JP5276603B2 - Gi型光ファイバー - Google Patents
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Description
そこで、例えば、光配線を用いた光通信モジュール及び光送受信装置が提案されている(例えば、特許文献1)。ここでは、光配線として、石英ガラスファイバー、ポリマークラッドファイバー、プラスチックファイバーを使用することが記載されている。
しかし、ここで記載されているファイバーは、許容曲げ半径が大きいため、細かな配線ができず、小型の映像機器内又は映像機器間の狭い空間内に配線することが困難である。
前記コア部が、クロロスチレンモノマーを55重量%以上含む重合体と、ドーパントとを含んでなり、
前記クラッド部が、メチルメタクリレートを35重量%以上含むモノマーの重合体を含んでなることを特徴とする。
前記クラッド部に含まれる重合体は、メチルメタクリレートと、スチレン、α−メチルスチレン、N−シクロヘキシルマレイミドよりなる群より選ばれた少なくとも1種を含むモノマーとを構成単位とする重合体を主たる構成成分としてなるものが好ましい。
前記クラッド部に含まれる重合体は、メチルメタクリレート35〜70重量%、スチレン30〜65重量%及びN−シクロヘキシルマレイミド0〜15重量%を含むモノマーを構成単位とする重合体を主たる構成成分としてなるものが好ましい。
また、630〜690nmの少なくともいずれか一つの波長における
NA=(n1 2−n2 2)1/2
(式中、コア部中心部の屈折率:n1、クラッド部の屈折率:n2)
で表される開口数が0.25以上であることが好ましい。
さらに、コア部中心部は上記重合体100重量部と2〜8重量部のドーパントを含んでなることが好ましい。
また、映像関連光リンクシステムに使用されるものであることが好ましい。
光ファイバーは、通常、マルチモード光ファイバーと、シングルモード光ファイバーとに分類され、さらにマルチモード光ファイバーは、ステップインデックス(SI)型と屈折率分布を有するグレーデッドインデックス(GI)型に分類されるが、本発明の光ファイバーは、GI型である。
コア部は、ClStを、重合体を構成する全モノマーにおいて55重量%以上用いた重合体によって形成されていることが適しており、好ましくは60重量%以上、より好ましくは65重量%以上である。また、コア部は、ClStを全モノマーとする単一重合体であってもよいが、ClStが95重量%以下、さらに90重量%以下であることがより好ましい。特に、コア部におけるClStは、全モノマーにおいて55〜100重量%、60〜95重量%、65〜90重量%で含有されることが適している。ClStを55重量%以上の割合で用いてコア部を形成することにより、透明性及び可撓性に富む光ファイバーを得ることができる。
なお、本発明のClStは、スチレンのベンゼン環の水素の少なくとも一部が塩素に置換されたものであれば特に限定されないが、上記ベンゼン環の1又は2個の水素が塩素に置換されたものが適している。特に、パラ位が塩素に置換されたパラクロロスチレンが耐熱性の観点で好ましい。
クラッド部は、MMAを、全モノマーにおいて35重量%以上用いた重合体によって形成することが適しており、40重量%以上が好ましい。また、クラッド部は、MMAを全モノマーとする単一重合体であってもよいが、全モノマーにおいて70重量%以下で用いた重合体によって形成されていることが適しており、60重量%以下であることが好ましい。特に、クラッド部におけるMMAは、全モノマーにおいて35〜100重量%、35〜70重量%、さらに40〜60重量%で含有されることが適している。MMAを35重量%以上の割合で用いてクラッド部を形成する場合には、可撓性に優れ、映像機器内又は映像機器間の狭い空間内の配線に使用することができる。
α―MeStを用いる場合には、α―MeStは20重量%以下で含有されることが好ましい。
NC−HMIを用いる場合には、NC−HMIは35重量%以下で含有されることが適しており、15重量%以下で含有されることが好ましい。α−MeStを20重量%以下又はNC−HMIを35重量%以下の割合で用いてクラッド部を形成する場合には、クラッドのガラス転移温度を上げることができ、可撓性を維持しながら耐熱性に優れたファイバーとして使用することができる。
また、メチルメタクリレートと、スチレン及びN−シクロヘキシルマレイミドを含むモノマーとを構成単位とする重合体を主たる構成成分としてなることがより好ましい。この場合、例えば、メチルメタクリレートは35〜70重量%、スチレンは30〜65重量%及びN−シクロヘキシルマレイミドは0〜15重量%の範囲で用いることが適している。
なお、クラッド部内側の一部に、コア部から移行したドーパントが含まれることがあるが、上記n2はクラッド部の最も屈折率が低い部分の屈折率を指す。
この際の重合温度は、特に限定されず、例えば、80〜150℃程度が適している。反応時間は、モノマーの量、種類、後述する重合開始剤、連鎖移動剤等の量、反応温度等に応じて適宜調整することができ、20〜60時間程度が適している。
なお、これらの重合体は、後述するコア部及び/又はクラッド部を成形する際に、同時に又は連続して製造してもよい。
クラッド部を構成する重合体は、上述したSt及び/又はα−MeSt及び/又はNC−HMI及びMMA以外に、他のモノマー成分を用いないことが好ましいが、得られる光ファイバーの特性を損なわない範囲で、さらに重合性モノマー等を含有していてもよい。
