JP5266687B2 - 異常検出装置 - Google Patents
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Description
そのため、この欠相を検知する方法として、電流検出器により三相出力電流の各相の瞬時値(iu,iv,iw)を検出し、この3つの瞬時値の和が零でないことを検知する方法が取られていた。
しかしながら、この方法では、負荷側の異常による欠相、例えば回転機内での地絡による欠相は検知可能であるが、三相出力線の断線や電力変換器の故障による異常は検知できない欠点があった。そのため、前記のような課題を解消し、この種の駆動制御装置の故障診断方法として以下に示す特許文献1,2に記載されたものがあった。
しかし、特許文献1では、2つのスイッチング素子をオンしただけでは二相のモータの巻線にしか電流は流れない。例えば、U相、V相のスイッチング素子をオンすると、U相、V相のケーブル及びモータの巻線のみに電流が流れることになり、W相のケーブル及びモータの巻線には電流は全く流れない。そのため、W相の異常状態を診断するためには、再度、W相に電流が流れるようにスイッチング素子を選択して異常状態を診断することを行わなければならず、2回以上異常状態を診断する動作を行わなければならない。
交流回転機内での地絡や電力変換器の短絡故障では、電流が瞬時的に非常に大きい短絡電流が流れる。特許文献1に記載される傾きの検出をオシロスコープではなく、マイコンなどで実現する場合、マイコンのサンプリング周期でサンプリングした2点の電流値より電流の傾きを算出して異常を判断するが、前記のように瞬間的に短絡電流が流れる場合ではマイコンのサンプリング周期間では2点をサンプリングできず電流の傾きを算出できず、異常を検知できない課題があった。
また、電流検出手段を3つ備えた場合においても、異常を検知する際に、検出された3つの瞬間値より実効値を演算し、この演算値の変化率を監視して異常を検知するので、装置の構成が複雑となる。特に変化率を演算するのに微分回路を用いているため、電力変換装置が正常時の起動直後などに実効値が零になる時に微分回路の出力が∞もしくはかなり大きい値になり誤検知を行う可能性があるので、その対策を行う必要がある。そのため、微分回路の構成が複雑になる。
前記電力変換器への直流入力電流または前記電力変換器の三相出力電流のうちの少なくとも一相の出力電流を検出する電流検出手段と、
前記交流回転機の三相全てに電圧を印加するために前記複数のスイッチング素子にスイッチング指令信号を出力すると共に、前記電力変換器が出力する三相電圧の線間電圧のうち、2つの線間電圧が同じ符号で、他の1つの線間電圧が0となる特定のスイッチング指令信号を出力するスイッチング指令発生手段と、
前記スイッチング指令発生手段が前記複数のスイッチング素子に前記特定のスイッチング指令信号を出力する期間に、前記電流検出手段が検出する電流に基づいて前記異常を検知する異常検知手段と
を備えたものである。
図1は本発明の実施の形態1による異常検出装置及び駆動制御システムの回路構成を示す図である。
駆動制御システムは、電力変換器1と、交流回転機2と、電力変換器1と交流回転機2とを接続する接続手段3a,3b,3c(総称する時は3)と、直流電源7とを備えている。
異常検出装置は、電流検出手段4a,4bと、スイッチング指令発生手段5と、異常検知手段6とを備えている。
交流回転機2は電力変換器1により駆動制御される。ここでは誘導電動機であるが、同期電動機でもよく、また回転型でなく板状のリニアインダクションモータであってもよい。
接続手段3a,3b,3cは、電力変換器1と交流回転機2とを接続する配線ケーブルなどの接続手段であるが、電力変換器1と交流回転機2とを直接つなぐ場合の半田、接続コネクタ、プリント基板でも良い。
電流検出手段4a,4bは、電力変換器1の三相出力電流のうち接続手段3b,3cに流れる電流を検出する電流検出手段であり、交流回転機2に発生する相電流iv,iwを検出する。
スイッチング指令発生手段5より出力されるGu信号はスイッチング素子8aをオン、オフさせる指令信号、Gv信号はスイッチング素子8bをオン、オフさせる指令信号、Gw信号はスイッチング素子8cをオン、オフさせる指令信号、Gx信号はスイッチング素子8dをオン、オフさせる指令信号、Gy信号はスイッチング素子8eをオン、オフさせる指令信号、Gz信号はスイッチング素子8fをオン、オフさせる指令信号である。
スイッチング指令発生手段5は、電力変換器1が出力する三相電圧の線間電圧がそれぞれあらかじめ設定した符号になるように、同時にオンさせるスイッチング素子を3つ選択し、スイッチング指令信号を出力する。即ち、交流回転機2の三相全てに電圧が印加されるようにする共に、電力変換器1が出力する三相電圧の線間電圧のうち、2つの線間電圧が同じ符号で、他の1つの線間電圧が0となるような特定のスイッチング指令信号を発生する。
スイッチング指令発生手段5は、Gx,Gv,Gw信号を0とし、スイッチング素子8b,8c,8dをオフする指令を出力する。また、スイッチング指令発生手段5の第1のスイッチング指令手段9は、Gu,Gy,Gz信号を1とし、3つのスイッチング素子8a,8e,8fをオンする指令を出力する。
3つのスイッチング素子8a,8e,8fをオンすることにより、U相の接続手段3aに相電流iuが流れて交流回転機である誘導機2の巻線を介して、V,W相の接続手段3b,3cに相電流iuの半分の電流値であり負方向の相電流iv,iwが流れる。その相電流iv,iwを電流検出手段4a,4bが検出し異常検知手段6に出力する。
このような信号が出力された際の正常時の相電流は、電流検出手段が設置される2つの接続手段にそれぞれ流れる2つの相電流の符号が同じ符号で、前記電流検出手段が設置されない残りの1つの接続手段に流れる相電流の符号が前記2つの相電流の符号と異なっている。スイッチング指令発生手段5はこのようなスイッチング指令信号を1回発生する。
なお、表1において、例1のスイッチング指令信号のパターンは上記実施の形態で示したパターンであり、以下の説明では例1のスイッチング指令信号のパターンによる動作を示す。
異常検知手段6は、減算器11、ノットイコール比較器12、論理和(OR)手段13、小なり比較器14a,14b、イコール比較器15a,15b、及び検知時素手段16a,16bで構成される。
