JP2009222883A - 電子写真感光体の製造方法及び電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法及び電子写真感光体 Download PDF

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真弓 大城
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Abstract

【課題】均一な帯電性、及び耐磨耗性を有する電子写真感光体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】導電性支持体と、感光層とを有する電子写真感光体の製造方法であって、電子写真感光体の最表層は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する化合物を、加速電圧C(V)が100K(V)以下、線量がH(mA)の放射線の照射により、重合、硬化してなるものであり、且つ電子写真感光体の表面は、末端オレフィン面内変角振動に基づくピーク面積とC=O伸縮振動に基づくピーク面積比が特定の範囲であり、放射線の照射は、特定の関係式を満足する条件で行われる。
【選択図】図2

Description

本発明は、電子写真感光体の製造方法及び電子写真感光体に関する。
従来、電子写真感光体には、セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛のような無機光導電性物質が用いられてきたが、近年、生産性が高く、安価に作成できる有機光導電性物質を用いた電子写真感光体が広く用いられるようになってきた。特に、有機光導電性染料や顔料を含有した電荷発生層と、光導電性ポリマーや低分子の電荷輸送材料を含有した電荷輸送層とを積層した機能分離型感光体が開発されている。これにより、従来の有機電子写真感光体の欠点とされていた感度や、耐久性に著しい改善がなされてきており、これが電子写真感光体の主流となってきている。
一方、当然のことながら、電子写真感光体には、適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気特性、光学特性のような各種特性を備えていることが要求される。特に、繰り返し使用される感光体にあっては、その感光体表面には帯電、画像露光、トナー現像、被転写体への転写、残トナーのクリーニング性のような電気的、機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性が求められる。具体的には、摺擦による表面の摩耗や傷の発生に対する耐久性;帯電による表面劣化、例えば転写効率や滑り性の低下、更には感度劣化、帯電能の低下のような、電気特性の劣化に対する耐久性;が要求される。
一般に、有機電子写真感光体の構成は薄い樹脂層であり、樹脂材料の特性が非常に重要である。上述の諸条件をある程度満足する樹脂として、近年アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などが実用化されている。しかしながら、前述したような特性のすべてがこれらの樹脂で満足されるわけではない。特に感光体の高耐久化を図る上では、前記樹脂の被膜強度は十分に高いとは言い難い。これらの樹脂を表面層形成用の樹脂として用いた場合でも、繰り返し使用時において表面層の摩耗が起こるという問題点があった。
更に、近年の有機電子写真感光体の高感度化に対する要求から、感光体に対して電荷輸送材料などの低分子量物質が比較的大量に添加される場合が多い。この場合、それら低分子量物質の可塑剤的な作用により、膜強度が著しく低下し、一層繰り返し使用時の表面層の摩耗が問題となっている。また電子写真感光体を長期にわたって保存する際に、前述の低分子量物質が析出してしまい、相分離するといった問題も発生している。
これらの問題点を解決する手段として、硬化性の樹脂を電荷輸送層用の樹脂として用いる試みが、特許文献1に開示されている。このように、電荷輸送層用の樹脂に硬化性の樹脂を用い、電荷輸送層を硬化、架橋することによって機械的強度が増し、繰り返し使用時の耐摩耗性および耐傷性は大きく向上する。
表面層に硬化性樹脂を含有する有機感光体は、長期間の耐久使用時も表面層の磨耗がほとんどなく、初期の表面層の形状を耐久使用中に維持しつづける性質を有する。そのため、硬化性樹脂を含有する有機感光体は磨耗に関しては、有効な手段であるが、熱又は、放射線照射により形成された電荷輸送層は電荷輸送機能が硬化により阻害され、感度において不具合を発生する問題が生じている。この不具合の例としては、画像濃度が薄くなる現象が挙げられる。つまり、電子写真装置が連続通紙を行なった際、感光体のいずれかの領域に電荷が蓄積することにより画像形成部の電位が上昇する。そのため、画像濃度を出すことに必要な電位差(帯電電位と露光部電位の差)を満たさなくなり、その結果、画像濃度が薄くなる現象である。
放射線の照射により表面を硬化させる感光体においては、特許文献2に示されるような製造方法、及び特許文献3に示されるような未反応基の残存率を規定し、機械的強度及び電荷輸送機能を両立させることが提案されている。
しかしながら、上記のような提案に基づいて、感光体を作成したが、感光体表面上で不均一な電位ムラ、削れムラが生じる場合が見受けられた。感光体を回転させた際の、感光体と放射線照射距離のフレが、加速電圧の低下に伴い、硬化性により影響を与えた為と思われる。
特開平2−127652号公報 特開2004−198568号公報 特開2005−49579号公報 特開2000−066424号公報 特開昭54−143645号公報 光技術情報誌「ライトエッジ」No.18、P25、図5
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、均一な帯電性、及び耐磨耗性を有する電子写真感光体及びその製造方法を提供することにある。
更に、本発明は、連続通紙時の露光部電位変動を減少させることにより濃度変動の少ない安定した画像が得られる電子写真感光体及びその製造方法を提供することにある。
本発明による電子写真感光体の製造方法は、
導電性支持体と、感光層とを有する電子写真感光体の製造方法であって、
該電子写真感光体の最表層は、アクリロイルオキシ基(CH=CHCOO−)又はメタクリロイルオキシ基(CH=C(CH)COO−)を有する化合物を、加速電圧C(V)が100K(V)以下、線量がH(mA)の放射線の照射により、重合、硬化してなるものであり、且つ
