.0005重量%添加したものである。いずれの輝度減衰係数Eでも、導光距離を0.2(m)とした場合である。このとき、輝度減衰係数E(m−1)が大きいほどB(x)の減少が大きい。つまりより多く光を面発光体2から取り出した結果、B(x)の減少が大きくなってことが分かる。
次に本発明で定義する層数Sについて説明する。層数Sは面発光体2に存在する光拡散粒子の総断面を、その発光面に射影した面積に相当する。これにより光拡散粒子の厚み方向の密度を評価する事ができる。より具体的には、導光板の厚み方向の粒子層数Sは式(2)で定義される。例えば底面に隙間なく敷き詰められる状態の粒子層数Sは1である。図6に、導光板が含有する光拡散粒子の総断面を導光板(面発光体2)の底面に射影した例を示す。
Figure 0005297522
ここで、nは粒子個数密度(/mm)、t(mm)は板厚、Vは粒子体積率、d(mm)は重量平均粒子直径、a(mm)は平均粒子半径である。
なお本発明の実施形態において、粒子直径は、重量平均粒子直径、粒子半径は重量平均粒子半径である。
面発光体2において、透明性を確保し、高効率での光放出を可能するためには、この層数Sを小さく保ったまま輝度減衰係数E(m−1)を大きくする必要がある。具体的には、面発光体2の透明性を確保することによって、消灯時に面発光体2が透明板として機能することが可能になる。透明性は、面発光体2を構成する導光板のヘイズ値を小さくすることが必要であり、図6に示す層数Sを小さくすることによって実現できる。また、高効率で光を放出することによって、点灯時に面発光体2が遮光板として機能するが可能になる。高効率の光放出は、上述した輝度減衰係数Eを大きくすることによって実現できる。
まず、ヘイズ値を検討する。ヘイズ値が30%より大きくなると透明感を失ってしまう。ヘイズは20%以下が好ましく、10%以下が特に好ましい。下限は特にないが、高い輝度を実現するため、光拡散粒子無添加の透明板の場合が含まれないという意味合いから0.1%以上とする。しかしながら、高効率の光放出が実現できる場合、0.1未満のヘイズ値を有する導光板を用いることが可能である。
本発明の実施形態において、面発光体2の面内でヘイズ値が異なる場合、面発光体2の面のうち、最もヘイズ値の小さい場所でヘイズ値を評価するものとする。
次に、輝度に関する演算値について説明する。演算値(m−1/%)は、上述したように、輝度減衰係数E(m−1)を5mm厚みあたりのヘイズ値(%)で除した値である。演算値(m−1/%)が0.55よりも小さいものは導光距離が長いものに好適であるが、光取出し効率が小さいため、点灯時の明るさが十分で無い。
演算値(m−1/%)が10.0よりも大きいものは光取出し効率は大きいため点灯時の明るさは十分であるが、導光距離が短く不十分となる。
本発明の実施形態の面発光体2は光拡散粒子の濃度が厚み方向について一定であっても良いし、例えば光拡散粒子含有層と透明層からなる複層構成、あるいは光拡散粒子含有濃度が異なる2層以上からなる複層構成であっても良い。複層構成である場合も上記と同様に、測定されたヘイズ値を基に5mm厚みあたりのヘイズ値を求める。
また、ヘイズ値を30%以下とするためには、層数Sを0.15以下にする事が好ましい。特に0.1以下とする事が好ましい。
屈折率差Δnは0.3以上である事が好ましい。屈折率差Δnが0.3より小さい場合、効率よく光を取り出す事ができず、点灯時の明るさの割に透明感が劣る場合がある。また、0.4以上である事がより好ましい。一方、屈折率差Δnが3より大きいと散乱光は後方散乱が支配的になるため、やはり点灯時の明るさの割に透明感が劣る場合がある。
本発明の実施形態で使用される拡散粒子の平均直径が小さい場合、レイリー散乱現象に起因すると思われる着色など、色目の変化が起きる場合がある。また、屈折率差Δnが小さい場合でもレイリー散乱現象に起因すると思われる着色など、色目の変化が起きる場合がある。具体的には、光源付近では散乱光が青みを帯び、光源から離れた位置では黄味を帯びる場合がある。