重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤が挙げられる。例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、n−ブチル4,4,ビス(t−ブチルパーオキシ)バラレートなどのパーオキサイド系化合物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’―アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジ−t−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
重合開始剤は、全モノマーに対して0.01〜2重量%程度で用いることが適している。
連鎖移動剤としては、特に限定されることなく、公知のものを用いることができる。例えば、アルキルメルカプタン類(n−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等)、チオフェノール類(チオフェノール、m−ブロモチオフェノール、p−ブロモチオフェノール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオール等)等が挙げられる。なかでも、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタンが好適に用いられる。また、C−H結合の水素原子が重水素原子又はフッ素原子で置換された連鎖移動剤を用いてもよい。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
各モノマーに対する連鎖移動剤の連鎖移動定数は、例えば、ポリマーハンドブック第3版(J.BRANDRUPおよびE.H.IMMERGUT編、JOHN WILEY&SON発行)「高分子合成の実験法」(大津隆行、木下雅悦共著、化学同人、昭和47年刊)等を参考にして、実験によって求めることができる。よって、連鎖移動定数を考慮して、モノマーの種類等に応じて、適宜、その種類及び添加量を調整することが好ましい。例えば、全モノマーに対して0.1〜4重量%程度が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系抗酸化剤等が挙げられる。
光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられる。
これらの配合物とモノマー又は重合体とを混合する方法は、例えば、ホットブレンド法、コールドブレンド法、溶液混合法等が挙げられる。
重合時の重合容器の回転速度は、500〜3000rpm程度が例示される。
通常、モノマーをフィルターにより濾過して、モノマー中に含まれる塵埃を除去してから、重合容器内に導入することが好ましい。
つまり、コア部及びクラッド部を構成する重合体等を、それぞれ加熱溶融させ、個々の流路から多層ダイ及び多層用紡糸ノズルへ注入する。このダイ及びノズルでコア部を押出成形すると同時に、その外周に1層又は2層以上の同心円状のクラッド部を押出し、溶着一体化させることでファイバー又はプリフォームを形成することができる。
また、2台以上の溶融押出機と2層以上の多層ダイおよび多層用紡糸ノズルを用いて、コア部およびクラッド部を形成した後、引続いて設けられた熱処理ゾーンでドーパントを周辺部または中心部に向かって拡散させ、ドーパントの濃度分布を付与する溶融押出ドーパント拡散法、2台以上の溶融押出機にそれぞれドーパント量を変えた重合体等を導入して、多層構造でコア部および/またはクラッド部を押出成形する方法などが例示される。
また、任意の段階で、熱処理を行ってもよい。この熱処理によって、ドーパントを光ファイバー又はプリフォームの周辺部又は中心部に向かって拡散させることができる。この際の条件(例えば、温度、時間、圧力、雰囲気組成等)は、任意に調節することが好ましい。
繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維が挙げられる。
金属線としては、ステンレス線、亜鉛合金線、銅線などが挙げられる。
また、光ファイバーを用いたケーブルは、端部に接続用光プラグを用いてジャック部に確実に固定することが好ましい。プラグおよびジャックにより構成されるコネクタとしては、PN型、SMA型、SMI型、F05型、MU型、FC型、SC型などの市販の各種コネクタを利用することが可能である。また、光ファイバーを用いたケーブルの端部に接続用プラグは用いず、メディアコンバーター等の接続機器側にOptoLock(商品名、Firecomms社製)等のプラグレスコネクタを取り付け、切り放したケーブルを差し込んで接続することも可能である。
光源の波長は特に限定されないが、実用性の観点から可視光又は近赤外光を用いることができる。さらに、安全性の観点から可視光が好ましい。
以下、本発明の光ファイバーの実施態様を詳細に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
溶融押出ドーパント拡散法によって、ファイバーを作製するために、図1に示す溶融押出ドーパント拡散装置10を用いた。
図1の溶融押出ドーパント拡散装置10は、コア部及びクラッド部用の2層金型1の一方側に、コア部材押出機2及びクラッド部材押出機3が連結されている。2層金型1の他方側には、ドーパント拡散管4が備えられており、その下流にロール5を介して、テイクアップロール6が配置されている。
溶融押出ドーパント拡散法を利用して、光ファイバーを作製した。
パラクロロスチレン(以下、「pClSt」と記すことがある)とMMAとを蒸留し、濾過した後、ドーパントとしてリン酸トリフェニル(以下、「TPP」と記すことがある)を重量比で90対10対6.4の割合で混合した。さらに、全重量中の濃度がそれぞれ0.1重量%及び1重量%となるように、重合開始剤としてジt−ブチルパーオキサイド及び連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタンを添加した。これを重合容器に導入して、重合容器の温度を130℃に維持しながら、40時間かけて、モノマーを重合させて、コア部材ロッド(外径30mm)を作製した。
得られた構造物をドーパント拡散管4に導入して、200℃でドーパントを拡散させることにより、コア部材に含まれているドーパントが、コア部領域からクラッド部領域に半径方向へ拡散し、屈折率分布を形成した。ここで、得られた構造物は、ドーパント拡散管4の導入部4A、中央部4B及び導出部4Cと進むにつれて、図2のA〜Cにそれぞれ示したようなドーパント分布に変化した。
得られた直径300μmのGI型プラスチック光ファイバー7を、ロール5を介してテイクアップロール6に巻取った。
NA測定方法:ファーフィールドパターン測定器を用いて665nmでのNAを測定した。
コア部中心部のドーパント濃度の測定方法:厚み10μm程度にスライスした光ファイバー断面(軸と垂直方向)試料のコア部中心部のIRスペクトルを、スポット径10μmの顕微IR装置を用いて透過法により測定した。予めIR吸光度比から作成した検量線を用いてドーパント濃度を決定した。
コア部中心部のドーパント濃度を含むコア部材料のガラス転移点(Tg):分析されたドーパント濃度となるように、pClSt、MMA及びドーパントを混合し、コア部材料の重合と同一条件で重合することにより重合物を作製し、そのTgを窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minでのDSC法により測定した。
クラッド部材料のガラス転移点(Tg):クラッド材料となるバルク重合物を試料とし、上記同様にDSC法により測定した。
帯域測定:20mのファイバーについて、コア径50μmの石英マルチモードファイバーによる限定モード励振で650nmでの伝送帯域を測定した。
曲げ損失測定:自然に静置した状態に対する、曲げ半径10mmで180°曲げた状態での665nm光の損失増加を測定した。損失増加の測定は、JIS 6823に準拠した。
巻き付け試験:直径10mmのロッドに光ファイバーを5回巻き付けた後、解除後の損失増加(巻き付け前に対する解除後の損失増加)を測定した。(表1中、「破断」は解除後全く測定光が透過しなかったことを表す。)
これらの結果を表1に示す。
表1に示すように、コア部及びクラッド部の成分の割合を変化させる以外(特に、実施例11〜14及び比較例4ではクラッド部材料に3元共重合体を採用)は、実施例1と同様に光ファイバーを作製し、評価した。
これらの結果を表1に示す。
ドーパントをジベンゾチオフェン(以下、「DBT」と記すことがある)に変更したこと以外は実施例1と同様に光ファイバーを作製し、評価した。
これらの結果を表1に示す。
ドーパントを4,4'−ジクロロジフェニルスルホン(以下、「2ClDPS」と記すことがある)に変更したこと以外は実施例1と同様に光ファイバーを作製し、評価した。
これらの結果を表1に示す。
このように、デジタル信号を伝える及び/又は光量を送るための配線として、オーディオ用途、工場内通信用途、自動車内通信用途(ナビゲーションシステム、道路交通マネジメントシステム、自動料金収受システム等)、家庭内通信用途、さらに装飾又は照明用途(サイン、看板、建物照明、プール照明、光ファイバー装飾品、美術館照明、ファイバースクリーン等)、映像用途、光学検査又はセンサー等の工業用途、医療用途等において使用することができる。
2 コア部材押出機
3 クラッド部材押出機
4 ドーパント拡散管
5 ロール
6 テイクアップロール
7 光ファイバー
10 溶融押出ドーパント拡散装置
Claims (6)
- コア部及び該コア部の外周に配置されたクラッド部からなるGI型光ファイバーであって、
上記コア部が、クロロスチレンモノマーを60重量%以上含む重合体と、ドーパントとを含んでなり、
上記クラッド部が、メチルメタクリレートを35重量%以上含むモノマーの重合体を含んでなることを特徴とするGI型光ファイバー。 - 前記コア部に含まれる重合体は、クロロスチレン60〜100重量%と、メチルメタクリレート0〜40重量%とを含むモノマーを構成単位とする重合体を主たる構成成分とし、
前記クラッド部に含まれる重合体は、メチルメタクリレートと、スチレン、α−メチルスチレン、N−シクロヘキシルマレイミドよりなる群より選ばれた少なくとも1種を含むモノマーとを構成単位とする重合体を主たる構成成分としてなる請求項1記載のGI型光ファイバー。 - 前記クラッド部に含まれる重合体は、メチルメタクリレート35〜70重量%と、スチレン30〜65重量%及びN−シクロヘキシルマレイミド0〜15重量%を含むモノマーとを構成単位とする重合体を主たる構成成分としてなる請求項1又は2に記載のGI型光ファイバー。
- 630〜690nmの少なくともいずれか一つの波長における
NA=(n1 2−n2 2)1/2
(式中、コア部中心部の屈折率:n1、クラッド部の屈折率:n2)で表される開口数が0.25以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のGI型光ファイバー。 - 前記コア部中心部が、前記重合体100重量部と、ドーパント2〜8重量部とを含んでなる請求項1〜4のいずれか1項に記載のGI型光ファイバー。
- 映像関連光リンクシステムに使用される請求項1〜5のいずれか1項に記載のGI型光ファイバー。
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