JP2003236976A - ガスバリアー性に優れたケイ素酸化物被膜及び包装体 - Google Patents

ガスバリアー性に優れたケイ素酸化物被膜及び包装体

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JP2003236976A JP2002042034A JP2002042034A JP2003236976A JP 2003236976 A JP2003236976 A JP 2003236976A JP 2002042034 A JP2002042034 A JP 2002042034A JP 2002042034 A JP2002042034 A JP 2002042034A JP 2003236976 A JP2003236976 A JP 2003236976A
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coating film
film
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恒久 並木
Toshihide Iegi
敏秀 家木
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秀夫 倉島
Hajime Inagaki
肇 稲垣
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガス遮断性(ガスバリアー性)に特に優れて
おり、従来のものに比して薄い膜厚で優れたガス遮断性
を達成できると共に、形成される被膜が柔軟性及び可撓
性に優れており、生産性にも優れているケイ素酸化物被
膜を提供するにある。 【解決手段】 プラスチック基材上に形成されたケイ素
酸化物被膜において、有機ケイ素化合物の化学蒸着によ
り形成され、波数845〜833cm−1におけるSi
CHの赤外特性吸収が実質上ゼロであり、且つSiO
H/SiOの赤外吸光度比(A)が0.25以下である
ことを特徴とするケイ素酸化物被膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ケイ素酸化物被膜
及びそれを備えた包装体に関するもので、より詳細には
ガス遮断性に優れ、包装容器等の包装体として有用なケ
イ素酸化物被膜に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、包装容器としては、金属缶、ガラ
スビン、各種プラスチック容器等が使用されているが、
プラスチック容器は、軽量であり、耐衝撃性にもある程
度優れているという利点を有しているが、容器壁を透過
する酸素による内容物の変質やフレーバー低下が問題と
なっている。
【0003】特に、金属缶やガラスビンでは容器壁を通
しての酸素透過がゼロであり、容器内に残留する酸素の
みが問題であるのに対して、プラスチック容器の場合に
は器壁を通しての酸素透過が無視し得ないオーダーで生
じ、内容品の保存性の点で問題となっている。
【0004】これを防止するために、プラスチック容器
では容器壁を多層構造とし、その内の少なくとも一層と
して、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の耐酸素
透過性を有する樹脂を用いることが行われている。
【0005】しかしながら、多層プラスチック容器で
は、複数の樹脂の共押出や共射出といった技術が必要で
あり、単層の樹脂容器に比して、面倒な成形操作が必要
であり、生産性も低いという問題を有している。
【0006】単層のプラスチック素材に対して、蒸着膜
を形成させることにより、ガス遮断性を向上させること
も既に公知であり、ケイ素酸化物被膜(SiOx)や硬
質炭素膜(DLC)を形成させることも知られている。
実開昭49−50563号公報及び特開昭49−581
71号公報には、プラスチックフィルムに物理的蒸着法
(PVD)により被覆したケイ素酸化物被膜が記載され
ている。また、特開平5−345383号公報には、化
学蒸着法(CVD)により形成したケイ素酸化物被膜が
記載されている。
【0007】本出願人の出願にかかる特許第25267
66号公報には、プラスチック材と、その上に設けた少
なくともケイ素、炭素、酸素の組成においてケイ素15
%以上、炭素20%以上、残りが酸素を含有する重合体
で形成された第1層と、第1層の上に設けたケイ素酸化
物の第2層とからなるガス遮断性積層プラスチック材が
記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ケイ素酸化物被膜は、ガス遮断性を付与するために必要
な膜厚がかなり厚くなければならず、形成される被覆物
が柔軟性や可撓性にかけるという欠点や生産性に劣ると
いう欠点がある。特に、物理的蒸着法(PVD)で形成
されるケイ素酸化物被膜は、同じ膜厚で比較して、酸素
ガス遮断性に劣っており、同じレベルのガス遮断性を達
成するためにはかなり厚い被膜を形成しなければならな
