以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る中間乗り入れ式のエレベータ式駐車装置を示す正面視の断面図であり、図2は、図1に示すII−II矢視拡大平面図、図3は、図1に示すエレベータの斜視図、図4は、図3に示すIV−IV矢視の縦断面図であり、図5(a)は図4に示すVa部の拡大斜視図、図5(b)は図4に示すVb部の拡大斜視図である。この実施の形態は、入庫方向と出庫方向とに所定の角度を有するエレベータ式駐車装置として、180°以外の角度の90°乗り入れ方式のエレベータ式駐車装置を例に説明する。なお、この明細書及び特許請求の範囲の書類中における方向の概念は、図2に示す前後左右の方向に基く。
図1に示すように、エレベータ式駐車装置1は、鉛直方向に設けられた鉄骨柱2と水平方向に設けられた梁3とによって枠状の鉄骨塔構造体4が形成されている。この鉄骨塔構造体4の外面には、外装板5が設けられている。上記鉄骨柱2の内側には棚柱6が設けられており、これら鉄骨柱2と棚柱6との間の横方向に棚レール7が設けられている。この棚レール7が設けられた位置が、車両M(後述する、「高車高車両M1」、「低車高車両M2」の総称時に「車両M」という)を搭載するパレット9,10を格納する複数段の駐車棚8となっている。この実施の形態では、鉄骨塔構造体4の左右両側の上下方向に駐車棚8がそれぞれ設けられている。
この例のエレベータ式駐車装置1は中間乗り入れ式であり、地上Gから掘削した地下空間B内に所定階の駐車棚8が設けられている。この例では地下空間B内に4階分が設けられ、その上部が地上Gに通じる中間乗り入れ部23となっている。この中間乗り入れ部23には、入出庫口24(三方枠)が設けられており、入出庫口24には扉25が設けられ、扉25の上部には庇26が設けられている。この入出庫口24の一側方には、運転操作盤101が設けられ、他側方には、非常口106(図2)が設けられている。
また、このエレベータ式駐車装置1においては、契約車椅子利用者がリモコン送信器110を携帯し、このリモコン送信器110によって扉25の閉操作を行うことができるようにしている。このリモコン送信器110と上記運転操作盤101とは、どちらでも操作できるようにすればよい。
上記駐車棚8は、この実施の形態では、鉄骨塔構造体4の左右両側の上下方向に12段がそれぞれ設けられている。この例では、上部の各4段が高車高車両M1(高車高軽自動車、ミドルルーフ車、ハイルーフ車等)用で、その下部の中間乗り入れ部23との間の各4段が低車高車両M2(セダン普通車等)用となっており、上記地下空間B内の各4段は低車高車両M2用となっている。各駐車棚8に設けられた棚レール7の上部には、これらの車両Mを搭載する標準パレット9と、特殊パレット10とが格納されている。標準パレット9は、上面に凹状車路が形成されており、特殊パレット10は、上面全体が平坦に形成されて車椅子対応となっている。これらのパレット9,10の詳細は、後述する。
そして、この駐車棚8の間に、駐車棚8の間の昇降路12を昇降して上記駐車棚8にパレット9,10を移載(格納又は受取り)するエレベータ11が設けられている。このエレベータ11は、上部の梁3に設けられたプーリ13を介して昇降駆動部14に設けられた駆動シーブ15に巻かれた昇降用ワイヤロープ16によって昇降させられる。昇降駆動部14には転向シーブ17が設けられており、この転向シーブ17を介して、上記昇降用ワイヤロープ16の端部にエレベータ11の巻上げ力を軽減させるためカウンタウエイト18が吊下げられている。上記昇降路12の最下部には、上記エレベータ11が最下部の駐車棚8との間でパレット9を移載する時のための空間となるピット27が形成されている。
さらに、この実施の形態では、エレベータ11にパレット移載装置たるパレット移載兼旋回装置20が設けられている。このパレット移載兼旋回装置20は、パレット9,10をエレベータ11上で旋回させるパレット持上旋回駆動機構21(図2)を備えており、このパレット持上旋回駆動機構21は、パレット9,10をエレベータ11と駐車棚8との間で移載する機能を兼ねている。このパレット持上旋回駆動機構21の詳細は、後述する。
図2に示すように、中間乗り入れ部23には、車両乗り入れ時にエレベータ11が着床したときの位置と、このエレベータ11によって旋回させられるパレット9,10(この実施の形態では90°旋回)の位置とに十字状の開口28を形成するように、中間乗入床29と面一となった固定デッキ30が設けられている。この固定デッキ30は、中間乗り入れ部23の位置で、左右位置に設けられた固定部の棚柱6間に架設された支持フレーム33上に設けられている。この実施の形態では、上記したように十字状の開口28を形成しているので、この開口28の側部に左前固定デッキ30aと右前固定デッキ30bと左後固定デッキ30cと右後固定デッキ30dとが設けられている。また、上記中間乗入床29との間には前側固定デッキ31(乗入デッキ)が設けられ、奥側には奥側固定デッキ32が設けられている。