異常検知手段6の小なり比較器14aは、電流検出手段4aで検出された相電流ivと、予め設定された電流値「−I1」(交流回転機2の定数やスイッチング時間や直流電圧などで決まる)とを比較する。相電流ivが「−I1」より小さくなる場合(相電流ivが「I1」よりマイナスの値が大きくなる場合)は、W相の接続手段3cが断線しているか、V相の接続手段3bの地絡やV相を構成するスイッチング素子8b,8eの故障などが考えられ、小なり比較器14aは論理和(OR)手段13に1を出力する。
異常検知手段6の小なり比較器14bも同様に、電流検出手段4bで検出された相電流iwと、予め設定された電流値「−I1」とを比較する。相電流iwが「−I1」より小さくなる場合(相電流ivが「I1」よりマイナスの値が大きくなる場合)は、V相の接続手段3bが断線しているか、W相の接続手段3cの地絡やW相を構成するスイッチング素子8c,8fの故障などが考えられ、小なり比較器14bは論理和(OR)手段13に1を出力する。
なお、所定時間経過後に相電流ivが零になる場合(異常時)は、V相の接続手段3bが断線している場合やU相の接続手段3aの地絡やU相を構成するスイッチング素子8a,8dの故障などが考えられる。イコール比較器15aはこれらの故障による異常時に1を出力し、検知時素手段16aを介して論理和(OR)手段13にその結果が入力される。
異常検知手段6のイコール比較器15bも同様に、電流検出手段4bで検出された相電流iwと零とを比較し、零であれば1を出力する。検知時素手段16bは正常と異常時を判断するために、所定時間経過後の比較結果を取り込む。
所定時間経過後に相電流iwが零になる場合(異常時)は、W相の接続手段3cが断線している場合やU相の接続手段3aの地絡やU相を構成するスイッチング素子8a,8dの故障などが考えられる。イコール比較器15bはこれらの故障による異常時に1を出力し、検知時素手段16bを介して論理和(OR)手段13にその結果が入力される。
なお、異常時に2つの相電流iv,iwとの偏差が零以外になる場合は、V,W相の接続手段3b,3cが断線している場合や、V,W相の接続手段3b,3cの地絡や、V,W相を構成するスイッチング素子8b,8e,8c,8fの故障などであり、このようなV,W相の異常を検知できる。
異常を検知して電力変換器1の動作を停止することにより、異常を検知した箇所以外の電力変換器や交流回転機の拡大故障を防止する効果がある。
なお、図4は説明を簡略化するために、図1に示す電力変換器1、直流電源7、接続手段3a,3b,3c、交流回転機2のみ記載して動作説明を行う。
また、電力変換器1を構成するスイッチング素子は、説明を簡略化するために理想スイッチで記載しているが、基本的な動作は理想スイッチング素子と同じように考えられるので、このように記載している。
相電流iuの流れる方向を正方向と定義すると、相電流iv,iwは負方向に流れていると考えられる。
以上の動作波形を示したのが図5の左側の波形Aであり、正常時は、相電流iv,iwは、負の値の「−I1」が流れて、2つの相電流iv,iwの偏差iv−iwは、正常時は零になる。
図4(b)に示すように、W相のケーブル(接続手段3c)が断線する異常時は、相電流iwがiw=0になるので、相電流iu(電流値:「I1×2」)は、W相に電流が流れないことから、接続手段3aを介して交流回転機2の巻線を通って、iu=−ivとなる相電流ivが接続手段3bを介してスイッチ8eに流れることになる。
そのため、図5の動作波形Bに示すように、正常時の動作波形Aと比較すると、相電流iv,iwや相電流ivとiwとの偏差iv−iwが正常時と異なっており、異常が検知できることがわかる。
さらに、iwが零になることより、図3の異常検知手段6のイコール比較器15bより検知できる。
また、iv−iwが零でないことから、図3の異常検知手段6のノットイコール比較器12より検知できる。
そのため、上述したいずれかの1つ以上の手段よりW相のケーブルの異常を検知して1が出力され、論理和(OR)手段13より異常を検知したというPUD信号を出力する。
論理和(OR)手段13に1が入力されると、論理和(OR)手段13は異常検知を意味するPUD信号を出力して、電力変換器1の動作を停止する。
シミュレーション条件は、直流電源7の直流電圧を1500Vとして、交流回転機2の定数は、電鉄などに用いられる180kW級の交流回転機の定数を使用した。
図6のシミュレーション結果は、正常時の相電流iu,iv,iw波形を示している。図6のシミュレーション結果より、この交流回転機2では「−I1」を−80Aに設定すれば良いことが判る。
図7(a)のシミュレーション結果は、W相のケーブル(接続手段3c)断線時を模擬したものであり、相電流iwが零になることや相電流ivが「−I1」より小さくなることや相電流の偏差iv−iwが零でないことにより検知できることを示している。すなわち、異常検知手段6のイコール比較器15b及び小なりイコール比較器14a、及びノットイコール比較器12より検知できることを示している。
図7(b)のシミュレーション結果は、V相のケーブル(接続手段3b)断線時を模擬したものであり、相電流ivが零になることや相電流iwが「−I1」より小さくなることや相電流の偏差iv−iwが零でないことにより検知できることを示している。すなわち、異常検知手段6のイコール比較器15a及び小なりイコール比較器14b及びノットイコール比較器12より検知できることを示している。
図7(c)のシミュレーション結果は、U相のケーブル(接続手段3a)断線時を模擬したものであり、相電流iv,iwが零になることにより検知できることを示している。すなわち、異常検知手段6のイコール比較器15a、15bより検知できることを示している。
図7(d)のシミュレーション結果は、W相のケーブル(接続手段3c)地絡時を模擬したものであり、相電流iwが零になることや相電流の偏差iv−iwが零でないことにより検知できることを示している。すなわち、異常検知手段6のイコール比較器15b及びノットイコール比較器12より検知できることを示している。