いという欠点がある。
【0009】従って、本発明の目的は、ガス遮断性(ガ
スバリアー性)に特に優れており、従来のものに比して
薄い膜厚で優れたガス遮断性を達成できると共に、形成
される被膜が柔軟性及び可撓性に優れており、生産性に
も優れているケイ素酸化物被膜を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、プラス
チック基材上に形成されたケイ素酸化物被膜において、
有機ケイ素化合物の化学蒸着により形成され、波数84
5〜833cm−1におけるSiCH の赤外特性吸
収が実質上ゼロであり、且つSiOH/SiOの赤外吸
光度比(A)が0.25以下であることを特徴とするケ
イ素酸化物被膜が提供される。本発明のケイ素酸化物被
膜においては、 1.ケイ素酸化物被膜が、有機ケイ素化合物の重合体層
を介して前記基材上に形成されていること、 2.基材の表面側からケイ素酸化物被膜の外表面に向け
て炭素量が連続的に減少していること、 3.ケイ素酸化物被膜がマイクロ波プラズマ化学蒸着に
より形成されたものであること、が好ましい。本発明に
よればまた、以上に記載のケイ素酸化物被膜を備えてな
ることを特徴とする包装体が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】[作用]本発明は、プラスチック
基材上に形成されたケイ素酸化物被膜に関するが、この
ケイ素酸化物被膜が有機ケイ素化合物の化学蒸着(CV
D)により形成されていること、波数845〜833c
−1におけるSiCHの赤外特性吸収が実質上ゼ
ロであること、及びSiOH/SiOの赤外吸光度比
(A)が0.25以下であることに特徴を有するもので
ある。
【0012】先ず、本発明におけるケイ素酸化物被膜の
形成は、それ自体公知の化学蒸着法(CVD)、特にプ
ラズマCVDにより行われるものである。プラズマCV
Dとは、気体プラズマを利用して薄膜成長を行うもので
あり、基本的には、減圧下において原料ガスを含むガス
を高電界による電気的エネルギーで放電させ、分解さ
せ、生成する物質を気相中或いは基板上での化学反応を
経て、基板上に堆積させるプロセスから成る。プラズマ
状態は、グロー放電によって実現されるものであり、こ
のグロー放電の方式によって、直流グロー放電を利用す
る方法、高周波グロー放電を利用する方法、マイクロ波
放電を利用する方法などが知られている。
【0013】プラズマCVDは、高速電子によるガス
分子の直接分解を利用しているため、生成エネルギーの
大きな原料ガスを容易に解離できる、電子温度とガス
分子温度が異なる熱的非平衡状態にあり、低温プロセス
が可能となる、基板温度が低くても比較的均一なアモ
ルファス膜を形成できる、という利点を有するものであ
り、プラスチック基材にも容易に適用できるものであ
る。
【0014】本発明で採用する化学蒸着法(CVD)に
対比されるべきものとして、物理蒸着法(PVD)が知
られている。この物理蒸着法(PVD)では、被蒸着物
質を実質上の化学変化を伴うことなしに、基板上に蒸着
せしめるのであるが、後述する比較例に示すとおり、物
理蒸着法(PVD)によるケイ素酸化物被膜では、延伸
等の加工に伴って、酸素透過量が増大する傾向が大き
く、本発明の目的には適していない。
【0015】一般に、ケイ素酸化物被膜におけるケイ素
酸化物の化学構造、特に微細化学構造は、フーリエル変
換赤外線吸収スペクトル(FTIR)により知ることが
できるが、本発明のケイ素酸化物は、このFTIRにお
いて、波数845〜833cm−1におけるSiCH
の赤外特性吸収が実質上ゼロであり、SiOH/S
iOの赤外吸光度比(A)が0.25以下であるという
特徴を有し、この微細化学構造に関連して優れたガス遮
断性を示すものである。
【0016】添付図面の図1は、本発明によるケイ素酸
化物被膜の一例(詳細は後述する実施例1参照)の赤外
線吸収スペクトルであり、図2は、本発明以外のケイ素
酸化物被膜の一例(詳細は後述する比較例1参照)の赤
外線吸収スペクトルである。
【0017】有機ケイ素化合物を原料として用いる化学
蒸着では、ケイ素酸化物被膜中にこの有機基が残留する
場合があり、このような有機基はケイ素酸化物被膜のガ
ス遮断性に好ましくない影響をもたらす。例えば、ケイ
素酸化物被膜中に残留するSiCHの赤外特性吸収
は、図2に示すとおり、波数845〜833cm−1
現れるが、本発明のケイ素酸化物被膜では、上記波数域
におけるSiCHの吸収が図1に示すとおり実質上
ゼロであり、有機基の残留を防止することによって、優
れたガス遮断性を達成していることがわかる。
【0018】一方、ケイ素酸化物被膜中のSiOHの赤
外特性吸収は、図3に示すとおり、波数910〜950
cm−1に現れ、またSiOの赤外線吸収スペクトル波
数1020〜1080cm−1に現れるが、本発明のケ
イ素酸化物被膜では、上記SiOH/SiOの赤外吸光
度比(A)が0.25以下に抑制されているという特徴
がわかる。
【0019】上述したSiOH/SiOの赤外吸光度比
