JP5264377B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、保護層を有する電子写真感光体の製造方法に関する。
従来、電子写真感光体には、セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等の無機光導電性物質が用いられてきた。近年、生産性が高く、安価に作成できる有機光導電性物質を用いた電子写真感光体が広く用いられるようになってきた。
特に、有機光導電性染料や顔料を含有した電荷発生層と、光導電性ポリマーや低分子の電荷輸送材料を含有した電荷輸送層を積層した機能分離型感光体の開発により、従来の電子写真感光体の欠点とされていた感度や、耐久性に著しい改善がなされてきている。このため、昨今は機能分離型感光体が電子写真感光体の主流となってきている。
一方、当然のことながら、電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気特性、光学特性等を備えていることが要求される。特に、繰り返し使用される感光体にあっては、その感光体表面には帯電、画像露光、トナー現像、被転写体への転写、残トナーのクリーニング性等の電気的、機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性が求められる。具体的には、摺擦による表面の摩耗や傷の発生に対する耐久性、帯電による表面劣化、例えば転写効率や滑り性の低下、更には感度劣化、帯電能の低下等、電気特性の劣化に対する耐久性が要求される。
一般に、電子写真感光体の構成は薄い樹脂層であり、樹脂材料の特性が非常に重要である。上述の諸条件をある程度満足する樹脂として、近年アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等が実用化されているが、前述したような特性のすべてがこれらの樹脂で満足されるわけではない。特に感光体の高耐久化を図る上では、前記樹脂の被膜強度は十分に高いとは言い難い。これらの樹脂を表面層形成用の樹脂として用いた場合でも、繰り返し使用時において表面層の摩耗が起こるという問題点があった。
更に、近年の電子写真感光体の高感度化に対する要求から、感光体に対して電荷輸送材料等の低分子量化合物が比較的大量に添加される場合が多い。この場合、それら低分子量物質の可塑剤的な作用により、膜強度が著しく低下し、一層繰り返し使用時の表面層の摩耗が問題となっている。
これらの問題点を解決する手段として、硬化性の樹脂を電荷輸送層用の樹脂として用いる試みが、特許文献1に開示されている。このように、電荷輸送層用の樹脂に硬化性の樹脂を用い、電荷輸送層を硬化、架橋することによって機械的強度が増し、繰り返し使用時の耐摩耗性及び耐傷性は大きく向上する。
更に、耐摩耗性を向上させる手段として、硬化性の樹脂を含有する保護層に電子線を照射して硬化させた電子写真感光体が提案されており、特許文献2では未反応基の残存率を規定した提案等がなされている。
硬化性を向上させるためには、電子線の加速電圧や吸収線量を上げていく必要があるが、その弊害として、電子写真感光体の感度が劣化するという問題があった。この理由としては、電子線が電荷発生層や電荷輸送層まで到達してしまい、感度を劣化させると推測される。
逆に、低加速電圧や低線量で照射した電子写真感光体は、耐久が進むにつれて耐傷性が悪化し、更なる高耐久化が図れないという問題があった。この理由としては、最表面の硬化性は問題ないが、保護層の内側に進むにつれて電子線の減衰が顕著となり、充分な硬化性を維持していないためと推測される。
特開平02−127652号公報 特開2005−049579号公報
本発明は、高感度、高耐久な電子写真感光体の製造方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、導電性支持体上に電荷発生層を形成し前記電荷発生層上に電荷輸送層を形成し、前記電荷輸送層上に、アクリロイルオキシ基(CH=CHCOO−)又はメタクリロイルオキシ基(CH=C(CH)COO−)を有する正孔輸送性化合物重合及び硬化させて保護層の下層および保護層の上層を形成する電子写真感光体の製造方法において、前記保護層の下層を形成する工程及び前記保護層の上層を形成する工程は、前記正孔輸送性化合物を含有する保護層用塗布液を塗布して塗布膜を形成する工程と、該塗布膜に電子線を照射する電子線照射工程と、加熱によって該塗布膜を硬化させる加熱工程と、をそれぞれ備え、
かつ、内部反射エレメントがGe、入射角が45°の条件でフーリエ変換赤外分光全反射法により求める下記式(1)で表されるA値が、下記式(2)〜(4)を満たすことを特徴とする。
(1) A=S1/S2
(式(1)中、S1はアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基の末端オレフィン(CH=)面内変角振動に基づくピーク面積であり、S2はアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基のC=O伸縮振動に基づくピーク面積である。)
(2) 0.7≦A1/A2≦2.0
(3) 0.013≦A1≦0.025
(4) 0.013≦A2≦0.030
(式(2)〜(4)中、A1は前記保護層の上層において最表面側から求められるA値であり、A2は前記保護層の下層において前記電荷輸送層との界面側から求められるA値である。)
本発明は、上記式(1)〜(4)を満たす上層と下層の保護層により、高感度、高耐久な電子写真感光体の製造方法を提供することが可能となった。
