JP5272837B2 - 制御プログラム、制御システム及びボイラシステム - Google Patents
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Description
例えば、設定条件を変更する際に設定圧力を低く設定すると、スチームヘッダの圧力が変更後の設定圧力よりも高くなり、スチームヘッダの圧力が設定圧力を超過して全缶停止が発生する可能性がある。
そのため、設定条件等を変更した場合にハンチング等の発生を抑制してボイラ群を安定して燃焼制御することが可能な技術的手段が要請されている。
請求項1に記載の発明は、複数のボイラから構成され設定条件を変更可能とされたボイラシステムを対象として、要求負荷に基づいて燃焼量を制御する制御プログラムであって、前記燃焼量を補正する燃焼量補正手段を備え、前記燃焼量補正手段は、前記設定条件を変更した場合に、前記設定条件を変更する前の設定条件における変更前必要燃焼量と、前記設定条件を変更した後の設定条件における変更後必要燃焼量との間に所定以上の差異がある場合は、燃焼制御における目標燃焼量を、前記変更前必要燃焼量と前記変更後必要燃焼量の間で、漸次前記変更後必要燃焼量に向かって移行させるように構成されていることを特徴とする。
なお、この明細書において、ボイラ群とは複数のボイラにより構成される群をいい、ボイラシステムとは、ボイラ群と、制御システムとを備えた構成をいう。なお、ボイラを稼動させるために必要な給水タンク等の設備を含んでもよいことはいうまでもない。
変更前必要燃焼量>変更後必要燃焼量
である場合に、
燃焼制御における目標燃焼量を前記変更前必要燃焼量よりも小さく前記変更後必要燃焼量よりも大きく設定して燃焼制御することを特徴とする。
前記変更前必要燃焼量と係数K(<1)の積を第1の燃焼量とし、前記第1の燃焼量と、前記変更後必要燃焼量とを比較して、
第1の燃焼量>変更後必要燃焼量
である場合に、前記第1の燃焼量を前記目標燃焼量とする補正をすることを特徴とする。
第1の燃焼量>変更後必要燃焼量
である場合に、前記第1の燃焼量に係数Kをかける補正を繰り返すように構成されていることを特徴とする。
図1は、本発明に係るボイラシステムの一実施形態を示す図であり、符号1はボイラシステムを示している。
この実施形態において、要求負荷は蒸気使用設備18での蒸気消費量であり、この蒸気消費量に対応して生じるスチームヘッダ6内の蒸気圧力の変動を圧力センサ7の検出値に基づいて算出しボイラ群を構成する各ボイラの燃焼量を制御するようになっている。
この実施形態において、第1ボイラ21、・・・、第8ボイラ28はこの順に優先順位が設定され優先順位に従って燃焼が開始されるようになっている。
また、低燃焼状態のボイラがある場合には該ボイラが高燃焼状態に移行した後に新たなボイラの燃焼を開始するようになっている。
なお、設定装置15による設定条件の設定、変更を、手動と自動のいずれによって行なうかは、ボイラシステム1の構成等に基づいて任意に選択される事項であり、一部を手動により他を自動による構成としてもよい。
また、設定装置15からの設定情報に関しても、入力部4Aを介して入力されるようになっている。
出力部4Eは、各ボイラ21、・・・、28と信号線14により接続され、演算部4Bからの制御信号を出力部4E、信号線14を経由して各ボイラ21、・・・、28に出力するようになっている。
制御プログラムは、補正プログラム(燃焼量補正手段)を有しており、設定装置15によって設定条件を変更する前の変更前設定条件における必要燃焼量(変更前必要燃焼量)SAと、設定条件を変更した後の変更後設定条件における必要燃焼量(変更後必要燃焼量)SBとを比較して、変更前必要燃焼量SAと変更後必要燃焼量SBの間に所定以上の差異(例えば、差異をGとすると、SA≧SB+G )がある場合に、燃焼制御における目標燃焼量を変更前必要燃焼量SAよりも小さく、変更後必要燃焼量SBよりも大きく設定するようになっており、この実施形態においては、所定の差異Gが(G>0)の場合、
