JP4823747B2 - ガスバリア性樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents

ガスバリア性樹脂成形体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4823747B2
JP4823747B2 JP2006107768A JP2006107768A JP4823747B2 JP 4823747 B2 JP4823747 B2 JP 4823747B2 JP 2006107768 A JP2006107768 A JP 2006107768A JP 2006107768 A JP2006107768 A JP 2006107768A JP 4823747 B2 JP4823747 B2 JP 4823747B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
gas barrier
resin
resin molded
rms
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006107768A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007276342A (ja
Inventor
務 松井
純 望月
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Plastics Inc
Original Assignee
Mitsubishi Plastics Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Plastics Inc filed Critical Mitsubishi Plastics Inc
Priority to JP2006107768A priority Critical patent/JP4823747B2/ja
Publication of JP2007276342A publication Critical patent/JP2007276342A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4823747B2 publication Critical patent/JP4823747B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
  • Details Of Rigid Or Semi-Rigid Containers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Description

本発明は、ガスバリア性樹脂成形体及びその製造方法に係り、詳しくはダイヤモンドライクカーボン膜が被覆されたガスバリア性樹脂成形体及びその製造方法に関する。
従来より、例えば飲食品、医薬品及び化粧品等の収容容器として合成樹脂成形体が使用されている。かかる樹脂成形体は、金属成形体及びガラス成形体に比べ、透明性が高く、軽量で加工成形性が容易という長所がある一方、ガス透過性が高いという問題があった。そのため、例えば炭酸ガスが発生する飲料、酸素や水(水蒸気)との接触を嫌う医薬品・食品等においては容易に利用することはできなかった。その一方、単にプラスチック容器の厚みを厚くしたり、さらに金属皮膜を積層させる等の方法を用いることによりガスバリア性を高めようとすると上述した樹脂成形体の長所が失われるという問題があった。
したがって、従来より特許文献1,2に記載されるようなプラスチック容器の表面にダイヤモンドライクカーボン(Diamond Like Carbon、以下「DLC」という)被膜を形成することによりガスバリア性を高めた樹脂成形体が知られている。DLC被膜は例えば減圧条件下において炭素源ガス導入後、高周波印加することにより樹脂成形体の表面に被覆することができる。DLC被膜は、ナノメートル単位の皮膜であるため樹脂成形体の重量を上げることなく且つガスバリア性を向上させることができた。
特許第3545305号公報 特開2003−321031号公報
しかしながら、DLC被膜は一般に茶色から黒色を呈するため、DLC被膜の膜厚を厚くすると樹脂成形体の透明性が低下するという問題があった。その一方、DLC被膜の膜厚を薄くしたのでは樹脂成形体のガスバリア性が低下してしまうという問題があった。
本発明は、本発明者らの鋭意研究の結果、被覆対象である樹脂成形体の表面の二乗平均粗さ(Rms)を所定値以下にしてDLC被膜を形成することによりガスバリア性を低下させることなく透明性が向上することを見出したことによりなされたものである。本発明の目的とするところは、DLC被膜により被覆される樹脂成形体において、ガスバリア性を低下させることなく透明性を高めることができる樹脂成形体及びその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、樹脂成形体の表面に膜厚が5〜20nmのダイヤモンドライクカーボン膜が形成されたガスバリア性樹脂成形体であって、前記樹脂成形体の表面の二乗平均粗さ(Rms)が3nm以下であり、フィルム状に成形された場合の全光線透過率が82%以上であり、着色度(b 値)が3以下であることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1記載のガスバリア性樹脂成形体の製造方法であって、樹脂成形体の表面にプラズマエッチング処理を施すことにより表面の二乗平均粗さ(Rms)を3nm以下にする工程、次にプラズマCVD法により樹脂成形体の表面に膜厚が5〜20nmのダイヤモンドライクカーボン膜を形成する工程からなる。
本発明によれば、DLC被膜により被覆される樹脂成形体において、ガスバリア性を低下させることなく透明性を高めることができる。
以下、本発明のガスバリア性樹脂成形体を具体化したガスバリア性樹脂フィルムの一実施形態を詳細に説明する。
