JP6292115B2 - インバータ - Google Patents

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本発明は、直流電流を3相交流に変換するインバータに関する。
直流交流を3相交流に変換するインバータは、典型的には3相交流モータを駆動するのに用いられる。モータを精密に制御するためのインバータでは、出力電流が目標電流に追従するようにフィードバック制御される。それゆえ、インバータは、出力電流を計測する電流センサを備える。
例えば電気自動車の走行モータ用のインバータなど、重要な機能を担うインバータでは、故障対策も重要である。インバータの電流センサの故障に対策する技術が例えば特許文献1に開示されている。特許文献1の技術は、制御用の電流センサとは別に監視専用の電流センサを備える。その技術は、制御用の電流センサの計測値と監視専用の電流センサの計測値を照合することによって、電流センサの故障に対策する。
なお、インバータが出力する3相交流の夫々の相は、U相、V相、W相と呼ばれるが、本明細書では、U相、V相、W相と称する代わりに第1相、第2相、第3相との呼称を用いる。
特開2014−155326号公報
モータの精密な制御には3相各相に電流センサを設けて各相をフィードバック制御することが望ましい。一方、制御精度は低下するが、3相のうちの2相を電流センサによってフィードバック制御し、残りの1相はオープンループで制御することができる。一般にインバータは2個のスイッチング素子の直列接続が3セット並列に接続された回路を有し、各直列接続の中点から交流が出力するように各スイッチング素子が制御される。そして、インバータは相互に位相が120度ずれた正弦波の電流を出力する。フィードバック制御する2相のスイッチング素子への制御指令値(PWM信号)を決めることができれば、相補的に残りの1相のスイッチング素子への制御指令値(PWM信号)を決定することができる。
そこで、一次的に2個の電流センサを制御用に用い、残りの1個の電流センサを監視用に用いて電流センサの故障を検知することが考えられる。しかしながら、監視用の電流センサが計測した電流が正常の範囲を超えている場合、制御用の電流センサが故障しているのか、あるいは、監視用の電流センサそのものが故障しているのかを判別することは難しい。
ところで、電流センサの故障には様々なモードが考えられるが、その一つに、ゲイン故障がある。ゲイン故障は、センサゲインが予め設定された適正値からずれる現象である。センサゲインとは、センサ素子が出力する物理量から計測対象の物理量を求めるための換算定数のことである。例えば、計測対象の電流の大きさ応じてセンサ素子の抵抗値が変化する電流センサの場合、センサ素子の抵抗値を計測対象の電流の大きさに換算する換算定数がセンサゲインに相当する。ゲイン故障は、温度変化や経時変化などによってセンサ素子の特性が変わってしまうことが一因となって生じる。
3相の各相の電流路に電流センサを設置し、そのうちの2個の電流センサを制御用に用い、残りの1個の電流センサを監視用に用いる場合、いずれか1個の電流センサがゲイン故障を生じても、監視用の電流センサの計測電流の振幅が予定された振幅範囲から逸脱する。これは次の理由による。インバータの3相交流出力の和は、インバータに入力される直流電流の大きさに等しく、常に一定である。今、例えば、第1相と第2相の電流センサを制御用に用い、第3相の電流センサを監視用に用いている状況で、第1相の電流センサがゲイン故障を生じていると仮定する。第1相と第2相の電流センサの計測値(計測電流)が目標電流に追従していても、第1相の出力電流は実際には正常範囲から外れる。このとき、3相交流の和が常に一定値となることから、第3相には、第1相の出力電流のずれを相殺する電流が流れる。その結果、第3相の電流センサの計測電流の振幅が予定された振幅から逸脱することになる。
本明細書は、3相の各相の電流路に電流センサを設けたインバータに関し、ゲイン故障を生じた電流センサを特定する技術を提供する。