図7(e)のシミュレーション結果は、V相のケーブル(接続手段3b)地絡時を模擬したものであり、相電流ivが零になることや相電流の偏差iv−iwが零でないことにより検知できることを示している。すなわち、異常検知手段6のイコール比較器15a及びノットイコール比較器12より検知できることを示している。
図7(f)のシミュレーション結果は、U相のケーブル(接続手段3a)地絡時を模擬したものであり、相電流iv,iwが零になることにより検知できることを示している。すなわち、図7(c)のU相のケーブル断線時と同様に異常検知手段6のイコール比較器15a,15bより検知できることを示している。
図8は本発明の実施の形態2による異常検出装置及び駆動制御システムの回路構成を示す図、図9は本発明の実施の形態2に係る異常検知手段を示す構成図である。
本実施の形態では、直流電圧検出手段17により直流電圧を検出し、「−I1」の値を変更する点、及び異常検知手段18において電流検出手段4a,4bのオフセットなどを考慮する点が実施の形態1と異なっている。これにより異常を検出する精度を向上させることが可能となる。
なお、他の構成は実施の形態1と同様であり、図面も同一符号で示す。また、電流検出手段の設置位置とスイッチング指令信号との関係に関しても実施の形態1の表1と同様である。ここでは実施の形態1と異なる部分のみ説明する。
例えば、直流電圧1500Vで電流値「−I1」を決めた場合に、本実施の形態の直流電圧検出手段17で検知した直流電圧が1200Vであるとすると、交流回転機2に印加される電圧も小さくなるため、流れる電流の実効値は小さくなる。その小さくなる比率は、直流電圧の変動比率で決めることができ、1200/1500となる。1200/1500を「−I1」に掛け合わせることにより、直流電圧の変動を考慮した「−I1*」にすることができる。
この直流電圧の変動を考慮した新たな「−I1*」を小なり比較器14a,14bに入力し、実施の形態1と同様に相電流iv,iwとの比較を行う。
異常検知手段18の大なり比較器22aは、電流検出手段4aで検出された相電流ivと、掛算器21bで「−I1*」と0.01とを掛け合わせたほとんど零に近い値である「−0.01×I1*」とを比較し、相電流ivが「−0.01×I1*」より大きければ1を出力する。ivは正常時にも「−0.01×I1*」より大きくなることがあるため、検知時素手段16aは、所定の時間検知を遅らせるため取り付けられたものであり、正常と異常時を判断するために必要な手段である。
なお、相電流ivが「−0.01×I1*」より大きくなる異常の場合は、V相の接続手段3cが断線している場合や、U相の接続手段3aの地絡や、U相を構成するスイッチング素子8a、8dの故障などが考えられる。
検知時素手段16aに設定されている時間経過後に大なり比較器22aが前記のような故障による異常を検知した時に、大なり比較器22aから出力される信号が検知時素手段16aを介して論理和(OR)手段13に入力される。
異常検知手段18の大なり比較器22bも同様に、電流検出手段4bで検出された相電流iwと「−0.01×I1*」とを比較し、相電流iwが「−0.01×I1*」より大きければ1を出力する。相電流iwが「−0.01×I1*」より大きくなる異常の場合は、W相の接続手段3cが断線している場合や、U相の接続手段3aの地絡や、U相を構成するスイッチング素子8a,8dの故障などが考えられる。検知時素手段16bに設定されている時間経過後に大なり比較器22bが前記のような故障による異常を検知した時に、大なり比較器22bから出力される信号が検知時素手段16bを介して論理和(OR)手段13に入力される。
これによりU相の接続手段3aが断線している場合や、U相の接続手段3aの地絡や、U相を構成するスイッチング素子8a,8dの故障などを確実に検知できる。
また、電流検出手段4a,4bなどにオフセットがある場合でも異常を確実に検知できる効果がある。
図10は本発明の実施の形態3による異常検出装置及び駆動制御システムの回路構成を示す図、図11は本発明の実施の形態3に係るスイッチング指令発生手段を示す構成図、図12は本発明の実施の形態3に係る異常検知手段を示す構成図、図13は本発明の実施の形態3による異常検出装置における正常時の動作波形図、図14は本発明の実施の形態3による異常検出装置における異常時の動作波形図である。
本実施の形態では、実施の形態1,2と比較して電流検出手段4cが1つである点、及びスイッチング指令発生手段24が3つのパターンのスイッチング指令信号を出力する点が異なる。また、異常検知手段25の構成が異なり、前記3つのパターンのスイッチング指令信号に対して検出される相電流の処理方法が異なる。
なお、他の構成は実施の形態1と同様であり、図面も同一符号で示す。ここでは異なる部分のみ説明する。
図11において、スイッチング指令発生手段24は、第1のスイッチング指令手段9、第2のスイッチング指令手段26、第3のスイッチング指令手段27、及び論理和(OR)手段28a,28b,28cを備えている。
第1のスイッチング指令手段9は、実施の形態1と同様に、Gu,Gy,Gz信号を1とし、3つのスイッチング素子8a,8e,8fをオンする指令を出力する。
また、第2のスイッチング指令手段26は、Gx,Gv,Gz信号を1とし、3つのスイッチング素子8d,8b,8fをオンする指令を出力する。
第3のスイッチング指令手段27は、Gx,Gy,Gw信号を1とし、3つのスイッチング素子8d,8e,8cをオンする指令を出力する。
論理和(OR)手段28aは、第2のスイッチング指令手段26と第3のスイッチング指令手段27とのいずれかがGx信号を1とする指令信号を出力した場合に、スイッチング素子8dをオンする指令を出力する。
同様に、論理和(OR)手段28bは、第1のスイッチング指令手段9と第3のスイッチング指令手段27とのいずれかがGy信号を1とする指令信号を出力した場合に、スイッチング素子8eをオンする指令を出力する。
同様に、論理和(OR)手段28cは、第1のスイッチング指令手段9と第2のスイッチング指令手段26とのいずれかがGz信号を1とする指令信号を出力した場合に、スイッチング素子8fをオンする指令を出力する。
なお、図示を省略するが、スイッチング指令発生手段24は、第1のスイッチング指令手段9、第2のスイッチング指令手段26、及び第3のスイッチング指令手段27のいずれかが所定の3つの信号を選択し、1を出力した場合、選択した信号以外の残りの3つの信号に対しては0を出力し、対応するスイッチング素子をオフするように構成される。
