JP5269513B2 - スプレー用組成物およびそれを用いたスプレー噴霧装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ミスト状に噴射でき、塗布面でゲル状となるスプレー用組成物およびそれを用いたスプレー噴霧装置に関するものである。
スプレー製品は、ヘアケア製品、スキンケア製品、芳香剤、洗浄剤、各種コーティング剤、農薬などの広い分野の製品に使用されている。そして、多くのスプレー製品は、液状の組成物をスプレー装置に充填することにより、製品化されている。スプレー製品として望まれる特性は、通常のスプレー容器を使用して広い環境条件(温度や湿度等)でスプレー可能なこと、スプレーの液滴が,使用する用途に応じて好適な大きさとなり,かつ噴霧むらが生じないこと、垂直面や傾斜面などへ噴霧する際に液だれが発生しにくいこと等があげられる。
ところで、近年、スプレー可能なゲル状の組成物が、数多く提案されている(特許文献1〜4参照)。これらのスプレー可能なゲル状の組成物は、垂直面や傾斜面へスプレーした際に液だれが発生しないという優れた特性を示す。
例えば、上記特許文献1には、粘土鉱物であるスメクタイトを用いたゲル状ミスト化粧品が提案されており、上記特許文献2には、同じく粘土鉱物であるヘクトライトを用いたゲル状のスプレー用組成物が提案されている。これら粘土鉱物は粒子が非常に小さいため、水やその他溶媒により膨潤し、分散してゾル・ゲルを形成する。これらの粘土鉱物の分散液はチキソトロピー性を有しており、そのため一定以上の圧力(力)を加えると液化し、圧力(力)を取り除くと直ちにゲル化する性質を示す。この粘土鉱物特有の性質を利用して、上記スプレー用組成物をスプレー容器と組み合わせることにより、液だれを発生させずにスプレーすることが可能となる。
また、上記特許文献3には、粘度の高い水性原液をミスト状に噴霧して液だれもなく均一に付着させるエアゾール組成物が提案されている。この水性原液にはセルロース系増粘剤と架橋型アクリル系増粘剤が使用されており、これらの増粘剤は高い粘度であっても糸引き性(曳糸性)を示すことなく、また高いチキソトロピー性を示すことから優れたゲル状のスプレー用組成物となりうる。
また、上記特許文献4には、平均重合度(DP)が100以下、セルロースI型結晶成分の分率が0.1以下、セルロースII型結晶成分の分率が0.4以下で、かつ、平均粒子径が2μm以下であるセルロース微粒子と、液状分散媒体とを含有する組成物であって、その組成物中のセルロース濃度が0.1〜5.0重量%であり、かつ、その組成物のコーン・プレート型回転粘度計を用いて測定する少なくとも1×10-3-1〜1×102 -1を含むずり速度領域で25℃で測定した粘度−ずり応力曲線における粘度の最大値(ηmax )が、ηmax ≧1×103 mPa・sであることを特徴とするスプレー剤用の組成物が提案されている。このスプレー剤組成物に使用されているセルロース微粒子は、天然セルロースまたは再生セルロースを酸加水分解処理して得ることができる。上記のようなセルロース粒子を用いたスプレー用組成物は、水性媒体中で透明であり、吹き付けられた表面に母液滴が良好に定着し、噴霧むらが生じにくく、母液滴の垂直面や傾斜面での液だれが発生しないなど優れた特性を有している。
特開平9−241115号公報 特開2000−51682公報 特開2006−321760公報 特開2003−73229公報
しかしながら、上記特許文献1および特許文献2のスプレー用組成物は、その粘土鉱物の分散によって分散液が不透明であり、しかも粘土鉱物独特の着色がみられるため、透明性が求められる用途には使用できないという問題がある。また、スプレーした塗膜を乾燥させると、粉吹きが生じやすいという問題もある。さらに、溶媒中にアルコールが存在すると、粘土鉱物が凝集し、スプレー特性(噴霧特性)が大きく低下する等の問題もある。
また、上記特許文献3のスプレー用組成物は、その増粘剤(特に、架橋型アクリル系増粘剤)が、電解質などの塩類やイオン性物質の存在下で機能低下するため、組成物の粘度が大きく低下する。そのため、粘度が要求されるスプレー用組成物として利用する場合、配合できる機能性添加剤(電解質やイオン性物質等)に制限があるという問題がある。
また、上記特許文献4のスプレー用組成物は、アニオン性活性剤、無機塩、カルボキシメチルセルロースなど、イオン性を有している物質を添加した場合、少量の添加であってもセルロース分子の水和が阻害されて凝集・沈降を起こす。スプレー用組成物には、通常、イオン性物質等の各種機能性添加剤を配合し、製品化されるが、特許文献4に記載のセルロース微粒子は、上記の事情から、配合できる機能性添加剤に制限があるという問題がある。
以上のように、従来提案されているスプレー可能なゲル組成物は、総括すると、下記の(1)および(2)に示すような問題がある。
(1)使用する用途等が限定され、かつスプレーされた塗膜が乾燥すると、粉吹きが生じる。
(2)イオン性物質や電解質等の存在下で、粘度が大きく低下してゲル状態を保てなかったり、増粘剤自体の凝集・沈降がみられるようになる。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、電解質やイオン性物質等の機能性添加剤の存在下でも粘度が低下せず、経時的に安定なゲル形状を保ち、かつ、スプレーすることが可能な、スプレー用組成物およびそれを用いたスプレー噴霧装置の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、下記の(A))成分を含有し、(A)成分のセルロース繊維の含有割合が0.1〜3.0重量%であり、かつ、コーン・プレート型回転粘度計の測定による,1×10-3-1〜1×103 -1を含むずり速度領域において,20℃で測定した粘度の最大値(ηmax )がηmax ≧1×104 mPa・sであり、最小値(ηmin )がηmin ≦1×102 mPa・sであるスプレー用組成物を第一の要旨とする。
(A)最大繊維径が1000nm以下で、数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、セルロースI型結晶構造を有するとともに、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてアルデヒド基およびカルボキシル基に変性され、上記カルボキシル基を0.6〜2.0mmol/gおよび上記アルデヒド基を0.05〜0.3mmol/g有する、セルロース繊維。
(B)水。
(C)電解質、イオン性物質、界面活性剤、オイル類、保湿剤、有機微粒子、無機微粒子、防腐剤、消臭剤および香料からなる群から選ばれた少なくとも一つの機能性添加剤。
また、本発明は、上記第一の要旨のスプレー用組成物を収容するスプレー噴霧装置を第二の要旨とする。
