JP5294788B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子線照射工程有する電子写真感光体の製造方法に関するものである。
電子写真感光体は、設計の自由度、製造コスト及び低公害性の観点から、有機材料を用いた層を円筒状導電性支持体に積層して製造される有機感光体(以後、単に感光体と呼ぶ)が主流となっている。
近年、電子写真業界では装置の小型化と出力画像のカラーシフトが急速に進歩している。装置の小型化が進むと、搭載する感光体の径を小さくする必要があり、小径の感光体では出力一枚あたりに必要な感光体の回転数が多くなるため、感光体表面に与えられるストレスが増える傾向にある。すなわち、装置の小型化が進むと、感光体表面の機械的耐久性に対するユーザーの要求レベルが高くなると言える。
また、カラーシフトが進むと、一般的に黒色で書かれる文字のような細線のほかにも、図や絵などの比較的面積の大きな画像が出力される機会が多くなるため、出力画像のなかでの画質均一性が重要になってくる。すなわち、カラーシフトが進むと、感光体表面の均一性に対するユーザーの要求レベルが高くなると言える。
感光体表面の機械的耐久性を向上させるためには、硬化性材料を含む塗料を電子線照射により硬化して形成される強靭な表面層を設けることが有効である(特許文献1)。そして、この電子線硬化型感光体の表面物性は、硬化性材料の硬化度によって大きく影響を受ける。したがって、感光体表面の均一性を高めるためには、電子線の照射方法が非常に重要で、特に感光体の円筒軸の周方向側面に電子線を極力均一に照射する技術が求められている。感光体周方向における電子線照射が不均一であると、その不均一性が反映されて表面層の硬化度が周方向で不均一になる。その結果、使用中の感光体表面において部分的に磨耗ムラが発生して画質に影響を与えたり、光感度の均一性が悪化したり、硬化度の低い部分から傷が発生し易くなって筋状の画像欠陥につながる等して、出力される画質の均一性を損ない易くなる。
電子線硬化型感光体を製造する上で、感光体の周方向で電子線を均一に照射する技術として、感光体を回転させながら電子線を照射する方法が、特許文献2、特許文献3に開示されている。
特開2000−066425号公報 特開2004−198568号公報 特開2007−079006号公報
近年の画質均一性に対するユーザーの要求レベルは急速に高まっており、感光体の周方向で電子線を均一に照射する技術は更に追求される余地を十分に残している。
本発明の目的は、回転させながら電子線を照射する工程を経て電子写真感光体を製造するにあたり、感光体周方向に対する電子線照射の均一性を更に高め、周方向の硬化度の均一性を一層高める電子写真感光体の製造方法を提供することである。
本発明に従って、円筒状の導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された感光層とを有する電子写真感光体製造する方法であって、
導電性支持上に硬化性材料を含有する表面層用塗料の塗布膜を形成する工程と
導電性支持体をその円筒軸を中心に回転させながら、電子線照射装置の電子線取出窓箔から取り出された電子線を該塗布膜に照射し、該硬化性材料を重合又は架橋させることによっ、該電子写真感光体の表面層を形成る電子線照射工程
を有する電子写真感光体の製造方法であって、
該電子線照射工程においては、
導電性支持体の円筒軸を、電子線取出窓箔と平行かつ該導電性支持体の円筒軸に対して垂直方向における線量分布の線量最大値に相当する位置に常に一致させず、
該導電性支持体の回転の方向を、該電子線取出窓箔と対面する該導電性支持体側面が該線量最大値に相当する位置から遠ざかっていく方向とする
ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法が提供される。
本発明の電子写真感光体の製造方法によって、感光体周方向における表面の硬化度の均一性が高い電子写真感光体を提供することができる。
本発明によって製造される感光体の構成について説明する。
本発明によって製造される感光体は、円筒状の支持体及び該支持体上に設けられた有機感光層(電荷発生層と電荷輸送層の総称を意味する)を有する感光体であり、特にその表面層は電子線照射を経て硬化される層となっている。以後単に、円筒状支持体を支持体、有機感光層を感光層、電子写真感光体を感光体と呼ぶ。
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型感光層であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型感光層であってもよい。機能分離ができて設計の自由度が高い積層型感光層の方が一般的である。また、電荷輸送層と電荷発生層以外にも、必要に応じて別の層を設けることができ、いずれの層についても積層構成にしてもよい。特に、耐久性能の向上を目的として、支持体から最も離れた層(以後、単に表面層と呼ぶ)を硬化型の電荷輸送層として、電荷輸送層を積層した構成にする場合が多い。
硬化型の電荷輸送層を表面層とした積層型の感光体を例にして、支持体と支持体上に形成される各層について説明する。
