JP2005148300A - 複素環基を有する重合性化合物を利用した共重合体、光学部材およびプラスチック光ファイバの製造方法、並びに、チアジアゾール基を有する化合物 - Google Patents

複素環基を有する重合性化合物を利用した共重合体、光学部材およびプラスチック光ファイバの製造方法、並びに、チアジアゾール基を有する化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】 光伝送損失が小さく、伝送帯域が高く、且つ耐熱性が高い光学材料を提供すること。
【解決手段】 回転するチューブ内に一般式(1)のモノマーと該モノマーと屈折率が異なるモノマーを経時的にモノマーの組成比を変化させながら注入し、注入しながらモノマーの重合を行なうことによって、チューブの壁面から中心方向に向かって屈折率が変化するプラスチック光ファイバプリフォームを製造し、これを延伸する。
一般式(1)
【化1】
Figure 2005148300

(X、YはH、Dまたはハロゲン原子;ZはH、D、CH3、CD3、CF3またはハロゲン原子;HETはヘテロ環基;Lは2価の連結基を表す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、チアジアゾール基を有する化合物、該化合物と他の重合性化合物とを共重合させた共重合体、該共重合体等を含有する光学部材に関する。また、チアジアゾール基を有する化合物を用いたプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法およびプラスチック光ファイバの製造方法にも関する。
プラスチック光学部材は、同一の構造を有する石英系の光学部材と比較して、製造および加工が容易であること、および低価格であること等の利点があり、近年、光ファイバおよび光レンズ、光導波路などへ種々の応用が試みられている。特にこれら光学部材の中でも、プラスチック光ファイバは、素線が全てプラスチックで構成されているため、伝送損失が石英系と比較してやや大きいという短所を有するものの、良好な可撓性を有し、軽量で、加工性がよく、石英系光ファイバと比較して口径の大きいファイバとして製造し易く、さらに低コストで製造可能であるという長所を有する。従って、プラスチック光ファイバは、伝送損失の大きさが問題とならない程度の短距離用の光通信伝送媒体として種々検討されている(例えば、非特許文献1参照)。
プラスチック光ファイバは、一般的には、重合体をマトリックスとする有機化合物からなる芯(本明細書において「コア部」と称する)とコア部と屈折率が異なる(一般的には低屈折率の)有機化合物からなる外殻(本明細書において「クラッド部」と称する)とから構成される。特に、中心から外側に向かって屈折率の大きさに分布を有するコア部を備えた屈折率分布型プラスチック光ファイバは、伝送する光信号の帯域を大きくすることが可能なため、高い伝送容量を有する光ファイバとして最近注目されている。この様な屈折率分布型光学部材の製法の一つに、界面ゲル重合を利用して、光学部材母材(本明細書において、「プリフォーム」と称する)を作製し、その後、前記プリフォームを延伸する方法が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
光伝送体には、前述した様に、伝送損失が小さく、且つ伝送帯域が広いことが要求される。特に後者の帯域を広くするためには光学部材に屈折率分布をつける必要があるが、単に分布をつければよいというものではなく、所望の屈折率分布に制御する必要があり(例えば非特許文献3参照)、さらに、コア中心部位とコア外周部位との屈折率差も充分に確保する必要がある。そのために、コア部にはマトリックスの材料のみならず、マトリックス材料とは屈折率の異なる化合物(屈折率上昇剤あるいはドーパントと称される。それらは重合性であっても非重合性であってもよい化合物である)を添加することがしばしば行われる。この屈折率上昇剤としては、これまで種々提案されている(例えば特許文献1参照)。屈折率上昇剤を利用することによって、上記光学特性をある程度満足する光伝送体が得られるが、実際には、光伝送体は種々の環境条件で使用されるので、上記光学特性のみならず、種々の環境に耐え得る耐熱性も要求される。従来屈折率分布を付与する為に、非重合性のドーパント、例えばジフェニルスルフィドが用いられている。この場合、該化合物は、可塑剤としての働きもあり、マトリックスポリマーのガラス転移温度を下げ、耐熱性を悪化させる方向に働く。一方、耐熱性向上を狙って重合性ドーパント(例えば、メチルメタクリレートとベンジルメタクリレートの組み合わせ(後者のホモポリマーの屈折率が前者のそれに比べ約0.08高いので、一応重合性ドーパントに属するとしてもよい))も種々提案されているが、十分な伝送損失と帯域および耐熱性を得られていない。
以上のように、光学特性、ならびに耐熱特性の全てについて実用上充分な特性を有する光伝送体は未だ提供されていないのが実状である。
POFコンソーシアム編「プラスチック光ファイバ」共立出版、1997年、第1〜8頁 POFコンソーシアム編「プラスチック光ファイバ」共立出版、1997年、第66〜72頁 国際公開WO93/08488号公報
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、光伝送損失が小さく、伝送帯域が高く、且つ耐熱性が高い光学材料を提供することを課題とする。また、本発明は、光伝送損失が小さく、伝送帯域が高く、且つ耐熱性が高いプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法を提供することを課題とする。さらに、これらの光学部材やプラスチック光ファイバプリフォームを製造する際に用いる材料を提供することも課題とする。
本発明者らは、前記した問題点を解決するために鋭意し、チアジアゾール基を有するモノマー化合物を光学部材のドーパントとして用い、さらに重合処方を工夫すること(回転重合法)により、光伝送特性と耐熱性の両方の特性が改善されることを見出し、本発明を完成した。
即ち、前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> 下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種を重合させた重合体または共重合体を含むことを特徴とする光学部材。
一般式(1)
Figure 2005148300
(式中、XおよびYは、それぞれ独立に水素原子(H)、重水素原子(D)またはハロゲン原子を表す。Zは、H、D、CH3、CD3、CF3またはハロゲン原子を表す。HETはヘテロ環基を表す。Lは2価の連結基を表す。)
<2> 前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする<1>に記載の光学部材。
一般式(2)
Figure 2005148300
(式中、XおよびYは、それぞれ独立に水素原子(H)、重水素原子(D)またはハロゲン原子を表す。Zは、H、D、CH3、CD3、CF3またはハロゲン原子を表す。HETは2価のヘテロ環基を表す。Lは2価の連結基を表す。Rは置換基を表す。)
<3> 上記一般式(1)または一般式(2)のHETで表されるヘテロ環基がチアジアゾール基であることを特徴とする<1>または<2>に記載の光学部材。
<4> 少なくとも1種の上記一般式(1)で表される化合物と他の重合性モノマーを共重合させた共重合体を含むことを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の光学部材。
<5> 上記一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種を重合させることを特徴とする光学部材の製造方法
<6> 回転するチューブ内に屈折率の異なる2種類以上のモノマーを経時的にモノマーの組成比を変化させながら注入し、注入しながらモノマーの重合を行なうことによって、チューブの壁面から中心方向に向かって屈折率が変化するプラスチック光ファイバプリフォームを製造する方法において、該モノマーのうち少なくとも1種類が<1>に記載の一般式(1)で表される化合物であることを特徴とするプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法。