該電子写真感光体の表面は、下記式(1)
A=S1/S2 (1)
(式中、S1及びS2は、内部反射エレメントとしてGeを用い、入射角として45°の測定条件を用いてフーリエ変換赤外分光全反射法により測定して得たスペクトルのピーク面積のうち、
S1は、末端オレフィン(CH=)面内変角振動に基づくピーク面積であり、
S2は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基のC=O伸縮振動に基づくピーク面積である)
で表されるA値は、0.01〜0.04であり、
該放射線の照射は、下記式(2)
E+D≦G*C*√H/B*A*10 (2)
(式中、
Aは、上記の通りであり、
Bは、照射距離(mm)を示し、
Cは、加速電圧(kV)を示し、
Dは、放射線照射装置の被照射物を保持する冶具の円筒振れ(μm)を示し、
Eは、該導電性支持体の円筒振れ(μm)を示し、
Gは、放射線の照射される回数を示し、
Hは、線量(mA)を示す。)
を満足する条件で行われることを特徴とする。
また、本発明による電子写真感光体の製造方法において、
前記A値の振れFは、下記式(3)
F≦2000*C*√H/((B+(E+D))*(B−(E+D))*A*G (3)
(式中、A、B、C、D、E、G及びHは、上記の通りである。)
を満足することを特徴とする。
一方、本発明による電子写真感光体は、
導電性支持体と、感光層とを有する電子写真感光体であって、
当該電子写真感光体の最表層は、アクリロイルオキシ基(CH=CHCOO−)又はメタクリロイルオキシ基(CH=C(CH)COO−)を有する化合物を、加速電圧C(V)が100K(V)以下、線量がH(mA)の放射線の照射により、重合、硬化してなるものであり、
当該電子写真感光体の表面は、下記式(1)
A=S1/S2 (1)
(式中、S1及びS2は、内部反射エレメントとしてGeを用い、入射角として45°の測定条件を用いてフーリエ変換赤外分光全反射法により測定して得たスペクトルのピーク面積のうち、
S1は、末端オレフィン(CH=)面内変角振動に基づくピーク面積であり、
S2は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基のC=O伸縮振動に基づくピーク面積である)
で表されるA値は、0.01〜0.04であることを特徴とする。
本発明によれば、均一な帯電性、及び耐磨耗性を有する電子写真感光体を得ることができる。
次に、本発明の電子写真感光体について詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、この導電性支持体上に感光層とを有する。また、電子写真感光体の最表層は、アクリロイルオキシ基(CH=CHCOO−)又はメタクリロイルオキシ基(CH=C(CH)COO−)を有する正孔輸送性化合物を重合、硬化させることにより形成される。
本発明において、「アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物」とは、公知の正孔輸送性化合物の一部に重性官能基としてアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が化学結合している化合物をいう。好ましくは、同一分子内にアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を2つ以上有する正孔輸送性化合物がよい。本発明においては、正孔輸送化合物として、特許文献4に開示されるものを用いることができ、例えば下記のものが挙げられる。
オキサゾール誘導体
オキサジアゾール誘導体
イミダゾール誘導体
トリフェニルアミンのようなトリアリールアミン誘導体
9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン
1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン
スチリルアントラセン
スチリルピラゾリン
フェニルヒドラゾン類
チアゾール誘導体
トリアゾール誘導体
フェナジン誘導体
アクリジン誘導体
ベンゾフラン誘導体
ベンズイミダゾール誘導体
チオフェン誘導体
N−フェニルカルバゾール誘導体
「アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物」としては、表1−1〜表1−10に代表例を示すが、これらに限定されるものではない。
本発明においては、前記アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物を重合、硬化させることで感光体の最表層を形成させるが、他の正孔輸送化合物と混合して形成されてもよい。つまり、最表層は、前記正孔輸送性化合物それのみを重合、硬化させるか、あるいは他の重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と混合させることで形成させることのいずれもが可能である。「他の重合性官能基を有する正孔輸送性化合物」として、例えば、特許文献4に開示されるものを用いることができる。
また、前記アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物と、正孔輸送性能を有さない重合性官能基を有する単量体あるいはオリゴマー/ポリマーなどとから最表層を形成することも可能である。「正孔輸送性能を有さない重合性官能基を有する単量体あるいはオリゴマー/ポリマー」としては、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリレート、メタクリレートが挙げられる。場合によっては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有しない正孔輸送性化合物を最表層にさらに含有することも可能である。
また、最表層には、その他の各種添加剤、フッ素原子含有樹脂微粒子などの潤滑剤その他を含有してもよい。
次に、本発明の電子写真感光体について、製造方法と共に具体的に示す。本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、この支持体上に感光層と、電子写真感光体の最も表面に位置する最表層とを少なくとも有する。
電子写真感光体の支持体としては、導電性を有するものであればよく、例えば下記のものが挙げられる。
アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスのような金属や合金をドラム又はシート状に成形したもの
アルミニウム及び銅のような金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの
アルミニウム、酸化インジウム及び酸化錫などをプラスチックフィルムに蒸着したもの
導電性物質を単独又は結着樹脂とともに塗布して導電層を設けた金属
プラスチックフィルム
本発明においては、導電性支持体の上にバリアー機能と接着機能とをもつ下引き層を設けることもできる。
下引き層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体上の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性の改良、また感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成される。下引き層の材料としては、下記のものが挙げられる。
ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ及びゼラチン
これらはそれぞれに適した溶剤に溶解されて支持体上に塗布される。下引き層の膜厚としては、0.1〜2μmが好ましい。
更に、本発明においては、支持体と感光層との間、又は支持体と下引き層との間に、支持体の欠陥の被覆や可干渉光を用いたときに生じる干渉縞の防止を目的として、導電層を設けることも好ましい。導電層としては、導電性粒子を分散した樹脂層を設けることができ、膜厚は5〜30μmであることが好ましい。
本発明の感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質とを同一の層に含有する、いわゆる単一層型でも、電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに機能分離された積層型(以下、「機能分離型」ともいう)でもよい。特に、電子写真感光体に要求される諸特性を満足するためには積層型である方が好ましい。
本発明の電子写真感光体が、機能分離型の感光体である場合には、電荷発生層及び電荷輸送層を積層する。電荷発生層に用いる電荷発生物質としては、下記のものが挙げられる。
セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料
各種の中心金属及び結晶系
α、β、γ、ε及びX型などの結晶型を有するフタロシアニン化合物誘導体
アントアントロン顔料
ジベンズピレンキノン顔料
ピラントロン顔料
トリスアゾ顔料
ジスアゾ顔料
モノアゾ顔料
インジゴ顔料
キナクリドン顔料
非対称キノシアニン顔料
キノシアニン
特許文献5に記載のアモルファスシリコン
機能分離型感光体の場合、電荷発生層は、前記電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤とともに、下記の適当な攪拌手段を用いて、よく分散し、得た分散液を塗布し、乾燥して形成されてもよい。また、電荷発生層は、前記電荷発生物質の蒸着膜等の単独組成の膜として形成されてもよい。上記の適当な攪拌手段としては、例えば、ホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター及びロールミルが挙げられる。電荷発生層の膜厚は、5μm以下であることが好ましく、特に0.1〜2μmの範囲であることが好ましい。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、例えば、下記のものが挙げられる。
スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンのようなビニル化合物の重合体及び共重合体
ポリビニルアルコール
ポリビニルアセタール
ポリビニルブチラール
ポリカーボネート
ポリエステル
ポリスルホン
ポリフェニレンオキサイド
ポリウレタン
セルロース樹脂
フェノール樹脂
メラミン樹脂
ケイ素樹脂
エポキシ樹脂
本発明における最表層は、前述した電荷発生層上に形成された電荷輸送層、又は電荷発生層上に電荷輸送物質と結着樹脂とからなる電荷輸送層を形成し、この電荷輸送層の上に形成された保護層が挙げられる。いずれの場合も、前記最表層の形成方法としては、前記アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物を含有する溶液を塗布後、重合、硬化反応させる方法が挙げられる。これらの溶液を塗布する方法は、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法及びスピンコーティング法が挙げられる。特に、効率性/生産性の点からは、浸漬コーティング法が好ましい。また蒸着、プラズマその他の公知の製膜方法が適宜選択できる。
本発明において、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物は、熱や可視光、紫外線等の光、更に放射線により重合、硬化させることができる。従って、この場合、本発明における最表層の形成は、まず、前記アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物と、必要によって重合開始剤とを含有した最表層用の塗工液を調製する。その後、この塗工液を用いて形成した塗工膜に熱、光又は放射線を照射することによって、前記アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物を重合、硬化させて、最表層が形成される。
本発明においては、上記の正孔輸送性化合物の重合、硬化に用いられる熱、可視光、紫外線のような光、放射線のうち、放射線によって重合、硬化させることが好ましい放射線による重合の最大の利点は、重合開始剤を必要としない点であり、これにより非常に高純度な三次元感光層マトリックスの作製が可能となり、良好な電子写真特性が確保される点である。また、短時間でかつ効率的な重合反応であるために生産性も高く、さらには放射線の透過性の良さから、厚膜時や添加剤などの遮蔽物質が膜中に存在する際の硬化阻害の影響が非常に小さいことなどが挙げられる。ただし、中心骨格の種類によっては重合反応が進行しにくい場合があり、その際には影響のない範囲内での重合開始剤の添加は可能である。
