JP5266687B2 - 異常検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、交流回転機を電力変換器によって駆動制御する駆動制御システムに対し故障等の異常検出を行う異常検出装置に関するものであり、特に交流回転機、電力変換器、及び電力変換器と交流回転機とを電気的に接続する接続手段(三相出力線)の少なくとも1つの異常を検知する異常検出装置に関するものである。
複数のスイッチング素子を備え、直流を交流に変換する電力変換器において、その出力である三相交流が欠相した場合、その負荷となる交流回転機などに対して重大な支障を及ぼす可能性がある。
そのため、この欠相を検知する方法として、電流検出器により三相出力電流の各相の瞬時値(iu,iv,iw)を検出し、この3つの瞬時値の和が零でないことを検知する方法が取られていた。
しかしながら、この方法では、負荷側の異常による欠相、例えば回転機内での地絡による欠相は検知可能であるが、三相出力線の断線や電力変換器の故障による異常は検知できない欠点があった。そのため、前記のような課題を解消し、この種の駆動制御装置の故障診断方法として以下に示す特許文献1,2に記載されたものがあった。
特許文献1では、電力変換器において選択した2つのスイッチング素子をオンとして選択された相間に電流を流し、この時に2つの電流検出回路で検出される電流波形の傾きが基準の傾きと一致していれば、その時に電流が流れる回路におけるスイッチング素子、電流検出回路、モータ巻線などに異常がないと判断する。もし、検出した出力電流波形の傾きが「0」もしくは基準より小さい場合には、スイッチング素子、電流検出回路、モータ巻線などに異常があるものと判断する。さらに、オンするスイッチング素子を変更して同様に電流検出回路の波形の傾きを求めて異常箇所を特定する。また、検出した電流波形の傾きが基準より大きい場合には、ケーブルもしくはモータの巻線に短絡が生じているものとして判断を行う。
特許文献2では、電流検出器により電力変換器の三相出力電流の各相の瞬時値(iu,iv,iw)を検出し、この3つの瞬時値から三相交流電流の実効値を演算して、その実効値の変化率を常に監視し、欠相時にこの変化率が通常時とは大きく変化することから欠相を検知していた。
特開平10−23795号(第2−3頁、図1,2) 特開平04−236123号(第2頁、図1,2)
このように、特許文献1では電力変換器の選択した2つのスイッチング素子をオンとして選択した相間に電流を流し、2つの電流検出回路で検出される電流波形の傾きに基づいて欠相を検知することが可能となる。
しかし、特許文献1では、2つのスイッチング素子をオンしただけでは二相のモータの巻線にしか電流は流れない。例えば、U相、V相のスイッチング素子をオンすると、U相、V相のケーブル及びモータの巻線のみに電流が流れることになり、W相のケーブル及びモータの巻線には電流は全く流れない。そのため、W相の異常状態を診断するためには、再度、W相に電流が流れるようにスイッチング素子を選択して異常状態を診断することを行わなければならず、2回以上異常状態を診断する動作を行わなければならない。
また、特許文献1では直流電源の直流電圧が変化するとスイッチング素子をオンした時の印加される電圧が変化するため、選択した相間に流れる電流値が変化し、2つの電流検出回路で検出される電流波形の傾きも変化する。そのため、基準の傾きを決めた時の直流電圧より欠相を検知するためにスイッチング素子をオンした時の直流電圧が高ければ、傾きは大きくなる。そして、同様に基準の傾きを決めた時の直流電圧より欠相を検知するためにスイッチング素子をオンした時の直流電圧が低いと、傾きは小さくなる。そのため、特許文献1の方法では、直流電源の直流電圧が変化した場合、正確に異常を検知できない課題があった。
また、特許文献1では、電流検出回路で検出したフィードバック電流をオシロスコープで読み取り、傾きを検出している。そのため、実験開始時や装置の立ち上げ時、もしくは装置の定期検査時などを想定した、人によって実施される診断方法である。しかし、モータ巻線による相不平衡や断線など欠相が起こりうる状況は、電力変換器が起動している時にこそ発生する可能性が高く、電力変換器が起動している時もしくは起動直後にこそ、速く欠相を検知し、速く安全に電力変換器を停止することが求められており、特許文献1の構成では実施できない課題があった。
交流回転機内での地絡や電力変換器の短絡故障では、電流が瞬時的に非常に大きい短絡電流が流れる。特許文献1に記載される傾きの検出をオシロスコープではなく、マイコンなどで実現する場合、マイコンのサンプリング周期でサンプリングした2点の電流値より電流の傾きを算出して異常を判断するが、前記のように瞬間的に短絡電流が流れる場合ではマイコンのサンプリング周期間では2点をサンプリングできず電流の傾きを算出できず、異常を検知できない課題があった。
一方、特許文献2は、前述のように、電力変換装置が起動している時に三相出力電流iu,iv,iwの瞬時値を検出し、この3つの瞬時値から得られる三相交流電流の実効値の変化率を常に監視し欠相を検知するが、三相出力電流iu,iv,iwの瞬時値を検出する電流検出手段が3つ必要であり、電流検出手段を2つ以下で実施すると、電流検出手段を取り付けていない相の断線を検知できない課題があった。例えば、U、V相に電流検出手段を取り付け、三相出力電流iu,ivを検出すると、W相は三相出力電流の各相瞬時値の和は零の関係iu+iv+iw=0が成立することから、iw=−(iu+iw)より演算するが、そのようにすると上述したように三相出力線の断線や電力変換装置の故障による異常は検知できない課題が生じる。
また、電流検出手段を3つ備えた場合においても、異常を検知する際に、検出された3つの瞬間値より実効値を演算し、この演算値の変化率を監視して異常を検知するので、装置の構成が複雑となる。特に変化率を演算するのに微分回路を用いているため、電力変換装置が正常時の起動直後などに実効値が零になる時に微分回路の出力が∞もしくはかなり大きい値になり誤検知を行う可能性があるので、その対策を行う必要がある。そのため、微分回路の構成が複雑になる。
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、電力変換器、交流回転機、及び前記電力変換器と前記交流回転機とを電気的に接続する接続手段の少なくともいずれか1つの異常を、簡単な構成で確実に検知することができる異常検出装置を得ることを目的としている。
この発明に係る異常検出装置は、複数のスイッチング素子を備え、直流電圧を三相交流電圧に変換する電力変換器、前記電力変換器により駆動制御される交流回転機、及び前記電力変換器と前記交流回転機とを電気的に接続する接続手段の少なくともいずれか1つの異常を検知する異常検出装置であって、
前記電力変換器への直流入力電流または前記電力変換器の三相出力電流のうちの少なくとも一相の出力電流を検出する電流検出手段と、
前記交流回転機の三相全てに電圧を印加するために前記複数のスイッチング素子にスイッチング指令信号を出力すると共に、前記電力変換器が出力する三相電圧の線間電圧のうち、2つの線間電圧が同じ符号で、他の1つの線間電圧が0となる特定のスイッチング指令信号を出力するスイッチング指令発生手段と、
前記スイッチング指令発生手段が前記複数のスイッチング素子に前記特定のスイッチング指令信号を出力する期間に、前記電流検出手段が検出する電流に基づいて前記異常を検知する異常検知手段と
を備えたものである。
この発明によれば、電力変換器、交流回転機、及び前記電力変換器と前記交流回転機とを電気的に接続する接続手段の少なくともいずれか1つの異常を、簡単な構成で確実に検知することができる。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による異常検出装置及び駆動制御システムの回路構成を示す図である。
駆動制御システムは、電力変換器1と、交流回転機2と、電力変換器1と交流回転機2とを接続する接続手段3a,3b,3c(総称する時は3)と、直流電源7とを備えている。
異常検出装置は、電流検出手段4a,4bと、スイッチング指令発生手段5と、異常検知手段6とを備えている。
電極変換器1は、複数のスイッチング素子8a〜8fを備え、直流電圧を任意の周波数の三相交流電圧に変換する電力変換器であり、可変電圧可変周波数(VVVF)制御及び定電圧可変周波数(CVVF)制御のどちらの制御をするものであっても良い。
交流回転機2は電力変換器1により駆動制御される。ここでは誘導電動機であるが、同期電動機でもよく、また回転型でなく板状のリニアインダクションモータであってもよい。
接続手段3a,3b,3cは、電力変換器1と交流回転機2とを接続する配線ケーブルなどの接続手段であるが、電力変換器1と交流回転機2とを直接つなぐ場合の半田、接続コネクタ、プリント基板でも良い。
電流検出手段4a,4bは、電力変換器1の三相出力電流のうち接続手段3b,3cに流れる電流を検出する電流検出手段であり、交流回転機2に発生する相電流iv,iwを検出する。
スイッチング指令発生手段5は、電力変換器1を構成するスイッチング素子8a,8b,8c,8d,8e,8fをオン、オフさせるためのスイッチング指令信号(Gu〜Gz信号)を発生し出力する。
スイッチング指令発生手段5より出力されるGu信号はスイッチング素子8aをオン、オフさせる指令信号、Gv信号はスイッチング素子8bをオン、オフさせる指令信号、Gw信号はスイッチング素子8cをオン、オフさせる指令信号、Gx信号はスイッチング素子8dをオン、オフさせる指令信号、Gy信号はスイッチング素子8eをオン、オフさせる指令信号、Gz信号はスイッチング素子8fをオン、オフさせる指令信号である。
スイッチング指令発生手段5は、電力変換器1が出力する三相電圧の線間電圧がそれぞれあらかじめ設定した符号になるように、同時にオンさせるスイッチング素子を3つ選択し、スイッチング指令信号を出力する。即ち、交流回転機2の三相全てに電圧が印加されるようにする共に、電力変換器1が出力する三相電圧の線間電圧のうち、2つの線間電圧が同じ符号で、他の1つの線間電圧が0となるような特定のスイッチング指令信号を発生する。
図2は、本発明の実施の形態1に係るスイッチング指令発生手段5の構成図である。
スイッチング指令発生手段5は、Gx,Gv,Gw信号を0とし、スイッチング素子8b,8c,8dをオフする指令を出力する。また、スイッチング指令発生手段5の第1のスイッチング指令手段9は、Gu,Gy,Gz信号を1とし、3つのスイッチング素子8a,8e,8fをオンする指令を出力する。
3つのスイッチング素子8a,8e,8fをオンすることにより、U相の接続手段3aに相電流iuが流れて交流回転機である誘導機2の巻線を介して、V,W相の接続手段3b,3cに相電流iuの半分の電流値であり負方向の相電流iv,iwが流れる。その相電流iv,iwを電流検出手段4a,4bが検出し異常検知手段6に出力する。
なお、スイッチング指令発生手段5が出力するスイッチング指令信号は上記例(Gx,Gv,Gw信号を0、Gu,Gy,Gz信号を1とし、スイッチング素子8b,8c,8dをオフし、スイッチング素子8a,8e,8fをオンする指令信号)に限らず、以下の表1の例2〜例6に示すようなスイッチング指令信号であってもよい。すなわち、電力変換器が出力する三相電圧の線間電圧のうち、2つの電流検出器がそれぞれ検出する相電流に対応する二相の間の線間電圧が0で、他の2つの線間電圧が同じ符号となるようなスイッチング指令信号であってもよい。
このような信号が出力された際の正常時の相電流は、電流検出手段が設置される2つの接続手段にそれぞれ流れる2つの相電流の符号が同じ符号で、前記電流検出手段が設置されない残りの1つの接続手段に流れる相電流の符号が前記2つの相電流の符号と異なっている。スイッチング指令発生手段5はこのようなスイッチング指令信号を1回発生する。
なお、表1において、例1のスイッチング指令信号のパターンは上記実施の形態で示したパターンであり、以下の説明では例1のスイッチング指令信号のパターンによる動作を示す。
