[第1の実施形態]
図1、図4は、本発明の第1の実施形態に係る保護帽1を、着用者が被ったときの斜視図であり、図2、図5は、保護帽1を着用者が被ったときの正面図であり、図3、図6は、保護帽1を着用者が被ったときの側面図である。
なお、図1、図2、図3は、シールド板5を収納位置P1に位置させた状態を示しており、図4、図5、図6は、シールド板5を被覆位置P3に位置させた状態を示している。
図7は、保護帽1の中心を通り保護帽1の前後上下方向に展開する平面による保護帽1の断面図であり、図8は、保護帽1を内側から見たときの図である。なお、図7(b)は、図7(a)のB部の拡大図である。
図9、図10は、ガイド部材11とシールド板5とを組立てた状態を示す斜視図である。なお、図9は、シールド板5を収納位置P1に位置させた状態を示しており、図10は、シールド板5を被覆位置P3に位置させた状態を示している。
図11は、シールド板5の概略構成を示す斜視図であり、図12は、シールド板5の概略構成を示す正面図であり、図13は、シールド板5の概略構成を示す側面図であり、図14は、図12におけるXIV矢視図であり、図15は、図12におけるXV−XV断面を示す図であり、図16は、図12におけるXVI−XVI断面を示す図である。
図17は、ガイド部材11の概略構成を示す側面図であり、図18は、図17におけるXVIII矢視図であり、図19は、図17におけるXIX矢視図である。
保護帽(シールド板付きヘルメット)1は、たとえば、ほぼ左右対称に形成されている帽体3と、シールド板5と、シールド板5をガイドするガイド手段7とを備えて構成されている。
帽体3は、着用者の頭部を保護するためのものであり、椀状(たとえば、半球殻状)に形成されている。
ここで、半球殻とは、所定の半径の第1の球から、この第1の球の半径よりも僅かに小さい半径で前記第1の球と中心が一致する第2の球を取り除いた形状の立体を、前記各球の中心もしくはこの近傍を通る平面で2分割したときに形成される一方の立体である。
帽体3は、「半球殻状」に形成されているのであって、完全な「半球殻」な形状に形成されているわけではない。すなわち、帽体3は、着用者の頭部の形状に合うようにする等のために、曲率半径が適宜変化している形状に形成されている。また、帽体3の開口部(淵;下端)9も、完全な円形ではなく、着用者の頭部の形状に合うようにする等のために、曲率半径が適宜変化している円形状に形成されている。
帽体3が半球殻状に形成されていることにより、直立している着用者が保護帽1を被った場合、帽体3の開口部9は、ほぼ水平になっており、開口部9は、着用者の耳よりも僅かに上側に位置しており、着用者の耳が露出している(図1〜図6参照)。なお、帽体3の開口部9の前側には、庇部10が設けられている。
シールド板(面体;シールド部材)5は、着用者の顔面のほぼ総てを保護するためのものであり、樹脂等の透明な材料で構成されている。
ガイド手段7は、シールド板5が帽体3に対して移動するときに、シールド板5をガイドする手段であり、ガイド手段7でガイドされることにより、シールド板5が、収納位置P1と被覆位置P3との間で、円弧状の軌跡を描いて移動するようになっている。収納位置P1は、シールド板5が、帽体3の前側内部に収納される位置であり、被覆位置P3は、シールド板5が、着用者の顔面(頭部の前面)のほぼ総てを覆う位置である。
ガイド手段7でガイドされるシールド板5は、帽体3から容易には分離されないようになっていると共に、保護帽1の左右方向に移動することは無く、保護帽1(帽体3)の左右方向に延びた所定の軸C1(図3、図6、図7参照)を回動中心として移動(回動)するようになっている。所定の軸C1は、着用者の耳の後方の部位を通って、帽体3の左右方向(図3、図6、図7の紙面に直交する方向)に延びている。
ガイド手段7は、たとえば、ガイド部材11に設けられたガイド部13と、シールド板5に設けられた係合部15とを備えて構成されている。
ガイド部13は、円弧状に形成されている。ガイド部材11を帽体3に設置した状態では、所定の軸C1を中心にして、帽体3の前側の内部で、ガイド部13が帽体3に一体的に設けられている。また、ガイド部13は、ガイド部材11のたとえば幅方向の両端部と中央部とに設けられている。
シールド板5は、湾曲した板状に形成されている。シールド板5の幅方向のたとえば両端側の部位と中央部とには、ガイド部13に係合する係合部15が設けられている。そして、係合部15がガイド部13に係合することにより、収納位置P1と被覆位置P3との間で、シールド板5が移動するようになっている。
収納位置P1にシールド板5が位置している状態について詳しく説明すると、この状態で、シールド板5が帽体3の内部に完全に収容されているわけではなく、シールド板5の下端部(庇17が設けられている下端部)とこの近傍の部位が、帽体3の下端部(帽体3の開口部9の前側)から下方に突出している。なお、庇(庇部)17は、シールド板5の下端部で反転している。すなわち、庇17は、逆方向(着用者の顔面から離れる方向)に曲がって延出している。これにより、飛来物がシールド板(被覆位置P3にあるシールド板)5にあたっても、飛来物がシールド板5の表面を滑って、着用者の体に接触する事態を回避することができる。
収納位置P1にシールド板5が位置している状態において、シールド板5の下端部やこの近傍の部位が帽体3の下端部(帽体3の開口部9の前側)から下方に突出していても、着用者の邪魔になることはなく、着用者は、シールド板5の存在をその視界で意識することなく保護帽1を被ることができるようになっている。また、シールド板5の上端部は、帽体3の頂上部付近に位置している。なお、シールド板5の庇17を削除し、収納位置P1にシールド板5が位置している状態において、シールド板5が帽体3の内部に完全に収容される構成であってもよい。
被覆位置P3にシールド板5が位置している状態では、シールド板5の下端部が、着用者の顎よりも下側に位置して、シールド板5が着用者の顔面のほぼ総てを覆っている。すなわち、正面から見た場合、シールド板5によって、着用者の顔面の総てが覆われている(図4〜図6参照)。また、シールド板5の上端部は、帽体3の下端部(帽体3の開口部9の前側)の近傍で帽体3の内部に位置している。
ガイド部材11は、中央部位19と第1の側方部位21と第2の側方部位23とを備えて一体的に構成されている。中央部位19は、球面状の曲面を備えて板状(湾曲した板状)に形成されている。第1の側方部位21は、中央部位19の幅方向の一端部側で中央部位19に一体的に設けられている。第2の側方部位23は、中央部位19の幅方向の他端部側で中央部位19に一体的に設けられている。
第1の側方部位21は、基端部側部位(中央部位19側の部位)25と先端部側部位27とで構成されており、第2の側方部位23も同様にして、基端部側部位(中央部位19側の部位)29と先端部側部位31とで構成されている。そして、各部位25,29にガイド部13の一部が形成されている。
また、第1の側方部位21の先端部側部位27と第2の側方部位23の先端部側部位31とが帽体3に係合して(たとえば帽体3の側方の下側内面に面接触して)、ガイド部材11が帽体3に一体的に設けられている。
シールド板5は、帽体3と中央部位19および各側方部位21,23の基端部側部位25,29との間に形成された空間内に入り込んで、帽体3の内部に収納されるようになっている。
第1の側方部位21の先端部側部位27は、帽体3の一方の側方の下側内面と面接触する曲面を備えた板状(湾曲した板状)に形成されており、第2の側方部位23の先端部側部位31も同様にして、帽体3の他方の側方の下側内面と面接触する曲面を備えた板状(湾曲した板状)に形成されている。
第1の側方部位21の基端部側部位25は、起立部位33と連結部位35とを備えて構成されている。起立部位33は、細長い板状に形成されており、幅方向が起立方向になるようにして、第1の側方部位21の先端部側部位27から、交差する方向で斜め起立している。連結部位35は、細長い板状に形成されており、幅方向の一端部が中央部位19に一体的に設けられ、幅方向の他端部が起立部位33に一体的に設けられて、起立部位33と中央部位19とをつないでいる。
