JP2005320470A - 重合性組成物、光学部材の製造方法及び光学部材 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、プラスチック光学部材の技術分野に属し、特に、光ファイバ、光導波路および光学レンズ等に好ましく用いられる光学部材、ならびにその製造に有用な光学部材用重合性組成物及びその製造方法の技術分野に属する。
プラスチック光学部材は、同一の構造を有する石英系の光学部材と比較して、製造および加工が容易であること、および低価格であること等の利点があり、近年、光ファイバおよび光レンズ、光導波路などへ種々の応用が試みられている。特にこれら光学部材の中でも、プラスチック光ファイバは、素線が全てプラスチックで構成されているため、伝送損失が石英系と比較してやや大きいという短所を有するものの、良好な可撓性を有し、軽量で、加工性がよく、石英系光ファイバと比較して口径の大きいファイバとして製造し易く、さらに低コストで製造可能であるという長所を有する。従って、プラスチック光ファイバは、伝送損失の大きさが問題とならない程度の短距離用の光通信伝送媒体として種々検討されている(例えば、非特許文献1参照)。
プラスチック光ファイバは、一般的には、重合体をマトリックスとする有機化合物からなる芯(本明細書において「コア部」と称する)とコア部と屈折率が異なる(一般的には低屈折率の)有機化合物からなる外殻(本明細書において「クラッド部」と称する)とから構成される。特に、中心から外側に向かって屈折率の大きさに分布を有するコア部を備えた屈折率分布型プラスチック光ファイバは、伝送する光信号の帯域を大きくすることが可能なため、高い伝送容量を有する光ファイバとして最近注目されている。この様な屈折率分布型光学部材の製法の一つに、界面ゲル重合を利用して、光学部材母材(本明細書において、「プリフォーム」と称する)を作製し、その後、前記プリフォームを延伸する方法が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
ところで、光伝送体には、前述した様に、伝送損失が小さく、且つ伝送帯域が広いことが要求される。さらに吸湿性及び耐熱性の面でもタフな材料であることが要求される。例えば、材料として、メチルα-クロロアクリレートが提案されている(特許文献1)。しかし、該モノマーを重合したポリマーは伝送損失が高く、また、前記特許文献1では、メチルα-クロロアクリレートを用いてステップインデックス−プラスチック光ファイバ(「SI−POF」と略することがある)を作製しているが、SI−POFの伝送帯域は小さく、より高い伝送帯域を有するPOFが望まれている。また、フルオロアルキルα-ハロゲノアクリレートを芯(コアとも称する)とし、パーフルオロ(2,2-ジメチル−1,3−ジオキソール)を主量体とするポリマーを鞘(クラッドとも称する)を必須成分とするプラスチック光ファイバが提案されているが(特許文献2)、ステップインデックス−プラスチック光ファイバ(SI−POFと略することがある)であり、伝送帯域が十分とはいえない。そして、さらに、コア部のフルオロアルキルα-フルオロアクリレートからなるポリマーの屈折率が低い為に、クラッド部に使用できるポリマーが特殊な材料に限定されてしまうという欠点も有している。しかも、該ポリマーは高価である。
以上のように、伝送損失及び伝送帯域といった光学特性、ならびに耐熱特性の全てについて実用上充分な特性を有する光伝送体は未だ提供されていないのが実状である。
POFコンソーシアム編「プラスチック光ファイバ」共立出版、1997年、第1〜8頁
POFコンソーシアム編「プラスチック光ファイバ」共立出版、1997年、第66〜72頁
特公平6−44085号公報
特許公報 第28442457号公報
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、光伝送損失が小さく、伝送帯域が高く、且つ耐熱性が高い光学部材を提供することを課題とする。また、本発明は、光伝送損失が小さく、伝送帯域が高く、且つ耐熱性が高い光学部材、特にプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法を提供することを課題とする。さらに、これらの光学部材やプラスチック光ファイバプリフォームを製造する際に用いる材料を提供することも課題とする。
本発明者らは、前記した問題点を解決するために鋭意検討し、以下の手段により、光伝送特性と耐熱性の両方の特性が改善されることを見出し、本発明を完成した。
即ち、前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 下記一般式(1)で表される重合性単量体と、該単量体と異なる屈折率を有する重合性もしくは非重合性の化合物と、重合開始剤とを含有する光学部材用重合性組成物。
即ち、前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 下記一般式(1)で表される重合性単量体と、該単量体と異なる屈折率を有する重合性もしくは非重合性の化合物と、重合開始剤とを含有する光学部材用重合性組成物。
[2] 前記一般式(1)中のRが、フッ素原子で置換されたアルキル基もしくはアリール基である[1]の光学部材用重合性組成物。
[3] 前記一般式(1)で表され、且つ互いの屈折率が異なる重合性単量体を少なくとも2種含有する[1]の光学部材用重合性組成物。
[3] 前記一般式(1)で表され、且つ互いの屈折率が異なる重合性単量体を少なくとも2種含有する[1]の光学部材用重合性組成物。
[4] [1]〜[3]のいずれかの光学部材用重合性組成物を重合して、屈折率分布領域を形成する工程を含む光学部材の製造方法。
[5] 前記光学部材用重合性組成物を界面ゲル重合法により重合する[4]の光学部材の製造方法。
[6] 前記単量体とは異なる屈折率を有する化合物が重合性化合物であり、前記光学部材用重合性組成物を重合する際に、該重合性化合物と前記単量体との共重合比を変化させて屈折率分布領域を形成する[4]又は[5]の光学部材の製造方法。
[7] [4]〜[6]のいずれかの製造方法によって製造された光学部材。
[5] 前記光学部材用重合性組成物を界面ゲル重合法により重合する[4]の光学部材の製造方法。
[6] 前記単量体とは異なる屈折率を有する化合物が重合性化合物であり、前記光学部材用重合性組成物を重合する際に、該重合性化合物と前記単量体との共重合比を変化させて屈折率分布領域を形成する[4]又は[5]の光学部材の製造方法。
[7] [4]〜[6]のいずれかの製造方法によって製造された光学部材。
[8] [4]〜[6]のいずれかの製造方法によって製造された、中心部から外側に向かって連続的な屈折率分布を有する光学部材。
[9] クラッド部と屈折率分布を有するコア部とを有し、前記コア部が[1]〜[3]のいずれかの光学部材用重合性組成物を重合してなる光学部材。
[10] 光ファイバ、光導波路及び光学レンズのいずれかである[7]〜[9]のいずれかの光学部材。
[11] 下記一般式(2)で表される化合物由来の繰り返し単位を少なくとも一種含有する重合体。
(式中、Clは塩素原子であり、X及びYは各々独立に、H(水素原子)又はD(重水素原子)を表し、R1はフッ素原子で置換されたアルキル基又はアリール基を表す。)
[12] 下記一般式(1)で表される化合物由来の少なくとも2種の繰り返し単位を含有する共重合体。
(式中、Clは塩素原子であり、X及びYは各々独立に、H(水素原子)又はD(重水素原子)を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表すが、Rが無置換のアルキル基である場合は炭素原子数2〜20である。)
[13] 前記少なくとも2種の繰り返し単位のうち、少なくとも一方が、Rがフッ化アルキル基もしくは置換基を有していてもよいアリール基である化合物由来の繰り返し単位である[12]の共重合体。
[14] 前記一般式(1)で表される化合物由来の少なくとも2種の繰り返し単位を有する共重合体からなり、前記繰り返し単位の共重合組成比が傾斜し、該共重合組成比の傾斜に基づいて、屈折率が外側から断面中心部へと連続的に増加している光学部材。
[15] 前記一般式(2)で表される化合物由来の少なくとも1種の繰り返し単位を有する重合体からなるマトリックスと、該マトリックス中に含有される該重合体と異なる屈折率を有する非重合性の化合物とを含み、該マトリックス中の前記化合物の濃度が傾斜し、該濃度の傾斜に基づいて、屈折率が外側から断面中心部へと連続的に増加している光学部材。
[16] [4]〜[6]のいずれかに記載の製造方法により、前記一般式(1)で表される化合物由来の少なくとも2種の繰り返し単位を有する共重合体、もしくは、前記一般式(2)で表される化合物由来の少なくとも1種の繰り返し単位を有する重合体からなるマトリックスを有し、該重合体と異なる屈折率を有する非重合性の化合物が前記マトリックス中に含有され、且つ該マトリックス中の前記化合物の濃度が傾斜したプリフォームを作製し、
該プリフォームを加熱延伸して、前記化合物の該濃度の傾斜に基づいて、屈折率が外側から断面中心部へと連続的に増加している屈折率分布型プラスチック光ファイバを製造する方法。
[9] クラッド部と屈折率分布を有するコア部とを有し、前記コア部が[1]〜[3]のいずれかの光学部材用重合性組成物を重合してなる光学部材。
[10] 光ファイバ、光導波路及び光学レンズのいずれかである[7]〜[9]のいずれかの光学部材。
[11] 下記一般式(2)で表される化合物由来の繰り返し単位を少なくとも一種含有する重合体。
[12] 下記一般式(1)で表される化合物由来の少なくとも2種の繰り返し単位を含有する共重合体。
[13] 前記少なくとも2種の繰り返し単位のうち、少なくとも一方が、Rがフッ化アルキル基もしくは置換基を有していてもよいアリール基である化合物由来の繰り返し単位である[12]の共重合体。
[14] 前記一般式(1)で表される化合物由来の少なくとも2種の繰り返し単位を有する共重合体からなり、前記繰り返し単位の共重合組成比が傾斜し、該共重合組成比の傾斜に基づいて、屈折率が外側から断面中心部へと連続的に増加している光学部材。
[15] 前記一般式(2)で表される化合物由来の少なくとも1種の繰り返し単位を有する重合体からなるマトリックスと、該マトリックス中に含有される該重合体と異なる屈折率を有する非重合性の化合物とを含み、該マトリックス中の前記化合物の濃度が傾斜し、該濃度の傾斜に基づいて、屈折率が外側から断面中心部へと連続的に増加している光学部材。
[16] [4]〜[6]のいずれかに記載の製造方法により、前記一般式(1)で表される化合物由来の少なくとも2種の繰り返し単位を有する共重合体、もしくは、前記一般式(2)で表される化合物由来の少なくとも1種の繰り返し単位を有する重合体からなるマトリックスを有し、該重合体と異なる屈折率を有する非重合性の化合物が前記マトリックス中に含有され、且つ該マトリックス中の前記化合物の濃度が傾斜したプリフォームを作製し、