Figure 0005266687
異常検知手段6は、スイッチング指令発生手段5が前記スイッチング指令信号を出力した際に、電流検出手段4a,4bが検出する電流に基づいて電力変換器1、交流回転機2、及び接続手段3の少なくともいずれか1つの異常を検知する。
直流電源7は、バッテリなどの直流電圧を出力するものである。また、交流電源からダイオード整流回路及びブリッジ整流回路を用いる他励式整流回路、もしくはPWM(Pulse width modulation:パルス幅変調)制御を行うコンバータを用いた自励式整流回路によって、交流電圧を直流電圧に変換した直流電源であっても良い。
スイッチング素子8a〜8fは、一般的な電力用パワートランジスタを示しているが、IGBT(Insulated gate bipolar transistor)や、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)でも良い。また、最近、開発が進んでいる炭化シリコン(SiC)を用いたスイッチング素子でも良く、スイッチング素子の種類を問わない。
図3は、本発明の実施の形態1に係る異常検知手段6の構成図である。
異常検知手段6は、減算器11、ノットイコール比較器12、論理和(OR)手段13、小なり比較器14a,14b、イコール比較器15a,15b、及び検知時素手段16a,16bで構成される。
異常検知手段6の小なり比較器14aは、電流検出手段4aで検出された相電流ivと、予め設定された電流値「−I1」(交流回転機2の定数やスイッチング時間や直流電圧などで決まる)とを比較する。相電流ivが「−I1」より小さくなる場合(相電流ivが「I1」よりマイナスの値が大きくなる場合)は、W相の接続手段3cが断線しているか、V相の接続手段3bの地絡やV相を構成するスイッチング素子8b,8eの故障などが考えられ、小なり比較器14aは論理和(OR)手段13に1を出力する。
異常検知手段6の小なり比較器14bも同様に、電流検出手段4bで検出された相電流iwと、予め設定された電流値「−I1」とを比較する。相電流iwが「−I1」より小さくなる場合(相電流ivが「I1」よりマイナスの値が大きくなる場合)は、V相の接続手段3bが断線しているか、W相の接続手段3cの地絡やW相を構成するスイッチング素子8c,8fの故障などが考えられ、小なり比較器14bは論理和(OR)手段13に1を出力する。
異常検知手段6のイコール比較器15aは、電流検出手段4aで検出された相電流ivと零とを比較し、零であれば1を出力する。検知時素手段16aは、比較結果の取り込みを所定の時間遅らせるため取り付けられたものである。電力変換器1の起動直後のivは正常時にも零であるため、検知時素手段16aは正常と異常時を判断するために、所定時間経過後の比較結果を取り込む。
なお、所定時間経過後に相電流ivが零になる場合(異常時)は、V相の接続手段3bが断線している場合やU相の接続手段3aの地絡やU相を構成するスイッチング素子8a,8dの故障などが考えられる。イコール比較器15aはこれらの故障による異常時に1を出力し、検知時素手段16aを介して論理和(OR)手段13にその結果が入力される。
異常検知手段6のイコール比較器15bも同様に、電流検出手段4bで検出された相電流iwと零とを比較し、零であれば1を出力する。検知時素手段16bは正常と異常時を判断するために、所定時間経過後の比較結果を取り込む。
所定時間経過後に相電流iwが零になる場合(異常時)は、W相の接続手段3cが断線している場合やU相の接続手段3aの地絡やU相を構成するスイッチング素子8a,8dの故障などが考えられる。イコール比較器15bはこれらの故障による異常時に1を出力し、検知時素手段16bを介して論理和(OR)手段13にその結果が入力される。
異常検知手段6の減算器11及びノットイコール比較器12は、電流検出手段4a,4bで検出した2つの相電流iv,iwの偏差から異常を検知する。すなわち、正常の場合は、相電流ivと相電流iwとは同じ電流が流れて、2つの相電流iv,iwの偏差は零になる。そのため、そのことを利用して相電流iv,iwの偏差を減算器11により演算し、その偏差が零以外の時に異常を検知するようにノットイコール比較器12で減算器11の出力値と零とを比較して、零以外であるとノットイコール比較器12は1を論理和(OR)手段13に出力する。
なお、異常時に2つの相電流iv,iwとの偏差が零以外になる場合は、V,W相の接続手段3b,3cが断線している場合や、V,W相の接続手段3b,3cの地絡や、V,W相を構成するスイッチング素子8b,8e,8c,8fの故障などであり、このようなV,W相の異常を検知できる。
異常検知手段6における前記各構成のうち、小なり比較器14a,14bを用いて電流値「−I1」と比較する方法は、電流値「−I1」を決めた直流電圧より直流電圧が変化すると交流回転機2に印加する電圧が変わるため、その時に流れる電流値も変化するので、直流電圧の変動の影響を受ける検知方法であるが、減算器11及びノットイコール比較器12を用いて検出した2つの電流の偏差を用いる方式は、電流の影響を除去でき、直流電圧の変動に無関係となるため、電流検出手段を設けた相の異常を確実に検知することができる効果がある。
上述した異常検知手段6におけるノットイコール比較器12、小なり比較器14a,14b、イコール比較器15a(及び検知時素手段16a),15b(及び検知時素手段16b)の何れかが、異常を検知して論理和(OR)手段13に1を出力すると、論理和(OR)手段13は異常検知を意味するPUD信号を出力して、電力変換器1の動作を停止する。
異常を検知して電力変換器1の動作を停止することにより、異常を検知した箇所以外の電力変換器や交流回転機の拡大故障を防止する効果がある。
なお、図1ではPUD信号により電力変換器1の動作を停止するように記載しているが、例えば、電力変換器1、接続手段3、交流回転機2を接続したした直後などに故障診断を行う方法として本方式を用い、PUD信号をモニタ表示したり、アラーム音で異常を警告することのみでも良い。
次に、本実施の形態の動作原理及び動作波形を図4,5により説明する。
なお、図4は説明を簡略化するために、図1に示す電力変換器1、直流電源7、接続手段3a,3b,3c、交流回転機2のみ記載して動作説明を行う。
また、電力変換器1を構成するスイッチング素子は、説明を簡略化するために理想スイッチで記載しているが、基本的な動作は理想スイッチング素子と同じように考えられるので、このように記載している。
図4(a)は正常時の動作原理であり、スイッチング指令発生手段5の第1のスイッチング指令手段9によりGu,Gy,Gz信号が3つのスイッチング素子8a,8e,8fをオンしている状態を示している。そのため、相電流iu(電流値:「I1×2」)は接続手段3aを介して交流回転機2の巻線を通って、iuの半分の電流(電流値:「I1」)が、接続手段3b、接続手段3cを介して、スイッチ8e,8fに流れる。
相電流iuの流れる方向を正方向と定義すると、相電流iv,iwは負方向に流れていると考えられる。
以上の動作波形を示したのが図5の左側の波形Aであり、正常時は、相電流iv,iwは、負の値の「−I1」が流れて、2つの相電流iv,iwの偏差iv−iwは、正常時は零になる。
次に、図4(b)は、例えばW相のケーブル(接続手段3c)が断線する異常時の動作原理であり、図5の右側の波形BがW相のケーブル(接続手段3c)が断線する異常時の動作波形図である。
図4(b)に示すように、W相のケーブル(接続手段3c)が断線する異常時は、相電流iwがiw=0になるので、相電流iu(電流値:「I1×2」)は、W相に電流が流れないことから、接続手段3aを介して交流回転機2の巻線を通って、iu=−ivとなる相電流ivが接続手段3bを介してスイッチ8eに流れることになる。
そのため、図5の動作波形Bに示すように、正常時の動作波形Aと比較すると、相電流iv,iwや相電流ivとiwとの偏差iv−iwが正常時と異なっており、異常が検知できることがわかる。
W相のケーブル(接続手段3c)が断線する異常は、図5の動作波形Bに示すように、設定した電流値「−I1」より小さい電流がivに流れるので、図3の異常検知手段6の小なり比較器14aにより検知できる。
さらに、iwが零になることより、図3の異常検知手段6のイコール比較器15bより検知できる。
また、iv−iwが零でないことから、図3の異常検知手段6のノットイコール比較器12より検知できる。
そのため、上述したいずれかの1つ以上の手段よりW相のケーブルの異常を検知して1が出力され、論理和(OR)手段13より異常を検知したというPUD信号を出力する。
W相のケーブルの断線以外の他の異常時においても、同様に、図3の異常検知手段6の、減算器11、ノットイコール比較器12、論理和(OR)手段13、小なり比較器14a,14b、イコール比較器15a,15b、及び検知時素手段16a,16bのいずれか1つ以上の手段により異常を検知でき、異常を検知した場合に論理和(OR)手段13に1を出力する。
論理和(OR)手段13に1が入力されると、論理和(OR)手段13は異常検知を意味するPUD信号を出力して、電力変換器1の動作を停止する。
次に、本実施の形態の動作をシミュレーションで確認し、その結果を図6,7に示す。
シミュレーション条件は、直流電源7の直流電圧を1500Vとして、交流回転機2の定数は、電鉄などに用いられる180kW級の交流回転機の定数を使用した。
図6のシミュレーション結果は、正常時の相電流iu,iv,iw波形を示している。図6のシミュレーション結果より、この交流回転機2では「−I1」を−80Aに設定すれば良いことが判る。
図7(a)のシミュレーション結果は、W相のケーブル(接続手段3c)断線時を模擬したものであり、相電流iwが零になることや相電流ivが「−I1」より小さくなることや相電流の偏差iv−iwが零でないことにより検知できることを示している。すなわち、異常検知手段6のイコール比較器15b及び小なりイコール比較器14a、及びノットイコール比較器12より検知できることを示している。
図7(b)のシミュレーション結果は、V相のケーブル(接続手段3b)断線時を模擬したものであり、相電流ivが零になることや相電流iwが「−I1」より小さくなることや相電流の偏差iv−iwが零でないことにより検知できることを示している。すなわち、異常検知手段6のイコール比較器15a及び小なりイコール比較器14b及びノットイコール比較器12より検知できることを示している。
図7(c)のシミュレーション結果は、U相のケーブル(接続手段3a)断線時を模擬したものであり、相電流iv,iwが零になることにより検知できることを示している。すなわち、異常検知手段6のイコール比較器15a、15bより検知できることを示している。
図7(d)のシミュレーション結果は、W相のケーブル(接続手段3c)地絡時を模擬したものであり、相電流iwが零になることや相電流の偏差iv−iwが零でないことにより検知できることを示している。すなわち、異常検知手段6のイコール比較器15b及びノットイコール比較器12より検知できることを示している。
図7(e)のシミュレーション結果は、V相のケーブル(接続手段3b)地絡時を模擬したものであり、相電流ivが零になることや相電流の偏差iv−iwが零でないことにより検知できることを示している。すなわち、異常検知手段6のイコール比較器15a及びノットイコール比較器12より検知できることを示している。
図7(f)のシミュレーション結果は、U相のケーブル(接続手段3a)地絡時を模擬したものであり、相電流iv,iwが零になることにより検知できることを示している。すなわち、図7(c)のU相のケーブル断線時と同様に異常検知手段6のイコール比較器15a,15bより検知できることを示している。
以上より、本実施の形態1においては、2つの電流検出手段と、3つのスイッチング素子をオンする1回のスイッチング指令信号とを用い異常を検出するので、電力変換器、交流回転機、及び接続手段の少なくともいずれか1つの異常を簡単に短時間で、かつ確実に検知でき、電力変換器や交流回転機の拡大故障を防止する効果がある。
実施の形態2.