また、異常検知手段25は、スイッチング指令発生手段24が発生するパターンの異なる3つのスイッチング指令信号に対して、電流検出手段4cが検出する3つの電流値を入力し異常を検知する。
このような信号が出力された際の正常時の相電流は、二相の相電流の符号が同じで、かつ前記二相の相電流の符号と前記二相以外の一相の相電流の符号とが異なっており、かつ相電流の符号が他の二相とは異なる一相が、3回のスイッチング指令信号において互いに異なる相となっている。
なお、表2の例1,2において、1つの電流検出手段がどの接続手段に設置されていても、表1の例1、または例2に示す3パターンのスイッチング指令信号で動作させればよい。
また、表2において、例1のスイッチング指令信号のパターンは上記実施の形態で示したパターンであり、以下の説明では例1のスイッチング指令信号のパターンによる動作を示す。
異常検知手段25のU相地絡検知手段29は、掛算器32a、及び大なり比較器33を備え、U相のスイッチング素子8aがオンして交流回転機2内での地絡や電力変換接続手段3aの地絡している時にU相電流iuが想定以上に大きくなることを検知する。
掛算器32aは、交流回転機2の定数やスイッチングする時間や直流電圧などで決まる「I1」と係数3とを掛ける。
図13の正常時の動作波形より、U相には3回のスイッチング指令により最大でも「2×I1」しか流れないことから「3×I1」より大きな電流が流れる時は異常であると判断できる。その判断を大なり比較器33で「3×I1」と相電流iuとを比較することで行う。大なり比較器33は、パターンの異なる3回のスイッチング指令でそれぞれ検出された相電流iuが「3×I1」より大きくなると異常であると判断して、1を論理和(OR)手段37に出力する。
図13の正常時の動作波形より、U相には3回のスイッチング指令により最小でも「−I1」より大きな電流が流れる。V相あるいはW相の断線地絡時には相電流iuが、パターンの異なる3回のスイッチング指令のいずれかで「−I1」より小さくなるため、掛算器32cで「I1」に「−1.5」の係数を掛けて、「−I1」より小さい値「−1.5×I1」を演算し、小なり比較器34bにより、パターンの異なる3回のスイッチング指令でそれぞれ検出された相電流iuと、掛算器32cの出力である「−1.5×I1」とを比較する。その結果、相電流iuが「−1.5×I1」より小さければ、異常であると判断して、1を論理和(OR)手段37に出力する。
異常を検知して電力変換器1の動作を停止することにより、異常を検知した箇所以外の電力変換器1や交流回転機2の拡大故障を防止する効果がある。
また、本実施の形態では異常検知手段25において電流検出手段4cのオフセットを考慮した構成としたが、掛算器32b、及び小なり比較器34aの代わりに比較値を「0」とするイコール比較器を用いてもよい。
また、実施の形態2と同様に、直流電圧検出手段により直流電圧を検出し、「I1」の値を「I1*」に変更して演算するようにしてもよい。
そのため、論理和(OR)手段37から出力されるPUD信号により電力変換器1の動作を停止したり、PUD信号をモニタに表示するのでなく、論理和(OR)手段37の代わりに論理手段を用い、U相地絡検知手段29で異常を検知したら「U相地絡検知」、U相断線検知手段30で異常を検知したら「U相断線検知」、V,W相断線地絡検知手段31で異常を検知したら「V,W相断線地絡検知」とモニタに表示し、異常の特定を行うようにしても良い。
まず、図13を用いて正常時の動作波形について説明を行う。本実施の形態は、上述したように、パターンの異なる3回のスイッチング指令でそれぞれ検出された相電流iuにより異常を検知する。
図13の1回目のスイッチング指令信号は、スイッチング指令発生手段24の第1のスイッチング指令手段9により、Gu,Gy,Gz信号がオン信号となる指令信号である。このスイッチング指令信号により、相電流iuは正側に最大振幅I1×2の電流が流れ、相電流iv、相電流iwはそれぞれ負側に振幅−I1の電流が流れる。当然、正常時はiu+iv+iw=I1×2−I1−I1=0の関係が保たれる。
図13の2回目のスイッチング指令信号は、スイッチング指令発生手段24の第2のスイッチング指令手段26により、Gx,Gv,Gz信号がオン信号となる指令信号である。このスイッチング指令信号により、相電流ivは正側に最大振幅I1×2の電流が流れ、相電流iu、相電流iwはそれぞれ負側に振幅−I1の電流が流れ、iu+iv+iw=0の関係が保たれる。
図13の3回目のスイッチング指令信号は、スイッチング指令発生手段24の第3のスイッチング指令手段27により、Gx,Gy,Gw信号がオン信号となる指令信号である。このスイッチング指令信号により、相電流iwは正側に最大振幅I1×2の電流が流れ、相電流iu、相電流ivはそれぞれ負側に振幅−I1の電流が流れ、iu+iv+iw=0の関係が保たれる。
以上が本実施の形態の正常時におけるスイッチング指令信号と相電流との関係である。
図14の1回目のスイッチング指令信号(Gu,Gy,Gz信号がオン信号)に対して、V相のケーブル(接続手段3b)断線の異常時には、相電流ivは零になるが、相電流iuは正常時と同じように正側に最大振幅I1×2の電流が流れる。また、相電流iwは負側に最大振幅I1×2の電流が流れ、iu+iv+iw=0の関係が保たれる。この場合、図12の異常検知手段25では異常を検出しない。
次に、図14の2回目のスイッチング指令信号(Gx,Gv,Gz信号がオン信号)に対して、V相のケーブル(接続手段3b)断線の異常時には、相電流iv,iw,iuは全て零になる。そのことより、異常検知手段25のU相断線検知手段30により異常を検知できる。
次に、図14の3回目のスイッチング指令信号(Gx,Gy,Gw信号がオン信号)に対して、V相のケーブル(接続手段3b)断線の異常時には、相電流ivは零になるが、相電流iwは正常時と同じように正側に最大振幅I1×2の電流が流れる。また、相電流iuは負側に最大振幅I1×2の電流が流れ、iu+iv+iw=0の関係が保たれる。これにより、V,W相断線地絡検知手段31により異常を検知できる。