支持体としては導電性を示すもの(導電性支持体)であればよく、例えば、鉄、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、チタン、鉛、ニッケル、スズ、アンチモン、インジウム、クロム、アルミニウム合金、ステンレス等の金属製(合金製)の支持体を用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金等を真空蒸着によって被膜形成した層を有する上記金属製支持体を用いることもできる。
支持体の表面には、画像形成装置における露光光が散乱して発生する干渉縞の防止、支持体表面の異物の被覆、その上に形成される層との密着性向上、電気的物性の調節等を目的として、表面処理を施す、あるいは導電層を形成してもよい。支持体上に施される表面処理方法としては、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理が挙げられる。
支持体上に形成される導電層は、カーボンブラック、導電性顔料や抵抗調節顔料を結着樹脂に分散及び/又は溶解させた導電層用塗布液を用いて形成することができる。導電層に用いられる結着樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体/共重合体等が挙げられる。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
導電層に用いられる導電性顔料及び抵抗調節顔料としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀、ステンレス等の金属(合金)の粒子や、これらをプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。また、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ等の金属酸化物の粒子でもよい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合するだけでもよいし、固溶体や融着の形にしてもよい。また、必要に応じてこれらの顔料に表面処理を施しても良い。
導電層の膜厚は、0.5μm以上35μm以下の範囲であることが好ましく、均一な膜厚で塗布されていることが好ましい。
支持体又は導電層と感光層との間には、電荷バリア機能、接着機能、電気的物性調整機能の付与を目的とした中間層を設けてもよい。
中間層は、結着樹脂を溶解、あるいは金属酸化物を結着樹脂及び溶剤に分散させた中間層用塗布液を用いて形成することができる。
中間層に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン等が挙げられる。
中間層に用いられる金属酸化物としては、酸化チタン酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ケイ素等が挙げられ、必要に応じてこれらの金属酸化物に表面処理を施しても良い。
中間層の膜厚は、0.1μm以上7μm以下の範囲であることが好ましい。
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂及び溶剤に分散することによって得られる電荷発生層用塗布液を用いて形成することができる。
電荷発生層に用いられる電荷発生物質としては、例えば、各種の中心金属及び各種の結晶系(α、β、γ、ε、X型等)を有するフタロシアニン顔料や、アントアントロン顔料や、ジベンズピレンキノン顔料や、ピラントロン顔料等が挙げられる。また、モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料や、インジゴ顔料や、キナクリドン顔料や、非対称キノシアニン顔料や、キノシアニン顔料等が挙げられる。これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体及び共重合体等が挙げられる。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、0.1μm以上2μm以下の範囲であることが好ましい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解あるいは分散させることによって得られる電荷輸送層用塗布液を用いて形成することができる。
電荷輸送層に用いられる電荷輸送物質としては、例えば、ピレン化合物、N−アルキルカルバゾール化合物、ヒドラゾン化合物、N,N−ジアルキルアニリン化合物、ジフェニルアミン化合物、トリフェニルアミン化合物、トリフェニルメタン化合物、ピラゾリン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物等が挙げられる。
電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体及び共重合体等が挙げられる。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
電荷輸送層の膜厚は、9μm以上35μm以下の範囲であることが好ましい。
硬化型の電荷輸送層は、電荷輸送物質と硬化性樹脂とを含有する、あるいは電荷輸送性構造を有する硬化性材料を含有する塗料を用いて形成することができる。これらの硬化性樹脂及び硬化性材料は、電子線照射によって重合又は架橋して硬化する化合物であれば何でもよい。
