JP5281340B2 - 酸化安定性硬質芳香族ポリイミド組成物 - Google Patents

酸化安定性硬質芳香族ポリイミド組成物 Download PDF

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Description

酸化安定性硬質芳香族ポリイミド組成物およびそれらの製造方法に関する。
本発明は、改良された酸化安定度および驚くべき優れた引張特性を有する硬質の芳香族ポリイミド組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、そのような硬質の芳香族ポリイミド組成物が溶液イミド化方法によって調製されることができるという発見によるものである。
典型的に、芳香族ポリイミド組成物は、Endreyの特許文献1、およびGallの特許文献2に記載されているように溶液イミド化によって調製されている。高い熱安定性および総合的な機械的特性を有するこれらの従前のポリイミド組成物は、プラズマチャンバ、ジェットエンジン、事務機器、自動車部品、および種々の工業装置のような技術的に厳しい環境において使用される被膜、フィルムおよび加工部品として幅広く認められている。
一方、硬質の芳香族ポリイミド組成物は、従来、Kakuの特許文献3に記載されているように、ポリアミック酸中間体の沈殿の後、固相イミド化によって製造されている。Kakuにおいては、3,3'4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とm−フェニレンジアミン(MPD)とを反応させて、加水分解および酸化安定度を有する硬質の芳香族ポリイミド組成物を生成するという固相イミド化方法が使用された。しかしながら、その硬質の芳香族ポリイミド組成物は、典型的に、それらが溶液中でイミド化される場合には結晶性でありすぎて、非常に劣った特性をもたらすことが知られている。溶液イミド化方法は、許容可能な特性を有する硬質の芳香族ポリイミド組成物を製造するためにかつてうまく使用されたことがない。
米国特許第3,179,631号明細書 米国特許第3,249,588号明細書 米国特許第5,162,492号明細書
従前の入手可能なポリイミド組成物の優れた性能特性にかかわらず、半導体エッチチャンバおよびガスタービンエンジンにおいて見出される環境のような高温酸化環境に対してポリイミド組成物から製造された製品の耐性のさらなる改良に努力が向けられている。さらに、溶液イミド化方法は、一層簡易であり、かつあまり費用のかからないポリイミド組成物の製造方法である。
本発明は、高い酸化安定度および優れた引張特性を有する硬質の芳香族ポリイミド組成物は、次の工程を有する溶液イミド化方法によって調製されることができるという発見によるものである:
a)有機溶媒中で、60モル%を超え85モル%までのp−フェニレンジア
ミン(PPD)と15モル%から40モル%未満のm−フェニレンジアミン
(MPD)とを含有するジアミン成分と、少なくとも1種の芳香族酸二無水
物成分とを反応させて、ポリアミド酸ポリマー溶液を形成する工程;
b)十分な時間にわたり前記ポリアミド酸ポリマー溶液を、加熱および攪拌
しながら前記溶媒の加熱された溶液に移し、それによって不溶性ポリイミド
のスラリーへの反応を完成する工程;および
c)前記ポリイミドスラリーを濾過し、洗浄し、および乾燥して、硬質の芳
香族ポリイミド樹脂を形成する工程。
本発明の他のひとつの形態は、溶液イミド化方法を用いて、繰り返し単位

Figure 0005281340
であり、Rが60モル%を超え85モル%までのPPD、および15モル%から40モル%未満のMPDである繰り返し単位を有する硬質の芳香族ポリイミド組成物を提供する。
好ましい実施の形態において、本発明は、酸二無水物成分としての3,3'4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、ジアミン成分としての70モル%のp−フェニレンジアミンおよび30モル%のm−フェニレンジアミンとで形成された改良された酸化安定度および優れた引張特性を有する硬質の芳香族ポリイミド組成物であり、溶液イミド化方法によって調製される。