該プリフォームを加熱延伸して、前記化合物の該濃度の傾斜に基づいて、屈折率が外側から断面中心部へと連続的に増加している屈折率分布型プラスチック光ファイバを製造する方法。
本発明によれば、光伝送損失、伝送帯域および耐熱性のすべてに優れた光学部材、特にプラスチック光ファイバプリフォームを提供することができる。また、本発明によれば、そのような諸特性に優れた光学部材の作製に有用な重合性組成物及び製造方法を提供することができる。
以下において、本発明の重合性組成物、本発明の重合性組成物を重合してなる重合体を含有する光学部材、及び本発明の重合性組成物を用いたプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[重合性組成物]
本発明の重合性組成物は、下記の一般式(1)で表される重合性単量体と、該単量体と異なる屈折率を有する重合性のもしくは非重合性の化合物と、重合開始剤とを含有する。本発明の重合性組成物は、POFの作製に有用であり、Step−Index型、(擬似)multi−step型およびGraded−Index型の屈折率分布を有するPOFの作製に用いることができる。
本発明の重合性組成物は、下記の一般式(1)で表される重合性単量体と、該単量体と異なる屈折率を有する重合性のもしくは非重合性の化合物と、重合開始剤とを含有する。本発明の重合性組成物は、POFの作製に有用であり、Step−Index型、(擬似)multi−step型およびGraded−Index型の屈折率分布を有するPOFの作製に用いることができる。
式中、Clは塩素原子である。XおよびYは、それぞれ独立に水素原子(H)、重水素原子(D)を表す。XおよびYは、それぞれ独立に重水素原子(D)であることが好ましい。Rは、置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表すが、Rが無置換のアルキル基である場合は炭素原子数2〜20である。中でも、Rはフッ化アルキル基、炭素原子数2〜20の無置換のアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基であるのが好ましい。なお、本明細書において、「アルキル基」の用語は、鎖状(直鎖及び分岐鎖状のいずれも含む)のアルキル基、環状アルキル基及びこれらの組み合わせからなるアルキル基のいずれも含む意味で用いる。
Rで表されるアリール基の置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(モノシクロアルキル基及びビシクロアルキル基等の1以上の環構造含むシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
Rで表される置換基を有していてもよいアルキル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよい。Rが無置換のアルキル基である場合は、炭素原子数は、2〜20であり、好ましくは6〜20である。また、Rがフッ化アルキル基である場合は、炭素数1〜30が好ましく、炭素数1〜10がより好ましい。前記直鎖状又は分岐状の置換もしくは無置換のアルキルの例には、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシル、トリフルオロエチル、ペンタフルオロプロピル、ヘプタフルオロブチル、テトラフルオロプロピル、オクタフルオロペンチル、ヘキサフルオロイソプロピル、ベンジル、フェニルエチル、メチルベンジル、ナフチルメチルが含まれる。モノシクロアルキル基としては、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルキル基が好ましい。モノシクロアルキル基の例には、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシルが含まれる。ビシクロアルキル基としては、炭素数5〜30が好ましい。つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。前記ビシクロアルキル基の例には、ノルボルニル基、イソボルニル基及びアダマンチル基が含まれる。更に環構造が多いトリシクロアルキル基の例には、ジシクロペンタニル基が含まれる。
なお、Rが採りうるアルキル基(1以上の環構造を含むシクロアルキル基を含む)を構成するC−H結合は、その少なくとも1部がC−D結合であってもよい。但し、Rには重合性基は含まれない。
なお、Rが採りうるアルキル基(1以上の環構造を含むシクロアルキル基を含む)を構成するC−H結合は、その少なくとも1部がC−D結合であってもよい。但し、Rには重合性基は含まれない。
Rで表されるアリール基は、1以上の芳香環を含み、該環は単環であっても縮合環であってもよい。前記アリール基の例には、フェニル基、メチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、トリブロモフェニル基、ペンタブロモフェニル基、メシチル基、p−メトキシフェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。Rが採りうるアリール基を構成するC−H結合はC−D結合であってもよい。但し、Rには重合性基が含まれない。
これらの中で、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、i−プロピル、ベンジル、トリフルオロエチル、ペンタフルオロプロピル、ヘプタフルオロブチル、テトラフルオロプロピル、オクタフルオロペンチル、ヘキサフルオロイソプロピルが好ましく、特に、トリフルオロエチル、ペンタフルオロプロピル、ヘプタフルオロブチル、テトラフルオロプロピル、オクタフルオロペンチル、ヘキサフルオロイソプロピルが好ましい。これらの基を構成するC−H結合はC−D結合であるほうが好ましい。シクロアルキル基としては、シクロへキシル(ビシクロ、トリシクロを含む)、ノルボルニル、イソボルニル、アダマンチル、ジシクロペンタニルが好ましく、ノルボルニル、イソボルニル、アダマンチル、ジシクロペンタニルが特に好ましい。これらの基を構成するC−H結合はC−D結合であるほうが好ましい。アリール基としては、フェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンタブロモフェニル、トリブロモフェニルが好ましく、特に、ペンタフルオロフェニル基が好ましい。これらの基を構成するC−H結合はC−D結合であるほうが好ましい。
Rは、フッ素で置換されたアルキル基又はアリール基であるのが好ましい。Rがフッ素で置換されたアルキル基又はアリール基であると、フッ素置換されていないものと比較して、伝送損失が軽減できるので好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、種々のルートで合成することが可能であり、例えば、特開昭57−118535号公報又は特公平5−82378号公報に記載の方法で合成することができる。
前記一般式(1)中のX及びYが重水素である化合物は、公知のアクリル酸の重水素化物を経由して合成することが可能であり、例えば、特開昭61−275241号公報に記載の方法で合成することができる。
前記一般式(1)中のRの重水素化、特にRがフッ化アルキル基である場合の重水素化については、相当する前駆体の重水素化フッ化アルキルアルコールの合成を経由して合成することが可能である。該重水素化フッ化アルキルアルコールの合成法としては、主として2つある。一方は、米国特許第4,072,726号公報に記載の、パーフルオロアルキルカルボン酸を重水素で還元して重水素化フッ化アルキルアルコールを得る方法、他方は、特開昭54−154707号公報に記載のテトラフルオロエチレンと重水素化メタノール(CD3OD)のバッチテロメル化反応で得る方法である。
以下に一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明で用いることができる一般式(1)で表される化合物はこれらの具体例に限定されるものでない。
本発明の重合性組成物は、前記一般式(1)で表される化合物と異なる屈折率を有する重合性のもしくは非重合性の化合物を含有する。前記化合物が重合性である場合は、互いの屈折率が異なるモノマーを含む重合性組成物を重合する際に、経時的にモノマーの組成比を徐々に変えながら重合することによって、共重合体からなり、共重合組成比の傾斜に基づいて、屈折率の大きさが傾斜した光学部材を作製することができる。また、屈折率分布を付与するために、非重合性の化合物(以下、「ドーパント」という場合もある)を用いることもでき、かかる場合は、界面ゲル重合法などを利用して、重合体からなるマトリックス中の前記ドーパントの濃度に分布を持たせることで、該濃度分布に基づいた屈折率分布構造を作製することができる。ドーパントについては、WO93/08488号パンフレット等に詳細が記載されていて、本発明に使用可能なドーパントについても同様である。
本発明の重合性組成物が2種以上の重合性単量体を含有する態様では、該組成物を重合させることによって共重合体が得られる。なお、前記共重合体には、一般式(1)で表される単量体同士(エステル部位が異なる単量体同士)および一般式(1)で表される単量体と他の重合性モノマーとを共重合させた共重合体の2種類がある。該共重合体の用途によって選択肢は変わるが、プラスチック光ファイバのように伝送損失などの厳しい光学性能(透明性)が求められる場合は、前者、すなわち、一般式(1)で表される単量体同士(エステル部位が異なる単量体同士)の共重合体が好ましい。一方、厳しい伝送損失といった厳しい光学性能が求められない、すなわち、光路長が小さい用途では、前者以外に、後者、すなわち、一般式(1)で表される単量体と他の重合性モノマーとを共重合させた共重合体も用いることができ、広い物性をカバーできる。
ここで用いる他の重合性モノマーは、一般式(1)で表される単量体と共重合することができるエチレン性不飽和モノマーの中から適宜選択することができるが、共重合体を光学部材に用いる場合は、特にプロペン酸およびその誘導体のエステルを主成分とする重合性モノマーを用いることが好ましい。前記プロペン酸およびその誘導体には、アクリル酸エステルおよびメタアクリル酸エステル(以下、双方を含めて(メタ)アクリル酸エステル類という)が含まれる。ここで、主成分とするとは、光学的性能を損なわない限りにおいて、他の重合性モノマーを含んでいてもよいことを意味し、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類系モノマー、スチレン、マレイミド化合物等の1種または2種以上を使用してもよいことを意味する。さらに、α−フルオロアクリル酸エステル類も好ましい。(メタ)アクリル酸エステル類及びα−フルオロアクリル酸エステル類の少なくとも一部の水素が重水素で置換されたモノマーを用いて共重合を行うと、得られた共重合体のC−H伸縮振動に起因する光伝送損失を軽減できるので好ましい。また、上に述べた各種単量体又は他の重合性化合物を選ぶことにより、屈折率差をもったモノマーの組み合わせが可能であり、共重合体の屈折率を容易に制御できるし、また、後述する、回転共重合を行なうことにより、屈折率分布構造を容易に形成することが可能である。