硬化型の電荷輸送層は、上述の電荷輸送層を形成せずに電荷発生層上に形成してもよいし、電荷輸送層上に第二の電荷輸送層として形成してもよい。
硬化型の電荷輸送層に用いられる電荷輸送物質としては、例えば、ピレン化合物、N−アルキルカルバゾール化合物、ヒドラゾン化合物、N,N−ジアルキルアニリン化合物、ジアリールアミン化合物、トリアリールアミン化合物、トリフェニルメタン化合物、ピラゾリン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物等が挙げられる。
硬化型の電荷輸送層に用いられる硬化性樹脂としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、スチレン基等の、電子線照射によって連鎖重合性を示す連鎖重合性官能基を有する樹脂が挙げられる。
硬化型の電荷輸送層に用いられる、電荷輸送性構造を有する硬化性材料としては、アクリロイルオキシ基やメタクリロイルオキシ基等の連鎖重合性官能基と、例えば、アリールアミン化合物等の電荷輸送物質における中心構造(アリールアミン部)とを有する化合物が挙げられる。例えば、下記に示される化合物1、化合物2の化合物等が挙げられる。
硬化型電荷輸送層の膜厚は、電荷発生層上に形成する場合には前述の電荷輸送層と同様に9μm以上35μm以下の範囲であることが好ましく、第二の電荷輸送層とする場合には、1μm以上10μm以下の範囲であることが好ましい。
尚、本発明で製造される感光体の各層には各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の劣化防止剤や、シリコーンオイル等のレベリング剤、フッ素原子含有樹脂粒子や無機微粒子等の表面改質剤等が挙げられる。添加方法としては、予め各層の塗料中に含有させておいても良いし、層を形成してから外部から注入、擦りこみ、浸透によって含有させてもかまわない。
本発明で使用する電子線照射装置について説明する。
本発明では電子線照射器の種類は、走査型、カーテン型等のいずれの形式も使用することができる。一般的に円筒軸方向の長さが数十センチメートルある感光体を回転させながら均一に電子線を照射する点を考慮すると、カーテン型の電子線照射器が好ましい。また、近年の電子線照射器は、電子線照射のON/OFFの制御が10ミリ秒レベルで制御でき、電子線照射の出力の立上り/立下りが10ミリ秒程度という早さのものが市販されている。本発明では、こうした電子線照射の応答が早く、繰返し照射安定性が高い装置を使用することが好ましい。
本発明に適用できる電子線照射手段並びに電子線照射工程を有する電子線照射装置の一例を図1に示す。
図1の電子線照射装置は大きく分けると、電子線照射器1、電子線照射室2、加熱室3、制御部4から構成される。
電子線照射器1は、電子線を加速するための高電圧電源5と真空チャンバー6から構成される。真空チャンバー6内には熱電子を発生させるフィラメントと発生した電子を引き出すためのグリッドとを一体に具備するガン構造体7が設置されている。真空チャンバー6と電子線照射室2との境界には電子線を電子線照射室に取り出すための電子線取出窓箔8、及び電子線取出窓箔8を支持するための電子線取出窓枠体9が備えられている。
電子線照射窓箔8の材質と膜厚は、感光体に対する電子線の透過性に大きく影響し、材質としては、チタン、ベリリウム、シリコン等が挙げられる。膜厚は材質にもよるが、1μm以上15μm以下の範囲であることが好ましい。
電子線照射室2には、照射時において被照射物(以後、単にワークと呼ぶ)の上端部と下端部をともに把持しながらワークを回転させる機能を有する照射ワーク受け台10が設置されている。ワークの回転方向は、任意方向(矢印A)に回転させることができる。また、照射ワーク受け台10は、電子線取出窓箔8と平行する任意直線上(矢印B)を移動することができ、所望の位置に固定することができる。
加熱室3には、電子線照射後のワークを回転させながら均一に加熱することができる電磁誘導型ヒーター11(以後、単にIHヒーターと呼ぶ)とワーク表面の温度を監視する放射温度計12が設置されている。加熱手段としては、IHヒーター以外にもワークを均一に加熱できる手段であればこの限りではない。例えば、赤外線ヒーターを用いてもよい。IHヒーター11は、ヒーター電源13と銅製のヒーターコイル14から構成されている。加熱の出力は、放射温度計の読み値によってフィードバック制御される仕組みになっており、所望のワーク表面温度にまで精度良く到達させることができる。また、ヒーターコイル14とワークとの間の距離を、ワークの円筒軸方向において微調整することにより、ワークの円筒軸方向における加熱均一性をより高めることができる。
電子線照射室2及び加熱室3には、窒素ガス流入口15が設けられており、窒素ガスを流し込むことによって両室内を窒素雰囲気に置換することができる。また、この両室及び真空チャンバーの壁面は、電子線照射により二次的に発生するX線を遮蔽するため、鉛板16で覆われている。
制御部4は、電子線照射条件、ワーク回転方向及び回転速度、照射距離、照射ワーク受け台の移動及び位置固定、IHヒーターの加熱条件、窒素流入量等の条件を設定することができ、動作命令を行う機能を有している。
上述の電子線照射装置を用いて、表面層を電子線硬化させる手順について説明する。
