[第1の実施形態]
図1、図2は、本発明の第1の実施形態に係る保護帽1を、着用者が被ったときの斜視図であり、図3は、保護帽の断面図であり、図4、図5は、保護帽1を内側から見た図である。
なお、図1、図4は、シールド板5を収納位置P1に位置させた状態を示しており、図2、図5は、シールド板5を被覆位置P3に位置させた状態を示している。また、図3は、保護帽1の中心を通り保護帽1の前後上下方向に展開する平面による保護帽1の断面図である。
また、以下の各実施形態において、保護帽(帽体、シールド板、ガイド部材等)における各方向を、幅方向(左右方向)、前後方向、上下方向とし、「右」、「左」、「上」、「下」、「前」、「後」という文言を使用して説明する場合がある。上記各方向は、保護帽を起立(直立)している着用者が被った場合における方向であり、上記3つの各方向は、お互いにほぼ直交している。
保護帽(シールド面付きヘルメット)1は、たとえば、ほぼ左右対称に形成されている帽体3とシールド板5とシールド板5をガイドするガイド手段7とを備えて構成されている。
帽体3は、着用者の頭部を保護するためのものであり、たとえば、樹脂等の材料で構成されて、椀状(たとえば、半球殻状)に形成されている。
ここで、半球殻とは、所定の半径の第1の球から、この第1の球の半径よりも僅かに小さい半径で前記第1の球と中心が一致する第2の球を取り除いた形状の立体を、前記各球の中心もしくはこの近傍を通る平面で2分割したときに形成される一方の立体である。
帽体3は、「半球殻状」に形成されているのであって、完全な「半球殻」な形状に形成されているわけではない。すなわち、帽体3は、着用者の頭部の形状に合うようにするために、曲率半径が適宜変化している形状に形成されている。また、帽体3の開口部(淵;下側の端)9も、完全な円形ではなく、着用者の頭部の形状に合うようにするために、曲率半径が適宜変化している円形状に形成されている。
帽体3が半球殻状に形成されていることにより、帽体3の外面および内面は、急な曲がり部分が存在しない滑らかな球面状になっている。また、帽体3が半球殻状に形成されていることにより、直立している着用者が保護帽1を被った場合、帽体3の開口部9は、ほぼ水平になっており、開口部9は、着用者の耳よりも僅かに上側に位置しており、着用者の耳が露出している(図1、図2参照)。
シールド板(面体;シールド部材)5は、着用者の顔面のほぼ総てを保護するためのものであり、樹脂等の透明(有色透明を含む)もしくは半透明な材料で構成されている。
ガイド手段7は、シールド板5が帽体3に対して移動するときに、シールド板5をガイドする手段であり、ガイド手段7でガイドされることにより、シールド部材5が、上側に位置している収納位置P1と下側に位置している被覆位置P3との間で、帽体3の内部の曲面(凹な球面状に形成された帽体3の前側の内部曲面)に沿って円弧状の軌跡を描いて移動するようになっている。収納位置P1は、シールド板5が、帽体3の前側内部に収納される位置であり、被覆位置P3は、シールド板5が、着用者の顔面(頭部の前面)のほぼ総てを覆う位置である。なお、保護帽1を直立している着用者が被り被覆位置P3にシールド板5を位置させた状態で、着用者の前方から見ると、着用者の耳がシールド板5で隠れているものとする。
ガイド手段7でガイドされるシールド板5は、帽体3から容易には分離されないようになっていると共に、保護帽1の左右方向に移動することは無く、保護帽1(帽体3)の左右方向に延びた所定の軸C1(図3参照)を回動中心として移動(回動)するようになっている。所定の軸C1は、着用者の左右の耳のところを通って、帽体3の左右方向(図3の紙面に直交する方向)に延びている。
ガイド手段7は、たとえば、ガイド部材11に設けられたガイド部13と、シールド板5に設けられた係合部15とを備えて構成されている。
ガイド部13は、円弧状(完全な円弧ではなく円弧に近い形状)に形成されており、ガイド部13が帽体3の前側の内面に沿うようにして(たとえば、ほぼ平行になるようにして)、ガイド部材11が、帽体3の前側の内部で帽体3に一体的に設けられている。ガイド部13は、ガイド部材11のたとえば幅方向の両端部に設けられている。
シールド板5は、帽体3の前側内面に沿った球面状の曲面(たとえば、帽体3の前側の面よりも曲率半径が僅かに小さい曲面)を備えた板状(湾曲した板状)に形成されている。シールド板5の幅方向の両端側の部位には、ガイド部13に係合する係合部15が設けられている。そして、係合部15がガイド部13に係合することにより、収納位置P1と被覆位置P3との間で、シールド板5が移動するようになっている。
収納位置P1にシールド板5が位置している状態について詳しく説明すると、この状態で、シールド板5が帽体3の内部に完全に収容されているわけではなく、シールド板5の下端部(庇17が設けられている下端部)とこの近傍の部位が、帽体3の下端部(帽体3前側の開口部)9から下方に突出している。なお、庇(庇部)17は、シールド板5の下端部で反転している。すなわち、庇17は、逆方向(着用者の顔面から離れる方向)に曲がって延出している。これにより、飛来物がシールド板(被覆位置P3にあるシールド板)5にあたっても、飛来物がシールド板5の表面を滑って、着用者の体に接触する事態を回避することができる。
収納位置P1にシールド板5が位置している状態においてシールド板5の下端部やこの近傍の部位が帽体3の下端部9から下方に突出していても、着用者の邪魔になることはなく、着用者は、シールド板5の存在をその視界で意識することなく保護帽1を被ることができるようになっている。また、シールド板5の上端部は、帽体3の頂上部付近に位置している。なお、シールド板5の庇17を削除し、収納位置P1にシールド板5が位置している状態において、シールド板5が帽体3の内部に完全に収容される構成であってもよい。
被覆位置P3にシールド板5が位置している状態では、シールド板5の下端部が、着用者の顎よりも下側に位置して、シールド板5が着用者の顔面のほぼ総てを覆っている。すなわち、正面から見た場合、シールド板5によって、着用者の顔面の総てが覆われている。シールド板5の上端部は、帽体3の下端部(帽体3の前側の開口部9)の近傍で帽体3の内部に位置している。
ガイド部材11は、たとえば、樹脂で形成されており、中央部位19と第1の側方部位21と第2の側方部位23とを備えて一体的に構成されている。中央部位19は、帽体3の前側内面(凹な球面状に形成された帽体3の内側曲面)に沿った球面状の曲面(たとえば、シールド板5よりも曲率半径が僅かに小さい曲面)を備えて板状(湾曲した板状)に形成されている。第1の側方部位21は、中央部位19の幅方向の一端部側で中央部位19に一体的に設けられている。第2の側方部位23は、中央部位19の幅方向の他端部側で中央部位19に一体的に設けられている。
第1の側方部位21は、基端部側部位(中央部位19側の部位)25と先端部側部位27とで構成されており、第2の側方部位23も同様にして、基端部側部位(中央部位19側の部位)29と先端部側部位31とで構成されている。そして、各部位25,29にガイド部13が形成されている。
また、第1の側方部位21の先端部側部位27と第2の側方部位23の先端部側部位31とが帽体3に係合して(たとえば帽体3の側方の下側内面に面接触して)、ガイド部材11が帽体3に一体的に設けられている。
シールド板5は、帽体3と中央部位19および各側方部位21,23の基端部側部位25,29との間に形成された空間内に入り込んで、帽体3の内部に収納されるようになっている。
第1の側方部位21の先端部側部位27は、帽体3の一方の側方の下側内面と面接触する曲面を備えた板状(湾曲した板状)に形成されており、第2の側方部位23の先端部側部位31も同様にして、帽体3の他方の側方の下側内面と面接触する曲面を備えた板状(湾曲した板状)に形成されている。
第1の側方部位21の基端部側部位25は、起立部位33と連結部位35とを備えて構成されている。起立部位33は、細長い板状に形成されており、幅方向が起立方向になるようにして、第1の側方部位21の先端部側部位27から、たとえばほぼ直交する方向に起立している。連結部位35は、細長い板状に形成されており、幅方向の一端部が中央部位19に一体的に設けられ、幅方向の他端部が起立部位33に一体的に設けられて、起立部位33と中央部位19とをつないでいる。
ガイド部材11が帽体3に一体的に設けられた状態では、起立部位33が帽体3の内面から直交する方向(帽体3の内側方向)に立ち上がっており、連結部位35(連結部位35の厚さ方向の各面)が、保護帽1のほぼ前後上下方向に展開している。
同様にして、第2の側方部位23の基端部側部位29は、起立部位41と連結部位43とで構成されている。
そして、ガイド部13は、起立部位33の厚さ方向の一方の曲面(ガイド部材11を帽体3に設置したときに、前側に位置している円弧状の曲面)37と、連結部位35に形成された円弧状の長孔39と、起立部位41の厚さ方向の一方の曲面(ガイド部材11を帽体3に設置したときに、前側に位置している凸な円弧状の曲面)45と、連結部位43に形成された円弧状の長孔47とで構成されている。
シールド板5の係合部15は、シールド板5の幅方向の各端面49,57と各係合片51,59とで構成されている。端面49は、シールド板5の幅方向における一方の端面であり、起立部位33の曲面37と曲率半径がほぼ等しい凹な円弧状に成されており、曲面37と線接触(より、精確には面接触)し、滑り対偶をなして係合している。また、端面57は、シールド板5の幅方向における他方の端面であり、端面49と同様に構成されて、起立部位41の曲面45と係合している。
また、係合片51は、図6(図3におけるVI−VI断面)で示すように、シールド板5の幅方向の一端側の上端部側でシールド板5の内側に突出して、シールド板5に一体的に設けられている。係合片51は、円柱状の基端部53と、基端部53よりも外径が大きい円板状に形成された傘部55とを備えた傘状に形成されている。係合片51は、ガイド部材11の基端部側部位25に設けられている長孔39に、長孔39の幅よりも外径が僅かに小さい基端部53が入り込んで、滑り対偶をなして係合している。なお、傘部55の外径は、長孔39の幅よりも大きくなっている。同様にして、シールド板5の幅方向の他方の側には、係合片59とが設けられており、係合片59が長孔47に係合している。
ガイド部材11を帽体3の内部に設置したときには、図3で示すように、保護帽1の前側では、外側に帽体3、内側にガイド部材11が位置した二重構造になっており、帽体3とガイド部材11との間に、シールド板5が入り込むようになっている。
ガイド部材11を帽体3に設置したときには、起立部位33(41)の円弧状の曲面37(45)の中心と連結部位35(43)の円弧状の長孔39(47)の中心とはお互いがほぼ一致しており、これらの中心は、着用者の耳部に位置している。したがって、シールド板5は、着用者の耳部を通って保護帽の左右方向に延びている軸C1(図3参照)をほぼ中心にして回動するようになっている。ただし、完全な円弧の軌跡で描いて回動するのではなく、円弧に近い円弧状の軌跡を描いて回動するようになっている。