ガイド部材11が帽体3に一体的に設けられた状態では、起立部位33が帽体3の内面から斜め前方の方向(帽体3の内側方向)に立ち上がっており、連結部位35(連結部位35の厚さ方向の各面)が、保護帽1のほぼ前後上下方向に展開している。
同様にして、第2の側方部位23の基端部側部位29は、起立部位41と連結部位43とで構成されている。
ガイド部材11のガイド部13は、連結部位35に形成された円弧状の長孔39と、連結部位43に形成された円弧状の長孔47と、ガイド部材11の幅方向の中央部でガイド部材11の上下方向に延びて形成されている被係合部63(溝65;中央部位19の中央部)とで構成されている。
シールド板5の係合部15は、シールド板5の幅方向の両端部に設けられている各係合片51,59と、シールド板5に設けられている突起37とで構成されている。
係合片51は、図7、図8、図9、図10で示すように、シールド板5の幅方向の一端側の上端部側でシールド板5の内側に突出して、シールド板5に一体的に設けられている。係合片51は、円柱状の基端部53と、基端部53よりも外径が大きい円板状に形成された傘部55とを備えた傘状に形成されている。係合片51は、ガイド部材11の基端部側部位25に設けられている長孔39に、長孔39の幅よりも外径が僅かに小さい基端部53が入り込んで、滑り対偶をなして係合している。なお、傘部55の外径は、長孔39の幅よりも大きくなっている。同様にして、シールド板5の幅方向の他方の側には、係合片59が設けられており、係合片59が長孔47に係合している。
突起37は、図12〜図14で示すように、シールド板5の幅方向では中央部で、シールド板5の上下方向では上端部側で、シールド板5の内側(凹面側)に突出してシールド板5に一体的に設けられている。
溝65の長手方向の両端部には、ガイド部材11を貫通している部位67,69が形成されている。溝65の長手方向の中間部には、ガイド部材11の内側に凹んでいる細長い板状のガイド凹部70が形成されている。そして、係合片51が長孔39に係合し、係合片59が長孔47に係合し、突起37の先端部が、ガイド凹部70に滑り対偶をなして係合することにより、シールド板5が、ガイドされて移動するようになっている。
ガイド部材11を帽体3の内部に設置したときには、図7で示すように、保護帽1の前側では、外側に帽体3、内側にガイド部材11が位置した二重構造になっており、帽体3とガイド部材11との間に、シールド板5が入り込むようになっている。
ガイド部材11を帽体3に設置したときには、連結部位35(43)の円弧状の長孔39(47)の中心は、所定の軸C1(図3、図6、図7参照)と一致する。したがって、シールド板5は、所定の軸C1を中心にして回動するようになっている。
また、ガイド部材11の中央部位19の断面(図7に示す断面)は、中心が所定の軸C1である円弧状に形成されている。また、シールド板5の断面(図7に示す断面)は、所定の軸C3を中心とする円弧状に形成されている。所定の軸C3は、所定の軸C1と平行に延びており所定の軸C1よりも僅かに上方で後方に位置している。
ガイド部材11の中央部位19の曲率半径が長孔39(47)の曲率半径よりも大きくなっており、ガイド部材11の中央部位19の曲率半径と、シールド板5の曲率半径とは、お互いがほぼ等しくなっている。
また、図7で示す断面では、シールド板5が収納位置P1に位置している場合、ガイド部材11の中央部位19の上端部と、シールド板5の上端部とが、帽体3の上下方向では帽体3の上側に位置しており、帽体3の前後方向では、帽体3の中央部に位置している。また、ガイド部材11の中央部位19の下端部と、シールド板5の下端部とが、帽体3の前方の下端部の近くに位置している。
また、保護帽1には、シールド板5を保持する保持手段61が設けられている。保持手段61は、シールド板5が収納位置P1や被覆位置P3に位置しているときに、シールド板5が帽体3に対して容易に移動しないように、シールド板5を保持する手段である。
保持手段61は、たとえば、シールド板5に設けられている突起37と、ガイド部材11に設けられている被係合部63とで構成されている。被係合部63は、ガイド部材11の幅方向の中央部でガイド部材11の上下方向に延びて形成されている溝65を備えて構成されている。
ガイド溝65における長手方向の一端部(上端部)側の部位67は、中央部よりも狭い幅B1に形成されており、ガイド溝65における長手方向の他端部(下端部)側の部位69も、同様にしては、狭い幅B1に形成されている。また、シールド板5に設けられている円柱状の突起37の外径D1が、幅B1よりもごく僅かに大きく形成されている。
そして、シールド板5が収納位置P1に位置しているときには、突起37が上端部側の部位67に入り込み、シールド板5が容易には移動しないようになっている。また、シールド板5が被覆位置P3に位置しているときには、突起37が下端部側の部位69に入り込み、シールド板5が容易には移動しないようになっている。
ところで、保護帽1には、図示しない内装体(たとえばハンモック)が設けられており、帽体3やガイド部材11には、ハンモックを係止するための複数の係止部71が設けられている。各係止部71のうちで後側に位置している各係止部71Aは、帽体3の内面に一体的に設けられており、各係止部71のうちで前側に位置している各係止部71Bは、ガイド部材11の内面に一体的に設けられている。
ここで、シールド板5についてさらに詳しく説明する。
シールド板5は、前述したように、着用者の頭部を保護する帽体3に設置されて着用者の顔面のたとえばほぼ総てを覆うものであり、透明体もしくは半透明体で湾曲した板状に形成されている。
シールド板5は、厚さ方向の一方の側が凹状で厚さ方向の他方の側が凸状である湾曲した板状に形成されている。そして、中央部から周辺部に向かうにしたがって、厚さが徐々に薄くなっている(図15、図16参照)。なお、シールド板5は、たとえば、アクリルやポリカーボネイト等の樹脂で構成されており、射出成形で成形されている。また、シールド板5は、ANSI規格に応じて、1.6mm〜2.0mm程度の厚さで形成されており、高速衝撃試験を施しても割れないようになっている。
シールド板5が湾曲した板状に形成されていることにより、着用者の顔面側であるシールド板5の内側の面(厚さ方向の一方の面)が凹状に形成されており、厚さ方向の他方の面である外側の面が凸状に形成されている。また、シールド板5は、左右方向の曲率半径が上下方向の曲率半径よりも小さく形成されており、左右方向における厚さの変化の割合が、上下方向における厚さの変化の割合よりも大きく形成されている(図15、図16参照)。なお、シールド板の上下方向における円弧の中心は、軸C3と一致している。一方、シールド板5の左右方向における円弧の中心は、たとえば、帽体3の開口部9の中心を通る軸とほぼ一致している。
さらに、シールド板5は、本体部73と庇部17とを備えて構成されており、本体部73が、前述したように湾曲した板状に形成されている。シールド板5の本体部73の凸面(凹面)は、所定の3次曲面に近似した所定形状に形成されている。上記所定の3次曲面は、軸方向の中央部が膨らんだ円柱状の形状である樽状の立体の側面を、前記軸を含む第1の平面と、前記軸を含んで前記第1の平面と所定の角度で交差する第2の平面とで切断したときに得られる4つの3次曲面のうちの1つの曲面である。
なお、図12で示すように、シールド板5の本体部73の上端や左右方向の両端は、正面から見た場合に直線状に形成されており、シールド板5の本体部73の下端は、下に凸な円弧状に形成されている。
庇部17は、上述したように、本体部73の下方で本体部73とは反対側に曲がって突出している。