図8は本発明の実施の形態2による異常検出装置及び駆動制御システムの回路構成を示す図、図9は本発明の実施の形態2に係る異常検知手段を示す構成図である。
本実施の形態では、直流電圧検出手段17により直流電圧を検出し、「−I1」の値を変更する点、及び異常検知手段18において電流検出手段4a,4bのオフセットなどを考慮する点が実施の形態1と異なっている。これにより異常を検出する精度を向上させることが可能となる。
なお、他の構成は実施の形態1と同様であり、図面も同一符号で示す。また、電流検出手段の設置位置とスイッチング指令信号との関係に関しても実施の形態1の表1と同様である。ここでは実施の形態1と異なる部分のみ説明する。
図8,9において、直流電圧検出手段17は直流電圧Vdを検出し、異常検知手段18に入力する。入力された直流電圧vdは、除算器20により直流電圧指令vd*で割られる。なお、直流電圧指令vd*は、電流値「−I1」を決めた時の直流電圧である。除算器20で演算された「直流電圧vd/直流電圧指令vd*」は、電流値「−I1」と掛算器21aで掛け合わせる。そのことにより、電流値「−I1」を決めた直流電圧(vd*)より直流電圧が変動したことを電流値「−I1」に考慮することができる。
例えば、直流電圧1500Vで電流値「−I1」を決めた場合に、本実施の形態の直流電圧検出手段17で検知した直流電圧が1200Vであるとすると、交流回転機2に印加される電圧も小さくなるため、流れる電流の実効値は小さくなる。その小さくなる比率は、直流電圧の変動比率で決めることができ、1200/1500となる。1200/1500を「−I1」に掛け合わせることにより、直流電圧の変動を考慮した「−I1*」にすることができる。
この直流電圧の変動を考慮した新たな「−I1*」を小なり比較器14a,14bに入力し、実施の形態1と同様に相電流iv,iwとの比較を行う。
また、直流電圧の変動を考慮した「−I1*」は、掛算器21bで「0.01」と掛け合わす。掛算器21bの出力は、実施の形態1でイコール比較器15a、15bやノットイコール比較器12において用いた比較値「0」の代わりとする。このような比較値で比較することにより、電流検出手段4a、4bなどにオフセットがある場合でも異常を検知できることが可能となる効果がある。
異常検知手段18の大なり比較器22aは、電流検出手段4aで検出された相電流ivと、掛算器21bで「−I1*」と0.01とを掛け合わせたほとんど零に近い値である「−0.01×I1*」とを比較し、相電流ivが「−0.01×I1*」より大きければ1を出力する。ivは正常時にも「−0.01×I1*」より大きくなることがあるため、検知時素手段16aは、所定の時間検知を遅らせるため取り付けられたものであり、正常と異常時を判断するために必要な手段である。
なお、相電流ivが「−0.01×I1*」より大きくなる異常の場合は、V相の接続手段3cが断線している場合や、U相の接続手段3aの地絡や、U相を構成するスイッチング素子8a、8dの故障などが考えられる。
検知時素手段16aに設定されている時間経過後に大なり比較器22aが前記のような故障による異常を検知した時に、大なり比較器22aから出力される信号が検知時素手段16aを介して論理和(OR)手段13に入力される。
異常検知手段18の大なり比較器22bも同様に、電流検出手段4bで検出された相電流iwと「−0.01×I1*」とを比較し、相電流iwが「−0.01×I1*」より大きければ1を出力する。相電流iwが「−0.01×I1*」より大きくなる異常の場合は、W相の接続手段3cが断線している場合や、U相の接続手段3aの地絡や、U相を構成するスイッチング素子8a,8dの故障などが考えられる。検知時素手段16bに設定されている時間経過後に大なり比較器22bが前記のような故障による異常を検知した時に、大なり比較器22bから出力される信号が検知時素手段16bを介して論理和(OR)手段13に入力される。
異常検知手段18の大なり比較器22cは、電流検出手段4a,4bで検出した2つの相電流iv,iwの偏差から異常を検知する。すなわち、絶対値手段23aで相電流の偏差iv−iwの絶対値をとり、相電流の偏差絶対値|iv−iw|を入力とする。また、比較する値は、直流電圧の変動を考慮した「−I1*」と0.01とを掛け合わせたほとんど零に近い値である「−0.01×I1*」を、絶対値手段23bで絶対値処理した値をする。相電流の偏差絶対値|iv−iw|が直流電圧の変動を考慮した|0.01×I1*|より大きければ、大なり比較器22cは論理和(OR)手段13に1を出力する。
これによりU相の接続手段3aが断線している場合や、U相の接続手段3aの地絡や、U相を構成するスイッチング素子8a,8dの故障などを確実に検知できる。
また、電流検出手段4a,4bなどにオフセットがある場合でも異常を確実に検知できる効果がある。
以上より、本実施の形態2においては、直流電圧検出手段と、2つの電流検出手段と、3つのスイッチング素子をオンする1回のスイッチング指令信号とを用い異常を検出するので、直流電圧の変動の影響を受けずに、電力変換器、交流回転機、及び接続手段の少なくともいずれか1つの異常を簡単に短時間で、かつ確実に検知でき、電力変換器や交流回転機の拡大故障を防止する効果がある。
実施の形態3.
