JP5442533B2 - 発光体 - Google Patents

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Description

本発明は、導光板方式を用いて光が供給される発光体、特に面発光体に関する。
従来、面発光体においては、液晶表示装置のバックライト光源装置に見られるように、ディスプレイとしての用途が主流であった。バックライト光源装置に用いられる導光板基材としては、透明性および剛性などに優れるポリメチルメタアクリレート樹脂(PMMA)が好ましく用いられている。
近年、これらの用途の他に面発光板を建材や装飾、アミューズメント等に使用する動きが高まっている。建材や装飾などの用途では板厚方向は透明で、発光時には明るく光る事が求められる場合もある。
面発光体としては、導光板表面に凹凸やドット印刷等で散乱機能を取り付ける構成(特許文献1)が知られている。しかし面発光体を建材や装飾に用いる場合、表面の凹凸や印刷パターンが意匠上好ましくない場合がある。そのような場合には、導光板に基材の屈折率と光拡散粒子の屈折率とが異なる光拡散粒子を内添する構成(特許文献2)が好ましく用いることができる。
またこれらの構成では、光源消灯時において導光板が不透明であるか、または導光板の厚み方向のヘイズ値が大きかった。このため、光源点灯時に遮光作用を行うことは可能であるが、消灯時に透明板のように作用させることが困難であった。
ところで、建材や装飾などの用途では難燃性、絶縁性能、導電性能、耐衝撃性、耐紫外線性などの性能が要求されるが、PMMAは難燃性、耐衝撃性などに問題がある。たとえば難燃性改善の対策として、基材に難燃剤などの添加剤を混入すること考えられるが、これら添加剤は基材の透明性を阻害する要因となる。
難燃性や耐衝撃性に優れた樹脂を基材として用いることも考えられ、例えばポリカーボネート(PC)やポリスチレンなどが挙げられる。しかしこれらの樹脂の透明性は一般的にPMMAより劣るため、明るい面発光体とするためには工夫が必要となる。
特開昭57−128383号公報 特許第3162398号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、難燃性、耐衝撃性などに優れる一方で透明性がやや劣った基材を用いながらも明るい面発光体を提供することを目的とし、さらには消灯時には板厚方向に透明で、発光時には明るく光る面発光体を提供する。
上記課題を解決するため、本発明に係る発光体の一態様は、光拡散粒子を含有する透明基材を用いた発光体であって、透明基材の厚み方向に光を散乱しながら透明基材の長さ方向に光が導光する構成であり、前記発光体は透明基材Aと、光透過性が基材Aより劣る透明基材Bからなる2層以上の積層体からなり、少なくとも透明基材Bが光拡散粒子を含有する構成である。ここで、基材Bが基材Aに比べ難燃性に優れるものであるのが好ましい。なお、難燃性の評価は、難燃規格「UL94HB」の水平燃焼性試験方法によるものとする。
また、本発明に係る発光体の一態様において、透明基材は、基材の屈折率と光拡散粒子の屈折率との屈折率差Δnの絶対値が0.3以上3以下の光拡散粒子を少なくとも含有することが好ましく、光拡散粒子の濃度が0.0001重量%以上0.01重量%であることが好ましく、また、光拡散粒子は、屈折率差Δnの絶対値と、粒子の重量平均直径d(mm)との積が0.0001(mm)以上となる重量平均直径を有する粒子からなることが好ましい。
さらに、発光体は、厚み方向のヘイズ値が30%以下の導光板であることが好ましい。また、発光体は、厚み方向の粒子層数Sが0.15以内となる様に構成されることが好ましく、発光体のうち、導光に寄与する層の厚みをt(mm)、発光体の端面から光を供給する光源の、発光体の厚み方向における大きさをD(mm)とするとき、層厚tは、D/2≦t≦20Dの範囲にあることが好ましい。
また、本発明に係る発光体の他の一態様は、透明基材の屈折率と光拡散粒子の屈折率との屈折率差Δnの絶対値が0.3以上3以下の光拡散粒子を少なくとも含有し、光拡散粒子の濃度が0.0001重量%以上0.01重量%以下とする。
