JP5264227B2 - ガスバリア性フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ガスバリア性フィルムに係り、特に基材フィルムにダイヤモンドライクカーボンと珪素化合物との混合物が被覆され、ガスバリア性、透明性に優れたガスバリア性フィルムに関する。
従来より、例えば飲食品、医薬品及び化粧品等の収容容器としてプラスチックフィルムを加工した包装材料が使用されている。プラスチックフィルムは、金属成形体及びガラス成形体に比べ、透明性に優れ、軽量で加工成形性が容易という長所がある一方、ガス透過性が高くガスバリア性に劣るという問題があった。そのため、例えば炭酸ガスが発生する飲料、酸素や水(水蒸気)との接触を嫌う医薬品・食品等においては容易に利用することはできなかった。そこで、プラスチックフィルムの厚みを厚くしたり、さらに金属皮膜を積層させる等の方法を用いることによりガスバリア性を高めることがなされているが、上述した金属成形体及びガラス成形体に比べ、透明性が高く、軽量で加工成形性が容易というプラスチックフィルムの長所が失われるという問題があった。
このような問題を解決する手段として、従来よりプラスチックフィルムの表面に(1)酸化珪素や窒化珪素等の珪素被膜、(2)酸化アルミ被膜、(3)ダイヤモンドライクカーボン(Diamond Like Carbon、以下「DLC」という)被膜を形成することによりガスバリア性を高めたプラスチックフィルムが知られている。
しかし、(1)珪素被膜をコーティングしたガスバリア性フィルムにおいては、フィルムの屈曲・伸縮等の応力により珪素被膜が割れてガスバリア性が低下し易いという問題があり、基材フィルムにプライマー層を設ける必要がある。(2)酸化アルミ被膜をコーティングしたガスバリア性フィルムにおいてはX線による異物検査等が使用できず、また、アルカリ性の内容物と直接触れることにより被膜が剥離するという問題がある。
これらに対して、(3)DLC被膜はプラスチックフィルムの変形に対する追従性・柔軟性が高いためガスバリア性の低下が少なく、X線による異物検査機も使用できる点で優れている。(特許文献1参照)
しかし、DLC被膜は一般に茶色から黒色を呈するという外観、透明性の問題がある。そこで、DLC被膜の膜厚を薄くすると、外観、透明性は解決できるが、ガスバリア性が低下してしまうという問題がある。
さらに、上記(1)の屈曲性・伸縮性向上のため、DLC被膜と珪素被膜を順次積層する方法も検討されているが (特許文献2参照)、DLC被膜と珪素被膜の接着性が悪いという問題があり、被膜間に中間層を形成する必要がある。なお、PETボトル等のプラスチック容器の表面に珪素含有DLC被膜を設けることは知られているが(特許文献3参照)、ガスバリア性フィルムとしての利用は記載されておらず、また検討されていなかった。
特開平06−344495号公報 特開2005−88452号公報 特開2006−213390号公報
本発明の目的とするところは、DLC被膜を形成したフィルムでガスバリア性を低下させることなく透明性を高めることができるガスバリア性フィルムを提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明者等は鋭意検討の結果、ガスバリア層であるDLC被膜に対して炭化珪素、酸化珪素等の珪素化合物を特定比率で含有させることによりガスバリア性を低下させることなく透明性が向上することを見出したものであり、本発明の要旨とするところは、
1.基材フィルムの少なくとも一方の面に膜厚が5〜100nmの珪素含有ダイヤモンドライクカーボン膜がプラズマCVD法により形成されたガスバリア性フィルムであって、該珪素含有ダイヤモンドライクカーボン膜が、少なくともテトラメチルシラン(TMS)を成膜用珪素原料として使用することにより得られる膜であり、X線光電子分光分析による前記珪素含有ダイヤモンドライクカーボン膜の構成比(C1s/C1s+Si2p)が0.01〜0.3の範囲であるとともに、上記ガスバリア性フィルムの着色度(YI)が2.5〜5.0の範囲であり、かつ、25℃、80%RH条件下での酸素ガス透過率が、1.0cc/m ・24h以下であることを特徴とするガスバリア性フィルム、
2.前記珪素含有DLC膜に含有される珪素化合物が、SiCx(x=0.1〜1.0)からなることを特徴とする上記1記載のガスバリア性フィルム、