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。そして、その研究の過程で、特殊な微細セルロース繊維を、スプレー用組成物の材料として用いることを想起した。この微細セルロース繊維は、最大繊維径が1000nm以下、数平均繊維径が2〜150nmであり、分散媒体である水中でセルロース繊維の沈降を生じず、流動性を保持したまま透明のゲル状となるが、スプレーする際には、そのスプレー圧により直ちに液化するため、良好にスプレー塗布することができる。また、このセルロースは、I型結晶構造を有する天然由来のセルロース固体原料を表面酸化し微細化した繊維であり、スプレー塗布された母液滴は、再度ゲル化するため、定着性も良好であり、噴霧むらも生じにくく、母液滴の垂直面や傾斜面での液だれが発生しないといった特性を示す。さらに、そのセルロースの水酸基の一部(セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基)が、選択的に酸化されることによりカルボキシル基やアルデヒド基といった官能基となっており、この官能基量が特定の範囲に設定されているため、上記セルロースを少量添加するだけで、高粘度化を達成することができ、効率的にゲル状態を保つことができ、それとともに、電解質やイオン性物質の存在下であっても、分離や離水などを起こさずに、高い粘度でゲル状態を保つことから、所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。
以上のように、本発明のスプレー用組成物は、特殊なセルロース繊維と、水と、機能性添加剤(電解質、イオン性物質等)とを含有する。このように、本発明の上記組成物は、電解質やイオン性物質等の機能性添加剤を含んでいても、経時的に安定なゲル状態を保つことができるため、その用途において必要とされる各種の機能性添加剤を、何ら支障なく配合することができる。また、本発明のスプレー用組成物は、その必須成分のみで構成されたものは透明であり、しかも、スプレーする際には、そのスプレー圧により直ちに液化するため、良好にスプレー塗布することができる。そして、このようにスプレー塗布された母液滴は、再度ゲル化するため、定着性も良好であり、噴霧むらも生じにくく、母液滴の垂直面や傾斜面での液だれが発生しない。また、本発明のスプレー用組成物により形成された塗膜は、乾燥しても粉吹きを生じない。
そして、本発明では、上記特殊なセルロース繊維の含有割合が0.1〜3.0重量%であり、かつ、コーン・プレート型回転粘度計の測定による,1×10-3-1〜1×103 -1を含むずり速度領域において,20℃で測定した粘度の最大値(ηmax )が、ηmax ≧1×104 mPa・sであることから、液だれが発生せずに、良好なスプレー塗布が可能となる。また、本発明では、上記粘度の最小値(ηmin )がηmin ≦1×102 mPa・sであることから、微細な母液滴としてスプレーされ、むらが生じない。
また、上記特殊なセルロース繊維が、N−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化されたものであると、そのセルロース繊維のカルボキシル基量やアルデヒド基量を、好適な範囲となるよう容易に設定することができ、スプレー用組成物として、より良好な結果を得ることができる。
そして、上記スプレー用組成物を収容してなるスプレー噴霧装置は、上記のような本発明のスプレー用組成物の特有の効果を、より有効に発揮することができる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明のスプレー用組成物は、先に述べたように、下記の(A))成分を含有し、(A)成分のセルロース繊維の含有割合が0.1〜3.0重量%であり、かつ、コーン・プレート型回転粘度計の測定による,1×10-3-1〜1×103 -1を含むずり速度領域において,20℃で測定した粘度の最大値(ηmax )がηmax ≧1×104 mPa・sであり、最小値(ηmin )がηmin ≦1×102 mPa・sである。
(A)最大繊維径が1000nm以下で、数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、セルロースI型結晶構造を有するとともに、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてアルデヒド基およびカルボキシル基に変性され、上記カルボキシル基を0.6〜2.0mmol/gおよび上記アルデヒド基を0.05〜0.3mmol/g有する、セルロース繊維。
(B)水。
(C)電解質、イオン性物質、界面活性剤、オイル類、保湿剤、有機微粒子、無機微粒子、防腐剤、消臭剤および香料からなる群から選ばれた少なくとも一つの機能性添加剤。
上記(A)成分の微細セルロース繊維は、その最大繊維径が1000nm以下で、数平均繊維径が2〜150nmであることを要する。好ましくは、最大繊維径が500nm以下かつ数平均繊維径が2〜100nm、さらに好ましくは最大繊維径が30nm以下かつ数平均繊維径が2〜10nmのセルロース繊維である。すなわち、上記セルロース繊維の最大繊維径が1000nmより大きく、かつ数平均繊維径が150nmより大きいものを用いた場合には、セルロース繊維が沈降するため、均一なゲル状とはならないからである。
ここで、上記セルロース繊維における最大繊維径および数平均繊維径の解析は、例えば、次のようにして行われる。すなわち、固形分率で0.05〜0.1重量%の微細セルロースの水分散体を調製し、その分散体を、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察用試料とする。また、本発明外の、大きな繊維径の繊維を含む場合には、ガラス上へキャストした表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察してもよい。そして、構成する繊維の大きさに応じて5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。その際に、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定し、その軸に対し、20本以上の繊維が交差するよう、試料および観察条件(倍率等)を調節する。そして、この条件を満たす観察画像を得た後、この画像に対し、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維径を目視で読み取っていく。このようにして、最低3枚の重複しない表面部分の画像を、電子顕微鏡で撮影し、各々2つの軸に交錯する繊維の繊維径の値を読み取る(したがって、最低20本×2×3=120本の繊維径の情報が得られる)。このようして得られた繊維径のデータにより、最大繊維径および数平均繊維径を求める。