さらに、中間乗り入れ部23には、車両M1,M2の乗り入れ状態を検知するための光電検知器PH1〜PH4が設けられている。光電検知器PH1と光電検知器PH2とは入出庫口側において、光電検知器PH3と光電検知器PH4とは奥側において、それぞれ車両M1,M2の入庫状態を検知するように入庫方向と直交する方向に設けられている。また、入出庫口24の奥側に位置する鉄骨塔構造体4の内部には、入庫している状態を利用者に示す入庫誘導案内表示器107とミラー板108とが設けられている。
図2,3に示すように、上記エレベータ11には、上記ワイヤロープ16で吊下げられて昇降路12(図1)を昇降する枠状の昇降フレーム35が設けられている。この昇降フレーム35は、前後両側部に案内ローラ36が設けられており、これらの案内ローラ36が上記棚柱6にガイドされながら昇降路12を昇降する。また、この昇降フレーム35の前後端部には、パレット9,10の下面に設けられた車輪34が係合して、パレット9,10の移載(横行)を案内するための横行レール37が設けられている。この横行レール37は昇降フレーム35の幅方向に延設されており、エレベータ11が駐車棚8に対応した所定位置に停止したときに駐車棚8の棚レール7と連続するようになっている。
さらに、上記昇降フレーム35の中央部を除く長手方向両端部には、エレベータデッキ65が設けられている。このエレベータデッキ65は、上部のデッキ板66が昇降フレーム35に立設された脚部67で所定高さに固定されている。このエレベータデッキ65は、中間乗り入れ部23の位置で、上記固定デッキ30a〜30dと水平方向に僅かな隙間を空けて上面が面一となったデッキを形成する大きさとなっている。
また、エレベータ11には、中間乗り入れ部23においてパレット9,10を旋回させるパレット移載兼旋回装置20が設けられている。また、このエレベータ11には、上記昇降フレーム35の略中央部に旋回台38が設けられ、この旋回台38の下部に、旋回台38を昇降フレーム35上で昇降させる駆動機たる4本の昇降用油圧シリンダ39と、この旋回台38の上部に設けられた旋回フレーム40に載置されて、パレット9,10(図1)を旋回させるパレット持上旋回駆動機構21とが設けられている。このパレット持上旋回駆動機構21は、パレット9,10を上記駐車棚8へ移載させるパレット移載機構を兼ねている。なお、旋回台38を昇降させる構成は4本の油圧シリンダ39には限られず、また、油圧シリンダ以外の構成であってもよい。
図4にも示すように、上記昇降フレーム35の中央部に設けられた旋回台38は、昇降フレーム35に設けられた昇降用油圧シリンダ39によって支持されている。この昇降用油圧シリンダ39は、昇降フレーム35の中央部の、前後・左右の4ケ所に立設されている。これらの油圧シリンダ39のピストンロッド43の上端には、旋回軸受44を介して上記旋回台38が固定されている。また、この旋回台38の上部4隅には、旋回台38上でパレット9(10)を安定して支持する旋回フレーム40と当接部材45とが設けられている。
上記パレット持上旋回駆動機構21は、第一モータ46で揺動駆動させられる第一アーム47と第二モータ48で揺動駆動させられる第二アーム49とが独立的に旋回可能なように構成されている。この第一アーム47の先端には係合突起50が設けられ、第二アーム49の先端には係合ローラ51が設けられている。これら第一アーム47と第二アーム49とで構成されたアーム機構部たるダブルクランクアーム機構が、パレット横送りとパレット旋回とを兼ねている。上記係合ローラ51が、アーム機構部の最上部である。図の中央部に示す二点鎖線は、後述するように、係合ローラ51が特殊パレット10の貫通穴90に侵入する状態を示しており、係合ローラ51を上方へずらして記載することにより下降する特殊パレット10への侵入状態を相対的に示している。このアーム機構部は、この実施の形態のダブルクランクアーム機構以外でもよく、例えば、シングルアーム機構でもよい。
また、図4,図5(a)に示すように、このように構成されたパレット持上旋回駆動機構21によって旋回させる旋回台38には、上記第一アーム47の係合突起50が係合する縦溝部材52が設けられている。この縦溝部材52は旋回台38の内側に設けられており、旋回台38を所定の高さに上げた時にのみ上記係合突起50が係合する位置に設けられている。この縦溝部材52は、係合突起50の上下方向の通過を許すが、係合時には回転方向の相対移動を許さないようになっている。
一方、図4,図5(b)に示すように、昇降フレーム35と旋回台38との間には、旋回台38の旋回を抑止する旋回抑止機構55が設けられている。この旋回抑止機構55は、昇降フレーム35の内側に設けられた縦溝部材56と、旋回台38の外側に設けられた係合片57とで構成されている。図5(b)に示すように、係合片57が縦溝部材56と係合している下側の位置では旋回台38の旋回が抑止され、この係合片57が縦溝部材56の上端から外れた位置では旋回台38の旋回が可能となっている。この縦溝部材56も、係合片57の上方向の通過を許すが、係合時には回転方向の相対移動を許さないようになっている。この昇降フレーム35と旋回台38との相対的位置決め関係としては、複数の高低位置制御レベルがある。
このレベルとしては、図5(b)の中間部に示す、昇降フレームの横行レールにパレットを搭載した状態のレベルaと、その上方に示すアーム機構の切替時レベルbと、その上方に示す持上げ旋回時レベルcと、上記レベルaの下方に示す標準パレットの持上げ90°旋回・下降した乗り入れレベルd1と、その下方に示す特殊パレットの持上げ90°旋回・下降した乗り入れレベルd2と、に設定されている。
