JP5440069B2 - ボイラ群の制御方法、プログラム、制御器及びボイラシステム - Google Patents

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Description

この発明は、複数のボイラからなるボイラ群の制御方法、プログラム、制御器及びボイラシステムに関する。
従来、複数の段階的な燃焼位置を有するボイラを備えたボイラ群を制御する場合に、各ボイラに優先順位を設定してボイラを制御する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、燃焼停止位置にあるボイラが給蒸状態になるまでの蒸発量を確保してボイラ群の追従性を高めるために、例えば、三位置制御ボイラからなるボイラ群において低燃焼位置にあるボイラの燃焼位置を一時的に高燃焼位置に移行してバックアップ制御することにより追従性を高める技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2002−81604号公報 特開平1−256704号公報
しかしながら、特許文献1に記載されるボイラ群において優先順位を変更した場合、次の優先順位のボイラが燃焼停止中だと低燃焼位置に移行する際に給蒸状態になるまでに時間がかかりタイムラグが発生することとなる。
例えば、三位置制御ボイラからなるボイラ群において、給蒸しているすべてのボイラが高燃焼位置(最上位燃焼位置)にある場合には、給蒸中のボイラの燃焼位置を高くすることができず、燃焼開始したボイラが第1燃焼位置に到達して給蒸するまで負荷追従ができないことになる。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、複数の段階的な燃焼位置を有するボイラを備えたボイラ群において、例えば、給蒸中のすべてのボイラが最高燃焼位置にあり、給蒸中のボイラによるバックアップが不可能な場合であっても負荷追従性を向上することが可能なボイラ群の制御方法、プログラム、制御器及びボイラシステムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、複数の段階的な燃焼位置を有するボイラを備え、各ボイラに優先順位が設定されたボイラ群を制御するプログラムであって、前記優先順位を変更してから、前記ボイラのいずれかを燃焼停止位置から最下位燃焼位置まで移行させる際に、給蒸移行過程にあるボイラが存在する場合には、前記給蒸移行過程にあるボイラを、給蒸移行過程から最下位燃焼位置に移行させるように構成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、複数の段階的な燃焼位置を有するボイラを備え、各ボイラに優先順位が設定されたボイラ群の制御方法であって、前記優先順位を変更してから、前記ボイラのいずれかを燃焼停止位置から最下位燃焼位置まで移行させる際に、給蒸移行過程にあるボイラが存在する場合には、前記給蒸移行過程にあるボイラを、給蒸移行過程から最下位燃焼位置に移行させることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、制御器であって、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプログラムを備えることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、ボイラシステムであって、請求項4に記載の制御器を備えることを特徴とする。
この発明に係るプログラム、制御器、ボイラシステム、ボイラ群の制御方法によれば、ボイラ群を構成するボイラのいずれかを燃焼停止位置から最下位燃焼位置まで移行させる際に、例えば、給蒸しているすべてのボイラが最高燃焼位置にあるために、給蒸しているボイラによるバックアップが不可能な場合であっても、給蒸移行過程にあるボイラを第1燃焼位置に移行してバックアップするので、ボイラ群の負荷追従性を向上することができる。
この明細書において、給蒸移行過程とは、燃焼停止位置において、例えば、パージ(微風パージを含む)、パイロット燃焼(連続パイロット燃焼を含む)状態にあるボイラが燃焼開始してから第1燃焼位置における給蒸するまでの過程、低燃焼に対応するバーナが燃焼開始してから第1燃焼位置における給蒸するまでの過程、燃焼を解除されたボイラが燃焼停止位置となり水温が常温に低下するまでの過程を指しており、以下の第1状態から第5状態に分類され、第1状態から第5状態の順に短時間で給蒸可能とされている。
第1状態:低燃焼位置にあり、給蒸していないが圧力を保持している状態
第2状態:低燃焼を解除後、パージ又はパイロット燃焼状態となり、給蒸していないが圧力を保持している状態
第3状態:低燃焼を解除して待機状態となり、給蒸していないが圧力を保持している状態
第4状態:燃焼停止位置から低燃焼位置に移行して水を加熱しているが圧力を保持していない状態(無圧状態)
第5状態:パージ又はパイロット燃焼状態であるが圧力を保持していない状態(無圧状態)
なお、第5状態には、第2状態から圧力低下して無圧状態となった場合と、燃焼停止位置においてパージ又はパイロット燃焼状態となり、無圧状態である場合を含む。
給蒸移行過程のうち、圧力保持状態にある第1状態、第2状態、第3状態から第1燃焼位置への移行は、移行時間を短くするうえで好適である。
