JP6758805B2 - 化粧料 - Google Patents
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Description
(1)下記成分(A)および(B)を含む化粧料。
(A)繊維幅が1000nm以下であり、かつリン酸由来の置換基を0.1mmol/g以上3.0mmol/g以下有する微細繊維状セルロース;
(B)水溶性高分子:
(2)前記成分(B)が、増粘性多糖類を含む(1)に記載の化粧料。
(3)前記成分(B)が、イオン性の前記増粘性多糖類を含む(2)に記載の化粧料。
(4)前記成分(A)の配合量が、化粧料全体に対して0.01〜2.0質量%である(1)〜(3)いずれか一項に記載の化粧料。
(5)前記成分(B)の配合量が、化粧料全体に対して0.03〜1.0質量%である(1)〜(4)いずれか一項に記載の化粧料。
(6)成分(C)として、無機粉体、有機粉体、無機酸、有機酸、無機酸塩、有機酸塩、および陰イオン性界面活性剤からなる群より選ばれる一種または二種以上をさらに含有する(1)〜(5)いずれか一項に記載の化粧料。
(7)化粧料を形成するために用いられるセルロース含有組成物であって、下記成分(A)、(B)を含むセルロース含有組成物。
(A)繊維幅が1000nm以下であり、かつリン酸由来の置換基を0.1mmol/g以上3.0mmol/g以下有する微細繊維状セルロース;
(B)水溶性高分子:
(A)繊維幅が1000nm以下であり、かつリン酸由来の置換基を0.1mmol/g以上3.0mmol/g以下有する微細繊維状セルロース;
(B)水溶性高分子:
セルロース原料としては、製紙用パルプ、コットンリンターやコットンリントなどの綿系パルプ、麻、麦わら、バガスなどの非木材系パルプ、ホヤや海草などから単離されるセルロースなどが挙げられるが、特に限定されない。これらの中でも、入手のしやすさという点で、製紙用パルプが好ましいが、特に限定されない。製紙用パルプとしては、広葉樹クラフトパルプおよび針葉樹クラフトパルプが挙げられる。広葉樹クラフトパルプとしては、晒クラフトパルプ(LBKP)、未晒クラフトパルプ(LUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(LOKP)などが挙げられる。針葉樹クラフトパルプとしては、晒クラフトパルプ(NBKP)、未晒クラフトパルプ(NUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(NOKP)などが挙げられる。また、化学パルプ、半化学パルプ、機械パルプ、非木材パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。化学パルプとしては、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等がある。半化学パルプとしては、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等がある。機械パルプとしては、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等がある。非木材パルプとしては、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とするものがある。これらの中でも、より入手しやすいことから、クラフトパルプ、脱墨パルプ、サルファイトパルプが好ましいが、特に限定されない。セルロース原料は1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
本発明においては、微細繊維状セルロースとしては、セルロース原料を化学的処理および解繊処理することによって得られる、リン酸基を有する微細繊維状セルロースを使用することができる。リン酸基などの置換基を有する微細繊維状セルロースは、静電反発効果により超微細化することができる点で好ましい。また置換基を有する微細繊維状セルロースは、静電反発効果により水中で凝集せず、安定となりうる一方で、塩を含む水中ではその効果が弱まり、安定的に分散することが困難となる。そのため、本発明を適用して塩を含む水中でも安定化し、増粘効果を発揮させるのに、特に適している。本発明で使用する微細繊維状セルロースにおいては、特に、置換基としてリン酸由来の置換基を0.1mmol/g以上3.0mmol/g以下有することが特徴である。このような特徴を有する微細繊維状セルロースを使用することにより、化粧料として均一な製剤を得ることができる。
セルロース原料の化学的処理の方法は、微細繊維を得ることができる方法である限り特に限定されない。例えば、酸処理、オゾン処理、TEMPO酸化処理、酵素処理、またはセルロースまたは繊維原料中の官能基と共有結合を形成し得る化合物による処理などが挙げられるがこれらに限定されない。但し、本発明で用いる微細繊維状セルロースはリン酸由来の置換基を有することから、化学的処理の方法としては、リン酸基を有する化合物または/およびその塩による処理を行うことが好ましい。