<7> 屈折率の異なる2種類以上のモノマーのうち、一般式(1)で表される化合物が屈折率の一番高いモノマーであることを特徴とする<6>に記載のプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法。
<8> 屈折率の異なる2種類以上のモノマーが、いずれも重水素原子(D)またはフッ素原子(F)を含むことを特徴とする<6>または<7>に記載のプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法。
<9> <6>〜<8>のいずれか1項に記載の製造方法により製造されるプラスチック光ファイバプリフォームを延伸する工程を含むことを特徴とするプラスチック光ファイバの製造方法。
<10> 下記一般式(3)で表される化合物。
一般式(3)
Figure 2005148300
(式中、XおよびYは、それぞれ独立に水素原子(H)、重水素原子(D)またはハロゲン原子を表す。Zは、H、D、CH3、CD3、CF3またはハロゲン原子を表す。Lは2価の連結基を表す。Rは置換基を表す。)
<11> <10>に記載の一般式(3)で表される化合物と他の重合性モノマーとを共重合させた共重合体。
本発明によれば、光伝送損失、伝送帯域および耐熱性のすべてに優れた光学部材、特にプラスチック光ファイバプリフォームを提供することができる。
発明の実施の形態
以下において、本発明の化合物、該化合物と他の重合性化合物とを共重合させた共重合体、該共重合体を含有する光学部材、本発明の化合物を用いたプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法、およびプラスチック光ファイバの製造方法について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
一般式(1)で表される化合物について詳述する。
一般式(1)中、XおよびYは、それぞれ独立に水素原子(H)、重水素原子(D)またはハロゲン原子を表す。XおよびYは、それぞれ独立に水素原子(H)または重水素原子(D)であることが好ましい。
Zは、H、D、CH3、CD3、CF3またはハロゲン原子を表す。Zは、H、D、CH3、CD3、CF3またはFであることが好ましく、D、CD3またはFであることがより好ましい。
Lは2価の連結基を表し、炭素原子数1〜10の無置換もしくは置換のアルキレン基、無置換もしくは置換のアラルキレン基または無置換もしくは置換のフェニレン基であることが好ましい。ここでいうアルキレン基は直鎖でも分岐でもよい。アルキレン基としては、例えばメチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、デシルメチレン基を挙げることができる。また、アラルキレン基としては、例えばベンジリデン基を挙げることができる。置換もしくは無置換のフェニレン基としては、例えばp−フェニレン基、m−フェニレン基、メチルフェニレン基、テトラフルオロフェニレン基などを挙げることができる。
HETは2価のヘテロ環基を表す。HETは2価の芳香族ヘテロ環基であることが好ましく、芳香族5員ヘテロ環または芳香族6員ヘテロ環を有することがさらに好ましい。芳香族5員ヘテロ環は、二つの二重結合と一個〜四個のヘテロ原子を含む。ヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子または窒素原子が好ましい。芳香族5員ヘテロ環は、少なくとも一つの硫黄原子または窒素原子を含むことが特に好ましい。芳香族5員ヘテロ環には他の環(他のヘテロ環、脂肪族環または芳香族炭化水素環)が縮合していてもよい。芳香族5員ヘテロ環に縮合する環は、芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環が好ましく、芳香族炭化水素環がさらに好ましく、ベンゼン環が最も好ましい。二価の芳香族5員ヘテロ環基または二価の縮環型芳香族5員ヘテロ環基は、他の二価の芳香族基(例えば、二価の芳香族炭化水素基、他の二価の芳香族5員ヘテロ環基、他の二価の縮環型芳香族5員ヘテロ環基、二価の芳香族6員ヘテロ環基、二価の縮環型芳香族6員ヘテロ環基)と連結して、全体として二価の芳香族基を構成してもよい。連結する基の数は、二個または三個が好ましい。以下に、二価の芳香族5員ヘテロ環基、二価の縮環型芳香族5員ヘテロ環基およびそれらを含めて連結した二価の芳香族基の例を示す。
Figure 2005148300
これらの中で、単環の芳香族5員ヘテロ環基、単環の芳香族6員ヘテロ環基が好ましく、その中でも、単環の芳香族5員ヘテロ環基が好ましく、その中でさらにチアジアゾール基が好ましい。
一般式(1)で表される化合物の中で好ましい化合物は、一般式(2)で表される。一般式(2)中のX、Y、Z、LおよびHETについては、上記一般式(1)の説明のとおりである。一般式(2)のRは置換基を表す。具体的には、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいヘテロ環基が好ましい。置換基を有していてもよいアルキル基を構成するアルキル部分の好ましい炭素原子数は1〜24であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜6である。アルキル部分は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。アルキル部分(無置換のアルキル基)の具体例として、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、i−プロピル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、2−ヘキシルデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシルメチル基、オクチルシクロヘキシル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基を挙げることができる。Rが採りうるシクロアルキル基には、ビシクロアルキル基のように多環構造を有するものも含まれる。シクロアルキル基の具体例として、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロペンチル基、ビシクロ[2,2,1]ヘプチル基、ビシクロ[2,2,2]オクチル基を挙げることができる。Rが採りうるアリール基としては、置換もしくは無置換のフェニル基を挙げることができ、具体的にはp−フェニル基、m−フェニル基、メチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、トリブロモフェニル基、メシチル基などを挙げることができる。Rが採りうるヘテロ環基の具体例については、後述するHETが採りうるヘテロ環基の具体例を参照することができる。Rが採りうる基を構成するC−H結合はC−D結合であってもよい。但し、Rには重合性基が含まれない。
一般式(2)で表される化合物の中で好ましい化合物は、一般式(3)で表される。一般式(3)中のX、Y、Z、LおよびRについては、上記一般式(1)および一般式(2)の説明のとおりである。
以下に一般式(3)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明で用いることができる一般式(3)で表される化合物はこれらの具体例に限定されるものでない。以下に例示する化合物のチアゾール基の代わりに、他のヘテロ環を用いれば一般式(2)で表される化合物の具体例となる。
Figure 2005148300
Figure 2005148300
一般式(1)〜(3)で表される化合物は、例えば下記のルートで合成することが可能である。
Figure 2005148300