図10は本発明の実施の形態3による異常検出装置及び駆動制御システムの回路構成を示す図、図11は本発明の実施の形態3に係るスイッチング指令発生手段を示す構成図、図12は本発明の実施の形態3に係る異常検知手段を示す構成図、図13は本発明の実施の形態3による異常検出装置における正常時の動作波形図、図14は本発明の実施の形態3による異常検出装置における異常時の動作波形図である。
本実施の形態では、実施の形態1,2と比較して電流検出手段4cが1つである点、及びスイッチング指令発生手段24が3つのパターンのスイッチング指令信号を出力する点が異なる。また、異常検知手段25の構成が異なり、前記3つのパターンのスイッチング指令信号に対して検出される相電流の処理方法が異なる。
なお、他の構成は実施の形態1と同様であり、図面も同一符号で示す。ここでは異なる部分のみ説明する。
図10において、電流検出手段4cは、電力変換器1の三相出力電流のうち接続手段3aに流れる電流を検出する電流検出手段であり、交流回転機2に発生する相電流iuを検出する。
図11において、スイッチング指令発生手段24は、第1のスイッチング指令手段9、第2のスイッチング指令手段26、第3のスイッチング指令手段27、及び論理和(OR)手段28a,28b,28cを備えている。
第1のスイッチング指令手段9は、実施の形態1と同様に、Gu,Gy,Gz信号を1とし、3つのスイッチング素子8a,8e,8fをオンする指令を出力する。
また、第2のスイッチング指令手段26は、Gx,Gv,Gz信号を1とし、3つのスイッチング素子8d,8b,8fをオンする指令を出力する。
第3のスイッチング指令手段27は、Gx,Gy,Gw信号を1とし、3つのスイッチング素子8d,8e,8cをオンする指令を出力する。
論理和(OR)手段28aは、第2のスイッチング指令手段26と第3のスイッチング指令手段27とのいずれかがGx信号を1とする指令信号を出力した場合に、スイッチング素子8dをオンする指令を出力する。
同様に、論理和(OR)手段28bは、第1のスイッチング指令手段9と第3のスイッチング指令手段27とのいずれかがGy信号を1とする指令信号を出力した場合に、スイッチング素子8eをオンする指令を出力する。
同様に、論理和(OR)手段28cは、第1のスイッチング指令手段9と第2のスイッチング指令手段26とのいずれかがGz信号を1とする指令信号を出力した場合に、スイッチング素子8fをオンする指令を出力する。
なお、図示を省略するが、スイッチング指令発生手段24は、第1のスイッチング指令手段9、第2のスイッチング指令手段26、及び第3のスイッチング指令手段27のいずれかが所定の3つの信号を選択し、1を出力した場合、選択した信号以外の残りの3つの信号に対しては0を出力し、対応するスイッチング素子をオフするように構成される。
本実施の形態のスイッチング指令発生手段24は、最初に第1のスイッチング指令手段9が動作し、次に第2のスイッチング指令手段26が、次に第3のスイッチング指令手段27が動作し、それぞれパターンの異なる特定のスイッチング指令信号を3回発生する。
また、異常検知手段25は、スイッチング指令発生手段24が発生するパターンの異なる3つのスイッチング指令信号に対して、電流検出手段4cが検出する3つの電流値を入力し異常を検知する。
なお、上記スイッチング指令発生手段24は、図11に示すように、第1のスイッチング指令手段9(Gu,Gy,Gz信号をオン)、第2のスイッチング指令手段26(Gx,Gv,Gz信号をオン)、及び第3のスイッチング指令手段27(Gx,Gy,Gw信号をオン)を備えるものとしたが、各スイッチング指令手段9,26,27が出力するスイッチング指令信号は上記例に限らず、以下の表2の例2に示すようなスイッチング指令信号であってもよい。すなわち、3つのスイッチング指令手段が順次出力するスイッチング指令信号は、全て、電力変換器が出力する三相電圧の線間電圧のうち、2つの線間電圧が同じ符号で、他の1つの線間電圧が0となるようなスイッチング指令信号であり、かつ各スイッチング指令信号は、前記線間電圧が0となる二相の組合せが、3回のスイッチング指令信号においてそれぞれ異なるようなスイッチング指令信号であってもよい。
このような信号が出力された際の正常時の相電流は、二相の相電流の符号が同じで、かつ前記二相の相電流の符号と前記二相以外の一相の相電流の符号とが異なっており、かつ相電流の符号が他の二相とは異なる一相が、3回のスイッチング指令信号において互いに異なる相となっている。
なお、表2の例1,2において、1つの電流検出手段がどの接続手段に設置されていても、表1の例1、または例2に示す3パターンのスイッチング指令信号で動作させればよい。
また、表2において、例1のスイッチング指令信号のパターンは上記実施の形態で示したパターンであり、以下の説明では例1のスイッチング指令信号のパターンによる動作を示す。
Figure 0005266687
図12において、異常検知手段25は、U相地絡検知手段29、U相断線検知手段30、V,W相断線地絡検知手段31、及び論理和(OR)手段37を備えている。
異常検知手段25のU相地絡検知手段29は、掛算器32a、及び大なり比較器33を備え、U相のスイッチング素子8aがオンして交流回転機2内での地絡や電力変換接続手段3aの地絡している時にU相電流iuが想定以上に大きくなることを検知する。
掛算器32aは、交流回転機2の定数やスイッチングする時間や直流電圧などで決まる「I1」と係数3とを掛ける。
図13の正常時の動作波形より、U相には3回のスイッチング指令により最大でも「2×I1」しか流れないことから「3×I1」より大きな電流が流れる時は異常であると判断できる。その判断を大なり比較器33で「3×I1」と相電流iuとを比較することで行う。大なり比較器33は、パターンの異なる3回のスイッチング指令でそれぞれ検出された相電流iuが「3×I1」より大きくなると異常であると判断して、1を論理和(OR)手段37に出力する。
異常検知手段25のU相断線検知手段30は、絶対値手段35、掛算器32b、小なり比較器34b、及び検知時素手段36を備え、接続手段3aが断線したことを検知する。 接続手段3aが断線した時は、パターンの異なる3回のスイッチング指令のいずれにおいても相電流iuは流れない(零である)。そのことを検知するために、掛算器32bで「I1」と「0.01」とを掛け合わし、その値と、パターンの異なる3回のスイッチング指令でそれぞれ検出された相電流iuを絶対値手段35でそれぞれ絶対値にした|iu|とを小なり比較器34aで比較する。相電流iuの絶対値が、「0.01×I1」より小さければ小なり比較器34aは異常であると判断して、1を出力する。この場合、正常時にも|iu|は「0.01×I1」より小さくなることがあるため、正常と異常時を判断するために検知時素手段36に設定されている時間分のみ遅れた比較結果を論理和(OR)手段37に出力するようにする。
異常検知手段25のV,W相断線地絡検知手段31は、掛算器32c、及び小なり比較器34bを備え、V相あるいはW相の断線地絡を検知する。
図13の正常時の動作波形より、U相には3回のスイッチング指令により最小でも「−I1」より大きな電流が流れる。V相あるいはW相の断線地絡時には相電流iuが、パターンの異なる3回のスイッチング指令のいずれかで「−I1」より小さくなるため、掛算器32cで「I1」に「−1.5」の係数を掛けて、「−I1」より小さい値「−1.5×I1」を演算し、小なり比較器34bにより、パターンの異なる3回のスイッチング指令でそれぞれ検出された相電流iuと、掛算器32cの出力である「−1.5×I1」とを比較する。その結果、相電流iuが「−1.5×I1」より小さければ、異常であると判断して、1を論理和(OR)手段37に出力する。
論理和(OR)手段37は、U相地絡検知手段29、U相断線検知手段30、及びV,W相断線地絡検知手段31の何れかが、異常を検知して論理和(OR)手段37に1を出力すると、論理和(OR)手段37は異常検知を意味するPUD信号を出力して、電力変換器1の動作を停止する。
異常を検知して電力変換器1の動作を停止することにより、異常を検知した箇所以外の電力変換器1や交流回転機2の拡大故障を防止する効果がある。
なお、図10ではPUD信号により電力変換器1の動作を停止するように記載しているが、例えば、電力変換器1、接続手段3、交流回転機2を接続したした直後などに故障診断方法として本方式を用い、PUD信号をモニタに表示したり、アラーム音で異常を警告することのみでも良い。
また、本実施の形態では異常検知手段25において電流検出手段4cのオフセットを考慮した構成としたが、掛算器32b、及び小なり比較器34aの代わりに比較値を「0」とするイコール比較器を用いてもよい。
また、実施の形態2と同様に、直流電圧検出手段により直流電圧を検出し、「I1」の値を「I1*」に変更して演算するようにしてもよい。
本実施の形態では、U相地絡検知手段29で異常を検知すると、U相を構成する部位が地絡していることを意味する。また、U相断線検知手段31で異常を検知するとU相の接続手段3aが断線していることを意味する。同様にV,W相断線地絡検知手段31で異常を検知するとV相もしくはW相の部位が地絡しているか、V相もしくはW相の接続手段3b、3cが断線していることを意味する。したがって、本実施の形態では、U相の異常の特定(地絡か断線か)を行うことができる効果がある。
そのため、論理和(OR)手段37から出力されるPUD信号により電力変換器1の動作を停止したり、PUD信号をモニタに表示するのでなく、論理和(OR)手段37の代わりに論理手段を用い、U相地絡検知手段29で異常を検知したら「U相地絡検知」、U相断線検知手段30で異常を検知したら「U相断線検知」、V,W相断線地絡検知手段31で異常を検知したら「V,W相断線地絡検知」とモニタに表示し、異常の特定を行うようにしても良い。
次に、本実施の形態における動作波形の一例を図13,14により詳細に説明する。図13は正常時の動作波形、図14は例えばV相のケーブル(接続手段3b)断線の異常時の動作波形図である。
まず、図13を用いて正常時の動作波形について説明を行う。本実施の形態は、上述したように、パターンの異なる3回のスイッチング指令でそれぞれ検出された相電流iuにより異常を検知する。
図13の1回目のスイッチング指令信号は、スイッチング指令発生手段24の第1のスイッチング指令手段9により、Gu,Gy,Gz信号がオン信号となる指令信号である。このスイッチング指令信号により、相電流iuは正側に最大振幅I1×2の電流が流れ、相電流iv、相電流iwはそれぞれ負側に振幅−I1の電流が流れる。当然、正常時はiu+iv+iw=I1×2−I1−I1=0の関係が保たれる。
図13の2回目のスイッチング指令信号は、スイッチング指令発生手段24の第2のスイッチング指令手段26により、Gx,Gv,Gz信号がオン信号となる指令信号である。このスイッチング指令信号により、相電流ivは正側に最大振幅I1×2の電流が流れ、相電流iu、相電流iwはそれぞれ負側に振幅−I1の電流が流れ、iu+iv+iw=0の関係が保たれる。
図13の3回目のスイッチング指令信号は、スイッチング指令発生手段24の第3のスイッチング指令手段27により、Gx,Gy,Gw信号がオン信号となる指令信号である。このスイッチング指令信号により、相電流iwは正側に最大振幅I1×2の電流が流れ、相電流iu、相電流ivはそれぞれ負側に振幅−I1の電流が流れ、iu+iv+iw=0の関係が保たれる。
以上が本実施の形態の正常時におけるスイッチング指令信号と相電流との関係である。
次に、図14を用いてV相のケーブル(接続手段3b)断線の異常時の動作波形について説明を行う。
図14の1回目のスイッチング指令信号(Gu,Gy,Gz信号がオン信号)に対して、V相のケーブル(接続手段3b)断線の異常時には、相電流ivは零になるが、相電流iuは正常時と同じように正側に最大振幅I1×2の電流が流れる。また、相電流iwは負側に最大振幅I1×2の電流が流れ、iu+iv+iw=0の関係が保たれる。この場合、図12の異常検知手段25では異常を検出しない。
次に、図14の2回目のスイッチング指令信号(Gx,Gv,Gz信号がオン信号)に対して、V相のケーブル(接続手段3b)断線の異常時には、相電流iv,iw,iuは全て零になる。そのことより、異常検知手段25のU相断線検知手段30により異常を検知できる。
次に、図14の3回目のスイッチング指令信号(Gx,Gy,Gw信号がオン信号)に対して、V相のケーブル(接続手段3b)断線の異常時には、相電流ivは零になるが、相電流iwは正常時と同じように正側に最大振幅I1×2の電流が流れる。また、相電流iuは負側に最大振幅I1×2の電流が流れ、iu+iv+iw=0の関係が保たれる。これにより、V,W相断線地絡検知手段31により異常を検知できる。
なお、本実施の形態の説明では、パターンの異なる3つのスイッチング指令信号を発生する順番を、第1のスイッチング指令手段9、第2のスイッチング指令手段26、第3のスイッチング指令手段27の順としたが、この順番に拘る必要はなく、例えば、第2のスイッチング指令手段26、第3のスイッチング指令手段27、第1のスイッチング指令手段9としても同様の効果が得られる。もちろん、他の考えられる順番で実施しても同様の効果が得られることは言うまでもない。
また、本実施の形態では、2回目の第2のスイッチング指令手段26で異常を検知しても3回目の第3のスイッチング指令手段27を実施するように記載しているが、異常を検知したら、その時点で次のスイッチング指令手段を動作させないようにしても良い。
なお、上述したV相のケーブル(接続手段3b)断線の異常時には、本実施の形態ではU相断線検知手段30とV,W相断線地絡検知手段31とにより異常を検知できるため、モニタ表示などを行う時は、「U相断線検知」より「V,W相断線地絡検知」を優先的に表示させ、V,W相断線地絡検知手段31が異常を検知しない場合に「U相断線検知」を表示すると良い。
また、W相のケーブル(接続手段3c)断線の異常時も同様にU相断線検知手段30とV,W相断線地絡検知手段31により異常を検知できるので、同様に、モニタ表示などを行う時は、「U相断線検知」より「V,W相断線地絡検知」を優先的に表示させ、V,W相断線地絡検知手段31が異常を検知しない場合に「U相断線検知」を表示すると良い。
以上より、本実施の形態3においては、1つの電流検出手段と、オンする3つのスイッチング素子が各々異なる3回のスイッチング指令信号とを用い異常を検出するので、電力変換器、交流回転機、及び接続手段の少なくともいずれか1つの異常をより簡単な構成で、かつ確実に検知でき、電力変換器や交流回転機の拡大故障を防止する効果がある。
実施の形態4.