3.全光線透過率が80%以上である上記1又は2に記載のガスバリア性フィルム、
4.前記基材フィルムが、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリメタクリル系樹脂、ポリエーテルスルホン及び環状オレフィン系樹脂からなる群より選択されるいずれか1つの樹脂からなる未延伸フィルム又は二軸延伸フィルムである上記1〜3のいずれかに記載のガスバリア性フィルム
5.前記基材フィルムの厚みが12〜300μmである上記4に記載のガスバリア性フィルム
にある。
本発明によれば、基材フィルムにDLC被膜が被覆されたガスバリア性フィルムにおいて、ガスバリア性を低下させることなく、透明性に優れ、内容物視認性が改善されたダイヤモンドライクカーボン膜コーティングガスバリア性フィルムを提供することができる。
以下、本発明を詳しく説明するが、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本発明のガスバリア性フィルムは、合成樹脂によりフィルム状に成形された基材フィルムと、その表面に所定厚みを有する珪素含有DLC膜が被覆された構成を有している。基材フィルムの樹脂材料としては、特に限定されず樹脂成形品に適用される公知の合成樹脂材料が適用される。具体的には、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリスチレン樹脂(PS)、シクロオレフィンコポリマ樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、ポリ−4−メチルペンテン−1 樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、アイオノマ樹脂、ポリスルホン樹脂及び4−フッ化エチレン樹脂(TFE)、ポリ乳酸樹脂(PLA)等が挙げられる。これらのうちで、珪素含有DLC膜との密着性及び成形性が良好である点、透明性が高く飲食品等の収容容器に好適に使用することができる点よりポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましい。
基材フィルムは、上記合成樹脂材料を原料として公知の方法により製造することができる。基材フィルムは、未延伸でもよいが、機械強度を向上させるために好ましくは延伸フィルムが適用される。延伸倍率は、縦方向、横方向共に2〜10倍が好ましく、二軸延伸が好ましい。フィルムの厚さは、目的・用途、機械強度、可撓性、透明性等の観点より適宜設定することができる。本発明のガスバリア性フィルムが、例えば飲食品、医薬品及び化粧品等の収容容器として使用される場合、厚みは好ましくは5〜500μm、より好ましくは12〜300μmの範囲に設定される。また、フィルムの幅や長さは特に制限はなく、適宜用途に応じて選択することができる。
DLC膜を基材フィルム上に形成する方法の一例として、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法が挙げられる。プラズマCVD法を用いたDLC被膜の形成は、市販のプラズマCVD装置を用いて行なうことが可能である。プラズマCVD装置を用いた具体的なDLC被膜の形成方法は、まず真空チャンバー内に基材フィルムをセットする。真空チャンバー内には二対の電極があり、片方に所定(例えば13.56MHz)の高周波(RF)電源が接続され、もう一方はアースとなる。この真空チャンバー内を真空ポンプを用いて所定の圧力(例えば1〜50Pa)まで減圧し、ガス導入口から原料ガスを真空チャンバー内に導入する。プラズマ発生用電源に電力を印加することにより基材フィルム表面にプラズマを発生させ、ガスバリア性薄膜を形成させる。なお、DLC被膜の形成方法はこれに限定されるものではなく、基材フィルムの種類・大きさ、厚み等に応じ公知の方法を適宜用いることができる。
プラズマを発生させるための方法としては、特に限定されず市販のプラズマ発生用電源が適用される。具体的には、400KHz〜100MHzの高周波電源、915MHz〜2.45GHzのマイクロ波電源、パルス幅変調型の高周波・マイクロ波電源等が挙げられる。これらのうちで、プラズマの制御が容易であり、低温にてプラズマを発生できるため、パルス幅変調型電源が好ましい。さらに、パルス幅変調型電源は、その電力印加特性より定間隔において断続的にプラズマが発生するため、形成されるDLC膜は非常に薄いDLC膜を何層も積層した構成となることが考えられる。ガスバリア性が低下する原因の一つとして、DLC膜のピンホールが挙げられる。このピンホールを埋める手段として、薄膜の積層形成が有効である。そのためパルス幅変調型電源が好ましい。パルス幅変調型電源のパルス幅は好ましくは1〜50μsec、より好ましくは1〜20μsecの範囲に設定される。