工程(1)は、チアジアゾールとR−Br(またはR−I)とを2対1のモル比で、塩基存在下で反応させる工程である。用いることができる塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の金属炭酸塩、トリエチルアミン、トリメチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)等の第3級アミン、ナトリウムエチラート、カリウムtert−ブチラート等の金属アルコラート類が挙げられる。塩基の使用量はハロゲン化物に対して1〜3倍モル、好ましくは1〜2倍モルである。反応溶媒としては、非プロトン性の極性溶媒を用いることが好ましい。非プロトン性の極性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。反応温度は、通常は室温〜200℃の範囲であり、好ましくは室温〜160℃の範囲である。
工程(2)は、チアジアゾール誘導体とBr−L−OHまたはI−L−OHを1対1のモル比で、塩基存在下で反応させる工程である。用いることができる塩基としては、連結基Lが脂肪族基の場合は上述と同じで、連結基Lが芳香族基の場合は上述の塩基の他に、銅触媒(具体的には臭化銅またはヨウ化銅)をさらに添加するのがよく、反応溶媒も90℃以上の沸点を有する溶媒(例えばトルエンなど)がよい。反応温度は、通常は90〜180℃であり、好ましくは110〜150℃の範囲である。
工程(3)は、チアジアゾール誘導体と酸塩化物を塩基存在下で反応させるか、または、チアジアゾール誘導体とカルボン酸を縮合剤(具体的にはジシクロヘキシルカルボジイミドなど)を添加してエステル化させる工程である。縮合剤の場合、ジメチルアミノピリジンなどの塩基を触媒量添加することもできる。
一般式(1)で表される化合物の具体的な合成例については、後述の合成例を参考にすることができる。
次に、本発明の共重合体について説明する。本発明の共重合体は、一般式(1)で表される化合物と他の重合性モノマーとを共重合させた共重合体である。
ここで用いる他の重合性モノマーは、一般式(1)で表される化合物(モノマー)と共重合することができるものの中から選択することができる。共重合体を光学部材に用いる場合は、特にプロペン酸およびその誘導体のエステルを主成分とするモノマーを用いることが好ましい。前記プロペン酸およびその誘導体には、アクリル酸エステルおよびメタアクリル酸エステル(以下、双方を含めて(メタ)アクリル酸エステル類という)が含まれる。ここで、主成分とするとは、光学的性能を損なわない限りにおいて、他のモノマーを含んでいてもよいことを意味し、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類系モノマー、スチレン、マレイミド化合物等の1種または2種以上を使用してもよいことを意味する。(メタ)アクリル酸エステル類の少なくとも一部の水素が重水素で置換されたモノマーを用いて共重合を行うと、得られた共重合体のC−H伸縮振動に起因する光伝送損失を軽減できるので好ましい。また、フッ素原子で置換されている(メタ)アクリル酸エステル類を用いて共重合を行うと、得られた共重合体とフッ素置換されていないモノマーの共重合体との間の屈折率差を大きくし易く、その結果屈折率分布構造を形成し易くなるので好ましい。
以下に、本発明の共重合体を製造する際に好ましく使用することができる(メタ)アクリル酸エステル類を始めとするモノマーの具体例を列挙する。しかしながら、本発明の共重合体の製造に使用することができるモノマーは以下の具体例に限定されるものではない。
(a) フッ素不含メタクリル酸エステルおよびフッ素不含アクリル酸エステル
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジフェニルメチル、トリシクロ[5・2・1・02,6]デカニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート等;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸フェニル等
(b) 含フッ素アクリル酸エステルおよび含フッ素メタクリル酸エステル等
2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、2−フルオロアクリル酸メチル、2−フルオロアクリル酸トリフルオロエチル、2−フルオロアクリル酸テトラフルオロプロピル、2−フルオロアクリル酸ヘキサフルオロイソプロピル、2−トリフルオロメチルアクリル酸メチル、2−トリフルオロメチルアクリル酸トリフルオロエチル、2−トリフルオロメチルアクリル酸テトラフルオロプロピル、2−トリフルオロメチルアクリル酸ヘキサフルオロイソプロピル等
(c) スチレン系化合物
スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等
(d) ビニルエステル類
ビニルアセテート、ビニルベンゾエート、ビニルフェニルアセテート、ビニルクロロアセテート等
(e)マレイミド類
N―n−ブチルマレイミド、N―tert−ブチルマレイミド、N―イソプロピルマレイミド、N―シクロヘキシルマレイミド等
本発明の共重合体を製造する際には、(メタ)アクリル酸エステル類の1種または2種以上を重合性モノマーの主成分として用いることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル類は、モノマーの全質量の50質量%以上であるのが好ましく、60質量%以上であるのがより好ましく、70質量%以上であるのがさらに好ましく、すべてが(メタ)アクリル酸エステル類であることが最も好ましい。共重合体をプラスチック光ファイバなどの光学部材に利用するときは、共重合に用いる各モノマーをそれぞれ単独で重合させたホモポリマーの屈折率差(屈折率が最大のホモポリマーと最小のホモポリマーの屈折率差)は0.001以上であることが好ましく、0.002以上であることがより好ましく、0.003以上であることがさらに好ましい。好ましいモノマーの組み合わせとして、メチルメタクリレートと本発明の化合物D1(屈折率差は0.13)、ヘキサイソプロピルメタクリレートと本発明の化合物D3(屈折率差は0.06)を挙げることができる。ただし、ポリマー間の溶解度パラメーターの差が好ましくは7(cal/cm3)以下、より好ましくは6(cal/cm3)以下、さらに好ましくは5(cal/cm3)以下になるようにモノマーの組み合わせを選択するのが好ましい。
屈折率差を有するモノマーを混合した重合性組成物を用いて、経時的にモノマーの組成比を徐々に変えながら重合することによって、屈折率の大きさに分布を有する共重合体を製造することができる。得られた共重合体は、屈折率分布型光学部材の製造に用いることができる。なお、屈折率分布を付与するために、その他に非重合性のドーパントを用いることもできるが、先述したように耐熱性を悪化させるので添加しないほうが良い。
次に重合開始剤について説明する。
上記のモノマーを重合させるために、通常はモノマーの重合を開始させる重合開始剤を用いる。重合開始剤としては、用いるモノマーや重合方法に応じて適宜選択することができるが、過酸化ベンゾイル(BPO)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−tert−ブチルパーオキシド(PBD)、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル4,4,ビス(tert−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのパーオキサイド系化合物、または2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’―アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジーtert−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系化合物が挙げられる。なお、重合開始剤は2種類以上を併用してもよい。