まず、電子線照射によって硬化する材料を含有する表面層用塗料を感光層上に塗布する。このときの塗布方法としては、例えば、浸漬コーテイング法、スプレイコーテイング法、カーテンコーテイング法、スピンコーテイング法、インクジェット法等を用いることができる。感光体を大量に生産し易いという高生産性の観点からは、浸漬コーテイング法が好ましい。
表面層用塗料を塗布してから電子線照射をする前までの間に、表面層塗布膜中に残留する溶剤や溶存酸素を除去する目的で、減圧処理や加熱を施してもよい。このときの加熱温度は、材料によって適切に選べばよいが、目安としては、表面層の材料と表面層の下層に位置する感光層の材料とが、加熱によって混ざりあわない程度の低い温度で加熱することが好ましい。
次に、表面層用塗料の塗布膜は、電子線を照射されて重合又は架橋して硬化形成される。表面層の硬化度の均一性をある程度確保する上で、電子線の照射条件が重要である。特に、電子線照射器のビーム電流量あるいはワーク表面での電子線吸収線量率(即ち、単位時間当たりの電子線吸収量)、ワーク表面での電子線吸収線量、電子線の加速電圧、電子線照射時間内でのワークの回転回数、電子線照射室内の酸素濃度が重要な条件となる。本発明の製造方法を行う前提として、これらの条件を適切に設計しておくことが好ましい。
電子線吸収線量率は、1×10Gy/sec以上2×10Gy/sec以下の範囲であることが好ましい。電子線吸収線量率が1×10Gy/secよりも低過ぎると表面層の硬化度が低下し、2×10Gy/secを超えて高過ぎる場合には表面層の硬化度が不均一になる傾向にある。
ワーク表面での電子線吸収線量は、3kGy以上70kGy以下の範囲であることが好ましい。吸収線量が3kGyよりも低過ぎる場合には表面層の硬化が十分に進まないことや、本発明の効果が薄れることがある。吸収線量が70kGyを超えて高過ぎる場合には感光体の感度、残留電位が悪化し易くなる場合がある。
電子線の加速電圧は20kV以上150kV以下の範囲であることが好ましい。150kVを超えると導電性支持体を含めて電子写真感光体の劣化が顕著となり易く、加速電圧が20kVよりも低過ぎると表面層の硬化が膜厚方向で不均一となり易い。
電子線照射時間内でのワークの回転回数は、2回転以上10回転以下の範囲であることが好ましい。2回転未満では硬化度の均一性が低下し易く、10回転を超えると表面層の硬化度を確保できなくなる傾向にある。
電子線照射室内の酸素濃度は、100ppm以下であることが好ましい。酸素濃度が高すぎると表面層の硬化度が低下し、不均一になる傾向にある。
電子線照射後に、硬化を促進する目的で、感光体を加熱する工程を設けてもよい。
この加熱についても、電子線照射後に表面層中に残存するラジカルを失活させない、低酸素濃度雰囲気下で行うことが好ましい。低酸素濃度雰囲気は、例えば、アルゴンガスや窒素ガスを用いて大気を置換することで得られる。加熱温度は高いほど硬化促進効果が大きいが、樹脂や感光体の熱による劣化を考慮しながら、通常は150℃以下の温度で行うことが好ましい。
加熱後、更に感光体の安定化を目的として、大気中での加熱を行ってもかまわない。
以下、本発明において特徴的な製造方法にポイントを置いて更に詳しく説明する。
本発明における線量分布について説明する。本発明における線量分布とは、電子線取出窓箔と平行かつワーク円筒軸と垂直方向における、電子線の線量分布である。線量分布の測定には、公知の線量測定手段を用いることができる。例えば、米国FAR WEST TECHNOLOGY(株)製の線量測定用フィルムを用いて、電子線照射前後でフィルムの色見変化を測定して線量に換算するフォトクロミック法が挙げられる。
具体的な線量測定方法としては、線量フィルムを複数箇所に貼り付けた平板を、電子線取出窓箔から所定の距離だけ離した位置に、電子線取出窓箔と平行になるように設置して、そこへ電子線を照射し、線量フィルムの色見変化を測定する。また、線量フィルムの色味を安定させるために、電子線照射後に線量フィルムを大気中で50℃以上60℃以下に加熱してから測定することが好ましい。
本発明における有効照射線量幅Aについて説明する。本発明における有効照射線量幅とは、上述のようにして測定した線量分布の線量最大値を20kGyに基準化し直して補正した補正線量分布において、3kGy以上を満たす分布幅をいう。例えば、得られた線量分布が図2のものであった場合、線量最大値を20kGyに基準化し直してその他のデータについても同じ倍数を掛けて補正した補正線量分布は図3のものとなり、有効照射線量幅は図3の補正線量分布で3kGy以上を満たしている62mmとなる。
有効照射線量幅は、加速電圧と照射距離に大きく影響を受け、高い加速電圧のときは線量幅は広く、また、照射距離が長いときは線量幅は広くなる傾向がある。
本発明における硬化度について説明する。
一般的に硬化度とは表面層に含有される硬化性材料の硬化した割合を指すが、本発明においては、製造された感光体表面において硬化性材料の未硬化官能基の残存程度を評価することで、硬化度に代わる指標として評価する。具体的に、硬化官能基がアクリロイルオキシ基の場合、硬化が進むと末端オレフィン(CH=)が消費されるので、末端オレフィン(CH=)を未硬化官能基として、その量の指標を評価すればよい。