以下に、共重合体を製造する際に、本発明の重合性組成物中に好ましく使用することができる(メタ)アクリル酸エステル類を始めとするモノマーの具体例を列挙する。しかしながら、本発明に使用することができるモノマーは以下の具体例に限定されるものではない。
(a) フッ素原子を含まないメタクリル酸エステル類およびフッ素原子を含まないアクリル酸エステル類
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジフェニルメチル、トリシクロ[5・2・1・02,6]デカニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート等;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸フェニル等;
(b) 含フッ素アクリル酸エステル類および含フッ素メタクリル酸エステル類
2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート;
(c)α−フルオロアクリル酸エステル類およびα−トリフルオロメチルアクリル酸エステル類
2−フルオロアクリル酸メチル、2−フルオロアクリル酸トリフルオロエチル、2−フルオロアクリル酸テトラフルオロプロピル、2−フルオロアクリル酸ヘキサフルオロイソプロピル、2−フルオロアクリル酸ペンタフルオロフェニル、2−トリフルオロメチルアクリル酸メチル、2−トリフルオロメチルアクリル酸トリフルオロエチル、2−トリフルオロメチルアクリル酸テトラフルオロプロピル、2−トリフルオロメチルアクリル酸ヘキサフルオロイソプロピル等;
(d)スチレン系化合物類
スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等;
(e) ビニルエステル類
ビニルアセテート、ビニルベンゾエート、ビニルフェニルアセテート、ビニルクロロアセテート等;
(f)マレイミド類
N―n−ブチルマレイミド、N―tert−ブチルマレイミド、N―イソプロピルマレイミド、N―シクロヘキシルマレイミド等。
(a) フッ素原子を含まないメタクリル酸エステル類およびフッ素原子を含まないアクリル酸エステル類
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジフェニルメチル、トリシクロ[5・2・1・02,6]デカニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート等;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸フェニル等;
(b) 含フッ素アクリル酸エステル類および含フッ素メタクリル酸エステル類
2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート;
(c)α−フルオロアクリル酸エステル類およびα−トリフルオロメチルアクリル酸エステル類
2−フルオロアクリル酸メチル、2−フルオロアクリル酸トリフルオロエチル、2−フルオロアクリル酸テトラフルオロプロピル、2−フルオロアクリル酸ヘキサフルオロイソプロピル、2−フルオロアクリル酸ペンタフルオロフェニル、2−トリフルオロメチルアクリル酸メチル、2−トリフルオロメチルアクリル酸トリフルオロエチル、2−トリフルオロメチルアクリル酸テトラフルオロプロピル、2−トリフルオロメチルアクリル酸ヘキサフルオロイソプロピル等;
(d)スチレン系化合物類
スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等;
(e) ビニルエステル類
ビニルアセテート、ビニルベンゾエート、ビニルフェニルアセテート、ビニルクロロアセテート等;
(f)マレイミド類
N―n−ブチルマレイミド、N―tert−ブチルマレイミド、N―イソプロピルマレイミド、N―シクロヘキシルマレイミド等。
本発明の重合性組成物は、前記一般式(1)で表される化合物の1種または2種以上を、組成物中の全重合性モノマーの主成分として用いることが好ましい。前記一般式(1)で表される化合物は、単量体の全質量の50質量%以上であるのが好ましく、60質量%以上であるのがより好ましく、70質量%以上であるのがさらに好ましく、全てが一般式(1)で表されるα−クロロアクリレートエステル類であることが最も好ましい。共重合体をプラスチック光ファイバなどの光学部材に利用するときは、共重合に用いる各モノマーをそれぞれ単独で重合させたホモポリマーの屈折率差(屈折率が最大のホモポリマーと最小のホモポリマーの屈折率差)は、0.001以上であることが好ましく、0.002以上であることがより好ましく、0.003以上であることがさらに好ましい。好ましいモノマーの組み合わせとして、上記例示化合物中、M1とM3(屈折率差は0.0883)、M5とM8(屈折率差は0.0527)、M5とM7(屈折率差は0.0307)、M3とM13(屈折率差は0.09)、M8とM16(屈折率差は0.12)及びM36とM43(屈折率差は0.12)の組み合わせを挙げることができる。ただし、ポリマー間の溶解度パラメーターの差は、好ましくは7(cal/cm3)以下、より好ましくは6(cal/cm3)以下、さらに好ましくは5(cal/cm3)以下になるようにモノマーの組み合わせを選択するのが好ましい。
次に、本発明の重合性組成物が含有する重合開始剤について説明する。
上記のモノマーを重合させるために、通常はモノマーの重合を開始させる重合開始剤を用いる。重合開始剤としては、用いるモノマーや重合方法に応じて適宜選択することができるが、過酸化ベンゾイル(BPO)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−tert−ブチルパーオキシド(PBD)、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル4,4,ビス(tert−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのパーオキサイド系化合物、または2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’―アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジーtert−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系化合物が挙げられる。なお、重合開始剤は2種類以上を併用してもよい。
上記のモノマーを重合させるために、通常はモノマーの重合を開始させる重合開始剤を用いる。重合開始剤としては、用いるモノマーや重合方法に応じて適宜選択することができるが、過酸化ベンゾイル(BPO)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−tert−ブチルパーオキシド(PBD)、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル4,4,ビス(tert−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのパーオキサイド系化合物、または2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’―アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジーtert−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系化合物が挙げられる。なお、重合開始剤は2種類以上を併用してもよい。
次に連鎖移動剤について説明する。
本発明の重合性組成物は、連鎖移動剤を含有しているのが好ましい。前記連鎖移動剤は、主に重合体の分子量を調整するために用いられる。前記連鎖移動剤については、一般式(1)の化合物と併用する重合性モノマーの種類に応じて、適宜、種類および添加量を選択することができる。各モノマーに対する連鎖移動剤の連鎖移動定数は、例えば、ポリマーハンドブック第3版(J.BRANDRUPおよびE.H.IMMERGUT編、JOHN WILEY&SON発行)を参照することができる。また、該連鎖移動定数は大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊を参考にして、実験によっても求めることができる。
本発明の重合性組成物は、連鎖移動剤を含有しているのが好ましい。前記連鎖移動剤は、主に重合体の分子量を調整するために用いられる。前記連鎖移動剤については、一般式(1)の化合物と併用する重合性モノマーの種類に応じて、適宜、種類および添加量を選択することができる。各モノマーに対する連鎖移動剤の連鎖移動定数は、例えば、ポリマーハンドブック第3版(J.BRANDRUPおよびE.H.IMMERGUT編、JOHN WILEY&SON発行)を参照することができる。また、該連鎖移動定数は大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊を参考にして、実験によっても求めることができる。
連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類(n−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等)、チオフェノール類(チオフェノール、m−ブロモチオフェノール、p−ブロモチオフェノール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオール等)などを用いるのが好ましく、中でも、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンのアルキルメルカプタンを用いるのが好ましい。また、C−H結合の水素原子が重水素原子やフッ素原子で置換された連鎖移動剤を用いることもできる。なお、連鎖移動剤は、2種類以上を併用してもよい。