従って、昇降フレーム35に対する旋回台38の相対位置関係を持上げ旋回時レベルcとして係合片57の係合を解除し、第一アーム47の先端に形成された係合突起50を旋回台38に形成された縦溝部材52(図4,図5(a))と係合させ、その相対位置関係で上記モータ46によって第一アーム47を旋回させれば、旋回軸受44から上部の旋回台38を昇降フレーム35上で旋回させることができる。
また、このパレット持上旋回駆動機構21が備える移載機能としては、旋回台38をレベルbとして、第二アーム49の先端に配設された係合ローラ51をパレット9,10の下面に設けた係合溝53(図4)に係合させたうえで、第一、第二アーム47,49を旋回させることにより、パレット9,10を横行させて移載するようになっている。
さらに、上記図3,4に示すように、エレベータ11には、上記駐車棚8にパレット9,10を移載する時に、このエレベータ11を駐車棚8側に固定するためのロッキング装置60が設けられている。この実施の形態では、エレベータ11と駐車棚8とを連結して固定できるように、横行レール37と各駐車棚8の棚レール7とを左右各2箇所で固定できるように4個のロッキング装置60が配設されている。このロッキング装置60は、昇降フレーム35から駐車棚8に向けてピストンシリンダ61で連結部材62を進出させて駐車棚8の係合部材(図示略)に係合させるものである。
なお、上記パレット持上旋回駆動機構21が備える移載機能とこのロッキング装置60とによるパレット9,10の格納/受取り動作(移載動作)については、本出願人の出願に係る特開2003−49555号、特開2006−219971号が詳しい。
図6(a)は標準パレットの斜視図であり、図6(b)は特殊パレットの斜視図である。図7は、図6(b)に示す特殊パレットと、他の例の特殊パレットとを左右に判断面で示す断面図である。上記したように、駐車装置1に設けられるパレットは、左・右部に凹状車路を形成した標準パレット9と、上面全体をフラットに形成した特殊パレット10(バリアフリー対応)とが混載されている。
図6(a)に示すように、標準パレット9は、幅方向の両側部長手方向が大きく上方へ折れ曲がった側部立上がり部70と、その内側に車両M1のタイヤを載せる凹状車路71が形成され、その内側に中央隆起部72が形成されている。左右の凹状車路71の上面には、一方の前部と他方の後部との対角位置に車止め棒材73が設けられている。この標準パレット9の側部立上がり部70の下側4隅には、下方に突出する鍔74が設けられ、この鍔74に車輪75が軸支されている。この車輪75により、上記駐車棚8の棚レール7上を横行するようになっている。鍔74の下面が、標準パレット9の最下面である。
一方、図6(b)に示すように、特殊パレット10は、上記標準パレット9の凹状車路71の全長に亘って側部立上がり部70及び中央隆起部72と同一高さの覆い板77を設けることにより、左・右の側部立上がり部70と左・右の覆い板77と中央隆起部72とによるパレット上面全体を平坦にしている。この覆い板77は、長手方向両端部を内側に折り曲げ、この折り曲げ部78を凹状車路71にボルト79で固定している。この左右の覆い板77の上面には、標準パレット9と同様に一方の前部と他方の後部との対角位置に車止め棒材73が設けられている。
従って、この実施の形態の特殊パレット10は、覆い板77の上面と凹状車路71の下面との間の全体厚さが、上記標準パレット9の側部立上がり部70の上面と凹状車路71の下面との間の全体厚さと同じになっているが、搭載すべき車両のタイヤ乗り入れ面のレベルに上記車路凹部高さ距離分(覆い板77の高さ分)の差異を生じている。
また、この特殊パレット10には、左・右・前・後部の所定位置に開口部たる侵入穴80が設けられている。この侵入穴80は、後述するパレット端部担持手段81の鉛直ポスト85(支持ポスト)と対向する位置の凹状車路71に設けられており、鉛直ポスト85の上端当接部材86が十分な遊びをもって侵入できる大きさで鉛直方向に設けられている。この侵入穴80としては、丸穴、角穴等、鉛直ポスト85の上端当接部材86が侵入できる開口部であればよい。このように、この実施の形態では、標準パレット9に覆い板77を設けて特殊パレット10を形成しているので、この特殊パレット10にも、側部立上がり部70の下側4隅に鍔74が設けられ、この鍔74に車輪75が軸支されている。この車輪75により、上記駐車棚8の棚レール7上を横行するようになっている。この特殊パレット10も、鍔74の下面が最下面である。