末端オレフィン(CH=)の残存量を評価するには、感光体表面層の断片をサンプルとして赤外分光法(以後、単にIRと呼ぶ)に供することが有効である。アクリロイルオキシ基の末端オレフィン(CH=)のピーク面積を分子とし、アクリロイルオキシ基のカルボニル(C=O)のピーク面積を分母としたピーク面積比を算出することで、未硬化の末端オレフィン(CH=)の量の指標を得ることができる(以後、このピーク面積比を未硬化残存基IRピーク比と呼ぶ)。赤外分光スペクトルにおけるピーク波数の位置は、分子構造や硬化によるピークシフトの影響をうけるため、硬化性材料等によって異なる場合が多い。だが、例えば、硬化されたアクリロイルオキシ基を有するアリールアミン系化合物の場合、アクリロイルオキシ基のカルボニル(C=O)伸縮振動に基づくピークは、1725cm−1付近に見られ、末端オレフィン(CH=)面内変角振動に基づくピークは1405cm−1付近に見られる。
本発明では、感光体の支持体の円筒軸と前述のようにして測定した電子線取出窓箔と平行かつワーク円筒軸と垂直方向における線量分布の線量最大値に相当する位置とを一致させないで電子線照射する。この目的は、感光体周方向の硬化度の均一性を向上させることにある。
本発明で、電子線照射をする際の感光体周辺の位置関係について感光体円筒軸の上方から見たものを図4に例示する。図4に示されるように、感光体円筒軸17の支持体側面は、線量分布モデル18(図4に限っては、紙面の下方向ほど線量が大きい)の線量最大値に相当する位置19よりも、遠ざかる位置、つまり電子線取出窓箔8に向かって左側にずれた位置にある。そして、感光体はその円筒軸の上方から見て反時計回り方向(矢印C)に回転してながら、円筒軸の側面から電子線照射される。この状態での照射距離は矢印Dで示される距離とする。また、照射ワーク受け台を移動させた向きは電子線照射窓箔8を正面にして、線量分布18の線量最大値19に対して左側となっている。また、線量分布を測定した際のワーク円筒軸の位置と、線量分布の線量最大値に相当する位置とが同じであった場合、照射ワーク受け台を移動させた距離は矢印Eで示される距離になる。
製造される感光体の円筒軸周方向における硬化度ムラを抑えるには、前述のように電子線照射の周方向ムラを抑えることが重要である。本発明者らは、電子線照射を開始する直後において、電子線が当たっている感光体表面と電子線が当たっていない感光体表面との間の境界領域に、線量の傾斜を緩やかに持たせることが、電子線照射の周方向ムラを抑えるために有効であることを見出した。そして線量分布の線量最大値に相当する位置から、感光体円筒軸をずらした位置で電子線照射をすれば、線量分布の中心部ではなく線量が傾斜している裾部分で電子線を当てることができ、照射開始時において、前述の境界領域に緩やかな線量傾斜を持たせることが可能となった。
一方で、電子線照射終了直前においても、前述の境界領域での緩やかな線量傾斜が周方向ムラに対して有効であることが考えられる。しかし鋭意検討の結果、照射終了直前においては、前述の境界領域における線量傾斜が硬化度の傾斜に反映されにくいことが分かった。この理由はまだ解明されていないが、おそらく照射開始直後の硬化が始まる極初期の段階においては、硬化性材料の重合が非常に進み易いため、表面層に与えられた電子線エネルギーが硬化性材料の硬化に変換される割合が高く、前述の境界領域における線量傾斜が硬化度の傾斜として鋭く大きく現われる傾向にあることが原因と考えられる。一方で、照射を続けるにつれて硬化が進み難くなる状態にある照射終盤においては、感光体表面に与えられる電子線エネルギーが硬化性材料の硬化に変換される割合が低く、前述の境界領域における硬化度の傾斜が現われ難い傾向にあるため、上記のような課題が起こし難いものと考えられる。
本発明において、感光体円筒軸を線量分布の線量最大値に相当する位置から離間させる距離は、少しでも離間させれば本発明の効果は少なからず有り、好ましくは、線量分布で線量傾斜が認められる位置にまで離間させることである。より好ましくは、電子線照射をする際において、円筒軸を、線量最大値に相当する位置から電子線取出窓箔と平行かつ円筒軸と垂直方向に、下記式の距離Lだけ離間させることである。
0<L≦A/2
式中、Aは有効照射線量幅を示し、前記線量分布の線量最大値を20kGyに基準化して補正した補正線量分布において、3kGy以上を満たす線量幅である。
尚、電子線照射窓箔と感光体とが相対移動しながら照射する方法、例えば、回転する感光体をコンベアに載せて、コンベアを電子線取出窓箔の正面を通過させて照射する方法は、
(1)感光体表面に当たる線量が随時変化するために感光体周方向で均一に照射する設計が困難になる、
(2)コンベアの振動による装置フレが発生することから、周方向の照射均一性を最低限確保することが難しい、
ことから本発明の製造方法の効果が表面化し難くなる場合がある。よって、電子線照射窓箔と感光体とは相対移動させず、照射開始から終了まで一定の電子線線量で照射し続ける照射方法が好ましく、その中で、感光体円筒軸と線量最大値をずらして照射させる方法をとれば、更に照射均一性を高めることができる。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。
<実施例1>
使用した電子線照射装置は図1に示される構成のものである。電子線取出窓箔として膜厚8μmのチタン箔を取り付けた。
(手順1)
まず、以下の手順にしたがって、電子線の線量分布を測定した。