なお、連続パイロット燃焼状態とは、ガス焚きボイラにおいて、燃焼信号が出力されるとすぐに着火することができるように、未燃ガスが缶内に滞留させないために行なうパイロットバーナの連続燃焼状態をいう。
なお、微風パージとは、油焚きボイラにおいて、燃焼信号が出力されるとすぐに着火することができるように、未燃ガスが缶内に滞留させないために送風機回転数を減少させて微風量で送風状態を維持することをいう。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプログラムであって、前記給蒸移行過程にあるボイラのうち、給蒸までの時間が短いボイラを優先して前記最下位燃焼位置に移行させるように構成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のボイラ群の制御方法であって、前記給蒸移行過程にあるボイラのうち、給蒸までの時間が短いボイラを優先して前記最下位燃焼位置に移行させることを特徴とする。
この発明に係るプログラム、ボイラ群の制御方法によれば、給蒸移行過程にあるボイラのうち、給蒸までの時間が短いボイラを優先して最下位燃焼位置に移行させるので、ボイラ群における給蒸による蒸発量増加を最短時間で行なうことができ、その結果、ボイラ群の負荷追従性を効率的に向上させることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のプログラムであって、前記給蒸移行過程から最下位燃焼位置に移行させるボイラの蒸発量によって前記燃焼停止位置から最下位燃焼位置まで移行させるボイラの蒸発量が確保されるように、前記給蒸移行過程から最下位燃焼位置に移行させるボイラを選択するように構成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載のボイラ群の制御方法であって、前記給蒸移行過程から最下位燃焼位置に移行させるボイラの蒸発量によって前記燃焼停止位置から最下位燃焼位置まで移行させるボイラの蒸発量が確保されるように、前記給蒸移行過程から最下位燃焼位置に移行させるボイラを選択することを特徴とする。
この発明に係るプログラム、ボイラ群の制御方法によれば、燃焼停止位置から最下位燃焼位置に移行するボイラのタイムラグに起因する不足蒸発量を確保するように給蒸移行過程にあるボイラを選択してバックアップするので、ボイラ群の負荷追従性を効率的に向上することができる。
この発明に係るプログラム、制御器、ボイラシステム、ボイラ群の制御方法によれば、ボイラ群を構成するボイラのいずれかを燃焼停止位置から最下位燃焼位置まで移行させる際に、給蒸移行過程にあるボイラを第1燃焼位置に移行してバックアップするので、給蒸中のボイラによるバックアップが不可能な場合であっても、ボイラ群の負荷追従性を向上することができる。
本発明の一実施形態に係るボイラシステムの概略を示す図である。 一実施形態に係るボイラ群を構成するボイラの概略を説明する図である。 一実施形態に係るデータベースの一例を示す図である。 一実施形態に係るメインルーチンの動作手順の一例を説明するフロー図である。 一実施形態に係る第1サブルーチンの動作手順の一例を説明するフロー図である。 一実施形態に係る第2サブルーチンの動作手順の一例を説明するフロー図である。 一実施形態に係るボイラシステムの動作の一例を説明する概略図である。
以下、図1から図7を参照し、この発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る制御器の一実施形態を示す図であり、符号1はボイラシステムを示している。
ボイラシステム1は、複数のボイラから構成されるボイラ群2と、制御部(制御器)4と、スチームヘッダ6と、スチームヘッダ6に設けられた圧力センサ7とを備え、ボイラ群2で発生させた蒸気を蒸気使用設備18に供給するようになっている。
この実施形態において、ボイラ群2は、例えば、第1ボイラ21、第2ボイラ22、第3ボイラ23、第4ボイラ24、第5ボイラ25を備え、5台の蒸気ボイラから構成されている。
この実施形態における要求負荷は、圧力センサ7が検出するスチームヘッダ6内の蒸気の圧力(物理量)により代用されており、この圧力に基づいて蒸気使用設備18の消費蒸気量と対応する蒸発量を算出するようになっている。
スチームヘッダ6は、第1ボイラ21、・・・、第5ボイラ25と蒸気管11により接続されるとともに、蒸気使用設備18と蒸気管12により接続されており、ボイラ群2で発生させた蒸気を集合し、各ボイラ相互間の圧力差及び圧力変動を調整して蒸気使用設備18に蒸気を供給するようになっている。
ボイラ群2を構成している各ボイラ21、・・・、25は、例えば、図2に示すように同一構成の三位置制御ボイラとされ、それぞれ燃焼停止状態(燃焼停止位置に対応)、低燃焼状態(第1燃焼位置に対応)、高燃焼状態(第2燃焼位置に対応)での燃焼が制御可能とされている。
また、燃焼停止位置から第1燃焼位置に燃焼位置を一段階高くした場合に増加する第1差分蒸発量は、1000(Kg/h)、第1燃焼位置から第2燃焼位置に燃焼位置を一段階高くした場合に増加する第2差分蒸発量は、1500(Kg/h)に設定されている。つまり、第2燃焼位置で燃焼した場合の蒸発量、すなわち定格蒸発量は2500(Kg/h)とされている。
この実施形態において、差分蒸発量とは、ボイラを一段階上位の燃焼位置に移行した場合に増加する蒸発量、すなわち、移行した後の燃焼位置の蒸発量と移行前の燃焼停止位置(又は燃焼位置)の蒸発量との差をいう。