そして、この特殊パレット10の幅方向中央部である中央隆起部72には、上記パレット移載兼旋回装置20のパレット持上旋回駆動機構21に設けられた係合ローラ51の逃げ部たる貫通穴90が設けられている。この貫通穴90は、特殊パレット10の持上げ・90°旋回・(乗り入れレベルまで)下降に際し、上記したように特殊パレット10と標準パレット9とでタイヤ乗り入れ面が上記覆い板77の高さ分で差異を生じているので、その差異分を余分に下降させられる特殊パレット10が第二アーム先端の係合ローラ51と干渉しないようにするためのものである。すなわち、特殊パレット10の持上げ・90°旋回・(乗り入れレベルまで)下降に際し、パレット持上旋回駆動機構21の第一・第二アーム47・49を中央隆起部72内に収めるとともに、第二アーム先端の係合ローラ51を上記貫通穴90に侵入させて特殊パレット10との干渉を回避している。この実施の形態では、特殊パレット10の中央部に貫通穴90が設けられており、パレット持上旋回駆動機構21がリンク式のアーム機構部を有しているため、係合ローラ51を中央部に位置させやすいので、このような位置に貫通穴90が設けられている。この貫通穴90は、係合ローラ51の径に比べて大きな径で形成されているので、係合ローラ51と貫通穴90との相対位置が多少ずれても干渉しない。
また、このように特殊パレット10と係合ローラ51との干渉を、中央隆起部72の中央部(旋回中心)で回避することにより、特殊パレット10とエレベータデッキ65との隙間を必要最小限に設定できるようにしている。
さらに、この実施の形態では、この貫通穴90の上部に中空截頭円錐覆体91が設けられている。この中空截頭円錐覆体91は、上端が切除された中空円錐体であり、特殊パレット10の中央隆起部72にビスや接着等の手段によって取付けられる。
この中空截頭円錐覆体91は、特殊パレット10が乗り入れレベルにあるとき、上記係合ローラ51が貫通穴90の上部から僅かに露出するのを隠すものであり、見映え上の配慮で、必ずしも必要ではない。この中空截頭円錐覆体91が無い場合でも、利用者は車両乗り入れ時には、車両Mの中に居り、出庫時は車両Mが特殊パレット10のほぼ全体を覆っているので、利用者がパレット上を歩行しても上記係合ローラ51に躓く恐れはない。また、上記中空截頭円錐覆体91は、中央隆起部72の上面に突出しているものの、高さは低いので、車両乗り込みに際し車両底部に干渉する恐れは無い。
しかも、この中空截頭円錐覆体91の存在は、意匠的にも、また車両の乗り込み運転上も好ましい。即ち、標準パレット9は凹状車路71があるため、これを目印に車両Mの乗り込みを行うことができるが、特殊パレット10ではパレット全体が平坦面のため車両Mの乗り込み方向が定まり難くなる恐れがある。しかし、上記中空截頭円錐覆体91が特殊パレット10の中央に存在することにより、これが車両Mの進行方向の目印となって円滑な車両の乗り入れが可能となる。
なお、中空截頭円錐覆体91に彩色(黄色や縞模様等)したり、車路を形成する覆い板77面に縞模様などの彩色デザインを施せば一層乗り入れ易くなる。また上記中空截頭円錐覆体91は、意匠上の配慮で截頭円錐状としたが、截頭角錐や立方箱体でもよく、形態は限定されない。また、この実施の形態では、上記中空截頭円錐覆体91の天井部は多少の各部材の製作誤差があっても係合ローラ51との確実な干渉回避ができるように開口としたが、この天井部分を封鎖してもよい。
図7の右半部に示す他の例の特殊パレットは、上記係合ローラ51の逃げ部に関する構成が異なる。上記特殊パレット10と同一の構成には同一符号を付して、詳細な説明は省略する。この例の特殊パレット95は、上記中央隆起部72を上方へ高く形成した高中央隆起部96としており、この高中央隆起部96の全体を逃げ部としている。この例によれば、特殊パレット95の幅方向中央部の長手方向に高中央隆起部96が突出した形状となり、この高中央隆起部96によって形成される下方の空間97により、特殊パレット95を着床させた時に係合ローラ51が特殊パレット95と干渉することを回避することができる。また、この例によれば、係合ローラ51の格納位置を高中央隆起部96の幅寸法内に位置させれば干渉しないので、正確な格納位置の制御を行う必要がない。さらに、このようにすれば、中空截頭円錐覆体91を設けることなく係合ローラ51を隠すことができると共に、この突出した高中央隆起部96が車両の乗り込み方向の目印にもなる。なお、このように高中央隆起部96を上方へ突出させても、車両Mを搭載した状態では車両下方に位置して、車椅子利用者の乗降等には影響しない。
図8は、パレット端部を支持する担持手段の斜視図であり、図9(a),(b)は、標準パレットのパレット端部における担持手段による支持状態を示す正面図、図10(a),(b)は、特殊パレットのパレット端部における担持手段による支持状態を示す正面図である。
上記したように、特殊パレット10は標準パレット9を用いて形成しており、両パレット9,10の車両乗り入れ面(標準パレット9は凹状車路71の上面、特殊パレット10は覆い板77の上面)の高さには、覆い板77の高さ分(凹状車路71の深さ分)の差異を生じている。そこで、これらのパレット9,10の車両乗り入れ面を乗入床29と面一に支持するパレット端部担持手段81が中間乗り入れ部23に架設された支持フレーム33の前・後部に設けられている(図1,2)。