図15は本発明の実施の形態4による異常検出装置及び駆動制御システムの回路構成を示す図、図16は本発明の実施の形態4に係る異常検知手段を示す構成図、図17は本発明の実施の形態4による異常検出装置における正常時の動作波形図、図18は本発明の実施の形態4による異常検出装置における異常時の動作波形図である。
本実施の形態では、実施の形態3と比較してスイッチング指令発生手段は実施の形態3と同じであるが、電力変換器1の直流側に直流電流検出手段39があり、異常検知手段38が異なる。
なお、他の構成は実施の形態3と同様であり、図面も同一符号で示す。ここでは異なる部分のみ説明する。
図15において、直流電流検出手段39は電力変換器1の直流側に取り付けられ、直流電流idを検出する。
直流電流検出手段39で検出された直流電流idは、異常検知手段38に入力される。 異常検知手段38は、図16に示すように、地絡検知手段40、及び断線検知手段41を備えている。
地絡検知手段40は、直流電流検出手段39で検出された直流電流idが入力される以外は実施の形態3のU相地絡検知手段29と同じ構成である。実施の形態3のU相地絡検知手段29はU相を構成する部位のみの地絡を検知する手段であったが、本実施の形態の地絡検知手段40はU,V,W相の全相を構成する部位の地絡を検知する手段である。
また、断線検知手段41は、直流電流検出手段39で検出された直流電流idが入力される以外は実施の形態3のU相断線検知手段30と同じ構成である。実施の形態3のU相断線検知手段30はU相の接続手段3aの断線を検知する手段であったが、本実施の形態の断線検知手段41は接続手段3a,3b,3cの断線を検知する手段である。
地絡検知手段40もしくは断線検知手段41が異常を検知したら1が出力され、論理和(OR)手段42に入力され、論理和(OR)手段42より異常を検知したというPUD信号が出力される。
次に、本実施の形態における動作波形の一例を図17,18により詳細に説明する。図17は正常時の動作波形、図18は例えばU相のケーブル(接続手段3a)断線の異常時の動作波形図である。
まず、図17を用いて正常時の動作波形について説明を行う。本実施の形態は、上述したように、パターンの異なる3回のスイッチング指令でそれぞれ検出された直流電流idにより異常を検知する。
図17の1回目のスイッチング指令信号は、スイッチング指令発生手段24の第1のスイッチング指令手段9により、Gu,Gy,Gz信号がオン信号となる指令信号である。このスイッチング指令信号により、相電流iuは正側に最大振幅I1×2の電流が流れ、相電流iv、相電流iwはそれぞれ負側に振幅−I1の電流が流れる。直流電流idには、相電流iuと一致した電流(正側に最大振幅I1×2の電流)が流れる。
図17の2回目のスイッチング指令信号は、スイッチング指令発生手段24の第2のスイッチング指令手段26により、Gx,Gv,Gz信号がオン信号となる指令信号である。このスイッチング指令信号により、相電流ivは正側に最大振幅I1×2の電流が流れ、相電流iu、相電流iwはそれぞれ負側に振幅−I1の電流が流れる。直流電流idには、相電流ivと一致した電流(正側に最大振幅I1×2の電流)が流れる。
図17の3回目のスイッチング指令信号は、スイッチング指令発生手段24の第3のスイッチング指令手段27により、Gx,Gy,Gw信号がオン信号となる指令信号である。このスイッチング指令信号により、相電流iwは正側に最大振幅I1×2の電流が流れ、相電流iu、相電流ivはそれぞれに負側に振幅−I1の電流が流れる。直流電流idには、相電流iwと一致した電流(正側に最大振幅I1×2の電流)が流れる。
このように、正常時の直流電流idは、3回目のスイッチング指令信号に対しそれぞれ正側に最大振幅I1×2の電流が流れる。
以上が本実施の形態の正常時におけるスイッチング指令信号と相電流及び直流電流との関係である。
次に、図18を用いてU相のケーブル(接続手段3a)断線の異常時の動作波形について説明を行う。
図18の1回目のスイッチング指令信号(Gu,Gy,Gz信号がオン信号)に対して、U相のケーブル(接続手段3a)断線の異常時には、相電流iuが零になり、直流電流idも零になる。そのことにより、異常検知手段38の断線検知手段41によって異常を検知することができる。
次に、図18の2回目のスイッチング指令信号(Gx,Gv,Gz信号がオン信号)に対しては、相電流iuが零になるが、相電流ivは正側に最大振幅I1×2の電流が、相電流iwは負側に最大振幅I1×2の電流が流れ、直流電流idは正常時と同じように正側に最大振幅I1×2の電流が流れる。
次に、図18の3回目のスイッチング指令信号(Gx,Gy,Gw信号がオン信号)に対しては、相電流iuが零になるが、相電流ivは負側に最大振幅I1×2の電流が、相電流iwは正側に最大振幅I1×2の電流が流れ、直流電流idは正常時と同じように正側に最大振幅I1×2の電流が流れる。
以上より、本実施の形態において、U相のケーブル(接続手段3a)断線の異常時には、第1のスイッチング指令手段9が動作時に断線検出手段41で異常を検知する。
本実施の形態では、動作波形図を省略するが、U相の地絡、V相の地絡、V相の断線、W相の地絡、W相の断線の異常時においても、前記U相の断線の異常時と同様の動作を示し、スイッチング指令発生手段24の第1のスイッチング指令手段9が動作時に異常検知手段38の地絡検知手段40により異常を検知すれば、U相の部位が地絡していることを示し、第1のスイッチング指令手段9が動作時に異常検知手段38の断線検知手段41により異常を検知すれば、U相の接続手段3aが断線していることを示している。
また、同様にスイッチング指令発生手段24の第2のスイッチング指令手段26が動作時に異常検知手段38の地絡検知手段40により異常を検知すれば、V相の部位が地絡していることを示し、第2のスイッチング指令手段26が動作時に異常検知手段38の断線検知手段41により異常を検知すれば、V相の接続手段3bが断線していることを示している。
スイッチング指令発生手段24の第3のスイッチング指令手段27が動作時に異常検知手段38の地絡検知手段40により異常を検知すれば、W相の部位が地絡していることを示し、第3のスイッチング指令手段27が動作時に異常検知手段38の断線検知手段41により異常を検知すれば、W相の接続手段3cが断線していることを示している。
また、前述の表2の例2に示すスイッチング指令信号に対しても同様のことが言える。
そのため、本実施の形態では、論理和(OR)手段37から出力されるPUD信号により電力変換器1の動作を停止したが、論理和(OR)手段37の代わりに論理積(AND)手段を用い、この論理積(AND)手段に、スイッチング指令発生手段24から発生するスイッチング指令信号が3つのパターンのうちのどれであるかを示す情報と、地絡検知手段40からの信号と、断線検知手段41からの信号と入力して、故障の種類(断線,地絡)及び故障箇所(U相,V相,W相)を特定することができる。
以上より、本実施の形態4においては、1つの直流電流検出手段と、オンする3つのスイッチング素子が各々異なる3回のスイッチング指令信号とを用い異常を検出するので、電力変換器、交流回転機、及び接続手段の少なくともいずれか1つの異常をより簡単な構成で、かつ確実に検知でき、電力変換器や交流回転機の拡大故障を防止する効果がある。
なお、本実施の形態では、直流電流検出手段39を直流電源7の正側に取り付けているが、直流電源7の負側に取り付けても同様の効果を得られることは言うまでもない。
実施の形態5.