ここで、プラズマCVD法による珪素含有DLC膜形成の際に使用される成膜用珪素原料としては、少なくともテトラメチルシラン(TMS)を使用することを必要とする。これは、本発明者等が、成膜用珪素原料として、TMSを使用することによって、成膜速度を著しく低下させないで、又は向上させて成膜できることを見出したことに基づくものである。炭化水素系原料と比較して通常珪素化合物原料を用いたプラズマCVD法においては、その成膜速度が遅く、炭化水素系原料と組み合わせて使用する場合においては珪素化合物原料起因の薄膜組成が低下する問題がある。しかし、テトラメチルシラン(TMS)は珪素化合物原料の中でも成膜速度が高く炭化水素系原料との組み合わせにおいて有効である。また、テトラメチルシラン(TMS)は分子構造を構成する元素が珪素、炭素、窒素からなり炭化水素系原料との密着性等において有効であると考えられる。
このように、本発明のガスバリア性フィルムに珪素含有DLC膜を形成するのに使用される成膜用珪素原料として、少なくともTMSを用いることを必要とするが、TMSと他の珪素原料を併用することもでき、他の珪素原料としては、例えば、モノシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等の珪素化合物を単独で、又は2種以上混合して、併用することができる。
また、プラズマCVD法による珪素含有DLC膜形成の際に使用される成膜用DLC原料としては、特に制限することなく用いることができ、具体的には、アセチレン、エチレン、プロピレン等の不飽和炭化水素化合物、メタン、エタン、プロパン等の飽和炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素化合物などを挙げることができる。また、また、原料ガスをアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)等の希ガスで希釈して使用しても良い。
基材フィルムに被覆される珪素含有DLC膜の膜厚は、5〜100nm、好ましくは10〜80nm、より好ましくは15〜50nmである。DLC被膜の膜厚が5nm未満であるとガス透過度の上昇を招くおそれがある。一方、DLC被膜の膜厚が100nmを超えると黄色度が上昇するとともに全光線透過率の低下を招くおそれがある。珪素含有DLC膜の膜厚は、プラズマCVD法を使用する場合、出力、原料ガスの圧力・濃度、プラズマ発生時間等を調節することにより変化させることができる。
前記基材フィルム上に形成された珪素含有DLC膜の組成としては、特に制限されるものではないが、例えば、SiCx(x=0.1〜1.0)で表される珪素化合物であることが、バリア性及びDLC膜との密着性の点から好ましい。
本発明のガスバリア性フィルムは、好ましくは全光線透過率が80%以上に設定される。全光線透過率が80%以上であると、ガスバリア性フィルムを飲食品、医薬品、化粧品等の収容容器に適用した場合に内容物の確認及び変色等を容易且つ正確に確認することができる。全光線透過率は基材フィルムを構成する合成樹脂材料、膜厚、ガスバリア層の膜厚に依存する。全光線透過率(%)は、JISK7105に準じて分光光度計を用いて測定することができる。
本発明のガスバリア性フィルムは、内容物の長期保存等の観点から25℃、80%RH条件下での酸素ガス透過率が1.0cc/m・24h以下であることが好ましい。
本発明のガスバリア性フィルムは、好ましくは黄色度(YI)が2.5〜5.0の範囲内に設定される。黄色度(YI)は、JISZ7103の準拠して測定した。具体的には、市販の色差計によって測定することができ、三刺激値X、Y、Zを求め、これらを次の式を用いて計算する。
Figure 0005264227