以下、本発明をより詳細に説明する。
まず、本発明の電子写真感光体について説明する。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に電荷発生層、熱可塑性樹脂を含有する電荷輸送層及び保護層をこの順に有する。
本発明の保護層は、アクリロイルオキシ基(CH=CHCOO−)又はメタクリロイルオキシ基(CH=C(CH)COO−)を有する正孔輸送性化合物を重合、硬化させることにより形成され、かつ、上層と下層からなる硬化層の積層構成である。
本発明において、「アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物」とは、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が公知の正孔輸送性化合物の一部に重合性官能基として化学結合している化合物を示す。好ましくは、同一分子内にアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を2つ以上有する正孔輸送性化合物がよい。
本発明においては、正孔輸送化合物として、特開2000−066424号公報に開示されるものを用いることができる。例えばオキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパンである。又は、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体でもよい。更には、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体等でもよい。
「アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物」としては、表1−1〜表1−3に代表例を示すが、これらに限定されるものではない。

本発明においては、前述のアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物を重合、硬化させることで感光体の保護層を形成させる。しかしながら、保護層は前述の正孔輸送性化合物それのみを重合、硬化させる、又は他の重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と混合させることで形成させることのいずれもが可能である。「他の重合性官能基を有する正孔輸送性化合物」として、例えば、特開2000−66424号公報に開示されるものを用いることができる。
また、前述のアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物と、正孔輸送性能を有さない重合性官能基を有する単量体、オリゴマー又はポリマー等と、から保護層を形成することも可能である。「正孔輸送性能を有さない重合性官能基を有する単量体、オリゴマー又はポリマー」として、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリレート、メタクリレート等がある。
また、保護層にはその他の各種添加剤、フッ素原子含有樹脂微粒子等の潤滑剤その他を含有してもよい。
次に本発明の電子写真感光体について製造方法と共に具体的に示す。
電子写真感光体の支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金またはステンレスのような金属製の支持体を用いることができる。アルミニウムまたはアルミニウム合金の場合は、ED管、EI管又はこれらを切削、電解複合研磨(電解作用を有する電極と電解質溶液による電解及び研磨作用を有する砥石による研磨)、湿式もしくは乾式ホーニング処理したものも用いることができる。
また、アルミニウム、アルミニウム合金または酸化インジウム−酸化スズ合金を真空蒸着によって被膜形成された層を有する上記金属製支持体を電子写真感光体の支持体として用いることができる。更には、樹脂製支持体(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリプロピレン又はポリスチレン樹脂)を電子写真感光体の支持体として用いることもできる。
また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子又は銀粒子のような導電性粒子を樹脂や紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチックを用いることもできる。
支持体の表面は、レーザー光等の散乱による干渉縞の防止等を目的として、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理等を施してもよい。
支持体の体積抵抗率は、支持体の表面が導電性を付与するために設けられた層である場合、その層の体積抵抗率は、1×1010Ω・cm以下であることが好ましく、特には1×106Ω・cm以下であることがより好ましい。
支持体と、後述の中間層又は感光層との間には、レーザー光等の散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした導電層を設けてもよい。これは導電性粉体を適当な結着樹脂に分散させた塗布液を塗工することにより形成される層である。
このような導電性粉体としては、以下のようなものが挙げられる。カーボンブラック、アセチレンブラック;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛又は銀のような金属粉;導電性酸化スズ又はITOのような金属酸化物粉体である。