Biomacromolecules 2007, 8, 1353-1357.に記載されている方法を挙げることができるが、特に限定されない。具体的には、硫酸や塩酸等によりセルロース繊維を加水分解処理する。高51濃度の酸処理により製造されるものは、非結晶領域がほとんど分解され、繊維の短いもの(セルロースナノクリスタルとも呼ばれる)になるが、これらも微細繊維状セルロースに含まれる。
濃度1% (W/V) のカルボキシルメチルセルロース(CMCNa High viscosity; Cat No150561, MP Biomedicals, lnc.)の基質溶液(濃度100mM、pH5.0の酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液含有)を調製する。測定用酵素を予め緩衝液(前記同様)で希釈(希釈倍率は下記酵素溶液の吸光度が下記グルコース標準液から得られた検量線に入ればよい)した。90μlの前記基質溶液に前記希釈して得られた酵素溶液10μlを添加し、37℃、30分間反応させる。
検量線を作成するために、イオン交換水(ブランク)、グルコース標準液(濃度0.5〜5.6mMから少なくとも濃度が異なる標準液4点)を選択し、それぞれ100μlを用意し、37℃、30分間保温する。
吸光度の測定は96穴マイクロウェルプレート(例えば、269620、NUNC社製)に20Oμlを分注し、マイクロプレートリーダー(例えば、infiniteM200、TECAN社製)を用い、540nmの吸光度を測定することができる。
EG活性=緩衝液で希釈して得られた酵素溶液1m1のグルコース相当生成量(μmole) /30分×希釈倍率
[福井作蔵, “生物化学実験法(還元糖の定量法)第二版”、学会出版センター、p.23〜24(1990年)参照]
96穴マイクロウェルプレート(例えば、269620、NUNC社製)に1. 25mMの4-Methylumberiferyl-cel1obioside (濃度125mM、pH5. 0の酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液に溶解した) 3 2μlを分注する。100mMのGlucono-l,5-Lactone 4μlを添加する。さらに、前記同様の緩衝液で希釈(希釈倍率は下記酵素溶液の蛍光発光度が下記標準液から得られた検量線に入ればよい)した測定用酵素液4μlを加え、37℃、30分間反応させる。その後、500mMのglycine-NaOH緩衝液(pH10.5)200μlを添加し、反応を停止させる。
℃、30分間加温する。その後、500mMのglycine-NaOH緩衝液(pH10.5)200μlを添加する。
CBHI活性=希釈後酵素溶液1m1の4-Methyl-umberiferon生成量(μmo1e)/30分×希釈倍率
・国際公開WO2013/073652(PCT/JP2012/079743)に記載されている「構造中にリン原子を含有するオキソ酸、ポリオキソ酸またはそれらの塩から選ばれる少なくなくとも1種の化合物」を使用する方法。
本発明においては、微細繊維状セルロースはリン酸エステル基などのリン酸由来の置換基(単にリン酸基ということもある。)を有している。
以下にリン酸エステル化を説明する。
リン酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料に対し、リン酸基を有する化合物または/およびその塩(以下、「化合物A」という。)を反応させることにより行うことができる。この反応は、尿素または/およびその誘導体(以下、「化合物B」という。)の存在下で行ってもよく、これにより、セルロース繊維のヒドロキシ基に、リン酸基を導入することができるが、特にこれに限定されない。
リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸のリチウム塩、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩などが挙げられるが、特に限定されない。リン酸のリチウム塩としては、リン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウム、ピロリン酸リチウム、またはポリリン酸リチウムなどが挙げられる。リン酸のナトリウム塩としてはリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、またはポリリン酸ナトリウムなどが挙げられる。リン酸のカリウム塩としてはリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、またはポリリン酸カリウムなどが挙げられる。リン酸のアンモニウム塩としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウムなどが挙げられる。
繊維原料に対する化合物Bの添加量は1〜300質量%であることが好ましいが、特に限定されない。
