以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「導光板」はシートやフィルムと呼ばれ得るような部材をも含む概念であり、したがって、「導光板」は、「導光シート」や「導光フィルム」と呼ばれる部材と、呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「板面(シート面、フィルム面)」とは、対象となる板状(シート状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となる板状部材(シート状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1〜図6は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は、本実施の形態の照明装置および導光板を示す縦断面図である。図2は、照明装置および導光板を示す部分斜視図である。図3は、照明装置および導光板を示す平面図である。図4〜図6は、図1の導光板を示す部分拡大図である。なお、図1及び図4〜図6に示された断面は、図3のA−A線に沿った断面を示している。
照明装置10は、面状に光を発光する装置であり、例えば室内または屋外の照明、広告用照明、表示装置用のバックライト等、種々の用途に使用され得る。とりわけ、店舗におけるショーウィンドウやショーケースのように、空間を一方側と他方側に仕切り、一方側に位置する商品等を照明し、且つ、他方側から一方側に位置する商品等を視認することができる仕切部材に好適に使用され得る。図1〜図3に示すように、照明装置10は、いわゆるエッジライト型の照明装置として構成され、導光板30と、導光板30の側方に配置された発光体22を含む光源20と、を有している。導光板30は、平板状に形成され、一対の対向する主面として第1主面31a及び第2主面31bを有している。図示された例では、第1主面31aが、照明装置10の出光面10aを形成し、第2主面31bが、出光面10aとは反対側の反対面(非発光面)10bを形成している。なお、導光板30を、例えばその板面が鉛直方向と略平行になるようにして用いる場合、すなわち導光板30を立てた状態で用いる場合、光源20は、導光板30の側方、上方、下方のいずれに配置してもよい。また、図1〜図3には、光源20から照射された光が直接導光板30に入射するようになっている照明装置10が示されているが、これに限らず、光源20から照射された光が、鏡やプリズム等の光路変更手段を介して導光板30に入射するようになっていてもよい。
図示する例において、平板状の導光板30は、平面視において四角形形状に形成されている。したがって、一対の主面である第1主面31a及び第2主面31bも、四角形形状に形成され、且つ、導光板30の一対の主面31a,31b間に画成される側面は四つの面を含んでいる。導光板30の板面に沿って延びる第1方向d1に対向する二つの側面のうちの一方の側面が、入光面31cをなしている。図1〜図3に示すように、入光面31cに対面して光源20の発光体22が設けられている。図1に示すように、入光面31cから導光板30に入射した光L11〜L16は、第1方向(導光方向)d1に沿って入光面31cに対向する反対面31dに向け、概ね第1方向(導光方向)d1に沿って導光板30内を進むようになる。
光源20は、例えば、線状の冷陰極管等の蛍光灯や、点状のLED(発光ダイオード)や白熱電球等の種々の態様で構成され得る。図示された例において、光源20は、入光面31cの長手方向である第2方向d2に沿って、並べて配置された多数の点状発光体22、具体的には、多数の発光ダイオード(LED)によって、構成されている。各点状発光体22の出力、すなわち、各点状発光体22の点灯および消灯、及び/又は、各点状発光体22の点灯時の明るさは、他の点状発光体の出力から独立して調節され得ることが好ましい。なお、図示された例において、第1方向d1及び第2方向d2は、互いに直交し、且つ、ともに導光板30の板面に平行となっている。
次に、図1〜図6を参照して、導光板30についてさらに詳述する。導光板30は、一対の対向する主面41a,41bを含む平板状の取出導光層40を有している。取出導光層40は、その第1主面41aが導光板30の第1主面31aに近接する側に位置し且つその第2主面41bが導光板30の第2主面31bに近接する側に位置するよう、配置されている。また、図示された例において、導光板30は、第1主面41aの側から取出導光層40に順に積層された第1低屈折率層55及び第1カバー層56と、第2主面41bの側から取出導光層40に順に積層された第2低屈折率層57及び第2カバー層58と、をさらに有している。さらに、図示された例では、取出導光層40の第2主面41bと第2低屈折率層57との間に、複数の遮光部60が間隔をあけて設けられている。
