JP5267555B2 - エレクトレットおよび静電誘導型変換素子 - Google Patents
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Description
従来、該エレクトレットの材料としては、主に、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等の鎖状の高分子化合物が使用されていた。
また、最近、該エレクトレットの材料として、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体(たとえば特許文献1参照)や、シクロオレフィンポリマー(たとえば特許文献2、3参照)を用いることが提案されている。
本発明は、上記のような従来の課題に鑑みてなされたものであり、表面電荷密度が高いエレクトレットおよび該エレクトレットを備える静電誘導型変換素子の提供を課題とする。
前記高分子化合物(b)または無機物(c)の比誘電率と、前記高分子化合物(a)の比誘電率との差が0.3以上であり、
前記積層体に電荷を注入してエレクトレットとする際に、電荷が注入される側と反対側の最表面に前記層(A)が配置され、
前記層(B)の厚さが1μm以上であることを特徴とするエレクトレットである。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様のエレクトレットを備える静電誘導型変換素子である。
以下の明細書中においては、重合体を構成する「繰り返し単位」を「単位」と略記することがある。
また、式(a1)で表される単位を「単位(a1)」とも記す。他の式で表される単位、化合物等についても同様に記し、たとえば式(1)で表される単量体を「単量体(1)」とも記す。
層(A):比誘電率が1.8〜3.0の高分子化合物(a)を含む層。
層(B):高分子化合物(b)または無機物(c)含み、前記高分子化合物(b)または無機物(c)の比誘電率と、前記高分子化合物(a)の比誘電率との差が0.3以上であり、厚さが1μm以上である層。
層(A)は、エレクトレットとしての電荷保持を担う部分である。
層(B)は、層(A)と直接接することで、表面電荷密度の向上に寄与する。
層(A)は、比誘電率が1.8〜3.0の高分子化合物(a)から構成される。該比誘電率は1.8〜2.7が好ましく、1.8〜2.3がより好ましい。該比誘電率が上記範囲の下限値以上であると、エレクトレットとして蓄えうる電荷量が高く、上限値以下であると、電気絶縁性、及びエレクトレットとしての電荷保持安定性に優れる。
また、層(A)はエレクトレットとしての電荷保持を担う部分であることから、該高分子化合物(a)としては、体積固有抵抗が高く、絶縁破壊強度が大きいものが好ましく用いられる。
高分子化合物(a)の体積固有抵抗は、1010〜1020Ωcmが好ましく、1016〜1019Ωcmがより好ましい。該体積固有抵抗は、ASTM D257により測定される。
また、高分子化合物(a)の絶縁破壊強度は、10〜25kV/mmが好ましく、15〜22kV/mmがより好ましい。該絶縁破壊強度は、ASTM D149により測定される。
本発明において、高分子化合物(a)としては、電荷保持性能に優れることから、脂肪族環構造を有するものが好ましい。
脂肪族環構造を有する高分子化合物としては、たとえば、シクロオレフィンポリマーが挙げられる。
「シクロオレフィンポリマー」とは、当該ポリマーの主鎖に脂肪族炭化水素環構造を有するポリマーであり、当該脂肪族炭化水素環構造を構成する炭素原子のうち少なくとも2つが当該ポリマーの主鎖に組み込まれているものをいう。
シクロオレフィンポリマーは、脂肪族炭化水素環構造を有する単位(以下、単位(a1)ということがある。)を有しており、該単位(a1)においては、当該脂肪族炭化水素環構造を構成する炭素原子のうち少なくとも2つが当該ポリマーの主鎖に組み込まれている。
シクロオレフィンポリマーとして、好ましいものとしては、単位(a1−1)を含むものが挙げられる。
該置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、フェニル基等のアリール基、アダマンチル基等の多環式の脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
置換基としてのアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
置換基としてのシクロアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、5〜8であることがより好ましい。該シクロアルキル基としては、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基が特に好ましい。
置換基としてのアルコキシ基は、前記アルキル基に酸素原子(−O−)が結合したものが挙げられる。
鎖状の炭化水素基としては、置換基を有していてもよい直鎖状のアルキレン基が好ましく、その炭素数は1〜4が好ましく、2〜3がより好ましく、2が最も好ましい。具体的には、ジメチレン基が挙げられる。
環状の炭化水素基としては、置換基を有していてもよい単環式または多環式のシクロアルカンから水素原子を2つ除いた基が好ましい。単環式のシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式のシクロアルカンとしては、ノルボルナン、アダマンタン等が挙げられる。これらの中でも、シクロペンタンまたはノルボルナンが好ましい。
mが1以上の整数の場合、後述する単位(a1−11)のように、ポリマー主鎖が、脂肪族炭化水素環構造のオルト位ではなく、メチレン鎖1つ以上の間隔をあけて結合することにより当該脂肪族炭化水素環構造がポリマー主鎖に組み込まれている。この場合、mとしては、1〜3の整数が好ましく、1が最も好ましい。
mが0の場合、後述する単位(a1−21)のように、ポリマー主鎖が、脂肪族炭化水素環構造のオルト位に結合することにより当該脂肪族炭化水素環構造がポリマー主鎖に組み込まれている。
rおよびsは、それぞれ、0であってもよく、1であってもよい。
特に、mが0の場合はrおよびsが0であることが好ましい。また、mが1の場合は、rおよびsが1であることが好ましい。
R1およびR2は相互に結合して、R1およびR2がそれぞれ結合した炭素原子とともに、環を形成していてもよい。この場合に形成される環としては、単環式または多環式のシクロアルカンが好ましい。単環式のシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式のシクロアルカンとしては、ノルボルナン、アダマンタン等が挙げられる。これらの中でも、シクロペンタンまたはノルボルナンが好ましい。
該環は置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記Rの炭化水素基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
R1およびR2が環を形成している場合の単位(a1−11)の具体例としては、下記単位(a1−11−1)、単位(a1−12−1)等が挙げられる。
式(a1−21)中、R3およびR4は、それぞれ、前記R1およびR2と同様である。
R3およびR4が環を形成している場合の単位(a1−21)の具体例としては、下記単位(a1−21−1)、単位(a1−21−2)等が挙げられる。
シクロオレフィンポリマー中、単位(a1)の割合は、当該シクロオレフィンポリマーを構成する全繰り返し単位の合計に対し、30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、100モル%であってもよい。
単位(a2)としては、従来、シクロオレフィンポリマーに用いられている任意の単位が利用でき、特に限定されない。
該単位(a2)としては、置換基を有していてもよいオレフィンに基づく単位が好ましく、該単位としては、たとえば下記単位(a2−1)が挙げられる。
シクロオレフィンポリマー(I):前記単位(a1−11)を含むシクロオレフィンポリマー。
シクロオレフィンポリマー(II):前記単位(a1−21)および単位(a2)を含むシクロオレフィンポリマー。
また、シクロオレフィンポリマー(I)は、本発明の効果を損なわない範囲で、単位(a1−11)以外の単位を含んでいてもよい。
シクロオレフィンポリマー(I)中、単位(a1−11)の割合は、当該シクロオレフィンポリマー(I)を構成する全繰り返し単位の合計に対し、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、100モル%が特に好ましい。すなわち、シクロオレフィンポリマー(I)としては、単位(a1−11)のみから構成される重合体が特に好ましい。
また、シクロオレフィンポリマー(II)は、本発明の効果を損なわない範囲で、単位(a1−21)および単位(a2)以外の単位を含んでいてもよい。
シクロオレフィンポリマー(II)中、単位(a1−21)の割合は、当該シクロオレフィンポリマー(II)を構成する全繰り返し単位の合計に対し、20〜70モル%が好ましく、30〜50モル%がより好ましい。また、単位(a2)の割合は、当該シクロオフィンポリマー(II)を構成する全繰り返し単位の合計に対し、30〜80モル%が好ましく、50〜70モル%がより好ましい。
また、シクロオレフィンポリマー(II)中の単位(a1−21)および単位(a2)の含有量の比(モル比)は、単位(a1−21):単位(a2)=20:80〜70:30の範囲内が好ましく、30:70〜50:50の範囲内がより好ましい。
シクロオレフィンポリマー(II)の好ましい具体例としては、下記式(II−1)、(II−2)に示す2種のそれぞれの単位を含む共重合体が挙げられる。
