JP5505538B2 - エレクトレットの製造方法、ならびに静電誘導型変換素子の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、シクロオレフィンポリマーを含有するエレクトレットの製造方法、ならびに静電誘導型変換素子の製造方法に関する。
従来より、絶縁材料に電荷を注入したエレクトレットを使用した、発電装置、マイクロフォン等の静電誘導型変換素子が提案されている。該エレクトレットの材料としては、従来、ポリカーボネート、ポリプロピレン等の鎖状のポリマーが使用されている。
最近、該エレクトレットに、シクロオレフィンポリマーのフィルムや不織布を用いることが提案されている(たとえば特許文献1、2)。
最近、該エレクトレットに、シクロオレフィンポリマーのフィルムや不織布を用いることが提案されている(たとえば特許文献1、2)。
しかし、従来のエレクトレットは、注入される電荷の密度を高くすることができず、表面電位が不充分であり、当該エレクトレットを使用した静電誘導型変換素子における電気エネルギと運動エネルギとの変換効率を向上させることができない問題がある。
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、表面電位が向上したエレクトレットの製造方法、ならびに該製造方法を用いた静電誘導型変換素子の製造方法の提供を課題とする。
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、表面電位が向上したエレクトレットの製造方法、ならびに該製造方法を用いた静電誘導型変換素子の製造方法の提供を課題とする。
前記の課題を解決する本発明の第一の態様は、キシレン(25℃)に対して5質量%以上の濃度で溶解する溶解度を有し、ガラス転移温度が120〜160℃であるシクロオレフィンポリマーおよび溶媒を含有するコーティング用組成物を基板表面にコーティングしてコーティング膜を形成し、該コーティング膜に、前記シクロオレフィンポリマーのガラス転移温度以上の温度で電荷を注入することを特徴とするエレクトレットの製造方法である。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様のエレクトレットの製造方法でエレクトレットを得る工程を有する静電誘導型変換素子の製造方法である。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様のエレクトレットの製造方法でエレクトレットを得る工程を有する静電誘導型変換素子の製造方法である。
本発明によれば、表面電位が向上したエレクトレットの製造方法、ならびに該製造方法を用いた静電誘導型変換素子の製造方法を提供できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
以下の明細書中においては、重合体を構成する「繰り返し単位」を「単位」と略記することがある。
また、式(a1)で表される単位を「単位(a1)」とも記す。他の式で表される単位、化合物等についても同様に記し、たとえば式(1)で表される単量体を「単量体(1)」とも記す。
以下の明細書中においては、重合体を構成する「繰り返し単位」を「単位」と略記することがある。
また、式(a1)で表される単位を「単位(a1)」とも記す。他の式で表される単位、化合物等についても同様に記し、たとえば式(1)で表される単量体を「単量体(1)」とも記す。
本発明のエレクトレットに用いられるシクロオレフィンポリマーは、キシレン(25℃)に対して5質量%以上の濃度で溶解する溶解度を有するものである。
ここで、「シクロオレフィンポリマー」とは、当該ポリマーの主鎖に脂肪族環構造を有するポリマーを意味する。
「ポリマーの主鎖に脂肪族環構造を有する」とは、当該脂肪族環構造を構成する炭素原子のうち少なくとも2つが当該ポリマーの主鎖に組み込まれていることを意味する。
シクロオレフィンポリマーは、脂肪族環構造を有する単位(以下、単位(a)ということがある。)を有しており、該単位(a)においては、当該脂肪族環構造を構成する炭素原子のうち少なくとも2つが当該ポリマーの主鎖に組み込まれている。
シクロオレフィンポリマーとして、好ましいものとしては、単位(a1)を含むものが挙げられる。
ここで、「シクロオレフィンポリマー」とは、当該ポリマーの主鎖に脂肪族環構造を有するポリマーを意味する。
「ポリマーの主鎖に脂肪族環構造を有する」とは、当該脂肪族環構造を構成する炭素原子のうち少なくとも2つが当該ポリマーの主鎖に組み込まれていることを意味する。
シクロオレフィンポリマーは、脂肪族環構造を有する単位(以下、単位(a)ということがある。)を有しており、該単位(a)においては、当該脂肪族環構造を構成する炭素原子のうち少なくとも2つが当該ポリマーの主鎖に組み込まれている。
シクロオレフィンポリマーとして、好ましいものとしては、単位(a1)を含むものが挙げられる。
式(a1)中、Rの炭化水素基が「置換基を有していてもよい」とは、該炭化水素基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていてもよいことを意味する。
該置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、フェニル基等のアリール基、アダマンチル基等の多環式の脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
置換基としてのアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
置換基としてのシクロアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、5〜8であることがより好ましい。該シクロアルキル基としては、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基が特に好ましい。
置換基としてのアルコキシ基は、前記アルキル基に酸素原子(−O−)が結合したものが挙げられる。
該置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、フェニル基等のアリール基、アダマンチル基等の多環式の脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
置換基としてのアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
置換基としてのシクロアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、5〜8であることがより好ましい。該シクロアルキル基としては、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基が特に好ましい。
置換基としてのアルコキシ基は、前記アルキル基に酸素原子(−O−)が結合したものが挙げられる。
Rの炭化水素基は、鎖状であってもよく、環状であってもよい。また、該炭化水素基は飽和であってもよく、不飽和であってもよく、好ましくは飽和である。
鎖状の炭化水素基としては、置換基を有していてもよい直鎖状のアルキレン基が好ましく、その炭素数は1〜4が好ましく、2〜3がより好ましく、2が最も好ましい。具体的には、ジメチレン基が挙げられる。
鎖状の炭化水素基としては、置換基を有していてもよい直鎖状のアルキレン基が好ましく、その炭素数は1〜4が好ましく、2〜3がより好ましく、2が最も好ましい。具体的には、ジメチレン基が挙げられる。