また、一段階上位に移行して第N燃焼位置(Nは、1以上の整数)となることで増加する蒸発量を、「第N燃焼位置の差分蒸発量」、又は「第N差分蒸発量」といい、例えば、燃焼停止位置から第1燃焼位置に移行した場合に増加する蒸発量を「第1燃焼位置の差分蒸発量」、又は「第1差分蒸発量」と、第1燃焼位置から第2燃焼位置に移行した場合に増加する蒸発量を「第2燃焼位置の差分蒸発量」、又は「第2差分蒸気量」という。
また、不足蒸発量とは、蒸発量を増加するために燃焼開始を指示されたボイラが給蒸するまでの間に生じる蒸発量の不足をいい、バックアップ蒸発量とは、燃焼停止位置にあるボイラが燃焼開始を指示されて給蒸するまでの間に、他のボイラが一時的に燃焼位置を一段階上位に移行してバックアップする際に増加させる蒸発量をいう。
図2において、各枠に対応して示した〈1〉から〈5〉は、ボイラ群2が蒸発量を増加する際の優先順位を示しており、各ボイラ21、・・・、25は、例えば、優先順位に従って、燃焼停止位置から第1燃焼位置、第1燃焼位置から第2燃焼位置に移行するようになっている。但し、優先順位を変更した場合、燃焼中のボイラの燃焼は維持されるために、いずれかのボイラが第1燃焼位置にあるのに、他のボイラが新たに燃焼を開始する場合がある。
また、給蒸している各ボイラ21、・・・、25を、第1燃焼位置から第2燃焼位置に燃焼位置を一段階上位に移行してバックアップする場合も、優先順位に従って行なわれるようになっている。
なお、図2に示した優先順位は一例であり、優先順位は、任意に変更可能とされている。
また、各ボイラ21、・・・、25における燃焼停止位置から最下位燃焼位置である第1燃焼位置に到達して給蒸されるまでの間を給蒸移行過程といい、給蒸移行過程は、以下の第1状態から第5状態(第1状態から第5状態の間はいずれかの状態に含むものとする)に分類することができる。
(1)第1状態:低燃焼位置にあり、給蒸していないが圧力を保持している状態
(2)第2状態:低燃焼を解除後、連続パイロット燃焼状態となり、給蒸していないが圧力を保持している状態
(3)第3状態:低燃焼を解除して待機状態となり、給蒸していないが圧力を保持している状態
(4)第4状態:燃焼停止位置から低燃焼位置に移行して水を加熱しているが圧力は保持していない状態(無圧状態)
(5)第5状態:連続パイロット燃焼状態であるが圧力は保持していない状態(無圧状態)
また、各ボイラ21、・・・、25における第1状態から第5状態のいずれかの状態から給蒸するまでの時間は、図3に示すように、例えば、第1状態が6秒、第2状態が8秒、第3状態が15秒、第4状態が120秒、第5状態が180秒とされている。
以上のように、給蒸移行過程の圧力保持状態にある第1状態、第2状態、第3状態から第1燃焼位置への移行は、移行時間が短くなる点で好適である。なお、この実施形態においては、移行時間に基づき第1燃焼位置に移行させる給蒸移行過程の算出対象が、第1状態、第2状態に設定されている。
ボイラ群2において、各ボイラ21、・・・、25を燃焼停止位置、第1燃焼位置、第2燃焼位置に移行する制御は、周知の燃焼位置制御技術を用いて制御することが可能とされており、例えば、スチームヘッダ6の圧力が高くなった場合には蒸発量を減少させ、圧力が低くなった場合には蒸発量を増加させるようになっている。
また、優先順位を変更した場合には、優先順位を変更する前に出力された燃焼位置移行の指示は、実行されるようになっている。
制御部4は、入力部41と、メモリ42と、演算部43と、ハードディスク44と、出力部46と、通信線47とを備え、入力部41、メモリ42、演算部43、ハードディスク44、出力部46は通信線47により相互にデータ等を通信可能に接続され、ハードディスク44にはデータベース45が格納されている。
入力部41は、例えば、図示しないキーボード等のデータ入力機器を有していて設定等を演算部43に出力可能とされるとともに、圧力センサ7、各ボイラ21、・・・、25と信号線13、信号線16により接続され、圧力センサ7から入力された圧力信号及び各ボイラ21、・・・、25から入力された信号(例えば、燃焼位置等の情報)を演算部43に出力するようになっている。
出力部46は、各ボイラ21、・・・、25と信号線14により接続され、演算部43から出力された制御信号を各ボイラ21、・・・、25に出力するようになっている。
演算部43は、メモリ42の記憶媒体(例えば、ROM)に格納されたプログラムを読み込んで実行し、例えば、要求負荷に対応する蒸発量の算出、入力部41から入力された各ボイラの運転状態に関する情報等に基づいてバックアップを行なうかどうかを判断、及びボイラ群2において燃焼させるボイラ及びその燃焼位置を選択し、その結果に基づき出力部46を介して各ボイラ21、・・・、25に制御信号を出力するようになっている。
データベース45は、第1のデータベース45Aと、第2のデータベース45Bとを備えている。
第1のデータベース45Aは、圧力信号(mV)と圧力(Pa)との関係を示すデータテーブルが数値データとして格納されており、圧力センサ7からの圧力信号(mV)に基づいてスチームヘッダ6内の圧力(Pa)が算出されるようになっている。
また、第2のデータベース45Bは、例えば、図3に示すように、各ボイラ21、・・・、25の給蒸移行過程における第1状態から第5状態の各状態から給蒸するまでの時間及び第1差分蒸発量がデータテーブルの形式で格納されている。
演算部43は、第2データベース45Bを参照して、給蒸移行過程にある各ボイラ21、・・・、25のうち給蒸するまでの時間が最も短いボイラを次優先バックアップボイラとして選択するようになっている。