いずれかの電流センサがゲイン故障を生じている状態で2相フィードバック制御を実行したとき、必ず、残り1相の電流センサによる計測電流の振幅は予定された振幅から外れる。ゲイン故障を生じている電流センサの相と、2相フィードバック制御の対象の相との間には特定の関係がある。ただし、上記したように、3相のうちのいずれか2相を使って2相フィードバック制御を実行しても、ゲイン故障を生じた電流センサを特定することはできない。しかしながら、ただ一つの電流センサがゲイン故障を生じている場合、第2相と第3相で2相フィードバック制御を実行したときの第1相の電流センサによる計測電流と、第1相と第3相で2相フィードバック制御を実行したときの第2相の電流センサによる計測電流と、第1相と第2相で2相フィードバック制御を実行したときの第3相の電流センサによる計測電流との間には一意の関係がある。本明細書が開示する技術は、その一意の関係を利用して、ゲイン故障を生じている電流センサを特定する。
本明細書が開示するインバータは、3個の電流センサとコントローラを備える。3個の電流センサを夫々第1電流センサ、第2電流センサ、第3電流センサと称する。第1電流センサは、第1相の出力電流を計測する。第2電流センサは、第2相の出力電流を計測する。第3電流センサは、第3相の出力電流を計測する。コントローラは、第1、第2、及び、第3電流センサの計測電流のうちの2個を用いてその2個の計測電流が目標電流に追従するように2相のフィードバック制御を実行する。いずれか1個の電流センサでゲイン故障が発生した際、コントローラは、次の処理により、ゲイン故障を生じた電流センサを特定する。コントローラは、第2、第3電流センサの計測電流を使った第2相と第3相のフィードバック制御を実行しつつ第1電流センサの計測電流(第1モニタ電流)の振幅を計測する。コントローラは、第1、第3電流センサの計測電流を使った第1相と第3相のフィードバック制御を実行しつつ第2電流センサの計測電流(第2モニタ電流)の振幅を計測する。コントローラは、第1、第2電流センサの計測電流を使った第1相と第2相のフィードバック制御を実行しつつ第3電流センサの計測電流(第3モニタ電流)の振幅を計測する。そして、コントローラは、第1、第2、及び、第3モニタ電流のうちのいずれか2つのモニタ電流の振幅が予定された振幅よりも大きい場合又は小さい場合、残りの1つのモニタ電流を計測した電流センサを故障電流センサとして特定する。このアルゴリズムの原理は、実施例にて説明する。本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
実施例のインバータを含む電気自動車の電力系のブロック図である。 モニタ電流の振幅のずれと起こり得るゲイン故障の組み合わせを記した図である。 コントローラが実行するゲイン故障特定処理のフローチャート図である。
図面を参照して実施例のインバータを説明する。本実施例のインバータ5は、ハイブリッド車2に搭載されており、バッテリが出力する直流を、走行用モータ8を駆動するための3相交流に変換するデバイスである。なお、インバータは、インバータ主回路の前段に、バッテリの電圧を昇圧する電圧コンバータ回路を備えている。
図1は、実施例のインバータ5を含むハイブリッド車2の駆動系の構成を示すブロック図である。ハイブリッド車2は、走行用の駆動源として、モータ8とエンジン6を備えている。モータ8は、3相交流によって駆動される。モータ8の出力トルクとエンジン6の出力トルクは、動力分配機構7で適宜に分配/合成される。動力分配機構7は、例えばプラネタリギアである。動力分配機構7は、エンジン6の出力軸6a及びモータ8のモータ軸8aから夫々伝達される動力を、所定比率で合成して出力軸7aに出力する。動力分配機構7の出力は、デファレンシャルギア10を介して駆動輪10a、10bに伝達される。動力分配機構7は、また、エンジン6の出力軸6aから伝達される動力を、所定の比率でモータ8のモータ軸8aと出力軸7aに分配する。このとき、モータ8は、エンジン6の駆動力により発電する。
モータ8を駆動するための電力はメインバッテリ3から供給される。メインバッテリ3の出力電圧は、例えば300ボルトである。メインバッテリ3は、システムメインリレー4を介してインバータ5に接続されている。インバータ5は、メインバッテリ3とモータ8の間に介在するパワーデバイスである。インバータ5は、電圧コンバータ回路20、インバータ主回路30、及び、パワーコントローラ50を含む。電圧コンバータ回路20は、メインバッテリ3の電圧をモータ8の駆動に適した電圧(例えば600ボルト)まで昇圧する。インバータ主回路30は、昇圧後の直流電力を3相交流に変換する。インバータ主回路30の出力がモータ8に供給される。パワーコントローラ50は、電圧コンバータ回路20とインバータ主回路30を制御する。
