JP2005096122A - プラスチック光学部材用プリフォーム及びその製造方法、並びにプラスチック光ファイバ - Google Patents

プラスチック光学部材用プリフォーム及びその製造方法、並びにプラスチック光ファイバ Download PDF

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秀敏 富田
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Abstract

【課題】 屈折率分布が鋭く立ち上がり、伝送損失の低いプラスチック光ファイバを与え得るプリフォームの製造方法を提供する。
【解決手段】 互いに異なる組成の複数の層を含むプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法であって、少なくとも内壁面が(メタ)アクリレートエステルの単独重合体または他の単量体との共重合体からなる中空管の中空部に、前記内壁面と異なる組成となる重合体を形成する単量体を含有する重合性組成物を、予めゾル化した後に注入し、前記中空管中で前記重合性組成物を重合して、前記内壁面と異なる組成を有する層を形成することを特徴とするプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規にして有用なプラスチック光学部材用プリフォーム及びその製造方法、並びにプラスチック光ファイバに関する。さらに詳細には、本発明は、クラッド部とコア部との界面の白化現象・界面混合がなく、屈折率分布が鋭く立ち上がり、低伝送損失で、且つ、広帯域なプラスチック光ファイバを与える、プラスチック光学部材用プリフォーム及びその製造方法に関する。
プラスチック光ファイバは、一般的には、重合体をマトリックスとする有機化合物からなる芯(本明細書において「コア部」と称する)と、コア部と屈折率が異なる(一般的には低屈折率の)有機化合物からなる外殻(本明細書において「クラッド部」と称する)とから構成される。特に、中心から外側に向かって屈折率の大きさに分布を有するコア部を備えた屈折率分布型プラスチック光ファイバは、伝送する光信号の帯域を大きくすることが可能なため、高い伝送容量を有する光ファイバとして最近注目されている。この様なプラスチック光ファイバは、通常、プラスチック光ファイバの母材(本明細書において、「プリフォーム」と称する)をまず作製し、その後、これを延伸することによって作製するのが一般的である。プラスチック光ファイバプリフォームの製造方法として、中空管形状のクラッド部を形成した後、クラッド部の中空部にコア部となる重合性組成物を注入し、重合せしめることにより、プラスチック光ファイバプリフォームを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
しかしながら、前記方法によって作製されたプリフォームでは、コア部形成用の重合性組成物の重合の際、クラッド部界面の溶解・膨潤がおこり、クラッド部およびコア部を形成する組成物が互いに非相溶の場合には、界面の白化が観察されたり、界面混合に基づく、界面付近での屈折率分布がブロードになり、伝送損失の高いプラスチック光ファイバを与えるという、欠点があった。一方、共押し出し成型加工のみによりプリフォームを作製すれば、クラッド部およびコア部それぞれを形成する組成物が互いに非相溶の場合でも、界面が白化することはないが、この方法では、Step−Index型、またはMulti−Step−Index型の屈折率分布を構築することはできるが、Graded−Index型を構築することは容易でなく、広帯域化が困難であった。
特開平10−96825号公報 特開2001−215345号公報
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、異なる組成の層の界面において起こり易い白化・混合現象を軽減し、所望の光学特性、特に所望の屈折率分布(鋭く立ち上がった屈折率分布)を有するプラスチック光学部材用プリフォーム及びその製造方法を提供することを課題とする。また、本発明は、低伝送損失・広帯域なプラスチック光ファイバを提供すること、及びその様な良好なプラスチック光ファイバを容易に与える、プラスチック光学部材用プリフォーム及びその製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決する手段は以下の通りである。
[1] 互いに異なる組成の複数の層を含むプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法であって、少なくとも内壁面が(メタ)アクリレートエステルの単独重合体または他の単量体との共重合体からなる中空管の中空部に、前記内壁面と異なる組成となる重合体を形成する単量体を含有する重合性組成物を、予めゾル化した後に注入し、前記中空管中で前記重合性組成物を重合して、前記内壁面と異なる組成を有する層を形成することを特徴とする、プラスチック光学部材用プリフォームの製造方法。
[2] 前記重合性組成物のゾル化率(コンバージョン率)が5〜45%である[1]に記載のプラスチック光学部材用プリフォーム製造方法。
[3] 少なくとも(メタ)アクリレートエステルを含む重合容器を回転させながら、前記(メタ)アクリレートエステルを重合し、少なくとも内壁面が(メタ)アクリレートの単独重合体または他の単量体との共重合体からなる中空管を作製する工程を含む[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4] (メタ)アクリレートエステルの単独重合体または他の単量体との共重合体として、少なくともフッ素化(メタ)アクリレートを含む[1]〜[3]いずれかに記載の製造方法。
[5] 前記重合性組成物を重合して形成した層のさらに内側に、前記層と異なる組成を有する1以上の層を形成する工程を含む[1]〜[4]のいずれかに記載のプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法によって得られるプラスチック光学部材用プリフォーム。
[7] 前記重合性組成物を重合させて形成された層の屈折率が、該層と隣接する少なくとも一方の層の屈折率と異なる[6]に記載のプラスチック光学部材用プリフォーム。
[8] 内側中心部方向に漸進的に増加する屈折率分布を有するコア部と、前記コア部の外側に、該コア部との接触面が前記フッ素化(メタ)アクリレートの単独重合体または他の単量体との共重合体からなるクラッド部とを有する[6]または[7]に記載のプラスチック光学部材用プリフォーム。
[9] 前記クラッド部の屈折率と前記コア部の最も高い屈折率との差が0.010以上である[8]に記載のプラスチック光学部材用プリフォーム。
[10] [6]〜[9]に記載のプラスチック光学部材用プリフォームを延伸して得られるプラスチック光ファイバ。
なお、本発明において、「異なる組成」とは、層を構成する重合体の組成比が異なること以外に、層の形成に用いられた組成物の組成が異なることも含み、例えば、重合体の組成比が同一であっても、層の形成に用いられた組成物中に添加される添加剤(屈折率調整剤等)の種類や量が異なる場合も含まれる。
本発明では、(メタ)アクリレートエステル、好ましくはフッ素化(メタ)アクリレートの単独重合体または他の単量体との共重合体(以下、双方を総称して「フッ素系重合体」という場合がある)からなる面に隣接して、異なる組成の層を形成する際に、重合性組成物を予めゾル化してから重合しているので、該重合性組成物による前記重合体の溶解・膨潤を格段に軽減でき、組成の異なる層間の非相溶性に起因する界面の白化現象が起こり難い。その結果、所望の光学特性、特に鋭く立ち上がった屈折率分布を有するプラスチック光学部材用プリフォームを提供することができ、伝送損失の低いプラスチック光ファイバを与える、プラスチック光ファイバプリフォームを提供することができる。