環状の炭化水素基としては、置換基を有していてもよい単環式または多環式のシクロアルカンから水素原子を2つ除いた基が好ましい。単環式のシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式のシクロアルカンとしては、ノルボルナン、アダマンタン等が挙げられる。これらの中でも、シクロペンタンまたはノルボルナンが好ましい。
式(a1)中、mは0〜10の整数である。
mが1以上の整数の場合、後述する単位(a1−1)のように、ポリマー主鎖が、脂肪族環構造のオルト位ではなく、メチレン鎖1つ以上の間隔をあけて結合することにより当該脂肪族環構造がポリマー主鎖に組み込まれている。この場合、mとしては、1〜3が好ましく、1が最も好ましい。
mが0の場合、後述する単位(a1−2)のように、ポリマー主鎖が、脂肪族環構造のオルト位に結合することにより当該脂肪族環構造がポリマー主鎖に組み込まれている。
rおよびsは、それぞれ、0であってもよく、1であってもよい。
特に、mが0の場合はrおよびsが0であることが好ましい。また、mが1の場合は、rおよびsが1であることが好ましい。
mが1以上の整数の場合、後述する単位(a1−1)のように、ポリマー主鎖が、脂肪族環構造のオルト位ではなく、メチレン鎖1つ以上の間隔をあけて結合することにより当該脂肪族環構造がポリマー主鎖に組み込まれている。この場合、mとしては、1〜3が好ましく、1が最も好ましい。
mが0の場合、後述する単位(a1−2)のように、ポリマー主鎖が、脂肪族環構造のオルト位に結合することにより当該脂肪族環構造がポリマー主鎖に組み込まれている。
rおよびsは、それぞれ、0であってもよく、1であってもよい。
特に、mが0の場合はrおよびsが0であることが好ましい。また、mが1の場合は、rおよびsが1であることが好ましい。
単位(a1)として、好ましいものとしては、以下に示す単位(a1−1)、単位(a1−2)が挙げられる。
式(a1−1)中、R1およびR2におけるアルキル基、シクロアルキル基としては、それぞれ、前記置換基としてのアルキル基、シクロアルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R1およびR2は相互に結合して、R1およびR2がそれぞれ結合した炭素原子とともに、環を形成していてもよい。この場合に形成される環としては、単環式または多環式のシクロアルカンが好ましい。単環式のシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式のシクロアルカンとしては、ノルボルナン、アダマンタン等が挙げられる。これらの中でも、シクロペンタンまたはノルボルナンが好ましい。
該環は置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記Rの炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R1およびR2が環を形成している場合の単位(a1−1)の具体例としては、下記単位(a1−11)、単位(a1−12)等が挙げられる。
R1およびR2は相互に結合して、R1およびR2がそれぞれ結合した炭素原子とともに、環を形成していてもよい。この場合に形成される環としては、単環式または多環式のシクロアルカンが好ましい。単環式のシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式のシクロアルカンとしては、ノルボルナン、アダマンタン等が挙げられる。これらの中でも、シクロペンタンまたはノルボルナンが好ましい。
該環は置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記Rの炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R1およびR2が環を形成している場合の単位(a1−1)の具体例としては、下記単位(a1−11)、単位(a1−12)等が挙げられる。
R11のアルキル基としては、前記Rの炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、特にメチル基が好ましい。
本発明において、単位(a1−1)としては、R1およびR2が環を形成しているもの、またはR1およびR2の少なくとも一方がシクロアルキル基であるものが好ましい。
本発明において、単位(a1−1)としては、R1およびR2が環を形成しているもの、またはR1およびR2の少なくとも一方がシクロアルキル基であるものが好ましい。
式(a1−2)中、R3およびR4は、それぞれ、前記R1およびR2と同様である。
R3およびR4が環を形成している場合の単位(a1−2)の具体例としては、下記単位(a1−21)、単位(a1−22)等が挙げられる。
R3およびR4が環を形成している場合の単位(a1−2)の具体例としては、下記単位(a1−21)、単位(a1−22)等が挙げられる。
R13のアルキル基としては、前記Rの炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、特にメチル基が好ましい。
シクロオレフィンポリマーは、単位(a)として、上記のような単位のうちのいずれか1種を含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
シクロオレフィンポリマー中、単位(a)の割合は、当該シクロオレフィンポリマーを構成する全繰り返し単位の合計に対し、30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、100モル%であってもよい。
シクロオレフィンポリマー中、単位(a)の割合は、当該シクロオレフィンポリマーを構成する全繰り返し単位の合計に対し、30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、100モル%であってもよい。
シクロオレフィンポリマーは、単位(a)以外の他の単位(以下、単位(b)ということがある。)を含んでいてもよい。
単位(b)としては、従来、シクロオレフィンポリマーに用いられている任意の単位が利用でき、特に限定されない。
該単位(b)としては、置換基を有していてもよいオレフィンに基づく単位が好ましく、該単位としては、たとえば下記単位(b1)が挙げられる。
単位(b)としては、従来、シクロオレフィンポリマーに用いられている任意の単位が利用でき、特に限定されない。
該単位(b)としては、置換基を有していてもよいオレフィンに基づく単位が好ましく、該単位としては、たとえば下記単位(b1)が挙げられる。
式中、R5のアルキル基としては、前記Rの炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。
アリール基としては、ベンジル基、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、p−フルオロフェニル基、m-フルオロフェニル基、o−フルオロフェニル基、p-トリフルオロフェニル基、m-トリフルオロフェニル基、o−トリフルオロフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