本発明は、Gallの特許文献2において記載されたように酸二無水物とジアミンとの反応により一般的に調製される改良された酸化安定度および優れた引張特性を有する硬質の芳香族ポリイミド組成物を提供する。
特に実施例IIIおよびXVIIを参照されたい。そのような溶液イミド化方法が使用されて、芳香族テトラカルボン酸二無水物成分が、ジアミン成分としてのp−フェニレンジアミン(PPD)とm−フェニレンジアミン(MPD)との混合物と反応して反応溶液を形成することができ、続いて溶液中でイミド化され、および沈澱するとき、そのように得られたポリイミド組成物は、予期しない改良された酸化安定度および優れた引張特性を示すことがわかった。
硬質のポリイミドという用語によって意味されるのは、ポリイミド単位中に軟質結合(flexible linkages)がないということである。
本発明において有用な芳香族テトラカルボン酸二無水物成分は、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3'4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、および他のいかなる硬質の芳香族酸二無水物をも含む。最良の結果は、BPDAが酸二無水物成分として使用されるときに生じる。
本発明の好ましい実施の形態に対して、溶液イミド化方法が使用されて、繰り返し単位

Figure 0005281340
であり、Rは60モル%を超え85モル%までのPPD単位および15モル%から40モル%未満のMPD単位である繰り返し単位を有する硬質の芳香族ポリイミド組成物を提供する。70%PPDおよび30%MPDを有するポリイミド組成物が好ましい。
本発明のポリイミド組成物の調製において、溶液イミド化方法は次のように利用される。ジアミン(PPDおよびMPD)は、一般的に最初に溶媒に溶解されてジアミン成分を形成する。一般的に、溶媒の所望の濃度でそのジアミン成分を溶解した後、酸二無水物が、実質的に等モル量でその反応溶液に添加されてポリアミド酸(PAA)ポリマー溶液を形成する。酸二無水物またはジアミン成分のいずれでもわずかにモル過剰であることができる。ジアミン成分の0.5から1.0%のモル過剰は、最良の結果を提供することが見出された。一般的な規則として、一層良好な引張特性は、等モル化学量論に近づくほど得られるが、これは、当業者によって知られているように等モル点に近づくときに起こる一層高い粘度に対してバランスが保たれなければならない。
得られたPAAポリマー溶液は、ある時間の間にわたってその溶媒の加熱された溶液に移される。移されたPAAポリマー溶液は、連続的に加熱され、そして攪拌されて、不溶性ポリイミドのスラリーへの可溶性PAAの反応を完了する。
得られたポリイミドスラリーは溶媒で洗浄され、そして100から230℃、好ましくは140から190℃、さらに好ましくは180℃で乾燥されて、ポリイミドスラリーを、高い表面積を有する粉末の形態のポリイミド樹脂に変換する。180℃である最適温度は、一層のプロセス効率および一層良好な物理的特性をもたらす。反応溶液からのポリアミド酸の沈澱から得られた粒径に応じて、ポリイミドの粒子はさらに変えられることができ、例えば、適当な粉砕技術によって取り扱いおよび続く成形に対して所望の粒径を提供することができる。
PAAポリマー溶液を合成するための溶液重合方法において有用な溶媒は、その官能基が、容易に判断できる程度には反応物(BPDAまたはジアミン)のいずれとも反応しない有機溶媒である。その溶媒は、約8から10のpHを示し、それはその溶媒と少量の水とを混合し、ついでpHペーパーまたはプローブで測定することによって測定されることができる。そのような溶媒は、例えば、ピリジンおよびβ−ピコリンを含む。Gall、およびEdwardsの米国特許第3,179,614号に開示された溶媒のピリジン(KB=1.4×10-9)は、触媒として機能すると同様に、重合反応におけるこれらの反応物に対する好ましい溶媒である。PAAポリマー溶液を形成するために反応する酸二無水物およびジアミンに対して、塩基性触媒が必要とされる。ピリジンが塩基性化合物であるので、ここではそれは触媒と溶媒の両方として機能する。