また、上記(A)成分のセルロース繊維を構成するセルロースは、セルロースI型結晶構造を有するとともに、そのセルロースの水酸基の一部(セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基)が、選択的に酸化され、カルボキシル基やアルデヒド基となっている。これは、上記(A)成分のセルロース繊維が、I型結晶構造を有する天然由来のセルロース固体原料を表面酸化し微細化した繊維であることを意味する。すなわち、天然セルロースの生合成の過程においては、ほぼ例外なくミクロフィブリルと呼ばれるナノファイバーがまず形成され、これらが多束化して高次な固体構造を構成するが、本発明に係るものは、上記ミクロフィブリル間の強い凝集力の原動となっている表面間の水素結合を弱めるために、その水酸基の一部を酸化し、カルボキシル基やアルデヒド基に変換しているのである。
また、上記(A)成分のセルロース繊維は、特に、N−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化されたものであると、そのセルロース繊維のカルボキシル基量やアルデヒド基量を、好適な範囲となるよう容易に設定することができ、スプレー用組成物として、より良好な結果を得ることができる。なお、上記共酸化剤とは、直接セルロースの水酸基を酸化する物質ではなく、酸化触媒として用いられるN−オキシル化合物を酸化する物質のことを示す。
ここで、上記(A)成分のセルロース繊維を構成するセルロースがI型結晶構造であることは、その広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、2シータ=14〜17°付近と2シータ=22〜23°付近の二つの位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。そして、上記セルロースがI型結晶構造であることから、本発明のスプレー用組成物は、セルロース繊維が水に溶解するのではなく、ミクロ的に分散した状態で存在するため、微細な霧滴状にスプレーが可能となるばかりか、化粧水に応用した場合、皮膚に付着した際にサラッとしている感触を示すといった効果が得られる。
さらに、上記(A)成分のセルロース繊維を構成するセルロースは、カルボキシル基を0.6〜2.0mmol/g、アルデヒド基を0.05〜0.3mmol/g有することを要する。特に、カルボキシル基を0.8〜1.8mmol/g、アルデヒド基を0.08〜0.25mmol/g有することが好ましい。このような範囲に設定すると、微小な繊維径のセルロース繊維(A)が、凝集・沈降を起こすことなく安定してゲル中に存在するようになり、少量の添加量で高粘度化するため、効率的にゲル状態を保つことができる。
ここで、上記セルロース繊維におけるカルボキシル基量およびアルデヒド基量の測定は、例えば、次のようにして行われる。すなわち、まず、乾燥重量を精秤したセルロース試料から0.5〜1重量%スラリーを60ml調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して電気伝導度測定を行う。測定はpHが約11になるまで続ける。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下記の式(1)により、官能基量(a)を求める。上記官能基量(a)が、カルボキシル基の量を示す。
Figure 0005269513
次に、セルロース試料を、酢酸でpHを4〜5に調製した2重量%亜塩素酸ナトリウム水溶液中でさらに48時間常温で酸化した後、上記手法に従い、再度、中和を行い、その際消費された水酸化ナトリウム量(V)から、上記式(1)により、官能基量(b)を求める。そして、上記酸化によって追加された官能基量〔(b)−(a)〕が、アルデヒド基の量を示す。
なお、上記(A)成分のセルロース繊維を構成するセルロースに、カルボキシル基やアルデヒド基が導入されていることは、水分を完全に除去したサンプルにおいて全反射式赤外分光スペクトル(ATR)においてカルボニル基に起因する吸収(1608cm-1 付近)が存在することにより確認することもできる。特に、酸型のカルボキシル基(COOH)の場合には、上記の測定において1730cm-1に吸収が存在する。
上記(A)成分のセルロース繊維は、例えば、以下に示すような(1)酸化反応工程、(2)精製工程および(3)分散工程(微細化処理工程)を経て、得ることができる。以下に、各工程について詳細に説明する。
(1)酸化反応工程
まず、酸化反応工程に使用する、水中に天然セルロースを分散させた分散液を調製する。ここで、天然セルロースは、植物,動物,バクテリア産生ゲル等のセルロースの生合成系から単離した精製セルロースを意味する。より具体的には、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ、コットンリンターやコットンリントのような綿系パルプ、麦わらパルプやバガスパルプ等の非木材系パルプ、バクテリアセルロース(BC)、ホヤから単離されるセルロース、海草から単離されるセルロース等があげられる。これらの中で本発明に好適なセルロース繊維は、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ、コットンリンター、コットンリント等の綿系パルプ、麦わらパルプ、バガスパルプなどの非木材系パルプである。天然セルロースは、好ましくは、叩解等の表面積を高める処理を施すと、反応効率を高めることができ、生産性を高めることができる。さらに、天然セルロースとして、単離、精製の後、乾燥させないで(ネバードライで)保存していたものを使用すると、ミクロフィブリルの集束体が膨潤し易い状態であるため、反応効率を高めて、微細化処理後の数平均繊維径を小さくすることができ、好ましい。
つぎに、上記セルロース繊維は、例えば、N−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化される。
上記N−オキシル化合物は、一般に酸化触媒として用いられるニトロキシラジカルを有する化合物が用いられる。なかでも、本発明に用いられるN−オキシル化合物は、水溶性の化合物であることが好ましい。その中でもピペリジンニトロキシオキシラジカルが好ましく、特にTEMPO(2,2,6,6,−テトラメチルピペリジノオキシラジカル)または4−アセトアミド−TEMPOが好ましい。これらN−オキシル化合物の添加は触媒量で充分であり、好ましくは0.1〜4mmol/l、さらに好ましくは0.2〜2mmol/lの範囲で、反応水溶液に添加する。
上記共酸化剤として、次亜ハロゲン酸またはその塩、亜ハロゲン酸またはその塩、過ハロゲン酸またはその塩、過酸化水素、および過有機酸などが本発明において使用可能であるが、好ましくはアルカリ金属次亜ハロゲン酸塩、たとえば、次亜塩素酸ナトリウムや次亜臭素酸ナトリウムである。次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合、臭化アルカリ金属、たとえば臭化ナトリウムの存在下で反応を進めることが反応速度において好ましい。この臭化アルカリ金属の添加量は、N−オキシル化合物に対して約1〜40倍モル量、好ましくは約10〜20倍モル量である。