重合性組成物中には、その他、重合時の反応性や光伝送性能を低下させない範囲で、その他の添加剤を添加することができる。例えば、耐候性や耐久性などを向上させる目的で、耐酸化剤や耐光剤などの安定剤を添加することができる。また、光伝送性能の向上を目的として、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加することもできる。該化合物を添加することにより、減衰した信号光を励起光により増幅することが可能となり、伝送距離が向上するので、光伝送リンクの一部にファイバ増幅器として使用することができる。
本発明で用いる重合性組成物に含まれる各成分の含有割合の好ましい範囲は、その種類に応じて異なり一概に規定することはできないが、一般的には、重合開始剤は、重合性モノマーに対して0.005〜5質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましい。連鎖移動剤は、重合性モノマーに対して0.10〜4質量%であるのが好ましく、0.15〜3質量%であるのがより好ましい。また、前記一般式(1)で表される化合物は、他の重合性モノマーに対して1〜50質量%であるのが好ましく、1〜25質量%であるのがより好ましい。
重合性組成物を重合することによって、屈折率分布型の光学部材を作製することができる。屈折率分布型の光学部材の作製方法としては、後述する界面ゲル重合を利用する方法、その原理を利用した回転ゲル重合法または回転共重合法(前者は、モノマーの種類は変えずに、ドーパントの濃度を漸次変化させることによって断面半径方向に屈折率分布を付与し、後者は、屈折率の異なる複数のモノマーを用いて、組成比を漸次変化させることによって断面半径方向に屈折率分布を付与する方法をいうものとする)、および屈折率の異なる複数のモノマーの組成比を変えて重合したポリマーを積層(あるいは隣接)させる方法等がある。本発明の組成物を用いて、前記重合法を利用することで、伝送損失が十分に改良されているとともに、帯域も改良された光学部材を作製することができる。
本発明の重合性組成物に熱および/または光等が供与されると、重合開始剤からラジカル等が発生し、重合性モノマーの重合が開始される。本発明の重合性組成物が、前記一般式(1)で表される重合性単量体と、該重合性単量体と異なる屈折率を有する重合性の化合物(前記一般式(1)で表される化合物であっても、他の構造の化合物であってもよい)を含有する態様では、共重合組成比に傾斜を持たせることによって、屈折率分布構造を容易に形成することができる。また、本発明の重合性組成物が、前記一般式(1)で表される重合性単量体と、該重合性単量体と異なる屈折率を有する非重合性の化合物(ドーパント)を含有する態様では、後述の界面ゲル重合法のように、重合の進行方向を制御して、前記ドーパントの濃度に傾斜を持たせることによって、屈折率分布構造を容易に形成することができる。また、本発明の重合性組成物は、重合性モノマーの重合速度および重合度が、重合開始剤および所望により添加される連鎖移動剤によって制御され、重合体の分子量を所望の分子量に調整することができる。例えば、得られた重合体を延伸により線引きして、光ファイバとする場合は、分子量を調整することによって延伸時における機械的特性を所望の範囲とすることができ、生産性の向上にも寄与する。
本発明の重合性組成物を重合することによって製造される重合体の一例として、下記一般式(2)で表される化合物由来の繰り返し単位を少なくとも一種含有する重合体が挙げられる。
式中、Clは塩素原子であり、X及びYは各々独立に、H(水素原子)又はD(重水素原子)を表し、R1はフッ素原子で置換されたアルキル基又はアリール基を表す。前記アルキル基又はアリール基の好ましい炭素原子数及び好ましい例については、前記一般式(1)中のRが表すアルキル基及びアリール基と同様である。
また、本発明の重合性組成物を重合することによって製造される重合体の他の例として、上記一般式(1)で表される化合物由来の少なくとも2種の繰り返し単位を含有する重合体;及び前記少なくとも2種の繰り返し単位のうち、少なくとも一方が、Rがフッ素原子で置換されたアルキル基又はアリール基である化合物由来の繰り返し単位である前記重合体;が挙げられる。
本発明の重合性組成物を重合することによって得られる単独重合体もしくは共重合体は、光学部材の材料として有用である。本発明の共重合体を含む光学部材として、例えば光ファイバ(車載用も含む)、光導波路等の光導性素子類、スチールカメラ用、ビデオカメラ用、望遠鏡用、眼鏡用、プラスチックコンタクトレンズ用、太陽光集光用等のレンズ類、凹面鏡、ポリゴン等の鏡類、ペンタプリズム類等のプリズム類、などが挙げられる。そして、高耐熱性、低吸湿性、モノマーを選択することにより複屈折の非常に小さい共重合体も得ることが可能であることから散乱板、光ディスクなどの基板、および光スイッチに用いることも可能である。中でも、光導性素子類、レンズ類、鏡類に用いられるのが好ましく、光ファイバ、光導波路、レンズ類に用いられるのがより好ましい。本明細書では、特に好ましい態様である光ファイバについて詳述しているが、その他の光学部材についても本発明の単独重合体もしくは共重合体を好ましく適用し得る。
以下において、本発明の重合性組成物を利用した光学部材の製造方法の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態では、本発明の重合性組成物を、コア部とクラッド部とを有する屈折率分布型プラスチック光学部材のコア部の形成に利用している。
本実施形態は、一旦、プリフォームを作製した後、該プリフォームを所望の形状に加工して光学部材を作製する方法に関する。プリフォームは、コア部に相当する領域と、クラッド部に相当する領域とを有する。本実施形態では、クラッド部を先に作製し、該クラッド部の中空部で例えば、界面ゲル重合を利用した回転重合法によって、本発明の重合性組成物を重合して、重合屈折率分布を有するコア部を形成してもよいし、又、本発明の重合性組成物を重合して円筒形状の屈折率分布を有するコア部を、例えば、界面ゲル重合を利用した回転重合法によって作製した後、該コア部の外側にクラッド部を形成してもよい。ここで、回転重合とは、プラスチック光ファイバプリフォーム作製のための一方法で、重合容器(チューブともいう)を回転させて重合する方法のことで、該重合容器内に重合性組成物を注入しながら重合を行なう方法であり、詳細については、例えば、特開平10−96825号公報及び特開2001−215345号公報等に記載されている。この方法により、チューブの内壁から中心方向に向かって屈折率を自由に制御できる。熱エネルギーの他に、光エネルギーを利用することもできる。勿論併用してもよい。回転重合によるプリフォームの作製方法は、良好な屈折率分布構造を形成でき、かつ、通常の界面ゲル重合に比べて、径の大きなプリフォームを比較的容易に作製でき、低コスト化できる点で有利である。必要に応じて、ファイバの力学特性を向上させる目的でポリメチルメタクリレートなどの保護層をさらに付与してもよい。
本実施形態は、一旦、プリフォームを作製した後、該プリフォームを所望の形状に加工して光学部材を作製する方法に関する。プリフォームは、コア部に相当する領域と、クラッド部に相当する領域とを有する。本実施形態では、クラッド部を先に作製し、該クラッド部の中空部で例えば、界面ゲル重合を利用した回転重合法によって、本発明の重合性組成物を重合して、重合屈折率分布を有するコア部を形成してもよいし、又、本発明の重合性組成物を重合して円筒形状の屈折率分布を有するコア部を、例えば、界面ゲル重合を利用した回転重合法によって作製した後、該コア部の外側にクラッド部を形成してもよい。ここで、回転重合とは、プラスチック光ファイバプリフォーム作製のための一方法で、重合容器(チューブともいう)を回転させて重合する方法のことで、該重合容器内に重合性組成物を注入しながら重合を行なう方法であり、詳細については、例えば、特開平10−96825号公報及び特開2001−215345号公報等に記載されている。この方法により、チューブの内壁から中心方向に向かって屈折率を自由に制御できる。熱エネルギーの他に、光エネルギーを利用することもできる。勿論併用してもよい。回転重合によるプリフォームの作製方法は、良好な屈折率分布構造を形成でき、かつ、通常の界面ゲル重合に比べて、径の大きなプリフォームを比較的容易に作製でき、低コスト化できる点で有利である。必要に応じて、ファイバの力学特性を向上させる目的でポリメチルメタクリレートなどの保護層をさらに付与してもよい。
コア部を作製してからクラッド部を形成する場合は、例えば、溶融させたクラッド材を作製したコア外周囲部位に被覆することによって、クラッド部を作製することができる。また、コア部の外周径とクラッド内周径とをあわせたクラッド管を予め溶融押し出し成形などでクラッドチューブとして作製してもよい。かかる場合は、このチューブに、作製したコア部を挿入して、必要に応じて接着剤を利用して一体化することができる。
以下では、中空形状のクラッド部を先に作製し、そのクラッドの中空部で、例えば、界面ゲル重合を利用した回転重合法により、本発明の重合性組成物を重合してコア部を形成して、プラスチック光学部材(好ましくはプラスチック光ファイバ)のプリフォームを製造する方法について主に説明する。
クラッド部の作製方法については、特に限定されない。重合性組成物の重合の進行とともに、中空管形状に成型してクラッド部を作製してもよいし、一旦重合体を得た後、溶融押し出し成型等の成型加工によって中空管形状のクラッド部を作製してもよい。
クラッド部の作製方法については、特に限定されない。重合性組成物の重合の進行とともに、中空管形状に成型してクラッド部を作製してもよいし、一旦重合体を得た後、溶融押し出し成型等の成型加工によって中空管形状のクラッド部を作製してもよい。
用いる重合容器は、ガラス、プラスチックまたは金属性の円筒管形状の容器(チューブ)で、回転による遠心力などの外力に耐え得る機械的強度および加熱重合時の耐熱性を有するものであればいずれでもよい。特に代表的なものとしては、日電理科硝子株式会社製の丸底直口ガラス試験管(内径22mm、高さ340mm、厚さ1.5mm)、テフロンAF(登録商標、Dupont社製)、サイトップ(旭硝子株式会社製)、またはフッ化ビニリデン系共重合体からなるプラスチックチューブ、ポリメチルメタクリレート、メタクリル酸エステル共重合体、例えば、メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート/ノルボルニルメタクリレート共重合体、またはメチルメタクリレート/tert−ブチルメタクリレート共重合体で被覆されたガラスチューブまたはアルミナ製チューブなどが挙げられる。これらのプラスチックチューブおよびチューブを被覆している重合体はアモルファスであることが好ましい。プラスチックチューブの場合、例えば、テフロンAF(登録商標、Dupont社製)、サイトップ(旭硝子株式会社製)、またはフッ化ビニリデン系共重合体などの場合のように、そのままクラッド部として使用できる場合があり、かかる場合はクラッド部の作製工程は不要になる。
