JP5271546B2 - コード凹凸照合式キーシステム - Google Patents

Description

本発明は、キーコード用の複数の凹凸が形成されたコード凹凸キーをキーとして用い、そのコード凹凸の正否を見ることでキー照合を行うコード凹凸照合式キーシステムに関する。

従来、他者（第三者）による物品や扉等の勝手な使用を防止する器具として種々のキーシステムが使用されている。この種のキーシステムとしては、柄の付いた長細いキープレートにキーコードが刻み込まれたメカニカルキーをキーとして用いつつ、このキーを錠前のシリンダに挿し込んで回すことにより施解錠を行う機械操作型キーシステムが一般的に広く使用されている。機械操作型キーシステムにおいては、例えばシリンダがディスクタンブラ式の場合、シリンダの内部にスプリングの付いた複数のディスクタンブラ（小鉄片）でメカニカルキーのキープレートに刻まれたキーコードを読み取り、キープレートの鍵形状がディスクタンブラの鍵形状と一致すれば、キーによるシリンダの回転操作が許容されて、錠前の施錠や解錠が可能となる。

また、他の種類のキーシステムとしては、例えばキー形状がカード型を成すカードキーをキーとして使用するカード型キーシステムというものも開発されている。カード型キーシステムの一例は、例えば特許文献１や特許文献２等に開示されている。図１０にカード型キーシステム８１を示すと、カード型キーシステム８１のキーであるカードキー８２には、キーコードとして複数の孔群から成るコード孔８３が形成されている。このコード孔８３は、孔８４の有る箇所と孔８４の無い孔無し部８５の箇所とが規則性を持って配列されるとともに、この孔有無の形成パターンがキーコードとして機能する。

図１１に示すように、カード型キーシステム８１の固定側部品である錠前８６には、合い鍵以外では錠が施解錠されないように働く部品として複数のピンタンブラ８７が設けられている。これらピンタンブラ８７は、錠前８６にカードキー８２を挿し込んでキー操作を行う時の可動側である可動部品８８に収納されたロックピン８９と、錠前８６の固定側として可動部品８８を移動可能に支持する支持部品９０に収納されたプランジャピン９１とを持ち、プランジャピン９１がタンブラスプリング９２によって常時付勢された取り付け状態をとっている。また、ピンタンブラ８７には、カードキー８２が錠前８６に挿し込まれていない時にプランジャピン９１が可動部品８８及び支持部品９０の両者に亘って引っ掛かった状態をとる第１ピンタンブラ８７ａと、カードキー８２が錠前８６に挿し込まれていない時にロックピン８９及びプランジャピン９１の境界が可動部品８８及び支持部品９０の境界に一致する第２ピンタンブラ８７ｂとがある。

錠前８６にカードキー８２が挿し込まれた場合、このカードキー８２が不正キーであると、図１２に示すように、第１ピンタンブラ８７ａにカードキー８２の孔８４が位置した際には、第１ピンタンブラ８７ａがタンブラスプリング９２に押された状態を維持して、プランジャピン９１が可動部品８８及び支持部品９０の両者に亘り引っ掛かる。また、このとき、第２ピンタンブラ８７ｂにカードキー８２の孔無し部８５が位置した際には、第２ピンタンブラ８７ｂがカードキー８２の孔無し部８５によってタンブラスプリング９２の付勢力に抗して持ち上げられ、ロックピン８９が可動部品８８及び支持部品９０の両者に引っ掛かる状態をとる。よって、可動部品８８はこれらピンタンブラ８７を介して支持部品９０に係止された状態をとることになり、支持部品９０に対する移動が禁止される。このため、錠前８６に挿し込んだカードキー８２が不正キーの時は可動部品８８を動かす操作が不許可となるので、不正キーでは錠前８６の施解錠操作が行えないことになる。

一方、錠前８６に挿し込まれたカードキー８２が正規キーの場合、図１３に示すように、全てのピンタンブラ８７（第１ピンタンブラ８７ａ、第２ピンタンブラ８７ｂ）においてロックピン８９とプランジャピン９１との境界が、可動部品８８と支持部品９０との境界に一致する。これにより、可動部品８８はピンタンブラ８７を介して支持部品９０に係止された状態をとらなくなり、支持部品９０に対する移動が許容された状態となる。よって、カードキー８２を錠前８６に挿し込んで可動部品８８を動かす操作が許可され、カードキー８２による錠前８６の施解錠操作が可能となる。
実用新案登録第３０９０３６９号公報 特開２００４−７６３７５号公報

図１０に示すカードキー８２にメカニカルキー用のキーコードとして形成した孔８４と孔無し部８５とは、カードキー８２のカード幅方向（図１０の矢印Ｚ１方向）に対して平行に並ぶ配置状態をとるとともに、カードキー８２のカード長手方向（図１０の矢印Ｚ２方向）に対しても平行に並ぶ配置状態をとっている。また、このカード型キーシステム８１の可動部品８８が例えば直線方向に動くスライド移動式で、しかも錠前８６を施解錠操作するに際して錠前８６に挿し込んだカードキー８２で可動部品８８をカード幅方向にスライド操作する場合、このカード幅方向が施解錠操作時における可動部品８８の操作方向となる。

ところで、このカード型キーシステム８１の場合、カードキー８２を錠前８６に挿し込んで錠前８６の可動部品８８をスライド移動した際、この時の操作力の大きさによっては、図１４に示すように、可動部品８８が移動していないにも拘わらずカードキー８２だけ動いて、カードキー８２が可動部品８８に対して位置ずれしてしまう状況をとる事も想定される。カードキー８２が可動部品８８に対して位置ずれすると、この時に第１ピンタンブラ８７ａと向き合う位置にカードキー８２の孔８４が位置すると、第１ピンタンブラ８７ａのプランジャピン９１が支持部品９０及び可動部品８８の両者に亘って係止して、第１ピンタンブラ８７ａがロック状態をとる。また、この位置ずれ時に第２ピンタンブラ８７ｂと向き合う位置にカードキー８２の孔無し部８５が位置すると、第２ピンタンブラ８７ｂのロックピン８９が支持部品９０及び可動部品８８の両者に亘って係止して、第２ピンタンブラ８７ｂもロック状態をとる。

このように、カードキー８２の孔８４及び孔無し部８５がカード幅方向に沿って並ぶ配置状態をとった場合には、カードキー８２が可動部品８８に対して位置ずれした際に、第１ピンタンブラ８７ａ及び第２ピンタンブラ８７の両方がロック状態をとり得る対象となるので、カードキー８２が可動部品８８に対して位置ずれした状況下では、ロック状態となるピンタンブラ８７が相対的に多くなる。よって、この時にカードキー８２の位置ずれを解消すべくカードキー８２を元の正規位置に戻す際には、位置合わせしなくてはならない孔８４及び孔無し部８５とピンタンブラ８７とが多くなり、この位置合わせは微妙なカード位置合わせ作業となるので、カードキー８２を元の正規位置に戻す際に手間がかかる問題があった。

また、このカードキー８２は孔８４及び孔無し部８５がカード長手方向に沿って並ぶ配置状態をとっているので、カードキー８２を錠前８６に挿し込む際、ピンタンブラ８７は自身が対応する孔８４や孔無し部８５と向き合う位置をとる前に、自身とは対応しない他の孔８４が通過する度にこれら孔８４に落ち込む動作をとる。このため、ピンタンブラ８７はキーコードの照合とは関係のない他の孔８４に嵌り込む度に上下動する動作をとることになるので、ピンタンブラ８７の部品耐久性に悪影響を及ぼす問題があった。更にこのことは、カードキー８２を錠前８６に対して抜き挿しする時の感触の悪さに繋がる問題もあった。

