JP5295871B2 - Iii族窒化物半導体基板の製造方法 - Google Patents

Iii族窒化物半導体基板の製造方法 Download PDF

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本発明は、III族窒化物半導体基板の製造方法に関する。
近年、窒化ガリウム(GaN)基板を用いた高輝度発光ダイオード(LED)やレーザダイオード(LD)の実用化に伴い、良好な結晶品質を持つ窒化ガリウム基板の開発が望まれている。GaN基板は、たとえばサファイア基板を下地基板として使用し、有機金属気相成長(MOVPE:Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)法によりこのサファイア基板上にGaN結晶をヘテロエピタキシャル成長させることで作製される。最終的に、サファイア基板をGaN結晶から剥離することでGaN基板が形成される。ただし、サファイアとGaNとの間には格子不整合や熱膨張係数差が存在するので、サファイア基板上に直接GaN結晶を成長させることは難しい。そこで、サファイア基板のc面上に、比較的低温で窒化アルミニウム(AlN)やGaNからなるバッファ層を堆積し、その後、このバッファ層上にGaN結晶を高温で成長させる技術が開発された。この種のGaN基板の製造方法は、たとえば、特許文献1(特開2002−284600号公報)に開示されている。
六方晶系のIII−V族窒化物半導体はそのc軸を分極軸とする分極物質であるため、c軸に沿った自発分極が発生し、この自発分極により電子と正孔が分離してしまう性質がある。また、サファイア基板のa軸方向の格子定数とGaNのa軸方向の格子定数との間に差があると結晶構造の歪みによる圧電分極が生じ、この圧電分極によりGaNのc軸方向にピエゾ電界が生ずる。このピエゾ電界は、発光デバイスの発光層に注入される電子と正孔の再結合確率を低下させ、ひいては内部量子効率を低下させる。また、発光素子がc軸配向した歪み量子井戸構造を有する場合、前記自発分極と圧電分極による強い内部電場が誘起され、電子と正孔が1つの量子井戸層内で空間的に分離されることがある。これは、発光に寄与する電子と正孔の再結合確率を低下させ、内部量子効率を低下させてしまう。更に、発光波長が圧電分極によって長波長側に遷移し、発光波長の短波長化が困難になるという問題もある。
六方晶のa面やm面は無極性面であるため、この無極性面上にGaNを形成できれば、前述の自発分極や圧電分極に起因する問題を回避することができる。無極性面上にGaNを形成する技術は、たとえば、特許文献2(特開2005−320237号公報)、特許文献3(特開2000−216497号公報)あるいは特許文献4(特開2008−053640号公報)に開示されている。
特開2002−284600号公報 特開2005−320237号公報 特開2000−216497号公報 特開2008−053640号公報
しかしながら、m面上に、転位密度や積層欠陥密度の低いGaN結晶をエピタキシャル成長させることは難しいという問題がある。
上記に鑑みて本発明は、下地基板上に高品質のm面III族窒化物半導体層を成長させ得る、III族窒化物半導体基板の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、下地基板上に炭素とアルミニウムとを含む中間層を形成する工程と、前記中間層の少なくとも一部を窒化して窒化膜を形成する工程と、六方晶系のm面を成長面として有するIII族窒化物半導体層を前記窒化膜の上部にエピタキシャル成長させる工程と、前記III族窒化物半導体層から前記下地基板を剥離させて前記III族窒化物半導体層を含むIII族窒化物半導体基板を得る工程と、を含む、III族窒化物半導体基板の製造方法が提供される。
本発明による製造方法は、下地基板上に炭素とアルミニウムとを含む中間層を形成し、この中間層を窒化して窒化膜を形成する。この窒化膜の上に、m面を成長面とするIII族窒化物半導体層がエピタキシャル成長されるので、高い結晶品質のm面III族窒化物半導体基板を作製することが可能となる。
本発明によれば、転位密度や積層欠陥密度の低い高品質のm面III族窒化物半導体基板を作製することができる。
(A)〜(E)は、本発明に係る一実施形態のIII族窒化物半導体基板の製造工程を概略的に示す断面図である。 GaN結晶のm面に対するX線回折強度分布に基づく極点図である。 サファイア基板のc軸とGaN結晶のc軸とが直交している状態を模式的に示す図である。 各種化合物の結晶構造と格子定数を示す図である。 Al層の膜厚と低温バッファ層のm面配向との関係を示す図である。 (A)および(B)は、GaN結晶のm面に対するX線回折強度分布に基づく極点図であり、(C)は、低温バッファ層の表面観察像を示す図である。 (A)および(B)は、GaN結晶のm面に対するX線回折強度分布に基づく極点図であり、(C)は、低温バッファ層の表面観察像を示す図である。 成膜条件とGaN基板のm面配向との関係を示す図である。 GaN結晶のc軸方向、サファイア基板のc軸方向を示す模式図である。 GaNと、サファイアの線膨張係数を示す図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同一符号を付し、その詳細な説明は重複しないように適宜省略される。