反応水溶液のpHは約8〜11の範囲で維持されることが好ましい。水溶液の温度は約4〜40℃において任意であるが、反応は室温で行うことが可能であり、特に温度の制御は必要としない。
目的とするカルボキシル基量およびアルデヒド基量を得るために、酸化の程度を共酸化剤の添加量と反応時間により制御する。通常、反応時間は約5〜120分、長くとも240分以内に完了する。
(2)精製工程
つぎに、上記酸化反応工程を経た繊維(反応物繊維)は精製される。この精製工程は、上記反応物繊維から、未反応の次亜塩素酸や各種副生成物等を除く目的で精製を行う。反応物繊維は、通常、この段階ではナノファイバー単位までばらばらに分散しているわけではないため、通常の精製法、すなわち水洗とろ過を繰り返すことで高純度(99重量%以上)の反応物繊維と水の分散体とする。その精製工程における精製方法は、遠心脱水を利用する方法(例えば、連続式デカンダー)のように、上述した目的を達成できる装置であればよい。このようして得られる反応物繊維の水分散体は、絞った状態で固形分(セルロース)濃度としておよそ10〜50重量%の範囲にある。この後の工程で、ナノファイバーへ分散させることを考慮すると、50重量%よりも高い固形分濃度とすると、分散に極めて高いエネルギーが必要となることから好ましくない。
(3)分散工程(微細化処理工程)
つぎに、上記精製工程を経た反応物繊維は、分散工程(微細化処理工程)にかけられる。この分散工程における反応物繊維の分散(微細化)は、反応物繊維における反応の進行度(アルデヒド基やカルボキシル基への変換量)にも依存するが、好適に反応が進行した反応物繊維に対しては、上記精製工程により得られた反応物繊維(水分散体)を、例えば、スクリュー型ミキサー、パドルミキサー、ディスパー型ミキサー、タービン型ミキサー等の汎用の分散機で処理することにより、目的とする分散体を得ることができる。なお、この反応物繊維の分散処理(微細化処理)に際し、必要に応じ、この段階で、前記(B)成分の水(分散媒体)や、機能性添加剤の一部もしくは全部を添加し、上記分散処理を行ってもよい。また、上記分散機として、高速回転下でのホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、超音波分散処理、ビーター、ディスク型レファイナー、コニカル型レファイナー、ダブルディスク型レファイナー、グラインダーのような、より強力で叩解能力のある装置を使用すると、反応物繊維を効率的かつ高度にダウンサイジングすることが可能となり、その繊維径を所望の範囲に設定することが、より効率的になされ、好ましい。
そして、上記のようにして得られた(A)成分のセルロース繊維の分散媒体には、水〔(B)成分〕が用いられる。
上記(A)成分および(B)成分とともに用いられる機能性添加剤〔(C)成分〕としては、電解質、イオン性物質、界面活性剤、オイル類、保湿剤、有機微粒子、無機微粒子、防腐剤、消臭剤、香料、有機溶媒といったものが用いられる。特に、本発明のスプレー用組成物は、電解質やイオン性物質(イオン性の界面活性剤を含む)を配合しても、ゲル状態を示す高い粘度を有し、かつ、分離や離水などを起こさずにゲル状態を保つという特徴があることから、これらの機能性添加剤が必要材料とされるスプレー用組成物において、優れた性能を発揮することができる。
上記電解質・イオン性物質としては、例えば、塩化ナトリウム,エデト酸ナトリウム,アスコルビン酸ナトリウム等の、アルカリ金属,アルカリ土類金属,遷移金属等と、ハロゲン化水素,硫酸,炭酸,分子中にカルボキシル基を1つ以上有する有機酸等とからなる塩類、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のスルホン酸系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル等のリン酸エステル系界面活性剤等であって、水などの分散媒に溶解・分散できるものが用いられる。
非イオン性の界面活性剤としては、例えば、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合体等があげられる。
オイル類としては、例えば、ホホバ油,マカデミアナッツ油,アボガド油,月見草油,ミンク油,ナタネ油,ひまし油,ヒマワリ油,トウモロコシ油,カカオ油,ヤシ油,コメヌカ油,オリーブ油,アーモンド油,ごま油,サフラワー油,大豆油,椿油,パーシック油,ミンク油,綿実油,モクロウ,パーム油,パーム核油,卵黄油,ラノリン,スクワレン等の天然動植物油脂類、合成トリグリセライド,スクワラン,流動パラフィン,ワセリン,セレシン,マイクロクリスタリンワックス,イソパラフィン等の炭化水素類、カルナバウロウ,パラフィンワックス,鯨ロウ,ミツロウ,キャンデリラワックス,ラノリン等のワックス類、高級アルコール類(セタノール,ステアリルアルコール,ラウリルアルコール,セトステアリルアルコール,オレイルアルコール,ベヘニルアルコール,ラノリンアルコール,水添ラノリンアルコール,ヘキシルデカノール,オクチルドデカノール等),ラウリン酸,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,ベヘニン酸,イソステアリン酸,オレイン酸,リノレン酸,リノール酸,オキシステアリン酸,ウンデシレン酸,ラノリン脂肪酸,硬質ラノリン脂肪酸,軟質ラノリン脂肪酸等の高級脂肪酸類、コレステリル−オクチルドデシル−ベヘニル等のコレステロールおよびその誘導体、イソプロピルミリスチン酸,イソプロピルパルミチン酸,イソプロピルステアリン酸,2エチルヘキサン酸グリセロール,ブチルステアリン酸等のエステル類、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリトリトールエーテル,ポリオキシプロピレンブチルエーテル,リノール酸エチル等の極性オイル、アミノ変性シリコーン,エポキシ変性シリコーン,カルボキシル変性シリコーン,カルビノール変性シリコーン,メタクリル変性シリコーン,メルカプト変性シリコーン,フェノール変性シリコーン,片末端反応性シリコーン,異種官能基変性シリコーン,ポリエーテル変性シリコーン,メチルスチリル変性シリコーン,アルキル変性シリコーン,高級脂肪酸エステル変性シリコーン,親水性特殊変性シリコーン,高級アルコキシ変性シリコーン,高級脂肪酸含有シリコーン,フッ素変性シリコーン等のシリコーン類等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
なお、上記シリコーン類は、より具体的には、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、メチルハイドロジェンポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、ステアロキシメチルポリシロキサン、セトキシメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサンエマルション、高重合メチルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン等である。