まず、取出導光層40について説明する。取出導光層40は、一対の対向する主面をなす第1主面46a及び第2主面46bを有したベース部45と、ベース部45内に設けられた光拡散部50と、を有している。図示された例において、ベース部45の第2主面46bには、第1方向d1に間を開けて複数の溝49が形成されている。光拡散部50は、溝49内に設けられている。ベース部45は、導光板30の外輪郭に対応して、平面視四角形形状の板状部材として形成されている。図示された例において、光拡散部50は、ベース部45の対応する溝49を埋めるようにして当該溝49の内部に配置されている。そして、取出導光層40の第1主面41aは、ベース部45の第1主面46aによって形成され、取出導光層40の第2主面41bは、ベース部45の第2主面46bと光拡散部50の端面とによって形成されている。
ベース部45の一対の主面46a,46b間に、四つの側面が形成されている。そして、第1方向d1に対向する一対の側面46c,46dのうちの、第1方向d1における光源20に近接する一側に配置された入光側面46cが、導光板30の入光面31cを形成し、第1方向d1における光源20から離間する他側に配置された反対側面46dが、導光板30の反対面31dを形成している。
ベース部45は、光源20からの光を導光する部位であることから、高い透過率を有した材料、例えば、透明な樹脂材料から形成される。一方、光拡散部50は、入射光を拡散させる機能を有した層であり、取出導光層40内を進む光の進行方向を変化させる部位である。後述するように、光拡散部50で進行方向を曲げられた光は、取出導光層40から出射することが可能となる。すなわち、光拡散部50は、導光板30の取出導光層40内を導光されている光を導光板30から取り出すための取出要素として機能する。
このような光拡散部50は、図4〜図6に示すように、樹脂材料からなる主部50aと、主部50a中に分散された拡散成分50bと、を有するように構成され得る。ここで、拡散成分とは、反射や屈折等によって、光の進路方向を変化させる機能を発揮し得る成分のことである。拡散成分として、金属化合物、気体を含有した多孔質物質、金属化合物を周囲に保持した樹脂ビーズ、白色微粒子、さらには、単なる気泡が例示される。拡散成分をなす白色粒子として、酸化チタンが添加されたアクリル樹脂粒子を例示することができる。このアクリル樹脂粒子は、光拡散部内に5%以上30%以下の重量%で含有することができる。白色粒子の平均粒径(平均直径)は、例えば、1μm以上10μm以下とすることができる。光拡散部が白色粒子を含有することができるよう、導光板の法線方向に直交する断面における光拡散部の断面積は、白色粒子の平均粒径の二乗よりも大きくなっていてもよい。また、光拡散部が白色粒子を含有することができるよう、光拡散部の前記第1方向に沿った幅waを、平均粒径(平均直径)以上とすることができる。
なお、図示された光拡散部50は、ベース部45の溝49内に形成されてベース部45とともに四角形薄板状の取出導光層40をなす。したがって、各光拡散部50は、溝49に対応した形状及び配置にて構成されている。このため、以下においては、光拡散部50の形状および配置を代表として説明し、これにより、溝49の形状および配置についても説明したこととする。
図1〜図4に示すように、複数の光拡散部50は、第1方向d1に配列されている。各光拡散部50は、配列方向である第1方向d1と非平行な方向に延びている。とりわけ図示された例では、図2に示すように、各光拡散部50は、第1方向d1と直交する第2方向d2に直線状に延びている。また、各光拡散部50は、その長手方向に直交する断面、すなわち第2方向d2に直交する断面において矩形形状となっている。また、光拡散部50の断面をなす矩形形状の一対の面は、導光板30の板面への法線方向ndに沿って延びている。
図示された例において、導光板30の板面への法線方向nd(図4参照)に沿った光拡散部50の高さh(図4参照)は、取出導光層40に含まれる複数の光拡散部50の間で、一定ではない。光拡散部50は、上述したように入射光を拡散させ導光板30からの出射を引き起こす取出要素として、機能する。したがって、光拡散部50の取出導光層40内における体積分布によって、取出導光層40からの出射光量分布を調整することができる。このため、導光方向d1に沿って光源20から離間した領域において出射光量が低下しやすくなるといった傾向を考慮した上で、光拡散部50の高さhを決定することにより、導光方向である第1方向d1における出射光量分布を制御することができる。