本発明に係る実施形態のIII族窒化物半導体基板の製造方法は、図1(A)〜図1(E)に示されるように、(a)下地基板10上に炭素とアルミニウムとを含む中間層11を形成する工程(図1(A))と、(b)中間層11の少なくとも一部を窒化して窒化膜11Nを形成する工程(図1(B))と、(c)六方晶系(六方晶ウルツ鉱型)のm面を成長面として有するIII族窒化物半導体層12,13を窒化膜11Nの上部にエピタキシャル成長させる工程(図1(C),図1(D))と、(d)III族窒化物半導体層13から下地基板10を剥離させてIII族窒化物半導体層13を含むIII族窒化物半導体基板(自立基板)14を得る工程(図1(E))と、を含む。
図1(A)〜図1(E)を参照しつつ、本実施形態の製造方法を以下に説明する。
先ず、下地基板10を用意する。下地基板10としては、サファイア基板、SiC基板、ZnO基板、シリコン基板、GaAs基板、GaP基板あるいはγ−LiAlO基板を使用することが可能である。特に、サファイア基板は、大口径の基板が入手可能なものであり、GaN結晶などのIII族窒化物半導体の成長時に導入される原料ガスや雰囲気ガスに対して安定であるため、下地基板10上でm面配向のGaN結晶の安定成長を可能にすることから好ましいものである。また、六方晶系の下地基板がとくに好ましく、この下地基板のm面上に後述する中間層11を形成することが好ましい。
図1(A)の工程では、下地基板10上に、炭素とアルミニウムとを含む炭化アルミニウム(Al)層を中間層11として形成することができる。中間層11は、トリメチルアルミニウム(TMA:Tri-Methyl-Aluminum)などの有機アルミニウムガスを含む原料ガスを用いた有機金属気相成長法(MOVPE法)により形成すればよい。有機アルミニウムガスの中でも特にTMAは、加熱された下地基板10上で容易に分解して炭化アルミニウム層を形成するので好適である。また、MOVPE法を使用することで、膜厚制御された良質な炭化アルミニウム層を形成できるだけでなく、中間層11の形成工程(図1(A))、中間層11を窒化する工程(図1(B))、低温バッファ層12の形成工程(図1(C))およびIII族窒化物半導体層13の形成工程(図1(D))を、1つの装置内で連続的に実行することができる。
中間層11の成膜温度は、300℃以上1000℃以下の範囲内、特に好ましくは、500℃以上800℃未満の範囲内に調整すればよい。中間層11の成膜温度を800℃以上にすると、III族窒化物半導体層13の膜厚方向の配向面として、好適なm面だけでなく、c面が出現する場合があり得る。この理由は、800℃以上では、原料原子が基板面上を自由に動き回って相互に凝集することが可能となり、下地基板のm面結晶配列に束縛されにくい状態となることからc面が出現しやすくなるため、と考えられる。
中間層11の厚みが薄すぎると、図1(B)の工程で中間層11の殆どが窒化して窒化物となり、この窒化物が下地基板10と強固に結合するので、下地基板10の剥離が難しくなりやすい。一方、中間層11の厚みが大きすぎると、図1(B)の工程の後に、中間層11の下層を構成する炭化物層が下地基板10の上面と強固な結合を維持するので、下地基板10の剥離が難しくなると考えられる。かかる観点から、中間層11の厚みは、40nm以上120nm未満の範囲内、特に好ましくは70nm以上100nm以下の範囲内に調整すればよい。中間層11の厚みを40nm以上、好ましくは70nm以上にすれば、図1(E)の製造工程で下地基板10の剥離を容易に行うことができる。すなわち、III族窒化物半導体層13が損傷を受けることなく下地基板10を容易に剥離することができる。一方、中間層11の厚みを120nm未満、好ましくは100nm以下にすれば、図1(E)の工程でIII族窒化物半導体層13が損傷を受けることなく下地基板10を容易に剥離できる。
図1(B)の工程では、この炭化アルミニウム層が窒化される。このとき、次の反応式(1)にしたがって窒化アルミニウム(AlN)とメタン(CH)とが生成される。
Al+4NH→4AlN+3CH ・・・(1)
炭化アルミニウム層の窒化により窒化膜(AlN膜)11Nが形成されると、下地基板10の上面と接する部分として炭化アルミニウム層が中間バッファ層11Gとして残り、この中間バッファ層11G上に窒化膜11Nが形成される。この窒化膜11Nは、中間バッファ層11Gの結晶情報を引き継ぐものである。AlからAlNへの結晶情報の引継ぎは、Alの結晶構造とAlNの結晶構造が同一であり、格子不整合が小さいため極めて良好である。なおかつ、AlおよびAlNの結晶構造が六方晶に属するため、窒化膜11N上にIII族窒化物半導体層をエピタキシャル成長するのに適している。
炭化アルミニウム層を窒化する工程では、アンモニア(NH)ガスを供給する代わりに、窒素ガスと水素ガスの混合ガスを供給してもよい。混合ガスに水素ガスを含めることで、メタンの生成が促進され、良質のAlN層を形成することができる。