発明の実施の形態
以下、本発明のプラスチック光学部材用プリフォーム及びその製造方法を、クラッド部とコア部とからなるプラスチック光ファイバ用プリフォームの製造方法及びその製造方法に適用した実施の形態について詳細に説明するが、本発明は、本実施の形態に限定されるものではない。
本実施の形態では、少なくとも内壁面が、(メタ)アクリレートエステル、好ましくはフッ素化(メタ)アクリレート(本明細書において「フッ素化アクリレート」及び「フッ素化メタアクリレート」の双方を意味する)の単独重合体または他の単量体との共重合体からなる、中空管形状のクラッド部を用いる。クラッド部は単層構造であっても複数層構造であってもよく、複数層構造の態様では、最内層を前記重合体から形成すればよい。
前記(メタ)アクリレートエステルは既知のいずれのものを適用できるが、特にフッ素化(メタ)アクリレートが好ましい。フッ素化(メタ)アクリレートは、フルオロアルキル(メタ)アクリレートであるのが好ましい。前記フルオロアルキル(メタ)アクリレートには、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、および下記一般式(1)
一般式(1)
CH2=C(X)COO(CH2m(CF2n
(式中、XはH、F、Cl、またはCH3、YはHまたはF、mは0〜2、nは1〜6の整数を表す。)
で表される構造を有するフルオロアルキル(メタ)アクリレート類が含まれる。
前記一般式(1)で表される構造を有するフルオロアルキル(メタ)アクリレート類のうち、特に代表的なものとしては、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、α−フルオロアクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエステル、α−フルオロアクリル酸2,2,2−トリフルオロエチルエステルなどが挙げられる。
前記フッ素化(メタ)アクリレート(好ましくはフルオロアルキル(メタ)アクリレート類)と共重合可能な他の重合性モノマーは、前記フッ素化(メタ)アクリレート類と共重合可能であれば特に制限されないが、エチレン性不飽和モノマーが好ましい。例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、ビニルエステル類、スチレン類、マレイミド類、(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリロニトリル類などがあり、これらのうち、特に代表的なものとしては、メチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレン、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソプロピルマレイミド、アクリルアミド、アクリロニトリルなどが挙げられる。これらの中でも、共重合性と低屈折率の観点から、メチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。
前記クラッド部を構成し得る、フッ素化(メタ)アクリレートと他の単量体との共重合体の具体例を挙げると、ポリ(2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート)(屈折率:1.42)、ポリ(2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート/メチルメタクリレート=8/2)(屈折率:1.43)、ポリ(2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート/tert−ブチルメタクリレート=5/5)(屈折率:1.44)、ポリ(2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート/ノルボルニルメタクリレート=8/2)(屈折率:1.46)、ポリ(2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート=8/2)(屈折率:1.46)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのクラッド部は、低伝送損失化の観点から、アモルファスであることが必須である。
本実施の形態において、クラッド部の内壁面が、フッ化(メタ)アクリレートの単独重合体、または他の単量体との共重合体であればよく、複数層からなる場合は、外側の層を構成しているポリマーについては、特に限定されない。例えば、クラッド部が二層からなる態様では、外側の層がメチルメタクリレート(共)重合体からなり、内側の層が2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレートであるのが好ましい。
クラッド部の作製方法については、特に限定されない。重合性組成物の重合の進行とともに中空管形状に成型してクラッド部を作製してもよいし、一旦重合体を得た後、溶融押し出し成型等の成型加工によって中空管形状のクラッド部を作製することもできる。前者のクラッド部作製方法の一例は、フッ素化(メタ)アクリレートを含有する重合性組成物が注入された重合容器を回転させながら前記重合性組成物を重合し、中空管形状のクラッド部を作製する方法である。かかる方法によれば、少なくともその内壁面がフッ素化(メタ)アクリレートの単独重合体、または他の単量体との共重合体かなるクラッド部を容易に作製することができる。
前記方法に用いられる重合容器は、ガラス、プラスチックまたは金属性の円筒管形状の容器(チューブ)で、回転による遠心力などの外力に耐え得る機械的強度および加熱重合時の耐熱性を有するものであればいずれでもよい。特に代表的なものとしては、日電理科硝子株式会社製の丸底直口ガラス試験管(内径22mm*高さ340mm、厚さ:1.5mm)、テフロンAF(登録商標、Dupont社製)、サイトップ(旭硝子株式会社製)、またはフッ化ビニリデン系共重合体からなるプラスチックチューブ、ポリメチルメタクリレート、メタクリル酸エステル共重合体、例えば、メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート/ノルボルニルメタクリレート共重合体、またはメチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート共重合体で被覆されたガラスチューブまたはアルミナ製チューブなどが挙げられる。これらのプラスチックチューブおよびチューブを被覆している重合体はアモルファスであることが好ましい。これらの中でも、次層の支持体としての観点から、内面をメチルメタクリレート(共)重合体で被覆されたガラスチューブまたは金属チューブが好ましく、さらに、プラスチック光ファイバプリフォームの取り出しの容易さの観点から、内面をメチルメタクリレート(共)重合体で被覆されたガラスチューブがより好ましい。なお、これらプラスチックで被覆されたチューブを重合容器として用いた場合は、プラスチック(好ましくはメチルメタクリレート(共)重合体)からなる被覆層は、重合によって形成されるフッ素化(メタ)アクリレートの重合体の層とともにクラッド部となる。
チューブに前記重合性組成物を注入した後、回転させながら前記重合性組成物を重合させる。必要であれば、重合を開始させるために熱または光を重合性組成物に供与してもよい。重合反応温度は、特に制限はないが、反応性と着色のバランスの観点から、概ね0〜100℃が好ましい。また、反応時間は、前記重合性組成物が含有する重合開始剤、連鎖移動剤(双方については後述する)の量と反応温度に応じて適切に設定する必要があるが、概ね1〜48時間程度が好ましい。また、クラッド部の形成に用いられる重合性組成物を、予めゾル化してもよい。ゾル化率(コンバージョン率)としては、5〜50%が好ましく、流動性の確保の観点から、10〜35%がより好ましく、15〜30%がさらに好ましい。