アリール基としては、ベンジル基、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、p−フルオロフェニル基、m-フルオロフェニル基、o−フルオロフェニル基、p-トリフルオロフェニル基、m-トリフルオロフェニル基、o−トリフルオロフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
本発明に用いられるシクロオレフィンポリマーとしては、特に、下記シクロオレフィンポリマー(I)、シクロオレフィンポリマー(II)が好ましい。
シクロオレフィンポリマー(I):前記単位(a1−1)を含むシクロオレフィンポリマー。
シクロオレフィンポリマー(II):前記単位(a1−2)および単位(b1)を含むシクロオレフィンポリマー。
シクロオレフィンポリマー(I):前記単位(a1−1)を含むシクロオレフィンポリマー。
シクロオレフィンポリマー(II):前記単位(a1−2)および単位(b1)を含むシクロオレフィンポリマー。
シクロオレフィンポリマー(I)は、単位(a1−1)として、1種を含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
また、シクロオレフィンポリマー(I)は、本発明の効果を損なわない範囲で、単位(a1−1)以外の単位を含んでいてもよい。
シクロオレフィンポリマー(I)中、単位(a1−1)の割合は、当該シクロオレフィンポリマー(I)を構成する全繰り返し単位の合計に対し、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、100モル%が特に好ましい。すなわち、シクロオレフィンポリマー(I)としては、単位(a1)のみから構成される重合体が特に好ましい。
また、シクロオレフィンポリマー(I)は、本発明の効果を損なわない範囲で、単位(a1−1)以外の単位を含んでいてもよい。
シクロオレフィンポリマー(I)中、単位(a1−1)の割合は、当該シクロオレフィンポリマー(I)を構成する全繰り返し単位の合計に対し、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、100モル%が特に好ましい。すなわち、シクロオレフィンポリマー(I)としては、単位(a1)のみから構成される重合体が特に好ましい。
シクロオレフィンポリマー(II)は、単位(a1−2)、単位(b1)として、それぞれ、1種を含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
また、シクロオレフィンポリマー(II)は、本発明の効果を損なわない範囲で、単位(a1−2)および単位(b1)以外の単位を含んでいてもよい。
シクロオレフィンポリマー(II)中、単位(a1−2)の割合は、当該シクロオレフィンポリマー(II)を構成する全繰り返し単位の合計に対し、20〜70モル%が好ましく、30〜50モル%がより好ましい。また、単位(b1)の割合は、当該シクロオレフィンポリマー(II)を構成する全繰り返し単位の合計に対し、30〜80モル%が好ましく、50〜70モル%がより好ましい。
また、シクロオレフィンポリマー(II)中の単位(a1−2)および単位(b1)の含有量の比(モル比)は、単位(a1−2):単位(b1)= 20:80〜70:30の範囲内が好ましく、30:70〜50:50の範囲内がより好ましい。
シクロオレフィンポリマー(II)の好ましい具体例としては、下記式(II−1)、(II−2)にそれぞれ示す2種の単位を含む共重合体が挙げられる。
また、シクロオレフィンポリマー(II)は、本発明の効果を損なわない範囲で、単位(a1−2)および単位(b1)以外の単位を含んでいてもよい。
シクロオレフィンポリマー(II)中、単位(a1−2)の割合は、当該シクロオレフィンポリマー(II)を構成する全繰り返し単位の合計に対し、20〜70モル%が好ましく、30〜50モル%がより好ましい。また、単位(b1)の割合は、当該シクロオレフィンポリマー(II)を構成する全繰り返し単位の合計に対し、30〜80モル%が好ましく、50〜70モル%がより好ましい。
また、シクロオレフィンポリマー(II)中の単位(a1−2)および単位(b1)の含有量の比(モル比)は、単位(a1−2):単位(b1)= 20:80〜70:30の範囲内が好ましく、30:70〜50:50の範囲内がより好ましい。
シクロオレフィンポリマー(II)の好ましい具体例としては、下記式(II−1)、(II−2)にそれぞれ示す2種の単位を含む共重合体が挙げられる。
シクロオレフィンポリマーは、それぞれ、主鎖末端および/または側鎖部分に、末端基として、官能基を有していてもよい。
官能基としては、アルコキシカルボニル基(エステル基ともいう。)、カルボキシ基、カルボン酸ハライド基、アミド基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基、チオール基、シアノ基等が挙げられる。これらの中でも、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基を有することが好ましい。
末端基としてカルボキシ基を含む場合、該カルボキシ基にはシラン化合物が結合していてもよい。
シラン化合物は、たとえば末端基としてカルボキシ基を有するシクロオレフィンポリマーと、後述するようなシランカップリング剤とを反応させることにより該カルボキシ基に結合させることができる。
末端基としてアルコキシカルボニル基、カルボキシ基等の官能基を有するシクロオレフィンポリマーとしては、たとえば、シクロオレフィンポリマーに、不飽和カルボン酸およびその誘導体からなる変性単量体をグラフト共重合させてなる変性高分子化合物が挙げられる。
前記不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ナジック酸、メチルナジック酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸の誘導体としては、前記不飽和カルボン酸の酸ハライド、アミド、イミド、酸無水物、エステル等が挙げられ、具体例としては、塩化マレニル、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸者メチル、マレイン酸ジメチル等が挙げられる。
官能基としては、アルコキシカルボニル基(エステル基ともいう。)、カルボキシ基、カルボン酸ハライド基、アミド基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基、チオール基、シアノ基等が挙げられる。これらの中でも、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基を有することが好ましい。
末端基としてカルボキシ基を含む場合、該カルボキシ基にはシラン化合物が結合していてもよい。
シラン化合物は、たとえば末端基としてカルボキシ基を有するシクロオレフィンポリマーと、後述するようなシランカップリング剤とを反応させることにより該カルボキシ基に結合させることができる。
末端基としてアルコキシカルボニル基、カルボキシ基等の官能基を有するシクロオレフィンポリマーとしては、たとえば、シクロオレフィンポリマーに、不飽和カルボン酸およびその誘導体からなる変性単量体をグラフト共重合させてなる変性高分子化合物が挙げられる。
前記不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ナジック酸、メチルナジック酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸の誘導体としては、前記不飽和カルボン酸の酸ハライド、アミド、イミド、酸無水物、エステル等が挙げられ、具体例としては、塩化マレニル、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸者メチル、マレイン酸ジメチル等が挙げられる。