一実施形態に係るプログラムは、メインルーチンと、第1のサブルーチンと、第2のサブルーチンとを備えている。
メインルーチンは、圧力センサ7が検出したスチームヘッダ6の圧力に基づいて、ボイラ群2において燃焼させるボイラ及び燃焼位置を選択してボイラ群2の蒸発量を制御するように構成されている。この実施形態において、燃焼させるボイラ及び燃焼位置は、優先順位に基づいて行なわれるようになっている。
第1のサブルーチンは、各ボイラ21、・・・、25のいずれかが燃焼停止位置から第1燃焼位置に移行する際の不足蒸発量を確保するために、給蒸中のボイラがバックアップ可能である場合には給蒸中のボイラにより、給蒸中のボイラによるバックアップが不可能で給蒸移行過程にあるボイラが存在する場合には、給蒸移行過程にあるボイラを第1燃焼位置(最下位燃焼位置)に移行させてバックアップするように構成されている。
また、バックアップに際して、バックアップの蒸発量が、ボイラ群2の不足蒸発量を確保するように、バックアップに用いる燃焼位置を選択するようになっている。
また、第2のサブルーチンは、ボイラ群2において、バックアップ燃焼中のボイラが存在する状況で不足蒸発量が減少した場合に、余剰のバックアップを解除して最小蒸発量によってバックアップするようになっている。
メインルーチン、第1のサブルーチン及び第2のサブルーチンの動作手順は、例えば、図4、図5、図6に示すフロー図のような概略構成とされている。
なお、メインルーチンにおける圧力センサ7からの圧力信号に基づいて蒸発量増加の必要性を判断は、上述のように周知の燃焼位置制御技術が用いられるものとし、説明を省略する。
以下、図4を参照して、メインルーチンについて説明する。
1)まず、ボイラ群2の各ボイラ21、・・・、25の不足蒸発量を合計した合計不足蒸発量JL、及びボイラ群2においてバックアップ中のボイラのバックアップ蒸発量を合計した総バックアップ蒸発量JBKに、それぞれ初期値(=0)を設定する(S1)。
2)ボイラ群2が運転中かどうかを判断する(S2)。
ボイラ群2が運転中の場合にはS3に移行し、運転が停止している場合にはプログラムを終了する。
3)演算部43は、入力部41を介して取得した各ボイラ21、・・・、25の運転状態に関する情報等に基づいて新たに給蒸可能となったボイラの有無を判断する(S3)。
給蒸可能となったボイラがない場合にはS4に移行し、給蒸可能となったボイラがある場合にはS18に移行する。
4)演算部43は、入力部41を介して取得した圧力センサ7の圧力信号に基づいて蒸発量増加の必要性を判断する(S4)。
蒸発量の増加が必要な場合にはS5に移行し、蒸発量を増加が必要ない場合にはS11に移行する。
5)演算部43は、優先順位に基づき蒸発量増加するための信号を出力する(S5)。
6)演算部43は、S5において出力した蒸発量増加のための信号出力が、燃焼停止位置から第1燃焼位置への移行かどうかを判断する(S6)。
燃焼停止位置から第1燃焼位置への移行である場合にはS7に移行し、燃焼停止位置から第1燃焼位置への移行ではない場合にはS2に移行する。
7)演算部43は、燃焼停止位置から第1燃焼位置への移行である場合に、バックアップ可能なボイラがあるかどうかを判断する(S7)。
バックアップ可能なボイラがある場合にはS8に移行し、バックアップ可能なボイラがない場合にはS2に移行する。
8)演算部43は、バックアップ可能なボイラがある場合には、合計不足蒸発量JLを算出し、メモリ42に格納する(S8)。
合計不足蒸発量JLを算出したら、S10の第1のサブルーチンに移行する。
合計不足蒸発量JLは、燃焼停止位置から第1燃焼位置に移行する信号を出力した後に給蒸可能となっていない各ボイラ21、・・・、25の第1差分蒸発量を合計して算出する。
9)第1のサブルーチンの実行が終了したら、S2に移行する(S10)。
10)S4において蒸発量増加の必要性がないと判断された場合、演算部43は、入力部41を介して取得した各ボイラ21、・・・、25の運転状態に関する情報をチェックして、ボイラ群2の必要蒸発量が減少し、燃焼開始の指示を受けて給蒸可能となるまでの間の各ボイラ21、・・・、25の燃焼が解除されて合計不足蒸発量JLが減少していないかどうかを判断する(S11)。
合計不足蒸発量JLの減少がある場合にはS12に移行し、合計不足蒸発量JLの減少がない場合にはS2に移行する。
11)演算部43は、S11において合計不足蒸発量JLの減少がある場合には、合計不足蒸発量JLを算出し、合計不足蒸発量JLを算出したらS13の第2のサブルーチンに移行する(S12)。このとき、算出した合計不足蒸発量JLは、メモリ42に格納する。
12)第2のサブルーチンの実行が終了したら、S2に移行する(S13)。
13)演算部43は、S3において新たに給蒸可能となったボイラがある場合には、合計不足蒸発量JLを算出し、合計不足蒸発量JLを算出したらS20の第2のサブルーチンに移行する(S18)。このとき、算出した合計不足蒸発量JLは、メモリ42に格納する。
14)第2のサブルーチンの実行が終了したら、S2に移行する(S20)。
上記2)から14)を繰り返して実行する。
〔第1のサブルーチン〕
以下、図5を参照して、第1のサブルーチンについて説明する。第1のサブルーチンは、ボイラ群2において、燃焼停止位置から第1燃焼位置に移行する信号が出力されて、メインルーチンのS10への移行により実行される。