保湿剤としては、トリオクタン酸グリセリル、マルチトール、ソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリコール等の多価アルコール、ピロリドンカルボン酸ソーダ、乳酸ソーダ、クエン酸ソーダなど有機酸およびその塩、ヒアルロン酸ソーダなどヒアルロン酸およびその塩、酵母および酵母抽出液の加水分解物、酵母培養液、乳酸菌培養液など醗酵代謝産物、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、セリシン等の水溶性蛋白、コラーゲン加水分解物、カゼイン加水分解物、シルク加水分解物、ポリアスパラギン酸ナトリウム等のぺプチド類およびその塩、トレハロース、キシロビオース、マルトース、蔗糖、ブドウ糖、植物性粘質多糖等の糖類・多糖類およびその誘導体、水溶性キチン、キトサン、ペクチン、コンドロイチン硫酸およびその塩等のグリコサミノグリカンおよびその塩、グリシン、セリン、スレオニン、アラニン、アスパラギン酸、チロシン、バリン、ロイシン、アルギニン、グルタミン、プロリン酸等のアミノ酸、アミノカルボニル反応物等の糖アミノ酸化合物、アロエ、マロニエ等の植物抽出液、トリメチルグリシン、尿素、尿酸、アンモニア、レシチン、ラノリン、スクワラン、スクワレン、グルコサミン、クレアチニン、DNA、RNA等の核酸関連物質等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
有機微粒子としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合系ラテックス、アクリル系エマルジョン等の乳化重合によって得られるラテックス・エマルジョンやポリウレタン水分散体があげられる。また、無機微粒子としては、例えば、ゼオライト、モンモリロナイト、アスベスト、スメクタイト、マイカ、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、酸化チタン等の無機微粒子があげられる。そして、これらの微粒子は、噴霧特性を損なわないように10μm以下、好ましくは5μm以下の平均粒径をもつように微細化されたものが望ましい。
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン等があげられる。
消臭剤・香料としては、D−リモネン、デシルアルデヒド、メントン、プレゴン、オイゲノール、シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒド、メントール、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、植物の各器官より抽出した消臭有効成分(例えば、水や親水性有機溶剤により、カタバミ,ドクダミ,ツガ,イチョウ,クロマツ,カラマツ,アカマツ,キリ,ヒイラギモクセイ,ライラック,キンモクセイ,フキ,ツワブキ,レンギョウの各器官から抽出し得られた消臭有効成分)等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
有機溶媒としては、水に可溶するアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、グリセリン等)、エーテル類(エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)やN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
なお、これらの機能性添加剤は、本発明のスプレー用組成物の利用分野、要求性能に応じて、単独であるいは二種以上併せて用いられるものであり、その配合量も要求性能に応じて適正な範囲で用いられる。
本発明のスプレー用組成物は、上記(A))成分の各成分を、種々の分散機で分散することにより、調製される。この分散機としては、(A)成分のセルロース繊維を調製する際に使用した分散機と同様のものが用いられる。また、先にも述べたように、(A)成分のセルロース繊維調製時(微細化処理時)に、(B)成分の水(分散媒体)や、(C)成分の機能性添加剤を添加してもよいが、(A)成分のセルロース繊維を調製した後、水および機能性添加剤を添加し、上記分散機により分散を行ってもよい。また、(A)成分のセルロース繊維は、乳化安定剤としての働きもあるため、オイル類を配合するときには、あらかじめセルロース繊維分散体とオイル類を、常法のO/W型乳化エマルジョンの調整方法に従い調製すればよい。その際に、乳化安定剤となる非イオン性の界面活性剤等を併用しても良く、セルロース繊維の配合量は、乳化安定性とスプレー性を考慮して決定する。
本発明のスプレー用組成物では、その粘度や、上記(A)成分のセルロース繊維の含有割合は、母液滴の大きさなどの観点から特定の範囲に調整される。すなわち、本発明では、上記(A)成分のセルロース繊維の含有割合が0.1〜3.0重量%であり、かつ、コーン・プレート型回転粘度計の測定による,1×10-3-1〜1×103 -1を含むずり速度領域において,20℃で測定した粘度の最大値(ηmax )が、ηmax ≧1×104 mPa・sと設定されており、これにより、液だれが発生せずに、良好なスプレー塗布が可能となる。また、本発明では、上記粘度の最小値(ηmin )がηmin ≦1×102 mPa・sと設定されていることから、微細な母液滴としてスプレーされ、むらが生じない。これとは逆に、ηmax の値が1×104 mPa・sを下回る低粘性の組成物では、噴霧液滴の液だれ防止性が期待できなくなり、また、ηmin の値が1×102 mPa・sを上回ると、母液滴が大きくなり、スプレーむらを発生する。なお、スプレー噴霧における塗布密度が比較的低い場合には、ηmax ≧1×104 mPa・sを満足していれば充分に液だれ防止性が期待できるが、厚く塗布するような場合にはηmax ≧1×104 mPa・sを満たしていても、液だれ防止を阻止できないことが起こり得るため、スプレーによる塗布のあらゆる条件で、液だれ防止等の、本発明のスプレー用組成物の効果を充分に発現させるためには、ηmax ≧5×104 mPa・sであることが好ましい。また、通常の塗布密度では、ηmin ≦1×102 mPa・sを満足していればスプレーむらは生じないが、ごく薄く均一にスプレーしたい場合にはηmin ≦5×101 mPa・sであることが好ましい。また、本発明のスプレー用組成物において、噴霧を安定して行える範囲として、ηmax の値は109 mPa・sを超えないことが望ましい。
本発明のスプレー用組成物は、高いチキソトロピー性を有しているため、スプレー剤とした際、スプレー噴霧時には低粘度化して良好な噴霧を実施できるが、噴霧後液滴が被覆表面に定着するまでに粘度が回復するため、表面へ定着した後の液だれが極めて起こり難い。さらに本発明のスプレー用組成物は、50℃以上の高温においても粘度低下が起こらず温度安定性に優れており、水溶性高分子特有のべたつき感が無く、塗布後の展延性にも優れた性質を有している。