本発明において、シクロオレフィンポリマーは、キシレン(25℃)に対して5質量%以上の濃度で溶解する溶解度を有する。該溶解度が5質量%未満であると、非プロトン性溶媒等の溶媒に溶解しにくく、良好なコーティング膜を得ることが難しい。該溶解度は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。
該溶解度の上限としては、溶液粘度の上昇により濾過性や製膜性が悪化することを考慮すると、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
該溶解度は、当該シクロオレフィンポリマーを構成する繰り返し単位の種類や割合を調節することにより調節できる。たとえば、前記単位(a1)、(a1−1)、(a1−2)等は前記溶解度の向上に寄与しており、これらの単位の割合が多いほど、前記溶解度が高くなる。たとえば、これらの単位の合計量が、当該ポリマーを構成する全繰り返し単位の合計に対して40モル%以上であると、当該シクロオレフィンポリマーの前記溶解度が5質量%以上となる。
該溶解度の上限としては、溶液粘度の上昇により濾過性や製膜性が悪化することを考慮すると、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
該溶解度は、当該シクロオレフィンポリマーを構成する繰り返し単位の種類や割合を調節することにより調節できる。たとえば、前記単位(a1)、(a1−1)、(a1−2)等は前記溶解度の向上に寄与しており、これらの単位の割合が多いほど、前記溶解度が高くなる。たとえば、これらの単位の合計量が、当該ポリマーを構成する全繰り返し単位の合計に対して40モル%以上であると、当該シクロオレフィンポリマーの前記溶解度が5質量%以上となる。
当該シクロオレフィンポリマーの分子量は1万〜20万の範囲内が好ましく、製膜する際の造膜性、溶媒への溶解性の観点から、2万〜10万の範囲内がより好ましい。
また当該シクロオレフィンポリマーのガラス転移温度は80℃〜200℃の範囲内が好ましく、得られるエレクトレットの熱安定性の観点と、製膜する際の造膜性、溶媒への溶解性の観点から、120〜160℃の範囲内がより好ましい。
また当該シクロオレフィンポリマーのガラス転移温度は80℃〜200℃の範囲内が好ましく、得られるエレクトレットの熱安定性の観点と、製膜する際の造膜性、溶媒への溶解性の観点から、120〜160℃の範囲内がより好ましい。
シクロオレフィンポリマーとしては、上記溶解度等の所望の特性を満足するものであれば特に限定されず、市販のものを用いてもよく、合成してもよい。
シクロオレフィンポリマーの合成方法としては、下記(1)〜(7)等が知られている。
(1)ノルボルネン類とオレフィンとを付加共重合させる方法(たとえば下記反応式(1’)に示す方法)。
(2)ノルボルネン類の開環メタセシス重合体に対して水素添加する方法(たとえば下記反応式(2’)に示す方法)。
(3)アルキリデンノルボルネンをトランスアニュラー重合する方法(たとえば下記反応式(3’)に示す方法)。
(4)ノルボルネン類を付加重合させる方法(たとえば下記反応式(4’)に示す方法)。
(5)シクロペンタジエンの1,2−および1,4−付加重合体に対して水素添加する方法(たとえば下記反応式(5’)に示す方法)。
(6)シクロヘキサジエンの1,2−および1,4−付加重合体に対して水素添加する方法(たとえば下記反応式(6’)に示す方法)。
(7)共役ジエンを環化重合させる方法(たとえば下記反応式(7’)に示す方法)。
シクロオレフィンポリマーの合成方法としては、下記(1)〜(7)等が知られている。
(1)ノルボルネン類とオレフィンとを付加共重合させる方法(たとえば下記反応式(1’)に示す方法)。
(2)ノルボルネン類の開環メタセシス重合体に対して水素添加する方法(たとえば下記反応式(2’)に示す方法)。
(3)アルキリデンノルボルネンをトランスアニュラー重合する方法(たとえば下記反応式(3’)に示す方法)。
(4)ノルボルネン類を付加重合させる方法(たとえば下記反応式(4’)に示す方法)。
(5)シクロペンタジエンの1,2−および1,4−付加重合体に対して水素添加する方法(たとえば下記反応式(5’)に示す方法)。
(6)シクロヘキサジエンの1,2−および1,4−付加重合体に対して水素添加する方法(たとえば下記反応式(6’)に示す方法)。
(7)共役ジエンを環化重合させる方法(たとえば下記反応式(7’)に示す方法)。
各反応式中、R1〜R5はそれぞれ前記と同じである。
R6〜R7はそれぞれ独立にアルキル基であり、該アルキル基としては、前記Rの炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。
R6〜R7はそれぞれ独立にアルキル基であり、該アルキル基としては、前記Rの炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中では、(1)の方法により得られるシクロオレフィンポリマー(ノルボルネン類とオレフィンの付加共重合体)、および(2)の方法により得られるシクロオレフィンポリマー(ノルボルネン類の開環メタセシス重合体の水素添加ポリマー)が、造膜性に優れる点、合成が容易である点から好ましい。
ノルボルネン類の付加共重合体としては、例えばアペル(登録商標)(三井化学(株)製)、TOPAS(登録商標)(Ticona社製)の商品名で販売されているものが挙げられる。
また、ノルボルネン類の開環メタセシス重合体の水素添加ポリマーとしては、種々のものがあるが、透明性、低吸湿性、耐熱性を有することから、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン(株)製)、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン(株)製)、アートン(登録商標)(JSR(株)製)の商品名で販売されているポリマーが好ましい。
ノルボルネン類の付加共重合体としては、例えばアペル(登録商標)(三井化学(株)製)、TOPAS(登録商標)(Ticona社製)の商品名で販売されているものが挙げられる。
また、ノルボルネン類の開環メタセシス重合体の水素添加ポリマーとしては、種々のものがあるが、透明性、低吸湿性、耐熱性を有することから、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン(株)製)、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン(株)製)、アートン(登録商標)(JSR(株)製)の商品名で販売されているポリマーが好ましい。
本発明のエレクトレットは、上記シクロオレフィンポリマーを溶媒に溶解して、シクロオレフィンポリマーおよび溶媒を含有するコーティング用組成物を調製し、これを用いてコーティング膜を形成(製膜)し、該コーティング膜に電荷を注入することにより製造できる。
溶媒としては、前記シクロオレフィンポリマーを溶解でき、所望のコーティング方法で所望の膜厚、均一性を有するコーティング膜を形成し得るものであれば特に制限はなく、例えばプロトン性溶媒、非プロトン系溶媒が挙げられる。