Far West Technology(株)製の、膜厚10μm、大きさ6inch×6inchのナイロン製線量フィルムを、10mm×150mmの短冊状に切りだした。外径30mm、長さ357.5mmのアルミシリンダーを用意し、縦20mm、横200mm、厚さ1mmのステンレス板を、アルミシリンダー表面の中央部にアルミシリンダーと直交するように接着した。このステンレス板上の中央部に短冊状に切り出した線量フィルムを貼り付け、線量分布測定用ワークを作製した。線量分布測定用ワークの外観を図5に示す。
線量分布測定用ワークを、線量フィルムが電子線取出窓箔と対面する向きで、且つ電子線取出窓箔と平行になるように照射ワーク受け台に設置した。窒素流入口から窒素ガスを流入し、電子線照射室内の酸素濃度を30ppmにまで下げた。その後、電子線取出窓箔とステンレス板上の線量フィルムとの距離29mm、加速電圧70kV、ビーム電流6mA、照射時間0.4秒の条件で、線量分布測定用ワークに対して電子線照射を行った。
線量分布測定用ワークを取出し、大気中60℃のオーブンで10分間加熱した。線量フィルムをステンレス板から剥がし、15等分に切り出して得られた10mm×10mmの線量フィルム片を、端から順に前述のラジオクロミック法によって線量測定を行った。得られた線量分布を図2に示す。線量最大値のデータは18.4kGyであった。そして、線量分布の線量最大値を20kGyに基準化しなおし、その他の線量データについても同じ倍数を掛けて補正した補正線量分布を図3に示す。
(手順2)
以下の手順にしたがって、照射ワーク受け台を線量分布の線量最大値に相当する位置から移動させた。
図3の補正線量分布より、3kGy以上を満たす有効照射線量幅は62mmであることが分かった。更に、線量最大値が線量分布の中心にあることから、線量分布を測定した際の照射ワーク受け台の中心軸は、線量分布の線量最大値に相当する位置と同じ位置に固定されていたことが分かった。
そこで、照射ワーク受け台を、線量分布測定したときの位置から、電子線取出窓箔と平行で、且つ電子線取出窓箔を正面にして右側の方向に10mm移動させてその位置に固定した。
(手順3)
以下の手順にしたがって、電荷輸送層までを形成した感光体(以後、単に感光体前駆体と呼ぶ)を作製した。
感光体の円筒状導電性支持体として、外形及び長さが線量分布測定用ワークと同じアルミシリンダーを用意した。
酸素欠損型酸化スズの被覆層を有する酸化チタン導電性粒子から成る粉体 50部
(粉体低効率100Ω・cm)
レゾール型フェノール樹脂 37.7部
(商品名:フェノライトJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70%)
シリコーンオイル 0.007部
(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製)
真球状シリコーン樹脂微粒子 1.56部
(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル・ジャパン合同会社製)
2−メトキシ−1−プロパノール 21.7部
メタノール 11.7部
からなる溶液を、ボールミルで20時間分散し導電層用塗料を調製した。この塗料を前記アルミシリンダー上に浸漬塗布し、大気中140℃のオーブンで1時間加熱することにより、膜厚が25μmの導電層を形成した。
次に、メトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)25部をメタノール400部/n−ブタノール200部の混合液に溶解し、中間層用塗料を調製した。この塗料を前記導電層上に浸漬塗布し、大気中100℃のオーブンで1時間加熱することにより、膜厚が0.45μmの中間層を形成した。
次に、
ヒドロキシガリウムフタロシアニン 20部
(CuKα特性X線回折のブラック角2θ±0.2°の7.4°及び28.2°に強いピークを有する結晶形)
ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学(株)製) 10部
シクロヘキサノン 600部
を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、酢酸エチル700部を加えて電荷発生層用塗料を調製した。この塗料を前記中間層上に浸漬塗布し、大気中80℃のオーブンで1時間加熱することにより、膜厚が0.17μmの電荷発生層を形成した。
次いで、下記構造式(3)で示される正孔輸送性化合物50部、
下記構造式(4)で示される正孔輸送性化合物50部、
及びポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製)100部をモノクロロベンゼン600部及びメチラール200部の混合溶媒中に溶解し、電荷輸送層用塗料を調製した。この塗料を前記電荷発生層上に浸漬塗布し、大気中100℃のオーブンで1時間加熱することにより、膜厚が18μmの電荷輸送層を形成した。このようにして感光体前駆体を作製した。
(手順4)
以下の手順にしたがって、手順2において固定された照射ワーク受け台の位置において、感光体に照射する電子線照射線量を調節した。