図1(C)の工程では、窒化膜11N上に、III族窒化物半導体からなる低温バッファ層12がエピタキシャル成長される。低温バッファ層12は、たとえば、トリメチルガリウム(TMG:Tri-Methyl-Gallium)を含む原料ガスを用いたMOVPE法により形成されればよい。低温バッファ層12がGaN層である場合、このエピタキシャル成長の過程を通じて、当該エピタキシャル成長されたIII族窒化物半導体から窒素原子が窒化膜11Nを介して中間バッファ層11Gに拡散する。よって、中間バッファ層11Gにおいては、次式(2)による窒化反応が進行すると考えられる。
Al+4N→4AlN+3C ・・・(2)
この結果、低温バッファ層12をエピタキシャル成長する間に、AlNがGaNと混晶を形成し、最終的に下地基板10と中間バッファ層11Gとの境界面付近に比較的高い濃度で炭素が分布した層が形成される。炭素は、III族窒化物半導体や下地基板10に対して不活性であるため、下地基板10と低温バッファ層12との間の結合強度が低下し、比較的小さな応力で下地基板10を剥離することができると考えられる。
ここで、窒化膜11Nを形成した後、低温バッファ層12を、500℃以上1000℃以下の範囲内、特に600℃以上1000℃以下の範囲内の温度でエピタキシャル成長させることが好ましい。この範囲内の温度で低温バッファ層12を成長させることで、次の図1(D)の工程で低温バッファ層12上にエピタキシャル成長されるIII族窒化物半導体層13の結晶性の向上が可能となる。特に600℃以上の温度で低温バッファ層12を成長させることで、III族窒化物半導体層13のm面配向性を顕著に向上させることが可能である。
なお、低温バッファ層12は、バッファ層として機能するとともに、窒化膜11Nに対する保護膜としても機能する。窒化膜11Nは、炭化アルミニウムが水分に曝されると、その炭化アルミニウムの酸化分解が急速に進むおそれがある。かかる酸化分解を低温バッファ層12は防止することが可能である。
ここで、窒化膜11Nの上部にはファセット構造を持つIII族窒化物半導体層を成長させることが望ましい。これにより、上部のIII族窒化物半導体層を構成する低温バッファ層12中に結晶欠陥が伝達されることが抑制される。これにより、結晶品質の良好なIII族窒化物半導体層13を形成することができる。
なお、成長条件等を適宜調整することで、六方晶ウルツ鉱型の低温バッファ層12は、m面成長することとなる。
低温バッファ層12の製造工程に続いて、この低温バッファ層12上にIII族窒化物半導体層13がエピタキシャル成長(m面成長)される(図1(D))。III族窒化物半導体層13は、およそ1000℃以上1050℃以下の範囲内の温度で、MOVPE法やHVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法などの気相成長法により形成することができる。ここで、シリコンや酸素をn型不純物としてIII族窒化物半導体層13にドーピングしてもよい。シリコンをドーピングする場合は、たとえば、ジクロロシラン(SiCl)ガスを原料ガスに含めればよい。あるいは、酸素をドーピングする場合は、酸素ガスまたは酸素含有混合ガスを原料ガスに含めればよい。III族窒化物半導体層13の成長面であるm面を通じてn型不純物を、5×1017cm−3〜5×1019/cm−3のドーピング濃度でIII族窒化物半導体層13に導入することが可能である。
図1(E)の剥離工程では、下地基板10、中間バッファ層11G、窒化膜11N、低温バッファ層12およびIII族窒化物半導体層13のうち、少なくとも下地基板10および中間バッファ層11Gを冷却して下地基板10を剥離することが好ましい。前述の通り、下地基板10と中間バッファ層11Gとの境界面付近には炭素が高濃度に分布した層が形成される。このため、下地基板10と中間バッファ層11Gとを冷却することで、下地基板10と中間バッファ層11Gとの間の熱膨張係数の差により生ずる応力を利用して、下地基板10を容易に剥離することができる。
以下、自立基板14の好適な製造方法を以下に詳細に説明する。先ず、下地基板10として、たとえば、3インチφのm面サファイア(Al)基板を用意する。次に、このサファイア基板10を炉内に配置し、炉内温度を1050℃程度に設定してサファイア基板10のサーマルクリーニングを約10分間行う。
(中間層11の形成工程)
次に、TMAを原料ガスとするMOVPE法により、このサファイア基板10上に炭化アルミニウム層を中間層11として堆積する(図1(A))。このとき供給される原料ガスは、TMAガスおよび水素(H)ガスを含む混合ガス、もしくは、TMAガス、水素(H)ガスおよび窒素(N)ガスを含む混合ガスとし、成膜温度は300℃〜1000℃、成膜時間は3分〜60分、炭化アルミニウム層11の膜厚は70nm〜100nmとすればよい。
キャリアガスとしては、水素ガスおよび窒素ガスのうちの少なくとも一方を使用すればよいが、これに限定されるものではなく、水素、窒素、アルゴンなどの、TMAと反応し難いガスをキャリアガスとして選択すればよい。キャリアガスとして窒素ガスを使用する場合、窒素ガスのモル分圧をTMAのモル分圧に対して一定以上にすると、炭化アルミニウムでなく、窒化アルミニウム(AlN)が形成されてしまうことがある。それ故、窒素ガスのモル分圧をTMAのモル分圧に対して所定値以下にする必要がある。本実施形態では、TMAのモル分圧に対する窒素ガスのモル分圧比を1.8×10以下とすればよい。好ましくはキャリアガスとして水素ガスのみを使用すればAlNの形成は起こらない。