更に、カードキー８２を錠前８６に挿し込んで錠前８６の可動部品８８をスライド移動した際、可動部品８８はカードキー８２とともにその操作方向にスライド移動することになるが、この例のようにカードキー８２の孔８４がスライド方向に並んで配置されていると、その操作過程において、ロックピン８９が収納されている可動部品８８の収納穴に、対応しない他のプランジャピン９１が入り込んでこれが引っ掛かり、スライド操作が途中で止まってしまう問題にも繋がっていた。よって、可動部品８８のスライド操作時におけるこのようなピンの引っ掛かりを抑制したい要望もあった。

本発明の目的は、コード凹凸キーを錠前でキー照合する際、タンブラ部材が他の関係のない凹部に落ち込むことを防止することができるコード凹凸照合式キーシステムを提供することにある。

前記問題点を解決するために、本発明では、キー本体部の少なくとも一平面方向に沿って並ぶ凹凸群をキーコード用のコード凹凸として持つコード凹凸キーがキーとして使用され、錠の可動部材を当該錠の固定側である支持部材に係止し得るタンブラ部材が前記コード凹凸の凹部及び凸部の位置に対応して複数形成された錠前に前記コード凹凸キーが挿し込まれた際、付勢部材の付勢力によって押され状態にある前記タンブラ部材の位置状態を前記コード凹凸で切り換えて、各々の前記タンブラ部材が前記係止をとるか否かを見ることをキー照合として行うコード凹凸照合式キーシステムにおいて、前記コード凹凸は、前記コード凹凸キーを前記錠前に抜き挿しするキー抜挿方向に列並びで位置する凹凸群を一単位としたとき、これら単位が当該キー抜挿方向に対して斜めを向くように配置され、前記錠前に挿し込んだ前記コード凹凸キーで前記可動部材を移動させる可動部材操作方向に列並びで位置する凹凸群を一単位としたとき、これら単位が当該可動部材操作方向に対して斜めを向くように配置され、前記凹部及び前記凸部は、自身の中心位置を取りつつ少なくとも前記キー抜挿方向に沿う直線が全て同一直線をとらないようにずらし配置されていることを要旨とする。

この構成によれば、コード凹凸キーがキーコードとして持つ凹部及び凸部を、コード凹凸キーがタンブラ部材に対して移動する際のキー移動方向に対してずらして配置したので、コード凹凸キーが錠前に対して動く際、コード凹凸の凹部及び凸部は自身が対応するタンブラ部材とにのみ位置合わせ状態をとる。このように、コード凹凸の凹部及び凸部がタンブラ部材と一対一対応をとっていれば、例えば仮に錠前に挿し込んだコード凹凸キーで錠前の可動部材を移動する際にコード凹凸キーが可動部材に対して位置ずれする状況をとったとしても、タンブラ部材が他の凹部や凸部に位置合わせ状態をとる状況が生じ難くなる。よって、コード凹凸キーを錠前に対して操作するに際して、タンブラ部材が自身と関係のない他の凹部に落ち込んでしまうことを防止することが可能となる。

この構成によれば、コード凹凸キーの凹部及び凸部を可動部品操作方向に対してずらして配置した場合、錠前に挿し込んだコード凹凸キーで可動部品を移動する際において、仮にコード凹凸キーが可動部品に対してずれる状態をとったとしても、この時にタンブラ部材は自身に対応しない他の凹部に落ち込む動作はとらない。このため、錠前に挿し込んだコード凹凸キーで可動部品を可動部品操作方向に移動させた際に、仮にコード凹凸キーが可動部品に対してずれたとしても、ロック状態をとるタンブラ部材の数が少なくなるので、コード凹凸キーを元の正規位置に戻す際のキー位置合わせを容易に行うことが可能となる。また、コード凹凸キーの凹部及び凸部をキー抜挿方向に対してずらして配置した場合、コード凹凸キーを錠前に挿し込む際において、タンブラ部材は自身に対応しない他の凹部と向き合う状態はとらないことから、キー挿込過程時においてこれらの対応しない他の凹部に落ち込む動作はとらない。よって、コード凹凸キーを錠前に挿し込む際に、タンブラ部材を無駄に動作させずに済むので、タンブラ部材の部品耐久性を向上することが可能となる。

この構成によれば、コード凹凸キーに複数存在する凹部及び凸部の全てがキー移動方向に対してずれて配置されているので、錠前に挿し込んだコード凹凸キーで可動部品を移動させたり、或いは錠前にコード凹凸キーを挿し込んだりする際に、コード凹凸キーの凹部及び凸部が自身に対応しないタンブラ部材に位置決めされることがなくなる。このため、タンブラ部材が自身に対応しない凹部に落ち込むことを一層確実に防止することが可能となる。

本発明では、 前記凹部及び前記凸部は、同じ一単位において、それぞれの中心位置が同一直線状に並ぶように配置されていることを要旨とする。

この構成によれば、これら凹部及び凸部を不規則に配置する場合に比べて、凹部及び凸部を簡単な製造工程でキー移動方向に対してずらし配置することが可能となる。

本発明では、車両キーである電子キーからキー固有のキーコードを無線通信により発信して、その時のキー照合成立を条件に車両動作を許可又は実行する電子キーシステムを備えつつ、実際のキー操作を伴う機械式キー操作により前記車両動作を行う機械操作式キーシステムも備えた車両に使用され、前記コード凹凸を前記機械操作式キーシステムのキーコードとして設定することにより、前記コード凹凸キーを前記電子キーシステムのエマージェンシーキーとして使用することを要旨とする。

この構成によれば、コード凹凸キーを車両の電子キーシステムのエマージェンシーキーとして使用しているので、電子キーにこの種のエマージェンシーキーを設ける必要がなくなり、電子キーをそのキー省略分だけ小型化することが可能となる。また、コード凹凸キーは例えばカードキーに代表されるように持ち運び時において財布等に収納される使用形態をとるので、コード凹凸キーをエマージェンシーキーとして使用したとしても、エマージェンシーキーの持ち運びに際して以前通り不便さを感じることもない。

本発明によれば、コード凹凸キーを錠前でキー照合する際、タンブラ部材が他の関係のない凹部に落ち込むことを防止することができる。

以下、本発明を具体化したコード凹凸照合式キーシステムの一実施形態を図１〜図９に従って説明する。
図１に示すように、車両１には、実際に車両キーを操作しなくてもドアロック施解錠やエンジン始動停止等の車両動作を行うことが可能なキー操作フリーシステム２が搭載されている。キー操作フリーシステム２は、キー固有のＩＤコード（キーコード）を無線通信で発信可能な携帯機３が車両キーとして使用されている。キー操作フリーシステム２は、車両１からＩＤコード返信要求としてリクエスト信号Ｓrqを発信させ、このリクエスト信号Ｓrqを携帯機３が受信すると、それに応答する形で携帯機３が自身のＩＤコードを乗せたＩＤ信号Ｓidを狭域通信により車両１に返信し、携帯機３のＩＤコードが車両１のＩＤコードと一致すると、ドアロック施解錠やエンジン始動停止が許可又は実行されるシステムである。なお、キー操作フリーシステム２が電子キーシステムに相当し、携帯機３が電子キーに相当する。

キー操作フリーシステム２には、ドアロック施解錠操作の際に実際の車両キー操作を必要としない機能としてスマートエントリーシステム４がある。このスマートエントリーシステム４を以下に説明すると、車両１には、携帯機３との間で狭域通信を行う際にＩＤ照合を行う照合ＥＣＵ５が設けられている。照合ＥＣＵ５には、車両１の各ドアに埋設されて車外にＬＦ対の信号を発信可能な車外ＬＦ発信機６と、車内床下等に埋設されて車内にＬＦ帯の信号を発信可能な車内ＬＦ発信機７と、車内バックミラー等に埋設されてＲＦ帯の信号を受信可能なＲＦ受信機８とが接続されている。これらＬＦ発信機６，７は、リクエスト信号Ｓrqを周囲に発信可能であって、車外ＬＦ発信機６が車両周囲にリクエスト信号Ｓrqの通信エリア（車外通信エリア）を形成し、車内ＬＦ発信機７が車内全域にリクエスト信号Ｓrqの通信エリア（車内通信エリア）を形成する。