例えば、クラッド部は、重合容器内にクラッド部形成用の重合性組成物を注入した後、回転させながら該組成物を重合させて作製することができる。必要であれば、重合を開始させるために熱または光を重合性組成物に供与してもよい。前記組成物は、重合性モノマーの他、重合開始剤又は連鎖移動剤を含有しているのが好ましい。重合反応温度は、特に制限はないが、反応性と着色のバランスの観点から、概ね0〜100℃が好ましい。また、反応時間は、前記重合性組成物が含有する重合開始剤、連鎖移動剤(双方については後述する)の量と反応温度に応じて適切に設定する必要があるが、概ね0.1〜48時間程度が好ましい。また、重合性組成物を、予めゾル化してもよい。ゾル化率(コンバージョン)としては、5〜35%が好ましく、流動性の確保の観点から、10〜35%がより好ましく、15〜30%がさらに好ましい。
重合時の重合容器の回転速度は、概ね、500〜3000rpmであればよいが、特に、この範囲の回転速度に限定するものではない。
前記重合性組成物をフィルターにより濾過して、組成物中に含まれる塵埃を除去してから、前記重合容器内に注入するのが好ましい。また、性能劣化や前工程、後工程の煩雑化などを起こさない限りにおいて、特開平10−293215号公報、特開平8−110419号公報に記載されている様に、取り扱いやすい様に粘度などの調整やプレ重合を行うことによる重合時間の短縮なども行うことができる。
前記クラッド部形成用重合性組成物は、重合開始剤、連鎖移動剤を含有しているのが好ましい。それらについては、先述したものを用いることができる。
また、前記重合性組成物をいったん重合した後、成型して中空管形状のクラッド部を作製してクラッド部を作製することもできる。例えば、ペレット状や粉末状の重合体を円筒形状の容器に入れ、両端を塞ぎ、該容器を回転(好ましくは、円筒の軸を水平に維持した状態で回転)させつつ該樹脂の融点以上に加熱し、前記樹脂を溶融させることにより、重合体からなる中空管を作製することができる。この時に、溶融による樹脂の熱または酸化、および熱酸化分解を防ぐために、該重合容器内を窒素やアルゴンなどの不活性気体雰囲気下で行うことや、樹脂を事前に充分乾燥させておくことが好ましい。
また、得られた重合体を溶融押出ししてクラッド部を作製してもよい。一旦、重合体を作製した後、押出し成形等の成形技術を利用して、所望の形状(本実施の形態では円筒形状)の構造体を得ることもできる。これらに用いられる溶融押出装置としては、主として、インナーサイジングダイ方式とアウターダイ減圧吸引方式の2つのタイプがあり、いずれの方式の溶融押出装置によって得られた構造体も用いることができる。
クラッド部を構成する重合体の重量平均分子量は、プラスチック光ファイバプリフォームを溶融延伸させる観点から、好ましくは30,000〜1,000,000、より好ましくは30,000〜700,000、さらに好ましくは30,000〜300,000となるように調整するのが好ましい。
次に、作製したクラッド部の中空部で、本発明の重合性組成物を重合し、前記クラッド部よりも高い屈折率を与えるコア部を形成する。
前記クラッド部が、チューブ等の重合容器に支持された状態で作製されている場合は、そのままの状態で、コア部第一層形成の工程に用いるのが好ましい。一方、クラッド部を溶融押し出し等によって作製した場合は、得られたクラッド部をクラッド部と同形状でクラッド部を支持可能な容器内に納め、該容器に支持された状態で、コア部の形成工程に用いるのが好ましい。
前記クラッド部が、チューブ等の重合容器に支持された状態で作製されている場合は、そのままの状態で、コア部第一層形成の工程に用いるのが好ましい。一方、クラッド部を溶融押し出し等によって作製した場合は、得られたクラッド部をクラッド部と同形状でクラッド部を支持可能な容器内に納め、該容器に支持された状態で、コア部の形成工程に用いるのが好ましい。
本実施の形態では、まず、前記一般式(1)の化合物を含む本発明の重合性組成物(好ましくは、複数種のモノマーを含有する重合性組成物)をクラッド部の中空部に注入し、前記クラッド部を回転させながら前記重合性組成物を重合して、前記クラッド部より高い屈折率を有するコア部の第一層を形成する(アウターコア層に相当する)。この第一層目を作製する際に、前記重合性組成物を予めゾル化した後に、クラッド部内に注入してもよい。回転させながらコア部第一層を形成するので、第一層のさらに内側が中空部となる。該中空部にさらに本発明の重合性組成物を注入し、重合することによってインナーコア層を形成し、コア部全体を完成することができる。インナーコア層は複数層から形成されていてもよく、3層以上からなるのが好ましく、5層以上の複数層からなるのがより好ましい。
インナーコア層の形成方法は種々あり、方法を選択することによって、Step-Index型、(擬似)multi−step型およびGraded-Index型の屈折率分布をコア部に容易に付与することができる。Step-Index型の屈折率分布をつけるには、(1)重合性組成物のモノマー組成比を最初から最後まで一定にして回転重合を行う方法がある。(擬似)multi−step型の屈折率分布をつけるには、(2)回転重合において、前層の重合率を制御(重合率を高く)し、より高屈折率になる次層を重合により形成する方法がある。また、Graded-Index型の屈折率分布をつけるには、(3)WO93/08488パンフレットに記載されたように、前記重合性組成物のモノマー組成比を一定にして、非重合性の屈折率調整剤を加えて、重合体の界面でモノマーを塊状重合させ、その反応によって屈折率調整剤の濃度分布を付与する界面ゲル重合、または、その界面ゲル重合の反応機構を回転重合法で行う回転ゲル重合法;および(4)前記重合性組成物中の屈折率の異なるモノマー仕込み組成比率を漸進的に変化させ(前層の重合率を制御(重合率を低く)し、より高屈折率になる次層を重合していけばよい)、クラッド部との界面から中心部まで、屈折率分布が漸進的に増加するように、回転重合を行う方法(回転共重合法という場合がある)などがある。これらの方法の中でも、伝送損失、広帯域化、耐熱性および製造の観点から、(3)及び(4)が好ましく、また、直径の太いGraded-Index型プラスチック光ファイバプリフォームの製造の容易さ、さらなる耐熱性の観点からも、(4)がより好ましい。なお、(3)の方法では、組成物中の重合性モノマーは1種であっても2種以上であってもよいが、(4)の方法では、重合性組成物中に重合性モノマーを2種以上含有させる必要がある。
前記(1)の方法では、コア部第一層形成用の重合性組成物と、インナーコア層形成用の重合性組成物とは、同一のビニル系単量体を含有しているのが好ましく、2種以上のビニル系単量体の組成比率も同一であるのが好ましい。前記(3)の方法では、コア部第一層形成用の重合性組成物には屈折率調整剤を含有させずに、その内側に形成されるインナーコア層用の重合性組成物に含有させるのが好ましい。また、双方の重合性組成物は同一の複数種類のビニル系単量体で、組成比率も同一であるのが好ましい。前記(1)、(3)及び(4)の方法では、インナーコア層は、単層からなっていても、複数層からなっていてもよい。一方、前記(2)の方法では、インナーコア層は複数層からなる。この態様では、コア部第一層形成用の重合性組成物、およびその内側に形成されるインナーコア層形成用の重合性組成物の全てが、同一の組み合わせで複数種のビニル系単量体を含有し、且つ各層のビニル系単量体の組成比率を、外側の層から内側の層に向かって屈折率が漸進的に高くなる様に変化させる。
前記コア部の第一層の形成に用いる重合性組成物は、少なくとも作製したクラッド部の中空部に前記クラッド部よりも高い屈折率を与えるポリマーを形成するビニル系単量体を含有する。また、上記した様に、さらにその内側に形成するインナーコア層用重合性組成物も、前記第一層の形成に用いる重合性組成物と同一のビニル系単量体を含有しているのが好ましい。この場合の複数種類のモノマーの好ましい組み合わせとしては、一般式(1)の具体例の化合物同士(M1とM3、M3とM4、M3とM6、M3とM8など)、含フッ素メタクリル酸エステル類と一般式(1)の具体例の化合物(M1、M3)、および2−フルオロアクリル酸エステル類と一般式(1)の具体例の化合物(M4,M5,M6,M7など)およびそれらの重水素化化合物同士の組み合わせを挙げることができる。これらの組み合わせは、重合性、溶解度パラメーター、屈折率的に目的に合う組み合わせである。
前記した、クラッド部およびコア部の組み合わせに際しては、クラッド部の屈折率とコア部の最も高い屈折率の差が、開口数の観点から、好ましくは0.010以上、より好ましくは0.020以上、さらに、より好ましくは0.030以上にするのがよい。クラッド部およびコア部の組み合わせとして、例えば、クラッド部がポリフッ化ビニリデン誘導体(屈折率:1.42)、コア部がM1(屈折率:1.518)を主体にした共重合体の組み合わせ、クラッド部がサイトップ(屈折率:1.34)、コア部がM5(屈折率:1.401)を主体にした組み合わせなどが挙げられる。さらに、回転共重合を利用して、コア部の最外周部の屈折率と中心部の屈折率差を、好ましくは0.010以上、より好ましくは0.015以上、さらにより好ましくは0.020以上にして、開口数を大きくすることも可能である。
前記コア部形成用重合性組成物は、前記ビニル系単量体の他に、重合開始剤を含有し、所望により連鎖移動剤および屈折率調整剤を含んでいてもよい。使用可能な重合開始剤および連鎖移動剤の具体例については、前述の通りである。コア部第一層の屈折率を、クラッド部の屈折率より高めるために、屈折率調整剤を用いてもよい。また、前記(3)の方法の様に、屈折率調整剤を用い、且つ屈折率調整剤の濃度に分布を持たせることによって、該濃度の分布に基づいて屈折率分布型のインナーコア層を作製することができる。また前記(3)の方法の様に、屈折率調整剤を用いなくとも、コア部の形成に2種以上の重合性モノマーを用い、インナーコア層内に共重合比の分布を持たせることによって、屈折率分布構造を導入することもできる。
さらに、前記(2)の方法をより具体的に説明すると、コア部第一層形成用の重合性組成物と同一の組み合わせで複数種のビニル系単量体を含有し、且つビニル系単量体の組成比率が異なる重合性組成物を、前記第一層のさらに内側の中空部に注入し、容器を回転させながら重合性組成物を重合して第二層を形成する。前記第一層と前記第二層とには、共重合比率の違いに基づく屈折率の差が生じる。同様に、第二層の内側の中空部で重合性組成物を重合することにより第三層、第四層を順次形成することができる。より内側の層の屈折率が高くなる様に各層の重合性組成物中のビニル系単量体の組成比率を調整することによって、屈折率が中心部に向かって漸進的に高くなるインナーコア層を形成することができる。このとき、各層の界面が形成されないように反応させ、かつ屈折率が連続的に変化するように調整された場合は前記(4)の方法に相当する。