本実施形態のガスバリア性樹脂フィルム(以下、「樹脂フィルム」という)は、合成樹脂によりフィルム状に成形された基材と、その表面に所定厚みを有するDLC被膜が被覆された構成を有している。樹脂フィルムの樹脂材料としては、特に限定されず樹脂成形品に適用される公知の合成樹脂材料が適用される。具体的には、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリスチレン樹脂(PS)、シクロオレフィンコポリマ樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、ポリ−4−メチルペンテン−1 樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、アイオノマ樹脂、ポリスルホン樹脂及び4−フッ化エチレン樹脂(TFE)等が挙げられる。これらのうちで、DLC被膜との密着性及び成形性が良好であり、透明性が高く飲食品等の収容容器に好適に使用することができるポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
樹脂フィルムは、上記合成樹脂材料を原料として公知の方法により製造することができる。合成樹脂フィルムは、未延伸でもよいが、機械強度を向上させるために好ましくは延伸フィルムが適用される。延伸倍率は、一方向に2〜10倍が好ましく、二軸延伸が好ましい。フィルムの厚さは、目的・用途、機械強度、可撓性、透明性等の観点より適宜設定することができる。樹脂フィルムが、例えば飲食品、医薬品及び化粧品等の収容容器として使用される場合、厚みは好ましくは5〜500μm、より好ましくは10〜200μmの範囲に設定される。また、フィルムの幅や長さは特に制限はなく、適宜用途に応じて選択することができる。
樹脂フィルムの表面(DLC被膜の被覆面)は、二乗平均粗さ(Rms(Rq)、「自乗平均平方根粗さ」ともいう)が3nm以下、好ましくは2nm以下、より好ましくは1.5nm以下になるように形成されている。二乗平均粗さ(Rms)が3nmを超えるとガス透過度が増加するおそれがある。また、着色度(b値)が上昇するとともに全光線透過率が低下するおそれがある。二乗平均粗さ(Rms)の下限はガス透過度の低下、着色度(b値)の低下及び全光線透過率の向上の観点より特に限定されないが、加工性、製造コストの観点より0.5nm以上が好ましく、1.0nm以上がより好ましい。
二乗平均粗さ(Rms)は、通常市販されている原子間力顕微鏡(以下「AFM」という。)により測定したAFM凹凸像を粗さ解析により求めた粗さ(Rms)の値である。AFMとしては、Digital Instruments社、セイコー電子工業社 Topometrix社等から市販されている装置をそのまま使用することができる。この粗さRmsの測定では、Q.Zong,D.Innis,K.Kjoller and V.B.Elings、 Surf.Sci.Letter,(1993) Vol.290,p688〜692に説明のある共振モードに相当する測定モードが採用される。例えば、Digital Instruments社製の装置NanoScope(c)を使用した場合にはタッピングモードで、また、セイコー電子工業社製SPI3800Nを使用した場合にはダイナミックフォースモードで測定を実施することができる。
表面の粗さの測定では、フィルム表面を基準長さ(l)1μm×1μmの面積を測定したAFM凹凸像についてフラット処理を行った後、粗さ解析を行って粗さ(Rms)の値を求める。フラット処理とは、2次元データにつき、基準面に対して1次、2次又は3次元の関数で傾きの補正を処理することをいう。粗さ解析により求めた粗さ(Rms)は以下の式(1)により求めることができる。走査速度、1測定領域中の測定点数、傾斜補正は、表面状態を明確に測定できる条件を適宜選択することができる。例えば、走査速度0.1Hz、数式(1)において、Zi=f(x,y)で、x,yの座標は0から511の512点ずつ、即ち、N=512×512、約25万点で、高さ(粗さ)の粗さ(Rms)を求めることができる。
Figure 0004823747
樹脂フィルムにおける被コーティング面の二乗平均粗さ(Rms)を3nm以下とする具体的な方法としては、プラズマエッチングにより表面処理を施すことにより可能となる。
プラズマエッチングの手法としては、真空中において希ガスを放電させてプラズマ状態にし、この時発生する ラジカル(反応種)とイオンを基材表面に衝突させることにより行うことができる。プラズマエッチング法は、通常基材表面の粗面化に用いられるが、その処理条件をコントロールすることにより平滑化も可能となる。プラズマエッチングに用いられる希ガスとしては、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)が好ましい。
その他表面粗さ(Rms)の増大に起因する要因を取り除くことにより、表面粗さ(Rms)を低下させることができる。例えば、表面粗さ(Rms)を低下させる方法としては、樹脂フィルムに添加剤が配合されることにより表面粗さ(Rms)が増大する場合は、添加剤の配合量の低減等の方法が挙げられる。また、鏡面加工により表面粗さ(Rms)を低減させた金型を転写させることによっても表面粗さ(Rms)を低下させることができる。
樹脂フィルムは、二乗平均粗さ(Rms)が3nm以下になるように施された面にDLC被膜が被覆される。DLC被膜は、炭素間のSP結合を主体としたアモルファな炭素膜で、高ガスバリア性、高硬度、高耐食性等の特性を有する硬質炭素膜である。DLC被膜を樹脂フィルム上に形成する方法の一例として、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法が挙げられる。プラズマCVD法を用いたDLC被膜の形成は、市販のプラズマCVD装置を用いて行なうことが可能である。プラズマCVD装置を用いた具体的なDLC被膜の形成方法は、まず真空チャンバー内にプラスチック成形体をセットする。真空チャンバー内には二対の電極があり、片方に所定(例えば13.56MHz)の高周波(RF)電源が接続され、もう一方はアースとなる。この真空チャンバー内を真空ポンプを用いて所定の圧力(例えば1〜50Pa)まで減圧し、ガス導入口から原料ガスを真空チャンバー内に導入する。高周波電力を印加することにより樹脂フィルム表面にプラズマを発生させガスバリア性薄膜を形成させる。尚、DLC被膜の形成方法はこれに限定されるものではなく樹脂フィルムの種類・大きさ、厚み等に応じ公知の方法を適宜用いることができる。