また、起立部位33(41)の曲面37(45)が、連結部位35(43)の長孔39(47)よりも回動中心軸C1側(内側)に位置しており、連結部位35(43)の長孔39(47)の曲率半径が起立部位33(41)の曲面の曲率半径よりも大きくなっている。
さらに、ガイド部材11の中央部位19の断面(図3に示す断面)、シールド板5の断面(図3に示す断面)、帽体3の前側部位の断面(図3に示す断面)は、回動中心軸C1をほぼ中心とする円弧状に形成されている。そして、ガイド部材11の中央部位19が連結部位35(43)の長孔39(47)の外側に位置しており、シールド板5が、ガイド部材11の中央部位19よりも外側に位置しており、帽体3の前側部位がシールド板5よりも外側に位置している。
ガイド部材11の中央部位19の曲率半径が長孔39(47)の曲率半径よりも大きくなっており、シールド板5の曲率半径がガイド部材11の中央部位19の曲率半径よりも大きくなっており、帽体3の前側部位の曲率半径がシールド板5の曲率半径よりも大きくなっている。
また、図3で示す断面では、シールド板5が収納位置P1に位置している場合、起立部位33(41)の曲面の上端部と、長孔39(47)の上端部と、ガイド部材11の中央部位19の上端部と、シールド板5の上端部とが、帽体3の上下方向では帽体3の上側に位置しており、帽体3の前後方向では、帽体3の中央部に位置している。また、起立部位33(41)の曲面37(45)の下端部と、長孔39(47)の下端部と、ガイド部材11の中央部位19の下端部と、シールド板5の下端部とが、帽体3の前方の下端部の近くに位置している。
また、保護帽1には、シールド板5を保持する保持手段61が設けられている。保持手段61は、シールド板5が収納位置P1や被覆位置P3に位置しているときに、シールド板5が帽体3に対して容易に移動しないように、シールド板5を保持する手段である。
保持手段61は、たとえば、図7に示すような各切り欠き63,65を備えて構成されている。切り欠き63は、長孔39(47)の上端部で、長孔39(47)につながって、長孔39(47)上方に向かって設けられている。切り欠き65は、長孔39(47)の下端部で、長孔39(47)につながって、長孔39(47)前方に向かって設けられている。
そして、シールド板5が収納位置P1に位置しているときには、係合片51(59)の基端部53が、切り欠き63に入り込み、シールド板5が容易には移動しないようになっている。また、シールド板5が被覆位置P3に位置しているときには、係合片51(59)の基端部53が、切り欠き65に入り込み、シールド板5が容易には移動しないようになっている。
また、保護帽1には、シールド板5が被覆位置P3に位置すべく下方に移動するときに、シールド板5の幅方向の中央部が、必要以上に下方に移動しないようにするためのストッパが設けられている。前記ストッパは、シールド板5に形成された突起67と、ガイド部材11の中央部位19に設けられた突起69とで構成されている。
ところで、保護帽1には、図示しない内装体(たとえばハンモック)が設けられており、帽体3やガイド部材11には、ハンモックを係止するための複数の係止部71が設けられている。各係止部71のうちで後側に位置している各係止部71Aは、帽体3の内面に一体的に設けられており、各係止部71のうちで前側に位置している各係止部71Bは、ガイド部材11の内面に一体的に設けられている。
ここで、保護帽1を着用してシールド板5を出入りさせる動作について説明する。
まず、シールド板5が収納位置P1に位置している状態で、着用者が保護帽1を被る。シールド板5を被覆位置P3に位置させて作業をする必要がある場合には、シールド板5の下端部(たとえば庇17)を、後方に少し押すと、係合片51(59)が、切り欠き63から出てきて、シールド板5が移動可能になる。この状態で、シールド板5を、長孔39(47)等に沿って下方に移動させると、係合片51(59)が、切り欠き65に入り込み、シールド板5が被覆位置P3に位置し、シールド板5が被覆位置P3からは容易には移動しないようになる。
一方、被覆位置P3に位置しているシールド板5を、収納位置P1に位置させる場合には、シールド板5の下端部(たとえば庇17)を、少し後方に押すと、係合片51(59)が、切り欠き65から出てきて、シールド板5が移動可能になる。この状態で、シールド板5を、長孔39(47)等に沿って上方に移動させると、係合片51(59)が、切り欠き63に入り込み、シールド板5が収納位置P1に位置する。
保護帽1によれば、シールド板5が常に帽体3に設置されており、また、ガイド手段7により、シールド板5が帽体3の曲面に沿って移動するようになっているので、シールド板5の付け忘れを防止することができると共に、帽体3を大きくせず従来の形状をほぼ保ったままで、シールド板5の移動ストロークを長くすることができる。そして、シールド板5の長さ(高さ)が、着用者の顔面のほぼ総てを覆うことができる長さであっても、着用者の邪魔にならないように、シールド部材5を帽体3の内部にほぼ納めることができる。
また、帽体3が、着用者の耳部を覆う部位が除去された形状である半球殻状に形成されているので、保護帽1が小型化されて質量が軽減されていると共に着用者に開放感を与えることができ、さらに、帽体3の外側(凸側)の面や内側の面(凹側の面)が滑らかに曲がっており、帽体3の剛性が高くなっている。
また、保護帽1によれば、帽体3の前側内面に沿った曲面を備えて板状に形成されたシールド板5が、円弧状のガイド部13でガイドされ円弧状の軌跡を描いて移動するので、シールド板5の移動ストロークをさらに長くすることができ、着用者の顔面のほぼ総てを覆うことができる長さのシールド板5を採用しても、着用者の邪魔にならないように、シールド部材5を帽体3の内部にほぼ納めることが一層容易になる。
また、保護帽1によれば、円弧状のガイド部13が帽体3の前側内面に沿うようにして帽体3の内部に設けられているので、着用者の耳を覆うことがない半球殻状の帽体3を採用することができる。すなわち、シールド板5をこの回動中心C1のところで帽体に支持させる構成であると、シールド板5を支持する回動軸(シールド板5の回動中心C1のところに位置している回動軸)を帽体3に別途設けなければならず、これにより、帽体3に耳部(着用者の耳部を覆う部位)を設ける必要が生じ、帽体3を半球殻状にすることができなくなる。しかし、保護帽1は、帽体3に耳部を設けることなく帽体3の形状を半球殻状にすることができる。
また、保護帽1によれば、ガイド部材11が一体的に構成されており、帽体3の左右方向の2箇所で帽体3に接触して一体的に設けられているので、ガイド部材11自体の剛性と、ガイド部材11を帽体3に取り付けたときの取り付け剛性とが高くなっている。
また、内装体を構成するハンモックを係止する係止部71Bを、ガイド部13やシールド板5との干渉を避けて、ガイド部材11の中央部位19の内側に設けることができる。
また、保護帽1によれば、シールド板5が、ガイド部材11の4箇所(各面37,45と各長孔39,47)に係合して移動するようになっているので、シールド板5が帽体3に対して滑らかに安定した状態で移動できるようになっている。
ところで、保護帽1では、シールド板5が、この幅方向の両端部で支持されて移動するようになっているが、この支持形態に加えて、シールド板5が、この幅方向の中央部で支持されて移動するように構成されていてもよい。たとえば、シールド板5の幅方向の中央部に、係合片51と同様な係合片を設け、この係合片に係合する長孔(長孔39と同様な長孔)を、中央部位19に設けた構成であってもよい。
また、シールド板として、着用者の顔の上半分のみを覆うハーフタイプのものを採用してもよい。
[第2の実施形態]
図8、図11は、本発明の第2の実施形態に係る保護帽201を、着用者が被ったときの斜視図であり、図9、図12は、保護帽201を着用者が被ったときの正面図であり、図10、図13は、保護帽201を着用者が被ったときの側面図である。
なお、図8、図9、図10は、シールド板205を収納位置P201に位置させた状態を示しており、図11、図12、図13は、シールド板205を被覆位置P203に位置させた状態を示している。
図14は、保護帽201の中心を通り保護帽201の前後上下方向に展開する平面による保護帽201の断面図であり、図15は、保護帽201を内側から見たときの斜視図である。なお、図14(b)は、図14(a)のB部の拡大図である。
図16、図17は、ガイド部材211とシールド板205とを組立てた状態を示す斜視図である。なお、図16は、シールド板205を収納位置P201に位置させた状態を示しており、図17は、シールド板205を被覆位置P203に位置させた状態を示している。
図18は、シールド板205の概略構成を示す斜視図であり、図19は、シールド板205の概略構成を示す正面図であり、図20は、シールド板205の概略構成を示す側面図であり、図21は、図19におけるXXI矢視図であり、図22は、図19におけるXXII−XXII断面を示す図であり、図23は、図19におけるXXIII−XVIII断面を示す図である。
図24は、ガイド部材211の概略構成を示す正面図であり、図25は、図24におけるXXV矢視図であり、図26は、図24におけるXXVI矢視図である。
保護帽(シールド面付きヘルメット)201は、たとえば、ほぼ左右対称に形成されている帽体203とシールド板205とシールド板205をガイドするガイド手段207とを備えて構成されている。
帽体203は、着用者の頭部を保護するためのものであり、たとえば、樹脂等の材料で構成されて、椀状(たとえば、半球殻状)に形成されている。
帽体203は、「半球殻状」に形成されているのであって、完全な「半球殻」な形状に形成されているわけではない。すなわち、帽体203は、着用者の頭部の形状に合うようにする等のために、曲率半径が適宜変化している等の形状に形成されている。また、帽体203の開口部(淵;下端)209も、完全な円形ではなく、着用者の頭部の形状に合うようにする等のために、曲率半径が適宜変化している円形状に形成されている。
帽体203が半球殻状に形成されていることにより、直立している着用者が保護帽201を被った場合、帽体203の開口部209は、ほぼ水平になっており、開口部209は、着用者の耳よりも僅かに上側に位置しており、着用者の耳が露出している(図8〜図13参照)。なお、帽体203の開口部209の前側には、庇部210が設けられている。
シールド板(面体;シールド部材)205は、シールド板5と同様にして、着用者の顔面のほぼ総てを保護するためのものであり、樹脂等の透明(有色透明を含む)なもしくは半透明な材料で構成されている。
ガイド手段207は、シールド板205が帽体203に対して移動するときに、シールド板205をガイドする手段であり、ガイド手段207でガイドされることにより、シールド板205が、収納位置P201と被覆位置P203との間で、円弧状の軌跡を描いて移動するようになっている。上側に位置している収納位置P201は、下側に位置しているシールド板205が、帽体203の前側内部に収納される位置であり、被覆位置P203は、シールド板205が、着用者の顔面(頭部の前面)のほぼ総てを覆う位置である。
