JP5446879B2 - エレクトレットおよび静電誘導型変換素子 - Google Patents
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Description
従来、該エレクトレットの材料としては、主に、ポリテトラフルオロエチレン等の鎖状の含フッ素樹脂が使用されていた。また、最近、該エレクトレットの材料として、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体を用いることが提案されている(たとえば特許文献1)。
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、電荷の熱安定性に優れたエレクトレットおよび該エレクトレットを備える静電誘導型変換素子の提供を課題とする。
[1]下式(a1)で表される繰り返し単位のみを含む含フッ素重合体を含有することを特徴とするエレクトレット。
[2]前記含フッ素重合体が、前記(a1)における、X11及びX12がフッ素原子であり、X13及びX14の両方が塩素原子であるか、または、X11、X12及びX13がフッ素原子であり、X14が塩素原子である、上記[1]に記載のエレクトレット。
[3]前記含フッ素重合体が、前記(a1)における、X11がフッ素原子であり、X12がトリフルオロメチル基であり、X13及びX14がフッ素原子であるか、または、X11、X12及びX13がフッ素原子であり、X14がトリフルオロメチル基である、上記[1]に記載のエレクトレット。
[4]コーティング膜である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のエレクトレット。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかのエレクトレットを備える静電誘導型変換素子。
また、式(a)で表される単位を「単位(a)」とも記す。他の式で表される単位、化合物等についても同様に記し、たとえば式(1)で表される単量体を「単量体(1)」とも記す。
本発明のエレクトレットは、下記含フッ素重合体(I)〜(III)のうちのいずれかの含フッ素重合体を含む。
含フッ素重合体(I):単位(a)、単位(b)および単位(c)からなる群から選択される1種以上の繰り返し単位を含み、それらの合計量が、全繰り返し単位に対して80モル%以上であり、ガラス転移温度が110〜350℃である含フッ素重合体。
含フッ素重合体(II):単位(a1)、単位(b)および単位(c)からなる群から選択される1種以上の繰り返し単位を含み、それらの合計量が、全繰り返し単位に対して80モル%以上である含フッ素重合体。
含フッ素重合体(III):単位(a2)と、単位(b)および/または単位(c)とを含み、単位(b)および(c)の合計量が、全繰り返し単位に対して2モル%以上である含フッ素重合体。
これらの含フッ素重合体は、いずれも、非晶質のパーフルオロ重合体であり、非プロトン性含フッ素溶媒に可溶である。
ここで、「可溶」とは、25℃の条件下にて、濃度5%以上の溶液とすることができることを意味する。
単位(a)は、前記一般式(a)で表される。
式(a)中、X1〜X4におけるフッ素化アルキル基としては、炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましく、炭素数1〜3のフッ素化アルキル基がより好ましい。
該フッ素化アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
また、該フッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子の全部がフッ素化されたもの(パーフルオロアルキル基)であってもよく、アルキル基の水素原子の一部がフッ素化されたものであってもよいが、パーフルオロアルキル基が好ましい。
該フッ素化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基またはヘプタフルオロプロピル基が好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
aおよびbは、一方が0で他方が1である。
cは0〜3の整数であり、0または1が好ましく、1が最も好ましい。
cが2または3の場合、単位(a)中には、X1およびX2がそれぞれ複数存在する。
この場合、複数のX1およびX2は、それぞれ同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
式(a1)中、X11〜X14はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシ基であり、X11〜X14のうちの少なくとも1つは塩素原子、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシ基である。
X11〜X14におけるフッ素化アルキル基、フッ素化アルコキシ基としては、それぞれ、前記X1〜X4におけるフッ素化アルキル基、フッ素化アルコキシ基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
式(a1)中、dおよびeは一方が0で他方が1である。
fは0〜3の整数であり、0または1が好ましく、1が最も好ましい。