そして、本発明のスプレー噴霧装置は、上記スプレー用組成物を噴霧装置内に収容してなるものである。上記噴霧装置は、上記組成物を容易に充填でき、噴霧を可能とし、スプレー剤として機能するものであればよいが、汎用性や噴霧性能の精度の高さを考慮すると、以下の3つの形態(1)〜(3)であることが好ましい。
(1)噴霧可能なポンプ式ノズルを装着したディスペンサー式噴霧器:本噴霧器は、大気圧で噴霧を操作でき、加圧ガスなどを必要とせず、かつ容器構造も比較的単純であるので安全性が高く、携帯用に向いた噴霧装置である。構造は、吸い上げ用のチューブを装着した押し出しポンプ式のノズルと、これを固定し、上記組成物を充填するねじ式容器からなる。ここでいうディスペンサー式噴霧装置には、噴霧性能を高めるためにポンプ式ノズルの構造改良を行った装置等もすべて含まれる。噴霧特性は、噴出しノズルの孔径やポンプの1回当たりの押し出し体積等に依存するが、これらの条件は目的に応じて選定する。
(2)トリガー式噴霧器:トリガー式噴霧器は、住宅用洗剤、衣料用糊剤、台所用洗剤などの噴霧器として、上記組成物を充填する容器本体の口部にピストル状のトリガー式スプレー装置が装着されたものであり、大気圧で噴霧を操作でき、液体噴霧器として汎用性の高いものである。ここでいうトリガー式噴霧器には、噴霧性能を高めるために、トリガー式スプレー装置の一部を改良したものもすべて含まれる。
(3)エアゾール式噴霧器:エアゾール式噴霧器は、容器内への噴射剤を充填することによって上記2つの噴霧装置では実現できない連続噴霧化あるいは連続フォーム形成を可能とするものである。ここでいうエアゾール式噴霧器には、エアゾール式容器の噴射装置部分に改良を施したもの等もすべて含まれる。一般的に、本噴霧器を用いた噴霧化では、大気圧下で実施する上記2つの噴霧に比べ、より細かな噴霧が可能となる。エアゾール式噴霧で使用する噴射剤としては、ジメチルエーテル、液化石油ガス、炭酸ガス、窒素ガス、アルゴンガス、空気、酸素ガス、フロンガス等をあげることができ、これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
これらいずれの噴霧装置を用いた場合であっても、母液として本発明のスプレー用組成物を用いることにより、噴霧装置内の収容物がゲル状となるため、容器内部で母液の流動が起こらず、スプレー噴霧装置の全方位での噴霧化が可能となる。極端な場合、逆さまにしてもスプレーすることができ、スプレー噴霧装置として良好に機能するようになる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、実施例用のセルロース繊維S1〜S3および比較例用のセルロース繊維H1,H2を、以下のようにして作製した。
〔セルロース繊維S1(実施例用)の作製〕
(1) 酸化工程
乾燥重量で200g相当分の未乾燥の亜硫酸漂白針葉樹パルプ(主に1000nmを超える繊維径の繊維からなる)と、TEMPO2.5gと、臭化ナトリウム25gとを水1000mlに分散させた後、13重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、100gのパルプに対して次亜塩素酸ナトリウムの量が5.4mmolとなるように加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10〜11に保ち、pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なした(反応時間:120分)。
(2) 精製工程
上記反応物をガラスフィルターにてろ過した後、充分な量のイオン交換水による水洗、ろ過を行い、得られたろ液の電気伝導度を測定した。水洗を繰り返しても、ろ液の電気伝導度に変化がなくなった時点で精製工程を終了した。固形分量20重量%の水を含浸させた反応物繊維を得た。
(3) 分散工程(微細化処理工程)
上記反応物繊維に水を加え2.0重量%スラリーとし、次いで、これを、超高圧ホモジナイザー(マイクロフルイダイザー、型式:M−110−E/H、みづほ工業社製)を用いて1.72×108 Paの操作圧力で2回処理し、微細化処理されたセルロース繊維S1を得た。
〔セルロース繊維S2,S3(実施例用),H1,H2(比較例用)の作製〕
次亜塩素酸ナトリウムの量および反応時間を、下記の表1に示すように変更する以外は、セルロール繊維S1に準じて、セルロール繊維S2,S3(実施例用)およびH1,H2(比較例用)をそれぞれ作製した。
Figure 0005269513
このようにして得られたセルロース繊維S1〜S3およびH1,H2を用い、下記の基準に従って各項目の測定を行った。これらの結果を、上記の表1に併せて示した。
〔最大繊維径、数平均繊維径〕
各セルロース繊維の最大繊維径および数平均繊維径をTEM観察により測定した。すなわち、各セルロース繊維を親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2重量%ウラニルアセテートでネガティブ染色したTEM像から観察した。
〔カルボキシル基量の測定〕
各セルロース繊維の2.0重量%スラリーを60ml調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、電気伝導度測定を行った。測定はpHが約11になるまで続けた。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下の式(1)に従い官能基量(a)(カルボキシル基量)を求めた。
Figure 0005269513
〔アルデヒド基量の測定〕
上記セルロース繊維を、酢酸でpHを4〜5に調製した2重量%亜塩素酸ナトリウム水溶液中でさらに48時間常温(25℃)で酸化し、上記手法に従い、再度、中和を行い、その際消費された水酸化ナトリウム量(V)から、上記式(1)により、官能基量(b)を求めた。そして、この酸化によって追加された官能基量〔(b)−(a)〕を算出し、アルデヒド基量とした。
〔結晶構造、カルボキシル基、アルデヒド基の確認〕
上記スラリーの一部を乾燥させて得られた透明な膜状のセルロースの広角X線回折像像から、セルロース繊維S1〜S3およびH1,H2が、全て、セルロースI型結晶構造を有することを確認した。また、これら全てのセルロース繊維が、全反射式赤外分光スペクトル(ATR)において、カルボニル基に起因する吸収(1608cm-1付近)および酸型のカルボキシル基(COOH)に起因する吸収(1730cm-1付近)が存在することも確認した。
13C−NMRチャートでの確認〕
セルロース繊維表面上のグルコースユニットの6位の水酸基のみが選択的にカルボキシル基に酸化されているかどうかについて、13C−NMRチャートで確認した。すなわち、酸化前のセルロースの13C−NMRチャートで確認できるグルコース単位の1級水酸基のC6位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後は消失し、代わりに178ppmにカルボキシル基に由来するピークが現れていた。このことから、セルロース繊維S1〜S3は、いずれもグルコース単位のC6位水酸基のみがアルデヒド基およびカルボキシル基に酸化されていることが確認された。