1)まず、演算部43は、入力部41を介して取得した各ボイラ21、・・・、25の運転状態に関する情報等に基づいて、燃焼位置を上位に移行することによりバックアップに用いることが可能な給蒸中のボイラがあるかどうかを判断する(S101)。
バックアップに用いることが可能な給蒸中のボイラがある場合にはS102に移行し、バックアップに用いることが可能な給蒸中のボイラがない場合にはS106に移行する。
2)演算部43は、例えば、優先順位に従って、バックアップに用いることが可能な給蒸中のボイラのなかから次優先バックアップボイラを選択する(S102)。
次優先バックアップボイラとは、バックアップに用いることが可能なボイラのうち、バックアップに関しての優先順位が最上位のボイラをいう。なお、S103においては優先順位に従うようになっている。また、次優先バックアップボイラのバックアップ蒸発量を、次優先バックアップ蒸発量という。
3)演算部43は、次優先バックアップボイラの燃焼位置を一段階上位に移行する信号を出力する(S103)。
4)ボイラ群2における総バックアップ蒸発量JBKと、次優先バックアップボイラのバックアップ蒸発量JBK1とを合計して、新たな総バックアップ蒸発量JBKに置き換える(S104)。なお、新たな総バックアップ蒸発量JBKは、メモリ42に格納する。
5)演算部43は、合計不足蒸発量JL> 総バックアップ蒸発量JBKかどうかを判断する(S105)。
合計不足蒸発量JL> 総バックアップ蒸発量JBKである場合には、S101に移行し、合計不足蒸発量JL> 総バックアップ蒸発量JBKでない場合、すなわち、総バックアップ蒸発量JBKにより合計不足蒸発量JLを確保可能な場合には、プログラムを終了する。
6)S101において、バックアップに用いることが可能な給蒸中のボイラがない場合、演算部43は、入力部41を介して取得した各ボイラ21、・・・、25の運転状態に関する情報等に基づいて、バックアップに用いることが可能な給蒸移行過程にあるボイラがあるかどうかを判断する(S106)。
バックアップに用いることが可能な給蒸移行過程にあるボイラがある場合にはS107に移行し、バックアップに用いることが可能なボイラがない場合にはプログラムを終了する。
7)演算部43は、第2データベース45Bを参照して、バックアップ可能な給蒸移行過程にあるボイラのなかから最も短時間で給蒸するボイラを、次優先バックアップボイラとして選択(S107)し、S103に移行する。
上記1)から7)を繰り返して実行する。
〔第2のサブルーチン〕
以下、図6を参照して、第2のサブルーチンについて説明する。第2のサブルーチンは、ボイラ群2において、合計不足蒸発量JLの減少が検出されて、メインルーチンのS13又はS20に移行することにより開始する。
1)まず、ボイラ群2におけるバックアップ中のボイラの有無を判断する(S201)。
バックアップ中のボイラの有無の判断は、現在の総バックアップ蒸発量JBKがゼロの場合は、バックアップ中のボイラは存在しないものと判断し、総バックアップ蒸発量JBKがゼロでない場合は、バックアップ中のボイラが存在すると判断する。
バックアップ中のボイラが存在する場合には、S202に移行し、バックアップ中のボイラが存在しない場合には、第2のサブルーチンを終了する。
2)次に、ボイラ群2における現在の総バックアップ蒸発量JBKから、最下位優先バックアップボイラのバックアップ蒸発量JBK2を減算してJAに置き換える(S202)。ここで、JAは、合計不足蒸発量JLに相当する蒸発量を確保するバックアップ蒸発量JBKの最小値を算出するために用いる変数である。
最下位優先バックアップボイラとは、バックアップに用いられているボイラのうち、バックアップに関しての優先順位が最下位のボイラをいい、バックアップ解除に関しては、最も優先されるボイラである。なお、S202においては、バックアップボイラのうち優先順位が最下位のボイラが該当する。また、最下位優先バックアップボイラのバックアップ蒸発量を、最下位優先バックアップ蒸発量という。
3)演算部43は、合計不足蒸発量JL≦JAかどうかを判断する(S203)。
合計不足蒸発量JL≦JAである場合にはS204に移行し、合計不足蒸発量JL≦JAでない場合にはプログラムを終了する。
4)演算部43は、最下位優先バックアップボイラにバックアップを解除する信号を出力して、S205に移行する(S204)。
5)演算部43は、S202で算出した(総バックアップ蒸発量JBK−最下位優先バックアップボイラのバックアップ蒸発量JBK2)を新たな総バックアップ蒸発量JBKに置き換えてS201に移行する(S205)。なお、新たな総バックアップ蒸発量JBKは、メモリ42に格納する。
上記1)から5)を繰り返して実行する。その結果、最小限の総バックアップ蒸発量JBKによるバックアップが可能とされる。
次に、図7を参照してボイラシステム1の作用について説明する。
図7は、プログラムを用いてボイラ群2の燃焼を制御する場合の各ボイラ21、・・・、25の燃焼状態を示す概略図であり、四角枠は各ボイラ21、・・・、25の第1燃焼位置、第2燃焼位置の燃焼状態を、左側に示した数値1000、1500は第1差分蒸発量及び第2差分蒸発量を示している。また、各ボイラ21、・・・、25の上側に記載した<1>から<5>は、各ボイラ21、・・・、25の優先順位を示している。