ハイブリッド車2は、エンジン6の駆動力を利用してモータ8で発電することもできる。また、ハイブリッド車2は、車両の運動エネルギ(制動時の車両の減速エネルギ)を利用してモータ8で発電することもできる。このような発電は「回生」と呼ばれている。モータ8が発電する場合、インバータ主回路30が交流を直流に変換し、さらに電圧コンバータ回路20がメインバッテリ3よりも僅かに高い電圧まで降圧し、メインバッテリ3へ供給する。
電圧コンバータ回路20は、リアクトル21とIGBT等のスイッチング素子22、23とコンデンサ24を主とする回路である。このスイッチング素子22、23には、夫々、逆方向の電流をバイパスさせるためのダイオード(還流ダイオード)が逆並列に接続されている。電圧コンバータ回路20の高電圧側(即ちインバータ主回路30の側)には、インバータ主回路30に入力される電流を平滑化するためのコンデンサ25が接続されている。
インバータ主回路30は、スイッチング動作を行うスイッチング素子31、32、33、34、35、36を備える。以下、符号「31、32、33、34、35、36」を、「31−36」と称する場合がある。これらのスイッチング素子31−36のそれぞれにも、電流バイパス用のダイオードが逆並列に接続されている。6個のスイッチング素子31−36が適宜にオンオフすることで、モータ8を駆動するための3相交流が出力される。6個のスイッチング素子31−36は、2個ずつ直列に接続されている。2個のスイッチング素子の直列接続が3セット並列に接続されている。スイッチング素子31と32の直列接続の中点から第1相の交流が出力される。スイッチング素子33と34の直列接続の中点から第2相の交流が出力される。スイッチング素子35と36の直列接続の中点から第3相の交流が出力される。3相の交流は互いに位相が120度ずれており、それらの和は常に一定値となる。3相交流の和が常に一定値となるのは、インバータに入力される直流のエネルギが一定であるからであり、インバータは、入力される一定の大きさのエネルギを、3個のエネルギ正弦波に分割するデバイスである。6個のスイッチング素子31−36、及び、電圧コンバータ回路20のスイッチング素子22、23は、パワーコントローラ50から供給されるPWM信号により制御される。
インバータ5は、インバータ主回路30が出力する3相各相の電流を計測する3個の電流センサ9a、9b、9cを備えている。なお、3個の電流センサ9a、9b、9cを包括的に示す場合には「電流センサ9」と表記する。電流センサ9の検出素子は、電流路の近傍に備えられた磁電変換素子である。なお、電流路は、物理的には、バスバと呼ばれる細長金属部材である。磁電変換素子は、バスバを流れる電流の大きさに起因してバスバ周囲に生じる磁界を感知する。磁電変換素子は、感知した磁界の大きさに応じてその抵抗値が変化する。詳しい説明は省略するが、電流検出素子である磁電変換素子の抵抗値は、バスバを流れる電流の大きさに比例する。抵抗値を電流の大きさに換算する比例定数がセンサゲインである。センサゲインは予め調整されているが、温度変化や経時劣化などで磁電変換素子の特性(受けた磁束と抵抗値との関係)が変化していくと、適正な値でなくなっていく虞がある。センサゲインは相ごとに異なる。図1では、電流センサ9が検知した電流(計測電流)を記号Is(n)、(n=1〜3)で表している。電流センサ9の計測電流Is(n)、(n=1〜3)は、パワーコントローラ50に送られる。
パワーコントローラ50は、CPU、メモリ、及び、入出力インタフェース等の電子部品で構成される情報処理装置である。パワーコントローラ50が電圧コンバータ回路20とインバータ主回路30のスイッチング素子22、23、31−36を制御する。パワーコントローラ50によって生成されるPWM信号に応じて電圧コンバータ回路20のスイッチング素子22、23と、インバータ主回路30のスイッチング素子31−36がスイッチング動作を行い、入力された電力を変換する。パワーコントローラ50には、また、HVコントローラ60が接続されている。HVコントローラ60には、運転者による操作情報として、例えば、アクセル開度情報やブレーキ踏力情報が入力される。