(中間層11を窒化する工程)
次に、炭化アルミニウム層11を500℃〜800℃の温度雰囲気下で窒化して窒化膜11Nを形成する(図1(B))。このとき供給されるガスは、アンモニア(NH)ガス、HガスおよびNガスからなる混合ガスとし、窒化時間は5分〜60分とすればよい。
なお、特に好ましい窒化温度は550℃以下である。窒化温度を550℃より高温にすると、次式(3)に示すとおりCHが分解して炭素が析出し、当該炭素がAlNに混入することでIII族窒化物半導体層13の結晶性が低下する場合がある。炭素の析出を抑制するには、水素の導入やアンモニア分圧を高めるのが有効である。
CH→C+2H ・・・(3)
また、窒化時間は、30分以下であることがより好ましい。窒化時間を30分程度とすることで、炭化アルミニウム層11を適度に窒化することができる。
なお、炭化アルミニウム層11を窒化する際の反応ガスとしては、アンモニアが好ましい。反応ガスとしてアンモニア以外に窒素を使用してもAlNを形成できるが、次式(4)で示すようにAlNと炭素が生成し、AlNに炭素が混入した場合にはIII族窒化物半導体層13の結晶品質に影響を与える可能性がある。
Al+2N→4AlN+3C ・・・(4)
炭化アルミニウム層11の窒化は、MOVPE装置内で炭化アルミニウム層11の形成工程から連続して行うことができる。
(低温バッファ層12の形成工程)
次に、図1(C)に示すように、MOVPE法により、500℃〜1000℃の低温雰囲気下で、窒化膜11N上にGaNからなる低温バッファ層12をエピタキシャル成長させる(m面成長)。このとき供給される原料ガスは、TMGガス、Hガス、NガスおよびNHガスからなる混合ガスとし、低温バッファ層12の膜厚は20nm〜140nmとすればよい。低温バッファ層12の形成は、MOVPE装置内で炭化アルミニウム層11を窒化する工程から連続して行うことができる。
ここで、図9の模式図に示すように、低温バッファ層12を構成するGaN結晶12Sのc軸と、サファイア基板10のc軸とは直交することが好ましい。低温バッファ層12の製造条件等を適宜調整することで、このように、低温バッファ層12を構成するGaN結晶12Sのc軸と、下地基板10のc軸とが直交することとなる。これにより、サファイア基板10を剥離する際に、均一に剥離することが可能となるとともに、III族窒化物半導体層13の反りの発生を抑制できる。
なお、低温バッファ層12と、下地基板10との間の炭化アルミニウム層11や、窒化したAlN層のc軸も、サファイア基板10のc軸とは直交することとなる。
図10に示すように、サファイアのc軸方向の平均線膨張係数(25℃〜1000℃)は、8.8×10−6−1であり、a軸方向の線膨張係数(25℃〜1000℃)は、7.9×10−6−1である。一方、GaNのc軸方向の平均線膨張係数(25℃〜1000℃)は、4.2×10−6−1であり、a軸方向の線膨張係数(25℃〜1000℃)は、5.2×10−6−1である。低温バッファ層12を構成するGaN結晶のc軸と、サファイア基板のc軸とを直交させる、すなわち、GaN結晶のa軸と、サファイア基板10のc軸とが平行となることで、結晶方位による線膨張係数差の違いを小さくすることができる。
これにより、面内方向の熱応力の違い、すなわち、GaNのa軸方向におけるGaNとサファイア基板との熱応力の差と、GaNのc軸方向におけるGaNとサファイア基板との熱応力の差との違いが小さくなり、面内均一に剥離することができる。これに加え、面内方向の熱応力の違いが小さくなることで、III族窒化物半導体層13の反りの発生を抑制できる。
なお、低温バッファ層12を構成するGaN結晶のc軸と、サファイア基板のc軸とが直交する場合には、低温バッファ層12上のIII族窒化物半導体層13のGaN結晶のc軸と、サファイア基板10のc軸が直交することとなる。
(III族窒化物半導体層13をエピタキシャル成長させる工程)
次に、図1(D)に示すように、HVPE法またはMOVPE法により、1000℃〜1050℃の高温雰囲気下で、低温バッファ層12上にIII族窒化物半導体層13をエピタキシャル成長(m面成長)させる。このとき、成膜時間は30分〜270分、III族窒化物半導体層13の膜厚は100μm〜900μmとすればよい。HVPE法を使用すれば、比較的大面積でのエピタキシャル成長を容易に行うことができる。
HVPE装置(図示せず)を使用する場合、HVPE装置は、当該HVPE装置内に配置されたGaソースに対してHClガスを供給してGaソースをHClガスと反応させ、これによりGaClガスを生成する。このGaClガスとNHガスとがサファイア基板10上に輸送され反応することにより、低温バッファ層12上にGaN結晶が成長する。
(サファイア基板10の剥離工程)
次に、HVPE装置またはMOVPE装置の炉内温度を常温まで低下させてサファイア基板10および中間バッファ層11Gを冷却する。この結果、図1(E)に示すように、サファイア基板10がIII族窒化物半導体層13から剥離されて、III族窒化物半導体基板14が生成される。すなわち、サファイア基板10とIII族窒化物半導体層13との間の熱膨張係数の違いに起因して、中間バッファ層11G、窒化膜11Nおよび低温バッファ層12からなる積層体に応力が生じ、これによりサファイア基板10がIII族窒化物半導体層13から剥離されることとなる。