官能基としては、アルコキシカルボニル基(エステル基ともいう。)、カルボキシ基、カルボン酸ハライド基、アミド基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基、チオール基、シアノ基等が挙げられる。これらの中でも、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基を有することが好ましい。
末端基としてカルボキシ基を含む場合、該カルボキシ基にはシラン化合物が結合していてもよい。
末端基としてアルコキシカルボニル基、あるいはカルボキシ基等の官能基を有するシクロオレフィンポリマーとしては、たとえば、シクロオレフィンポリマーに、不飽和カルボン酸およびその誘導体からなる変性単量体をグラフト共重合させてなる変性高分子化合物が挙げられる。
シクロオレフィンポリマーの合成方法としては、下記(1)〜(7)等が知られている。
なお、各反応式の最終生成物における表示単位は、得られたシクロオレフィンポリマー中に含有される単位を示す。
(1)ノルボルネン類とオレフィンとを付加共重合させる方法(たとえば下記反応式(1’)に示す方法)。
(2)ノルボルネン類の開環メタセシス重合体に対して水素添加する方法(たとえば下記反応式(2’)に示す方法)。
(3)アルキリデンノルボルネンをトランスアニュラー重合する方法(たとえば下記反応式(3’)に示す方法)。
(4)ノルボルネン類を付加重合させる方法(たとえば下記反応式(4’)に示す方法)。
(5)シクロペンタジエンの1,2−および1,4−付加重合体に対して水素添加する方法(たとえば下記反応式(5’)に示す方法)。
(6)シクロヘキサジエンの1,2−および1,4−付加重合体に対して水素添加する方法(たとえば下記反応式(6’)に示す方法)。
(7)共役ジエンを環化重合させる方法(たとえば下記反応式(7’)に示す方法)。
R6〜R7は、それぞれ独立にアルキル基であり、該アルキル基としては、前記Rの炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。
ノルボルネン類の付加共重合体としては、例えばアペル(登録商標)(三井化学社製)、TOPAS(登録商標)(Ticona社製)の商品名で販売されているものが挙げられる。
また、ノルボルネン類の開環メタセシス重合体の水素添加ポリマーとしては、種々のものがあるが、透明性、低吸湿性、耐熱性を有することから、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン社製)、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン社製)、アートン(登録商標)(JSR社製)の商品名で販売されているポリマーが好ましい。
高分子化合物(a)として用いられる含フッ素樹脂として、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、フルオロオレフィン−アルキルビニルエーテル共重合体、含フッ素環状重合体等が挙げられる。これらの中でも、電気絶縁特性の観点から、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)および含フッ素環状重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、特に含フッ素環状重合体が好ましい。
含フッ素脂肪族環構造を構成する炭素原子のうち、主鎖を構成する炭素原子は、該含フッ素重合体を構成する単量体が有する重合性二重結合に由来する。
たとえば含フッ素重合体が、後述するような環状単量体を重合させて得た含フッ素重合体の場合は、該二重結合を構成する2個の炭素原子が主鎖を構成する炭素原子となる。
また、2個の重合性二重結合を有する単量体を環化重合させて得た含フッ素重合体の場合は、2個の重合性二重結合を構成する4個の炭素原子のうちの少なくとも2個が主鎖を構成する炭素原子となる。
含フッ素脂肪族環構造としては、環骨格が炭素原子のみから構成されるものであってもよく、炭素原子以外に、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子を含む複素環構造であってもよい。含フッ素脂肪族環としては、環骨格に1〜2個のエーテル性の酸素原子を有する含フッ素脂肪族環が好ましい。
含フッ素脂肪族環構造の環骨格を構成する原子の数は、4〜7個が好ましく、5〜6個がより好ましい。すなわち、含フッ素脂肪族環構造は4〜7員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
含フッ素環状重合体(I’):環状含フッ素単量体に基づく単位を有する重合体。
含フッ素環状重合体(II’):ジエン系含フッ素単量体の環化重合により形成される単位を有する重合体。
環状含フッ素単量体としては、化合物(1)または化合物(2)が好ましい。
X11、X12、X13、X14、Y11およびY12におけるパーフルオロアルキル基としては、炭素数が1〜7であることが好ましく、炭素数1〜4であることがより好ましい。該パーフルオロアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状が好ましく、直鎖状がより好ましい。具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等が挙げられ、特にトリフルオロメチル基が好ましい。
X11、X12、X13、X14、Y11およびY12におけるパーフルオロアルコキシ基としては、前記パーフルオロアルキル基に酸素原子(−O−)が結合したものが挙げられる。
X11としては、フッ素原子が好ましい。
X12としては、フッ素原子、トリフルオロメチル基、または炭素数1〜4のパーフルオロアルコキシ基が好ましく、フッ素原子またはトリフルオロメトキシ基がより好ましい。
X13およびX14としては、それぞれ独立に、フッ素原子または炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基が好ましく、フッ素原子またはトリフルオロメチル基がより好ましい。
Y11およびY12としては、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜4のパーフルオロアルコキシ基が好ましく、フッ素原子またはトリフルオロメチル基がより好ましい。
該含フッ素脂肪族環としては、4〜6員環が好ましい。
該含フッ素脂肪族環は、飽和脂肪族環であることが好ましい。
該含フッ素脂肪族環は、その環骨格中に、エーテル性酸素原子(−O−)を有していてもよい。この場合、含フッ素脂肪族環中のエーテル性酸素原子の数は、1または2が好ましい。
化合物(2)においては、Y11およびY12が相互に結合して、Y11およびY12が結合した炭素原子とともに、含フッ素脂肪族環を形成していてもよい。
該含フッ素脂肪族環としては、4〜6員環が好ましい。
該含フッ素脂肪族環は、飽和脂肪族環であることが好ましい。
該含フッ素脂肪族環は、その環骨格中に、エーテル性酸素原子(−O−)を有していてもよい。この場合、含フッ素脂肪族環中のエーテル性酸素原子の数は、1または2が好ましい。
化合物(1)の好ましい具体例としては、化合物(1−1)〜(1−5)が挙げられる。
化合物(2)の好ましい具体例としては、化合物(2−1)〜(2−3)が挙げられる。
ただし、該含フッ素環状重合体(I’)中、環状含フッ素単量体に基づく単位の割合は、該含フッ素環状重合体(I’)を構成する全繰り返し単位の合計に対し、20モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、100モル%であってもよい。
該他の単量体としては、上記環状含フッ素単量体と共重合可能なものであればよく、特に限定されない。具体的には、後述するジエン系含フッ素単量体、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)等が挙げられる。
ジエン系含フッ素単量体としては、化合物(3)が好ましい。
CF2=CF−Q−CF=CF2 ・・・(3)。
式中、Qは、エーテル性酸素原子を有していてもよく、フッ素原子の一部がフッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基である。該フッ素原子以外のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
Qがエーテル性酸素原子を有するパーフルオロアルキレン基である場合、該パーフルオロアルキレン基におけるエーテル性酸素原子は、該基の一方の末端に存在していてもよく、該基の両末端に存在していてもよく、該基の炭素原子間に存在していてもよい。環化重合性の点から、該基の一方の末端に存在していることが好ましい。
化合物(3)の環化重合により形成される単位としては、下式(3−1)〜(3−4)の繰り返し単位が挙げられる。
CF2=CFOCF2CF=CF2、
CF2=CFOCF(CF3)CF=CF2、
CF2=CFOCF2CF2CF=CF2、
CF2=CFOCF2CF(CF3)CF=CF2、
CF2=CFOCF(CF3)CF2CF=CF2、
CF2=CFOCFClCF2CF=CF2、
CF2=CFOCCl2CF2CF=CF2、
CF2=CFOCF2OCF=CF2、
CF2=CFOC(CF3)2OCF=CF2、
CF2=CFOCF2CF(OCF3)CF=CF2、
CF2=CFCF2CF=CF2、
CF2=CFCF2CF2CF=CF2
CF2=CFCF2OCF2CF=CF2等。
ただし、該含フッ素環状重合体(II’)中、ジエン系含フッ素単量体の環化重合により形成される単位の割合は、該含フッ素環状重合体(II’)を構成する全繰り返し単位の合計に対し、50モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、100モル%が最も好ましい。
該他の単量体としては、上記ジエン系含フッ素単量体と共重合可能なものであればよく、特に限定されない。具体的には、上述した化合物(1)、化合物(2)等の環状含フッ素単量体、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)等が挙げられる。