次に連鎖移動剤について説明する。
上記のモノマーを重合させる際に、連鎖移動剤を用いることが好ましい。前記連鎖移動剤は、主に重合体の分子量を調整するために用いられる。前記連鎖移動剤については、一般式(1)の化合物と併用する重合性モノマーの種類に応じて、適宜、種類および添加量を選択することができる。各モノマーに対する連鎖移動剤の連鎖移動定数は、例えば、ポリマーハンドブック第3版(J.BRANDRUPおよびE.H.IMMERGUT編、JOHN WILEY&SON発行)を参照することができる。また、該連鎖移動定数は大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊を参考にして、実験によっても求めることができる。
例えば、重合性モノマーとしてメチルメタクリレートを用いた場合は、連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類(n−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等)、チオフェノール類(チオフェノール、m−ブロモチオフェノール、p−ブロモチオフェノール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオール等)などを用いるのが好ましく、中でも、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンのアルキルメルカプタンを用いるのが好ましい。また、C−H結合の水素原子が重水素原子やフッ素原子で置換された連鎖移動剤を用いることもできる。なお、連鎖移動剤は、2種類以上を併用してもよい。
共重合に用いるためのモノマー組成物(以下、重合性組成物という)中には、その他、重合時の反応性や光伝送性能を低下させない範囲で、その他の添加剤を添加することができる。例えば、耐候性や耐久性などを向上させる目的で、耐酸化剤や耐光剤などの安定剤を添加することができる。また、光伝送性能の向上を目的として、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加することもできる。該化合物を添加することにより、減衰した信号光を励起光により増幅することが可能となり、伝送距離が向上するので、光伝送リンクの一部にファイバ増幅器として使用することができる。
本発明で用いる重合性組成物に含まれる各成分の含有割合の好ましい範囲は、その種類に応じて異なり一概に規定することはできないが、一般的には、重合開始剤は、重合性モノマーに対して0.005〜5質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましい。連鎖移動剤は、重合性モノマーに対して0.10〜4質量%であるのが好ましく、0.15〜3質量%であるのがより好ましい。また、一般式(1)で表される化合物は、他の重合性モノマーに対して1〜50質量%であるのが好ましく、1〜25質量%であるのがより好ましい。
重合性組成物を用いて光学部材を作製する際に、一般式(1)で表される化合物の濃度に傾斜を持たせることによって、屈折率分布型の光学部材を作製することができる。該化合物の濃度に傾斜を持たせる方法としては、後述する界面ゲル重合を利用する方法、屈折率の異なる複数のモノマーの組成比を変えて重合したポリマーを積層(あるいは隣接)させる方法等がある。これらの両方の重合法を組み合わることと、一般式(1)で表される化合物とモノマーを組み合わせることによって、伝送損失を十分に改良すると同時に、帯域も改良することができる。
重合性組成物に熱および/または光等が供与されると、重合開始剤からラジカル等が発生し、重合性モノマーの重合が開始される。本発明で用いる重合性組成物では、一般式(1)の化合物が非重合性ドーパントの代替になっているので、例えば、後述の界面ゲル重合法のように、重合の進行方向を制御して、一般式(1)の化合物の濃度に傾斜を持たせることによって、もしくは一般式(1)の化合物とその他のモノマーとの共重合組成比に傾斜を持たせることによって、屈折率分布構造を容易に形成することができる。また、重合性モノマーの重合速度および重合度は、重合開始剤および所望により添加される連鎖移動剤によって制御され、共重合体の分子量を所望の分子量に調整することができる。例えば、得られた共重合体を延伸により線引きして、光ファイバとする場合は、分子量を調整することによって延伸時における機械的特性を所望の範囲とすることができ、生産性の向上にも寄与する。
本発明の共重合体は光学部材の材料として有用である。本発明の共重合体を含む光学部材として、例えば光ファイバ、光導波路等の光導性素子類、スチールカメラ用、ビデオカメラ用、望遠鏡用、眼鏡用、プラスチックコンタクトレンズ用、太陽光集光用等のレンズ類、凹面鏡、ポリゴン等の鏡類、ペンタプリズム類等のプリズム類が挙げられる。中でも、光導性素子類、レンズ類、鏡類に用いられるのが好ましく、光ファイバ、光導波路、レンズ類に用いられるのがより好ましい。本明細書では、特に好ましい態様である光ファイバについて詳述しているが、その他の光学部材についても本発明の共重合体を好ましく適用しうる。
以下において、重合性組成物を利用した光学部材の製造方法の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の重合性組成物を、特に、コア部とクラッド部とを有する屈折率分布型プラスチック光学部材のコア部の形成に適用したものである。
本実施形態では、クラッド部を先に作製し、その後コア部を界面ゲル重合を利用した回転重合法によってコア部に屈折率分布を付与してもよいし、逆に、先に屈折率分布を付与したコア部を界面ゲル重合を利用した回転重合法によって作製した後、クラッド部を作製してもよい。ここで、回転重合とは、プラスチック光ファイバプリフォーム作製のための一方法で、重合容器(チューブともいう)を回転させて重合する方法のことで、該重合容器内に一般式(1)の化合物を含む複数種類のモノマーを注入しながら重合を行なう方法であり、詳細については、たとえば、特開平10−96825号公報、特開2001−215345号公報等に記載されている。この方法により、チューブの内壁から中心方向に向かって屈折率を自由に制御できる。熱エネルギーの他に、光エネルギーを利用することもできる。勿論併用しても良い。回転重合によるプリフォームの作製方法は、屈折率分布が良好で、かつ、径の大きなプリフォームが、通常の界面ゲル重合に比べて、比較的容易にできる点で低コスト化に有利である。
クラッド部は溶融させたクラッド材を作製したコア外周囲部位に被覆することによって作製しても良いし、コア部に、コア部の外周径とクラッド内周径とをあわせたクラッド管を予め溶融押し出し成形などで作製したクラッドチューブを挿入し、必要に応じて接着剤を利用して作製してもよい。以下では回転重合に即した説明を行なう。界面ゲル重合の一般的な記載については、例えば国際公開WO93/08488号公報等に記載されている。
本実施形態では、クラッド部を先に作製し、その後コア部を界面ゲル重合を利用した回転重合法で作製するによって、屈折率分布を有するコア部を有するプラスチック光ファイバプリフォームを製造する。
クラッド部の作製方法については、特に限定されない。重合性組成物の重合の進行とともに中空管形状に成型してクラッド部を作製してもよいし、一旦重合体を得た後、溶融押し出し成型等の成型加工によって中空管形状のクラッド部を作製してもよい。
前記方法に用いられる重合容器は、ガラス、プラスチックまたは金属性の円筒管形状の容器(チューブ)で、回転による遠心力などの外力に耐え得る機械的強度および加熱重合時の耐熱性を有するものであればいずれでもよい。特に代表的なものとしては、日電理科硝子株式会社製の丸底直口ガラス試験管(内径22mm、高さ340mm、厚さ1.5mm)、テフロン(登録商標)AF(Dupont社製)、サイトップ(旭硝子株式会社製)、またはフッ化ビニリデン系共重合体からなるプラスチックチューブ、ポリメチルメタクリレート、メタクリル酸エステル共重合体、例えば、メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート/ノルボルニルメタクリレート共重合体、またはメチルメタクリレート/tert−ブチルメタクリレート共重合体で被覆されたガラスチューブまたはアルミナ製チューブなどが挙げられる。これらのプラスチックチューブおよびチューブを被覆している重合体はアモルファスであることが好ましい。プラスチックチューブの場合、例えば、テフロンAF(Dupont社製)、サイトップ(旭硝子株式会社製)、またはフッ化ビニリデン系共重合体などの場合のように、そのままクラッドに適用できる場合がある。