高い表面積を有する生成物を得るにあたり溶媒の量は重要である。特に、溶媒は、PAAポリマー溶液の濃度が約1から15重量%固形分、好ましくは約8から12重量%固形分であるような量で存在するべきである。
本発明のポリイミド組成物から得られるポリイミド樹脂に対する表面積は、少なくとも20m2/gであるべきである。許容可能な物理的特性を得るため、および加工性を容易にするために、表面積は少なくとも75m2/gであることが好ましい。
PAAの調製において、PAAポリマー溶液の内部粘度(IV)が少なくとも0.2dl/g、好ましくは0.5から2.0dl/gであるような分子量であることが必須である。IVの測定および計算方法は、以下に記載される。
ポリイミド組成物は、フィラー、特にグラファイトのような炭素質のフィラーを含有して、ポリイミドの優れた引張りおよび酸化安定性を保持しながら、摩擦摩耗特性を改良することがしばしばある。本発明のポリイミド組成物に関して使用することができる他のフィラーは、二硫化モリブデン、カオリナイトクレー、並びに、ポリテトラフルオロエチレンポリマーおよびコポリマーを含む。フィラーは0.1から80重量%の範囲の量で存在することができる。使用される量と同様に、選択される特定のフィラーまたはフィラー類は、当業者に明白であるように、当然に最終組成物において所望される効果による。
これらのフィラーは、典型的に、PAAポリマー溶液の移送に先立って加熱された溶媒に混合され、それによって混合されたフィラーの存在下でポリイミドは沈殿する。フィラーの形態は、最終製品におけるフィラーの機能による。例えば、フィラーは、粒子または繊維形態であることができる。
ポリイミド組成物は、高められた圧力下で、幅広い種類の形状に成形されることができる。約50,000から100,000psi(345から690MPa)の圧力で、周囲温度において、ポリイミド組成物を成形することは特に好都合であることが見出されている。
前述のとおり、本発明のポリイミド組成物は、酸化的に安定である。酸化安定度を試験するために、引張試験片が以下に記載されたとおり形成され、ついで決められた非常に長い時間の間、極限温度に当てられる。試験の前後の両方で引張試験片は重量測定され、そしてパーセント損失重量が計算される。本発明の硬質の芳香族ポリイミド組成物は、そのパーセント損失重量が5%未満、好ましくは3%未満であるならば、そのような損失重量は、引張試験片、さらに詳細にはこのポリイミド組成物から製造された部品の完全な状態を危うくしないため、酸化的に安定であるとみなされる。
本発明のポリイミド組成物は、優れた熱酸化安定度だけでなく例外的な引張特性によっても特徴付けられる。引張強さおよび伸びのいずれも、上記のような用途に特に重要な特性である。当業者に一般的に知られているように、低い伸びを有する生成物は、機械加工の間に、または耐力用途において亀裂へと導く脆性になる傾向がある。驚くべきことに、溶液イミド化方法によって製造された本発明の組成物は、伸びは低くても改良された引張強さを示す。
図1に戻ると、(以下の本発明の実施例1における典型例としての)本発明の溶液イミド化方法によって製造された硬質の芳香族ポリイミド組成物の試験サンプルのプラズマ抵抗を示すグラフは、(以下の比較例Dにおける典型例としての)この同一の方法によって調製された芳香族ポリイミド組成物の試験サンプルのものと比較される。試験サンプルは、以下に記載される半導体酸化物エッチチャンバにおいて一般的に見出されるような極限環境に当てられ、そしてある時間にわたる損失重量はプラズマ抵抗のレベルを示す。
本発明の実施例は、既知のポリイミド組成物より明らかにプラズマ抵抗性である。
その成形品の物理的特性は、ポリイミド組成物に対して従前より知られているように、焼結によりさらに改良されることができる。その焼結は、約300から450℃の高められた温度で一般的に実施される。
本発明のポリイミド組成物は、幅広い種類の物理的形状において、例えば、成形品、フィルムおよび繊維において有用である。
本発明は、以下の具体的な実施例および比較例によってさらに説明される。
実施例