また、同時に用いられる結着樹脂としては、以下の熱可塑樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂である。又は、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾールでもよい。更には、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂又はアルキッド樹脂も使用できる。
導電層は、上記導電性粉体と結着樹脂とを、溶剤に分散し、又は溶解し、これを塗布することにより形成することができる。使用できる溶剤は、テトラヒドロフラン又はエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル系溶剤;メタノールのようなアルコール系溶剤;メチルエチルケトンのようなケトン系溶剤;トルエンのような芳香族炭化水素溶剤である。
導電層の平均膜厚は0.2μm以上40μm以上であることが好ましく、1μm以上35μm以下であることがより好ましく、さらには5μm以上30μm以下であることがより一層好ましい。
導電性顔料や抵抗調節顔料を分散させた導電層は、その表面が粗面化される傾向にある。
支持体又は導電層と、感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、バリア機能や接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層は、例えば、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護のために形成される。
中間層は、硬化性樹脂を塗布後硬化させて樹脂層を形成する、又は、結着樹脂を含有する中間層用塗布液を導電層上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。
中間層の結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリグルタミン酸又はカゼインのような水溶性樹脂である。又は、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリグルタミン酸エステル樹脂でもよい。
電気的バリア性を効果的に発現させるためには、また、塗工性、密着性、耐溶剤性及び抵抗のような観点から、中間層の結着樹脂は熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、熱可塑性ポリアミド樹脂が好ましい。ポリアミド樹脂としては、溶液状態で塗布できるような低結晶性または非結晶性の共重合ナイロンが好ましい。中間層の平均膜厚は、0.05μm以上7μm以下であることが好ましく、さらには0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
また、中間層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、中間層中に、半導電性粒子を分散させる、あるいは、電子輸送物質(アクセプターのような電子受容性物質)を含有させてもよい。
次に本発明における感光層について説明する。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、以下のものが挙げられる。モノアゾ、ジスアゾ又はトリスアゾのようなアゾ顔料
金属フタロシアニン又は非金属フタロシアニンのようなフタロシアニン顔料
インジゴ又はチオインジゴのようなインジゴ顔料
ペリレン酸無水物又はペリレン酸イミドのようなペリレン顔料
アンスラキノン又はピレンキノンのような多環キノン顔料
スクワリリウム色素、ピリリウム塩又はチアピリリウム塩、トリフェニルメタン色素
セレン、セレン−テルル又はアモルファスシリコンのような無機物質
キナクリドン顔料、アズレニウム塩顔料、シアニン染料、キサンテン色素、キノンイミン色素又はスチリル色素
これら電荷発生材料は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、特にオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン又はクロロガリウムフタロシアニンのような金属フタロシアニンは、高感度であるため、好ましい。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂である。又は、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂でもよい。特には、ブチラール樹脂が好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂及び溶剤と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター又はロールミルを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、10:1〜1:10(質量比)の範囲が好ましく、特には3:1〜1:1(質量比)の範囲がより好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択される。