また、本実施の形態では、2回目の第2のスイッチング指令手段26で異常を検知しても3回目の第3のスイッチング指令手段27を実施するように記載しているが、異常を検知したら、その時点で次のスイッチング指令手段を動作させないようにしても良い。
また、W相のケーブル(接続手段3c)断線の異常時も同様にU相断線検知手段30とV,W相断線地絡検知手段31により異常を検知できるので、同様に、モニタ表示などを行う時は、「U相断線検知」より「V,W相断線地絡検知」を優先的に表示させ、V,W相断線地絡検知手段31が異常を検知しない場合に「U相断線検知」を表示すると良い。
。
図15は本発明の実施の形態4による異常検出装置及び駆動制御システムの回路構成を示す図、図16は本発明の実施の形態4に係る異常検知手段を示す構成図、図17は本発明の実施の形態4による異常検出装置における正常時の動作波形図、図18は本発明の実施の形態4による異常検出装置における異常時の動作波形図である。
本実施の形態では、実施の形態3と比較してスイッチング指令発生手段は実施の形態3と同じであるが、電力変換器1の直流側に直流電流検出手段39があり、異常検知手段38が異なる。
なお、他の構成は実施の形態3と同様であり、図面も同一符号で示す。ここでは異なる部分のみ説明する。
直流電流検出手段39で検出された直流電流idは、異常検知手段38に入力される。 異常検知手段38は、図16に示すように、地絡検知手段40、及び断線検知手段41を備えている。
地絡検知手段40は、直流電流検出手段39で検出された直流電流idが入力される以外は実施の形態3のU相地絡検知手段29と同じ構成である。実施の形態3のU相地絡検知手段29はU相を構成する部位のみの地絡を検知する手段であったが、本実施の形態の地絡検知手段40はU,V,W相の全相を構成する部位の地絡を検知する手段である。
また、断線検知手段41は、直流電流検出手段39で検出された直流電流idが入力される以外は実施の形態3のU相断線検知手段30と同じ構成である。実施の形態3のU相断線検知手段30はU相の接続手段3aの断線を検知する手段であったが、本実施の形態の断線検知手段41は接続手段3a,3b,3cの断線を検知する手段である。
地絡検知手段40もしくは断線検知手段41が異常を検知したら1が出力され、論理和(OR)手段42に入力され、論理和(OR)手段42より異常を検知したというPUD信号が出力される。
まず、図17を用いて正常時の動作波形について説明を行う。本実施の形態は、上述したように、パターンの異なる3回のスイッチング指令でそれぞれ検出された直流電流idにより異常を検知する。
図17の1回目のスイッチング指令信号は、スイッチング指令発生手段24の第1のスイッチング指令手段9により、Gu,Gy,Gz信号がオン信号となる指令信号である。このスイッチング指令信号により、相電流iuは正側に最大振幅I1×2の電流が流れ、相電流iv、相電流iwはそれぞれ負側に振幅−I1の電流が流れる。直流電流idには、相電流iuと一致した電流(正側に最大振幅I1×2の電流)が流れる。
図17の2回目のスイッチング指令信号は、スイッチング指令発生手段24の第2のスイッチング指令手段26により、Gx,Gv,Gz信号がオン信号となる指令信号である。このスイッチング指令信号により、相電流ivは正側に最大振幅I1×2の電流が流れ、相電流iu、相電流iwはそれぞれ負側に振幅−I1の電流が流れる。直流電流idには、相電流ivと一致した電流(正側に最大振幅I1×2の電流)が流れる。
図17の3回目のスイッチング指令信号は、スイッチング指令発生手段24の第3のスイッチング指令手段27により、Gx,Gy,Gw信号がオン信号となる指令信号である。このスイッチング指令信号により、相電流iwは正側に最大振幅I1×2の電流が流れ、相電流iu、相電流ivはそれぞれに負側に振幅−I1の電流が流れる。直流電流idには、相電流iwと一致した電流(正側に最大振幅I1×2の電流)が流れる。
このように、正常時の直流電流idは、3回目のスイッチング指令信号に対しそれぞれ正側に最大振幅I1×2の電流が流れる。
以上が本実施の形態の正常時におけるスイッチング指令信号と相電流及び直流電流との関係である。
図18の1回目のスイッチング指令信号(Gu,Gy,Gz信号がオン信号)に対して、U相のケーブル(接続手段3a)断線の異常時には、相電流iuが零になり、直流電流idも零になる。そのことにより、異常検知手段38の断線検知手段41によって異常を検知することができる。
次に、図18の2回目のスイッチング指令信号(Gx,Gv,Gz信号がオン信号)に対しては、相電流iuが零になるが、相電流ivは正側に最大振幅I1×2の電流が、相電流iwは負側に最大振幅I1×2の電流が流れ、直流電流idは正常時と同じように正側に最大振幅I1×2の電流が流れる。
次に、図18の3回目のスイッチング指令信号(Gx,Gy,Gw信号がオン信号)に対しては、相電流iuが零になるが、相電流ivは負側に最大振幅I1×2の電流が、相電流iwは正側に最大振幅I1×2の電流が流れ、直流電流idは正常時と同じように正側に最大振幅I1×2の電流が流れる。
以上より、本実施の形態において、U相のケーブル(接続手段3a)断線の異常時には、第1のスイッチング指令手段9が動作時に断線検出手段41で異常を検知する。
また、同様にスイッチング指令発生手段24の第2のスイッチング指令手段26が動作時に異常検知手段38の地絡検知手段40により異常を検知すれば、V相の部位が地絡していることを示し、第2のスイッチング指令手段26が動作時に異常検知手段38の断線検知手段41により異常を検知すれば、V相の接続手段3bが断線していることを示している。
スイッチング指令発生手段24の第3のスイッチング指令手段27が動作時に異常検知手段38の地絡検知手段40により異常を検知すれば、W相の部位が地絡していることを示し、第3のスイッチング指令手段27が動作時に異常検知手段38の断線検知手段41により異常を検知すれば、W相の接続手段3cが断線していることを示している。
