JP5264462B2 - ダクトの騒音低減構造 - Google Patents
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Description
実施例1では、ダクトの騒音低減構造を車両の駆動用のバッテリを冷却するための空気を送るダクトに用いたものを例に説明する。
図1は実施例1のバッテリ冷却装置の説明図である。
バッテリ冷却装置1は、吸引ダクト2、吸気ダクト3、ブロワ4、吸気ダクト5、バッテリ6、排気ダクト7を備えている。
吸引ダクト2は、車室内の後部座席の後方に位置し、車室内外を仕切るリヤパーセルRに設けられ、上端部の吸引口21を車室内に開口し、下端部をトランクルームT内部に位置させる。
ブロワ4は、吸入口を吸気ダクト3の下端部に接続し、横方向に送気口を設けている。そして、ファンの駆動により強制的に吸入口から空気を吸い込み、送気口から送気を行う。
吸気ダクト5は、側方から空気を吸い込む開口を有する上端部と、これをU字状にターンさせる部分と、上端部の下方で側方に空気を送り出す開口を有する下端部を備えている。そして、上端部はブロワ4の送気口へ接続する。
排気ダクト7は、吸入口をバッテリ6の排出口に接続し、ダクトの排出口をトランクルームTの内部に開放したダクトである。なお、排出口はトランクルームTの外部であってもよい。
図2は実施例1における吸気ダクトの平面図である。図3は実施例1における吸気ダクトの正面図である。図4は図3のB−B断面図である。図5は図2のA−A断面図である。
吸気ダクト3は、吸気口部31、通路部32、袋部33、排気口部34を備え、断面を略矩形とし、クランク状の通路を持つダクトである。
吸気口部31は、上下に伸長するダクト部分であり、上端を外部に開放して、吸引ダクト2への接続部分とする。
通路部32は、吸気口部31の下端を左右方向に向かうようターンさせ、そこから左右方向に伸長するダクト部分であり、さらに後端部分では、排気口部34の上端へ向かうよう下方へターンさせる形状である。なお、通路部32の排気口部34の側、つまり下流側では、図2に示すように車両の前後方向の位置をオフセットするようにカーブさせている。
袋部33は、通路部32の下面を下方へ膨らませた形状の部分である。
排気口部34は、上下に伸長するダクト部分であり、下端を外部に開放して、ブロワ4への接続部分とする。
実施例1の吸気ダクト3には、吸音材8を配置している。吸音材8は、スポンジやフェルトなどの材質が用いられ、長方体形状、つまり厚みのある板形状とする。
この吸音材8は、図4、図5に示すように、袋部33に載置して固定する。
さらにここで、吸音材8の配置構造を説明するため、吸気ダクト3について、通路部32の上壁部分を、上壁部分321とする。そして、通路部32の上壁部分321を吸気口部31へターンさせる湾曲部分を上壁ターン部322とする。
また、袋部33から排気口部34へターンさせる湾曲部分を下方ターン部341とする。
言い換えて説明すると、排気口部34側から吸気口部31を臨む場合に、下方ターン部341の湾曲と上壁ターン部322の湾曲が重なるように見て、これを結ぶ線をラインA1とする。
次に、ラインA1を入射と考え、入射角と同じ反射角で反射する線をラインA2と設定する。そして、ラインA2に対して、吸音材8は、その上側で流れの上流側となる角部がこのラインA2と接するか、ラインA2を遮る位置となる配置にする。実施例1では、角部がラインA2と接する位置にしている。この点をポイントP2とし、図5に図示する。
吸気ダクト3は、通路部32、袋部33の部分の断面形状を丸みのある略矩形としている。概ね一定の板厚で形成するため、内側通路、外周、ともにこの形状となる。
そして、吸音材8の幅方向では、この通路部32及び袋部33の内壁に対して、間隙を有する吸音材8の大きさ、配置とする。つまり図4に示すように、通路部32及び袋部33の幅方向の距離を幅B1とし、吸音材8の幅を幅B2とすると、幅B1>幅B2となるようにし、両側それぞれに間隙を設ける。
尚、吸音材を片側に寄せ、片側に間隙を設けるようにしても良い。
この間隙は空気通路となる。これを側方通路323とする。