〔セルロース微粒子(比較例用)の作製〕
特開2003−73229公報の実施例に記載の方法に準じ、セルロース微粒子を作製した。すなわち、まず、シート状の精製パルプを5mm×5mmのチップに切断した重合度760の原料パルプを、−5℃でセルロース濃度が5重量%になるように65重量%硫酸水溶液に溶解して、透明かつ粘調なセルロースドープを得た。このセルロースドープを、重量で2.5倍量の水中(5℃)に撹拌しながら注ぎ、セルロースをフロック状に凝集させ、フロック状固体の分散液を得た。この懸濁液を85℃で20分間加水分解させた後、ガラスフィルターを用いた減圧濾過により分散媒である硫酸水溶液を除去し、次いで洗液のpHが3程度になるまで充分に水洗を繰り返した後、pHがおよそ11の希薄なアンモニア水溶液で洗浄(中和)し、さらにイオン交換水で水洗し、セルロース濃度が6.0重量%の半透明白色のゲル状物を得た。このようにして得られたゲル状物を、イオン交換水で希釈し、セルロース濃度が4.0重量%となるように調製し、ホモミキサー(T.K.ロボミックス、プライミクス社製)を用いて15000rpmの回転速度で10分間分散処理を行い、引き続いて超高圧ホモジナイザー(マイクロフルイダイザー、型式:M−110−E/H、みづほ工業社製)を用いて1.72×108 Paの操作圧力で5回処理し、透明性の高いセルロース(セルロース微粒子の水分散体)(pH=6.7)を得た。
〔実施例1〜9、比較例1〜11〕
まず、増粘剤として、上記作製のセルロース繊維S1〜S3,H1,H2(実施例用および比較例用のセルロース繊維)を準備した。また、上記作製のセルロース微粒子、カルボキシビニルポリマー(カーボポール980、中外貿易社販売)、ポリアクリルアミド(平均分子量:900万〜1000万,キシダ化学社製)、合成スメクタイト微粒子(スメクトンSA、クニミネ工業社製)も準備した。そして、この増粘剤に、イオン交換水のみを加え、増粘剤の濃度が、0.5重量%,1.0重量%,1.5重量%のいずれか(表2参照)となるよう調製した。なお、カルボキシビニルポリマー溶液(比較例)には、カルボキシビニルポリマー溶解後、希薄アンモニア水による中和を実施した。そして、上記のように調製したものを、各々、ホモミキサー(T.K.ロボミックス、プライミクス社製)を用いて15000rpmの回転速度で10分間の分散処理を行い、これにより、スプレー用組成物を調製した。
また、このようにして得られたスプレー用組成物の、コーン・プレート型回転粘度計(Rheosol−G2000、UBM社製)の測定による,1×10-3-1〜1×103 -1を含むずり速度領域において,20℃で測定した粘度の最大値(ηmax )および最小値(ηmin )を、後記の表2に併せて示した。
そして、上記スプレー用組成物を、各々、市販の容量50ml用のディスペンサー型のスプレー容器(サンプラテック社製)に充填し、下記の判定方法および基準に従い、スプレー特性(噴霧特性)の評価を行った。その結果も、後記の表2に併せて示した。
<判定方法および基準>
〔ゲル状態〕
組成物の入ったスプレー容器を逆転させ、液面の動きを目視で観察した。なお、セルロース繊維の一部もしくは機能性添剤が分離沈降している組成物は、表において「分離」と示した。
×:逆転させた時、直ちに液面が激しく動く。
△:逆転させた時、ゆっくりと液面が動く。
○:逆転させた時、液面が動かない。
〔噴霧状態〕
実際に噴霧して状態を観察した。
×:ノズルから組成物が発射されず、噴霧不可能。または、ノズルから組成物は発射されるが、ミストの状態とならない。
○:ノズルから組成物が良好な状態のミストとして発射される。
〔噴射むら〕
18cm×18cmの曇りガラス板を垂直に立て、水平距離で20cm離れた位置からガラス板に向けて噴霧を1回実施し、直後のガラス面に付着した液滴の分布状態を観察した。そして、スプレーの母液としてイオン交換水のみを用いた場合の結果と比較した。
×:大きな液滴が散在し明確に噴霧むらが確認される。
△:大きな液滴の散在は見られないが、イオン交換水のみの場合と比較すると液滴の分布は粗い。
○:イオン交換水のみの場合と同等かそれ以上緻密に液滴が分布される。
〔液だれ性〕
噴霧むらの評価と同じ条件で噴霧を数回行い、垂直ガラス面に隙間のないように液滴が吹き付けられた状態となるまで噴霧を続け、ガラス板の垂直性を保持した状態でのガラス面上での噴霧液の液だれ性を各噴霧ごとに観察した。
×:1回の噴霧でも液だれが起こる。
△:1回の噴霧では液だれは起こらないがガラス表面上での噴霧液の厚みが増すに従って液だれが発生した。
○:複数回の噴霧によっても全く液だれが起こらない。
Figure 0005269513
上記表の結果から明らかなように、実施例1〜9のスプレー用組成物は、良好なゲル状態、スプレー特性を示すことがわかる。これに対し、比較例1〜2のスプレー用組成物は、セルロースの一部が沈降したため、スプレーの途中でノズルが閉塞しスプレーできなくなった。比較例3〜5のスプレー用組成物は、ゲル状態が悪かったり、スプレー時にミスト状にならないといった不具合が生じた。また、比較例6〜9のように、増粘剤にカルボキシビニルポリマーやポリアクリルアミドを使用したものは、スプレーできないかスプレー特性が悪いため、これらの粘稠液体はスプレー用組成物としては適さないことがわかる。また、比較例10〜11のように、増粘剤に合成スメクタイト微粒子を使用したものは、良好なゲル特性、スプレー特性を示すが、この条件濃度では液だれ性が良好でなく、高濃度の組成物が必要となる等の問題がみられた。
〔実施例10〜27、比較例12〜29〕
まず、上記実施例および比較例で使用の増粘剤(セルロース繊維S1〜S3,H1,H2、セルロース微粒子)を準備した。そして、この増粘剤に、イオン交換水と、後記の表3〜表5に示す組み合わせの無機塩類・電解質(塩化ナトリウム,エデト酸ナトリウム,アスコルビン酸ナトリウムのいずれか)とを配合し、増粘剤の濃度が、0.5重量%,1.0重量%,1.5重量%のいずれか(表3〜表5参照)、無機塩類・電解質の濃度が0.1重量%となるよう調製した。そして、このように調製したものを、各々、ホモミキサー(T.K.ロボミックス、プライミクス社製)を用いて15000rpmの回転速度で10分間の分散処理を行い、これにより、スプレー用組成物を調製した。
また、このようにして得られたスプレー用組成物の、コーン・プレート型回転粘度計(Rheosol−G2000、UBM社製)の測定による,1×10-3-1〜1×103 -1を含むずり速度領域において,20℃で測定した粘度の最大値(ηmax )および最小値(ηmin )を、後記の表3〜表5に併せて示した。