高コンバージョン率でも重合体の分子量を下げることによって、流動性等の予備重合における取扱い性を損なわない様にする事ができるが、重合後の加工適性が損なわれるため、コンバージョン率は50%以下がより好ましい。
なお、本発明においては流動性を十分に有している状態をゾルと称し、その場合のコンバージョン率をゾル化率と言うことにする。
重合時のチューブの回転速度は、概ね、500〜3000rpmであればよいが、特に、この範囲の回転速度に限定するものではない。
前記重合性組成物をフィルターにより濾過して、組成物中に含まれる塵埃を除去してから、前記チューブに注入するのが好ましい。また、性能劣化や前工程、後工程の煩雑化などを起こさない限りにおいて、特開平10−293215号、特開平8−110419号公報に記載されている様に、取り扱いやすい様に粘度などの調整やプレ重合を行うことによる重合時間の短縮なども行うことができる。
前記クラッド部形成用重合性組成物は、重合開始剤を含有しているのが好ましい。前記重合開始剤としては、用いるモノマーや重合方法に応じて適宜選択することができ、例えば、過酸化ベンゾイル(BPO)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−tert−ブチルパーオキシド(PBD)、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのパーオキサイド系化合物や、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2−’アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジ−tert−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系化合物が挙げられる。なお、重合開始剤は勿論これらに限定されるものではなく、2種類以上を併用してもよい。
クラッド部形成用重合性組成物は、連鎖移動剤を含有しているのが好ましい。前記連鎖移動剤は、主に重合体の分子量を調整するために用いられる。前記クラッド部形成用重合性組成物がそれぞれ連鎖移動剤を含有していると、重合性モノマーからポリマーを形成する際に、重合速度および重合度を前記連鎖移動剤によってより制御することができ、重合体の分子量を所望の分子量に調整することができる。例えば、得られたプリフォームを延伸により線引きして光ファイバとする際に、分子量を調整することによって延伸時における機械的特性を所望の範囲とすることができ、生産性の向上にも寄与する。前記連鎖移動剤については、併用する重合性モノマーの種類に応じて、適宜、種類および添加量を選択することができる。各モノマーに対する連鎖移動剤の連鎖移動定数は、例えば、ポリマーハンドブック第3版(J.BRANDRUPおよびE.H.IMMERGUT編、JOHN WILEY&SON発行)を参照することができる。また、該連鎖移動定数は大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊を参考にして、実験によっても求めることができる。
連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類(例えば、ter−メルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等)、チオフェノール類(例えば、チオフェノール、m−ブロモチオフェノール、p−ブロモチオフェノール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオール等)などを用いることが好ましい。特に、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンのアルキルメルカプタンを用いるのが好ましい。また、C−H結合の水素原子が重水素原子やフッ素原子で置換された連鎖移動剤を用いることもできる。なお、前記連鎖移動剤は、2種類以上を併用してもよい。勿論、これらに限定されるものではなく、これら連鎖移動剤は2種類以上を併用してもよい。
また、前記重合性組成物を重合して一旦得た後、成型して中空管形状のクラッド部を作製する方法としては、ペレット状や粉末状の重合体を円筒形状の容器に入れ、両端を塞ぎ、該容器を回転(好ましくは、円筒の軸を水平に維持した状態で回転)させつつ該樹脂の融点以上に加熱し、前記樹脂を溶融させることにより、重合体からなる中空管を作製することができる。この時に、溶融による樹脂の熱または酸化、および熱酸化分解を防ぐために、該重合容器内を窒素やアルゴンなどの不活性気体雰囲気下で行うことや、樹脂を事前に充分乾燥させておくことが好ましい。
一方、重合体を溶融押出ししてクラッド部を形成してもよい。一旦、重合体を作製した後、押出し成形等の成形技術を利用して、所望の形状(本実施の形態では円筒形状)の構造体を得ることもできる。これらに用いられる溶融押出装置としては、主として、インナーサイジングダイ方式とアウターダイ減圧吸引方式の2つのタイプがあり、いずれの方式の溶融押出装置によって得られた構造体も用いることができる。
クラッド部を構成する重合体の重量平均分子量は、プラスチック光ファイバプリフォームを溶融延伸させる観点から、30,000〜300,000となるように調整するのが好ましい。
次に、作製したクラッド部の中空部に、前記クラッド部よりも高い屈折率を与えるポリマーを形成するビニル系単量体を含有する重合性組成物を、予めゾル化した後に注入し、前記クラッド部を回転させながら前記重合性組成物を重合して、前記クラッド部より高い屈折率を有するコア部の第一層を形成する。上記クラッド部の作製工程と同様、回転させながらコア部第一層を形成するので、第一層のさらに内側が中空部となる。該中空部にさらに重合性組成物を注入し、重合することによってインナーコア層を形成し、コア部全体を完成することができる。インナーコア層は単層であっても、複数層からなっていてもよい。本実施の形態では、予めゾル化させた重合性組成物を用いて、クラッド部と接するコア部の第一層を形成するので、クラッド部とコア部の界面におけるクラッド部の溶解・膨潤を抑制できる。
前記クラッド部が、チューブ等の重合容器に支持された状態で作製されている場合は、そのままの状態で、コア部第一層形成の工程に用いるのが好ましい。一方、クラッド部を溶融押し出し等によって作製した場合は、得られたクラッド部をクラッド部と同形状でクラッド部を支持可能な容器内に納め、該容器に支持された状態で、コア部第一層形成の工程に用いるのが好ましい。
本実施の形態の製造方法によれば、Step−Index型およびGraded−Index型の屈折率分布をコア部に容易に付与することができる。Step−Index型の屈折率分布をつけるには、(1)前記重合性組成物に屈折率調整剤を加えずに、界面ゲル重合、または、回転重合を行う方法がある。また、Graded−Index型の屈折率分布をつけるには、(2)前記重合性組成物に屈折率調整剤を加えて、界面ゲル重合、または、回転重合を行う方法;および(3)異なる屈折率を有する、複数のビニル単量体(B)の組成比率を漸進的に変化させ、クラッド部との界面から中心部まで、屈折率分布が漸進的に増加するように、回転重合を行う方法などがある。これらの方法の中でも、広帯域化および製造の観点から、(2)および(3)が好ましく、また、直径の太いGraded−Index型プラスチック光ファイバプリフォームの製造の容易さの観点から、(3)がより好ましい。