リン酸由来の置換基の導入量は、微細繊維状セルロース1g(質量)あたり0.1mmol/g以上3.0mmol/g以下であり、0.14mmol/g以上2.5mmol/g以下が好ましく、0.2mmol/g以上2.0mmol/g以下がより好ましい。さらに好ましくは0.2mmol/g以上1.8mmol/g以下であり、特に好ましくは0.4mmol/g以上1.8mmol/g以下であり、最も好ましくは0.6mmol/g以上1.8mmol/g以下である。リン酸由来の置換基の導入量が0.1mmol/g未満では、繊維原料の微細化が困難で、微細繊維状セルロースの安定性が劣る。リン酸由来の置換基の導入量が3.0mmol/gを超えると、十分な粘度が得られない。
リン酸化微細繊維を製造する場合、リン酸基導入工程と後述する解繊処理工程の間にアルカリ処理を行うことができる。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ溶液中に、リン酸基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、特に限定されないが、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。アルカリ溶液における溶媒としては水または有機溶媒のいずれであってもよく、特に限定されない。前記溶媒は、極性溶媒(水、またはアルコール等の極性有機溶媒)が好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒がより好ましい。
また、アルカリ溶液のうちでは、汎用性が高いことから、水酸化ナトリウム水溶液、または水酸化カリウム水溶液が特に好ましいが、特に限定されない。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液への浸漬時間は特に限定されないが、5〜30分間が好ましく、10〜20分間がより好ましい。
アルカリ処理におけるアルカリ溶液の使用量は特に限定されないが、リン酸導入繊維の絶対乾燥質量に対して100〜100000質量%であることが好ましく、1000〜10000質量%であることがより好ましい。
前記で得られた微細繊維を解繊処理工程で解繊処理することができる。解繊処理工程では、通常、解繊処理装置を用いて、繊維を解繊処理して、微細繊維含有スラリーを得るが、処理装置、処理方法は、特に限定されない。
解繊処理装置としては、高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミルなどを使用できる。あるいは、解繊処理装置としては、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなど、湿式粉砕する装置等を使用することもできる。解繊処理装置は、上記に限定されるものではない。
本発明の化粧料においては、微細繊維状セルロースを安定的に分散させるために、水溶性高分子が配合される。水溶性高分子は、液中では膨潤作用による立体障害により、微細繊維状セルロースの凝集を防ぎ分散安定化させていると考えられる。
本発明の化粧料には、上記した成分(A)および成分(B)以外に、その他の成分(C)として、無機粉体、有機粉体、無機酸、有機酸、無機酸塩、有機酸塩、陰イオン性界面活性剤からなる群より選ばれる一種または二種以上をさらに含めることができる。
金属硫酸塩としては、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。
雲母としては、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母などが挙げられる。
上記した無機粉体の具体例は例示に過ぎず、これらに限定されるものではない。
無機粉体は、1種類を単独で用いてもよく、二種以上併せて用いてもよい。
化粧料全体における無機粉体の配合量は特に限定されないが、一般的には1.0〜30.0質量%が好ましい。
ポリアミドパウダー、ポリアクリル酸・アクリル酸エステルパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー。
テトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、12ナイロンや6ナイロン等のナイロンパウダー。
ジメチルポリシロキサンを架橋した構造を持つ架橋型シリコーン微粉末、架橋型球状ポリメチルシルセスキオキサン微粉末、架橋型球状オルガノポリシロキサンゴム表面をポリメチルシルセスキオキサン粒子で被覆してなる微粉末等。
疎水化シリカ、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂。
上記した有機粉体の具体例は例示に過ぎず、これらに限定されるものではない。
有機粉体は、1種類を単独で用いてもよく、二種以上併せて用いてもよい。
化粧料全体における有機粉体の配合量は特に限定されないが、一般的には1.0〜10.0質量%が好ましい。
化粧料全体における無機酸および無機酸塩の配合量は特に限定されないが、一般的には0.01〜10.0質量%が好ましい。