チューブに前記重合性組成物を注入した後、回転させながら前記重合性組成物を重合させる。必要であれば、重合を開始させるために熱または光を重合性組成物に供与してもよい。重合反応温度は、特に制限はないが、反応性と着色のバランスの観点から、概ね0〜100℃が好ましい。また、反応時間は、前記重合性組成物が含有する重合開始剤、連鎖移動剤(双方については後述する)の量と反応温度に応じて適切に設定する必要があるが、概ね1〜48時間程度が好ましい。また、クラッド部の形成に用いられる重合性組成物を、予めゾル化してもよい。ゾル化率(コンバージョン)としては、5〜35%が好ましく、流動性の確保の観点から、10〜35%がより好ましく、15〜30%がさらに好ましい。
重合時のチューブの回転速度は、概ね、500〜3000rpmであればよいが、特に、この範囲の回転速度に限定するものではない。
前記重合性組成物をフィルターにより濾過して、組成物中に含まれる塵埃を除去してから、前記チューブに注入するのが好ましい。また、性能劣化や前工程、後工程の煩雑化などを起こさない限りにおいて、特開平10−293215号公報、特開平8−110419号公報に記載されている様に、取り扱いやすい様に粘度などの調整やプレ重合を行うことによる重合時間の短縮なども行うことができる。
前記クラッド部形成用重合性組成物は、重合開始剤、連鎖移動剤を含有しているのが好ましい。それらについては、先述したものを用いることができる。
また、前記重合性組成物をいったん重合した後、成型して中空管形状のクラッド部を作製する方法では、ペレット状や粉末状の重合体を円筒形状の容器に入れ、両端を塞ぎ、該容器を回転(好ましくは、円筒の軸を水平に維持した状態で回転)させつつ該樹脂の融点以上に加熱し、前記樹脂を溶融させることにより、重合体からなる中空管を作製することができる。この時に、溶融による樹脂の熱または酸化、および熱酸化分解を防ぐために、該重合容器内を窒素やアルゴンなどの不活性気体雰囲気下で行うことや、樹脂を事前に充分乾燥させておくことが好ましい。
一方、重合体を溶融押出ししてクラッド部を形成してもよい。一旦、重合体を作製した後、押出し成形等の成形技術を利用して、所望の形状(本実施の形態では円筒形状)の構造体を得ることもできる。これらに用いられる溶融押出装置としては、主として、インナーサイジングダイ方式とアウターダイ減圧吸引方式の2つのタイプがあり、いずれの方式の溶融押出装置によって得られた構造体も用いることができる。
クラッド部を構成する重合体の重量平均分子量は、プラスチック光ファイバプリフォームを溶融延伸させる観点から、好ましくは30,000〜1,000,000、より好ましくは30,000〜700,000、さらに好ましくは30,000〜300,000となるように調整するのが好ましい。
次に、作製したクラッド部の中空部に、前記クラッド部よりも高い屈折率を与えるポリマーを形成する一般式(1)の化合物を含む複数種類のモノマーを含有する重合性組成物を注入し、前記クラッド部を回転させながら前記重合性組成物を重合して、前記クラッド部より高い屈折率を有するコア部の第一層を形成する(アウターコア部に相当する)。この第一層目は予めゾル化した後に注入してもよい。上記クラッド部の作製工程と同様、回転させながらコア部第一層を形成するので、第一層のさらに内側が中空部となる。該中空部にさらに重合性組成物を注入し、重合することによってインナーコア層を形成し、コア部全体を完成することができる。インナーコア層は複数層から形成され、好ましくは3層以上、より好ましくは5層以上複数層からなっているのがよい。
前記クラッド部が、チューブ等の重合容器に支持された状態で作製されている場合は、そのままの状態で、コア部第一層形成の工程に用いるのが好ましい。一方、クラッド部を溶融押し出し等によって作製した場合は、得られたクラッド部をクラッド部と同形状でクラッド部を支持可能な容器内に納め、該容器に支持された状態で、コア部第一層形成の工程に用いるのが好ましい。
本実施の形態の製造方法によれば、Step-Index型およびGraded-Index型の屈折率分布をコア部に容易に付与することができる。Step-Index型の屈折率分布をつけるには、(1)前記重合性組成物のモノマー組成比を最初から最後まで一定にして回転重合を行う方法がある。また、Graded-Index型の屈折率分布をつけるには、(2)前記重合性組成物のモノマー組成比を一定にして、非重合性の屈折率調整剤を加えて、界面ゲル重合、または、回転重合を行う方法;および(3)前記重合性組成物中の屈折率の異なるモノマー仕込み組成比率を漸進的に変化させ、クラッド部との界面から中心部まで、屈折率分布が漸進的に増加するように、回転重合を行う方法などがある。これらの方法の中でも、伝送損失、広帯域化、耐熱性および製造の観点から、(3)が好ましく、また、直径の太いGraded-Index型プラスチック光ファイバプリフォームの製造の容易さの観点からも、(3)がより好ましい。
前記(1)の方法では、コア部第一層形成用の重合性組成物と、インナーコア層形成用の重合性組成物とは、同一のビニル系単量体を含有しているのが好ましく、2種以上のビニル系単量体の組成比率も同一であるのが好ましい。前記(2)の方法では、コア部第一層形成用の重合性組成物には屈折率調整剤を含有させずに、その内側に形成されるインナーコア層用の重合性組成物に含有させるのが好ましい。また、双方の重合性組成物は同一の複数種類のビニル系単量体で、組成比率も同一であるのが好ましい。前記(1)および(2)の方法では、インナーコア層は、単層からなっていても、複数層からなっていてもよい。一方、前記(3)の方法では、インナーコア層は複数層からなる。この態様では、コア部第一層形成用の重合性組成物、およびその内側に形成されるインナーコア層形成用の重合性組成物の全てが、同一の組み合わせで複数種のビニル系単量体を含有し、且つ各層のビニル系単量体の組成比率を、外側の層から内側の層に向かって屈折率が漸進的に高くなる様に変化させる。
前記コア部の第一層の形成に用いる重合性組成物は、少なくとも作製したクラッド部の中空部に前記クラッド部よりも高い屈折率を与えるポリマーを形成するビニル系単量体を含有する。また、上記した様に、さらにその内側に形成するインナーコア層用重合性組成物も、前記第一層の形成に用いる重合性組成物と同一のビニル系単量体を含有しているのが好ましい。この場合の複数種類のモノマーの好ましい組み合わせとしては、メタクリル酸エステル類と上記具体例の化合物(D2)、含フッ素メタクリル酸エステル類と上記具体例の化合物(D9、D19)、および2−フルオロアクリル酸エステル類と上記具体例の化合物(D17)およびそれらの重水素化化物同士の組み合わせを挙げることができる。これらの組み合わせは、重合性、溶解度パラメーター、屈折率的に目的に合う組み合わせである。
前記した、クラッド部およびコア部の組み合わせに際しては、クラッド部の屈折率とコア部の最も高い屈折率の差が、開口数の観点から、好ましくは0.010以上、より好ましくは0.030以上、さらに、より好ましくは0.050以上にするのがよい。クラッド部およびコア部の組み合わせとして、例えば、クラッド部がポリ(2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート)(屈折率:1.42)、コア部がポリ(メチルメタクリレート)(屈折率:1.49)を主体にした共重合体の組み合わせ、クラッド部がテフロンAF1600(屈折率:1.31)、コア部がポリ(2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート)(屈折率:1.42)を主体にした組み合わせなどが挙げられる。