本発明の具体例である以下の実施例1から8において、硬質の芳香族ポリイミ
ド組成物は、3,3'4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)が酸二無水物成分であり、およびp−フェニレンジアミン(PPD)とm−フェニレンジアミン(MPD)との混合物がジアミン成分であり、示されたとおりの量で、そしてGallおよびEndreyの方法にしたがう溶液イミド化方法を使用して調製された。PAAポリマー溶液の移送に先だって、示された量の他の添加剤をピリジン溶媒に混合した。
30℃で、ピリジン中PAAポリマーの0.5重量%の濃度で、内部粘度(IV)を測定した。そのIVを計算するために、等しい容量が標準の粘度計のキャピラリを通って流れる時間を測定することによって、ピリジン単独の粘度に対してPAAポリマー溶液の粘度を測定した。次の方程式を使用してIVを計算した:
Figure 0005281340
ここで、Cはグラム/溶液100mlで表されたPAAの濃度である。当業者に知られているように、IVはポリマーの分子量に直接関係する。
熱伝導度検出器を用いてGallに記載されたBET技術のように知られている標準の技術によって表面積を測定した。熱伝導度検出器においては液体窒素温度で窒素(30%)およびヘリウム(70%)のガス流から窒素が吸収される。
ポリイミド樹脂のサンプル重量は、0.1〜0.5gの範囲であった。熱伝導度検出器を室温で維持し、そしてガスのフローレートはおよそ10ml/分であった。
ASTM E8、"Standard Tension Test Specimen for Powdered MetalProducts-Flat Unmachined Tensile Test Bar"により、得られた乾燥ポリイミド樹脂を、室温および100,000psi(690MPa)成形圧で、直接成形により引張試験片に加工した。その引張試験片を405℃で3時間にわたって窒素をパージしながら焼結した。ASTM D638により引張強さおよび伸びを測定した。
最初に引張試験片を重量測定し、ついで引張試験片または引張試験片の部分を空気中で88psia(0.61MPa)の圧力で25時間にわたり400℃の温度に曝すことによって酸化安定度を試験した。ついで最終重量測定を行い、そして引張試験片のパーセント損失重量を次の式によって計算した:

%損失重量=当初の重量−後の重量×100
当初の重量
図1に示されるようにプラズマ抵抗を、以下の比較例Dにおいて典型とされた試験サンプルと比較して以下の実施例1において典型とされた試験サンプルで測定し、その結果をこのグラフに示す。このグラフを用意するために必要なデータを作るために、一連のプラズマ照射を行った。(材料がシリコンウェーハの表面から取り除かれる)エッチサイクル、およびクリーンサイクル(加工(エッチ)条件からもたらされる堆積した材料の除去)から成る半導体酸化物エッチチャンバにおいて通常見出されるような酸素リッチなプラズマ環境において試験サンプルを標準の操作条件に当てた。試験サンプルの損失重量をある時間にわたって測定し、各Tは7.5分の時間と等しい。
実施例1−BPDA//MPD/70%PPD 25.856gのp−フェニレンジアミン(PPD)と11.095gのm−フェニレンジアミン(MPD)を52gのピリジンとともに55℃で1475gのピリジンに溶解してジアミン溶液を形成した。100.02gの3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を50gのピリジンとともに添加した。ついでジアミン溶液を酸二無水物と反応させ8重量%固形分のPAAポリマー溶液を形成した。ついで、PAAポリマー溶液を70℃で2時間にわたって加熱した。PAAポリマー溶液を測定し内部粘度は(ピリジン中)0.81dl/gであった。
およそ1000mlのPAAポリマー溶液を、そのPAAポリマー溶液を連続的に攪拌しながら、100分の時間の間にピリジンの300mlの114℃溶液に移した。ついで溶液を4時間にわたり114℃で加熱して、可溶性PAAの不溶性ポリイミドへの反応を実質的に完了した。得られたポリイミドスラリーを濾過し、そして5倍容量のアセトンで洗浄した。得られたフィルターケーキを8時間にわたって180℃および窒素パージ下でおよそ25"の水銀真空(0.085MPa)で乾燥した。乾燥したポリイミド樹脂を、実験室用Wiley Millで20メッシュスクリーンを通して磨砕した。