照合ＥＣＵ５には、例えば車外ドアハンドルノブ９（図２参照）に埋設されたタッチセンサ１０が接続されている。タッチセンサ１０は、操作者が施錠状態のドアロックを解除する時に車外ドアハンドルノブ９をタッチする操作を検出する。照合ＥＣＵ５には、例えば車外ドアハンドルノブ９に設けられたロックボタン１１が接続されている。ロックボタン１１は、操作者が解錠状態のドアロックを施錠する時に押し操作される。照合ＥＣＵ５には、ドアロックの施解錠を制御するドアＥＣＵ１２が車内ＬＡＮ１３を介して接続されている。ドアＥＣＵ１２は、照合ＥＣＵ５から指令を基にドアロックモータ１４を駆動制御することでドアロックを施錠状態又は解錠状態にする。

一方、携帯機３には、車両１との間でキー操作フリーシステム２に準じた無線通信を行う際のコントロールユニットとして通信制御部１５が設けられている。通信制御部１５には、外部で発信されたＬＦ帯の信号を受信可能なＬＦ受信部１６と、通信制御部１５の指令に従いＲＦ帯の信号を発信可能なＲＦ発信部１７とが接続されている。ＬＦ受信部１６は、自身のＬＦ受信アンテナ１８で受信したＬＦ帯の信号をＬＦ受信回路１９で復調するとともに、その復調後の信号を受信データとして通信制御部１５に出力する。また、ＲＦ発信部１７は、通信制御部１５から得た通信データをＲＦ発信回路２０で変調し、携帯機３が持つ固有のＩＤコードを乗せたＲＦ帯のＩＤ信号ＳidをＲＦ発信アンテナ２１から発信可能である。

車両１が駐車状態（エンジン停止及びドアロック施錠状態）の際、照合ＥＣＵ５は、車外ＬＦ発信機６からＬＦ帯のリクエスト信号Ｓrqを断続的に発信させ、車両周辺に車外通信エリアを形成する。携帯機３がこの車外通信エリアに入り込んでリクエスト信号ＳrqをＬＦ受信部１６で受信すると、携帯機３はリクエスト信号Ｓrqに応答する形で、自身のメモリ２２に登録されたＩＤコードを載せたＩＤ信号ＳidをＲＦ発信部１７からＲＦ帯の信号で返信する。照合ＥＣＵ５は、ＲＦ受信機８でＩＤ信号Ｓidを受信すると、自身のメモリ２３に登録されたＩＤコードと携帯機３のＩＤコードとを照らし合わせてＩＤ照合（車外照合）を行う。照合ＥＣＵ５は、車外照合が成立した事を認識すると、メモリ２３に車外照合フラグを一定時間の間において立てて、待機状態のタッチセンサ１０をその期間の間において起動させる。ドアＥＣＵ１２は、車外ドアハンドルノブがタッチ操作された事を起動中のタッチセンサ１０が検出すると、ドアロックモータ１４を一方側に回転させて、施錠状態のドアロックを解錠する。

一方、車両１が停止状態（エンジン停止及びドアロック解錠状態）の際、照合ＥＣＵ５は、ロックボタン１１が押されたことを検出すると、車外ＬＦ発信機６からリクエスト信号Ｓrqを発信させる。照合ＥＣＵ５は、このリクエスト信号Ｓrqを受けて携帯機３が返信してきたＩＤ信号Ｓidにおいて車外照合が成立した事を認識すると、ドアＥＣＵ１２にドアロック施錠要求を出力する。ドアロック施錠要求を受け付けたドアＥＣＵ１２は、ドアロックモータ１４を他方側に回転させて、解錠状態のドアロックを施錠する。

また、キー操作フリーシステム２には、エンジン始動停止操作の際に実際の車両キー操作を必要とせずに単なるスイッチ操作のみでエンジン始動停止操作を行うことが可能な機能としてワンプッシュエンジンスタートシステム２４がある。このワンプッシュエンジンスタートシステム２４を以下に説明すると、車両１には、エンジン２５の点火制御及び燃料噴射制御を行うエンジンＥＣＵ２６と、セレクトレバーの操作を基に自動変速機を制御するシフトＥＣＵ２７と、車載電装品の電源管理を行う電源ＥＣＵ２８とが設けられている。これらＥＣＵ２６〜２８は、車内ＬＡＮ１３を通じて照合ＥＣＵ５等の各種ＥＣＵに接続されている。

車両１の運転席には、車両１の電源状態（電源ポジション）を切り換える際の操作系としてエンジンスイッチ２９が設けられている。エンジンスイッチ２９は、操作箇所であるスイッチ操作部２９ａを押し込み操作する押圧操作式であって、ハーネスを介して電源ＥＣＵ２８に接続されている。このエンジンスイッチ２９は、自身が押圧操作されるとエンジン２５を始動状態又は停止状態に切り換えるエンジン始動停止操作機能と、自身が押圧操作された際に車両１の電源状態をオフ状態からＡＣＣオン状態やＩＧオン状態に切り換える電源遷移操作機能とを持っている。

また、電源ＥＣＵ２８には、車両１の速度を検出する車速センサ３０と、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキセンサ３１とが接続されている。電源ＥＣＵ２８は、車速センサ３０から取得する車速情報を基に今現在の車両１の速度を認識しつつ、ブレーキセンサ３１から取得するペダル踏込量情報を基にブレーキペダルの踏み込み有無を判定可能である。また、電源ＥＣＵ２８には、各種車載アクセサリに繋がるＡＣＣリレー３２と、エンジンＥＣＵ２６に繋がるＩＧリレー３３と、エンジン２５のスタータモータに繋がるスタータリレー３４とが接続されている。

照合ＥＣＵ５は、車外照合が成立してドアロックが解錠された後、例えばカーテシスイッチ３５でドアが開けられて運転者が乗車した事を認識すると、車内ＬＦ発信機７からリクエスト信号Ｓrqを発信して車内全域に車内通信エリアを形成する。照合ＥＣＵ５は、携帯機３がこの車内通信エリアに入り込んで返信してきたＩＤ信号ＳidをＲＦ受信機８で受信すると、自身に登録されたＩＤコードと携帯機３のＩＤコードとを照らし合わせてＩＤ照合（車内照合）を行う。照合ＥＣＵ５は、この車内照合が成立すると、メモリ２３に車内照合成立フラグを立てて車内照合成立を認識する。

電源ＥＣＵ２８は、運転者が車両１の電源状態を切り換えるべくエンジンスイッチ２９を押圧操作した事を検出すると、まずは照合ＥＣＵ５に車内照合成立の有無を確認する。このとき、電源ＥＣＵ２８は、照合ＥＣＵ５から車内照合が成立している旨の通知を受ければ車内照合が成立済みである事を認識するが、逆に照合ＥＣＵ５から車内照合が不成立の旨の通知を受け付けると、照合ＥＣＵ５に車内照合を再実行させて車内照合の正否を再確認する。電源ＥＣＵ２８は、照合ＥＣＵ５に車内照合を再実行させても、照合ＥＣＵ５から車内照合が成立した旨の通知を受け付けないと、車内照合は不成立であると認識する。

電源ＥＣＵ２８は、エンジン２５が停止している際にブレーキペダルが踏み込み操作された状態でエンジンスイッチ２９が押圧操作された事を検出すると、車内照合成立を条件として、停止状態のエンジン２５を始動すべく３つのリレー３２〜３４をオンしつつ、エンジンＥＣＵ２６に起動信号を出力する。起動信号を受け付けたエンジンＥＣＵ２６は、車内照合結果の確認と、照合ＥＣＵ５が自身とペアを成すものかを確認するペアリングとを暗号化通信により行う。これら両条件の確認を済ませたエンジンＥＣＵ２６は、点火制御及び燃料噴射制御を開始してエンジン２５を始動する。一方、電源ＥＣＵ２８は、エンジン２５が稼働中の際にエンジンスイッチ２９が押圧操作された事を検出すると、車両１が停止（車速「０」）していることを条件に３つのリレー３２〜３４を全てオフ状態にして、エンジン２５を停止状態にする。