また、高分子化合物(a)は、ガラス転移温度が80℃以上であることが好ましく、100℃以上がより好ましい。該ガラス転移温度が100℃以上であると、エレクトレットの耐熱性、保持電荷の安定性等に優れる。また、該ガラス転移温度は、高分子化合物(a)を製膜する際の造膜性、高分子化合物(a)の溶媒への溶解性等を考慮すると、350℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以下が最も好ましい。
高分子化合物(a)のガラス転移温度は、当該高分子化合物(a)を構成する繰り返し単位の種類や割合を調節することにより調節できる。たとえば、前記含フッ素環状重合体の場合、前記化合物(1)または化合物(2)に基づく繰り返し単位は、当該重合体のガラス転移温度の向上に寄与しており、これらの単位の割合が多いほど、ガラス転移温度が高くなる。
たとえば含フッ素環状重合体は、特開平4−189880号公報等に開示された従来公知の方法を適用して各単位を誘導する単量体の環化重合、単独重合、共重合等を行うことにより製造できる。
また、含フッ素環状重合体の市販品としては、サイトップ(登録商標)(旭硝子社製)、テフロン(登録商標)AF(デュポン社製)、HYFLON(登録商標)AD(ソルベーソレクシス社製)等が挙げられる。
コーティング膜の製膜は、例えば、該コーティング用組成物を基板または層(B)の表面にコーティングし、ベーク等により乾燥させることにより実施できる。
コーティング方法としては、溶液から膜を形成させる従来公知の方法が利用でき、特に限定されない。かかる方法の具体例としては、ロールコーター法、キャスト法、ディッピング法、スピンコート法、水上キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法、ダイコート法、インクジェット法、スプレーコート法等が挙げられる。また、凸版印刷法、グラビア印刷法、平板印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法などの印刷技術も用いることができる。
プロトン性溶媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、2−ブタオール、t-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、1−オクタノール、2-オクタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、乳酸メチル、後述するプロトン性含フッ素溶媒等が挙げられる。
これらの溶媒は、いずれか1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。またこれらの他にも広範な化合物が使用できる。
これらのうち、高分子化合物(a)としてシクロオレフィンポリマーを用いる場合、溶媒としては、非プロトン性溶媒が好ましく、炭化水素類がより好ましく、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、テトラリン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類がさらに好ましく、トルエン、キシレンが特に好ましい。
また、高分子化合物(a)として含フッ素樹脂を用いる場合、溶媒としては、非プロトン性溶媒が好ましく、非プロトン性含フッ素溶媒がより好ましい。
ヘキサフルオロメタキシレン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、パーフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等の含フッ素芳香族化合物;パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリプロピルアミン等のパーフルオロトリアルキルアミン化合物;パーフルオロデカリン、パーフルオロシクロヘキサン、パーフルオロ(1,3,5−トリメチルシクロヘキサン)等のパーフルオロシクロアルカン化合物;パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)等のパーフルオロ環状エーテル化合物;低分子量パーフルオロポリエーテル;パーフルオロヘキサン、パーフルオロオクタン、パーフルオロデカン、パーフルオロドデカン、パーフルオロ(2,7−ジメチルオクタン)、パーフルオロ(1,2−ジメチルヘキサン)、パーフルオロ(1,3−ジメチルヘキサン)等のパーフルオロアルカン;1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,1,1−トリクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3−テトラクロロ−2,2,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1,3,4−テトラクロロ−1,2,2,3,4,4−ヘキサフルオロブタン等のクロロフルオロカーボン;1,1,1,2,2,3,3,5,5,5−デカフルオロペンタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘプタデカフルオロオクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−ヘニコサフルオロデカン、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘプタデカフルオロデカン、1,1,1,2,3,4,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン、1,1,1,2,2,3,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン等のヒドロフルオロカーボン;3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン等のヒドロクロロフルオロカーボン。
これらの含フッ素化合物は、いずれか1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
例えば、ハイドロフルオロエーテル(HFE)等の含フッ素溶媒が好適である。このような含フッ素溶媒は、一般式R1−O−R2(R1はエーテル性酸素原子を有してもよい炭素数5〜12の直鎖状または分岐状のポリフルオロアルキル基であり、R2は炭素数1〜5の直鎖状または分岐状のアルキル基またはポリフルオロアルキル基である。)で表される含フッ素溶媒(以下、含フッ素溶媒(2)ということがある。)である。
ポリフルオロアルキル基としては、対応するアルキル基の水素原子の数にして60%以上がフッ素原子に置換された基が好ましく、より好ましくは80%以上である。さらに好ましいポリフルオロアルキル基はパーフルオロアルキル基である。
R1がエーテル性酸素原子を有する場合、エーテル性酸素原子の数が多すぎると溶解性を阻害するため、R1中のエーテル性酸素原子は1〜3個が好ましく、1〜2個がより好ましい。
R1の炭素原子数が5以上であると含フッ素重合体の溶解性が良好で、R1の炭素数が12以下であると工業的に入手しやすいため、R1の炭素数は5〜12の範囲から選定される。R1の炭素原子数は、6〜10が好ましく、6〜7および9〜10がより好ましい。
R2の炭素原子数は1〜5であり、炭素原子数が5以下であると含フッ素重合体の溶解性が良好である。R2の好ましい例はメチル基またはエチル基である。
また、含フッ素重合体の溶解性に優れることから、含フッ素溶媒(2)のフッ素含有量は60〜80質量%が好ましい。
好ましい含フッ素溶媒(2)として、下記のものが例示できる。
F(CF2)4OCH3、CF3CH2OCF2CF2H,F(CF2)5OCH3、F(CF2)6OCH3、F(CF2)7OCH3、F(CF2)8OCH3、F(CF2)9OCH3、F(CF2)10OCH3、H(CF2)6OCH3、(CF3)2CFCF(OCH3)CF2CF3、F(CF2)3OCF(CF3)CF2OCH3、F(CF2)3OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CF2OCH3、F(CF2)8OCH2CH2CH3、(CF3)2CFCF2CF2OCH3、F(CF2)2O(CF2)4OCH2CH3。
これらの含フッ素溶媒では、特に(CF3)2CFCF(OCH3)CF2CF3が好適である。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、従来より公知のものを含めて広く利用できる。具体的には、以下のものが例示できる。
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシランなどのモノアルコキシシラン類。
芳香族アミン系シランカップリング剤としては、下式(s1)〜(s3)で表される化合物が挙げられる。
ArSi(OR21)(OR22)(OR23) …(s1)
ArSiR24(OR21)(OR22) …(s2)
ArSiR24R25(OR21) …(s3)
[式中R21〜R25は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を表し、Arはp−、m−またはo−アミノフェニル基を表す。]
アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリプロポキシシラン、アミノフェニルトリイソプロポキシシラン、アミノフェニルメチルジメトキシシラン、アミノフェニルメチルジエトキシシラン、アミノフェニルメチルジプロポキシシラン、アミノフェニルメチルジイソプロポキシシラン、アミノフェニルフェニルジメトキシシラン、アミノフェニルフェニルジエトキシシラン、アミノフェニルフェニルジプロポキシシラン、アミノフェニルフェニルジイソプロポキシシランなど。