また、プラズマCVD法によるDLC被膜形成の際に使用される原料ガスとしては、アセチレン、エチレン、プロピレン等の不飽和炭化水素化合物、メタン、エタン、プロパン等の飽和炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素化合物等を挙げることができる。前記原料ガスは、前記各化合物を単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。また、原料ガスをアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)等の希ガスで希釈して使用してもよい。
樹脂フィルムに被覆されるDLC被膜の膜厚は、5〜20nm、好ましくは10〜18nm、より好ましくは13〜17nmである。DLC被膜の膜厚が5nm未満であるとガス透過度の上昇を招くおそれがある。一方、DLC被膜の膜厚が20nmを超えると着色度が上昇するとともに全光線透過率の低下を招くおそれがある。DLC被膜の膜厚は、プラズマCVD法を使用する場合、出力、原料ガスの圧力・濃度、プラズマ発生時間等を調節することにより変化させることができる。
本実施形態の樹脂フィルムは、好ましくは全光線透過率が82%以上に設定される。全光線透過率が82%以上であると、ガスバリア性樹脂フィルムを飲食品、医薬品、化粧品等の収容容器に適用した場合に内容物の確認及び変色等を容易且つ正確に確認することができる。全光線透過率は樹脂フィルムを構成する合成樹脂材料、膜厚、樹脂フィルムの二乗平均粗さ(Rms)、DLC被膜の膜厚に依存する。例えば、厚み100〜150μmの二軸延伸PETフィルムを使用した場合、樹脂フィルムの二乗平均粗さ(Rms)を3nm以下に規定するとともにDLC被膜の膜厚を5〜20nmとすることにより全光線透過率を82%以上とすることができる。全光線透過率(%)は、JISK7105に準じて分光光度計を用いて測定することができる。
本実施形態の樹脂フィルムは、好ましくは着色度(b値)が3以下に設定される。着色度(b値)は、JISZ8730の参考1に記載されるLab座標系におけるハンターの色座標b値によって表わされ、市販の色差計によって測定することができる。着色度(b値)はプラス値が大きいほど黄色が強くなることを示し、マイナス値が大きいほど青みが強くなることを示す。したがって、着色度(b値)は0に近いことが好ましい。例えば、透明合成樹脂を原料として樹脂フィルムを成形した場合、着色度(b値)が低いことはDLC被膜由来の着色が少ないことを示す。着色度(b値)が3以下であると、ガスバリア性樹脂フィルムを飲食品、医薬品、化粧品等の収容容器に適用した場合に内容物の確認及び変色等を容易且つ正確に確認することができる。着色度(b値)は樹脂フィルムを構成する合成樹脂材料、膜厚、樹脂フィルムの二乗平均粗さ(Rms)、DLC被膜の膜厚に依存する。例えば、厚み100〜150μmの二軸延伸PETフィルムを使用した場合、樹脂フィルムの二乗平均粗さ(Rms)を3nm以下に規定するとともにDLC被膜の膜厚を5〜20nmとすることにより着色度(b値)を3以下とすることができる。
本実施形態のガスバリア性樹脂フィルムによれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、樹脂フィルムについて表面の二乗平均粗さ(Rms)を3nm以下に形成するとともに、その表面に膜厚が5〜20nmのDLC膜を被覆することによりガスバリア性を付与した。したがって、ガスバリア性を維持した状態で樹脂フィルムの透明性を高めることができる。
また、DLC被膜の膜厚が5〜20nmと薄いため、基材としての樹脂フィルムとの密着性が低下することがない。
(2)本実施形態では、ガスバリア性樹脂フィルムについて好ましくは全光線透過率が82%以上である。また、好ましくは着色度(b値)が3以下である。したがって、飲食品、医薬品、化粧品等の収容容器に適用した場合に内容物の確認及び変色等を容易且つ正確に確認することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、ガスバリア性樹脂成形体を樹脂フェルムとして具体化した。しかしながら、ガスバリア性樹脂成形体の形状は特に限定されずフィルム・シート形状以外の成形体であってもよい。
・上記実施形態のガスバリア性樹脂フィルムの用途は、特に限定されず、ガスバリア性が要求される飲食品、医薬品及び化粧品等の収容容器等に適用することができる。
・上記実施形態では、本発明の効果を損なわない範囲において基材としての樹脂フィルムに添加剤として酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、増感剤等を配合してもよい。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
基材として厚さ約125μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を使用した。PETフィルムの表面は、13.56MHzの高周波プラズマ装置を用い、10Paの減圧下において放電出力100W、処理ガスArの条件において30秒間プラズマエッチング処理することにより平坦化した。その後、13.56MHzの高周波プラズマ装置を用いDLC被膜形成処理を行なった。具体的には表面処理を行ったPETフィルムを大気に暴露することなく真空中(10Paの減圧下)、放電出力50Wの条件下において行なった。原料ガスとしてアセチレン(C)を使用した。プラズマCVD法の原理により2秒間プラズマを照射してDLC膜を形成し、ガスバリア性PETフィルムを得た。実施例1の得られたガスバリア性PETフィルムについて、酸素透過率、全光線透過率、DLC被膜の膜厚、密着性、着色度及び耐アルカリ性について測定した。また、DLC被膜形成前及び形成剥離後のPETフィルムの表面の二乗平均粗さ(Rms)について測定した。各測定及び評価の方法は以下の通りである。尚、以下の実施例及び比較例も同様の測定及び評価方法にて行なった。測定結果を表1に示す。