前記コア部形成用重合性組成物は、前記ビニル系単量体の他に、所望により重合開始剤、連鎖移動剤および屈折率調整剤を含んでいてもよい。使用可能な重合開始剤および連鎖移動剤の具体例については、前記クラッド部形成用重合性組成物に使用可能な重合開始剤および連鎖移動剤と同様である。コア部第一層の屈折率を、クラッド部の屈折率より高めるために、屈折率調整剤を用いてもよい。また、前記(2)の方法の様に、屈折率調整剤を用い、且つ屈折率調整剤の濃度に分布を持たせることによって、該濃度の分布に基づいて屈折率分布型のインナーコア層を作製することができる。また前記(3)の方法の様に、屈折率調整剤を用いなくとも、コア部の形成に2種以上の重合性モノマーを用い、インナーコア層内に共重合比の分布を持たせることによって、屈折率分布構造を導入することもできる。
また、前記(3)の方法をより具体的に説明すると、コア部第一層形成用の重合性組成物と同一の組み合わせで複数種のビニル系単量体を含有し、且つビニル系単量体の組成比率が異なる重合性組成物を、前記第一層のさらに内側の中空部に注入し、容器を回転させながら重合性組成物を重合して第二層を形成する。前記第一層と前記第二層とには、共重合比率の違いに基づく屈折率の差が生じる。同様に、第二層の内側の中空部で重合性組成物を重合することにより第三層、第四層を順次形成することができる。より内側の層の屈折率が高くなる様に各層の重合性組成物中のビニル系単量体の組成比率を調整することによって、屈折率が中心部に向かって漸進的に高くなるインナーコア層を形成することができる。
インナーコア層用の重合性組成物を回転重合する際の好ましい重合条件については、コア部第一層用の重合性組成物の重合条件と同様である。また、インナーコア層用の重合性組成物を界面ゲル重合する際の好ましい重合条件については、特開2003−149463号、特開2003−195065号、特開2003−75656号、特開2003−192714号および特開2003−192708号等の各公報に記載の条件と同様である。
コア部第一層およびインナーコア層をそれぞれ構成する重合体の重量平均分子量は、プラスチック光ファイバプリフォームを溶融延伸させる観点から、好ましくは30,000〜1,000,000、より好ましくは30,000〜700,000、さらに好ましくは30,000〜300,000となるように調整するのが好ましい。
このようにして得られる、プラスチック光ファイバプリフォームは、製造の観点から、大口径化することが好ましく、また、プラスチック光ファイバを被覆して、プラスチック光ファイバケーブルを作成する際、損失向上を抑制する観点から、クラッディング部を厚肉化することが好ましい。これらの観点から、プラスチック光ファイバにしたときのクラッディング部の厚みは、好ましくは10μm〜100μm、より好ましくは30μm〜100μm、さらに好ましくは50μm〜100μmになるように調製するのがよい。また、コア部第一層は、その後の界面ゲル重合等や延伸工程を経て、光ファイバの形態となった後は、インナーコア層と一体になり、双方が識別できなくなっていてもよい。
得られたプリフォームを溶融延伸することによりプラスチック光ファイバを作製することができる。延伸は、例えば、プリフォームを加熱炉(例えば円筒状の加熱炉)等の内部を通過させることによって加熱し、溶融させた後、引き続き連続して延伸紡糸するのが好ましい。加熱温度は、プリフォームの材質等に応じて適宜決定することができるが、一般的には、180〜250℃が好ましい。延伸条件(延伸温度等)は、得られたプリフォームの径、所望のプラスチック光ファイバの径および用いた材料等を考慮して、適宜決定することができる。特に、屈折率分布型光ファイバにおいては、その断面の中心方向から円周に向け屈折率が変化する構造を有するため、この分布を破壊しないように、均一に加熱且つ延伸紡糸する必要がある。従って、プリフォームの加熱には、プリフォームを断面方向において均一に加熱可能である円筒形状の加熱炉等を用いことが好ましい。また、加熱炉は延伸軸方向に温度分布を持つことが好ましい。溶融部分が狭いほど屈折率分布の形状が歪みにくく収率があがるため好ましい。具体的には溶融部分の領域が狭くなるように溶融領域の前後では、予熱と徐冷を行うことが好ましい。さらに、溶融領域に用いる熱源としてはレーザーのようなせまい領域に対しても高出力のエネルギーを供給できるものがより好ましい。
延伸は線形とその真円度を維持させるため、中心位置を一定に保つ調芯機構を有する延伸紡糸装置を用いて行うのが好ましい。延伸条件を選択することによりファイバの重合体の配向を制御することができ、線引きで得られるファイバの曲げ性能等の機械特性や熱収縮などを制御することもできる。また、線引時の張力は、特開平7−234322号公報に記載されているように、溶融したプラスチックを配向させるために10g以上とすることができ、もしくは特開平7−234324号公報に記載されているように、溶融延伸後に歪みを残さないようにするために100g以下とすることが好ましい。また、特開平8−106015号公報に記載されているように、延伸の際に予備加熱工程を実施する方法などを採用することもできる。以上の方法によって得られるファイバについては、得られる素線の破断伸びや硬度について特開平7−244220号公報に記載の様に規定することでファイバの曲げや側圧特性を改善することができる。また、特開平8−54521号公報のように低屈折率の層を外周に設けて反射層として機能させてさらに伝送性能を向上させることもできる。
前述した方法で製造されたプラスチック光ファイバは、そのままの形態で種々の用途に供することができる。また、保護や補強を目的として、その外側に被覆層を有する形態、繊維層を有する形態、および/または複数のファイバを束ねた状態で、種々の用途に供することができる。被覆工程は、例えばファイバ素線の通る穴を有する対向したダイスにファイバ素線を通し、対向したダイス間に溶融した被覆用の樹脂を満たし、ファイバ素線をダイス間に移動することで被覆されたファイバを得ることができる。被覆層は可撓時に内部のファイバへの応力から保護するため、ファイバ素線と融着していないことが望ましい。さらにこのとき、溶融した樹脂と接することでファイバ素線に熱的ダメージが加わるので、極力ダメージを抑えるような移動速度や低温で溶融できる樹脂を選ぶことも望ましい。このとき、被覆層の厚みは被覆材の溶融温度や素線の引き抜き速度、被覆層の冷却温度による。その他にも、光部材に塗布したモノマーを重合させる方法やシートを巻き付ける方法、押し出し成形した中空管に光部材を通す方法などが知られている。
素線を被覆することにより、プラスチック光ファイバケーブル製造が可能となる。その際にその被覆の形態として、被覆材とプラスチック光ファイバ素線の界面が全周にわたって接して被覆されている密着型の被覆と、被覆材とプラスチック光ファイバ素線の界面に空隙を有するルース型被覆がある。ルース型被覆では、たとえばコネクタとの接続部などにおいて被覆層を剥離した場合、その端面の空隙から水分が浸入して長手方向に拡散されるおそれがあるため、通常は密着型が好ましい。しかし、ルース型の被覆の場合、被覆と素線が密着していないので、ケーブルにかかる応力や熱とはじめとするダメージの多くを被覆材層で緩和させることができ、素線にかかるダメージを軽減させることができるため、使用目的によっては好ましく用いることができる。水分の伝播については、空隙部に流動性を有するゲル状の半固体や粉粒体を充填することで、端面からの水分伝播を防止でき、かつ、これらの半固体や粉粒体に耐熱や機械的機能の向上などの水分伝播防止と異なる機能をあわせ持つようにすることでより高い性能の被覆を形成できる。ルース型の被覆を製造するには、クロスヘッドダイの押出し口ニップルの位置を調整し減圧装置を加減することで空隙層を作ることができる。空隙層の厚みは前述のニップル厚みと空隙層を加圧/減圧することで調整が可能である。