プロトン性溶媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、2−ブタオール、t-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、1−オクタノール、2-オクタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、乳酸メチル等が挙げられる。これらの中でも1-プロパノールが好ましい。
非プロトン性溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、デカリン、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン、ジメトキシエタン、モノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジグライム、トリグライム、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート(PGMEA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アニソール、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ヘキサフルオロメタキシレン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、テトラリン、メチルナフタレン等が挙げられる。これらの中でも、炭化水素類が好ましく、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、テトラリン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類がより好ましく、トルエン、キシレンがさらに好ましい。
これらの溶媒は、いずれか1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。またこれらの他にも広範な化合物が使用できる。
溶媒としては、前記シクロオレフィンポリマーを溶解でき、所望のコーティング方法で所望の膜厚、均一性を有するコーティング膜を形成し得るものであれば特に制限はなく、例えばプロトン性溶媒、非プロトン系溶媒が挙げられる。
プロトン性溶媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、2−ブタオール、t-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、1−オクタノール、2-オクタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、乳酸メチル等が挙げられる。これらの中でも1-プロパノールが好ましい。
非プロトン性溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、デカリン、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン、ジメトキシエタン、モノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジグライム、トリグライム、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート(PGMEA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アニソール、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ヘキサフルオロメタキシレン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、テトラリン、メチルナフタレン等が挙げられる。これらの中でも、炭化水素類が好ましく、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、テトラリン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類がより好ましく、トルエン、キシレンがさらに好ましい。
これらの溶媒は、いずれか1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。またこれらの他にも広範な化合物が使用できる。
上記コーティング用組成物には、シランカップリング剤を配合してもよい。これにより、当該コーティング用組成物を用いて形成されるコーティング膜の基板との密着性が向上する。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、従来より公知または周知のものを含めて広範囲にわたって利用できる。具体的には、以下のものが例示できる。
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシランなどのモノアルコキシシラン類。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、従来より公知または周知のものを含めて広範囲にわたって利用できる。具体的には、以下のものが例示できる。
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシランなどのモノアルコキシシラン類。
γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルメチルジメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシランなどのジアルコキシシラン類。
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのトリまたはテトラアルコキシシラン類。
また、好ましいシランカップリング剤として、芳香族アミン構造を有するシランカップリング剤である芳香族アミン系シランカップリング剤が挙げられる。
芳香族アミン系シランカップリング剤としては、下式(s1)〜(s3)で表される化合物が挙げられる。
ArSi(OR21)(OR22)(OR23) …(s1)
ArSiR24(OR21)(OR22) …(s2)
ArSiR24R25(OR21) …(s3)
[式中R21〜R25はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を表し、Arはp−、m−またはo−アミノフェニル基を表す。]
芳香族アミン系シランカップリング剤としては、下式(s1)〜(s3)で表される化合物が挙げられる。
ArSi(OR21)(OR22)(OR23) …(s1)
ArSiR24(OR21)(OR22) …(s2)
ArSiR24R25(OR21) …(s3)
[式中R21〜R25はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を表し、Arはp−、m−またはo−アミノフェニル基を表す。]
式(s1)〜(s3)で表される化合物の具体例としては以下のものが挙げられる。
アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリプロポキシシラン、アミノフェニルトリイソプロポキシシラン、アミノフェニルメチルジメトキシシラン、アミノフェニルメチルジエトキシシラン、アミノフェニルメチルジプロポキシシラン、アミノフェニルメチルジイソプロポキシシラン、アミノフェニルフェニルジメトキシシラン、アミノフェニルフェニルジエトキシシラン、アミノフェニルフェニルジプロポキシシラン、アミノフェニルフェニルジイソプロポキシシランなど。