以下の脂肪酸セッケン。ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸トリエタノールアミン、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸トリエタノールアミン、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン等。
アルキルエーテルカルボン酸およびその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合物塩、アルカンスルホン酸塩、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、ホルマリン縮合系スルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩。
第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルおよびアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩。
アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩、N−アシル乳酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルアミノ酸系活性剤等。
本発明の化粧料の製造方法は、使用する成分の種類などに応じて適宜選択することができ、特に限定されない。水溶性成分と油溶性成分とを使用する場合には、水相と油相とを混合することにより、本発明の化粧料を製造することができる。例えば、水溶性成分を含む水相を準備し、水相中の各成分を加熱溶解した後、予め均一分散し、適当な温度に調整した油相(油溶性成分を含む)と混合し、ホモミキサーなどで乳化を行うことにより、本発明の化粧料を製造することができる。
本発明の化粧料は、具体的には、皮膚用化粧料、メイクアップ化粧料、毛髪用化粧料、紫外線防御化粧料、さらにはハンドクリーナーなどの洗浄剤、プレシェーブローション、アフターシェーブローション、芳香剤や歯磨剤、軟膏、貼布剤等が挙げられる。皮膚用化粧料としては、化粧水、乳液(美白乳液など)、クリーム、美容液、パック、ファンデーション、サンスクリーン化粧料、サンタン化粧料、各種ローション等が挙げられる。クリームとしては、コールドクリーム、バニシングクリーム、マッサージクリーム、エモリエントクリーム、クレンジングクリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム等が挙げられる。メイクアップ化粧料としては、化粧下地、ファンデーション、アイシャドウ、チークなどが挙げられる。毛髪用化粧料としては、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナー、リンスインシャンプー、ヘアスタイリング剤(ヘアフォーム、ジェル状整髪料等)、ヘアトリートメント剤、ヘアワックス、染毛剤等が挙げられる。ヘアトリートメント剤としては、ヘアクリーム、トリートメントローション、ヘアミルク等が挙げられる。さらに毛髪用化粧料としては、ローションタイプの育毛剤又は養毛剤等でもよい。上記した化粧料の具体例は例示に過ぎず、特にこれらに限定されるものではない。
流動パラフィン、ワセリン等の炭化水素油、植物油脂、ロウ類、合成エステル油、シリコーン系の油相成分。
高級アルコール類、低級アルコール類、脂肪酸類、紫外線吸収剤、無機・有機顔料、色材、各種界面活性剤、多価アルコール、糖類、高分子化合物、生理活性成分、経皮吸収促進剤、溶媒、酸化防止剤、pH調整剤、香料など。前記各種界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤が挙げられる。
(A)繊維幅が1000nm以下であり、かつリン酸由来の置換基を0.1mmol/g以上3.0mmol/g以下有する微細繊維状セルロース;
(B)水溶性高分子:
成分(A)および(B)の詳細は本明細書中に上記した通りである。
<微細繊維状セルロースの製造>
(製造例1)微細繊維状セルロース1の製造
尿素100g、リン酸二水素ナトリウム二水和物55.3g、リン酸水素二ナトリウム41.3gを109gの水に溶解させてリン酸化試薬を調製した。
乾燥した針葉樹晒クラフトパルプの抄上げシートをカッターミルおよびピンミルで処理し、綿状の繊維にした。この綿状の繊維を絶対乾燥質量で100g取り、リン酸化試薬をスプレーでまんべんなく吹きかけた後、手で練り合わせ、薬液含浸パルプを得た。
得られた薬液含浸パルプを140℃に加熱したダンパー付きの送風乾燥機にて、80分間加熱処理し、リン酸化パルプを得た。
を用いて、6900回転/分の条件で180分間解繊処理し、セルロース懸濁液を得た。