パワーコントローラ50の中の目標値生成回路51が、アクセル開度情報、ブレーキ踏力情報、及び、メインバッテリ3の電圧などに基づいて、モータ8の目標出力と目標回転数を決定する。目標値生成回路51は、モータ8の目標出力から、電圧コンバータ回路20の目標出力電圧を定める。目標値生成回路51は、目標出力電圧が実現されるように、電圧コンバータ回路20のスイッチング素子22、23を駆動するためのPWM信号(PWM_C)を生成する。また、目標値生成回路51は、モータ8の目標出力と目標回転数から、3相交流の目標電流を決める。目標電流は、目標回転数から導出された周波数と、目標出力から導出された振幅を有する。図1では、目標電流を記号It(n)(n=1〜3)で表している。なお、以下では、目標電流It(n)(n=1〜3)、計測電流Is(n)(n=1〜3)を表す際、「(n=1〜3)」の表記を省略する。
パワーコントローラ50は、インバータ主回路30の各相の計測電流が目標電流It(n)に追従するように電流フィードバック制御を実行する。なお、実際の制御側の典型は、3相電流値をdq変換し、そのdq座標系で計測電流と目標電流を扱う。しかしながら、以下の説明では、理解を助けるため、単純に、各相について計測電流が目標電流に追従する制御側を用いる。dq変換を使った制御側を採用しても、原理的には、各相の計測電流が目標電流に追従するように制御されることに相違ない。
パワーコントローラ50は、3相のうちの2相について、目標電流It(n)と計測電流Is(n)の差分(電流差分)をとり、その電流差分がゼロとなるように、スイッチング素子31−26のそれぞれに対するPWM信号(PWM_I)を生成する。図1における符号52が、目標電流It(n)と計測電流Is(n)の差分を演算する差分器を示しており、符号53が、電流差分から各スイッチング素子のPWM信号を生成するPWM信号生成部を示している。PWM信号生成部53は、2相各相の目標電流It(n)に電流差分の修正を加えた電流波形が実現されるように、スイッチング素子31−36を駆動するPWM信号(PWM_I)を生成する。残り1相の目標電流は、フィードバック制御対象の2相の目標電流から定める。残りの1相はフィードバック制御せず、オープンループ制御となる。
パワーコントローラ50は、異常検知部54を備えている。異常検知部54は、パワーコントローラ50が実行する処理の結果、あるいは、各センサの値から、インバータ5に異常が生じていないかを監視している。異常の種類は様々であるが、その一つに、電流センサのゲイン故障がある。ゲイン故障は、インバータ主回路30の実際の出力電流と、電流センサ9が計測する電流(計測電流)が相違してしまうことである。これは、先に述べたように、電流センサ9の検出素子である磁電変換素子の温度変化や経時変化に起因して生じる。
異常検知部54は、フィードバック制御されていない相の電流センサの計測値(計測電流)をモニタしている。異常検知部54は、モニタしている計測電流が正弦波であり、振幅が予め定められている許容幅を外れたときに、ゲイン故障が生じている判定する。許容幅は、目標電流の振幅に所定の許容誤差を加えた値に設定されている。なお、この段階では、3個の電流センサ9a、9b、及び、9cのうち、どの電流センサがゲイン故障を生じているのか判定はできない。以下、フィードバック制御している2相を「制御相」と称し、残りの1相をモニタ相と称する。また、モニタ相の電流センサが計測した計測電流を、他の相の計測電流と区別するために「モニタ電流」と称する。
異常検知部54が、ゲイン故障が生じていると判定すると、パワーコントローラ50は、ゲイン故障を生じている電流センサを特定する処理を実行する。3相のうちの1相の計測電流(モニタ電流)の振幅が予め定められた許容幅を超えている、という事実だけでは、故障している電流センサを特定できない。しかしながら、3相のうちの2相のみの電流フィードバック制御を、3相から2相を選ぶ全ての組み合わせについて行うことで、故障電流センサを特定することができる。次にその原理を説明する。