ガイド手段207でガイドされるシールド板205は、帽体203から容易には分離されないようになっていると共に、保護帽201の左右方向に移動することは無く、保護帽201(帽体203)の左右方向に延びた所定の軸C201(図10、図13、図14参照)を回動中心として移動(回動)するようになっている。所定の軸C201は、着用者の耳の後方の部位を通って、帽体203の左右方向(図10、図13、図14の紙面に直交する方向)に延びている。
ガイド手段207は、たとえば、ガイド部材211に設けられたガイド部213と、シールド板205に設けられた係合部215とを備えて構成されている。
ガイド部213は、円弧状に形成されている。ガイド部材211を帽体203に設置した状態では、所定の軸C201を中心にして、帽体203の前側の内部で、ガイド部213が帽体203に一体的に設けられている。また、ガイド部213は、ガイド部材211のたとえば幅方向の両端部と中央部とに設けられている。
シールド板205は、湾曲した板状に形成されている。シールド板205の幅方向のたとえば両端側の部位と中央部とには、ガイド部213に係合する係合部215が設けられている。そして、係合部215がガイド部213に係合することにより、収納位置P201と被覆位置P203との間で、シールド板205が移動するようになっている。
収納位置P201にシールド板205が位置している状態について詳しく説明すると、この状態で、シールド板205が帽体203の内部に完全に収容されているわけではなく、シールド板205の下端部(庇217が設けられている下端部)とこの近傍の部位が、帽体203の下端部(帽体203前側の開口部)209から下方に突出している。なお、庇(庇部)217は、シールド板205の下端部で反転している。すなわち、庇217は、逆方向(着用者の顔面から離れる方向)に曲がって延出している。これにより、飛来物がシールド板(被覆位置P203にあるシールド板)205にあたっても、飛来物がシールド板205の表面を滑って、着用者の体に接触する事態を回避することができる。
収納位置P201にシールド板205が位置している状態において、シールド板205の下端部やこの近傍の部位が帽体203の下端部209から下方に突出していても、着用者の邪魔になることはなく、着用者は、シールド板205の存在をその視界で意識することなく保護帽201を被ることができるようになっている。また、シールド板205の上端部は、帽体203の頂上部付近に位置している。なお、シールド板205の庇217を削除し、収納位置P201にシールド板205が位置している状態において、シールド板205が帽体203の内部に完全に収容される構成であってもよい。
被覆位置P203にシールド板205が位置している状態では、シールド板205の下端部が、着用者の顎よりも下側に位置して、シールド板5が着用者の顔面のほぼ総てを覆っている。すなわち、正面から見た場合、シールド板205によって、着用者の顔面の総てが覆われている(図11〜図13参照)。また、シールド板205の上端部は、帽体203の下端部(帽体203の前側の開口部209)の近傍で帽体203の内部に位置している。
ガイド部材211は、たとえば、樹脂で形成されており、中央部位219と第1の側方部位221と第2の側方部位223とを備えて一体的に構成されている。中央部位219は、球面状の曲面を備えて板状(湾曲した板状)に形成されている。第1の側方部位221は、中央部位219の幅方向の一端部側で中央部位219に一体的に設けられている。第2の側方部位223は、中央部位219の幅方向の他端部側で中央部位219に一体的に設けられている。
第1の側方部位221は、基端部側部位(中央部位219側の部位)225と先端部側部位227とで構成されており、第2の側方部位223も同様にして、基端部側部位(中央部位219側の部位)229と先端部側部位231とで構成されている。そして、各部位225,229にガイド部213の一部が形成されている。
また、第1の側方部位221の先端部側部位227と第2の側方部位223の先端部側部位231とが帽体203に係合して(たとえば帽体203の側方の下側内面に面接触して)、ガイド部材211が帽体203に一体的に設けられている。
シールド板205は、帽体203と中央部位219および各側方部位221,223の基端部側部位225,229との間に形成された空間内に入り込んで、帽体203の内部に収納されるようになっている。
第1の側方部位221の先端部側部位227は、帽体203の一方の側方の下側内面と面接触する曲面を備えた板状(湾曲した板状)に形成されており、第2の側方部位223の先端部側部位231も同様にして、帽体203の他方の側方の下側内面と面接触する曲面を備えた板状(湾曲した板状)に形成されている。
第1の側方部位221の基端部側部位225は、起立部位233と連結部位235とを備えて構成されている。起立部位233は、細長い板状に形成されており、幅方向が起立方向になるようにして、第1の側方部位221の先端部側部位227から、交差する方向で斜め起立している。連結部位235は、細長い板状に形成されており、幅方向の一端部が中央部位219に一体的に設けられ、幅方向の他端部が起立部位233に一体的に設けられて、起立部位233と中央部位219とをつないでいる。
ガイド部材211が帽体203に一体的に設けられた状態では、起立部位233が帽体203の内面から斜め前方の方向(帽体203の内側方向)に立ち上がっており、連結部位235(連結部位235の厚さ方向の各面)が、保護帽201のほぼ前後上下方向に展開している。
同様にして、第2の側方部位223の基端部側部位229は、起立部位241と連結部位243とで構成されている。
ガイド部材211のガイド部213は、連結部位235に形成された円弧状の長孔239と、連結部位243に形成された円弧状の長孔247と、ガイド部材211の幅方向の中央部でガイド部材211の上下方向に延びて形成されている被係合部263(溝265;中央部位219の中央部)とで構成されている。
シールド板205の係合部215は、シールド板205の幅方向の両端部に設けられている各係合片251,259と、シールド板205に設けられている突起237とで構成されている。
係合片251,259は、図6で示すように、第1の実施形態に係る係合片51,59と同様に構成されている。そして、係合片251,259が、長孔239,247に、滑り対偶をなして係合している。
突起237は、図19〜図21で示すように、シールド板205の幅方向では中央部で、シールド板205の上下方向では上端部側で、シールド板205の内側(凹面側)に突出してシールド板205に一体的に設けられている。
溝265の長手方向の両端部には、ガイド部材211を貫通している部位267,269が形成されている。溝265の長手方向の中間部には、ガイド部材211の内側に凹んでいる細長い板状のガイド凹部270が形成されている。そして、係合片251が長孔239に係合し、係合片259が長孔247に係合し、突起237の先端部が、ガイド凹部270に滑り対偶をなして係合することにより、シールド板205が、ガイドされて移動するようになっている。
ガイド部材211を帽体203の内部に設置したときには、図14で示すように、保護帽201の前側では、外側に帽体203、内側にガイド部材211が位置した二重構造になっており、帽体203とガイド部材211との間に、シールド板205が入り込むようになっている。
ガイド部材211を帽体203に設置したときには、連結部位235(243)の円弧状の長孔239(247)の中心は、所定の軸C201(図10、図13、図14参照)と一致する。したがって、シールド板205は、所定の軸C201を中心にして回動するようになっている。
また、ガイド部材211の中央部位219の断面(図14に示す断面)は、中心が所定の軸C201である円弧状に形成されている。また、シールド板205の断面(図14に示す断面)は、所定の軸C203を中心とする円弧状に形成されている。所定の軸C203は、所定の軸C201と平行に延びており所定の軸C201よりも僅かに上方で後方に位置している。
ガイド部材211の中央部位219の曲率半径が長孔239(247)の曲率半径よりも大きくなっており、ガイド部材211の中央部位219の曲率半径と、シールド板205の曲率半径とは、お互いがほぼ等しくなっている。
また、図14で示す断面では、シールド板205が収納位置P201に位置している場合、ガイド部材211の中央部位219の上端部と、シールド板205の上端部とが、帽体203の上下方向では帽体203の上側に位置しており、帽体203の前後方向では、帽体203の中央部に位置している。また、ガイド部材211の中央部位219の下端部と、シールド板205の下端部とが、帽体203の前方の下端部の近くに位置している。
また、保護帽201には、シールド板205を保持する保持手段261が設けられている。保持手段261は、シールド板205が収納位置P201や被覆位置P203に位置しているときに、シールド板205が帽体203に対して容易に移動しないように、シールド板205を保持する手段である。
保持手段261は、たとえば、シールド板205に設けられている突起237と、ガイド部材211に設けられている被係合部263とで構成されている。被係合部263は、ガイド部材211の幅方向の中央部でガイド部材211の上下方向に延びて形成されている溝265を備えて構成されている。
ガイド溝265における長手方向の一端部(上端部)側の部位267は、中央部よりも狭い幅B1に形成されており、ガイド溝265における長手方向の他端部(下端部)側の部位269も、同様にしては、狭い幅B1に形成されている。また、シールド板205に設けられている円柱状の突起237の外径D1が、幅B1よりもごく僅かに大きく形成されている。
そして、シールド板205が収納位置P201に位置しているときには、突起237が上端部側の部位267に入り込み、シールド板205が容易には移動しないようになっている。また、シールド板205が被覆位置P203に位置しているときには、突起237が下端部側の部位269に入り込み、シールド板205が容易には移動しないようになっている。
ところで、保護帽201には、図示しない内装体(たとえばハンモック)が設けられており、帽体203やガイド部材211には、ハンモックを係止するための複数の係止部271が設けられている。各係止部271のうちで後側に位置している各係止部271Aは、帽体203の内面に一体的に設けられており、各係止部271のうちで前側に位置している各係止部271Bは、ガイド部材211の内面に一体的に設けられている。
ここで、シールド板205についてさらに詳しく説明する。
シールド板205は、前述したように、着用者の頭部を保護する帽体203に設置されて着用者の顔面のたとえばほぼ総てを覆うものであり、透明体もしくは半透明体で湾曲した板状に形成されている。