Far West Technology(株)製の前述のナイロン製線量フィルムを、10mm×10mmに切り出したものを、別途作製した前述の感光体前駆体の中央部に貼り付け、感光体線量測定用ワークを作製した。感光体線量測定用ワークの外観を図6に示す。繰り返し、同じワークを二本作製して、合計三本の感光体線量測定用ワークを作製した。
感光体線量測定用ワークを、手順2において固定された照射ワーク受け台に設置した。この状態で、照射距離は30mmになっている。
感光体線量測定用ワークを、120rpmの回転速度で回転させながら、加速電圧70kV、照射時間1.5秒間で、ビーム電流を三水準にふってそれぞれに対応する感光体線量測定用ワークに電子線を照射した。これら三本の感光体線量測定用ワークの線量フィルムから、三水準のビーム電流に対応する線量を測定して、そこから線量が10kGyとなるビーム電流を算出した。
(手順5)
次に、以下の手順にしたがって、感光体前駆体上に表面層用塗料を塗布した。
フッ素原子含有樹脂(商品名:GF−300、東亞合成(株)社製)1.5部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)社製)45部及び1−プロパノール45部の混合溶剤に溶解した。その後、フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を加えた液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics(株)製)に通し、分散液を得た。その後、下記式(5)で示される正孔輸送性化合物70部、
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン30部及び1−プロパノール30部を前記分散液に加え、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、表面層用塗料を調製した。この塗料を感光体前駆体1上に浸漬塗布し、大気中50℃のオーブンで10分間加熱することにより、表面層用塗料の塗布膜を有する感光体前駆体を作製した。
(手順6)
以下の手順にしたがって、表面層用塗料の塗布膜を有する感光体前駆体に電子線照射を行った。
手順2において固定された照射ワーク受け台に、表面層用塗料の塗布膜を有する感光体を設置した。この状態で、照射距離は30mmになっている。そして、電子線照射室内及び加熱室内に窒素ガスを流入し、両室内の酸素濃度を下げ、酸素濃度が10ppm以上20ppm以下の範囲で安定させた。
その後、感光体をその円筒軸の上面から見て時計回りの方向に120rpmの回転速度で回転させながら、加速電圧70kV、照射線量10kGyの条件で、1.5秒間電子線照射を行った。
電子線照射終了後、感光体を加熱室に移動させた。そして、感光体を回転させて放射温度計で感光体表面温度を監視しながら、電磁誘導型ヒーターを用いて感光体表面温度が120℃に到達するまで加熱し、感光体を作製した。表面層の膜厚は5μmであった。
以上の手順によって作製された感光体について、感光体表面の周方向における硬化度均一性を評価した。
まず、得られた感光体の中央部の円筒軸周方向18点において表面層の一部をカミソリで剥ぎとり、その表面層断片それぞれについて赤外分光全反射測定を行い、前述の未硬化残存基IRピーク比を算出した。赤外分光測定機は、Perkin Elmer Instrments(株)製の、Spectrum One FT−IR Spectrometerを使用した。未硬化残存基IRピーク比の算出は、
1400.32cm−1以上1413.82cm−1以下の波数範囲をアクリロイルオキシ基の末端オレフィン(CH=)のピーク面積、
1699.29cm−1以上1770.65cm−1以下の波数範囲をアクリロイルオキシ基のカルボニル(C=O)のピーク面積
として行った。
周方向18点での未硬化残存基IRピーク比を測定した結果、最大値と最小値との差は1.5×10−3であった。
<実施例2>
実施例1の手順2において、照射ワーク受け台を移動させる方向を電子線取出窓箔を正面に向いて左側にし、移動させる距離を20mmに変更した。
実施例1の手順6において、電子線照射するときの感光体の回転方向をその円筒軸の上面から見て反時計回りの方向に変更した。その他は、実施例1と同様に感光体を作製し、硬化度均一性を評価した。
<実施例3>
実施例1の手順2において、照射ワーク受け台を移動させる距離を25mmに変更した。
実施例1の手順4において、感光体に照射する電子線照射線量の調節を7kGyに変更した。
実施例1の手順6において、照射線量を7kGyに変更した。その他は、実施例1と同様に感光体を作製し、硬化度均一性を評価した。
<実施例4>
実施例1の手順1において、電子線取出窓箔とステンレス板上の線量フィルムとの距離を9mmにし、ビーム電流を2mAに変更した。
得られた線量分布において線量最大値を20kGyに基準化しなおして補正した補正線量分布を図7に示す。図7の補正線量分布より、3kGy以上を満たす前述の有効照射線量幅は52mmであることがわかった。
実施例1の手順4と手順6において、照射距離を10mmに変更した。その他は、実施例1と同様に感光体を作製し、硬化度均一性を評価した。
<実施例5>
実施例1の手順1において、加速電圧を120kVにし、ビーム電流を2mAに変更した。