X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持していた。このセルロース懸濁液をさらに、湿式微粒化装置(スギノマシン社製「アルティマイザー」)で245MPaの圧力にて1回パスさせセルロース繊維1を得た。X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持していた。
湿式微粒化装置(スギノマシン社製「アルティマイザー」)で245MPaの圧力にて10回パスさせた以外は製造例1と同様の方法で行いセルロース繊維2を得た。X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持していた。
製造例1で得たリン酸化パルプを再度リン酸化試薬に含浸し、140℃に加熱したダンパー付きの送風乾燥機にて、80分間加熱処理し、2回リン酸化反応を行った以外は製造例1と同様の方法で行いセルロース繊維3を得た。X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持していた。
製造例1で得たリン酸化パルプを再度リン酸化試薬に含浸し、140℃に加熱したダンパー付きの送風乾燥機にて、50分間加熱処理し、2回リン酸化反応を行った以外は製造例1と同様の方法で行いセルロース繊維4を得た。X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持していた。
リン酸水素二ナトリウム二水和物5.5g、リン酸水素二ナトリウム4.1gに変更した以外は製造例1と同様の方法で行い、セルロース繊維5を得た。X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持していた。
リン酸基に由来する強酸性基と弱酸性基の導入量の差分は、リン酸基の縮合の尺度となる。この値が小さいほどリン酸基の縮合が少なく、透明性の高い微細繊維状セルロース含有スラリーを与える。リン酸基に由来する強酸性基と弱酸性基の導入量は、解繊処理後の微細繊維状セルロース含有スラリーをそのままイオン交換水で固形分濃度0.2質量%となるように希釈した後、イオン交換樹脂による処理、アルカリを用いた滴定によって測定した。
イオン交換樹脂による処理では、0.2質量%微細繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った。その後、目開き90μmのメッシュ上に注ぎ、樹脂とスラリーを分離した。アルカリを用いた滴定では、イオン交換後の微細繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えながら、スラリーが示す電気伝導度の値の変化を計測した。
すなわち、図1に示した曲線の第1領域で必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して、強酸性基の導入量(mmol/g)とした。また、図1に示した曲線の第2領域で必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラ
リー中の固形分(g)で除して、弱酸性基の導入量(mmol/g)とした。
乾燥質量200g相当分の未乾燥の針葉樹晒クラフトパルプとTEMPO2.5gと、臭化ナトリウム25gを水1500mlに分散させた。その後、13質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1.0gのパルプに対して次亜塩素酸ナトリウムの量が5.0mmolになるように加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10〜11に保ち、pHに変化が見られなくなった時点で反応を終了した。
その後、このパルプスラリーを脱水し、脱水シートを得た後、10Lのイオン交換水を添加した。次に、攪拌して均一に分散させた後、濾過脱水して、脱水シートを得る工程を2回繰り返した。得られた脱水シートをFT−IRで赤外線吸収スペクトルを測定した。その結果、1730cm-1にカルボキシル基に基づく吸収が観察され、カルボキシル基の付加が確認された。この脱水シート(TEMPO酸化セルロース)を用いて、微細繊維状セルロースを調製した。
セルロース繊維1〜6の粘度を下記の方法で測定した。
セルロース繊維1〜6に水を添加し、各々のセルロース繊維の濃度を0.4質量%に調製した。セルロース繊維1〜6の懸濁液を24時間放置後、B型粘度計(BLOOKFIELD社製、アナログ粘度計T−LVT)を用いて25℃にて回転数3rpm(3分)で粘度を測定した。結果を表1に示す。
解繊パルプスラリーの上澄み液を濃度0.01〜0.1質量%に水で希釈し、親水化処理したカーボングリッド膜に滴下した。乾燥後、酢酸ウラニルで染色し、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEOL−2000EX)により観察した。製造例1から4及び製造例6では、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることを確認した。製造例5では、繊維幅4nm程度の微細繊維状セルロース繊維を観察できなかった。製造例5の解繊パルプスラリーを濃度0.01〜0.1質量%に水で希釈し、スライドガラスに滴下した。カバーガラスをかぶせ、デジタルマイクロスコープ(Hirox製、KH−7700)により観察したところ10μm以上の粗大な繊維が観察された。