図示された例では、第1方向d1に沿った出射光量分布を均一化する観点から、光拡散部50の高さhが次のように決定されている。まず、少なくとも一つの光拡散部50の高さhが、当該一つの光拡散部50よりも第1方向d1において光源20に近接する一側に位置する少なくとも一つの他の光拡散部50の高さhよりも高くなっている。これにより、出射光量が低下しやすい導光方向に沿って光源20から離間した領域においても光拡散部50に入射しやすくなり、当該光源20から離間した領域において、出射光量を確保することが可能となる。さらに図示された例では、任意の一つの光拡散部50の高さが、当該一つの光拡散部50よりも第1方向d1において光源20に近接する一側に位置する他の光拡散部50の高さ以上となっている。或いは、任意の一つの光拡散部50の高さが、当該一つの光拡散部50よりも第1方向d1において光源20に近接する一側に位置する他の光拡散部50の高さより高くなっている。このような光拡散部50の高さhの分布によれば、光源20から離間するにつれて光拡散部50に入射しやすくすることができ、結果として、導光方向に沿った出射光量分布を効果的に均一化することができる。
その一方で、第1方向d1に沿った光拡散部50の幅waは、図示された例のように、取出導光層40に含まれる複数の光拡散部50の間で、一定となっていることが好ましい。同様に、第1方向d1に沿った光拡散部50のピッチも、図示された例のように、取出導光層40に含まれる複数の光拡散部50の間で、一定となっていることが好ましい。さらに、第1方向d1に隣り合う二つの光拡散部の当該第1方向d1に沿った離間間隔dも、図示された例のように、取出導光層40に含まれる複数の光拡散部50の間で、一定となっていることが好ましい。このような構成によれば、ベース部45と異なる透過率を有していることからベース部45と区別して視認されやすくなる光拡散部50を、目立たなくさせることができる。
以上のような取出導光層40の具体的な寸法は、一例として次のように設定され得る。まず、取出導光層40の板面への法線方向ndに沿った厚さを、2mm以上10mm以下とすることができる。また、第1方向d1に沿った光拡散部50の幅waを、1μm以上20μm以下とすることができる。さらに、隣り合う二つの光拡散部50の第1方向d1に沿った離間間隔dを、50μm以上500μm以下とすることができる。さらに、取出導光層40の板面への法線方向ndに沿った光拡散部50の高さhを、1μm以上50μm以下とすることができる。また、第1方向d1に沿った光拡散部50の幅waに対する、取出導光層40の板面への法線方向ndに沿った光拡散部50の高さhの比(h/wa)、すなわち光拡散部50のアスペクト比を0.1以上10以下とすること、好ましくは1より大きくすることができる。光拡散部50のアスペクト比が高い場合、導光板30の板面への法線方向ndに沿った光拡散部50の投影面積を小さくしながら、導光板30内に或る程度の体積で光拡散部50を含ませることが可能となる。すなわち、図3に示すように、法線方向ndから導光板30を観察した際に、光拡散部50が目立ってしまうことを防止しながら、光拡散部50が取出要素として有効に機能することを可能にすることができる。
なお、ベース部45の一対の主面46a,46bのそれぞれにおいて全反射を繰り返すことによる導光を実現可能とするため、第1方向d1に隣り合ういずれか二つの光拡散部50が、当該二つの光拡散部50の第1方向d1に沿った離間間隔dと、当該二つの光の光拡散部50の取出導光層40の法線方向ndに沿った高さh1,h2と、取出導光層40のベース部45の屈折率n1と、光拡散部50が設けられている面46bの側から取出導光層40に隣接する層57の屈折率n2と、を用いた次の式(a)を満たすようになっている。
tan(arcsin(n2/n1))≦d/(h1+h2) ・・・式(a)
隣接層(図示された例では第2低屈折率層)57とベース部45との界面での全反射臨界角度θtは「arcsin(n2/n1)」となる。この全反射臨界角度θtが、図4における角度θa(=arctan(d/(h1+h2)))よりも大きくなると、図4に示された二つの光拡散部50の間となる位置において、ベース部45の第2主面46bで全反射した光は、必ず、他側に位置する高さh2の光拡散部50へ入射して、ベース部45内での導光を継続することができなくなる。したがって、第1方向d1に隣り合ういずれか二つの光拡散部50が、
arcsin(n2/n1)≦arctan(d/(h1+h2))
を満たす。すなわち式(a)を満たす。好ましくは、第1方向d1に隣り合う任意の二つの光拡散部50が、すべて、式(a)を満たす。
以上のような構成からなる取出導光層40は、一具体例として、次のようにして製造され得る。まず、ベース部45を、例えば、電子線、紫外線等の電離放射線の照射により硬化する特徴を有するエポキシアクリレート等の硬化性材料を用いて、作製する。次に、硬化することによって光拡散部50の主部をなすようになる硬化性材料と、光拡散部50の拡散成分と、を含んだ未硬化で液状の組成物を用いて、光拡散部50を作製する。硬化することによって光拡散部50の主部をなすようになる硬化性材料として、電離放射線により硬化する特徴を有するウレタンアクリレート等の硬化性材料を用いることができる。まず、先に形成されたベース部45上に組成物を供給する。その後、ベース部45の溝49の内部に、ドクターブレードを用いながら、組成物を充填しつつ、該溝49外に溢出した余剰分の組成物を掻き落としていく。なお、掻き落としきれないことを原因としてベース部45の主面上へ拡散成分が残留することを回避するため、拡散成分の粒径は、1μm以上であることが好ましく、また、溝49の幅の50%以下となっていることが好ましい。その後、溝49内の組成物に電離放射線を照射して硬化させることにより、光拡散部50が形成される。これにより、ベース部45及び光拡散部50を有する取出導光層40が作製される。