シールド板205は、厚さ方向の一方の側が凹状で厚さ方向の他方の側が凸状である湾曲した板状に形成されている。そして、中央部から周辺部に向かうにしたがって、厚さが徐々に薄くなっている(図22、図23参照)。なお、シールド板205は、たとえば、アクリルやポリカーボネイト等の樹脂で構成されており、射出成形で成形されている。また、シールド板205は、ANSI規格に応じて、1.6mm〜2.0mm程度の厚さで形成されており、高速衝撃試験を施しても割れないようになっている。
シールド板205が湾曲した板状に形成されていることにより、着用者の顔面側であるシールド板205の内側の面(厚さ方向の一方の面)が凹状に形成されており、厚さ方向の他方の面である外側の面が凸状に形成されている。また、シールド板205は、左右方向の曲率半径が上下方向の曲率半径よりも小さく形成されており、左右方向における厚さの変化の割合が、上下方向における厚さの変化の割合よりも大きく形成されている(図22、図23参照)。なお、シールド板の上下方向における円弧の中心は、軸C203と一致している。一方、シールド板205の左右方向における円弧の中心は、たとえば、帽体203の開口部209の中心を通る軸とほぼ一致している。
さらに、シールド板205は、本体部273と庇部217とを備えて構成されており、本体部273が、前述したように湾曲した板状に形成されている。シールド板205の本体部273の凸面(凹面)は、所定の3次曲面に近似した所定形状に形成されている。上記所定の3次曲面は、軸方向の中央部が膨らんだ円柱状の形状である樽状の立体の側面を、前記軸を含む第1の平面と、前記軸を含んで前記第1の平面と所定の角度で交差する第2の平面とで切断したときに得られる4つの3次曲面のうちの1つの曲面である。
なお、図19で示すように、シールド板205の本体部273の上端や左右方向の両端は、正面から見た場合に直線状に形成されており、シールド板205の本体部273の下端は、下に凸な円弧状に形成されている。
庇部217は、上述したように、本体部273の下方で本体部273とは反対側に曲がって突出している。
より詳しく説明すると、庇部217は、図19で示すように、正面から見た場合に三日月形状で板状に形成されており、三日月形状の凹状に形成されている部位がシールド板205の本体部273の下端につながって、本体部273の下端から下方に突出して本体部273と一体になっている。また、図20(図13)で示すように、直立している着用者が帽体203を被りシールド板205で着用者の顔面を覆ったとき、庇部217は、この上端(本体部273側の端)から下端に向かうにしたがって、着用者の顔面から離れる方向(前方)に突出している。
また、庇部217の幅方向の中央部には、本体部273の内側(後側;着用者の顔面側)に所定の幅で凹んでいる凹部275が形成されている。
ここで、保護帽201を着用してシールド板205を出入りさせる動作について説明する。
まず、シールド板205が収納位置P201に位置している状態で、着用者が保護帽201を被る。シールド板205を被覆位置P203に位置させて作業をする必要がある場合には、シールド板205の下端部(たとえば庇部217)を、下方に引っ張ってシールド板205を下方に移動させると、突起237がガイド溝265の下端部側の部位269に入り込み、シールド板205が被覆位置P203に位置し、シールド板205が被覆位置P203からは容易には移動しないようになる。
一方、被覆位置P203に位置しているシールド板205を、収納位置P201に位置させる場合には、シールド板205を押し上げて上方に移動させると、突起237がガイド溝265の上端部側の部位267に入り込み、シールド板205が収納位置P201に位置し、シールド板205が収納位置P201からは容易には移動しないようになる。
保護帽201によれば、シールド板205が、この中央部から周辺部に向かうにしたがって、厚さが徐々に薄くなっている構成であるので、着用者がシールド板205を介して正面を見た場合における光路長(シールド板内における光路長)と、着用者がシールド板205を介して周辺を見た場合とにおける光路長(シールド板内における光路長)との差を小さくすることができ、着用者がシールド板205の周辺部を介してものを見たときであっても、像の歪みを極力少なくすることができる。
すなわち、図27(シールド板5の断面を示す図であって図23に対応した図)に示すように、シールド板205における光路長L11と光路長L21との差が小さくなっており、光路長L11と光路長L31との差が小さくなっているので、像の歪みを極力少なくすることができる。
ここで、図27に示す参照符号F0は、本実施形態に係るシールド板205の外側の面(凸面)を示しており、参照符号F1は、本実施形態に係るシールド板205の内側の面(凹面)を示している。これにより、本実施形態に係るシールド板205の厚さが、中央部から周辺部に向かうにしたがって、徐々に薄くなっている。一方、参照符号F0は、従来のシールド板の外側の面を示しており、参照符号F2は、従来のシールド板の内側の面を示しており、これにより、従来のシールド板の厚さは一定になっている。
参照符号R1は、正面から着用者の目EYに入る光の光路を示しており、参照符号R2、R2aは、側面側(シールド板の周辺部)から着用者の目EYに入る光の光路を示しており、参照符号R3、R3aは、さらなる側面側から着用者の目EYに入る光の光路を示している。
正面から着用者の目EYに入る光(光路R1の光)のシールド板205における光路長(本実施形態に係るシールド板205における光路長)L11と光路長(従来のシールド板における光路長)L12とは、お互いの長さが等しくなっている。
一方、空気の屈折率に比べてシールド板の屈折率が大きいので、スネルの法則により、側面側から着用者の目EYに入る光(光路R2、R2aの光)のシールド板における光路長(従来のシールド板における光路長)L22に比べて、光路長(本実施形態に係るシールド板205における光路長)L21が短くなっており、光路長L21の長さは、光路長L11の長さとほぼ等しくなっている。同様にして、光路長L32に比べて、光路長L31が短くなっており、光路長L31の長さは、光路長L11の長さとほぼ等しくなっている。これにより、像の歪みを極力少なくすることができるようになっている。
また、保護帽201によれば、シールド板205の左右方向における曲率半径が上下方向における曲率半径よりも小さく形成されており、左右方向における厚さの変化の割合が、上下方向における厚さの変化の割合よりも大きく形成されているので、着用者の顔面形態に合わせて、着用者がシールド板205の周辺部を介してものを見るときにおける像の歪みを極力少なくすることができる。
すなわち、シールド板205の上下方向の曲率半径が左右方向の曲率半径よりも大きく形成されているので、着用者の顔面の形状に適合して着用者の顔面を覆うことができる。また、シールド板205の上下方向の曲率半径が左右方向の曲率半径よりも大きくなっているので、シールド板205の上下方向における厚さの変化の割合を左右方向における厚さの変化の割合より小さくして、像の歪みを極力少なくしている。
また、保護帽201によれば、シールド板205の庇部217が、本体部273の下方で本体部273とは反対側(逆方向;着用者の顔面から離れる方向)に曲がって突出しているので、上述したように、飛来物がシールド板205にあたっても、飛来物がシールド板205の表面を滑って、着用者の体に接触する事態を回避することができる。
すなわち、図13に矢印A13で示すように、斜め上方から飛来してきた飛来物が、シールド板205の下方に浅い角度で衝突すると、衝突して跳ね返った飛来物が、着用者の胸や腹まで到達するおそれがある。なお、図13では、着用者が水平方向を向いているので、上記おそれは、少ないが、着用者が上方を向いて作業をしているときには、上記衝突して跳ね返った飛来物が、重力の影響で着用者の胸や腹まで到達するおそれが高くなる。しかし、庇部217が設けられているので、上記衝突して跳ね返った飛来物が、庇部217に再衝突し着用者から離れた箇所に落下するようになっており、着用者の体まで到達する事態を回避することができる。
また、保護帽201によれば、凹部275が設けられていることにより、保護帽201の着用者がシールド板205を操作しやすくなっている。
すなわち、たとえば、シールド板205が収納位置P201に存在している状態では、シールド板205の庇部217に凹部275が設けられているので、シールド板205の庇部217と帽体203の庇部210との間に、着用者が指を入れることができる隙間が形成されている。そして、収納位置P201に存在しているシールド板205を被覆位置P203に位置させる場合、上記隙間に着用者が指を入れてシールド板205を容易に下方に移動させて被覆位置P203に位置させることができる。
さらに、保護帽201によれば、シールド板205が常に帽体203に設置されており、また、ガイド手段207により、シールド板205が所定の軸C201を中心にして回動して移動するようになっているので、シールド板205の付け忘れを防止することができると共に、帽体203を大きくせず従来の形状をほぼ保ったままで、シールド板205の移動ストロークを長くすることができる。そして、シールド板205の長さ(高さ)が、着用者の顔面のほぼ総てを覆うことができる長さであっても、着用者の邪魔にならないように、シールド板205を帽体203の内部にほぼ納めることができる。
また、帽体203が、着用者の耳部を覆う部位が除去された形状である半球殻状に形成されているので、保護帽201が小型化されて質量が軽減されていると共に着用者に開放感を与えることができる。
また、保護帽201によれば、シールド板205が、円弧状のガイド部213でガイドされ円弧状の軌跡を描いて移動するので、シールド板205の移動ストロークをさらに長くすることができ、着用者の顔面のほぼ総てを覆うことができる長さのシールド板205を採用しても、着用者の邪魔にならないように、シールド板205を帽体203の内部にほぼ納めることが一層容易になる。
また、保護帽201によれば、円弧状のガイド部213が所定の軸C201を中心にした円弧状に形成されて帽体203の内部に設けられているので、着用者の耳を覆うことがない半球殻状の帽体203を採用することができる。すなわち、シールド板205を所定の軸C201のところで帽体に支持させる構成であると、シールド板205を支持する回動軸(シールド板205の軸C201のところに位置している回動軸)を帽体203に別途設けなければならず、これにより、帽体203に耳部(着用者の耳部を覆う部位)等を設ける必要が生じ、帽体203を半球殻状にすることができなくなる。しかし、保護帽201は、帽体203に耳部を設けることなく帽体203の形状を半球殻状にすることができる。
また、保護帽201によれば、ガイド部材211が一体的に構成されており、帽体203の左右方向の2箇所で帽体203に接触して一体的に設けられているので、ガイド部材211自体の剛性と、ガイド部材211を帽体203に取り付けたときの取り付け剛性とが高くなっている。