この発光体は、上述した屈折率差Δnと光拡散粒子の濃度とを満たす透明基材を用いることにより、消灯時には、透明板として働き、点灯時には、高効率の光放出を実現し、意匠性の高い部材となる。
本発明の発光体の一態様によれば、例えば難燃性能や耐衝撃性などを改善するために透明性に劣る基材を用いた導光式発光体であっても、明るい発光を実現できる。
また光源消灯時には厚み方向、若しくは太さ方向のヘイズ値を低くすることにより透明性を確保し、光源点灯時には板面横断放射発散光を用いることにより、高効率な光放出を可能とすることができる。
本発明の実施形態1にかかる面発光体の一例を示す図である。 本発明の実施形態1にかかる面発光体の粒子層数を説明する図である。 本発明の実施形態1にかかる面発光体において、導光板の厚さ(t)と光拡散粒子の濃度との関係を説明する図である。 本発明の実施形態1にかかる面発光体において、導光板の厚さ(3t)と光拡散粒子の濃度との関係を説明する図である。 本発明にかかる複層の面発光体において導光の様子を示す図である。 本発明にかかる面発光体に用いられる透明基材の光透過性を評価する構成の一例を示す図である。 本発明の実施例および比較例にかかる面発光体において使用した透明基材の透明性を評価した結果を示す図である。 本発明の実施例および比較例にかかる面発光体の難燃性を評価する構成を示す図である。 本発明の実施例および比較例にかかる面発光体の輝度を測定する構成を示す図である。 本発明の実施例および比較例にかかる面発光体の輝度を測定した結果を示す図である。
(実施形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施形態1について、板状の面発光体を発光体の一例として説明する。本発明の実施形態1にかかる面発光体は、光拡散粒子を含有する導光板を用いる。導光板は、光源から光を供給すると、導光板の厚み方向に光を散乱しながら導光板の長さ方向に光を導光させる。導光板の長さ方向は、光源から光を供給する端面(入射端面)から、対向する端面への方向であり、供給された導光光が直進する方向と平行となる。導光板の厚み方向は、導光板の厚さを示す方向であり、長さ方向と垂直となる。また導光板の長さ方向および導光板の厚さ方向の両方に垂直な方向を導光板の幅方向とする。また、導光板は、板状である場合を用いて説明する。導光板の形状は長さ方向、幅方向にその厚みが変わる形態(断面楔状)であっても良い。
図1に面発光体の一例を示す。図1では、光源1が、面発光体2の端部に配置されている。また、光源1の周囲には光を効率よく利用するための反射カバー6が配置されている。図1では、面発光体2の左側に光源1を配置し、光を面発光体2の入射端面から入射面に対向する端面へ導光させる。
本発明では、透明性、剛性を維持するための高透明基材Aからなる基材A層2aと、透明性が高透明基材Aより劣る透明基材Bからなる基材B層2bで構成される。3層以上であっても良い。
本発明では面発光体2のヘイズ値を30%以下とすることが好ましく、ヘイズ値を30%以下とするためには、面発光体2における光拡散粒子22の粒子層数Sを0.15以下にすることが好ましい。特に0.1以下とすることが好ましい。
まず、ヘイズ値について検討する。ヘイズ値が30%以下であると透明感があるので建材や装飾、アミューズメント等の用途に好ましい。ヘイズは20%以下が好ましく、10%以下が特に好ましい。下限は特にないが、高い輝度を実現するため、光拡散粒子無添加の透明板の場合が含まれないという意味合いから通常は0.1%以上となる。しかしながら、高効率の光放出が実現できる場合、0.1未満のヘイズ値を有する導光板を用いることが可能である。
本発明の実施形態において、面発光体2の面内でヘイズ値が異なる場合、面発光体2の面のうち、最もヘイズ値の小さい場所でヘイズ値を評価するものとする。
次に本発明で定義する粒子層数Sについて説明する。粒子層数Sは面発光体2に存在する光拡散粒子22の総断面を、その発光面に射影した面積に相当する。これにより光拡散粒子22の厚み方向の密度を評価することができる。より具体的には、面発光体2の厚み方向の粒子層数Sは式(1)で定義される。例えば、底面に隙間無く敷き詰められた状態の粒子層数Sは1である。図2に、面発光体2が含有する光拡散粒子22の総断面を面発光体2の底面に射影した例を示す。