すなわち、
変更前必要燃焼量SA>変更後必要燃焼量SB
である場合に、目標燃焼量を変更前必要燃焼量SAよりも小さく、変更後必要燃焼量SBよりも大きく設定して漸次変更後必要燃焼量に向かって移行するようになっている。
なお、所定の差異Gを、ゼロ以外の任意の数値、関数等を設定してもよい。
図2は、補正プログラムの構成の一例を示すフロー図であり、iは補正回数を示す変数を、Yは補正燃焼量を示す変数を、Xは燃焼量に係る変数(第1の燃焼量)を示している。また、Nは補正回数に係る設定値を、Kは補正係数(0<K<1を満足する定数)を、設定時間Tは補正に係る時間周期を示しており、これらは入力部4Aを介して図示しない記憶部に設定されている。
1)演算部4Bの補正プログラムは、設定装置15により設定条件が変更されたことを受けて開始する。
2)補正回数iの初期値(=0)を設定する(S1)。
3)入力部4Aからの入力に基づいて変更前必要燃焼量SA、変更後必要燃焼量SBを設定する(S2)。
4)変更前必要燃焼量SAと変更後必要燃焼量SBとを比較する(S3)。
具体的には、 変更前必要燃焼量SA>変更後必要燃焼量SB であるかどうかを実行して、その結果が「No」である場合、すなわち、変更後必要燃焼量SBが変更前必要燃焼量SA以上である場合には「S4」に移行し、比較結果が「Yes」である場合、すなわち、変更後必要燃焼量SBが変更前必要燃焼量SA未満の場合には「S5」に移行する。
5)変更後必要燃焼量SBに基づいて燃焼制御に係る補正信号を出力する(S4)。
「S4」を実行したら、「END」に移行して補正プログラムの実行を終了する。
6)補正回数iに1を加算する(S5)。
7)変更前必要燃焼量SAと定数Kの積を算出して変数Xを得る(S6)。
変数Xは、図示しないメモリに格納する。
8)変数Xと変更後必要燃焼量SBとを比較する(S7)。
具体的には、 変数X>変更後必要燃焼量SB であるかどうかを実行して、その結果が「No」である場合、すなわち、変更後必要燃焼量SBが変数X以上である場合には「S4」に移行し、比較結果が「Yes」である場合、すなわち、変更後必要燃焼量SBが変数X未満の場合には「S8」に移行する。
9)補正回数iと、予め設定した補正に係る設定値Nに到達したかを判定する。(S8)
補正回数iとN(=6)との比較は、例えば、補正回数i≧Nにより行なわれ、その結果が「Yes」である場合には「S4」に移行し、「No」の場合には「S9」に移行する。
10)変数Xを補正燃焼量Yとして設定する(S9)。
11)「S9」で算出した補正燃焼量Yに基づいて燃焼制御に係る補正信号を出力する(S10)。
12)カウンタCTRにより、「S10」を開始してからの経過時間をカウントする(S11)。
「S11」においては、例えば、数ms程度の時間をカウントして「S12」に移行する。
13)カウンタCTRによる経過時間が補正周期に係る設定時間T(例えば、10sec)に到達したかどうかを判断する(S12)。
「S12」における判断が「No」の場合には設定時間Tを経過していないので「S11」に戻り、「Yes」の場合には設定時間Tを経過しているので「S13」に移行する。
14)変更前必要燃焼量SAに補正燃焼量Yを代入して「S2」に移行する(S13)。
この補正プログラムの実行されている間ボイラ群2の燃焼制御は補正状態にあり、補正プログラムの実行が終了した場合、変更後設定条件に基づく燃焼制御を行なう。