その後、III族窒化物半導体基板14の表面および裏面をそれぞれ研磨することで、平坦化された自立基板であるGaN基板を作製することができる。
上記実施形態が奏する作用効果は以下の通りである。上記製造方法では、下地基板10上に炭素とアルミニウムとを含む中間層11が形成され(図1(A))、この中間層11を窒化して窒化膜11Nが形成される(図1(B))。窒化膜11N上に、六方晶系のm面を成長面とするIII族窒化物半導体層12,13が順次エピタキシャル成長される(図1(C),(D))ので、m面を主面とするIII族窒化物半導体層13を形成することができる。これにより、転位密度や積層欠陥密度の低い高品質なm面III族窒化物半導体基板14を作製することができる。
また、上述の通り、低温バッファ層12をエピタキシャル成長させる工程(図1(C))で、中間バッファ層11GにおいてAlNがGaNと混晶を形成し、最終的に下地基板10と中間バッファ層11Gとの境界面付近に比較的高い濃度で炭素が分布した層が形成される。炭素は、III族窒化物半導体や下地基板10に対して不活性であるため、下地基板10と低温バッファ層12との間の結合強度が低下し、比較的小さな応力で下地基板10を容易に剥離することが可能である。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の例示であり、上記以外の様々な形態を採用することもできる。
たとえば、上記実施形態では、中間層11は、TMAを含む原料ガスを用いたMOVPE法により好適に形成されるが、これに限定されるものではない。中間層11を形成する方法として、真空蒸着装置やスパッタリング装置などの薄膜形成装置を利用して下地基板10上にアルミニウム膜とカーボン膜とを重ねて形成した後に加熱する方法、下地基板10を加熱しつつ当該下地基板10上にアルミニウム膜とカーボン膜とを重ねて形成する方法、下地基板10上にアルミニウム膜を形成後、下地基板10を加熱しながら炭素源となる炭化水素ガスを供給する方法、あるいは、炭化水素ガスを微量導入してアルミニウムとカーボンを結合させながら下地基板10上に中間層11を形成する方法(反応性スパッタリング法)を使用してもよい。
上記III族窒化物半導体基板14上にIII族窒化物系素子構造を形成してLEDやLDなどの発光素子を作製することができる。トランジスタなどの電子デバイスを作製するためにIII族窒化物半導体基板14を使用することも可能である。
また、前記実施形態では、下地基板10をサーマルクリーニングした後、炭化アルミニウム層を形成したが、たとえば、下地基板10を窒化処理した後、炭化アルミニウム層を形成してもよい。
下地基板10を600℃以上に加熱し、加熱した状態で、下地基板10表面にアンモニアガスを流し、下地基板10表面を窒化処理する。
これにより、結晶性が良好なIII族窒化物半導体を得ることができる。
なお、下地基板の加熱温度の上限は、1000℃以下であることが好ましい。1000℃以下、600℃以上の範囲で加熱することで、結晶性が良好なIII族窒化物半導体を得ることができる。この場合、下地基板としては、六方晶系の下地基板が好ましく、特にサファイア基板が好ましい。加熱時間を10分以上とすることで、結晶性が良好なIII族窒化物半導体を得ることができる。また、加熱時間は、製造性の観点から、60分以下であることが好ましい。さらに、アンモニアガス流量は、1.5L/分以上、10.0L/分以下であることが好ましい。
さらに、下地基板表面に形成される窒化層(下地基板がサファイア基板の場合には、窒化アルミニウム層となる)の厚みは、III族窒化物半導体の結晶性の観点から、1nm以上、製造効率の観点から、50nm以下であることが好ましい。
次に、上記実施形態の種々の実施例について説明する。
(実施例1)
サファイア基板10をMOVPE装置の反応炉内に配置し、炉内温度を約1050℃に設定してサファイア基板10のサーマルクリーニングを約10分間行った。次に、炉内温度を500℃に下げた状態で、サファイア基板10のm面上に成膜時間3.5分で膜厚70nmの炭化アルミニウム層11を堆積した(図1(A))。ここで、原料ガスとして、TMAガス(流量20sccm)、Nガス(流量10sccm)およびHガス(流量5sccm)が供給された。続けて炉内温度を500℃に維持した状態で、窒化時間30分で炭化アルミニウム層11を窒化して窒化膜11Nを形成した(図1(B))。このとき、NHガス(流量5.0リットル/分)、Hガス(流量5sccm)およびNガス(流量5sccm)が供給された。
その後、炉内温度を500℃に維持した状態で、窒化膜11N上に成膜時間673秒で膜厚70nmのGaN膜(低温バッファ層)12を形成した(図1(C))。ここで、原料ガスとして、TMGガス(流量4.0sccm)、Hガス(流量5sccm)、Nガス(流量4sccm)およびNHガス(流量5.0リットル/分)が供給された。