さらに、必要に応じて被覆層(1次被覆層)の外周にさらに被覆層(2次被覆層)を設けても良い。2次被覆層に難燃剤や紫外線吸収剤、酸化防止剤、ラジカル捕獲剤、昇光剤、滑剤などを導入してもよく、耐透湿性能を満足する限りにおいては、1次被覆層にも導入は可能である。なお、難燃剤については臭素を始めとするハロゲン含有の樹脂や添加剤や燐含有のものがあるが、毒性ガス低減などの安全性の観点で難燃剤として金属水酸化物を加える主流となりつつある。金属水酸化物はその内部に結晶水として水分を有しており、またその製法過程での付着水が完全に除去できないため、金属水酸化物による難燃性被覆は、対透湿性被覆(1次被覆層)の外層被覆(2次被覆層)として設けることが望ましい。また、複数の機能を付与させるために、様々な機能を有する被覆を積層させてもよい。例えば、難燃化以外に、素線の吸湿を抑制するためのバリア層や水分を除去するための吸湿材料、例えば吸湿テープや吸湿ジェルを被覆層内や被覆層間に有することができ、また可撓時の応力緩和のための柔軟性素材層や発泡層等の緩衝材、剛性を挙げるための強化層など、用途に応じて選択して設けることができる。樹脂以外にも構造材として、高い弾性率を有する繊維(いわゆる抗張力繊維)および/または剛性の高い金属線等の線材を熱可塑性樹脂に含有すると、得られるケーブルの力学的強度を補強することができることから好ましい。抗張力繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維が挙げられる。また、金属線としてはステンレス線、亜鉛合金線、銅線などが挙げられる。いずれのものも前述したものに限定されるものではない。その他に保護のための金属管の外装、架空用の支持線や、配線時の作業性を向上させるための機構を組み込むことができる。
また、ケーブルの形状は使用形態によって、素線を同心円上にまとめた集合ケーブルや、一列に並べたテープ心線と言われる態様、さらにそれらを押え巻やラップシースなどでまとめた集合ケーブルなど用途に応じてその形態を選ぶことができる。
また、光ファイバを用いたケーブルは、軸ずれに対して従来の光ファイバに比べて許容度が高いため突き合せによる接合でも用いることができるが、端部に接続用光コネクタを用いて接続部を確実に固定することが好ましい。コネクタとしては一般に知られている、PN型、SMA型、SMI型、F05型、MU型、FC型、SC型などの市販の各種コネクタを利用することも可能である。
本実施の形態の製造方法によって作製された光ファイバ、および光ファイバケーブルを用いて光信号を伝送するシステムには、種々の発光素子や受光素子、光スイッチ、光アイソレータ、光集積回路、光送受信モジュールなどの光部品を含む光信号処理装置等で構成される。また、必要に応じて他の光ファイバなどと組合わせてもよい。それらに関連する技術としてはいかなる公知の技術も適用でき、例えば、プラスティックオプティカルファイバの基礎と実際(エヌ・ティー・エス社発行)、日経エレクトロニクス2001.12.3号110頁〜127頁「プリント配線基板に光部品が載る,今度こそ」などを参考にすることができる。前記文献に記載の種々の技術と組み合わせることによって、コンピュータや各種デジタル機器内の装置内配線、車両や船舶などの内部配線、光端末とデジタル機器、デジタル機器同士の光リンクや一般家庭や集合住宅・工場・オフィス・病院・学校などの屋内や域内の光LAN等をはじめとする、高速大容量のデータ通信や電磁波の影響を受けない制御用途などの短距離に適した光伝送システムに好適に用いることができる。
さらに、IEICE TRANS. ELECTRON., VOL. E84-C, No.3, MARCH 2001, p.339-344「High-Uniformity Star Coupler Using Diffused Light Transmission」,エレクトロニクス実装学会誌 Vol.3, No.6, 2000 476頁〜480ページ「光シートバス技術によるインタコネクション」の記載されているものや、特開平10−123350号、特開2002−90571号、特開2001−290055号等の各公報に記載の光バス;特開2001−74971号、特開2000−329962号、特開2001−74966号、特開2001−74968号、特開2001−318263号、特開2001−311840号等の各公報に記載の光分岐結合装置;特開2000−241655号等の公報に記載の光スターカプラ;特開2002−62457号、特開2002−101044号、特開2001−305395号等の各公報に記載の光信号伝達装置や光データバスシステム;特開2002−23011号等に記載の光信号処理装置;特開2001−86537号等に記載の光信号クロスコネクトシステム;特開2002−26815号等に記載の光伝送システム;特開2001−339554号、特開2001−339555号等の各公報に記載のマルチファンクションシステム;や各種の光導波路、光分岐器、光結合器、光合波器、光分波器などと組み合わせることで、多重化した送受信などを使用した、より高度な光伝送システムを構築することができる。以上の光伝送用途以外にも照明、エネルギー伝送、イルミネーション、センサ分野にも用いることができる。
以下に合成例と実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の合成例や実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、以下に記載される「部」および「%」は、特に断りの無い限り、すべて重量基準である。
[合成例] 化合物D5の合成
(中間体1の合成)
Figure 2005148300
2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール(0.3mol)、ヨウドメタン(0.15mol)をブタノール(300ml)に溶解させ、ピリジン(11.2g,30ml)を加え、120℃にて4時間攪拌した。反応混合物をろ過し、ろ液に1mol/L塩酸水(200ml)を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを加え、抽出液を乾燥した。ろ過により、硫酸マグネシウムを除き、減圧下溶媒を留去した。次いでエタノール(400ml)加え、再結晶にて中間体1を得た(収率85%)。1H−NMRにより構造を同定した。
(中間体2の合成)
Figure 2005148300
中間体2(0.11mol)、ヨードフェノール(0.1mol)をトルエンに溶解し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)(0.11mol)、臭化第一銅(0.02mol)を添加し、還流下8時間反応させた。セライトろ過により不溶物を除いた後、室温に戻し、飽和塩化アンモニウム水溶液200mlを加え、酢酸エチル300mlで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗った後、抽出液を硫酸マグネシウムを加え乾燥した。ろ過により硫酸マグネシウムを除き、減圧下溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルクロマト(溶媒:ヘキサン/塩化メチレン(10/2)(体積比))にて精製し、中間体2を得た(収率69%)。
(D5の合成)
Figure 2005148300
次に、中間体2(0.05mol)をテトラヒドロフラン200mlに溶かして氷冷し、トリエチルアミン(0.05mol)を加え、そこへメタクリル酸クロリド(0.055mol)を2時間かけて滴下した。その後、反応液を室温に戻し一昼夜反応させた。析出した塩を濾過した後、溶媒を減圧留去し、酢酸エチルを加え、3%炭酸水素ナトリウム水溶液、次いで水200mlで洗浄し、酢酸エチル層を硫酸マグネシウムを加え乾燥した。ろ過により硫酸マグネシウムを除き、減圧下溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルクロマト(溶媒:ヘキサン/塩化メチレン(10/1)(体積比))にて精製し、目的化合物(D5)を得た。外観はやや粘調な透明性液体(0.024mol、収率48%)を得た。屈折率は1.605であった。1H−NMRにて、得られた液体が化合物D5であることを確認した。