得られた線量分布において線量最大値を20kGyに基準化しなおして補正した補正線量分布を図8に示す。図8の補正線量分布より、3kGy以上を満たす前述の有効照射線量幅は119mmであることがわかった。
実施例1の手順2において、照射ワーク受け台を移動させる距離を35mmに変更した。
実施例1の手順4と手順6において、加速電圧を120kVに変更した。その他は、実施例1と同様に感光体を作製し、硬化度均一性を評価した。
<実施例6>
実施例1の手順1において、アルミシリンダーの外径を84mmにし、加速電圧を95kVにし、ビーム電流を2mAに変更した。
得られた線量分布において線量最大値を20kGyに基準化しなおして補正した補正線量分布を図9に示す。図9の補正線量分布より、3kGy以上を満たす前述の有効照射線量幅は84mmであることがわかった。
実施例1の手順2において、照射ワーク受け台を移動させる距離を25mmに変更した。
実施例1の手順4において、感光体に照射する電子線照射線量の調節を20kGyにし、感光体の回転速度を45rpmにし、加速電圧を95kVに変更した。
実施例1の手順6において、感光体の回転速度を45rpmにし、加速電圧を95kVにし、照射線量を20kGyに変更した。その他は、実施例1と同様に感光体を作製し、硬化度均一性を評価した。
<比較例1>
実施例1の手順2において、照射ワーク受け台を移動させない以外は、実施例1と同様に感光体を作製し、硬化度均一性を評価した。
<比較例2>
実施例2の手順2において、照射ワーク受け台を移動させる方向を電子線取出窓箔を正面にして右側に変更した以外は、実施例2と同様に感光体を作製し、硬化度均一性を評価した。
<比較例3乃至6>
実施例3乃至6の手順2において、照射ワーク受け台を移動させない以外は、実施例3乃至6と同様にそれぞれの感光体を作製し、硬化度均一性を評価した。
それぞれの実施例と比較例について、感光体表面の周方向における未硬化残存基IRピーク比の最大値と最小値の差を表1に示す。
本発明で適用できる電子線照射装置を示す図である。 本発明の実施例1において測定した線量分布である。 本発明の実施例1において測定した線量分布を補正した補正線量分布である。 本発明で電子線照射をする際の感光体周辺の位置関係を示す図である。 本発明の実施例で使用できる線量分布測定用ワークの外観を示す図である。 本発明の実施例で使用できる感光体線量測定用ワークの外観を示す図である。 本発明の実施例4において測定した線量分布を補正した補正線量分布である。 本発明の実施例5において測定した線量分布を補正した補正線量分布である。 本発明の実施例6において測定した線量分布を補正した補正線量分布である。
符号の説明
1‥‥電子線照射器
2‥‥電子線照射室
3‥‥加熱室
4‥‥制御部
5‥‥高電圧電源
6‥‥真空チャンバー
7‥‥ガン構造体
8‥‥電子線取出窓箔
9‥‥電子線取出窓枠体
10‥‥照射ワーク受け台
11‥‥電磁誘導型ヒーター
12‥‥放射温度計
13‥‥ヒーター電源
14‥‥ヒーターコイル
15‥‥窒素ガス流入口
16‥‥鉛板
17‥‥感光体円筒軸
18‥‥線量分布
19‥‥線量最大値に相当する位置
20‥‥アルミシリンダー
21‥‥短冊状に切り出した線量フィルム
22‥‥ステンレス板
23‥‥感光体前駆体
24‥‥電荷輸送層
25‥‥10mm×10mmに切り出した線量フィルム
A‥‥ワークの回転方向
B‥‥照射ワーク受け台を移動させる方向
C‥‥感光体の回転方向
D‥‥照射距離
E‥‥照射ワーク受け台を移動させた距離

Claims (3)

  1. 円筒状の導電性支持体と該導電性支持体上感光層とを有する電子写真感光体製造する方法であって、
    導電性支持上に硬化性材料を含有する表面層用塗料の塗布膜を形成する工程と
    導電性支持体をその円筒軸を中心に回転させながら、電子線照射装置の電子線取出窓箔から取り出された電子線を該塗布膜に照射し、該硬化性材料を重合又は架橋させることによっ、該電子写真感光体の表面層を形成る電子線照射工程
    を有する電子写真感光体の製造方法であって、
    該電子線照射工程においては、
    導電性支持体の円筒軸を、電子線取出窓箔と平行かつ該導電性支持体の円筒軸に対して垂直方向における線量分布の線量最大値に相当する位置に常に一致させず、
    該導電性支持体の回転の方向を、該電子線取出窓箔と対面する該導電性支持体側面が該線量最大値に相当する位置から遠ざかっていく方向とする
    ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記電子線照射工程において、前記導電性支持体の円筒軸を、前記線量最大値に相当する位置から前記電子線取出窓箔と平行かつ前記導電性支持体の円筒軸に対して垂直方向に、下記式で定義される距離Lだけ離間させ請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
    0<L≦A/2
    (式中、Aは有効照射線量幅を示し、前記線量最大値を20kGyに基準化して補正した補正線量分布において、3kGy以上を満たす線量幅である。)
  3. 前記電子線照射工程において、前記導電性支持体の円筒軸と前記電子線取出窓箔とを相対移動させない請求項1又は2に記載の電子写真感光体の製造方法。
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