また、電源ＥＣＵ２８は、エンジン２５が停止している際にブレーキペダルが踏み込み操作されずにエンジンスイッチ２９のみが押圧操作された事を検出すると、車内照合成立を条件としつつ、しかもシフトレバーがＰレンジ位置にあれば、エンジンスイッチ２９が押される度に、操作一回りの間において電源状態をオフ状態→ＡＣＣオン状態→ＩＧオン状態の順に切り換える。例えば、エンジン２５が停止している時にエンジンスイッチ２９のみが押圧操作されると、車両１の電源状態がオフ状態からＡＣＣ状態に切り換わり、この状態から更にエンジンスイッチ２９のみがもう一度押圧操作されると、車両１の電源状態がＩＧオン状態となり、この状態からエンジンスイッチ２９のみが更にもう一度押圧操作されると、車両１の電源状態がオフ状態に戻る動作をとる。

図２に示すように、ドアロック施解錠操作の際に実際のメカニカルキーによるキー操作が必要となる機械操作式ドアロックシステム３６が設けられている。このように、車両１に機械操作式ドアロックシステム３６を設けるのは、キー操作フリーシステム２は電気式であることから、例えばキー操作フリーシステム２に電気故障が生じたり、或いは携帯機３が電池切れになったりすると、この状況下ではキー操作フリーシステム２によってドアロック施解錠を行うことができないので、このような状況下に陥ったとしても、ドアロック施解錠操作を可能とする理由からである。なお、機械操作式ドアロックシステム３６が機械操作式キーシステムに相当する。

この機械操作式ドアロックシステム３６を以下に説明すると、機械操作式ドアロックシステム３６は、固定を行う側の施解錠用機構として車両ドア（運転席ドア）１ａの外壁に取り付けられた錠前３７と、この錠前３７を実際の機械式キー操作を伴って開閉（施解錠）する際の道具であるメカニカル式のキー３８とから成る。本例の機械操作式ドアロックシステム３６は、キー本体形状がカード型（平板形状）を成しているキー（以降、カードキー３８と記す）を用いたカードキー型ドアロックシステムである。この種のカードキー型ドアロックシステムは、正規キーのカードキー３８を錠前３７のキー穴３９に挿し込み、ドアロックが解錠状態の際にこのカードキー３８を初期位置から一方向（例えば上方向）にスライド移動するとドアロックが施錠状態となり、ドアロックが施錠状態の際にこのカードキー３８を初期位置から他方向（例えば下方向）にスライド移動するとドアロックが解錠状態となる。なお、カードキー３８がコード凹凸キーに相当する。

また、本例の機械操作式ドアロックシステム３６はスマートエントリーシステム４の故障又は携帯機３の電池切れ等の緊急時に使用されるものであるので、この機械操作式ドアロックシステム３６用のキーである本例のカードキー３８は、スマートエントリーシステム４がトラブル下に置かれた時の緊急時に用いるエマージェンシーキーとして使用される。カードキー３８は、クレジットカード等の一般的なカード部材と同様の平板形状及びサイズをとっている。このため、カードキー３８は、使用しない際においては種々のクレジットカード等と同様に財布に収納される使用形態をとる。

カードキー３８のケース部分を成すキー本体部４０には、機械操作式ドアロックシステム３６のメカニカルキー用のキーコードとして、複数の孔有無群（凹凸群）から成る孔形成パターン４１が形成されている。孔形成パターン４１は、キー本体部４０においてその幅方向（図２の矢印Ｙ１方向）と長さ方向（図２の矢印Ｙ２方向）とに沿って例えば連続、１つおき、２つおき等の規則性を持って貫設された複数の孔４２と、これら孔４２が形成されていない孔無し部４３とから成るとともに、キー本体部４０の平面方向に亘り並んで配置されている。即ち、カードキー３８には、平板形状を成すキー本体部４０において孔４２の有る位置と孔４２の無い位置とから成る孔４２の有無群がメカニカルキーのキーコードとして形成されている。孔形成パターン４１は、孔４２が平断面円形状に形成されるとともに、キー本体部４０の先端寄りの位置に配置されている。なお、孔形成パターン４１がコード凹凸に相当し、孔４２が凹部に相当し、孔無し部４３が凸部に相当する。

図３〜図７に示すように、錠前３７には、この錠前３７の固定側としてスライダケース４４が設けられている。スライダケース４４は、錠前３７の本体部分を形成するものであって、例えば板厚が薄い直方体形状を成している。スライダケース４４は、その側壁にキー穴３９を有するとともに、車両ドア１ａの外壁に取着される取り付け状態をとっている。スライダケース４４の収納部４４ａには、錠前３７の可動側としてスライダ４５がスライダケース４４に対してスライド移動可能（直線移動可能）な状態で収納されている。スライダ４５は、板材から成るとともに、スライダケース４４の収納部４４ａ内においてスライダケース４４の長手方向に沿って移動可能となっている。なお、スライダケース４４が支持部材に相当し、スライダ４５が可動部材に相当する。

また、スライダ４５には、このスライダ４５においてカードキー３８の挿込箇所となるキー収納部４５ａが形成されている。このキー収納部４５ａは、カードキー３８がスムーズに入り込むように、カードキー３８の厚さよりも若干大き目の開口厚に形成されている。また、キー収納部４５ａは、図７に示すように、カードキー３８がキー収納部４５ａに入り易くなるように入口側の開口幅が広く形成されているとともに、挿し込まれたカードキー３８がスライダ４５に対して位置決め取り付けされるように、反入口側の開口幅が狭く形成されている。

図３〜図７に示すように、スライダケース４４とスライダ４５との間には、合い鍵以外の時はスライダ４５をスライダケース４４に固定して施解錠操作を不許可とするピンタンブラ４６が複数収納されている。これらピンタンブラ４６，４６…は、カードキー３８に配列されたそれぞれの孔４２及び孔無し部４３に対応して設けられ、カードキー３８が錠前３７に挿し込まれた際に、これら孔４２及び孔無し部４３に一対一で向き合う配置位置をとる。ピンタンブラ４６の個数は、例えばカードキー３８に孔４２及び孔無し部４３を合計２１個形成した場合、これに合わせて２１個形成されている。なお、ピンタンブラ４６がタンブラ部材に相当する。

ピンタンブラ４６，４６…は、スライダケース４４に凹設されたケース側収納穴４７に移動可能な状態で収納されたピン形状を成すプランジャピン４８と、スライダ４５に凹設されたスライダ側収納穴４９に移動可能な状態で収納されたピン形状を成すロックピン５０との一対のピン部品から成り、ケース側収納穴４７に収納されたタンブラスプリング５１によってスライダ４５側に常時付勢された取り付け状態をとっている。また、ロックピン５０、プランジャピン４８よりも長い形状を成すとともに、その先端が半円形状に形成されている。なお、タンブラスプリング５１が付勢部材に相当する。

また、ピンタンブラ４６，４６…は、ロックピン５０が短めに形成された第１ピンタンブラ４６ａと、ロックピン５０が長めに形成された第２ピンタンブラ４６ｂとから成る。第１ピンタンブラ４６ａは、錠前３７に正規のカードキー３８が挿し込まれた際、カードキー３８の孔無し部４３が位置する箇所に配置されている。第１ピンタンブラ４６ａは、図３に示すように錠前３７にカードキー３８が挿し込まれていないときや、図４に示すように錠前３７にカードキー３８が挿し込まれた際に孔４２に嵌り込んだ位置状態をとったとき、タンブラスプリング５１の付勢力によってスライダ４５に押し当てられた位置をとることにより、プランジャピン４８が一定の掛かり代Ｋだけスライダケース４４及びスライダ４５の両者に亘って係止するピンタンブラ係止状態をとり、スライダ４５のスライド移動を規制する。一方、第１ピンタンブラ４６ａは、図４に示すように錠前３７にカードキー３８が挿し込まれた際に孔無し部４３に向き合う位置状態をとると、カードキー３８の板厚（孔無し部４３）によりタンブラスプリング５１の付勢力に抗して掛かり代Ｋの量だけ上方にスライド移動する。これにより、第１ピンタンブラ４６ａは、プランジャピン４８とロックピン５０との境界（プランジャピン４８の２部品の境目）がスライダケース４４とスライダ４５との境界（スライダ４５の摺動面）に一致してピンタンブラ非係止状態となり、スライダ４５のスライド移動を許容する。