そのため、本実施の形態では、論理和(OR)手段37から出力されるPUD信号により電力変換器1の動作を停止したが、論理和(OR)手段37の代わりに論理積(AND)手段を用い、この論理積(AND)手段に、スイッチング指令発生手段24から発生するスイッチング指令信号が3つのパターンのうちのどれであるかを示す情報と、地絡検知手段40からの信号と、断線検知手段41からの信号と入力して、故障の種類(断線,地絡)及び故障箇所(U相,V相,W相)を特定することができる。
なお、本実施の形態では、直流電流検出手段39を直流電源7の正側に取り付けているが、直流電源7の負側に取り付けても同様の効果を得られることは言うまでもない。
図19は本発明の実施の形態5による異常検出装置及び駆動制御システムの回路構成を示す図、図20は本発明の実施の形態5に係る異常検知手段を示す構成図、図21は本発明の実施の形態5による異常検出装置における正常時と異常時(W相ケーブル断線)の動作波形図である。
本実施の形態では、実施の形態1と比較して異常検知手段43が異なる。すなわち、異常検知手段43は電流検出手段4a,4bにより検出される電流の、所定時間における平均値をそれぞれ算出して異常を検知する。
他の構成は実施の形態1と同様であり、図面も同一符号で示す。また、電流検出手段の設置位置とスイッチング指令信号との関係に関しても実施の形態1の表1と同様である。ここでは実施の形態1と異なる部分のみ説明する。
平均処理手段50aは、電流検出手段4aにより検出された相電流ivの平均値を算出する手段であり、図21に示すように、スイッチング指令発生手段5によりスイッチング素子がオンしている時間(この時間を図21に示すように所定時間T1と定義する。)に流れる相電流の平均値を算出する。スイッチング指令発生手段5によりスイッチング素子がオンしている所定時間T1に流れる電流は、図21に示すように直線的な波形となる。この電流の最大電流値は、交流回転機2の定数やスイッチング素子がオンする所定時間T1や直流電圧により決まることを上述したが、所定時間T1の考え方は次の通りである。
正常時には、その平均値は「−0.5×I1」になるため、この値より小さい値を比較値とした小なり比較器47aに平均処理手段50aの出力を入力すると共に、平均値が0でないことから比較値を0としたイコール比較器48aに平均処理手段50aの出力を入力する。これら小なり比較器47a及びイコール比較器48aは平均値が正常であると判断し、論理和(OR)手段49には異常である信号を出力しない。
なお、平均処理手段50bも電流検出手段4bにより検出された相電流iwの平均値を算出する手段であり、相電流がivからiwに変更になるだけで、動作は平均処理手段50aと同様である。
W相ケーブル(接続手段3c)断線の異常時は、相電流iwが0になるため、図21に示すように、平均処理手段50aの出力(ivの平均値)は、「−0.5×I1」より小さい「1.0×I1」の電流となる。
異常検知手段43の小なり比較器47aは比較値として「−0.75×I1」を設定することにより異常を検知することができ、論理和(OR)手段49に1を出力する。
また、平均処理手段50bの出力(iwの平均値)は0となるため、比較値を0とした異常検知手段43のイコール比較器48bにより異常を検知することができ、論理和(OR)手段49に1を出力する。
論理和(OR)手段49に1が入力されると、論理和(OR)手段49は異常検知を意味するPUD信号を出力して、電力変換器1の動作を停止する。
異常を検知して電力変換器1の動作を停止することにより、異常を検知した箇所以外の電力変換器や交流回転機の拡大故障を防止する効果がある。
図22は本発明の実施の形態6による異常検出装置及び駆動制御システムの回路構成を示す図、図23は本発明の実施の形態6に係るスイッチング指令発生手段を示す構成図、図24は本発明の実施の形態6による異常検出装置における正常時の動作波形図、図25は本発明の実施の形態6による異常検出装置における異常時(V相ケーブル断線)の動作波形図である。
本実施の形態では、実施の形態5と比較してスイッチング指令発生手段51が異なり、スイッチング指令発生手段51は同じスイッチング指令信号を2回発生する。但し、電流検出手段の設置位置とスイッチング指令信号との関係に関しては実施の形態1の表1と同様である。
他の構成は実施の形態5と同様であり、図面も同一符号で示し、ここでは異なる部分のみ説明する。
なお、図25ではV相ケーブルが断線した場合の動作波形図を示している。
第1のスイッチング指令手段9は、実施の形態1と同様に、Gu,Gy,Gz信号を1とし、3つのスイッチング素子8a,8e,8fをオンする指令を出力する。
切り替え手段52aのB接点には第1のスイッチング指令手段9が接続され、切り替え手段52aのA接点には「0」が入力される。
切り替え手段52aは、所定時間T2が経過後、B接点からA接点に切り替わり、切り替え手段52aの出力は、第1のスイッチング指令手段9の出力から0に切り替わる。切り替え手段52aの出力は、論理和(OR)手段53に入力される。
また、切り替え手段52bは、切り替え手段52aのB接点に「0」が接続されており、所定時間T3になるまで、B接点からの「0」が切り替え手段52bの出力となる。
所定時間T3が経過後、切り替え手段52bはB接点からA接点に切り替わり、A接点に接続された第1のスイッチング指令手段9の出力が切り替え手段52bより出力される。切り替え手段52bの出力は、論理和(OR)手段53に入力される。
また、本実施の形態における所定時間T1は、図24,25に示すように、2回のスイッチングを行う全ての時間となる。この所定時間T1は実施の形態5で述べたように、500μsec以内である必要がある。
なお、電流の平均値を算出する時間は、図24,25に示す所定時間T4(2回目のスイッチング指令信号のオン時間)を用いてもよい。すなわち、2回目のスイッチング指令信号により流れる電流値は1回目のスイッチング指令信号により流れる電流値より大きく、電流の平均値も大きくなるため、同様の効果が得られる。
図26は本発明の実施の形態7による異常検出装置及び駆動制御システムの回路構成を示す図、図27は本発明の実施の形態7に係る異常検知手段を示す構成図、図28は本発明の実施の形態7における相電流と一次抵抗変動との関係を示す図、図29は本発明の実施の形態7による異常検出装置における正常時と異常時(W相ケーブル断線)の動作波形図である。