そして、上記スプレー用組成物を、各々、市販の容量50ml用のディスペンサー型のスプレー容器(サンプラテック社製)に充填し、前記実施例1〜9、比較例1〜11に示した判定方法および基準に従い、スプレー特性の評価を行った。その結果も、下記の表3〜表5に併せて示した。
Figure 0005269513
Figure 0005269513
Figure 0005269513
上記表の結果から明らかなように、セルロース繊維S1〜S3を用いた実施例のスプレー用組成物は、無機塩類や電解質を添加しているが、いずれも、良好なゲル状態、スプレー特性を示すことがわかる。これに対し、セルロース繊維H1,H2やセルロース微粒子を増粘剤とする比較例のスプレー用組成物は、無機塩類や電解質の添加により著しく粘度が低下して、ゲル状態が保ちづらく(分離がみられるものもある)、また、噴霧することはできるが噴射むらや液だれ性の低下がみられた。もしくは、沈降物がノズルにつまり、途中からスプレーできなくなった。
〔実施例28〜45、比較例30〜46〕
上記実施例および比較例で使用の増粘剤(セルロース繊維S1〜S3,H1,H2、セルロース微粒子)を準備した。そして、この増粘剤に、イオン交換水と、後記の表6〜表8に示す組み合わせの添加剤(エタノール,ジメチルポリシロキサン,トリオクタン酸グリセリルのいずれか)とを配合し、増粘剤の濃度等を、後記の表6〜表8に示す割合となるよう調製した。そして、このように調製したものを、各々、ホモミキサー(T.K.ロボミックス、プライミクス社製)を用いて15000rpmの回転速度で10分間の分散処理を行い、これにより、スプレー用組成物を調製した。
また、このようにして得られたスプレー用組成物の、コーン・プレート型回転粘度計(Rheosol−G2000、UBM社製)の測定による,1×10-3-1〜1×103 -1を含むずり速度領域において,20℃で測定した粘度の最大値(ηmax )および最小値(ηmin )を、後記の表6〜表8に併せて示した。
そして、上記スプレー用組成物を、各々、市販の容量50ml用のディスペンサー型のスプレー容器(サンプラテック社製)に充填し、前記実施例1〜9、比較例1〜11に示した判定方法および基準に従い、スプレー特性の評価を行った。その結果も、下記の表6〜表8に併せて示した。
Figure 0005269513
Figure 0005269513
Figure 0005269513
上記表の結果から明らかなように、セルロース繊維S1〜S3を用いた実施例のスプレー用組成物は、オイル類やアルコールを添加することにより、少し粘度が低下しているものもあるが、セルロース繊維の配合量をやや多くすることにより、良好なゲル状態、スプレー特性を示すことがわかる。これに対し、セルロース繊維H1,H2やセルロース微粒子を増粘剤とする比較例のスプレー用組成物は、オイル類やアルコールの添加により著しく粘度が低下して、ゲル状態が保ちづらく(分離がみられるものもある)、また、スプレー特性においても、噴射むらや液だれ性の低下が顕著にみられた。もしくは、沈降物がノズルにつまり、途中からスプレーできなくなった。
〔実施例46〜51、比較例47〜52〕
上記実施例および比較例で使用の増粘剤(セルロース繊維S1〜S3,H1,H2、セルロース微粒子)を準備した。そして、この増粘剤に、イオン交換水と、添加剤として酸化チタン(TTO−V3、石原産業社製)とを配合し、増粘剤の濃度を、後記の表9に示す割合となるよう調製し、かつ、酸化チタン濃度が0.1重量%となるよう調製した。そして、このように調製したものを、各々、ホモミキサー(T.K.ロボミックス、プライミクス社製)を用いて15000rpmの回転速度で10分間の分散処理を行い、これにより、スプレー用組成物を調製した。
また、このようにして得られたスプレー用組成物の、コーン・プレート型回転粘度計(Rheosol−G2000、UBM社製)の測定による,1×10-3-1〜1×103 -1を含むずり速度領域において,20℃で測定した粘度の最大値(ηmax )および最小値(ηmin )を、後記の表9に併せて示した。
そして、上記スプレー用組成物を、各々、市販の容量50ml用のディスペンサー型のスプレー容器(サンプラテック社製)に充填し、前記実施例1〜9、比較例1〜11に示した判定方法および基準に従い、スプレー特性の評価を行った。その結果も、下記の表9に併せて示した。
Figure 0005269513
上記表の結果から明らかなように、セルロース繊維S1〜S3を用いた実施例のスプレー用組成物は、酸化チタンの配合で粘度は少し低下するが、セルロース繊維の配合量をやや多くすることにより、良好なゲル状態、スプレー特性を示すことがわかる。これに対し、セルロース繊維H1,H2やセルロース微粒子を増粘剤とする比較例のスプレー用組成物は、酸化チタンの配合により、ゲル状態は保つものの上部に離水を生じて分離する。また、スプレー特性においても分離に起因すると考えられる噴射むらが顕著にみられた。
本発明のスプレー用組成物は、ゲル状であり、天然素材を増粘剤として使用し、また、各種機能性添加剤との配合性にも富んでいるところからスプレー型化粧品、スプレー型芳香剤などのトイレタリー用品用基材として広く好適に利用できる。

Claims (4)

  1. 下記の(A))成分を含有し、(A)成分のセルロース繊維の含有割合が0.1〜3.0重量%であり、かつ、コーン・プレート型回転粘度計の測定による,1×10-3-1〜1×103 -1を含むずり速度領域において,20℃で測定した粘度の最大値(ηmax )がηmax ≧1×104 mPa・sであり、最小値(ηmin )がηmin ≦1×102 mPa・sであることを特徴とするスプレー用組成物。
    (A)最大繊維径が1000nm以下で、数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、セルロースI型結晶構造を有するとともに、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてアルデヒド基およびカルボキシル基に変性され、上記カルボキシル基を0.6〜2.0mmol/gおよび上記アルデヒド基を0.05〜0.3mmol/g有する、セルロース繊維。
    (B)水。
    (C)電解質、イオン性物質、界面活性剤、オイル類、保湿剤、有機微粒子、無機微粒子、防腐剤、消臭剤および香料からなる群から選ばれた少なくとも一つの機能性添加剤。
  2. 上記(A)成のセルロース繊維の含有割合が0.5〜1.5重量%の範囲である請求項1記載のスプレー用組成物
  3. 上記(A)成分のセルロース繊維が、N−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化されたものである請求項1または2記載のスプレー用組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物を収容することを特徴とするスプレー噴霧装置。
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