第２ピンタンブラ４６ｂは、錠前３７に正規のカードキー３８が挿し込まれた際、カードキー３８の孔４２が位置する箇所に配置されている。第２ピンタンブラ４６ｂは、図３に示すように錠前３７にカードキー３８が挿し込まれていないときや、図４に示すように錠前３７にカードキー３８が挿し込まれた際に孔４２に嵌り込んだ位置状態をとったとき、タンブラスプリング５１の付勢力によってスライダ４５に押し当てられた位置をとることにより、プランジャピン４８とロックピン５０との境界がスライダケース４４とスライダ４５との境界に一致してピンタンブラ非係止状態をとり、スライダ４５のスライド移動を許容する。一方、第２ピンタンブラ４６ｂは、図４に示すように錠前３７にカードキー３８が挿し込まれた際に孔無し部４３に向き合う位置状態をとると、カードキー３８の板厚（孔無し部４３）によりタンブラスプリング５１の付勢力に抗して押し上げられて上方にスライド移動する。これにより、第２ピンタンブラ４６ｂは、その押し上げ量分がロックピン５０の掛かり代Ｋとなってスライダケース４４及びスライダ４５の両者に亘って係止するピンタンブラ係止状態となり、スライダ４５のスライド移動を規制する。

スライダ４５は、スライダ４５のスライド運動をドアロックの機械的な操作力として伝達する伝達機構（図示略）を介して、車両ドア１ａのドアロック箇所であるデッドボルト（図示略）に接続されている。スライダ４５は、図５及び図６に示すように、錠前３７に挿し込んだカードキー３８でスライド移動操作が可能であって、中立位置を基準としてその両方向にスライド移動可能である。スライダ４５が中立位置を基準に一方向（図５の矢印Ｒ１方向）にスライド移動されると、このスライド運動が伝達機構によってデッドボルトの引き込み動作に変換され、車両ドア１ａが解錠状態となる。また、スライダ４５が中立位置を基準に他方向（図６の矢印Ｒ２方向）にスライド移動されると、このスライド運動が伝達機構によってデッドボルトの引き出し動作に変換され、車両ドア１ａが施錠状態となる。

ところで、例えば図７に示すようにカードキー３８を錠前３７に挿し込む際や、或いは図８に示すようにカードキー３８によるスライダ４５のスライド操作時にカードキー３８がスライダ４５に対してずれた際には、ピンタンブラ４６（ロックピン５０）はカードキー３８において自身に対応する孔４２以外の他の箇所と向き合う位置状態をとる。そこで、本例の孔形成パターン４１は、ピンタンブラ４６がカードキー３８において自身に対応しない箇所と向き合う位置状態をとる際に、この時に非対応の孔４２に落ち込む動作をとらないように、ピンタンブラ４６と非対応の孔４２とが同一中心をとならい配置パターンに形成されている。

これを具体的に説明すると、本例の孔形成パターン４１の孔４２及び孔無し部４３は、錠前３７に挿し込んだカードキー３８でスライダ４５をスライド移動する時のスライダ操作方向（図７の矢印Ｙ１方向）に対して斜めを向く位置をとるとともに、カードキー３８を錠前３７に挿し込む際のキー抜挿方向（図７の矢印Ｙ２方向）に対しても斜めを向く配置パターンをとっている。より詳しく言うと、これら孔４２及び孔無し部４３においてスライダ操作方向Ｙ１に列並びで位置する孔有無群を一単位と見た場合、これら各単位がスライダ操作方向Ｙ１に対して平行に並びつつ斜めを向く配置状態をとるとともに、これら孔４２及び孔無し部４３においてキー抜挿方向Ｙ２に列並びで位置する孔有無群を一単位と見た場合、これら各単位がキー抜挿方向Ｙ２に対して平行に並びつつ斜めを向く配置状態をとっている。なお、スライダ操作方向Ｙ１及びキー抜挿方向Ｙ２がキー移動方向を構成する。

また、本例の孔形成パターン４１は、ピンタンブラ４６が他の孔４２に重なり合い状態をとる時の重なり面積Ｓａ（図７の斜線部分）ができる限り小さくなるように設定されている。この重なり面積Ｓａの設定は、スライダ操作方向Ｙ１に列並びした孔有無群の配列軌跡Ｌ１とこのスライダ操作方向Ｙ１とでなすスライド移動方向配列角度θ１と、キー抜挿方向Ｙ２に列並びした孔有無群の配列軌跡Ｌ２とこのキー抜挿方向Ｙ２とでなすキー抜挿方向配列角度θ２と、隣同士の孔４２（孔無し部４３）の間の距離である孔距離Ｌａと、孔４２の円径である孔径Ｌｂとを好適な値に設定することによって行う。本例の場合、孔距離Ｌａは全て同じ値に設定されるとともに、孔径Ｌｂも全て同じ値に設定されている。

ところで、カードキー３８のコード照合先であるピンタンブラ４６は、カードキー３８にキーコードとして形成された孔４２や孔無し部４３に対して一対一で設けられつつ、しかもこれらと向き合った位置状態をとっていなければならない。よって、本例のピンタンブラ４６は、図７に示すように、孔４２や孔無し部４３が斜めに配置されたカードキー３８に合わせて、並びが斜めをとる配置状態をとっている。即ち、ピンタンブラ４６は、カードキー３８に孔４２及び孔無し部４３を形成する時と同じ条件に則って配置位置が設定されている。

次に、本例の機械操作式ドアロックシステム３６の動作を説明する。
駐車状態（エンジン停止、ドアロック施錠状態）の車両１に乗車する状況を想定した場合、例えばキー操作フリーシステム２がシステム故障したり、或いは携帯機３が電池切れになったりすると、この時はキー操作フリーシステム２でドアロックの施解錠を行うことができないので、機械操作式ドアロックシステム３６を使用して車両ドア１ａを解錠することになる。機械操作式ドアロックシステム３６のキーであるカードキー３８は財布等に収納された使用形態がとられることから、機械操作式ドアロックシステム３６で車両ドア１ａを解錠するに際してはカードキー３８を財布等から取り出し、このカードキー３８を錠前３７のキー穴３９に挿し込む動作をとる。カードキー３８を錠前３７に挿し込む際、スライダ４５は中立位置をとっている。

ここで、カードキー３８が錠前３７に挿し込まれていない場合、図３に示すように、第２ピンタンブラ４６ｂはピンタンブラ非係止状態をとるものの、第１ピンタンブラ４６ａがピンタンブラ係止状態をとるので、スライダ４５は第１ピンタンブラ４６ａによってスライダケース４４に固定された状態をとる。よって、スライダ４５はスライダケース４４に対して移動することが制限されるので、例えば仮に錠前３７のキー穴３９に指等を引っ掛けてスライダ４５をスライド移動させよう不正操作を行っても、この不正操作でスライダ４５がスライド移動することがない。このため、単に錠前３７のキー穴３９に指等を引っ掛けてスライダ４５をスライド移動させることによる錠前３７の施解錠操作が不許可となる。