有機溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤又は芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜2μmであることがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤又は可塑剤を必要に応じて添加することもできる。また、電荷発生層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、電荷発生層には、電子輸送物質(アクセプターのような電子受容性物質)を含有させてもよい。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物又はトリアリルメタン化合物が挙げられる。これら電荷輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と熱可塑性樹脂とを溶剤に溶解させることによって得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
電荷輸送層に用いる熱可塑性樹脂としては、以下のものが挙げられる。アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂又は不飽和樹脂である。特には、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂又はジアリルフタレート樹脂が好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と熱可塑性樹脂を溶剤に溶解して得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送物質と熱可塑性樹脂との割合は、2:1〜1:2(質量比)の範囲が好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いる溶剤としては、以下のものが挙げられる。アセトン又はメチルエチルケトンのようなケトン系溶剤;酢酸メチル又は酢酸エチルのようなエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジメトキシメタン又はジメトキシエタンのようなエーテル系溶剤である。又は、トルエン、キシレン又はクロロベンゼンのような芳香族炭化水素溶剤でもよい。これら溶剤は、単独で使用してもよいが、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤又は芳香族炭化水素溶剤を使用することが、樹脂溶解性のような観点から好ましい。
電荷輸送層の平均膜厚は5〜50μmであることが好ましく、特には10〜35μmであることがより好ましい。
また、電荷輸送層には、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤又は可塑剤を必要に応じて添加することもできる。
本発明における保護層は上層と下層とからなる積層構成を有する。このため、前述の電荷輸送層を下地として前記保護層の下層を形成する工程の後、この保護層の下層を下地として保護層の上層を形成する工程を行う。
また、これら保護層の下層を形成する工程及び保護層の上層を形成する工程は、それぞれ以下の工程を有する。まず、下地となる層の上に電荷輸送層上に前述のアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物を含有する塗布膜を形成する塗布工程がある。次いで、この塗布膜に電子線を照射する電子線照射工程があり、更には、該塗布膜を加熱する加熱工程がある。保護層の上層及び下層は、これらの工程を上記の順で繰り返すことで重合、硬化させて形成される。
積層された保護層の上層及び下層の総膜厚としては、1〜10μmであることが好ましく、特には2〜8μmであることがより好ましい。保護層の総膜厚が10μmを超えると、電気特性の悪化する場合がある。これらを塗布する方法は、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法及びスピンコーティング法等が知られているが、効率性/生産性の点からは浸漬コーティング法が好ましい。
本発明の電子線照射において、加速器としてはスキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型等いずれの形式も使用することが出来る。
本発明における加速電圧は120kV以下が好ましく、特には70〜100kVであることがより好ましい。また、電子線の吸収線量は200kGy以下が好ましく、特には5〜150kGyであることがより好ましい。加速電圧が120kV、吸収線量が200kGyを超える場合には電気特性の劣化が起こることがある。
本発明における電子線の吸収線量は、汎用のフィルム線量計、例えばFar West Technology社製 RADIACHROMIC READER及びRadiachromic線量計(10μm)により測定することができる。
なお、本発明では、電子写真感光体表面での電子線の吸収線量とは、Radiachromic線量計(10μm)のフィルムを、保護層用塗布液を塗布する前の電子写真感光体表面に貼り付け、その状態で電子線を照射した時に計測される吸収線量を意味する。
照射及び加熱時の雰囲気は酸素濃度300ppm以下が好ましく、特には100ppm以下であることがより好ましい。酸素濃度が300ppmを超えると、硬化性が悪化する場合がある。