この際使用する放射線とは、電子線及びγ線である。電子線照射をする場合、加速器としてはスキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型などいずれの形式も使用することができる。電子線を照射する場合に、電気特性及び耐久性能を発現させる上で、照射条件が重要である。
本発明において、加速電圧は、100KV以下が好ましく、最適には90KV以下である。また、照射線量(本発明において、線量ともいう。)は、好ましくは1〜20mAの範囲、より好ましくは1.5〜15mAの範囲である。加速電圧が100KVを越えると電気特性の劣化が起こることがある。また、照射線量が1.5mAよりも少ない場合には硬化が不十分となりやすく、照射線量が15mAを超える場合には電気特性の劣化が起こることがある。
電気特性の劣化は、例えば、電子写真装置で連続通紙を行った時に、画像濃度の低下となって発現される。また、硬化が不十分な場合は、耐磨耗性の劣化となる。
照射時の雰囲気としては、大気雰囲気、窒素雰囲気及びヘリウム雰囲気のような不活性ガス雰囲気、並びに真空雰囲気が挙げられる。なかでも、照射時の雰囲気としては、酸素によるラジカルの失活を抑制することができるため、不活性ガス雰囲気又は真空雰囲気が好ましい。
本発明において、アクロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物を重合、硬化させることにより形成される最表層を電荷輸送層として用いた場合の膜厚は、1〜50μmが好ましく、特には3〜30μmが好ましい。
アクロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物を重合、硬化させることにより形成される最表層を電荷発生層/電荷輸送層上に保護層として用いた場合、その下層に当たる電荷輸送層は、下記のように形成してもよい。つまり、電荷輸送物質として、下記の化合物を、適当な結着樹脂(前述の電荷発生層に用いる結着樹脂のなかから選択できる)とともに溶剤に分散/溶解した溶液を、前述の公知の方法によって塗布、乾燥して形成することができる。
ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリスチリルアントラセンのような複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物
ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール、カルバゾールのような複素環化合物
トリフェニルメタンのようなトリアリールアルカン誘導体
トリフェニルアミンのようなトリアリールアミン誘導体
フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体のような低分子化合物
最表層が保護層である場合の電荷輸送物質と結着樹脂との比率は、両者の全質量を100とした場合に、電荷輸送物質の質量が20〜100が望ましく、好ましくは30〜100の範囲で適宜選択される。電荷輸送物質の量がそれ未満であると、電荷輸送能が低下し、感度低下及び残留電位の上昇などの問題点が生ずる傾向がある。最表層が保護層である場合の電荷輸送層の膜厚は、好ましくは1〜50μm、より好ましくは3〜30μmの範囲で調整される。また、保護層の膜厚は0.5〜10μmが好ましく、特には0.5〜8μmが好ましい。
本発明の電子写真感光体が単一層型の感光体の場合、最表層は、適当な下引き層あるいは下引き層を設けてもよい導電性支持体上に、感光層の一構成として形成されてもよく、また、電子写真感光体の最も表面を構成する保護層として形成されてもよい。いずれの場合も、前記アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物を有する溶液、又はこの正孔輸送性化合物と電荷発生物質とが含まれる溶液を塗布し、重合、硬化させることにより、最表層が形成される。
最表層がアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物を重合、硬化させることにより形成された感光体においても、クリーニング特性は必ずしも十分ではない。例えば、クリーニングブレードの摺擦等により表面に傷が生じたり、ブレードめくれが生じたりすることがある。
本発明者等は、電子写真感光体の最表層のフーリエ変換赤外分光全反射法により求めた下記のピーク面積比と、耐磨耗性との関連を見出した。このピーク面積比は、フーリエ変換赤外分光全反射法に従って、末端オレフィン(CH=)面内変角振動に基づくピーク面積(S1)と、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基のC=O伸縮振動とに基づくピーク面積(S2)との比率である。
即ち、本発明の電子写真感光体は、上記の通り、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物を重合、硬化させることにより形成された最表層を有する。また、本発明の電子写真感光体において、最表層は、内部反射エレメントがGe、入射角が45度の条件でフーリエ変換赤外分光全反射法から得た上記S1及びS2により求めた下記式(1)で表されるA値が、0.04以下である。これにより、本発明の電子写真感光体は、耐磨耗性が向上する。
A=S1/S2 (1)
(式中、
S1は、末端オレフィン(CH=)面内変角振動に基づくピーク面積であり、
S2は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基のC=O伸縮振動に基づくピーク面積である。)
上記A値が0.04以下のときには、表面に未反応基の存在率が低いため、クリーニング部材との圧接に対しても耐磨耗性が向上する。また、ローラー形状の帯電手段の交流電圧の印可に対しても劣化が減少することが考えられる。更に、上記A値が0.03以下の最表層がより好ましい。A値が0.01未満であれば、問題が発生しない。A値が0.04を超える場合は、最表層が未硬化で硬度が低く、通紙により表層に傷が発生したり、削れムラが発生する場合がある。
図1は、本発明の電子写真感光体の最表層をフーリエ変換赤外分光全反射法による分析で得られた赤外分光スペクトルチャートの一例である。アクリロイルオキシ基のC=O伸縮振動に基づくピークは、1728cm−1付近にみられ、末端オレフィン(CH=)面内変角振動に基づくピークは1407cm−1付近にみられる。ピーク面積とは、図1において黒を付した部分に示したように、それぞれのピークの外側のすそを結んだ直線で囲まれた面積とする。