なかでも、X11およびX12がフッ素原子であり、X13およびX14のいずれか1つまたは2つが塩素原子またはフッ素化アルキル基であるもの、またはX11およびX12のいずれか1つまたは2つがフッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシ基であり、X13およびX14がフッ素原子であるものが好ましい。該フッ素化アルキル基としては、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
式(1)中、X11〜X14およびfはそれぞれ前記と同じである。
式(1−1)〜(1−6)中、nは1〜3の整数であり、1が最も好ましい。
各式中、dおよびeは前記と同じである。
式(a2)中、gおよびhは一方が0で他方が1である。
iは0〜3の整数であり、0または1が好ましく、1が最も好ましい。すなわち、単位(a2)としては、下記単位(a2−1)または(a2−2)が好ましい。
式(b)中、Y1〜Y3におけるフッ素化アルキル基、フッ素化アルコキシ基としては、それぞれ、前記X1〜X4におけるフッ素化アルキル基、フッ素化アルコキシ基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
単位(b)としては、Y1〜Y3のうちのいずれか1つまたは2つがフッ素原子であり、残りの2つまたは1つがフッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシ基であるものが好ましい。
なかでも、Y1がフッ素化アルコキシ基であり、Y2およびY3がいずれもフッ素原子であるもの、または、Y1がフッ素原子であり、Y2およびY3がいずれもフッ素化アルキル基であるものが好ましい。該フッ素化アルコキシ基としてはトリフルオロメトキシ基が特に好ましい。該フッ素化アルキル基としては、トリフルオロメチル基が特に好ましい。その具体例としては、たとえば下記単位(b−1)〜(b−2)が挙げられる。
該含フッ素脂肪族環としては、4〜6員環が好ましい。
該含フッ素脂肪族環は、飽和脂肪族環であることが好ましい。
該含フッ素脂肪族環は、その環骨格中に、エーテル性酸素原子(−O−)を有していてもよい。この場合、含フッ素脂肪族環中のエーテル性酸素原子の数は、1または2が好ましい。
Y2およびY3が含フッ素脂肪族環を形成している場合の単位(b)の具体例としては、たとえば下記単位(b−3)〜(b−4)が挙げられる。
含フッ素重合体(I)は、単位(b)として、上記のような単位のうちのいずれか1種を含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
式(c)中、Z1〜Z4はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシ基である。
Z1〜Z4におけるフッ素化アルキル基、フッ素化アルコキシ基としては、それぞれ、前記X1〜X4におけるフッ素化アルキル基、フッ素化アルコキシ基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
単位(c)としては、Z1〜Z4のうちのいずれか1つまたは2つがフッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシル基であり、残りの3つまたは2つがフッ素原子であるものが好ましい。
なかでも、下記単位(c−1)のように、Z1〜Z4のうちのいずれか1つがフッ素化アルキル基であり、残りの3つがフッ素原子であるものが好ましい。フッ素化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基またはヘプタフルオロプロピル基が好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
含フッ素重合体(I)は、単位(c)として、上記のような単位のうちのいずれか1種を含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
単位(d)としては、単位(a)〜(c)を誘導する単量体と共重合可能な単量体に基づくものであればよく、特に限定されない。該単量体として、好ましいものとしては、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等のフルオロオレフィンが挙げられる。
含フッ素共重合体(I)に含まれる繰り返し単位は、単位(a)〜(c)のうち、いずれか1種であってもよく、2種以上であってもよく、所望のガラス転移温度、造膜性、溶媒への溶解性等を考慮して適宜決定すればよい。
含フッ素重合体(I−1)における各単位の組み合わせとしては、たとえば国際公開第05/054336号パンフレット、国際公開第03/037838号パンフレット、国際公開第01/92194号パンフレット、特開2003−40938号公報、特開2001−302725号公報、特開平4−346957号公報、特開平4−346989号公報、米国特許第5260492号明細書、米国特許第5326917号明細書、米国特許第5350821号明細書、特開昭43−29154号公報に記載のものが挙げられる。
含フッ素重合体(I−1)としては、特に、後述する含フッ素重合体(II)が好ましい。
含フッ素重合体(I−2)における各単位の組み合わせとしては、たとえば特許第3053657号公報に記載のものが挙げられる。
含フッ素重合体(I−2)としては、特に、後述する含フッ素重合体(III)が好ましい。