より詳しく説明すると、庇部17は、図12で示すように、正面から見た場合に三日月形状で板状に形成されており、三日月形状の凹状に形成されている部位がシールド板5の本体部73の下端につながって、本体部73の下端から下方に突出して本体部73と一体になっている。また、図13(図6)で示すように、直立している着用者が帽体3を被りシールド板5で着用者の顔面を覆ったとき、庇部17は、この上端(本体部73側の端)から下端に向かうにしたがって、着用者の顔面から離れる方向(前方)に突出している。
また、庇部17の幅方向の中央部には、本体部73の内側(後側;着用者の顔面側)に所定の幅で凹んでいる凹部75が形成されている。
ここで、保護帽1を着用してシールド板5を出入りさせる動作について説明する。
まず、シールド板5が収納位置P1に位置している状態で、着用者が保護帽1を被る。シールド板5を被覆位置P3に位置させて作業をする必要がある場合には、シールド板5の下端部(たとえば庇部17)を、下方に引っ張ってシールド板5を下方に移動させると、突起37がガイド溝65の下端部側の部位69に入り込み、シールド板5が被覆位置P3に位置し、シールド板5が被覆位置P3からは容易には移動しないようになる。
一方、被覆位置P3に位置しているシールド板5を、収納位置P1に位置させる場合には、シールド板5を押し上げて上方に移動させると、突起37がガイド溝65の上端部側の部位67に入り込み、シールド板5が収納位置P1に位置し、シールド板5が収納位置P1からは容易には移動しないようになる。
保護帽1によれば、シールド板5が、この中央部から周辺部に向かうにしたがって、厚さが徐々に薄くなっている構成であるので、着用者がシールド板5を介して正面を見た場合における光路長(シールド板内における光路長)と、着用者がシールド板5を介して周辺を見た場合とにおける光路長(シールド板内における光路長)との差を小さくすることができ、着用者がシールド板5の周辺部を介してものを見たときであっても、像の歪みを極力少なくすることができる。
すなわち、図20(シールド板5の断面を示す図であって図16に対応した図)に示すように、シールド板5における光路長L11と光路長L21との差が小さくなっており、光路長L11と光路長L31との差が小さくなっているので、像の歪みを極力少なくすることができる。
ここで、図20に示す参照符号F0は、本実施形態に係るシールド板5の外側の面(凸面)を示しており、参照符号F1は、本実施形態に係るシールド板5の内側の面(凹面)を示している。これにより、本実施形態に係るシールド板5の厚さが、中央部から周辺部に向かうにしたがって、徐々に薄くなっている。一方、参照符号F0は、従来のシールド板の外側の面を示しており、参照符号F2は、従来のシールド板の内側の面を示しており、これにより、従来のシールド板の厚さは一定になっている。
参照符号R1は、正面から着用者の目EYに入る光の光路を示しており、参照符号R2、R2aは、側面側(シールド板の周辺部)から着用者の目EYに入る光の光路を示しており、参照符号R3、R3aは、さらなる側面側から着用者の目EYに入る光の光路を示している。
正面から着用者の目EYに入る光(光路R1の光)のシールド板5における光路長(本実施形態に係るシールド板5における光路長)L11と光路長(従来のシールド板における光路長)L12とは、お互いの長さが等しくなっている。
一方、空気の屈折率に比べてシールド板の屈折率が大きいので、スネルの法則により、側面側から着用者の目EYに入る光(光路R2、R2aの光)のシールド板における光路長(従来のシールド板における光路長)L22に比べて、光路長(本実施形態に係るシールド板5における光路長)L21が短くなっており、光路長L21の長さは、光路長L11の長さとほぼ等しくなっている。同様にして、光路長L32に比べて、光路長L31が短くなっており、光路長L31の長さは、光路長L11の長さとほぼ等しくなっている。これにより、像の歪みを極力少なくすることができるようになっている。
また、保護帽1によれば、シールド板5の左右方向における曲率半径が上下方向における曲率半径よりも小さく形成されており、左右方向における厚さの変化の割合が、上下方向における厚さの変化の割合よりも大きく形成されているので、着用者の顔面形態に合わせて、着用者がシールド板5の周辺部を介してものを見るときにおける像の歪みを極力少なくすることができる。
すなわち、シールド板5の上下方向の曲率半径が左右方向の曲率半径よりも大きく形成されているので、着用者の顔面の形状に適合して着用者の顔面を覆うことができる。また、シールド板5の上下方向の曲率半径が左右方向の曲率半径よりも大きくなっているので、シールド板5の上下方向における厚さの変化の割合を左右方向における厚さの変化の割合より小さくして、像の歪みを極力少なくしている。
また、保護帽1によれば、シールド板5の庇部17が、本体部73の下方で本体部73とは反対側(逆方向;着用者の顔面から離れる方向)に曲がって突出しているので、上述したように、飛来物がシールド板5にあたっても、飛来物がシールド板5の表面を滑って、着用者の体に接触する事態を回避することができる。
すなわち、図6に矢印A6で示すように、斜め上方から飛来してきた飛来物が、シールド板5の下方に浅い角度で衝突すると、衝突して跳ね返った飛来物が、着用者の胸や腹まで到達するおそれがある。なお、図6では、着用者が水平方向を向いているので、上記おそれは、少ないが、着用者が上方を向いて作業をしているときには、上記衝突して跳ね返った飛来物が、重力の影響で着用者の胸や腹まで到達するおそれが高くなる。しかし、庇部17が設けられているので、上記衝突して跳ね返った飛来物が、庇部17に再衝突し着用者から離れた箇所に落下するようになっており、着用者の体まで到達する事態を回避することができる。
また、保護帽1によれば、凹部75が設けられていることにより、保護帽1の着用者がシールド板5を操作しやすくなっている。
すなわち、たとえば、シールド板5が収納位置P1に存在している状態では、シールド板5の庇部17に凹部75が設けられているので、シールド板5の庇部17と帽体3の庇部10との間に、着用者が指を入れることができる隙間が形成されている。そして、収納位置P1に存在しているシールド板5を被覆位置P3に位置させる場合、上記隙間に着用者が指を入れてシールド板5を容易に下方に移動させて被覆位置P3に位置させることができる。
さらに、保護帽1によれば、シールド板5が常に帽体3に設置されており、また、ガイド手段7により、シールド板5が所定の軸C1を中心にして回動して移動するようになっているので、シールド板5の付け忘れを防止することができると共に、帽体3を大きくせず従来の形状をほぼ保ったままで、シールド板5の移動ストロークを長くすることができる。そして、シールド板5の長さ(高さ)が、着用者の顔面のほぼ総てを覆うことができる長さであっても、着用者の邪魔にならないように、シールド板5を帽体3の内部にほぼ納めることができる。
また、帽体3が、着用者の耳部を覆う部位が除去された形状である半球殻状に形成されているので、保護帽1が小型化されて質量が軽減されていると共に着用者に開放感を与えることができる。
また、保護帽1によれば、シールド板5が、円弧状のガイド部13でガイドされ円弧状の軌跡を描いて移動するので、シールド板5の移動ストロークをさらに長くすることができ、着用者の顔面のほぼ総てを覆うことができる長さのシールド板5を採用しても、着用者の邪魔にならないように、シールド板5を帽体3の内部にほぼ納めることが一層容易になる。
また、保護帽1によれば、円弧状のガイド部13が所定の軸C1を中心にした円弧状に形成されて帽体3の内部に設けられているので、着用者の耳を覆うことがない半球殻状の帽体3を採用することができる。すなわち、シールド板5を所定の軸C1のところで帽体に支持させる構成であると、シールド板5を支持する回動軸(シールド板5の軸C1のところに位置している回動軸)を帽体3に別途設けなければならず、これにより、帽体3に耳部(着用者の耳部を覆う部位)等を設ける必要が生じ、帽体3を半球殻状にすることができなくなる。しかし、保護帽1は、帽体3に耳部を設けることなく帽体3の形状を半球殻状にすることができる。