これらの化合物におけるアミノ基の水素原子は、アルキル基やアリール基で置換されていてもよい。たとえばN,N−ジメチルアミノフェニルトリアルコキシシランやN,N−ジメチルアミノフェニルメチルジアルコキシシランなどが挙げられる。この他にも、たとえば米国特許第3,481,815号に記載されている芳香族アミン系シランカップリング剤などを使用できる。
また、上記シランカップリング剤の部分加水縮合物を使用することも好ましい。
さらに、上記シランカップリング剤とテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランとの共部分加水縮合物を使用することも好ましい。このうちで、高分子化合物(a)の電気絶縁性を損なうことなく、高分子化合物(a)の接着性を向上させるものとして、アミノ基を有するシランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、アミノフェニルメチルジメトキシシラン、アミノフェニルメチルジエトキシシランなど)、およびエポキシ基を有するシランカップリング剤(γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシランなど)が特に好適なものとして例示される。
高分子化合物(a)として、予め主鎖末端または側鎖にアルコキシカルボニル基が導入された含フッ素重合体を用いる場合は、シランカップリング剤としては、特にアミノ基またはアミノフェニル基を有するアルコキシシラン類が有効である。
すなわち、上述したアミノ基またはエポキシ基を有するトリアルコキシシラン類は、非プロトン性含フッ素溶媒中においては、同様の基を有するジアルコキシシラン類に比べて、経時的な粘度上昇やゲル化が生じやすい。また、トリアルコキシシラン類は、ジアルコキシシラン類よりも、コーティング用組成物の非プロトン性含フッ素溶媒溶液への溶解性も小さい。したがって、コーティング用組成物として含フッ素樹脂の非プロトン性含フッ素溶媒溶液を用い、これにトリアルコキシシラン類を配合する場合には、さらに、プロトン性含フッ素溶媒、特には含フッ素アルコールを添加することが好ましい。
また、ジアルコキシシラン類をシランカップリング剤として配合する場合は、トリアルコキシシラン類ほど溶解性は小さくないが、同様にプロトン性含フッ素溶媒、特には含フッ素アルコールの添加により溶解性を高められる。ジアルコキシシラン類の場合には、コーティング用組成物の経時的な粘度上昇はトリアルコキシシラン類ほど顕著ではないため、含フッ素アルコールなどのプロトン性含フッ素溶媒を必ずしも添加しなくてもよいが、添加したほうが確実に粘度上昇を抑制できるため好ましい。
トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、2−(パーフルオロブチル)エタノール、2−(パーフルオロヘキシル)エタノール、2−(パーフルオロオクチル)エタノール、2−(パーフルオロデシル)エタノール、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロ−1−ヘプタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ヘキサデカフルオロ−1−ノナノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール等の含フッ素アルコール。
トリフルオロ酢酸、パーフルオロプロパン酸、パーフルオロブタン酸、パーフルオロペンタン酸、パーフルオロヘキサン酸、パーフルオロヘプタン酸、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロノナン酸、パーフルオロデカン酸、1,1,2,2−テトラフルオロプロパン酸、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロペンタン酸、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−ドデカフルオロヘプタン酸、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ヘキサデカフルオロノナン酸などの含フッ素カルボン酸;これら含フッ素カルボン酸のアミド;トリフルオロメタンスルホン酸、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸などの含フッ素スルホン酸;など。
これらのプロトン性含フッ素溶媒は、いずれか1種を単独で使用してもよく、2種以上を組合せてもよい。
非プロトン性含フッ素溶媒とプロトン性含フッ素溶媒とを併用する場合、非プロトン性含フッ素溶媒とプロトン性含フッ素溶媒との合計に対するプロトン性含フッ素溶媒の割合は、0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜30質量%がより好ましい。
また、コーティング用組成物にシランカップリング剤を配合する場合、その配合量は、高分子化合物(a)100質量部当たり、0.01〜50質量部が好ましく、0.1〜30質量部がより好ましい。
層(B)は、高分子化合物(b)または無機物(c)から構成される層であり、該層(B)を構成する材料(高分子化合物(b)または無機物(c))と、層(A)を構成する材料(高分子化合物(a))との比誘電率の差は、0.3以上である。該比誘電率の差が大きいほど、表面電荷密度を高める効果に優れることから、該比誘電率の差は、0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましい。
該比誘電率の差の上限は、特に限定されないが、材料の入手のしやすさ、積層構造の形成の容易さ等の点から、5.5が好ましく、4.0がより好ましく、2.0がさらに好ましい。
高分子化合物(b)の比誘電率としては、高分子化合物(a)の比誘電率によっても異なるが、2.5〜8.0が好ましく、2.5〜5.0がより好ましい。該比誘電率が上記範囲の下限値以上であると、エレクトレット特性としての表面電荷密度値が高く、上限値以下であると、エレクトレットとしての電荷保持安定性に優れる。
高分子化合物(b)として、具体的には、含フッ素樹脂、ポリイミド、ポリパラキシリレン樹脂、ポリカーボネート、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル、ポリエーテル、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルイミド、ポリチオエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリケトン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、アラミド樹脂、およびシクロオレフィンポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらの中でも、比誘電率の観点から、ポリイミド、ポリパラキシリレン樹脂、ポリカーボネート、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル、ポリスルフォン、およびポリエーテルスルフォンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
「含フッ素芳香族系樹脂」は、含フッ素芳香族ポリマーを主成分として含む樹脂である。「含フッ素芳香族ポリマー」とは、分子内にフッ素原子および芳香環を有するポリマー(芳香環を有する含フッ素ポリマー)である。ポリマーが樹脂の主成分であるとは、当該ポリマーが、樹脂中で50質量%以上を占めることを意味する。
本発明において、含フッ素芳香族系樹脂中の含フッ素芳香族ポリマーの割合は、好ましくは80質量%以上であり、100質量%であってもよい。
含フッ素芳香族系樹脂中に含まれる含フッ素芳香族ポリマーは1種であってもよく2種以上であってもよい。
含フッ素芳香族ポリマーが有する芳香環は、炭素原子および水素原子からなる炭化水素環であってもよく、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含む複素環であってもよく、これらが混在していてもよい。
前記炭化水素環としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、ペンタセン等が挙げられる。
前記複素環としては、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等が挙げられる。
前記含フッ素芳香族ポリマーにおいては、複数の芳香環が連結基により結合していることが好ましい。ここで連結基としては、単結合、アルキレン基、エーテル性酸素原子(−O−)、スルフィド、スルホン、カルボニル、エステル、アミド等の原子団が例示できる。
この場合、当該含フッ素芳香族ポリマー中に、芳香環に結合していない(鎖状炭素に結合した)フッ素原子が存在していてもよい。
また、フッ素原子置換芳香環において、当該フッ素原子置換芳香環を構成する全ての炭素原子にフッ素原子が結合していてもよく、していなくてもよい。
また、当該含フッ素芳香族ポリマー中に存在する芳香環の全てにフッ素原子が結合していてもよく、していなくてもよい。
これらのうち、含フッ素芳香族ポリイミド、含フッ素ポリベンゾオキサゾール、含フッ素芳香族ポリエーテルスルフォン、含フッ素芳香族ポリエーテルイミド、含フッ素ポリアリーレン、含フッ素芳香族ポリエーテルエーテルケトン、含フッ素ポリアリーレンエーテル等が、誘電率が低く、吸湿性が低く、エレクトレット特性に優れることから好ましい。
さらに上記の中でも、含フッ素芳香族ポリマーとしては、含フッ素ポリアリーレンおよび/または含フッ素ポリアリーレンエーテルであることがより好ましい。特に、主鎖が分岐構造であるものが耐熱性に優れることから好ましい。
「ポリアリーレン構造」とは、1または複数の芳香環を有する構造の繰り返しによるポリマー構造を意味し、「主鎖にポリアリーレン構造を有する」とは、ポリアリーレン構造を構成している各芳香環において、芳香環を構成する炭素原子の2以上が、主鎖を構成する炭素連鎖中の炭素原子であることを意味する。