〔I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、及びI18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す〕
0.45≦αω(m・rad/sec) (2)
〔αは、片振幅(m)、ωは、角速度(rad/sec)を示す。〕。
<化粧料の評価>
下記表2、3に示す各化粧料を調製し、その製剤安定性、使用感触(べたつきの有無)について検討を行った結果を表2、3に併せて示す。表2及び3において「To100」とは、全量で100になる量を示す。なお、評価は以下の基準に従い行った。
水相中の各成分を加熱溶解した後、予め均一分散し、80℃に調整した油相と混合しホモミキサー(5000rpm、5分)にて乳化した。
調製した化粧料を45℃で1ヶ月間放置し、その製剤安定性を評価した。評価基準は下記のとおりである。
A:油あるいは水の分離が全く認められず、ツヤのある製剤
B:油あるいは水の分離は認められず、ツヤはあるが、ザラザラとした製剤
C:油あるいは水の分離は認められないが、ツヤのない製剤
D:油あるいは水の分離が明確に認められる、もしくは分散不良
専門パネル10名によって、実使用試験を実施した。評価基準は下記のとおりである。
A:パネル8名以上が、使用後べたつき感がないと認める。
B:パネル6名以上8名未満が、使用後べたつき感がないと認める。
C:パネル3名以上6名未満が、使用後べたつき感がないと認める。
D:パネル3名未満が、使用後べたつき感がないと認める。
一方で、比較品1、2の水溶性高分子を含まない製剤はツヤがなく微細セルロース繊維由来と思われる凝集物が目視で確認でき、ざらざらとした質感であった。
比較品3、4は、均一な製剤を調製できなかった。
比較品5は微細セルロース繊維を含まないため、べたつきのある製剤であった。
(A)セルロース繊維4 0.50(質量%)
ヒドロキシエチルセルロース 0.05
グリセリン 7.00
1,3−ブチレングリコール 5.00
防腐剤 適量
精製水 残量
(B)グリチルリチン酸2カリウム 0.10
精製水 10.00
調製方法:Aを80℃に加温後、40℃まで撹拌冷却する。Aを撹拌しているところにBを添加する。さらに撹拌冷却を続け、室温で調製を終了する。
(A)セルロース繊維3 0.30(質量%)
キサンタンガム 0.05
グリセリン 3.00
1,3−ブチレングリコール 7.00
防腐剤 適量
精製水 残量
(B)アルギニン 0.05
精製水 5.00
(C)グリチルリチン酸2カリウム 0.10
ヒアルロン酸ナトリウム(1%水溶液) 3.00
精製水 5.00
調製方法:Aを80℃に加温後、40℃まで撹拌冷却する。Aを撹拌しているところにB、Cをそれぞれ添加する。さらに撹拌冷却を続け、室温で調製を終了する。
(A)セルロース繊維2 1.00(質量%)
グアーガム 0.10
グリセリン 8.00
1,3−ブチレングリコール 5.00
アルギニン 0.70
防腐剤 適量
精製水 残量
(B)ホホバ油 3.00
スクワラン 5.00
リン酸セチル 1.40
ステアリルアルコール 2.00
調製方法:A、Bを80℃に加温して均一溶解する。BにAを添加して撹拌して乳化する。室温まで撹拌冷却して調製を終了する。
(A)セルロース繊維3 0.70(質量%)
カルボキシメチルセルロース 0.10
ステアロイルメチルタウリンナトリウム 0.50
1,3−ブチレングリコール 5.00
防腐剤 適量
精製水 残量
(B)顔料酸化チタン 7.00
酸化鉄(黄) 0.70
酸化鉄(赤) 0.20
酸化鉄(黒) 0.10
(C)NIKKOL ニコムルス41 2.50
ステアリン酸グリセリル 1.00
セトステアリルアルコール 1.00
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 8.00
ジメチコン(6cs) 3.00
シクロペンタシロキサン 5.00
調製方法:Bは予め分散機にて混合し、均一分散する。A、Cは80℃に加温して均一溶解する。AにBを添加し、Aをホモミキサーで撹拌しているところにCを添加して乳化する。室温まで撹拌冷却して調製を終了する。
※NIKKOL ニコムルス41:ベヘニルアルコール、ペンタステアリン酸ポリグリセリル−10、ステアロイル乳酸ナトリウム
(A)セルロース繊維4 0.05(質量%)
グアーガム 0.03
グリセリン 5.00
防腐剤 適量
精製水 残量
(B)CM3K40T4J 35.00
CM3K50XZ4J 25.00
X−21−5250L 3.00
シクロペンタシロキサン 15.00
(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー 2.00