引張試験片を上記のとおり製造し、そして比重が1.393g/cm3、引張強さが22.1Kpsi(152.4MPa)、および伸びが4.9%であることがわかった。上記のとおり損失重量によって測定された酸化安定度は1.28%であった。その乾燥したポリイミド樹脂の表面積は117.1m2/gであった。
実施例2−BPDA//MPD/65%PPD 15.245gのPPDと8.210gのMPDを50gのピリジンとともに55℃で900gのピリジンに溶解してジアミン溶液を形成した。63.504gのBPDAを50gのピリジンとともにそのジアミン溶液に添加して、8重量%固形分のPAAポリマー溶液を形成した。そのPAAポリマー溶液を70℃まで加熱し、そして1時間にわたりその温度で維持し、ついで内部粘度は(ピリジン中)0.91dl/gであることを測定した。
そのPAAポリマー溶液をポリイミドスラリーに変換し、洗浄し、そして乾燥して、乾燥したポリイミド樹脂を形成し、ついで磨砕して実施例1において上述された引張試験片を形成した。引張試験片を上記のとおり製造し、そして比重が1.403g/cm3、引張強さが20.4Kpsi(140.7MPa)、および伸びが4.0%であることがわかった。上記のとおり損失重量によって測定された酸化安定度は2.50%であった。その乾燥したポリイミド樹脂の表面積は98.5m2/gであった。
実施例3−BPDA//MPD/80%PPD 18.762gのPPDと4.696gのMPDを50gのピリジンとともに55℃で900gのピリジンに溶解してジアミン溶液を形成した。63.504gのBPDAを50gのピリジンとともにそのジアミン溶液に添加して、8重量%固形分のPAAポリマー溶液を形成した。そのPAAポリマー溶液を70℃まで加熱し、そして1時間にわたりその温度で維持し、ついで内部粘度は(ピリジン中)0.73dl/gであることを測定した。
そのPAAポリマー溶液をポリイミドスラリーに変換し、洗浄し、そして乾燥して、乾燥したポリイミド樹脂を形成し、ついで磨砕して実施例1において上述された引張試験片を形成した。引張試験片を上記のとおり製造し、そして比重が1.377g/cm3、引張強さが14.4Kpsi(99.3MPa)、および伸びが2.1%であることがわかった。上記のとおり損失重量によって測定された酸化安定度は1.64%であった。その乾燥したポリイミド樹脂の表面積は81.5m2/gであった。
実施例4−BPDA//MPD/70%PPD PAAポリマー溶液が10重量%の固形分である以外は、実施例1の手順を繰り返した。引張試験片を上記のとおり製造し、そして引張強さおよび伸びがそれぞれ19.6Kpsi(135.1MPa)および4.1%であることがわかった。上記のとおり損失重量によって測定された酸化安定度は1.48%であった。その乾燥したポリイミド樹脂の表面積は78.6m2/gであった。
実施例5−BPDA//MPD/70%PPD PAAポリマー溶液の移送の前にAsbury Graphite Mills,Inc.によって商品名Synthetic Graphite 4767の下で販売される10.1gの合成グラファイトをそのピリジン溶媒に添加した以外は、実施例4の手順を繰り返した。引張試験片を上記のとおり製造し、そして引張強さおよび伸びがそれぞれ19.6Kpsi(135.1MPa)および5.0%であることがわかった。上記のとおり損失重量によって測定された酸化安定度は1.05%であった。その乾燥したポリイミド樹脂の表面積は108.5m2/gであった。
実施例6−BPDA//MPD/70%PPD PAAポリマー溶液の移送の前にAsbury Graphite Mills,Inc.によって商品名Synthetic Graphite 4767の下で販売される39.0gの合成グラファイトをそのピリジンに添加した以外は、実施例4の手順を繰り返した。引張試験片を上記のとおり製造し、そして引張強さおよび伸びがそれぞれ15.0Kpsi(103.4MPa)および3.8%であることがわかった。損失重量は1.24%であった。その乾燥したポリイミド樹脂の表面積は33.2m2/gであった。