また、保護帽1によれば、ガイド部材11が一体的に構成されており、帽体3の左右方向の2箇所で帽体3に接触して一体的に設けられているので、ガイド部材11自体の剛性と、ガイド部材11を帽体3に取り付けたときの取り付け剛性とが高くなっている。
また、内装体を構成するハンモックを係止する係止部71Bを、ガイド部13やシールド板5との干渉を避けて、ガイド部材11の中央部位19の内側に設けることができる。
なお、シールド板として、着用者の顔の上半分のみを覆うハーフタイプのものを採用してもよい。
[第2の実施形態]
図21、図22は、本発明の第2の実施形態に係る保護帽201を、着用者が被ったときの斜視図であり、図23は、保護帽201の断面図であり、図24、図25は、保護帽201を内側から見たときの図である。
なお、図21、図24は、シールド板205を収納位置P201に位置させた状態を示しており、図22、図25は、シールド板205を被覆位置P203に位置させた状態を示している。また、図23は、保護帽201の中心を通り保護帽201の前後上下方向に展開する平面による断面図である。
保護帽(シールド板付きヘルメット)201は、たとえば、ほぼ左右対称に形成されている帽体203と、シールド板205と、シールド板205をガイドするガイド手段207とを備えて構成されている。
帽体203は、着用者の頭部を保護するためのものであり、椀状(たとえば、半球殻状)に形成されている。
帽体203は、帽体3と同様に、「半球殻状」に形成されているのであって、完全な「半球殻」な形状に形成されているわけではない。すなわち、帽体203は、着用者の頭部の形状に合うようにするために、曲率半径が適宜変化している形状に形成されている。また、帽体203の開口部(淵;下端)209も、完全な円形ではなく、着用者の頭部の形状に合うようにするために、曲率半径が適宜変化している円形状に形成されている。
帽体203が半球殻状に形成されていることにより、帽体203の外面および内面は、急な曲がり部分が存在しない滑らかな球面状になっている。また、帽体203が半球殻状に形成されていることにより、直立している着用者が保護帽201を被った場合、帽体203の開口部209は、ほぼ水平になっており、開口部209は、着用者の耳よりも僅かに上側に位置しており、着用者の耳が露出している(図21、図22参照)。
シールド板(面体;シールド部材)205は、第1の実施形態に係るシールド板5と同様にして、着用者の顔面のほぼ総てを保護するためのものであり、樹脂等の透明な材料で構成されている。
ガイド手段207は、ガイド手段7と同様にして、シールド板205が帽体203に対して移動するときに、シールド板205をガイドする手段であり、ガイド手段207でガイドされることにより、シールド板205が、収納位置P201と被覆位置P203との間で、帽体203の内部の曲面(凹な球面状に形成された帽体203の前側の内部曲面)に沿って円弧状の軌跡を描いて移動するようになっている。収納位置P201は、シールド板205が、帽体203の前側内部に収納される位置であり、被覆位置P203は、シールド板205が、着用者の顔面(頭部の前面)のほぼ総てを覆う位置である。
ガイド手段207でガイドされるシールド板205は、帽体203から容易には分離されないようになっていると共に、保護帽201の左右方向に移動することは無く、保護帽201(帽体203)の左右方向に延びた所定の軸C201(図23参照)を回動中心として移動(回動)するようになっている。所定の軸C201は、着用者の左右の耳のところを通って、帽体203の左右方向(図23の紙面に直交する方向)に延びている。
ガイド手段207は、たとえば、ガイド部材211に設けられたガイド部213と、シールド板205に設けられた係合部215とを備えて構成されている。
ガイド部213は、円弧状(完全な円弧ではなく円弧に近い形状)に形成されており、ガイド部213が帽体203の前側の内面に沿うようにして(たとえば、ほぼ平行になるようにして)、ガイド部材211が、帽体203の前側の内部で帽体203に一体的に設けられている。ガイド部213は、ガイド部材211のたとえば幅方向の両端部に設けられている。
シールド板205は、帽体203の前側内面に沿った球面状の曲面(たとえば、帽体203の前側の面よりも曲率半径が僅かに小さい曲面)を備えた板状(湾曲した板状)に形成されている。シールド板205の幅方向の両端側の部位には、ガイド部213に係合する係合部215が設けられている。そして、係合部215がガイド部213に係合することにより、収納位置P201と被覆位置P203との間で、シールド板205が移動するようになっている。
収納位置P201にシールド板205が位置している状態について詳しく説明すると、この状態で、シールド板205が帽体203の内部に完全に収容されているわけではなく、シールド板205の下端部(庇217が設けられている下端部)とこの近傍の部位が、帽体203の下端部(帽体203の開口部209の前側)から下方に突出している。なお、庇(庇部)217は、第1の実施形態の場合と同様にして、シールド板205の下端部で反転している。すなわち、庇217は、逆方向(着用者の顔面から離れる方向)に曲がって延出している。これにより、飛来物がシールド板(被覆位置P203にあるシールド板)205にあたっても、飛来物がシールド板205の表面を滑って、着用者の体に接触する事態を回避することができる。なお、第1の実施形態の場合と同様にして、シールド板205の幅方向の中央部に凹部75を設けてもよい。
収納位置P201にシールド板205が位置している状態においてシールド板205の下端部やこの近傍の部位が帽体203の下端部(帽体203の開口部209の前側)から下方に突出していても、着用者の邪魔になることはなく、着用者は、シールド板205の存在をその視界で意識することなく保護帽201を被ることができるようになっている。また、シールド板205の上端部は、帽体203の頂上部付近に位置している。なお、シールド板205の庇217を削除し、収納位置P201にシールド板205が位置している状態において、シールド板205が帽体203の内部に完全に収容される構成であってもよい。
被覆位置P203にシールド板205が位置している状態では、シールド板205の下端部が、着用者の顎よりも下側に位置して、シールド板205が着用者の顔面のほぼ総てを覆っている。すなわち、正面から見た場合、シールド板205によって、着用者の顔面の総てが覆われている。シールド板205の上端部は、帽体203の下端部(帽体203の前側の開口部209)の近傍で帽体203の内部に位置している。
ガイド部材211は、中央部位219と第1の側方部位221と第2の側方部位223とを備えて一体的に構成されている。中央部位219は、帽体203の前側内面(凹な球面状に形成された帽体203の内側曲面)に沿った球面状の曲面(たとえば、シールド板205よりも曲率半径が僅かに小さい曲面)を備えて板状(湾曲した板状)に形成されている。第1の側方部位221は、中央部位219の幅方向の一端部側で中央部位219に一体的に設けられている。第2の側方部位223は、中央部位219の幅方向の他端部側で中央部位219に一体的に設けられている。
第1の側方部位221は、基端部側部位(中央部位219側の部位)225と先端部側部位227とで構成されており、第2の側方部位223も同様にして、基端部側部位(中央部位219側の部位)229と先端部側部位231とで構成されている。そして、各部位225,229にガイド部213が形成されている。
また、第1の側方部位221の先端部側部位227と第2の側方部位223の先端部側部位231とが帽体203に係合して(たとえば帽体203の側方の下側内面に面接触して)、ガイド部材211が帽体203に一体的に設けられている。