インナーコア層用の重合性組成物を回転重合する際の好ましい重合条件については、コア部第一層用の重合性組成物の重合条件と同様である。また、インナーコア層用の重合性組成物を界面ゲル重合する際の好ましい重合条件については、特開2003−149463号、特開2003−195065号、特開2003−75656号、特開2003−192714号および特開2003−192708号等の各公報に記載の条件と同様である。
コア部第一層およびインナーコア層をそれぞれ構成する重合体の重量平均分子量は、プラスチック光ファイバプリフォームを溶融延伸させる観点から、好ましくは30,000〜1,000,000、より好ましくは30,000〜700,000、さらに好ましくは30,000〜300,000となるように調整するのが好ましい。
このようにして得られる、プラスチック光ファイバプリフォームは、製造の観点から、大口径化することが好ましく、また、プラスチック光ファイバを被覆して、プラスチック光ファイバケーブルを作成する際、損失向上を抑制する観点から、クラッディング部を厚肉化することが好ましい。これらの観点から、プラスチック光ファイバにしたときのクラッディング部の厚みは、好ましくは10μm〜100μm、より好ましくは30μm〜100μm、さらに好ましくは50μm〜100μmになるように調製するのがよい。また、コア部第一層は、その後の界面ゲル重合等や延伸工程を経て、光ファイバの形態となった後は、インナーコア層と一体になり、双方が識別できなくなっていてもよい。
得られたプリフォームを溶融延伸することにより、プラスチック光ファイバを作製することができる。延伸は、例えば、プリフォームを加熱炉(例えば円筒状の加熱炉)等の内部を通過させることによって加熱し、溶融させた後、引き続き連続して延伸紡糸するのが好ましい。加熱温度は、プリフォームの材質等に応じて適宜決定することができるが、一般的には、180〜250℃が好ましい。延伸条件(延伸温度等)は、得られたプリフォームの径、所望のプラスチック光ファイバの径および用いた材料等を考慮して、適宜決定することができる。特に、屈折率分布型光ファイバにおいては、その断面の中心方向から円周に向け屈折率が変化する構造を有するため、この分布を破壊しないように、均一に加熱且つ延伸紡糸する必要がある。従って、プリフォームの加熱には、プリフォームを断面方向において均一に加熱可能である円筒形状の加熱炉等を用いことが好ましい。また、加熱炉は延伸軸方向に温度分布を持つことが好ましい。溶融部分が狭いほど屈折率分布の形状が歪みにくく収率があがるため好ましい。具体的には溶融部分の領域が狭くなるように溶融領域の前後では、予熱と徐冷を行うことが好ましい。さらに、溶融領域に用いる熱源としてはレーザーのようなせまい領域に対しても高出力のエネルギーを供給できるものがより好ましい。
なお、インナーコア部を回転ゲル重合法や回転共重合法で作製した場合は、中心部が中空となっているので、延伸時にプリフォームを上部から減圧しながら延伸するのが好ましい。
なお、インナーコア部を回転ゲル重合法や回転共重合法で作製した場合は、中心部が中空となっているので、延伸時にプリフォームを上部から減圧しながら延伸するのが好ましい。
延伸は線形とその真円度を維持させるため、中心位置を一定に保つ調芯機構を有する延伸紡糸装置を用いて行うのが好ましい。延伸条件を選択することによりファイバの重合体の配向を制御することができ、線引きで得られるファイバの曲げ性能等の機械特性や熱収縮などを制御することもできる。また、線引時の張力は、特開平7−234322号公報に記載されているように、溶融したプラスチックを配向させるために10g以上とすることができ、もしくは特開平7−234324号公報に記載されているように、溶融延伸後に歪みを残さないようにするために100g以下とすることが好ましい。また、特開平8−106015号公報に記載されているように、延伸の際に予備加熱工程を実施する方法などを採用することもできる。以上の方法によって得られるファイバについては、得られる素線の破断伸びや硬度について特開平7−244220号公報に記載の様に規定することでファイバの曲げや側圧特性を改善することができる。また、特開平8−54521号公報のように低屈折率の層を外周に設けて反射層として機能させてさらに伝送性能を向上させることもできる。
前述した方法で製造されたプラスチック光ファイバは、そのままの形態で種々の用途に供することができる。また、保護や補強を目的として、その外側に被覆層を有する形態、繊維層を有する形態、および/または複数のファイバを束ねた状態で、種々の用途に供することができる。被覆工程は、例えばファイバ素線の通る穴を有する対向したダイスにファイバ素線を通し、対向したダイス間に溶融した被覆用の樹脂を満たし、ファイバ素線をダイス間に移動することで被覆されたファイバを得ることができる。被覆層は可撓時に内部のファイバへの応力から保護するため、ファイバ素線と融着していないことが望ましい。さらにこのとき、溶融した樹脂と接することでファイバ素線に熱的ダメージが加わるので、極力ダメージを抑えるような移動速度や低温で溶融できる樹脂を選ぶことも望ましい。このとき、被覆層の厚みは被覆材の溶融温度や素線の引き抜き速度、被覆層の冷却温度による。その他にも、光部材に塗布したモノマーを重合させる方法やシートを巻き付ける方法、押し出し成形した中空管に光部材を通す方法などが知られている。
素線を被覆することにより、プラスチック光ファイバケーブル製造が可能となる。その際にその被覆の形態として、被覆材とプラスチック光ファイバ素線の界面が全周にわたって接して被覆されている密着型の被覆と、被覆材とプラスチック光ファイバ素線の界面に空隙を有するルース型被覆がある。ルース型被覆では、たとえばコネクタとの接続部などにおいて被覆層を剥離した場合、その端面の空隙から水分が浸入して長手方向に拡散されるおそれがあるため、通常は密着型が好ましい。しかし、ルース型の被覆の場合、被覆と素線が密着していないので、ケーブルにかかる応力や熱とはじめとするダメージの多くを被覆材層で緩和させることができ、素線にかかるダメージを軽減させることができるため、使用目的によっては好ましく用いることができる。水分の伝播については、空隙部に流動性を有するゲル状の半固体や粉粒体を充填することで、端面からの水分伝播を防止でき、かつ、これらの半固体や粉粒体に耐熱や機械的機能の向上などの水分伝播防止と異なる機能をあわせ持つようにすることでより高い性能の被覆を形成できる。ルース型の被覆を製造するには、クロスヘッドダイの押出し口ニップルの位置を調整し減圧装置を加減することで空隙層を作ることができる。空隙層の厚みは前述のニップル厚みと空隙層を加圧/減圧することで調整が可能である。
さらに、必要に応じて被覆層(1次被覆層)の外周にさらに被覆層(2次被覆層)を設けても良い。2次被覆層に難燃剤や紫外線吸収剤、酸化防止剤、ラジカル捕獲剤、昇光剤、滑剤などを導入してもよく、耐透湿性能を満足する限りにおいては、1次被覆層にも導入は可能である。なお、難燃剤については臭素を始めとするハロゲン含有の樹脂や添加剤や燐含有のものがあるが、毒性ガス低減などの安全性の観点で難燃剤として金属水酸化物を加える主流となりつつある。金属水酸化物はその内部に結晶水として水分を有しており、またその製法過程での付着水が完全に除去できないため、金属水酸化物による難燃性被覆は、対透湿性被覆(1次被覆層)の外層被覆(2次被覆層)として設けることが望ましい。また、複数の機能を付与させるために、様々な機能を有する被覆を積層させてもよい。例えば、難燃化以外に、素線の吸湿を抑制するためのバリア層や水分を除去するための吸湿材料、例えば吸湿テープや吸湿ジェルを被覆層内や被覆層間に有することができ、また可撓時の応力緩和のための柔軟性素材層や発泡層等の緩衝材、剛性を挙げるための強化層など、用途に応じて選択して設けることができる。樹脂以外にも構造材として、高い弾性率を有する繊維(いわゆる抗張力繊維)および/または剛性の高い金属線等の線材を熱可塑性樹脂に含有すると、得られるケーブルの力学的強度を補強することができることから好ましい。抗張力繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維が挙げられる。また、金属線としてはステンレス線、亜鉛合金線、銅線などが挙げられる。いずれのものも前述したものに限定されるものではない。その他に保護のための金属管の外装、架空用の支持線や、配線時の作業性を向上させるための機構を組み込むことができる。
また、ケーブルの形状は使用形態によって、素線を同心円上にまとめた集合ケーブルや、一列に並べたテープ心線と言われる態様、さらにそれらを押え巻やラップシースなどでまとめた集合ケーブルなど用途に応じてその形態を選ぶことができる。
また、光ファイバを用いたケーブルは、軸ずれに対して従来の光ファイバに比べて許容度が高いため突き合せによる接合でも用いることができるが、端部に接続用光コネクタを用いて接続部を確実に固定することが好ましい。コネクタとしては一般に知られている、PN型、SMA型、SMI型、F05型、MU型、FC型、SC型などの市販の各種コネクタを利用することも可能である。
本実施の形態の製造方法によって作製された光ファイバ、および光ファイバケーブルを用いて光信号を伝送するシステムには、種々の発光素子や受光素子、光スイッチ、光アイソレータ、光集積回路、光送受信モジュールなどの光部品を含む光信号処理装置等で構成される。また、必要に応じて他の光ファイバなどと組合わせてもよい。それらに関連する技術としてはいかなる公知の技術も適用でき、例えば、プラスティックオプティカルファイバの基礎と実際(エヌ・ティー・エス社発行)、日経エレクトロニクス2001.12.3号110頁〜127頁「プリント配線基板に光部品が載る,今度こそ」などを参考にすることができる。前記文献に記載の種々の技術と組み合わせることによって、コンピュータや各種デジタル機器内の装置内配線、車両や船舶などの内部配線、光端末とデジタル機器、デジタル機器同士の光リンクや一般家庭や集合住宅・工場・オフィス・病院・学校などの屋内や域内の光LAN等をはじめとする、高速大容量のデータ通信や電磁波の影響を受けない制御用途などの短距離に適した光伝送システムに好適に用いることができる。