図3は、横軸を経過時間t、縦軸を圧力Pとした場合のスチームヘッダ6内の蒸気圧力P(t)の一例を示す図であり、左縦軸の数値は変更前設定条件における制御圧力帯に対応する仮想ボイラの基数を示しており、右縦軸の数値は変更後設定条件における制御圧力帯に対応する仮想ボイラの基数を示している。なお、便宜のため、制御圧力帯に係るデファレンシャルを考慮しておらず、左右それぞれの縦軸に表示した基数の仮想ボイラが燃焼するものとする。
また、便宜のため、図4に示す各ボイラの低燃焼状態の燃焼量と、低燃焼状態から高燃焼状態に移行したときに増加する燃焼量とは等しいものとする。すなわち、それぞれの燃焼位置に対応する仮想ボイラの燃焼量は等しいものとして説明する。
例えば、仮想ボイラにより、燃焼停止状態、低燃焼状態、高燃焼状態で制御される3位置ボイラを表すと、低燃焼状態の燃焼量を発生させる第1の仮想ボイラと、低燃焼状態から高燃焼状態に移行する際に増加する燃焼量(=高燃焼状態の燃焼量−低燃焼状態の燃焼量)を発生させる第2の仮想ボイラとから構成されることとなり、第1の仮想ボイラを燃焼させると低燃焼状態の燃焼量が発生し、第2の仮想ボイラを燃焼させると第1の仮想ボイラと第2の仮想ボイラの燃焼量とを合計した上記3位置ボイラの高燃焼状態の燃焼量が発生することとなる。
図4(A)は、図3の時間t0における燃焼状態を示しており、仮想ボイラ15基相当が燃焼制御されていて、例えば、第1ボイラ21から第7ボイラ27が高燃焼状態とされ第8ボイラ28が低燃焼状態である。
2)次に、図3で示すように時間t0にて、設定装置15が操作されて設定条件が、変更後設定条件における圧力P(t)の制御圧力帯が低燃焼状態のボイラ1台(仮想ボイラ1基相当)に変更されるとしている。
3)この場合、変更前必要燃焼量SAと変更後必要燃焼量SBとを比較(S3)すると、変更前必要燃焼量(仮想ボイラ15基相当)SA>変更後必要燃焼量(仮想ボイラ1基相当)SBであるため、変更前必要燃焼量(仮想ボイラ15基相当)とK(=(1/2))との積を算出して1回目補正に係る変数Xを得る(S6)。この場合の変数Xは仮想ボイラ7.5基相当である。
4)変数X(=仮想ボイラ7.5基相当)を変更後必要燃焼量SB(=仮想ボイラ1基相当)と比較(S7)すると変数X>変更後必要燃焼量SBを満足し、(S8)で判定する補正回数i(=1)は補正に係る設定回数N(=6)未満であるので、例えば、補正燃焼量Yを仮想ボイラ7.5基を四捨五入した仮想ボイラ8基として補正信号を出力(S10)する。
その結果、図4の(B)に示すような、仮想ボイラ8基による燃焼制御、すなわちボイラ4台を高燃焼状態にして燃焼制御が行なわれる。
5)次いで、所定の時間周期T(例えば、10秒)が経過して時間t1に到達(S12)したら、補正燃焼量Yに変更前必要燃焼量SA(仮想ボイラ8基相当)を代入(S13)して「S2」に移行する。
6)新たな変更前必要燃焼量SA(=仮想ボイラ8基相当)と変更後必要燃焼量SB(=t1において仮想ボイラ2基相当)を設定(S2)して、変更前必要燃焼量SAと変更後必要燃焼量SBとを比較(S3)する。
変更前必要燃焼量SA(=仮想ボイラ8基相当)>変更後必要燃焼量SB(=t1において仮想ボイラ2基相当)であるため、変更前必要燃焼量(仮想ボイラ8基相当)とK(=(1/2))との積を算出して2回目補正に係る変数Xを得る(S6)。この場合の変数Xは仮想ボイラ4基相当である。
7)変数X(=仮想ボイラ4基相当)を変更後必要燃焼量SB(=仮想ボイラ2基相当)と比較(S7)すると、変数X>変更後必要燃焼量SBを満足し、(S8)で判定する補正回数i(=2)は補正に係る設定回数N(=6)未満であるので、補正燃焼量Yを仮想ボイラ4基として補正信号を出力(S10)する。
その結果、図4の(C)に示すような、仮想ボイラ4基による燃焼制御、すなわちボイラ2台を高燃焼状態にして燃焼制御が行なわれる。