図8に示すように、中間乗り入れ部23の前・後部固定部に設けられたパレット端部担持手段81は上記支持フレーム33に固定されており、乗り入れ方向(入庫方向)に対し直交する方向に設けられた細長い水平材82(例えば、角パイプ)と、この水平材82の両端部に固設された当板83付きのガイドブロック84と、水平材82の上記ガイドブロック84の若干内方に立設された所定長さの鉛直ポスト85とを備えている。この鉛直ポスト85の上端部には、上端当接部材86が固設されている。この鉛直ポスト85は、水平材82の反固定デッキ側に設けられたブラケット87から立設されている。また、水平材82は、上記支持フレーム33にブラケット89で支持されている。さらに、ガイドブロック84は、左右の上部外側から内側に向けて円弧状に形成され、これらガイドブロック84にパレット9,10が当接したら、これらガイドブロック84の間にパレット9,10を案内するようになっている。このパレット端部担持手段81には、駆動源等は一切設けられていない。
図9(a)に示すように、エレベータ11によって昇降させられて上記パレット端部担持手段81によって両端を支持される標準パレット9は、図示する前側固定デッキ31(乗入デッキ)から当板83までを高さh0とすると、標準パレット9の最下端である車輪75の鍔74が固定デッキ30の上面よりも所定量上がった高さh1の状態で旋回させられる。
そして、図9(b)に示すように、旋回させられた標準パレット9を下降させると、下降の最終段階で鉛直ポスト85の上端当接部材86に凹状車路71の下面が当接して支持される。これにより、凹状車路71の上面が、乗入床29・固定デツキ30a〜30d・エレベータデッキ65と面一に整合する。この状態では、鍔74と当板83との間には、高さh2分の隙間が形成される。これらの高さの関係は、旋回レベルh1>乗り入れレベルh0>車路深さ(鍔を当板から浮かせた高さ)h2、となる。
一方、図10(a)に示すように、エレベータ11によって昇降させられて上記パレット端部担持手段81によって両端を支持される特殊パレット10は、上記した標準パレット9と同一の高さh1の状態で旋回させられる。
そして、図10(b)に示すように、旋回させられた特殊パレット10を下降させると、この特殊パレット10の左・右・前・後部に設けられた侵入穴80に鉛直ポスト85が侵入し、上端当接部材86の上面が覆い板77の下面に当接する寸前の時点で、特殊パレット10の車輪75及び鍔74が水平材82の当板83に載置されることで停止して支持される。この例では、覆い板77の板厚を凹状車路71の板厚よりも僅かに薄くして、上記上端当接部材86が当接する寸前で支持するようにしている。これにより、覆い板77の上面、すなわち、パレット10上面全体(側部立ち上り部70・覆い板77・中央隆起部72)が、乗入床29・固定デッキ30a〜30d・エレベータデッキ65の上面と面一に整合する。
従って、上記したパレット端部担持手段81に動力源を設けることなく、中間乗り入れ面(標準パレット9は凹状車路71の上面、特殊パレット10は覆い板77の上面)の高さの異なる標準パレット9と特殊パレット10とを混載させても、標準パレット9の車路面を固定デッキ31(32)と面一に支持できると共に、特殊パレット10も車路面を固定デッキ31(32)と面一に支持することができる。
このように、中間乗り入れ部23におけるエレベータ昇降フレーム35の停止位置、及びパレット持上高さh1(旋回レベル)は、標準パレット9、特殊パレット10共に同じであるが、90°旋回後に下降させて着床させる距離が、標準パレット9では(h1−h2)であるのに対し、特殊パレット10ではh1で覆い板77の厚み分h2だけ異なるが、上記パレット端部担持手段81により、特別の駆動機構を具備させることなく簡単な機構で、それぞれの中間乗り入れ面の高さに応じてパレット端部の乗り入れレベルを物理的に整含させることができる。
従って、上記パレット端部担持手段81の異なる部分で標準パレット9と特殊パレット10との端部を支持することにより、パレット9,10の構成を一部変更するのみで、エレベータ11に関する構成を変更することなく標準パレット9と特殊パレット10との混載を可能としている。
図11は、図1,2に示す運転操作盤の詳細図であり、図12は、同運転操作盤の制御ブロック図である。図11に示すように、上記運転操作盤101の一例としては、上部にメッセージ表示部111が設けられ、その下方に、スタートボタン112と空呼ボタン113と取消ボタン114とが設けられる。これらのボタンの下方には、安全確認ボタン115と暗証ボタン116と終了扉閉ボタン117と扉開ボタン118とが設けられる。また、これらのボタンの横方向には数字ボタン119と入口番号と呼番号との表示部120とが設けられ、その下方には普通車又はハイルーフ車の空呼パレットボタン121と非常停止ボタン122とが設けられている。
そして、これらのボタンの下方には、電源スイッチ123と運転モード切換スイッチ124と車椅子対応スイッチ125とが下部操作部として設けられている。この運転操作盤101は、健常者用及び車椅子利用者用共通であり、例えば、駐車場管理人等がこれらの運転操作盤101の下部操作部を開放し、車椅子対応スイッチ125を「OFF」にすると健常者用運転操作盤101Aとして使用でき、車椅子対応スイッチ125を「ON」にすると車椅子利用者用運転操作盤101Bとして使用できる。また、上記空呼パレットボタン121は、車椅子対応スイッチ125を「OFF」にして押すと、中間乗り入れ部23に近い駐車棚8に格納されている空の標準パレット9から呼び出され、車椅子対応スイッチ125を「ON」にして押すと、中間乗り入れ部23に近い駐車棚8に格納されている空の特殊パレット10から呼び出される。