一方、カードキー３８をキー穴３９に挿し込んだ場合、その挿し込み過程においてカードキー３８の端縁がピンタンブラ４６，４６…の先端下側に潜り込み、ピンタンブラ４６，４６…がカードキー３８の板厚によって反スライダ４５側に持ち上げられる。カードキー３８を錠前３７に挿し込む過程時には、ピンタンブラ４６はカードキー３８の板面上を滑りつつ、この時は対応しない孔４２とは互いの中心位置が一致する状態をとならないことから、これら対応しない孔４２に落ち込む動作をとらず、対応する孔４２が向き合う位置に到達した時に、初めてピンタンブラ４６と孔４２とは互いの中心位置が一致することから、ピンタンブラ４６がその対応する孔４２に落ち込む動作をとる。そして、キー穴３９に挿し込んだカードキー３８が正規キーであれば、図４に示すように、第１ピンタンブラ４６ａの位置にカードキー３８の孔無し部４３が位置し、第２ピンタンブラ４６ｂの位置にカードキー３８の孔４２が位置する。

錠前３７に挿し込まれたカードキー３８が正規キーの場合、第１ピンタンブラ４６ａは、タンブラスプリング５１の付勢力に抗して、カードキー３８の孔無し部４３によりカードキー３８の板厚で上方に押し上げられる状態をとり、プランジャピン４８とロックピン５０との境目が、スライダケース４４とスライダ４５との境目に一致したピンタンブラ非係止状態となる。また、第２ピンタンブラ４６ｂは、カードキー３８の孔４２に嵌り込むので、タンブラスプリング５１によりスライダ４５側に押し込まれた位置状態をとり、プランジャピン４８とロックピン５０との境目が、スライダケース４４とスライダ４５との境目に一致したピンタンブラ非係止状態をとる。

これにより、錠前３７は、第１ピンタンブラ４６ａ及び第２ピンタンブラ４６ｂの両者がともにピンタンブラ非係止状態をとることから、スライダ４５がスライダケース４４に対してスライド移動することが許容されたスライダ操作許可状態となる。錠前３７がスライダ操作許可状態となると、錠前３７に挿し込んだカードキー３８でスライダ４５をその中立位置からスライド移動することが可能となる。そして、錠前３７を解錠すべく錠前３７に挿し込んだ正規のカードキー３８を一方向（図５の矢印Ｒ１方向）にスライド操作してスライダ４５を一方向にスライド移動（図５の状態）すると、この時のスライド運動が伝達機構を介してデッドボルトに伝達され、それまで飛び出し状態にあったデッドボルトが引き込み、車両ドア１ａが解錠状態となる。

各々のピンタンブラ４６はプランジャピン４８とロックピン５０とが向き合った（重なった）位置状態をとっていないと、ピンタンブラ４６の上下動が許容されないので、錠前３７に挿し込んだカードキー３８は各々のピンタンブラ４６においてプランジャピン４８とロックピン５０とが向き合っていないと錠前３７から取り出すことができない。よって、車両ドア１ａを解錠した後、錠前３７に挿し込んだカードキー３８を錠前３７から取り出す時は、カードキー３８を挿し込み時の初期位置に戻してスライダ４５を中立位置に位置させ、各々のプランジャピン４８とロックピン５０とを向き合わせる。運転者はカードキー３８を初期位置に戻した後、カードキー３８を錠前３７から引き抜き、このカードキー３８を所持して車内に乗車する。運転者は、以上のカードキー操作を行って乗車する。

一方、機械操作式ドアロックシステム３６で車両ドア１ａを施錠する場合は、スライダ４５が中立位置に位置する錠前３７に正規のカードキー３８を挿し込み、このカードキー３８を他方向（図６の矢印Ｒ２方向）に動かしてスライダ４５を他方向にスライド移動（図６の状態）する操作を行う。このとき、スライダ４５のスライド運動が伝達機構を介してデッドボルトに伝達され、それまで引き込み状態にあったデッドボルトが外部に飛び出す状態をとり、車両ドア１ａが施錠状態となる。錠前３７を施錠状態とした後にカードキー３８を錠前３７から抜く場合には、錠前３７を解錠状態とする時と同様に、カードキー３８をカード挿し込み時の初期位置に位置してスライダ４５を中立位置に位置させ、その後にカードキー３８を錠前３７から引き抜くことにより行う。

ところで、カードキー３８でスライダ４５を一方向や他方向にスライド移動操作する際、カードキー３８に付与する操作力（操作速度）の大きさによっては、図８に示すように、スライダ４５がスライド移動していないにも拘わらずカードキー３８のみがスライド移動して、カードキー３８がスライダ４５に対してその時のスライダ操作方向Ｙ１に沿ってずれることも想定される。この状態となると、それまでカードキー３８の孔形成パターン４１とコード一致状態をとっていたピンタンブラ４６（ロックピン５０）がカードキー３８において関係のない箇所と向き合う位置状態をとる。

しかし、本例のカードキー３８の孔４２及び孔無し部４３はスライダ操作方向Ｙ１に対して傾き配置されているので、２種類存在する長さの異なるロックピン５０ａ，５０ｂのうち、図８に示すように、長いロックピン５０ｂはカードキー３８の板厚で持ち上げられてスライダケース４４のケース側収納穴４７に嵌り込んでロック状態をとるものの、図９に示すように、短いロックピン５０ａはただ単にカードキー３８の板面上を滑るだけであることから、そのままのアンロック状態を維持する。よって、カードキー３８の孔４２及び孔無し部４３をスライダ操作方向Ｙ１に対して傾き配置すれば、２種類のロックピン５０ａ，５０ｂ（第１プランジャピン４６ａ、第２プランジャピン４６ｂ）のうち、長いロックピン５０ｂのみがロック状態になり得る対象となる。

ところで、カードキー３８がスライダ４５に対して位置ずれした際には、カードキー３８をその時とは反対側にスライド操作して、カードキー３８の孔４２を対応するロックピン５０ｂに位置合わせすることにより、カードキー３８を元の正規位置に戻すカード位置合わせを行う必要がある。よって、カードキー３８がスライダ４５に対して位置ずれした状況下においては、カードキー３８を反対側にスライド操作して、カードキー３８の孔４２を対応するロックピン５０ｂに位置させて、ロックピン５０ｂをカードキー３８の孔４２に再度落ち込ませる。これにより、カードキー３８はスライダ４５に対して正規の位置状態をとることになり、通常通りの施解錠操作が再度可能となる。

ところで、スライダ４５に対して位置ずれしたカードキー３８を元の正規位置に戻す際には、カードキー３８の孔４２や孔無し部４３を正規のピンタンブラ４６に位置させる作業を行う訳であるが、この位置合わせ作業は微妙な位置合わせを必要とする非常に込み入った作業である。ここで、もし仮に２種類存在するピンタンブラ４６ａ，４６ｂの両方が不慮にロック状態となってしまった場合を想定すると、この場合はこれら両方のピンタンブラ４６ａ，４６ｂのロック状態を解除するために、カードキー３８の孔４２及び孔無し部４３を正確にピンタンブラ４６ａ，４６ｂ（ロックピン５０ａ，５０ｂ）に位置決めする必要があり、非常に面倒な作業を強いられることになる。

しかし、本例においては、カードキー３８の孔４２及び孔無し部４３をスライダ操作方向Ｙ１に対して傾き配置したので、錠前３７に挿し込んだカードキー３８でスライダ４５をスライド移動した際において、仮にカードキー３８がスライダ４５に対してずれたとしても、この時にアンロック状態からロック状態となってしまうロックピン５０は長いロックピン５０ｂのみとなる。よって、カードキー３８の戻し操作の際に位置合わせを行わなければならなりロックピン５０は長いロックピン５０ｂのみで済むことから、この戻し操作時における位置合わせ対象が両方のピンタンブラ４６ａ，４６ｂであった時に比べて少なくなる。このため、多数箇所での位置合わせ作業が不要となるので、カードキー３８の戻し操作に手間がかかり難くなる。