[実施例1] プラスチック光ファイバプリフォーム(S−1)の作製例
予め溶融押し出し成形によって作製された、厚さ1mm、内径22mm、長さ30cmのポリフッ化ビニリデン樹脂(呉羽化学製KF−850)の中空管チューブ(片端を同じ樹脂で封じてある)をステンレスパイプに挿入し、回転重合装置にセットした。次に該チューブ内に、水分、重合禁止剤、塵埃を十分除去したメチルメタクリレート(MMA)50部、重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.108部、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタン0.140部を注入し、窒素置換した後、密閉状態にし、1500rpmで回転しながら、65℃で3時間、70℃で2時間、90℃で12時間重合を行い、厚さ2mmのアウターコア部(最外層に相当)を作製した。次に回転重合装置内の温度を80℃に設定し、3000rpmの速度で回転させながら、MMAと化合物D5の仕込み組成比率を99/1から90/10まで漸進的に変化させた。このインナーコア部の重合組成物の注入に8時間かけた。注入初期と注入終期の注入速度差は、9/1となるように設定した。その注入終了後、さらに80℃で5時間、90℃で5時間、100℃で5時間、120℃で10時間かけて後重合させた。インナーコア部の重合の際の重合開始剤は、総モノマー100部に対して、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.054部、ジ−tert−ブチルパーオキサイド0.054部を用い、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタン0.140部を用いた。重合組成物の注入速度や回転重合装置の温度設定はコンピューターで自動的に制御されるようにした。
コア部の中央に直径約3mmの空間が形成されるまで重合を行い、中央に空間を有する中空光ファイバプリフォームを作製した。該光ファイバプリフォームの断面方向の屈折率は、クラッド部が1.420で一定、アウターコア部は1.490で一定、インナーコア部は1.490から1.510(中心部)であった。そのインナーコア部の屈折率分布は上に凸の放物線を描いていた。
つぎに上記で得られたプリフォームを溶融延伸した。220〜260℃に調整された加熱炉内に該プリフォームを鉛直下向きに挿入し、延伸速度は目的とするファイバ外径(750μm)になるようにファイバ径測定器を通じて測定された該ファイバの直径によって延伸速度を制御した。また、延伸の際、プリフォームの上部を減圧し中央の空間を除去した。得られた該ファイバ径は750±9μmであった。該ファイバの伝送損失、伝送帯域、コア中心部のポリマーのガラス転移温度を測定、評価し、結果を表1にまとめた。
[実施例2〜4、および比較例2] プラスチック光ファイバプリフォーム(S−2〜S−4およびR−2)の作製例
表1のように、材料、素材およびコア部モノマー組成比を変える以外は、実施例1と同じ方法で、プラスチック光ファイバプリフォーム(S−2〜S−4)を作製し、同じ方法で延伸し、同様な径のファイバを得て、同様の測定評価を行い、その結果を表1にまとめた。
[比較例1] プラスチック光ファイバプリフォーム(R−1)の作製例
表1の構成で、アウターコアを作製するところまでは、実施例1〜4までと同じである。インナーコア部の重合は、アウターコア部まで作製された中空管を80℃に加温した加圧重合容器に垂直に静置した(必要に応じてガラス管に入れてオートクレーブに挿入する。)。次に、MMAと化合物D5の9/1の組成比のモノマー100部に対して、重合開始剤ジ−tert−ブチルパーオキサイド0.016部、連鎖移動剤n−ラウリルメルカプタン0.27部を添加して、十分脱気して、80℃に加温した重合組成物を該中空管の中空部に静かに添加し、その後、加圧重合容器内を窒素雰囲気下に置換した後、0.2Mpaまで加圧し、100℃で48時間加熱重合した。その後、加圧状態を維持しながら120℃で、24時間加熱重合および熱処理して、プリフォームを得た。
得られたプラスチック光ファイバプリフォーム(R−1)は中空プリフォームではないので、減圧しないこと以外は実施例1と同じ条件で溶融延伸し、実施例1と同じ径のファイバを得て、同様の測定評価を行い、その結果を表1にまとめた。
Figure 2005148300
表1にみられるように、一般式(1)で表される化合物を用いて作製されたプラスチック光ファイバは、伝送損失、伝送帯域および耐熱性のすべての点で良好である。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種を重合させた重合体または共重合体を含むことを特徴とする光学部材。
    一般式(1)
    Figure 2005148300
    (式中、XおよびYは、それぞれ独立に水素原子(H)、重水素原子(D)またはハロゲン原子を表す。Zは、H、D、CH3、CD3、CF3またはハロゲン原子を表す。HETはヘテロ環基を表す。Lは2価の連結基を表す。)
  2. 前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
    一般式(2)
    Figure 2005148300
    (式中、XおよびYは、それぞれ独立に水素原子(H)、重水素原子(D)またはハロゲン原子を表す。Zは、H、D、CH3、CD3、CF3またはハロゲン原子を表す。HETは2価のヘテロ環基を表す。Lは2価の連結基を表す。Rは置換基を表す。)
  3. 上記一般式(1)または一般式(2)のHETで表されるヘテロ環基がチアジアゾール基であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学部材。
  4. 請求項1に記載の一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種を重合させることを特徴とする光学部材の製造方法。
  5. 回転するチューブ内に屈折率の異なる2種類以上のモノマーを経時的にモノマーの組成比を変化させながら注入し、注入しながらモノマーの重合を行なうことによって、チューブの壁面から中心方向に向かって屈折率が変化するプラスチック光ファイバプリフォームを製造する方法において、該モノマーのうち少なくとも1種類が請求項1に記載の一般式(1)で表される化合物であることを特徴とするプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法。
  6. 屈折率の異なる2種類以上のモノマーのうち、一般式(1)で表される化合物が屈折率の一番高いモノマーであることを特徴とする請求項5に記載のプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法。
  7. 屈折率の異なる2種類以上のモノマーが、いずれも重水素原子(D)またはフッ素原子(F)を含むことを特徴とする請求項5または6に記載のプラスチック光ファイバプリフォームの製造方法。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項に記載の製造方法により製造されるプラスチック光ファイバプリフォームを延伸する工程を含むことを特徴とするプラスチック光ファイバの製造方法。
  9. 下記一般式(3)で表される化合物。
    一般式(3)
    Figure 2005148300
    (式中、XおよびYは、それぞれ独立に水素原子(H)、重水素原子(D)またはハロゲン原子を表す。Zは、H、D、CH3、CD3、CF3またはハロゲン原子を表す。Lは2価の連結基を表す。Rは置換基を表す。)
  10. 請求項9に記載の一般式(3)で表される化合物の少なくとも1種類を重合させた重合体または共重合体。
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