本発明の保護層において、内部反射エレメントがGe、入射角が45°の条件でフーリエ変換赤外分光全反射法により求められる下記式(1)で表されるA値が、下記式(2)〜(4)を満たすことにより、電気特性と耐傷性を向上させることができる。A値は未反応基の存在率を表しており、数値が小さいほど硬化性が高いと言える。
(1) A=S1/S2
(式(1)中、S1は末端オレフィン(CH=)面内変角振動に基づくピーク面積であり、S2はアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基のC=O伸縮振動に基づくピーク面積である)
(2) 0.7≦A1/A2≦2.0
(3) 0.013≦A1≦0.025
(4) 0.013≦A2≦0.030
(式(2)〜(4)中、A1は該保護層の上層において最表面側から求められるA値であり、A2は該保護層の下層において該電荷輸送層との界面側から求められるA値である)
A1/A2が0.7未満及び2.0を超える場合は耐傷性が悪化する。A1及びA2が0.013未満の場合は電気特性が悪化し、A1が0.025、A2が0.030を超える場合は耐傷性が悪化することがある。
図1は、本発明の電子写真感光体の保護層をフーリエ変換赤外分光全反射法による分析で得られた赤外分光スペクトルチャートの一例である。アクリロイルオキシ基のC=O伸縮振動に基づくピークは、1728cm−1にみられ、末端オレフィン(CH=)面内変角振動に基づくピークは1407cm−1付近にみられる。ピーク面積とは、図1にも示したように、それぞれのピークの外側の裾を結んだ直線で囲まれた面積とする。
ピークの波数は、分子の他の部分の影響を受けるため必ずしも一定ではない。しかしながら、重合、硬化されたアクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物のC=O伸縮振動に基づくピークは、1725cm−1付近にみられ、末端オレフィン(CH=)面内変角振動に基づくピークは1405cm−1付近にみられる。また、重合、硬化されたメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物のC=O伸縮振動に基づくピークは、1725cm−1付近にみられ、末端オレフィン(CH=)面内変角振動に基づくピークは1440cm−1付近にみられる。
また、複数のアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物を重合、硬化させる場合、ピークが分かれる事がある。このようなピークの分裂は、他の重合性官能基を有する正孔輸送性化合物や正孔輸送性能を有さない重合性官能基を有する単量体あるいはオリゴマー/ポリマーとを混合させて重合、硬化させる場合にもみられる。この場合のピーク面積とは各々の積算面積を表す。
本発明の電子写真感光体の保護層を、フーリエ変換赤外分光全反射法を用いて測定する方法を以下に述べる。なお、フーリエ変換赤外分光全反射法は、以下、FT−IR−ATR法と呼ぶ(FT−IR=Fourier Transform Infrared Spectrometer、ATR=Attenuated Total Reflectance)。
ATR法は、内部反射エレメントと呼ばれる試料より高い屈折率を有する結晶に試料を密着させ、臨界角以上の入射角で赤外光を結晶に侵入させることにより測定する方法である。試料と結晶の界面で試料側に赤外光がわずかに入り込み、全反射することを利用した方法である。なお、内部反射エレメントを、以下、「IRE」という(IRE=Internal Reflection Element)。
ATR法において、試料側に入り込む深さ(検出深度)を決めるのは、IREの屈折率及び光路の入射角である。本発明におけるA値は、IREがGe(屈折率4.0)、入射角が45度の条件で測定されることにより、より表面近傍の重合度が計算される。
ATR法の測定において、分光計のノイズレベルを小さくすることが重要であり、そのためには、高感度の分光計を用いること、スキャン回数を増やすこと等が必要である。
本発明において用いられる赤外分光計としては、高い波数精度及び測光精度をもつFT−IRを用いる。スキャン回数は32回以上がより好ましい。それ以下であるとノイズの影響が大きく、正確な測定ができない場合がある。
ATR法測定時の電子写真感光体の形状としては、IREとの接触が十分に保たれればどのような形状のものでもよい。
図2は本発明の実施例で使用する電子線照射装置の概略構成図である。
本実施例で用いる電子線照射装置は図2に示すように、電子線発生部10と、照射室20と、照射窓部30とを備えるものである。電子線発生部10は、電子線を発生するターミナル12と、ターミナル12で発生した電子線を真空空間(加速空間)で加速する加速管14とを有するものである。また、電子線発生部10の内部は、電子が気体分子と衝突してエネルギーを失うことを防ぐため、図示しない拡散ポンプ等により10−4〜10−6Paの真空に保たれている。
ターミナル12は、熱電子を放出する線状のフィラメント12aと、フィラメント12aを支持するガン構造体12bと、フィラメント12aで発生した熱電子をコントロールするグリッド12cとを有する。フィラメント12a及びグリッド12cの図面の奥行き方向の長さは、少なくとも被照射体の放射線が照射されるべき部分の円筒軸方向の長さより長くすれば、被照射体の円筒軸方向は1回の電子線照射で全体が照射可能である。