ゲイン故障は、電流センサ9による計測電流の振幅が実際に流れている電流の振幅よりも大きくなる、あるいは小さくなる現象である。例えば、第1相と第2相のフィードバック制御を実行しているときに、第3相の電流センサ9cの計測電流の振幅が予定された振幅よりも大きい場合を仮定する。この場合、生じ得るゲイン故障は、次の3通りが考えられる。第1のケースは、第3相の電流センサ9cのゲインが、適正なゲインよりも大きい場合である。この場合、第3相の実際の電流の振幅は適正であっても、電流センサ9cの計測電流の振幅は、実際の電流の振幅よりも大きくなる。
第2のケースは、第1相の電流を計測する電流センサ9aのセンサゲインが適正な値よりも大きい場合である。パワーコントローラ50は、第1相と第2相の電流センサ9a、9bの計測電流が目標電流に一致するようにスイッチング素子31−36を制御している。電流センサ9a、9bの計測電流の夫々が目標電流に追従しているとき、第1相を実際に流れている電流の振幅は、対応する目標電流の振幅よりも小さくなる。第1相と第2相に位相が120度相違し、一方の相の振幅が他方の相の振幅よりも小さい電流がモータに流れた場合、3相の夫々に対応するモータ8のコイルの電気的特性により、第3相の交流電流の振幅が大きくなる。第3相の電流センサ9cが正常であっても、実際の第3相の交流電流の振幅が大きいのであるから、第3相の電流センサ9cの計測電流は、3相が正常であると仮定したときに予定される振幅よりも大きくなる。
第3のケースは、第2相の電流センサ9bでゲイン故障が生じている場合である。この場合は、第1相の電流センサ9aでゲイン故障が生じている場合(第2のケース)と同じである。即ち、第2相の電流センサ9bのゲインが適正なゲインよりも大きくなっている。そうすると、みかけ上、第1相と第2相の計測電流が目標電流に追従していても、実際に第2相を流れる交流電流の振幅は正常な振幅よりも小さくなっており、その結果、第3相を流れる電流の振幅が大きくなる。
まとめると、第1相と第2相を使った2相のフィードバック制御を実行しているときに第3相の計測電流の振幅が予定された振幅よりも大きい場合、考えられるゲイン故障は、次の3通りである。第1のケースは、第3相の電流センサ9cのセンサゲインが適正な値よりも大きくなるケースである。第2のケースは、第1相の電流センサ9aのセンサゲインが適正な値よりも小さくなるケースである。第3のケースは、第2相の電流センサ9bのセンサゲインが適正な値よりも小さくなるケースである。以下、センサゲインが適正な値よりも大きくなる故障を高ゲイン故障と称し、適正な値よりも小さくなる故障を低ゲイン異常と称する。
第1相と第2相を使った2相フィードバック制御を実行しているときに、第3相の電流センサ9cの計測電流の振幅が予定された振幅よりも小さい場合にも、同様の考え方が成立する。また、第1相と第2相の組み合わせ以外の2相でフィードバック制御を実行している場合も、同様の考え方が成立する。全てのケースをまとめたのが図2の表である。図2の表は、最左列が、2相フィードバック制御の対象となる相を示している。左から2番目の列は、制御対象以外の相、即ち、モニタリングする対象の相の計測電流(モニタ電流)の振幅が、予定された振幅よりも大きいケースと小さいケースを示している。その次の列は、最左の列とその右側の列の条件のもとで、起こり得るゲイン故障のパターンを示している。最右列は、各行を識別するための符号を与えている。
図2によると、例えば、第1相と第2相の2相でフィードバック制御を行ったとき、第3相の電流センサ9cの計測電流の振幅が予定された振幅よりも大きい場合、起こり得るゲイン故障は、次の3通りである。即ち、第1相の電流センサ9aが低ゲイン故障を生じている場合(ケース3A1)、第2相の電流センサ9bが低ゲイン故障を生じている場合(ケース3A2)、そして、第3相の電流センサ9cが高ゲイン故障を生じている場合(ケース3A3)である。また、第1相と第2相の2相でフィードバック制御を行ったとき、第3相の電流センサ9cの計測電流の振幅が予定された振幅よりも小さい場合、起こり得るゲイン故障は、次の3通りである。即ち、第1相の電流センサ9aが高ゲイン故障を生じている場合(ケース3B1)、第2相の電流センサ9bが高ゲイン故障を生じている場合(ケース3B2)、そして、第3相の電流センサ9cが低ゲイン故障を生じている場合(ケース3B3)である。フィードバック制御の対象が第1相と第3相の場合(ケース2A1〜2B3)、2フィードバック制御の対象が第2相と第3相の場合(ケース1A1〜1B3)も同様である。