次に、第1低屈折率層55、第1カバー層56、第2低屈折率層57及び第2カバー層58について説明する。まず、取出導光層40の一対の主面41a,41bに隣接して配置された第1低屈折率層55及び第2低屈折率層57は、取出導光層40のベース部45よりも低い屈折率を有した層である。ここで説明する導光板30では、取出導光層40のベース部45と低屈折率層55,57との界面での反射、とりわけ屈折率差に起因した全反射により、光を導光することを期待している。このため、低屈折率層55,57の屈折率は、取出導光層40のベース部45の屈折率よりも、0.03以上低くなっていることが好ましく、0.06以上低くなっていることがより好ましい。なお、図示された例において、低屈折率層55,57は、粘着剤や接着剤等からなる接合層として形成されており、カバー層56,58を取出導光層40に貼合するための層として機能している。
一方、第1カバー層56及び第2カバー層58は、導光板30の一対の主面31a,31bを画成する層である。このようなカバー層56,58は、例えば、取出導光層40や低屈折率層55,57よりも耐擦傷性に優れたハードコート層として形成され得る。なお、本件明細書で言及する耐擦傷性は、JIS K 5600−5−4(1999年)に準拠して実施される鉛筆硬度試験での試験結果に基づいて評価される。
次に、遮光部60について説明する。遮光部60は、取出導光層40の各光拡散部50のそれぞれに対応して複数設けられている。また、各遮光部60は、対応する一つの光拡散部50に取出導光層40の法線方向ndから対面するように配置されている。図示された例では、各遮光部60は、取出導光層40の第2主面41bと第2低屈折率層57との間に設けられている。この遮光部60は、取出導光層40の各光拡散部50で拡散された光のうち、第2主面41b側に進行方向を曲げられた光が第2主面41bから出光し、照明装置10の反対面10bから光が漏れることを抑制する機能を有する。
図1〜図6に示された例では、複数の光拡散部50が、第1方向d1に沿って配列され、遮光部60の第1方向d1に沿った幅wbは、当該遮光部60に対応する光拡散部50の第1方向d1に沿った幅waよりも広くなっている。また、光拡散部50は、当該光拡散部50に対応する遮光部60に取出導光層40の法線方向ndに沿って対向する領域内に配置されている。
遮光部60は、遮光部へ入射した光が遮光部の入射した側とは反対側へ遮光部内を透過することを抑制する遮光機能を発揮する。遮光部60は、光取出要素としての光拡散部50で拡散された光が、第2主面31bを介して取出導光層40から出射することを抑制する。遮光部60の遮光機能は、例えば、遮光部60での光の吸収及び/または反射により発現され得る。このような遮光部60としては、取出導光層40から入射した光を吸収する層を含む光吸収層、取出導光層40から入射した光を取出導光層40側に反射する層を含む光反射層、または、取出導光層40から入射した光を吸収する層と取出導光層40から入射した光を取出導光層40側に反射する層をともに含む光反射吸収積層体を例示することができる。
光吸収層は、取出導光層40から入射した光を吸収する機能を有すればよく、例えば黒色等の暗色の層であることが好ましい。この光吸収層は、例えば、暗色粒子を含有する組成物または暗色材料の塗膜を、公知の印刷技術を用いて設けることができる。暗色粒子としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩等、顔料または染料、顔料または染料で着色された樹脂粒子等が挙げられる。また、電界めっき及び無電界めっきを含むめっき法、スパッタリング法、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、又はこれらの二以上を組み合わせた方法により、取出導光層40の第2主面41b上に暗色層を設け、その後、公知のフォトリソグラフィー技術を用いてパターニングすることにより設けてもよい。暗色層の材料としては、種々の公知のものを用いることができる。例えば窒化銅、酸化銅、窒化ニッケル等が例示できる。