図12に示すように、上記運転操作盤101における制御ブロックとしては、大きく分類すると以下のようになっている。上記車椅子対応スイッチ125を「OFF」にした状態で入力する入力部128A又は「ON」にした状態で入力する入力部128B(上記112〜119,121等)からの入力信号、もしくはリモコン送信器110から受信器129に信号が送信され、この受信器129が受信した入力信号がI/O装置130に入力され、このI/O装置130からCPU、RAM、ROM等が設けられた制御装置131に入力される。また、制御装置131には、I/O装置130を介して、エレベータ11の昇降位置検知器、入出庫部の車両・人検知器等の検知器132からの信号と、入出庫口扉駆動部、エレベータ昇降駆動部、旋回台昇降駆動部、旋回台旋回兼移動駆動部、エレベータロッキングアクチュエータ等の駆動部133からの信号も入力されている。
そして、これらの信号に基づいて制御装置131が上記各駆動部133の駆動制御信号を出力し、この信号によって入出庫口24やエレベータ11等が駆動制御される。また、制御装置131からは、I/O装置130を介して、表示部111に信号が出力されると共に、入出庫口案内表示器、入庫誘導案内表示器、警報器等の案内表示器134に信号が出力される。また、上記表示部111は、上記車椅子対応スイッチ125の「OFF」又は「ON」に応じて、健常者用の表示内容となる表示部111A、又は車椅子利用者用の表示内容となる表示部111Bとなる。
図13(a),(b)、図14(a),(b)は、図1に示す特殊パレットに対する入庫時の作用説明図であり、図13(a),(b)は、中間乗り入れ部への特殊パレットの、移送・持上げの順次動作図、図14(a),(b)は、それに続く、中間乗り入れ部における特殊パレットの、90°旋回・下降の順次動作図である。図15(a)は、特殊パレットが中間乗り入れ部に配置された状態の中央部平面図、(b)は、(a)のXVb−XVb矢視の要部を示す拡大断面図である。図16は、図14(b)に示す特殊パレットに対する車椅子利用者の入庫時乗り入れ部の平面図である。これらの図と上述した図に基づいて、上記エレベータ式駐車装置1に車椅子利用者が入庫する手順を説明する。以下の説明では、車椅子利用契約者U2の低車高車両M2を入庫させる場合を説明する。
上述した図1に示すように、車椅子利用者U2が運転操作盤101にて特殊パレットの呼び操作を行うと(この操作は、車椅子利用契約者がリモコン送信器110によって操作してもよい)、制御装置131は、契約している車椅子対応の特殊パレット10の現在格納棚位置を特定し(例えば、図1に示す左側5段目)、その特殊パレット10の呼び動作を指令する。
この制御装置131の指令により、図1に二点鎖線で示すように、エレベータ11が昇降して目的の特殊パレット10が格納されている駐車棚8の位置に到達して停止し、パレット持上旋回駆動機構21(パレット移載機構)の動作により特殊パレット10を昇降フレーム35に引き込む。この時、特殊パレット10の車輪75が昇降フレーム35に設けられた横行レール37上に移載される(図4)。
その後、図13(a)に示すように、エレベータ11が昇降路12内を下降し、中間乗り入れ部23の近くになって減速し始めたところで、油圧シリンダ39がロッドの伸長動作を開始し、旋回台38が上昇されて特殊パレット10を徐々に持上げる。このとき、特殊パレット10の車輪75は横行レール37から若干上方に離脱するものの(図13(b))、まだ旋回台38の係合片57が昇降フレーム35の縦溝部材56に係合した状態(図5(b)に示す「レベルb」以下)で、非旋回状態にロックされている。
そして、図13(b)に示すように、エレベータ11が昇降路12内を下降して、エレベータデッキ65の上面が中間乗入床29及び周囲の固定デッキ30と面一整合したところで下降を停止する。このエレベータ下降停止の時点では、油圧シリンダ39は最伸張動作を終え、旋回台38及び特殊パレット10は最上位置の旋回レベルに持上げられ、図5(b)に示す係合片57が縦溝部材56から上方に離脱した持ち上げ旋回時レベルcにあり、代わって図5(a)に示すように第一アーム47先端の係合突起50が旋回台38の縦溝部材52に係合し、旋回可能な状態となっている。
その後、図14(a)に示すように、第一モータ46の駆動によって、旋回台38を90°旋回させることにより、特殊パレット10が乗り入れ方向に90°方向転換させられる。また、油圧シリンダ39のロッド縮短動作により旋回台38及び特殊パレット10が一体に下降し始め、若干下降したところで、上記係合突起50が縦溝部材52から下方に離脱すると共に、上記係合片57が縦溝部材56に係合し旋回ロックされた状態で下降するように案内される(図5(b))。そして、特殊パレット10の持上げ90°旋回終了直後、パレットの下降直前又は下降の初期段階で第一・第二アーム47・49を折り畳むとともに、前後方向に整合させられる(図15(a))。