本実施の形態では、実施の形態1と比較して、交流回転機が2つ接続されている点、及び2つの交流回転機2a,2bの巻線抵抗である一次抵抗値をそれぞれ測定する一次抵抗値検出手段55a,55bを取り付けている点が異なる。また、異常検知手段54は、一次抵抗値検出手段55a,55bにより検出した一次抵抗値を利用して異常を検出する点が異なる。
なお、他の構成は実施の形態1と同様であり、図面も同一符号で示す。また、電流検出手段の設置位置とスイッチング指令信号との関係に関しても実施の形態1の表1と同様である。ここでは実施の形態1と異なる部分のみ説明する。
また、本実施の形態では一次抵抗検出手段55a,55bは、2つの交流回転機2a,2bそれぞれに取り付けているが、交流回転機2a,2bのどちらかに一方に接続して検出値を利用することでも本実施の形態の効果は十分にある。
一次抵抗値検出手段55aより検出された交流回転機2aの一次抵抗値Rs1と、一次抵抗値検出手段55bより検出された交流回転機2bの一次抵抗値Rs2とは、加算器60で加算され、その加算した値は除算器61aにより定数2で割り算される。これにより、交流回転機2a,2bの一次抵抗値の平均値Rsが算出できる。
除算器61bにより、電流量「−I1」を算出した時の一次抵抗値Rs*を前記平均値Rsで割る。これにより、一次抵抗の変化値を算出でき、算出したこの値を掛算器62aで「−I1」に掛け合わせる。
この一次抵抗の変動を考慮した新たな「−I1*」を、実施の形態2と同様に、小なり比較器57a,57bに入力し、相電流iv,iwとの比較を行う。
また、一次抵抗の変動を考慮した「−I1*」は、実施の形態2と同様に、掛算器62bで「0.01」と掛け合わせ、大なり比較器58a,58bでそれぞれ相電流iv,iwとの比較を行う。その際、検知時素手段59a,59bは、所定の時間検知を遅らせるため取り付けられたものであり、正常と異常時を判断するために必要な手段である。
異常検知手段54における小なり比較器57a,57b、大なり比較器58a,58b(及び検知時素手段59a,59b)の何れかが、異常を検知して論理和(OR)手段63に1を出力すると、論理和(OR)手段63は異常検知を意味するPUD信号を出力して、電力変換器1の動作を停止する。
直流電源7の直流電圧が一定であると、スイッチング指令発生手段5によりスイッチング指令信号が出力された場合、電力変換器1は常に振幅が一定の電圧を交流回転機2に印加することになる。
また、一次抵抗の変動のない状態Rs*=Rsとすると、その時、相電流iv,iwに流れる電流は最小値「−I1」になる。すなわち、V,W相に印加する電圧を−Vvとし、一次抵抗をRsとすると、単純に考えると以下の式で電流「−I1」が算出できる。
−Vv/Rs=−I1 (1)
また、(1)式よりRsが小さくなると(Rs*/Rs<1)、「−I1」はマイナス方向に大きくなる(正方向に小さくなる)。
その関係を示したのが、図28であり、異常検知手段54は一次抵抗検出値によって、「−I1」を一次抵抗の変動に応じた新たな「−I1*」に変更させることにより、異常を確実に検知できる効果がある。
特に一次抵抗が大きくかわるような用途に本実施の形態を適用するとより効果が大きい。
終日電流が流れることにより一次抵抗の値が常に大きくなるため、本実施の形態を実施し、一次抵抗検出手段55a,55bにより検知レベル「−I1」を変更するようにすれば、異常を検知する精度が向上する効果がある。
また、電圧,電流より一次抵抗値を計測するチューニング技術が一般的にあるが、このような方法によって一次抵抗を計測して検知レベル「−I1」を変更しても同様の効果が得られる。
本実施の形態の異常検知手段54の動作は基本的に実施の形態1と同様である。但し、本実施の形態では、一次抵抗の変動を考慮した構成であり、異常検知手段54において偏差をとる処理は行っていない。
また、実施の形態1〜6において、交流回転機2を2つそなえ、本実施の形態と同様の構成を適用してもよい。
図30は本発明の実施の形態8による異常検出装置及び駆動制御システムの回路構成を示す図、図31は本発明の実施の形態8に係る異常検知手段を示す構成図、図32は本発明の実施の形態8による異常検出装置における正常時と異常時(W相ケーブル断線)の動作波形図、図33は本発明の実施の形態8による異常検出装置における正常時と異常時(V相ケーブル断線)の動作波形図である。
本実施の形態では、実施の形態7と比較して、一次抵抗検出手段が不要である。そのため、異常を検知する異常検知手段66の構成が実施の形態7と異なる。
なお、他の構成は実施の形態7と同様であり、図面も同一符号で示す。また、電流検出手段の設置位置とスイッチング指令信号との関係に関しても実施の形態1の表1と同様である。ここでは異なる部分のみ説明する。
電流の偏差iv−iwは正常時0であるため、電流の偏差iv−iwが0でなければ異常を検知したと判断し、ノットイコール比較器68は1を出力する。すなわち、異常検知手段66よりPUD信号を出力し、電力変換器1を停止するなど、故障が拡大しないように何だかの処置を行う。
交流回転機2bに流れる相電流iwが0になり、その分、交流回転機2bに流れる相電流ivの電流実効値が増えることになる。そのため、相電流iv,iwには同じ電流が流れなくなるため、電流の偏差iv−iwは0でなくなり、異常を検知することができる。
同様に図33の右側の波形Bは、交流回転機2bのV相に接続する接続手段56bが断線した時の動作波形である。
交流回転機2bに流れる相電流ivが0になり、その分、交流回転機2bに流れる相電流iwの電流実効値が増えることになる。そのため、相電流iv,iwには同じ電流が流れなくなるため、電流の偏差iv−iwは0でなくなり、異常を検知することができる。
三相全ての異常を検知するには、異常検知手段66に対し、さらに実施の形態1で示したイコール比較器15a,15b、検知時素手段16a,16b、及び論理和(OR)手段13を設け、電流検出手段4aで検出される相電流ivが所定時間経過後に零になる場合、あるいは電流検出手段4bで検出される相電流iwが所定時間経過後に零になる場合にも異常と判断するように構成すると良い。