さらに、IEICE TRANS. ELECTRON., VOL. E84-C, No.3, MARCH 2001, p.339-344「High-Uniformity Star Coupler Using Diffused Light Transmission」,エレクトロニクス実装学会誌 Vol.3, No.6, 2000 476頁〜480ページ「光シートバス技術によるインタコネクション」の記載されているものや、特開平10−123350号、特開2002−90571号、特開2001−290055号等の各公報に記載の光バス;特開2001−74971号、特開2000−329962号、特開2001−74966号、特開2001−74968号、特開2001−318263号、特開2001−311840号等の各公報に記載の光分岐結合装置;特開2000−241655号等の公報に記載の光スターカプラ;特開2002−62457号、特開2002−101044号、特開2001−305395号等の各公報に記載の光信号伝達装置や光データバスシステム;特開2002−23011号等に記載の光信号処理装置;特開2001−86537号等に記載の光信号クロスコネクトシステム;特開2002−26815号等に記載の光伝送システム;特開2001−339554号、特開2001−339555号等の各公報に記載のマルチファンクションシステム;や各種の光導波路、光分岐器、光結合器、光合波器、光分波器などと組み合わせることで、多重化した送受信などを使用した、より高度な光伝送システムを構築することができる。以上の光伝送用途以外にも照明、エネルギー伝送、イルミネーション、センサ分野にも用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、以下に記載される「部」および「%」は、特に断りの無い限り、すべて重量基準である。
[実施例1] 界面ゲル重合によるプラスチック光ファイバプリフォーム(S−1)の作製例
予め溶融押し出し成形によって作製された、厚さ1mm、内径22mm、長さ30cmのポリフッ化ビニリデン樹脂(屈折率:1.38)の中空管チューブ(片端を同じ樹脂で封じてある)をステンレスパイプに挿入し、回転重合装置にセットした。次に該チューブ内に、水分、重合禁止剤、塵埃を十分除去したM7、重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.24%(M7に対する重量比)、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタン0.3%(M7に対する重量比)を注入し、窒素置換した後、密閉状態にし、1500rpmで回転しながら、65℃で3時間、70℃で2時間、90℃で12時間重合を行い、厚さ3mmのアウターコア部(最外層に相当)を作製した。
予め溶融押し出し成形によって作製された、厚さ1mm、内径22mm、長さ30cmのポリフッ化ビニリデン樹脂(屈折率:1.38)の中空管チューブ(片端を同じ樹脂で封じてある)をステンレスパイプに挿入し、回転重合装置にセットした。次に該チューブ内に、水分、重合禁止剤、塵埃を十分除去したM7、重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.24%(M7に対する重量比)、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタン0.3%(M7に対する重量比)を注入し、窒素置換した後、密閉状態にし、1500rpmで回転しながら、65℃で3時間、70℃で2時間、90℃で12時間重合を行い、厚さ3mmのアウターコア部(最外層に相当)を作製した。
次にインナーコア部の重合は以下にして行った。アウターコア部まで作製された中空管を80℃に加温した加圧重合容器に垂直に静置した(必要に応じてガラス管に入れてオートクレーブに挿入する。)。次に、M7とドーパントとしてジフェニルスルフィド(DPS)をM7の添加重量に対して5%になるように添加し、重合開始剤ジ−tert−ブチルパーオキサイド0.3%(M7に対する重量比)、連鎖移動剤n−ラウリルメルカプタン0.6%(M7に対する重量比)を添加して、十分脱気して、80℃に加温した重合組成物を該中空管の中空部に静かに添加し、その後、加圧重合容器内を窒素雰囲気下に置換した後、0.2Mpaまで加圧し、100℃で48時間加熱重合した。その後、加圧状態を維持しながら140℃で、24時間加熱重合および熱処理して、プリフォームを得た。該光ファイバプリフォームの断面方向の屈折率は、クラッド部が1.380で一定、アウターコア部は1.401で一定、インナーコア部は1.401から1.424(中心部)であった。そのインナーコア部の屈折率分布は上に凸の放物線を描いていた。
つぎに上記で得られたプリフォームを溶融延伸した。220〜260℃に調整された加熱炉内に該プリフォームを鉛直下向きに挿入し、延伸速度は目的とするファイバ外径(750μm)になるようにファイバ径測定器を通じて測定された該ファイバの直径によって延伸速度を制御した。得られた該ファイバ径は750±9μmであった。該ファイバを、低密度ポリエチレンで一次被覆し、さらに、水酸化マグネシウムがニトリルブタジエンゴムとポリエチレンで混練された被覆材で2次被覆した。
得られた被覆ファイバの伝送損失、伝送帯域、コア中心部のポリマーのガラス転移温度を測定、評価し、結果を表1にまとめた。また、耐湿熱性に関しては、該被覆ファイバを75℃、80%RHに240時間おいた前後の損失上昇を表1にあわせて示した。
得られた被覆ファイバの伝送損失、伝送帯域、コア中心部のポリマーのガラス転移温度を測定、評価し、結果を表1にまとめた。また、耐湿熱性に関しては、該被覆ファイバを75℃、80%RHに240時間おいた前後の損失上昇を表1にあわせて示した。
[実施例2〜3] 界面ゲル重合によるプラスチック光ファイバプリフォーム(S−2、3)の作製例
実施例1と同様に、用いる素材だけを表1に記載したように変更して同じように被覆ファイバを作製した。用いた素材等と評価結果を表1にまとめた。
実施例1と同様に、用いる素材だけを表1に記載したように変更して同じように被覆ファイバを作製した。用いた素材等と評価結果を表1にまとめた。
[実施例4]回転ゲル重合によるプラスチック光ファイバプリフォーム(S−4)の作製例
予め溶融押し出し成形によって作製された、厚さ1mm、内径30mm、長さ30cmのポリフッ化ビニリデン樹脂(屈折率1.38)の中空管チューブ(片端を同じ樹脂で封じてある)をステンレスパイプに挿入し、回転重合装置にセットした。次に、該チューブ内に、水分、重合禁止剤、塵埃を十分除去したM3、ドーパントとしてDPSを1%(M3に対する重量比)、重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.216%(M3に対する重量比)、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタン0.28%(M3に対する重量比)を注入し、窒素置換した後、密閉状態にし、1500rpmで回転しながら、70℃で0.5時間重合した。続いて、水分、重合禁止剤、塵埃を十分除去したM3、ドーパントとしてジフェニルスルフィド2%(M3に対する重量比)、重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.216%(M3に対する重量比)、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタン0.2%(M3に対する重量比)の混合溶液を脱気した後、中空管に注入し、密閉状態にし、1500rpmで回転しながら、70℃で0.5時間重合した。同様な操作をさらに3回繰り返し(ドーパントは3、3.5、4%と漸増させた)、引き続き、80℃で5時間、90℃で6時間、120℃で12時間後重合を行いインナーコア部に5層構成の屈折率の異なる同心円状の中空プリフォームを得た。次に、上記で得られたプリフォームを溶融延伸した。220〜260℃に調整された加熱炉内に該プリフォームを鉛直下向きに挿入し、延伸速度は目的とするファイバ外径(750μm)になるようにファイバ径測定器を通じて測定された該ファイバの直径によって延伸速度を制御した。また、延伸の際、プリフォームの上部を減圧し中央の空間を除去した。得られた該ファイバ径は475±9μmであった。該ファイバを、低密度ポリエチレンで一次被覆し、さらに、水酸化マグネシウムがニトリルブタジエンゴムとポリエチレンで混練された被覆材で2次被覆した。
予め溶融押し出し成形によって作製された、厚さ1mm、内径30mm、長さ30cmのポリフッ化ビニリデン樹脂(屈折率1.38)の中空管チューブ(片端を同じ樹脂で封じてある)をステンレスパイプに挿入し、回転重合装置にセットした。次に、該チューブ内に、水分、重合禁止剤、塵埃を十分除去したM3、ドーパントとしてDPSを1%(M3に対する重量比)、重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.216%(M3に対する重量比)、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタン0.28%(M3に対する重量比)を注入し、窒素置換した後、密閉状態にし、1500rpmで回転しながら、70℃で0.5時間重合した。続いて、水分、重合禁止剤、塵埃を十分除去したM3、ドーパントとしてジフェニルスルフィド2%(M3に対する重量比)、重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.216%(M3に対する重量比)、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタン0.2%(M3に対する重量比)の混合溶液を脱気した後、中空管に注入し、密閉状態にし、1500rpmで回転しながら、70℃で0.5時間重合した。同様な操作をさらに3回繰り返し(ドーパントは3、3.5、4%と漸増させた)、引き続き、80℃で5時間、90℃で6時間、120℃で12時間後重合を行いインナーコア部に5層構成の屈折率の異なる同心円状の中空プリフォームを得た。次に、上記で得られたプリフォームを溶融延伸した。220〜260℃に調整された加熱炉内に該プリフォームを鉛直下向きに挿入し、延伸速度は目的とするファイバ外径(750μm)になるようにファイバ径測定器を通じて測定された該ファイバの直径によって延伸速度を制御した。また、延伸の際、プリフォームの上部を減圧し中央の空間を除去した。得られた該ファイバ径は475±9μmであった。該ファイバを、低密度ポリエチレンで一次被覆し、さらに、水酸化マグネシウムがニトリルブタジエンゴムとポリエチレンで混練された被覆材で2次被覆した。
得られた被覆ファイバの伝送損失、伝送帯域、コア中心部のポリマーのガラス転移温度を測定、評価し、結果を表1にまとめた。また、耐湿熱性に関しては、該被覆ファイバを75℃、80%RHに240時間おいた前後の損失上昇を表1にあわせて示した。
[実施例5]回転ゲル重合によるプラスチック光ファイバプリフォーム(S−5)の作製例
実施例4と同様に、用いる素材だけを変更して、被覆ファイバを作製した。用いた素材等と評価結果を表1にまとめた。
実施例4と同様に、用いる素材だけを変更して、被覆ファイバを作製した。用いた素材等と評価結果を表1にまとめた。
[実施例6]回転共重合によるプラスチック光ファイバプリフォーム(S−6)の作製例