ピークの波数は、分子の他の部分の影響をうけるため、必ずしも一定ではないが、例示すると、以下の通りである。つまり、重合、硬化されたアクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物のC=O伸縮振動に基づくピークは、1725cm−1付近にみられ、末端オレフィン(CH=)面内変角振動に基づくピークは1405cm−1付近にみられる。また、重合、硬化されたメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物のC=O伸縮振動に基づくピークは、1725cm−1付近にみられ、末端オレフィン(CH=)面内変角振動に基づくピークは1440cm−1付近にみられる。
また、用いる正孔輸送性化合物や、重合性官能基を有する単量体又はオリゴマー/ポリマーによっては、フーリエ変換赤外分光全反射法により得られるスペクトルにおいて、ピークが分かれる場合がある。この場合のピーク面積とは各々の積算面積を表す。なお、このような場合に用いられる上記の正孔輸送性化合物や、単量体又はオリゴマー/ポリマーとしては、下記の場合が挙げられる。
複数のアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物を用いて重合、硬化させる場合
この正孔輸送性化合物と、他の重合性官能基を有する正孔輸送性化合物や正孔輸送性能を有さない重合性官能基を有する単量体あるいはオリゴマー/ポリマーとを混合させて重合、硬化させる場合
本発明の電子写真感光体の最表層を、フーリエ変換赤外分光全反射法(以下、ATR法と呼ぶ。FT−IR=Fourier Transform Infrared Spectrometer、ATR=Attenuated Total Reflectance)を用いて測定する方法を以下に述べる。
ATR法は、内部反射エレメント(以下、「IRE」という:IRE=Internal Reflection Element)と呼ばれる、赤外領域において透明なGe、ZnSeなどの結晶を用いる。この結晶は、測定対象である試料よりも高い屈折率を有する。ATR法の測定において、この結晶に試料を密着させ、この結晶/試料に、臨界角以上の入射角で赤外光を侵入させることにより、試料と結晶との界面で試料側にわずかに入り込み、全反射することを利用した方法である。
ATR法において、試料側に入り込む深さ(検出深度)を決めるのは、IREの屈折率及び光路の入射角である。本発明におけるA値は、IREがGe(屈折率4.0)、入射角が45度の条件で測定されることにより、より表面近傍の重合度が計算される。
ATR法の測定において、分光計のノイズレベルを小さくすることが重要であり、そのためには、高感度の分光計を用いること、スキャン回数を増やすことなどが必要である。
本発明において用いられる赤外分光計としては、高い波数精度及び測光精度をもつFT−IRを用いる。スキャン回数は32回以上がより好ましい。それ未満であるとノイズの影響が大きく、正確な測定ができない場合がある。
ATR法測定時の電子写真感光体の形状としては、IREとの接触が十分に保たれればどのような形状のものでもよい。
図2は、本発明の実施例で使用する電子線照射装置の概略構成図である。
本実施例で用いる電子線照射装置は、図2に示すように、電子線発生部10と、照射室20と、照射窓部30とを備える。
電子線発生部10は、電子線を発生するターミナル12と、ターミナル12で発生した電子線を真空空間(加速空間)で加速する加速管14とを有する。また、電子線発生部10の内部は、電子が気体分子と衝突してエネルギーを失うことを防ぐため、図示しない拡散ポンプなどにより、10−4〜10−6Paの真空に保たれている。
ターミナル12は、熱電子を放出する線状のフィラメント12aと、フィラメント12aを支持するガン構造体12bと、フィラメント12aで発生した熱電子をコントロールするグリッド12cとを有する。フィラメント12a及びグリッド12cの図面の奥行き方向の長さは、少なくとも被照射体の放射線が照射されるべき部分の円筒軸方向の長さより長くすれば、被照射体の円筒軸方向は1回の電子線照射で全体が照射可能である。
電子線発生部10には、フィラメント12aを加熱して熱電子を発生させるための不図示の加熱用電源が設けられる。また、電子線発生部10には、フィラメント12aとグリッド12cとの間に電圧を印加する同じく不図示の制御用直流電源が設けられる。さらに、電子線発生部10には、グリッド12cと照射窓部30に設けられた窓箔32との間に電圧を印加する加速用直流電源(図示せず)とが設けられる。
照射室20は、円筒状の被照射体1’表面に電子線を照射する照射空間22を含むものである。後述の実施例のように、電子写真感光体の最表層を硬化させる場合には、硬化を安定させるため、照射室20の内部は不活性ガス雰囲気としている。ここで、不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスが挙げられる。また、円筒状の被照射体1’は、照射室20内をコンベアなどの搬送手段により矢印Aの方向へ搬送される。
さらに、少なくともこの円筒状の被照射体1’が電子線照射窓部30を通過し電子線を照射される時間内は、導電性支持体をその円筒軸を中心にして回転させることによって、被照射体1’は矢印Bの方向に円筒軸を中心にして回転している。なお、電子線発生部10及び照射室20の周囲は電子線照射時に二次的に発生するX線が外部へ漏出しないように、鉛遮蔽が施されている。
照射窓部30は、金属箔からなる窓箔32と、窓箔32を冷却すると共に窓箔32を支持する窓枠構造体34とを有するものである。窓箔32は、電子線発生部10内の真空雰囲気と照射室20内の空気雰囲気などの雰囲気とを仕切るものである。また、窓箔32を介して照射室20内に電子線を取り出すものである。
加熱用電源によりフィラメント12aに電流を通じて加熱するとフィラメント12aは熱電子を放出し、この熱電子は、フィラメント12aとグリッド12cとの間に印加された制御用直流電源の制御電圧により四方八方に引き寄せられる。このうち、グリッド12cを通過したものだけが電子線として有効に取り出される。そして、このグリッド12cから取り出された電子線は、グリッド12cと窓箔32との間に印加された加速用直流電源の加速電圧により加速管14内の加速空間で加速される。その後、加速された電子線は、窓箔32を突き抜け、照射窓部30の下方の照射室20内を搬送される円筒状の被照射体1’に照射される。なお、通常は、加熱用電源と加速用直流電源とを所定の値に設定し、制御用直流電源を可変にすることにより、ビーム電流の調整が可能となる。