そこで、レイリー散乱現象に起因すると思われる着色を抑制するため、粒子の平均直径(mm)と屈折率差絶対値との積が0.0001(mm)以上であることが好ましい。
また、面発光体2の板厚t(mm)は光源の板厚方向の大きさD(mm)に対し、D/2≦t≦20Dの範囲にあることが好ましい。
この理由を、図7A、7Bを用いて説明する。図7Aに、光拡散粒子22の濃度C(重量%)、基板の厚さt(mm)の導光板21aから構成される面発光体2aの模式図を示す。図7Bに、光拡散粒子22の濃度C(重量%)、板厚3t(mm)の導光板bから構成される面発光体2bの例を示す。導光板21bの板厚は、導光板21aの板厚の3倍となっている。
導光板21aが含有する光拡散粒子22より、導光板21bが含有する光拡散粒子22の総量が多いため、発光強度も大きいように思われる。しかしながら、図7A、7Bに示す面発光体2a、2bでは、導光光は全反射を繰り返しながら面発光体2a、2bの内部を進む。このため、光拡散粒子の濃度が同じ場合、導光光が光拡散粒子によって拡散される確率は、図7Aおよび図7Bの場合とで同じである。例えば、図7Aでは、光拡散粒子22pによって光が拡散される場合を示し、図7Bでは、光拡散粒子22qによって光が拡散される場合を示している。このように、発光面の輝度は、図7Aと図7Bとで同一となる。
一方、図7Aの面発光体2aの板厚tは、図7Bの面発光体2bの板厚3tより薄いため、ヘイズ値が小さく透明感が高い。従って、本発明の面発光体は薄い方が好ましい。
しかしながら、板厚が光源の大きさより小さくなると、端面に入射する光の割合が小さくなるため、光の利用効率が小さくなる場合がある。従って、面発光体の板厚t(mm)は光源の板厚方向の大きさD(mm)に対し、D/2≦t≦20Dの範囲にあることが好ましい。D≦t≦15Dの範囲にあることがより好ましい。
また面発光体の基材がアクリル樹脂などの透明プラスチックで構成される場合、その剛性を考慮すると、厚みtは0.5mm以上であることが好ましい。また導光板の長さL(mm)に対し、t≧L/400の範囲にあることがより好ましい。
また本発明の面発光体を例えば押出し成形で製造する場合、製造の容易さからその厚みは20mm以下であることが好ましい。
以上説明したように、本発明に係る実施形態1の面発光体の一態様は、光拡散粒子を含有する導光板を用いた面発光体であって、該導光板の厚み方向に光を散乱しながら該導光板の長さ方向に光が導光し、且つ前記導光板の厚み方向のヘイズ値が30%以下であり、且つ輝度減衰係数E(m−1)を、該導光板の5(mm)厚みあたりのヘイズの値(%)で除した演算値(m−1/%)が0.55(m−1/%)以上10.0(m−1/%)以下とする。この面発光体は、消灯時には、低いヘイズ値の導光板を用いることによって透明板として働き、点灯時には、導光板に含有する光拡散粒子によって高効率の光放出を実現する。これにより、バックライトや遮光板として働く表示装置が実現できる。
また、本実施形態の面発光体の一態様において、導光板は、導光板の基材の屈折率と光拡散粒子の屈折率との屈折率差Δnの絶対値が0.3以上3以下の光拡散粒子を少なくとも含有することが好ましく、光拡散粒子は、屈折率差Δnの絶対値と、粒子の重量平均直径d(mm)との積が0.0001(mm)以上となる重量平均直径を有する粒子からなることが好ましい。
さらに、導光板は、厚み方向の粒子層数Sが0.15以内となる様に構成されることが好ましく、導光板の板厚をt(mm)、導光板の端面から光を供給する光源の、導光板の厚み方向における大きさをD(mm)とするとき、板厚tは、D/2≦t≦20Dの範囲にあることが好ましい。
(実施形態2)
実施形態1では、板状の面発光体を発光体の一例として説明した。実施形態2では、他の形状の発光体の場合を説明する。図8Aから8D及び図9を用いて本実施形態の発光体の一例を説明する。
発光体の一つの実施形態である面発光体の形状は、例えば図8Aのように長方形などの発光体7aの他、正面から見た形状が、正方形、台形、三角形などの多角形や、円、楕円などの曲線で形成される形状であってもよい。