図2の表を俯瞰的に観察すると、特定の法則が成立することが理解される。例えば、第1相の電流センサ9aで低ゲイン故障が生じているのは、図2において○を付した次の3つのケースである。第1のケースは、第1相と第2相の2相フィードバック制御を実行したときに第3相の計測電流の振幅が予定された振幅よりも大きい場合(ケース3A1)である。第2のケースは、第1相と第3相の2相フィードバック制御を実行したときに第2相の計測電流の振幅が予定された振幅よりも大きい場合(ケース2A1)である。第3のケースは、第2相と第3相の2相フィードバック制御を実行したときに第1相の計測電流の振幅が予定された振幅よりも小さい場合(ケース1B1)である。
また、別の例として、第3相の電流センサ9cで高ゲイン故障が生じているのは、図2において△を付した次の3つのケースである。第1のケースは、第1相と第2相の2相フィードバック制御を実行したときに第3相の計測電流の振幅が予定された振幅よりも大きい場合(ケース3A3)である。第2のケースは、第1相と第3相の2相フィードバック制御を実行したときに第2相の計測電流の振幅が予定された振幅よりも小さい場合(ケース2B3)である。第3のケースは、第2相と第3相の2相フィードバック制御を実行したときに第1相の計測電流の振幅が予定された振幅よりも小さい場合(ケース1B3)である。
ゲイン故障を生じている電流センサと、2相のフィードバック制御を実行しているときの残りの1相の計測電流(モニタ電流)の振幅の関係を子細に見ると、次の関係が成立していることが解る。なお、第2、第3電流センサの計測電流を使った第2相と第3相のフィードバック制御を実行しているときの第1電流センサの計測電流を第1モニタ電流と称する。また、第1、第3電流センサの計測電流を使った第1相と第3相のフィードバック制御を実行しているときの第2電流センサの計測電流を第2モニタ電流と称する。第1、第2電流センサの計測電流を使った第1相と第2相のフィードバック制御を実行しているときの第3電流センサの計測電流を第3モニタ電流と称する。
3種類のモニタ電流のうち、いずれか2つのモニタ電流の振幅が共に予定された振幅よりも大きい場合には、残りの1つのモニタ電流を計測した電流センサが低ゲイン故障を生じている。同様に、いずれか2つのモニタ電流の振幅が共に予定された振幅よりも小さい場合には、残りの1つのモニタ電流を計測した電流センサが高ゲイン故障を生じている。
上記の事実に基づくと、故障している電流センサを特定することができる。その処理のフローチャートを図3に示す。なお、図3における「FB制御」の表記は、「フィードバック制御」を表す。パワーコントローラ50は、第2相と第3相でフィードバック制御を実行しつつ、第1相の電流センサ9aの計測電流(第1モニタ電流)の振幅を特定する(S2)。次にパワーコントローラ50は、第1相と第3相でフィードバック制御を実行しつつ、第2相の電流センサ9bの計測電流(第2モニタ電流)の振幅を特定する(S3)。次にパワーコントローラ50は、第1相と第2相でフィードバック制御を実行しつつ、第3相の電流センサ9cの計測電流(第3モニタ電流)の振幅を特定する(S4)。
そして、パワーコントローラ50は、第1、第2、及び、第3モニタ電流の振幅を比較し、いずれか2つのモニタ電流の振幅が予定された振幅よりも大きい場合、又は小さい場合は、残りの1つのモニタ電流を計測した電流センサを故障電流センサとして特定する(S5)。なお、パワーコントローラ50は、いずれか2つのモニタ電流の振幅が予定された振幅よりも大きい場合は、残りの1つのモニタ電流を計測した電流センサで高ゲイン故障が発生していると判定する。また、パワーコントローラ50は、いずれか2つのモニタ電流の振幅が予定された振幅よりも小さい場合は、残りの1つのモニタ電流を計測した電流センサで低ゲイン故障が発生していると判定する。パワーコントローラ50は、ゲイン故障が生じているとして特定した電流センサに対応する相以外の2相でフィードバック制御を継続する(S6)。そして、パワーコントローラ50は、特定したセンサ異常の情報をダイアグメモリとインストルメントパネルに出力する(S7)。ダイアグメモリは、不揮発性メモリであり、車両メンテナンス時にスタッフに車両の情報を提供するために設けられている。インストルメントパネルでは、警告灯が点灯し、インバータで異常が発生したことをドライバに報知する。