また、図7において網かけのみを施したボイラは網かけをした燃焼位置が給蒸中であるボイラを、網かけと「R」を施した燃焼位置は燃焼指示を受けて給蒸するまでの間のボイラを、「P1」を記したボイラは給蒸移行過程の第1状態にあるボイラを、「P2」を記したボイラは給蒸移行過程の第2状態にあるボイラを、網かけと「P→L」を施したボイラはバックアップのために給蒸移行過程から第1燃焼位置に移行中のボイラを、網かけと「BK」を施したボイラはバックアップ中のボイラを、網かけと「L→P」を施したボイラはバックアップを解除したボイラを示している。
また、便宜のため、必要蒸発量が5000(kg/h)であるとし、図7(A)に示すように、ボイラ群2が、第1ボイラ21、第2ボイラ22が最高位燃焼位置である第2燃焼位置で給蒸しており、第3ボイラ23が給蒸移行過程の第2状態に、第4ボイラ24が給蒸移行過程の第1状態にある場合を例に説明する。
1)まず、図7(A)は、上述のように、第1ボイラ21、第2ボイラ22が第2燃焼位置で給蒸し、第3ボイラ23が給蒸移行過程の第2状態、第4ボイラ24が給蒸移行過程の第1状態にあることを示している。
このときの優先順位は、第1ボイラ21、第2ボイラ22、第3ボイラ23、第4ボイラ24、第5ボイラ25の順に設定されている。
バックアップ蒸発量を除く蒸発量は、5000(kg/h)
合計不足蒸発量JLは、ゼロ
総バックアップ蒸発量JBKは、ゼロ
次優先バックアップ蒸発量は、1000(kg/h)
である。
2)次に、図7(B)に示すように、第1ボイラ21、第2ボイラ22の2台が第2燃焼位置を維持した状態で、優先順位が、第5ボイラ25、第4ボイラ24、第3ボイラ23、第2ボイラ22、第1ボイラ21の順に変更されたものとする。
この優先順位の変更によって、各ボイラ21、・・・、25の燃焼状態に変化はなく、バックアップ蒸発量を除く蒸発量、合計不足蒸発量JL、総バックアップ蒸発量JBK、次優先バックアップ蒸発量は、そのまま維持される。
3)次いで、要求負荷が増加して、必要蒸発量が6000(kg/h)に増加したものとする。すると、演算部43は、蒸発量を増加する必要があると判断(S4)し、優先順位に従って燃焼を開始するための信号を第5ボイラ25に出力(S5)する。
その結果、図7(C)に示すように、第5ボイラ25は、燃焼停止位置から第1燃焼位置に移行するための給蒸移行過程となる。
このとき、
バックアップ蒸発量を除く蒸発量は、5000(kg/h)
合計不足蒸発量JLは、1000(kg/h)
総バックアップ蒸発量JBKは、ゼロ
次優先バックアップ蒸発量は、1000(kg/h)
である。
4)蒸発量を増加するための出力は、第5ボイラ25の燃焼停止位置から第1燃焼位置への移行(S6)であるため、演算部43は、入力部41を介して取得した各ボイラ21、・・・、25の情報に基づいてバックアップ可能なボイラの有無を判断(S7)する。
バックアップ可能なボイラの有無を判断において、演算部43は、上位の燃焼位置に移行可能な給蒸中のボイラと、給蒸移行過程にあるボイラの少なくともいずれかが1台以上存在する場合に、バックアップに用いるボイラがあると判断する。
演算部43は、合計不足蒸発量JLを算出(S8)し、第1のサブルーチン(S10)を実行する。
5)第1のサブルーチンを実行することにより、演算部43は、給蒸中の第1ボイラ21、第2ボイラ22は第2燃焼位置にありバックアップに用いることができないと判断(S101)してS106に移行する。
次いで、演算部43は、給蒸移行過程の第2状態にある第3ボイラ23と給蒸移行過程の第1状態にある第4ボイラ24がバックアップに使用可能であると判断(S106)する。
6)次に、演算部43は、第3ボイラ23が給蒸移行過程の第2状態から給蒸するまでの時間と、第4ボイラ24が給蒸移行過程の第1状態から給蒸するまでの時間を、第2のデータベース45B(図3)を参照して取得する。
そして、第3ボイラ23が給蒸するまでの時間(8秒)と第4ボイラ24が給蒸するまでの時間(6秒)とを比較して、給蒸するまでの時間が短い第4ボイラ24を次優先バックアップボイラとして選択する(S107)。
次いで、演算部43は、バックアップのために、第4ボイラ24に第1の燃焼位置に移行する信号を出力する(S103)。
7)第4ボイラ24に第1の燃焼位置に移行する信号が出力されると、図7(D)に示すように、第4ボイラ24は、給蒸移行過程の第1状態から第1の燃焼位置への移行を開始する。
その結果、
バックアップ蒸発量を除く蒸発量は、5000(kg/h)
合計不足蒸発量JLは、1000(kg/h)
総バックアップ蒸発量JBKは、ゼロ(第4ボイラ24が、給蒸するまでの間にあるため)
次優先バックアップ蒸発量は、1000(kg/h)
となる。
8)次いで、演算部43は、総バックアップ蒸発量JBK(=0)と次優先バックアップボイラである第4ボイラ24のバックアップ蒸発量JBK1(=1000(kg/h))とを合計して、総バックアップ蒸発量JBKに置き換えて、総バックアップ蒸発量JBKを1000(kg/h)とする(S104)。
次に、演算部43は、合計不足蒸発量JL>総バックアップ蒸発量JBKかどうかを判断する(S105)。
合計不足蒸発量JL>総バックアップ蒸発量JBKではなく、総バックアップ蒸発量JBKが合計不足蒸発量JLを確保するので第1のサブルーチンを終了し、メインルーチンのS2に移行する。
9)第4ボイラ24は、給蒸移行過程の第1状態から第1の燃焼位置への移行を開始してから、図3に示す所定時間(6秒)が経過すると、図7(E)に示すように給蒸して、第5ボイラ25をバックアップ可能となる。
その結果、
バックアップ蒸発量を除く蒸発量は、5000(kg/h)