さらに、この幅B1を100%として、これに対して吸音材8の幅B2は、75±5%の幅にする。
[コストを抑制しつつ、確実に流路を確保する作用]
実施例1では、吸気ダクト3に対して、長方体の吸音材8を袋部33の1箇所に貼り付けるだけであり、吸音材8のコスト及び作業コストを非常に抑制する。
さらに、吸気ダクト3の通路部32の下面に形成された袋部33への貼り付けは、ダクト内部の下面への貼り付けであり、接合が剥がれたとしても、下方へ膨らませた形状の袋部33へ位置し、通路部32を塞くことがない。また、通路部32の通路断面積を極端に狭くしてしまうようなこともない。
バッテリ冷却装置1は、後部座席の後ろ側のリヤパーセルRから車室内空気を冷却風として取り込むため、ブロワ4の作動音や冷却風の風切り音等は、後部座席の乗員に伝わりやすい特性を持つ。
例えば、ブロワ4から発せられた音が、排気口部34から吸気ダクト3の内部へ左右方向に角度小さく進み、下方ターン部341に当接、反射せずに吸気口部31へ向かおうとした場合、実施例1の吸気ダクト3では、ラインA1に角部が位置するように吸音材8が配置されているため、ラインA1と左右方向のなす角より小さい角度で進む音はそのほとんどが吸音材8に衝突し、吸音されることになる。
このように実施例1では、ブロワ4から発せられた音のほとんどが吸音材8に当接するように配置することにより、効率よく吸音を行う。
これにより、吸音材8の取り付け作業は非常に容易になる。
実施例1のバッテリ冷却装置1では、図示しないコントローラにより、バッテリ6の冷却を温度や電流、電圧を検出して、必要な量の冷却が行われるようブロワ4が駆動制御される。バッテリ冷却装置1では、この冷却を車両の空調装置で空調される車室内の空気を導入して行う。
また、吸音材8が空気通路の内部に面する表面積を増加させることは、吸音する面積が増加するため、吸音効果を高めることになる。しかし、側方通路323の幅を大きくしすぎると、吸音材8に衝突することなく通過する音を増加させることになる。
図6は実施例1におけるダクト流路幅に対する吸音材の幅の比率と騒音低減効果の関係を示すグラフ図である。
吸音材8の幅B2の幅B1に対する比率では、およそ75%でピークを迎え、それ以降は、騒音低減効果が低下していく。この特性は、緩やかにピークを向かえる。そのため、騒音低減効果の高い部分はこの特性曲線が緩やかな75%±5%にするのが望ましい。これにより、さらに音が乗員に伝わることを抑制する効果を高める。
図7は実施例1における吸気ダクトの吸音効果を確認した音測定データの周波数特性を示すグラフ図である。
図7において、符号100で示す線は吸音材8のない吸気ダクト3の音データであり、符号101で示す線は実施例1の吸音材8を設けた状態の吸気ダクト3の音データである。図7から明らかなように、吸音材8により車両の走行で走行音にまぎれにくく、乗員に伝わりやすい高い周波数の音が効果高く吸音されている。
実施例1のダクトの騒音低減構造にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
構成を説明する。
図8は実施例2の吸気ダクトの一部切欠断面図である。(なお、断面線は図3のB−B断面線とする)図9は実施例2の吸気ダクトの断面図である。(なお、断面線は図2のA−A断面線とする)
実施例2では、吸気口部31の下端と左右方向に伸長する通路部32を接続するように通路部32を上方にターンさせた部分で、上壁ターン部322の外周側、つまりターン部分の外周側を下壁ターン部324とする。
そして、この下壁ターン部324に沿って、所定の厚さの板形状を湾曲した形状で吸音材9を設ける。吸音材9の材質は吸音材8と同様とする。吸音材9は、下流側の端部を、吸音材8の吸気口部31の側の端部と接触するか、近傍とし、上流側の端部を、吸気口部31の上端開口からの上下方向の距離Lが距離L1及び距離L2より短くなる大きさ、形状にする。
その他構成は実施例1と同様であるので説明を省略する。
実施例2では、吸音材8に加えて吸音材9を設けることにより、さらにブロワ4が発する音が車両の乗員に伝わりにくくする。