図19は本発明の実施の形態5による異常検出装置及び駆動制御システムの回路構成を示す図、図20は本発明の実施の形態5に係る異常検知手段を示す構成図、図21は本発明の実施の形態5による異常検出装置における正常時と異常時(W相ケーブル断線)の動作波形図である。
本実施の形態では、実施の形態1と比較して異常検知手段43が異なる。すなわち、異常検知手段43は電流検出手段4a,4bにより検出される電流の、所定時間における平均値をそれぞれ算出して異常を検知する。
他の構成は実施の形態1と同様であり、図面も同一符号で示す。また、電流検出手段の設置位置とスイッチング指令信号との関係に関しても実施の形態1の表1と同様である。ここでは実施の形態1と異なる部分のみ説明する。
図20において、異常検知手段43は、平均処理手段50a,50b、小なり比較器47a,47b、イコール比較器48a,48b、及び論理和(OR)手段49を備えている。また、異常検知手段43の平均処理手段50a,50bは、積分器44a,44b、除算器45a,45b、及び切り替え手段46a,46bを備えている。
異常検知手段43の動作については、図20と図21とを用いて説明を行う。なお、図21の左側の波形Aが正常時、右側の波形BがW相のケーブル(接続手段3c)が断線する異常時の動作波形図である。
平均処理手段50aは、電流検出手段4aにより検出された相電流ivの平均値を算出する手段であり、図21に示すように、スイッチング指令発生手段5によりスイッチング素子がオンしている時間(この時間を図21に示すように所定時間T1と定義する。)に流れる相電流の平均値を算出する。スイッチング指令発生手段5によりスイッチング素子がオンしている所定時間T1に流れる電流は、図21に示すように直線的な波形となる。この電流の最大電流値は、交流回転機2の定数やスイッチング素子がオンする所定時間T1や直流電圧により決まることを上述したが、所定時間T1の考え方は次の通りである。
まず、所定時間T1の最小値は、異常検知手段43をマイコンや高速演算処理ができるASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)やダイナミック・リコンフィギュラブル・プロセッサ(DRP)などで実現すると、電流を検出するサンプリング周期が最短でも0.1μsec/1点であり、平均値や電流の大きさを判断するためには3点以上検出する必要がある。そのため、所定時間T1の最小値は、0.1μsec×3=0.3μsecであり、所定時間T1は、0.3μsec以上である。また、スイッチング素子がオンする所定時間T1が長いと電流が更に増加し、電力変換器1の過電流保護のセット値を超えて過電流が発生してしまう。その結果、過電流で電力変換器1を故障させる可能性もある。そのため、所定時間T1は、過電流が発生しないように時間設定を行う必要があり、電車用、汎用インバータ用、サーボ用、電気自動車用、ハイブリット用、オルタネーターや電動パワーステアリングなど自動車部品用、家電製品用の交流回転機のモータ定数を比較し検討した結果、所定時間T1を500μsec以内に設定すると過電流にならないことを発見した。以上より、所定時間T1は、0.3μsec以上500μsec以内とするとよい。
電流検出手段4aにより検出した相電流ivを積分器44aにより積分して、その積分した値を除算器45aによって所定時間T1で割り算を行う。その値が所定時間T1の相電流の平均値になる。スイッチング素子がオンしてから所定時間T1経過後、切り替え手段46aがB接点からA接点に変更になることで、得られた平均値が切り替え手段46aの出力値となり、平均処理手段50aの出力となる。
正常時には、その平均値は「−0.5×I1」になるため、この値より小さい値を比較値とした小なり比較器47aに平均処理手段50aの出力を入力すると共に、平均値が0でないことから比較値を0としたイコール比較器48aに平均処理手段50aの出力を入力する。これら小なり比較器47a及びイコール比較器48aは平均値が正常であると判断し、論理和(OR)手段49には異常である信号を出力しない。
なお、平均処理手段50bも電流検出手段4bにより検出された相電流iwの平均値を算出する手段であり、相電流がivからiwに変更になるだけで、動作は平均処理手段50aと同様である。
次に、W相ケーブル(接続手段3c)断線の異常時の異常検知手段43の動作を説明する。
W相ケーブル(接続手段3c)断線の異常時は、相電流iwが0になるため、図21に示すように、平均処理手段50aの出力(ivの平均値)は、「−0.5×I1」より小さい「1.0×I1」の電流となる。
異常検知手段43の小なり比較器47aは比較値として「−0.75×I1」を設定することにより異常を検知することができ、論理和(OR)手段49に1を出力する。
また、平均処理手段50bの出力(iwの平均値)は0となるため、比較値を0とした異常検知手段43のイコール比較器48bにより異常を検知することができ、論理和(OR)手段49に1を出力する。
W相ケーブル断線以外の他の異常時においても、同様に、図20の異常検知手段43の小なり比較器47a,47b、及びイコール比較器48a,48bのいずれか一つ以上で異常を検知でき、異常を検知した場合に論理和(OR)手段49に1を出力する。
論理和(OR)手段49に1が入力されると、論理和(OR)手段49は異常検知を意味するPUD信号を出力して、電力変換器1の動作を停止する。
異常を検知して電力変換器1の動作を停止することにより、異常を検知した箇所以外の電力変換器や交流回転機の拡大故障を防止する効果がある。
本実施の形態は、電流の平均値により異常を検知するため、実施の形態1等で示した検知時素手段が不要となり、異常検知手段の構成を簡素化できる効果がある。
以上より、本実施の形態5においては、2つの電流検出手段と、3つのスイッチング素子をオンする1回のスイッチング指令信号とを用い、検出される電流値の平均値を用いて異常を検出するので、電力変換器、交流回転機、及び接続手段の少なくともいずれか1つの異常を簡単に短時間で、かつ確実に検知でき、電力変換器や交流回転機の拡大故障を防止する効果がある。
実施の形態6.
図22は本発明の実施の形態6による異常検出装置及び駆動制御システムの回路構成を示す図、図23は本発明の実施の形態6に係るスイッチング指令発生手段を示す構成図、図24は本発明の実施の形態6による異常検出装置における正常時の動作波形図、図25は本発明の実施の形態6による異常検出装置における異常時(V相ケーブル断線)の動作波形図である。
本実施の形態では、実施の形態5と比較してスイッチング指令発生手段51が異なり、スイッチング指令発生手段51は同じスイッチング指令信号を2回発生する。但し、電流検出手段の設置位置とスイッチング指令信号との関係に関しては実施の形態1の表1と同様である。
他の構成は実施の形態5と同様であり、図面も同一符号で示し、ここでは異なる部分のみ説明する。
なお、図25ではV相ケーブルが断線した場合の動作波形図を示している。
図23において、スイッチング指令発生手段51は、第1のスイッチング指令手段9と切り替え手段52a,52b、及び論理和(OR)手段53を備えている。
第1のスイッチング指令手段9は、実施の形態1と同様に、Gu,Gy,Gz信号を1とし、3つのスイッチング素子8a,8e,8fをオンする指令を出力する。
切り替え手段52aのB接点には第1のスイッチング指令手段9が接続され、切り替え手段52aのA接点には「0」が入力される。
切り替え手段52aは、所定時間T2が経過後、B接点からA接点に切り替わり、切り替え手段52aの出力は、第1のスイッチング指令手段9の出力から0に切り替わる。切り替え手段52aの出力は、論理和(OR)手段53に入力される。
また、切り替え手段52bは、切り替え手段52aのB接点に「0」が接続されており、所定時間T3になるまで、B接点からの「0」が切り替え手段52bの出力となる。
所定時間T3が経過後、切り替え手段52bはB接点からA接点に切り替わり、A接点に接続された第1のスイッチング指令手段9の出力が切り替え手段52bより出力される。切り替え手段52bの出力は、論理和(OR)手段53に入力される。
所定時間T2と所定時間T3との関係は、図24,25の正常時の動作波形図に示す通りであり、T2<T3である。
また、本実施の形態における所定時間T1は、図24,25に示すように、2回のスイッチングを行う全ての時間となる。この所定時間T1は実施の形態5で述べたように、500μsec以内である必要がある。
異常検知手段43は、実施の形態5の方法と同様、所定時間T1の電流の平均値を算出して、異常を検知するが、その際、本実施の形態のように、同じパターンのスイッチング指令信号を2回発生することにより、流れる電流値が大きくなり、電流の平均値も大きくなるので、異常検知がより正確になる効果がある。
なお、電流の平均値を算出する時間は、図24,25に示す所定時間T4(2回目のスイッチング指令信号のオン時間)を用いてもよい。すなわち、2回目のスイッチング指令信号により流れる電流値は1回目のスイッチング指令信号により流れる電流値より大きく、電流の平均値も大きくなるため、同様の効果が得られる。
以上より、本実施の形態6においては、2つの電流検出手段と、同じパターンのスイッチング指令信号を2回出力するスイッチング指令信号とを用い、検出される電流値の平均値を用いて異常を検出するので、電力変換器、交流回転機、及び接続手段の少なくともいずれか1つの異常を簡単に、かつより確実に検知でき、電力変換器や交流回転機の拡大故障を防止する効果がある。
実施の形態7.