(A)は、ケイ素酸化物被膜中に残留するシラノール基
の濃度を示しているが、本発明者らの研究によると、こ
のシラノール基(SiOH)の濃度は膜の酸素透過性と
密接な関係があることがわかった。
【0020】添付図面の図4は、ケイ素酸化物被膜中の
SiOH/SiOの赤外吸光度比(A)を横軸とし、酸
素透過量を縦軸とし、両者の関係をプロットしたもので
ある。図4のグラフによると、ケイ素酸化物被膜中のS
iOH/SiOの赤外吸光度比(A)が増大するにつれ
て、酸素透過量は単調に増大するが、SiOH濃度の低
い部分では濃度の増加に伴う酸素透過量の増大(勾配)
が大きく、SiOH濃度の高い部分では濃度の増加に伴
う酸素透過量の増大(勾配)が小さく、シグモイド状曲
線の挙動を示すが、本発明によれば、この勾配の変極点
である0.25以下にSiOH/SiOの赤外吸光度比
(A)を保持することにより、酸素遮断性を向上させる
ことができる。
【0021】本発明によるケイ素酸化物被膜は、ガス遮
断性(ガスバリアー性)に特に優れており、従来のもの
に比して小さい膜厚で優れたガス遮断性を達成できると
共に、形成される被膜が柔軟性及び可撓性に優れてお
り、生産性にも優れているという利点を与えるものであ
る。
【0022】本発明によるケイ素酸化物被膜は、有機ケ
イ素化合物の重合体層を介して前記プラスチック基材上
に形成されていることが好ましい。ケイ素酸化物被膜に
おける有機ケイ素化合物重合体層の存在は、X線光電子
分光分析により、膜厚み方向のケイ素の結合エネルギー
を測定することにより、確認することができる。図5
は、本発明の好適なケイ素酸化物被膜のX線光電子分光
分析による炭素、酸素、ケイ素の原子割合の厚さ方向の
分布を示している。基材の表面側からケイ素酸化物被膜
の外表面に向けて炭素量が連続的に減少し、基材の表面
側からケイ素酸化物被膜の外表面に向けてケイ素量及び
酸素量が連続的に増加していることが確認されるが、ケ
イ素15%以上及び炭素20%以上を含む層の存在も確
認される。さらに、図6に示すように、ケイ素酸化物被
膜の外表面におけるケイ素の結合エネルギーはSiO結
合に由来する103.5eV付近を示し、ケイ素15%
以上及び酸素20%以上含む層の結合エネルギーはSi
(R)−O結合(Rはアルキル基)に由来する102.
5eV付近に変化しており、この層は有機ケイ素重合体
層である事が確認される。この有機ケイ素化合物の重合
体層を含むケイ素酸化物被膜はガス遮断性に特に優れて
いるという利点を有する。
【0023】[ケイ素酸化物被膜形成]本発明において
は、ケイ素化合物、酸素及びキャリアーガスを含む雰囲
気中で、プラスチック基体の表面に、プラズマ化学蒸着
法によりケイ素酸化物被膜を形成させる。このケイ素酸
化物被膜の形成に用いる装置は、処理すべき基体を含む
プラズマ処理室と、プラズマ処理室を減圧状態に保持す
るための排気系と、プラズマ処理室内に処理用ガスを導
入するための処理用ガス導入系と、プラズマ処理室内に
プラズマを発生させるための電磁波導入系とを含んでな
る。
【0024】本発明に用いるマイクロ波プラズマ処理装
置の一例の概略配置を示す図7において、全体として1
で示すプラズマ処理室には、この処理室1を減圧に保持
するための真空ポンプ2が排気管3を介して接続され、
またマイクロ波発振器4が導波管5を介して接続され
る。この具体例において、導波管5には、処理室からの
マイクロ波反射量を最少に調節するための三本チューナ
ー6が設けられており、またプラズマ処理室1には、該
処理室の負荷を調節するためのショートプランジャー7
も設けられている。
【0025】プラズマ処理室1の配置の一例を示す図8
において、この具体例ではボトル8のプラズマ処理を行
うものであり、ボトル8は倒立状態でプラズマ処理室内
に保持されている。ボトル8の内部には処理用ガスの導
入パイプ9が挿入されており、この導入パイプ9の先端
に金属製のアンテナ10が上方に延びるように設けられ
ている。
【0026】プラズマ処理に際しては、先ず処理すべき
ボトル8をボトルホルダー(図示せず)に取り付け、ボ
トル8とボトルホルダーとを気密状態に維持し、真空ポ
ンプ2を駆動して、ボトル8の内部を真空状態に維持す
る。この際、ボトル8の外圧による変形を防止するため
に、ボトル外部のプラズマ処理室1をも減圧状態にする
ことも可能である。真空ポンプ2により達成されるボト
ル8内の減圧の程度は、処理用ガスが導入され且つマイ
クロ波が導入されてグロー放電が発生するような程度で
ある。一方、プラズマ処理室1内の減圧の程度は、マイ
クロ波が導入されてもグロー放電が発生しないような減
圧の程度である。
【0027】この減圧状態に達した後、処理ガス導入パ
イプ9によりボトル8内に処理用ガスを導入し、導波管
5を通してプラズマ処理室1内にマイクロ波を導入す
る。この際、金属製のアンテナ10からの電子放出によ
り、著しく短時間の内に安定にグロー放電によるプラズ
マが発生するという利点が達成される。尚、この際、処
理ガス導入パイプ9を金属製パイプとしたときには、金