また、内装体を構成するハンモックを係止する係止部271Bを、ガイド部213やシールド板205との干渉を避けて、ガイド部材211の中央部位219の内側に設けることができる。
なお、シールド板として、着用者の顔の上半分のみを覆うハーフタイプのものを採用してもよい。また、第1の実施形態において、シールド板5を、第2の実施形態に係るシールド板205と同様に形成してもよい。すなわち、たとえば、中央部から周辺部に向かうにしたがって厚さが徐々に薄くなるような形状に形成してもよい。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る保護帽501が、第1の実施形態に係る保護帽1や第2の実施形態に係る保護帽201と異なっている主なところは、シールド板503をガイドするガイド手段505の構成(形態)であり、その他の点は、第1の実施形態に係る保護帽1や第2の実施形態に係る保護帽201とほぼ同様に構成されており、ほぼ同様の効果を奏する。
ガイド手段505でガイドされるシールド板503は、上記各実施形態(たとえば第2の実施形態)に係るものとほぼ同様に構成されており、第1の実施形態に係る保護帽1や第2の実施形態に係る保護帽201と同様に、凹部275を備えた庇217が設けられており、軸C501をほぼ回動中心にし、収納位置P501と被覆位置P503との間を移動するようになっている。
図28は、本発明の第3の実施形態に係る保護帽501の概略構成を示す分解斜視図である。
第3の実施形態に係る保護帽501は、帽体507とガイド手段505を構成するガイド部材509とシールド板503と衝撃吸収部材(衝撃吸収ライナ)513とあご紐515と内装体(ハンモック)517とを備えて構成されている。衝撃吸収部材513は、たとえば、発砲スチロールで椀状に形成されている。そして、帽体507の内側に、ガイド部材509とシールド板503との組立体511を設置した後、帽体507と組立体511との内側に衝撃吸収部材513を設置し、この後、あご紐515とハンモック517とを帽体507やガイド部材509に設置することにより、保護帽501が組立てられて生成されている。
なお、第1の実施形態に係る保護帽1や第2の実施形態に係る保護帽201では、衝撃吸収部材やあご紐には言及していないが、第1の実施形態に係る保護帽1や第2の実施形態に係る保護帽201において、衝撃吸収部材やあご紐を設けた構成であってもよい。
帽体507は、第1の実施形態に係る保護帽1や第2の実施形態に係る保護帽201の場合とほぼ同様に構成されている。すなわち、帽体507は、着用者の頭部を保護するためのものであり、たとえば、樹脂等の材料で構成されて、図36(帽体507の概略構成を示す図)で示すように、椀状(たとえば、半球殻状)に形成されている。なお、図36(a)は、帽体507の側面図であり、図36(b)は、帽体507の正面図であって、図36(a)におけるXXXVIB矢視図であり、図36(c)は、帽体507の底面図であって、図36(a)におけるXXXVIC矢視図である。
保護帽501の帽体507は、帽体本体部519と帽体庇部521とで構成されており、たとえば、2色成型されている。帽体本体部519は、不透明な樹脂で構成されており、帽体庇部521は、透明(有色透明を含む)な樹脂もしくは半透明な樹脂で構成されている。第1の実施形態に係る保護帽1や第2の実施形態に係る保護帽201において、帽体を帽体本体部と帽体庇部とで構成してもよい。
シールド板503も、前述したように、たとえば第2の実施形態に係る保護帽201のものと、ガイド手段505に係る部位(ガイド部材509に係合する部位)を除いて、ほぼ同様に構成されている。
ここで、ガイド手段505について詳しく説明する。
図29は、保護帽501の概略構成を示す断面図であり、図30は、保護帽501の正面図であって、図29におけるXXX矢視図であり、図31は、保護帽501の底面図であって、図29におけるXXXI矢視図である。
図33、図34は、ガイド部材509とシールド板503との組立体511を示す図であり、図33(a)は、組立体511の側面図であり、図33(b)は、組立体511の底面図であって、図33(a)におけるXXXIIIB矢視図であり、図34(a)は、組立体511の正面図であって、図33(a)におけるXXXIVA矢視図であり、図34(b)は、図33(b)におけるXXXIVB−XXXIVB断面を示す図である。
図35は、ガイド部材509におけるガイド部523等の詳細を示す図である。図35(a)は、図34(b)におけるXXXVA部の拡大図である。図35(b)は、図35(a)におけるXXXVB矢視図、もしくは、図39(b)におけるXXXVB部の拡大図である。なお、図35(a)では、シールド板503等が描かれているが、図35(b)では、シールド板503等の表示は省略してあり、ガイド部材509のみを描いてある。
図39、図40は、ガイド部材509を示す図であり、図39(a)は、ガイド部材509の側面図であり、図39(b)は、ガイド部材509の平面図であって、図39(a)におけるXXXIXB矢視図であり、図40(a)は、ガイド部材509の正面図であって、図39(a)におけるXLA矢視図であり、図40(b)は、図40(a)におけるXLB−XLB断面を示す図であり、図40(c)は、図40(a)におけるXLC−XLC断面を示す図である。
図42、図43は、シールド板503を示す図であり、図42(a)は、シールド板503の正面図であり、図42(b)は、シールド板503の平面図であって、図42(a)におけるXLIIB矢視図であり、図42(c)は、シールド板503の部分矢視図であって、図42(b)におけるXLIIC矢視図であり、図42(d)は、シールド板503の部分断面図であって、図42(b)におけるXLIID−XLIID断面を示す図であり、図43(a)は、シールド板503の側面図であって、図42(a)におけるXLIIIA矢視図であり、図43(b)は、図42(a)におけるXLIIIB−XLIIIB断面を示す図である。なお、図42(a)や図43(a)で網掛けしてある部位510は、ANSI規格での光学特性範囲(保護帽501の着用者がシールド板503を通して物を見るために、光学特性が良好である範囲)である。
ガイド手段505は、たとえば樹脂で構成されたガイド部材509に設けられたガイド部523と、透明もしくは半透明な樹脂で構成されたシールド板503に設けられた係合部525とを備えて構成されている。
ガイド部材509は、球面状の曲面を備えて板状に形成された中央部位527を備えており、ガイド部523は、中央部位527に形成されている。また、ガイド部523は、シールド板503が、収納位置P501と被覆位置P503との間を移動するときにシールド板503をガイドすべく細長く形成されて複数設けられている。各ガイド部523は、お互いがほぼ平行になって幅方向(左右方向)で中央部位527の中央寄りに設けられている。
詳しく説明すると、中央部位527は、1/4の球殻状に形成されている。ここで、1/4の球殻(1/4球殻)とは、次のようにして形成される立体である。まず、所定の半径の第1の球から、この第1の球の半径よりも僅かに小さい半径で前記第1の球と中心が一致している第2の球を取り除いた形状の立体(球殻)を得る。
次に、前記球殻を、前記各球の中心もしくはこの近傍を通る第1の平面で2分割し、分割された2つの立体のうちの一方の立体である半球殻を得る。
次に、前記半球殻を、前記各球の中心もしくはこの近傍を通り前記第1の平面とほぼ直交する第2の平面で2分割し、分割された2つの立体のうちの一方の立体である1/4球殻を得る。なお、ガイド部材509は帽体507の内部(内側)に設置されるものであるので、ガイド部材509の中央部位527の曲率半径(上記第1の球の曲率半径)は、帽体507の曲率半径よりもわずかに小さくなっている。
中央部位527は、「1/4球殻状」に形成されているのであって、完全な「1/4球殻」の形状に形成されているわけではない。すなわち、中央部位527は、帽体507と同様にして、着用者の頭部の形状に合うようにするために、曲率半径が適宜変化している形状に形成されている。
中央部位527の端部も、完全な円弧ではなく、着用者の頭部の形状に合うようにするために、曲率半径が適宜変化している円弧状に形成されている。ここで、中央部位527の端部とは、上記第1の平面での分割により形成された円弧状(半円弧状)の部位(第1の半円状端部曲線529)と、上記第2の平面での分割により形成された円弧状(半円弧状)の部位(第2の半円状端部曲線531)とをいう。
第1の半円状端部曲線529は、たとえば、上記第1の平面上にほぼ位置していて、前記第1の平面と直交する方向での凹凸がほとんど存在しない形態になっている。なお、中央部位527が厚さ(上記第1の球の半径と上記第2の球の半径との差)を備えているので、第1の半円状端部曲線529は、より正確には、第1の半円状端部曲面であると言える。
第2の半円状端部曲線531は、たとえば、前記第2の平面と直交する方向で前記第2の平面からわずかに出入りしている。つまり、前記第2の平面と直交する方向でわずかな凹凸が存在している。なお、第1の半円状端部曲線529の場合と同様にして、第2の半円状端部曲線531も、より正確には、第2の半円状端部曲面であると言える。
ガイド部材509が帽体507に設置された状態では、ガイド部材509の中央部位527は、帽体507の前方の内側で、帽体507からわずかに離れて、帽体507に一体的に設けられている。これにより、帽体507と中央部位527との間には、帽体507の厚さや中央部位527の厚さよりも厚い所定の厚さの1/4球殻状の空間533が形成されており、この1/4球殻状の空間533に、シールド板(収納位置P501に位置しているシールド板)503が入り込むようになっている。
さらに説明すると、第1の半円状端部曲線529は、帽体507の内壁からわずかに離れしかも帽体507の内壁に沿い、帽体507の下端に位置している円形状の縁の左端の近傍から、帽体507の真上の近傍を通って、帽体507の下端に位置している円形状の縁の右端の近傍にまで延びている。つまり、第1の半円状端部曲線529は、着用者の左耳の上方から、着用者の頭頂部の近傍を通って、着用者の右耳の上方まで延びている。
また、第2の半円状端部曲線531は、帽体507の下端で前側に位置している前側半円状の縁からわずかに離れしかも帽体507の前側半円状の縁に沿い、帽体507の下端に位置している円形状の縁の左端の近傍から、帽体507の縁の前端の近傍を通って、帽体507の下端に位置している円形状の縁の右端の近傍にまで延びている。つまり、第2の半円状端部曲線531は、着用者の左耳の上方から、着用者の額の近傍を通って、着用者の右耳の上方まで延びている。
ガイド部材509の中央部位527に設けられているガイド部523は、たとえば、3つ設けられている。各ガイド部523は、たとえばそれぞれが長円状の貫通孔(厚さ方向で中央部位527を貫通している貫通孔)535,537,539で構成されており、幅方向では中央部位527の中央と左側と右側とに設けられている。