また、電子線発生部10には、フィラメント12aを加熱して熱電子を発生させるための不図示の加熱用電源と、フィラメント12aとグリッド12cとの間に電圧を印加する同じく不図示の制御用直流電源とが設けられている。更に、電子線発生部10には、グリッド12cと照射窓部30に設けられた窓箔32との間に電圧を印加する加速用直流電源とが設けられている。
照射室20は、円筒状の被照射体1’表面に電子線を照射する照射空間22を含むものである。照射室20の内部は不活性ガス雰囲気としている。ここで不活性ガスとは窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等である。また、円筒状の被照射体1’は照射室20内をコンベア等の搬送手段により矢印Aの方向へ搬送される。
更に、少なくともこの円筒状の被照射体1’が電子線照射窓部30を通過し電子線を照射される時間内は、導電性支持体をその円筒軸を中心にして回転させることによって、該被照射体1’は矢印Bの方向に円筒軸を中心にして回転している。なお、電子線発生部10及び照射室20の周囲は電子線照射時に二次的に発生するX線が外部へ漏出しないように、鉛遮蔽が施されている。
照射窓部30は、金属箔からなる窓箔32と、窓箔32を冷却すると共に窓箔32を支持する窓枠構造体34とを有するものである。窓箔32は、電子線発生部10内の真空雰囲気と照射室20内の空気雰囲気とを仕切るものであり、また窓箔32を介して照射室20内に電子線を取り出すものである。
加熱用電源によりフィラメント12aに電流を通じて加熱すると、フィラメント12aは熱電子を放出し、この熱電子は、フィラメント12aとグリッド12cとの間に印加された制御用直流電源の制御電圧により四方八方に引き寄せられる。このうち、グリッド12cを通過したものだけが電子線として有効に取り出される。そして、グリッド12cを通過した電子線は、グリッド12cと窓箔32との間に印加された加速電圧により加速管14内の加速空間で加速された後、窓箔32を突き抜け、照射窓部30の下方の照射室20内を搬送される円筒状の被照射体1’に照射される。なお、通常は、加熱用電源と加速電圧を印可する加速用直流電源とを所定の値に設定し、制御用直流電源を可変にすることにより、ビーム電流の調整が可能となる。
以下、本発明を実施例に従ってより詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
(実施例1)
直径30mm、長さ357.5mmの表面切削加工されたアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
次に、導電性粒子としての酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子(粉体抵抗率100Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は40%)55部を用意。これに、結着樹脂としてのフェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)36.5部、溶剤としてのメトキシプロパノール35部を添加。これらを、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調整した。
この分散液に、表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子3.9部、レベリング剤としてのシリコーンオイル0.001部を添加して攪拌し、導電層用塗料を調製した。なお、シリコーン樹脂粒子は、商品名:トスパール120、GE東芝シリコーン(株)製、平均粒径2μmを、シリコーンオイルは商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製をそれぞれ使用した。
上記方法にて調製した導電層用塗料を、上記支持体上に浸漬法によって塗布し、150℃に加熱されたオーブン内で1時間、加熱硬化することにより、支持体上端から170mmの位置の平均膜厚が15μmの導電層を形成した。
次に、以下の成分をメタノール400部/n−ブタノール200部の混合液に溶解した中間層用塗料を調整。この中間層用塗料を上記導電層上に浸漬塗布し、100℃に加熱されたオーブン内で30分間、加熱乾燥することにより、支持体上端から170mm位置の平均膜厚が0.45μmの中間層を形成した。
共重合ナイロン樹脂 10部
(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)
メトキシメチル化6ナイロン樹脂 30部
(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)
次に、以下の成分を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、酢酸エチル700部を加えて電荷発生層用塗料を調製した。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン 20部
(CuKα特性X線回折において、7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°(ブラッグ角度(2θ±0.2°))に強い回折ピーク有するもの)
下記構造式(1)で示されるカリックスアレーン化合物 0.2部
ポリビニルブチラール 10部
(商品名:エスレックBX−1、積水化学製)
シクロヘキサノン 600部
上記電荷発生層用塗料を中間層上に浸漬コーティング法で塗布し、80℃に加熱されたオーブン内で15分間、加熱乾燥することにより、支持体上端から170mm位置の平均膜厚が0.18μmの電荷発生層を形成した。