光反射層は、取出導光層40から入射する光を取出導光層40側に反射する機能を有すればよく、例えば白色等の明色の層、または、銀色等の光沢を有する層であることが好ましい。この光反射層は、例えば、明色粒子または光沢粒子を含有する組成物、あるいは、明色材料または光沢材料の塗膜を、公知の印刷技術を用いて設けることができる。明色粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、顔料または染料、顔料または染料で着色された樹脂粒子等が挙げられる。また、光沢粒子としては、例えば、アルミニウム、銀等の金属粒子、アルミニウム、銀等の金属で被覆された樹脂粒子等が挙げられる。また、上述の光吸収層の場合と同様にして、取出導光層40の第2主面41b上に明色層または光沢層を設け、その後、公知のフォトリソグラフィー技術を用いてパターニングすることにより設けてもよい。
光反射吸収積層体は、例えば、上述の光反射層と光吸収層とを積層することにより得られる。とりわけ、光反射層及び光吸収層を取出導光層40にこの順番で積層することによって、これらの光反射層及び光吸収層から光反射吸収積層体を形成するようにしてもよい。このような光反射吸収積層体によれば、取出導光層40から入射した光を光反射層で取出導光層40側に反射することができる。また、光反射層を透過する光があっても、光反射層の取出導光層40に対面する側とは反対側に設けられた光吸収層で、この光反射層を透過した光を吸収することができる。したがって、取出導光層40から入射した光をより効果的に遮光することができる。
また、遮光部60を、上述の取出導光層40の光拡散部50と同様の材料を用いて作製してもよい。
図1、図2、図4及び図5に示されているように、各遮光部60はそれぞれ、対応する一つの光拡散部50に取出導光層40の板面に対する法線方向から対向する位置に配置されている。とりわけ図示された例では、各遮光部60はそれぞれ、取出導光層40と第2低屈折率層57との間に、対応する一つの光拡散部50に取出導光層40の法線方向から対向するように配置されている。図示された例において、複数の遮光部60は、各光拡散部50の配列に対応して、第1方向d1に配列されている。また、各遮光部60は、配列方向である第1方向d1と非平行な方向に延びている。とりわけ図示された例では、図3に示されているように、各遮光部60は、各光拡散部50に対応して、第1方向d1と直交する第2方向d2に直線状に延びている。
遮光部60が、光拡散部50で拡散された光が第2主面31bを介して取出導光層40から出射することを有効に規制することを実現するため、導光板30が次のように設計され得る。
まず、図6に示すように、取出導光層40の光拡散部50で拡散されてベース部45内を第2主面41b側に進む光の進行方向が、ベース部45の第2主面46bの法線方向に対してなす角度、すなわち光拡散部50での拡散光の第2主面46bへの入射角度を、角度θiとする(図6参照)。取出導光層40の光拡散部50で拡散されてベース部45内を第2主面41b側に進む光のうち、この角度θiがベース部45と隣接層(図示された例では第2低屈折率層)57との界面での全反射臨界角度θt以上となっている光は、ベース部45と隣接層57との界面で全反射して、取出導光層40内で進行方向を第1主面41a側に逆転させる。これに対して、光拡散部50での拡散光の第2主面46bへの入射角度θiが全反射臨界角度θt未満となる光は、ベース部45と隣接層57との界面で全反射せずに、第2主面41bを介して取出導光層40から出射する。このベース部45と隣接層57との界面で全反射せずに第2主面41bを介して取出導光層40から出射する光を効果的に遮光するため、第1方向d1および取出導光層40の法線方向ndの両方に平行な主切断面において、光拡散部50の第1方向d1における一方の側の端部と当該光拡散部50に対応する遮光部60の第1方向d1における一方の側の端部との間の第1方向d1に沿った距離xと、当該遮光部60の当該光拡散部50に対向する面と当該光拡散部50の当該遮光部60に対向する側とは反対側の端部との間の取出導光層40の法線方向ndに沿った距離yと、ベース部45の屈折率n1と、第1方向d1に沿って隣り合う二つの遮光部60の間においてベース部45に前記法線方向に沿って遮光部50と同じ側から隣接する部位(図示された例では第2低屈折率層57)の屈折率n2とが、次の条件を満たすことが好ましい。
arctan(y/x)≦arccos(n2/n1) ・・・式(b)
次に、第1方向d1および取出導光層40の法線方向ndの両方に平行な主切断面において、ベース部45と隣接層57との界面への入射点Mと、光拡散部50の第1方向d1における入射点P側の面における当該光拡散部50の遮光部60に対向する側とは反対側の端部Pとを結ぶ直線MPと、ベース部45の第2主面46bと、のなす角をθbとすると、この角度θbは、光拡散部50での拡散光の第2主面46bへの入射角度θiとの間で次の条件を満たす。
θi=90−θb(°)
そして、図6の直線MPに沿って進む光が、全反射臨界角度θtで、ベース部45と隣接部位(図示された例では第2低屈折率層)57との界面の入射する場合、次の関係が成り立つ。