属製アンテナを兼ねることができる。また、金属製パイ
プの外方(該パイプの伸張方向)に線状或いは箔状の等
の金属製アンテナを取り付けて全体を金属製アンテナと
することもできる。さらに、容器内面に化学蒸着膜を形
成する場合は、前記処理ガス導入パイプを多孔質の金
属、セラミック、プラスチック等の多孔質体から形成す
ることが、均一な薄い膜厚で柔軟性及び可撓性を有する
ガス遮断性に優れた化学蒸着膜とし、生産性を向上させ
る点で好ましい。このプラズマ中での電子温度は数万K
であり、ガス粒子の温度は数100Kであるのに比し
て、約2桁ほど低く、熱的に非平衡の状態であり、低温
のプラスチック基体に対しても有効にプラズマ処理によ
る被膜形成を行うことができる。
【0028】所定のプラズマ処理を行った後、処理用ガ
スの導入及びマイクロ波の導入を停止すると共に、排気
管3を通して空気を徐々に導入して、容器の内外を常圧
に復帰させ、プラズマ処理により被膜形成されたボトル
をプラズマ処理室外に取り出す。
【0029】[処理すべきプラスチック基材]本発明に
おいて、処理すべきプラスチック基材としては、種々の
プラスチックを挙げることができる。プラスチックとし
ては、それ自体公知の熱可塑性樹脂、例えば低密度ポリ
エチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエ
チレン、ピロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペ
ンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロ
ック共重合体等のポリオレフィン、環状オレフィン共重
合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニ
ルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体
等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、
アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メ
チルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩
化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメ
タクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、
ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナ
イロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、
ポリフエニレンオキサイド等、ポリ乳酸等の生分解性樹
脂、あるいはそれらの混合物のいずれかの樹脂であって
もよい。
【0030】これらの基材は、フィルム乃至シートの形
で用いることができるし、またボトル、カップ、チュー
ブ等の容器やその他の成形品の形で本発明のプラズマ処
理に付することもできる。前述した具体例に挙げたボト
ルとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエス
テルから形成された二軸延伸ブロー成形ボトルが挙げら
れる。勿論、本発明は上記ポリエステルのカップや二軸
延伸フィルムにも同様に適用することができる。
【0031】[ケイ素酸化物被膜形成用ガス]ケイ素酸
化物被膜の形成には、四塩化ケイ素、シラン(SiH4
)、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメチルシラ
ン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラ
ン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン等の有機シラン化合物、オクタメチルシクロテトラ
シロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサ
ン、ヘキサメチルジシロキサン等の有機シロキサン化合
物等が使用される。また、これらの材料以外にも、アミ
ノシラン、シラザンなども用いられる。これらの原料は
単独でも或いは2種以上の組合せでも用いることができ
る。酸化性ガスとしては、酸素やNOxが使用され、キ
ャリアーガスとしては、アルゴンやヘリウムなどが使用
される。
【0032】[処理条件]本発明において、プラズマ処
理の条件は、前述したIR特性吸収を有するケイ素酸化
物被膜が形成されるように処理条件の組合せを設定す
る。この処理条件としては、製膜時の真空度、原料ガス
の供給速度、酸化性ガスの供給速度、マイクロ波出力が
挙げられるが、これらの条件は処理すべき容器の大きさ
や、他の条件によっても相違するので一概に規定するこ
とは困難である。