Figure 0005442533
ここで、nは粒子個数密度(/mm)、t(mm)は板厚、Vは粒子体積率、d(mm)は重量平均粒子直径、a(mm)は平均粒子半径である。
なお本発明の実施形態において、粒子直径は、重量平均粒子直径、粒子半径は重量平均粒子半径である。
面発光体2において、透明性を確保するためには、この粒子層数Sを小さく保つ必要がある。具体的には、面発光体2の透明性を確保することによって、消灯時に面発光体2が透明板として機能することが可能になる。透明性は、面発光体2のヘイズ値を小さくすることが必要であり、図2に示す粒子層数Sを小さくすることによって実現できる。
屈折率差Δnは0.3以上であることが好ましく、0.4以上であることがより好ましい。屈折率差Δnが0.3より小さい場合、効率よく光を取り出すことができず、点灯時の明るさの割に透明感が劣る場合がある。一方、屈折率差Δnが3より大きいと散乱光は後方散乱が支配的になるため、やはり点灯時の明るさの割に透明感が劣る場合がある。
屈折率差Δnが0.3以上であると高効率で光を放出することができ、点灯時に面発光体2が遮光板として機能するが可能になる。
本発明の実施形態で使用される拡散粒子の平均直径が小さい場合、レイリー散乱現象に起因すると思われる着色など、色目の変化が起きる場合がある。また、屈折率差Δnが小さい場合でもレイリー散乱現象に起因すると思われる着色など、色目の変化が起きる場合がある。具体的には、光源付近では散乱光が青みを帯び、光源から離れた位置では黄味を帯びる場合がある。
そこで、レイリー散乱現象に起因すると思われる着色を抑制するためには、粒子の平均直径(mm)と屈折率差絶対値との積が0.0001(mm)以上であることが好ましい。
また、面発光体2のうち、導光に寄与する層である基材A層2aの厚みをt(mm)、面発光体2の端面から光を供給する光源1の方向の大きさをD(mm)とするとき、層厚tは、D/2≦t≦20Dの範囲にあることが好ましい。
この理由を、図3A、図3Bを用いて説明する。図3Aに、光拡散粒子22の濃度C(重量%)、基板の厚さt(mm)の面発光体2の模式図を示す。図3Bに、光拡散粒子22の濃度C(重量%)、板厚3t(mm)の面発光体2の例を示す。図3Bの面発光体2の板厚は、図3Aの面発光体2の板厚に対して3倍の板厚となっている。
図3Aにおける光拡散粒子22より、図3Bにおける光拡散粒子22の総量が多いため、発光強度も大きいように思われる。しかしながら、図3A、3Bに示す面発光体2では、導光する光は全反射を繰り返しながら面発光体2の内部を進む。このため、光拡散粒子の濃度が同じ場合、導光する光が光拡散粒子によって拡散される確率は、図3Aおよび図3Bの場合とで同じである。例えば、図3Aでは、光拡散粒子22pによって光が拡散される場合を示し、図3Bでは、光拡散粒子22qによって光が拡散される場合を示している。このように、発光面の輝度は、図3Aと図3Bとで同一となる。
一方、図3Aの面発光体2の板厚tは、図3Bの面発光体2の板厚3tより薄いため、ヘイズ値が小さく透明感が高い。従って、本発明の面発光体は薄い方が好ましい。しかしながら、板厚が光源の大きさより小さくなると、端面に入射する光の割合が小さくなるため、光の利用効率が小さくなる場合がある。
従って、面発光体2のうち、導光に寄与する層である基材A層2aの厚みt(mm)は光源の板厚方向の大きさD(mm)に対し、D/2≦t≦20Dの範囲にあることが好ましい。D≦t≦15Dの範囲にあることがより好ましい。
また面発光体2の基材がアクリル樹脂などの透明プラスチックで構成される場合、その剛性を考慮すると、厚みtは0.5mm以上であることが好ましい。また面発光体2の長さL(mm)に対し、t≧L/400の範囲にあることがより好ましい。
また本発明の面発光体2を例えば押出し成形で製造する場合、製造の容易さからその厚みは20mm以下であることが好ましい。
次に本発明の複層構成の面発光体について説明する。