n1×sin(90−θb)=n2×sin90°
が成り立つ。これよりθbは、
θb=arccos(n2/n1)
となる。
一方、図6において、直線NPは、遮光部60の取出導光層40の法線方向ndにおける取出導光層40側の面の第1方向d1における一方の側の端部Nと、光拡散部50の第1方向d1における点N側の面における当該光拡散部50の遮光部60に対向する側とは反対側の端部Pとを結んでいる。この直線NPと、ベース部45の第2主面46bと、のなす角度をθcとすると、この角度θcは、上述した距離x及び距離yとの間で、次の関係を満たす。
θc=arctan(y/x)
となる。
そして、θc≦θbであるとき、すなわち式(b)が成り立つときに、ベース部45と隣接層57との界面で全反射せずに導光板30の第2主面31b側に進む光を、遮光部60で吸収または反射することにより、効果的に遮光することができる。好ましくは、すべての遮光部60が、式(b)を満たす。
なお、第1方向d1に沿った遮光部60の幅wbは、複数の遮光部60の間で一定の幅を有するようにしてもよい。この場合、各遮光部60の幅wbは、複数の光拡散部50のうち最大の高さを有する光拡散部50の高さhmaxに対応する幅とすることが好ましい。とりわけ、各遮光部60の幅wbを、式(b)においてy=hmaxとして、式(b)を満たすようなxを有する幅とすることがより好ましい。このような一定の幅を有する複数の遮光部60によれば、ベース部45と隣接層57との界面で全反射せずに導光板30の第2主面31b側に進む光を効果的に遮光し、且つ、照明装置10の非出光面10b側から出光面10a側へ透過する外光の光量分布を効果的に均一化することができる。
また、第1方向d1に沿った遮光部60の幅wbは、複数の遮光部60の間で異なる幅を有するようにしてもよい。この場合、各遮光部60の幅wbは、それぞれ対応する光拡散部50の高さhが小さくなるほど各遮光部60の幅wbが小さくなるようにすることが好ましい。とりわけ、各遮光部60において、それぞれ式(b)を満たすようなxを有する幅とすることがより好ましい。このような異なる幅を有する複数の遮光部60によれば、ベース部45と隣接層57との界面で全反射せずに導光板30の第2主面31b側に進む光を効果的に遮光し、且つ、遮光部60における取出導光層40の板面に沿った面積の合計を減少させ、照明装置10の反対面(非発光面)10b側から出光面10a側へ透過する外光の光量を効果的に増大することができる。
以上のような遮光部60の第1方向d1に沿った幅wbを、2μm以上100μm以下とすることができる。また、遮光部60の、取出導光層40の法線方向ndに沿った厚さを、1μm以上10μm以下とすることができる。
次に、以上のような構成からなる照明装置10及び導光板30の作用について説明する。
まず、図1に示すように、光源20をなす発光体22で発光された光は、入光面31cを介し、導光板30の取出導光層40内に入射する。取出導光層40をなす材料の屈折率が、通常、1.4〜1.6であることに起因して、図1に示すように、屈折率1の空気層から取出導光層40のベース部45内に入射した光L11〜L16の進行方向は、ベース部45の入光側面46c(導光板30の入光面31c)への法線方向に対して、すなわち第1方向d1に対して大きく傾斜することはない。そして、取出導光層40のベース部45へ入射した光L11〜L16の多くは、ベース部45の第1主面46aおよび第2主面46bにおいて、反射、とりわけベース部45とベース部45に隣接する低屈折率層55,57との屈折率差に起因した全反射を繰り返し、ベース部45の入光側面46cと反対側面46dとを結ぶ導光方向、とりわけ図示された例では第1方向d1へ進んでいく。
ただし、取出導光層40内には、第1方向d1に間隔をあけて光拡散部50が設けられている。光拡散部50は、ベース部45の溝49内に形成され、取出導光層40の法線方向ndに沿って取出導光層40の第2主面41bから取出導光層40内に延び出している。したがって、取出導光層40のベース部45内を進む光は、この光拡散部50に入射することもある。そして、図1に示すように、ベース部45内を進む光は、光拡散部50に入射すると、光拡散部50での拡散機能によって進行方向を曲げられる。
この結果、光拡散部50で拡散された光は、全反射臨界角度以下の角度で取出導光層40の第1主面41aに入射し、第1主面41aを介して取出導光層40から出射するようになる。このような光は、第1低屈折率層55及び第1カバー層56を透過して、発光面10aをなす第1主面31aを介して導光板30から照明光として出射する。