これらの化合物におけるアミノ基の水素原子はアルキル基やアリール基で置換されていてもよい。たとえばN,N−ジメチルアミノフェニルトリアルコキシシランやN,N−ジメチルアミノフェニルメチルジアルコキシシランなどが挙げられる。この他にも、たとえば米国特許第3,481,815号明細書に記載されている芳香族アミン系シランカップリング剤などを使用できる。
アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリプロポキシシラン、アミノフェニルトリイソプロポキシシラン、アミノフェニルメチルジメトキシシラン、アミノフェニルメチルジエトキシシラン、アミノフェニルメチルジプロポキシシラン、アミノフェニルメチルジイソプロポキシシラン、アミノフェニルフェニルジメトキシシラン、アミノフェニルフェニルジエトキシシラン、アミノフェニルフェニルジプロポキシシラン、アミノフェニルフェニルジイソプロポキシシランなど。
これらの化合物におけるアミノ基の水素原子はアルキル基やアリール基で置換されていてもよい。たとえばN,N−ジメチルアミノフェニルトリアルコキシシランやN,N−ジメチルアミノフェニルメチルジアルコキシシランなどが挙げられる。この他にも、たとえば米国特許第3,481,815号明細書に記載されている芳香族アミン系シランカップリング剤などを使用できる。
上記シランカップリング剤は、いずれか1種を単独で使用してもよく、2種以上を組合せてもよい。
また、上記シランカップリング剤の共部分加水分解物を使用することも好ましい。
さらに、上記シランカップリング剤とテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランとの共部分加水分解物を使用することも好ましい。このうちで、ポリマーの透明性を損なうことなく、シクロオレフィンポリマーの接着性を向上させるものとして、アミノ基を有するシランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、アミノフェニルメチルジメトキシシラン、アミノフェニルメチルジエトキシシランなど)、またはエポキシ基を有するシランカップリング剤(γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシランなど)が特に好適なものとして例示される。
また、上記シランカップリング剤の共部分加水分解物を使用することも好ましい。
さらに、上記シランカップリング剤とテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランとの共部分加水分解物を使用することも好ましい。このうちで、ポリマーの透明性を損なうことなく、シクロオレフィンポリマーの接着性を向上させるものとして、アミノ基を有するシランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、アミノフェニルメチルジメトキシシラン、アミノフェニルメチルジエトキシシランなど)、またはエポキシ基を有するシランカップリング剤(γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシランなど)が特に好適なものとして例示される。
シクロオレフィンポリマーとして、予め主鎖末端または側鎖にカルボキシ基の導入された含フッ素重合体を用いる場合は、特にアミノ基またはエポキシ基を有するアルコキシシラン類が有効である。
シクロオレフィンポリマーとして、予め主鎖末端または側鎖にアルコキシカルボニル基が導入された含フッ素重合体を用いる場合は、特にアミノ基またはアミノフェニル基を有するアルコキシシラン類が有効である。
シクロオレフィンポリマーとして、予め主鎖末端または側鎖にアルコキシカルボニル基が導入された含フッ素重合体を用いる場合は、特にアミノ基またはアミノフェニル基を有するアルコキシシラン類が有効である。
コーティング用組成物中のシクロオレフィンポリマーの濃度は、エレクトレットに好適な膜厚のコーティング膜を形成できることから、5質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。該濃度の上限としては、溶液粘度の上昇により濾過性や製膜性が悪化することを考慮すると、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
また、コーティング用組成物にシランカップリング剤を配合する場合、その配合量は、シクロオレフィンポリマー100質量部当たり0.01〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
また、コーティング用組成物にシランカップリング剤を配合する場合、その配合量は、シクロオレフィンポリマー100質量部当たり0.01〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
上記コーティング用組成物を用いたコーティング膜の製膜は、例えば、該コーティング用を基板表面にコーティングし、ベーク等により乾燥させることにより実施できる。
コーティング方法としては、溶液から膜を形成させる方法として従来公知の方法が利用でき、特に限定されない。かかる方法の具体例としては、スピンコート法、ディップコート法、キャストコート法、スプレーコート法、ダイコート法、スキャンコート法、はけ塗り法、ポッティング法等が挙げられる。膜厚の均一性の観点からスピンコート法、ダイコート法、キャストコート法、又はスキャンコート法が好ましい。また膜厚偏差が問題とならない場合(たとえばブロック状の成形体を作成する場合等)は、ポッティング法が好ましい。
上記コーティング用組成物をコーティングする基板としては、コーティングして得られたコーティング膜に電荷を注入する際にアースに接続できるような基板であれば、材質を選ばずに用いることができる。好ましい材質としては、例えば、金、白金、銅、アルミニウム、クロム、ニッケル等の導電性の金属が挙げられ、特に銅が好ましい。また、材質が導電性の金属以外のもの、たとえばシリコン等の半導体材料、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の有機高分子材料等の絶縁性の材料であっても、その表面にスパッタリング、蒸着、ウエットコーティング等の方法で金属膜をコーティングしたものであれば用いることができる。
コーティング方法としては、溶液から膜を形成させる方法として従来公知の方法が利用でき、特に限定されない。かかる方法の具体例としては、スピンコート法、ディップコート法、キャストコート法、スプレーコート法、ダイコート法、スキャンコート法、はけ塗り法、ポッティング法等が挙げられる。膜厚の均一性の観点からスピンコート法、ダイコート法、キャストコート法、又はスキャンコート法が好ましい。また膜厚偏差が問題とならない場合(たとえばブロック状の成形体を作成する場合等)は、ポッティング法が好ましい。
上記コーティング用組成物をコーティングする基板としては、コーティングして得られたコーティング膜に電荷を注入する際にアースに接続できるような基板であれば、材質を選ばずに用いることができる。好ましい材質としては、例えば、金、白金、銅、アルミニウム、クロム、ニッケル等の導電性の金属が挙げられ、特に銅が好ましい。また、材質が導電性の金属以外のもの、たとえばシリコン等の半導体材料、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の有機高分子材料等の絶縁性の材料であっても、その表面にスパッタリング、蒸着、ウエットコーティング等の方法で金属膜をコーティングしたものであれば用いることができる。