合計不足蒸発量JLは、1000(kg/h)
総バックアップ蒸発量JBKは、1000(kg/h)
次優先バックアップ蒸発量は、1000(kg/h)
となる。
10)次に、図7(F)に示すように、第5ボイラ25は、第1の燃焼位置に移行する信号が出力されてから所定時間(例えば、190秒)が経過すると給蒸する。
演算部43は、入力部41を介して取得した各ボイラ21、・・・、25の運転状態に関する情報等に基づいて、新たに給蒸可能となったボイラ(第5ボイラ25)があると判断し、合計不足蒸発量JLを算出(S18)し、第2のサブルーチン(S20)を実行する。
11)第2のサブルーチンを実行することにより、演算部43は、S201を実行してJBK(=2500(kg/h)がゼロでないことからバックアップ中のボイラがあることを判断し、S202に移行する。
次に、演算部43は、総バックアップ蒸発量JBK(=1000(kg/h))から、最下位優先バックアップボイラである第4ボイラ24のバックアップ蒸発量JBK2(=1000(kg/h))を減算して、JAに置き換え(S202)て、JAをゼロとする。
次いで、演算部43は、合計不足蒸発量JL(=0(kg/h))と、JA(=0(kg/h))とを比較する(S203)。
その結果、合計不足蒸発量JL≦JAであるので、第4ボイラ24によるバックアップを解除する(S204)。
また、演算部43は、総バックアップ蒸発量JBK(=1000(kg/h))から第4ボイラ24によるバックアップ蒸発量JBK2(=1000(kg/h))を減算した値(ゼロ)を、総バックアップ蒸発量JBKに置き換えて、総バックアップ蒸発量JBKをゼロとする(S205)。
次いで、S201を実行すると、JBKがゼロであるため、バックアップ中のボイラがないと判断し、第2のサブルーチンを終了する。
その結果、
バックアップ蒸発量を除く蒸発量は、6000(kg/h)
合計不足蒸発量JLは、ゼロ
総バックアップ蒸発量JBKは、ゼロ
次優先バックアップ蒸発量は、1000(kg/h)
となる。
なお、図7には、図示していないが、ボイラ群2の必要蒸発量が減少することにより、燃焼開始の指示を受けて給蒸可能となるまでの間のボイラが燃焼不要となって合計不足蒸発量JLが減少した場合には、合計不足蒸発量JLを算出(S12)して第2のサブルーチンを実行(S13)してバックアップ蒸発量が最小となるまで、バックアップを解除するようになっている。
上記実施形態に係るボイラシステム1によれば、ボイラ群2を構成する各ボイラ21、・・・、25のいずれかを燃焼停止位置から第1燃焼位置に移行させる際に、例えば、給蒸しているボイラによるバックアップができない場合であっても、給蒸移行過程にあるボイラを第1燃焼位置に移行してバックアップするので、ボイラ群2の負荷追従性を向上することができる。
また、給蒸移行過程にあるボイラのうち、給蒸までの時間が短いボイラを優先して最下位燃焼位置に移行させるので、ボイラ群における給蒸による蒸発量増加を最短時間で行なうことができ、その結果、ボイラ群の負荷追従性を効率的に向上させることができる。
また、新たに燃焼を開始したボイラの不足蒸発量に起因するボイラ群2の合計不足蒸発量を確保するように、バックアップに用いるボイラを選択するので、ボイラ群2の負荷追従性を効率的に向上することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、ボイラシステム1を構成するボイラ群2が、5台の三位置制御ボイラから構成される場合について説明したが、ボイラ群2を形成するボイラの構成、及びボイラの台数は任意に設定可能であり、例えば、四位置制御ボイラや、それ以上の燃焼位置を有するボイラを用いてもよいし、燃焼位置数や、蒸発量等の構成が異なるボイラを組み合わせてボイラ群を構成してもよいことはいうまでもない。
また、ボイラ群2を構成するボイラのうちの一部が、故障、修理等により計画停止されている場合に稼動可能な一部のボイラを対象として燃焼制御してもよい。
また、上記実施の形態においては、給蒸移行過程の第1状態から第5状態のいずれかにある場合を、バックアップに用いることが可能なボイラとする場合について説明したが、第1状態から第5状態のいずれをバックアップに用いるボイラとするかは、任意に設定可能である。
また、上記実施の形態においては、移行時間に基づき第1燃焼位置に移行する給蒸移行過程の算出対象が、第1状態、第2状態である場合について説明したが、移行時間に基づき第1燃焼位置に移行する給蒸移行過程の算出対象は、第1状態、第2状態、第3状態、第4状態、第5状態のなかから任意に設定可能である。
また、上記実施の形態においては、給蒸移行過程の第5状態が、連続パイロット燃焼状態で無圧状態である場合について説明したが、連続パイロット燃焼状態に代えて、又は連続パイロット燃焼状態とともに、第2状態から圧力低下して無圧状態となった場合、燃焼停止位置においてパージ又はパイロット燃焼状態となり無圧状態である場合のなかから任意に設定してもよい。
また、上記実施の形態においては、給蒸移行過程にあるボイラのうち、給蒸までの時間が短いボイラを、第2データベース45Bを参照して選択する場合について説明したが、演算等データベース以外の手段により選択することが可能である。
また、給蒸までの時間に代えて、例えば、給蒸移行過程にあるボイラを優先順位によって選択してもよい。