その後、図1(C)に示す積層体を反応炉から取り出し、これを実施例1とした。また、炭化アルミニウム層11の形成工程と窒化膜11Nの形成工程とを省略したこと以外は、実施例1と同じ条件で積層体を作製し、これを比較例1とした。比較例1の積層体では、サファイア基板10のm面上に低温バッファ層12が直接形成されている。
図2(A)および図2(B)は、実施例1の積層体のGaN結晶のm面(=(100)面)に対するX線回折強度分布に基づく極点図であり、図2(C)および図2(D)は、比較例1の積層体のGaN結晶のm面(=(100)面)に対するX線回折強度分布に基づく極点図である。図2(A)と図2(C)は、X線回折強度分布を3次元的に表した極点図であり、図2(B)と図2(D)は、X線回折強度分布を等高線表示で表した極点図である。図2(A)は図2(B)と同じ強度分布を示し、図2(C)は図2(D)と同じ強度分布を示している。
実施例1の積層体では、図2(A)と図2(B)に示される通り、低温バッファ層12を構成するGaN結晶のm面にそれぞれ対応する3つの回折ピークが明瞭に確認される。一方、比較例1の積層体では、図2(C)と図2(D)に示される通り、6回対称の回折ピークが認められるので、GaN結晶がc面配向していることが分かる。
図3に模式的に示すように、実施例1の積層体では、サファイア基板10の主面10Sに平行なサファイアのc軸方向([0001]方向)は、GaN結晶12Sのc軸方向([0001]方向)と直交していると考えられる。図4の表に示すように、サファイア(Al)、炭化アルミニウム(Al)、AlNおよびGaNはともに六方晶系の同一結晶構造を有している。サファイアのa軸の格子定数の5倍(=23.795Å)と炭化アルミニウムのc軸の格子定数(=24.996Å)との差は小さく、サファイアのc軸の格子定数(=12.992Å)と炭化アルミニウムのa軸の格子定数の4倍(=13.356Å)との差は小さく、炭化アルミニウムのc軸の格子定数(=24.996Å)とAlNのc軸の格子定数の5倍(=24.895Å)との差は小さいことが分かる。また、AlNのc軸の格子定数(=4.979Å)とGaNのc軸の格子定数(=5.178Å)との差は小さく、AlNのa軸の格子定数(=3.111Å)とGaNのa軸の格子定数(=3.189Å)との差は小さいことが分かる。したがって、サファイア基板10とGaN膜12との間には、中間層に炭化アルミニウム層を導入することで良好な格子整合性が構築されているといえる。
(実施例2〜3)
次に、炭化アルミニウム層11の厚みΔが異なる点を除いて、実施例1と同じ構造を持つ実施例2,3を作製した。実施例2は、炭化アルミニウム層11の厚みΔが40nmの積層体であり、実施例3は、炭化アルミニウム層11の厚みΔが100nmの積層体である。
図5は、比較例1(Δ=0nm)、実施例2(Δ=40nm)、実施例1(Δ=70nm)および実施例3(Δ=100nm)の積層体のGaN結晶のm面に対するX線回折強度分布に基づく極点図である。図5には、各積層体について、X線回折強度分布を3次元的に表した極点図と、X線回折強度分布を等高線表示した極点図とが示されている。また、実施例1(Δ=70nm)の表面観察像20Aと、実施例2(Δ=40nm)の表面観察像20Bも図示されている。
図5によれば、比較例1(Δ=0nm)の場合、6回対称の回折ピークが見られるので、GaN膜(低温バッファ層)12が膜厚方向にc面配向していること分かる。実施例2(Δ=40nm)、実施例1(Δ=70nm)および実施例3(Δ=100nm)の場合、いずれも、GaNのm面を表す3つの回折ピークが見られるので、低温バッファ層12が膜厚方向にm面配向していることが分かる。
(実施例4)
低温バッファ層12の成膜温度が異なる点を除いて、実施例1と同じ構造を持つ実施例4を作製した。実施例4の低温バッファ層12は、成膜温度600℃でエピタキシャル成長された。上述の通り、実施例1の低温バッファ層12の成膜温度は500℃である。
図6(A)と図6(B)は、実施例1のGaN結晶のm面に対するX線回折強度分布に基づく極点図である。図6(A)は、X線回折強度分布を3次元的に表した極点図であり、図6(B)は、X線回折強度分布を等高線表示した極点図である。図6(C)は、実施例1の低温バッファ層12の表面観察像を示す図である。一方、図7(A)と図7(B)は、実施例4のGaN結晶のm面に対するX線回折強度分布に基づく極点図である。図7(A)は、X線回折強度分布を3次元的に表した極点図であり、図7(B)は、X線回折強度分布を2次元的に表した極点図である。図7(C)は、実施例4の低温バッファ層12の表面観察像を示す図である。
図7(A)と図7(B)の極点図の方が、図6(A)と図6(B)の極点図よりも、GaN結晶のm面配向を明瞭に示していることが分かる。
なお、いずれの場合も、GaN結晶のc軸と、サファイア基板10のc軸とは直交していた。
(実施例5〜7)
実施例5、実施例6および実施例7は、それぞれ、実施例1、実施例4(低温バッファ層12の成膜温度600℃)および実施例3(Al層11の膜厚100nm)の積層体の低温バッファ層12上に膜厚60μmのGaN層13をHVPE装置を用いてエピタキシャル成長させることにより作製された。ここで、成膜温度は1040℃とし、成膜時間は15分とした。HVPE装置では、GaClガスの流量は80sccm、NHガスの流量は1.2リットル/分とされた。