コーティング膜の形状、大きさは、所望のエレクトレットの形状、大きさに応じて適宜設定すればよい。
コーティング膜の膜厚は、0.1〜1000μmが好ましく、1〜100μmがより好ましい。
コーティング膜へ電荷を注入する方法としては、一般的に絶縁体を帯電させる方法であれば手段を選ばずに用いることができる。例えば、G.M.Sessler, Electrets Third Edition,pp20,Chapter2.2“Charging and Polarizing Methods”(Laplacian Press, 1998)に記載のコロナ放電法、電子ビーム衝突法、イオンビーム衝突法、放射線照射法、光照射法、接触帯電法、液体接触帯電法などが適用可能である。特に本発明のエレクトレットではコロナ放電法、電子ビーム衝突法を用いることが好ましい。
また、電荷を注入する際の温度条件としては、シクロオレフィンポリマーのガラス転移温度以上で行うことが、注入後に保持される電荷の安定性の面から好ましく、特にガラス転移温度+10〜20℃程度の温度条件で行うことが好ましい。
さらに、電荷を注入する際の印加電圧としては、シクロオレフィンポリマーの絶縁破壊電圧以下であれば、高圧を印加することが好ましい。本発明における含フッ素重合体では、±6〜±30kVの高電圧が適用可能であり、特に±8〜±15kVの電圧印可が好ましい。
コーティング膜の膜厚は、0.1〜1000μmが好ましく、1〜100μmがより好ましい。
コーティング膜へ電荷を注入する方法としては、一般的に絶縁体を帯電させる方法であれば手段を選ばずに用いることができる。例えば、G.M.Sessler, Electrets Third Edition,pp20,Chapter2.2“Charging and Polarizing Methods”(Laplacian Press, 1998)に記載のコロナ放電法、電子ビーム衝突法、イオンビーム衝突法、放射線照射法、光照射法、接触帯電法、液体接触帯電法などが適用可能である。特に本発明のエレクトレットではコロナ放電法、電子ビーム衝突法を用いることが好ましい。
また、電荷を注入する際の温度条件としては、シクロオレフィンポリマーのガラス転移温度以上で行うことが、注入後に保持される電荷の安定性の面から好ましく、特にガラス転移温度+10〜20℃程度の温度条件で行うことが好ましい。
さらに、電荷を注入する際の印加電圧としては、シクロオレフィンポリマーの絶縁破壊電圧以下であれば、高圧を印加することが好ましい。本発明における含フッ素重合体では、±6〜±30kVの高電圧が適用可能であり、特に±8〜±15kVの電圧印可が好ましい。
本発明のエレクトレットは、電気エネルギと運動エネルギとを変換する静電誘導型変換素子として好適である。
静電誘導型変換素子としては、振動型発電機、アクチュエータ、センサ等が挙げられる。これらの静電誘導型変換素子の構造は、エレクトレットとして本発明のエレクトレットが用いられる以外は従来公知のものと同様であってよい。
静電誘導型変換素子としては、振動型発電機、アクチュエータ、センサ等が挙げられる。これらの静電誘導型変換素子の構造は、エレクトレットとして本発明のエレクトレットが用いられる以外は従来公知のものと同様であってよい。
本発明のエレクトレットは、従来のエレクトレット(たとえばシクロオレフィンポリマーフィルムを用いたエレクトレット)に比べて、注入される電荷の密度を高くすることができ、表面電位が向上する。そのため、該エレクトレットを使用した静電誘導型変換素子は、電気エネルギと運動エネルギとの変換効率が向上しており、優れた性能を有する。
かかる効果が得られる理由は定かではないが、本発明のエレクトレットがコーティング膜であることにより、フィルムを電極上に圧着した場合と比較して、下地として用いる電極との密着性を確保できること等がその理由の一つとして考えられる。
かかる効果が得られる理由は定かではないが、本発明のエレクトレットがコーティング膜であることにより、フィルムを電極上に圧着した場合と比較して、下地として用いる電極との密着性を確保できること等がその理由の一つとして考えられる。
以下に、上記実施形態の具体例を実施例として説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1:エレクトレットAの製造]
日本ゼオン(株)製ゼオネックス480をm−キシレンに約30質量%の濃度で溶解させ、コーティング用樹脂溶液Aを得た。
次に、3cm角、厚さ350μmの銅基板に、上記コーティング用樹脂溶液Aをスピンコート法によりコーティングした後、180℃でベークして乾燥させることにより膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜Aという。)を得た。
このコーティング膜Aに、コロナ放電にて電荷を注入することによりエレクトレットAとした。電荷の注入は、図1に概略構成図を示すコロナ荷電装置を用い、150℃にて、荷電電圧−8kV、荷電時間3分の条件で、以下の手順により行った。すなわち、銅基板(10)を電極として、直流高圧電源装置(12)(HAR−20R5;松定プレシジョン製)により、コロナ針(14)と銅基板(10)との間に−8kVの高電圧をかけることにより、銅基板(10)上に形成されたコーティング膜A(11)に電荷を注入した。このコロナ荷電装置においては、コロナ針(14)から放電した負イオンはグリッド(16)で均一化された後、コーティング膜A(11)上に降り注ぎ、電荷が注入される。なお、グリッド(16)には、グリッド用電源(18)から−600Vの電圧が印加されている。
[実施例1:エレクトレットAの製造]
日本ゼオン(株)製ゼオネックス480をm−キシレンに約30質量%の濃度で溶解させ、コーティング用樹脂溶液Aを得た。
次に、3cm角、厚さ350μmの銅基板に、上記コーティング用樹脂溶液Aをスピンコート法によりコーティングした後、180℃でベークして乾燥させることにより膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜Aという。)を得た。
このコーティング膜Aに、コロナ放電にて電荷を注入することによりエレクトレットAとした。電荷の注入は、図1に概略構成図を示すコロナ荷電装置を用い、150℃にて、荷電電圧−8kV、荷電時間3分の条件で、以下の手順により行った。すなわち、銅基板(10)を電極として、直流高圧電源装置(12)(HAR−20R5;松定プレシジョン製)により、コロナ針(14)と銅基板(10)との間に−8kVの高電圧をかけることにより、銅基板(10)上に形成されたコーティング膜A(11)に電荷を注入した。このコロナ荷電装置においては、コロナ針(14)から放電した負イオンはグリッド(16)で均一化された後、コーティング膜A(11)上に降り注ぎ、電荷が注入される。なお、グリッド(16)には、グリッド用電源(18)から−600Vの電圧が印加されている。
なお、ゼオネックス480は、ノルボルネン系モノマーの開環メタセシス重合体の水添ポリマーである。
m−キシレンを使用したGPCによるゼオネックス480のポリメチルメタクリレート換算の分子量は、数平均分子量(Mn)で40000、重量平均分子量(Mw)で65000であった。