図26は本発明の実施の形態7による異常検出装置及び駆動制御システムの回路構成を示す図、図27は本発明の実施の形態7に係る異常検知手段を示す構成図、図28は本発明の実施の形態7における相電流と一次抵抗変動との関係を示す図、図29は本発明の実施の形態7による異常検出装置における正常時と異常時(W相ケーブル断線)の動作波形図である。
本実施の形態では、実施の形態1と比較して、交流回転機が2つ接続されている点、及び2つの交流回転機2a,2bの巻線抵抗である一次抵抗値をそれぞれ測定する一次抵抗値検出手段55a,55bを取り付けている点が異なる。また、異常検知手段54は、一次抵抗値検出手段55a,55bにより検出した一次抵抗値を利用して異常を検出する点が異なる。
なお、他の構成は実施の形態1と同様であり、図面も同一符号で示す。また、電流検出手段の設置位置とスイッチング指令信号との関係に関しても実施の形態1の表1と同様である。ここでは実施の形態1と異なる部分のみ説明する。
図26において、2個の交流回転機2a,2bを電力変換器1に接続するため、接続コネクタ65a,65b,65cを設け、交流回転機2aと接続コネクタ65a,65b,65cとは接続手段64a,64b,64cにより接続する。交流回転機2bと接続コネクタ65a,65b,65cとは接続手段56a,56b,56cにより接続する。接続コネクタ65a,65b,65cと電力変換器1とは接続手段3a,3b,3cにより接続する。
なお、一次抵抗検出手段55a,55bは、それぞれ交流回転機2a,2bの一次抵抗値を測定する手段であるが、交流回転機の巻線の温度と一次抵抗値との関係は明確に決めることができるので、交流回転機2a,2bの巻線の温度が測定できる手段でも良い。
また、本実施の形態では一次抵抗検出手段55a,55bは、2つの交流回転機2a,2bそれぞれに取り付けているが、交流回転機2a,2bのどちらかに一方に接続して検出値を利用することでも本実施の形態の効果は十分にある。
異常検知手段54は、図27に示すように電流検出手段4a,4bで検出した相電流iv,iw、及び一次抵抗値検出手段55a,55bで測定した一次抵抗値Rs1,Rs2を入力とする。
一次抵抗値検出手段55aより検出された交流回転機2aの一次抵抗値Rs1と、一次抵抗値検出手段55bより検出された交流回転機2bの一次抵抗値Rs2とは、加算器60で加算され、その加算した値は除算器61aにより定数2で割り算される。これにより、交流回転機2a,2bの一次抵抗値の平均値Rsが算出できる。
除算器61bにより、電流量「−I1」を算出した時の一次抵抗値Rs*を前記平均値Rsで割る。これにより、一次抵抗の変化値を算出でき、算出したこの値を掛算器62aで「−I1」に掛け合わせる。
この一次抵抗の変動を考慮した新たな「−I1*」を、実施の形態2と同様に、小なり比較器57a,57bに入力し、相電流iv,iwとの比較を行う。
また、一次抵抗の変動を考慮した「−I1*」は、実施の形態2と同様に、掛算器62bで「0.01」と掛け合わせ、大なり比較器58a,58bでそれぞれ相電流iv,iwとの比較を行う。その際、検知時素手段59a,59bは、所定の時間検知を遅らせるため取り付けられたものであり、正常と異常時を判断するために必要な手段である。
異常検知手段54における小なり比較器57a,57b、大なり比較器58a,58b(及び検知時素手段59a,59b)の何れかが、異常を検知して論理和(OR)手段63に1を出力すると、論理和(OR)手段63は異常検知を意味するPUD信号を出力して、電力変換器1の動作を停止する。
図28に本実施の形態における相電流と一次抵抗変動との関係を示す。
直流電源7の直流電圧が一定であると、スイッチング指令発生手段5によりスイッチング指令信号が出力された場合、電力変換器1は常に振幅が一定の電圧を交流回転機2に印加することになる。
また、一次抵抗の変動のない状態Rs*=Rsとすると、その時、相電流iv,iwに流れる電流は最小値「−I1」になる。すなわち、V,W相に印加する電圧を−Vvとし、一次抵抗をRsとすると、単純に考えると以下の式で電流「−I1」が算出できる。
−Vv/Rs=−I1 (1)
(1)式より、Rsが大きくなると(Rs*/Rs>1)、「−I1」はマイナス方向に小さくなる(正方向に大きくなる)。
また、(1)式よりRsが小さくなると(Rs*/Rs<1)、「−I1」はマイナス方向に大きくなる(正方向に小さくなる)。
その関係を示したのが、図28であり、異常検知手段54は一次抵抗検出値によって、「−I1」を一次抵抗の変動に応じた新たな「−I1*」に変更させることにより、異常を確実に検知できる効果がある。
特に一次抵抗が大きくかわるような用途に本実施の形態を適用するとより効果が大きい。
なお、一次抵抗が大きくかわるような用途としては、終日連続運転を行う半導体工場などで用いられる駆動制御システムに使用すると良い。
終日電流が流れることにより一次抵抗の値が常に大きくなるため、本実施の形態を実施し、一次抵抗検出手段55a,55bにより検知レベル「−I1」を変更するようにすれば、異常を検知する精度が向上する効果がある。
また、本実施の形態では、一次抵抗検出手段55a,55bにより検知レベル「−I1」を変更する方法について述べたが、一次抵抗検出手段を設置し、自動的に「−I1」を変更するのではなく、一次抵抗値を外部手段で計測し、人間の手動により検知レベル「−I1」を変更しても良い。
また、電圧,電流より一次抵抗値を計測するチューニング技術が一般的にあるが、このような方法によって一次抵抗を計測して検知レベル「−I1」を変更しても同様の効果が得られる。
本実施の形態における異常検出装置の動作波形の一例を図29に示す。図29の左側の波形Aが正常時、右側の波形BがW相のケーブル(接続手段3c)が断線する異常時の動作波形図である。
本実施の形態の異常検知手段54の動作は基本的に実施の形態1と同様である。但し、本実施の形態では、一次抵抗の変動を考慮した構成であり、異常検知手段54において偏差をとる処理は行っていない。
以上より、本実施の形態7においては、交流回転機の一次抵抗を検出することと、2つの電流検出手段と、3つのスイッチング素子をオンする1回のスイッチング指令信号とを用い異常を検出するので、交流回転機の一次抵抗の変動の影響を受けずに、電力変換器、交流回転機、及び接続手段の少なくともいずれか1つの異常を簡単に短時間で、かつ確実に検知でき、電力変換器や交流回転機の拡大故障を防止する効果がある。
なお、本実施の形態において、交流回転機2a,2bを備えるものを示したが、交流回転機が1つのものでもよい。この場合、異常検知手段54において、交流回転機2の一次抵抗検出値の平均値をとる構成は不要であることは言うまでもない。
また、実施の形態1〜6において、交流回転機2を2つそなえ、本実施の形態と同様の構成を適用してもよい。
実施の形態8.
図30は本発明の実施の形態8による異常検出装置及び駆動制御システムの回路構成を示す図、図31は本発明の実施の形態8に係る異常検知手段を示す構成図、図32は本発明の実施の形態8による異常検出装置における正常時と異常時(W相ケーブル断線)の動作波形図、図33は本発明の実施の形態8による異常検出装置における正常時と異常時(V相ケーブル断線)の動作波形図である。
本実施の形態では、実施の形態7と比較して、一次抵抗検出手段が不要である。そのため、異常を検知する異常検知手段66の構成が実施の形態7と異なる。
なお、他の構成は実施の形態7と同様であり、図面も同一符号で示す。また、電流検出手段の設置位置とスイッチング指令信号との関係に関しても実施の形態1の表1と同様である。ここでは異なる部分のみ説明する。
図31において、異常検知手段66は、減算器67で、電流検出手段4a,4bにより検出した相電流ivと相電流iwとの偏差iv−iwを算出する。算出した電流の偏差iv−iwは、ノットイコール比較器68により0と比較される。
電流の偏差iv−iwは正常時0であるため、電流の偏差iv−iwが0でなければ異常を検知したと判断し、ノットイコール比較器68は1を出力する。すなわち、異常検知手段66よりPUD信号を出力し、電力変換器1を停止するなど、故障が拡大しないように何だかの処置を行う。
異常検知手段66は、実施の形態1〜7に示す「−I1」という電流セット値を用いないため、直流電圧の変動の影響も一次抵抗の変動の影響も受けない。そのため、簡単な構成で短時間に、かつ確実に異常を検知でき、電力変換器や交流回転機の拡大故障を防止する効果がある。
次に、本実施の形態における動作波形の一例を図32,33により詳細に説明する。図32,33の左側の波形Aが正常時の動作波形である。スイッチング指令発生手段5が図32,33に示すスイッチング指令信号を発生させた場合、電流検出手段4a,4bで検出される相電流iv,iwは負方向に同じ電流が流れる。そのため、異常検知手段66で計算される電流の偏差iv−iwは0であり、この場合、異常でないと判断する。
図32の右側の波形Bは、交流回転機2bのW相に接続する接続手段56cが断線した時の動作波形である。
交流回転機2bに流れる相電流iwが0になり、その分、交流回転機2bに流れる相電流ivの電流実効値が増えることになる。そのため、相電流iv,iwには同じ電流が流れなくなるため、電流の偏差iv−iwは0でなくなり、異常を検知することができる。
同様に図33の右側の波形Bは、交流回転機2bのV相に接続する接続手段56bが断線した時の動作波形である。
交流回転機2bに流れる相電流ivが0になり、その分、交流回転機2bに流れる相電流iwの電流実効値が増えることになる。そのため、相電流iv,iwには同じ電流が流れなくなるため、電流の偏差iv−iwは0でなくなり、異常を検知することができる。
なお、本実施の形態では、U相の断線時には、相電流iu,iv,iwが全て0になるので、電流の偏差iv−iwも0になり、異常検知手段66はU相の異常を検知できないが、三相のうちの二つの相の異常を、簡単な構成で短時間に、かつ確実に検知できることができる。
三相全ての異常を検知するには、異常検知手段66に対し、さらに実施の形態1で示したイコール比較器15a,15b、検知時素手段16a,16b、及び論理和(OR)手段13を設け、電流検出手段4aで検出される相電流ivが所定時間経過後に零になる場合、あるいは電流検出手段4bで検出される相電流iwが所定時間経過後に零になる場合にも異常と判断するように構成すると良い。
以上より、本実施の形態8においては、2つの電流検出手段と、3つのスイッチング素子をオンする1回のスイッチング指令信号とを用い、2つの電流検出手段で検出した電流の偏差で異常を検知するので、直流電圧や一次抵抗の変動の影響を受けにくくなり、三相のうちの二つの相に対して、電力変換器、2つの交流回転機、及び接続手段の少なくともいずれか1つの異常を簡単に短時間で、かつ確実に検知できる効果が得られる。
なお、本実施の形態において、交流回転機2a,2bを備えるものを示したが、交流回転機が1つのものでもよい。
実施の形態9.