III族窒化物半導体層であるGaN層13を形成した後、HVPE装置の炉内温度を常温まで低下させてサファイア基板10および中間バッファ層11Gを冷却し、これによりGaN層13からサファイア基板10を剥離してGaN基板14を形成した。GaN層13は、サファイア基板10から容易剥離できた。
図8は、実施例5(LTB温度500℃;Al厚さ70nm)、実施例6(LTB温度600℃;Al厚さ70nm)および実施例7(LTB温度500℃;Al厚さ100nm)のGaN基板14のm面に対するX線回折強度分布に基づく極点図を示している。また、図8には、各実施例について、X線回折強度分布を3次元的に表した極点図と、X線回折強度分布を2次元的に表した極点図とが示されている。なお、「LTB温度」は低温バッファ層12の成膜温度を、「Al厚さ」は炭化アルミニウム層11の厚みをそれぞれ意味する。
図8の極点図によれば、実施例5、実施例6および実施例7のうち、低温バッファ層12の成膜温度を600℃とする実施例6のm面配向性が顕著に向上していることが分かる。さらに、本発明者らの研究によれば、低温バッファ層12の成膜温度を600℃以上とすることで、m面配向性が顕著に向上することが確認されている。なお、Al層11の厚みを100nmとする実施例7のm面配向性が若干低下していることが確認された。
なお、いずれの場合も、GaN層13のGaN結晶のc軸と、サファイア基板10のc軸とは直交しており、サファイア基板10を剥離する際に、均一に剥離することができ、かつ、GaN層13の反りの発生も抑制できていた。
(実施例8)
次に、実施例4と同様の構造体を作成した後、GaN層13を形成した。実施例8の構造は、低温バッファ層12上のGaN層13をHVPE装置を用いてエピタキシャル成長させることにより作製された。ここで、成膜温度は1040℃とし、成膜時間は120分とした。HVPE装置ではGaClガスの流量は、80sccm、NHガスの流量は1.2リットル/分とされた。温度を常温まで低下させてサファイア基板10および中間バッファ層11Gを冷却したところ、サファイア基板10はGaN層13から容易に全面剥離された。作製されたGaN基板14の表面を光学顕微鏡で観察したところ、良質な表面が確認された。
また、X線をc軸に垂直な方向に入射させた場合のX線ロッキングカーブ(XRC)と、X線をc軸に平行な方向に入射させた場合のXRCとを測定した。GaN基板14の中心部では、X線をc軸に垂直な方向に入射させた場合のXRCの半値幅(FWHM)は778秒であり、非常にシャープな回折ピークが確認された。よって、GaN基板14の中心部は良好な結晶性を持つといえる。
一方、GaN基板14の中心部からc軸方向に20mm離れた外周部Yでは、X線をc軸に垂直な方向に入射させた場合のFWHMは757秒であり、非常にシャープな回折ピークが確認された。よって、GaN基板14の外周部Yは良好な結晶性を持つといえる。
GaN基板14の中心部からc軸に垂直な方向に20mm離れた外周部Xでは、X線をc軸に垂直な方向に入射させた場合のFWHMは519秒であり、シャープな回折ピークが確認された。よって、GaN基板14の外周部Xは良好な結晶性を持つといえる。
また、GaN層13のGaN結晶のc軸と、サファイア基板10のc軸とは直交しており、サファイア基板10を剥離する際に、均一に剥離することができ、かつ、GaN層13の反りの発生も抑制できていた。
(実施例9、10)
サファイア基板10をMOVPE装置の反応炉内に配置し、炉内温度を約1050℃に設定してサファイア基板10のサーマルクリーニングを約10分間行った。
次に、下地基板10を約800℃に下げた状態で、下地基板10表面にアンモニアガスを流し、下地基板10表面を窒化処理した。加熱時間は30分以下とし、アンモニアガス流量は、5.0L/分とした。これにより、厚み約1nmの窒化アルミニウム層が基板表面に形成された。
次に、炉内温度を500℃に下げた状態で、実施例1と同一の条件でサファイア基板10のm面上に炭化アルミニウム層11を堆積した。続けて実施例1と同一の条件で窒化膜11N、GaN膜(低温バッファ層)12をm面成長させた。その後、上記の積層体を反応炉から取り出し、低温バッファ層12上に膜厚20μmのGaN層13を、HVPE装置を用いてm面エピタキシャル成長させた。ここで、成膜温度は1040℃とし、成膜時間は5分とした。HVPE装置では、GaClガスの流量は80sccm、NHガスの流量は1.2リットル/分とされた。
(実施例10)
また、下地基板10の窒化工程を省略したこと以外は、実施例9と同じ条件で積層体を作製した。
実施例9と実施例10について、X線をGaNのc軸に垂直な方向に入射させた場合のX線ロッキングカーブ(XRC)と、X線をGaNのc軸に平行な方向に入射させた場合のXRCとを測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 0005295871
実施例9の半値幅は実施例10の半値幅の2/3程度まで減少しており、結晶性が著しく改善したといえる。なお、本発明者らによれば、下地基板10を600℃以上に加熱し、窒化処理することで、GaNの結晶性が著しく改善することが確認されている。また、窒化により形成される窒化層は1nm以上の場合に、GaNの結晶性が著しく改善することが確認されている。