実施例7−BPDA//MPD/70%PPD 13.195kgのPPDと5.655kgのMPDを2.3ガロン(8.7リットル)のピリジンとともに55℃で132.6ガロン(501.91リットル)のピリジンに溶解してジアミン溶液を形成した。51.03kgのBPDAを2.3ガロン(8.71)のピリジンとともに添加した。ついでジアミン溶液を酸二無水物と反応させ12重量%固形分のPAAポリマー溶液を形成した。ついで、そのPAAポリマー溶液を71℃から74℃まで1時間にわたって加熱した。そのPAAポリマー溶液を測定し内部粘度は(ピリジン中)0.82dl/gであった。
このPAAポリマー溶液を、連続的に攪拌しながら、100分の時間の間に、1.99kgのSynthetic Graphite 4767(Asbury Graphite Mills Co.)および0.662kgのPolyfil DLカオリナイト(the J.M.Huber Corporationによって製造される)を含有するピリジンの34.8ガロン(131.71)の114℃溶液に移した。ついでそのPAAポリマー溶液を2時間にわたり114℃で加熱して、続いてさらに1時間145℃で加熱して、可溶性PAAの不溶性ポリイミドへの反応を実質的に完了した。得られたポリイミドスラリーを濾過し、そしておよそ5倍容量のアセトンで洗浄した。得られたフィルターケーキを165℃まで加熱し、そして165℃で4.5時間にわたって窒素パージおよび中程度の減圧下で乾燥した。乾燥したポリイミド樹脂を、Fitz Millで24メッシュスクリーンを通して磨砕した。
引張試験片を上記のとおり製造し、そして比重が1.425g/cm3、引張強さが19.0Kpsi(131MPa)、および伸びが3.8%であることがわかった。上記のとおり損失重量によって測定された酸化安定度は1.66%であった。その乾燥したポリイミド樹脂の表面積は125.6m2/gであった。
実施例8−BPDA//MPD/70%PPD Synthetic Graphite 4767(Asbury Graphite Mills Co.)の量が6.36kgであった以外は実施例7の手順を繰り返した。得られたポリイミドスラリーを4倍容量のアセトンで洗浄した。得られたフィルターケーキを、実施例7のように乾燥し、そして磨砕した。
引張試験片を上記のとおり製造し、そして比重が1.427g/cm3、引張強さが18.4Kpsi(127.5MPa)、および伸びが3.6%であることがわかった。上記のとおり損失重量によって測定された酸化安定度は0.97%であった。その乾燥したポリイミド樹脂の表面積は107.6m2/gであった。
比較例A−BPDA//MPD/60%PPD 比較例Aにおいては、本発明の溶液イミド化方法を用いて硬質の芳香族ポリイミド組成物を調製した。この組成物は、本発明の組成物より劣った物理的特性および酸化安定度の両方を示した。22.159gのPPDと14.773gのMPDを49gのピリジンとともに55℃で1475gのピリジンに溶解してジアミン溶液を形成した。100.02gのBPDAを50gのピリジンとともにジアミン溶液に添加して8重量%固形分のPAAポリマー溶液を形成した。その反応を70℃まで加熱し、その温度で2時間にわたって維持し、ついで内部粘度が(ピリジン中)0.78dl/gであることを測定した。
そのPAAポリマー溶液をポリイミドスラリーに変換し、洗浄し、そして乾燥して乾燥ポリイミド樹脂を形成し、ついで、実施例1において上述された引張試験片を成形した。引張試験片を上記のとおり製造し、そして比重が1.363g/cm3、引張強さが16.3Kpsi(112.4MPa)、および伸びが3.8%であることがわかった。上記のとおり損失重量によって測定された酸化安定度は5.93%であった。その乾燥したポリイミド樹脂の表面積は14.2m2/gであった。