【0033】しかしながら、一般的傾向としては、製膜
時の真空度が低くなる(圧力が高くなる)と、本発明で
規定したIR特性吸収を有するケイ素酸化物被膜が形成
されにくくなる。また、ケイ素原料ガスの供給速度が大
きくなると、やはり本発明で規定したIR特性吸収を有
するケイ素酸化物被膜が形成されにくくなる。更に、酸
化性ガスの供給速度が小さくなると、同様に本発明で規
定したIR特性吸収を有するケイ素酸化物被膜が形成さ
れにくくなる。上記傾向を勘案して、本発明で規定した
IR特性吸収を有するケイ素酸化物被膜を形成するため
の条件を実験的に定めることができる。
【0034】本発明において、先ずプラズマ処理を行う
処理室は、グロー放電が発生する真空度に保持するべき
であり、一般的にいって、製膜時の圧力を5〜200P
a、特に好適には15〜50Paの範囲に維持して、マ
イクロ波放電を行うのが好ましい。
【0035】ケイ素原料ガスの導入量は、勿論処理すべ
き基体の表面積や、原料ガスの種類によっても相違する
が、容器1個当たり、ケイ素原料を標準状態で0.5〜
50cc/min、特に1〜10cc/min(以下単
にsccmと記載することがある)の比較的少ない流量
で供給するのが望ましい。
【0036】酸化性ガスの導入量は、ケイ素原料ガスの
組成等によっても相違するが、一般に5〜500scc
m、特に10〜300sccmの比較的多い流量で供給
するのが好ましい。
【0037】ケイ素原料の供給速度が小さく、製膜時の
真空度が高い(圧力が低い)場合には、マイクロ波によ
るグロー放電が不安定になり、その結果としてケイ素酸
化物被膜の形成も不安定になる傾向がある。これに対し
て、マイクロ波プラズマ処理に際して、プラズマ処理室
内に金属製のアンテナを位置させると、製膜時の真空度
が高い(圧力が低い)場合にも、マイクロ波によるグロ
ー放電が安定になり、前述したIR特性吸収を有するケ
イ素酸化物被膜を安定に形成させることができる。
【0038】一般的なグロー放電においては、暗流領域
で存在するわずかな気体イオンは、電極電圧の上昇とと
もに次第に加速されて、中性分子と衝突してこれを電離
し、新たに生成した電子は更に他の分子を電離し、陽イ
オンは陰極面を衝撃して電子放出を起こさせ、この繰り
返しがねずみ算的に発展して、拡散再結合によるイオン
の消滅と釣り合った定常状態がグロー放電といわれてお
り、マイクロ波プラズマ処理におけるグロー放電発生の
メカニズムも、電極電圧印加の代わりにマイクロ波の導
入が行われる点を除けば、上記のメカニズムと同様であ
る。
【0039】本発明における上記アンテナの設置による
グロー放電の安定化は電子放出によるグロー放電の促進
と密接に関係していると思われる。実際に、本発明者ら
の観察によると、プラズマ処理室に取り付けたアンテナ
はかなり高温の状態となっており、このことはアンテナ
から熱電子の放出が生じたり、或いは陽イオンの細線へ
の衝撃により電子の放出が生じていることを示唆してい
る。
【0040】更に、ケイ素原料の供給速度を小さくしな
がら、製膜時の真空度(圧力)をグロー放電の安定化の
上で適切な範囲に維持するには、酸化性ガスの供給速度
を大きな値に維持することが重要であることも了解され
るであろう。
【0041】グロー放電を生じさせる電磁波としては、
13.56MHzの高周波や、マイクロ波の内、工業的
に使用が許可されている周波数が2.45GHz、5.
8GHz、22.125GHzのものを用いることが好
ましい。マイクロ波の出力は、処理すべき基体の表面積
や、原料ガスの種類によっても相違するが、一例として
プラスチック容器への表面処理では、容器1個当たり、
56〜600W、特に100〜400Wの電力となるよ
うに供給するのが望ましい。
【0042】マイクロ波によるグロー放電の誘導期を短
縮させるために用いる金属製のアンテナとしては、マイ
クロ波の波長(λ)の0.02倍以上の長さを有するも
の、最も好適にはλ/4+n(λ/2)(nは零を含む
整数)の長さのものが使用される。アンテナの形状とし
ては、先端部が尖った細線状アンテナ或いは箔状アンテ
ナで長さが前述した範囲にあるものが使用される。そし
て、前記細線状アンテナの径は一般に先端が2mm以下
のものが適しており、一方、前記箔状アンテナの幅は5
乃至10mm、厚みは5乃至500μm程度が適してい
る。この細線は発熱するので、耐熱性に優れたものがよ
く、例えば白金、ステンレススチール、銅、カーボン、
アルミニウム、スチール等の材質で製造されたものが好
ましい。
【0043】また、金属製のアンテナとしては、処理ガ
ス導入パイプ9を金属製パイプとし、この金属製パイプ
を用いて兼ねても良く、或いは前記金属製パイプの外方
(該パイプの伸張方向)に線状或いは箔状の等の金属製
アンテナを取り付けて全体を金属製アンテナとしても良
く、この場合、全体の長さ等は前述した線状、箔状アン
テナと同様に設定されることが好ましい。
【0044】プラズマ処理の時間も、処理すべき基体の
表面積、形成させる薄膜の厚さ及び原料ガスの種類等に
よっても相違し、一概に規定できないが、一例としてプ