次いで、以下の成分をクロロベンゼン600部及びメチラール200部の混合溶媒中に溶解して電荷輸送層用塗料を調製した。これを用いて、上記電荷発生層上に電荷輸送層を浸漬塗布し、100℃に加熱されたオーブン内で30分間、加熱乾燥することにより、支持体上端から170mm位置の平均膜厚が18μmの電荷輸送層を形成した。
下記構造式(2)で示される電荷輸送物質 70部
ポリカーボネート樹脂 100部
(ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製)
次いで、以下の成分を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)社製)20部及び1−プロパノール20部の混合溶剤に溶解した。
フッ素原子含有樹脂 0.5部
(商品名:GF−300、東亞合成(株)社製)
上記フッ素原子含有樹脂が溶解された溶液に、4フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)10部を加えた。その後、4フッ化エチレン樹脂粉体を加えた溶液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics社製)で600kgf/cmの圧力で4回の処理を施し、均一に分散させた。さらに、上記分散処理を行った溶液をポリフロンフィルター(商品名PF−040、アドバンテック東洋(株)社製)で濾過を行い、分散液を調製した。
その後、下記構造式(3)で示される正孔輸送性化合物90部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン70部及び1−プロパノール70部を上記分散液に加えた。これを、ポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)社製)で濾過を行い、保護層用塗料を調製した。
上記保護層用塗料を用いて、上記電荷輸送層上に保護層用塗料を塗布した後、大気中、50℃のオーブンで10分間乾燥した。
その後、窒素雰囲気(酸素濃度10ppm)下において、照射距離30mm、加速電圧70kVの条件で支持体を300rpmで回転させながら1.6秒間電子線照射を行った。このときの電子線の吸収線量を測定したところ、15kGyであった。
引き続いて、窒素雰囲気(酸素濃度10ppm)下において、支持体周囲の温度を25℃から115℃まで15秒かけて昇温させ、保護層の下層である第一保護層の硬化反応を行った。上記処理を行った支持体を、大気中において25℃まで自然冷却し、その後、100℃に加熱されたのオーブン内で10分間、大気中で、加熱処理を行なって、支持体上端から170mm位置の平均膜厚が2μmの第一保護層を形成した。
次いで、上記第一保護層と同様の条件で塗布、電子線照射、加熱処理を行って、第一保護層上に支持体上端から170mm位置の平均膜厚が2μmの第二保護層を、保護層の上層として形成し、電子写真感光体を得た。
得られた電子写真感光体について、電荷輸送層中で塗膜を分離した後、第一保護層の電荷輸送層との界面側に残った電荷輸送膜をクロロベンゼンで完全に除去し、その後、自然乾燥を行った。
上記塗膜を用いて、第二保護層の最表面側から求められるA1値と第一保護層の電荷輸送層との界面側から求められるA2値を以下の条件で測定した。
(測定条件)
装置:FT/IR−420(日本分光(株)製)
付属装置:ATR装置
IRE:Ge
入射角:45度
積算回数:32
得られたスペクトルよりA値を長手方向3点、周方向4点の計12点測定した平均値としてA1値とA2値を求めた。測定結果を表2に示す。
更に、実施例1のように作製した電子写真感光体を用いて、以下の評価を行った。
評価機はキヤノン(株)製のデジタル複写機GP405を用いて、雰囲気温度23℃及び相対湿度50%の環境下で、レーザー光量0.3cJ/m2、感光体の暗部電位(Vd)−700V設定時の明部電位(Vl)を測定した後、ハーフトーン画像を出力した。
次に、明部電位(Vl)が−200Vになるようにレーザー光量を調整した後、100000枚の通紙耐久試験を行った。通紙耐久試験はA4サイズの普通紙を用い、プリント1枚ごとに1回停止する間欠モードで行った。なお、テストチャートは、印字比率5%の格子画像チャートを用いた。評価結果を表2に示す。
(実施例2)
第一保護層の吸収線量を50kGyで行った以外は、実施例1と同様の感光体を作製し、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例3)
第一保護層の吸収線量を150kGyで行った以外は、実施例1と同様の感光体を作製し、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例4)
第一保護層の吸収線量を150kGy、第二保護層の吸収線量を5kGyで行った以外は、実施例1と同様の感光体を作製し、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例5)
第一保護層及び第二保護層の電子線照射を加速電圧100kVで行った以外は、実施例1と同様の感光体を作製し、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例6)
第一保護層の平均膜厚を6μmにした以外は、実施例1と同様の感光体を作製し、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例7)