電子線の線量(H)は、1〜20mAの範囲が好ましい、より好ましくは、1.5〜15mAの範囲である。線量が低すぎると、最表層の硬化が十分ではなくなり易く、また、高すぎると感光体の感度、残留電位が悪化しやすくなる。硬化が不十分な場合は、耐磨耗性の劣化となる。また、電気特性の劣化は、例えば、電子写真装置で連続通紙を行った時に、画像濃度の低下となって発現される。
また、図3は、照射距離と加速電圧の相関を示したものである。加速電圧が低くなるにつれ、線量と距離の傾きが大きくなる。照射距離がふれると線量のふれがより大きくなることが予想される。
図2の被照射体1’(感光体)が電子線照射時に矢印Bの方向に回転している際のふれが許容値を超えると、最表層の硬化度の差(ムラ)を生じたり、下層の劣化度合いにも差が発生する場合がある。夫々において、許容値を超えると最表層の削れムラ、感度ムラが発生する場合がある。
電子線照射の劣化の減少と面内ムラを両立する為には、下記式(2)が満足すればよい。
E+D≦G*C*√H/B*A*10 (2)
(式中、
Aは、式(1)で定義した通りであり、
Bは、放射線の照射距離(mm)を示し、
Cは、加速電圧(kV)を示し、
Dは、放射線照射装置の被照射物を保持する冶具の円筒振れ(μm)を示し、
Eは、導電性支持体の円筒振れ(μm)を示し、
Gは、放射線の照射される回数を示し、
Hは、線量(mA)を示す。)
A値は0.01〜0.04が好ましく、0.013〜0.03がより好ましい。0.04より大きいと未硬化成分が多くなることを意味する。電子写真装置の帯電手段が接触ローラで交流電圧を印可するものであると、表層に対してのストレスが増大する為、削れ量が増加する。
A値が0.01より小さいと、未硬化成分が減少する。表面硬度が高くなり、削れ量が減少し、帯電手段の電圧印可を起因とした生成物が表面に堆積し、もしくは、最表面が変質することにより離形性が悪化する。クリーニング手段がブレード形状の場合、摩擦抵抗が大きくなり、ブレードエッジが微小にバウンドし、その結果、トナーがブレードエッジからすり抜けてしまう場合がある。
また、画像形成開始時は、感光体とブレードエッジは停止している状態から動摩擦抵抗で接触する段階で、ブレードエッジに大きな負荷がかかる。摩擦抵抗が大きい場合はブレードが反転する場合がある。
一方、画像形成終了時は、感光体が回転駆動を停止すると、摩擦抵抗が大きい為に、感光体の回転方向と逆方向に変形してしまい、その際に異音を発生する場合が生じる。
電子線の加速電圧Cは、好ましくは100kV以下である。100kVを超えると電子写真感光体の劣化が顕著となり易い。非特許文献1には、電子線の加速電圧と到達深度が示されているが、加速電圧が高くなるに従い、到達深度が深くなる様子が掲載されている。感光体に置き換えれば、下層まで電子線が照射されることになり、電荷発生層、下引き層等が劣化するものと思われる。
照射距離Bは、5〜80mmが好ましく、より好ましくは、10〜50mmである。距離Bが80mmを超えると、同じA値を得る為の加速電圧及び線量が大きくなる。また、5mm未満となると、感光体下層に電子線が透過し易くなる。
電子線照射時間内での支持体の回転回数Gは、2回転以上であることが好ましく、15回転以下であることが好ましく、より好ましくは3回転以上10回転以下である。2回転未満では均一性が低下し易く、15回転を超えると最表層の硬化性が低下する傾向にある。なお、この電子線照射時間内での支持体の回転回数Gは、上記式(2)及び(3)に定義する「放射線の照射される回数」に対応するものである。
感光体の導電性支持体の円筒振れEは、250μm以下が望ましい。好ましくは170μm、更に好ましくは120μm以下である。250μmより大きいと、感光体を電子写真装置に装着し、画像形成させる際に、現像手段との間隔が不均一の為に、2成分現像剤の場合はキャリアが付着する場合がある。または、均一な濃度の画像が不均一になるという不具合が発生する。
放射線照射装置の支持体を保持する架台の円筒フレD及び感光体の導電性支持体の円筒振れEの合計は、500μm以下が望ましい。好ましくは、300μm、より好ましくは200μm以下である。数値が大きいと、下記式(3)を満たせず、感光体表面硬度にムラが発生し、削れムラ、電位ムラが発生する場合がある。
また、本発明は、前記A値のふれFが下記式(3)を満足することを特徴とする電子写真感光体である。
F≦2000*C*√H/((B+(E+D))*(B−(E+D))*A*G (3)
(式中、A、B、C、D、E、G及びHは、上記式(1)に定義した通りである。)
また、上記のA値のふれFは、下記の式に基づいて算出されたものである。
A値のふれF=(A値の最大値から降順で2番目の値−A値の最小値から昇順で2番目の値)/A値の平均値
式(3)が満たされないと、最表層の機械的強度が低下してしまう。つまり、この数式は、加速電圧Cが小さくなり、且つ、A値が大きくなるような製造条件(未硬化分が増加する)にすると、最表層表面が削れ易くなる。導電性支持体及び電子線照射装置の円筒フレを小さい方向にしないと、A値のふれFが増大することになり面内でより削れ易い部位が発生することになる。それにより、削れムラが発生してしまうことを示している。したがって、加速電圧を下げた場合には、導電性支持体及び電子線照射装置の円筒フレ(E+D)、線量及び電子写真特性が許す限り、A値も小さくする方向が望ましい。
以下、実施例に従って説明する。なお、実施例における配合量は全て質量部を意味する。
(実施例1)
まず、JIS A3003アルミニウム合金を用いて、長さ370mm、外径29.95mm、肉厚0.7mm、円筒フレ70μmのアルミニウムシリンダーを切削加工により作製した。
作製したアルミニウムシリンダーの表面(周面)の母線方向に掃引して測定した十点平均粗さRzjisは0.08μmであった。
このアルミニウムシリンダーを純水に洗剤(商品名:ケミコールCT、常盤化学(株)製)を含有させた洗浄液中で超音波洗浄を行い、続いて洗浄液を洗い流した後、さらに純水中で超音波洗浄を行って脱脂処理し、これを支持体(円筒状支持体)とした。