本明細書においては、含フッ素ポリアリーレンを構成する炭素連鎖のうち、ポリアリーレン構造を含む部分、または「2以上の炭素原子が炭素連鎖中の炭素原子である芳香環」を含む部分は主鎖の一部とみなし、これらの構造を含まない末端部分を「側鎖」と称する。
含フッ素ポリアリーレンの主鎖を構成する炭素連鎖は、直鎖状であってもよく、分岐構造を有していてもよい。本発明の効果の点からは、分岐構造を有することが好ましい。
含フッ素ポリアリーレンは、芳香環に直接結合しているフッ素原子を有することが好ましい。すなわち、含フッ素ポリアリーレンは、フッ素原子置換芳香環を有することが好ましい。
前記含フッ素アリール型構造単位としては、たとえば、下式(b1)〜(b6)で表される構造単位が挙げられる。
前記含フッ素アリール型構造単位においては、芳香環に結合したフッ素原子の一部が他の原子または置換基で置換されていてもよい。他の原子としては、たとえば水素原子が挙げられる。置換基としては、たとえば炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が挙げられる。
1種の含フッ素アリール型構造単位を有する含フッ素ポリアリーレンとしては、たとえば含フッ素ポリフェニレン、含フッ素ポリビフェニレン、含フッ素ポリナフタニレン等が挙げられる。
2種以上の含フッ素アリール型構造単位を有する含フッ素ポリアリーレンとしては、たとえば、下式(B1)で表されるポリアリーレン(以下、含フッ素ポリアリーレン(B1)という。)が挙げられる。
p、q及びrは、それぞれ独立に0〜3の整数であることが好ましい。
a、b及びcは、それぞれ独立に0〜2の整数であることが好ましい。
含フッ素ポリアリーレン(B1)の具体例としては、下式(B1−1)〜(B1−4)で表されるポリアリーレンが挙げられる。
「ポリアリーレンエーテル構造」とは、エーテル結合(−O−)により2個の芳香環が結合されている構造の繰り返しによるポリマー構造を意味し、「主鎖にポリアリーレンエーテル構造を有する」とは、ポリアリーレンエーテル構造を構成している各芳香環において、芳香環を構成する炭素原子の2以上が、主鎖を構成する炭素連鎖(ただし、前記芳香環を連結するエーテル結合は主鎖を構成する炭素連鎖の一部とみなす。)中の炭素原子であることを意味する。
本明細書においては、含フッ素ポリアリーレンエーテルを構成する炭素連鎖のうち、ポリアリーレンエーテル構造を含む部分、または「2以上の炭素原子が炭素連鎖中の炭素原子である芳香環」を含む部分は主鎖の一部とみなし、これらの構造を含まない末端部分を「側鎖」と称する。
含フッ素ポリアリーレンエーテルの主鎖を構成する炭素連鎖は、直鎖状であってもよく、分岐構造を有していてもよい。本発明の効果の点からは、分岐構造を有することが好ましい。
含フッ素ポリアリーレンエーテルは、芳香環に直接結合しているフッ素原子を有することが好ましい。すなわち、含フッ素ポリアリーレンエーテルは、フッ素原子置換芳香環を有することが好ましい。
多置換フェニレンエーテル型構造単位としては、たとえばトリヒドロキシベンゼンから導かれる構造単位、トリスフェノールから導かれる構造単位等が挙げられる。
含フッ素アリールエーテル型構造単位としては、たとえば前記含フッ素アリール型構造単位の芳香環に酸素原子(−O−)が結合したものが挙げられる。
多置換フェニレンエーテル型構造単位および含フッ素アリールエーテル型構造単位を有するポリマーとしては、たとえば特開平10−74750号公報、国際公開第03/8483号パンフレット、特開2005−105115号公報等に記載の含フッ素芳香族ポリマーが例示できる。
架橋性官能基は、当該プレポリマー製造時には実質上反応を起こさず、硬化物を作製する時点、又は硬化物作製後の任意の時点で、外部エネルギーを与えることにより反応し、プレポリマー分子間の架橋又は鎖延長を引き起こす反応性官能基である。
外部エネルギーとしては、熱、光、電子線等が挙げられ、これらを併用してもよい。
外部エネルギーとして熱を用いる場合、40〜500℃の温度で反応する架橋性官能基が好ましい。反応する温度が低すぎると、プレポリマーの保存時における安定性が確保できず、高すぎると反応時にプレポリマー自体の熱分解が発生してしまうので、前記範囲にあることが好ましい。より好ましくは60〜400℃であり、70〜350℃が最も好ましい。
外部エネルギーとして光を用いる場合、プレポリマーに、さらに、特定波長光に対応して好適な光ラジカル発生剤、光酸発生剤、増感剤等を添加することも好ましい。
架橋性官能基としては、硬化物の比誘電率を上昇させないことから、極性基を含まない架橋性官能基であることが好ましい。該極性基としては、水酸基、アミノ基、カルボニル基、シアノ基等が挙げられる。
原料の入手の容易性の点からは架橋性官能基が側鎖にあり、主鎖中に架橋性官能基を有さないことが好ましい。
架橋性官能基は、たとえば、当該プレポリマーの原料として架橋性官能基を有する化合物(たとえば後述する化合物(Y−1)、化合物(Y−2)等)を用いることにより導入できる。
さらに、前記含フッ素芳香族化合物(Z)を用いることにより、得られる硬化物の可とう性が良好となる。すなわち、それ自体が分岐構造を有する含フッ素芳香族化合物を用いて製造された含フッ素芳香族プレポリマーに比べて、エーテル結合の密度を高めることができ、主鎖の柔軟性が向上し、その結果、得られる硬化物の可とう性が良好となり、さらにはエレクトレットの可とう性が良好となる。
化合物(Y−1)は、架橋性官能基とフェノール性水酸基とを有する。
化合物(Y−1)としては、架橋性官能基を有し、かつフェノール性水酸基を1個有する化合物(Y−1−1)、および/または架橋性官能基を有し、かつフェノール性水酸基を2個有する化合物(Y−1−2)が好ましい。
化合物(Y−1−2)の具体例としては、2,2’−ビス(フェニルエチニル)−5,5’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ビス(フェニルエチニル)−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のビス(フェニルエチニル)ジヒドロキシビフェニル類、4,4’−ジヒドロキシトラン、3,3’−ジヒドロキシトラン等のジヒドロキシジフェニルアセチレン類等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明においては、化合物(Y−1)として、そのフェノール性水酸基の水素原子がアセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等の保護基で置換されたものを用いてもよい。かかる化合物において、前記保護基は、縮合反応に用いられる水酸化カリウム等のアルカリ(脱HF剤)により解離し、その結果、フェノール性水酸基が形成される。かかる化合物としては、たとえば4−アセトキシスチレンが挙げられる。
化合物(Y−2)としては、架橋性官能基と、ペルフルオロフェニル、ペルフルオロビフェニル等のペルフルオロ芳香環とを有する化合物が好ましい。その具体例としては、ペンタフルオロスチレン、ペンタフルオロベンジルアクリレート、ペンタフルオロベンジルメタクリレート、ペンタフルオロフェニルアクリレート、ペンタフルオロフェニルメタクリレート、ペルフルオロスチレン、ペンタフルオロフェニルトリフルオロビニルエーテル、3−(ペンタフルオロフェニル)ペンタフルオロプロペン等の反応性二重結合を有する含フッ素アリール類;ペンタフルオロベンゾニトリル等のシアノ基を有する含フッ素アリール類;ペンタフルオロフェニルアセチレン、ノナフルオロビフェニルアセチレン等の含フッ素アリールアセチレン類;フェニルエチニルペンタフルオロベンゼン、フェニルエチニルノナフルオロビフェニル、デカフルオロトラン等の含フッ素ジアリールアセチレン類が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
化合物(Y−2)としては、比較的低温で架橋反応が進行し、かつ得られる硬化物の耐熱性が向上することから、含フッ素アリールアセチレン類が好ましい。
式(Z)中、sは1が最も好ましい。
Rf1およびRf2における含フッ素アルキル基は、耐熱性の観点から、ペルフルオロアルキル基が好ましい。具体例としては、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロオクチル基が挙げられる。
t及びuは、それぞれ独立に0〜2の整数が好ましく、0が最も好ましい。tおよびuの値が小さいほど、すなわちRf1、およびRf2の数が少ないほど、含フッ素芳香族化合物(Z)の製造が容易となる。
含フッ素芳香族化合物(Z)の具体例としては、たとえばsが0の場合、ペルフルオロベンゼン、ペルフルオロトルエン、ペルフルオロキシレン等が挙げられる。sが1の場合、ペルフルオロビフェニル等が挙げられる。sが2の場合、ペルフルオロテルフェニル等が挙げられる。sが3の場合、ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)、ペルフルオロ(1,2,4−トリフェニルベンゼン)が好ましく、特にペルフルオロベンゼン、ペルフルオロビフェニルが好ましい。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
化合物(C)としては、多官能フェノール類が好ましい。具体例としては、トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシビフェニル、トリヒドロキシナフタレン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、テトラヒドロキシベンゼン、テトラヒドロキシビフェニル、テトラヒドロキシビナフチル、テトラヒドロキシスピロインダン類等が挙げられる。