含フッ素重合体(I)のガラス転移温度は、当該含フッ素重合体(I)を構成する繰り返し単位の種類や割合を調節することにより調節できる。
たとえば、重合体中の前記単位(a)、(b)および(c)の割合を増やすことによって、重合体のガラス転移温度を向上させることができ、中でも単位(b)の割合を増やすことが、ガラス転移温度を向上させる上で最も好ましい。
含フッ素重合体(II)は、前記単位(a1)、前記単位(b)および前記単位(c)からなる群から選択される1種以上の繰り返し単位を含み、それらの合計量が、全繰り返し単位に対して80モル%以上である含フッ素重合体である。含フッ素重合体(II)は、単位(a1)、単位(b)および(c)を合計で80モル%以上含むことにより、ガラス転移温度が110〜350℃となる。
ここで、前記単位(a1)、(b)および(c)は、含フッ素共重合体のガラス転移温度の向上に寄与している。
含フッ素重合体(II)における単位(a1)、単位(b)および単位(c)はそれぞれ前記含フッ素重合体(I)で挙げた単位(a1)、単位(b)および単位(c)と同じものが挙げられる。
含フッ素重合体(II)は、単位(a1)、単位(b)および単位(c)の合計量が、当該含フッ素重合体を構成する全繰り返し単位の合計に対して80モル%以上であり、90モル%以上が好ましく、100モル%が特に好ましい。該量が80モル%未満であると、本発明の効果が充分に得られない。
含フッ素共重合体(II)としては、少なくとも単位(a1)を含む重合体が好ましい。かかる重合体としては、単位(a1)のみから構成される重合体、単位(a1)と単位(b)および/または単位(c)とから構成される共重合体等が挙げられる。これらの中でも、単位(a1)のみから構成される重合体が好ましい。
含フッ素重合体(III)は、前記単位(a2)と、前記単位(b)および/または単位(c)とを含み、単位(b)および(c)の合計量が、全繰り返し単位に対して2モル%以上である含フッ素重合体である。含フッ素重合体(III)は、単位(b)および(c)を合計で2モル%以上含むことにより、ガラス転移温度が110〜350℃となる。
含フッ素重合体(III)における単位(a2)、単位(b)、単位(c)はそれぞれ前記含フッ素重合体(I)で挙げた単位(a2)、単位(b)、単位(c)と同じものが挙げられる。
含フッ素重合体(III)中、単位(a2)の割合は、当該含フッ素重合体を構成する全繰り返し単位の合計に対して10モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましい。単位(a2)の割合が10モル%以上、特に30モル%以上であると、エレクトレットとしての特性、及び含フッ素重合体の溶媒への溶解性が向上する。
また、単位(a2)の割合の上限は、単位(b)および/または単位(c)の割合を考慮して適宜決定すればよい。好ましくは、単位(a2)と、単位(b)と、単位(c)との合計量が、当該含フッ素重合体を構成する全繰り返し単位の合計に対して80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらには100モル%となる量が好ましい。
含フッ素重合体(III)中、単位(b)および単位(c)の合計量は、当該含フッ素重合体を構成する全繰り返し単位の合計に対して2モル%以上であり、10モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましい。該合計量が2モル%未満であると、本発明の効果が充分に得られない。また、該合計量の上限としては、単位(a2)とのバランスを考慮すると、80モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましい。
前記単位(a2)は、含フッ素共重合体(III)のガラス転移温度の低下に寄与しており、たとえば単位(a2)の単独重合体の場合、そのガラス転移温度は110℃未満となる。そのため、該単位(a2)の割合が少ないほど、ガラス転移温度が高くなる。含フッ素共重合体(III)のガラス転移温度を110℃以上とするためには、単位(a2)の割合は、98モル%以下であることが好ましく、90モル%以下がより好ましい。
含フッ素重合体(III)としては、少なくとも、単位(a2)と単位(b)とを含む共重合体であることが好ましい。かかる重合体としては、単位(a2)および(b)から構成される重合体、単位(a2)、単位(b)および(c)から構成される共重合体等が挙げられる。
末端基として酸基を有する含フッ素重合体は、従来公知の方法により得ることができ、たとえば、含フッ素重合体を酸素存在下で高温処理してその側鎖を酸化分解させ次いでこれを水処理することによりカルボキシ基を形成させる方法、分子内に酸基またはその前駆体基を有する開始剤または連鎖移動剤等の存在下で重合を行う方法等が挙げられる。
また、含フッ素重合体(I)〜(III)が末端基としてカルボキシ基等の酸基を含む場合、該酸基にはシラン化合物が結合していてもよい。
シラン化合物は、たとえば末端基として酸基を有する含フッ素重合体と、後述するようなシランカップリング剤とを反応させることにより酸基に結合させることができる。
含フッ素重合体(I)〜(III)の分子量は1万〜500万程度であることが好ましく、製膜する際の造膜性、溶媒への溶解性の観点から、2万〜100万の範囲にあることがより好ましい。
非プロトン性含フッ素溶媒として、好ましいものとしては、以下の含フッ素化合物を例示できる。
パーフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等の含フッ素芳香族化合物;パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリプロピルアミン等のパーフルオロトリアルキルアミン化合物;パーフルオロデカリン、パーフルオロシクロヘキサン、パーフルオロ(1,3,5−トリメチルシクロヘキサン)等のパーフルオロシクロアルカン化合物;パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)等のパーフルオロ環状エーテル化合物;低分子量パーフルオロポリエーテル;
パーフルオロヘキサン、パーフルオロオクタン、パーフルオロデカン、パーフルオロドデカン、パーフルオロ(2,7−ジメチルオクタン)、パーフルオロ(1,2−ジメチルヘキサン)、パーフルオロ(1,3−ジメチルヘキサン)等のパーフルオロアルカン;
1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,1,1−トリクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3−テトラクロロ−2,2,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1,3,4−テトラクロロ−1,2,2,3,4,4−ヘキサフルオロブタン等のクロロフルオロカーボン;
1,1,1,2,2,3,3,5,5,5−デカフルオロペンタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘプタデカフルオロオクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−ヘニコサフルオロデカン、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘプタデカフルオロデカン、1,1,1,2,3,4,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン、1,1,1,2,2,3,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン等のヒドロフルオロカーボン;
3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン等のヒドロクロロフルオロカーボン。
これらの含フッ素化合物はいずれか1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
例えば、ハイドロフルオロエーテル(HFE)等の含フッ素溶媒が好適である。このような含フッ素溶媒は、一般式R1−O−R2(R1はエーテル性酸素原子を有してもよい炭素数5〜12の直鎖状または分岐状のポリフルオロアルキル基であり、R2は炭素数1〜5の直鎖状または分岐状のアルキル基またはポリフルオロアルキル基である。)で表される含フッ素溶媒(以下、含フッ素溶媒(2)ということがある。)である。
ポリフルオロアルキル基としては、対応するアルキル基の水素原子の数にして60%以上がフッ素原子に置換された基が好ましく、より好ましくは80%以上である。さらに好ましいポリフルオロアルキル基はパーフルオロアルキル基である。
R1がエーテル性酸素原子を有する場合、エーテル性酸素原子の数が多すぎると溶解性を阻害するため、R1中のエーテル性酸素原子は1〜3個が好ましく、1〜2個がより好ましい。
R2の炭素原子数が5以下であると含フッ素重合体の溶解性が良好である。R2の好ましい例はメチル基またはエチル基である。
また、含フッ素重合体の溶解性に優れることから、含フッ素溶媒(2)のフッ素含有量は60〜80質量%が好ましい。
好ましい含フッ素溶媒(2)として、下記のものが例示できる。
F(CF2)5OCH3、F(CF2)6OCH3、F(CF2)7OCH3、F(CF2)8OCH3、F(CF2)9OCH3、F(CF2)10OCH3、H(CF2)6OCH3、(CF3)2CFCF(OCH3)CF2CF3、F(CF2)3OCF(CF3)CF2OCH3、F(CF2)3OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CF2OCH3、F(CF2)8OCH2CH2CH3、(CF3)2CFCF2CF2OCH3、F(CF2)2O(CF2)4OCH2CH3 。
これらの含フッ素溶媒では、特に(CF3)2CFCF(OCH3)CF2CF3が好適である。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、従来より公知または周知のものを含めて広範囲にわたって利用できる。具体的には、以下のものが例示できる。
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシランなどのモノアルコキシシラン類。
芳香族アミン系シランカップリング剤としては、下式(s1)〜(s3)で表される化合物が挙げられる。
ArSi(OR1)(OR2)(OR3) …(s1)
ArSiR4(OR1)(OR2) …(s2)
ArSiR4R5(OR1) …(s3)
[式中R1〜R5はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を表し、Arはp−、m−またはo−アミノフェニル基を表す。]
アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリプロポキシシラン、アミノフェニルトリイソプロポキシシラン、アミノフェニルメチルジメトキシシラン、アミノフェニルメチルジエトキシシラン、アミノフェニルメチルジプロポキシシラン、アミノフェニルメチルジイソプロポキシシラン、アミノフェニルフェニルジメトキシシラン、アミノフェニルフェニルジエトキシシラン、アミノフェニルフェニルジプロポキシシラン、アミノフェニルフェニルジイソプロポキシシランなど。
これらの化合物におけるアミノ基の水素原子はアルキル基やアリール基で置換されていてもよい。たとえばN,N−ジメチルアミノフェニルトリアルコキシシランやN,N−ジメチルアミノフェニルメチルジアルコキシシランなどが挙げられる。この他にも、たとえば米国特許第3,481,815号明細書に記載されている芳香族アミン系シランカップリング剤などを使用できる。
また、上記シランカップリング剤の部分加水縮合物を使用することも好ましい。
さらに、上記シランカップリング剤とテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランとの共部分加水縮合物を使用することも好ましい。このうちで、含フッ素重合体の透明性を損なうことなく、含フッ素重合体の接着性を向上させるものとして、アミノ基を有するシランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、アミノフェニルメチルジメトキシシラン、アミノフェニルメチルジエトキシシランなど)、またはエポキシ基を有するシランカップリング剤(γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシランなど)が特に好適なものとして例示される。
含フッ素重合体として、予め主鎖末端または側鎖にエステル基の導入された含フッ素重合体を用いる場合は、特にアミノ基またはアミノフェニル基を有するアルコキシシラン類が有効である。
ジアルコキシシラン類の場合は、トリアルコキシシラン類ほど溶解性は小さくないが、同様にプロトン性含フッ素溶媒、特には含フッ素アルコールの添加により溶解性を高められる。ジアルコキシシラン類の場合には、組成物の経時的な粘度上昇はトリアルコキシシラン類ほど顕著ではないため、含フッ素アルコールなどのプロトン性含フッ素溶媒を必ずしも添加しなくてもよいが、添加したほうが確実に粘度上昇を抑制できるため好ましい。
該プロトン性含フッ素溶媒としては以下のものが例示される。
トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、2−(パーフルオロブチル)エタノール、2−(パーフルオロヘキシル)エタノール、2−(パーフルオロオクチル)エタノール、2−(パーフルオロデシル)エタノール、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロ−1−ヘプタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ヘキサデカフルオロ−1−ノナノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール等の含フッ素アルコール。
トリフルオロ酢酸、パーフルオロプロパン酸、パーフルオロブタン酸、パーフルオロペンタン酸、パーフルオロヘキサン酸、パーフルオロヘプタン酸、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロノナン酸、パーフルオロデカン酸、1,1,2,2−テトラフルオロプロパン酸、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロペンタン酸、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−ドデカフルオロヘプタン酸、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ヘキサデカフルオロノナン酸などの含フッ素カルボン酸、これら含フッ素カルボン酸のアミド、トリフルオロメタンスルホン酸、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸などの含フッ素スルホン酸など。
これらのプロトン性含フッ素溶媒はいずれか1種を単独で使用してもよく、2種以上を組合せてもよい。
シランカップリング剤の配合量は、含フッ素重合体100質量部当たり0.01〜50質量部、好ましくは0.1〜30質量部である。
非プロトン性含フッ素溶媒とプロトン性含フッ素溶媒とを併用する場合、非プロトン性含フッ素溶媒とプロトン性含フッ素溶媒との合計に対するプロトン性含フッ素溶媒の割合は、0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜30質量%がより好ましい。
コーティング方法としては、溶液から膜を形成させる方法として従来公知の方法が利用でき、特に限定されない。かかる方法の具体例としては、ロールコーター法、キャスト法、ディッピング法、スピンコート法、水上キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法、ダイコート法、インクジェット法、スプレーコート法等が挙げられる。また、凸版印刷法、グラビア印刷法、平板印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法などの印刷技術も用いることができる。
上記コーティング用含フッ素重合体組成物をコーティングする基板としては、コーティングして得られたコーティング膜に電荷を注入する際にアースに接続できるような基板であれば、材質を選ばずに用いることができる。好ましい材質としては、例えば、金、白金、銅、アルミニウム、クロム、ニッケル等の導電性の金属が挙げられる。また、材質が導電性の金属以外のもの、たとえば、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の有機高分子材料等の絶縁性の材料であっても、その表面にスパッタリング、蒸着、ウエットコーティング等の方法で金属膜をコーティングしたものであれば用いることができる
またシリコン等の半導体材料も同様の表面処理を行ったものであるか、または半導体材料そのものの抵抗値が低いものであれば用いることができる。基板材料の抵抗値としては体積固有抵抗値で0.1Ωcm以下であることが好ましく、特に0.01Ωcm以下であることがより好ましい。
コーティング膜へ電荷を注入する方法としては、一般的に絶縁体を帯電させる方法であれば手段を選ばずに用いることができる。例えば、G.M.Sessler, Electrets Third Edition,pp20,Chapter2.2“Charging and Polarizing Methods”(Laplacian Press, 1998)に記載のコロナ放電法、電子ビーム衝突法、イオンビーム衝突法、放射線照射法、光照射法、接触帯電法、液体接触帯電法などが適用可能である。特に本発明のエレクトレットではコロナ放電法または電子ビーム衝突法を用いることが好ましい。
また、電荷を注入する際の温度条件としては、含フッ素重合体のガラス転移温度以上で行うことが、注入後に保持される電荷の安定性の面から好ましく、特にガラス転移温度+10〜20℃程度の温度条件で行うことが好ましい。さらに、電荷を注入する際の印加電圧としては、含フッ素重合体の絶縁破壊電圧以下であれば、高圧を印加することが好ましい。本発明における含フッ素重合体では、±6〜±30kVの高電圧が適用可能であり、特に±8〜±15kVの電圧印加が好ましい。含フッ素重合体では、正電荷より負電荷をより安定に保持可能であることから、−8〜−15kVの電圧印加をすることがさらに好ましい。
静電誘導型変換素子としては、振動型発電機、アクチュエータ、センサ等が挙げられる。これらの静電誘導型変換素子の構造は、エレクトレットとして本発明のエレクトレットが用いられる以外は従来公知のものと同様であってよい。
[参考例1:エレクトレットAの製造]
特許第3053657号公報の実施例2に記載の手順に従って、パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)(以下、BVEと称する)と、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)(以下、PDDと称する)とを重合させて重合体aを得た。
該重合体aの赤外吸収吸収(IR)スペクトルを測定し、1930cm−1の吸収の吸光度から、当該重合体a中に含まれるPDDに基づく繰り返し単位(PDD含量)を求めたところ、52モル%であった。また、該重合体aの屈折率を、アッベ屈折計を用いて測定したところ1.317であった。
すなわち、重合体aは、繰返し単位(a2−1)及び(a2−2)と、繰返し単位(b−2)とからなり、その比[(a2−1)+(a2−2)]/(b−2)=48/52(モル比)である構造を有する含フッ素重合体である。
該重合体aを、空気中330℃で5時間熱処理後、水中に浸漬することにより重合体Aを得た。
該重合体Aについて示差走査熱分析(DSC)を行ったところ、該重合体Aのガラス転移温度(Tg)は149℃であった。
また、該重合体Aの成形フィルムを、キャスト法により作製し、該成形フィルムのIRスペクトルを測定した結果、−COOH基に由来する1775cm−1および1810cm−1の特性吸収が認められ、該重合体Aが酸基を有することが確認できた。
また、該重合体Aをパーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)に0.5質量%の濃度で溶解させ、該溶液の固有粘度[η](30℃)を、ウベローデ型粘度計により測定したところ、0.36dl/gであった。
該重合体溶液Aを、3cm角、厚さ350μmの銅基板上に、スピンコート法によりコーティングした後、200℃でベークして乾燥させることにより、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜Aという。)を得た。
このコーティング膜Aに、コロナ放電にて電荷を注入することによりエレクトレットAとした。電荷の注入は、図1に概略構成図を示すコロナ荷電装置を用い、160℃にて、荷電電圧−8kV、荷電時間3分の条件で、以下の手順により行った。すなわち、銅基板(10)を電極として、直流高圧電源装置(12)(HAR−20R5;松定プレシジョン製)により、コロナ針(14)と銅基板(10)との間に−8kVの高電圧をかけることにより、銅基板(10)上に形成されたコーティング膜A(11)に電荷を注入した。
このコロナ荷電装置においては、コロナ針(14)から放電した負イオンはグリッド(16)で均一化された後、コーティング膜A(11)上に降り注ぎ、電荷が注入される。なお、グリッド(16)には、グリッド用電源(18)から−600Vの電圧が印加されている。
国際公開第01/92194号パンフレットの実施例1に記載の手順に従って、CF2=CFCF2CF(CF3)OCF=CF2を重合させて重合体bを得た。該重合体bの屈折率を、アッベ屈折計を用いて測定したところ1.327であった。重合体bは、繰返し単位(a1)のみからなり、単位(a1)において、X11、X12及びX13がフッ素原子であり、X14がトリフルオロメチル基であり、f=1である構造を有する含フッ素重合体である。
該重合体bを、空気中330℃で5時間熱処理後、水中に浸漬することにより重合体Bを得た。
該重合体BについてDSCを行ったところ、該重合体BのTgは124℃であった。また、該重合体Bの成形フィルムを、キャスト法により作製し、該成形フィルムのIRスペクトルを測定した結果、−COOH基に由来する1775cm−1および1810cm−1の特性吸収が認められ、該重合体Bが酸基を有することが確認できた。
また、該重合体Bをパーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)に0.5質量%の濃度で溶解させ、該溶液の固有粘度[η](30℃)を、ウベローデ型粘度計により測定したところ、0.41dl/gであった。
該重合体溶液Bを、3cm角、厚さ350μmの銅基板上に、スピンコート法によりコーティングした後、200℃でベークして乾燥させることにより、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜Bという。)を得た。
該コーティング膜Bに、電荷注入の際の温度を136℃にしたこと以外は、参考例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットBとした。
米国特許第5326917号明細書の実施例5,15に記載の手順に従って、CF2=CFCF2CH2OCF=CF2の重合体を塩素ガスにより塩素化して重合体cを得た。
該重合体cの屈折率を、アッベ屈折計を用いて測定したところ1.40であった。該重合体cは、繰返し単位(a1)のみからなり、単位(a1)において、X11及びX12がフッ素原子であり、X13及びX14が塩素原子であり、f=1である構造を有する含フッ素重合体である。
該重合体cを、空気中330℃で5時間熱処理することにより重合体Cを得た。該重合体CについてDSCを行ったところ、該重合体CのTgは157℃であった。
次に、ヘキサフルオロベンゼンに前記重合体Cを8質量%の濃度で溶解させ、重合体溶液Cを得た。
該重合体溶液Cを、3cm角、厚さ350μmの銅基板上に、キャスト法によりコーティングした後、200℃でベークして乾燥させることにより、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜Cという。)を得た。
該コーティング膜Cに、電荷注入の際の温度を170℃にしたこと以外は、参考例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットCとした。
ジイソプロピルパーオキシジカーボネートの仕込量を150mgとした以外は、特開平4−189880の実施例中の合成例2〜4に従い、CF2=CFCF2CF2OCF=CF2を重合させて重合体Dを得た。ここで、重合体Dのパーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)溶液の固有粘度[η](30℃)を、ウベローデ型粘度計により測定したところ、0.24dl/gであった。得られた重合体Dに熱処理、水中浸漬処理を行ったもののパーフルオロトリブチルアミン溶液(濃度9質量%)を、3cm角、厚さ350μmの銅基板上に、スピンコート法によりコーティングした後、200℃でベークして乾燥させることにより、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜Dという。)を得た。
該コーティング膜Dに、電荷注入の際の温度を120℃にしたこと以外は、参考例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットDとした。
なお、重合体DについてDSCによりTgを測定したところ、108℃であった。なお、重合体Dは、(a2−1)及び(a2−2)の繰返し単位のみからなる構造を有する含フッ素重合体である。
参考例1と同様にして重合体溶液Aを調製し、該重合体溶液Aの77gに、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの4.2gおよびパーフルオロトリブチルアミンの14gを加え、さらにγ−アミノプロピルメチルジエトキシシランの0.3gを加えて混合し、均一な重合体溶液Eを得た。
該重合体溶液Eを、3cm角、厚さ350μmの銅基板上に、スピンコート法によりコーティングした後、200℃でベークして乾燥させることにより、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜Eという。)を得た。
該コーティング膜Eに、参考例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットEとした。該エレクトレットEは初期、400時間後ともに表面電位が高く、エレクトレットAと同等以上の優れた電荷保持性能を有していた。また後述するThermal Stimulated Discharge法の測定により、放電開始温度および放電ピーク温度に関しても、エレクトレットAと同等以上であることがわかった。
特公昭43−29154明細書の実施例2に記載の手順に従って、パーフルオロ(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)を重合させて重合体fを得た。該重合体fの屈折率を、アッベ屈折計を用いて測定したところ1.330であった。重合体fは繰返し単位(c)のみからなり、単位(c)において、Z1及びZ2がフッ素原子であり、Z3がトリフルオロメチル基であり、Z4がフッ素原子である構造を有する含フッ素重合体である。
該重合体fを、空気中330℃で5時間熱処理後、水中に浸漬することにより重合体Fを得た。
該重合体FについてDSCを行ったところ、該重合体FのTgは131℃であった。また、該重合体Fの成形フィルムを、キャスト法により作製し、該成形フィルムのIRスペクトルを測定した結果、−COOH基に由来する1775cm−1および1810cm−1の特性吸収が認められ、該重合体Fが酸基を有することが確認できた。
また、該重合体Fをパーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)に0.5質量%の濃度で溶解させ、該溶液の固有粘度[η](30℃)を、ウベローデ型粘度計により測定したところ、0.54dl/gであった。
該重合体溶液Fを、3cm角、厚さ350μmの銅基板上に、キャスト法によりコーティングした後、200℃でベークして乾燥させることにより、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜Fという。)を得た。
該コーティング膜Fに、電荷注入の際の温度を142℃にしたこと以外は、参考例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットFとした。
上記で得たエレクトレットA、B、C、D及びFについて、以下の手順により荷電試験を行った。
荷電電圧−8kV、荷電時間3分の条件でのコロナ荷電により電荷を注入した直後のエレクトレットA、B、C、D及びFを、それぞれ、常温(25℃)に戻してその表面電位(初期表面電位)を測定した。また、各エレクトレットを、20℃,60%RHの条件で400時間保管した後、常温に戻してその表面電位(400時間後表面電位)を測定した。
表面電位(V)は、表面電位計(model279;モンローエレクトロニクス製)を用い、各エレクトレットの9点の測定点(膜の中心から3mm毎に格子状に設定。図2参照。)の表面電位を測定し、それらの平均値として求めた。その結果を表1に示す。
上記エレクトレットA、B、C、D及びFについて、図3に概略構成図を示す装置を用い、以下の手順により熱安定性試験を行った。
まず、図3に示すように、銅基板10上のエレクトレット21(エレクトレットA,B,C、DまたはF)に対向して対向電極20を配置した。
次に、図3の破線で示される部分の温度を、ヒーターで加熱することにより一定の速さ(1℃/分)で昇温し、各エレクトレットA、B、C、DまたはFから放出される電荷量を、対向電極20から流れる電流値iとして電流計22(微小電流計(Keithley製、Model6517A))により測定し、放電開始温度および放電ピーク温度を求めた。その結果を表1に示す。
ここで、放電ピーク温度とは、放電の際に検出される電流値が最大になる温度を示し、放電開始温度とは、電流計22にて、以下の式で求められる電流値(放電開始時電流値)が検出された時点の温度を示す。
放電開始時電流値={(放電ピーク温度における電流値)−(放電前の電流値)}×0.1+(放電前の電流値)
また、表面電位について、同じスピンコート法で膜を形成したエレクトレットA、B及びFとエレクトレットDとを比較すると、エレクトレットA、B及びFは、エレクトレットDに比べて、初期、400時間後ともに表面電位が高く、優れた電荷保持性能を有していることが確認できた。
なお、2008年2月22日に出願された日本特許出願2008−041379号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
Claims (5)
- 前記含フッ素重合体が、前記(a1)における、X11及びX12がフッ素原子であり、X13及びX14の両方が塩素原子であるか、または、X11、X12及びX13がフッ素原子であり、X14が塩素原子である請求項1に記載のエレクトレット。
- 前記含フッ素重合体が、前記(a1)における、X11がフッ素原子であり、X12がトリフルオロメチル基であり、X13及びX14がフッ素原子であるか、または、X11、X12及びX13がフッ素原子であり、X14がトリフルオロメチル基である、請求項1に記載のエレクトレット。
- コーティング膜である請求項1〜3のいずれか一項に記載のエレクトレット。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のエレクトレットを備える静電誘導型変換素子。
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