JP5278531B2 - 電子部品の半田付け方法及び装置 - Google Patents
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Description
本発明はチップコイルなどの電子部品の電極に半田液を付着させる方法及び装置に関するものである。
チップコイルを製造する場合、ボビンにコイルを巻装した後、コイルの両端をボビンの一方のつば部裏面に形成された電極へ引き回し、その後で電極とコイル端部とを半田付けしている。半田付け方法として、電極を形成したボビンの一方のつば部裏面を半田液に浸漬し、ボビンを引き上げることで、電極に半田液を付着させている。ところが、ボビンの一方のつば部裏面を半田液に浸漬し、単純に引き上げるだけでは、電極以外の部分に半田が付着したり、必要量以上の半田が付着するという問題がある。
特許文献1には、チップコイルの電極へ半田液を付着させる方法が開示されている。この方法は、図5に示すように、チップコイル100を半田液101に浸して半田液を電極に付着させた後、チップコイル100の電極を半田液101から引き上げ、表面張力によって半田液の液面が電極につながっている状態で、ピン部材102を電極に対して相対的に略平行移動させて、電極につながっている半田液101を分離するものである。
この半田付け工法では、下側のつば部全体を半田液に浸漬する方法を採っている。この時、つば部の電極間の領域も半田槽内に浸漬されるため、製品の小型化による電極間寸法が短くなることや、電極寸法バラツキ、余剰フラックスの影響等により、電極間への半田残り不良が発生する可能性がある。また、半田液を分離するためにピン部材を必要とし、その駆動機構も必要になるという問題がある。
特許文献2には、ボビンに巻回されたコイルの端部を、そのボビンに植設されたピンに半田付けする方法が開示されている。すなわち、水平軸X、Yおよび垂直軸Zとよりなる直交3軸を設定し、水平軸Yまわりの回動角座標をθとし、Y軸に垂直で、角θ方向に回動する座標軸をXとし、X軸まわりの回動角座標をφとする。図6に示すように、ボビン110をX軸方向に支持し、このボビンを、当該ボビンの仕様ごとに設定される所定角度ずつ角φ方向に回動させるとともに、角θ方向の角位置を所定の値とし、φ方向の角位置およびθ方向の角位置を所定の値に保った状態でボビン110をZ軸方向に下降させて、ピン111を半田液112中に浸漬する方法である。
特許文献2の方法では、ボビンを傾けた状態でZ方向に下降させて半田液に浸漬し、一方の電極(ピン)に半田液を付着させ、ボビンをZ方向に上昇させた後、ボビンをX軸周りに回転させ、しかる後に、再度Z方向に下降させて半田液に浸漬するという動作を繰り返すことになる。このように1回の浸漬ごとにZ方向に引き上げるだけであるから、必要量以上の半田液が電極に付着する可能性があり、半田量のコントロールができない。また、ボビンを昇降させる動作を2回繰り返さなくてはならないため、半田付け工程に時間がかかってしまう。
本発明は、電極間への半田残り不良が発生せず、かつ適正量の半田液を電極に付着させることができる電子部品の半田付け方法及び装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、電子部品の一端部に間隔をあけて形成された一対の電極に半田液を付着させる方法において、水平軸X、Yおよび垂直軸Zよりなる直交3軸を設定し、前記一対の電極の対向方向に対して垂直な方向をX軸とし、前記一対の電極の対向方向が半田液面と平行になるように前記電子部品を半田液面より上方で支持する第1の工程と、前記電子部品を、半田液面より下方に位置するX軸と平行な第1軸を回転中心として、前記電極のうちの一方の電極を半田液面に浸漬する位置へ揺動させる第2の工程と、前記電子部品を前記第1軸を回転中心として、前記一方の電極が表面張力によって半田液とつながった状態のまま、前記電極のうちの他方の電極を半田液面に浸漬する位置へ揺動させる第3の工程と、前記一対の電極の対向方向が半田液面に対して平行になるように、前記電子部品を半田液面より上方で、かつ表面張力によって半田液が電極につながった状態で保持する第4の工程と、前記電子部品を、半田液面より上方に位置するY軸と平行な第2軸を回転中心として上方へ回転させ、半田液を電極から振り切る第5の工程と、を有する電子部品の半田付け方法を提供する。