中央部位527の中央に設けられているガイド部523(貫通孔535)は、第2の半円状端部曲線531の中央の近傍から、第1の半円状端部曲線529の中央の近傍まで形成されている。つまり、中央に設けられている貫通孔535は、横方向(幅方向;左右方向)では中央の位置を保ったまま、着用者の額の中央の近傍から、着用者の前頭部の中央を通って、着用者の頭頂部の近傍まで延びている。
左側のガイド部523(貫通孔537)は、中央に設けられている貫通孔535と平行に設けられており、第2の半円状端部曲線531の左側の斜め前方部位の近傍から、第1の半円状端部曲線529の左側の斜め上方部位の近傍まで形成されている。つまり、左側に設けられている貫通孔537は、着用者の額の斜め左前方部位の近傍から、着用者の前頭部の斜め左前方部位を通って、着用者の頭頂部の斜め左上方部位の近傍まで延びている。
右側のガイド部523(貫通孔539)は、中央に設けられている貫通孔535を間にして、左側に設けられている貫通孔537と対称に設けられている。すなわち、右側の貫通孔539は、ガイド部材509の中心を通り上下前後方向に展開している平面に対して、左側の貫通孔537と対称に設けられている。
ここで、3つのガイド部523(貫通孔535,537,539)の位置関係についてさらに詳しく説明する。説明の便宜のため、ガイド部材509の各側方部位541,543(図39等参照)の存在を無視する(ガイド部材509の各側方部位541,543は、仮に存在していないものとする)。
3つの貫通孔535,537,539の各延長線(長円状の貫通孔535,537,539の幅方向の中心線であって貫通孔535,537,539の長手方向に延伸している中心線)と、第2の半円状端部曲線531との交点とを、それぞれ、下部左側交点545、下部中央交点547、下部右側交点549とする(図39(a)、(b)、図40(a)参照)。
こうすると、第2の半円状端部曲線531の左端(第1の半円状端部曲線529の左端と一致している左端;図39(a)参照)551と下部左側交点545との間の距離(第2の半円状端部曲線531上の道のり)が、下部左側交点545と下部中央交点547との間の距離(第2の半円状端部曲線531上の道のり)と等しいかもしくはわずかに大きくなっている。
また、同様にして、第2の半円状端部曲線531の右端(第1の半円状端部曲線529の右端と一致している右端;図39(a)参照)553と下部右側交点549との間の距離(第2の半円状端部曲線531上の道のり)が、下部右側交点549と下部中央交点547との間の距離(第2の半円状端部曲線531上の道のり)と等しいかもしくはわずかに大きくなっている。
また、3つの貫通孔535,537,539の各延長線と、第1の半円状端部曲線529との交点とを、図39(b)で示すように、それぞれ、上部左側交点555、上部中央交点557、上部右側交点559とする。
こうすると、第1の半円状端部曲線529の左端551と上部左側交点555との間の距離(第1の半円状端部曲線529上の道のり)が、上部左側交点555と上部中央交点557との間の距離(第1の半円状端部曲線529上の道のり)と等しいかもしくはわずかに大きくなっている。
また、同様にして、第1の半円状端部曲線529の右端553と上部右側交点559との間の距離(第1の半円状端部曲線529上の道のり)が、上部右側交点559と上部中央交点557との間の距離(第1の半円状端部曲線529上の道のり)と等しいかもしくはわずかに大きくなっている。
このように、ガイド部523が設けられていることにより、ガイド部523(貫通孔535,537,539)は、中央部位527の中央部側(幅方向で中央部寄り)で上下前後方向に延びて設けられていることになる。
なお、中央のガイド部523(貫通孔535)を削除してガイド部523を2つにした構成であってもよいし、中央のガイド部523(貫通孔535)を2つにし、一方のガイド部を中央よりもわずかに左側に移し、他方のガイド部を中央よりもわずかに右側に移すことにより、ガイド部(長円状の貫通孔)を4つ設けた構成であってもよい。さらには、上下前後方向に長く延びているガイド部を中央部位527の中央側(幅方向で中央より)に、5つ以上の複数設けた構成であってもよい。
また、ガイド部材509は、前述した中央部位527と板状の第1の側方部位(左側の側方部位)541と、板状の第2の側方部位(右側の側方部位)543とを備えて構成されている。第1の側方部位541は、中央部位527の幅方向の一端部側(左側)であって中央部位527の下側で、中央部位527に一体で設けられている。第2の側方部位543は、中央部位527の幅方向の他端部側(右側)であって中央部位527の下側で、中央部位527に一体で設けられている。
そして、一対の中央部位係合部561(図39(b)等参照)が一対の中央部位被係合部563(図36(c)参照)に係合し、左側の第1の側方部位係合部565(図39(a)参照)が第1の側方部位被係合部567(図36(c)参照)に係合し、右側の第2の側方部位係合部569(図39(a)参照)が第2の側方部位被係合部571(図36(c)参照)に係合して、ガイド部材509が帽体507に一体的に設けられるように構成されている。
一対の中央部位係合部561は、各側方部位541,543の近傍で中央部位527に形成されており、一対の中央部位被係合部563は、帽体507の側方に設けられている。第1の側方部位係合部565は、第1の側方部位541に設けられており、第1の側方部位被係合部567が帽体507の左斜め後側に設けられている。第2の側方部位係合部569は、第2の側方部位543に設けられており、第2の側方部位被係合部571が帽体507の右斜め後側に設けられている。
より詳しく説明すると、第1の側方部位541は、中央部位527とほぼ同じ厚さで短い帯状に形成されている。そして、第1の側方部位541の長手方向の一端部が、第1の半円状端部曲線529の下端部側(左下端部側)に接続されている。また、第2の側方部位543は、ガイド部材509の中心を通り上下前後方向に展開している平面に対して、第1の側方部位541と対称に設けられている。これにより、中央部位527の第2の半円状端部曲線531の左側のほぼ延長線上に、第1の側方部位541の幅方向の一端部(下端部)が位置しており、中央部位527の第2の半円状端部曲線531の右側のほぼ延長線上に、第2の側方部位543の幅方向の一端部(下端部)が位置している。
ガイド部材509は、帽体507に対して着脱自在になっており、ガイド部材509の中央部位527に形成されている一対の中央部位係合部561が帽体507に設けられている一対の中央部位被係合部563に係合することにより、帽体507に設置されたガイド部材509が、帽体507から容易には分離しないようになっている。
たとえば、中央部位係合部561は、剛体とみなされる第1の中央部位係合部(中央部位527からこの外側にわずかに突出している突起)573(図39(a)参照)と、弾性を備えた第2の中央部位係合部575(図39(a)参照)とで構成されている。中央部位被係合部563は、剛体とみなされる部位(帽体507の内壁から帽体507の内側にわずかに突出している突起;図36(c)、図38参照)577で構成されている。なお、図38(a)は、中央部位被係合部563の側面図であり、図38(b)は、図38(a)におけるXXXVIIIB矢視図である。
そして、ガイド部材509を帽体507に設置するとき(第1の中央部位係合部573を中央部位被係合部563に係合させるとき)には、第2の中央部位係合部575が、帽体507(中央部位被係合部563やこの周辺)に当接して弾性変形し、ガイド部材509を帽体507に設置し終えたとき(第1の中央部位係合部573を中央部位被係合部563に係合させ終えたとき)には、第2の中央部位係合部575が復元するようになっている。この復元した第2の中央部位係合部575により、帽体507に一旦設置されたガイド部材509が、帽体507から容易には分離しないようになっている。
すなわち、シールド板503を移動するとき等、帽体507やガイド部材509やシールド板503に外力がかかった場合であっても、ガイド部材509が帽体507から容易には分離しないようになっている。なお、中央部位係合部561や中央部位被係合部563は、シールド板503とは干渉しない位置に設けられている。
なお、図32(a)は、ガイド部材509の中央部位係合部561が帽体507の中央部位被係合部563に係合した状態を示す図であり、図31に示すXXXIIA−XXXIIAの部分断面を示す図である。
帯状の第1の側方部位541や帯状の第2の側方部位543の長さの値は、第2の半円状端部曲線531の長さの半分の値よりもわずかに小さくなっている。第1の側方部位係合部565は、厚さ方向で第1の側方部位541を貫通している2つの貫通孔579,581で構成されている。
第1の側方部位係合部565を構成している2つの貫通孔579,581のうちの一方の貫通孔(後方貫通孔)581は、第1の側方部位541の先端部(第1の側方部位541の長手方向で中央部位527とは反対側の端部)の近傍に設けられており、第1の側方部位係合部565を構成している2つの貫通孔579,581のうちの他方の貫通孔(前方貫通孔)579は、第1の側方部位541の長手方向で中央部位係合部561と後方貫通孔581との間(たとえば、ほぼ中央部)に設けられている。
第2の側方部位係合部569も第1の側方部位係合部565の場合と同様にして、後方貫通孔581と前方貫通孔579とで構成されており、第2の側方部位係合部569の各貫通孔579,581は、ガイド部材509の中心を通り上下前後方向に展開している平面に対して、第1の側方部位係合部565の各貫通孔579,581と対称に設けられている。
第1の側方部位被係合部567は、図36(c)や図37で示すように、帽体507の開口部(下端部の縁)の近傍で帽体507の内壁から帽体507の内側にわずかに突出している2つの突起(前側突起と後側突起)583で構成されている。第2の側方部位被係合部571は、帽体507の中心を通り上下前後方向に展開している平面に対して、第1の側方部位被係合部567と対称に設けられている。すなわち、各側方部位被係合部567,571は、2つの前側突起583と2つの後側突起583とで構成されている。
なお、図37(a)は、側方部位被係合部567,571や後述する帽体係止部585の側面図であり、図37(c)は、図37(a)におけるXXXVIIC矢視図であり、図37(b)は、図37(c)におけるXXXVIIB矢視図であり、図37(d)は、図37(b)におけるXXXVIID−XXXVIID断面を示す図である。
第1の側方部位被係合部567に第1の側方部位係合部565が係合した状態では、第1の側方部位541が帽体507の内壁に当接している。また、第1の側方部位被係合部567に第1の側方部位係合部565が係合した状態では、ガイド部材509(第1の側方部位541)は、帽体507に対して上下方向の移動が規制されており、帽体507に対して帽体507の前後方向(帽体507の内周の方向)にはわずかに移動できるようになっており、帽体507の厚さ方向では、帽体507の内側には移動できるようになっている。なお、帽体507の厚さ方向での移動は、ハンモック517を帽体507に設置することによって規制されるように構成されている。第2の側方部位被係合部571に第2の側方部位係合部569が係合した状態も、第1の側方部位被係合部567に第1の側方部位係合部565が係合した状態と同様になっている。
帽体507にガイド部材509を設置し終えた状態では、第1の側方部位被係合部567に第1の側方部位係合部565が係合し、第2の側方部位被係合部571に第2の側方部位係合部569が係合し、中央部位被係合部563に中央部位係合部561が係合している。そして、ガイド部材509が帽体507に堅固に設置されている。
また、帽体507にガイド部材509を設置し終えた状態では、ガイド部材509の下側の縁(第2の半円状端部曲線531と各側方部位541,543の下端部)は、帽体507の縁(開口部)の内側近傍で帽体507の縁に沿って延びている。さらに、帽体507にガイド部材509を設置し終えた状態で、帽体507やガイド部材509を下側から上側に向かって見ると、帽体507の縁は、ほぼ円環状(前後方向の径が幅方向の径よりも大きい円環状)に形成されている。これに対して、ガイド部材509は、後方のわずかの部位でつながっていない(各側方部位541,543の先端部同士がわずかに離れている)馬蹄形状に形成されている。なお、ガイド部材509が帽体507の縁と同様にして円環状になる構成であってもよい。
第1の側方部位被係合部567のところや第2の側方部位被係合部571のところには、これらの被係合部567,571を構成している突起583よりも突出量(帽体507の内側への突出量)が大きい突起で構成された係止部(4つの突起で構成された帽体係止部)585が形成されている(図36(c)、図37参照)。帽体係止部585はハンモック517を係止するための部位である。
ガイド部材509の中央部位527の内側であって、第2の半円状端部曲線531の近くには、帽体係止部585と同様に構成された係止部(4つの突起で構成されたガイド部材係止部)587が形成されている(図39(b)、図41参照)。ガイド部材係止部587も、ハンモック517を係止するための部位である。
なお、図41(a)は、ガイド部材係止部のうちで前方に位置しているガイド部材係止部587の側面図であり、図41(c)は、図41(a)におけるXLIC矢視図であり、図41(b)は、図41(c)におけるXLIB矢視図であり、図41(d)は、図41(b)におけるXLID−XLID断面を示す図である。
また、図41(e)は、ガイド部材係止部のうちで後方に位置しているガイド部材係止部587の側面図であり、図41(g)は、図41(e)におけるXLIG矢視図であり、図41(f)は、図41(g)におけるXLIF矢視図であり、図41(h)は、図41(f)におけるXLIH−XLIH断面を示す図である。
ガイド部材509のガイド部材係止部587は、ガイド部材509の中心を通り上下前後方向に展開している平面に対して対称に設けられている。これらにより、帽体507にガイド部材509を設置し終えた状態では、係止部585,587が合計で8箇所に設けられていることになる。
そして、帽体507にガイド部材509を設置し終えた状態で、帽体係止部585とガイド部材係止部587とに、ハンモック517の被係止部589を係止して、ハンモック517を帽体507に設置し終えたときに、ガイド部材509の各側方部位541,543が、帽体507とハンモック517の被係止部589とに挟まれて、ガイド部材509の各側方部位541,543が帽体507の内壁に接して、前述したように、ガイド部材509の各側方部位541,543が帽体507に対してほぼ固定されて設置されるようになっている(図32(b)、図32(c)参照)。なお、図32(b)は、図31におけるXXXIIB−XXXIIB断面を示す図であり、図32(c)は、図31におけるXXXIIC−XXXIIC断面を示す図である。
各側方部位541,543の角部が丸められて形成されている。すなわち、第1の側方部位541や第2の側方部位543の長手方向の先端部(中央部位527とは反対側の端部)の2箇所の角部(上下方向では両端部に位置している角部)の外形線が、側方部位541,543の厚さ方向から見た場合、1/4の円弧状に形成されている(図39(a)の参照符号591を参照)。さらに、側方部位541,543の他の部位(長手方向の中間部であって上下方向では下端部)でも、角部が丸められて形成されている(図39(a)の参照符号593を参照)。
各側方部位541,543の角部が丸められて形成されていることにより、応力集中によるガイド部材509の破損を防止することができ、また、ガイド部材509による帽体507やシールド板503や保護帽501の着用者への傷付きを防止することができる。
ところで、ガイド部材509のガイド部523は、前述しように、たとえば、3つ長円状の貫通孔535,537,539で構成されている。これに応じて、シールド板503の係合部525は、3つの円柱状の部位595で構成されている(図35を参照)。
そして、係合部525を構成している円柱状の部位595のそれぞれが、ガイド部材509のガイド部523を構成している3つの貫通孔535,537,539のそれぞれに係合することにより(円柱状の部位595が貫通孔535,537,539に入り込むことにより)、シールド板503がガイドされて、収納位置P501と被覆位置P503との間で移動するようになっている。
詳しく説明をすると、長円状の貫通孔535,537,539の幅B501は、円柱状の部位595の外径D501よりもごくわずかに大きくなっている(図35(b)参照)。また、円柱状の部位595の両端部には、外径が円柱状の部位595の外径よりも大きい円板状のフランジ部599,601が一体で設けられていることにより、係合部材597が形成されている(図35(a)参照)。
シールド板503の上端部には、図42(a)で示すように、係合部材597を設置するための半円板状の設置部603が一体で設けられている。半円板状の設置部603の中央部には、半円板状の設置部603をこの厚さ方向で貫通している貫通孔(内径が係合部材597の円柱状部位595の外径D501よりもわずかに大きい貫通孔)605が形成されている。なお、設置部603や貫通孔605は、ガイド部材509の3つの貫通孔535,537,539に対応して3箇所に設けられている。
そして、円柱状部位595の両端部に設けられている各フランジ部599,601の間に、シールド板503の設置部603とガイド部材509の中央部位527とが入り込んで、各フランジ部599,601でシールド板503の設置部603とガイド部材509の中央部位527とが挟み込まれ、円柱状部位595がガイド部523の長円状の貫通孔535,537,539と設置部603の円形の貫通孔605とを貫通している。これにより、帽体507やガイド部材509に対してシールド板503が移動するとき、シールド板503は、ガイド部523を構成している貫通孔535,537,539のほぼ長手方向にのみ移動するようになっている。
なお、円柱状部位595と各フランジ部599,601とで構成されている係合部材(フランジ付部材)597は、一方の端部にフランジ部599を備えた第1の筒状部材607と他方の端部にフランジ部601を備えた第2の筒状部材609と、各筒状部材607,609の中心軸に沿って貫通しカシメによって各筒状部材607,609を一体化しているリベット611とで構成されている。
シールド板503が収納位置P501に位置している状態では、フランジ付部材597の円柱状の部位595が、各長円状の貫通孔535,537,539の上端部に当接している。一方、シールド板503が被覆位置P503に位置している状態では、フランジ付部材597の円柱状の部位595が、各長円状の貫通孔535,537,539の下端部に当接している。
また、保護帽501には、保護帽1,201と同様にして、シールド板503が収納位置P501や被覆位置P503に位置している状態を保持するための保持手段613が設けられている。ここで、保持手段613について詳しく説明する。
ガイド部523を形成している3つの長円状の貫通孔535,537,539のうちで左右の側に存在している2つの長円状の貫通孔537,539の幅は、一定になっている。一方、ガイド部523を形成している3つの長円状の貫通孔535,537,539のうちで中央に存在している長円状の貫通孔535は、この長手方向の端部の近傍で、幅がごくわずかに小さくなっている(図35(b)参照)。これにより、シールド板503が収納位置P501や被覆位置P503でこの位置を維持できるようになっている。
さらに詳しく説明すると、図35(b)で示すように、ガイド部材509の中央に存在している長円状の貫通孔(中央貫通孔)535の上端部位615は円弧で馬蹄形状に形成されている。円弧状で馬蹄形状に形成されている上端部位615の円弧の直径D503は、フランジ付部材597の円柱状部位595の外径D501と等しいかごくわずかに大きくなっている。
上端部位615の両端部617同士の距離(円弧状で馬蹄形状の上端部位615の出口における幅方向の距離)L501は、フランジ付部材597の円柱状部位595の外径D501よりもわずかに小さくなっている。そして、長円状の中央貫通孔535の長手方向の中間部に位置しているフランジ付部材597が、長円状の中央貫通孔535の上端部位615まで移動するときに、フランジ付部材597の円柱状部位595が、上端部位615の両端部617に接触して、ガイド部材509の一部が弾性変形し、両端部617間の距離L501が、円柱状部位595の外径D501の値まで大きくなるように構成されている。さらに、フランジ付部材597を移動して、フランジ付部材597の円柱状部位595が上端部位615に位置すると、各両端部617が復元し、フランジ付部材597の位置が保持されるようになっている。
両端部617と、両端部617から長円状の貫通孔535の下端側に所定の距離だけ離れている離間部位619との間では、この離間部位619から両端部617に向かうにしたがって、長円状の貫通孔535の幅が少しずつ次第に狭くなっている。すなわち、離間部位619と両端部617との間にはテーパ部621が形成されている。これにより、シールド板503を被覆位置P503から収納位置P501に移動するときに、フランジ付部材597の円柱状部位595が馬蹄形状の上端部位615の両端部617にいきなり当接することがなくなり、上端部位615の両端部617の損傷を防止することができる。
なお、長円状の貫通孔535の下端部側も上端部側と同様なテーパ部等を備えて形成されている。また、馬蹄形状の両端部617の弾性変形をしやすくするために、馬蹄形状の両端部617の外側の近傍には、一対の貫通孔(ガイド部材509の中央部位527をこの厚さ方向で貫通している円形状の2つの貫通孔)623が設けられている。
なお、上記貫通孔623を、長円状の貫通孔535の上端部側に設けることに代えてもしくは加えて、長円状の貫通孔535の下端部側に設けてあってもよい。