前記(1)の方法では、コア部第一層形成用の重合性組成物と、インナーコア層形成用の重合性組成物とは、同一のビニル系単量体を含有しているのが好ましく、2種以上のビニル系単量体を含有している場合は、組成比率も同一であるのが好ましい。前記(2)の方法では、コア部第一層形成用の重合性組成物には屈折率調整剤を含有させずに、その内側に形成されるインナーコア層用の重合性組成物に含有させるのが好ましい。また、双方の重合性組成物は同一のビニル系単量体を含有しているのが好ましい。前記(1)および(2)の方法では、インナーコア層は、単層からなっていても、複数層からなっていてもよい。一方、前記(3)の方法では、インナーコア層は複数層からなる。この態様では、コア部第一層形成用の重合性組成物、およびその内側に形成されるインナーコア層形成用の重合性組成物の全てが、同一の組み合わせで複数種のビニル系単量体を含有し、且つ各層のビニル系単量体の組成比率を、外側の層から内側の層に向かって屈折率が漸進的に高くなる様に変化させる。
前記コア部の第一層の形成に用いる重合性組成物は、少なくとも作製したクラッド部の中空部に前記クラッド部よりも高い屈折率を与えるポリマーを形成するビニル系単量体を含有する。また、上記した様に、さらにその内側に形成するインナーコア層用重合性組成物も、前記第一層の形成に用いる重合性組成物と同一のビニル系単量体を含有しているのが好ましい。前記ビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、ビニルエステル類、スチレン類、マレイミド類、(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリロニトリル類などがある。これらのうち、特に代表的なものとしては、比較的高い屈折率を与えるビニル系単量体として、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどが挙げられる(ポリマーとしたときの屈折率は何れも1.57)。また、比較的低い屈折率を与えるビニル系単量体としては、メチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、フルオロアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられ(ポリマーとしたときの屈折率は1.50以下)、これらのビニル系単量体を用いるときには、後述する屈折率調整剤を併用することもできる。
さらに、作製する光学部材を近赤外光用途に用いる場合は、構成するC−H結合に起因した吸収損失が起こるために、C−H結合の水素原子を重水素原子とした重合性単量体、例えば、重水素化メチルメタクリレート(MMA−d8)、重水素化ベンジルメタクリレート(BzMA−d12)からコア部を形成すると、この伝送損失を生じる波長域を長波長化することができ、伝送信号光の損失を軽減することができる。
前記コア部を構成するポリマーとして、特に例示するにとどめれば、ポリ(メチルメタクリレート)(屈折率:1.49)、ポリ(メチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート=7/3)(屈折率:1.51)、ポリ(メチルメタクリレート/フェニルメタクリレート=7/3)(屈折率:1.51)、ポリ(2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート/ベンジルメタクリレート=7/3)(屈折率:1.47)、ポリ(2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート/フェニルメタクリレート=7/3)(屈折率:1.47)などが挙げられる。
前記した、クラッド部およびコア部の組み合わせに際しては、クラッド部の屈折率とコア部の最も高い屈折率の差が、開口数の観点から、好ましくは0.010以上、より好ましくは0.030以上、さらに、より好ましくは0.050以上にするのがよい。クラッド部およびコア部の組み合わせとして、特に例示するにとどめれば、クラッド部が、ポリ(2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート)(屈折率:1.42)、コア部が、ポリ(メチルメタクリレート)(屈折率:1.49)の組み合わせ、クラッド部が、ポリ(2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート)(屈折率:1.42)、コア部が、ポリ(2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート/ベンジルメタクリレート=7/3)(屈折率:1.47)の組み合わせ、クラッド部が、ポリ(2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート)(屈折率:1.42)、コア部が、ポリ(2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート/フェニルメタクリレート=7/3)(屈折率:1.47)の組み合わせなどが挙げられる。
前記コア部形成用重合性組成物は、前記ビニル系単量体の他に、所望により重合開始剤、連鎖移動剤及び屈折率調整剤を含んでいてもよい。使用可能な重合開始剤及び連鎖移動剤の具体例については、前記クラッド部形成用重合性組成物に使用可能な重合開始剤及び連鎖移動剤と同様である。コア部第一層の屈折率を、クラッド部の屈折率より高めるために、屈折率調整剤を用いてもよい。また、前記(2)の方法の様に、屈折率調整剤を用い、且つ屈折率調整剤の濃度に分布を持たせることによって、該濃度の分布に基づいて屈折率分布型のインナーコア層を容易に作製することができる。また前記(3)の方法の様に、屈折率調整剤を用いなくとも、コア部の形成に2種以上の重合性モノマーを用い、インナーコア層内に共重合比の分布を持たせることによって、屈折率分布構造を導入することもできる。
屈折率調整剤はドーパントとも称し、併用する前記重合性モノマーの屈折率と異なる化合物である。その屈折率差は、0.005以上であるのが好ましい。ドーパントは、これを含有する重合体が無添加の重合体と比較して、屈折率が高くなる性質を有する。これらは、特許3332922号公報や特開平5−173026号公報に記載されているような、モノマーの合成によって生成される重合体との比較において溶解性パラメータとの差が7(cal/cm31/2以内であると共に、屈折率の差が0.001以上であり、これを含有する重合体が無添加の重合体と比較して屈折率が変化する性質を有し、重合体と安定して共存可能で、且つ前述の原料である重合性モノマーの重合条件(加熱および加圧等の重合条件)下において安定であるものを、いずれも用いることができる。
また、ドーパントは重合性化合物であってもよく、重合性化合物のドーパントを用いた場合は、これを共重合成分として含む共重合体がこれを含まない重合体と比較して、屈折率が上昇する性質を有するものを用いることが好ましい。上記性質を有し、重合体と安定して共存可能で、且つ前述の原料である重合性モノマーの重合条件(加熱および加圧等の重合条件)下において安定であるものを、ドーパントとして用いることができる。本実施の形態では、コア部形成用重合性組成物にドーパントを含有させ、コア部を形成する工程において界面ゲル重合法により重合の進行方向を制御し、屈折率調整剤の濃度に傾斜を持たせ、コア部に屈折率調整剤の濃度分布に基づく屈折率分布構造を形成するのが好ましい(以下、屈折率の分布を有するコア部を「屈折率分布型コア部」と称する)。屈折率分布型コア部を形成することにより、得られる光学部材は広い伝送帯域を有する屈折率分布型プラスチック光学部材となる。