高透明基材Aからなる基材A層2aは主として透明性、剛性などを発揮するための層であり、透明性が高透明基材Aより劣る透明基材Bからなる基材B層2bは主として難燃性や耐衝撃性などを発揮するための層である。高透明基材Aとしては、例えばPMMAなどが用いられる。透明基材B層としては、例えば難燃性能を重視する場合にポリカーボネートなどが用いられる。さらに透明基材B層に各種添加剤を添加してもよい。添加剤の例としては、難燃剤や紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、蛍光剤、着色剤、帯電防止剤、光安定剤、消臭剤、抗菌剤などが挙げられる。
また吸湿による変形を抑制したい場合はポリスチレンなどが用いられる。
また高透明基材Aと透明基材Bとは必ずしも異なる基材である必要はない。例えば添加剤を含まないPMMAを高透明基材Aとし、PMMAに添加剤を添加することにより比較的透明性が劣ることになったものを透明基材Bとしてもよい。あるいは、低濃度の添加剤を含むPMMAを高透明基材Aとし、高濃度の添加剤を含むPMMAを透明基材Bとしてもよい。
本発明ではこのような構成により、難燃性や耐紫外線性、耐衝撃性などの性能を改善できる。
本発明では、少なくとも基材B層2bに光拡散粒子22を含んでいる。
面発光体2の導光方向に進む光は、光拡散粒子22により散乱されて主面から出射する成分と、基材に吸収される成分とにより、徐々に面発光体2から失われる。このとき、基材に吸収される成分は有効利用されない成分である。光を有効利用するためには、光拡散粒子22により散乱される成分を増やす必要がある。
そのために、本発明の面発光体2は少なくとも透明基材B層2b中に光拡散粒子22を含有する必要がある。高透明基材A層2aで吸収される光は比較的少ないため、高透明基材A層2aに光拡散粒子22を含有しない構成であってもよいが、より光を有効に利用するためには高透明基材A層2a中にも光拡散材22を含有することが好ましい。
このことを図4によりさらに説明する。図4に示す面発光体2において、高透明基材Aは光の吸収が無い仮想的な透明材料からなり、透明基材Bは光の吸収が有るが難燃性に優れる材料からなる。ここで高透明基材A層2aと透明基材B層2bの屈折率は同一とし、また界面に接着剤などは介在せず、界面における反射、吸収は無視できる、とする。
また光線Aおよび光線Bは光源から面発光体2内に入射し、高透明基材A層2aと透明基材B層2bとを交互に通過しながら導光する光線の様子を示す。
本発明の一形態である、透明基材B層2aにのみ光拡散材を含有し、高透明基材A層2aには光拡散材を含有しない構成例を考える。光線Aはまず高透明基材A層2aを通過するが散乱も吸収も無いため光量を保ったまま透明基材B層2bに達する。透明基材B層2bでは、光量の一部は吸収されると同時に光拡散材22により散乱され外部へ光を出射する。光線Bはまず透明基材B層2bを通過する。その際、光量の一部は吸収されると同時に光拡散材22により散乱され外部へ光を出射する。次に高透明基材A層2aを通過するが散乱も吸収も無いため光量を保ったまま再び透明基材B層2bに達する。このように、本発明では高透明基材A層2aを積層することにより、導光距離を伸ばす効果が奏される。
ここで、高透明基材A層2aにも光拡散材を含有してもよいが、その濃度が大きすぎると導光距離を伸ばす効果が失われる。そのため、高透明基材A層2aに含まれる光拡散材22の濃度は、通常透明基材B層2bに含まれる光拡散材の濃度以下であることが好ましい。
また発光体全体の厚みに占める透明基材B層2bの割合は50%以下であることが好ましい。透明基材B層2bが複数ある場合はそれぞれの厚みの合計が発光体全体の厚みの50%以下であることが好ましい。
透明基材B層2bと高透明基材A層2aは別々に製造し、接着剤、粘着シートなどで貼り合せてもよい。しかし接着剤、粘着シートは一般に透明性が低いため、共押出し成形等によってこれらを用いないで製造することが好ましい。
<光透過性測定方法>
本発明で言う基材の透明性つまり光透過率の大小の評価において、基材層の厚み方向の透過率で定義することもできるが、基材層の厚みが小さい場合など、透過率の数値に差が生じにくい場合がある。その場合は導光方向の透過率で評価する。例えば図5に示すように、レーザ光源の光出射光軸上に光軸に平行に導光板を設置し、光の入射端とは反対側に光強度検出器を設置する事でより正確に光透過率の大小を評価できる。