比較例B−BPDA//PPD 比較例Bにおいては、その溶液イミド化方法を用いて硬質の芳香族ポリイミド組成物を調製した。この実施例において、MPDとPPDの両方の組み合わせが良好な物理的特性を達成するために必要であることは明らかである。本発明の溶液イミド化方法を使用して、12.33kgのPPDを50℃で72.9ガロン(276リットル)のピリジンと72.3ガロン(274リットル)のN−メチルピロリジノン(NMP)との溶媒混合物に溶解してジアミン溶液を形成した。
ついで、そのジアミン溶液を33.04kgのBPDAおよび2.3ガロン(8.7リットル)のピリジンと反応させて7.5重量%固形分のPAAポリマー溶液を形成した。そのPAAポリマー溶液を90℃まで加熱し、そしてその温度で85分間にわたって維持し、ついで内部粘度が(50/50ピリジン/NMP中)0.84dl/gであることを測定した。
およそ1000mlのPAAポリマー溶液を、そのPAAポリマー溶液を連続的に攪拌しながら、250分の時間の間にピリジン300mlとNMP150mlとの114℃溶液に移した。ついでその溶液を3時間にわたり114℃で加熱して、可溶性PAAの不溶性ポリイミドへの反応を実質的に完了した。得られたポリイミドスラリーを濾過し、そして4倍容量のアセトンで洗浄した。得られたフィルターケーキを16時間にわたって160℃および窒素パージ下でおよそ25の水銀真空(0.085MPa)で乾燥した。乾燥したポリイミド樹脂を、実験室用Wiley Millで20メッシュスクリーンを通して磨砕した。
引張試験片を上記のとおり製造し、そして比重が1.399g/cm3、引張強さが7.9Kpsi(54.4MPa)、および伸びが1.1%であることがわかった。その乾燥したポリイミド樹脂の表面積は6.0m2/gであった。その引張強さおよび表面積は非常に低いのでこの例の組成物から製造された部品は本明細書中で記載された用途において適当ではないため、酸化安定度を測定しなかった。
比較例C−PMDA/ODA 比較例Cにおいては、Manwillerらの米国特許第4,755,555号による固相イミド化方法を用いて芳香族ポリイミド組成物を調製した。4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)とピロメリット酸二無水物(PMDA)からそのポリイミド樹脂を調製し、さらに10%のSynthetic Graphite4767(Asbury Graphite Mills Co.)を含み、そしてそれを沈澱に先だって反応混合物に混ぜた。そのPAAポリマー溶液は10重量%固形分であった。
引張試験片を上記のとおり製造し、そして10%の損失重量によって測定された酸化安定度を有することがわかった。比重、引張強さ、伸び、および表面積に対して、E.I.du Pont de Nemours and Companyによって製造されたVespel(登録商標)SP2010ポリイミド部品および造形品に基づく公表された平均値から次の特性をとった:引張強さが12.1Kpsi(83.4MPa)、伸びが18%、表面積が40m2/g。
比較例D−PMDA/ODA 比較例Dにおいては、PAAポリマー溶液が14.1重量%固形分であった以外は、溶液イミド化方法および実施例1の手順にしたがって、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)とピロメリット酸二無水物(PMDA)から芳香族ポリイミド組成物を調製した。
引張試験片を上記のとおり製造し、そして6%の損失重量によって測定された酸化安定度を有することがわかった。比重、引張強さ、伸び、および表面積に対して、E.I.du Pont de Nemours and Companyによって製造されたVespel(登録商標)SP1ポリイミド部品および造形品に基づく公表された平均値から次の特性をとった:引張強さが12.5Kpsi(86.2MPa)、伸びが7.5%、表面積が60m2/g。
酸化安定度試験により、実施例1から8は、比較例A、CおよびDよりはるかに低い酸化劣化を有する。実施例1から4の未充填ポリイミド組成物および未充填の比較例AおよびBを表面積に対して試験した。本発明の実施例である1から4は、比較例AおよびBのものよりもはるかに高い表面積を有した。