また、本例は、カードキー３８の孔４２及び孔無し部４３をキー抜挿方向Ｙ２に対して傾き配置したので、カードキー３８を錠前３７に挿し込む際、ピンタンブラ４６はカードキー３８の板厚で一旦乗り上げる動作をとるが、自身に向き合う位置に対応する孔４２が位置するまで上下動しない。即ち、錠前３７をカードキー３８に挿し込む際、ピンタンブラ４６は自身に対応する孔４２が向き合う状態となるまでカードキー３８の板面上を滑り、他の関係のない孔４２に落ち込んで上下動する動作を行わない。このため、カードキー３８を錠前３７に挿し込む際に、ピンタンブラ４６を無駄に上下動させずに済むので、ピンタンブラ４６の先端摩耗やタンブラスプリング５１等の部品耐久性を向上することが可能となる。

本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
（１）カードキー３８にメカニカルキー用のキーコードとして孔４２及び孔無し部４３を形成する際、これら孔４２及び孔無し部４３をスライダ操作方向Ｙ１及びキー抜挿方向Ｙ２に対して傾けて配置した。このため、カードキー３８を錠前３７に挿し込む際や、錠前３７に挿し込んだカードキー３８でスライダ４５をスライド操作する時にカードキー３８がスライダ４５に対して位置ずれした際に、ピンタンブラ４６（ロックピン５０）が自身に対応しない他の孔４２に落ち込んでしまうことを防止することができる。このように、カードキー３８を錠前３７に挿し込む際において、ピンタンブラ４６が他の孔４２に落ち込んでしまうことを防止できれば、ピンタンブラ４６を無駄に上下動させずに済むので、ピンタンブラ４６の部品耐久性を向上することができる。また、スライダ４５のスライド操作時にカードキー３８がスライダ４５に対して位置ずれした際において、ピンタンブラ４６が他の孔４２に落ち込んでしまうことを防止できれば、キー位置ずれの際にロック状態をとってしまうピンタンブラ４６の数が少なく済む。このため、カードキー３８を元の正規状態に戻し操作する際に、正確に位置合わせを行ってロック状態を解除しなければならないロックピン５０の数が少なく済むので、キー戻し操作を煩わしさの感じ難いものとすることができる。

（２）孔４２及び孔無し部４３は、自身の中心位置をとりつつスライダ操作方向Ｙ１やキー抜挿方向Ｙ２に沿う直線が同一直線をとらないようにずらし配置されているので、これらは全て方向Ｙ１，Ｙ２に対してずれた配置位置をとることになる。このため、カードキー３８を錠前３７に挿入する際や、スライダ操作時にカードキー３８がスライダ４５に対して位置ずれした際に、関係のない他の孔４２に落ち込んでしまう動作を全てのロックピン５０にとらせなくすることができる。

（３）カードキー３８にキーコードとして形成する孔４２及び孔無し部４３をスライダ操作時Ｙ１及びキー抜挿方向Ｙ２に対してずらし配置するに際しては、各方向Ｙ１，Ｙ２に沿って列並びする孔有無群を一単位として、これらを各々の方向Ｙ１，Ｙ２に対して傾けて配置することにより行う。このため、孔４２及び孔無し部４３をこれら方向Ｙ１，Ｙ２に対してずらして配置する際に、例えば孔４２や孔無し部４３を不規則に配置する場合に比べて、簡単な製造工程で位置ずらし状態の孔４２及び孔無し部４３を製造することができる。

（４）キー操作フリーシステム２のエマージェンシーキーとして、クレジットカード等のカード部材にキーコードとして孔形成パターン４１を形成することで成るカードキー３８を使用する。このため、携帯機３にメカニカルキー用のエマージェンシーキーを収納する必要がなくなるので、携帯機３のキーサイズを小型化することができる。また、この種のカード部材は例えば財布等に収納可能なサイズを有するものであるので、カード部材をエマージェンシーキーとして使用するようにしたとしても、このキーの所持に関して不便さを感じることはない。

（５）機械操作式ドアロックシステム３６の錠種類に、係止部品が２種類のピン部材から成るピンタンブラ式の錠前３７を使用したので、使用錠前を簡素なものとすることができる。

（６）カードキー３８は薄いカード型形状を成すものであるので、収納先が例えば財布等の収納スペースが小さな場所であっても、カードキー３８をその場所に収納することができ、カードキー３８の持ち運びに煩わしさを感じることがない。

（７）カードキー３８に形成されるキーコードは、カード材（板材）に孔４２が形成されたか否かで表現された孔形成パターン４１を使用している。ところで、カードキー３８にキーコードを形成するに際して、例えば孔４２を穴（貫通していない凹み）に置き換えることも可能であるが、この種の穴には底部が存在することから、穴に充分な深さを持たせるためには、カードキー３８のキー厚さが厚くなる問題がある。しかし、本例のようにカードキー３８のキーコードの凹部として孔４２を採用すれば、穴を用いた際に必要であった底部が不要となるので、その分だけキー厚さを薄くすることが可能となる。よって、カードキー３８のキーコードとして孔４２の有無パターンから成る孔形成パターン４１を用いれば、カードキー３８のキー厚さを薄く済ますことができる。

なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・ カードキー３８は、先に述べたクレジットカード等に限定されず、例えば内部に無線通信機構（ＲＦＩＤタグ）を持って本人認証や電子決済が可能なキーでもよい。

・ 孔形成パターン４１の孔形状は、単なる円に限定されず、小円、大円、長円、四角、三角等や、或いはこれらの組み合わせでもよい。
・ 孔４２及び孔無し部４３の合計数は、必ずしも図中の１９個に限定されず、適宜変更可能である。また、孔４２及び孔無し部４３の配置パターンは、必ずしも等間隔であることに限定されず、これらが各々異なる間隔を持って配置されていてもよい。

・ 機械操作式ドアロックシステム３６のメカニカルキーは、その形状がクレジットカードのような極めて薄い板形状を成したカードキー３８に限定されず、例えばメモリーカードのような若干厚みのある板状部材でもよい。また、このメカニカルキーは、四角形状（長方形形状）に限定されず、例えば円形等の他の形状を採用してもよい。

・ カードキー３８にキーコードとして形成される凹部は、板材を貫通した孔４２に限定されず、例えば板材を貫通しない穴でもよい。
・ 錠前３７は、カードキー３８を介して人力によりスライダ４５をスライド移動する機械式に限らず、例えばピンタンブラ群が全てピンタンブラ非係止状態になったことをセンサで検出した際にモータ等によりスライダ４５が自動でスライド移動する電気式でもよい。

・ 錠前３７は、錠前３７を操作する時に動く可動部材（スライダ４５）が直線方向に動くスライド式に限定されず、例えばキーを錠前３７に挿し込んでこれを回すことにより施解錠操作を行う回転式を用いてもよい。

・ 錠前３７は、必ずしも中立位置を基準にスライダ４５を一方にスライド移動すると解錠状態となり、スライダ４５を他方にスライド移動すると施錠状態となる錠構造に限定されず、例えば一方向にスライダ４５を中立位置から一スライド移動する度に、錠が施錠状態及び解錠状態の間で切り換わる錠構造でもよい。

・ ピンタンブラ群を付勢する付勢部材は、必ずしもスプリングに限定されず、例えばゴム材を使用してもよい。
・ 錠前３７の錠構造は、２つのピン部材から成るピンタンブラ式に限らず、例えばタンブラが板形状を成すディスクタンブラ式でもよい。

・ リレー３２〜３４のオン方式は、電源ＥＣＵ２８が管理してオンオフを切り換える電気式に限らず、例えば実際のキー操作（操作アクション）に伴ってリレーのオンオフ状態が切り換えられる機械式でもよい。

・ 電子キーシステムは、正規の携帯機３を所持していればドアロック施解錠やエンジン始動停止が自動で許可又は実行されるキー操作フリーシステム２に限定されない。例えば、電子キーに各種操作ボタンを形成し、このボタンが押されると、その操作要求コマンドとキーコードとが無線で車両１に発信されるワイヤレスキーシステムでもよい。

・ 車両１のエンジン始動停止系は、必ずしもワンプッシュエンジンスタートシステム２４に限定されず、メカニカルキー（カードキー３８）をエンジン始動停止用キーシリンダに挿し込んで、これを回すことにより行う機械操作式エンジン始動停止システムでもよい。この場合、車両１の電源切り換えもカードキー３８で可能としてもよい。