シールド板205は、帽体203と中央部位219および各側方部位221,223の基端部側部位225,229との間に形成された空間内に入り込んで、帽体203の内部に収納されるようになっている。
第1の側方部位221の先端部側部位227は、帽体203の一方の側方の下側内面と面接触する曲面を備えた板状(湾曲した板状)に形成されており、第2の側方部位223の先端部側部位231も同様にして、帽体203の他方の側方の下側内面と面接触する曲面を備えた板状(湾曲した板状)に形成されている。
第1の側方部位221の基端部側部位225は、起立部位233と連結部位235とを備えて構成されている。起立部位233は、細長い板状に形成されており、幅方向が起立方向になるようにして、第1の側方部位221の先端部側部位227から、たとえばほぼ直交する方向に起立している。連結部位235は、細長い板状に形成されており、幅方向の一端部が中央部位219に一体的に設けられ、幅方向の他端部が起立部位233に一体的に設けられて、起立部位233と中央部位219とをつないでいる。
ガイド部材211が帽体203に一体的に設けられた状態では、起立部位233が帽体203の内面から直交する方向(帽体203の内側方向)に立ち上がっており、連結部位235(連結部位235の厚さ方向の各面)が、保護帽201のほぼ前後上下方向に展開している。
同様にして、第2の側方部位223の基端部側部位229は、起立部位241と連結部位243とで構成されている。
そして、ガイド部213は、起立部位233の厚さ方向の一方の曲面(ガイド部材211を帽体203に設置したときに、前側に位置している円弧状の曲面)237と、連結部位235に形成された円弧状の長孔239と、起立部位241の厚さ方向の一方の曲面(ガイド部材211を帽体203に設置したときに、前側に位置している凸な円弧状の曲面)245と、連結部位243に形成された円弧状の長孔247とで構成されている。
シールド板205の係合部215は、シールド板205の幅方向の各端面249,257と各係合片251,259とで構成されている。端面249は、シールド板205の幅方向における一方の端面であり、起立部位233の曲面237と曲率半径がほぼ等しい凹な円弧状に成されており、曲面237と線接触(より、精確には面接触)し、滑り対偶をなして係合している。また、端面257は、シールド板205の幅方向における他方の端面であり、端面249と同様に構成されて、起立部位241の曲面245と係合している。
また、係合片251は、図26(図23におけるXXVI−XXVI断面)で示すように、シールド板205の幅方向の一端側の上端部側でシールド板205の内側に突出して、シールド板205に一体的に設けられている。係合片251は、円柱状の基端部253と、基端部253よりも外径が大きい円板状に形成された傘部255とを備えた傘状に形成されている。係合片251は、ガイド部材211の基端部側部位225に設けられている長孔239に、長孔239の幅よりも外径が僅かに小さい基端部253が入り込んで、滑り対偶をなして係合している。なお、傘部255の外径は、長孔239の幅よりも大きくなっている。同様にして、シールド板205の幅方向の他方の側には、係合片259が設けられており、係合片259が長孔247に係合している。
ガイド部材211を帽体203の内部に設置したときには、図23で示すように、保護帽201の前側では、外側に帽体203、内側にガイド部材211が位置した二重構造になっており、帽体203とガイド部材211との間に、シールド板205が入り込むようになっている。
ガイド部材211を帽体203に設置したときには、起立部位233(241)の円弧状の曲面237(245)の中心と連結部位235(243)の円弧状の長孔239(247)の中心とはお互いがほぼ一致しており、これらの中心は、着用者の耳部に位置している。したがって、シールド板205は、着用者の耳部を通って保護帽の左右方向に延びている軸C201(図23参照)をほぼ中心にして回動するようになっている。ただし、完全な円弧の軌跡で描いて回動するのではなく、円弧に近い円弧状の軌跡を描いて回動するようになっている。
また、起立部位233(241)の曲面237(245)が、連結部位235(243)の長孔239(247)よりも回動中心軸C201側(内側)に位置しており、連結部位235(243)の長孔239(247)の曲率半径が起立部位233(241)の曲面の曲率半径よりも大きくなっている。
さらに、ガイド部材211の中央部位219の断面(図23に示す断面)、シールド板205の断面(図23に示す断面)、帽体203の前側部位の断面(図23に示す断面)は、回動中心軸C201をほぼ中心とする円弧状に形成されている。そして、ガイド部材211の中央部位219が連結部位235(243)の長孔239(247)の外側に位置しており、シールド板205が、ガイド部材211の中央部位219よりも外側に位置しており、帽体203の前側部位がシールド板205よりも外側に位置している。
ガイド部材211の中央部位219の曲率半径が長孔239(247)の曲率半径よりも大きくなっており、シールド板205の曲率半径がガイド部材211の中央部位219の曲率半径よりも大きくなっており、帽体203の前側部位の曲率半径がシールド板205の曲率半径よりも大きくなっている。
また、図23で示す断面では、シールド板205が収納位置P201に位置している場合、起立部位233(241)の曲面の上端部と、長孔239(247)の上端部と、ガイド部材211の中央部位219の上端部と、シールド板205の上端部とが、帽体203の上下方向では帽体203の上側に位置しており、帽体203の前後方向では、帽体203の中央部に位置している。また、起立部位233(241)の曲面237(245)の下端部と、長孔239(247)の下端部と、ガイド部材211の中央部位219の下端部と、シールド板205の下端部とが、帽体203の前方の下端部の近くに位置している。
また、保護帽201には、シールド板205を保持する保持手段261が設けられている。保持手段261は、シールド板205が収納位置P201や被覆位置P203に位置しているときに、シールド板205が帽体203に対して容易に移動しないように、シールド板205を保持する手段である。
保持手段261は、たとえば、図27に示すような各切り欠き263,265を備えて構成されている。切り欠き263は、長孔239(247)の上端部で、長孔239(247)につながって、長孔239(247)上方に向かって設けられている。切り欠き265は、長孔239(247)の下端部で、長孔239(247)につながって、長孔239(247)前方に向かって設けられている。
そして、シールド板205が収納位置P201に位置しているときには、係合片251(259)の基端部253が、切り欠き263に入り込み、シールド板205が容易には移動しないようになっている。また、シールド板205が被覆位置P203に位置しているときには、係合片251(259)の基端部253が、切り欠き265に入り込み、シールド板205が容易には移動しないようになっている。
また、保護帽201には、シールド板205が被覆位置P203に位置すべく下方に移動するときに、シールド板205の幅方向の中央部が、必要以上に下方に移動しないようにするためのストッパが設けられている。前記ストッパは、シールド板205に形成された突起267と、ガイド部材211の中央部位219に設けられた突起269とで構成されている。
ところで、保護帽201には、図示しない内装体(たとえばハンモック)が設けられており、帽体203やガイド部材211には、ハンモックを係止するための複数の係止部271が設けられている。各係止部271のうちで後側に位置している各係止部271Aは、帽体203の内面に一体的に設けられており、各係止部271のうちで前側に位置している各係止部271Bは、ガイド部材211の内面に一体的に設けられている。