このことをさらに向上させるために、ブロワ4からの音が伝わる経路で、吸音材8を介さない経路を考える。通路部32を排気口部34へターンさせる部分の上側の部分、これを上方ターン部342とする。すると、ブロワ4から発した音が、この上方ターン部342の湾曲部分で反射し、通路部32を吸音材8に衝突することなく通過し、下壁ターン部324で反射して吸気口部31へ向かう経路を考えることができる。
また、吸音材9は、吸気口部31に近い位置に吸音材9を設けるため、貼り付ける作業は非常に容易である。
また、吸音材9は、吸音材8よりも上流側、つまり車室内側に設けることにより、上記説明した経路以外で車室内側へ伝わろうとする音、及び吸音材8が吸音しきれずに伝わる音を吸音するため、さらに吸音を高めることにもなる。
(4)上記(1)〜(3)において、吸気ダクト3の通路部32を上方へ曲げた湾曲部分の外側の下壁ターン部324に吸音材9を設けたため、音が乗員に伝わることを抑制する効果を高めることができる。
その他作用効果は実施例1と同様であるので説明を省略する。
構成を説明する。
図10は実施例3の吸気ダクトの構造の断面説明図である。(なお、断面線は図2のA−A断面線と同様である)
実施例3では、吸気ダクト3に吸音材20を設ける。吸音材20は平板部分201を設け、この平板部分201が下面と空隙を設けるように、平板部分201の上流側の端部に斜め下方へ向かって傾斜した傾斜部分202と、平板部分201の下流側の端部に斜め下方へ向かって傾斜した傾斜部分203を設ける。
そして、平板部分201と傾斜部分202、及び傾斜部分203の接続部分の角部で、ラインA1に対するポイントP1、ラインA2に対するポイントP2を満たすようにする。
その他構成は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
実施例3では、平板部分201の下面が袋部33との間に空隙設けるようにし、この空隙が側方通路323と連通するようにして、さらに空間へ面する吸音材9の表面積を増加させる。そして、吸音材自体の容積を抑制して、さらにコストへ寄与させる。
また、吸音材20を薄肉にすることにより、吸気ダクト3の内部への挿入をより容易にして作業性をよくする。
(6)吸音材20は、下面を凹ませて側方通路323と連通させたため、吸音する表面積を増加させて、音が乗員に伝わることを抑制する効果を高めることができる。
2 吸引ダクト
21 吸引口
3 吸気ダクト
31 吸気口部
32 通路部
321 上壁部分
322 上壁ターン部
323 側方通路
324 下壁ターン部
33 袋部
34 排気口部
341 下方ターン部
342 上方ターン部
4 ブロワ
5 吸気ダクト
6 バッテリ
7 排気ダクト
8 吸音材
9 吸音材
20 吸音材
201 平板部分
202 傾斜部分
203 傾斜部分
C 車室
R リヤパーセル
T トランクルーム
Claims (3)
- 横方向へ伸長する通路の両端の一方を上方へ向かうよう曲げ、他方を下方へ向かうように曲げた内部通路を有するダクトの騒音低減構造であって、
前記ダクトの横方向へ伸長する通路の一部に配置され、吸音する材質で設けられた吸音材を備え、
前記ダクトの内部通路を上方へ曲げた湾曲部分の内側と、下方へ曲げた湾曲部分の内側を結ぶ第1直線を設定し、
第1直線を前記内部通路の上壁への入射として、反射する直線を第2直線として設定し、
前記吸音材は、上端の横方向の両端の一方が前記第1直線上に位置するか、前記第1直線を遮るように位置し、他方が前記第2直線上に位置するか、前記第2直線を遮るように位置するよう配置するとともに、前後方向の少なくとも一方の側面の外側に側方通路を形成し、前記前後方向の側面を前記側方通路に面するようにした、
ことを特徴とするダクトの騒音低減構造。 - 請求項1に記載のダクトの騒音低減構造において、
前記吸音材は、
前後方向の両側に側方通路を形成し、前記ダクトの内部通路幅に対して、前後方向の吸音材の幅を、75±5%にした、
ことを特徴とするダクトの騒音低減構造。 - 請求項1又は2に記載のダクトの騒音低減構造において、
前記ダクトの内部通路を上方へ曲げた湾曲部分に吸音材を設けた、
ことを特徴とするダクトの騒音低減構造。
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