ラスチック容器のプラズマ処理について説明すると、容
器1個当たり、1秒以上がプラズマ処理の安定性から必
要であり、コスト面から短時間化が要求されるが、必要
であれば分のオーダーでも良い。
【0045】プラズマCVDの場合、蒸着膜の付き回り
性は良好であり、全ての表面に蒸着膜を形成させること
ができる。一方、処理すべき基体がプラスチック容器の
ような立体成形品である場合、プラスチック容器内部及
び/または外部を処理用ガスを含有する減圧雰囲気に維
持し、容器内及び/または容器外でマイクロ波放電を生
じさせることにより、容器内面及び/または外面に化学
蒸着膜を形成させることができる。
【0046】また、図7に示すプラズマ処理法では、プ
ラスチック容器をプラズマ処理室内に保持すると共に、
プラスチック容器の外部とプラスチック容器の内部とを
気密状態に維持し、プラスチック容器の内部を処理用ガ
スが導入された状態においてマイクロ波放電が生じる減
圧状態に維持し、プラスチック容器の外部を内部に処理
用ガスが導入された状態においてマイクロ波放電が生じ
ない減圧状態に維持し、プラズマ処理室のプラスチック
容器外部にマイクロ波を導入することにより、プラズマ
処理を行うこともできる。
【0047】プラスチック容器のような立体成形品で
は、プラズマ処理室内に前記プラスチック容器の底部に
対面するようにマイクロ波の反射板を配置することが、
マイクロは放電を安定化させ、処理効率を高めるために
好ましい。
【0048】本発明のケイ素酸化物被膜において、その
厚みは特に制限されないが、ガス遮断性と柔軟性との見
地からは、被膜の厚みが2乃至500nm、特に5乃至
300nmの範囲にあることが好ましい。
【0049】
【実施例】本発明を次の例で説明するが、本発明はいか
なる意味においても、次の例に制限されるものではな
い。 (実施例1) (マイクロ波プラズマ処理装置)図6に示した装置を用
いた。即ち、周波数が2.45GHzで、最大出力が
1.5Kwのマイクロ波発振器と直径300mm、高さ
300mmの金属製円筒形プラズマ処理室と、処理室を
真空にする為の油回転式真空ポンプと、マイクロ波を発
振器からプラズマ処理室に導入する矩形導波管とを用い
た。プラズマ処理室内は図7に示したボトルホルダー
(図示していない)、ガス導入器そして、ガス導入器の
先端に直径0.5mm、長さ30mmの先端が針状に加
工された鉄製の線状アンテナそしてボトル内を真空にす
る為の油回転式真空ポンプを設置した。ガス導入器は外
径10mm、長さ180mmの孔径120μmの金属焼
結体製の底付き円筒管を用いた。
【0050】(マイクロ波プラズマ処理方法)ボトルホ
ルダーに口径28mm、高さ220mmの円筒形ポリエ
チレンテレフタレート製のボトル(以下PETボトルと
記す)を設置し、処理室内のボトル外部の真空度が2K
Paになる様に真空に引き、更にボトル内真空度が2P
aになるまで、真空ポンプを作動させた。真空ポンプを
作動させたまま、ヘキサメチルジシロキサン(以下HM
DSOと記す)ガス2sccm、酸素を20sccmそ
してアルゴンガスを10sccm導入し、更にバルブ
(図示していない)調整により、ボトル内真空度を50
Paに調整した。マイクロ波発振器より0.2Kwの電
波を発信させ、ボトル内にプラズマを形成し、10秒間
プラズマ処理を行った。
【0051】(赤外吸収スペクトル測定法)処理したP
ETボトルの胴部を切り出し、パーキンエルマー社製F
T−IR(1600型)の内部多重反射装置(AT
R)、(プリズムの材質:ゲルマニウム、入射角:45
度)を用い、処理ボトル内面の赤外分光分析を行った。
未処理ボトルを用い、差スペクトル法により赤外吸収ス
ペクトルを測定した結果、このケイ素酸化膜は、波数8
45〜833cm−1におけるSiCHの赤外特性吸
収が実質上ゼロで、930〜960cm−1付近の赤外
吸収ピークがあり、波数930cm−1付近のSiOH
基の吸収ピーク高さ(A1)を求め、更に波数960c
−1付近のSiO基の吸収ピーク高さ(A2)を求
め、A1/A2からSiOH/SiOの赤外吸光度比
(A)を求めた。
【0052】(ケイ素酸化膜中の組成分析法)処理ボト
ル胴部の内面をPHI社製、X線光電子分光分析装置
(Scanning ESCA Quantum200
0)で、ケイ素酸化膜の外表面から膜の厚さ方向のケイ
素と酸素と炭素の原子濃度を測定した。
【0053】(ケイ素酸化膜厚測定法)処理ボトルの内
面におけるケイ素酸化膜のケイ素量を(株)リガク製蛍
光X線分光分析装置(System3080)により、
既知の膜厚100nmのケイ素酸化膜のケイ素量を基準
に、ケイ素酸化膜の膜厚に換算した。
【0054】(酸素透過量測定法)処理ボトルと未処理
ボトル内を窒素ガスで置換し、シーラント付き金属アル
ミニウム箔積層体でボトルの口部を密封し、30℃80
%RH、酸素21%の環境に保存し、経時的にボトル内
酸素濃度を測定し酸素透過量を求めた。
【0055】(比較例1)実施例1において、HMDS