黄色度(YI)とは無色または白色から色相が黄色向に離れる度合いであり、プラスの量として表示される。従って、黄色度がマイナスの値で表示される時は色相が青方向へ移向することを示している。そこで、透明合成樹脂を原料としてガスバリア性フィルムを成形した場合、黄色度(YI)が低いことはDLC被膜由来の着色が少ないことを示す。黄色度(YI)が2.5〜5.0の範囲内であると、ガスバリア性フィルムを飲食品、医薬品、化粧品等の収容容器に適用した場合に内容物の確認及び変色等を容易且つ正確に確認することができる。黄色度(YI)はガスバリア性フィルムを構成する合成樹脂材料、膜厚、ガスバリア層の膜厚・膜組成に依存する。
本発明のガスバリア性フィルムは、着色の原因であるDLC膜に対して、ガスバリア性を有し透明度の高い珪素膜を混合することにより、ガスバリア被膜中のDLC組成が低下するため黄色度(YI)を2.5〜5.0の範囲内まで低下し、且つ高いガスバリア性を維持することができる。具体的には、DLC原料と珪素原料を混合して真空装置内導入し、プラズマCVD法により基板フィルム上に珪素含有DLC膜を形成する。この原料比をコントロールすることにより、ガスバリア被膜中のDLC被膜と珪素被膜の組成比を変化させることが可能である。
本発明のガスバリア性フィルムによれば、以下のような効果を得ることができる。
(a)本発明では、珪素含有DLC膜を構成する元素全体に対する珪素の割合が1〜30%の範囲内となるよう形成することによりガスバリア性を付与した。ここで、珪素含有量が30%を越えると珪素含有DLC膜と基材フィルムの密着性が低下するため1〜30%の範囲内とすることが望ましい。これにより、珪素を含有することによりガスバリア性を維持した状態でガスバリア性フィルムの透明性を高めることができる。
(b)本発明では、ガスバリア性フィルムについて好ましくは全光線透過率が80%以上である。また、好ましくはYIが2.5〜5.0である。したがって、飲食品、医薬品、化粧品等の収容容器に適用した場合に内容物の確認及び変色等を容易且つ正確に確認することができる。
上記ガスバリア性フィルムの用途は、特に限定されず、ガスバリア性が要求される飲食品、医薬品及び化粧品等の収容容器等に適用することができる。
なお、本発明の効果を損なわない範囲において基材フィルムに添加剤として酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、増感剤等を配合してもよい。
以下に本発明を実施例でさらに詳しく説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
(実施例1)
基材フィルムとして、厚さ125μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を使用した。成膜は平行平板型のパルスプラズマCVD装置を用いて行った。先ず、真空チャンバー内を真空ポンプにより0.01Paに減圧した後、アセチレンとテトラメチルシラン(TMS)との混合原料を1:1の流量比において導入して装置内圧力を1Paとして、パルス幅約5μsecの直流単パルス電源により電力を印加してプラズマを発生し、珪素含有DLC膜を形成した。尚、TMSは常温では液体であるため、液体原料の気化システムにより気化した状態において、マスフローコントローラーにより流量の制御を行った。実施例1の得られたダイヤモンドライクカーボン膜コーティングガスバリア性フィルムについて、酸素透過率、全光線透過率、DLC被膜の膜厚・組成分析、密着性及び黄色度について測定した。各測定及び評価の方法は以下の通りである。なお、以下の実施例、及び比較例も同様の測定及び評価方法にて行なった。測定結果を表1に示す。
[珪素含有DLC被膜の膜厚]
予めPETフィルムの成膜面に黒色インキ等でマスキングを行って、DLC被膜を被覆した後、ジエチルエーテル等でマスキングを除去し、米国sloan社製、表面形状測定器「DEKTAK3030」によって膜厚を測定した。
[珪素含有DLC被膜の二乗平均粗さ(Rms)]
走査型プローブ顕微鏡(セイコーインスツルメンツ社製SPI3800)の非接触モード(ダイナミックフォースモード)で測定した。走査速度、1測定領域中の測定点数、傾斜補正は、表面状態を明確に測定できる条件を選択した。フィルムの表面形状の表面粗さ(Rms)は、走査型プローブ顕微鏡SPI3800付属ソフトの「CROSSSECTION」解析のAREA解析で求めた。
[ガスバリア性(酸素透過率)]
酸素透過測定装置(米国モダンコントロール製、「OX−TRAN2/21」)を使用し、温度25℃、相対湿度80%の条件下で測定した。ダイヤモンドライクカーボン膜コーティングガスバリア性フィルムのガスバリア性は、未コートPETフィルムに対するガスバリア性を倍率にて表した。