実施例1から8および比較例AからDのポリイミド組成物の引張強さおよび伸びを以下の表1に示す。実施例1から8の引張強さは、比較可能なレベルのフィラーで、比較例AからDよりも概して高く、一方、伸びは有用な範囲に留まった。
Figure 0005281340
図1は、本発明の実施例と、溶液イミド化方法によって製造された既知のポリイミド組成物に対して時間に対する損失重量で表されたプラズマ抵抗のグラフ図である。

Claims (14)

  1. a)有機溶媒中で、60モル%を超え85モル%までのp−フェニレンジアミンと15モル%から40モル%未満のm−フェニレンジアミンとを含有するジアミン成分と、少なくとも1種の芳香族酸二無水物成分とを反応させて、ポリアミド酸ポリマー溶液を形成する工程;
    b)十分な時間にわたり前記ポリアミド酸ポリマー溶液を、加熱および攪拌しながら前記溶媒の加熱された溶液に移し、それによって不溶性ポリイミドのスラリーへの反応を完成する工程;および
    c)前記ポリイミドスラリーを濾過し、洗浄し、および乾燥して、硬質の芳香族ポリイミド樹脂を形成する工程;
    を具える製造方法により得られたことを特徴とする硬質の芳香族ポリイミド。
  2. 工程a)は、1.0モル%まで過剰の前記ジアミン成分を反応させる工程をさらに具えることを特徴とする請求項1に記載の硬質の芳香族ポリイミド。
  3. 工程c)は、100から230℃の温度で前記ポリイミドスラリーを乾燥する工程をさらに具えることを特徴とする請求項1に記載の硬質の芳香族ポリイミド。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の芳香族ポリイミドおよび0.1から80重量%の少なくとも1種のフィラーをさらに含有することを特徴とする硬質の芳香族ポリイミド組成物。
  5. 前記少なくとも1種のフィラーは、グラファイト、二硫化モリブデン、カオリナイトクレー、並びにポリテトラフルオロエチレンポリマーおよびコポリマーであることを特徴とする請求項4に記載の芳香族ポリイミド組成物。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬質の芳香族ポリイミドから製造されたことを特徴とする成形品。
  7. 請求項4〜5のいずれか1項に記載の硬質の芳香族ポリイミド組成物から製造されたことを特徴とする成形品。
  8. 繰り返し単位
    Figure 0005281340

    であり、Rが60モル%を超え85モル%までのp−フェニレンジアミン残基(residue)、および15モル%から40モル%未満のm−フェニレンジアミン残基である繰り返し単位を具えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬質の芳香族ポリイミド。
  9. 請求項8に記載の硬質の芳香族ポリイミドを含有することを特徴とする固体粒子。
  10. 請求項8に記載の硬質の芳香族ポリイミドおよび0.1から80重量%の少なくとも1種のフィラーをさらに含有することを特徴とする硬質の芳香族ポリイミド組成物。
  11. 前記少なくとも1種のフィラーが、グラファイト、二硫化モリブデン、カオリナイトクレー、並びにポリテトラフルオロエチレンポリマーおよびコポリマーであることを特徴とする請求項10に記載の硬質の芳香族ポリイミド組成物。
  12. 請求項8に記載の硬質の芳香族ポリイミドから製造されたことを特徴とする成形品。
  13. 請求項10〜11のいずれか1項に記載の硬質の芳香族ポリイミド組成物から製造されたことを特徴とする成形品。
  14. 酸二無水物成分は3,3'4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、および前記ジアミン成分は70モル%p−フェニレンジアミンと30モル%m−フェニレンジアミンとであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬質の芳香族ポリイミド。
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