また、面発光体は、翼状の発光体7b(図8B)、火炎状の発光体7c(図8C)などがあげられる他、曲線と直線とによって形成される他の形状であってもよい。
さらに、面発光体は、図8Aから8Cに示したように平板状に限られることはなく、図8Dに示すように、曲がっていても良い。図8Dでは、点線を用いて、入射端面の底辺と平行なラインを示し、形状が曲がっている状態をわかりやすくしている。図8Dでは、図8Aと同様の形状が曲がっている状態を示しているが、図8B、8Cなどの他の形状が曲がっていてもよい。
図8Aから8Dでは、発光体の板厚が一定である形状を示しているが、板の厚みが一定でなくても良い。また、板の幅が一定でなくてもよい。例えば、面発光体は、上述した多角形や円、楕円のように、光源1の幅と同じ幅を有してなくてもよい。但し、光源1と対向する入射端面は、光を有効に利用するため、少なくとも光源1と同じ幅もしくはそれより広い幅を有することが好ましい。
また、発光体は、面発光体に限られることはない。
発光体は、棒状であってもよい。棒状発光体の形状は、例えば円柱状、角柱状、円錐状、角錐状などが挙げられる。太さが一定でなくても良い。
さらに、発光体は、筒状であってもよい。筒状発光体の形状は、例えば円筒状、角筒状、中空の円錐状、中空の角錐状などが挙げられる。
さらにまた、発光体の形状は、例えば発光体の一つの面にプリズム形状を備えていてもよい。図9に一例を示す。また、プリズム形状に限られず、例えば波形、曲面や斜面によって形成される他の形状が発光体の一つの面に付加されてもよい。いずれの場合においても、発光体表面は内部に入射した光が全反射を起こしうる程度に滑らかである事が好ましい。
次に、本実施形態の拡散材の種類と輝度との関係について説明する。本実施形態においても、輝度は、実施形態1と同様に、図2の輝度測定系を用いて計測することができる。但し、ヘイズ値は、例えば発光体7a〜7dのように平板状の部分を含む形状については、測定することができるが、発光体7eのように平板状の部分がない場合には測定することができない。このような場合、発光体を構成する透明基材及び光拡散粒子を同じにして、平板状の発光体を形成し、測定することも可能である。そこで、本実施形態では、拡散材の種類と輝度との関係について検討する。
輝度(cd/m−2)は以下のことに注意して測定するものとする。
1.導光板の背面には例えば黒色の布など、光を吸収する素材を吸収シート4として配置する。これは背面側に出射される光を吸収させ、正面から出射される光のみを測定するためである。ここでは、輝度を測定する側を正面、対向する側を背面としている。
2.入射面に対向する端面付近では端面から光の反射の影響により輝度特性が変化する場合がある。そこで、この影響を除くために、入射面に対向する端面に吸収処理5を施して測定する。吸収処理方法としては、例えば入射面に対向する端面へ黒インクを塗布する等が挙げられる。
図5に示した、拡散材の種類や濃度が異なる場合における、面発光体の輝度値B(x)と導光距離x(m)との関係例を用いて、拡散材の種類と輝度との関係を検討する。
図5の関係例は、拡散材を基材に添加した面発光体についてその輝度を測定したもので、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、ポリスチレンの中から1種選ばれた粒子直径0.5〜3μmの拡散材を厚み5mmの面発光体に対し0.02〜0.0005重量%添加したものである。いずれの例も、導光距離を0.2(m)とした場合である。このとき、拡散材の種類や濃度により輝度特性が大きく変化することが分かる。
本発明者等は拡散材の種類や濃度の異なる発光体を種々検討した結果、特定範囲の屈折率差を持ち、特定範囲の濃度を添加した発光体が消灯時の透明性と点灯時の輝度のバランスが優れている事を見出した。