(二乗平均粗さ(Rms))
走査型プローブ顕微鏡(セイコーインスツルメンツ社製SPI3800N)の非接触モード(ダイナミックフォースモード)で測定した。走査速度、1測定領域中の測定点数、傾斜補正は、表面状態を明確に測定できる条件を選択した。フィルムの表面形状の表面粗さ(Rms)は、走査型プローブ顕微鏡SPI3800N付属ソフトの「CROSSSECTION」解析のAREA解析で求めた。
実施例で得られたPETフィルムのDLC被膜形成面を1μm×1μm の面積を測定したAFM凹凸像について、フラット処理を行った後、粗さ解析を行って、Rmsを求めた。また、測定する箇所は、フィルム中の滑剤やフィラー等による高さ数10nmの突起のない箇所とした。
(DLC被膜剥離後の二乗平均粗さ(Rms))
また、DLC製膜後1日放置したものについて、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した状態で、室温に48時間放置することにより、PETフィルム表面からDLC被膜を剥離して、PETフィルムの表面粗さ(Rms)を同様に測定した。
(酸素透過度)
酸素透過測定装置(米国モダンコントロール製、OXTRANを使用し、温度25℃、相対湿度80%の条件下で測定した。1日当たり1平方メートルでいくら透過したかを表わした。
(全光線透過率)
JISK7105に準じて光度計(日本電色社製NDH−300A)を用いて全光線透過率を測定した。
(DLC被膜の膜厚)
予めPETフィルムを用いて成型したPET容器の内面に黒色インキ等でマスキングを行って、DLC被膜を被覆した後、ジエチルエーテル等でマスキングを除去し、米国sloan社製、表面形状測定器DEKTAK3030によって膜厚を測定した。
(密着性)
DLC被膜形成後のガスバリア性PETフィルムについて、DLC被膜形成面を碁盤の目状にナイフで切り込みを入れ、粘着テープによる剥離試験を行った。1mm×1mmのマス目100個のうち、剥離せずに残ったマス目の個数により下記の判定を行った。剥離せずに残ったマス目の個数100個;〇、99〜75個;△、74〜0個;×として評価した。
(着色度)
色差計(日本電色社製ZE2000)により垂直に光を通過させてb値を測定することにより、前記被膜による着色の程度を評価した。
(耐アルカリ性)
水酸化ナトリウムを10wt%となるように添加したアルカリ溶液をガスバリア性PETフィルムを用いて成形した容器内部に充填し、75℃の湯浴中に24時間浸漬し、DLC被膜の形状変化、剥離の有無を確認した。結果は24 時間以上浸漬して変化のないものを○、24時間未満12時間以上の浸漬で変化のないものを△として評価した。
(実施例2)
プラズマエッチング処理時間を120秒間、プラズマCVD法によるDLC被膜の形成条件を4秒間とした以外は実施例1と全く同一として、ガスバリア性PETフィルムを得た。
(実施例3)
プラズマエッチング処理時間を120秒間、プラズマCVD法によるDLC膜の形成条件を6秒間とした以外は実施例1と全く同一として、ガスバリア性PETフィルムを得た。
(実施例4)
プラズマエッチング処理時間を120秒間、プラズマCVD法によるDLC膜の形成条件を8秒間とした以外は実施例1と全く同一として、ガスバリア性PETフィルムを得た。
(実施例5)
プラズマエッチング処理時間を180秒間、プラズマCVD法によるDLC膜の形成条件を8秒間とした以外は実施例1と全く同一として、ガスバリア性PETフィルムを得た。
(比較例1)
プラズマエッチング処理を実施せずに二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)表面上に直接、プラズマCVD法によるDLC膜の形成条件を8秒間とした以外は実施例1と全く同一として、ガスバリア性PETフィルムを得た。
(比較例2)
プラズマエッチング処理時間を180秒間、プラズマCVD法によるDLC膜の形成条件を40秒間とした以外は実施例1と全く同一として、ガスバリア性PETフィルムを得た。
(比較例3)
プラズマエッチング処理を実施せずに二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)表面上に直接、プラズマCVD法によるDLC膜の形成条件を10秒間とした以外は実施例1と全く同一として、ガスバリア性PETフィルムを得た。
(比較例4)
プラズマエッチング処理、DLC製膜を実施せずに二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)の各物性の評価を行った。
Figure 0004823747
表1の各実施例及び比較例に示されるように、二乗平均粗さ(Rms)が3nm以下にすると20nm以下のガスバリア性薄膜(DLC被膜)であっても高いガスバリア性を有すると同時にガスバリア性プラスチック(PET)フィルムの透明度が向上することができる。特に実施例1の二乗平均粗さ(Rms)が1.5nmの場合、比較例2の膜厚100nmのDLC被膜を有するPETフィルムよりも高いガスバリア性を発揮すると同時に、比較例4のDLC被膜を形成しないPETフィルムに近い透明度を有することが確認された。また、比較例1,3に示されるように二乗平均粗さが3nmを超えると急激に酸素透過量が上昇することが確認される。フィルム表面の二乗平均粗さが3nmを超える場合、十分なガスバリア性を得るためにはDLC被膜の膜厚をさらに高くする必要があると思料される。それにより、ガスバリア性プラスチック(PET)フィルムの透明度が低下することが予想される。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)PET樹脂フィルムの表面に膜厚が5〜20nmであるDLC膜が形成されたガスバリア性PET樹脂フィルムであって、前記PET樹脂フィルムの表面の二乗平均粗さ(Rms)が3nm以下であることを特徴とするガスバリア性PET樹脂フィルム。従って、この(a)に記載の発明によれば、ガスバリア性が要求される飲食品等のPET容器に好適に使用することができる。