さらに、光拡散粒子22の濃度は、0.0001重量%以上0.01重量%以下であることが好ましい。光拡散粒子22の濃度が高くなるにつれ、面発光体2の透明度が低下する。このため、面発光体2の低いヘイズ値を維持するためには、光拡散粒子22の濃度を低く抑えることが必要となる。一方、光拡散粒子22の濃度が低すぎる場合、光を十分に散乱させることができず、面発光体2の輝度が小さすぎる場合がある。
以下に実施例および比較例を示す。面発光体は射出成型機を用いて作製した。実施例及び比較例で共通の条件を以下に示す。
<材料>
高透明基材A:PMMA(アクリル樹脂) 株式会社クラレ製 「パラペット」
屈折率:1.49
透明基材B:PC(難燃ポリカーボネート樹脂)出光興産株式会社製「タフロン」
屈折率:1.59
光拡散材:酸化チタン粒子(重量平均粒径1μm)屈折率:2.72
シート積層用粘着材:アクリル系透明粘着シート(0.05mm)
<基材の光透過性測定方法>
図5に示す測定方法により光透過性を評価した。光源としてヘリウム・ネオンレーザを用い、厚み5mm、幅70mm、長さ(導光方向)が1mmから40mmまで所定の長さに切断した長方形板の試験片を作製し、前記試験片の入光面及び出射面を鏡面研磨して透過率を測定することにより、高透明基材A(PMMA)および透明基材B(PC)の光透過性を比較評価した。その結果、図6に示す通り、高透明基材A(PMMA)の光透過性が透明基材B(PC)より優れていることが分かる。
<難燃性>
本実施例では、透明基材Bの特徴である難燃性能を評価した。評価法は難燃規格「UL94HB」の水平燃焼性試験方法に準じて行った。ただし、接炎する面の反対面は3mm厚みのガラス板にアクリル系粘着シート(0.05mm)で貼って試験を行った。また図7に示す通り、垂直方向に支持された被試験シートの片面中央にバーナー炎を2分間接触させた後、炎を取り除き、60秒以内に消火するものを合格、60秒より長く燃えつづけるものを不合格とした。接炎する面は、複層シートにおいては透明基材B(PC)側のみとした。
<明るさ評価>
以下に示す光源を導光板に取り付けてその正面の輝度を明るさとして評価した。
使用光源:日亜化学工業株式会社製 「LED NFSW036BT」
使用個数:7個
配置間隔:10mm
印加電圧:2.8V/1光源
光源1個の大きさ:3mm(発光部)
サンプル寸法:導光長50mm×幅70mm×厚み5mm
光源は面発光体の厚み方向中央付近(積層板の場合、高透明基材A層の厚み方向中央付近)、入射面に接触する位置に配置した。
輝度(cd/m−2)は以下の点に注意して測定するものとする。
1.面発光体の背面には例えば黒色の布など、光を吸収する素材を吸収シート4として配置する。これは背面側に出射される光を吸収させ、正面から出射される光のみを測定するためである。ここでは、輝度を測定する側を正面、対向する側を背面としている。
2.入射面に対向する端面付近では端面から光の反射の影響により輝度特性が変化する場合がある。そこで、この影響を除くために、入射面に対向する端面に吸収処理5を施して測定する。吸収処理方法としては、例えば入射面に対向する端面へ黒インクを塗布する等が挙げられる。
図8に面発光体の明るさ測定系を示す。図8では、光源1、面発光体2、輝度計3を備える。また、面発光体2の背面側には、背面側に出射される光を吸収させる吸収シート4が配置される。面発光体2の入射面に対向する端面には吸収処理5が施されている。さらに、光源1の周囲には光を効率よく利用するための反射カバー6が配置されている。図8では、面発光体2の左側に光源1を配置し、光を面発光体2の入射端面から入射面に対向する端面へ導光させる。入射端面の位置を0mmとし、入射面に対向する端面まで8mm離れるごとの位置における輝度を測定した。輝度計3は、CCD(Charge Coupled Device)カメラを用い、出射面から5m離れた位置に設置した。
(実施例1)
高透明基材Aに光拡散材を0.003重量%添加した導光板、および透明基材Bに光拡散材を0.003重量%添加した導光板を作製し、粘着シートにより貼り合わせ、面発光体を作製した。次いで所定の寸法に切断し、明るさ評価及び難燃性評価を行った。