次に、下記成分からなる溶液を、ボールミル装置で20時間分散することによって、導電層用塗布液を調製した。なお、導電層用塗布液に含有される粒子の平均粒径は、0.25μmであった。
アンチモンをドープした酸化スズの被覆膜を有する酸化チタン粒子 60部
(商品名:クロノスECT−62、チタン工業(株)製)
酸化チタン粒子 60部
(商品名:titone SR−1T、堺化学(株)製)
レゾール型フェノール樹脂 70部
(商品名:フェノライトJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70%)
2−メトキシ−1−プロパノール 50部
メタノール 50部
この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、これを48分間、150℃に調整された熱風乾燥機中で乾燥および硬化させることによって、膜厚が15μmの導電層を形成した。
次に、下記の成分を、メタノール500部/ブタノール250部の混合溶剤に溶解させることによって、中間層用塗布液を調製した。
共重合ナイロン樹脂 10部
(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)
メトキシメチル化ナイロン樹脂 30部
(商品名:トレジンEF30T、帝国化学産業(株)製)
この中間層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、これを22分間、100℃に調整された熱風乾燥機中で乾燥させることによって、膜厚が0.45μmの中間層を形成した。
次に、下記の成分からなる溶液を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で10時間分散した後、これに酢酸エチル110部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン(電荷発生物質) 4部
(CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.2°に強いピークを有するもの)
ポリビニルブチラール樹脂 2部
(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)
シクロヘキサノン 90部
この電荷発生層用塗布液を中間層上に浸漬塗布し、これを22分間、80℃に調整された熱風乾燥機中で乾燥させることによって、膜厚が0.17μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記の成分を、モノクロロベンゼン320部/ジメトキシメタン50部の混合溶剤に溶解させることによって、第一電荷輸送層用塗布液を調製した。
下記式(11)で示される構造を有する化合物(電荷輸送物質) 35部
ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂 50部
(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスティックス(株)製)
この第一電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、これを40分間、100℃に調整された熱風乾燥機中で乾燥させることによって、膜厚が20μmの第一電荷輸送層を形成した。
次に、下記の成分を、下記の成分からなる混合溶媒に溶解させた後、これをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の0.5μmメンブレンフィルターで加圧濾過することによって、第二電荷輸送層用塗布液を調製した。
[成分]
下記式(12)で示される構造を有する化合物 30部
(重合性官能基を有する正孔輸送性化合物)
[混合溶媒]
1−プロパノール 35部
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン 35部
(商品名:ゼオローラーH、日本ゼオン(株)製)
この第二電荷輸送層用塗布液を第一電荷輸送層上に浸漬塗布した後、100℃の条件下5分間保持して溶剤を風乾させた。
これに、窒素雰囲気(酸素濃度10ppm)下で、下記の条件で電子線を照射した。
照射距離(B): 30mm
照射装置感光体保持冶具の円筒フレ: 70μm
照射回数: 8回
加速電圧: 70kV
線量: 12mA
その後、同雰囲気下で、電子線の被照射体の温度が120℃になる条件で90秒間加熱処理を行い、さらに大気中で100℃に調整された熱風乾燥機中で20分間加熱処理を行うことによって、膜厚が5μmの硬化性の第二電荷輸送層を形成した。このようにして、電子写真感光体を得た。
このようにして得た電子写真感光体について、下記の測定条件によりFT−IR−ATR法に従って赤外分光スペクトルを測定した。
(測定条件)
装置: FT/IR−420(日本分光(株)製)
付属装置: ATR装置
IRE: Ge
入射角: 45°
積算回数: 320
得られたスペクトルよりA値を長手方向3点、周方向4点の計12点測定し、最大値及び最小値を除いた10点で平均値を求めたところ、0.017であった。A値のふれFは以下のように計算した。
A値のふれF=(A値の最大値から降順で2番目の値−A値の最小値から昇順で2番目の値)/A値の平均値
式(2)及び式(3)の値は、それぞれ379.9及び3.96であった。
実施例1は式(2)及び式(3)を満たしている。なお、A値、式(2)及び式(3)について、表11に示す。
更に、実施例1のように作成した電子写真感光体をキヤノン製デジタル複写機iR4570に搭載し、評価を行った。
本評価機のプロセスを簡単に説明する。感光体は周速230mm/秒で回転を開始し、帯電はローラ形状の接触帯電で、直流電圧(−720V)に交流(1840Hz、2KVP−P、正弦波)を重畳させ、感光体を帯電させる。次いで、露光手段を発光させ、感光体上に潜像を形成する(露光された感光体の表面電位(以後Vlと称す)は−180Vとなる光量に設定した)。次いで、現像器内の磁性1成分現像剤を用いて、顕像化する。次いで、ローラ形状の転写手段により、転写紙にトナーを転写する。転写紙は、搬送手段により搬送され、定着手段によりトナー像が定着される。次プロセスのためにクリーニングブレードで残留現像剤を除去する。
以上の評価機から現像器を取外し、現像スリーブと感光体の最も近接する位置に電位センサ(トレック社製、)をギャップが1mmになるように配置した。その後、1000枚相当及び50000枚の連続通紙に対応する時間の間、下記のように感光体に帯電、露光を繰返した。