光拡散部50は、導光方向である第1方向に配列されている。したがって、取出導光層40のベース部45内を進行する光は、導光方向に沿った各区域において、光拡散部50に入射する。このため、取出導光層40のベース部45内を進んでいる光は、導光方向に沿った各区域において、導光板30から出射するようになる。とりわけ上述したように光拡散部50の高さhが調節されている場合には、導光方向に沿って光源に近接する側での出射光量が多くなり且つ導光方向に沿って光源から離間する側での出射光量が少なくなるといった傾向を効果的に解消し、導光方向に沿った各位置からの出射光量の分布を効果的に均一化することができる。より具体的には、少なくとも一つの光拡散部50の高さhが、当該一つの光拡散部50よりも第1方向d1において光源側に位置する少なくとも一つの他の光拡散部50の高さよりも高い場合、より好ましくは、任意の一つの光拡散部50の高さhが、当該一つの光拡散部50よりも第1方向d1において光源側に位置する他の光拡散部50の高さh以上または他の光拡散部50の高さhよりも高い場合、導光方向に沿った各位置からの出射光量の分布を効果的に均一化することが可能となる。
また、光拡散部50での拡散によって、取出導光層40の第2主面41b(ベース部45の第2主面46b)に向かう光も生じる。このような光のうち、この光の進行方向とベース部45の第2主面46bの法線方向とのなす角度が、ベース部45と隣接層(図示された例では第2低屈折率層)57との界面での全反射臨界角度以上の角度で入射した光は、ベース部45と隣接層57との界面で全反射して、取出導光層40の第1主面41a側に進行方向を曲げられる。また、光の進行方向とベース部45の第2主面46bの法線方向とのなす角度が、ベース部45と隣接層57との界面での全反射臨界角度未満の角度で入射した光は、取出導光層40の第2主面41bと第2低屈折率層57との間に、取出導光層40に設けられた各光拡散部50にそれぞれ対応して設けられた複数の遮光部60で吸収または反射される。これにより、取出導光層40の各光拡散部50で拡散された光のうち、第2主面41b側(ベース部45の第2主面46b側)に進行方向を曲げられた光が第2主面41bから出光し、照明装置10の反対面(非発光面)10bから光が漏れることを効果的に抑制することができる。
以上のようにして、導光板30の第1主面31aから光が出射することにより、照明装置10の発光面10aが照明光を発光する。
ところで、従来の導光板では、裏面に設けた拡散性物質の密度を導光方向に沿って変化させることによって出射光量を制御していた。したがって、従来の導光板では、拡散性物質が、パターンを持って、導光板の裏面に設けられていた。そして、拡散性物質のパターンが視認されることにより、意匠性の低下や高級感の喪失等の外観上の問題から、従来の照明装置の使用範囲が制限されてきた。加えて、拡散反射パターンの面積変化だけでは、出射光量の全体的な分布を制御することしかできず、自由な出射光量制御を実現することが不可能であった。
その一方で、本実施の形態による照明装置10及び導光板30では、このような従来の不具合を解消することができる。まず、本実施の形態による照明装置10及び導光板30では、導光板30の光取出要素となる光拡散部50の高さhを調整することにより、導光板30からの出射光量の導光方向(第1方向)d1に沿った分布を制御している。そして、法線方向ndから導光板30を観察した場合、光拡散部50間での高さhの変化は感知され難い。
また、本実施の形態の導光板30では、光拡散部50の第1方向d1に沿った幅wや、第1方向d1に隣り合う二つの光拡散部50の離間間隔dを、出射光量分布の制御に利用しなくてもよい。このため、光拡散部50の第1方向d1に沿った幅waや、第1方向d1に隣り合う二つの光拡散部50の離間間隔dを、導光板30内において一定にすることも可能である。この場合、図3に示すように、導光板30の法線方向ndに沿った光拡散部50の投影面積は同一となり、複数の光拡散部50の間での構成の相違は、殆ど感知することができない。
加えて、光拡散部50の第1方向d1に沿った幅waを十分に小さくしておけば、光拡散部50の存在自体を感知し難くすることができる。具体的には、導光板30のヘイズ値が、0.1%以上10%以下となっていることが好ましい。ヘイズ値は、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K7136に準拠した方法により測定することができる。
さらに、隣り合う二つの光拡散部50の間で、高さhを大きく変化させることも可能であることから、導光方向に沿った出射光量の分布を非常に高い自由度で制御することができる。
以上のような本実施の形態によれば、導光板30は、一対の主面46a,46bを有するベース部45と、ベース部45内に設けられた複数の光拡散部50と、を有する取出導光層40と、各光拡散部50にそれぞれ対応して設けられた複数の遮光部60と、を備え、各遮光部60は、対応する一つの光拡散部50に取出導光層40の法線方向ndから対向する位置に配置されている。このような導光板30によれば、導光板30から光を取り出すための取出要素として機能する光拡散部50を効果的に目立たなくさせることができる。したがって、導光板30から光を取り出すための取出要素が感知されることによって照明装置10のデザイン性が損なわれることを、効果的に回避することができる。これにより、照明装置10に優れた意匠性を付与することも可能となり、さらに、種々の設置位置に対して照明装置10を調和させることができる。