そして、図14(b)に示すように、油圧シリンダ39のさらなる短縮により、上記旋回台38及び特殊パレット10がさらに下降し、この特殊パレット10の下降最終段階で、図15(a),(b)に示すように、係合ローラ51・第一アーム47・第二アーム49全体が中央隆起部72内に相対的に入り込むと共に、上述した図10(b)に示すように、パレット端部担持手段81の鉛直ポスト85の上部がパレット凹部の侵入穴80に相対的に侵入し、やがてパレット10の車輪75及び鍔74が水平材82の当板83に当接して特殊パレット10のみがこの水平材82に預けられ、特殊パレット10がパレット端部担持手段81によって支持される。
このように特殊パレット10がパレット端部担持手段81によって支持される下降最終段階で、上記折り畳まれた第一・第二アーム47・49の第二アーム49端部に位置する係合ローラ51が相対的に中央隆起部72内の貫通穴90内に侵入して(図15(b))、この係合ローラ51の上部が上方に突出して中空截頭円錐覆体91内に入り込み特殊パレット10との干渉が回避される。
また、上記油圧シリンダ39のロッド縮短動作は、上記特殊パレット10の下降停止直後に停止する。このとき、旋回フレーム40上端の当接部材45は特殊パレット10の下面より僅少下方に離脱しており(図10(b))、上記係合片57は縦溝部材56の最下位置のレベルd2で係合している(図5(b))。
このようにして、特殊パレット10の上面(側部立上がり部70・中央隆起部72・覆い板77の上面)が、中間乗入床29・固定デッキ30・エレベータデッキ65の上面と面一に整合させられる。
その後、入出庫口扉25が開き、車椅子利用者U2が入庫誘導案内表示器107の案内に従って、車両M2を前進運転で特殊パレット10に乗り込む(図16)。この乗り込みに際しては、特殊パレット10への乗り入れ端に整合させて前側固定デッキ31上に設けられた左・右2個の入庫誘導ブロック99、及び特殊パレット10の中央部に突設された中空截頭円錐覆体91が目印となり、また正面のミラー板108により自車両の姿を確認しながら車両M2を進める。この車両入場により、前記入場検知用の光電検知器PH1、車両後部はみ出し検知用の光電検知器PH2、実車検知用の光電検知器PH3と、順次遮光される。なお、これらの光電検知器の検知状況に応じて、入庫誘導案内表示器107には「前進」や「停止」等の表示案内がなされる。
そして、車両M2が特殊パレット10に乗り込んでタイヤが車止め棒材73を乗り越えたときの僅かな衝撃を感じたところで車両M2を減速させ、入庫誘導案内表示器107の「停止」の表示で停止させればよい。この車両M2の所定位置停止により、実車検知用の光電検知器PH3のみが車両M2により遮光され、その他の光電検知器PH1・PH2・PH4は物体非検知(受光)となる。
この状態で車椅子利用者U2は車ドアDを開け、車椅子Wを車外に取り出し、車椅子Wに乗り換え、ドアDを閉めた上で、全面平坦な、エレベータデッキ65・固定デッキ30・前側固定デッキ31・中間乗入床29上で車椅子Wを走行させて退場する(図14(b)、図16)。この時、図16に示すように、前記入庫誘導ブロック99と入出庫口24との間の距離L2は、車椅子幅L1より十分大きいため、この間を車椅子利用者U2が余裕を持って車椅子Wで容易に通行することができる。
このように、中間乗り入れ部23の全面を平坦に形成することで、特殊パレット10への車両M2(M1)の安定した乗り入れ及び乗り出し、車椅子Wの取り出し・収納、及び車椅子利用者U2の容易な乗降、中間乗り入れ部23内における車椅子Wの安定した走行が行えるようにしている。そして、車椅子利用者U2は、退場後、運転操作盤101はリモコン送信器110の操作により入出庫口24の扉25を閉める。
このようにして車両M2を入庫させた後は、上記図14(b),(a)、図13(b),(a)と逆の動作が順次行われ、車両搭載の特殊パレット10が旋回させられた後、エレベータ11によって元の駐車棚8に格納されて、一連の入庫作業が完了する。なお、出庫作業はこれらの逆手順によって行われるので、詳細な説明は省略する。
以上のように、上記エレベータ式駐車装置1によれば、上面が平坦な特殊パレット10と共に中間乗り入れ部23のほぼ全面を平坦に形成することができるので、中間乗り入れ部23内における車椅子Wの安定した走行、特殊パレット10への車両M2(M1)の乗り入れ、車椅子Wの取り出し・収納、及び車椅子利用者の乗降を容易に行うことが可能となり、車椅子利用者U2が安定して入出庫、及び中間乗り入れ部23内での車椅子Wによる移動が安定して行えるバリアフリー対応となる。
また、車両Mのタイヤ乗り入れ面の高さが異なる標準パレット9及び特殊パレット10を混載させても、パレット端部担持手段81により特別の駆動機構を具備させることなく簡単な機構でそれぞれの乗り入れ面高さに応じてパレット端部の乗り入れレベルを物理的に整合させることができる。
しかも、特殊パレット10の幅方向中央部に逃げ部たる貫通穴90を設けることにより、パレット持上旋回駆動機構21のアーム先端から上向きに突設された係合ローラ51が、特殊パレット10を旋回させた後の下降距離が標準パレット9よりも大きいことによる特殊パレット10と干渉するのを回避できるので、仮に係合ローラ51の干渉する上面にはみ出す部分を特殊パレット側縁と固定デッキ及びエレベータデッキとの間から突き出させて回避する場合に比べて、特殊パレット10の側縁と固定デッキ30間の隙間を小さくでき、それらの隙間が大きくなることによる、利用者の乗降時における躓きや、その隙間から車キー・小銭などの小物を落としたりして地下の駐車棚に格納されている車両を損傷することがないようにできる。