また、本実施形態(第2の実施形態)において、第1の実施形態に係るシールド板5と同様に、シールド板205が、この中央部から周辺部に向かうにしたがって、厚さが徐々に薄くなっていてもよい。
ここで、保護帽201を着用してシールド板205を出入りさせる動作について説明する。
まず、シールド板205が収納位置P201に位置している状態で、着用者が保護帽201を被る。シールド板205を被覆位置P203に位置させて作業をする必要がある場合には、シールド板205の下端部(たとえば庇217)を、前方に少し押すと、係合片251(259)が、切り欠き263から出てきて、シールド板205が移動可能になる。この状態で、シールド板205を、長孔239(247)等に沿って下方に移動させると、係合片251(259)が、切り欠き265に入り込み、シールド板205が被覆位置P203に位置し、シールド板205が被覆位置P203からは容易には移動しないようになる。
一方、被覆位置P203に位置しているシールド板205を、収納位置P201に位置させる場合には、シールド板205の下端部(たとえば庇217)を、少し前方に押すと、係合片251(259)が、切り欠き265から出てきて、シールド板205が移動可能になる。この状態で、シールド板205を、長孔239(247)等に沿って上方に移動させると、係合片251(259)が、切り欠き265に入り込み、シールド板205が被覆位置P203に位置する。
保護帽201によれば、シールド板205が常に帽体203に設置されており、また、ガイド手段207により、シールド板205が帽体203の曲面に沿って移動するようになっているので、シールド板205の付け忘れを防止することができると共に、帽体203を大きくせず従来の形状をほぼ保ったままで、シールド板205の移動ストロークを長くすることができる。そして、シールド板205の長さ(高さ)が、着用者の顔面のほぼ総てを覆うことができる長さであっても、着用者の邪魔にならないように、シールド板205を帽体203の内部にほぼ納めることができる。
また、帽体203が、着用者の耳部を覆う部位が除去された形状である半球殻状に形成されているので、保護帽201が小型化されて質量が軽減されていると共に着用者に開放感を与えることができ、さらに、帽体203の外側(凸側)の面や内側の面(凹側の面)が滑らかに曲がっており、帽体203の剛性が高くなっている。
また、保護帽201によれば、帽体203の前側内面に沿った曲面を備えて板状に形成されたシールド板205が、円弧状のガイド部213でガイドされ円弧状の軌跡を描いて移動するので、シールド板205の移動ストロークをさらに長くすることができ、着用者の顔面のほぼ総てを覆うことができる長さのシールド板205を採用しても、着用者の邪魔にならないように、シールド板205を帽体203の内部にほぼ納めることが一層容易になる。
また、保護帽201によれば、円弧状のガイド部213が帽体203の前側内面に沿うようにして帽体203の内部に設けられているので、着用者の耳を覆うことがない半球殻状の帽体203を採用することができる。すなわち、シールド板205を回動中心軸C201のところで帽体に支持させる構成であると、シールド板205を支持する回動軸(シールド板205の回動中心軸C201のところに位置している回動軸)を帽体203に別途設けなければならず、これにより、帽体203に耳部(着用者の耳部を覆う部位)に設ける必要が生じ、帽体203を半球殻状にすることができなくなる。しかし、保護帽201は、帽体203に耳部を設けることなく帽体203の形状を半球殻状にすることができる。
また、保護帽201によれば、ガイド部材211が一体的に構成されており、帽体203の左右方向の2箇所で帽体203に接触して一体的に設けられているので、ガイド部材211自体の剛性と、ガイド部材211を帽体203に取り付けたときの取り付け剛性とが高くなっている。
また、内装体を構成するハンモックを係止する係止部271Bを、ガイド部213やシールド板205との干渉を避けて、ガイド部材211の中央部位219の内側に設けることができる。
また、保護帽201によれば、シールド板205が、ガイド部材211の4箇所(各面237,245と各長孔239,247)に係合して移動するようになっているので、シールド板205が帽体203に対して滑らかに安定した状態で移動できるようになっている。
ところで、保護帽201では、シールド板205が、この幅方向の両端部で支持されて移動するようになっているが、この支持形態に加えて、シールド板205が、この幅方向の中央部で支持されて移動するように構成されていてもよい。たとえば、シールド板205の幅方向の中央部に、係合片251と同様な係合片を設け、この係合片に係合する長孔(長孔239と同様な長孔)を、中央部位219に設けた構成であってもよい。
また、シールド板として、着用者の顔の上半分のみを覆うハーフタイプのものを採用してもよい。
[第3の実施形態]
図28は、本発明の第3の実施形態に係る保護帽301の概略構成を示す図であり、図29は、保護帽301の帽体303と汎用の保護帽の帽体300との外形の違いを示す図であり、図30は、保護帽301の断面図(保護帽301の中心を通り保護帽301の前後上下方向に展開する平面による断面図)である。
図31は、着用者が保護帽301を被った状態を示す図である。図31の(a),(b)は、シールド板305を収納位置P301に位置させた状態を示しており、図31の(c),(d)は、シールド板305を被覆位置P303に位置させた状態を示している。
保護帽301は、帽体303とシールド板(シールド部材;面体)305とを備えて構成されている。帽体303、シールド板305は、左右対称に形成されている。帽体303には、着用者の耳を覆う耳部307が設けられている。また、帽体303は、汎用の帽体300に対して、帽体303の前側のみが外側に大きくなるように形成した椀状に形成されている。
ここで、汎用の帽体300とは、シールド板を備えておらず帽体と内装体とで構成された帽体であり、厚生労働省の規格(保護帽の規格)に適合させるべく、たとえば必要最小限の大きさに形成された保護帽の帽体である。汎用の帽体として、前後方向の長さが260mm〜280mm程度のMPヘルメット等の帽体300(図29参照)を掲げることができる。
帽体303は、半球殻状の形状のものに、板状に形成されている耳部307を付加した椀状に形成されている。耳部307の厚さと帽体303の耳部以外の箇所の厚さとはお互いがほぼ一致している。また、耳部307の厚さ方向は帽体303の左右方向(図28では紙面に直交する方向)になっている。
なお、帽体303は、半球殻状に形成されているのであって完全な半球殻に形成されているわけではない。すなわち、帽体303は、帽体3と同様にして、着用者の頭部の形状に合うようにするために、曲率半径が適宜変化している形状に形成されている。
また、帽体303の開口部(淵;下端)309も、完全な円形ではなく、着用者の頭部の形状に合うようにするために耳部307を設けたことにより、曲率半径等が適宜変化している円形状に形成されている。
帽体303が椀状に形成されていることにより、帽体303の外面および内面は、急な曲がり部分が存在しない滑らかな球面状になっている。さらに、帽体303が半球殻状のものに耳部307を設けた椀状に形成されていることにより、直立している着用者が保護帽301を被った場合、帽体303の前後方向の中央部で、帽体303の耳部307が下側に突出しており、この耳部307で着用者の耳の総てもしくは一部が覆われるようになっている。
シールド板305は、シールド板5と同様にして、樹脂等の透明な部材で構成されており、着用者の顔面の総てを覆うことができる大きさに形成されている。また、シールド板305は、帽体303の前側の内面(凹な球面状の曲面)に沿った球面状の曲面を備えた板状(湾曲した板状;1/4程度の球殻状)に形成されており、左右方向の両端部に係合部311が設けられている。帽体303の耳部307にはガイド部313が形成されており、シールド板305の係合部311が、ガイド部313に係合することによって、収納位置P301と被覆位置P303との間で、係合部311の中心軸C301を中心にして、シールド板305が円弧状の軌跡を描いて回動するようになっている。軸C301は、耳部307の中央を通って、保護帽301の左右方向(図28の紙面に直交する方向)に延びている軸である。
ここで、収納位置P301は、シールド板305が帽体303の前側内部に収納されたときの位置であり、被覆位置P303は、シールド板305が帽体303の着用者の顔面(頭部の前面)のほぼ総てを覆う位置である。
ガイド部313は、たとえば、帽体303の耳部307を貫通する円形の貫通孔315で構成されており、係合部311は、シールド板305の側方(幅方向の両側)の下部でシールド板305の外側に僅かに突出している円柱状の突起(外径が貫通孔よりも僅かに小さい突起)317で構成されている。そして、各突起317が各貫通孔315に嵌合していることにより(図28におけるXXXIII−XXXIII断面を示す図である図33参照)、シールド板305が前記回動をするようになっている。
収納位置P301にシールド板305が位置している状態について詳しく説明すると、この状態で、シールド板305が帽体303の内部に完全に収容されているわけではなく、シールド板305の下端部(庇319が設けられている下端部)とこの近傍の部位が、帽体303の前側で帽体303の下端部(帽体3の開口部309の前側)から下方に突出している。ただし、この下方に突出している部位が、着用者の邪魔になることはなく、着用者は、シールド板305の存在をその視界で意識することなく保護帽301を被ることができるようになっている。
庇(庇部)319は、第1の実施形態の場合と同様にして、シールド板305の下端部で反転している。すなわち、庇319は、逆方向(着用者の顔面から離れる方向)に曲がって延出している。これにより、飛来物がシールド板(被覆位置P303にあるシールド板)305にあたっても、飛来物がシールド板305の表面を滑って、着用者の体に接触する事態を回避することができる。
また、シールド板305の上端部は、帽体303の頂上部付近に位置している。なお、シールド板305の庇319を削除し、収納位置P301にシールド板305が位置している状態において、シールド板305が帽体303の内部に完全に収容される構成であってもよい。
被覆位置P303にシールド板305が位置している状態では、シールド板305の下端部が、着用者の顎よりも下側に位置して、シールド板305が着用者の顔面のほぼ総てを覆っている(図31(c),(d)参照)。すなわち、正面から見た場合、シールド板305によって、着用者の顔面の総てが覆われている。なお、シールド板305の上端部は、帽体303の下端部(帽体303の前側の淵)の近傍で帽体303の内部に位置している。
また、保護帽301には、左右対称に形成されている内側部材321が設けられている。内側部材321は、帽体303の前側内部で帽体303に一体的に設けられている。
内側部材321は、図30や図32(内側部材321の概略構成を示す斜視図)で示すように、中央部位323と起立部位325と突出部位327とを備えて構成されている。中央部位323は、帽体303の前側内面(凹な球面状に形成された帽体303内側の曲面)に沿った球面状の曲面を備えた板状(湾曲した板状;1/4程度のサイズの球殻状)に形成されている。
起立部位325は、板状で「U」字状に形成されており、中央部位323の後端部から、中央部位323の外方向に(凸方向に)所定の高さで起立している。突出部位327は、板状で「U」字状に形成されており、起立部位325から、後方に所定の幅で突き出ている。
そして、突出部位327の厚さ方向の一方の面(外側の凸な面)が帽体303の内面(凹な面)に係合(面接触)することにより、内側部材321が、帽体303の前側内部で帽体303に一体的に設けられている。なお、突出部位327が面接触している帽体303内部の面は、この幅が帽体303の前後方向になるようにして、帽体303の前後方向の中央部で、帽体303の左側から始まり帽体303の頂上部を通って帽体の右側まで、「U」字状に延びている。
内側部材321を帽体303に設置したときには、保護帽301の前側では、外側に帽体303、内側に内側部材321が位置した二重構造になっており、シールド板305は、帽体303と内側部材321とで形成された空間内(帽体303と中央部位323および起立部位325とで形成された空間内)に入り込んで、収納位置P301に位置し、帽体303内に収納されるようになっている。
内側部材321を帽体303に設置したとき、図30で示すように、内側部材321における円弧状の中央部位323の中心と、円弧状のシールド板305の中心と、円弧状の帽体303の中心と、シールド板305の回動中心軸C301とは、お互いがほぼ一致している。また、帽体303の曲率半径がシールド板305の曲率半径よりも大きくなっており、シールド板305の曲率半径が内側部材321の中央部位323の曲率半径よりも大きくなっている。
また、保護帽301には、シールド板305を保持する保持手段329が設けられている。保持手段329は、シールド板305が収納位置P301や被覆位置P303に位置しているときに、シールド板305が帽体303に対して容易に回動しないように、シールド板305を保持する手段である。
保持手段329は、たとえば、図30に示すような各突起331,333,335,337を備えて構成されている。突起331は、半球状に形成されており、シールド板305の前後方向では後端部で、シールド板305の幅方向では中央部で、シールド板305の内面(凹な面)に一体的に設けられている。突起333は、半球状に形成されており、内側部材321の前後方向では中央部位323の後端部の近傍で、内側部材321の幅方向では中央部で、内側部材321の外面(凸な面)に一体的に設けられている。突起335は、1/4の球状に形成されており、1つの平面335Aが内側部材321の後方(上方)を向くようにして、内側部材321の前後方向では中央部位323の前端部で、内側部材321の幅方向では中央部で、内側部材321の外面(凸な面)に一体的に設けられている。突起335の高さは、他の突起331,333,337の高さよりも高くなっている。突起337は、半球状に形成されており、内側部材321の前後方向では突起335よりも僅かに後方(上方)で、内側部材321の幅方向では中央部で、内側部材321の外面(凸な面)に一体的に設けられている。
そして、図30で示すように、シールド板305が収納位置P301に位置している状態では、シールド板305の突起331が、内側部材321の突起333と内側部材321の起立部位325とで挟まれて、シールド板305が容易には回動しないようになっている。収納位置P301に位置しているシールド板305を被覆位置P303に位置させるべく、シールド板305を図30に示す矢印の方向に回動させると、突起331が突起333を乗り越えてシールド板305が回動し突起337を乗り越えたときにシールド板305が被覆位置P303に位置すると共に、突起331が突起337と突起335とで挟まれて、シールド板305が容易には回動しないようになっている。
なお、突起335が平面335Aを備えており、また、突起335高さが高くなっていることにより、被覆位置P303に位置しているシールド板305(突起337と突起335とで挟まれている突起331)は、それ以上、図30に示す矢印の方向には、回動しないようになっている。
ところで、保護帽301には、図示しない内装体(たとえばハンモック)が設けられており、帽体303や内側部材321には、ハンモックを係止するための複数の係止部339が設けられている。各係止部339のうちで後側に位置している各係止部339Aは、帽体303の内面に一体的に設けられており、各係止部339のうちで前側に位置している各係止部339Bは、内側部材321の内面に一体的に設けられている。