前記ドーパントとしては、特許3332922号や特開平11−142657号の各公報に記載されている様な、例えば、安息香酸ベンジル(BEN)、硫化ジフェニル(DPS)、リン酸トリフェニル(TPP)、フタル酸ベンジルn−ブチル(BBP)、フタル酸ジフェニル(DPP)、ビフェニル(DP)、ジフェニルメタン(DPM)、リン酸トリクレジル(TCP)、ジフェニルスルホキシド(DPSO)、ジフェニルスルフィド、ビス(トリメチルフェニル)スルフィド、硫化ジフェニル誘導体、ジチアン誘導体などが挙げられる。硫化ジフェニル誘導体、ジチアン誘導体については、下記に具体的に示す化合物の中から適宜選ばれる。中でも、BEN、DPS、TPP、DPSOおよび硫化ジフェニル誘導体、ジチアン誘導体が好ましい。なお、これらの化合物中に存在する水素原子を重水素原子に置換した化合物も広い波長域での透明性を向上させる目的で用いることができる。また、重合性化合物として、例えば、トリブロモフェニルメタクリレート等が挙げられる。屈折率調整成分として重合性化合物を用いる場合は、マトリックスを形成する際に、重合性モノマーと重合性屈折率調整成分とを共重合させるので、種々の特性(特に光学特性)の制御がより困難となるが、耐熱性の面では有利となる可能性がある。
Figure 2005096122
その他、前記重合性組成物には、光伝送性能を低下させない範囲で、その他の添加剤を添加することができる。例えば、耐候性や耐久性などを向上させる目的で、安定剤を添加することができる。また、光伝送性能の向上を目的として、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加することもできる。該化合物を添加することにより、減衰した信号光を励起光により増幅することができ、伝送距離が向上するので、例えば、光伝送リンクの一部にファイバ増幅器として使用することができる。これらの添加剤も、前記原料モノマーに添加した後、重合することによって、含有させることができる。前記クラッド部用重合性組成物に、これらの他の添加剤を含有させてもよい。
前記重合性組成物は、クラッド部の中空部に注入する前に予めゾル化する。具体的には、前記重合性組成物を別の反応容器で加熱することにより、ゾル化することができる。ゾル化反応温度は、特に制限はないが、反応性と着色のバランスの観点から、概ね0〜100℃となるようにすればよい。また、反応時間は、加える重合開始剤、連鎖移動剤の量と反応温度に応じて適切に設定する必要があるが、製造の観点からは短い方が好ましく、3時間以内、好ましくは1.5時間以内に所望のゾル化率(コンバージョン)になるようにするのがよい。ゾル化率としては、5〜35%にすればよいが、界面でのクラッド部の溶解・膨潤の抑制および流動性の確保の観点から、好ましくは10〜35%、より好ましくは15〜30%にするのがよい。ゾル化率を制御するにはコア部用重合組成物の各重合温度条件下での重合速度からゾル化の速度を求めておき、その条件に基づいてゾル化を行う事によって操作することができる。なお、ゾル化率は、所定量(xg)のゾルをメタノール中に攪拌して、ポリマーを再沈殿させ、得られたポリマーを乾燥後、秤量(yg)して、xおよびyを以下の式に代入することにより算出することができる。
ゾル化率(%)=得られたポリマーの乾燥重量(yg)/ゾルの重量(xg)×100
メタノール中ではポリマーが再沈殿しない場合は、他の有機溶媒、例えば、ヘキサン等を使用してもよい。
このようにして得られた、前記重合性組成物のゾル化物を、クラッド部の中空部に注入する。注入時に気泡が混入しないように、前記ゾル化物をゆっくりと壁面をつたわせながら、注入するのがよい。注入した後の重合反応温度は、界面でのクラッド部の溶解・膨潤の抑制の観点から、クラッド部を形成するポリマーのTgより5℃以下であるのが好ましく、より好ましくは10℃以下、さらに好ましくは15℃以下、さらにより好ましくは20℃以下にするのがよい。重合時のチューブ(クラッド部)の回転速度は、概ね、500〜3000rpmであればよいが、界面でのクラッド部の溶解・膨潤の抑制の観点から、好ましくは500〜1500rpmにするのがよい。
次に、インナーコア層を形成する。インナーコア層は、コア部第一層のさらに内側の中空部に、重合性組成物を注入し、該重合性組成物を重合することによって作製することができる。前記重合性組成物に用いる剤については、上記した通りである。
屈折率が中心に向かって漸進的に高くなっている屈折率分布を有するインナーコア層は、界面ゲル重合法を利用して作製することができる。界面ゲル重合法では、重合性組成物に含有されるビニル系単量体の重合は、前記コア部第一層の内壁面から断面の半径方向、中心に向かって進行する。前記重合性組成物が、2種以上の単量体を含有する場合は、重合性モノマーの反応性の違いに基づいて、重合反応の進行方向に沿って、重合性比が変化したインナーコア層が形成される。その結果、インナーコア層には、重合性比の分布に基づく屈折率分布が導入される。また、重合性モノマーに屈折率調整剤を添加して重合すると、特許3332922号公報に記載されているように、インナーコア層形成用の重合性組成物が、第一層の内壁を溶解し、内壁面を構成している重合体が膨潤してゲルを構成しながら、重合が進む。この時、前記第一層を構成している重合体に対して親和性の高いモノマーが、前記第一層の内壁面表面に偏在して重合し、外側には屈折率調整剤濃度が低い重合体が形成される。中心に向かうに従って、形成された重合体中の該屈折率調整剤の比率は増加する。このようにして、インナーコア層となる領域内に屈折率調整剤の濃度分布が生じ、その結果、屈折率の分布が導入される。
また、前記(3)の方法の様に、界面ゲル重合法を利用しなくても、屈折率が中心に向かって漸進的に高くなっている屈折率分布を有するインナーコア層を作製することができる。具体的には、コア部第一層形成用の重合性組成物と同一の組み合わせで複数種のビニル系単量体を含有し、且つビニル系単量体の組成比率が異なる重合性組成物を、前記第一層のさらに内側の中空部に注入し、容器を回転させながら重合性組成物を重合して第二層を形成する。前記第一層と前記第二層とには、共重合比率の違いに基づく屈折率の差が生じる。同様に、第二層の内側の中空部で重合性組成物を重合することにより第三層、第四層を順次形成することができる。より内側の層の屈折率が高くなる様に各層の重合性組成物中のビニル系単量体の組成比率を調整することによって、屈折率が中心部に向かって漸進的に高くなるインナーコア層を形成することができる。
インナーコア層用の重合性組成物を回転重合する際の好ましい重合条件については、コア部第一層用の重合性組成物の重合条件と同様である。また、インナーコア層用の重合性組成物を界面ゲル重合する際の好ましい重合条件については、特開2003−149463号、特開2003−195065号、特開2003−75656号、特開2003−192714号及び特開2003−192708号等の各公報に記載の条件と同様である。
コア部第一層およびインナーコア層をそれぞれ構成する重合体の重量平均分子量は、プラスチック光ファイバプリフォームを溶融延伸させる観点から、30,000〜300,000となるように調整するのが好ましい。
このようにして得られる、プラスチック光ファイバプリフォームは、製造の観点から、大口径化することが好ましく、また、プラスチック光ファイバを被覆して、プラスチック光ファイバケーブルを作製する際、損失向上を抑制する観点から、クラッディング部を厚肉化することが好ましい。これらの観点から、プラスチック光ファイバにしたときのクラッディング部の厚みは、50μm〜100μmになるように調製するのがよい。また、コア部第一層は、その後の界面ゲル重合等や延伸工程を経て、光ファイバの形態となった後は、インナーコア層と一体になり、双方が識別できなくなっていてもよい。