温度23℃、相対湿度5%の環境下で、直流電圧(−720V)に交流(1840Hz、2KVP−P、正弦波)を重畳させ、感光体を帯電させ、感光体全面に露光を行う(感光体の表面電位は−180V)。
このようにして得た電子写真感光体について、その初期、1000枚相当及び50000万枚相当における、Vl及びその電位ムラ(Δ)を表12に示す。
また、温度23℃、相対湿度5%の環境下で、5%濃度チャート原稿(文字画像、グレーチャート、1cm×1cmの大きさのパッチ(濃度が1.6、0.8、0.3)が数箇所印刷されている)で、5万枚通紙を行った。その結果を表12に示す。
初期及び5万枚後でも、電位変動及び電位ムラ、画像濃度及び画像濃度ムラ、何れにおいても、問題の発生は無く、鮮明な画像が得られた。
(実施例2〜4)
実施例1において、線量を9mA、6mA及び4mAと変えた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作成した。A値、式(2)及び式(3)、並びに評価結果は、表11及び表12に示す。
なお、評価機の光量は実施例1の感光体がVl−180Vとなるように設定している。そのため、感光体のVlが異なる場合がある。
(実施例5)
実施例1において、加速電圧を90KV、線量を2.5mAと変えた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作成した。A値、式(2)及び式(3)、並びに評価結果は、表11、表12に示す。
(実施例6)
実施例2において、照射距離を20mmと変えた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作成した。A値、式(2)及び式(3)、並びに評価結果は、表11、表12に示す。
(実施例7)
実施例1において、照射回数を4回と変えた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作成した。A値、式(2)及び式(3)、並びに評価結果は、表11、表12に示す。
(比較例1)
実施例1において、線量を1.5mAと変えた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作成した。A値、式(2)及び式(3)、並びに評価結果は、表11及び表12に示す。
20000枚通紙中に画像上に黒スジが発生した。30000枚で画像上に黒スジが多発したので通紙を止めた。電子写真感光体上を確認したところ濃い黒スジ部と対応した部分に周方向に傷が発生していた。目視で深いと確認した傷の深さは、3.6μmであった。
本発明の電子写真感光体の最表層をフーリエ変換赤外分光全反射法による分析で得られた赤外分光スペクトルチャートの一例である。 本発明の実施例で使用する電子線照射装置の概略構成図である。 照射距離と加速電圧の相関を示したものである。
符号の説明
1’ 被照射体
10 電子線発生部
12 ターミナル
12a フィラメント
12b ガン構造体
12c グリッド
14 加速管
20 照射室
22 照射空間
30 照射窓部
32 窓箔
34 窓枠構造体

Claims (3)

  1. 導電性支持体と、感光層とを有する電子写真感光体の製造方法であって、
    該電子写真感光体の最表層は、アクリロイルオキシ基(CH=CHCOO−)又はメタクリロイルオキシ基(CH=C(CH)COO−)を有する化合物を、加速電圧C(V)が100K(V)以下、線量がH(mA)の放射線の照射により、重合、硬化してなるものであり、且つ
    該電子写真感光体の表面は、下記式(1)
    A=S1/S2 (1)
    (式中、S1及びS2は、内部反射エレメントとしてGeを用い、入射角として45°の測定条件を用いてフーリエ変換赤外分光全反射法により測定して得たスペクトルのピーク面積のうち、
    S1は、末端オレフィン(CH=)面内変角振動に基づくピーク面積であり、
    S2は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基のC=O伸縮振動に基づくピーク面積である)
    で表されるA値は、0.01〜0.04であり、
    該放射線の照射は、下記式(2)
    E+D≦G*C*√H/B*A*10 (2)
    (式中、
    Aは、上記の通りであり、
    Bは、照射距離(mm)を示し、
    Cは、加速電圧(kV)を示し、
    Dは、放射線照射装置の被照射物を保持する冶具の円筒振れ(μm)を示し、
    Eは、該導電性支持体の円筒振れ(μm)を示し、
    Gは、放射線の照射される回数を示し、
    Hは、線量(mA)を示す。)
    を満足する条件で行われることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記A値の振れFは、下記式(3)
    F≦2000*C*√H/((B+(E+D))*(B−(E+D))*A*G (3)
    (式中、A、B、C、D、E、G及びHは、上記の通りである。)
    を満足する、請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 導電性支持体と、感光層とを有する電子写真感光体であって、
    当該電子写真感光体の最表層は、アクリロイルオキシ基(CH=CHCOO−)又はメタクリロイルオキシ基(CH=C(CH)COO−)を有する化合物を、加速電圧C(V)が100K(V)以下、線量がH(mA)の放射線の照射により、重合、硬化してなるものであり、
    当該電子写真感光体の表面は、下記式(1)
    A=S1/S2 (1)
    (式中、S1及びS2は、内部反射エレメントとしてGeを用い、入射角として45°の測定条件を用いてフーリエ変換赤外分光全反射法により測定して得たスペクトルのピーク面積のうち、
    S1は、末端オレフィン(CH=)面内変角振動に基づくピーク面積であり、
    S2は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基のC=O伸縮振動に基づくピーク面積である)
    で表されるA値は、0.01〜0.04であることを特徴とする電子写真感光体。
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