また、上記実施の形態においては、給蒸移行過程から第1燃焼位置に移行させるボイラの蒸発量によって、ボイラ群2の合計不足蒸発量JLが確保されるようにバックアップするボイラを選択する場合について説明したが、ボイラ群2の合計不足蒸発量JLを確保するようにバックアップに用いるボイラを選択するかどうかは任意に選択可能な事項であり、例えば、バックアップに用いるボイラの蒸発量が、ボイラ群2の合計不足蒸発量に対して所定の範囲内に入るように構成してもよいし、不足蒸発量未満の蒸発量によるバックアップをしてもよい。
また、上記実施の形態においては、蒸気量と対応する物理量としてスチームヘッダ6内の蒸気の圧力P(t)及び目標圧力PTを用いて蒸発量を制御する場合について説明したが、圧力に代えて蒸気使用設備18における蒸気の使用量等、蒸発量又は蒸発量と対応する他の物理量を用いて蒸発量を制御してもよい。
また、この発明に係るプログラムの概略構成の一例を、図4、図5、図6にフロー図として示したが、上記フロー図以外の方法(アルゴリズム)を用いてプログラムを構成してもよいことはいうまでもない。
また、上記実施の形態においては、プログラムが、メインルーチンと、第1のサブルーチン、第2のサブルーチンとを備える場合について説明したが、メインルーチンと第1のサブルーチンに係る構成によりプログラムを構成としてもよい。
また、上記実施の形態においては、本発明に係る制御をプログラムによって行なう場合について説明したが、プログラムによらずオペアンプ等を用いたアナログ制御によって行なってもよいことは当然である。
また、上記ボイラ群の制御方法の実行に際して、例えば、調圧器等の機械的な手段を一部又は全部に用いてもよい。
また、上記実施の形態においては、プログラムを格納するための記憶媒体がROMである場合について説明したが、ROM以外にも、例えば、EP−ROM、 ハードディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカードなどを用いてもよい。また、演算部が読出したプログラムを実行することにより上記実施形態の作用が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、演算部で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上記実施形態の作用が実現される場合も含まれる。さらに、記憶媒体から読出されたプログラムが、演算部に挿入された機能拡張ボードや演算部に接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の作用が実現される場合も含まれることはいうまでもない。
ボイラ群において、給蒸中のボイラによるバックアップが不可能な場合でも、ボイラ群の負荷追従性を向上することができるので産業上利用可能である。
1 ボイラシステム
2 ボイラ群
4 制御部(制御器)
21、22、23、24、25 ボイラ

Claims (8)

  1. 複数の段階的な燃焼位置を有するボイラを備え、各ボイラに優先順位が設定されたボイラ群を制御するプログラムであって、
    前記優先順位を変更してから、前記ボイラのいずれかを燃焼停止位置から最下位燃焼位置まで移行させる際に、
    給蒸移行過程にあるボイラが存在する場合には、
    前記給蒸移行過程にあるボイラを、給蒸移行過程から最下位燃焼位置に移行させるように構成されていることを特徴とするプログラム。
  2. 請求項1に記載のプログラムであって、
    前記給蒸移行過程にあるボイラのうち、給蒸までの時間が短いボイラを優先して前記最下位燃焼位置に移行させるように構成されていることを特徴とするプログラム。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のプログラムであって、
    前記給蒸移行過程から最下位燃焼位置に移行させるボイラの蒸発量によって前記燃焼停止位置から最下位燃焼位置まで移行させるボイラの蒸発量が確保されるように、前記給蒸移行過程から最下位燃焼位置に移行させるボイラを選択するように構成されていることを特徴とするプログラム。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプログラムを備えることを特徴とする制御器。
  5. 請求項4に記載の制御器を備えることを特徴とするボイラシステム。
  6. 複数の段階的な燃焼位置を有するボイラを備え、各ボイラに優先順位が設定されたボイラ群の制御方法であって、
    前記優先順位を変更してから、前記ボイラのいずれかを燃焼停止位置から最下位燃焼位置まで移行させる際に、
    給蒸移行過程にあるボイラが存在する場合には、
    前記給蒸移行過程にあるボイラを、給蒸移行過程から最下位燃焼位置に移行させることを特徴とするボイラ群の制御方法。
  7. 請求項6に記載のボイラ群の制御方法であって、
    前記給蒸移行過程にあるボイラのうち、給蒸までの時間が短いボイラを優先して前記最下位燃焼位置に移行させることを特徴とするボイラ群の制御方法。
  8. 請求項6又は請求項7に記載のボイラ群の制御方法であって、
    前記給蒸移行過程から最下位燃焼位置に移行させるボイラの蒸発量によって前記燃焼停止位置から最下位燃焼位置まで移行させるボイラの蒸発量が確保されるように、前記給蒸移行過程から最下位燃焼位置に移行させるボイラを選択することを特徴とするボイラ群の制御方法。
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