化合物(C)としては、得られる硬化膜の可とう性が高いことから、フェノール性水酸基を3個有する化合物が好ましい。その中でも、得られる硬化物の誘電率が低くなることから、トリヒドロキシベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが特に好ましい。
プレポリマー(B2−1)における架橋性官能基の含有量は、プレポリマー(B2−1)1gに対して架橋性官能基が0.1〜4ミリモルが好ましく、0.2〜3ミリモルがより好ましい。この含有量を0.1ミリモル以上とすることで硬化物の耐熱性及び耐溶剤性を高くでき、また4ミリモル以下とすることで、脆性を小さく抑えやすい。
Rfは直鎖状、分岐鎖状または環状が好ましい。またRfはアルキル基の炭素原子に結合している水素原子の全部がフッ素原子で置換されたペルフルオロアルキル基であることが好ましい。
上記一般式(I)で表される側鎖のうち直鎖状のものとしては、下式(I−1)または(I−2)で表されるものが好ましい。
下記一般式(I−1)で表される側鎖のさらに好ましい例としては下式(I−1−1)または(I−1−2)で表される一価基が挙げられる。
式(I−1−1)において、kは1〜10の整数を表す。
式(I−1−2)において、pは1〜10の整数を表す。
式(I−2)において、jは2〜40の整数を表す。
該側鎖が結合しているハロゲン置換芳香環は、ポリアリーレンエーテル構造を構成している芳香環であってもよく、それ以外の他の芳香環であってもよい。プレポリマーの製造が容易である点からは、後者、すなわちポリアリーレンエーテル構造を構成していないハロゲン置換芳香環に一般式(I)で表される側鎖が結合していることがより好ましい。また、該側鎖が結合しているハロゲン置換芳香環は、ペルフルオロ芳香環であることがより好ましい。
プレポリマー(B2−1)における「一般式(I)で表される側鎖」の含有量は、プレポリマー(B2−1)1gに対して0.01〜1gが好ましく、0.05〜0.5gがより好ましい。この含有量が上記範囲の下限値以上であると、撥水性および撥油性の向上効果が良好に得られ、上限値以下であると耐熱性が良好である。
前記フェノール性水酸基を2個有する化合物(Y−3)としては、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシターフェニル、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラセン、ジヒドロキシフェナントラセン、ジヒドロキシ−9,9−ジフェニルフルオレン、ジヒドロキシジベンゾフラン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシジフェニルチオエーテル、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシ−2,2−ジフェニルプロパン、ジヒドロキシ−2,2−ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ジヒドロキシビナフチル等の2官能フェノール類が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
前記触媒としては、たとえば架橋性含フッ素芳香族プレポリマー(B2)が架橋性官能基としてエチニル基またはビニル基を含有する場合には、アニリン、トリエチルアミン、アミノフェニルトリアルコキシシラン、アミノプロピルトリアルコキシシラン等のアミン類や、モリブデン、ニッケル等を含有する有機金属化合物等が例示できる。
前記添加剤としては、ビスシクロペンタジエノン誘導体が好ましい。エチニル基とシクロペンタジエノン基(1−オキソシクロペンタ−2,5−ジエン−3−イル基)は熱によりディールスアルダー(Diels-Alder)反応で付加物を形成した後、脱一酸化炭素反応して芳香環を形成する。したがって、ビスシクロペンタジエノン誘導体を使用すると芳香環が結合部位である架橋又は鎖延長ができる。
これらのビスシクロペンタジエノン誘導体のうち、耐熱性の観点から全芳香族骨格のビスシクロペンタジエノン誘導体が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
高分子化合物(b)としてポリイミドを用いる場合、有機溶媒などに対する溶解性が優れているポリイミド前駆体をコーティングし熱処理することにより、ポリイミド前駆体をポリイミドに変換し、層(B)を製膜する。ポリイミド前駆体としては、ポリアミック酸、およびそのエステルを一般的に用いることができる。ポリアミック酸などのポリイミド前駆体を200〜350℃の高温にするとイミド閉環反応が起こり、熱的・化学的・電気的に安定なポリイミドに変換することができる。本発明においては一般的に市販されているポリイミドを用いることができる。
テトラカルボン酸二無水物は、特に制限されないが、一般的なポリイミド合成で用いられている芳香族テトラカルボン酸二無水物が使用できる。具体的には、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、1,3−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
高分子化合物(b)の重量平均分子量は、3000〜1000万が好ましく、1万〜100万がより好ましい。
具体的には、金属酸化物、金属硫化物および金属ハロゲン化物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、特に、比誘電率の観点から、金属酸化物が好適に用いられる。
金属硫化物としては、硫化亜鉛、硫化アルミニウム、硫化ガリウム、硫化銀、硫化ケイ素、硫化スズ、硫化セリウム、硫化マグネシウム、硫化銅、硫化鉄、硫化モリブデン等が挙げられる。
これらの中でも、金属酸化物が好ましく、エレクトレット特性の観点から、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化スズ、二酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化鉄およびチタン酸バリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、特に、酸化ケイ素が好ましい。
層(B)の製膜方法は、特に限定されず、使用する材料に応じて従来公知の製膜方法を利用すればよい。
たとえば高分子化合物(b)を用いる場合、湿式コーティング法により製膜してもよく、フィルムをプレス成形することにより製膜しても良い。また蒸着、CVD、スパッタリング等のドライプロセスにて製膜しても良い。特に、製膜プロセスの観点から湿式コーティング法により製膜することが好ましい。
また、コーティング用組成物として、高分子化合物(b)のプレポリマーを溶媒に溶解したものを調製し、該コーティング用組成物を基板または層(A)の表面にコーティングした後、熱、光、電子線等の外部エネルギーを与えて硬化させ、層(B)を硬化膜として得てもよい。
湿式法により酸化ケイ素膜を形成する場合の例を以下に挙げる。例えば、テトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシランなどの加水分解性シラン化合物、加水分解性シラン化合物の部分加水分解縮合物、ポリシラザン等を前記プロトン性溶媒、若しくは非プロトン性溶媒に溶解して塗布し、大気中で焼成することで、酸化ケイ素膜を形成する方法が好ましく用いられる。湿式法を用いる場合は、エレクトレット特性の観点から、非水系で行うことが好ましい。非水系での製膜方法としては、酸化ケイ素膜を形成する場合を例に挙げると、ポリシラザンのキシレン溶液を塗布し、大気中で焼成することで、酸化ケイ素膜を形成する方法が好ましく用いられる。この場合の焼成温度は150℃〜600℃が好ましく、層(A)との線膨張係数の違いによる割れを防止する観点から180〜450℃がより好ましい。
ポリシラザンは、(−Si−N−)の繰り返し単位を2個以上有する重合体であり、この化学式においてケイ素原子(4価)の残りの2つの結合手、窒素原子(3価)の残りの1つの結合手には、それぞれ水素原子や有機基(アルキル基など)が結合している。ポリシラザンは、上記繰り返し単位のみからなる鎖状構造の重合体ばかりでなく、上記ケイ素原子の残りの2つの結合手の一方または両方と上記窒素原子の結合手とが結合して環状構造が形成されている重合体もある。該重合体は環状構造のみの繰り返しからなっていてもよく、一部に環状構造を有する鎖状の重合体であってもよい。
本発明におけるポリシラザンとしては、例えば特開平9−31333号公報や該公報記載の引用文献に記載のポリシラザン及び変性ポリシラザンが使用できる。
ポリシラザンは、酸素存在下で分解し、窒素原子が酸素原子に置換して酸化ケイ素(シリカともいう)が形成される。ポリシラザンから形成される酸化ケイ素膜は、前記加水分解性シラン化合物から形成される酸化ケイ素膜に比較してより緻密な酸化ケイ素膜が形成される。例えば、ペルヒドロポリシラザンから形成された酸化ケイ素膜は、テトラアルコキシシラン等の4官能性の加水分解性シラン化合物から形成された酸化ケイ素膜に比較してより緻密であり、耐摩耗性等の表面特性、及びエレクトレットとした場合の電荷保持特性及び耐熱性に優れている。
通常、本発明においてポリシラザンの焼成温度としては、層(B)と積層する層(A)を構成する高分子化合物(a)の耐熱温度よりも低い温度が採用され、その温度の上限は通常400℃である。特に層(A)との線膨張係数の差によるクラックの発生を防ぐために、焼成温度を200℃以下とすることが好ましい。
また、焼成を行う雰囲気としては、空気中などの酸素の存在する雰囲気が好ましい。ポリシラザンの焼成により、その窒素原子は酸素原子に置換し酸化ケイ素膜が生成する。充分な酸素の存在する雰囲気中で焼成することによって緻密な酸化ケイ素膜の層が形成される。また、水や水蒸気による処理も低温での硬化に有用である(特開平7−223867号公報参照)。