得られたプリフォームを溶融延伸することによりプラスチック光ファイバを作製することができる。延伸は、例えば、プリフォームを加熱炉(例えば円筒状の加熱炉)等の内部を通過させることによって加熱し、溶融させた後、引き続き連続して延伸紡糸するのが好ましい。加熱温度は、プリフォームの材質等に応じて適宜決定することができるが、一般的には、180〜250℃が好ましい。延伸条件(延伸温度等)は、得られたプリフォームの径、所望のプラスチック光ファイバの径および用いた材料等を考慮して、適宜決定することができる。特に、屈折率分布型光ファイバにおいては、その断面の中心方向から円周に向け屈折率が変化する構造を有するため、この分布を破壊しないように、均一に加熱且つ延伸紡糸する必要がある。従って、プリフォームの加熱には、プリフォームを断面方向において均一に加熱可能である円筒形状の加熱炉等を用いことが好ましい。また、加熱炉は延伸軸方向に温度分布を持つことが好ましい。溶融部分が狭いほど屈折率分布の形状が歪みにくく収率があがるため好ましい。具体的には溶融部分の領域が狭くなるように溶融領域の前後では、予熱と徐冷を行うことが好ましい。さらに、溶融領域に用いる熱源としてはレーザーのようなせまい領域に対しても高出力のエネルギーを供給できるものがより好ましい。
延伸は線形とその真円度を維持させるため、中心位置を一定に保つ調芯機構を有する延伸紡糸装置を用いて行うのが好ましい。延伸条件を選択することによりファイバの重合体の配向を制御することができ、線引きで得られるファイバの曲げ性能等の機械特性や熱収縮などを制御することもできる。また、線引時の張力は、特開平7−234322号公報に記載されているように、溶融したプラスチックを配向させるために10g以上とすることができ、もしくは特開平7−234324号公報に記載されているように、溶融延伸後に歪みを残さないようにするために100g以下とすることが好ましい。また、特開平8−106015号公報に記載されているように、延伸の際に予備加熱工程を実施する方法などを採用することもできる。以上の方法によって得られるファイバについては、得られる素線の破断伸びや硬度について特開平7−244220号公報に記載の様に規定することでファイバの曲げや側圧特性を改善することができる。また、特開平8−54521のように低屈折率の層を外周に設けて反射層として機能させてさらに伝送性能を向上させることもできる。
前述した方法で製造されたプラスチック光ファイバは、そのままの形態で種々の用途に供することができる。また、保護や補強を目的として、その外側に被覆層を有する形態、繊維層を有する形態、および/または複数のファイバを束ねた状態で、種々の用途に供することができる。被覆工程は、例えばファイバ素線の通る穴を有する対向したダイスにファイバ素線を通し、対向したダイス間に溶融した被覆用の樹脂を満たし、ファイバ素線をダイス間に移動することで被覆されたファイバを得ることができる。被覆層は可撓時に内部のファイバへの応力から保護するため、ファイバ素線と融着していないことが望ましい。さらにこのとき、溶融した樹脂と接することでファイバ素線に熱的ダメージが加わるので、極力ダメージを押さえるような移動速度や低温で溶融できる樹脂を選ぶことも望ましい。このとき、被覆層の厚みは被覆材の溶融温度や素線の引き抜き速度、被覆層の冷却温度による。その他にも、光部材に塗布したモノマーを重合させる方法やシートを巻き付ける方法、押し出し成形した中空管に光部材を通す方法などが知られている。
素線を被覆することにより、プラスチック光ファイバケーブル製造が可能となる。その際にその被覆の形態として、被覆材とプラスチック光ファイバ素線の界面が全周にわたって接して被覆されている密着型の被覆と、被覆材とプラスチック光ファイバ素線の界面に空隙を有するルース型被覆がある。ルース型被覆では、たとえばコネクタとの接続部などにおいて被覆層を剥離した場合、その端面の空隙から水分が浸入して長手方向に拡散されるおそれがあるため、通常は密着型が好ましい。しかし、ルース型の被覆の場合、被覆と素線が密着していないので、ケーブルにかかる応力や熱とはじめとするダメージの多くを被覆材層で緩和させることができ、素線にかかるダメージを軽減させることができるため、使用目的によっては好ましく用いることができる。水分の伝播については、空隙部に流動性を有するゲル状の半固体や粉粒体を充填することで、端面からの水分伝播を防止でき、かつ、これらの半固体や粉粒体に耐熱や機械的機能の向上などの水分伝播防止と異なる機能をあわせ持つようにすることでより高い性能の被覆を形成できる。ルース型の被覆を製造するには、クロスヘッドダイの押出し口ニップルの位置を調整し減圧装置を加減することで空隙層を作ることができる。空隙層の厚みは前述のニップル厚みと空隙層を加圧/減圧することで調整が可能である。
さらに、必要に応じて被覆層(1次被覆層)の外周にさらに被覆層(2次被覆層)を設けても良い。2次被覆層に難燃剤や紫外線吸収剤、酸化防止剤、ラジカル捕獲剤、昇光剤、滑剤などを導入してもよく、耐透湿性能を満足する限りにおいては、1次被覆層にも導入は可能である。なお、難燃剤については臭素を始めとするハロゲン含有の樹脂や添加剤や燐含有のものがあるが、毒性ガス低減などの安全性の観点で難燃剤として金属水酸化物を加える主流となりつつある。金属水酸化物はその内部に結晶水として水分を有しており、またその製法過程での付着水が完全に除去できないため、金属水酸化物による難燃性被覆は、対透湿性被覆(1次被覆層)の外層被覆(2次被覆層)として設けることが望ましい。また、複数の機能を付与させるために、様々な機能を有する被覆を積層させてもよい。例えば、難燃化以外に、素線の吸湿を抑制するためのバリア層や水分を除去するための吸湿材料、例えば吸湿テープや吸湿ジェルを被覆層内や被覆層間に有することができ、また可撓時の応力緩和のための柔軟性素材層や発泡層等の緩衝材、剛性を挙げるための強化層など、用途に応じて選択して設けることができる。樹脂以外にも構造材として、高い弾性率を有する繊維(いわゆる抗張力繊維)および/または剛性の高い金属線等の線材を熱可塑性樹脂に含有すると、得られるケーブルの力学的強度を補強することができることから好ましい。抗張力繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維が挙げられる。また、金属線としてはステンレス線、亜鉛合金線、銅線などが挙げられる。いずれのものも前述したものに限定されるものではない。その他に保護のための金属管の外装、架空用の支持線や、配線時の作業性を向上させるための機構を組み込むことができる。
また、ケーブルの形状は使用形態によって、素線を同心円上にまとめた集合ケーブルや、一列に並べたテープ心線と言われる態様、さらにそれらを押え巻やラップシースなどでまとめた集合ケーブルなど用途に応じてその形態を選ぶことができる。
また、光ファイバを用いたケーブルは、軸ずれに対して従来の光ファイバに比べて許容度が高いため突き合せによる接合でも用いることができるが、端部に接続用光コネクタを用いて接続部を確実に固定することが好ましい。コネクタとしては一般に知られている、PN型、SMA型、SMI型、F05型、MU型、FC型、SC型などの市販の各種コネクタを利用することも可能である。
本実施の形態の製造方法によって作製された光ファイバ、および光ファイバケーブルを用いて光信号を伝送するシステムには、種々の発光素子や受光素子、光スイッチ、光アイソレータ、光集積回路、光送受信モジュールなどの光部品を含む光信号処理装置等で構成される。また、必要に応じて他の光ファイバなどと組合わせてもよい。それらに関連する技術としてはいかなる公知の技術も適用でき、例えば、プラスティックオプティカルファイバの基礎と実際(エヌ・ティー・エス社発行)、日経エレクトロニクス2001.12.3号110頁〜127頁「プリント配線基板に光部品が載る,今度こそ」などを参考にすることができる。前記文献に記載の種々の技術と組み合わせることによって、コンピュータや各種デジタル機器内の装置内配線、車両や船舶などの内部配線、光端末とデジタル機器、デジタル機器同士の光リンクや一般家庭や集合住宅・工場・オフィス・病院・学校などの屋内や域内の光LAN等をはじめとする、高速大容量のデータ通信や電磁波の影響を受けない制御用途などの短距離に適した光伝送システムに好適に用いることができる。