また、取出導光層40の各光拡散部50で拡散された光のうち、第2主面41b側(ベース部45の第2主面46b側)に進行方向を曲げられた光が第2主面41bから出光し、照明装置10の非出光面10bから光が漏れることを効果的に抑制することができる。したがって、照明装置10の出光面10a側に配置された商品等を照明しつつ、照明装置10の反対面(非発光面)10b側から、出光面(発光面)10a側に配置された商品等を視認することが可能となる。
また、本実施の形態によれば、取出導光層40に隣接して低屈折率層55,57が設けられている。そして、取出導光層40のベース部45内を進む光が反射する界面が、ベース部45と低屈折率層55,57との間に形成されている。すなわち、取出導光層40のベース部45内を進む光が反射する界面が露出していない。このため、取出導光層40のベース部45内を進む光が反射することを予定された界面の損傷や異物付着を効果的に防止することができる。これにより、導光板30内における導光のための光の反射が阻害されることを効果的に防止することができる。さらに、第1の実施の形態では、ベース部45や低屈折率層55,57よりも耐擦傷性に優れたカバー層56,58によって、導光板30の表面が形成されている。したがって、導光板30を進む光が反射することを予定された界面の損傷や異物付着をより効果的に防止することができる。
なお、上述した本実施の形態において、第1低屈折率層55、第1カバー層56及び第2カバー層58は、必須ではなく、一以上を導光板30から省くことができる。
また、上述した本実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を適宜参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態において、複数の遮光部60を、取出導光層40の第2主面41bと第2低屈折率層57との間に設けたが、これに限られない。図7に一変形例を示す。図示された例において、ベース部45の第2主面46bに、対応する各光拡散部50に取出導光層40の法線方向から対向する位置に、第1方向d1に間を開けて複数の溝48が形成されている。そして、遮光部60はベース部45の溝48を埋めるようにして当該溝48の内部に配置されている。この場合、取出導光層40の第2主面41bは、ベース部45の第2主面46bと、遮光部60の反対面(非発光面)10b側の面とによって形成される。
図8に他の変形例を示す。図示されているように、遮光部60を、第2カバー層58の取出導光層40側の面に設けるようにしてもよい。この場合、第2カバー層58を基材として、まず第2カバー層58上に複数の遮光部60を設け、複数の光拡散部50が設けられた取出導光層40と、複数の遮光部60及び第2カバー層58とを、光拡散部50と遮光部60が対向するようにして、粘着剤や接着剤等からなる接合層を介して接合することで、導光板30を作製することができる。この場合、取出導光層40と第2カバー層58とを接合する接合層が低屈折率層57とすることができる。このような一変形例によれば、第2カバー層58を基材として、この第2カバー層58上に複数の遮光部60を設ければよいので、導光板30の作製が容易になる。
さらに他の変形例を図9に示す。図示されているように、遮光部60を、第2カバー層58の取出導光層40側の面に設け、遮光部60及び第2カバー層58と、取出導光層40とを、スペーサー70を介して積層してもよい。この場合、遮光部60及び第2カバー層58と、取出導光層40との間に存在する空気等の層が、取出導光層40の法線方向における遮光部60と同じ側から取出導光層40に隣接する部位となる。このような他の変形例によれば、取出導光層40に隣接する部位が空気等の層であるので、取出導光層40のベース部45と、取出導光層40に隣接する部位との間の全反射臨界角度θtが小さくなり、第1方向d1に沿った遮光部60の幅wbを小さくすることができる。したがって、遮光部60を効果的に目立たなくすることができる。
さらに、上述した実施の形態において、導光板30が、第1低屈折率層55、第1カバー層56、第2低屈折率層57及び第2カバー層58を有する例を示した。このような例においては、導光板30からの光の取出しを促進するため、第1低屈折率層55及び第1カバー層56の少なくとも一方が、拡散成分を含有していることが好ましい。なお、第1低屈折率層55、第1カバー層56、第2低屈折率層57及び第2カバー層58は、必須ではなく、一以上を導光板30から省くことができる。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。