Claims (2)

  1. 樹脂成形体の表面に膜厚が5〜20nmのダイヤモンドライクカーボン膜が形成されたガスバリア性樹脂成形体であって、前記樹脂成形体の表面の二乗平均粗さ(Rms)が3nm以下であり、フィルム状に成形された場合の全光線透過率が82%以上であり、着色度(b 値)が3以下であることを特徴とするガスバリア性樹脂成形体。
  2. 請求項1記載のガスバリア性樹脂成形体の製造方法であって、樹脂成形体の表面にプラズマエッチング処理を施すことにより表面の二乗平均粗さ(Rms)を3nm以下にする工程、次にプラズマCVD法により樹脂成形体の表面に膜厚が5〜20nmのダイヤモンドライクカーボン膜を形成する工程からなるガスバリア性樹脂成形体の製造方法。
JP2006107768A 2006-04-10 2006-04-10 ガスバリア性樹脂成形体及びその製造方法 Active JP4823747B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006107768A JP4823747B2 (ja) 2006-04-10 2006-04-10 ガスバリア性樹脂成形体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006107768A JP4823747B2 (ja) 2006-04-10 2006-04-10 ガスバリア性樹脂成形体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007276342A JP2007276342A (ja) 2007-10-25
JP4823747B2 true JP4823747B2 (ja) 2011-11-24