図34は本発明の実施の形態9による異常検出装置及び駆動制御システムの回路構成を示す図、図35は本発明の実施の形態9に係る異常検知手段を示す構成図、図36は本発明の実施の形態9による異常検出装置における正常時と異常時(U相ケーブル断線)の動作波形図、図37は本発明の実施の形態9による異常検出装置における正常時と異常時(W相ケーブル断線)の動作波形図である。
本実施の形態では、実施の形態1と比較して、電流検出手段4a,4b,4cがU,V,W相の各相にそれぞれ取り付けられていることが特徴である。そのため、異常を検知する異常検知手段69の構成が実施の形態1と異なる。
なお、他の構成は実施の形態1と同様であり、図面も同一符号で示し、ここでは異なる部分のみ説明する。
イコール比較器70a,70b,70cの出力は論理和手段71に入力されて、イコール比較器70a,70b,70cの出力の少なくとも1つが1であった場合、論理和手段71は1(オン)の信号を出力する。そして、論理和手段71からの出力信号は検知時素手段72を通過し、異常信号であるPUD信号を出力した際に、実施の形態1と同様に電力変換器1の動作を停止する。
検知時素手段72は誤検知を防止するために設置されるものであり、設定された時間だけ遅れた論理和手段71からの出力信号を出力する。
8b,8d,8fが1(オン)、8a,8c,8eが0(オフ)
8c,8d,8eが1(オン)、8a,8b,8fが0(オフ)
8a,8b,8fが1(オン)、8c,8d,8eが0(オフ)
8a,8c,8eが1(オン)、8b,8d,8fが0(オフ)
8b,8c,8dが1(オン)、8a,8e,8fが0(オフ)
同様に、図37の右側の波形Bは、接続手段3cが断線した時の動作波形である。交流回転機2に流れる相電流iwが0になり、その分、交流回転機2に流れる相電流ivの電流値が増えることになる。相電流iwが零になることにより異常検知手段69は異常を検知することができる。
2,2a,2b 交流回転機(誘導機)、
3a,3b,3c,56a,56b,56c,64a,64b,64c 接続手段、
4a,4b,4c 電流検出手段、
5,24,51 スイッチング指令発生手段、
6,18,25,38,43,54,66,69 異常検知手段、
7 直流電源、
8a,8b,8c,8d,8e,8f スイッチング素子、
9 第1のスイッチング指令手段、
10,32a,32b,32c 掛算器、
11,45a,45b,67 減算器、
12,68 ノットイコール比較器、
13,28a,28b,28c,37,42,49,53,63,71 論理和(OR)手段、
14a,14b,34a,34b,47a,47b,57a,57b 小なり比較器、
15a,15b,48a,48b,70a,70b,70c イコール比較器、
16a,16b,36,59a,59b,72 検知時素手段、
17 直流電圧検出手段、
20,61a,61b 除算器、
21a,21b,62a,62b 掛算器、
22a,22b,22c,33,58a,58b,58c 大なり比較器、
23a,23b,35 絶対値手段、
26 第2のスイッチング指令手段、
27 第3のスイッチング指令手段、
29 U相地絡検知手段、
30 U相断線検知手段、
31 V,W相断線地絡検地手段、
39 直流電流検出手段、
40 地絡検知手段、
41 断線検知手段、
44a,44b 積分器、
46a,46b,52a,52b 切り替え手段、
50a,50b 平均処理手段、
55a,55b 一次抵抗値検出手段、
60 加算器、
65a,65b,65c 接続コネクタ。
Claims (6)
- 複数のスイッチング素子を備え、直流電圧を三相交流電圧に変換する電力変換器、前記電力変換器により駆動制御される交流回転機、及び前記電力変換器と前記交流回転機とを電気的に接続する接続手段の少なくともいずれか1つの異常を検知する異常検出装置であって、
前記電力変換器への直流入力電流または前記電力変換器の三相出力電流のうちの少なくとも一相の出力電流を検出する電流検出手段と、
前記交流回転機の三相全てに電圧を印加するために前記複数のスイッチング素子にスイッチング指令信号を出力すると共に、前記電力変換器が出力する三相電圧の線間電圧のうち、2つの線間電圧が同じ符号で、他の1つの線間電圧が0となる特定のスイッチング指令信号を出力するスイッチング指令発生手段と、
前記スイッチング指令発生手段が前記複数のスイッチング素子に前記特定のスイッチング指令信号を出力する期間に、前記電流検出手段が検出する電流に基づいて前記異常を検知する異常検知手段と
を備えたことを特徴とする異常検出装置。 - 電流検出手段は、電力変換器の三相出力電流のうちの二相の出力電流を検出するように設置され、
スイッチング指令発生手段が複数のスイッチング素子に特定のスイッチング指令信号のうち前記二相間の線間電圧が0となるスイッチング指令信号を出力する期間に、異常検知手段は、前記電流検出手段が検出する電流に基づいて異常を検知することを特徴とする請求項1に記載の異常検出装置。 - 異常検知手段は、電流検出手段が検出する二相の出力電流の偏差をとり、前記偏差に基づいて異常を検知することを特徴とする請求項2に記載の異常検出装置。
- 異常検知手段は、電流検出手段が検出する二相の出力電流に対しそれぞれ、スイッチング指令信号発生期間中の所定時間の平均値を求め、前記平均値に基づいて異常を検知することを特徴とする請求項2に記載の異常検出装置。
- 電流検出手段は、電力変換器の三相出力電流のうちの一相の出力電流のみを検出し、
スイッチング指令発生手段は、特定のスイッチング指令信号を少なくとも3回発生すると共に、前記3回のスイッチング指令信号は、前記電力変換器が出力する三相電圧の線間電圧のうち、線間電圧が0となる二相の組合せが、前記3回のスイッチング指令信号においてそれぞれ異なる3種類の特定のスイッチング指令信号であることを特徴とする請求項1に記載の異常検出装置。 - 電流検出手段は、電力変換器への直流入力電流のみを検出し、
スイッチング指令発生手段は、特定のスイッチング指令信号を少なくとも3回発生すると共に、前記3回のスイッチング指令信号は、前記電力変換器が出力する三相電圧の線間電圧のうち、線間電圧が0となる二相の組合せが、前記3回のスイッチング指令信号においてそれぞれ異なる3種類の特定のスイッチング指令信号であることを特徴とする請求項1に記載の異常検出装置。
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