調製方法:室温でBを撹拌し、均一分散する。Bを撹拌しているところにAを添加して撹拌後、調製を終了する。
※CM3K40T4J:PEG−10ジメチコン、微粒子酸化チタン、シクロペンタシロキサン、メチコン、アルミナ
CM3K50XZ4J:PEG−10ジメチコン、メチコン、微粒子酸化亜鉛、シクロペンタシロキサン
X−21−5250L:トリメチルシロキシケイ酸、ジメチコン
(A)セルロース繊維3 1.00(質量%)
キサンタンガム 0.50
ナイロン−12 2.00
1,3−ブチレングリコール 5.00
防腐剤 適量
精製水 残量
(B)PEG−10ジメチコン 0.50
CM3K40T4J 25.00
CM3K50XZ4J 15.00
調製方法:Aを80℃に加温して均一溶解後、室温まで撹拌冷却する。Aをホモミキサーで撹拌しているところにBを添加し、乳化して調製を終了する。
※CM3K40T4J:PEG−10ジメチコン、微粒子酸化チタン、シクロペンタシロキサン、メチコン、アルミナ
CM3K50XZ4J:PEG−10ジメチコン、メチコン、微粒子酸化亜鉛、シクロペンタシロキサン
(A)セルロース繊維3 0.30(質量%)
キサンタンガム 0.05
ステアロイルメチルタウリンナトリウム 0.50
1,3−ブチレングリコール 5.00
防腐剤 適量
精製水 残量
(B)PEG−60水添ヒマシ油 0.50
ポリソルベート60 0.70
ステアリン酸ソルビタン 1.50
IOP50XZ4J 25.00
IOPP40VMJ 25.00
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 8.00
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 3.00
調製方法:A、Bを80℃に加温して均一溶解する。Aをホモミキサーで撹拌しているところにBを添加し、乳化する。室温まで撹拌冷却して調製を終了する。
※IOP50XZ4J:パルミチン酸エチルヘキシル、微粒子酸化亜鉛、メチコン、ポリヒドロキシステアリン酸
IOPP40VMJ:パルミチン酸エチルヘキシル、微粒子酸化チタン、アルミナ、メチコン、ポリヒドロキシステアリン酸
(A)セルロース繊維1 0.70(質量%)
ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル 0.20
防腐剤 適量
精製水 残量
(B)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 0.50
1,3−ブチレングリコール 3.00
PPG−6デシルテトラデセス−30 1.00
(C)パンテノール 0.70
エタノール 10.00
調製方法:Aを80℃に加温して均一溶解後、室温まで撹拌冷却する。Aを撹拌しているところにB、Cをそれぞれ添加し均一溶解後、調製を終了する。
(A)セルロース繊維2 0.50(質量%)
キサンタンガム 0.10
アルギニン 0.70
防腐剤 適量
精製水 残量
(B)水添レシチン 1.00
ミリスチン酸ポリグリセリル−10 1.00
セタノール 1.50
トリエチルヘキサノイン 8.00
シクロペンタシロキサン 5.00
高重合ジメチコン 3.00
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 1.50
調製方法:A、Bを80℃に加温して均一溶解する。Aを撹拌しているところにBを添加して乳化後、撹拌しながら室温まで冷却して調製を終了する。
Claims (6)
- 下記成分(A)および(B)を含む化粧料であって、微細繊維状セルロースの配合量が0.3質量%以上であり、水溶性高分子の配合量が0.05質量%以上0.3質量%以下である、化粧料。
(A)繊維幅が1000nm以下であり、かつリン酸由来の置換基を0.15mmol/g以上3.0mmol/g以下有する微細繊維状セルロース;
(B)水溶性高分子: - 前記成分(B)が、増粘性多糖類を含む請求項1に記載の化粧料。
- 前記成分(B)が、イオン性の前記増粘性多糖類を含む請求項2に記載の化粧料。
- 前記成分(A)の配合量が、化粧料全体に対して0.3〜2.0質量%である請求項1〜3のいずれか一項に記載の化粧料。
- 成分(C)として、無機粉体、有機粉体、無機酸、有機酸、無機酸塩、有機酸塩、および陰イオン性界面活性剤からなる群より選ばれる一種または二種以上をさらに含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の化粧料。
- 化粧料を形成するために用いられるセルロース含有組成物であって、下記成分(A)および(B)を含み、微細繊維状セルロースの配合量が0.3質量%以上であり、水溶性高分子の配合量が0.05質量%以上0.3質量%以下である、セルロース含有組成物。
(A)繊維幅が1000nm以下であり、かつリン酸由来の置換基を0.15mmol/g以上3.0mmol/g以下有する微細繊維状セルロース;
(B)水溶性高分子:
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