さらに、上述した保持手段613等を、中央の長円状の貫通孔535に設けることに代えてもしくは加えて、左右の長円状の貫通孔537,539に設けた構成であってもよい。
ところで、ガイド部材509の中央部位527に設けられている長円状の貫通孔535,537,539の周辺には、中央部位527の内側にわずかに凹んだ凹部625が設けられている。この凹部625は所定の幅を備えて、各長円状の貫通孔535,537,539を囲むように設けられている。また、上述したようにシールド板503の上端部に設けられている設置部603も、シールド板503の内側にわずかに凹んで設けられている(図42(b)、図43参照)。これらの3つの凹部625の近傍であって、ガイド部材509の中央部位527の第2の半円状端部曲線531のところには、3つの突起627が設けられている。これらの3つの突起627は、ガイド部材509の中央部位527の厚さ方向で中央部位527の前側(外側)に突出している。
3つの貫通孔535,537,539に対応して設けられた3つのフランジ付部材597を用いてガイド部材509にシールド板503を設置した状態では、シールド板503の上端部の3箇所が、フランジ付部材597を介して、ガイド部材509に支持されており、シールド板503の上端部に設けられている設置部603が、中央部位527に設けられている凹部625に入り込んでいると共に、シールド板503の内側の面が中央部位527の各突起627に、たとえば、詳しくは後述するパッキン631を間にして間接的に当接している。
さらに、シールド板503が設置されたガイド部材509を帽体507に設置した状態では、シールド板503の外側の面と帽体507の前側の半円弧状の縁との間にはわずかな間隙629が形成されている(図29参照)。
これにより、常態(直立している着用者が保護帽501を単に被っている状態)では、シールド板503の上端部の3箇所が、フランジ付部材597を介して、ガイド部材509に支持されており、さらに、シールド板503の内側の面が中央部位527の突起627に、たとえば、詳しくは後述するパッキン631を間にして間接的に当接し、シールド板503がガイド部材509に支持されており、シールド板503が、収納位置P501と被覆位置P503との間で円弧状の移動をするようになっている。
また、シールド板503が設置されたガイド部材509を帽体507に設置した状態で、シールド板503の下端を持ち上げる方向もしくはシールド板503を着用者の顔面から離す方向の外力が、シールド板503にかかった場合、シールド板503の外側の面と帽体507の前側の円弧状の縁との間にはわずかな間隙629がなくなり、シールド板503の外側の面が帽体507の前側の円弧状の縁に、たとえば、詳しくは後述するパッキン631を間にして間接的に当接し、上記外力によるシールド板503の回動が規制されるようになっている。
すなわち、シールド板503は、この上端部の設置部603でガイド部材509に係合している。また、シールド板503は、この下側の部位(帽体507の着用者の顔面を覆う部位)で、突起627と帽体507の前側の半円弧状の縁とに挟まれて突起627と帽体507の前側の半円弧状の縁とのいずれかに係合している。そして、シールド板503が大きくがたつくことが防止されている。
なお、上述した係合する部位以外のシールド板503の部位は、ガイド部材509や帽体507とはわずかな隙間を隔てて対向している。
ガイド部材509の中央部位527に設けられている3つの突起627およびこの周辺と、間隙629を形成している帽体507の縁とこの近傍には、たとえば板状のパッキン(低摩擦部材;傷付き防止材)631が貼り付けられている(図34(a)、図36(c)参照)。これにより、シールド板503(設置部603や庇217を除く)がガイド部材509や帽体507とに接触することがなくなり、シールド板503が収納位置P501と被覆位置P503との間を小さい摩擦抵抗で移動できると共に、帽体507の着用者の視界に入るシールド板503の部位(図42(a)等に示したANSI規格の光学特性範囲510)に傷が付くことが防止される。
ガイド部材509の中央部に設けられているパッキン631Aは、「コ」字状に形成されており、中央の長円状の貫通孔535を挟むようにして、ガイド部材509の下端から上端に向かって、他のパッキン631よりも長く設けられている。これにより、シールド板503への傷付きを一層確実に防止することができる。
ガイド部材509の中央部位527に設けられている長円状の各貫通孔535,537,539と、これらの貫通孔535,537,539のまわりに形成されている凹部625と、ガイド部材係止部587との位置関係についてより詳しく説明する。
ガイド部材係止部587は、前述したように、また、図39(b)で示すように4箇所に設けられている。最も左側に位置しているガイド部材係止部587Aは、第2の半円状端部曲線531の延伸方向で、左側の中央部位係合部561Aと左側の貫通孔537との間のほぼ中央に位置しており、次に左側に位置しているガイド部材係止部587Bは、第2の半円状端部曲線531の延伸方向で、左側の貫通孔537の凹部625に隣接して、左側の貫通孔537と中央の貫通孔535との間に位置している。また、右側に位置している2つのガイド部材係止部587C,587Dは、ガイド部材509の中心を通り上下前後方向に展開している平面に対して、右側のガイド部材係止部587A,587Bと対称に設けられている。
このような位置にガイド部材係止部587が設けられているので、ガイド部材係止部587とガイド部材509のガイド部523との干渉を避けつつ、ハンモック517をガイド部材509の適宜の位置に設置することができ、帽体507に加わった外力をハンモック517と適切に受けることができる。
また、帽体係止部585のうちでもっとも左側に設けられている係止部585Aもしくは次に左側に設けられている係止部585Bと(図36(c)参照)、ガイド部材係止部587のうちでもっとも左側に設けられている係止部587Aと(図39(b)参照)に、耳紐(あご紐)515の被係止部633を係合させて、さらに、帽体係止部585のうちでもっとも右側に設けられている係止部585Dもしくは次に右側に設けられている係止部585Cと(図36(c)参照)、ガイド部材係止部587のうちでもっとも右側に設けられている係止部587Dと(図39(b)参照)に、別の耳紐(あご紐)515の被係止部633を係合させて、各あご紐515を帽体507やガイド部材509の適宜の位置に設置することができ、保護帽501の着用者が違和感なく保護帽501を着用し着用者の頭部に各あご紐515を用いて保護帽501を固定することができる。
なお、すでに理解されるように、帽体係止部585が帽体507の後側に設けられており、ガイド部材509が帽体507の前側に設けられているので、帽体係止部585はガイド部材係止部587よりも後側に位置している。
あご紐515の被係止部633を帽体係止部585やガイド部材係止部587に係合させた後、ハンモック517の被係止部589を帽体係止部585やガイド部材係止部587に係合させることにより、あご紐515(被係止部633)やハンモック517(被係止部589)が、帽体507やガイド部材509に一体的に設置されるようになっている。なお、ハンモック517は、帽体507やガイド部材509に対して容易に着脱自在になっており、一旦設置されたハンモック517は、帽体507やガイド部材509から容易には外れないようになっている。
さらに、保護帽501では、ガイド部材509の各側方部位541,543とあご紐515の被係止部633とが、帽体507とハンモック517の被係止部589とで挟まれて、帽体507に一体的に設置されている(図32(b)参照)。
保護帽501によれば、ガイド部材509が球面状の曲面を備えて板状に形成された中央部位527を備えており、ガイド部523が中央部位(たとえば、幅方向で中央部位527の中央寄り)527に形成されているので、いわゆるナローガイドが形成されていることになり、ガイド部523を中央部位527の側方側(幅方向における各端部側)に設けた場合に比べて、シールド板503の出し入れ(収納位置P501と被覆位置P503との間での移動)をスムーズに行うことができる。
また、保護帽501によれば、ガイド部材509が中央部位527と各側方部位541,543とを備えて構成されており、各側方部位541,543の近傍で中央部位527に形成されている一対の中央部位係合部561(561A,561B)が帽体507に設けられている一対の中央部位被係合部563に係合し、各側方部位541,543に形成されている側方部位係合部565,569が帽体507に形成されている側方部位被係合部567,571に係合しているので、シールド板503を出し入れする場合において、帽体507に対するガイド部材509のがたつきを少なくすることができる。
すなわち、シールド板503を出し入れする場合、ガイド部材509でシールド板503をガイドしているので、帽体507の幅方向に延びている軸C501を中心とした回転モーメントがガイド部材509にかかり、この回転モーメントがガイド部材509から帽体507に伝わるのであるが、帽体507の中央部位被係合部563に係合しているガイド部材509の中央部位係合部561が支点になり、帽体507の側方部位被係合部567,571に係合しているガイド部材509の側方部位係合部565,569が回転モーメントを受けるので、上記がたつきを少なくすることができる。
また、ガイド部材509の側方部位係合部565,569を、左側に2箇所、右側に2箇所に設けてあるので、がたつきを一層少なくすることができる。さらに左側の2つの側方部位係合部565のうちの後側の側方部位係合部(貫通孔581)と、右側の2つの側方部位係合部565のうちの後側の側方部位係合部(貫通孔581)とが、帽体507の後端部の近傍に位置しているので、支点となる中央部位係合部561と後側の側方部位係合部565との間の距離が大きくなっており、がたつきをさらに一層少なくすることができる。
さらに、保護帽501によれば、ガイド部材509のガイド部523が3つの長円状の貫通孔535,537,539で構成されており、シールド板503の係合部525が3つの円柱状の部位595で構成されており、円柱状の部位595のそれぞれが、3つの貫通孔535,537,539のそれぞれに係合することによりシールド板503がガイドされて、収納位置P501と被覆位置P503との間で移動するように構成されているので、簡素な構成で、ガイド部材509に対するシールド板503のがたつきを小さくしつつ、シールド板503がガイド部材509に対してスムーズに移動するようになっている。
なお、シールド板503として、着用者の顔の上半分のみを覆うハーフタイプのものを採用してもよい。また、シールド板503を、第2の実施形態に係るシールド板と同様に形成してもよい。すなわち、たとえば、図22や図23で示すように、中央部から周辺部に向かうにしたがって厚さが徐々に薄くなっている形状に形成してもよい。