さらに、IEICE TRANS. ELECTRON., VOL. E84-C, No.3, MARCH 2001, p.339-344「High-Uniformity Star Coupler Using Diffused Light Transmission」,エレクトロニクス実装学会誌 Vol.3, No.6, 2000 476頁〜480ページ「光シートバス技術によるインタコネクション」の記載されているものや、特開平10−123350号、特開2002−90571号、特開2001−290055号等の各公報に記載の光バス;特開2001−74971号、特開2000−329962号、特開2001−74966号、特開2001−74968号、特開2001−318263号、特開2001−311840号等の各公報に記載の光分岐結合装置;特開2000−241655号等の公報に記載の光スターカプラ;特開2002−62457号、特開2002−101044号、特開2001−305395号等の各公報に記載の光信号伝達装置や光データバスシステム;特開2002−23011号等に記載の光信号処理装置;特開2001−86537号等に記載の光信号クロスコネクトシステム;特開2002−26815号等に記載の光伝送システム;特開2001−339554号、特開2001−339555号等の各公報に記載のマルチファンクションシステム;や各種の光導波路、光分岐器、光結合器、光合波器、光分波器などと組み合わせることで、多重化した送受信などを使用した、より高度な光伝送システムを構築することができる。以上の光伝送用途以外にも照明、エネルギー伝送、イルミネーション、センサ分野にも用いることができる。
次に、本発明を、実施例および比較例により、一層、具体的に説明をすることにするが、本発明は、決して、これらの例示例のみに限定されるものではない。なお、以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて、重量基準であるものとする。
[実施例1:プラスチック光ファイバプリフォーム(S−1)の作製例]
予め、厚さ1mmのポリメチルメタクリレート(PMMA)で内面を被覆された、日電理科硝子株式会社製の丸底直口ガラス試験管(内径22mm×高さ340mm、厚さ:1.5mm)に、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート 60部、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート 0.076部、n−ラウリルメルカプタン 0.212部を注入し、窒素置換した後、シリコン栓で密閉し、1500rpmで回転しながら、65℃で24時間重合を行い、試験管の被覆層であるPMMA層(第1層)と、ポリ(2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート)の層(第2層)とからなる、中空管形状のクラッド部を得た。
全重水素化メチルメタクリレート(MMA−d8)35部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.110部、n−ラウリルメルカプタン 0.180部を含む組成物を50℃で、50分加熱することにより、予めゾル化した。そのゾル化した組成物を、前記作製したクラッド部(試験管に支持されたままの状態)の中空部に注入し、窒素置換した後、シリコン栓で密閉し、1500rpmで回転しながら、50℃で24時間重合を行い、PMMA−d8からなるコア部の第一層部(第3層)を形成した。その後さらに、MMA−d8 35部、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.076部、n−ラウリルメルカプタン0.180部を注入し、窒素置換した後、オートクレーブ中、90℃で48時間重合を行い、PMMA−d8からなるインナーコア層(第4層)形成し、Step−Index型のプラスチック光ファイバプリフォームを得た。ゾル化率、およびクラッド部とコア部との界面の白化の有無を表1に、また、クラッド部とコア部との界面付近の屈折率分布を図1に示す。
[実施例2:プラスチック光ファイバプリフォーム(S−2)の作製例]
予め、厚さ1mmのポリメチルメタクリレート(PMMA:第1層)で内面を被覆された、日電理科硝子株式会社製の丸底直口ガラス試験管(内径22mm×高さ340mm、厚さ:1.5mm)に、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート48部、ノルボルニルメタクリレート12部、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.076部、n−ラウリルメルカプタン0.212部を注入し、窒素置換した後、シリコン栓で密閉し、1500rpmで回転しながら、65℃で24時間重合を行い、試験管の被覆層であるPMMA層(第1層)と、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレートとノルボニルメタクリレートとの共重合体からなる層(第2層)とからなる、中空管形状のクラッド部を得た。
MMA−d8 35部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.110部、n−ラウリルメルカプタン 0.180部を含む組成物を50℃で、50分加熱することにより、予めゾル化した。このゾル化した組成物を、前記作製したクラッド部(試験管に支持されたままの状態)の中空部に注入し、窒素置換した後、シリコン栓で密閉し、1500rpmで回転しながら、50℃で24時間重合を行い、PMMA−d8からなるコア部の第一層部(第3層)を形成した。さらにその後、MMA−d8 35部、ジフェニルスルフィド 5部、ジ−t−ブチルパーオキサイド 0.076部、n−ラウリルメルカプタン 0.180部を注入し、窒素置換した後、オートクレーブ中、90℃で48時間重合を行い、PMMA−d8からなるコア部の第二層部(第4層)を形成し、屈折率調整剤であるジフェニルスルフィドの濃度分布に基づくGraded−Index型のプラスチック光ファイバプリフォームを得た。ゾル化率、およびクラッディング部とコア部の界面の白化の有無を表1に示す。
[実施例3:プラスチック光ファイバプリフォーム(S−3)の作製例]
予め、厚さ1mmのポリメチルメタクリレート(PMMA)で内面を被覆された、日電理科硝子株式会社製の丸底直口ガラス試験管(内径22mm×高さ340mm、厚さ:1.5mm)に、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート 60部、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート 0.076部、n−ラウリルメルカプタン 0.212部を注入し、窒素置換した後、シリコン栓で密閉し、1500rpmで回転しながら、65℃で24時間重合を行い、試験管の被覆層であるPMMA層(第1層)と、ポリ(2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート)の層(第2層)とからなる、クラッド部を形成した。