屈折率差Δnは0.3以上である事が好ましい。屈折率差Δnが0.3より小さい場合、効率よく光を取り出す事ができず、点灯時の明るさの割に透明感が劣る。また、0.4以上である事が好ましい。
一方、屈折率差Δnが3より大きいと散乱光は後方散乱が支配的になるため、やはり点灯時の明るさの割に透明感が劣る。
このような発光体の基材および拡散材の組み合せとしては、例えばアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂などの透明樹脂に酸化チタン、酸化亜鉛などの光拡散材微粒子を採用する事ができる。
本発明の実施形態で使用される拡散粒子の平均直径が小さい場合、レイリー散乱現象に起因すると思われる着色など、色目の変化が起きる場合がある。また、屈折率差Δnが小さい場合でもレイリー散乱現象に起因すると思われる着色など、色目の変化が起きる場合がある。具体的には、光源付近では散乱光が青みを帯び、光源から離れた位置では黄味を帯びる場合がある。
そこで、レイリー散乱現象に起因すると思われる着色を抑制するため、粒子の平均直径(mm)と屈折率差絶対値との積が0.0001(mm)以上であることが好ましい。
さらに、光拡散粒子の濃度は、0.0001重量%以上0.01重量%以下であることが好ましい。光拡散粒子の濃度が高くなるにつれ、発光体の透明度が低下する。このため、発光体の透明性、例えば板状発光体であれば低いヘイズ値、板状以外であれば目視での透明感、を維持するためには、光拡散粒子の濃度を低く抑えることが必要となる。一方、光拡散粒子の濃度が低すぎる場合、光を十分に散乱させる事ができず、発光体の輝度が小さすぎる場合がある。
(その他の実施形態)
本発明で使用される光源の形状は入射端面の形状、発光時の意匠に合わせて任意に選ぶ事ができ、例えば線状の他、点状、環状などを採用できる。
(実施例1)
以下に実施例および比較例を示す。面発光体は射出成型機を用いて作製した。実施例及び比較例で共通の条件を以下に示す。
<共通条件>
ベース樹脂:PMMA(アクリル樹脂) (株式会社クラレ製 「パラペット」)
屈折率:1.494(nD)
サンプルサイズ:5mm厚み × 導光長200mm × 幅70mm
使用光源:日亜化学工業株式会社製 「LED NFSW036BT」
使用個数:7個
配置間隔:10mm
印加電圧:2.8V/1光源
光源1個の大きさ:3mm(発光部)
実施例および比較例の材料構成と測定結果を表1に示す。また輝度減衰係数E(m−1)と5mm厚みあたりのヘイズ値の関係を図10に示す。横軸のヘイズ値は上述の通り、5mm厚みあたりのヘイズ値である。図10に示す測定結果から、ヘイズ値(%)をx、輝度減衰係数E(m−1)をyとすると、次の関係式が導かれた。
酸化チタン y=1.4797x
酸化亜鉛 y=0.7726x
酸化アルミニウム y=0.3662x
スチレン y=0.1444x
この関係式において、xの係数が演算値(m−1/%)に相当する。
また、図10において、演算値が0.55(m−1/%)以上10.0(m−1/%)以下の範囲を、二つの破線で示した。側の破線は、y=0.55x、側の破線は、y=10.0xの関係式となる。
実施例1および2では、演算値が約0.77〜約1.48(m−1/%)であり、ヘイズ値は1〜8.6%であった。
比較例1および2では、演算値が約0.14〜約0.37(m−1/%)であり、ヘイズ値は3〜25.3%であった。
また、表1の結果からヘイズ値を30%以下にするためにはSの値を0.15以下とする事が好ましい事が分かった。
[表1 実施例及び比較例とその構成]
Figure 0005297522
これら実施例及び比較例の面発光体について、消灯時の透明感及び点灯時の明るさを目視評価により5段階評価した。最も優れるものが5、最も劣るものが1であり、本評価では3以上を良好なものとした。その結果を表2にまとめた。表2に示す通り、実施例の面発光体は透明感が優れ、かつ明るいものであった。一方、比較例の面発光体は透明感に劣る、あるいは暗いものであった。
[表2 実施例及び比較例の評価結果]
Figure 0005297522