図3の処理により、ハイブリッド車2は、ゲイン故障を生じている電流センサを特定し、故障していない2相でフィードバック制御を継続することができる。即ち、ハイブリッド車2は、一つの電流センサにゲイン故障が発生しても走行を続けることができる。ただし、警告灯の点灯に気付いたドライバは速やかに車両をサービス工場へ運んで行き、異常の修復を依頼する。
実施例で説明したインバータ5は、3相各相の電流を計測する電流センサを備え、ゲイン故障を生じた電流センサを特定することができる。また、実施例のインバータ5は、生じたゲイン故障が、高ゲイン故障であるのか低ゲイン故障であるのかも判定することができる。インバータ5は、一つの電流センサでゲイン故障が生じていても、正常な2個の電流センサを使って電流フィードバック制御を継続し、3相交流を出力し続けることができる。
なお、インバータには、ゲイン故障の他にも様々な態様の異常が起こり得る。典型的には、3個の電流センサはいずれも正常であるが、インバータのスイッチング素子、あるいはモータに異常が生じたことにより、電流センサの計測値が異常を示すケースも起こり得る。本明細書が開示する技術は、ゲイン故障という特定の異常の対策を提供するものであり、他の態様の異常に対する対策は、別の技術で補えばよい。
パワーコントローラ50が、インバータ5のコントローラに相当する。実施例のインバータ5は、ハイブリッド車2に搭載されている。本明細書が開示する技術は、ハイブリッド車に搭載されるインバータに限られない。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:ハイブリッド車
3:メインバッテリ
5:インバータ
6:エンジン
7:動力分配機構
8:走行用モータ
9、9a、9b、9c:電流センサ
20:電圧コンバータ回路
22、23:スイッチング素子
30:インバータ主回路
31−36:スイッチング素子
50:パワーコントローラ
51:目標値生成回路
52:差分器
53:信号生成部
54:異常検知部
60:HVコントローラ

Claims (3)

  1. 直流電流を3相交流に変換するインバータであり、
    第1相の出力電流を計測する第1電流センサと、
    第2相の出力電流を計測する第2電流センサと、
    第3相の出力電流を計測する第3電流センサと、
    前記第1、第2、及び、第3電流センサの計測電流のうちの2個を用いて当該2個の計測電流がそれぞれ目標電流に追従するように2相のフィードバック制御を実行するコントローラと、
    を備えており、前記コントローラは、
    前記第2、第3電流センサの計測電流を使った第2相と第3相のフィードバック制御を実行しつつ前記第1電流センサの計測電流(第1モニタ電流)の振幅を計測し、
    前記第1、第3電流センサの計測電流を使った第1相と第3相のフィードバック制御を実行しつつ前記第2電流センサの計測電流(第2モニタ電流)の振幅を計測し、
    前記第1、第2電流センサの計測電流を使った第1相と第2相のフィードバック制御を実行しつつ前記第3電流センサの計測電流(第3モニタ電流)の振幅を計測し、
    前記第1、第2、及び、第3モニタ電流のうちのいずれか2つのモニタ電流の振幅が予定された振幅よりも大きい場合又は小さい場合、残りの1つのモニタ電流を計測した電流センサを故障電流センサとして特定する、
    ことを特徴とするインバータ。
  2. 前記コントローラは、
    いずれか2つモニタ電流の振幅が共に予定された振幅よりも大きい場合には、残りのモニタ電流を計測した電流センサのゲインが設定されたゲインよりも低くなっている低ゲイン故障が生じていると判定し、
    いずれか2つモニタ電流の振幅が共に予定された振幅よりも小さい場合には、残りのモニタ電流を計測した電流センサのゲインが設定されたゲインよりも高くなっている高ゲイン故障が生じていると判定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のインバータ。
  3. 故障電流センサとして特定された電流センサを除く2個の電流センサで2相のフィードバック制御を行って3相交流出力を継続することを特徴とする請求項1又は2に記載のインバータ。
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