なお、上記実施の形態のパレット持上旋回駆動機構21は、第一・第二アーム47・49の折り畳みを、前後方向に整合させるようにしているが、これは必須ではなく、特殊パレット10が乗り入れレベルまで下降した際、両アーム及び係合ローラがパレットの中央隆起部72内に収まり、係合ローラ51が中央貫通穴90に入り込んでパレット部位との干渉が回避されれば、折り畳み状態が前後方向斜め状態でもよい。また、上記実施の形態では、係合ローラ51が入り込む貫通穴90をパレットの旋回中心に設けているが、旋回中心ではない位置に貫通穴90を設けてもよい。
さらに、特殊パレット10を上述した図7の右半部に示す特殊パレット95とすれば、貫通穴90を設けることなく、高中央隆起部96によって形成される空間97で容易に係合ローラ51と特殊パレット95との干渉を回避することができる。
また、上述した実施の形態では、標準パレット9の車路上に覆い板77を設けて特殊パレット10としているので、駐車装置1の利用(契約)状況に応じて、標準パレット9/特殊パレット10を相互に変換改造し、台数比率を容易に変更できる。例えば、標準パレット9を特殊パレット10に改造する場合、2枚の覆い板77を標準パレット9の2条の凹状車路71に取り付け、中央隆起部72の中心部に貫通穴90を開口し、これを取り囲むように中空截頭円錐覆体91を中央隆起部72にビス留め又は接着等によって固定すればよい。逆に、特殊パレット10から標準パレット9への改造の場合は、上記覆い板77を取り外すだけでよく、必要に応じて中空截頭円錐覆体91を取り外してもよい。この中空截頭円錐覆体91は、車両Mの乗り入れに支障なく、乗り入れ時の目印になるのであればそのまま残してもよい。取り外した場合、貫通穴90を平板で塞いでも、開口のままでもよい。
図17は、本発明の第2実施の形態に係る連基のエレベータ式駐車装置を示しており、中間乗り入れ方式の中間乗り入れ部における平面図である。上述した実施の形態では、中間乗り入れ方式の単基のエレベータ式駐車装置1を例に説明したが、本発明は以下のように連立エレベータ式駐車装置140にも適用できる。上述した実施の形態と同一の主要な構成には同一符号を付し、他は符号を省略して、それらの詳細な説明は省略する。
図示する連立エレベータ式駐車装置140は、2連基で前基141(入出庫口側)及び奥基142(反入出庫口側)とも中間乗り入れの90°乗り入れ方式となっている。このように連基とする場合、前基141に少なくとも1台の上面平坦な特殊パレット10が配置される。この特殊パレット10は、車椅子利用車両の搭載用にできると共に、奥基142へ車両Mを自走するための車路パレットとして利用できる。なお、連立エレベータ式駐車装置140の車路パレットに関しては、本出願人の出願に係る特開2005−200850号が詳しい。
また、図示する状態は、前基141に特殊パレット10が配置され、この特殊パレット10を車路パレットとして利用して奥基142に配置された標準パレット9に健常者が低車高車両M2を入庫させた後、前基141に配置された特殊パレット10に車椅子利用者が低車高車両M2を入庫させる動作を、奥基142への入庫と、前基141への入庫とを重ねて示している。
さらに、図17では2連基を例にしているが、3連基以上の場合も適用でき、種々の組み合わせの連基(連立)に適用できる。さらに、奥基は90°乗り入れに限らず、180°乗り入れでもよい。
このように連基とする場合、奥基に特殊パレット10を配置することも可能であるが、最前基のみ特殊パレット10を少なくとも1台配置し、奥基は特殊パレット無しで標準パレットのみとするのが好ましい。これは、奥基に特殊パレット10を配置すると、車椅子利用者が車両Mを奥基の特殊パレット10に乗り込んでから、降車し、車椅子に乗って奥基デッキ143(複数の固定デッキ及びエレベータデッキ等)、連基間の仕切り開口144、前基デッキ145(複数の固定デッキ及びエレベータデッキ等)を通って退場するのが困難であるからである。
なお、上記いずれの実施の形態も、90°中間乗り入れ方式のエレベータ式駐車装置1を例に説明したが、180°以外の角度で旋回させる中間乗り入れ方式のエレベータ式駐車装置であれば同様に適用することができ、上記実施の形態に限定されるものではない。
また、上記実施の形態では、高車高車両M1と低車高車両M2とを格納可能な駐車装置1を例に説明したが、高車高車両M1のみ、又は低車高車両M2のみの構成でもよく、特殊パレット10の格納位置も、上記実施の形態に限定されるものではない。
さらに、上記実施の形態では、中間乗り入れ方式のエレベータ式駐車装置を例に説明したが、下部乗り入れ方式のエレベータ式駐車装置であっても適用可能であり、中間乗り入れ方式に限定されるものではない。また、上記実施の形態の中間乗り入れ方式のエレベータ式駐車装置は、地上部を独立鉄塔式としたが、建物(ビル)内の空間に設けられた独立鉄塔式等でも同様に適用できる。
さらに、上記実施の形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではない。