JP5494643B2 - エレクトレットの製造方法及び静電誘導型変換素子 - Google Patents

エレクトレットの製造方法及び静電誘導型変換素子 Download PDF

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Description

本発明は、エレクトレットの製造方法及び静電誘導型変換素子に関する。
従来、絶縁材料に電荷を注入したエレクトレットを使用した、発電装置、マイクロフォン等の静電誘導型変換素子が提案されている。そのようなエレクトレット用の絶縁材料としては、主に、ポリテトラフルオロエチレン等の直鎖状の含フッ素樹脂が使用されていた。
最近では、エレクトレット用の絶縁材料として、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体を用いることが提案されている(たとえば特許文献1)。また、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有すると共に、末端基としてカルボキシ基を有する重合体を用い、この重合体に、さらにシランカップリング剤を混合したものをエレクトレット用の絶縁材料として用いることにより、表面電位を向上させることも提案されている(特許文献2)。特許文献2には、固有粘度が0.23(重量平均分子量165000に相当)である重合体とシランカップリング剤とを混合し、200℃で熱処理する実施例が記載されている。
特開2006−180450号公報 国際公開第2008/114489号パンフレット
しかし、従来のエレクトレットは、注入された電荷を高温で安定的に保持することが難しく、該電荷が高温下において、経時的に放出されやすい問題があった。かかる問題は、当該エレクトレットの表面電位の低下、ひいては当該エレクトレットを使用した静電誘導型変換素子の静電誘導特性等の劣化の原因となる。そのため、注入された電荷を安定的に保持できる電荷保持特性、特に熱安定性の改善が求められている。
エレクトレットには、様々な用途で熱安定性が求められている。例えば、エレクトレットコンデンサマイクロフォン(以下ECMと称する)用途においては、ハンダリフロー工程を通した後に注入された電荷をある程度保持していることが必要になる。ハンダリフロー工程の最高温度は約260℃であるが、ECMとして十分な性能を維持するためには、工程後の表面電位が200V以上残存していることが重要であり、残存電位が高いほど、高性能なECMが作成できる。
また、静電誘導型変換素子を車載用、特にエンジンの周囲で用いる場合には125℃における長期安定性が重要となる。当該用途では、具体的には125℃の環境に長時間さらされた場合のエレクトレット膜の表面電位の減衰が少ないことが要求されている。従来のエレクトレットにおいてこれらの特性を満足することは困難であった。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、保持した電荷の熱安定性が高く、電荷保持特性に優れたエレクトレットの製造方法及び該エレクトレットを具備する静電誘導型変換素子の提供を課題とする。
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1](1)含フッ素重合体とシランカップリング剤とを、溶媒で溶解したコーティング液を得る工程(コーティング液調製工程)、(2)前記コーティング液を基板にコーティングし、前記含フッ素重合体と前記シランカップリング剤とを含有するコーティング層を形成する工程(コーティング工程)、(3)前記コーティング層を熱処理し塗膜を得る工程(熱処理工程)、および(4)前記熱処理後の塗膜に電荷を注入する工程(電荷注入工程)(1)、(2)、(3)、(4)の順番で含み、前記含フッ素重合体は、主鎖に脂肪族環構造を有すると共に、末端基としてカルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を有し、前記シランカップリング剤は、アミノ基を有し、前記熱処理の温度は250℃〜330℃であることを特徴とするエレクトレットの製造方法。
[2]前記含フッ素重合体は、主鎖に、前記脂肪族環構造として含フッ素脂肪族環構造を有する[1]に記載のエレクトレットの製造方法。
[3]前記含フッ素重合体は、主鎖に、前記脂肪族環構造としてエーテル性酸素原子を含む環構造を有する[1]または[2]に記載のエレクトレットの製造方法。
[4]前記含フッ素重合体は、主鎖に、前記脂肪族環構造としてエーテル性酸素原子を含む含フッ素脂肪族環構造を有する[1]から[3]のいずれかに記載のエレクトレットの製造方法。
[5]前記含フッ素重合体の重量平均分子量が15万〜65万である[1]から[4]のいずれかに記載のエレクトレットの製造方法。
[6]前記シランカップリング剤が、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、およびアミノフェニルトリメトキシシラン、から選択される1種以上である、[1]から[5]のいずれかに記載のエレクトレットの製造方法。
[7]前記シランカップリング剤の含有量が、前記含フッ素重合体と前記シランカップリング剤の合計量に対して、0.1〜20質量%である[1]から[6]のいずれかに記載のエレクトレットの製造方法。
]前記溶媒が含フッ素有機溶媒である、[から[7]のいずれかに記載のエレクトレットの製造方法。
][1]から[]のいずれかに記載の製造方法で得られたエレクトレットを具備することを特徴とする静電誘導型変換素子。
本発明によれば、保持した電荷の経時安定性及び熱安定性が高く、電荷保持特性に優れたエレクトレット及び該エレクトレットを具備する静電誘導型変換素子を提供できる。
電荷の注入に用いたコロナ荷電装置の概略構成図である。 表面電位の測定点の設定位置を示す図である。 熱安定性試験で用いた装置の概略構成図である。 試験例4で得られた赤外線吸収スペクトルのピーク面積規格化値である。 塗膜の小角X線散乱測定結果に係わる散乱スペクトル図である。
以下、本発明をより詳細に説明する。
以下の明細書中においては、重合体を構成する繰り返し単位を「単位」と略記することがある。
また、式(1)で表される化合物を「化合物(1)」とも記す。他の式で表される単位、化合物等についても同様に記し、たとえば式(3−1)で表される単位を「単位(3−1)」とも記す。
本発明は、特定の含フッ素重合体とシランカップリング剤とを含有するエレクトレット用の組成物を、特定の温度で熱処理する工程を含むことを特徴としている。
本発明は、以下の工程を以下の順番で含むことが好ましい。
(1)特定の含フッ素重合体とシランカップリング剤とを、溶媒で溶解したコーティング液を得る工程(コーティング液調製工程)。
(2)前記コーティング液を基板にコーティングし、特定の含フッ素重合体とシランカップリング剤とを含有するコーティング層を形成する工程(コーティング工程)。
(3)前記コーティング層を特定の温度で熱処理し、塗膜を得る工程(熱処理工程)。
(4)熱処理後の塗膜に電荷を注入する工程(電荷注入工程)。
<含フッ素重合体>
本発明で用いる特定の含フッ素重合体(以下、重合体(A)と称する)は、主鎖に脂肪族環構造を有すると共に、末端基としてカルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を有する含フッ素重合体である。
「脂肪族環構造」とは、芳香族性を有さない環構造を意味する。また、「主鎖に脂肪族環構造を有する」とは、環構造を構成する炭素原子のうち、少なくとも1つが重合体(A)の主鎖を構成する炭素原子であることを意味する。
脂肪族環構造としては、環骨格が炭素原子のみから構成されるものであってもよく、炭素原子以外に、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子を含む複素環構造であってもよい。
たとえば、置換基を有していてもよい飽和または不飽和の炭化水素環構造、該炭化水素環構造における炭素原子の一部が酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された複素環構造が挙げられる。
中でも、環骨格に1〜2個のエーテル性酸素原子を有する複素環構造の脂肪族環構造が好ましい。
脂肪族環構造の環骨格を構成する原子の数は、4〜7個が好ましく、5〜6個であることがより好ましい。すなわち、脂肪族環構造は4〜7員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
脂肪族環構造を構成する炭素原子のうち、主鎖を構成する炭素原子は、重合体(A)の重合に用いられた単量体が有する重合性二重結合に由来する。
たとえば含フッ素重合体が、後述するような環状単量体を重合させて得た含フッ素重合体の場合は、該二重結合を構成する2個の炭素原子が主鎖を構成する炭素原子となる。
また、2個の重合性二重結合を有する単量体を環化重合させて得た含フッ素重合体の場合は、2個の重合性二重結合を構成する4個の炭素原子のうちの少なくとも2個が主鎖を構成する炭素原子となる。
重合体(A)は、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体であることが好ましい。すなわち、主鎖における脂肪族環構造は、含フッ素脂肪族環構造であることが好ましい。
「含フッ素脂肪族環構造」とは、フッ素原子を有する「脂肪族環構造」である。また、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有するとは、含フッ素脂肪族環構造を構成する炭素原子のうち少なくとも1つが重合体(A)の主鎖を構成する炭素原子であることを意味する。
なお、重合体(A)の主鎖における脂肪族環構造が、総て含フッ素脂肪族環構造以外の脂肪族環構造である場合、フッ素原子は、環構造を形成していない主鎖に結合していればよい。
含フッ素脂肪族環構造としては、たとえば、置換基を有していてもよい飽和または不飽和の炭化水素環構造、該炭化水素環構造における炭素原子の一部が酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された複素環構造などにおける水素原子の一部又は全部が、フッ素原子で置換されたものが挙げられる。
中でも、環骨格に1〜2個のエーテル性酸素原子を有する複素環構造の含フッ素脂肪族環構造が好ましい。また、水素原子の全部がフッ素原子で置換されていることが好ましい。
好ましい重合体(A)として、下記含フッ素環状重合体(I’)、含フッ素環状重合体(II’)が挙げられる。
含フッ素環状重合体(I’):環状含フッ素単量体に基づく単位を有する重合体。
含フッ素環状重合体(II’):ジエン系含フッ素単量体の環化重合により形成される単位を有する重合体。
なお「環状重合体」とは環状構造を有する重合体を意味する。
含フッ素環状重合体(I’)は、「環状含フッ素単量体」に基づく単位を有する。
「環状含フッ素単量体」とは、含フッ素脂肪族環を構成する炭素原子間に重合性二重結合を有する単量体、または、含フッ素脂肪族環を構成する炭素原子と含フッ素脂肪族環外の炭素原子との間に重合性二重結合を有する単量体である。
環状含フッ素単量体としては、下記の化合物(1)または化合物(2)が好ましい。
Figure 0005494643
式中、X11、X12、X13、X14、Y11及びY12は、それぞれ独立に、フッ素原子、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルコキシ基である。
11、X12、X13、X14、Y11及びY12におけるパーフルオロアルキル基としては、炭素数が1〜7であることが好ましく、炭素数1〜4であることがより好ましい。該パーフルオロアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状が好ましく、直鎖状がより好ましい。具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等が挙げられ、特にトリフルオロメチル基が好ましい。
11、X12、X13、X14、Y11及びY12におけるパーフルオロアルコキシ基としては、前記パーフルオロアルキル基に酸素原子(−O−)が結合したものが挙げられる。具体的にはトリフルオロメトキシ基が挙げられる。
11としては、フッ素原子が好ましい。
12としては、フッ素原子、トリフルオロメチル基、または炭素数1〜4のパーフルオロアルコキシ基が好ましく、フッ素原子またはトリフルオロメトキシ基がより好ましい。
13及びX14としては、それぞれ独立に、フッ素原子または炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基が好ましく、フッ素原子またはトリフルオロメチル基がより好ましい。
11及びY12としては、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜4のパーフルオロアルコキシ基が好ましく、フッ素原子またはトリフルオロメチル基がより好ましい。
化合物(1)においては、X13及びX14が相互に結合して、X13及びX14が結合した炭素原子とともに、2つめの含フッ素脂肪族環を形成していてもよい。
該2つめの含フッ素脂肪族環としては、4〜6員環が好ましい。
該2つめの含フッ素脂肪族環は、飽和脂肪族環であることが好ましい。
該2つめの含フッ素脂肪族環は、その環骨格中に、エーテル性酸素原子(−O−)を有していてもよい。この場合、含フッ素脂肪族環中のエーテル性酸素原子の数は、1または2が好ましい。
化合物(2)においては、Y11及びY12が相互に結合して、Y11及びY12が結合した炭素原子とともに、2つめの含フッ素脂肪族環を形成していてもよい。
該2つめの含フッ素脂肪族環としては、4〜6員環が好ましい。
該2つめの含フッ素脂肪族環は、飽和脂肪族環であることが好ましい。
該2つめの含フッ素脂肪族環は、その環骨格中に、エーテル性酸素原子(−O−)を有していてもよい。この場合、含フッ素脂肪族環中のエーテル性酸素原子の数は、1または2が好ましい。
化合物(1)の好ましい具体例としては、化合物(1−1)〜(1−5)が挙げられる。
化合物(2)の好ましい具体例としては、化合物(2−1)〜(2−2)が挙げられる。
Figure 0005494643
Figure 0005494643
含フッ素環状重合体(I’)は、上記環状含フッ素単量体により形成される単位のみから構成されてもよく、該単位と、それ以外の他の単位とを有する共重合体であってもよい。
ただし、該含フッ素環状重合体(I’)中、環状含フッ素単量体に基づく単位の割合は、該含フッ素環状重合体(I’)を構成する全繰り返し単位の合計に対し、20モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、100モル%であってもよい。
該他の単量体としては、上記環状含フッ素単量体と共重合可能なものであればよく、特に限定されない。具体的には、後述するジエン系含フッ素単量体、側鎖に反応性官能基を有する単量体、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)等が挙げられる。
なお環状含フッ素単量体とジエン系含フッ素単量体との共重合により得られる重合体は含フッ素環状重合体(I’)として考える。
上記環状含フッ素単量体と共重合可能な、側鎖に反応性官能基を有する単量体としては、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−4−(1,2,2−トリフルオロビニロキシ)ブタン酸メチル、2,2,3,3−テトラフルオロ−3−(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2−トリフロオロビニロキシ)プロポキシ)プロパン酸メチル、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2−トリフロオロビニロキシ)プロパン−2−イルオキシ)エタンスルホン酸フルオリド、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(1,2,2−トリフロオロビニロキシ)エタンスルホン酸フルオリド等の含フッ素単量体;ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−(2−(ビニロキシ)エトキシ)エタノール、アクリル酸メチル、アクリル酸ヒドロキシエチル等のような炭化水素単量体等が挙げられる。
含フッ素環状重合体(I’)としては、
化合物(1−1)、化合物(1−3)、化合物(2−2)から選ばれる環状含フッ素単量体の単独重合体、
または、前記3種から選ばれる1種の環状含フッ素単量体と、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、及び後述のジエン系含フッ素単量体から選ばれる1種との、共重合体、
を用いるのが好ましい。
化合物(1−1)とテトラフルオロエチレンとの共重合体、または、化合物(1−1)とジエン系含フッ素単量体との共重合体を用いるのが最も好ましい。
ここで用いられるジエン系含フッ素単量体としては、パーフルオロブテニルビニルエーテル(CF=CFOCFCFCF=CF)、またはパーフルオロ(4−メチルブテニル)ビニルエーテル(CF=CFOCF(CF)CFCF=CF)を用いるのが好ましく、パーフルオロブテニルビニルエーテルを用いるのが最も好ましい。
含フッ素環状重合体(II’)は、「ジエン系含フッ素単量体」の環化重合により形成される単位を有している。
「ジエン系含フッ素単量体」とは、2個の重合性二重結合及びフッ素原子を有する単量体である。該重合性二重結合としては、特に限定されないが、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、またはメタクリロイル基が好ましい。
ジエン系含フッ素単量体としては、下記化合物(3)が好ましい。
CF=CF−Q−CF=CF ・・・(3)。
式中、Qは、エーテル性酸素原子を有していてもよく、フッ素原子の一部がフッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜5、好ましくは1〜3の、分岐を有してもよいパーフルオロアルキレン基である。該フッ素以外のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
Qはエーテル性酸素原子を有するパーフルオロアルキレン基であることが好ましい。その場合、該パーフルオロアルキレン基におけるエーテル性酸素原子は、該基の一方の末端に存在していてもよく、該基の両末端に存在していてもよく、該基の炭素原子間に存在していてもよい。環化重合性の点から、該基の一方の末端に存在していることが好ましい。
化合物(3)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
CF=CFOCFCF=CF
CF=CFOCF(CF)CF=CF
CF=CFOCFCFCF=CF
CF=CFOCFCF(CF)CF=CF
CF=CFOCF(CF)CFCF=CF
CF=CFOCFClCFCF=CF
CF=CFOCClCFCF=CF
CF=CFOCFOCF=CF
CF=CFOC(CFOCF=CF
CF=CFOCFCF(OCF)CF=CF
CF=CFCFCF=CF
CF=CFCFCFCF=CF
CF=CFCFOCFCF=CF
化合物(3)の環化重合により形成される単位としては、下記単位(3−1)〜(3−4)等が挙げられる。
Figure 0005494643
化合物(3)の環化重合により形成される単位として、より具体的には下記単位(3−a)〜(3−k)等が挙げられる。単位(3−a)〜(3−k)中、xおよびyは一方が0で他方が1である。
なお、単位(3−a)〜(3−k)は、x=0、y=1の場合、上記単位(3−1)に相当し、x=1、y=0の場合、上記単位(3−2)に相当する。
Figure 0005494643
含フッ素環状重合体(II’)は、上記ジエン系含フッ素単量体の環化重合により形成される単位のみから構成されてもよく、該単位と、それ以外の他の単位とを有する共重合体であってもよい。
ただし、該含フッ素環状重合体(II’)中、ジエン系含フッ素単量体の環化重合により形成される単位の割合は、該含フッ素環状重合体(II’)を構成する全繰り返し単位の合計に対し、50モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、100モル%が最も好ましい。
該他の単量体としては、上記ジエン系含フッ素単量体と共重合可能なものであればよく、特に限定されない。具体的には、上述した化合物(1)、化合物(2)等の環状含フッ素単量体、側鎖に反応性官能基を有する単量体、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)等が挙げられる。
上記ジエン系含フッ素単量体と共重合可能な、側鎖に反応性官能基を有する単量体としては2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−4−(1,2,2−トリフルオロビニロキシ)ブタン酸メチル、2,2,3,3−テトラフルオロ−3−(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2−トリフロオロビニロキシ)プロポキシ)プロパン酸メチル1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2−トリフロオロビニロキシ)プロパン−2−イルオキシ)エタンスルホン酸フルオリド、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(1,2,2−トリフロオロビニロキシ)エタンスルホン酸フルオリド等の含フッ素単量体、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−(2−(ビニロキシ)エトキシ)エタノール、アクリル酸メチル、アクリル酸ヒドロキシエチル等のような炭化水素単量体等が挙げられる。
含フッ素環状重合体(II’)としては、
パーフルオロブテニルビニルエーテル(CF=CFOCFCFCF=CF)、パーフルオロ(3−メチルブテニル)ビニルエーテル(CF=CFOCFCF(CF)CF=CF)、パーフルオロ(4−メチルブテニル)ビニルエーテル(CF=CFOCF(CF)CFCF=CF)、パーフルオロ(4−クロロブテニル)ビニルエーテル(CF=CFOCFClCFCF=CF)、パーフルオロ(4,4’−ジクロロブテニル)ビニルエーテル(CF=CFOCClCFCF=CF)、およびパーフルオロ(3−メトキシブテニル)ビニルエーテル(CF=CFOCFCF(OCF)CF=CF)から選ばれる1種のジエン系含フッ素単量体から得られる単独重合体、
または、前記6種のジエン系含フッ素単量体から選ばれる2種または3種同士の共重合体、または、前記6種から選ばれる1種のジエン系含フッ素単量体と、テトラフルオロエチレンまたはクロロトリフルオロエチレンとの共重合体、
を用いるのが好ましい。
前記6種から選ばれる1種のジエン系含フッ素単量体の単独重合体を用いるのがより好ましく、パーフルオロブテニルビニルエーテルまたはパーフルオロ(3−メチルブテニル)ビニルエーテルの単独重合体を用いるのが最も好ましい。
重合体(A)は、カルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を末端基として有する。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基などが挙げられる。重合体(A)の末端基は、カルボキシ基、メトキシカルボニル基、またはエトキシカルボニル基であることが好ましい。
カルボキシ基またはアルコキシカルボニル基は、主鎖の末端に有してもよいし、側鎖の末端に有してもよいし、主鎖の末端および側鎖の末端の双方に有してもよい。中でも製造が容易であることから、主鎖の末端に有することが好ましい。
主鎖の末端にカルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を有する重合体(A)は、重合開始剤を用いて重合を行い、生成する不安定末端基を熱処理等により分解し、末端にカルボニルフルオリド基(−CF=O基)を生成させ、後処理を施すことによって得られる。
上記後処理としては、当該カルボニルフルオリド基を加水分解すると、カルボキシ基に変換できる。また、アルコールを作用させると、アルコキシカルボニル基に変換できる。
重合開始剤としては、一般的に用いられているものを適用することができ、特にパーオキシド基を有する重合開始剤が好ましい。パーオキシド基を有する重合開始剤としては、炭化水素系重合開始剤、含フッ素重合開始剤のどちらも用いることができる。
炭化水素系重合開始剤としては、具体的にはジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジイソブチルパーオキシジカーボネート、ジプロパン酸パーオキシド、ジブタン酸パーオキシド、ベンゾイックパーオキシド、ジターシャリーブチルパーオキシド、等を用いることができる。
含フッ素重合開始剤としては、ジパーフルオロプロパン酸パーオキシド、ジパーフルオロブタン酸パーオキシド、パーフルオロベンゾイックパーオキシド、ジパーフルオロターシャリーブチルパーオキシド、等を用いることができる。
重合体(A)は、溶媒への溶解性が良好であること、及び後述のシランカップリング剤との相溶性が良いことなどの理由から、非晶質であることが好ましい。
重合体(A)の重量平均分子量は、5万以上が好ましく、15万以上がより好ましく、20万以上がさらに好ましく、25万以上であることが特に好ましい。該重量平均分子量が5万未満であると、製膜が難しい。また、20万以上であると、膜の耐熱性が向上し、エレクトレットとしての熱安定性が向上する。
一方、該数平均分子量が大きすぎると、溶媒に溶けにくくなり、製膜プロセスが制限される等の問題が生じるおそれがある。したがって、重合体(A)の重量平均分子量は、100万以下が好ましく、85万以下がより好ましく、65万以下がさらに好ましく、55万以下であることが特に好ましい。
重合体(A)の固有粘度は、重合体(A)の分子量と相関関係にある。したがって、上記好ましい分子量に対応する固有粘度を有することが好ましい。
具体的な好ましい固有粘度の値は、重合体(A)を構成する単位に応じて変化する。たとえば、重合体(A)が、CF=CFOCFCFCF=CFの環化重合体である場合には、固有粘度(30℃)が0.1〜0.9dl/gであることが好ましく、0.2〜0.8dl/gであることがより好ましく、0.3〜0.6dl/gであることが最も好ましい。
なお、前記固有粘度は、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)等を溶媒として測定される値である。
重合体(A)は、エレクトレットとしての電荷保持性能を考慮すると、比誘電率が1.8〜8.0であることが好ましく、1.8〜5.0がより好ましく、1.8〜3.0が特に好ましい。該比誘電率は、ASTM D150に準拠し、周波数1MHzにおいて測定される値である。
また、重合体(A)としては、体積固有抵抗が高く、絶縁破壊電圧が大きいものが好ましい。
重合体(A)の体積固有抵抗は、1010〜1020Ω・cmが好ましく、1016〜1019Ω・cmがより好ましい。該体積固有抵抗は、ASTM D257により測定される。
重合体(A)の絶縁破壊電圧は、10〜25kV/mmが好ましく、15〜22kV/mmがより好ましい。該絶縁破壊電圧は、ASTM D149により測定される。
重合体(A)としては、絶縁性に悪影響を与える水を排除し、高い絶縁性を維持するために、疎水性の高いものが好ましい。
重合体(A)は、市販品を用いてもよい。主鎖にエーテル性酸素原子を含む脂肪族環構造を備え、主鎖の末端にカルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を有する含フッ素重合体の市販品としては、サイトップ(登録商標、旭硝子社製)が挙げられる。
<シランカップリング剤>
本発明に用いるシランカップリング剤は、アミノ基を有するシランカップリング剤である。アミノ基を有するシランカップリング剤としては、以下のものが例示できる。(なお、以下において、アミノ基を有するシランカップリング剤を単にシランカップリング剤という。)
γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン類。
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、などのトリアルコキシシラン類。
下式(s1)、(s2)で表される化合物等の芳香族アミン構造を有するシランカップリング剤。
ArSi(OR21)(OR22)(OR23) …(s1)
ArSiR24(OR21)(OR22) …(s2)
[式中R21〜R24はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を表し、Arはp−、m−またはo−アミノフェニル基を表す。]
式(s1)、(s2)で表される化合物の具体例としては以下のものが挙げられる。
アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリプロポキシシラン、アミノフェニルトリイソプロポキシシラン、アミノフェニルメチルジメトキシシラン、アミノフェニルメチルジエトキシシラン、アミノフェニルメチルジプロポキシシラン、アミノフェニルメチルジイソプロポキシシラン、アミノフェニルフェニルジメトキシシラン、アミノフェニルフェニルジエトキシシラン、アミノフェニルフェニルジプロポキシシラン、アミノフェニルフェニルジイソプロポキシシランなど。
上記シランカップリング剤は、いずれか1種を単独で使用してもよく、2種以上を組合せてもよい。
また、上記シランカップリング剤の部分加水縮合物を使用することも好ましい。上記シランカップリング剤とテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランとの共部分加水縮合物を使用することも好ましい。
入手の容易性等を考慮すると、特に好ましいシランカップリング剤は、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、およびアミノフェニルトリメトキシシラン、から選択される1以上である。
シランカップリング剤の含有量は、重合体(A)とシランカップリング剤の合計量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.3〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が最も好ましい。この範囲にあると重合体(A)と均一に混合でき、溶液での相分離を起こしにくい。
含フッ素重合体およびシランカップリング剤との組み合わせとしては、
含フッ素重合体として、前述の化合物(1−1)と、テトラフルオロエチレンまたはジエン系含フッ素単量体との共重合体、
または、後述のジエン系含フッ素単量体の単独重合体から選ばれる1種、
シランカップリング剤として、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、およびアミノフェニルトリメトキシシラン、から選択される1種、
の組み合わせが好ましい。特に、
含フッ素重合体として、後述のジエン系含フッ素単量体の単独重合体、
シランカップリング剤として、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、から選択される1種、
の組み合わせが最も好ましい。
ここで用いられるジエン系含フッ素単量体としては、パーフルオロブテニルビニルエーテル(CF=CFOCFCFCF=CF)、またはパーフルオロ(4−メチルブテニル)ビニルエーテル(CF=CFOCF(CF)CFCF=CF)を用いるのが好ましく、パーフルオロブテニルビニルエーテルを用いるのが最も好ましい。
<コーティング液調製工程>
コーティング液調製工程では、重合体(A)とシランカップリング剤とを含有する組成物を、溶媒を用いてコーティング液とする。
重合体(A)とシランカップリング剤の双方を溶解し、均一なコーティング液とするため、溶媒としては、重合体(A)を溶解する溶媒とシランカップリング剤を溶解する溶媒とを併用することが好ましい。
重合体(A)およびシランカップリング剤の双方を溶解する溶媒を用いれば、該溶媒単独で均一なコーティング液とすることができる。
重合体(A)を溶解する溶媒としては、たとえば、含フッ素有機溶媒を用いることができる。含フッ素有機溶媒としては、非プロトン性含フッ素溶媒が好ましい。非プロトン性含フッ素溶媒とは、プロトン供与性を有さない含フッ素溶媒である。非プロトン性含フッ素溶媒としては、以下の含フッ素化合物を例示できる。
パーフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等のポリフルオロ芳香族化合物;パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリプロピルアミン等のポリフルオロトリアルキルアミン化合物;パーフルオロデカリン、パーフルオロシクロヘキサン、パーフルオロ(1,3,5−トリメチルシクロヘキサン)等のポリフルオロシクロアルカン化合物;パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)等のポリフルオロ環状エーテル化合物;パーフルオロポリエーテル。
パーフルオロヘキサン、パーフルオロオクタン、パーフルオロデカン、パーフルオロドデカン、パーフルオロ(2,7−ジメチルオクタン)、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,1,1−トリクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3−テトラクロロ−2,2,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1,3,4−テトラクロロ−1,2,2,3,4,4−ヘキサフルオロブタン、パーフルオロ(1,2−ジメチルヘキサン)、パーフルオロ(1,3−ジメチルヘキサン)、1,1,2,2,3,3,5,5,5−デカフルオロペンタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘプタデカフルオロオクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−ヘニコサフルオロデカン、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘプタデカフルオロデカン、1,1,1,2,3,4,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン、1,1,1,2,2,3,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン等のポリフルオロアルカン化合物。
これらの非プロトン性含フッ素溶媒は単独でまたは混合して使用できる。
非プロトン性含フッ素溶媒としては、上記の溶媒以外にハイドロフルオロエーテル(HFE)も挙げられる。HFEとしては、一般式R−O−R(Rはエーテル結合を有してもよい炭素数5〜12の直鎖状または分岐状のポリフルオロアルキル基であり、Rは炭素数1〜5の直鎖状または分岐状のアルキル基またはポリフルオロアルキル基である。)で表されるHFEが好ましい。
の炭素数が4以下であると重合体(A)を溶解し難く、Rの炭素数が13以上の場合は工業的に入手困難であるため、Rの炭素数は5〜12の範囲から選定される。Rの炭素数は、6〜10が好ましく、6〜7または9〜10がより好ましい。
ポリフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基であり、アルキル基の水素原子のすべてがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基、またはアルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換されかつアルキル基の水素原子の1個以上がフッ素原子以外のハロゲン原子に置換された基を含むものである。フッ素原子以外のハロゲン原子としては塩素原子が好ましい。
ポリフルオロアルキル基としては、対応するアルキル基の水素原子の数にして60%以上がフッ素原子に置換された基が好ましく、より好ましくは80%以上である。さらに好ましいポリフルオロアルキル基はパーフルオロアルキル基である。
がエーテル結合を有する場合、エーテル結合の数が多すぎると溶解性を阻害するため、R中のエーテル結合は1〜3個が好ましく、1〜2個がより好ましい。
の炭素数が6以上であると含フッ素環構造含有重合体の溶解性を著しく阻害する。Rの好ましい例は、メチル基、エチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、テトラフルオロプロピル基等である。
HFEの分子量は、大きすぎるとコーティング液の粘度を上昇させるだけでなく、重合体(A)の溶解性も低下するため、1,000以下が好ましい。
また、重合体(A)の溶解性を高めるためにHFEのフッ素含有量は60〜80重量%が好ましい。好ましいHFEとして、下記のものが例示できる。
F(CFOCH、HCFCFOCHCF、HCFCFCHOCHCF、F(CFOCH、F(CFOCH、F(CFOCH、F(CFOCH、F(CFOCH、F(CF10OCH、H(CFOCH、(CFCFCF(OCH)CFCF、F(CFOCF(CF)CFOCH、F(CFOCF(CF)CFOCF(CF)CFOCH、F(CFOCHCHCH、(CFCFCFCFOCH、F(CFO(CFOCHCH
HFEの中では、特に(CFCFCF(OCH)CFCFが溶媒として好適である。
これらのHFEは単独でまたは混合して使用できる。
重合体(A)を溶解する含フッ素有機溶媒としては、溶解度が大きく、良溶媒であることから、非プロトン性含フッ素溶媒のみを用いることが好ましい。
また、重合体(A)を溶解する含フッ素有機溶媒の沸点は、65〜220℃が好ましい。含フッ素有機溶媒の沸点が100℃以上であれば、コーティングの際に均一な膜を形成しやすい。
シランカップリング剤を溶解する溶媒としては、プロトン性含フッ素溶媒が好ましい。プロトン性含フッ素溶媒とは、プロトン供与性を有する含フッ素溶媒である。プロトン性含フッ素溶媒としては以下のものが例示される。
トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、2−(パーフルオロブチル)エタノール、2−(パーフルオロヘキシル)エタノール、2−(パーフルオロオクチル)エタノール、2−(パーフルオロデシル)エタノール、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1−ヘプタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘキサデカフルオロ−1−ノナノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、1,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブタノールなどの含フッ素アルコール。
トリフルオロ酢酸、パーフルオロプロパン酸、パーフルオロブタン酸、パーフルオロペンタン酸、パーフルオロヘキサン酸、パーフルオロヘプタン酸、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロノナン酸、パーフルオロデカン酸、1,1,2,2−テトラフルオロプロパン酸、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロペンタン酸、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−ドデカフルオロヘプタン酸、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ヘキサデカフルオロノナン酸などの含フッ素カルボン酸、これら含フッ素カルボン酸のアミド、トリフルオロメタンスルホン酸、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸などの含フッ素スルホン酸など。
これらのプロトン性含フッ素溶媒は単独でまたは2種以上の混合物とすることもできる。
コーティング液の調製に用いる溶媒の水分は少ないことが好ましく、100質量ppm以下が好ましく、20質量ppm以下がより好ましい。
コーティング液における重合体(A)の濃度は、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましい。
コーティング液の固形分濃度は、形成しようとする膜厚に応じて適宜設定すればよい。通常、0.1〜30質量%であり、0.5〜20質量%が好ましい。
なお固形分は、質量を測定したコーティング液を常圧下200℃で1時間加熱することで、溶媒を留去し、残存する固形分の質量を測定して算出する。
コーティング液には、重合体(A)、アミノ基を有するシランカップリング剤及び上記溶媒の他、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランを含んでいてもよい。
コーティング液は、重合体(A)を非プロトン性含フッ素溶媒に溶解した重合体(A)溶液と、シランカップリング剤をプロトン性含フッ素溶媒に溶解したシランカップリング剤溶液とを各々調製し、重合体(A)溶液と、シランカップリング剤溶液とを混合することによって得ることが好ましい。
<コーティング工程>
コーティング工程では、コーティング液調製工程で得たコーティング液を基板にコーティングし、重合体(A)とシランカップリング剤とを含有するコーティング層を形成する。
コーティング方法としては、ロールコーター法、キャスト法、ディッピング法、スピンコート法、水上キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法、ダイコート法、インクジェット法、スプレーコート法等が挙げられる。また、凸版印刷法、グラビア印刷法、平板印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法などの印刷技術も用いることができる。
コーティング液をコーティングする基板としては、コーティングして得られたコーティング層に電荷を注入する際にアースに接続できるような基板であれば、材質を選ばずに用いることができる。好ましい材質としては、例えば、金、白金、銅、アルミニウム、クロム、ニッケル等の導電性の金属が挙げられる。
また、材質が導電性の金属以外のもの、たとえばガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の有機高分子材料等の絶縁性の材料であっても、その表面にスパッタリング、蒸着、ウエットコーティング等の方法で導電性の金属膜をコーティングしたものであれば用いることができる。また、シリコン等の半導体材料も同様の表面処理を行ったものであるか、または半導体材料そのものの抵抗値が低いものであれば用いることができる。基板材料の抵抗値としては体積固有抵抗値で0.1Ω・cm以下であることが好ましく、特に0.01Ω・cm以下であることがより好ましい。
基板は表面が平滑な平板でもよく、凹凸を形成したものでもよい。また、様々な形状にパターニングされていても良い。上記絶縁性材料を基板として用いる場合、絶縁性材料そのものに凹凸またはパターンを形成しても良いし、表面にコーティングされた金属膜に凹凸又はパターンを形成しても良い。
基板に凹凸またはパターンを形成する方法として従来公知の方法が利用でき、特に限定されない。凹凸またはパターンを形成する方法としては、真空プロセス、湿式プロセスのどちらを用いても良い。かかる方法の具体例としては、真空プロセスとして、マスクを介したスパッタリング法、マスクを介した蒸着法;湿式プロセスとして、ロールコーター法、キャスト法、ディッピング法、スピンコート法、水上キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法、ダイコート法、インクジェット法、スプレーコート法等が挙げられる。また、凸版印刷法、グラビア印刷法、平板印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法などの印刷技術も用いることができる。また微細な凹凸またはパターンを形成する方法としてナノインプリント法、フォトリソグラフィ法なども用いることができる。
コーティング層の形状、大きさは、所望のエレクトレットの形状、大きさに応じて適宜設定すればよい。エレクトレットは、一般的に、厚さ1〜200μmの膜として用いられる。特に厚さ10〜20μmの膜として用いることが、エレクトレットしての特性、及び加工する上で有利であることから好ましい。
熱処理工程後の厚みを、1〜200μm、好ましくは10〜20μmとするためには、コーティング層の厚みを、2〜220μm、好ましくは12〜25μmとすればよい。
なお、基板は、電荷注入工程後に剥離してもよい。
<熱処理工程>
熱処理工程では、前記コーティング層を特定の温度で熱処理して塗膜(以下、コーティング層を熱処理した塗膜をコーティング膜と呼ぶこともある。)を得る。
熱処理は、予備乾燥工程と、本乾燥・焼成工程とからなることが好ましい。
予備乾燥工程では、コーティング層の溶媒をできるだけ飛散させ、コーティング層を予備的に乾燥させる。この予備乾燥工程により、続く本乾燥・焼成工程での膜の発泡、表面荒れ、不均一化等を防ぐことができる。予備乾燥工程の温度は、溶媒の沸点以下で行うのが好ましい。具体的には、50〜150℃であることが好ましく、80〜120℃であることがより好ましい。予備乾燥工程の時間は、0.1〜5時間であることが好ましく、0.5〜2時間であることがより好ましい。
本乾燥・焼成工程は、250℃〜330℃の間で行う。本乾燥・焼成工程の温度(焼成温度)は、260℃〜300℃の間で行うことが好ましく、260〜280℃で行うことがより好ましい。焼成温度を上記温度とすることにより、充分な表面電位を備え、熱安定性に優れたエレクトレットを得ることができる。焼成工程の時間は、0.5〜5時間であることが好ましく、1〜2時間であることがより好ましい。
本乾燥・焼成工程の雰囲気は不活性ガス雰囲気であっても空気雰囲気でもよいが、後述するアミド結合生成のため空気雰囲気が好ましい。また圧力は常圧が好ましい。
<その他の層>
本発明においては、必要に応じて、上記重合体(A)とシランカップリング剤とを含有するコーティング層を熱処理して得た塗膜に、他の層を積層してもよい。積層可能な他の層としては、例えば、保護層、前記重合体(A)のみからなる層、無機物からなる層等が挙げられる。
他の層は、熱処理工程後の塗膜上に形成してもよいし、熱処理工程における予備乾燥工程が終了した段階で他の層を形成し、重合体(A)とシランカップリング剤とを含有するコーティング層と共に焼成してもよい。
<電荷注入工程>
上記コーティング膜へ電荷を注入する方法としては、一般的に絶縁体を帯電させる方法であれば手段を選ばずに用いることができる。例えば、G.M.Sessler, Electrets Third Edition,pp20,Chapter2.2“Charging and Polarizing Methods”(Laplacian Press, 1998)に記載のコロナ放電法、または電子ビーム衝突法、イオンビーム衝突法、放射線照射法、光照射法、接触帯電法、液体接触帯電法などが適用可能である。特に本発明のエレクトレットではコロナ放電法、または電子ビーム衝突法を用いることが好ましい。
また、電荷を注入する際の温度条件としては、前記重合体(A)のガラス転移温度以上で行うことが、注入後に保持される電荷の安定性の面から好ましく、特にガラス転移温度+10〜20℃程度の温度条件で行うことが好ましい。さらに、電荷を注入する際の印加電圧としては、前記重合体(A)及びその組成物のコーティング膜の絶縁破壊電圧以下であれば、高圧を印加することが好ましい。本発明におけるコーティング膜では、±6〜±30kVの高電圧が適用可能であり、特に±8〜±15kVの電圧印加が好ましい。特にコーティング膜に用いる重合体(A)が含フッ素重合体であるため、正電荷より負電荷をより安定に保持可能であることから、−8〜−15kVの電圧印加をすることがさらに好ましい。
<静電誘導型変換素子>
本発明で得られるエレクトレットは、電気エネルギと運動エネルギとを変換する静電誘導型変換素子に好適に用いられる。
静電誘導型変換素子としては、振動型発電機、マイクロフォン、スピーカー、アクチュエータ、センサ等が挙げられる。これらの静電誘導型変換素子の構造は、エレクトレットとして本発明により得られるエレクトレットが用いられる以外は公知のものと同様であってよい。
本発明により得られるエレクトレットは、従来のエレクトレットに比べて、保持した電荷の経時安定性及び熱安定性が高く、電荷保持特性に優れたものである。
そのため、該エレクトレットを具備する本発明の静電誘導型変換素子は、特性の劣化が生じにくい、特性の環境依存性が小さい、等の特徴がある。
<作用機序>
重合体(A)にアミノ基を有するシランカップリング剤を配合した組成物を用いると、当該組成物のコーティング膜の基板との密着性が向上するだけでなく、製造したエレクトレットの保持した電荷の熱安定性が向上する。
重合体(A)とアミノ基を有するシランカップリング剤とを含有することにより熱安定性が向上する理由は、重合体(A)とシランカップリング剤とがナノ相分離を引き起こし、シランカップリング剤由来のナノクラスタ構造が形成され、当該ナノクラスタ構造が、エレクトレットにおける電荷を蓄える部位として機能するためであると推察される。
本発明者らは、重合体(A)とアミノ基を有するシランカップリング剤とを含有する組成物は、熱処理によって熱安定性が向上することを見いだした。これは、熱処理によって以下の反応が進行し、シランカップリング剤由来のナノクラスタ構造の熱運動が抑制されて、ナノクラスタ構造が安定化するためであると考えられる。
(1)重合体(A)が有するカルボキシ基又はアルコキシカルボニル基とシランカップリング剤のアミノ基とが反応し、重合体(A)とシランカップリング剤が結合する反応。
(2)シランカップリング剤同士がアルコキシシリル基の縮合反応により結合する反応。
本発明者らは、さらに検討を進め、熱処理温度を本発明の特定温度範囲とすると熱安定性効果が高いこと、また、この特定温度範囲は、上記(1)及び(2)の反応と対応していることを、赤外分光スペクトル(以下IRスペクトルと称する)によって確認した。
すなわち、熱安定性は、熱処理温度が250〜330℃の範囲で高く、260〜300℃の範囲で特に高かった。
これに対して、IRスペクトルの解析により、アミノ基の含有量(残存量)は熱処理温度が高いほど低いことが分かった。このアミノ基は(1)の反応により消費される基である。またアルコキシシリル基の含有量(残存量)は熱処理温度が高いほど低いことが分かった。このアルコキシシリル基は(2)の反応により消費される基である。つまり、上記(1)及び(2)の反応は、温度が高い程促進されることが分かった。
一方、(1)の反応により生成するアミド基の含有量は、熱処理温度が250〜330℃の範囲で高く、260〜300℃の範囲でより高かった。これは、温度が高くなりすぎると、生成したアミド基が熱分解されてしまうものと考えられる。
更に、本発明者らは、前述のナノクラスタ構造に相当する不均一構造を、小角X線散乱分析で確認した。そして、熱処理温度が高いほど、不均一構造が大きくなることを見出した。このことは、次の状態を表している。すなわち、前述の(1)及び(2)の反応がより促進されることにより、電荷を蓄える部位として機能するシランカップリング剤由来のナノクラスタ構造が大きくなることを示している。その結果として、エレクトレットの電荷保持特性の熱安定性が向上すると考えられる。
本発明者らはさらに、重合体(A)の分子量が大きいほど、熱安定性向上効果が大きい傾向があることを見いだした。
これは、重合体(A)は分子量が大きい程熱運動しにくく、その結果、重合体(A)に取り囲まれて存在するシランカップリング剤由来のナノクラスタ構造も熱運動しにくくなるためであると考えられる。
以上のことから、重合体(A)の重量平均分子量増加による熱運動抑制と、大きなナノクラスタ構造の相乗効果によって、エレクトレットの電荷保持特性が向上すると考えられる。
以下に、上記実施形態の具体例を実施例として説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
以下の各例において、体積固有抵抗値は、ASTM D257により測定された値である。
絶縁破壊電圧は、ASTM D149により測定された値である。
比誘電率は、ASTM D150に準拠し、周波数1MHzにおいて測定された値である。
固有粘度[η](30℃)(単位:dl/g)は、30℃で、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)を溶媒として、ウベローデ型粘度計により測定された値である。
パーフルオロブテニルビニルエーテルの重合体における重量平均分子量は日本化学会誌,2001,NO.12,P.661に記載の以下の関係式から上記固有粘度より算出した値である。
文献記載の計算式:[η]=1.7×10−4×Mw0.60
ここでMwは重量平均分子量である。
また、以下の各例で、膜厚の測定は浜松ホトニクス社製光干渉式膜厚測定装置C10178を用いて行った。
[製造例1:重合体組成物溶液M1の調製]
(1)重合体溶液の調製
パーフルオロブテニルビニルエーテル(CF=CFOCFCFCF=CF)の45g、イオン交換水の240g、メタノールの16g、及び重合開始剤として、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート粉末(((CHCHOCOO))の0.2gを内容積1Lの耐圧ガラス製オートクレーブに入れた。系内を窒素で3回置換した後、40℃で23時間懸濁重合を行った。その結果、重合体A1の40gを得た。この重合体の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、モノマーに存在した二重結合に起因する1660cm−1、1,840cm−1付近の吸収はなかった。
重合体A1を空気中で250℃で8時間熱処理後、水中に浸漬して末端基として−COOH基を有する重合体A2を得た。該重合体の圧縮成形フィルムのIRスペクトルを測定した結果、−COOH基に由来する1,775および1,810cm−1の特性吸収が認められた。また、この重合体の固有粘度[η](30℃)は0.24dl/gであり、その結果から定量される該重合体の重量平均分子量は177,000であった。これらの結果から、上記方法による作製物は主鎖に脂肪族環構造を有すると共に末端基としてカルボニル基またはアルコキシカルボニル基を有する含フッ素重合体であることが確認された。
重合体A2の体積固有抵抗値は>1017Ω・cm、絶縁破壊電圧は、19kV/mm、比誘電率は、2.1であった。
重合体A2について示差走査熱分析(DSC)を行ったところ、重合体A2のガラス転移温度(Tg)は108℃であった。
パーフルオロトリブチルアミンに、上記重合体A2を15質量%の濃度で溶解させ、重合体溶液P1を得た。
(2)シランカップリング剤の配合
上記重合体溶液P1の84.6gに、パーフルオロトリブチルアミンの10.6gを加えた溶液を作成した。その溶液に、シランカップリング剤溶液(γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランの0.4gを、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの4.7gに溶解した溶液)を混合し、均一な重合体組成物溶液M1を得た。
<重合体組成物溶液の調製>
[製造例2:重合体組成物溶液M2の調製]
(1)重合体溶液の調製
パーフルオロブテニルビニルエーテル(CF=CFOCFCFCF=CF)の45g、イオン交換水の240g、メタノールの7g、及び重合開始剤として、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート粉末(((CHCHOCOO))の0.1gを内容積500mLの耐圧ガラス製オートクレーブに入れた。系内を窒素で3回置換した後、40℃で23時間懸濁重合を行った。その結果、重合体B1の39gを得た。この重合体のIRスペクトルを測定したところ、モノマーに存在した二重結合に起因する1,660cm−1および1,840cm−1付近の吸収はなかった。
重合体B1を空気中で250℃で8時間熱処理後、水中に浸漬して末端基として−COOH基を有する重合体B2を得た。該重合体の圧縮成形フィルムのIRスペクトルを測定した結果、−COOH基に由来する1,775および1,810cm−1の特性吸収が認められた。また、この重合体の固有粘度[η](30℃)は0.32dl/gであり、その結果から定量される該重合体の重量平均分子量は287,000であった。これらの結果から、上記方法による作製物は主鎖に脂肪族環構造を有すると共に末端基としてカルボニル基またはアルコキシカルボニル基を有する含フッ素重合体であることが確認された。
重合体B2の体積固有抵抗値は>1017Ω・cm、絶縁破壊電圧は、19kV/mm、比誘電率は、2.1であった。
重合体B2について示差走査熱分析(DSC)を行ったところ、重合体B2のガラス転移温度(Tg)は108℃であった。
パーフルオロトリブチルアミンに、上記重合体B2を11質量%の濃度で溶解させ、重合体溶液P2を得た。
(2)シランカップリング剤の配合
上記重合体溶液P2の76.3gに、シランカップリング剤溶液(γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランの0.3gを、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの4.4gに溶解した溶液)を混合し、均一な重合体組成物溶液M2を得た。
[製造例3:重合体組成物溶液M3の調製]
(1)重合体溶液の製造
パーフルオロブテニルビニルエーテル(CF=CFOCFCFCF=CF)の150g、イオン交換水の650g及び重合開始剤として、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート粉末(((CHCHOCOO))の0.3gを内容積2Lの耐圧ガラス製オートクレーブに入れた。系内を窒素で3回置換した後、40℃で23時間懸濁重合を行った。その結果、重合体C1の123gを得た。この重合体のIRスペクトルを測定したところ、モノマーに存在した二重結合に起因する1,660cm−1および1,840cm−1付近の吸収はなかった。
重合体B1を空気中で250℃で8時間熱処理後、水中に浸漬して末端基として−COOH基を有する重合体C2を得た。該重合体の圧縮成形フィルムの赤外線吸収スペクトルを測定した結果、−COOH基に由来する1,775および1,810cm−1の特性吸収が認められた。また、この重合体の固有粘度[η](30℃)は0.45dl/gであり、その結果から定量される該重合体の重量平均分子量は506,000であった。これらの結果から、上記方法による作製物は主鎖に脂肪族環構造を有すると共に末端基としてカルボニル基またはアルコキシカルボニル基を有する含フッ素重合体であることが確認された。
重合体C2の体積固有抵抗値は>1017Ω・cm、絶縁破壊電圧は、19kV/mm、比誘電率は、2.1であった。
重合体C2について示差走査熱分析(DSC)を行ったところ、重合体C2のガラス転移温度(Tg)は108℃であった。
パーフルオロトリブチルアミンに、上記重合体C2を9質量%の濃度で溶解させ、重合体溶液P3を得た。
(2)シランカップリング剤の配合
上記重合体溶液P3の44.4gに、シランカップリング剤溶液(γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランの0.1gを、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの2.4gに溶解した溶液)を混合し、均一な重合体組成物溶液M3を得た。
[製造例4:重合体組成物溶液M4の調製]
(1)重合体溶液の製造
製造例1で得られた重合体A1を空気中で250℃で8時間熱処理後、メタノール中に浸漬して末端基として−COOCH基を有する重合体A3を得た。該重合体の圧縮成形フィルムのIRスペクトルを測定した結果、−COOCH基に由来する1,795cm−1の特性吸収が認められた。また、この重合体の固有粘度[η](30℃)は0.24dl/gであり、その結果から定量される該重合体の重量平均分子量は177,000であった。これらの結果から、上記方法による作製物は主鎖に脂肪族環構造を有すると共に末端基としてカルボニル基またはアルコキシカルボニル基を有する含フッ素重合体であることが確認された。
重合体A3の体積固有抵抗値は>1017Ω・cm、絶縁破壊電圧は、19kV/mm、比誘電率は、2.1であった。
重合体A3について示差走査熱分析(DSC)を行ったところ、重合体A3のガラス転移温度(Tg)は108℃であった。
パーフルオロトリブチルアミンに、上記重合体A3を9質量%の濃度で溶解させ、重合体溶液P4を得た。
(2)シランカップリング剤の配合
上記重合体溶液P4の25.1gに、シランカップリング剤溶液(γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランの0.07gを、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの1.2gに溶解した溶液)を混合し、均一な重合体組成物溶液M4を得た。
[製造例5:重合体組成物溶液M5の調製]
(1)重合体溶液の製造
特許第3053657号公報の実施例2に記載の手順に従って、パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)と、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)(以下、PDDと称する)とを重合させて重合体D1を得た。
該重合体D1のIRスペクトルを測定し、1,930cm−1の吸収の吸光度から、当該重合体D1中に含まれるPDDに基づく繰り返し単位(PDD含量)を求めたところ、52モル%であった。
該重合体D1を、空気中330℃で5時間熱処理後、水中に浸漬することにより重合体D2を得た。
該重合体D2について示差走査熱分析(DSC)を行ったところ、該重合体D2のガラス転移温度(Tg)は149℃であった。
また、該重合体D2の圧縮成形フィルムを作製し、該成形フィルムのIRスペクトルを測定した結果、−COOH基に由来する1,775cm−1および1,810cm−1の特性吸収が認められた。
また、重合体D2の固有粘度[η](30℃)は0.36dl/gであり、体積固有抵抗値は>1017Ω・cm、比誘電率は、2.0であった。
次に、パーフルオロトリブチルアミンに前記重合体D2を11質量%の濃度で溶解させ、重合体溶液P5を得た。
(2)シランカップリング剤の配合
上記重合体溶液P5の76.9gにパーフルオロトリブチルアミン14gを加えた溶液を作成した。その溶液に、シランカップリング剤溶液(γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランの0.4gを、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの4.4gに溶解した溶液)を混合し、均一な重合体組成物溶液M5を得た。
[製造例6:重合体組成物溶液M6の調製]
(1)重合体溶液の製造
パーフルオロトリブチルアミンに、市販の含フッ素重合体Teflon−AF1600(デュポン社製)を8質量%の濃度で溶解させ、重合体溶液P6を得た。
このTeflon−AF1600(デュポン社製)について、該重合体の圧縮成形フィルムの赤外線吸収スペクトルを測定した結果、−COOH基に由来する1,810cm−1の特性吸収が認められた。また、該重合体の固有粘度[η](30℃)は1.05dl/gであり、体積固有抵抗値は>1017Ω・cmであり、比誘電率は、1.9であった。また、該重合体について示差走査熱分析(DSC)を行ったところ、該重合体のガラス転移温度(Tg)は164℃であった。
(2)シランカップリング剤の配合
上記重合体溶液P6の53gに、シランカップリング剤溶液(γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランの0.13gを、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの2.6gに溶解した溶液)を混合し、均一な重合体組成物溶液M6を得た。
[製造例7:重合体組成物溶液M7の調製]
(1)重合体溶液の調製
CF=CFCFCF(CF)OCF=CFの15g、イオン交換水の80g、メタノールの2.4g及び重合開始剤として、ペルフルオロベンゾイルペルオキシドの38mgを内容積が200mLのステンレス鋼製オートクレーブに入れた。そのオートクレーブを窒素置換した後、オートクレーブの内温が70℃になるまで加熱し、20時間重合を行った。得られた重合体をイオン交換水、メタノールで洗浄した後、200℃で1時間乾燥した。その結果、重合体E1の12gを得た。この重合体E1のIRスペクトルを測定したところ、モノマーに存在した二重結合に起因する1,660cm−1、1,840cm−1付近の吸収はなかった。
重合体E1の固有粘度(30℃)を測定したところ、0.31dl/gであった。
続いて、重合体E1を空気中で250℃で8時間熱処理後、水中に浸漬して末端基として−COOH基を有する重合体E2を得た。該重合体の圧縮成形フィルムのIRスペクトルを測定した結果、−COOH基に由来する1,775cm−1および1,810cm−1の特性吸収が認められた。
重合体E2の体積固有抵抗値は>1017Ω・cmであり、比誘電率は、2.0であった。また、示差走査熱分析(DSC)により測定したガラス転移温度は124℃であった。
パーフルオロトリブチルアミンに、上記重合体E2を15質量%の濃度で溶解させ、重合体溶液P7を得た。
(2)シランカップリング剤の配合
上記重合体溶液P7の24gに、パーフルオロトリブチルアミンの4.6gを加えた溶液を作成した。その溶液に、シランカップリング剤溶液(γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランの0.1gを、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの1.3gに溶解した溶液)を混合し、均一な重合体組成物溶液M7を得た。
[製造例8:重合体組成物溶液M8の調製]
上記製造例1の重合体溶液P1の69.9gに、パーフルオロトリブチルアミンの6.3gを加えた溶液を作成した。その溶液に、シランカップリング剤溶液(γ−アミノプロピルトリエトキシシランの0.3gを、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの3.5gに溶解した溶液)を混合し、均一な重合体組成物溶液M8を得た。
[製造例9:重合体組成物溶液M9の調製]
上記製造例1の重合体溶液P1の69.3gに、パーフルオロトリブチルアミンの6.8gを加えた溶液を作成した。その溶液に、シランカップリング剤溶液(N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシランの0.4gを、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの3.5gに溶解した溶液)を混合し、均一な重合体組成物溶液M9を得た。
[製造例10:重合体組成物溶液M10の調製]
上記製造例1の重合体溶液P1の44.9gに、シランカップリング剤溶液(N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランの0.2gを、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの2.5gに溶解した溶液)を混合し、均一な重合体組成物溶液M10を得た。
[製造例11:重合体組成物溶液M11の調製]
上記製造例1の重合体溶液P1の38.2gに、シランカップリング剤溶液(m−アミノフェニルトリメトキシシランの0.2gを、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの5.0gに溶解した溶液)を混合し、均一な重合体組成物溶液M11を得た。
[製造例12:重合体組成物溶液M12の調製]
上記製造例2の重合体溶液P2の76.7gに、シランカップリング剤溶液(N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランの0.3gを、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの4.3gに溶解した溶液)を混合し、均一な重合体組成物溶液M12を得た。
[製造例13:重合体組成物溶液M13の調製]
上記製造例2の重合体溶液P2の44.5gに、シランカップリング剤溶液(m−アミノフェニルトリメトキシシランの0.2gを、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの6.5gに溶解した溶液)を混合し、均一な重合体組成物溶液M13を得た。
<試験例1>
[実施例1]
(1)エレクトレットの調製
銅基板(3cm角、厚さ300μm)に、重合体組成物溶液M1をスピンコート法によりコーティングし、100℃1時間の前処理を行った後、熱処理温度300℃で1時間の熱処理をすることにより、15μm厚のコーティング膜を形成した。
このコーティング膜に、図1に概略構成図を示すコロナ荷電装置を用いて電荷の注入を行い、実施例1のエレクトレットを得た。
このコロナ荷電装置は、コーティング膜11(以下「コーティング膜11」という。)を形成した前記銅基板(以下「銅基板10」という。)を電極として、直流高圧電源装置12(HAR−20R5;松定プレシジョン社製)により、コロナ針14と銅基板10との間に高電圧を印加できるようになっている。また、グリッド16には、グリッド用電源18からグリッド電圧を印加できるようになっている。これにより、コロナ針14から放電した負イオンが、グリッド16で均一化された後、コーティング膜11上に降り注ぎ、電荷が注入されるようになっている。
また、コーティング膜11に注入される電荷の安定を図るため、ホットプレート19によって、電荷注入工程中のコーティング膜11をガラス転移温度以上に加熱できるようになっている。なお、17は電流計である。
実施例1では、ホットプレート19によるコーティング膜11の加熱温度を、用いた重合体(重合体A2)のガラス転移温度(Tg:重合体A2では108℃)より12℃高い120℃とした。
そして、大気雰囲気下、コロナ針14と銅基板10との間に−8kVの高電圧を3分間印加した。また、その間のグリッド電圧は、−1,100Vとした。
(2)表面電位の測定
調製したエレクトレットについて、ECM用途で必要とされるハンダリフロー工程を想定して、以下の各表面電位を測定すると共に、表面電位残存率を求めた。結果を表1に示す。
なお、表1における各表面電位の値は、表面電位計(model279;モンローエレクトロニクス社製)を用い、エレクトレットの9点の測定点(膜の中心から3mm毎に格子状に設定。図2参照。)の表面電位を測定した平均値である(表2以降において同じ)。
(初期表面電位)
コロナ荷電により電荷を注入した直後のエレクトレットを、常温(25℃、以下同じ)に戻した際の表面電位。
(260℃加熱前表面電位)
初期表面電位測定後のエレクトレットを、20℃、60%RHの条件で25時間保管した後、常温に戻した際の表面電位。
(260℃加熱後表面電位)
260℃加熱前表面電位測定後のエレクトレットを260℃に調整したオーブンで10分間の熱履歴を加えた後、常温に戻した際の表面電位。
(表面電位残存率)
260℃加熱前表面電位に対する260℃加熱後表面電位の比率。
[実施例2〜7、比較例1〜5]
(1)エレクトレットの調製
重合体組成物溶液を表1、表2の重合体組成物溶液としたこと、熱処理温度を表1、表2の値としたこと以外は、実施例1と同様にして、各実施例、比較例のエレクトレットを調製した。
調製した各エレクトレットについて、実施例1と同様にして、初期表面電位、260℃加熱前表面電位、260℃加熱後表面電位を測定すると共に、表面電位残存率を求めた。
結果を表1、表2に示す。
Figure 0005494643
Figure 0005494643
表1に示す表面電位残存率を比較したところ、熱処理温度が250〜330℃である実施例は、何れも熱処理温度が250℃未満である比較例の表面電位残存率を上回っていた。特に、熱処理温度が260〜300℃の場合の表面電位残存率が高かった。
また、表2に示す表面電位残存率を、同じ重合体組成物溶液を用いた例同士で比較したところ、熱処理温度が280℃である実施例は、何れも熱処理温度が200℃である比較例の表面電位残存率を上回っていた。
また、何れの実施例においても、260℃加熱後表面電位(絶対値)は、ECMでの要求値である200Vを上回っていた。
<試験例2>
[実施例8〜19、比較例11〜15]
(1)エレクトレットの調製
重合体組成物溶液を表3〜表5の重合体組成物溶液としたこと、熱処理温度及びグリッド電圧を表3〜表5の値としたこと、電荷注入工程におけるコーティング膜の加熱温度を、用いた重合体のガラス転移温度より12℃高い下記の温度としたこと以外は、実施例1と同様にして、各実施例、比較例のエレクトレットを調製した。
(実施例8〜15、18、19、比較例6〜11、14、15)
・用いた重合体のガラス転移温度:108℃
・コーティング膜の加熱温度:120℃、
(実施例16、比較例12)
・用いた重合体のガラス転移温度:149℃
・コーティング膜の加熱温度:161℃、
(実施例17、比較例13)
・用いた重合体のガラス転移温度:124℃
・コーティング膜の加熱温度:136℃、
(2)表面電位の測定
調製した各エレクトレットについて、車載用の静電誘導型変換素子を想定して、実施例1と同様に以下の各表面電位を測定すると共に、表面電位残存率を求めた。結果を表3〜表5に示す。
(初期表面電位)
コロナ荷電により電荷を注入した直後のエレクトレットを、常温に戻した際の表面電位。
(125℃加熱前表面電位)
初期表面電位測定後のエレクトレットを、20℃、60%RHの条件で表3〜5に示す保管時間、保管した後、常温に戻した際の表面電位。
(125℃加熱後表面電位)
125℃加熱前表面電位測定後のエレクトレットを125℃に調整したオーブンで100時間の熱履歴を加えた後、常温に戻した際の表面電位。
(表面電位残存率)
125℃加熱前表面電位に対する125℃加熱後表面電位の比率。
Figure 0005494643
Figure 0005494643
Figure 0005494643
表3に示す表面電位残存率を比較したところ、熱処理温度が250〜330℃である実施例は、何れも熱処理温度が250℃未満である比較例の表面電位残存率を上回っていた。特に、熱処理温度が260〜300℃の場合の表面電位残存率が高かった。
また、表4、5に示す表面電位残存率を、同じ重合体組成物溶液を用いた例同士で比較したところ、熱処理温度が260〜280℃である実施例は、何れも熱処理温度が200℃である比較例の表面電位残存率を上回っていた。
<試験例3>
[実施例20〜32、比較例16〜26]
(1)エレクトレットの調製
重合体組成物溶液を表6〜表8の重合体組成物溶液としたこと、熱処理温度及びグリッド電圧を表6〜表8の値としたこと、電荷注入工程におけるコーティング膜の加熱温度を、用いた重合体のガラス転移温度より12℃高い下記の温度としたこと以外は、実施例1と同様にして、各実施例、比較例のエレクトレットを調製した。
(実施例20〜27、31、32、比較例16〜21、25、26)
・用いた重合体のガラス転移温度:108℃
・コーティング膜の加熱温度:120℃、
(実施例28、比較例22)
・用いた重合体のガラス転移温度:149℃
・コーティング膜の加熱温度:161℃、
(実施例29、比較例23)
・用いた重合体のガラス転移温度:164℃
・コーティング膜の加熱温度:176℃、
(実施例30、比較例24)
・用いた重合体のガラス転移温度:124℃
・コーティング膜の加熱温度:136℃、
(2)表面電位の測定
調製した各エレクトレットについて、実施例1と同様に以下の各表面電位を測定した。結果を表6〜表8に示す。
(初期表面電位)
コロナ荷電により電荷を注入した直後のエレクトレットを、常温に戻した際の表面電位。
(TSD試験前表面電位)
初期表面電位測定後のエレクトレットを、20℃、60%RHの条件で表6〜表8に示す保管時間、保管した後、常温に戻した際の表面電位。
(3)TSD試験
TSD試験前表面電位を測定後のエレクトレット(以下「エレクトレット21」という。)について、図3に概略構成図を示す装置を用い、以下の手順によりTSD試験を行った。
まず、図3に示すように、銅基板10(図1の銅基板10と同じ)上のエレクトレット21に対向して対向電極20を配置した。
次に、図3の破線で示される部分の温度を、ヒーターで加熱することにより一定の速さ(1℃/分)で昇温し、各エレクトレット21から放出される電荷量を、対向電極20から流れる電流値iとして電流計22(微小電流計(Keithley社製、Model6517A))により測定し、放電開始温度及び放電ピーク温度を求めた。その結果を表6〜表8に示す。
ここで、放電ピーク温度とは、放電の際に検出される電流値が最大になる温度を示し、放電開始温度とは、電流計22にて、以下の式で求められる電流値(放電開始時電流値)が検出された時点の温度を示す。
放電開始時電流値={(放電ピーク温度における電流値)−(放電前の電流値)}×0.1+(放電前の電流値)
TSD試験は、Thermal Stimulated Discharge法(以下、TSD法と称する。)と呼ばれる方法による試験である。この方法では、エレクトレット21と対向電極20とでキャパシタが形成されたことになる。そのため、エレクトレット21を加熱したときに、膜中にトラップされた電荷が不安定となり、拡散などにより表面付近の電荷が消滅すると、対向電極20に蓄えられた電荷も減少する。従って、対向電極20から流れる電流値の大きさを測定することにより、エレクトレットの熱安定性を評価できる。
TSD法による試験では、放電ピーク温度、放電開始温度の両方が重要であるが、特に、放電開始温度が重要である。これらの温度が高いほど、よりエレクトレットの熱安定性が高いと言える。
Figure 0005494643
Figure 0005494643
Figure 0005494643
表6に示す放電開始温度を比較したところ、熱処理温度が250〜330℃である実施例は、何れも放電開始温度が250℃未満である比較例の放電開始温度を上回っていた。
また、表7、8に示す放電開始温度を、同じ重合体組成物溶液を用いた例同士で比較したところ、熱処理温度が260〜280℃である実施例は、何れも熱処理温度が200℃である比較例の放電開始温度を上回っていた。
<試験例4>
[IRスペクトルの測定]
重合体組成物溶液M1をポリテトラフルオロエチレン製シート(以下「PTFEシート」という。)上にキャスト製膜し、100℃1時間の前処理を行った後、表7に記載の熱処理温度にて1時間の熱処理をし、PTFEシートから剥離する事により50〜100μm厚のキャスト膜を得た。
各キャスト膜の赤外吸収スペクトルを、サーモニコレット(Thermo Nicolet)社製 AVATAR370 FT−IRを用いて測定し、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランのアミノ基(N−H変角振動)由来の1,670cm−1の吸収(以下、ピーク(α)と称する)、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランとポリパーフルオロブテニルビニルエーテルA2の末端基COOH基が反応することにより形成されたアミド基のカルボニル基由来の1,730cm−1の吸収(以下、ピーク(β)と称する)、及びγ−アミノプロピルメチルジエトキシシランのエトキシ基のC―H結合由来の2,800cm−1〜3,000cm−1の吸収(以下、ピーク(γ)と称する)の面積を定量した。
ピーク(α)、(β)、(γ)の面積を、下記式により、ポリパーフルオロブテニルビニルエーテルA2のCF由来の2,000cm−1〜2,700cm−1の吸収(以下、ピーク(δ)と称する)の面積で規格化したピーク面積規格化値を、表9及び図4に示す。
(ピーク面積規格化値)
=(ピーク(α)、(β)、(γ)いずれかの面積)/(ピーク(δ)の面積)×100
Figure 0005494643
表9及び図4に示すように、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランのアミノ基由来のピーク(α)のピーク面積規格化値は、温度が高くなるほど減少し、280℃以上でほぼゼロに近い値となった。
これにより、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランとポリパーフルオロブテニルビニルエーテルA2の末端基COOH基との反応を促進するためには、熱処理温度が高い方が好ましいこと、ただし、280℃以上とすれば充分であることが分かった。
一方、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランとポリパーフルオロブテニルビニルエーテルA2の末端基COOH基が反応することにより形成されたアミド基のカルボニル基由来のピーク(β)のピーク面積規格化値は、250℃乃至260℃までは、温度の上昇と共に、すなわち、ピーク(α)のピーク面積規格化値の減少と共に増加する。しかし、250℃乃至260℃以上でほぼ一定となり、300℃を超えると低下する。
これにより、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランとポリパーフルオロブテニルビニルエーテルA2の末端基COOH基の反応による結合は、250℃乃至260℃以上で充分となること、300℃を超えると減少に転じるものの、330℃では未だ高水準の結合が維持されていることが分かった。
また、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランのエトキシ基のC―H結合由来のピーク(γ)のピーク面積規格化値は、温度が高くなるほど減少し、330℃で0.7となった。
これにより、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランの縮合反応は温度が高いほど促進されることが分かった。
以上の結果から、試験例1〜3で好ましい結果が得られた熱処理温度は、重合体(A)とシランカップリング剤との結合が促進され、かつ維持されると共に、シランカップリング剤の縮合反応が促進される熱処理温度と対応していることが確認できた。
<試験例5>
[小角X線散乱分析]
重合体組成物溶液M1をPTFEシート上にキャスト製膜し、100℃1時間、280℃1時間の条件で乾燥させることにより、膜厚約100μmの塗膜Aを作製した。また同様に製膜を行い、乾燥条件を100℃で1時間、200℃で1時間に変更した塗膜Bも作成した。更に、重合体溶液P1を用いて塗膜Bと同様に製膜を行い、塗膜Xを作成した。続いて、上記塗膜A、B、Xを用い、Rigaku社製Nano−viewerにより小角X線散乱測定を行った。測定条件は以下に示した通りとした。
X線波長 0.154nm(Cu Kα線)
カメラ長 500nm
検出器 IP(イメージングプレート)
測定モード 透過測定
測定温度 室温
露光時間 30分
光学系 スリット 1st 0.4mm 2nd 0.3mm 3rd 0.5mm キャスト膜の小角X線散乱測定結果を図5に示した。図5の縦軸は、X線散乱の強度(任意単位)を表し、横軸のqは、次式の値である。次式において、λは波長、θは散乱角である。
q=4π/λ*sin(θ/2)
図5において、A、B及びXは、それぞれ塗膜A、B及びXの散乱スペクトルである。
この結果から、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランを混合した重合体組成物溶液M1を用いた塗膜A、Bでは、混合していない重合体溶液P1を用いた塗膜Xには見られない散乱ピークが検出された。このことはγ−アミノプロピルメチルジエトキシシランがない状態では均一な膜中に、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン由来の不均一構造が生成したことを示している。不均一構造の大きさ(D)は本結果の散乱ピークのピークトップから読みとられるq値(図5参照)から算出することができる(D=2π/q)。表10に塗膜A、B、Xを作成した際の熱処理温度と得られた不均一構造の大きさ(D)を示した。この結果から、塗膜Aでは28nm程度、塗膜Bでは20nm程度の不均一部分が存在していると推察される。
図5及び表10の結果から含フッ素重合体中でγ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン及びその縮合体がナノクラスタを形成していると推定され、このナノクラスタの大きさは熱処理温度が高いほど増大する傾向が見られた。このナノクラスタはエレクトレットの電荷保持部として働き、前述の電荷保持の経時的安定性の向上及び、熱安定性の向上に寄与すると推察しており、本発明におけるエレクトレットの熱安定性の向上にはこのナノクラスタの大きさが増大したことも寄与していると考えられる。
Figure 0005494643
<試験例6>
[実施例41〜44、比較例41〜44]
(1)エレクトレットの調製
重合体組成物溶液を表11、12の重合体組成物溶液としたこと、熱処理温度及びグリッド電圧を表11、12の値としたこと以外は、実施例8と同様にして、各実施例、比較例のエレクトレットを調製した。
(2)表面電位の測定
調製した各エレクトレットについて、車載用の静電誘導型変換素子を想定して、実施例8と同様に以下の各表面電位を測定すると共に、表面電位残存率を求めた。結果を表11、12に示す。
Figure 0005494643
Figure 0005494643
シランカップリング剤としてN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、またはm−アミノフェニルトリメトキシシランを用いた場合について、表11、12に示す表面電位残存率を比較したところ、同じ重合体組成物溶液を用いた例同士で比較すると、熱処理温度が260〜280℃である実施例は、何れも熱処理温度が200℃である比較例の表面電位残存率を上回っていた。
<試験例7>
[実施例51〜56、比較例51〜55]
(1)エレクトレットの調製
重合体組成物溶液を表13、14の重合体組成物溶液としたこと、熱処理温度及びグリッド電圧を表13、14の値としたこと以外は、実施例20と同様にして各実施例、比較例のエレクトレットを調製した。
(2)表面電位の測定
調製した各エレクトレットについて、実施例20と同様に各表面電位を測定した。結果を表13、14に示す。
Figure 0005494643
Figure 0005494643
シランカップリング剤としてN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、またはm−アミノフェニルトリメトキシシランを用いた場合について、表13に示す放電開始温度を比較したところ、熱処理温度が260〜300℃である実施例は、何れも放電開始温度が250℃未満である比較例の放電開始温度を上回っていた。
また、表14に示す放電開始温度を、同じ重合体組成物溶液を用いた例同士で比較したところ、熱処理温度が260〜280℃である実施例は、何れも熱処理温度が200℃である比較例の放電開始温度を上回っていた。
本発明は、発電装置、マイクロフォン等の静電誘導型変換素子に用いられるエレクトレットの製造に利用できる。
なお、2009年2月20日に出願された日本特許出願2009−038508号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
10…銅基板、11…コーティング膜、12…直流高圧電源装置、14…コロナ針、16…グリッド、17…電流計、18…グリッド用電源、19…ホットプレート、20…対向電極、21…エレクトレット、22…電流計。

Claims (9)

  1. (1)含フッ素重合体とシランカップリング剤とを、溶媒で溶解したコーティング液を得る工程(コーティング液調製工程)、
    (2)前記コーティング液を基板にコーティングし、前記含フッ素重合体と前記シランカップリング剤とを含有するコーティング層を形成する工程(コーティング工程)、
    (3)前記コーティング層を熱処理し塗膜を得る工程(熱処理工程)、および
    (4)前記熱処理後の塗膜に電荷を注入する工程(電荷注入工程)
    (1)、(2)、(3)、(4)の順番で含み、
    前記含フッ素重合体は、主鎖に脂肪族環構造を有すると共に、末端基としてカルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を有し、
    前記シランカップリング剤は、アミノ基を有し、
    前記熱処理の温度は250℃〜330℃であることを特徴とするエレクトレットの製造方法。
  2. 前記含フッ素重合体は、主鎖に、前記脂肪族環構造として含フッ素脂肪族環構造を有する請求項1に記載のエレクトレットの製造方法。
  3. 前記含フッ素重合体は、主鎖に、前記脂肪族環構造としてエーテル性酸素原子を含む環構造を有する請求項1または2に記載のエレクトレットの製造方法。
  4. 前記含フッ素重合体は、主鎖に、前記脂肪族環構造としてエーテル性酸素原子を含む含フッ素脂肪族環構造を有する請求項1から3のいずれか一項に記載のエレクトレットの製造方法。
  5. 前記含フッ素重合体の重量平均分子量が15万〜65万である請求項1から4のいずれか一項に記載のエレクトレットの製造方法。
  6. 前記シランカップリング剤が、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、およびアミノフェニルトリメトキシシラン、から選択される1種以上である、請求項1から5のいずれか一項に記載のエレクトレットの製造方法。
  7. 前記シランカップリング剤の含有量が、前記含フッ素重合体と前記シランカップリング剤の合計量に対して、0.1〜20質量%である請求項1から6のいずれか一項に記載のエレクトレットの製造方法。
  8. 前記溶媒が含フッ素有機溶媒である、請求項1から7のいずれか一項にエレクトレットの製造方法。
  9. 請求項1からのいずれか一項に記載の製造方法で得られたエレクトレットを具備することを特徴とする静電誘導型変換素子。
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