[黄色度]
色差計(日本電色社製「ZE2000」)により垂直に光を通過させてYIを測定することにより、前記被膜による黄色の程度を評価した。
[全光線透過率]
JISK7105に準じて光度計(日本電色社製「NDH−300A」)を用いて全光線透過率を測定した。
[ガスバリア層構成比]
X線光電子分光分析装置(島津製作所製、「ESCA−3400」)を用いて、付属のイオンエッチング装置(イオンガン、電圧2kV、電流20mA、Arガス)でサンプル表面層をクリーニングした。その後、真空度1×10−5P a 、X 線源;ターゲットMg、電圧12kV、電流20mAの条件にてサーベイ(ワイドスキャン)スペクトルで構成元素を確認し、次いでマルチ(ナロースキャン)スペクトルでC1s及びSi2pのピーク強度から(C1s/(C1s+Si2p))を算出した。
[密着性]
DLC被膜形成後のガスバリア性PETフィルムについて、DLC被膜形成面を碁盤の目状にナイフで切り込みを入れ、粘着テープによる剥離試験を行った。1mm×1mmのマス目100個のうち、剥離せずに残ったマス目の個数により下記の判定を行った。
剥離せずに残ったマス目の個数100個;〇、
99〜75個;△、
74〜0個;×として評価した。
(実施例2)
原料であるアセチレン、TMSの混合原料を1:3の流量比とした以外は実施例1と同一内容にて、ガスバリア性PETフィルムを得た。
(実施例3)
原料であるアセチレン、TMSの混合原料を1:6の流量比とした以外は実施例1と同一内容にて、ガスバリア性PETフィルムを得た。
(比較例1)
原料であるアセチレン、TMSの混合原料を2:1の流量比とした以外は実施例1と同一内容にて、ガスバリア性PETフィルムを得た。
(比較例2)
原料であるアセチレン、TMSの混合原料を1:0の流量比とした以外は実施例1と同一内容にて、ガスバリア性PETフィルムを得た。
(比較例3)
原料であるアセチレン、TMSの混合原料を0:1の流量比とした以外は実施例1と同一内容にて、ガスバリア性PETフィルムを得た。
Figure 0005264227
表1から、本発明のガスバリア性フィルムを用いた実施例1〜実施例3については、ガスバリア性、密着性、透明性の全てに優れていることが分かる。これに対して珪素原料を使用しない比較例2では、黄色が強く透明性に劣り、また珪素原料のみからなる比較例3ではガスバリア性、密着性に劣ることが分かる。さらに、C1sとSi2pの構成が範囲外の比較例2、3ではガスバリア性、密着性に劣ることが分かる。

Claims (5)

  1. 基材フィルムの少なくとも一方の面に膜厚が5〜100nmの珪素含有ダイヤモンドライクカーボン膜がプラズマCVD法により形成されたガスバリア性フィルムであって、
    該珪素含有ダイヤモンドライクカーボン膜が、少なくともテトラメチルシラン(TMS)を成膜用珪素原料として使用することにより得られる膜であり、X線光電子分光分析による前記珪素含有ダイヤモンドライクカーボン膜の構成比(C1s/C1s+Si2p)が0.01〜0.3の範囲であるとともに、上記ガスバリア性フィルムの着色度(YI)が2.5〜5.0の範囲であり、かつ、25℃、80%RH条件下での酸素ガス透過率が、1.0cc/m ・24h以下であることを特徴とするガスバリア性フィルム。
  2. 前記珪素含有ダイヤモンドライクカーボン膜に含有される珪素化合物が、SiCx(x=0.1〜1.0)からなる請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 全光線透過率が80%以上である請求項1又は2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 前記基材フィルムが、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリメタクリル系樹脂、ポリエーテルスルホン及び環状オレフィン系樹脂からなる群より選択されるいずれか1つの樹脂からなる未延伸フィルム又は二軸延伸フィルムである請求項1〜のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
  5. 前記基材フィルムの厚みが12〜300μmである請求項4に記載のガスバリア性フィルム。
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