・ カードキー３８を用いた機械操作式キーシステムは、必ずしもスマートエントリーシステム４の非常用として使用されることに限らず、例えばワンプッシュエンジンスタートシステム２４の非常用として使用してもよい。要は本例のカードキー３８を用いた機械操作式キーシステムは、スマートエントリーシステム４及びワンプッシュエンジンスタートシステム２４の少なくともどちらかに採用されていればよい。

・ キー操作フリーシステム２は、携帯機３に内蔵した通信タグ部品を用いて無線ＩＤ照合を行うイモビライザーシステムを備えていてもよい。イモビライザーシステムは、携帯機３を車内のトランスポンダキーコイルに近づけることにより、このコイルから発信される駆動電波によって携帯機３内のトランスポンダを起動させ、起動したトランスポンダが返信してきたトランスポンダコード信号内のコード番号を車両１側で照らし合わせてＩＤ照合（イモビライザー照合）を行うシステムである。この場合、エンジン始動時に必要な車内照合成立は、キー操作フリーシステム２に準じたＩＤ照合成立（車内照合）を条件とすることに限らず、キー操作フリーシステム２とイモビライザーシステムとのどちらかのＩＤ照合が成立していればよい。

・ カードキー３８を用いた本例の機械操作式ドアロックシステム３６は、必ずしも車両１に搭載されることに限らず、例えば住宅の扉などの種々のものに搭載してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。

（１）請求項１〜３のいずれかにおいて、前記錠前は、当該錠前の可動部材に移動可能な状態で取り付けられた第１係止ピンと、当該錠前の固定側である支持部材に移動可能な状態で取り付けられた第２係止ピンとの２者から成るピンタンブラが、前記コード凹凸の凹部及び凸部の位置に対応して複数形成されたピンタンブラ式であり、自身のキー穴に前記コード凹凸キーが挿し込まれた際、前記付勢部材の付勢力によって押され状態にある前記ピンタンブラの位置状態を前記コード凹凸で切り換えて、各々の前記ピンタンブラが前記係止をとるか否かを見ることを前記キー照合として行い、前記ピンタンブラの全てにおいて２者ピン間の境界が前記可動部材及び前記支持部材の境界に一致して前記キー照合が成立すれば、前記可動部材が前記支持部材に対して相対移動可能となって、前記コード凹凸キーによるキー操作が可能となる。この構成によれば、錠前としてピンタンブラ式を使用しているので、錠前を簡素な構造とすることが可能となる。

（２）請求項１〜３及び前記技術的思想（１）のいずれかにおいて、前記コード凹凸は、前記キー本体部に規則性を持って貫設された孔の形成パターンであり、前記キー照合は、この孔形成パターンが正規パターンであるか否かを判定する孔形成パターン判定式である。この構成によれば、コード凹凸キーにはキー固有のキーコードとして孔の有無から成る孔形成パターンが形成され、この孔形成パターンを錠前のピンタンブラと照らし合わせることによりキー照合が実施される。ところで、コード凹凸キーにキーコードを形成するに際しては、例えば孔ではなく孔有りの凹部によりキーコードを形成することも可能であるが、この場合は凹部が持つ底部の分だけキー厚さが必要になり、凹部にある程度の深みを持たせようとすると、コード凹凸キーのキー厚さが相対的に厚くなる。しかし、本構成のようにキーコードを孔形成パターンとした場合には、キーコードの凹み箇所を貫通形状とすることが可能となるので、凹部を用いた際に必要となる底部の厚さを考えずに済み、凹部を使用した場合に比べてキーの薄型化を図ることが可能となる。

（３）請求項１〜３及び前記技術的思想（１），（２）のいずれかにおいて、前記コード凹凸キーは、全体形状がカード型を成したカード型キーである。この構成によれば、コード凹凸キーがカード型キーであるので、収納先が小さなスペースであってもその場所に収納することが可能となり、キーの持ち運びに煩わしさが生じ難くなる。

一実施形態のキー操作フリーシステムの概略構成を示すブロック図。 機械操作式ドアロックシステムの錠前及びカードキーの概略を示す斜視図。 カードキーが挿し込まれていない状態の錠前の断面図。 正規のカードキーが挿し込まれた状態の錠前の断面図。 カードキーで錠前を解錠操作した際の錠前の断面図。 カードキーで錠前を施錠操作した際の錠前の断面図。 カードキーの孔形成パターンの形成条件を説明するキー及び錠前の平面図。 カードキーがスライダ内でスライド操作方向にずれた際の錠前の部分断面図。 カードキーがスライダ内でスライド操作方向にずれた際の錠前の部分断面図。 従来におけるカード型キーシステムの構成例を示す平面図。 カードキーが挿し込まれていない状態の錠前の断面図。 異コードのカードキーが挿し込まれた状態の錠前の断面図。 正規のカードキーが挿し込まれた状態の錠前の断面図。 カードキーがスライダ内でスライド操作方向にずれた際の錠前の断面図。

符号の説明

１…車両、２…電子キーシステムとしてのキー操作フリーシステム、３…電子キーとしての携帯機、３６…機械操作式キーシステムとしての機械操作式ドアロックシステム、３７…錠前（錠）、３８…コード凹凸キーとしてのカードキー、４０…キー本体部、４１…コード凹凸としての孔形成パターン、４２…凹部としての孔、４３…凸部としての孔無し部、４４…支持部材としてのスライダケース、４５…可動部材としてのスライダ、４６（４６ａ，４６ｂ）…タンブラ部材としてのピンタンブラ、５１…付勢部材としてのタンブラスプリング、Ｙ１…キー移動方向（可動部材操作方向）を構成するスライダ操作方向、Ｙ２…キー移動方向を構成するキー抜挿方向。

Claims (3)

1. キー本体部の少なくとも一平面方向に沿って並ぶ凹凸群をキーコード用のコード凹凸として持つコード凹凸キーがキーとして使用され、錠の可動部材を当該錠の固定側である支持部材に係止し得るタンブラ部材が前記コード凹凸の凹部及び凸部の位置に対応して複数形成された錠前に前記コード凹凸キーが挿し込まれた際、付勢部材の付勢力によって押され状態にある前記タンブラ部材の位置状態を前記コード凹凸で切り換えて、各々の前記タンブラ部材が前記係止をとるか否かを見ることをキー照合として行うコード凹凸照合式キーシステムにおいて、
   前記コード凹凸は、前記コード凹凸キーを前記錠前に抜き挿しするキー抜挿方向に列並びで位置する凹凸群を一単位としたとき、これら単位が当該キー抜挿方向に対して斜めを向くように配置され、前記錠前に挿し込んだ前記コード凹凸キーで前記可動部材を移動させる可動部材操作方向に列並びで位置する凹凸群を一単位としたとき、これら単位が当該可動部材操作方向に対して斜めを向くように配置され、
   前記凹部及び前記凸部は、自身の中心位置を取りつつ少なくとも前記キー抜挿方向に沿う直線が全て同一直線をとらないようにずらし配置されていることを特徴とするコード凹凸照合式キーシステム。
2. 前記凹部及び前記凸部は、同じ一単位において、それぞれの中心位置が同一直線状に並ぶように配置されていることを特徴とする請求項１に記載のコード凹凸照合式キーシステム。
3. 車両キーである電子キーからキー固有のキーコードを無線通信により発信して、その時のキー照合成立を条件に車両動作を許可又は実行する電子キーシステムを備えつつ、実際のキー操作を伴う機械式キー操作により前記車両動作を行う機械操作式キーシステムも備えた車両に使用され、前記コード凹凸を前記機械操作式キーシステムのキーコードとして設定することにより、前記コード凹凸キーを前記電子キーシステムのエマージェンシーキーとして使用することを特徴とする請求項１又は２に記載のコード凹凸照合式キーシステム。

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