Oの導入量を10sccmとした以外は、同じ条件でP
ETボトルをプラズマ処理し赤外吸収スペクトルを測定
した結果、このケイ素酸化膜は、波数845〜833c
−1付近の赤外吸収ピークがありSiCH基が存在
した。この膜の酸素透過量を測定した結果、未処理ボト
ルの酸素遮断性と同レベルであった。
【0056】(比較例2)実施例1において、酸素導入
量を100sccmとした以外は、同じ条件でPETボ
トルをプラズマ処理し赤外吸収スペクトルを測定した結
果、このケイ素酸化膜は、波数845〜833cm−1
付近の赤外吸収ピークが実質的になくSiCH基が存
在しなかった。そこで、波数930cm−1付近のSi
OH基の吸収ピーク高さを求め、更に波数960cm
−1付近のSiO基の吸収ピーク高さを求め、SiOH
/SiOの赤外吸光度比(A)を求めた。この膜の酸素
透過量を測定した結果、未処理ボトルの酸素遮断性と同
レベルであった。
【0057】上述した実施例1及び比較例1乃至2の測
定結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】(実施例2)実施例1において、マイクロ
波の出力を170Wとした以外は、同じ条件でPETボ
トルにプラズマ処理し、同様に赤外吸光度比(A)、ケ
イ素酸化膜の膜厚及び37℃60%RH、酸素21%の
環境に保存し酸素透過量を求めた。
【0060】(実施例3)実施例2において、マイクロ
波の出力を280Wとした以外は、同じ条件でPETボ
トルにプラズマ処理し、同様に赤外吸光度比(A)、ケ
イ素酸化膜の膜厚及び酸素透過量を求めた。
【0061】(実施例4)実施例2において、マイクロ
波の出力を400Wとした以外は、同じ条件でPETボ
トルにプラズマ処理し、同様に赤外吸光度比(A)、ケ
イ素酸化膜の膜厚及び酸素透過量を求めた。
【0062】尚、上述した実施例2乃至4のフーリエ変
換赤外線吸収スペクトル(FTIR)においては、波数
845〜833cm−1におけるSiCHの赤外特性
吸収は、実施例1と同様実質上ゼロであった。
【0063】(比較例3)実施例2において、マイクロ
波出力を86Wとした以外は、同じ条件でPETボトル
にプラズマ処理を行った結果、このケイ素酸化膜には実
質的にSiCH基が存在しなかった。また、同様に、
赤外吸光度比(A)、ケイ素酸化膜の膜厚及び酸素透過
量を求めた。
【0064】(比較例4)実施例2において、マイクロ
波プラズマ処理を行わないPETボトルを用いて、同様
に赤外吸光度比(A)、ケイ素酸化膜の膜厚及び酸素透
過量を求めた。
【0065】上述した実施例2乃至4及び比較例3乃至
4の測定結果を表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】(実施例5) (高周波プラズマ処理装置)周波数が12.56MHz
で、最大出力が1.5Kwの高周波電源と、直径600
mm、高さ600mmの金属製ベルジャー型処理室と、
処理室を真空にする為の油拡散ポンプ−油回転ポンプを
備え、処理室内には直径65mmの平板高周波電極、平
板アース電極が平行に配置され、そしてアース電極は反
応ガスを導入する機構を持ち、平板試料が高周波電極と
アース電極間の高周波電極側に配置される様に試料ホル
ダーが設置されている。
【0068】(高周波プラズマ処理方法)1辺が200
mmの正方形で、厚みが100μmのPETシート2枚
を1枚づつ順次試料ホルダーに設置し、ガス流量比をH
MDSO/O=1/10、真空度を20Pa、被覆時
間を10分で、高周波出力を100Wでそれぞれ被覆し
た。
【0069】(酸素透過量及び酸素透過係数)モダンコ
ントロール社のオキシトランを用い、被覆したそれぞれ
のPETシートを25℃80%RH、酸素100%の環
境に保存して酸素透過量を測定し、更に(株)リガク製
蛍光X線分光分析装置(System3080)により
ケイ素酸化膜の膜厚を測定し、未被覆PETの酸素透過
量からケイ素酸化膜の酸素透過係数を算出した。また、
これらの被覆PETシートの赤外吸収スペクトルを測定
し、SiOH/SiOの赤外吸光度比(A)を求めた。
【0070】(実施例6)実施例5において、高周波出
力を250Wとした以外は、同じ条件でPETシート2
枚にプラズマ処理し、同様に赤外吸光度比(A)、ケイ
素酸化膜の膜厚、酸素透過量及び酸素透過係数を求め
た。
【0071】尚、上述した実施例5及び6のフーリエ変
換赤外線吸収スペクトル(FTIR)においては、波数
845〜833cm−1におけるSiCHの赤外特性
吸収は、実施例1乃至4と同様実質上ゼロであった。
【0072】(比較例5)実施例5において、高周波プ
ラズマ処理を行わないPETシートを用いて、同様に酸
素透過量及び酸素透過係数を求めた。
【0073】上述した実施例5、6及び比較例5の測定
結果を表3示す。
【0074】
【表3】
【0075】(実施例7)電子銃加熱による蒸発源を有
し、蒸発源に対向した位置に平板基板用ホルダーを配置
した直径600mm、高さ600mmのベルジャー型真
空チャンバーを用い、基板として12μmの二軸延伸ポ