また、本実施形態(第3の実施形態)において、第1の実施形態に係るシールド板5と同様に、シールド板305が、この中央部から周辺部に向かうにしたがって、厚さが徐々に薄くなっていてもよい。
ここで、保護帽301を着用してシールド板305を出入りさせる動作について説明する。
まず、シールド板305が収納位置P301に位置している状態で、着用者が保護帽301を被る。シールド板305を被覆位置P303に位置させて作業をする必要がある場合には、シールド板305の下端部(たとえば庇319)を下方向に引っ張れば、シールド板305が回動し、シールド板305が被覆位置P303に位置する。
一方、被覆位置P303に位置しているシールド板305を、収納位置P301に位置させる場合には、シールド板305を上方に押すと、シールド板305が回動し、シールド板305が収納位置P301に位置する。
ところで、保護帽301において、シールド板305の回動中心軸C301の位置を調整自在に構成してもよい。すなわち、図34に示すように、貫通孔315と同様な複数の貫通孔315a〜315iを耳部307に設け、これらの各貫通孔315a〜315iのうちの1つの貫通孔(実際には、左右方向で2つの貫通孔)を選択し、この選択した貫通孔(たとえば、貫通孔315b)に、シールド板305の突起317を嵌合させるようにしてもよい。なお、各貫通孔315a〜315iは、お互いが僅かに離れており、たとえば、貫通孔315aを中心とした円周をほぼ等分配する位置に、各貫通孔315b〜315iが設けられている。
保護帽301によれば、帽体303の前側のみを大きくしてあると共に、シールド板305が軸C301を中心にして円弧状の軌跡を描いて移動するようになっているので、着用者の顔面のほぼ総てを覆えるようにシールド板を大きくしても、シールド板305を帽体303の内部に収納することができると共に、帽体303や保護帽301の全体が大型化し質量が増加することを、極力抑制することができる。また、帽体303が椀状に形成されているので、帽体303の外側(凸側)や内側の面が滑らかに曲がっており、帽体303の剛性が高くなっている。
また、保護帽301において、シールド板305の回動中心軸C301の位置を調整自在に構成すれば、帽体303に対するシールド板305の位置(特に、被覆位置P303におけるシールド板305の位置)を、着用者の頭や顔の形態に応じて調節することができ、着用者がうっとおしさを感じにくくなり、保護帽の使い勝手が向上する。
また、保護帽301によれば、シールド板305が、帽体303と中央部位323および起立部位325とで形成される空間内に入り込んで、帽体303内に収納されるように構成されているので、内装体(ハンモック)を係止する係止部339Bを、シールド板305との干渉を避けて、設けることが容易になっている。
[第4の実施形態]
図35、図36は、本発明の第4の実施形態に係る保護帽351の概略構成を示す図であり、図37は、図36のX部の拡大図である。
第4の実施形態に係る保護帽351は、シールド板を2つに分けて、帽体353の外側に設置した点が、第3の実施形態に係る保護帽301と異なり、その他の点は、第3の実施形態に係る保護帽301とほぼ同様に構成されている。
すなわち、保護帽351は、帽体353と、第1のシールド板355と第2のシールド板357とを備えて構成されている。
帽体353は、耳を覆う耳部359が設けられて椀状に形成されている。さらに説明すると、椀状の帽体353は、耳部359を除けば、シールド板を備えていない汎用の帽体(第3の実施形態で述べた汎用の帽体)と同形状に形成されている。
第1のシールド板355は、帽体353の前側の外面(凸な球面状に形成された帽体353の外側の曲面)に沿った曲面(曲率半径が帽体353の前側曲面の曲率半径よりも大きい球面状の曲面)を備えた板状(湾曲した板状;1/8程度の球殻状)に形成されている。第1のシールド板355の幅方向の両側には、たとえば円形状の貫通孔361で構成された係合部363が形成されている。この係合部363が、たとえば帽体353の幅方向の両端で帽体353の外面から突出している円柱状の突起365で構成されたガイド部367に係合している。そして、第1のシールド板355が、係合部363を中心にし押し上げ位置P305と被覆位置P307との間で、円弧状の軌跡を描いて回動するようになっている。
なお、押し上げ位置P305は、第1のシールド板355が帽体353の前側の外部に押し上げられたときの位置であり、被覆位置P307は、第1のシールド板355が帽体353の着用者の顔面(頭部の前面)のほぼ上半分を覆う位置である。
第2のシールド板357は、帽体353の前側の外面(凸な球面状に形成された帽体353の外側の曲面)に沿った曲面(曲率半径が第1のシールド板355の曲率半径よりも大きい球面状の曲面)を備えた板状(湾曲した板状;1/8程度の球殻状)に形成されている。第2のシールド板357の幅方向の両側にも、第1のシールド板355と同様にして貫通孔361(係合部363)が形成されており、この貫通孔361が突起365(ガイド部367)に係合している。そして、第2のシールド板357が、第1のシールド板355の外側に位置して(特に、押し上げ位置P309に位置しているときに、押し上げ位置P305に位置している第1のシールド板355の外側で第1のシールド板355を覆って)、係合部363を中心にし押し上げ位置P309と被覆位置P311との間で、円弧状の軌跡を描いて回動するようになっている。
なお、押し上げ位置P309は、第2のシールド板357が帽体353(第1のシールド板355)の前側の外部に押し上げられたときの位置であり、被覆位置P311は、第2のシールド板357が帽体353の着用者の顔面(頭部の前面)のほぼ下半分を覆う位置である。
また、被覆位置P307に位置している第1のシールド板355は、この上端部の部位が帽体353の庇360に当接して、それ以上、下方に移動しないようになっている。また、被覆位置P311に位置している第2のシールド板357は、この第2のシールド板357に設けられているストッパ369が、第1のシールド板355に設けられているストッパ371に当接して、それ以上、下方に移動しないようになっている。
なお、ストッパ369は、第2のシールド板357の上端部で第2のシールド板357の内側に折り曲げられた折り曲げ部で形成されている。ストッパ371は、第1のシールド板355の下端部で第1のシールド板355の外側に折り曲げられた折り曲げ部で形成されている。
また、本実施形態(第4の実施形態)において、第1の実施形態に係るシールド板5と同様に、シールド板355が、この中央部から周辺部に向かうにしたがって、厚さが徐々に薄くなっていてもよい。
保護帽351によれば、各シールド板355,357が押し上げ位置P305,P309に位置している状態では、着用者の目の部分を主に覆う第1のシールド板355の外側に第2のシールド板357が位置して第1のシールド板355を覆っているので、第1のシールド板355に傷がつきにくくなっている。すなわち、たとえば、保護帽351の着用者が各シールド板355,357を使用していないときに、不注意で第2のシールド板357を障害物にぶつけたとしても、第1のシールド板355に傷がつくことを防ぐことができる。
これにより、保護帽351の着用者が各シールド板355,357を使用するときに、着用者の主に目の部分を覆う第1のシールド板355が傷ついておらず、良好な視界を確保することができる。
ところで、上記第3の実施形態と第4の実施形態において、シールド板の位置を、内外で逆にしてもよい。すなわち、第3の実施形態において、第4の実施形態のように、帽体を汎用のものとほぼ同じにし、シールド板が帽体の外側に位置するようにしてもよいし、また、第4の実施形態において、第3の実施形態のように、帽体の前側を汎用のものよりも大きくして、シールド板が帽体の外側に設置するようにしてもよい。