また、本発明に係る半田付け装置は、電子部品の一端部に間隔をあけて形成された一対の電極に半田液を付着させる装置において、水平軸X、Yおよび垂直軸Zよりなる直交3軸を設定し、前記一対の電極の対向方向に対して垂直な方向をX軸とし、前記電子部品の電極を形成した端部と反対側の端部をチャックするチャック手段と、前記チャック手段を、半田液面より下方に位置するX軸と平行な第1軸を回転中心として、前記電極のうちの一方の電極を半田液面に浸漬する位置と他方の電極を半田液面に浸漬する位置との間で揺動させ、かつその中間位置で前記一対の電極の対向方向が半田液面に対して平行になるように、前記電子部品を半田液面より上方で、かつ表面張力によって半田液が電極につながった状態で保持する第1の駆動手段と、前記半田液が電極につながった状態で電子部品を半田液面より上方で保持したチャック手段を、半田液面より上方に位置するY軸と平行な第2軸を回転中心として上方へ回転させ、半田液を電極から振り切る第2の駆動手段と、を有する。
本発明では、電極間に半田液が接触しないように、電極より下方で半田液中に位置するX軸と平行な第1軸を回転中心として電子部品を揺動させ、片方の電極ずつ半田液に浸漬する。このとき、一方の電極を半田液に浸漬した後、他方の電極を半田液に浸漬する際に、一方の電極が表面張力によって半田液とつながった状態を維持するようにする。そして、電子部品を半田液の上方でかつ表面張力によって半田液が両方の電極につながった状態で保持し、半田液面より上方に位置するY軸と平行な第2軸を中心として回転させながら振り上げる。振り上げ方向は、一対の電極の対向方向と直交方向であるから、両方の電極につながった半田液は振り切られ、電極間に半田液が残らない。このように、半田液への浸漬時も引き上げ時も共に、半田液が電極間の領域に接触しないため、電極間への半田残り不良が起こらない。また、第2軸を中心として電子部品を上方へ回転させる際、半田液が両方の電極につながった状態で回転させるため、その回転速度(加速度)や回転初期位置を適切に設定することで電極への半田付着量を適正に制御することができる。そのため、不必要に多量の半田が付着するという不具合を解消できる。
本発明の半田付け方法では、第1軸を中心として電子部品を揺動させることで両方の電極に半田を付着させ、その状態から第2軸を中心として電子部品を振り上げることで半田を振り切るため、特許文献2に記載のような1回の浸漬ごとにZ方向に引き上げる動作が必要でなく、少ない動作で半田付け作業を完了できる。また、特許文献1に示されるような半田液を電極から分離するためのピン部材が不要であり、そのための駆動機構も不要である。したがって、装置を簡素に構成できる。
第3の工程において、表面張力によって半田液が電極につながった状態のまま、電子部品を半田液面に対して垂直方向に引き上げるのがよい。第2の工程で電子部品を左右に揺動させた直後では、左右の電極への半田付着量がアンバランスになる可能性がある。そこで、揺動が終了した電子部品を半田液面に対して垂直方向に引き上げることで、左右の電極につながる半田液の量を均等にでき、その後で第2軸を中心として振り上げることにより、左右の電極への半田付着量を均等にすることができる。
以上のように、本発明によれば、半田液中に位置するX軸と平行な第1軸を回転中心として電子部品を揺動させ、片方の電極ずつ半田液に浸漬した後、半田液面より上方に位置するY軸と平行な第2軸を中心として回転させることで、半田液を振り切るようにしたので、半田液への浸漬時も引き上げ時も共に半田液が電極間に接触せず、電極間への半田残り不良を解消できる。また、第2軸を中心として電子部品を上方へ回転させる際、その加速度を適切に設定することで、ピン部材などの外部手段を用いることなく、電極への半田液付着量を適正に制御できる。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る電子部品の一例であるチップコイルを示す。このチップコイル1は、両端部につば部3,4を有するコア2の巻胴部(図示せず)にコイル8を巻装したものである。コイル8の両端部8a,8bは、一方のつば部3の裏面側へ引き回され、つば部3の裏面両端部に形成された一対の溝部3a,3bに案内されている。これら溝部3a,3bの底面からつば部3の両端面にかけて連続する電極3c,3d(斜線で示す)が形成されている。後述するように、これら電極3c,3dとコイル8の両端部8a,8bとがそれぞれ半田付けされる。図1において、一対の電極3c,3dの対向方向に対して垂直な方向をX軸とし、平行な方向をY軸としている。
ここで、本発明の半田付け方法の原理を図2に従って説明する。具体的には、つば部3の縦×横が3.2mm×2.5mmのサイズのチップコイルにおいて、以下のステップにより半田付けを実施する。
まず図2の(a)のように、電極3c,3dを有するつば部3が下向きでかつ半田液Sの上方に位置するように、チップコイル1を水平に支持する。チップコイル1を支持するために、電極3c,3dを有しないつば部4をチャック手段等によって把持すればよい。この状態において、チップコイル1の半田液Sの液面からの高さH1を3〜7mm程度とするのがよい。
次に、図2の(b)に示すように、チップコイル1の直下で半田液Sより下方に位置するX軸と平行な第1軸X1を回転中心として、チップコイル1を鉛直軸から左方向に角度θ1だけ傾け、一方の電極3cを半田液Sに浸漬する。このとき、半田液Sに一方の電極3cは浸漬されるが、つば部3の裏面中間部や他方の電極3dには半田液Sが付着しないように、第1軸X1の位置と角度θ1を設定する。第1軸X1は例えば半田液面から0〜5mm下の位置に設定し、揺動角度θ1は例えば30〜40°とするのがよい。
次に、図2の(c)に示すように、第1軸X1を回転中心として、チップコイル1を鉛直軸から右方向に角度θ2だけ傾け、他方の電極3dを半田液Sに浸漬する。このとき、先に浸漬された電極3cと半田液Sとが表面張力によりつながった状態を維持する。チップコイル1は、当該チップコイル1の半田液Sの液面からの高さH1より大きな回転半径で揺動するので、チップコイル1は水平方向へ移動しながら傾けられ、電極3cと半田液Sとのつながりを切ることなく、しかも電極間の領域には半田液Sが付着しない。なお、揺動角度θ2はθ1と同じ角度でもよいが、異なる角度としてもよい。また、回転半径は左右で同じ長さでもよいが、異なる長さとしてもよい。
次に、図2の(d)のように、つば部3が半田液Sの液面に対して平行になるように、チップコイル1を水平状態に戻す。このとき、チップコイル1は、半田液Sの液面より上方で保持され、表面張力によって半田液Sが電極3c,3dに個別につながった状態となる。チップコイル1の半田液Sの液面からの高さH2は図2の(a)における高さH1と同じでもよいが、半田液Sの液面と平行な状態で高さH1よりも1〜4mm程度チップコイル1を上昇させてもよい。この場合には、両電極3c,3dの半田濡れ形状をより均等にすることができる。
次に、図2の(e)のように、チップコイル1の直上に位置しかつY軸と平行な第2軸Y1を回転中心として、チップコイル1を上方へ急速に回転させ、半田液Sを電極3c,3dから振り切る。この回転方向は、一対の電極3c,3dの対向方向と直交方向であるから、電極に付着した半田液Sが電極間の領域に流れるという事態が発生しない。回転速度(加速度)及び回転中心Y1の位置を適切に設定することで、各電極3c,3dに残る半田液Sの量を適切に制御できる。
最後に、引上げ後の半田が固まる前に、図2の(f)のように電極面をプレス手段9によってプレスすることで、電極形状を整える。なお、このプレス作業は必要に応じて実施すればよい。
前記説明は、3.2×2.5mmサイズのチップコイルの例であるが、揺動角θ1,θ2、高さ、回転半径等はチップコイルのサイズにより変わる。また、チップコイル1を半田付けする前に半田付け部分にフラックスを塗布するが、このフラックスの塗布作業も上記と同様の方法で実施してもよい。但し、フラックスは半田液に比べて表面張力が小さいので、チップコイル1のつば部3全面をフラックスに浸漬してもよい。
図3,図4は、本発明に係る半田付け方法を実施するための具体的装置の一例を示す。この半田付け装置は、半田液Sを貯留した半田槽10と、揺動のための第1モータ20と、振り切りのための第2モータ30とを備えている。第1モータ20は、ベース11上に水平に固定され、その回転軸21は半田液Sの液面より下方に位置している。回転軸21の軸線が第1軸X1である。第1モータ20の回転軸21にはアーム22が連結され、アーム22の先端部には、アーム22に対して上下方向にスライド自在なスライド部材23が取り付けられている。スライド部材23に第2モータ30が水平に固定され、第2モータ30の回転軸31にチャック手段40が連結されている。回転軸31の軸線が第2軸Y1である。チャック手段40は、固定爪41と可動爪42とを備えており、両爪41,42間でチップコイル1の電極を有しないつば部4をチャック可能となっている。
アーム22の先端部近傍には第3モータ50が固定されている。この第3モータ50は、スライド部材23、第2モータ30及びチャック手段40を上下に昇降させるものであり、図2の(a)におけるチップコイル1の半田液面からの高さH1を調整したり、図2の(d)におけるチップコイル1の半田液面からの高さH2を調整するのに使用できる。
図3に示すように、第1モータ20の回転軸21の軸線X1は半田液Sの液面より下方位置している。そのため、第1モータ20を正逆方向に駆動すると、図2の(b)〜(c)で説明したように、チップコイル1は左右に揺動し、両側の電極を半田液Sに浸漬させることができる。第1モータ20を中立位置へ戻した後、つまり図2の(d)のようにつば部3が半田液Sの液面に対して平行になるようにチップコイル1を水平に戻した後、第2モータ30を駆動すると、図2の(e)のようにチップコイル1は第2軸Y1を中心として上方へ振り上げられ、半田液Sを電極3c,3dから振り切ることができる。なお、図3では、チップコイル1の中心軸が第2軸Y1に対してX軸方向(振り上げ方向)にオフセットしている例を示したが、これは第2モータ30を駆動したときに半田液Sの振り切りを容易にするためである。このオフセット量は任意に設定できる。
前記実施例では、第1モータ20が第1軸X1を中心としてチャック手段40を揺動させる第1の駆動手段を構成し、第2モータ30が第2軸Y1を中心としてチャック手段40を回転させる第2の駆動手段を構成する例を示したが、これは単なる一例に過ぎない。例えば、チャック手段を3軸及びθ軸ロボットに連結し、当該ロボットによってX軸、Z軸、θ軸をコントロールすることによって、第1の駆動手段及び第2の駆動手段を構成してもよい。また、カムやリンク等の伝達機構を利用してチップコイルの揺動運動/振り上げ運動を行ってもよい。
本発明の半田付け方法は、前述のようにチップコイルのような小型電子部品の半田付けに適しているが、一方の端部に一対の電極を有する電子部品であれば適用可能である。電極は、つば部裏面に溝を形成し、この溝にコイルの端部を案内した部分に限らず、ピン状の電極でもよいし、板状電極、平面状の電極面でもよい。
S 半田液
1 チップコイル(電子部品)
2 コア
3,4 つば部
3c,3d 電極
8 コイル
8a,8b 両端部
10 半田槽
20 第1モータ(第1の駆動手段)
30 第2モータ(第2の駆動手段)
40 チャック手段
50 第3モータ(第3の駆動手段)
X1 第1軸
Y1 第2軸
1 チップコイル(電子部品)
2 コア
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X1 第1軸
Y1 第2軸
Claims (4)
- 電子部品の一端部に間隔をあけて形成された一対の電極に半田液を付着させる方法において、
水平軸X、Yおよび垂直軸Zよりなる直交3軸を設定し、前記一対の電極の対向方向に対して垂直な方向をX軸とし、
前記一対の電極の対向方向が半田液面と平行になるように前記電子部品を半田液面より上方で支持する第1の工程と、
前記電子部品を、半田液面より下方に位置するX軸と平行な第1軸を回転中心として、前記電極のうちの一方の電極を半田液面に浸漬する位置へ揺動させる第2の工程と、
前記電子部品を前記第1軸を回転中心として、前記一方の電極が表面張力によって半田液とつながった状態のまま、前記電極のうちの他方の電極を半田液面に浸漬する位置へ揺動させる第3の工程と、
前記一対の電極の対向方向が半田液面に対して平行になるように、前記電子部品を半田液面より上方で、かつ表面張力によって半田液が電極につながった状態で保持する第4の工程と、
前記電子部品を、半田液面より上方に位置するY軸と平行な第2軸を回転中心として上方へ回転させ、半田液を電極から振り切る第5の工程と、を有する電子部品の半田付け方法。 - 前記第4の工程は、表面張力によって半田液が電極につながった状態のまま、前記電子部品を半田液面に対して垂直方向に引き上げる工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子部品の半田付け方法。
- 電子部品の一端部に間隔をあけて形成された一対の電極に半田液を付着させる装置において、
水平軸X、Yおよび垂直軸Zよりなる直交3軸を設定し、前記一対の電極の対向方向に対して垂直な方向をX軸とし、
前記電子部品の電極を形成した端部と反対側の端部をチャックするチャック手段と、
前記チャック手段を、半田液面より下方に位置するX軸と平行な第1軸を回転中心として、前記電極のうちの一方の電極を半田液面に浸漬する位置と他方の電極を半田液面に浸漬する位置との間で揺動させ、かつその中間位置で前記一対の電極の対向方向が半田液面に対して平行になるように、前記電子部品を半田液面より上方で、かつ表面張力によって半田液が電極につながった状態で保持する第1の駆動手段と、
前記半田液が電極につながった状態で電子部品を半田液面より上方で保持したチャック手段を、半田液面より上方に位置するY軸と平行な第2軸を回転中心として上方へ回転させ、半田液を電極から振り切る第2の駆動手段と、を有する電子部品の半田付け装置。 - 前記第1の駆動手段によって電子部品を半田液面より上方で、かつ表面張力によって半田液が電極につながった状態で保持した状態で、電子部品を半田液面に対して垂直方向に引き上げる第3の駆動手段を有することを特徴とする請求項3に記載の電子部品の半田付け装置。
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