Family

ID=38678314

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006107768A Active JP4823747B2 (ja) 2006-04-10 2006-04-10 ガスバリア性樹脂成形体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4823747B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5264227B2 (ja) * 2008-03-14 2013-08-14 三菱樹脂株式会社 ガスバリア性フィルム
CN102246249A (zh) * 2008-12-12 2011-11-16 爱知制钢株式会社 稀土粘结磁铁
CN107921743B (zh) * 2015-10-29 2020-11-17 利乐拉瓦尔集团及财务有限公司 阻隔膜或片和包括膜或片的层压包装材料及其制成的包装容器

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3290841B2 (ja) * 1995-03-01 2002-06-10 帝人株式会社 透明ガスバリアーフイルム用ポリエステルフイルム
JPH10249986A (ja) * 1997-03-17 1998-09-22 Mitsui Chem Inc 透明ガスバリヤーフィルム
JP2000117881A (ja) * 1998-10-20 2000-04-25 Toppan Printing Co Ltd ガスバリア性プラスチック製容器
JP4159223B2 (ja) * 2000-02-24 2008-10-01 北海製罐株式会社 Dlc膜および炭素膜コーティングプラスチック容器
JP2003321031A (ja) * 2002-04-26 2003-11-11 Hokkai Can Co Ltd 内面被覆プラスチック容器及びその製造方法
JP2006076816A (ja) * 2004-09-08 2006-03-23 Tosoh Corp ガラス基板表面の加工方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007276342A (ja) 2007-10-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5244622B2 (ja) ガスバリア性フィルム
TWI576239B (zh) A gas barrier film and a method for producing the same, and a gas barrier layered product
KR100457637B1 (ko) 코팅필름및그제조방법
US10329658B2 (en) Gas barrier laminate and method for producing the gas barrier laminate
JP6638182B2 (ja) 積層フィルムおよびフレキシブル電子デバイス
Bahroun et al. Influence of layer type and order on barrier properties of multilayer PECVD barrier coatings
JP5993541B2 (ja) タッチパネル用耐湿熱性透明導電積層体及び耐湿熱透明積層プラスチックタッチパネル
WO2019142923A1 (ja) ガスバリア積層体及びそれを備える包装体
JP2008073993A (ja) ガスバリア性積層フィルム
WO2018151089A1 (ja) 積層体、成形体及び成形体の製造方法
JP4823747B2 (ja) ガスバリア性樹脂成形体及びその製造方法
CN105018928A (zh) 用于异形金属上的纳米表面镀层的镀膜方法
JP4839234B2 (ja) ガスバリア性フィルム
KR20130027852A (ko) 나노구조의 소수성 표면을 갖는 식품용기 및 그의 제조방법
JP5706777B2 (ja) ガスバリア性プラスチック成形体
JP2019202451A (ja) バリアフィルム
JP5264227B2 (ja) ガスバリア性フィルム
JP5610536B2 (ja) 被覆プラスチック成形体及びその製造方法
JP2008230648A (ja) ガスバリア性プラスチック容器及びその製造方法
JP7379963B2 (ja) 粘接着バリアフィルム及びバリアフィルム付被着体
JP3971640B2 (ja) バリアフィルムの製造方法
JP3971641B2 (ja) バリアフィルムとこれを用いた積層材、包装用容器、画像表示媒体およびバリアフィルムの製造方法
JP2020040221A (ja) 積層体
JP2008229968A (ja) ダイヤモンドライクカーボン膜コーティングガスバリア性フィルム
JP2008105285A (ja) ガスバリア性積層フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090121

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110114

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110125

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110328

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110510

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110824

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110907

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4823747

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140916

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350