丸底のガラス製の中空管チューブをステンレスパイプに挿入し、回転重合装置にセットした。次に該チューブ内に、水分、重合禁止剤、塵埃を十分除去したM8、重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.216%(M8に対する重量比)、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタン0.28%(M8に対する重量比)を注入し、窒素置換した後、密閉状態にし、1500rpmで回転しながら、70℃で2時間、90℃で12時間重合を行い、厚さ3mmのアウターコア部(最外層に相当)を作製した。次に回転重合装置内の温度を80℃に設定し、3000rpmの速度で回転させながら、M8とM16の仕込み組成比率を99/1から80/20まで漸進的に変化させた。このインナーコア部の重合組成物の注入に8時間かけた。注入初期と注入終期の注入速度差は、9/1となるように設定した。その注入終了後、さらに80℃で5時間、90℃で5時間、100℃で5時間、120℃で10時間かけて後重合させた。インナーコア部の重合の際の重合開始剤は、総モノマー100部に対して、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.054部、ジ−tert−ブチルパーオキサイド0.054部を用い、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタン 0.140部を用いた。重合組成物の注入速度や回転重合装置の温度設定はコンピュータで自動的に制御されるようにした。
丸底のガラス製の中空管チューブをステンレスパイプに挿入し、回転重合装置にセットした。次に該チューブ内に、水分、重合禁止剤、塵埃を十分除去したM8、重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.216%(M8に対する重量比)、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタン0.28%(M8に対する重量比)を注入し、窒素置換した後、密閉状態にし、1500rpmで回転しながら、70℃で2時間、90℃で12時間重合を行い、厚さ3mmのアウターコア部(最外層に相当)を作製した。次に回転重合装置内の温度を80℃に設定し、3000rpmの速度で回転させながら、M8とM16の仕込み組成比率を99/1から80/20まで漸進的に変化させた。このインナーコア部の重合組成物の注入に8時間かけた。注入初期と注入終期の注入速度差は、9/1となるように設定した。その注入終了後、さらに80℃で5時間、90℃で5時間、100℃で5時間、120℃で10時間かけて後重合させた。インナーコア部の重合の際の重合開始剤は、総モノマー100部に対して、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.054部、ジ−tert−ブチルパーオキサイド0.054部を用い、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタン 0.140部を用いた。重合組成物の注入速度や回転重合装置の温度設定はコンピュータで自動的に制御されるようにした。
コア部の中央に直径約3mmの空間が形成されるまで重合を行い、中央に空間を有する中空光ファイバプリフォームを作製した。該光ファイバプリフォームの断面方向の屈折率は、クラッド部は1.379で、コア中心部は1.410であった。そのコア部の屈折率分布は上に凸の滑らかな放物線を描いていた。
つぎに上記で得られたプリフォームを溶融延伸した。220〜260℃に調整された加熱炉内に該プリフォームを鉛直下向きに挿入し、延伸速度は目的とするファイバ外径(316μm)になるようにファイバ径測定器を通じて測定された該ファイバの直径によって延伸速度を制御した。また、延伸の際、プリフォームの上部を減圧し中央の空間を除去した。得られた該ファイバ径は316±9μmであった。
得られたファイバの伝送損失、伝送帯域、コア中心部のポリマーのガラス転移温度を測定、評価し、結果を表1にまとめた。また、耐湿熱性に関しては、該被覆ファイバを75℃、80%RHに240時間おいた前後の損失上昇を表1にあわせて示した。
得られたファイバの伝送損失、伝送帯域、コア中心部のポリマーのガラス転移温度を測定、評価し、結果を表1にまとめた。また、耐湿熱性に関しては、該被覆ファイバを75℃、80%RHに240時間おいた前後の損失上昇を表1にあわせて示した。
[実施例7]回転共重合によるプラスチック光ファイバプリフォーム(S−7)の作製例
実施例6と同様に、用いる素材だけを変更して、ファイバを作製した。用いた素材等と評価結果を表1にまとめた。
実施例6と同様に、用いる素材だけを変更して、ファイバを作製した。用いた素材等と評価結果を表1にまとめた。
[比較例1] プラスチック光ファイバプリフォーム(R−1)の作製例
予め溶融押し出し成形によって作製された、厚さ1mm、内径22mm、長さ30cmのポリフッ化ビニリデン樹脂(屈折率:1.42)の中空管チューブ(片端を同じ樹脂で封じてある)に、水分、重合禁止剤、塵埃を十分除去したM1、重合開始剤としてジ−tert−ブチルパーオキサイド0.3%(M1に対する重量比)、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタン0.6%(M1に対する重量比)を添加して、十分脱気して、80℃に加温した重合組成物を該中空管の中空部に静かに添加し、その後、加圧重合容器内を窒素雰囲気下に置換した後、0.2Mpaまで加圧し、100℃で48時間加熱重合した。その後、加圧状態を維持しながら140℃で、24時間加熱重合および熱処理して、プリフォームを得た。該光ファイバプリフォームの断面方向の屈折率は、クラッド部が1.420で一定、コア部は1.518で一定である、ステップ−インデックス型の屈折率分布であった。
予め溶融押し出し成形によって作製された、厚さ1mm、内径22mm、長さ30cmのポリフッ化ビニリデン樹脂(屈折率:1.42)の中空管チューブ(片端を同じ樹脂で封じてある)に、水分、重合禁止剤、塵埃を十分除去したM1、重合開始剤としてジ−tert−ブチルパーオキサイド0.3%(M1に対する重量比)、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタン0.6%(M1に対する重量比)を添加して、十分脱気して、80℃に加温した重合組成物を該中空管の中空部に静かに添加し、その後、加圧重合容器内を窒素雰囲気下に置換した後、0.2Mpaまで加圧し、100℃で48時間加熱重合した。その後、加圧状態を維持しながら140℃で、24時間加熱重合および熱処理して、プリフォームを得た。該光ファイバプリフォームの断面方向の屈折率は、クラッド部が1.420で一定、コア部は1.518で一定である、ステップ−インデックス型の屈折率分布であった。
つぎに上記で得られたプリフォームを溶融延伸した。220〜260℃に調整された加熱炉内に該プリフォームを鉛直下向きに挿入し、延伸速度は目的とするファイバ外径(750μm)になるようにファイバ径測定器を通じて測定された該ファイバの直径によって延伸速度を制御した。得られた該ファイバ径は750±9μmであった。該ファイバを、低密度ポリエチレンで一次被覆し、さらに、水酸化マグネシウムがニトリルブタジエンゴムとポリエチレンで混練された被覆材で2次被覆した。該被覆ファイバの伝送損失、伝送帯域、コア中心部のポリマーのガラス転移温度を測定、評価し、結果を表1にまとめた。また、耐湿熱性に関しては、該被覆ファイバを75℃、80%RHに240時間おいた前後の損失上昇を表1にあわせて示した。
[比較例2] プラスチック光ファイバプリフォーム(R−2)の作製例
実施例3と同様に、用いる素材だけを表1に記載したように変更して、被覆ファイバを作製した。用いた素材等と評価結果を表1にまとめた。
実施例3と同様に、用いる素材だけを表1に記載したように変更して、被覆ファイバを作製した。用いた素材等と評価結果を表1にまとめた。
[比較例3] プラスチック光ファイバプリフォーム(R−3)の作製例
実施例4と同様に、用いる素材だけを表1に記載したように変更して、被覆ファイバを作製した。用いた素材等と評価結果を表1にまとめた。
実施例4と同様に、用いる素材だけを表1に記載したように変更して、被覆ファイバを作製した。用いた素材等と評価結果を表1にまとめた。
表1に示した結果から、一般式(1)で表される化合物を用いて作製されたプラスチック光ファイバは、伝送損失、伝送帯域および耐熱性のすべての点で良好であった。
Claims (8)
- 請求項1に記載の光学部材用重合性組成物を重合して、屈折率分布領域を形成する工程を含む光学部材の製造方法。
- 前記光学部材用重合性組成物を界面ゲル重合法により重合する請求項2に記載の光学部材の製造方法。
- 前記単量体とは異なる屈折率を有する化合物が重合性化合物であり、前記光学部材用重合性組成物を重合する際に、該重合性化合物と前記単量体との共重合比を変化させて屈折率分布領域を形成する請求項2又は3に記載の光学部材の製造方法。
- 請求項2〜4のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された光学部材。
- 請求項2〜4のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された、中心部から外側に向かって連続的に屈折率分布を有する光学部材。
- クラッド部と屈折率分布を有するコア部とを有し、前記コア部が請求項1に記載の光学部材用重合性組成物を重合してなる光学部材。
- 光ファイバ、光導波路及び光学レンズのいずれかである請求項5〜7のいずれか1項に記載の光学部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004140892A JP2005320470A (ja) | 2004-05-11 | 2004-05-11 | 重合性組成物、光学部材の製造方法及び光学部材 |
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JP2004140892A Pending JP2005320470A (ja) | 2004-05-11 | 2004-05-11 | 重合性組成物、光学部材の製造方法及び光学部材 |
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Country | Link |
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-
2004
- 2004-05-11 JP JP2004140892A patent/JP2005320470A/ja active Pending
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