リエチレンテレフタレートフィルム(BOPET)を用
い、蒸発物として、モノ酸化ケイ素(SiO)を使用
し、製膜真空度が1.3×10−3Paで、物理的真空
蒸着法(PVD法)を用い、膜厚約50nmのSiOx
(以下PVD−SiOx膜と記す)/BOPETフィル
ムを形成した。このPVD−SiOx膜をXPSにより
膜構成を調べた結果、SiOx単層膜であった。
【0076】(実施例8)実施例1において、12μm
のBOPETフィルムを用いてSiOx(以下CVD−
SiOx膜と記す)/有機珪素化合物重合体(トータル
厚み:約50nm、有機ケイ素化合物重合体の厚み:約
5nm)を被覆した。
【0077】尚、上述した実施例7及び8のフーリエ変
換赤外線吸収スペクトル(FTIR)においては、波数
845〜833cm−1におけるSiCHの赤外特性
吸収は実質上ゼロであり、SiOH/SiOの赤外吸光
度比(A)は、それぞれ0、0.1であった。
【0078】PVD−SiOx膜及びCVD−SiOx
膜を一軸方向に2%、3%そして4%延伸し、そのフィ
ルムの酸素透過量をモダンコントロール社のオキシトラ
ンにより測定し、その結果を表4に示す。
【0079】
【表4】
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、プラスチック基材上に
形成されたケイ素酸化物被膜において、有機ケイ素化合
物の化学蒸着により形成され、波数845〜833cm
−1におけるSiCHの赤外特性吸収が実質上ゼロで
あり、且つSiOH/SiOの赤外吸光度比(A)が
0.25以下であるケイ素酸化物被膜が提供され、この
ケイ素酸化物被膜は、ガス遮断性(ガスバリアー性)に
特に優れており、従来のものに比して小さい膜厚で優れ
たガス遮断性を達成できると共に、形成される被膜が柔
軟性及び可撓性に優れており、生産性にも優れていると
いう利点が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるケイ素酸化物被膜の一例(実施例
1参照)の赤外線吸収スペクトルである。
【図2】本発明以外のケイ素酸化物被膜の一例(比較例
1参照)の赤外線吸収スペクトルである。
【図3】本発明以外のケイ素酸化物被膜の一例(比較例
2参照)の赤外線吸収スペクトルである。
【図4】ケイ素酸化物被膜中のSiOH/SiOの赤外
吸光度比を横軸とし、酸素透過量を縦軸とし、両者の関
係をプロットしたグラフである。
【図5】本発明のケイ素酸化物被膜を設けたPETボト
ルのX線光電子分光分析のチャートである。
【図6】ケイ素酸化物被膜の外表面におけるケイ素の結
合エネルギーをプロットしたグラフである。
【図7】本発明に用いるマイクロ波プラズマ処理装置の
一例の概略配置図である。
【図8】プラズマ処理室の配置の一例を示す断面図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 倉島 秀夫 神奈川県横浜市保土ヶ谷区岡沢町22番地4 東洋製罐グループ綜合研究所内 (72)発明者 稲垣 肇 神奈川県横浜市保土ヶ谷区岡沢町22番地4 東洋製罐グループ綜合研究所内 Fターム(参考) 3E062 AA09 AA10 AC02 JA07 JB24 JC01 JD01 3E086 AD04 BA14 BA24 BA40 BB05 BB90 4F100 AA20B AK01A AK42 AK52C BA02 BA03 BA07 BA10A BA10B EH66B GB15 GB16 JD02 YY00B 4K030 BA27 BA44 CA07 CA14 FA01 LA01 LA11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック基材上に形成されたケイ素
    酸化物被膜において、有機ケイ素化合物の化学蒸着によ
    り形成され、波数845〜833cm−1におけるSi
    CHの赤外特性吸収が実質上ゼロであり、且つSiO
    H/SiOの赤外吸光度比(A)が0.25以下である
    ことを特徴とするケイ素酸化物被膜。
  2. 【請求項2】 ケイ素酸化物被膜が、有機ケイ素化合物
    の重合体層を介して前記基材上に形成されていることを
    特徴とする請求項1に記載のケイ素酸化物被膜。
  3. 【請求項3】 基材の表面側からケイ素酸化物被膜の外
    表面に向けて炭素量が連続的に減少していることを特徴
    とする請求項2に記載のケイ素酸化物被膜。
  4. 【請求項4】 ケイ素酸化物被膜がマイクロ波プラズマ
    化学蒸着により形成されたものであることを特徴とする
    請求項1乃至3の何れかに記載のケイ素酸化物被膜。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4の何れかに記載のケイ素
    酸化物被膜を備えてなることを特徴とする包装体。
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