JP5271926B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
このSVOCは,建材・内装材・家具・家電製品等の様々な材料に含まれており,健康への影響が懸念されているとの報告が多数ある。また,画像形成装置で用いられるトナーを溶融した場合にも揮発することが知られている。
例えば,加熱定着装置において定着装置の断熱カバー内に吸着剤担持部材を施し,定着装置の近傍として本体枠の排紙部に吸着剤担持部材を施すことにより,現像剤の定着時に発生する揮発分の拡散を防止し,コロナ帯電器の汚れ,潜像の乱れを防止するようにした画像形成装置がある(例えば,特許文献1参照)。
この発明では,装置内部,すなわち定着装置近傍の空気は,排気流路を通じてそのまま装置本体外部へ排気されるのではなく,排気流路を流れる過程で排気流路の途中に設けられた空気滞留部で滞留する。前記したように,SVOCは200℃を上回る高融点の物質であるため,室温或いはそれより若干高温の壁面やその壁面近傍で滞留することで冷やされ,その一部が液化し,或いは一部が固化するので,SVOCを捕集することが可能となる。
このようにこの発明では,SVOCの融点が上記のように高いという特性を利用し,特別な吸着剤や装置を使用しなくても排気流路の途中に設けた空気滞留部で空気を滞留させて,その温度を低下させることで,SVOCの一部が液化し,一部が固化する事象に基づくものである。従って,SVOCを例えばフィルタを使用して捕集するのではないので,フィルタ使用による排気流の圧力損失がなく,SVOCを効果的に捕集できる。
この発明においては,空気滞留部は,空気流の方向が変化する排気流路の変曲部分に設けられた壁面として具現化することができる。この場合,排気流路内に空気滞留部を別部品として設けるのではなく,排気流路の変曲部分の壁面そのものが空気滞留部となるので,特別なフィルタや吸着剤を必要とすることなく,装置外部へのSVOCの排出削減を安価に実現することができる。
また,その排気流路の変曲部分の壁面が,凹凸形状をなす面であることが好ましい。これは,空気滞留面が凹凸形状の面であると,その表面積が実質的に増加することで,SVOCから熱を効率良く奪うことができるので,SVOCの液化率や固化率が向上し,より効率的に且つ多くのSVOCを捕集することが可能となるからである。
この発明においては,空気滞留部を冷却する冷却手段を更に備えるものとすることができる。排気流路を流れる空気を単に空気滞留部で滞留させるだけでなく,冷却手段により冷却した空気滞留部で滞留させる方がSVOCの液化率や固化率が一層高まり,より一段と効率的にSVOCを捕集することができる。
更にまた,この発明では,排気流路の画像形成装置本体外部への排気口付近にガス吸着手段,すなわちVOC吸着手段を備えるものであることが望ましい。上記の通り,排気流路の空気中のSVOCは空気滞留部により捕集されるが,VOCは前記従来技術と同様にガス吸着手段で吸着除去することで,装置外部に排出される排気中のVOC及びSVOCをいずれも低減できる。
なお,本発明において,空気滞留部を冷却する冷却手段としては,空冷,水冷,或いはペルチェ素子の電子冷却等を使用すればよい。
また,空気滞留部で捕集されるSVOCには,前記定義の有機物であり,特にシロキサンも含まれる。
図1に示すように,実施形態に係る電子写真を応用した画像形成装置(例えば,複写機,プリンタ,ファクシミリ,或いはそれらの機能を有する複合機)では,アルミニウム等の帯電性シリンダ上面に感光層を設けた感光ドラム21が図示の時計回り方向に回転されるとともに,コロナ帯電器22によって均一に帯電される。また,画像信号がレーザダイオード23に与えられ,高速モータ24で回転されたポリゴンミラー25,レンズ26,折返しミラー27を組み合わせた露光装置によって感光ドラム21が露光され,静電潜像が感光ドラム21上に形成される。
以上の構成のうち,ペーパカセット29及び排紙トレイ36を除いた全てが装置本体A内に収容される。
装置本体Aは半密閉型であり,ペーパカセット29の挿入口及び加熱定着装置Bの出口に合わせて設けた用紙8の排紙部39は開口しており,他の部分も充分には気密に作られていない。
そして通常,定着装置Bは離型剤塗布手段を備える。この離型剤塗布手段は,例えば,図2に示すようにシリコーンオイルのような離型剤を含浸させたクリーニングウエブ10を巻回したウエブ供給ローラ15と,ウエブ供給ローラ15から繰り出すクリーニングウエブ10を巻き取る巻取りローラ14と,クリーニングウエブ10を定着ローラ7に向かって押圧するウエブ加圧ローラ11とを備えており,クリーニングウエブ10を複写動作に合わせて少しだけ送り,定着ローラ7の回転により,定着ローラ7に離型剤を塗布するとともに,定着ローラ7上に付着した現像剤を除去している。
なお,上記実施形態では,空気滞留部は排気ダクト40の2箇所に設けられているが,1箇所のみ或いは3箇所以上でも構わない。特に3箇所以上の空気滞留部を設ける場合は,排気ダクトの流路に3箇所以上の変曲部分が形成されるように排気ダクトを設計する必要がある。その観点からすると,排気ダクトは例えば流路が蛇行するもの(波形状のもの)であれば,複数個所の変曲部分を容易に確保できることになる。
約1時間の換気後,プリントを10分間実行し,発生するSVOCを排気ダクトの排気口近傍からTenax(登録商標)管により100ml/分でサンプリングした。サンプリングしたTenax(登録商標)管を加熱脱着装置で脱着し,捕集されたSVOCをガスクロマトグラフィーGC−MS(Agilent Technologies社(旧HP社)商品名)にて測定することによりSVOC量を測定した。
なお,ガスクロマトグラフィーについては,http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%9E%E3%83%88%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC
を参照されたい。
[比較例1]
A1 装置本体の一側面(左側面)
A2 装置本体の他側面(背面)
B 定着装置
40 排気ダクト(排気流路)
40a 吸気口
40b 排気口
41 ファン
50,51 空気滞留部(変曲部分)
60 吸着剤担持部材(ガス吸着手段)
Claims (7)
- 用紙上に形成されたトナー像を溶融定着する定着装置を備えた画像形成装置において、
前記定着装置の近傍の空気を前記画像形成装置の本体の外部へ排気する排気流路を備え、
前記排気流路は、前記本体の外部に導出されて前記本体の一の外面に沿って延びる第1流路と、前記一の外面と前記一の外面に直交する他の外面との角部の近傍で屈曲して第1流路に連通する屈曲部と、前記屈曲部に連通して前記他の外面に沿って延びる第2流路とを有し、
前記排気流路内の空気を滞留させる空気滞留部を少なくとも前記屈曲部に設けた画像形成装置。 - 前記屈曲部の壁面により前記空気滞留部を形成した請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記壁面が凹凸形状をなす面である請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記空気滞留部を冷却する冷却手段を備える請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記排気流路の前記本体の外部への排気口付近にガス吸着手段を備える請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記排気流路内に空気を吹き込むファンを前記排気流路の入口部近傍に設けた請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記排気流路が排気ダクトにより構成される請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
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