なお、上記各実施例において、GaN結晶のc軸と、サファイア基板10のc軸とが直交していることは、x線極点図測定により確認している。具体的には、以下のようである。
まず、X線の入射方向と検出器とを所定の位置関係に配置する。
所定の位置関係とは、試料台に設置したGaN結晶のc面がX線の入射方向に対し、決まった角度となったときだけ、回折が検出される角度である。
その後、GaN結晶を回転させて、結晶に様々な角度からX線を入射させる。これにより、GaN結晶のc面を検出する。
次に、同様の方法でサファイア基板10についてもc面を検出する。
これにより、GaN結晶のc軸と、サファイア基板10のc軸とが直交していることを検出することができる。
なお、炭化アルミニウム層のc軸を検出する場合には、電子線回折を利用すればよい。
10 下地基板
11 中間層
11N 窒化膜
11G 中間バッファ層
12 低温バッファ層
13 III族窒化物半導体層
14 III族窒化物半導体基板(自立基板)

Claims (15)

  1. 下地基板上に炭素とアルミニウムとを含む中間層を形成する工程と、
    前記中間層の少なくとも一部を窒化して窒化膜を形成する工程と、
    六方晶系のm面を成長面として有するIII族窒化物半導体層を前記窒化膜の上部にエピタキシャル成長させる工程と、
    前記III族窒化物半導体層から前記下地基板を剥離させて前記III族窒化物半導体層を含むIII族窒化物半導体基板を得る工程と、
    を含む、III族窒化物半導体基板の製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法であって、前記中間層は800℃未満の温度で形成される、III族窒化物半導体基板の製造方法。
  3. 請求項1または2記載の製造方法であって、前記中間層は、40nm以上の厚みで形成される、III族窒化物半導体基板の製造方法。
  4. 請求項3記載の製造方法であって、前記中間層は、トリメチルアルミニウムを原料ガスとした有機金属気相成長法により形成される、III族窒化物半導体基板の製造方法。
  5. 請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の製造方法であって、前記窒化膜上にIII族窒化物半導体からなるバッファ層を500℃以上1000℃以下の温度で成長させる工程を更に含み、
    前記バッファ層と前記III族窒化物半導体層とを連続的に成長させる、III族窒化物半導体基板の製造方法。
  6. 請求項5記載の製造方法であって、前記バッファ層を600℃以上の温度で成長させる、III族窒化物半導体基板の製造方法。
  7. 請求項5または6記載の製造方法であって、前記バッファ層は、窒素と水素とを含む原料ガスを用いて形成される、III族窒化物半導体基板の製造方法。
  8. 請求項7記載の製造方法であって、前記バッファ層は、トリメチルガリウムを前記原料ガスとした有機金属気相成長法により形成される、III族窒化物半導体基板の製造方法。
  9. 請求項1から8のうちのいずれか1項に記載の製造方法であって、前記III族窒化物半導体基板を得る工程は、前記下地基板、前記中間層、前記窒化膜および前記III族窒化物半導体層のうち少なくとも前記下地基板および前記中間層を冷却する工程を含む、III族窒化物半導体基板の製造方法。
  10. 請求項1から9のうちのいずれか1項に記載の製造方法であって、前記III族窒化物半導体層はハイドライド気相成長法により形成される、III族窒化物半導体基板の製造方法。
  11. 請求項1から9のうちのいずれか1項に記載の製造方法であって、前記III族窒化物半導体層は有機金属気相成長法により形成される、III族窒化物半導体基板の製造方法。
  12. 請求項1から11のうちのいずれか1項に記載の製造方法であって、前記下地基板がサファイア基板である、III族窒化物半導体基板の製造方法。
  13. 請求項1から12のうちのいずれか1項に記載の製造方法であって、前記中間層は、六方晶系の前記下地基板のm面上に形成される、III族窒化物半導体基板の製造方法。
  14. 請求項1から13のうちのいずれか1項に記載の製造方法であって、前記III族窒化物半導体層をエピタキシャル成長させる工程では、前記III属窒化物半導体層に酸素のn型不純物がドーピングされ、当該n型不純物のドーピング濃度は5×1017cm−3以上5×1019/cm−3以下の範囲内である、III族窒化物半導体基板の製造方法。
  15. 請求項1から14のうちのいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体基板の製造方法において、
    下地基板上に炭素とアルミニウムとを含む中間層を形成する前記工程の前段で、
    前記下地基板を600℃以上に加熱し、前記下地基板表面を窒化処理するIII族窒化物半導体基板の製造方法。
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