電子線照射及び加熱時の窒素雰囲気を酸素濃度100ppmとし、更に、第一保護層の吸収線量を50kGyで行った以外は、実施例1と同様の感光体を作製し、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例1)
第二保護層は設けず、第一保護層の平均膜厚を4μmにした以外は、実施例1と同様の感光体を作製し、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例2)
第二保護層は設けず、第一保護層の吸収線量を50kGy、平均膜厚を4μmにした以外は、実施例1と同様の感光体を作製し、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例3)
第二保護層は設けず、第一保護層の電子線照射を加速電圧100kV、吸収線量を150kGy、平均膜厚を4μmにした以外は、実施例1と同様の感光体を作製し、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例4)
第二保護層は設けず、第一保護層の電子線照射を加速電圧100kV、吸収線量を15kGy、平均膜厚を4μmにした以外は、実施例1と同様の感光体を作製し、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例5)
第二保護層は設けず、第一保護層の電子線照射を加速電圧150kV、吸収線量を20kGy、平均膜厚を4μmにした以外は、実施例1と同様の感光体を作製し、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例6)
第二保護層は設けず、第一保護層の平均膜厚を8μmにした以外は、実施例1と同様の感光体を作製し、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例7)
第一保護層及び第二保護層の電子線照射を加速電圧120kV、吸収線量を250kGyで行った以外は、実施例1と同様の感光体を作製し、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例8)
第一保護層の吸収線量を5kGy、第二保護層の吸収線量を2kGyで行った以外は、実施例1と同様の感光体を作製し、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
本発明の電子写真感光体の保護層をフーリエ変換赤外分光全反射法による分析で得られた赤外分光スペクトルチャートの一例である。 本発明の実施例で使用する電子線照射装置の概略構成図である。
符号の説明
1’ 被照射体
10 電子線発生部
12 ターミナル
12a フィラメント
12b ガン構造体
12c グリッド
14 加速管
20 照射室
22 照射空間
30 照射窓部
32 窓箔
34 窓枠構造体

Claims (4)

  1. 導電性支持体上に電荷発生層を形成し前記電荷発生層上に電荷輸送層を形成し、前記電荷輸送層上に、アクリロイルオキシ基(CH=CHCOO−)又はメタクリロイルオキシ基(CH=C(CH)COO−)を有する正孔輸送性化合物重合及び硬化させて保護層の下層および保護層の上層を形成する電子写真感光体の製造方法において、
    前記保護層の下層を形成する工程及び前記保護層の上層を形成する工程は
    記正孔輸送性化合物を含有する保護層用塗布液を塗布して塗布膜を形成する工程と、
    該塗布膜に電子線を照射する電子線照射工程と、
    加熱によって該塗布膜を硬化させる加熱工程と、
    をそれぞれ備え、
    かつ、内部反射エレメントがGe、入射角が45°の条件でフーリエ変換赤外分光全反射法により求める下記式(1)で表されるA値が、下記式(2)〜(4)を満たすことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
    (1) A=S1/S2
    (式(1)中、S1はアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基の末端オレフィン(CH=)面内変角振動に基づくピーク面積であり、S2はアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基のC=O伸縮振動に基づくピーク面積である。)
    (2) 0.7≦A1/A2≦2.0
    (3) 0.013≦A1≦0.025
    (4) 0.013≦A2≦0.030
    (式(2)〜(4)中、A1は前記保護層の上層において最表面側から求められるA値であり、A2は前記保護層の下層において前記電荷輸送層との界面側から求められるA値である。)
  2. 前記電子線照射工程における加速電圧が70〜100kV、電子線の吸収線量が5〜150kGyであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記電子線照射工程及び前記加熱工程における雰囲気の酸素濃度が100ppm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記保護層の上層及び下層の総膜厚が2〜8μmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
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