図34は本発明の実施の形態9による異常検出装置及び駆動制御システムの回路構成を示す図、図35は本発明の実施の形態9に係る異常検知手段を示す構成図、図36は本発明の実施の形態9による異常検出装置における正常時と異常時(U相ケーブル断線)の動作波形図、図37は本発明の実施の形態9による異常検出装置における正常時と異常時(W相ケーブル断線)の動作波形図である。
本実施の形態では、実施の形態1と比較して、電流検出手段4a,4b,4cがU,V,W相の各相にそれぞれ取り付けられていることが特徴である。そのため、異常を検知する異常検知手段69の構成が実施の形態1と異なる。
なお、他の構成は実施の形態1と同様であり、図面も同一符号で示し、ここでは異なる部分のみ説明する。
図34において、スイッチング指令発生手段5は、実施の形態1と同様に、Gx,Gv,Gw信号を0、Gu,Gy,Gz信号を1とし、スイッチング素子8b,8c,8dをオフし、スイッチング素子8a,8e,8fをオンするスイッチング指令信号を発生する。電流検出手段4c,4a,4bは、前記スイッチング指令信号が発生した場合に接続手段3a,3b,3cを流れる相電流iu,iv,iwを検出し、異常検知手段69に入力する。
図35において、異常検知手段69は、入力した相電流iu,iv,iwをそれぞれイコール比較器70a,70b,70cに入力し、イコール比較器70a,70b,70cにより零と比較する。すなわち、異常検知手段69は、スイッチング指令発生手段5が前記スイッチング指令信号を出力した際に電流検出手段が検出する相電流が零である場合に1(オン)の信号を出力し、異常を検知する構成となっている。
イコール比較器70a,70b,70cの出力は論理和手段71に入力されて、イコール比較器70a,70b,70cの出力の少なくとも1つが1であった場合、論理和手段71は1(オン)の信号を出力する。そして、論理和手段71からの出力信号は検知時素手段72を通過し、異常信号であるPUD信号を出力した際に、実施の形態1と同様に電力変換器1の動作を停止する。
検知時素手段72は誤検知を防止するために設置されるものであり、設定された時間だけ遅れた論理和手段71からの出力信号を出力する。
なお、本実施の形態において、スイッチング指令発生手段5が出力するスイッチング指令信号は上記例に限らず、以下に示す場合でも同様の効果が得られる。
8b,8d,8fが1(オン)、8a,8c,8eが0(オフ)
8c,8d,8eが1(オン)、8a,8b,8fが0(オフ)
8a,8b,8fが1(オン)、8c,8d,8eが0(オフ)
8a,8c,8eが1(オン)、8b,8d,8fが0(オフ)
8b,8c,8dが1(オン)、8a,8e,8fが0(オフ)
本実施の形態では、電流検出手段4a,4b,4cにより各相電流iu,iv,iwを検出しているので、異常検知手段69の構成が簡単となる効果がある。そのため、ソフトウエアでこれらを実現する場合、ソフトウエアの負荷率を低減でき、安価なCPUで装置を実現できるなどの効果がある。
次に、本実施の形態における動作波形の一例を図36,37により詳細に説明する。図36,37の左側の波形Aが正常時の動作波形である。スイッチング指令発生手段5が図36,37に示すスイッチング指令信号Gu〜Gz信号を発生させた場合、電流検出手段4cで検出される相電流iuは正方向に流れ、電流検出手段4a,4bで検出される相電流iv,iwは負方向に相電流iuの半分の値がそれぞれに流れることになる。そのため、異常検知手段69は各相の電流が零でないことで、異常でないと判断する。
図36の右側の波形Bは、接続手段3aが断線した時の動作波形である。交流回転機2に流れる相電流iuが0になり、そのことにより当然iv,iwも零になる。相電流iu,iv,iwが零になることにより異常検知手段69は異常を検知することができる。
同様に、図37の右側の波形Bは、接続手段3cが断線した時の動作波形である。交流回転機2に流れる相電流iwが0になり、その分、交流回転機2に流れる相電流ivの電流値が増えることになる。相電流iwが零になることにより異常検知手段69は異常を検知することができる。
以上より、本実施の形態9においては、3つの電流検出手段と、3つのスイッチング素子をオンする1回のスイッチング指令信号とを用い、簡単な構成の異常検知手段により、異常を検知するので、電力変換器、交流回転機、及び接続手段の少なくともいずれか1つの異常を簡単に短時間で、かつ確実に検知できる効果が得られる。
本発明の実施の形態1による異常検出装置及び駆動制御システムを示す構成図である。 本発明の実施の形態1に係るスイッチング指令発生手段を示す構成図である。 本発明の実施の形態1に係る異常検知手段を示す構成図である。 本発明の実施の形態1による異常検出装置の動作原理を説明する図である。 本発明の実施の形態1による異常検出装置における正常時と異常時との動作波形図である。 本発明の実施の形態1による異常検出装置の正常時の動作をシミュレーションした結果を示す図である。 本発明の実施の形態1による異常検出装置の異常時の動作をシミュレーションした結果を示す図である。 本発明の実施の形態2による異常検出装置及び駆動制御システムを示す構成図である。 本発明の実施の形態2に係る異常検知手段を示す構成図である。 本発明の実施の形態3よる異常検出装置及び駆動制御システムを示す構成図である。 本発明の実施の形態3に係るスイッチング指令発生手段を示す構成図である。 本発明の実施の形態3に係る異常検知手段を示す構成図である。 本発明の実施の形態3による異常検出装置における正常時の動作波形図である。 本発明の実施の形態3による異常検出装置における異常時の動作波形図である。 本発明の実施の形態4による異常検出装置及び駆動制御システムを示す構成図である。 本発明の実施の形態4に係る異常検知手段を示す構成図である。 本発明の実施の形態4による異常検出装置における正常時の動作波形図である。 本発明の実施の形態4による異常検出装置における異常時の動作波形図である。 本発明の実施の形態5による異常検出装置及び駆動制御システムを示す構成図である。 本発明の実施の形態5に係る異常検知手段を示す構成図である。 本発明の実施の形態5による異常検出装置における正常時と異常時との動作波形図である。 本発明の実施の形態6による異常検出装置及び駆動制御システムを示す構成図である。 本発明の実施の形態6に係るスイッチング指令発生手段を示す構成図である。 本発明の実施の形態6による異常検出装置における正常時の動作波形図である。 本発明の実施の形態6による異常検出装置における異常時の動作波形図である。 本発明の実施の形態7による異常検出装置及び駆動制御システムを示す構成図である。 本発明の実施の形態7に係る異常検知手段を示す構成図である。 本発明の実施の形態7における相電圧と相電流と一次抵抗変動との関係を示す図である。 本発明の実施の形態7による異常検出装置における正常時と異常時との動作波形図である。 本発明の実施の形態8による異常検出装置及び駆動制御システムを示す構成図である。 本発明の実施の形態8に係る異常検知手段を示す構成図である。 本発明の実施の形態8による異常検出装置における正常時と異常時(W相ケーブル断線)との動作波形図である。 本発明の実施の形態8による異常検出装置における正常時と異常時(V相ケーブル断線)との動作波形図である。 本発明の実施の形態9による異常検出装置及び駆動制御システム示す構成図である。 本発明の実施の形態9に係る異常検知手段を示す構成図である。 本発明の実施の形態9による異常検出装置における正常時と異常時(U相ケーブル断線)との動作波形図である。 本発明の実施の形態9による異常検出装置における正常時と異常時(W相ケーブル断線)との動作波形図である。
符号の説明
1 電力変換器、
2,2a,2b 交流回転機(誘導機)、
3a,3b,3c,56a,56b,56c,64a,64b,64c 接続手段、
4a,4b,4c 電流検出手段、
5,24,51 スイッチング指令発生手段、
6,18,25,38,43,54,66,69 異常検知手段、
7 直流電源、
8a,8b,8c,8d,8e,8f スイッチング素子、
9 第1のスイッチング指令手段、
10,32a,32b,32c 掛算器、
11,45a,45b,67 減算器、
12,68 ノットイコール比較器、
13,28a,28b,28c,37,42,49,53,63,71 論理和(OR)手段、
14a,14b,34a,34b,47a,47b,57a,57b 小なり比較器、
15a,15b,48a,48b,70a,70b,70c イコール比較器、
16a,16b,36,59a,59b,72 検知時素手段、
17 直流電圧検出手段、
20,61a,61b 除算器、
21a,21b,62a,62b 掛算器、
22a,22b,22c,33,58a,58b,58c 大なり比較器、
23a,23b,35 絶対値手段、
26 第2のスイッチング指令手段、
27 第3のスイッチング指令手段、
29 U相地絡検知手段、
30 U相断線検知手段、
31 V,W相断線地絡検地手段、
39 直流電流検出手段、
40 地絡検知手段、
41 断線検知手段、
44a,44b 積分器、
46a,46b,52a,52b 切り替え手段、
50a,50b 平均処理手段、
55a,55b 一次抵抗値検出手段、
60 加算器、
65a,65b,65c 接続コネクタ。

Claims (6)

  1. 複数のスイッチング素子を備え、直流電圧を三相交流電圧に変換する電力変換器、前記電力変換器により駆動制御される交流回転機、及び前記電力変換器と前記交流回転機とを電気的に接続する接続手段の少なくともいずれか1つの異常を検知する異常検出装置であって、
    前記電力変換器への直流入力電流または前記電力変換器の三相出力電流のうちの少なくとも一相の出力電流を検出する電流検出手段と、
    前記交流回転機の三相全てに電圧を印加するために前記複数のスイッチング素子にスイッチング指令信号を出力すると共に、前記電力変換器が出力する三相電圧の線間電圧のうち、2つの線間電圧が同じ符号で、他の1つの線間電圧が0となる特定のスイッチング指令信号を出力するスイッチング指令発生手段と、
    前記スイッチング指令発生手段が前記複数のスイッチング素子に前記特定のスイッチング指令信号を出力する期間に、前記電流検出手段が検出する電流に基づいて前記異常を検知する異常検知手段と
    を備えたことを特徴とする異常検出装置。
  2. 電流検出手段は、電力変換器の三相出力電流のうちの二相の出力電流を検出するように設置され、
    スイッチング指令発生手段が複数のスイッチング素子に特定のスイッチング指令信号のうち前記二相間の線間電圧が0となるスイッチング指令信号を出力する期間に、異常検知手段は、前記電流検出手段が検出する電流に基づいて異常を検知することを特徴とする請求項1に記載の異常検出装置。
  3. 異常検知手段は、電流検出手段が検出する二相の出力電流の偏差をとり、前記偏差に基づいて異常を検知することを特徴とする請求項2に記載の異常検出装置。
  4. 異常検知手段は、電流検出手段が検出する二相の出力電流に対しそれぞれ、スイッチング指令信号発生期間中の所定時間の平均値を求め、前記平均値に基づいて異常を検知することを特徴とする請求項2に記載の異常検出装置。
  5. 電流検出手段は、電力変換器の三相出力電流のうちの一相の出力電流のみを検出し、
    スイッチング指令発生手段は、特定のスイッチング指令信号を少なくとも3回発生すると共に、前記3回のスイッチング指令信号は、前記電力変換器が出力する三相電圧の線間電圧のうち、線間電圧が0となる二相の組合せが、前記3回のスイッチング指令信号においてそれぞれ異なる3種類の特定のスイッチング指令信号であることを特徴とする請求項1に記載の異常検出装置。
  6. 電流検出手段は、電力変換器への直流入力電流のみを検出し、
    スイッチング指令発生手段は、特定のスイッチング指令信号を少なくとも3回発生すると共に、前記3回のスイッチング指令信号は、前記電力変換器が出力する三相電圧の線間電圧のうち、線間電圧が0となる二相の組合せが、前記3回のスイッチング指令信号においてそれぞれ異なる3種類の特定のスイッチング指令信号であることを特徴とする請求項1に記載の異常検出装置。
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