示差走査熱分析(DSC)により測定したゼオネックス480のガラス転移温度(Tg)は138℃であった。
また、ゼオネックス480について、以下の手順でキシレン(25℃)に対する溶解度を測定した結果、該溶解度は35質量%であった。
[溶解度の測定方法]
ペレット状のシクロオレフィンポリマーにキシレンを約60質量%になるように添加し、撹拌しながら、温度80℃まで加温した。続いて、同様に加温しながら、沈殿物が無くなるまで溶媒を追加していった。さらに均一な溶液を25℃まで冷却し、析出物がないことを確認した。このときの濃度を上記溶解度とした。
m−キシレンを使用したGPCによるゼオネックス480のポリメチルメタクリレート換算の分子量は、数平均分子量(Mn)で40000、重量平均分子量(Mw)で65000であった。
示差走査熱分析(DSC)により測定したゼオネックス480のガラス転移温度(Tg)は138℃であった。
また、ゼオネックス480について、以下の手順でキシレン(25℃)に対する溶解度を測定した結果、該溶解度は35質量%であった。
[溶解度の測定方法]
ペレット状のシクロオレフィンポリマーにキシレンを約60質量%になるように添加し、撹拌しながら、温度80℃まで加温した。続いて、同様に加温しながら、沈殿物が無くなるまで溶媒を追加していった。さらに均一な溶液を25℃まで冷却し、析出物がないことを確認した。このときの濃度を上記溶解度とした。
[実施例2:エレクトレットBの製造]
三井化学(株)製アペル(APL−5014DP)をキシレンに約5質量%の濃度で溶解させ、コーティング用樹脂溶液Bを得た。
該コーティング用樹脂溶液Bを、3cm角、厚さ350μmの銅基板上に、スピンコート法によりコーティングした後、180℃でベークして乾燥させることにより、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜Bという。)を得た。
該コーティング膜Bに、実施例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットBとした。
三井化学(株)製アペル(APL−5014DP)をキシレンに約5質量%の濃度で溶解させ、コーティング用樹脂溶液Bを得た。
該コーティング用樹脂溶液Bを、3cm角、厚さ350μmの銅基板上に、スピンコート法によりコーティングした後、180℃でベークして乾燥させることにより、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜Bという。)を得た。
該コーティング膜Bに、実施例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットBとした。
なお、アペル(APL−5014DP)は、ノルボルネン類とオレフィンの付加共重合体である。
キシレンを使用したGPCによるアペル(APL−5014DP)のポリメチルメタクリレート換算の分子量は、Mnで38000、Mwで82000であった。
DSCにより測定したアペル(APL−5014DP)のTgは138℃であった。
また、アペル(APL−5014DP)について、実施例1と同じ手順でキシレン(25℃)に対する溶解度を測定した結果、該溶解度は5質量%であった。
キシレンを使用したGPCによるアペル(APL−5014DP)のポリメチルメタクリレート換算の分子量は、Mnで38000、Mwで82000であった。
DSCにより測定したアペル(APL−5014DP)のTgは138℃であった。
また、アペル(APL−5014DP)について、実施例1と同じ手順でキシレン(25℃)に対する溶解度を測定した結果、該溶解度は5質量%であった。
[比較例1:エレクトレットCの製造]
三井化学(株)製アペル(APL−5014DP)を1MPa、230℃の条件にてプレス成形し、3cm角の大きさで、膜厚70μmの透明なプレスフィルムCを得た。
該プレスフィルムCに、実施例1と同じ手順により電荷を注入しようとしたところ、150℃加温時に膜が変形してしまい、電荷の注入を行うことができなかった。
三井化学(株)製アペル(APL−5014DP)を1MPa、230℃の条件にてプレス成形し、3cm角の大きさで、膜厚70μmの透明なプレスフィルムCを得た。
該プレスフィルムCに、実施例1と同じ手順により電荷を注入しようとしたところ、150℃加温時に膜が変形してしまい、電荷の注入を行うことができなかった。
[試験例1:荷電試験]
上記で得たエレクトレットA,Bについて、以下の手順により荷電試験を行った。
荷電電圧−8kV、荷電時間3分の条件でのコロナ荷電により電荷を注入した直後のエレクトレットA,Bを、それぞれ、常温(25℃)に戻してその表面電位(初期表面電位)を測定した。また、各エレクトレットを、20℃,60%RHで400時間保管した後、常温に戻してその表面電位(400時間後表面電位)を測定した。
表面電位(V)は、表面電位計(model279;モンローエレクトロニクス製)を用い、各エレクトレットの9点の測定点(膜の中心から3mm毎に格子状に設定。図2参照。)の表面電位を測定し、それらの平均値として求めた。その結果を表1に示す。
上記で得たエレクトレットA,Bについて、以下の手順により荷電試験を行った。
荷電電圧−8kV、荷電時間3分の条件でのコロナ荷電により電荷を注入した直後のエレクトレットA,Bを、それぞれ、常温(25℃)に戻してその表面電位(初期表面電位)を測定した。また、各エレクトレットを、20℃,60%RHで400時間保管した後、常温に戻してその表面電位(400時間後表面電位)を測定した。
表面電位(V)は、表面電位計(model279;モンローエレクトロニクス製)を用い、各エレクトレットの9点の測定点(膜の中心から3mm毎に格子状に設定。図2参照。)の表面電位を測定し、それらの平均値として求めた。その結果を表1に示す。
表1に示す通り、エレクトレットA,Bは、それぞれ、初期、400時間後ともに表面電位が650V以上の高い値を示し、優れた電荷保持性能を有していることが確認できた。シクロオレフィンポリマーのフィルムをエレクトレットに使用した場合、前記と同じ電荷注入の条件に置いて、膜が変形してしまい、このような高い表面電位は得られなかった。
10…銅基板、11…コーティング膜、12…直流高圧電源装置、14…コロナ針、16…グリッド、17…電流計、18…グリッド用電源、19…ホットプレート。
Claims (8)
- キシレン(25℃)に対して5質量%以上の濃度で溶解する溶解度を有し、ガラス転移温度が120〜160℃であるシクロオレフィンポリマーおよび溶媒を含有するコーティング用組成物を基板表面にコーティングしてコーティング膜を形成し、該コーティング膜に、前記シクロオレフィンポリマーのガラス転移温度以上の温度で電荷を注入することを特徴とするエレクトレットの製造方法。
- 前記溶媒が非プロトン性溶媒である請求項1〜4のいずれか一項に記載のエレクトレットの製造方法。
- 前記溶媒が炭化水素類である請求項1〜4のいずれか一項に記載のエレクトレットの製造方法。
- 前記コーティング用組成物がさらにシランカップリング剤を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載のエレクトレットの製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のエレクトレットの製造方法でエレクトレットを得る工程を有する静電誘導型変換素子の製造方法。
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