触媒としては、より低温でポリシラザンを焼成し、硬化できる触媒を用いることが好ましい。そのような触媒としては、例えば、金、銀、パラジウム、白金、ニッケルなどの金属の微粒子を含む金属触媒(特開平7−196986号公報参照)、アミン類、酸類(特開平9−31333号公報参照)等がある。アミン類としては、例えば、アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、環状アミンなどが挙げられる。酸類としては、例えば酢酸などの有機酸や塩酸などの無機酸が挙げられる。
アミン類や酸類はポリシラザン溶液に配合することもできる。また、アミン類や酸類の溶液(水溶液を含む)、およびそれらの蒸気(水溶液からの蒸気を含む)は、ポリシラザンに接触させることで硬化を促進できる。
本発明における積層体は、直接積層された層(A)および層(B)を必須の構成単位として含有する。また、本発明においては、当該積層体に電荷を注入してエレクトレットとする際に、電荷が注入される側と反対側の最表面に層(A)が配置される。また、当該積層体は、層(A)として、該最表面以外の位置に配置された層(A)を有していてもよい。
該積層体は、層(A)および層(B)のみから構成されてもよく、その他の層を含んでいてもよい。該その他の層としては、金属層、前記シランカップリング剤等による有機単分子膜層等が挙げられる。これらの層は、従来公知の方法により形成できる。
積層体の好ましい具体例としては、電荷が注入される側と反対側から、層(A)、層(B)の順で積層された(以下、層(A)/層(B)と記し、他の積層体についても同様に記す。)2層積層体;層(A)/層(B)/層(A)の3層積層体;層(A)/層(B)/層(A)/層(B)の4層積層体等が挙げられる。
また、前記積層体において、層(B)の厚さ(1層あたりの厚さ)は、1μm以上である。層(B)の厚さ(1層あたりの厚さ)が、この範囲にあるとエレクトレットの表面電荷密度が高い。該厚さは、上記効果に優れることから、1.5μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。該厚さの上限は、表面電荷密度の向上及び製膜プロセス上の観点から、20μmが好ましく、10μmがより好ましい。
層(A)の厚さ(1層あたりの厚さ)は、特に限定されず、当該積層体全体の厚さ、層(A)の数等を考慮して適宜設定すればよい。エレクトレットの電荷保持性能、耐熱性等を考慮すると、層(A)の厚さ(1層あたりの厚さ)は、3〜50μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。
層(A)および層(B)の各層の厚さ、ならびに当該積層体全体の厚さは、光干渉式膜厚測定装置により測定できる。
該表面処理としては、前述のシランカップリング剤をコーティングする方法、プラズマ処理により表面を親水化または粗化する方法などを適用することができる。
シランカップリング剤をコーティングする場合には、前述のシランカップリング剤を前述のプロトン性溶媒、非プロトン性溶媒またはプロトン性含フッ素溶媒に溶解し、前述と同様のコーティング方法により塗布することにより当該表面処理を行うことができる。
また、プラズマ処理により表面を親水化または粗化する場合には、酸素、窒素、アルゴン、メタン、CHF3、CF4等のガスを用いたプラズマ処理が適用可能である。これらのガスは、それぞれ単独で用いてもよく、また、適当に混合して用いても良い。該プラズマ処理においては、下地の膜厚減少を最小にするために、酸素、窒素、アルゴン、メタンガスまたはこれらの混合ガスを用いることがより好適である。
上述のように、基板上に層(A)および層(B)を順次積層することにより作製される積層体は、層(A)が基板に接している。そのため、上記のように基板上の積層体に対して電荷を注入してエレクトレットとする際には、該積層体の、電荷が注入される側と反対側の最表面に層(A)が配置されることになる。層(A)がかかる配置となっていることにより、本発明の効果が充分に得られる。
また、当該積層体の、電荷が注入される側の最表面に配置されるのは、層(A)であってもよく、層(B)であってもよい。本発明の効果に優れることから、当該積層体の、電荷が注入される側の最表面には層(B)が配置されることが好ましい。
積層体へ電荷を注入する方法としては、一般的に絶縁体を帯電させる方法であれば手段を選ばずに用いることができる。例えば、G.M.Sessler,Electrets Third Edition,p20,Chapter2.2“Charging and Polarizing Methods”(Laplacian Press,1998))(以下、非特許文献1という。)に記載のコロナ放電法、電子ビーム衝突法、イオンビーム衝突法、放射線照射法、光照射法、接触帯電法、液体接触帯電法などが適用可能である。特に本発明のエレクトレットではコロナ放電法、電子ビーム衝突法を用いることが好ましい。
電荷の注入後、エレクトレットはそのまま基板とともに静電誘導型変換素子に用いてもよく、基板から剥離して静電誘導型変換素子に用いてもよい。
静電誘導型変換素子としては、振動型発電機、アクチュエータ、センサー等が挙げられる。これらの静電誘導型変換素子の構造は、エレクトレットとして本発明のエレクトレットが用いられる以外は従来公知のものと同様であってもよい。
かかる効果が得られる理由は定かではないが、電荷保持を担う層(A)に対して、比誘電率に差がある層(B)を所定の膜厚で積層することにより、Maxwell−Wagner効果(非特許文献1、p25を参照。)によって内部分極が生じ、エレクトレット膜内での電荷分離が促進されるとともに、層(B)により、層(A)に保持された電荷がエレクトレット膜外へ流出するのを抑制できるためではないかと推測される。
以下の各例で使用した材料の比誘電率は、すべて各社のカタログに掲載された値(ASTM D150に準拠し、周波数1MHzにおいて測定された値)である。
体積固有抵抗値は、ASTM D257に準拠して測定された値である。
絶縁破壊電圧は、ASTM D149に準拠して測定された値である。
固有粘度[η](30℃)(単位:dl/g)は、30℃で、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)を溶媒として、ウベローデ型粘度計により測定された値である。
また以下の各例ではエレクトレットを形成する基板として低抵抗のシリコン基板(体積固有抵抗値0.003〜0.007Ωcm)を用いた。以下の例では本基板を「シリコン基板」と記す。
また、以下の各例で、各層の膜厚の測定は、浜松ホトニクス社製光干渉式膜厚測定装置C10178を用いて行った。
(1)重合体溶液の調製
パーフルオロブテニルビニルエーテル(CF2=CFOCF2CF2CF=CF2)の45g,イオン交換水の240g,メタノールの16g,及び重合開始剤として、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート粉末(((CH3)2CHOCOO)2)の0.2gを内容積1Lの耐圧ガラス製オートクレーブに入れた。系内を窒素で3回置換した後、40℃で23時間懸濁重合を行った。その結果、重合体A1の40gを得た。この重合体の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、モノマーに存在した二重結合に起因する1660cm−1,1840cm−1付近の吸収は確認できなかった。
重合体A1を空気中で250℃で8時間熱処理後、水中に浸漬して末端基として−COOH基を有する重合体A2を得た。該重合体の圧縮成形フィルムの赤外線吸収スペクトルを測定した結果、−COOH基に由来する1775、1810cm−1の特性吸収が認められた。また、この重合体の固有粘度[η](30℃)は0.24dl/gであった。
重合体A2の体積固有抵抗値は、>1017Ωcm、絶縁破壊電圧は、19kV/mm、比誘電率は、2.1であった。
重合体A2について示差走査熱分析(DSC)を行ったところ、重合体A2のガラス転移温度(Tg)は108℃であった。
パーフルオロトリブチルアミンに、上記重合体A2を15質量%の濃度で溶解させ、重合体溶液P1を得た。
上記重合体溶液P1の84.6gに、パーフルオロトリブチルアミンの10.6gを加えた溶液と、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランの0.4gを、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの4.7gに溶解したシランカップリング剤溶液とを混合し、均一な重合体組成物溶液M1を得た。
3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、重合体組成物溶液M1をスピンコート法によりコーティングした後、200℃でベークして乾燥させることにより、膜厚10μmのコーティング膜(以下、コーティング膜Aという。)を形成した。次に、サムコインターナショナル研究所社製REACTIVE ION ETCHING SYSTEM RIE−10NRを用いて、コーティング膜Aの表面にN2プラズマ処理を行った。続いて、コーティング膜A上に、ポリアミック酸(東レ社製 セミコファインSP483、ポリイミド化後の比誘電率3.75、ガラス転移温度350℃以上)の12質量%N−メチルピロリドン(NMP)溶液をスピンコート法によりコーティングした。その後、200℃で5時間熱処理し、ポリイミド化させることにより、総膜厚15μmの積層膜A[基板側から、層(A):10μm/層(B):5μmの順で積層された2層積層体]を得た。
3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、実施例1と同様にして、膜厚14μmのコーティング膜Aを形成した。次に、該コーティング膜Aの表面に、実施例1と同じ手順でN2プラズマ処理を行った。続いて、実施例1と同様の方法にて、コーティング膜A上にポリイミド膜を膜厚1μmにて形成し、総膜厚15μmの積層膜B[基板側から、層(A):14μm/層(B):1μmの順で積層された2層積層体]を得た。
得られた積層膜Bに、実施例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットBとした。