7)次いで、所定の時間周期T(例えば、10秒)が経過して時間t2に到達(S12)したら新たな変更前必要燃焼量SA(=仮想ボイラ4基相当)と変更後必要燃焼量SB(=t2において仮想ボイラ2基相当)を設定(S2)して、変更前必要燃焼量SAと変更後必要燃焼量SBとを比較(S3)する。
変更前必要燃焼量SA(=仮想ボイラ4基相当)>変更後必要燃焼量SB(=t2において仮想ボイラ2基相当)であるため、変更前必要燃焼量(仮想ボイラ4基相当)とK(=(1/2))との積を算出して3回目補正に係る変数Xを得る(S6)。この場合の変数Xは仮想ボイラ2基相当である。
8)変数X(=仮想ボイラ2基相当)を変更後必要燃焼量SB(=仮想ボイラ2基相当)と比較(S7)すると変数X>変更後必要燃焼量SBを満足しないので、3回目の補正を実施せずに変更後必要燃焼量SB(=仮想ボイラ2基相当)に基づいて燃焼制御に係る補正信号を出力(S4)し、図4の(D)に示すような仮想ボイラ2基、すなわちボイラ1台を高燃焼状態に燃焼制御して燃焼制御における補正を終了する。
また、補正回数にN=6の制限を設けることにより変更後の制御パターンへの移行が過度に延長されることを抑制することができる。
また、一定の数値Kに代えて、例えば、圧力P等、種々のパラメータ又はそれらを組み合わせた関数等を用いて補正を行なってもよい。
また、燃焼制御における燃焼量の補正に関しては、燃焼させるボイラの台数を減少させてもよいし、燃焼位置を低くすることにより燃焼量を減少させてもよい。
2 ボイラ群
4 制御部(制御システム)
21、22、23、24、25、26、27、28 ボイラ
Claims (6)
- 複数のボイラから構成され設定条件を変更可能とされたボイラシステムを対象として、
要求負荷に基づいて燃焼量を制御する制御プログラムであって、
前記燃焼量を補正する燃焼量補正手段を備え、
前記燃焼量補正手段は、
前記設定条件を変更した場合に、
前記設定条件を変更する前の設定条件における変更前必要燃焼量と、前記設定条件を変更した後の設定条件における変更後必要燃焼量との間に所定以上の差異がある場合は、
燃焼制御における目標燃焼量を、前記変更前必要燃焼量と前記変更後必要燃焼量の間で、漸次前記変更後必要燃焼量に向かって移行させるように構成されていることを特徴とする制御プログラム。 - 請求項1に記載の制御プログラムであって、
前記燃焼量補正手段は、
前記設定条件を変更する前の設定条件における変更前必要燃焼量と、前記設定条件を変更した後の設定条件における変更後必要燃焼量とを比較して、
変更前必要燃焼量>変更後必要燃焼量
である場合に、
燃焼制御における目標燃焼量を前記変更前必要燃焼量よりも小さく前記変更後必要燃焼量よりも大きく設定して燃焼制御することを特徴とする制御プログラム。 - 請求項2に記載の制御プログラムであって、
前記燃焼量補正手段は、
前記変更前必要燃焼量と係数K(<1)の積を第1の燃焼量とし、
前記第1の燃焼量と、前記変更後必要燃焼量とを比較して、
第1の燃焼量>変更後必要燃焼量
である場合に、
前記第1の燃焼量を前記目標燃焼量とする補正をすることを特徴とする制御プログラム。 - 請求項3に記載の制御プログラムであって、
前記燃焼量補正手段は、
前記第1の燃焼量と、前記変更後必要燃焼量とを比較して、
第1の燃焼量>変更後必要燃焼量
である場合に、
前記第1の燃焼量に係数Kをかける補正を繰り返すように構成されていることを特徴とする制御プログラム。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の制御プログラムを備えることを特徴とする制御システム。
- 請求項5に記載の制御システムを備えることを特徴とするボイラシステム。
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