(実施例2)
透明基材Bへ添加する光拡散材の濃度を0.0015重量%とした以外は実施例1と同様にして面発光体を作製した。次いで所定の寸法に切断し、明るさ評価及び難燃性評価を行った。
(実施例3)
高透明基材Aに光拡散材を添加しなかった以外は実施例1と同様にして面発光体を作製した。次いで所定の寸法に切断し、明るさ評価及び難燃性評価を行った。
(比較例1)
高透明基材Aに光拡散材を0.003重量%添加した面発光体を作製した。次いで所定の寸法に切断し、明るさ評価及び難燃性評価を行った。
(比較例2)
透明基材Bに光拡散材を添加しなかった以外は実施例1と同様にして面発光体を作製した。次いで所定の寸法に切断し、明るさ評価及び難燃性評価を行った。
(比較例3)
透明基材Bに光拡散材を0.003重量%添加した面発光体を作製した。次いで所定の寸法に切断し、明るさ評価及び難燃性評価を行った。
Figure 0005442533
次に、図9に面発光体の明るさ測定結果を示す。
これら実施例及び比較例の面発光体について比較してみると、実施例の面発光体は高透明基材のみからなる比較例1の65%以上の輝度であった。単に難燃性が高く透明な基材を積層した比較例2あるいは単に難燃性が高く透明な基材に拡散材を添加した比較例3の面発光体の輝度は、実施例より劣っていた。また比較例1の面発光体は明るいものの、難燃性が不合格であった。
以上に示したように、本発明によれば、点灯時には明るく、かつ難燃性などの高機能の導光方式面発光体が実現できる。また消灯時には透明感が高いので、例えば、アミューズメント用装飾が実現できる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
1 光源
2、 面発光体
2a 基材A層
2b 基材B層
3 輝度計
4 吸収シート
5 吸収処理
6 反射カバー
22、22p、22q 光拡散粒子

Claims (8)

  1. 光拡散粒子を含有する透明基材を用いた発光体であって、透明基材の厚み方向に光を散乱しながら透明基材の長さ方向に光が導光し、
    表面に凹凸またはドット印刷からなる光散乱機能を有しない構成であり、
    前記発光体は透明基材Aと、光透過性が基材Aより劣る透明基材Bからなる2層以上の
    積層体からなり、
    透明基材Aと透明基材Bは向かい合う全面で積層され、
    少なくとも透明基材Bには光拡散粒子を含有する発光体。
  2. 前記基材Bが前記基材Aより難燃性に優れる請求項1に記載の発光体。
  3. 前記透明基材は、基材の屈折率と前記光拡散粒子の屈折率との屈折率差Δnの絶対値が0.3以上3以下の光拡散粒子を少なくとも含有することを特徴とする請求項1または2に記載の発光体。
  4. 前記光拡散粒子の濃度が0.0001重量%以上0.01重量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光体。
  5. 前記透明基材は、基材の屈折率と前記光拡散粒子の屈折率との屈折率差Δnの絶対値と、粒子の重量平均直径d(mm)との積が0.0001(mm)以上となる重量平均直径を有する粒子からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の発光体。
  6. 前記透明基材は、前記厚み方向のヘイズ値が30%以下の導光板であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の発光体。
  7. 前記透明基材は、前記厚み方向の粒子層数S1が0.15以内となる様に構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の発光体。
  8. 前記透明基材の板厚をt(mm)、前記透明基材の端面から光を供給する光源の、前記厚み方向における大きさをD(mm)とするとき、板厚tは、D/2≦t≦20Dの範囲にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の発光体。
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