3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、実施例1と同様にして、膜厚10μmのコーティング膜Aを形成した。次に、コーティング膜A上に、ポリパラキシリレン樹脂(日本パリレン社製パリレン−C、比誘電率2.95、ガラス転移温度87〜97℃)をCVD法により化学蒸着して製膜し、総膜厚15μmの積層膜C[基板側から、層(A):10μm/層(B):5μmの順で積層された2層積層体]を得た。
この積層膜Cに、実施例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットCとした。
3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、実施例1と同様にして、膜厚13μmのコーティング膜Aを形成した。次に、コーティング膜Aの表面に、実施例1と同じ手順でN2プラズマ処理を行った。続いてポリシラザンの20質量%キシレン溶液(クラリアントジャパン社製 DEN−3)をスピンコート法によりコーティングした。その後、200℃で12時間焼成することにより、コーティング膜A上に酸化ケイ素膜(焼成後の比誘電率2.6)を形成し、総膜厚15μmの積層膜D[基板側から、層(A):13μm/層(B):2μmの順で積層された2層積層体]を得た。
この積層膜Dに、実施例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットDとした。
3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、実施例1と同様にして、膜厚14.5μmのコーティング膜Aを形成した。次に、コーティング膜Aの表面に、実施例1と同じ手順でN2プラズマ処理を行った。続いて、実施例1と同様の方法にて、コーティング膜A上にポリイミド膜を形成し、総膜厚15μmの積層膜E[基板側から、層(A):14.5μm/層(B):0.5μmの順で積層された2層積層体]を得た。
この積層膜Eに、実施例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットEとした。
3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、実施例1と同様にして、膜厚10μmのコーティング膜Aを形成した。次に、コーティング膜Aの表面に、実施例1と同じ手順でN2プラズマ処理を行った。続いてシクロオレフィンポリマー(日本ゼオン社製 ZEONEX480、比誘電率2.3、ガラス転移温度138℃)の15質量%m−キシレン溶液をスピンコート法によりコーティングした。その後、160℃で1時間ベークして乾燥させることにより、総膜厚15μmの積層膜F[基板側から、層(A):10μm/層(B):5μmの順で積層された2層積層体]を得た。
この積層膜Fに、実施例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットFとした。
3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、実施例1と同様にして、膜厚7μmのコーティング膜Aを形成した。次に、コーティング膜Aの表面に、実施例1と同じ手順でN2プラズマ処理を行った。続いて、実施例1と同様の方法にて、コーティング膜A上にポリイミド膜を膜厚2μmにて形成し、総膜厚9μmの積層膜を得た。さらに、当該積層膜上に重合体組成物溶液M1をスピンコート法によりコーティングした。その後、200℃でベークして乾燥させることにより、総膜厚15μmの積層膜G[基板側から、層(A):7μm/層(B):2μm/層(A):6μmの順で積層された3層積層体]を得た。
この積層膜Gに、実施例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットGとした。
3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、実施例1と同様にして、膜厚7μmのコーティング膜Aを形成した。次に、コーティング膜Aの表面に、実施例1と同じ手順でN2プラズマ処理を行った。続いて、実施例1と同様の方法にて、コーティング膜A上にポリイミド膜を膜厚2μmにて形成し、総膜厚9μmの積層膜を得た。さらに、当該積層膜上に重合体組成物溶液M1をスピンコート法によりコーティングした。その後、200℃でベークして乾燥させることにより、総膜厚13μmの積層膜を得た。さらに、当該積層膜の表面に、実施例1と同じ手順でN2プラズマ処理を行い、その上に、実施例1と同様の方法にて、ポリイミド膜を膜厚2μmにて形成し、総膜厚15μmの積層膜H[基板側から、層(A):7μm/層(B):2μm/層(A):4μm/層(B):2μmの順で積層された4層積層体]を得た。
この積層膜Hに、実施例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットHとした。
3cm角、厚さ350μmのシリコン基板に、実施例1と同様にして膜厚15μmのコーティング膜Aを形成し、コーティング膜Iとした。
このコーティング膜Iに、実施例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットIとした。
上記で得たエレクトレットA〜Iについて、以下の手順により荷電試験を行った。
荷電電圧−8kV、荷電時間3分の条件でのコロナ荷電により電荷を注入した直後のエレクトレットA〜Iについて、それぞれ、常温(25℃)に戻してその表面電位値(初期表面電位値)および表面電荷密度(初期表面電荷密度)を測定した。また、各エレクトレットを、20℃,60%RHで200時間保管した後、常温に戻してその表面電位(200時間後表面電位値)および表面電荷密度(200時間後表面電荷密度)を測定した。その結果を表1に示す。
表面電位(V)は、表面電位計(model279;モンローエレクトロニクス社製)を用い、各エレクトレットの9点の測定点(膜の中心から3mm毎に格子状に設定。図2参照。)の表面電位を測定し、それらの平均値として求めた。表面電荷密度σ(mC/m2)は、次式を用いて求めた。
σ=ε0V/[(d1/εr1)+(d2/εr2)]
(ここで、ε0:真空の誘電率、εr1,εr2:各層の比誘電率、V:表面電位値(V)、d1,d2:各層の膜厚の合計値(m)である。)
<単層膜の場合>
σ=εrε0V/d
(ここで、ε0:真空の誘電率、εr:単層の比誘電率、V:表面電位値(V)、d:単層の膜厚(m)である。)
なお、2008年3月27日に出願された日本特許出願2008−082532号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
Claims (9)
- 比誘電率が1.8〜3.0の高分子化合物(a)を含む層(A)と、前記高分子化合物(a)よりも比誘電率が高い高分子化合物(b)または無機物(c)を含む層(B)とが直接積層された積層体を有し、
前記高分子化合物(b)または無機物(c)の比誘電率と、前記高分子化合物(a)の比誘電率との差が0.3以上であり、
前記積層体に電荷を注入してエレクトレットとする際に、電荷が注入される側と反対側の最表面に前記層(A)が配置され、
前記層(B)の厚さが1μm以上であることを特徴とするエレクトレット。 - 前記層(B)が前記高分子化合物(b)を含み、
前記高分子化合物(b)のガラス転移温度または融点が80℃以上である請求項1に記載のエレクトレット。 - 前記層(B)が前記高分子化合物(b)を含み、
前記高分子化合物(b)が含フッ素樹脂、ポリイミド、ポリパラキシリレン樹脂、ポリカーボネート、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル、ポリエーテル、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルイミド、ポリチオエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリケトン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、アラミド樹脂およびシクロオレフィンポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載のエレクトレット。 - 前記高分子化合物(a)が脂肪族環構造を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のエレクトレット。
- 前記高分子化合物(a)が含フッ素樹脂である請求項1〜4のいずれか一項に記載のエレクトレット。
- 前記層(B)が前記無機物(c)を含み、
前記無機物(c)が金属酸化物、金属硫化物および金属ハロゲン化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか一項に記載のエレクトレット。 - 前記無機物(c)が酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化スズ、二酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化鉄およびチタン酸バリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載のエレクトレット。
- 前記積層体が、nA層の層(A)と、nB層の層(B)とが交互に積層された(nA+nB)層積層体であり、nAは1〜5の整数であり、nBは1〜5の整数であり、nA−nBの値が0又は1である請求項1〜7のいずれか一項に記載のエレクトレット。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のエレクトレットを備えることを特徴とする静電誘導型変換素子。
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