全重水素化メチルメタクリレート(MMA−d8)28部、全重水素化ベンジルメタクリレート(BzMA−d12)7部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.110部、n−ラウリルメルカプタン 0.180部を含有する組成物を50℃で、50分加熱することにより、予めゾル化した。その後、前記作製したクラッド部(試験管に支持されたままの状態)の中空部に注入し、窒素置換した後、シリコン栓で密閉し、1500rpmで回転しながら、50℃で3時間重合を行い、MMA−d8とBzMA−d12の共重合体からなるコア部の第一層部(第3層)を形成した。さらにその後、MMA−d8 24.5部、BzMA−d12 10.5部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.110部、n−ラウリルメルカプタン 0.180部を、注入し、窒素置換した後、シリコン栓で密閉し、1500rpmで回転しながら、50℃で3時間重合を行い、MMA−d8とBzMA−d12との共重合体からなるコア部の第二層部(第4層)を形成した。さらにその後、MMA−d8 23.6部、BzMA−d12 11.4部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.110部、n−ラウリルメルカプタン 0.180部を、注入し、窒素置換した後、シリコン栓で密閉し、1500rpmで回転しながら、50℃で3時間重合を行い、MMA−d8とBzMA−d12との共重合体からなるコア部の第三層部(第5層)を形成した。さらにその後、MMA−d8 22.8部、BzMA−d12 12.2部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.110部、n−ラウリルメルカプタン 0.180部を、注入し、窒素置換した後、シリコン栓で密閉し、1500rpmで回転しながら、50℃で12時間重合を行い、MMA−d8とBzMA−d12との共重合体からなるコア部の第四層部(第6層)を形成し、各層の共重合比率に基づくGraded−Index型のプラスチック光ファイバプリフォームを得た。ゾル化率、およびクラッド部とコア部の界面の白化の有無を表1に示す。
[実施例4:プラスチック光ファイバプリフォーム(S−4)の作製例]
MMA−d8をMMAに変更した以外は、実施例2と同様にして、Graded−Index型のプラスチック光ファイバプリフォームを得た。ゾル化率、およびクラッド部とコア部の界面の白化の有無を表1に示す。
[比較例1:プラスチック光ファイバプリフォーム(R−1)の作製例]
3層目を形成する際に、組成物を予めゾル化しなかった以外は、実施例1と同様にして、Step−Index型のプラスチック光ファイバプリフォームを得た。ゾル化率、およびクラッド部とコア部との界面の白化の有無を表1に、また、クラッド部とコア部との界面付近の屈折率分布を図2に示す。
[比較例2:プラスチック光ファイバプリフォーム(R−2)の作製例]
3層目を形成する際に、組成物を予めゾル化しなかった以外は、実施例4と同様にして、Graded−Index型のプラスチック光ファイバプリフォームを得た。ゾル化率、およびクラッド部とコア部の界面の白化の有無を表1に示す。
[実施例5〜8:プラスチック光ファイバ(S−5〜8)の作製例]
実施例1〜4で得られたプリフォーム(S−1〜4)を220〜260℃の熱延伸により線引きを行い、直径約500μmのプラスチック光ファイバを得た(S−5〜8)。得られたプラスチック光ファイバに波長780または650nmの光を通したところ、いずれも伝送損失が低かった(表1参照)。
[比較例3および4:プラスチック光ファイバ(R−3および4)の作製例]
比較例1および2で得られたプリフォームを220〜260℃の熱延伸により線引きを行い、直径約500μmのプラスチック光ファイバを得た(R−3および4)。得られたプラスチック光ファイバに波長780または650nmの光を通したところ、伝送損失が高かった(表1参照)。
[比較例5:プラスチック光ファイバの作製例]
組成物のゾル化率を55%としたところで流動性が悪くなった。その組成物を実施例1同様に中空管に入れて重合したところ、得られたプリフォームは目視できるほどの多数の気泡が見られた。さらに、この気泡を含んだプリフォームを延伸したが、気泡を含む部分から断線してしまったため、伝送損失の測定ができなかった。
Figure 2005096122
本発明の製造法で得られるプラスチック光学部材用プリフォームは、屈折率分布が鋭く立ち上がり、伝送損失の低いプラスチック光ファイバを与え得るので、本発明のプラスチック光ファイバプリフォーム及びその製造方法は、極めて実用性が高い。
実施例1で作製したプラスチック光ファイバプリフォームのクラッド部とコア部との界面付近の屈折率分布を示したグラフである。 比較例1で作製したプラスチック光ファイバプリフォームのクラッド部とコア部との界面付近の屈折率分布を示したグラフである。

Claims (10)

  1. 互いに異なる組成の複数の層を含むプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法であって、少なくとも内壁面が(メタ)アクリレートエステルの単独重合体または他の単量体との共重合体からなる中空管の中空部に、前記内壁面と異なる組成となる重合体を形成する単量体を含有する重合性組成物を、予めゾル化した後に注入し、前記中空管中で前記重合性組成物を重合して、前記内壁面と異なる組成を有する層を形成することを特徴とするプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法。
  2. 前記重合性組成物のゾル化率(コンバージョン率)が5〜45%である請求項1に記載のプラスチック光学部材用プリフォーム製造方法。
  3. 少なくとも(メタ)アクリレートエステルを含む重合容器を回転させながら、前記(メタ)アクリレートエステルを重合し、少なくとも内壁面が(メタ)アクリレートの単独重合体または他の単量体との共重合体からなる中空管を作製する工程を含む請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. (メタ)アクリレートエステルの単独重合体または他の単量体との共重合体として、少なくともフッ素化(メタ)アクリレートを含む請求項1〜3いずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記重合性組成物を重合して形成した層のさらに内側に、前記層と異なる組成を有する1以上の層を形成する工程を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラスチック光学部材用プリフォームの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法によって得られるプラスチック光学部材用プリフォーム。
  7. 前記重合性組成物を重合させて形成された層の屈折率が、該層と隣接する少なくとも一方の層の屈折率と異なる請求項6に記載のプラスチック光学部材用プリフォーム。
  8. 内側中心部方向に漸進的に増加する屈折率分布を有するコア部と、前記コア部の外側に、該コア部との接触面が前記フッ素化(メタ)アクリレートの単独重合体または他の単量体との共重合体からなるクラッド部とを有する請求項6又は7に記載のプラスチック光学部材用プリフォーム。
  9. 前記クラッド部の屈折率と前記コア部の最も高い屈折率との差が0.010以上である請求項8に記載のプラスチック光学部材用プリフォーム。
  10. 請求項6〜9に記載のプラスチック光学部材用プリフォームを延伸して得られるプラスチック光ファイバ。

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