(実施例2)
サンプルサイズを直径10mm、長さ200mmの円柱状とし、使用光源の個数を1つとした実施例3,4および比較例3,4を作成した。拡散材は実施例3、4がそれぞれ実施例1、2と同じ、比較例3、4がそれぞれ比較例1、2と同じとした。
これら実施例3、4及び比較例3、4の棒状発光体について、消灯時の透明感及び点灯時の明るさを目視評価した。その結果、実施例の発光体は透明感が優れ、かつ明るいものであった。一方、比較例の発光体は透明感に劣る、あるいは暗いものであった。
以上に示したように、本発明の導光方式面発光体によれば、消灯時には透明感が高く、かつ点灯時には明るくバックライトや遮光板として働く表示装置が実現できる。例えば、アミューズメント用装飾が実現できる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
この出願は、2009年3月31日に出願された日本出願特願2009−084118、及び2009年7月6日に出願された日本出願特願2009−159444を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
1 光源
2、2a、2b 面発光体
3 輝度計
4 吸収シート
5 吸収処理
6 反射カバー
21a、21b 導光板
22、22p、22q 光拡散粒子
7a〜7e 発光体

Claims (10)

  1. 光拡散粒子を含有する透明基材を用いた発光体であって、前記透明基材の厚み方向に光を散乱しながら前記透明基材の長さ方向に光が導光し、且つ輝度減衰係数E(m−1)を、前記透明基材の5(mm)厚みあたりのヘイズの値(%)で除した演算値(m−1/%)が0.55(m−1/%)以上10.0(m−1/%)以下である発光体。
  2. 前記透明基材は、基材の屈折率と前記光拡散粒子の屈折率との屈折率差Δnの絶対値が0.3以上3以下の光拡散粒子を少なくとも含有することを特徴とする請求項1記載の発光体。
  3. 前記光拡散粒子の濃度が0.0001重量%以上0.01重量%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の発光体。
  4. 前記光拡散粒子は、前記屈折率差Δnの絶対値と、粒子の重量平均直径d(mm)との積が0.0001(mm)以上となる重量平均直径を有する粒子からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光体。
  5. 前記透明基材は、前記厚み方向のヘイズ値が30%以下の導光板であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光体。
  6. 前記透明基材は、前記厚み方向の粒子層数Sが0.15以下となる様に構成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光体。
  7. 前記透明基材の板厚をt(mm)、前記透明基材の端面から光を供給する光源の、前記厚み方向における大きさをD(mm)とするとき、板厚tは、D/2≦t≦20Dの範囲にあることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発光体。
  8. 前記発光体の形状が棒状であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の発光体。
  9. 前記発光体の形状が筒状であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の発光体。
  10. 光拡散粒子を含有する透明基材を用いた発光体であって、前記透明基材の屈折率と前記光拡散粒子の屈折率との屈折率差Δnの絶対値が0.3以上3以下の光拡散粒子を少なくとも含有し、前記光拡散粒子の濃度が0.0001重量%以上0.01重量%以下である発光体。
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